説明

画像処理方法および画像処理装置

【課題】画像処理対象物を吸着した吸着ノズルが画像処理対象物からはみ出した場合であっても、画像処理対象物の傾き及び中心を正確に求めることができるようにする。
【解決手段】画像処理対象物の輪郭エッジ点を取得して、隣り合う輪郭エッジ点を両端とする線分を作成し、作成した線分のうち基準線に対する傾きが所定の角度範囲内にあり、且つ、前記線分のうち隣り合うものの内側端点同士が所定の範囲内にあるものを抽出し、抽出した線分の端点のうち、最も外側に位置する2点を両端とする1つの合成線分を作成し、前記合成線分のうち長さが一定値以上あり、かつ、基準線に対する傾きが所定の角度範囲内にあるものを抽出し、抽出した合成線分のうち、最も外側に位置する2つの合成線分を選択して結合し、1つの結合線分を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理方法および画像処理装置に関し、さらに詳しくは、実質的に矩形を有する電子部品を基板に搭載する電子部品実装機において電子部品の位置を認識する際に好適に用いることができる画像処理方法および画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面実装機により電子部品を基板へ実装するに際しては、吸着ノズルに吸着保持された電子部品を撮像して、その位置を認識し、それに基づいて吸着ノズルの位置を微調整して
、電子部品を基板に搭載する。
【0003】
一方、画像の解像度は、画像を構成する画素の大きさに依存するため、近年小型化してきている電子部品の位置をより正確に把握することは困難になってきている。
【0004】
これに対応する技術としては、例えば特許文献1には、認識対象物の全輪郭線についての傾きデータを各辺ごとのデータ群に分け、所定の関係にある複数辺のデータ群については傾きデータを修正して同一データ群とし、認識対象物のデータ数を増加させて認識対象物の長手方向を検出するようにする技術が記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、画像処理対象物に属する画素の位置データ(座標値)および階調値と、背景の像を構成する画素の位置データおよび階調値とに基づく補間演算により、境界点位置を取得し、隣接する境界点位置を結ぶ線分である多数の境界線分の傾斜角度を求め、それら傾斜角度の分布から画像処理対象物の傾斜角度を決定する技術が記載されている。
【0006】
【特許文献1】特許第3632461号公報
【特許文献2】特許第3620884号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一方、電子部品を吸着している吸着ノズルの一部が電子部品の輪郭からはみ出せば、その吸着ノズルの一部も電子部品の輪郭として検出されてしまい、電子部品の正確な位置が検出できないという問題もある。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、認識対象物のデータ数を増加させることに特徴があり、この問題に十分に対応できない。
【0009】
また、特許文献2には、この問題に対応できる旨の記載があるが、特許文献2に記載の技術は、輪郭線全体の長さの半分を超える部分が互いに直角または平行な直線により構成される画像処理対象物を対象とした技術であり、一定の制限がある。
【0010】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、画像処理対象物を吸着した吸着ノズルが画像処理対象物からはみ出した場合であっても、画像処理対象物の傾き及び中心を正確に求めることができる画像処理方法及び画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意研究した結果、部品の輪郭エッジ点を取得して、隣り合う輪郭エッジ点を両端とする線分を作成し、作成した線分のうち部品の1辺に対応する線分を所定の方法で1つの線分にまとめる処理を施して、直線を算出し、その直線を使用して部品の傾き・中心を求めることにより、前記課題を解決できることを見出し、本発明をするに至った。
【0012】
即ち、本発明に係る画像処理方法は、実質的に矩形を有する画像処理対象物を撮像して得た画像を処理して画像処理対象物の傾き及び中心を算出する方法において、画像処理対象物を撮像して画像データを取得するステップと、取得した画像データから前記画像処理対象物の輪郭エッジ点を取得するステップと、隣接した前記輪郭エッジ点を両端とする線分を取得するステップと、前記線分のうち基準線に対する傾きが所定の角度範囲内にあり、且つ、前記線分のうち隣り合うものの内側端点同士が所定の範囲内にあるものを抽出し、抽出した線分の端点のうち、最も外側に位置する2点を両端とする1つの合成線分を作成するステップと、前記合成線分のうち長さが一定値以上あり、かつ、基準線に対する傾きが所定の角度範囲内にあるものを抽出し、抽出した合成線分のうち、最も外側に位置する2つの合成線分を選択して結合し、1つの結合線分を作成するステップと、前記結合線分のうち、略同一直線上に他の結合線分がないものを部品位置算出用線分とし、略同一直線上に他の結合線分がある場合は、その略同一直線上にある結合線分のうち、最も外側に位置する2つの結合線分を選択して、選択した2つの結合線分を1つの線分にまとめて部品位置算出用線分とするステップと、前記部品位置算出用線分を用いて、前記画像処理対象物の傾き及び中心を算出するステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
前記輪郭エッジ点を取得する際に、前記画像データに対して、オープニング処理、クロージング処理および平滑化フィルタ処理のうち少なくとも1つの処理を行ってから輪郭エッジ点を取得すれば、取得した輪郭エッジ点を両端とする線分の長さが長くなり、その後の各ステップを行いやすくなる。
【0014】
前記結合線分を、前記外側の2つの合成線分の中点同士を結んで作成すれば、端点の位置のばらつきの影響を小さくすることができる。
【0015】
前記画像処理対象物を、両端に電極のある電子部品としてもよい。
【0016】
本発明に係る画像処理装置は、実質的に矩形を有する画像処理対象物を撮像して得た画像を処理して画像処理対象物の傾き及び中心を算出する装置において、画像処理対象物を撮像して画像データを取得する手段と、取得した画像データから前記画像処理対象物の輪郭エッジ点を取得する手段と、隣接した前記輪郭エッジ点を両端とする線分を取得する手段と、前記線分のうち基準線に対する傾きが所定の角度範囲内にあり、且つ、前記線分のうち隣り合うものの内側端点同士が所定の範囲内にあるものを抽出し、抽出した線分の端点のうち、最も外側に位置する2点を両端とする1つの合成線分を作成するする手段と、前記合成線分のうち長さが一定値以上あり、かつ、基準線に対する傾きが所定の角度範囲内にあるものを抽出し、抽出した合成線分のうち、最も外側に位置する2つの合成線分を選択して結合し、1つの結合線分を作成する手段と、前記結合線分のうち、略同一直線上に他の結合線分がないものを部品位置算出用線分とし、略同一直線上に他の結合線分がある場合は、その略同一直線上にある結合線分のうち、最も外側に位置する2つの結合線分を選択して、選択した2つの結合線分を1つの線分にまとめて部品位置算出用線分とする手段と、前記部品位置算出用線分を用いて、前記画像処理対象物の傾き及び中心を算出する手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、画像処理対象物の輪郭エッジ点を取得して、隣り合う輪郭エッジ点を両端とする線分を作成し、作成した線分のうち部品の1辺に対応する線分を所定の方法で1つの線分にまとめる処理を施して、直線を算出し、その直線を使用して画像処理対象物の傾き及び中心を求めるので、吸着ノズルが画像処理対象物をはみ出していても画像処理対象物の傾き及び中心を正確に求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る画像処理装置が適用された電子部品実装装置10の主要部を示す斜視図である。図1に示すように、電子部品実装装置10は、部品搭載ヘッド12と、基板搬送支持部14と、部品供給部16と、部品撮像ユニット18とを有してなる。
【0020】
部品搭載ヘッド12は、ヘッド本体12Aと、吸着ノズル12Bと、基板撮像ユニット12Cとを備えており、また、部品搭載ヘッド12は、XY駆動装置13(図示せず)により水平方向(XY方向)に移動することができる。
【0021】
吸着ノズル12Bは真空発生装置(図示せず)につながれており、電子部品20を吸着して保持することができ、また、昇降装置(図示せず)により上下に移動することができる。さらに、回転装置(図示せず)によりノズルの中心軸を軸として回転することができる。吸着ノズル12Bは部品供給部16から吸着によって電子部品20を取り出し、ノズルの中心軸を軸として回転することにより吸着した部品の姿勢を調整し、吸着の解除により、基板搬送支持部14上に保持された電子回路基板22上の所定に位置に電子部品20を搭載する。
【0022】
基板撮像ユニット12Cは、基板マークを撮像するカメラと基板マークを照らす照明装置を有する。基板マークを撮像して認識することにより、基板搬送支持部14上に保持された電子回路基板22の位置を正確に把握することができる。
【0023】
部品撮像ユニット18は、部品撮像カメラ18Aと照明装置18Bとを備えてなる。吸着ノズル12Bに吸着保持された電子部品20を照明装置18Bが照らし、部品撮像カメラ18Aで撮像する。これにより、吸着ノズル12Bに吸着された電子部品20の位置を正確に把握するためのデータが得られる。
【0024】
次に、部品搭載ヘッド12による電子部品20の吸着および搭載の動作について説明する。部品搭載ヘッド12は、部品供給部16から電子部品20を吸着ノズル12Bにより吸着して取り出した後、水平方向に移動して部品撮像ユニット18上の地点に移動し、吸着ノズル12Bに吸着された電子部品20の撮像を行う。これにより、吸着ノズル12Bに吸着された電子部品20の位置を正確に把握するためのデータが得られる。その後、さらに水平方向に移動して基板搬送支持部14上に保持された電子回路基板22上の地点に移動し、電子回路基板22上の所定の位置で吸着ノズル12Bによる吸着を解除して電子部品20を電子回路基板22の所定の位置に搭載する。
【0025】
図2は、本発明に係る画像処理装置が適用された電子部品実装装置10における画像処理に関連した制御系のブロック図である。
【0026】
部品撮像カメラ18Aにより撮像されて得られた画像データは、画像処理装置30に送られてデータの処理がなされ、処理結果である部品認識位置がメイン制御装置32に送られる。この部品認識位置に基づき、メイン制御装置32は、ヘッド・ノズル駆動部33に指令し、吸着ノズル12Bをノズルの中心軸回りに回転させて部品の姿勢を調整した上で、部品搭載ヘッド12を電子回路基板22(図1参照)上に移動させ、吸着ノズル12Bを下降させて吸着を解除して、電子回路基板22上の所定の位置に電子部品20を搭載する。
【0027】
画像処理装置30は、A/Dコンバータ34と、書き換え可能メモリ36と、CPU38と、部品位置検出プログラム40とを有してなり、書き換え可能メモリ36は、画像記憶部36Aと、電子部品形状データ記憶部36Bとからなり、画像処理装置30は、ユーザーが作成した電子部品形状データ(以下、部品データと記す)と、部品撮像カメラ18Aが撮像して得た画像データとから演算処理し、電子部品20の中心位置および傾きを算出する。
【0028】
次に、画像処理装置30の動作について説明する。画像処理装置30は、電子部品実装装置10のメイン制御装置32から、ユーザーが作成した部品データをあらかじめ受け取り、電子部品形状データ記憶部36Bに記憶する。画像処理装置30のCPU38は、部品撮像カメラ18A及び照明装置18Bに指令を発し、電子部品20を撮像させ、得られた画像データを画像処理装置30に入力させる。画像処理装置30は、入力された画像データをA/Dコンバータ34で、アナログ信号からデジタル信号に変換し、変換後の画像データを画像記憶部36Aに記憶する。そして、画像処理装置30のCPU38は、部品位置検出プログラム40により、電子部品形状データ記憶部36Bに記憶された部品データ、及び画像記憶部36Aに記憶された変換後の画像データに基づき演算処理を行い、電子部品20の中心位置および傾きを算出する。算出結果はメイン制御装置32に入力され、この算出結果に基づき、ヘッド・ノズル駆動部33に指令を発し、吸着ノズル12Bに吸着された電子部品20の姿勢を調整して、電子回路基板22上の所定の位置に電子部品20を搭載する。
【0029】
次に、部品位置検出プログラム40による演算処理の流れを、図3に示すフローチャートで説明する。
【0030】
画像記憶部36Aに記憶された画像データ、及び電子部品形状データ記憶部36Bに記憶された部品データを読み出して取得し(ステップS1)、画像データに対して2値化処理を実行する(ステップS2、S3)。2値化処理は、2値化閾値を取得するステップS2と、画像データの2値化を実行するステップS3とからなる。
【0031】
2値化処理された画像データに対して、オープニング処理(ステップS4)とクロージング処理(ステップS5)を施し、輪郭エッジ点を滑らかにする。この輪郭エッジ点を滑らかにする処理については、平均フィルタ、メディアンフィルタなどを用いて処理を行ってもよい。
【0032】
次に、画像全体をサーチして、画像の塊ごとに番号付けをするラベリング処理と、塊の輪郭エッジ点を取得する処理(ステップS6)を実行する。そして、ラベリング処理された塊のうち、電子部品形状データ記憶部36Bから読み出して取得された部品データと同等の大きさのものを、対象である電子部品と判断する。なお、チップ部品の場合、電極である端子部分が複数あって、図4に示すように塊が複数得られるものがあるが、この場合は、一定以上の大きさの塊を、対象とする1つの電子部品を構成している部分と判断する。ここで、この一定以上の大きさの設定が小さすぎるとノイズが多く混入し、逆に大きさの設定が大きすぎると端子部分を対象とする電子部品の一部であると認識できなくなる。対象とする電子部品に応じて適切に設定することが必要である。一定以上の大きさの塊としては、例えば、対象とする電子部品面積の1/5以上の面積を有するものを設定することができる。
【0033】
対象とする電子部品または対象とする電子部品の一部と判断された塊について、その塊ごとにその塊を含む矩形範囲を設定し、その矩形範囲にサーチエリアを設定する(ステップS7)。サーチエリアは、図5に示すように、設定した矩形範囲の上半分を含む領域を上辺サーチエリアとして設定し、下半分を含む領域を下辺サーチエリアとして設定し、左半分を含む領域を左辺サーチエリアとして設定し、右半分を含む領域を右辺サーチエリアとして設定する。
【0034】
次に、各サーチエリアごとに、隣り合う輪郭エッジ点を両端とする線分に変換する(ステップS8)。そして、得られた複数の線分を1つの線分に合成して合成線分を得る処理を行い(ステップS9)、得られた合成線分を各辺ごとに1つの線分に結合して、結合線分を得る処理を行う(ステップS10)。
【0035】
ステップS9及びS10を、図6に示すフローチャートを用いて詳細に説明する。まず、ステップS8で得られた複数の線分のうち、所定の長さ(例えば、対応する電子部品の辺の長さの1/2の長さ)以上の線分があるかどうかを判断し(ステップS9A)、所定の長さ以上の線分があればその線分を結合線分とする(ステップS9B)。所定の長さ以上の線分がなければ複数の線分を合成して合成線分とする処理を行う。
【0036】
複数の線分を1つの合成線分に合成する際には、前記複数の線分のうち基準線に対する傾きが所定の角度範囲内にあり、且つ、前記複数の線分のうち隣り合うものの内側端点同士が所定の範囲内にあるものを抽出し(ステップS9C)、抽出した線分の端点のうち、最も外側に位置する2点を抽出し(ステップS9D)、抽出した2点を両端とする1つの合成線分を作成する(ステップS9E)。複数の線分を1つの合成線分に合成する際の前後の状態を模式的に示すと、図7に示すようになる。図7中の黒丸は線分の端点となっている輪郭エッジ点を表し、白丸は線分の端点となっていない輪郭エッジ点を表す(以降の図でも図13を除いて同様)。この合成処理を、上辺サーチエリア内の線分を合成する場合を例として、図8を用いて詳細に説明すると、上辺サーチエリア内にある線分のうち、基準線(画像の横方向をX軸、縦方向をY軸とすれば、上辺サーチエリア内にある線分に対する処理の場合はX軸が基準線となる)に対する傾きが所定の角度範囲内(例えば20°以内)にあり、且つ、隣り合う線分の内側端点同士が1画素以内(画素同士が隣り合っていればよく、上下左右で接する場合(図8(A))だけでなく、斜めで接している場合(図8(B))も含む)の線分について最も外側に位置する2点を両端とする合成線分にまとめる。
【0037】
次に得られた合成線分の長さが所定の長さ(例えば、対応する電子部品の辺の長さの1/2の長さ)以上あるかどうかを判断し(ステップS10A)、所定の長さ以上の合成線分があればその合成線分を結合線分とする(ステップS10B)。所定の長さ以上の合成線分がなければ、各辺で合成線分を1つの線分に結合して、結合線分とする処理を行う。
【0038】
複数の合成線分を1つの結合線分に結合する際には、例えば図9に示すように、前記複数の合成線分を構成する端点のうち、塊の各辺ごとに最も外側に位置する2端点を両端とする1つの結合線分にまとめればよい(図9の上辺、左辺、右辺)。図9の下辺は、右側の合成線分の長さが、対応する電子部品の辺の長さの1/2の長さ以上あるので、該合成線分をそのまま結合線分としている(ステップS10B)。
【0039】
この結合処理を、上辺サーチエリア内の合成線分を結合する場合を例として、詳細に説明すると、上辺サーチエリア内にある合成線分のうち、基準線(画像の横方向をX軸、縦方向をY軸とすれば、上辺サーチエリア内にある線分に対する処理の場合はX軸が基準線となる)に対する傾きが所定の角度範囲内(例えば20°以内)にあり、且つ、所定の長さ(例えば、対象とする塊の上辺の長さの1/5の長さ)以上の合成線分を抽出し(ステップ10C、図10(A)参照))、抽出したものの中から最も外側に位置する2つの合成線分を選択する(ステップ10D、図10(B)参照)。そして、選択した2つの合成線分を1つの結合線分に結合する(ステップ10E)。ステップ10Eで2つの合成線分を1つの結合線分に結合する際には、選択した2つの合成線分の両外端点を端点とする新たな1線分に結合して結合線分にするか(図10(C)参照)、あるいは選択した2つの合成線分の中点同士を端点とする新たな1線分に結合して結合線分にする(図10(D)参照)。上辺サーチエリア内の合成線分を結合する場合を取り上げて説明したが、ステップ10C〜10Eは、下辺サーチエリア、左辺サーチエリア、右辺サーチエリア内の合成線分を結合する場合であっても同様である。なお、選択した2つの合成線分の中点同士を端点とする新たな1線分に結合して結合線分にしたほうが、端点の位置のばらつきの影響が小さくなる。
【0040】
以上説明したステップS9(ステップS9A、S9B、S9C)、ステップS10(ステップS10A、S10B、S10C、S10D、S10E)の処理を、上辺、下辺、左辺、右辺の各サーチエリアについて終了するまで行う(ステップS11)。
【0041】
さらに、ステップS9〜S11の処理を、全ての塊について終了するまで行う(ステップS12)。
【0042】
次に、塊が複数であるかどうかを判断し(ステップS13)、塊が単数であれば、その1つの塊が対象とする電子部品に対応するので、塊の辺ごとの結合線分をそのまま部品位置算出用線分とする(ステップS14)。塊が複数であれば、対象とする電子部品の辺ごとに複数の結合線分をさらに結合して1線分にまとめ、部品位置算出用線分とする(ステップS15)。
【0043】
ステップS15で複数の結合線分を1つの部品位置算出用線分に結合する際には、まず対象とする電子部品の各辺に対応する結合線分を抽出する。この抽出の際には、略同一直線上にある結合線分をまとめて抽出すれば、対象とする電子部品の各辺に対応する結合線分を抽出することができる。そして、各辺ごとに対応して抽出された結合線分を構成する端点のうち、最も外側に位置する2端点を両端とする1つの結合線分にまとめればよい。対象とする電子部品の上辺に対応する結合線分を1つの部品位置算出用線分にまとめる場合を例として取り上げ、詳細に説明すると、対象とする電子部品の上辺に対応する結合線分のうち、基準線(画像の横方向をX軸、縦方向をY軸とすれば、対象とする電子部品の上辺に対応する結合線分に対する処理の場合はX軸が基準線となる)に対する傾きが所定の角度範囲内(例えば20°以内)にある結合線分を抽出し(図10(A)と同様)、それらのうち最も外側に位置する2つの結合線分を選択する(図10(B)と同様)。そして、選択した2つの結合線分の両外端点を端点とする新たな1線分にまとめて部品位置算出用線分にするか(図11(A)参照)、あるいは選択した2つの結合線分の中点同士を端点とする新たな1線分にまとめて部品位置算出用線分にする(図11(B)参照)。
【0044】
対象とする電子部品の各辺で1つの部品位置算出用線分が算出されたら、4つの部品位置算出用線分を直線の方程式で表示し(ステップS16(図3参照))、対象とする電子部品の中心および傾きを求める(ステップS17(図3参照))。あるいは、図12に示すように、4つの部品位置算出用線分を直線の方程式で表示した後(ステップS18)、その直線の方程式で表される直線の近傍(例えば、直線から1画素以内)の輪郭エッジ点を抽出し(ステップS19)、抽出した輪郭エッジ点に対して最小自乗直線を算出して(ステップS20)、対象とする電子部品の各辺に対応する4つの最小自乗直線から対象とする電子部品の中心および傾きを求めてもよい(ステップS21)。ここで、部品位置算出用線分から算出した直線の近傍にない輪郭エッジ点で、一定の範囲に連続して集まっている輪郭エッジ点は、ノズル部と判断できる(図13参照)。図13(A)では、ステップS6(図3参照)で取得された輪郭エッジ点を黒丸で表し、図13(B)では、部品位置算出用線分から算出した直線の近傍にある輪郭エッジ点を白丸で表し、近傍にない輪郭エッジ点(ノズル上の輪郭エッジ点)を黒丸で表している。
【0045】
以上説明したように、本発明は、得られた画像における塊が単数でも複数でも対応できるので(図3のステップS13〜S15)、電子部品の電極の数にかかわらず対応することができる。
【0046】
また、本発明における画像処理の対象は電子部品に限られず、実質的に矩形を有するものであれば適用できる。さらに、本発明の適用対象は部品実装機に限られず、画像処理により実質的に矩形を有する撮像対象物の傾き及び中心を正確に求める必要のある用途であれば適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る画像処理装置が適用される電子部品実装装置の主要部を示す斜視図
【図2】前記電子部品実装装置における画像処理に関連した制御系のブロック図
【図3】前記制御系における部品位置検出プログラムによる演算処理の流れを示すフローチャート
【図4】本発明に係る画像処理装置により撮像された、電極である端子部分が複数あるチップ部品の画像を示す図
【図5】前記画像処理装置により撮像された画像において、塊を含む矩形範囲に設定されたサーチエリアを示す図
【図6】図3の一部のステップを詳細に示すフローチャート
【図7】図3の一部のステップで、複数の線分を1つの合成線分に合成する際の前後の状態を模式的に示す図
【図8】図3の一部のステップで、上辺サーチエリア内の線分を合成する場合の合成処理の1例を模式的に示す図
【図9】図3の一部のステップで、複数の合成線分を1つの結合線分に結合する際の前後の状態を模式的に示す図
【図10】図3の一部のステップで、上辺サーチエリア内の合成線分を結合する場合の結合処理の1例を模式的に示す図
【図11】図3の一部のステップで、塊が複数ある場合に、上辺サーチエリア内の結合線分をまとめて部品位置算出用線分とする処理の1例を模式的に示す図
【図12】図3の一部のステップで、部品位置算出用線分を算出した後、対象とする電子部品の中心および傾きを求める処理の1例を模式的に示すフローチャート
【図13】図3の一部のステップで部品位置算出用線分から直線を算出した後の、ノズル上の輪郭エッジ点を示す図
【符号の説明】
【0048】
10…電子部品実装装置
12…部品搭載ヘッド
12A…ヘッド本体
12B…吸着ノズル
12C…基板撮像ユニット
14…基板搬送支持部
16…部品供給部
18…部品撮像ユニット
18A…部品撮像カメラ
18B…照明装置
20…電子部品
22…電子回路基板
30…画像処理装置
32…メイン制御装置
32A…CPU
32B…照明コントローラ
33…ヘッド・ノズル駆動部
34…ADコンバータ
36…書き換え可能メモリ
36A…画像記憶部
36B…電子部品形状データ記憶部
38…CPU
40…部品位置検出プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実質的に矩形を有する画像処理対象物を撮像して得た画像を処理して画像処理対象物の傾き及び中心を算出する方法において、
画像処理対象物を撮像して画像データを取得するステップと、
取得した画像データから前記画像処理対象物の輪郭エッジ点を取得するステップと、
隣接した前記輪郭エッジ点を両端とする線分を取得するステップと、
前記線分のうち基準線に対する傾きが所定の角度範囲内にあり、且つ、前記線分のうち隣り合うものの内側端点同士が所定の範囲内にあるものを抽出し、抽出した線分の端点のうち、最も外側に位置する2点を両端とする1つの合成線分を作成するステップと、
前記合成線分のうち長さが一定値以上あり、かつ、基準線に対する傾きが所定の角度範囲内にあるものを抽出し、抽出した合成線分のうち、最も外側に位置する2つの合成線分を選択して結合し、1つの結合線分を作成するステップと、
前記結合線分のうち、略同一直線上に他の結合線分がないものを部品位置算出用線分とし、略同一直線上に他の結合線分がある場合は、その略同一直線上にある結合線分のうち、最も外側に位置する2つの結合線分を選択して、選択した2つの結合線分を1つの線分にまとめて部品位置算出用線分とするステップと、
前記部品位置算出用線分を用いて、前記画像処理対象物の傾き及び中心を算出するステップと、
を有することを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記輪郭エッジ点を取得する際に、前記画像データに対して、オープニング処理、クロージング処理および平滑化フィルタ処理のうち少なくとも1つの処理を行ってから輪郭エッジ点を取得することを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記結合線分を、前記外側の2つの合成線分の中点同士を結んで作成することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記画像処理対象物を、両端に電極のある電子部品とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像処理方法。
【請求項5】
実質的に矩形を有する画像処理対象物を撮像して得た画像を処理して画像処理対象物の傾き及び中心を算出する装置において、
画像処理対象物を撮像して画像データを取得する手段と、
取得した画像データから前記画像処理対象物の輪郭エッジ点を取得する手段と、
隣接した前記輪郭エッジ点を両端とする線分を取得する手段と、
前記線分のうち基準線に対する傾きが所定の角度範囲内にあり、且つ、前記線分のうち隣り合うものの内側端点同士が所定の範囲内にあるものを抽出し、抽出した線分の端点のうち、最も外側に位置する2点を両端とする1つの合成線分を作成するする手段と、
前記合成線分のうち長さが一定値以上あり、かつ、基準線に対する傾きが所定の角度範囲内にあるものを抽出し、抽出した合成線分のうち、最も外側に位置する2つの合成線分を選択して結合し、1つの結合線分を作成する手段と、
前記結合線分のうち、略同一直線上に他の結合線分がないものを部品位置算出用線分とし、略同一直線上に他の結合線分がある場合は、その略同一直線上にある結合線分のうち、最も外側に位置する2つの結合線分を選択して、選択した2つの結合線分を1つの線分にまとめて部品位置算出用線分とする手段と、
前記部品位置算出用線分を用いて、前記画像処理対象物の傾き及び中心を算出する手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−151606(P2008−151606A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−339009(P2006−339009)
【出願日】平成18年12月15日(2006.12.15)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】