説明

画像形成装置、現像器の制御方法

【課題】 現像剤のストレス状態に応じた画像形成を可能とし、画質ディフェクトの発生を抑制する。
【解決手段】 現像器によって潜像を現像することで画像を形成する画像形成装置であって、ジョブイメージの潜像書き込みに際してジョブイメージの画像情報を画像情報採取部51で採取し、色情報分解部52で色別に分解する。そして、画像判定部53にて、分解された色別画像情報を画像密度に関して予め設定されている閾値と比較し、比較結果を用いて現像器の駆動条件を現像器駆動条件決定部54で決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等に用いられる画像形成装置に係り、より詳しくは、例えば形成された静電潜像を現像器によって可視像化する画像形成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電子写真方式を利用したプリンタや複写機等の画像形成装置では、画像形成部にて、ドラムまたはベルト形状の有機感光体等からなる像担持体の表面に公知の電子写真プロセスにより静電潜像を形成した後、現像器を用いてその静電潜像を現像してトナー像を形成している。次いでこのトナー像を直接または中間転写体を介して用紙に転写した後、例えば定着器によりトナー像を用紙に加熱定着させることにより画像形成が行われる。
【0003】
一方、近年、画像形成装置における高画質化が促進されると共に、プリント出力の更なる高画質化が進んでいる。特に、オンデマンド型のプリントにおいては、様々な画像イメージが混在するジョブを高速で出力することが必要となる。そのために、画像形成装置の画像形成部、特に現像器では、作像可能な状態を常に維持することが余儀なくされる。中でも、画像密度の少ないイメージに対して現像器が連続的に駆動し続ける場合には、長時間に亘って滞留したトナーが必要以上に磁性キャリアと撹拌され、予め表面に外添された物質に変化が生じ、転写不良やカブリといった画質不良が生じてしまう。かかる問題に対応するために、低解像度イメージのジョブが連続した場合に、インターイメージ(画像と画像との間、画像が形成されない部分)中にトナー吐き出しパッチを作像し、現像剤の劣化を抑制する技術について、出願人は先に提案している(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−206744号公報(第4−5頁、図3、図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、画像密度の少ないイメージに対して現像器が連続的に駆動し続ける場合には、トナーの入れ替わりが少なくなって現像剤の劣化が生じ易くなり、トナー同士の凝集物を生成し易くなる。特に、近年、画質の粒状性を向上させるためにトナーの粒径が小さくなる傾向があり、径が6μmのものや、更に径の小さな4〜5μmといった小粒径のトナーの採用も検討されている。このような小粒径のトナーでは、大粒径のトナーに比べて近接するトナー間の隙間が小さく、トナーが凝固する傾向が著しく高くなる。そして、トナーが凝集してダンゴ状の固まりになると、トナーが現像されて記録紙に転写、定着されたプリント画像に、白抜けのディフェクトが生じる。このような白抜けのディフェクトは、特に高画質が要求される例えば写真画像のプリント出力などにおいては大きな問題となる。
【0006】
ここで、上記特許文献1にて出願人が提示した技術によっても一定以上の成果は得られる。しかしながら、生産性の向上に対する要求が強まるに従い、インターイメージの範囲がとみに狭まり、このインターイメージ中に作成されるパッチの作像面積を大きくとることが難しくなっている。その結果、このインターイメージ中のパッチだけではトナーの強制排出を十分に行えない場合も生じる。また、特許文献1に記載した技術を応用し、転写ベルト上にトナーパッチ像を形成した場合には、この転写ベルトに対するクリーニング性の限界から、吐き出し像濃度に上限を設けることが必要となる場合がある。かかる場合には、現像中のトナー凝集体を吐き出す機能が不十分となることも予想され、更なる技術の検討が要求されている。
【0007】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、画像情報に応じて現像剤へのストレスを軽減することにある。
また他の目的は、現像剤へのストレスを低減した場合であっても、画質を維持したプリント出力を可能にすることにある。
更に他の目的は、カラーの各色毎に現像器の駆動条件および/または作像条件を制御することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的のもと、本発明は、現像器によって潜像を現像することで画像を形成する画像形成装置であって、ジョブイメージの潜像書き込みに際してジョブイメージの画像情報を分解手段により色別に分解し、この分解手段により色別に分解された色別画像情報を画像密度に関して予め設定されている閾値と比較手段により比較する。そして、この比較手段による比較結果を用いて現像器の駆動条件を駆動条件決定手段にて決定している。
【0009】
ここで、この閾値は、主走査方向および/または副走査方向における連続画素に関する値であり、この駆動条件決定手段は、分解される色別にて、比較手段により色別画像情報が閾値より下回っていると判断される場合に現像器を構成する駆動部材の速度を低減させることを特徴としている。この駆動部材としては、現像ロールの他、現像器内部の撹拌部材などがある。
【0010】
また、この比較手段による比較結果を用いて現像器による作像条件を設定する作像条件設定手段を更に備えたことを特徴とすれば、駆動部材の速度を落としたことによるパッチ濃度や線濃度の低下を軽減することが可能となる。このとき、閾値は、主走査方向および副走査方向にて構成される連続画素の面積に関する値であることを特徴とすることができる。更に、この作像条件設定手段は、現像バイアスのDC成分および/または現像バイアスのAC成分に関する作像条件を設定することを特徴とすることができる。
【0011】
一方、本発明は、画像形成装置に用いられる現像器の制御方法であって、ジョブイメージの潜像書き込みに際してジョブイメージの画像情報を採取し、採取した画像情報を色別に分解し、色別に分解された色別画像情報を、画像密度に関して予め設定されメモリに格納されている閾値と色別に比較し、比較結果に基づいて、現像器を構成する駆動部材の駆動速度を色別に制御することを特徴としている。
【0012】
ここで、この色別画像情報が閾値を下回る場合に、駆動部材の駆動速度を低減させるように制御することを特徴とすれば、現像剤へのストレスを軽減することができる点で好ましい。また、この比較結果に基づいて、現像器による作像条件を更に制御することを特徴とすれば、画質の維持が図れる点で優れている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の画像形成装置によれば、現像剤のストレス状態に応じた画像形成が可能となり、画質ディフェクトの発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照し、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は本実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示した図であり、所謂タンデム型のデジタルカラープリンタを示している。図1に示す画像形成装置は、本体1に、各色の階調データに対応して画像形成を行う画像プロセス系10、記録用紙(シート)を搬送するシート搬送系40、画像形成装置の全体を制御する制御部50を備えている。また、例えばPC(パーソナルコンピュータ)や画像読み取り装置(IIT)等に接続され、受信されたジョブイメージである画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理系であるIPS(Image Processing System)70を備えている。
【0015】
画像プロセス系10は、水平方向に一定の間隔を置いて並列的に配置される、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kを備えている。また、この画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの感光体ドラム12に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト21上に多重転写させる転写ユニット20、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kに対してレーザ光を照射する光学系ユニットであるROS(Raster Output Scanner)30を備えている。また本体1には、転写ユニット20によって二次転写された記録用紙(シート)上の画像を、熱および圧力を用いて記録用紙に定着させる定着器29を備えている。更に、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kに対して各色のトナーを供給するためのトナーカートリッジ19Y,19M,19C,19Kが設けられている。
【0016】
転写ユニット20は、中間転写ベルト21を駆動するドライブロール22、中間転写ベルト21に一定のテンションを付与するテンションロール23、重畳された各色のトナー像を記録用紙に二次転写するためのバックアップロール24、中間転写ベルト21上に存在する残留トナーを除去するクリーニング装置25を備えている。中間転写ベルト21は、このドライブロール22とテンションロール23およびバックアップロール24との間に一定のテンションで掛け回されており、回転駆動されるドライブロール22により、矢印方向に所定の速度で循環駆動される。クリーニング装置25は、クリーニングブラシ25aおよびクリーニングブレード25bを備えている。
【0017】
ROS30は、図示しない半導体レーザ、変調器の他、半導体レーザから出射されたレーザ光(LB-Y,LB-M,LB-C,LB-K)を偏向走査するポリゴンミラー31を備えている。そして、各構成部材を密閉するための直方体状のフレーム32を設け、また、レーザ光(LB-Y,LB-M,LB-C,LB-K)が通過するガラス製のウィンドウ33をこのフレーム32の上方に設けて、シールド効果を高めるように構成されている。
【0018】
シート搬送系40は、記録用紙を積載して供給する給紙装置41、給紙装置41から記録用紙を取り上げて供給するナジャーロール42、供給された記録用紙を1枚ずつ分離して搬送するフィードロール43、1枚ずつに分離された記録用紙を画像転写部に向けて搬送する搬送路44を備えている。また、搬送された記録用紙を、二次転写位置に向けてタイミングを合わせて搬送するレジストロール45、二次転写位置に設けられバックアップロール24に圧接して記録用紙上に画像を二次転写する二次転写ロール46を備えている。更に、定着器29によってトナー画像が定着された記録用紙を本体1の機外に排出する排出ロール47、排出された記録紙を積載する排出トレイ48を有する。また、定着器29によって定着された記録用紙を反転させて両面記録を可能とする両面用搬送ユニット49を備えている。
【0019】
次に、画像プロセス系10における画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kについて詳述する。
図2は、画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kの構成を説明するための図であり、ここでは、イエロー(Y)の画像形成ユニット11Yとマゼンタ(M)の画像形成ユニット11Mとが示されている。他の画像形成ユニット11C,11Kもほぼ同様に構成されている。画像形成ユニット11Y,11M,11C,11Kは、トナー像を担持させる像担持体としての感光体ドラム12(12Y,12M,12C,12K)、感光体ドラム12を帯電させる帯電器13(13Y,13M,13C,13K)、帯電器13によって帯電され、ROS30からのレーザ光(LB-Y,LB-M,LB-C,LB-K)によって感光体ドラム12上に形成された静電潜像を現像ロール14aによって現像する現像器14(14Y,14M,14C,14K)、中間転写ベルト21を挟んで感光体ドラム12に対向して設けられ、感光体ドラム12上に現像されたトナー像を中間転写ベルト21上に転写する一次転写ロール15(15Y,15M,15C,15K)、転写後に感光体ドラム12上に残った残留トナーを除去するクリーニング装置16(16Y,16M,16C,16K)を備えている。現像器14には、駆動部材として、現像ロール14aの他に、撹拌部材などを備えている。
【0020】
次に、これらの構成を備えた画像形成装置の作用について説明する。図示しない原稿読み取り装置(IIT)やPC等にて形成された色材画像データは、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)の各8ビットの反射率データとしてIPS70に入力される。IPS70では、入力された反射率データに対して、各種画像処理が施される。画像処理が施された画像データは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4色の色材階調データに変換され、制御部50を介してROS30に出力される。ROS30では、入力された色材階調データに応じて感光体ドラム12を露光し、感光体ドラム12に静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、各々の現像器14(14Y,14M,14C,14K)により、各色のトナーを用いて現像される。形成されたトナー像は、中間転写体である中間転写ベルト21上に多重転写され、シート搬送系40を介して搬送される記録用紙上に二次転写される。その後、定着器29によって定着されて排出される。
【0021】
次に、本実施の形態が適用される制御部50について説明する。
図3は、制御部50の構成を示した説明図である。図3は、カラーのトナー像を現像する現像器14(14Y,14M,14C)の制御構成を示している。制御部50は、IPS70から作像画像の画像情報を採取する画像情報採取部51と、採取された画像情報をY、M、C、Kの画像情報に分解して、Y、M、Cの色情報を取得する色情報分解部52とを備えている。また、色情報分解部52により分解された色情報に基づいて制御を行う構成として、画像判定部53、現像器駆動条件決定部54、作像条件設定部55を色毎に備えている。具体的には、Y色の画像密度を判定するY色画像判定部53Y、判定された画像密度によって例えば現像ロール14aの速度などの現像器駆動条件を決定するY色現像器駆動条件決定部54Y、判定された画像密度によってDCバイアスやACバイアスなどの作像条件を設定するY色作像条件設定部55Yを備えており、Y色現像器駆動条件決定部54YおよびY色作像条件設定部55YからY色現像器14Yの制御信号が出力される。同様に、M色の処理として、M色画像判定部53M、M色現像器駆動条件決定部54M、M色作像条件設定部55Mを備え、M色現像器14Mに制御信号が出力される。また同様に、C色の処理として、C色画像判定部53C、C色現像器駆動条件決定部54C、およびC色作像条件設定部55Cを備え、C色現像器14Cに制御信号が出力される。
【0022】
本実施の形態では、この図3に示すような制御部50の制御によって、カラーのトナー像を現像する現像器14(14Y,14M,14C)の内部に含まれる現像剤へのストレスを軽減しながら、出力画像の画質を良好に保つことを目的としている。即ち、現像器14が連続して駆動し続ける際の現像剤へのストレスを把握する指標として、ジョブイメージの画像情報を事前に検出する。そして、例えば、細線画像や限られた小面積画像などのイメージパネルからなる画像情報に対しては、現像器14の駆動スピードを落とす(減速する)ことで、現像剤へのストレスを大幅に軽減するように構成した。また、現像器14の駆動スピードの低減は、細線画像や限られた小面積画像などに限定されることで、画質への影響を最小限に留め、出力画像の画質を良好に保つことが可能となる。
【0023】
ここで、現像剤に対するストレスと凝集との関係について説明する。
例えば、トナーとキャリアとが別々に存在する所謂二成分現像剤にて、現在、用いられているトナーの粒径は、黒(K)で7〜8μm、カラー(Y、M、C)のトナーでは6μm程度のものが多い。トナーの粒径は画質の粒状性に対する影響が大きいことから、例えば写真画像などを銀塩写真並みの画質まで高める意味で、近年、特にトナーの粒径は小さくなる傾向が強くなっている。例えば4〜5μm程度の粒径も検討されている。その一方で、トナーの粒径が小さくなると、近接するトナーの隙間が狭くなり、トナーが密となって、トナー間に存在する空気の量が少なくなり、近接するトナー同士が凝集され易くなる。トナーの粒径の大きな黒(K)では凝集はほとんど見られないが、トナーの粒径の小さなカラー(Y、M、C)のトナーでは凝集が生じ易い。
【0024】
また、例えば、名刺に会社のロゴが小さくカラー印刷されるような場合では、トナーの消費量が非常に小さいにも係わらず、カラー用の現像器14(14Y,14M,14C)が連続駆動する。そのために、現像器14のトナーがその内部留まったまま何度も撹拌され、トナーの表面に予め外添されている離型材に変化が生じ易くなることで、凝集の進行を促す結果となる。例えば、このようなカラー部分が低濃度の画像を一定量、プリントアウトした後に、フルカラー画像をプリントアウトした場合には、プリント画像にトナー凝集体の発生に起因する白抜けが生じ易い。このような白抜け画像は、例えば写真画像などの高画質化が要求されるプリント出力では非常に大きな問題となる。
【0025】
図4は、現像器14の駆動速度とトナー凝集体の生成量との関係を示した説明図である。図4の横軸は像担持体である感光体ドラム12との速度比(現像ロール14aの速度÷感光体ドラム12の速度)を示し、縦軸はトナー凝集体の個数が示されている。尚、現像ロール14aの速度が減少することに伴い、現像器14内部に設けられる撹拌部材などの各種駆動要素の速度も同様に減少する。但し、現像ロール14aの速度と撹拌部材の速度とが別々に制御可能であれば、撹拌部材だけの速度を低減させることも有効である。縦軸に示すトナー凝集体の個数は、現像器14の内部に総重量800gの現像剤を投入し、プリント出力される画像として、A3サイズの画像の画像全体に対してカラーの割合が1%の条件下にて、5000枚をプリント出力した後に計数されたものである。このような同一ストレス条件下で、感光体ドラム12との速度比が通常条件に近い1.8の場合、速度比が通常条件よりも若干低い1.5の場合、速度比が通常条件よりも低い1.2の場合について、それぞれトナー凝集体の個数を測定した。感光体ドラム12と現像器14との関係では、一般に、現像ロール14aの速度(周速)は感光体ドラム12の速度(周速)よりも速くなるように設計されている。これは、例えば同速度とした場合には、感光体ドラム12を線で現像することとなり、現像ムラが大きくなるためである。この速度比が1.8の場合には、トナー凝集体の個数が100個を超える数だけカウントされた。また、速度比が1.5の場合には、トナー凝集体の個数が75個程度だけカウントされた。更に、速度比を1.2程度まで落とした場合には、トナー凝集体の個数が60個程度までに落ち、通常条件時に比べて半数(1/2)程度までトナー凝集体の数が減少することが実験により確かめられた。
そこで、本実施の形態では、プリント出力される画像の画像密度に合わせて現像器14の駆動条件を変化させることで、トナー凝集体の数を減らし、プリント出力時の画質ディフェクトの発生を抑制している。
【0026】
図5は、図3に示す制御部50にて実行される処理を示したフローチャートである。まず制御部50の画像情報採取部51は、作像されるジョブイメージの画像情報をIPS70から採取する(ステップ101)。そして、色情報分解部52は、採取された画像情報をY、M、C、Kの画像情報に分解して、各色の画像情報を取得する(ステップ102)。分解された画像情報は、各色に対応して、Y色画像判定部53Y、M色画像判定部53M、およびC色画像判定部53Cに出力される。例えばY色を例とすると、Y色画像判定部53Yでは、予めメモリ(図示せず)に格納されている閾値M(ピクセル:画素)に基づいて、Y色について主走査方向にMピクセル以上の連続画素があるか否かが判断される(ステップ103)。連続画素がある場合には、トナーの消費量がある一定量以上はあることから、Y色作像条件設定部55Yにて通常の作像条件による現像が実行される(ステップ104)。連続画素がない場合には、予めメモリ(図示せず)に格納されている閾値N(ピクセル)に基づいて、副走査方向にNピクセル以上の連続画素があるか否かが判断される(ステップ105)。ここで、副走査方向に連続画素がある場合には、トナーの消費量がある一定量以上はあるものとして、Y色作像条件設定部55Yにて通常の作像条件による現像が実行される(ステップ104)。連続画素がない場合には、トナーの凝集を防ぐために、Y色現像器駆動条件決定部54Yにて現像ロールの速度を下げる処理が実行される(ステップ106)。
【0027】
ここで、現像器14の各制御パラメータと濃度との関係について説明する。
図6は、現像器14の駆動速度を変更したことによる面・線密度への影響と、補完パラメータの変更による面・線密度への影響とを示した図である。図6の横軸には、現像器14の駆動条件であるロール速度の遅い状態(遅)、中間の状態(中)、速い状態(速)の他、現像器14の各種制御パラメータにおける値の低い状態(低)、中間の状態(中)、値の高い状態(高)が示されている。各種パラメータとしては、DCバイアスの他、ACバイアスとして電圧のピークtoピーク(Vpp)、周波数(Freq)、オンとオフとの比であるデューティが示されている。縦軸には、パッチ濃度と線密度とについて、その変化の割合例が定性的に示されている。図5のステップ106のように、トナーの凝集を防ぐためにロール速度を下げた場合には、この図6に示すようにパッチ濃度や線密度が低下する。そこで、この図6に示すように、ロール速度を下げた場合には、他の各種制御パラメータ(DCバイアス/Vpp/Freq/デューティなど)を調整することで、低下した部分の濃度を上げ、画質を維持することが好ましい。
【0028】
そこで、図5のステップ106にて現像ロールの速度を下げる制御と共に、制御部50のY色画像判定部53Yでは、主走査方向および副走査方向に、予めメモリ(図示せず)に格納された閾値Xピクセルから、このXピクセル以上の連続画像があるか否かが判断される(ステップ107)。連続画素がある場合には、Y色作像条件設定部55Yにて、後述する小面積用パラメータの設定を追加する(ステップ108)。連続画素がない場合には、Y色作像条件設定部55Yにて、後述する線画像用パラメータの設定が追加される(ステップ109)。
以上のような処理は、Y色の他、M色、C色についても同様に実行される。
【0029】
図7(a)〜(c)は、ステップ103、ステップ105、およびステップ107にて判別される画像情報の閾値判断例と、パラメータ設定例を示している。図7(a)は上述したメモリ(図示せず)に格納される閾値M、N、Xの例を示している。また、図7(b)はステップ109に示した線画像用パラメータ設定例を示し、図7(c)はステップ108に示した小面積用パラメータの設定例を示している。
図7(a)には、制御部50に設けられる例えばROMやDRAM等のメモリに、主走査方向に連続する画素(ドット数)として閾値Mに8、副走査方向に連続する画素(ドット数)として閾値Nに8、面積として連続する画素数Xとして10が格納されている。
【0030】
図7(b)に示す例では、主走査方向に連続する画素数は最大5ドット、副走査方向に連続する画素数は最大5ドットであり、連続面積は存在していない。そこで、判別結果は『細線画像パラメータ』となる。閾値Mおよび閾値Nを下回っていることから、現像ロール14aは減速される。また、『細線画像パラメータ』を採用し、図6に示したVppとして0.7kVが選定されている。
一方、図7(c)に示す例では、主走査方向に連続する画素数は最大3ドット、副走査方向に連続する画素数は最大4ドットであり、連続面積は12である。そこで、判別結果は『小面積画像パラメータ』となる。閾値Mおよび閾値Nを下回っていることから、現像ロール14aは減速される。また、連続面積を判定する閾値Xの10を上回っており、『小面積画像パラメータ』を採用し、図6に示したVppとして1.0kVが選定されている。
【0031】
以上、詳述したように、本実施の形態では、まず、予想される現像剤のストレス状態を色別に判定するように構成した。そして、判定されるストレス状態に応じて、色別の現像器14(14Y,14M,14C)の各々につき、現像ロール14aに代表される駆動部材の駆動速度を低減するように制御した。これによって、現像剤の劣化を低減させ、トナー凝集体の発生を軽減している。また、駆動速度の低減とともに、現像バイアスのDC成分や現像バイアスのAC成分に関する作像条件を設定している。これによって、現像ロール14aの速度を下げることによりパッチ濃度、線濃度が低下する現象を、この作像条件の設定によって緩和することが可能となり、画質上のディフェクトの発生を抑制した状態にて、良好な画質を維持することが可能となる。
【0032】
尚、本実施の形態では、各要素を判断する閾値として、M、N、Xの単独の値を採用したが、この閾値を各判断として複数備えるように構成することもできる。この複数の閾値に応じて多段階の画像濃度を判定し、多段階で駆動条件や作像条件を決定するように構成すれば、より極め細やかな制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を示した図である。
【図2】画像形成ユニットの構成を説明するための図である。
【図3】制御部の構成を示した説明図である。
【図4】現像器の駆動速度とトナー凝集体の生成量との関係を示した説明図である。
【図5】図3に示す制御部にて実行される処理を示したフローチャートである。
【図6】現像器の駆動速度を変更したことによる面・線密度への影響と、補完パラメータの変更による面・線密度への影響とを示した図である。
【図7】(a)〜(c)は、判別される画像情報の閾値判断例とパラメータ設定例を示した図である。
【符号の説明】
【0034】
1…本体、10…画像プロセス系、11…画像形成ユニット、14…現像器、14a…現像ロール、50…制御部、51…画像情報採取部、52…色情報分解部、53…画像判定部、54…現像器駆動条件決定部、55…作像条件設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像器によって潜像を現像することで画像を形成する画像形成装置であって、
ジョブイメージの潜像書き込みに際して当該ジョブイメージの画像情報を色別に分解する分解手段と、
前記分解手段により色別に分解された色別画像情報を、画像密度に関して予め設定されている閾値と比較する比較手段と、
前記比較手段による比較結果を用いて前記現像器の駆動条件を決定する駆動条件決定手段と
を含む画像形成装置。
【請求項2】
前記閾値は、主走査方向および/または副走査方向における連続画素に関する値であり、
前記駆動条件決定手段は、分解される色別にて、前記比較手段により前記色別画像情報が前記閾値より下回っていると判断される場合に前記現像器を構成する駆動部材の速度を低減させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記比較手段による比較結果を用いて前記現像器による作像条件を設定する作像条件設定手段を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記閾値は、主走査方向および副走査方向にて構成される連続画素の面積に関する値であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記作像条件設定手段は、現像バイアスのDC成分および/または現像バイアスのAC成分に関する作像条件を設定することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置に用いられる現像器の制御方法であって、
ジョブイメージの潜像書き込みに際して当該ジョブイメージの画像情報を採取し、
採取した画像情報を色別に分解し、
色別に分解された色別画像情報を、画像密度に関して予め設定されメモリに格納されている閾値と色別に比較し、
比較結果に基づいて、前記現像器を構成する駆動部材の駆動速度を色別に制御することを特徴とする現像器の制御方法。
【請求項7】
前記色別画像情報が前記閾値を下回る場合に、前記駆動部材の駆動速度を低減させるように制御することを特徴とする請求項6記載の現像器の制御方法。
【請求項8】
比較結果に基づいて、前記現像器による作像条件を更に制御することを特徴とする請求項6記載の現像器の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−195054(P2006−195054A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5020(P2005−5020)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】