説明

環境的影響力を測定するためのデバイスおよび同デバイスを製作する方法

【課題】サイズが小さいばかりでなく効果的に大量生産することができる高感度圧力センサを製造する方法を提供する。
【解決手段】第1の絶縁層150によって第2のデバイス層200から分離された第1のデバイス層100を備えるデバイスウェーハを備える、環境的影響力を測定するためのデバイスおよび同デバイスを製作する方法が開示される。エッチングされた基板ウェーハ600に第1のデバイスウェーハが接合されて、懸垂されたダイアフラム500および突起550が作製され、その撓みが、内蔵された検出素子850によって測定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される内容は、小さな力、または例えば機械的応力、化学機械的応力、熱応力、電磁界などの環境要因から生成された撓みを検出するのに用いることができる半導体微小電子機械(MEMS)ベースのセンサに関する。より具体的には、本明細書に開示される内容は、圧力を検知するためのデバイス、および同デバイスを製作する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体マイクロエレクトロニクスに基づくセンサの進歩は、このようなセンサのサイズおよびコストを低減するのに大いに役立ってきた。シリコンマイクロセンサの電気的性質および力学的性質ならびにシリコン微細機械加工および半導体マイクロエレクトロニクスの技術は改善されている。例えば、微細機械加工されたシリコンの圧力センサ、加速度センサ、流量センサ、湿度センサ、マイクロホン、機械振動子、光学式およびRF式のスイッチおよび減衰器、マイクロバルブ、インクジェットプリントヘッド、原子間力顕微鏡チップなどは、医学、航空宇宙、工業および自動車の市場に様々な用途が見出されることが広く知られている。シリコンは、大きな降伏強度、室温における伸縮性、および硬度特性により、例えばセンサ構造体に有用であり得る共振構造体用の理想的基材である。腕時計、スキューバダイビング装置および携帯用のタイヤ圧力計などの消費財でさえ、シリコンの微細機械加工されたセンサを組み込むことができる。
【0003】
絶えず拡大している利用分野におけるシリコンセンサに対する需要が、新規の様々なシリコンマイクロセンサの、特定の環境および用途向けに最適化された寸法形状および構成に対する必要性を喚起し続けている。一般的には微小電子機械デバイスに関して拡大している利用分野により、具体的には圧力などの環境的影響力を測定するのに使用されるセンサにより、いっそう小さなデバイスに対する需要が生じている。残念ながら、より小さいうえに圧力の小さな変化に対しても高感度であるデバイスを作製するのには問題がある。デバイスが小さく形状が薄いために、通常の技法では、特に大量生産において、要求される厳格な公差を維持するのが困難である。さらに、製作中に、このようなMEMSデバイスの中に構造体が拡散または注入され得る深さの制約により、このようなデバイスの設計および動作特性が制限される。
【発明の概要】
【0004】
サイズが小さいばかりでなく効果的に大量生産することができる高感度圧力センサを製造する方法を提供することが有利であろう。
【0005】
上記の議論は、単に一般的な背景知識のために提供されたものであり、特許請求される内容の範囲を決定する助けとして用いられるようには意図されない。
【0006】
第1の絶縁層によって第2のデバイス層から分離された第1のデバイス層を備えるデバイスウェーハを備える、環境的影響力を測定するためのデバイスおよび同デバイスを製作する方法が開示される。エッチングされた基板ウェーハに第1のデバイスウェーハが接合されて、懸垂されたダイアフラムおよび突起が作製され、その撓みが、内蔵された検出素子によって測定される。説明されたデバイスおよび製作方法のいくつかの実施形態の実施において実現され得る利点には、大量の電子回路基板の製作技法を用いて、MEMSベース圧力センサのダイアフラムおよび突起の構造体の両方の厚さを正確に制御できることがある。そして、これらの正確な厚さによってセンサの動作特性が決定され、特に、例えば1気圧未満の低圧環境における改善された性能およびより低い位置感度がもたらされる。
【0007】
例示の一実施形態では、デバイスが開示され、このデバイスは、デバイスウェーハの第1のデバイス層の一部分を備える突起であって、デバイスウェーハが、第1のデバイス層および第2のデバイス層を備え、第1のデバイス層が、第1の絶縁層によって第2のデバイス層から分離された突起と、基板ウェーハの頂面上に配置されたダイアフラムキャビティであって、基板ウェーハの頂面が、第1のデバイス層の頂面に接合されて、ダイアフラムキャビティの上にダイアフラムを形成し、ダイアフラムが第2のデバイス層の一部分を備え、突起がダイアフラムから延在するダイアフラムキャビティと、第2のデバイス層の中に配置されてダイアフラムの撓みを検知する検出素子とを備える。
【0008】
別の例示的実施形態では、デバイスウェーハの第1のデバイス層の頂面に突起キャビティを形成して突起を形成するステップであって、デバイスウェーハが、第1のデバイス層、第1の絶縁層によって第1のデバイス層から分離された第2のデバイス層、および第2の絶縁層によって第2のデバイス層から分離されたハンドル層を備えるステップと、基板ウェーハの頂面にダイアフラムキャビティを形成するステップと、第1のデバイス層の頂面を基板ウェーハの頂面に接合して、ダイアフラムキャビティの上にダイアフラムを形成するステップであって、ダイアフラムが第2のデバイス層の一部分を備え、突起がダイアフラムから延在するステップと、デバイスウェーハからハンドル層および第2の絶縁層を除去するステップと、ダイアフラムの撓みを検知するために第2のデバイス層に検出素子を配置するステップとを含む、デバイスを製作する方法が開示される。
【0009】
本発明のこの簡潔な説明は、1つまたは複数の例示的実施形態によって本明細書に開示される内容の概要を提供するようにのみ意図されており、特許請求の範囲を解釈するか、または添付の特許請求の範囲によってのみ定義される本発明の範囲を定義するかもしくは限定するための指針とし役立つものではない。この簡潔な説明は、以下で、詳細な説明でさらに説明される例示的選択を、簡易化した形の概念で導入するために提供される。この簡潔な説明は、特許請求される内容の主要な特徴または基本的特徴を識別するようには意図されておらず、特許請求される内容の範囲を決定する助けとして用いられることも意図されていない。特許請求される内容は、背景技術で示した不利益のいずれかまたはすべてを解決する実装形態に限定されるものではない。
【0010】
本発明の特徴が理解されるように、上記で簡潔に要約された本発明の詳細な説明が、添付図面にいくつか示されている特定の実施形態を参照することによって得られるはずである。しかし、図面は、本発明の特定の実施形態のみを示しており、したがって、本発明の範囲は他の同様に有効な実施形態を包含するので、図面が本発明の範囲を限定するものと見なされるべきではないことに留意されたい。図面は、必ずしも原寸に比例せず、一般に、発明の特定の実施形態の特徴を説明することが重視されている。図面では、様々な図を通じて、同じ数字は同じ部分を示すように用いられている。したがって、本発明のさらなる理解のために、以下の詳細な説明を参照し、図面に関連して読み取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の例示的実施形態のセンサの断面図である。
【図2】本発明の例示的実施形態におけるセンサの製作のステップを示すプロセスの流れ図である。
【図3】本発明の例示的実施形態における突起キャビティをエッチングしたデバイスウェーハの断面図である。
【図4】本発明の例示的実施形態におけるダイアフラムキャビティを有する基板ウェーハに結合された突起キャビティを有するデバイスウェーハの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の絶縁層によって第2のデバイス層から分離された第1のデバイス層を備えるデバイスウェーハを備える、環境的影響力を測定するためのデバイスおよび同デバイスを製作する方法が開示される。エッチングされた基板ウェーハに第1のデバイスウェーハが接合されて、懸垂されたダイアフラムおよび突起が作製され、その撓みが、内蔵された検出素子によって測定される。説明されたデバイスおよび製作方法のいくつかの実施形態の実施において実現され得る利点には、大量の電子回路基板の製作技法を用いて、MEMSベース圧力センサのダイアフラムおよび突起の構造体の両方の厚さを正確に制御できることがある。その結果として、これらの正確な厚さによってセンサの動作特性が決定され、特に、例えば1気圧未満の低圧環境における改善された性能およびより低い位置感応性がもたらされる。
【0013】
例示的圧力センサは、シリコン構造体の中にキャビティを形成し、キャビティに隣接してダイアフラムを形成することにより作製することができる。絶対圧センサの実施形態では、選択された基準圧力に対して測定が行なわれ、キャビティは、真空または選択された内部圧力に維持することができる。圧力センサは、ダイアフラムの撓み、例えばダイアフラム上に作用する圧力が、ダイアフラムを、ダイアフラムキャビティに近づく方向または遠ざかる方向に歪ませる様子を検知することにより圧力を測定する。ダイアフラムの縁端部の近くに形成された1つまたは複数の検出素子が、一般にダイアフラムの撓みまたは歪みを検知する。圧力差センサの実施形態では、センサが配置された環境の圧力に対するダイアフラムに作用する圧力に関して圧力測定が行なわれ、キャビティは周囲の環境に対して開放することができる。
【0014】
図1は、本発明の例示的実施形態のセンサ10の断面図を示す。センサ10は、ダイアフラムキャビティ650をエッチングすることができる基板ウェーハ600を備えることができる。一実施形態では、基板ウェーハ600は、n型またはp型のドーピングを有することができる両面研磨のシリコンウェーハであり得て、センサ10の設計および製造の要件を満たす適切な厚さであり得る。他の実施形態では、基板ウェーハ600は、デバイス層とハンドル層の間に配置された絶縁層を有するシリコンオンインシュレータウェーハのデバイス層であり得る。ダイアフラムキャビティ650の上に、懸垂されたダイアフラム500があり得て、これは、第2のデバイス層200の一部分と、例えばダブルシリコンオンインシュレータウェーハ(DSOI)といった絶縁層によって分離された2つのデバイス層を有するデバイスウェーハの第1の絶縁層150の一部分とを備えることができる。ダイアフラム500から突起550が懸垂され得て、これは、1つまたは複数の突起キャビティ400によって第1のデバイス層100の残りから分離されたデバイスウェーハの第1のデバイス層100の一部分であり得る。
【0015】
図3は、本発明の例示的実施形態における突起キャビティ400をエッチングしたデバイスウェーハ50の断面図である。図3に示されるように、デバイスウェーハ50は、第1のデバイス層100と、第1の絶縁層150と、第2のデバイス層200と、第2の絶縁層250と、ハンドル層300とを備えることができる。第1のデバイス層100は、単結晶シリコン基板であり得て、これは、一実施形態では、n型またはp型のドーピングを有することができ、センサ10の動作特性および物理的な設計特性を満たすための適切な厚さであり得る。第2のデバイス層200は、単結晶シリコン基板であり得て、これは、一実施形態では、特定の設計仕様を満たすように選択された厚さであり得て、n型またはp型のドーピングを有することができる。デバイスウェーハ50の様々な層の厚さは、通常のウェーハ生産技術を用いて正確に設定することができて、層の正確な厚さが、センサ10の後の動作特性および物理的特性を決定するように選択することができるが、このことは以下で説明される。
【0016】
第1の絶縁層150および第2の絶縁層250は、例示的実施形態では二酸化シリコンであり得て、センサ10の製造および設計の要件を満たすような適切な厚であり得る。ハンドル層300は、製造プロセス中にデバイスウェーハ50をつかむように使用することができる。第1の絶縁層150は、第1のデバイス層100と第2のデバイス層200の間に配置することができ、第2の絶縁層250は、第2のデバイス層200とハンドル層300の間に配置することができる。ハンドル層300は、例えばn型またはp型のシリコンから成り得て、センサ10の設計および製造の要件を満たすような適切な厚さであり得る。これに加えて、センサ10を構成する様々な層の厚さは、デバイスの全体的な厚さが、センサ10の動作上の設計特性および物理的設計特性を満たすように選択することができる。具体的には、基板ウェーハ600の厚さは、ダイアフラム500に伝達される実装応力を最小化するように選択することができる。
【0017】
再び図1を参照して、例えば圧力といった、センサ10に対して作用する環境的影響力に起因するシリコン構造体の撓み、具体的にはセンサ10内の開放されたダイアフラムキャビティ650の上に懸垂されたダイアフラム500の撓みを検知するために、例えば圧電抵抗検出素子である1つまたは複数の検出素子850を、第2のデバイス層200の内部に有利に注入するかまたは拡散することができる。センサ10は、例えば二酸化シリコン層、窒化シリコン層、または両者の組合せから成り得る不活性化層700も含むことができる。不活性化層700は、製造中および運転中に、センサ10に対する電気的な絶縁および保護をもたらすことができる。基板ウェーハ600の、接合されない外側に向く面は、その上に堆積された不活性化層を有することもできる(図示せず)。第2のデバイス層200に形成された1つまたは複数の相互接続825は、1つまたは複数の検出素子850をセンサ10の外表面に電気的に結合することができ、一方、1つまたは複数の金属化層800は、センサ10が、例えばリード取付けを通じて他のデバイスまたは接続に電気的に結合され得るように、相互接続825とセンサ10上の外部接触の間の電気的接続をもたらすことができる。
【0018】
図1を参照すると、例示的センサ10およびその動作が、本発明の一実施形態で説明される。センサ10は、デバイスウェーハの第1のデバイス層100に接合され得る基板ウェーハ600の頂面に形成されたダイアフラムキャビティ650の上の第2のデバイス層200に形成された薄い構造体、すなわちダイアフラム500の撓みを測定することにより動作することができる。ダイアフラム500は、センサ10の撓み構造体として働くことができる。ダイアフラムキャビティ650の圧力と上のダイアフラム500の圧力が異なるので、ダイアフラム500は、ダイアフラムキャビティ650に対して近づくかまたは離れる方向に撓むことになる。ダイアフラム500の撓みは、ダイアフラム500の縁端部の上または近くの第2のデバイス層200に配置され得る1つまたは複数の検出素子850によって検出することができる。圧電抵抗検出素子を用いる一実施形態では、検出素子850の抵抗は、1つまたは複数の金属化層800に取り付けられた1つまたは複数の相互接続825を用いて相互接続されたホイートストンブリッジ回路などの回路を使用して求めることができる。センサ10を別のデバイスと電気通信状態に配置するために、電気的インターフェースまたは他のこのようなデバイスを金属化層800の終端に取り付けることができる。圧電抵抗検出素子850の抵抗は、ダイアフラム500の撓みに応じて変化する。したがって、検出素子850の圧電抵抗の測定値を用いることでダイアフラム500の撓み量を求めることができ、によってセンサ10にかかる圧力を求められる。
【0019】
図1に示されたものなどのシリコンセンサを製作するための例示的プロセスが、図1から図4を参照しながら説明される。図2は、本発明の一実施形態においてセンサ10を製作するための例示的プロセスの流れ900である。図2および図3を参照すると、図2のプロセスステップ910では、突起550を形成するために、デバイスウェーハ50の第1のデバイス層100に1つまたは複数の突起キャビティ400をエッチングすることができる。突起550は、ダイアフラム500に取り付けられてそこから延在する質量として機能することができ、物理的応力をダイアフラム500に集中させてセンサの圧力レスポンスおよび感度を改善する。1つまたは複数の突起キャビティ400によって決定される突起550の形状は、設計仕様を満たすように選択することができる。具体的には、突起550は、特に低圧を測定するために薄いダイアフラム500を利用する実施形態では、センサ10の圧力レスポンスの線形性を改善するように作用することができる。さらに、突起550のサイズ、厚さおよび質量は、第1のデバイス層100の厚さに基づいて正確に制御することができ、それによってセンサ10の位置感度を最小限にすることができる。突起キャビティ400は、例えばDRIE、KOHもしくはTMAHを用いるウェットエッチング、他のシリコンエッチャントなどのドライエッチングまたはウェットエッチングの技法を用いて、第1の絶縁層150まで第1のデバイス層100にエッチングすることができる。第1の絶縁層150は、所定の位置に残すか、または同様に湿式または乾式の除去技法を用いてエッチング除去することができる。突起キャビティ400の表面は、例えば、露出したシリコン、酸化シリコン、不純物添加シリコンであり得て、または後続のウェーハ接合および加工温度に耐えることができるその他の薄膜を用いてコーティングされ得る。
【0020】
図4は、本発明の例示的実施形態におけるダイアフラムキャビティ650を有する基板ウェーハ600に接合された突起キャビティ400を有するデバイスウェーハ50の断面図である。図4を参照すると、図2のプロセスステップ920では、例えばDRIE、KOHもしくはTMAHを用いるウェットエッチング、あるいは他のシリコンエッチャントなどのドライエッチングまたはウェットエッチングの技法を用いて、基板ウェーハ600にダイアフラムキャビティ650をエッチングすることができる。ダイアフラムキャビティ650は、例えば正方形、長方形、または円形といった様々な形状を有することができ、また、センサ10の物理的要件および動作上の設計要件を満たすために任意の必要な深さも有することができ、深さは、センサの設計および動作特性および/または基板ウェーハ600の選択された厚さに依存しうる。ダイアフラムキャビティ650の表面は、例えば、露出したシリコン、酸化シリコン、不純物添加シリコンであり得て、または後続のウェーハ接合および加工温度に耐えることができるその他の薄膜を用いてコーティングされ得る。基板ウェーハ600がシリコンオンインシュレータウェーハのデバイス層を備える実施形態では、ダイアフラムキャビティ650を形成するエッチングは、絶縁層で終えるように選択され得る。さらに、シリコンオンインシュレータウェーハのデバイス層の厚さは、製作中に正確に制御することができ、それによって、基板ウェーハ600の厚さを正確に制御することができる。
【0021】
引き続き図4を参照して、図2のプロセスステップ930では、デバイスウェーハ50の頂面、すなわち突起キャビティ400をエッチングした第1のデバイス層100の頂面が、基板ウェーハ600の頂面、すなわちダイアフラムキャビティ650をエッチングした表面に従来型のシリコン融解結合技法を用いて接合される。例示的融解結合技法の1つでは、向かい合った表面を、親水性にする、すなわち強い酸化剤を用いて処理して、向かい合った表面に水を付着させるようにすることができる。次いで、接合を形成するために2つのウェーハを高温環境に置くことができ、接合の品質は、ウェーハが高温環境に晒される期間によって決定され得る。上記で説明されたシリコン融解結合技法により、単結晶シリコンウェーハと異なる熱膨張率を有する可能性がある中間の接着材料を用いることなく、第1のデバイス層100と基板ウェーハ600を接合することができる。ダイアフラムキャビティ650の上にダイアフラム500が形成されて突起550がダイアフラム500から延在するように、デバイスウェーハ50と基板ウェーハ600を接合することができる。
【0022】
図2のプロセスステップ940では、第2の絶縁層250上で終わるKOHもしくはTMAHなどのウェットエッチャントを用いて、デバイスウェーハ50のハンドル層300を除去することができる。さらに、ウェットエッチングまたはドライエッチングの技法を用いて第2の絶縁層250を除去することができ、第2のデバイス層200を露出させる。他の実施形態では、ハンドル層300および第2の絶縁層250の両方を、研削などの物理的な薄層化技法を用いて除去するかまたは薄くすることができる。
【0023】
図2のプロセスステップ950では(図1を再び参照して)、例えば二酸化シリコン、窒化シリコン層、または両方の組合せを用いて、第2のデバイス層200の露出した頂面の上に不活性化層700を堆積することができる。プロセスステップ950の一部として、基板ウェーハ600の、接合されない外側に向く面は、その上に堆積された不活性化層を有することもできる(図示せず)。図2のプロセスステップ960において、拡散またはイオン注入により、第2のデバイス層200に1つまたは複数の検出素子850を配置することができ、圧電抵抗検出素子を用いる一実施形態では、第2のデバイス層200の一部分として形成され得るダイアフラム500に対する所定の位置において、ドープされたn型の第2のデバイス層200の中に低ドープ濃度のp型材料を配置する。例えば、高温でのホウ素注入および拡散により、第2のデバイス層200の内部に圧電抵抗検出素子850を形成することができる。ダイアフラム500の撓みを検知するために、検出素子850を配置することができる。任意数の検出素子850を使用することができ、ダイアフラム500に対するそれらの正確な配置は、特定の用途、予期される圧力、感度要件など次第で、様々であってよいことに留意されたい。さらに、例えばドープされたn型の第2のデバイス層200の中に高ドープ濃度のp型材料を拡散させるかまたはイオン注入することにより、1つまたは複数の相互接続825を追加することができる。相互接続825は、検出素子850に電気伝導性を与えることができ、検出素子850に対してオーバラップする構成に配置され得る。プロセスステップ960における構成要素の拡散または注入は、単一のプロセスを用いて遂行するか、または複数のプロセスを用いて別個に行なうことができる。
【0024】
次に、プロセスステップ970で、金属化層800を付加することができ、センサ10の外面から相互接続825を介して検出素子850まで電気伝導性をもたらす。相互接続825へのアクセスをもたらすために、ドライエッチングまたはウェットエッチングの技法を用いて、不活性化層700に開口を作製することができる。次いで、例えば金またはアルミニウムの金属化層800を付加することができ、デバイスの設計および製作の要件に適合するように所望の厚さに作製することができる。
【0025】
図1に示されるように、センサ10は、ダイアフラムキャビティ650の内部に確立された基準圧力に対する絶対圧測定をもたらすように構成することができる。しかし、差圧センサが所望であれば、ダイアフラムキャビティ650は、DRIE、KOHもしくはTMAHを用いるウェットエッチング、または他のシリコンエッチャントなどを用いて基板ウェーハ600の底面の一部分を除去するかまたは薄くすることにより、基板ウェーハ600を貫通して延在するように作製され得る。いくつかの実施形態では、基板ウェーハ600の底部は、研削などの物理的な薄層化技法を用いて除去するかまたは薄くすることができる。基板ウェーハ600がシリコンオンインシュレータウェーハを備える実施形態では、シリコンオンインシュレータウェーハのハンドル層および絶縁層は、必要に応じて遂行されるデバイス層のさらなる薄層化を用いて除去され得る。さらなる実施形態では、薄層化プロセスに続いて、基板ウェーハ600の底部に不活性化層を付加することができる。
【0026】
本明細書で説明された実施形態を参照して、センサ10の製作中に行なわれたそれぞれのエッチングは、特定の用途次第で、任意の選択された寸法形状および任意の必要な深さを有することができる。それぞれのエッチングの選択された深さおよび寸法形状は、もたらされるセンサ10の設計特性を変更するように選択され得る。さらに、第2のデバイス層200の厚さとダイアフラムキャビティ650によって規定されるダイアフラム500のサイズおよび形状とは、もたらされるセンサ10の感度を決定するように選択することができる。第2のデバイス層200の選択された厚さは、デバイスウェーハの製造において任意に選択して正確に制御することができ、ダイアフラム500の可撓性に対する制御が改善され、したがって、もたらされるセンサ10の性能特性に対する制御が改善される。同様に、従来のエッチングおよび/または注入の技法を用いる場合より、第1のデバイス層100の厚さが、突起550の厚さ、質量および動作特性を正確に決定することができる。さらに、プレーナ製造プロセスは、製造にとって理想的であり、もたらされるデバイスの、製造歩留まりばかりでなく全体の信頼性および長期性能が向上され得る。したがって、センサ10の性能特性に対する均一な制御を達成することができる。
【0027】
上記の詳細な説明は、例示的実施形態を示すために提供されたものであり、限定するようには意図されていない。センサを製作する方法が示され、圧力を測定する実施形態に関して説明されてきたが、他のパラメータを測定することができるセンサを製作するのに、類似の技法を用いることができることが、当業者には明らかであろう。例えば、本明細書に説明された製造装置および製造の方法は、本明細書に明確に説明されていない多種多様な他の用途に役立つことを理解されたい。本発明の範囲内の多数の変更形態および変形形態が可能であることも、当業者には明らかであろう。さらに、説明された例示の方法および構造体の範囲内で、多くの他の材料およびプロセスを用いることができることも当業者には理解されよう。例えば、本明細書に説明されたp型材料とn型材料は、例えばn型材料をp型材料で置換し、p型材料をn型材料で置換する代替のやり方で用いることができることを理解されたい。さらに、様々な例示的実施形態で記載して説明されたステップのシーケンスは、説明された順序で現われる必要がなく、他の実施形態では、様々なステップが、連続的または非連続的に、あるいは並行して、組み合わせられ、異なった順序で遂行され得て、それでもなお同じ結果を達成することが当業者には明らかであろう。
【0028】
この書かれた説明は、最善の様式を含めて本発明を開示するために、また、あらゆる当業者が、あらゆるデバイスまたはシステムを製作し使用することならびにあらゆる具体化された方法を実行することを含めて本発明を実施することも可能にするために、実例を用いている。本発明が特許権を受けられる範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者に想起される他の実施例を含み得る。そのような他の実例は、それらが特許請求の範囲の文字どおりの言葉と異ならない構造要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文字どおりの言葉との実質のない相違点を有する同等な構造要素を含む場合には、特許請求の範囲に入るように意図されている。
【符号の説明】
【0029】
10 センサ
50 デバイスウェーハ
100 第1のデバイス層
150 第1の絶縁層
200 第2のデバイス層
250 第2の絶縁層
300 ハンドル層
400 突起キャビティ
500 ダイアフラム
550 突起
600 基板ウェーハ
650 ダイアフラムキャビティ
700 不活性化層
800 金属化層
825 相互接続
850 検出素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスウェーハ(50)の第1のデバイス層(100)の一部分を備える突起(550)であって、前記デバイスウェーハ(50)が、前記第1のデバイス層(100)および第2のデバイス層(200)を備え、前記第1のデバイス層(100)が、第1の絶縁層(150)によって前記第2のデバイス層(200)から分離された突起(550)と、
基板ウェーハ(600)の頂面上に配置されたダイアフラムキャビティ(650)であって、前記基板ウェーハ(600)の前記頂面が、前記第1のデバイス層(100)の頂面に接合されて前記ダイアフラムキャビティ(650)の上にダイアフラム(500)を形成し、前記ダイアフラム(500)が前記第2のデバイス層(200)の一部分を備え、前記突起(550)が前記ダイアフラム(500)から延在するダイアフラムキャビティ(650)と、
前記第2のデバイス層(200)の中に配置されて前記ダイアフラム(500)の撓みを検知する検出素子(850)とを備えるデバイス。
【請求項2】
前記第2のデバイス層(200)の中に配置されて前記検出素子(850)と電気通信する相互接続(825)と、
前記デバイスの外面と前記相互接続(825)の間に電気通信をもたらす金属化層(800)とをさらに備える請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
前記検出素子(850)が圧電抵抗検出素子(850)を備える請求項1記載のデバイス。
【請求項4】
前記基板ウェーハ(600)が両面研磨ウェーハを備える請求項1記載のデバイス。
【請求項5】
前記基板ウェーハ(600)がシリコンオンインシュレータウェーハのデバイス層を備える請求項1記載のデバイス。
【請求項6】
絶対圧を測定する請求項1記載のデバイス。
【請求項7】
前記ダイアフラムキャビティ(650)が前記基板ウェーハ(600)を貫通して延在する請求項1記載のデバイス。
【請求項8】
差圧を測定する請求項7記載のデバイス。
【請求項9】
低圧を測定する請求項1記載のデバイス。
【請求項10】
前記基板ウェーハ(600)の厚さが、前記ダイアフラム(500)に伝達される実装応力を最小化するように選択される請求項1記載のデバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−242398(P2012−242398A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−115672(P2012−115672)
【出願日】平成24年5月21日(2012.5.21)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【Fターム(参考)】