説明

画像形成装置

【課題】装置の大型化を招くことなく、中間転写ベルト10の表面上のトナー像やその画像濃度を精度良く検知することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】中間転写ベルト10を張架する2次転写ニップ入口ローラ14に対する中間転写ベルト10の掛け回し領域内の領域である第1ベルト領域に対してベルトおもて面側から対向する第1位置に、トナー像を記録するための記録紙を一時的に進入させる画像形成装置において、同掛け回し領域におけるベルト移動方向の中心に対し同第1ベルト領域よりも離れたところにある同掛け回し領域内の領域である第2ベルト領域、にベルトおもて面側から対向する第2位置と、同第1位置との間で光学センサユニット150を移動させるセンサ移動手段を設け、同第1位置にある光学センサユニット150による検知結果に基づいて、作像条件調整処理を実施するように、制御手段を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体等の像担持体から無端状のベルト部材の表面に転写したトナー像、あるいはそのトナー像の単位面積あたりのトナー付着量を光学センサによって検知し、検知結果に基づいて所定の処理を実施する複写機、ファクシミリ、プリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機やプリンタ等の画像形成装置として、特許文献1や特許文献2に記載のもののように、感光体等の像担持体に対する露光走査によって形成した静電潜像を、トナーによって現像してトナー像を得るものが知られている。この種の画像形成装置においては、露光走査による静電潜像を感光体等の像担持体の表面に形成する際の露光強度や、静電潜像をトナーによって現像する際の現像ポテンシャルなどといった画像形成条件が環境に適さないものになると、トナー像の画像濃度(単位面積あたりのトナー付着量)が目的の値から外れてしまう。
【0003】
特許文献1に記載の画像形成装置は、像担持体としての感光体の表面に形成したトナー像を、ベルト部材としての転写ベルトの表面に保持されながら搬送される記録紙に転写する。そして、所定のタイミングで次のような制御を実施するようになっている。即ち、画像濃度検出用のトナー像であるトナーパッチ像を感光体上に形成した後、記録紙を保持していない状態の転写ベルトの表面に転写する。そして、転写ベルト上のトナーパッチ像の画像濃度を、光学センサとしての反射型フォトセンサによって検知し、検知結果に基づいて画像形成条件を調整する。かかる構成によれば、前述のようにして画像形成条件を調整することで、環境が変動しても、画像濃度を安定化させることができる。
【0004】
なお、特許文献1に記載の画像形成装置は、いわゆるタンデム方式によって多色トナー像を形成するものである。タンデム方式は、ベルト部材の表面に沿って並ぶように配設された複数の像担持体のそれぞれにトナー像を形成し、それらトナー像をベルト部材の表面、あるいはベルト部材の表面に保持される記録部材に重ね合わせて転写する方式である。各像担持体に互いに異なる色のトナー像を形成することで、それらトナー像の重ね合わせによる多色トナー像を形成することができる。
【0005】
特許文献2に記載の画像形成装置も、タンデム方式によって多色トナー像を形成するものである。具体的には、ベルト部材としての中間転写ベルトの表面に沿って並ぶ複数の感光体に互いに異なる色のトナー像を形成し、それらを中間転写ベルトの表面に重ね合わせて転写することで多色トナー像を得る。そして、所定のタイミングで各色トナー像の相対的な位置ずれ量を定期的に検出し、検出結果に応じて潜像書込開始タイミングなどを補正するようになっている。具体的には、まず、それぞれの感光体に位置ずれ検出用のトナー像を形成し、それらを中間転写ベルト上に順次転写することで、中間転写ベルト上に位置ズレ検知用パターン像を形成する。そして、この位置ズレ検知用パターン像内の各色トナー像を反射型フォトセンサによって検知するタイミングに基づいて、各色トナー像の相対的位置ズレを検知する。次いで、その検知結果に基づいてそれぞれの感光体に対する潜像書込開始タイミングなどを調整する。
【0006】
かかる構成においては、各色トナー像の相対的な位置ズレによる色ずれの発生を抑えることができる。具体的には、タンデム方式の画像形成装置では、潜像形成の役割を担う露光走査装置におけるレンズやミラーなどに温度変化に伴う伸縮が発生すると、それぞれの感光体の潜像書込開始位置に相対的なずれが発生する。すると、それぞれの感光体に対して各色のトナー像を相対的に位置ズレさせて形成してしまうことから、いわゆる色ずれが発生してしまう。特許文献1においては、上述の位置ズレ検知用のパターンを反射型フォトセンサによって検知した結果に基づいて各色のトナー像の相対的な位置ズレを検知し、その結果に基づいて潜像書込タイミングなどを調整することで、色ずれの発生を抑えることができるのである。
【0007】
特許文献1、2に画像形成装置は、既に説明したように、ベルト部材の表面における光学特性たる光反射率の変化に基づいて、ベルト部材の表面上のトナーパッチ像を検知したり、トナー像の画像濃度を検知したりしている。かかる構成では、ベルト部材の走行に伴う微妙な波打ちによってベルト部材の表面と反射型フォトセンサとの距離が微妙に変動すると、トナーパッチ像や画像濃度を精度良く検知することができなくなる。このため、ベルト部材の表面の移動方向における全領域のうち、走行に伴う微妙な波打ちを引き起こし難い、張架ローラに対する掛け回し領域を、反射型フォトセンサの被検対象にすることが望ましい。特許文献1に記載の画像形成装置においても、このような掛け回し領域を被検対象にしている。
【0008】
【特許文献1】特開2002−006568号公報
【特許文献2】特開2001−034030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の掛け回し領域との対向位置を反射型フォトセンサの配設位置とは別の用途として使用したいというレイアウト上の制約から、良好な検知精度を得ることが困難になる場合がある。このような場合に、反射型フォトセンサとの対向位置でベルトの波打ちを抑えるための専用の張架ローラを新たに設けると、そのためにベルトの周長を長くすることから、装置の大型化を招いてしまう。
【0010】
なお、光学センサとして、反射型フォトセンサを用いた場合に生ずる問題について説明してきたが、透過型フォトセンサを用いる場合にも、同様の問題が生じ得る。
【0011】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、装置の大型化を招くことなく、ベルト部材の表面上のトナー像やその画像濃度を精度良く検知することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トナー像を担持する像担持体と、回転可能な複数の張架ローラによって張架された状態で無端移動せしめられる無端状のベルト部材と、該像担持体上に担持されたトナー像を該ベルト部材の表面に転写する転写手段と、該ベルト部材の表面における光学特性の変化に基づいて、該表面上のトナー像、あるいは該トナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量、を検知する光学センサと、該光学センサによる検知結果に基づいて所定の処理を実施する制御手段とを備え、複数の上記張架ローラのうちの何れか1つに対する該ベルト部材の掛け回し領域に対してベルトおもて面側から対向する第1位置に、トナー像を記録するための記録部材あるいは駆動手段によって移動せしめられる所定の部材を一時的に進入させる画像形成装置において、上記掛け回し領域に対向しない第2位置と、上記第1位置との間で上記光学センサを移動させるセンサ移動手段を設け、該第1位置にある該光学センサによる検知結果に基づいて、上記所定の処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、トナー像を担持する像担持体と、回転可能な複数の張架ローラによって張架された状態で無端移動せしめられる無端状のベルト部材と、該像担持体上に担持されたトナー像を該ベルト部材の表面に転写する転写手段と、該ベルト部材の表面における光学特性の変化に基づいて、該表面上のトナー像、あるいは該トナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量、を検知する光学センサと、該光学センサによる検知結果に基づいて所定の処理を実施する制御手段とを備え、複数の上記張架ローラのうちの何れか1つに対する該ベルト部材の掛け回し領域内の領域である第1ベルト領域に対してベルトおもて面側から対向する第1位置に、トナー像を記録するための記録部材あるいは駆動手段によって移動せしめられる所定の部材を一時的に進入させる画像形成装置において、上記掛け回し領域におけるベルト移動方向の中心に対し上記第1ベルト領域よりも離れたところにある上記掛け回し領域内の領域である第2ベルト領域、にベルトおもて面側から対向する第2位置と、上記第1位置との間で上記光学センサを移動させるセンサ移動手段を設け、該第1位置にある該光学センサによる検知結果に基づいて、上記所定の処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2の画像形成装置において、上記特定の部材を上記第1位置に進入させるときには、上記光学センサを上記第1位置から上記第2位置に待避させるように、上記センサ移動手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項3の画像形成装置であって、上記転写手段が、記録部材を上記ベルト部材の表面に密着させる転写位置で該ベルト部材の表面上のトナー像を該記録部材に転写するものであり、該記録部材を上記所定のタイミングで該転写位置に向けて送り込む送込手段が、画像形成装置本体の筺体内に配設され、上記特定の部材が、該所定のタイミングで送込手段から該転写位置に向けて送り込まれる該記録部材であり、且つ、上記第1位置が、該記録部材を該送込手段から該転写位置に向けての搬送するための送込搬送路内の位置であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記掛け回し領域を形成する張架ローラとして、上記転写位置で上記ベルト部材を張架している張架ローラに対してベルト移動方向の上流側で隣り合っている張架ローラを採用したことを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかの画像形成装置において、上記掛け回し領域を形成する張架ローラの回転中心を中心にして上記光学センサを揺動させるように、上記センサ移動手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかの画像形成装置において、上記第2位置で上記光学センサと上記ベルト部材との間に介在して該光学センサを保護する保護部材を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、請求項7の画像形成装置において、上記第1位置から上記第2位置に向けて移動してくる上記光学センサに摺擦して該光学センサを清掃する清掃部材を上記保護部材に固定したことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項4の画像形成装置において、上記送込搬送路内の記録部材を上記転写位置に向けて案内する搬送ガイド板を上記光学センサとともに移動させるように、上記センサ移動手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項4又は9の画像形成装置において、上記ベルト部材に当接して上記転写位置としての転写ニップを形成する転写ニップ形成部材を設けるとともに、上記第1位置から上記第2位置への上記光学センサの移動に連動させて該転写ニップ形成部材を該ベルト部材に接触させる一方で、該第2位置から該第1位置への該光学センサの移動に連動させて該転写ニップ形成部材を該ベルト部材から離間させるように、上記センサ移動手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項4、9又は10の画像形成装置において、上記送込手段の駆動力を利用して上記光学センサを移動させるように、上記センサ移動手段を構成したことを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項10又は11の画像形成装置において、上記転写ニップ、あるいは該転写ニップの前後、で詰まってしまった記録部材を上記筺体の外部に露出させるための開閉扉を該筺体に設け、該開閉扉の開動作が行われた際には、上記光学センサを上記第2位置に待避させるとともに、上記転写ニップ形成部材を上記ベルト部材から離間させるように、上記センサ移動手段を構成したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
これらの発明において、請求項1の発明特定事項の全てを備えるものでは、光学センサをベルト部材の張架ローラに対する掛け回し領域に対向する第1位置に配設すれば、掛け回し領域に対向しない第2位置に配設する場合に比べて、ベルト部材の表面上のトナー像やその画像濃度を光学センサに対して精度良く検知させることができる。ところが、第1位置に対しては、記録部材、あるいは駆動伝達系のアームなどといった移動部材を一時的に進入させることから、そこに光学センサを固定することができないというレイアウト上の制約がある。そこで、本発明においては、センサ移動手段によって光学センサを第1位置と第2位置との間で移動させるようにしている。そして、トナー像やその画像濃度を精度良く検知させることが可能な第1位置に光学センサを移動させているときに、その検知結果に基づいて、ベルト部材の表面上における位置ズレ検知用のトナー像を検知したり、濃度検知用のトナー像の画像濃度を検知したりなどといった所定の処理を行うようになっている。かかる構成では、少なくとも、記録部材あるいは移動部材を第1位置に進入させるときには光学センサを第1位置から第2位置に待避させる一方で、記録部材あるいは移動部材を第1位置に進入させる必要のないタイミングで光学センサを第2位置から第1位置に移動させることで、新たな張架ローラを設けることなく、光学センサを第1位置におくことができる。よって、装置の大型化を招くことなく、ベルト部材の表面上のトナー像やその画像濃度を精度良く検知することができる。
【0014】
また、請求項2の発明特定事項の全てを備えるものにおいては、ベルト部材における第1ベルト領域と第2ベルト領域とのうち、少なくとも第1ベルト領域が張架ローラに対する掛け回し箇所になっている。第1ベルト領域は、第2ベルト領域に比べて、張架ローラに対する掛け回し領域におけるベルト移動方向の中心に対してより近い位置にあることから、走行に伴う波打ちが抑えられる。このため、光学センサを第1ベルト領域に対向する第1位置に配設する方が、第2ベルト領域に対向する第2位置に配設する場合に比べて、ベルト部材の表面上のトナー像やその画像濃度を精度良く検知させることができる。ところが、第1位置に対しては、記録部材、あるいは駆動伝達系のアームなどといった移動部材を一時的に進入させることから、そこに光学センサを固定することができないというレイアウト上の制約がある。そこで、センサ移動手段によって光学センサを第1位置と第2位置との間で移動させるようにしている。これにより、請求項1に係る発明と同様に、装置の大型化を招くことなく、ベルト部材の表面上のトナー像やその画像濃度を精度良く検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を電子写真方式の画像形成装置であるタンデム型間接転写方式のカラーレーザープリンタ(以下、単にプリンタという)に適用した一実施形態について説明する。なお、いわゆる当業者は、特許請求の範囲に記載された本発明について、その技術的思想を逸脱しない範囲で変更・修正して他の実施形態を容易になすことができる。よって、かかる変更・修正はこの特許請求の範囲に含まれるものであり、以下の説明は本発明における最良の形態の例であって、特許請求の範囲を限定するものではない。
【0016】
図1は、実施形態に係るプリンタを示す概略構成図である。
プリンタ1本体の中央には、無端ベルト状のベルト部材としての中間転写ベルト10が設けられている。中間転写ベルト10は、多層構造となっている。ベース層となる例えば伸びの少ないシートを、PVDF等のフッ素系樹脂、ポリイミド系樹脂でつくり、その表面をフッ素系樹脂等の平滑性のよいコート層で被っている。この中間転写ベルトは、図1に示すとおり、図示例では張架ローラに掛け回された状態で図中反時計回りに回転搬送可能になっている。
【0017】
本プリンタ1では、中間転写ベルト10のループ内側に位置しながら中間転写ベルト10を張架する張架ローラとして、図中に符号12、13、14、15で示した4つを設けている。これらのうち、図中で12という符号が付された張架ローラは、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動せしめられることで、中間転写ベルト10を図中反時計回り方向に無端移動せしめる駆動ローラである。また、図中で13という符号が付された張架ローラは、後述するベルトクリーニング装置19との間に中間転写ベルト10を挟み込むことで、ベルトクリーニング装置19によるクリーニングをバックアップするクリーニングバックアップローラである。また、図中14という符号が付された張架ローラは、後述する2次転写ニップの入口よりも少しだけベルト移動方向上流側に離れた位置で中間転写ベルト10を張架する2次転写ニップ入口ローラである。また、図中15という符号が付された張架ローラは、付勢コイルバネによって中間転写ベルト10に向けて付勢されることでベルトにテンションを付与するテンションローラである。
【0018】
プリンタ1は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)のトナー像を生成するための4つのプロセスユニット5Y,M,C,Kを備えている。これらは、画像形成物質として、互いに異なる色のY,M,C,Kトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっており、寿命到達時に交換される。Yトナー像を生成するためのプロセスユニット5Yを例にすると、これは、潜像担持体たるドラム状の感光体1Y、ドラムクリーニング装置2Y、除電装置(不図示)、帯電ローラ4Y、現像装置5Y等を備えている。画像形成ユニットたるプロセスユニット5Yは、プリンタ本体に脱着可能であり、一度に消耗部品を交換できるようになっている。
【0019】
図示しない電源によって帯電バイアスが印加される帯電ローラ4Yは、感光体1Yに対して接触あるいは近接するように配設され、自らの表面と感光体1Yの表面とに放電を発生させることで、感光体1Yの表面をYトナーの帯電極性と同じ極性(本例ではマイナス)に一様に帯電せしめる。一様帯電せしめられた感光体1Yの表面は、図示しない露光手段としての光書込ユニットから発せられるレーザ光Lによって露光走査されてY用の静電潜像を担持する。このYの静電潜像は、Yトナーを用いる現像装置5Yによって現像されてYトナー像になる。そして、中間転写ベルト10上に中間転写される。ドラムクリーニング装置2Yは、中間転写工程を経た後の感光体1Y表面に残留した転写残Yトナーをクリーニングブレード3Yによって掻き取って除去する。また、上記除電装置は、クリーニング後の感光体1Yの残留電荷を除電する。この除電により、感光体1Yの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。他色のプロセスユニット(5M,C,K)においても、同様にして感光体(1M,C,K)上に(M,C,K)トナー像が形成される。そして、これらトナー像は、中間転写ベルト10上のYトナー像の上に順次重ね合わせて中間転写される。
【0020】
本実施形態では、感光体1Y,M,C,Kを一様帯電せしめる帯電手段として、帯電ローラ4Y,M,C,Kを具備するものを用いたが、帯電ローラの代わりに、帯電ブラシローラを具備するものを用いてもよい。また、帯電手段として、スコロトロン帯電器やコロトロン帯電器を用いてもよい。
【0021】
静電潜像を現像する現像装置としては、現像剤として、磁性キャリアとトナーとのうち、トナーだけを含有する1成分現像剤を用いるものと、両者を含有する2成分現像剤を用いるものとがあるが、本実施形態に係るプリンタ1においては、何れの現像装置を採用することも可能である。
【0022】
プロセスユニット5Y,M,C,Kは、水平方向に延在するように張架される中間転写ベルト10の下部張架面に沿って、水平方向に並ぶように配設されている。これらプロセスユニット5Y,M,C,Kの下方には、潜像書込装置としての図示しない光書込ユニットが配設されている。この光書込ユニットは、外部のパーソナルコンピュータやスキャナ等から送られてくる画像情報に基づいて発したレーザ光Lにより、プロセスユニット5Y,M,C,Kにおける感光体1Y,M,C,Kを露光走査する。なお、光書込ユニットは、光源から発したレーザ光Lを、モータによって回転駆動したポリゴンミラーで走査しながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。
【0023】
プリンタ筐体の下部には、給紙カセット25、これに組み込まれた給紙ローラ26などが配設されている。給紙カセット25は、シート状の記録部材たる記録紙Pを複数枚重ねて収納しており、一番上の記録紙Pに給紙ローラ26を当接させている。給紙ローラ26が図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動せしめられると、一番上の記録紙Pが給紙搬送路27に向けて送り出される。
【0024】
この給紙搬送路27の末端付近には、送込手段としてのレジストローラ対28が配設されている。レジストローラ対28は、記録紙Pを挟み込むべく2つのローラを回転駆動させるが、記録紙Pを挟み込んですぐに回転を一時停止させる。そして、所定のタイミングで回転を再開することで、記録紙Pを適切なタイミングで後述の2次転写ニップに向けて送り出す。
【0025】
プロセスユニット5Y,M,C,Kの図中上方に配設された中間転写ベルト10は、転写手段としての転写ユニット9の一部を構成している。転写ユニット9は、中間転写ベルト10や上述した4つの張架ローラ(12〜15)の他に、中間転写ベルト10のループ外側に配設されたベルトクリーニング装置19や2次転写ローラ21などを有している。また、中間転写ベルト10のループ内側に配設された4つの1次転写バイアスローラ11Y,M,C,Kも有している。
【0026】
1次転写バイアスローラ11Y,M,C,Kは、無端移動せしめられる中間転写ベルト10を感光体1Y,M,C,Kとの間に挟み込んでそれぞれ1次転写ニップを形成している。これらは1次転写バイアスローラ11Y,M,C,Kには、スイッチ110を介して1次転写バイアス電源111が接続されている。この1次転写電源111は、1次転写バイアス11Y,M,C,Kに対してそれぞれ個別に供給するための、トナーの帯電極性とは逆極性の1次転写バイアスを出力するものである。1次転写バイアスローラ11Y,M,C,Kに対してそれぞれかかる1次転写バイアスが印加されることで、Y,M,C,K用の1次転写ニップ内にはそれぞれ1次転写電界が形成される。中間転写ベルト10は、その無端移動に伴ってY,M,C,K用の1次転写ニップを順次通過していく過程で、感光体1Y,M,C,K上のY,M,C,Kトナー像が重ね合わせて中間転写される。これにより、中間転写ベルト10上に4色重ね合わせトナー像(以下、4色トナー像という)が形成される。
【0027】
ベルトループ内側に配設された駆動ローラ12は、ベルトループ外側に配設された2次転写ローラ21との間に中間転写ベルト10を挟み込んでいる。これにより、2次転写ローラ21と中間転写ベルト10のおもて面とが当接する2次転写ニップが形成されている。2次転写ローラ21には、2次転写バイアス電源120によってトナーの帯電極性とは逆極性の2次転写バイアスが印加される。一方、駆動ローラ12はアースに接続されている。そして、中間転写ベルト10上に形成された4色トナー像は、2次転写ニップ内で記録紙Pに転写される。そして、転写紙Pの白色と相まって、フルカラートナー像となる。
【0028】
2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト10には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。これは、ベルトクリーニング装置19によってベルト表面から掻き取られる。また、2次転写ニップで4色トナー像が一括2次転写された記録紙Pは、2次転写ニップの上方に位置する定着装置30に送られる。
【0029】
定着装置30は、内部にハロゲンランプ等の発熱源を有する定着ローラと、これに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラとによって定着ニップを形成している。定着装置30内に送り込まれた記録紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラに密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化さしめられて、フルカラー画像が定着せしめられる。
【0030】
定着装置30内でフルカラー画像が定着せしめられた記録紙Pは、定着装置30を出た後、排紙ローラ対32を経由して機外へと排出される。
【0031】
外部のパーソナルコンピュータ等から画像情報が送られてくると、不図示の駆動モータによって駆動ローラ12が回転駆動して他の3つの張架ローラを従動回転させながら、中間転写ベルト10を無端移動させる。同時に、個々のプロセスユニット5Y,M,C,Kにおける感光体1Y,M,C,Kが回転してそれら感光体上にそれぞれ、Y,M,C,Kトナー像が形成される。そして、無端移動する中間転写ベルト10にそれらのトナー像が順次重ね合わせて転写されて中間転写ベルト10上に合成カラー画像が形成される。
【0032】
一方、パーソナルコンピュータ等から画像情報が送られてくると、給紙ローラ26が選択回転し、給紙カセット25内から記録紙Pを繰り出す。この記録紙Pは、図示しない分離ローラで1枚ずつ分離されてから、搬送ローラ27で搬送されて給紙搬送路27に導かれた後、レジストローラ28に突き当たって止まる。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ28が回転し、上述の2次転写ニップに記録紙Pシートを送り込む。2次転写ニップに送り込まれた記録紙Pには、中間転写ベルト10上の合成カラー画像が一括2次転写される。
【0033】
画像転写後の記録紙Pは、2次転写ローラ21によって搬送されながら定着装置30へと送り込まれ、定着装置30内での熱と圧力との付与によって合成カラー画像が定着せしめられた後、排出ローラ対32によって機外に排出されて、排紙トレイ上にスタックされる。一方、画像転写後の中間転写ベルト10は、ベルトクリーニング装置19で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーが除去されて、再度の画像形成に備える。
【0034】
図9は、本プリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図である。同図において、制御手段たる制御部200は、CPU(Central Processing Unit)201と、制御プログラムや各種データを記憶したROM(ReadOnly Memory)202と、各種データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)203とを有している。この制御部200には、各周辺制御部との間で信号の授受を行うためのI/Oインターフェース204を介して、1次転写バイアス電源111、2次転写バイアス電源120、光書込ユニットの制御を専用に司る光書込制御回路205などが接続されている。また、駆動ローラ(12)の駆動源となっているベルト駆動モータ162や、タッチパネル等からなる走査表示部184なども接続されている。更には、第1端部フォトセンサ151、中央フォトセンサ152、第2端部フォトセンサ153、Yフォトセンサ154Y、Mフォトセンサ154M、Cフォトセンサ154C、Kフォトセンサ154K等を有する光学センサユニット150も接続されている。なお、これらフォトセンサは、何れも図示しない発光手段から発した光を被検対象面で反射せしめ、その反射光を図示しない受光手段で検知する反射型フォトセンサである。
【0035】
本プリンタは、光書込ユニットや各色のプロセスユニット(5Y,M,C,K)などからなる作像装置の作像条件を調整するための作像条件調整処理を、所定時間経過毎などの所定のタイミングで実施するようになっている。そして、この作像条件調整処理において、後述するプロセスコントロール処理と、位置ずれ補正処理とを行う。そして、これらの処理では、光書込制御回路205が制御部200からI/Oインターフェース204を介して入力される指令に基づいて光書込ユニットなどを制御したり、制御部200が各プロセスユニットや転写ユニットの駆動を制御したりする。これにより、後述する画像濃度検知用の階調パターン像や、色ずれ検知用の複数のトナー像からなるパッチパターン像を中間転写ベルト10上に形成する。
【0036】
より詳しくは、作像条件調整処理におけるプロセスコントロール処理では、中間転写ベルト10上に画像濃度検知用の階調パターン像を形成する。この画像濃度検知用の階調パターン像としては、Y,M,C,K階調パターン像の4つが形成される。それぞれの階調パターン像は、予め定められた画素パターンからなる14個のY,M,C,K基準トナー像からなっている。そして、それぞれ14個のY,M,C,K基準トナー像は、互いに異なるトナー付着量(画像濃度)になるように形成される。
【0037】
例えば、K階調パターン像SKを例にすると、これは、図10に示すように、段階的にトナー付着量が徐々に増えていくY基準トナー像SK1、SK2・・・・SK13、SK14という14個のK基準トナー像から構成されている。これらK基準トナー像は、中間転写ベルト10の進行方向に所定の間隔をおいて並ぶようにベルトおもて面に形成され、これらK基準トナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量は、光学センサユニット150のKフォトセンサ154Kによって検知される。この検知結果は、出力値Vpi(i=1〜14)として、I/Oインターフェース204を介してRAM203に送られる。
【0038】
光学センサユニット150において、各フォトセンサ(153、154K,C、152、154M,Y、151)は、ベルト幅方向(ローラの回転軸線方向)に一直線上に並ぶように配設されている。上述したK基準トナー像は、中間転写ベルト8のおもて面のベルト幅方向において、Kフォトセンサ154Kの設置位置と同じ位置に形成されるため、Kフォトセンサ154Kによって検知される。Kと同様にして、Y,M,Cについても、それぞれ14個のY,M,C基準トナー像が、ベルト幅方向においてY,M,Cフォトセンサ154Y,M,Cの設置位置と同じ位置に形成されて、Y,M,Cフォトセンサ154Y,M,Cによって検知される。そして、Y,M,C基準トナー像に対するトナー付着量の検知結果であるY,M,Cフォトセンサ154Y,M,Cの出力値Vp1〜14がRAM203内に記憶される。
【0039】
制御部200は、RAM203に記憶されたこれら出力値と、ROM202内に格納されているデータテーブルとに基づいて、それぞれの出力値を単位面積当りのトナー付着量に換算し、トナー付着量データとしてRAM203に格納する。
【0040】
図11は、感光体の電位とトナー付着量との関係をxy座標にプロットしたグラフである。同図において、x軸には現像ポテンシャル(階調パターン像作像時の現像バイアス電圧と感光体1K,Y,M,Cの表面電位との差:単位V)を割り振り、y軸には単位面積当りのトナー付着量(mg/cm)を割り振っている。
【0041】
制御部200は、RAM203内に記憶されている電位データとトナー付着量データから、各色毎に、電位データとトナー付着量データとの関係(現像特性)が直線となる領域のものを選択し、これらのデータの平滑化処理を行う。そして、その平滑化処理後の電位データ及びトナー付着量データに対して最小自乗法を適用することによって各現像装置の現像特性の直線近似を行う。更に、各現像装置の現像特性の直線方程式y=ax+bを各色毎に求めた後、この直線方程式における傾きaに基づいて各プロセスユニット(5K,Y,M,C)における作像条件を調整する。作像条件を調整する方法としては、特開平9−211911号公報に記載されているように、感光体一様帯電電位や現像バイアスを調整する方法が挙げられる。また、2成分現像方式を採用した場合には、2成分現像剤のトナー濃度の制御目標値を調整してもよい。
【0042】
図11に示したように、プロセスコントロール処理においては、中間転写ベルト10の移動方向(副走査方向)に所定のピッチで並ぶ14個のK基準トナー像SK1、SK2・・・SK13、SK14からなるK階調パターン像SKが形成される。また、このK階調パターン像SKに対して主走査方向(ベルト幅方向)に隣り合うように、副走査方向(ベルト進行方向)に所定のピッチで並ぶ14個のY基準トナー像SY1、SY2・・・SY13、SY14からなるY階調パターン像SYが形成される。また、このY階調パターン像SYに対して主走査方向に隣り合うように、副走査方向に所定のピッチで並ぶ14個のM基準トナー像SM1、SM2・・・SM13、SM14からなるM階調パターン像SMが形成される。また、このM階調パターン像SMに対して主走査方向に隣り合うように、副走査方向に所定のピッチで並ぶ14個のC基準トナー像SC1、SC2・・・SC13、SC14からなるM階調パターン像SCが形成される。
【0043】
また、作像条件調整処理における位置ずれ補正処理では、中間転写ベルト10における幅方向の両端付近及び中央付近に、図12に示されるような位置ずれ検知用のパッチパターンを形成する。両端付近及び中央付近にそれぞれ形成されるこれら3つのパッチパターンは、それぞれ副走査方向に所定の間隔で並ぶ4つのY,M,C,K基準トナー像Sy、Sm、Sc、Skからなり、同色の基準トナー像がそれぞれ主走査方向に並ぶように形成される。
【0044】
同図において、ベルト幅方向の手前側端部付近に形成されたパッチパターン内の各基準トナー像は、第1端部フォトセンサ151によって検知される。また、ベルト幅方向の中央付近に形成されたパッチパターン内の各基準トナー像は、中央フォトセンサ152によって検知される。また、ベルト幅方向の奥側端部付近に形成されたパッチパターン内の各基準トナー像は、第2端部フォトセンサ153によって検知される。各色の基準トナー像の形成タイミングが互いに適切であれば、各基準トナー像の検知間隔がそれぞれ等しくなるが、不適切であると、各色の基準トナー像の形成間隔が等しくなくなる。そして、検知間隔も等しくなくなる。また、光学系に光書込のスキューが生じていなければ、3つのパッチパターンの間において、それぞれ同色の基準トナー像が同じタイミングで検知されるが、スキューが生じていると検知タイミングが異なってくる。制御部200は、主走査方向や副走査方向における各色トナー像の検知間隔や検知タイミングのずれに基づいて、各感光体に対する光書込開始タイミングや光学系を調整して、各色トナー像の位置ずれを抑える。
【0045】
なお、上述した階調パターン像やパッチパターンを形成した際には、図1に示した2次転写ローラ21を中間転写ベルト10から離間させて、階調パターン像やパッチパターンの2次転写ローラ21への転位を回避するようになっている。
【0046】
スキューずれの補正については、図示しない駆動機構により、光書込ユニットの内部にある各色のレーザー光を折り返すためのミラーの傾きを調整することによってなされる。ミラーに傾きを付勢するための駆動源としてはステッピングモータが用いられている。各色トナー像の副走査方向(ベルト移動方向)の位置ずれの補正については、各感光体に対する光書込開始タイミングを調整することによってなされる。また、基準色であるKに対して、Y,M,Cのパッチパターン内における各基準トナー像の主走査方向の倍率がずれていたときには、信号の周波数を非常に小さいステップで変更可能なクロックジェネレータ等のデバイスによって倍率が補正される。
【0047】
なお、図3に示すように、画像濃度検知用の階調パターンと、位置ズレ検知用のパッチパターンとを交互に形成してもよい。
【0048】
次に、本プリンタの特徴的な構成について説明する。
図2は、実施形態に係るプリンタの2次転写ニップの周囲を拡大して示す拡大構成図である。図2に示すように、2次転写ニップ入口ローラ14の下方には、上述した光学センサユニット150が配設されている。この光学センサユニット150は、上述した複数の反射型フォトセンサを図示しないブラケットによって保持している。
【0049】
先に図1に示したように、本プリンタ1においては、張架ローラとして、駆動ローラ12、クリーニングバックアップローラ13、テンションローラ15、及び2次転写ニップ入口ローラ15の4つを設けている。光学センサユニット150については、これら張架ローラのうち、何れか1つに対するベルト掛け回し領域に対向させて配設することが望ましいことは既に述べた通りである。
【0050】
同図においては、便宜上、駆動ローラ12がベルト裏側に位置している2次転写ニップと、その上方にある定着装置30とを比較的離して示しているが、実際には両者の距離は僅かである。また、駆動ローラ12の図中右側方には、2次転写ローラ21が位置している。これらのことから、光学センサユニット150を駆動ローラ12に対するベルト掛け回し領域に対向させることができない。
【0051】
また、クリーニングバックアップローラ13の上方には、図示しないトナーボトルが配設されている。更には、クリーニングバックアップローラ13の図中左側方には、ベルトクリーニング装置19が配設されている。これらのことから、クリーニングバックアップローラ13に対するベルト駆け回し領域に光学センサユニット150を配設することもできない。
【0052】
また、テンションローラ15は、付勢コイルバネによる付勢が可能になるように移動可能に支持されており、中間転写ベルト10の走行に伴って微妙に移動することから、テンションローラ15に対するベルト駆け回し領域に光学センサユニットを配設することは好ましくない。なお、このテンションローラ15を不動の張架ローラにする代わりに、クリーニングバックアップローラ13をテンションローラとして、ベルトクリーニング装置19とともに移動させるようにすることも可能である。しかしながら、かかる構成にしたとしても、ローラ15に対するベルト掛け回し領域との対向位置には、Y用の現像装置6Yが存在しているので、同対向位置に光学センサユニット150を配設することはできない。
【0053】
また、2次転写ニップ入口ローラ14との対向位置には、上述した送込搬送路が存在している。この送込搬送路の側方には、僅かながら光学センサユニット150を配設するスペースがあり、本プリンタ1においては、そのスペースに光学センサユニット150を配設している。しかしながら、図2に示したように、その配設位置は、2次転写ニップ入口ローラ14に対するベルト駆け回し領域に対向するものの、それはベルト掛け回し領域のうち、中間転写ベルト10がローラに巻き付き始める位置であるため、ベルトの波打ちが発生する。よって、図示の位置では、光学センサユニット150によって階調パターンやパッチパターンを精度良く検知させることができない。精度良く検知させるためには、2次転写ニップ入口ローラ14に対するベルト掛け回し領域のうち、ベルトの波打ちが生じない領域を被検対象にする必要がある。かかる領域は、図中Laという符号で示したベルト移動方向の中心により近いベルト領域であるが、それに対向する位置には第1搬送ガイド板41が存在している。つまり、図示のプリンタにおいては、2次転写ニップ入口ローラ14に対するベルト掛け回し領域のうち、中心Laに比較的近い、あるいは中心Laを含む領域である第1ベルト領域、に対向する第1位置に光学センサユニット150を配設したいのであるが、この第1位置には第1搬送ガイド板41が存在している。このため、ベルト掛け回し領域ではあるものの、第1ベルト領域よりも中心Laから離れており、且つ、2次転写ニップ入口ローラ14に対する巻き付き開始領域となっている第2ベルト領域、に対向する第2位置に光学センサユニット150を配設せざるを得ないのである。
【0054】
第1搬送ガイド板41と第2搬送ガイド板40との対向によって形成されている送込搬送路に対しては、既に説明したようにレジストローラ対28から記録紙を送り込むことになるが、常に送り込んでいるわけではない。中間転写ベルト10上の4色トナー像を2次転写ニップに進入させるタイミングにだけ、記録紙を送り込んでいるだけである。かかるタイミングにおいて、上述した画像濃度検知用の階調パターンや、位置ズレ検知用のパッチパターンを形成することはない。これらのパターンは、記録紙に2次転写するためのものではなく、光学センサユニット150に検知させるためのものである。そして、ベルトの移動に伴って検知後には2次転写ローラ21との対向位置を通過した後(このときは上述のように2次転写ローラ21がベルトから離間している)、ベルトクリーニング装置19によってベルト表面から除去される。
【0055】
本発明者らは、このように、濃度検知用の階調パターンや、位置ズレ検知用パターンを形成するときには、送込搬送路に対して記録紙を送り込んでいないことに着目した。送込搬送路に本来の機能を発揮させていないときには、送込搬送路としての機能を発揮させる必要はないため、パターン検知時に光学センサユニット150を送込搬送路内の第1位置に進入させても何ら問題ないのである。そこで、本プリンタ1においては、光学センサユニット150を通過させることが可能な貫通開口を第1搬送ガイド板41に設けている。そして、パターン検知時には、光学センサユニット150を、図2に示した第2位置から、図4に示す第1位置に移動させる図示しないセンサ移動手段を設けている。第1位置と第2位置との間で光学センサユニット150を移動させる際、光学センサユニット150は、第1搬送ガイド板41の上記貫通開口を通過することになる。なお、図4における第2位置は、図2と図4との比較からわかるように、2次転写ニップ入口ローラ14に対するベルト掛け回し領域のうち、ベルト移動方向の中心Laにある第1ベルト領域(本例では中心Laに対してゼロの距離にある)、に対向する位置である。これに対し、図2に示した第1位置は、第1ベルト領域よりも中心Laから離れた位置にある第2ベルト領域に対向する位置である。
【0056】
制御部200は、中間転写ベルト10上のパターンを光学センサユニット150に検知させるときだけ、光学センサユニット150を第2位置から第1位置に移動させる制御を実施するようになっている。かかる構成では、特定の部材である記録紙を第1位置に進入させるときには光学センサユニット150を第1位置から第2位置に待避させる一方で、記録紙を第1位置に進入させる必要のないタイミングで光学センサユニットを第2位置から第1位置に移動させることで、新たな張架ローラを設けることなく、光学センサユニット150を第1位置におくことが可能である。よって、装置の大型化を招くことなく、中間転写ベルト10の表面上の階調パターンやパッチパターンを精度良く検知することができる。
【0057】
図13は、光学センサユニット150と、その周囲構成とを示す拡大構成図である。同図において、2次転写ニップ入口ローラ14の下方には、保護部材102が配設されている。この保護部材102は、光学センサユニット150が図中実線で示す第2位置にあるときに、光学センサユニット150の各反射型フォトセンサにおける検知面(光出射面及び光入射面)と、中間転写ベルト10との間に介在して、検知面を保護する。かかる構成では、中間転写ベルト10のおもて面から第2位置にある光学センサユニット150の各反射型フォトセンサの検知面に向けて落下するトナーを検知面到達前に保護部材102で受けることにより、検知面のトナー汚れの発生を抑えることができる。本プリンタ1のように、第2位置で反射型フォトセンサの検知面をベルトおもて面の直下に位置させる構成においては、この保護部材102を設けることで、検知面のトナー汚れを効果的に抑えることができる。
【0058】
保護部材102における反射型フォトセンサとの対向面には、清掃部材としての、複数の起毛からなる清掃ブラシ103を固定している。そして、光学センサユニット150を図中点線で示す第1位置から図中実線で示す第2位置に移動させる際に、光学センサユニット150の各反射型フォトセンサの検知面を清掃ブラシ103に摺擦せしめることで、検知面を清掃する構成を採用している。かかる構成では、各反射型フォトセンサの検知面にトナー汚れを発生させたとしても、清掃ブラシ103による清掃でそのトナー汚れを取り除くことができる。
【0059】
本プリンタにおいては、光学センサユニット150との対向位置でベルト掛け回し領域を形成する張架ローラとして、転写位置たる2次転写ニップで中間転写ベルト10を張架している張架ローラである駆動ローラ12に対してベルト移動方向の上流側で隣り合っている2次転写ニップ入口ローラを採用している。2次転写ニップよりもベルト移動方向上流側には、第1搬送ガイド板41と第2搬送ガイド板40との対向による送込搬送路を形成するため、通常は、複数の張架ローラのうち、2次転写ニップ入口ローラ14が送込搬送路に対して最も近い位置に配設されることになる。本プリンタ1においては、このように、送込搬送路の最も近くに配設されることになる2次転写ニップ入口ローラ14に対するベルト掛け回し箇所に対して光学センサユニット150を対向させることで、送込搬送路内を光学センサユニット150に対してパターンを精度良く検知させるための第1位置として有効利用することを容易に実現することができる。
【0060】
なお、センサ移動手段において、る光学センサユニット150を移動させるための駆動力を発揮する駆動源としては、ソレノイドやモータを例示することができる。
【0061】
次に、実施形態に係るプリンタ1に、より特徴的な構成を付加した各実施例のプリンタについて説明する。なお、以下に特筆しない限り、各実施例に係るプリンタの構成は、実施形態に係るプリンタと同様である。
[第1実施例]
第1実施例に係るプリンタにおいては、光学センサユニット150との対向位置でベルト掛け回し領域を形成する張架ローラである2次転写ニップ入口ローラ14の回転中心を中心にして光学センサユニット150を揺動させるように、センサ移動手段を構成している。かかる構成では、光学センサユニット150のブラケットを移動可能に支持する支持手段として、2次転写ニップ入口ローラ14の回転軸を利用し、この回転軸に対して軸受けを介して光学センサユニット150を支持させることができる。これにより、光学センサユニット150を移動可能に支持する支持手段を新たに設けることなく、光学センサユニット150を第1位置と第2位置との間で移動可能にすることができる。
【0062】
[第2実施例]
図5は、第2実施例に係るプリンタの光学センサユニット150と、その周囲構成とを示す拡大構成図である。同図において、第1搬送ガイド板41には、第1位置と第2位置との間で移動する光学センサユニット150を通過させるための開口を設けていない。その代わりに、光学センサユニット150の図示しないブラケットに第1搬送ガイド板41を固定している。そして、図6に示すように、第1搬送ガイド板41を光学センサユニット150とともに移動させるように、センサ移動手段を構成している。
【0063】
先に図10や図12に示したように、光学センサユニット150は、ベルト幅方向に沿って並ぶ複数の反射型フォトセンサを具備するものであることから、中間転写ベルト10のベルト幅とほぼ同じ長さになっている。実施形態に係るプリンタ1のように、かかる長さの光学センサユニット150を通過させるための開口を第1搬送ガイド板41に設ける場合、その開口の長さもベルト幅とほぼ同様のサイズにしなければならず、開口がどうしても大きなサイズになってしまう。すると、送込搬送路で搬送中の記録紙をその開口に引っ掛けてジャムを発生させ易くなってしまう。一方、本第2実施例のように、第1搬送ガイド板41を光学センサユニット150とともに移動させるようにすれば、光学センサユニット150を通過させるための大きな開口を第1搬送ガイド板41に設ける必要がなくなる。これにより、第1搬送ガイド板41の開口に記録紙を引っ掛けることによるジャムの発生を回避することができる。
【0064】
[第3実施例]
図7は、第3実施例に係るプリンタにおける光学センサユニットの第2位置から第1位置への移動を説明するための拡大構成図である。図示のように第3実施例に係るプリンタにおいては、第2位置から第1位置への光学センサユニット150の移動に連動させて、転写ニップ形成部材としての2次転写ローラ21を中間転写ベルト10から離間させるように、センサ移動手段を構成している。また、第1位置から上記第2位置への光学センサユニット150の移動に連動させて、2次転写ローラ21を中間転写ベルト10に接触させるようにも、センサ移動手段を構成している。
【0065】
図14は、第3実施例に係るプリンタのセンサ移動手段に具備されるリンク機構と、転写ユニットの一部とを示す斜視図である。同図において、ニップ形成部材としての2次転写ローラ21は、その回転軸が軸受け140によって回転自在に支持されている。この軸受け140には、図示しない離間コイルスプリングが固定されており、これによって2次転写ローラ21には中間転写ベルト10から離間する方向に力が付与されている。
【0066】
センサ移動手段のリンク機構は、センサユニット移動アーム170、カム175、ローラ移動第1アーム171、ローラ移動第2アーム172、図示しないカム駆動モータ等を有している。第1端部フォトセンサ151等の反射型フォトセンサを複数有する光学センサユニット150のブラケット160は、センサユニット移動アーム170に固定されている。そして、このセンサユニット移動アーム170は、揺動軸170aを中心に揺動するようにプリンタ本体の図示しない軸受けに支持されている。センサユニット移動アーム170が揺動軸170aを中心にして揺動することで、センサユニット移動アーム170に固定された光学センサユニット150が上述した第1位置と第2位置との間を移動することができる。但し、センサユニット移動アーム170には、図示しない付勢コイルバネが固定されており、これによって光学センサユニット150を第1位置から第2位置に移動させる方向の揺動力が付与されている。
【0067】
リンク機構のローラ移動第1アーム171は、揺動軸171aを中心にして揺動するようにプリンタ本体の図示しない軸受けによって支持されている。そして、その揺動軌道の外縁となる端部側を揺動位置に応じて、第2ローラ移動アーム172の第1突き当て突起172bや、第2突き当て突起172cに突き当てるようになっている。
【0068】
リンク機構のローラ移動第2アーム172は、揺動軸172aを中心にして揺動するようにプリンタ本体の図示しない軸受けによって支持されている。そして、アーム部の側端を2次転写ローラ21の軸受け140に突き当てている。
【0069】
リンク機構のカム175は、センサユニット移動アーム170とローラ移動第1アーム171との間に配設されており、両アームにそれぞれ当接している。図示の状態では、カム175がセンサユニット移動アーム170を付勢コイルバネの付勢力に反する方向に押している。これにより、精度良い検知を行うことが可能な第1位置に光学センサユニット150を移動させている。同時に、カム175は、その中心半径が最も小さくなる箇所をローラ移動第1アーム171に当接させており、これによりローラ移動第1アーム171はその端部をローラ移動第2アーム172の第2突き当て突起172cに突き当てている。この状態では、ローラ移動第2アーム172が、離間コイルバネスプリングによって中間転写ベルト10から離れる方向に付勢されている2次転写ローラ21の軸受け140に対して、中間転写ベルト10から比較的離れた位置で突き当たる。これにより、2次転写ローラ21が中間転写ベルト10から離間している。つまり、リンク機構は、図示の状態において、光学センサユニット150を第1位置に移動させるのに連動させて、2次転写ローラ21を中間転写ベルト10から離間させている。
【0070】
図示しないカム駆動モータの回転によってカム150が図示の状態から所定の角度だけ回転すると、センサユニット移動アーム170が付勢コイルバネの付勢により、揺動軸170aを中心にして図中時計回り方向に所定の角度だけ回転する。すると、センサユニット移動アーム170に固定された光学センサユニット150が第1位置から第2位置に待避する。同時に、ローラ移動第1アーム171が揺動軸171aを中心にして図中時計回り方向に所定の角度だけ回転して、その揺動端部をローラ移動第2アーム172の第1突き当て突起172bに突き当てる。すると、ローラ移動第2アーム17が、揺動軸172aを中心にして図中時計回り方向に所定の角度だけ回転して、2次転写ローラ21の軸受け140を離間コイルスプリングの付勢方向に反して中間転写ベルト10に向けて押す。これにより、2次転写ローラ21が中間転写ベルト10に当接して2次転写ニップを形成する。つまり、センサ移動手段のリンク機構は、光学センサユニット150を第1位置から第2位置に待避させるのに連動させて、2次転写ローラ21を中間転写ベルト10に当接させている。
【0071】
かかる構成では、中間転写ベルト10上に形成した階調パターンやパッチパターンを2次転写ニップでベルトから2次転写ローラ21に転移させてしまうのを回避するための2次転写ローラ21の接離動作と、光学センサユニット150の移動動作とを1つの駆動源(カム駆動モータ)で実施する。これにより、それぞれの動作をそれぞれ個別の駆動源で実施する場合に比べて、低コスト化や制御プログラムの簡素化を図ることができる。
【0072】
次に、第3実施例に係るプリンタに、より特徴的な構成を付加した各具体例のプリンタについて説明する。なお、以下に特筆しない限り、各具体例に係るプリンタの構成は、第3実施例と同様である。
[第1具体例]
第1具体例に係るプリンタは、レジストローラ対28の回転の駆動源となっている図示しないレジスト駆動モータを、光学センサユニット150や2次転写ローラ21の駆動源として兼用するようになっている。具体的には、光学センサユニット150のブラケットは、揺動軸を中心にして揺動可能な図示しないアームに固定されており、このアームの揺動軸には図示しないギヤが固定されている。アームは、図示しない付勢コイルバネによって付勢されることで、光学センサユニット150を第2位置から第1位置に向けて移動させる方向に付勢されている。これにより、通常時には、光学センサユニット150が精度良い検知を行うことができる第1位置に存在するようになっている。第3実施例に係るプリンタとは異なり、光学センサユニット150のホームポジションが第1位置になっているのである。アームの揺動軸に固定されたギヤは、レジスト駆動モータのモータ軸からの駆動力を受け入れるための駆動伝達系に噛み合っている。レジスト駆動モータが回転駆動すると、その駆動力によってアームが揺動軸を中心にして光学センサユニット150をホームポジションである第1位置から第2位置に移動させる方向に動く。そして、光学センサユニット150を第2位置に移動させる位置まで動くと、アームの揺動軸に固定されたギヤが空回りして、アームの動きが止まる。これにより、光学センサユニット150が第2位置に係止される。
【0073】
なお、レジスト駆動モータの回転駆動が開始すると、レジストローラ対28から記録紙が送り出され始めるが、その記録紙が送込搬送路内の第1位置に到達する前に、光学センサユニット150が第1位置から第2位置まで待避するようになっている。このため、送込搬送路内に送り込まれている最中の記録紙と、第1位置から第2位置に向けて待避している最中の光学センサユニット150との衝突が回避されている。
【0074】
一方、2次転写ローラ21の軸受け140は、揺動軸を中心にして揺動可能な図示しないアームに固定されており、このアームの揺動軸には図示しないギヤが固定されている。アームは、図示しない離間コイルスプリングによって付勢されることで、2次転写ローラ21を中間転写ベルト10に対する当接位置から離間位置に向けて移動させる方向に付勢されている。これにより、通常時には、2次転写ローラ21が中間転写ベルト10から離間する離間位置に存在するようになっている。第3実施例に係るプリンタとは異なり、2次転写ローラ21のホームポジションが離間位置になっているのである。アームの揺動軸に固定されたギヤは、レジスト駆動モータのモータ軸からの駆動力を受け入れるための駆動伝達系に噛み合っている。レジスト駆動モータが回転駆動すると、その駆動力によってアームが揺動軸を中心にして2次転写ローラ21をホームポジションである離間位置から当接位置に移動させる方向に動く。そして、2次転写ローラ21が中間転写ベルト10に当接して2次転写ニップを形成する位置まで動くと、アームの揺動軸に固定されたギヤが空回りして、アームの動きが止まる。これにより、2次転写ローラ21が当接位置に係止される。
【0075】
なお、レジスト駆動モータの回転駆動が開始すると、レジストローラ対28から記録紙が送り出され始めるが、記録紙が2次転写ローラ21と中間転写ベルト10との間に進入する前に、2次転写ローラ21が当接位置まで移動して2次転写ニップを形成するようになっている。
【0076】
レジスト駆動モータの回転駆動が停止すると、光学センサユニット150のブラケットを支持しているアームが、付勢コイルバネの付勢力によって揺動軸を中心にして動いて、光学センサユニット150を第2位置から第1位置に移動させる。また、2次転写ローラ21の軸受け140を支持しているアームが、離間コイルスプリングの付勢力によって揺動軸を中心にして動いて、2次転写ローラ21を当接位置から離間位置に移動させる。
【0077】
かかる構成においては、光学センサユニット150を移動させるセンサ移動手段の駆動源としてレジスト駆動モータを兼用することで、レジストローラ対28とセンサ移動手段とをそれぞれ個別の駆動源で駆動する場合に比べて低コスト化を図ったり、制御プログラムの簡素化を図ったりすることができる。また、2次転写ローラ21を中間転写ベルト10に対して接離させる接離手段の駆動源としてもレジスト駆動モータを兼用することで、更なる低コスト化を図ったり、制御プログラムの更なる低コスト化を図ったりすることもできる。
【0078】
[第2具体例]
図8は、第2具体例に係るプリンタの一側端部を示す拡大構成図である。図示のようにこのプリンタは、筐体の一側端部に開閉扉としての開閉カバー51が設けられている。この開閉カバー51は、筐体の下端付近に設けられた揺動軸51aを中心にして揺動することで、筐体に対して開閉することが可能になっている。開閉カバー51が開くと、給紙搬送路27や送込搬送路が外部に露出してそれら搬送路内に詰まったジャム紙を容易に取り除くことができる。開閉カバー51は、2次転写ニップや、2次転写ニップの前後、で詰まってしまった記録紙を筺体の外部に露出させるための開閉扉なのである。この開閉カバー51を開いたときには、レジストローラ対28を中間転写ベルト10から離間させた方が、ジャム紙の取り除き作業性を向上させることができる。
【0079】
そこで、開閉カバー51の開動作が行われた際には、光学センサユニット150を第2位置に待避させるとともに、2次転写ローラ21を中間転写ベルト10から離間させるように、センサ移動手段を構成している。具体的には、レジストローラ対28から記録紙を送り出しているときには、既にべたように、光学センサユニット150、2次転写ローラ21を次のような位置に存在させている。即ち、光学センサユニット150を送込搬送路内から外れた第2位置に存在させるとともに、2次転写ローラ21を当接位置に存在させて2次転写ニップを形成するようになっている。2次転写ニップやその前後におけるジャム紙の発生は、このときに発生することが殆どであり、2次転写ローラ21が中間転写ベルト10に当接している。このままでは、ジャム処理性が悪いので、この状態で開閉カバー51が開かれた場合には、その開動作に連動させて2次転写ローラ21を離間位置まで移動させるように、センサ移動手段を構成しているのである。このとき、光学センサユニット150については、送込搬送路内から外れた第2位置に存在させているので、そのまま第2位置に係止する。
【0080】
また、光学センサユニット150が送込搬送路内の第1位置に存在し、且つ2次転写ローラ21が当接位置に存在しているタイミングでは、ジャム紙の発生する確率が少ないが、ごく希に、記録紙の後端が2次転写ニップに挟まれた状態で先端が路内に詰まることもある。また、ジャム紙の発生とは異なり理由により、ユーザーが前述のタイミングで開閉カバー51を開こうと考える場合もあり得る。これらの場合に、開閉カバー51が開かれると、2次転写ローラ21を当接位置から離間位置に待避させるとともに、光学センサユニット150を第1位置から第2位置に待避させるように、センサ移動手段を構成している。光学センサユニット150を第1位置から第2位置に待避させることで、ユーザーが外部に露出した第1位置に存在する光学センサユニット150を触ってしまうといった事態の発生を回避することができる。
【0081】
なお、開閉カバー51の開動作と、光学センサユニット150や2次転写ローラ21の移動との連動については、機構的によって実現してもよいし、制御によって実現してもよい。例えば、制御によって開閉カバー51の動作との連動を実現する場合には、次のようにすればよい。即ち、第1実施例に係るプリンタにおいては、上述のカム175のカム面が、カム175の所定の第1回転位置で光学センサユニット150を第2位置に移動させるとともに、2次転写ローラ21を当接位置に移動させる一方で、第2回転位置で光学センサユニット150を第1位置に移動させるとともに、2次転写ローラ21を離間位置に移動させる機能を具備していた。カム面として、前述の機能に加えて、第3回転位置で光学センサユニットを第2位置に移動させるとともに、2次転写ローラ21を離間位置に移動させる機能を付加したものを採用する。そして、開閉カバー51の開動作を検知する周知の検知センサを設け、この検知センサによって開動作を検知した場合に、カム175を前述の第3回転位置まで回転させればよい。
【0082】
これまで、第1ベルト領域と第2ベルト領域とが何れもベルト掛け回し領域であり、且つ第1ベルト領域が第2ベルト領域よりもベルト掛け回し領域の中心Laにより近くなっており、第1位置が第1ベルト領域に対向する位置になっており、且つ第2位置が第2ベルト領域に対向する位置になっている構成を採用したプリンタについて説明してきたが、次のようにしてもよい。即ち、第1位置がベルト掛け回し領域に対向する位置であるのに対し、第2位置がベルト掛け回し領域に対向しない位置であるという構成である。
【0083】
また、プリント命令などといったユーザーの命令に基づくトナー像を、感光体から中間転写ベルト10上に転写する構成のプリンタについて説明してきたが、かかるトナー像を次のように転写するようにしてもよい。即ち、特許文献1に記載の画像形成装置のように、感光体からベルト部材に直接転写するのである。かかる構成であっても、位置ズレ検知用パターンについては、ベルト部材上の記録紙ではなく、ベルト部材の表面に転写することで、反射型フォトセンサに対して位置ズレ検知用パターンを検知させることが可能である。
【0084】
以上、実施形態に係るプリンタにおいては、特定の部材としての記録紙Pを上記第1位置に進入させるときには、光学センサユニット150を上記第1位置から上記第2位置に待避させるように、センサ移動手段を構成している。かかる構成では、光学センサユニット150を第1位置に存在させつつ送込搬送路内に記録紙Pを送り込んでしまうことによるジャム紙の発生を回避しつつ、光学センサユニット150に対して第1位置で階調パターン像やパッチパターン像を精度良く検知させることができる。
【0085】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、転写手段たる転写ユニット9が、記録紙Pを中間転写ベルト10の表面に密着させる転写位置としての2次転写ニップで、中間転写ベルト10の表面上のトナー像を記録紙Pに転写するものであり、記録紙Pを所定のタイミングで2次転写ニップに向けて送り込む送込手段としてのレジストローラ対28が、プリンタ本体の筺体内に配設され、所定のタイミングで第1位置に進入する特定の部材が、レジストローラ対28から2次転写ニップに向けて送り込まれる記録紙Pであり、且つ、上記第1位置が、記録紙Pをレジストローラ対28から2次転写ニップに向けての搬送するための送込搬送路内の位置である。かかる構成では、光学センサユニット150に対して階調パターンやパッチパターンを精度良く検知させる第1位置として、所定のタイミングだけ記録紙が送り込まれる送込搬送路を利用することで、装置の大型化を回避することができる。
【0086】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、光学センサユニット150との対向位置でベルト掛け回し領域を形成する張架ローラとして、転写位置たる2次転写ニップで中間転写ベルト10を張架している張架ローラである駆動ローラ12に対してベルト移動方向の上流側で隣り合っている2次転写ニップ入口ローラを採用している。かかる構成では、2次転写ニップ入口ローラ14に対するベルト掛け回し箇所に対して光学センサユニット150を対向させることで、送込搬送路内を光学センサユニット150に対してパターンを精度良く検知させるための第1位置として有効利用することを容易に実現することができる。
【0087】
また、第1実施例に係るプリンタにおいては、光学センサユニット150との対向位置でベルト掛け回し領域を形成する張架ローラである2次転写ニップ入口ローラ14の回転中心を中心にして光学センサユニット150を揺動させるように、センサ移動手段を構成している。かかる構成では、既に述べたように、光学センサユニット150を移動可能に支持する支持手段を新たに設けることなく、光学センサユニット150を第1位置と第2位置との間で移動可能にすることができる。更には、光学センサユニット150の移動位置にかかわらず、ベルト面とセンサ検知面との距離を一定にするので、光学センサユニット150に微妙な停止位置ズレが生じたとしても、それによる検知誤差の発生を回避することができる。
【0088】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、上記第2位置で光学センサユニット150と中間転写ベルト10との間に介在して光学センサユニット150を保護する保護部材102を設けている。かかる構成では、中間転写ベルト10のおもて面から第2位置にある光学センサユニット150の各反射型フォトセンサの検知面に向けて落下するトナーを検知面到達前に保護部材102で受けることにより、検知面のトナー汚れの発生を抑えることができる。これにより、トナー汚れの進行に起因する経時的な検知能力の低下を抑えることもできる。
【0089】
また、実施形態に係るプリンタにおいては、上記第1位置から上記第2位置に向けて移動してくる光学センサユニット150に摺擦して各反射型フォトセンサの検知面を清掃する清掃部材としての清掃ブラシ103を保護部材102に固定している。かかる構成では、各反射型フォトセンサの検知面にトナー汚れを発生させたとしても、清掃ブラシ103による清掃でそのトナー汚れを取り除くことができる。これにより、トナー汚れの進行による検知精度の悪化を回避することもできる。
【0090】
また、第2実施例に係るプリンタにおいては、送込搬送路内の記録紙Pを2次転写ニップに向けて案内する第1搬送ガイド板41を光学センサユニット150とともに移動させるように、センサ移動手段を構成している。かかる構成では、既に説明したように、光学センサユニット150を通過させるための大きな開口を第1搬送ガイド板41に設ける必要がなくなることで、第1搬送ガイド板41の開口に記録紙を引っ掛けることによるジャムの発生を回避することができる。
【0091】
また、第3実施例に係るプリンタにおいては、中間転写ベルト10に当接して2次転写ニップを形成する転写ニップ形成部材たる2次転写ローラ21を設けるとともに、上記第1位置から上記第2位置への光学センサユニット150の移動に連動させて2次転写ローラ21を中間転写ベルト10に接触させる一方で、上記第2位置から上記第1位置への光学センサユニット150の移動に連動させて2次転写ローラ21を中間転写ベルト10から離間させるように、センサ移動手段を構成している。かかる構成では、既に述べたように、2次転写ローラ21の接離動作と、光学センサユニット150の移動動作とを1つの駆動源(カム駆動モータ)によって実施することで、それぞれの動作をそれぞれ個別の駆動源で実施する場合に比べて、低コスト化や制御プログラムの簡素化を図ることができる。
【0092】
また、第1具体例に係るプリンタにおいては、送込手段たるレジストローラ対28の駆動力を利用して光学センサユニット150を移動させるように、センサ移動手段を構成している。かかる構成では、光学センサユニット150を移動させるセンサ移動手段の駆動源としてレジスト駆動モータを兼用することで、レジストローラ対28とセンサ移動手段とをそれぞれ個別の駆動源で駆動する場合に比べて低コスト化を図ったり、制御プログラムの簡素化を図ったりすることができる。
【0093】
また、具体例2に係るプリンタにおいては、2次転写ニップやその前後で詰まってしまった記録紙Pであるジャム紙をプリンタ本体の筺体の外部に露出させるための開閉扉としての開閉カバー51を筺体に設け、開閉カバー51の開動作が行われた際には、光学センサユニット150を第2位置に待避させるとともに、2次転写ローラ21を中間転写ベルト10から離間させるように、センサ移動手段を構成している。かかる構成では、既に述べたように、この開閉カバー51が開かれたときに、レジストローラ対28を中間転写ベルト10から離間させることで、ジャム紙の取り除き作業性を向上させることができる。また、開閉カバー51が開かれたときに、光学センサユニット150を上記第2位置に待避させることで、ユーザーが外部に露出した第1位置に存在する光学センサユニット150を誤って触ってしまうといった事態の発生を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
【図2】実施形態に係るプリンタの2次転写ニップの周囲を拡大して示す拡大構成図。
【図3】階調パターン及びパッチパターンの変形例を示す模式図。
【図4】光センサユニットの第2位置から第1位置への移動を説明するための拡大構成図。
【図5】第2実施例に係るプリンタの光学センサユニットと、その周囲構成とを示す拡大構成図。
【図6】同プリンタにおける光学センサユニットの第2位置から第1位置への移動を説明するための拡大構成図。
【図7】第3実施例に係るプリンタにおける光学センサユニットの第2位置から第1位置への移動を説明するための拡大構成図。
【図8】図8は、第2具体例に係るプリンタの一側端部を示す拡大構成図。
【図9】実施形態に係るプリンタにおける電気回路の一部を示すブロック図。
【図10】実施形態に係るプリンタの中間転写ベルト上に形成される階調パターン像を示す斜視図。
【図11】感光体の電位とトナー付着量との関係をxy座標にプロットしたグラフ。
【図12】実施形態に係る中間転写ベルト上に形成されるパッチパターンを示す斜視図。
【図13】実施形態に係るプリンタの光学センサユニットと、その周囲構成とを示す拡大構成図。
【図14】第3実施例に係るプリンタのセンサ移動手段に具備されるリンク機構と、転写ユニットの一部とを示す斜視図。
【符号の説明】
【0095】
1:プリンタ
10:中間転写ベルト(ベルト部材)
12:駆動ローラ(張架ローラ)
13:クリーニングバックアップローラ(張架ローラ)
14:2次転写ニップ入口ローラ(張架ローラ)
15:テンションローラ(張架ローラ)
21:2次転写ローラ(ニップ形成部材)
25:給紙カセット
26:給紙ローラ
27:搬送ローラ
28:レジストローラ対(送込手段)
40:第2搬送ガイド板
41:第1搬送ガイド板
51:開閉カバー(開閉扉)
102:保護部材
103:清掃部材
150:光学センサユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する像担持体と、回転可能な複数の張架ローラによって張架された状態で無端移動せしめられる無端状のベルト部材と、該像担持体上に担持されたトナー像を該ベルト部材の表面に転写する転写手段と、該ベルト部材の表面における光学特性の変化に基づいて、該表面上のトナー像、あるいは該トナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量、を検知する光学センサと、該光学センサによる検知結果に基づいて所定の処理を実施する制御手段とを備え、複数の上記張架ローラのうちの何れか1つに対する該ベルト部材の掛け回し領域に対してベルトおもて面側から対向する第1位置に、トナー像を記録するための記録部材あるいは駆動手段によって移動せしめられる所定の部材を一時的に進入させる画像形成装置において、
上記掛け回し領域に対向しない第2位置と、上記第1位置との間で上記光学センサを移動させるセンサ移動手段を設け、
該第1位置にある該光学センサによる検知結果に基づいて、上記所定の処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
トナー像を担持する像担持体と、回転可能な複数の張架ローラによって張架された状態で無端移動せしめられる無端状のベルト部材と、該像担持体上に担持されたトナー像を該ベルト部材の表面に転写する転写手段と、該ベルト部材の表面における光学特性の変化に基づいて、該表面上のトナー像、あるいは該トナー像に対する単位面積あたりのトナー付着量、を検知する光学センサと、該光学センサによる検知結果に基づいて所定の処理を実施する制御手段とを備え、複数の上記張架ローラのうちの何れか1つに対する該ベルト部材の掛け回し領域内の領域である第1ベルト領域に対してベルトおもて面側から対向する第1位置に、トナー像を記録するための記録部材あるいは駆動手段によって移動せしめられる所定の部材を一時的に進入させる画像形成装置において、
上記掛け回し領域におけるベルト移動方向の中心に対し上記第1ベルト領域よりも離れたところにある上記掛け回し領域内の領域である第2ベルト領域、にベルトおもて面側から対向する第2位置と、上記第1位置との間で上記光学センサを移動させるセンサ移動手段を設け、
該第1位置にある該光学センサによる検知結果に基づいて、上記所定の処理を実施するように、上記制御手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2の画像形成装置において、
上記特定の部材を上記第1位置に進入させるときには、上記光学センサを上記第1位置から上記第2位置に待避させるように、上記センサ移動手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項3の画像形成装置であって、
上記転写手段が、記録部材を上記ベルト部材の表面に密着させる転写位置で該ベルト部材の表面上のトナー像を該記録部材に転写するものであり、
該記録部材を上記所定のタイミングで該転写位置に向けて送り込む送込手段が、画像形成装置本体の筺体内に配設され、
上記特定の部材が、該所定のタイミングで送込手段から該転写位置に向けて送り込まれる該記録部材であり、
且つ、上記第1位置が、該記録部材を該送込手段から該転写位置に向けての搬送するための送込搬送路内の位置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4の画像形成装置において、
上記掛け回し領域を形成する張架ローラとして、
上記転写位置で上記ベルト部材を張架している張架ローラに対してベルト移動方向の上流側で隣り合っている張架ローラを採用したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかの画像形成装置において、
上記掛け回し領域を形成する張架ローラの回転中心を中心にして上記光学センサを揺動させるように、上記センサ移動手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかの画像形成装置において、
上記第2位置で上記光学センサと上記ベルト部材との間に介在して該光学センサを保護する保護部材を設けたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7の画像形成装置において、
上記第1位置から上記第2位置に向けて移動してくる上記光学センサに摺擦して該光学センサを清掃する清掃部材を上記保護部材に固定したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項4の画像形成装置において、
上記送込搬送路内の記録部材を上記転写位置に向けて案内する搬送ガイド板を上記光学センサとともに移動させるように、上記センサ移動手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項4又は9の画像形成装置において、
上記ベルト部材に当接して上記転写位置としての転写ニップを形成する転写ニップ形成部材を設けるとともに、
上記第1位置から上記第2位置への上記光学センサの移動に連動させて該転写ニップ形成部材を該ベルト部材に接触させる一方で、該第2位置から該第1位置への該光学センサの移動に連動させて該転写ニップ形成部材を該ベルト部材から離間させるように、上記センサ移動手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項4、9又は10の画像形成装置において、
上記送込手段の駆動力を利用して上記光学センサを移動させるように、上記センサ移動手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項10又は11の画像形成装置において、
上記転写ニップ、あるいは該転写ニップの前後、で詰まってしまった記録部材を上記筺体の外部に露出させるための開閉扉を該筺体に設け、
該開閉扉の開動作が行われた際には、上記光学センサを上記第2位置に待避させるとともに、上記転写ニップ形成部材を上記ベルト部材から離間させるように、上記センサ移動手段を構成したことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−209898(P2008−209898A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−303168(P2007−303168)
【出願日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】