説明

粉体および被膜を用いたマイクロレーザピーニング処理およびマイクロレーザピーニング処理部品

【課題】自動車などの輸送機器や回転機械の部品であるベアリング、軸受けなど回転摩耗や粘着摩耗等を受ける摺動面の耐摩耗性および耐焼付き性を改善するレーザピーニング処理法を提供する。
【解決手段】各種金属材料及び樹脂部品1の表面に樹脂、金属、セラミックス、潤滑材、硬化材などの粉体および皮膜2を付着させた後、その上にレーザ吸収増強皮膜3を設けさらにその上にレーザ干渉膜を形成しその上から、短パルス高ピーク出力のレーザを集光して、レーザピーニング処理する。被加工物表面に微細なくぼみが生じ、そのくぼみに潤滑油溜まりができ、潤滑性や摺動性、耐摩耗性を向上させる。また、その表面では異物粉体が表面層に埋め込まれた改質層が形成する。その結果、表面には大きな圧縮残留応力の導入、表面積の拡大、組織の硬化、組織の微細化、表面直下の空洞の消滅など表面層の改質効果が起こる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種金属製品・部品、金属鋳物、溶接継手などの機械的性質、疲労強度、耐摩耗性、耐摺動性などを改善する新しい1つの方法を提案するものであり、その応用分野は多岐にわたり、工具、機械製品、輸送機器、高速回転装置、事務機器、医療機器など関連し、軸受け部材、ベアリンブ、摺動部品、ピストン、ブッシュ、シャフト、ローラーなどの機械部品および金属部材や、乗物用の動力機械の部品、動力機械器具、水力機械器具、表面処理用機械要素の寿命の著しい向上をもたらす技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、ピストン、ブッシュ、クランクシャフトなど乗物用の動力機械の部品、ローラー、シャフト、コンベヤなど動力機械器具、ピストン、シリンダー、ベアリング、軸受けなど回転摩耗や粘着摩耗等の起こる摺動面は潤滑油を注ぎ摩擦係数を低下させ、リン酸被膜処理や酸化被膜処理のメッキ処理や金属コーティングの表面コーティング処理により特殊な被膜を作り焼付きや表面摩耗を防止している。また、セラミックス粉体や二硫化モリブデンなどの固体潤滑材を塗布し、潤滑油溜まりを表面に形成し耐摩耗性や耐焼付き性の向上を計っている。しかし、機械製品の高性能化、高速回転を促進するためにさらに耐摩耗性や耐焼付き性の向上が望まれている。本発明はレーザ粉体ピーニング処理あるいは超音波レーザ多重ピーニング処理を用いて、その回転面や摺動面に無数の微細なくぼみを発生させ、回転抵抗をより面接触から点接触にすることによりその摺動特性や耐摩耗性を改善する技術を提供するものである。
【0003】
近年、アルミニウム合金やマグネシウム合金などの軽金属製鋳造品が電子機器や輸送機器製品の軽量化のために多く利用されているが、その表面は耐摩耗性や耐引かき性が低く、その表面に各種コーティングを施し、又は、半凝固状態でダイキャスティングするなどの処理により品質の向上を計っている。また、表面近傍や鋳造品内部に各種欠陥があると歩留まりが大きく低下する。また、塑性加工、溶接、鋳造など熱加工をした各種金属製品や溶接継手などはその表面形状、例えば、鋳造材の凹凸部などが十分滑らかでなく、後加工を必要としたり、その表面近傍に引張残留応力を残したり、材質の劣化を起こしたりする。
【0004】
オーステナイト系ステンレス鋼の溶接部は溶接の引張の残留応力により腐食環境下で応力腐食割れなどが発生しやすい。ニッケル超合金は融点直下の高温加熱で粒界脆化を起こすなど、各種金属を高温に加熱すると金属組織的にも強度的にもいろいろな問題が生じる。
ジュラルミンのような熱処理型のアルミニウム合金やマグネシウム合金は融点も低く、溶接の熱によりその熱影響部は容易に軟化するのが現状であり、その継手効率(母材強度に対する溶接継手の強度の比)は50%から約90%であり、それを100%迄に高めることが困難である。どうしても100%にする時は 溶接後、熱処理を構造物に対して実施している。
【0005】
新交通システムとして地下鉄内でも手軽に持ち運びできるマグネシウム合金製3つ折り超軽量自転車があるが、このフレームの溶接部では熱影響部が軟化する問題があり、ショットピーニングなどにより、強化されることが望まれている。
これらは高度な機能が要求される航空機、原子力プラント、自動車、高速列車、宇宙機器、救命機器などの構造物では大きな問題となる。これら製品や構造物の部品性能の向上が
ひいては製品の性能向上および寿命の延長に繋がる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
乗物用の動力機械の部品、動力機械器具、ベアリング、軸受けなど回転摩耗や粘着摩耗等を受ける摺動面の耐摩耗性および耐焼付き性の向上により、今まで不十分であった金属部品のより高速回転、無潤滑化および長寿命化をはかる。さらに、軽金属製鋳造品の表面の
耐摩耗性や耐引かき性を向上し、品質の向上、表面近傍や鋳造品内部に各種欠陥の除去、歩留の向上を計る。また、熱加工した各種金属製品や溶接継手の表面形状を滑らかにし、その表面近傍の引張残留応力を圧縮残留応力に変えることにより、疲労強度の向上を計り、その材質の劣化を防止する。
【0007】
腐食環境下で発生しやすい金属製品(例:溶接継手)の応力腐食割れを防止し、高温加熱で粒界脆化を起こす各種金属の材料学的問題を解決する。また、熱処理系のアルミニウム合金やマグネシウム合金の溶接熱影響部の軟化を防止し、その継手効率の向上を計る。
これらは高度な機能が要求される航空機、原子力プラント、自動車、高速列車、宇宙機器、救命機器などの構造物では大きな問題となる。これら製品や構造物の部品性能の向上が
ひいては製品の性能向上および寿命の延長に繋がる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
図1の示すように、鉄鋼材料、鋳物材、非鉄金属ダイキャスト鋳物、チタン合金、アルミニウム合金やマグネシウム合金、ニッケル合金、銅合金、銀、金の金属材料及び樹脂製品である被加工物1に金属粉体、炭化物や酸化物のセラミックス粉体、触媒金属、半導体、水素貯蔵合金、カーボンナノチューブ、ダイヤモンドの粉体、cBNの粉体、超硬合金、アモルファス合金、ニッケル超合金、二硫化モリブデンン、金属間化合物、又は、フッ素系樹脂の固体潤滑材、又は、硬化材2を塗布、メッキ処理、溶射、溶着又は超音波ピーニングにより付着させ、その上に被加工物を衝撃波から守る皮膜としてグラファイト、黒色ペンキあるいは離型材などを塗布したレーザ吸収増強被膜3を設け、さらに、その上に水、油、ガラスまどのレーザ干渉膜4をおき、ナノ秒オーダーの短パルス高ピーク出力1メガW以上のレーザ5を用いて 集光光学系6を通して集光し、被加工物1の表面にレーザピーニング処理をするレーザ粉体ピーニング処理、又は、レーザ皮膜ピーニング処理 を施す。この場合、プラズマ数ギガPa圧の発生による衝撃効果を高めるために 水や油のレーザ干渉膜やフィルムなどの干渉膜4を用いる場合もある。その結果、図2に示すように被加工物7表面にミクロンオーダーの微細なディンプル、くぼみが微細塑性加工の結果複数生じ、その表面では異物粉体が表面層に埋め込まれた改質層8が形成する。その結果、表面には大きな圧縮残留応力の導入、表面積の拡大、組織の硬化、組織の微細化、表面直下の空洞の消滅など表面層の改質効果が起こる。
また、図1に示すようにレーザビームおよび集光光学系を位置(A)から位置(B)や位置(C)にコンピュータ制御で揺動、又は、オシレーションさせることにより、被加工物表面や凹凸部を全面あるいは局部的にレーザピーニングでき、効率的、局部的に表面処理してこれらの表面改質効果をもたらすことができる。
【0009】
図1で粉体、固体潤滑材、又は、硬化材2の代わりに被膜を用いるレーザ被膜ピーニング処理では、図3に示すように被加工物9表面にリン酸被膜処理や酸化被膜処理の表面処理、金属メッキ処理、溶射、溶着の金属コーティング、セラミックコーティング処理を施した被膜10を設けた後、その上にビーム吸収増強型被膜としてグラファイト、黒色ペンキ、フィルムあるいは離型材を塗布又は供給したビーム吸収増強被膜11を設け、さらにその上にレーザ干渉膜12を設け、ナノ秒オーダーの短パルス高ピーク出力1メガW以上のレーザ13を用いて 集光光学系14を通して集光し、被加工物9表面にレーザピーニング処理をするレーザ被膜ピーニング処理を施す。そして、図4に示すように、その表面にミクロンオーダーの微細なくぼみの改質層16を生成すると同時に上述の被膜層を打込む表面処理方法である。この場合も、プラズマの発生による衝撃効果を高めるために レーザを透過する水や油の干渉液やフィルムなどの干渉膜12(図3中)を用いる場合もある。
図1において1被加工物、2固体潤滑材および硬化材、3ビーム吸収増強被膜、4透過レーザ干渉膜、5レーザビーム、6集光光学系を示す。図2において、7被加工物、8微小ディンプル下の固体潤滑材および硬化材を示し、図3において、9被加工物,10メッキ処理、金属コーティング、セラミックコーティング処理を施した被膜、11ビーム吸収増強被膜、12レーザ干渉膜、13レーザビーム、14集光光学系を示す。図4において、15被加工物、16レーザピーニングされた微小ディンプル表面の改質層を示す。
【0010】
本発明で用いる固体潤滑材および硬化材2の表面に塗布するビーム吸収増強被膜6及び11にはレーザの吸収を向上させ、かつ被加工物を衝撃波から守る保護被膜としてグラファイト塗布、黒色ペンキあるいは離型材を塗布した被膜、例えば、透明なフィルム、ナイロン膜、金属被膜あるいはガラス被膜などを用いる。
【0011】
被加工物表面が平坦でなく、球状であったり、円筒状であったり、表面に凹凸があったり、溶接継手のように両端に止端部があるような場合には図5に示すように、被加工物17表面に、金属粉体、炭化物や酸化物のセラミックス粉体、ダイヤモンドの粉体、cBN の粉体、超硬合金の粉体、アモルファス合金、ニッケル超合金、二硫化モリブデンン、金属間化合物およびフッ素系樹脂などの固体潤滑材や硬化材23をキャリヤガス22アルゴンなどと噴射ノズル21を用いて高速で表面に噴射すると同時に、その上からビーム吸収増強被膜あるいは帯状またはフィルム状のレーザ吸収増強被膜19を作る必要があるので、送給装置24をノズル上部近傍に設けて19を加工部に供給することにより固体潤滑材や硬化材18を覆いその直後に、その噴射された箇所にナノ秒オーダーの短パルス高ピーク出力1メガW以上のレーザを用いてレーザ粉体ピーニング処理をする。
図5において、17被加工物、18噴射された粉体、固体潤滑材や硬化材、19レーザ吸収増強被膜、20レーザビーム、21噴射ノズル、22キャリヤガス、アルゴンなど、23噴射する粉体、固体潤滑材や硬化材、24レーザ吸収増強被膜送給装置である。
【0012】
用いるレーザの種類は、レーザ透過干渉膜、水、油およびフィルムなど干渉液・膜を十分透過できる波長のレーザ(例えば、水を干渉液とする時は波長532nmのYAGレーザの2倍波あるいは波長1,063nmのガラスレーザ)で、パルス幅が数ns〜数10nsの幅で、そのパルスエネルギーが約数100mJから数Jで、そのピーク出力が数百メガWから数ギガWのレーザがあれば、水を用いて数10Hzから数100Hzでレーザピーニング処理を行うことが可能である。なお、照射するレーザビームはレンズなどで集光され、非加工物の表面では約mm以下に絞られたレーザビームを用いる必要がある。なお、これらのレーザ照射条件は材質の違いや利用目的の違いにより大きく異なる。水や油の干渉液の層は5mm以下の厚みでもよく、流水を用いることも可能である。またレーザ干渉膜としてはレーザを透過する写真フィルムのような干渉膜も利用できる。特にレーザ粉体ピーニングで用いる帯状フィルムは10ミクロンから500ミクロンの厚さで数mmの幅を持つコイル状のものを利用できる。また、レーザを透過するガラスなども利用できる。
【0013】
金属コーティングなどの表面処理加工を施した金属部材表面や、金属間化合物およびフッ素系樹脂、又は、固体潤滑材および硬化材を塗布した金属部材表面に、超音波ピーニング処理を施す場合には、その打撃針の先端で被加工物表面層に軽く溝加工を行った後、レーザピーニング処理でより深くまでディンプルを生じるようにピーニングする。この超音波レーザ多重ピーニング処理するときは、その表面を改質する表面処理法図1および図3に於いて用いる集光光学系は多点化、X−Yガルバノミラー利用などの方法により、高速移動を行うように工夫し、コンピュータ制御することにより、時間あたりの処理速度を高めることも可能である。
【0014】
材料表面を浸炭あるいは浸窒処理した部材、金属あるいはセラミックコーティングした
部材、および金属、セラミックスなどの微粒子粉体を噴射した部材などの表面では粉体がディンプル中に散在し、直後にレーザピーニングできないことがある。このような場合は、超音波ピーニング処理してこれらの粉体をより表面に埋め込み、その後、通常にレーザ粉体ピーニングをレーザ吸収増強型被膜やレーザ干渉膜を用いてピーニングする必要がある。またはコイル状フィルムなどのレーザ干渉膜を用いて、粉体噴射部の粉体を押さえてレーザピーニングをする必要がある。この場合も必要があれば、被加工物を衝撃波から守る皮膜としてグラファイト塗布、黒色ペンキあるいは離型材などのレーザ吸収増強型被膜をフィルムの下部に塗布しつつ実施することで改質処理が可能となる。
【0015】
レーザ粉体ピーニング処理あるいは超音波レーザ多重ピーニング処理では、図6に示すクランクシャフトなどの機械部品25の回転部摺動面26に、無数の微細な数μm〜数10μmのくぼみ27を形成することにより、摩耗し易い摺動面を改質および形状保持を計り、回転抵抗に対してより面接触から点接触にする移行することおよびディンプル中に潤滑油が溜まり、機械部品の摺動特性や耐摩耗性を改善できるばかりでなく、回転抵抗が低くなることにより、今まで以上に高速回転が可能になる。
【0016】
レーザ被膜ピーニング処理、レーザ粉体ピーニング処理あるいは超音波レーザ多重ピーニング処理法を用いて、金属や樹脂やセラミックス表面に無数の微細なくぼみをつけ、又、金属や樹脂やセラミックスなどへの異物埋め込む加工および溝加工をすることにより、金属や樹脂製品の表面改質のみならず。溝加工、パターニング、模様付け、エッジ加工、バリ取り加工、不純物除去、ディンプル加工などの彫刻・除去加工を行うことができ、製品の表面形状を変えたり、微細な模様をつけたりする加工も可能となる。できたディンプルに減摩剤を塗布すれば、板材の塑性加工に対する成形性を向上させることが可能になり、深しぼり性を向上できる。また、ディンプルに潤滑油を塗れば、上述のように回転を容易にし、耐摩耗性、耐焼付き性を向上できる。
【0017】
レーザピーニングする際に、三角形、四角形、多角形、円形、楕円形などの穴を多数設けた金属製またはセラミックス製のマスクを用いて、ピーニング処理する箇所としない箇所を区別してレーザピーニングすれば、精密機械部品の摺動面に摺り合わせ加工のキサゲ模様と同様な形状の微小なくぼみを、被加工物表面に形成することができ、所望の表面状態に加工することができる。キサゲ模様と同様な形状の微小なくぼみを、被加工物表面に多数形成するために、レーザピーニング処理時にレーザビームをX−Yスキャナー装置にて使用し、ビーム操作をコンピュータ制御にて用いて高速操作することにより、所用のディンプル、くぼみを複数形成するようにしたレーザピーニング処理ができるので、自動化が可能となる。現在、熟練技能者が行っているキサゲ加工を自動化できる。
この処理に用いるマスクは厚さ0.1mmから5mmの高硬度の金属製およびセラミックス製のマスクを利用できる。
【発明の効果】
【0018】
レーザ粉体ピーニング、レーザ皮膜ピーニング、超音波レーザ多重ピーニングの効果は幅広く、次のような効果が期待できる。
金属や樹脂の部材表面に、各種異物、金属、セラミックス、金属間化合物、炭化物、窒化物の粉体や被膜を埋め込みまたは付着させ、かつ微小なディンプルを無数に生成することにより、他のレーザピーニング処理よりも大きな塑性変形が生じ、被加工物の表面に大きな圧縮残留応力を導入できる。これにより、製品または部品の強靭化、耐摩耗性や耐摺動性の向上のみならず、製品の疲労強度や寿命の向上、耐食性、耐熱性の向上が可能となる。
また、ディンプルの形状および分布をミクロ的に制御できるので、表面をキサゲ加工のようにマクロ的な凹凸部をより微細な凹凸部に変え、より平滑にできる。逆に、ミクロンオーダーの適度な大きさの凹凸部をベアリングや軸受けなどの機械部品の摺動面に形成させ、潤滑油や減摩剤を溜める為のくぼみとすれば、製品の耐摩耗性、耐摺動性、焼付き特性を改善できる。
照射部周囲は塑性変形により圧縮残留応力が誘起されるので、これにより亀裂の進展が困難になり、製品の疲労亀裂、応力腐食割れ、クリープ変形の進展が抑制される。
金属や樹脂に塑性変形が誘起されると同時に、ミクロ的には金属や樹脂の内部に転位が増殖され、転位密度が著しく増加するので、静的強度の向上および靭性も向上する。また、半凝固状態の鋳造物のような金属部品にピーニングしたときは金属組織が微細化し、強靭化が可能となる。
被加工物表面に金属製またはセラミックス製マスクを用いて、ピーニング処理により微細なディンプルを形成する部分と形成しない部分を明確に分けることができ、これをX−Yビームスキャナーおよびコンピュータ制御により、各種パターンを表現できるので、製品の表面の性能を多様化できる。例えば、ダル加工のような光学的に反射率の高い部分と低い部分にパターン化できる。
ピーニングを部品のエッジ加工やバリ取り加工に用いれば、その部品端部(エッジ)にディンプルを形成(圧縮残留応力付与)したり、エッジを丸み帯びた形状にしたり、エッジ部を硬化させたり、バリなどの不純物を除去することができる。
鋳造物に適用すれば、表面の凹凸を滑らかにできるとともに、表面近傍の組織中にある、鋳物巣、微細な亀裂、欠陥を押しつぶすことが可能でその表面性能を向上できる。
地球資源の有効利用に大きく寄与する。現在、各種金属は構造物として、部品として広く利用されているが、これらの構造物に適用すれば、その強度の向上、応力腐食割れに対する防止効果、疲労寿命の向上、亀裂の進展防止などより、製品そのものの寿命を向上し、金属材料の消耗を大きく押さえることができるので、限定された埋蔵量の各種金属を有効に長く活用できる。
9) 各種溶接適用製品である自動車、船舶、建築物、橋梁、化学容器、パイプライン、化学プラント、ポンプ機器類の機械部品、電機製品、各種機械類などの溶接部は繰り返し荷重を使用中に受けやすく、疲労や応力腐食割れを受けやすいが、これらの溶接継手にレーザ粉体ピーニング、レーザ被膜ピーニング又は超音波レーザ多重ピーニングを施せば、これら溶接製品の寿命を3倍にも10倍にも延命することができる。
10)機械部品の回転部摺動面に、無数の微細な数μm〜数10μmのくぼみを形成することにより、摩耗し易い摺動面の改質、硬化、又は軟化のみならず、接触面積を低減でき、形状保持を長時間にわたり可能にすることから、回転抵抗に対して 従来の面接触から点接触に移行でき、著しく回転抵抗を低減でき、今まで以上に高速回転が可能になる。また、ディンプル中に潤滑油が溜まり、それにより機械部品の摺動特性や耐摩耗性を改善できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
実施例を図7〜図13で説明する。図7に示す自動車用アルミニウム合金製エンジンブロック28のシリンダー内面29へのレーザピーニングの適用が考えられる。図8はこのシリンダー内面30内径20mm〜1000mmを被加工物としてレーザピーニングを適用する状況を示す。短パルス高ピーク出力数100メガWのレーザビーム31および集光光学系(放物面鏡)32を配置し、このシリンダー内面30に1〜2ミクロンのエンボス加工後、二硫化モリブデンン(潤滑材)を塗布、その上にレーザの吸収を向上させ、かつ被加工物を衝撃波から守る被膜としてグラファイトを約
0.1mm塗布し、その上にフィルムをレーザ干渉膜として置き、このレーザ干渉層を透してQスイッチのNd:YAGレーザの第2高調波をレーザパワー密度3.0ギガW/cm2, 繰り返し数毎秒100回(100Hz)、ビームスポット径(ワーク上でのビーム径)を0.5mmとして照射する。シリンダー全周にわたって微細なディンプルを形成させるために、ビーム集光光学系(レンズ)32およびビームの方向を90度偏向するためのプリズムミラー33をともに光学系回転装置34に保持させた上で回転しつつレーザ照射部35にレーザピーニングを実施する。この場合の加工光学系としては集光光学系(レンズ)32およびプリズムミラー33を用いないで、放物面鏡をプリズムミラーの代わりに用い、直接集光、および90度偏向して被加工物に照射するシステムも利用できる。
【0020】
この結果、被加工物のシリンダー内面30には図8に示すようにシリンダー内面ピーニング処理部35に無数の微小なディンプルが形成できる。 また、このシリンダーが鋳造アルミニウム合金製の時は鋳造時に生じたシリンダー内面近傍の鋳造欠陥(鋳物巣、ポロシティ、微細割れなど)がピーニング時の衝撃波圧力により圧縮され消滅する可能性もある。またレーザピーニング部35には圧痕(ディンプル)が形成され、確かに塑性変形も生じる。このように、アルミニウム合金の表面にディンプルが形成されるので、組織を微細化し、加工硬化が生じるのみならず、エンジン動作時にはエンジンオイルがピストンヘッド外周部とこのシリンダー内面の間に供給されるので、これがディンプル内に溜まり、有効に潤滑油として長時間動作する。また、ピストンとシリンダーの接触面積がディンプの面積分低減できるので、面接触から点接触状態になり、往復運動時の接触抵抗が低減できるのでシリンダーの寿命が大きく改善される。
【0021】
図9は鋼製ベアリングの模式図を示す。ベアリング外輪36の中に軸受け(ベアリングレース)37、ベアリング玉39が組込まれており、レーザピーニングする場所は軸受け(ベアリングレース)37の摺動面38である。この面に対してレーザ粉体ピーニング、レーザ被膜ピーニングあるいは超音波レーザ多重ピーニングを実施する。
その結果、図10に示すように軸受け37の摺動面38に微細なディンプル40が生じ、その表面は異物の埋め込みにより著しく強じん化される。またディンプル(微小なくぼみ)中に潤滑油が溜まり、潤滑効果を高める効果がある。ベアリングの動作中、くぼみが多数できることにより軸受けの摺動面38とベアリング玉39の間の接触面積が著しく低下して、回転抵抗が低下し、発熱も減少するので、超高速回転が可能になる。また、耐摩耗性、耐焼付き性の向上も期待でき、著しく寿命の向上が期待できる。
【0022】
図11に示す自動車用または舶用エンジンに用いられる軸受け部品(ベアリング)41やブッシュ(摺動材)の摺動面42に対してレーザ粉体ピーニング、レーザ被膜ピーニングあるいは超音波レーザ多重ピーニングを実施する。その結果、図11に示すように軸受け41の摺動面42に微細なディンプル
46が形成され、その表面近傍は異物の埋め込みにより著しく強じん化される。またディンプル(微小なくぼみ)中に潤滑油が溜まり、軸受けの潤滑効果を高める効果がある。ベアリングの動作中、くぼみが多数できることにより軸受けの摺動面38と回転体の間の接触面積が著しく低下して、回転抵抗が低下し、発熱も減少するので、超高速回転が可能になる。また、耐摩耗性、耐焼付き性の向上も期待でき、機械部品の寿命は著しく向上する。
【0023】
図12にピストンリングへのレーザピーニングの適用例を示す。鋳鉄製ピストンリング47の薄肉化が進んでいるが、そのためにはその外周や側面の摺動面48の摺動抵抗を低減し、耐摩耗性を向上させる必要がある。そこで、図12に示すようにQスイッチのNd:YAGレーザの第2高調波をレーザパワー密度3.0ギガW/cm2, 繰り返し数毎秒100回(100Hz)、ビームスポット径(ワーク上でのビーム径)を0.5mm〜1.0mmとして照射すれば、摺動面42に微細なディンプル46が複数形成され、その表面近傍は異物の埋め込みにより著しく強じん化される。またディンプル(微小なくぼみ)中に潤滑油が溜まり、軸受けの潤滑効果を高める効果がある。
ピストンの動作中、くぼみが多数できることによりピストンリングの摺動面48とピストンの間の接触面積が低下して、摺動抵抗が低下し、発熱も減少するので、超高速レシプロ運動が可能になる。また、耐摩耗性、耐焼付き性の向上も期待でき、ピストンの寿命は著しく向上する。
【0024】
図13にピストンへのレーザピーニングの適用例を示す。ピストン52の摺動特性および耐摩耗性の向上のためにその外周部の摺動面54にQスイッチのNd:YAGレーザ55の第2高調波を集光光学系(レンズ)56を通して、レーザパワー密度3.0ギガW/cm2, 繰り返し数毎秒100回(100Hz)、ビームスポット径(ワーク上でのビーム径)を0.5mm〜1.0mmとして照射すれば、摺動面42に微細なディンプル46が複数形成され、その表面近傍は異物の埋め込みにより著しく強じん化される。またディンプル(微小なくぼみ)中に潤滑油が溜まり、ピストンの潤滑効果および摺動特性を向上させる効果がある。ピストンの動作中、くぼみが多数できることによりピストンの摺動面54とエンジンブロック内面の間の接触面積が低下して、摺動抵抗が低下し、発熱も減少するので、超高速レシプロ運動が可能になる。また、耐摩耗性、耐焼付き性の向上も期待でき、ピストンの寿命は著しく向上する。
【0025】
なお、被加工物の表面に塗布する固体潤滑材や硬化材のレーザ吸収率が非常に低い場合には図14に示すように波長の異なる2種類のレーザ装置57および58を用いて、これをレーザ吸収率を改善することができる。この例はQスイッチ短パルスYAGレーザ装置(波長=1063nm)57を光ファイバー59で伝送し、これを波長532nmのグリーンレーザ装置のレーザと出射ユニットで合成し、被加工物に照射することにより、
波長が短かいほどレーザ吸収率が向上し、プラズマの発生を容易にできる。このようなレーザピーニングシステムを利用することにより、銅、金、銀、アルミニウムなどの金属に対してピーニング加工を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】レーザ粉体ピーニング処理の模式図
【図2】レーザ粉体ピーニング処理後の被加工物の表面層の拡大図
【図3】レーザ皮膜ピーニング処理の模式図
【図4】レーザ皮膜ピーニング処理後の被加工物の表面層の拡大図
【図5】噴射ノズルを用いたレーザ粉体ピーニング処理の模式図
【図6】摺動面に微細なディンプル(くぼみ)をもつ回転機器部品
【図7】自動車エンジンのシリンダー内面のレーザピーニングの適用例
【図8】自動車エンジンのシリンダー内面のレーザピーニングの機構
【図9】ベアリングの軸受け摺動面のレーザピーニング処理例
【図10】レーザピーニング処理されるベアリングの軸受け摺動面
【図11】軸受け摺動面のマイクロレーザピーニング処理
【図12】ピストンリングのレーザピーニング適用例
【図13】ピストンのレーザピーニング適用例
【図14】ハイブリッド・レーザピーニングシステム
【符号の説明】
【0027】
1 被加工物
2 固体潤滑材および硬化材
3 レーザ吸収増強皮膜
4 レーザ干渉膜
5 レーザ
6 集光光学系
7 被加工物
8 改質層
9 被加工物
10 被膜
11 ビーム吸収増強皮膜
12 レーザ干渉膜
13 レーザ
14 集光光学系
15 被加工物
16 改質層
17 噴射ノズル
18 噴射された粉体(固体潤滑材や硬化材)
19 レーザ吸収増強皮膜
20 レーザビーム
21 噴射ノズル
22 キャリヤガス
23 固体潤滑材や硬化材
24 送給装置
25 機械部品
26 摺動面
27 レーザピーニング処理された表面
28 シリンダブロック(被加工物)
29 シリンダ内面部
30 シリンダ内面
31 レーザビーム
32 集光光学系
33 プリズムミラー
34 光学系回転装置
35 ピーニング部
36 ベアリング外輪
37 軸受け
38 軸受け摺動面
39 玉
40 微細なディンプル
41 溝付き軸受け
42 軸受け摺動面
43 高ピーク出力レーザ
44 集光レンズ
45 溝
46 処理された微小ディンプル
47 ピストンリング
48 レーザピーニングされるピストンリング摺動面
49 高ピーク出力レーザ
50 集光レンズ
51 ピーニング処理された面(微小ディンプル多数)
52 ピストンヘッド
53 コンロッド
54 ピーニング処理される摺動面
55 高ピーク出力レーザ
56 集光レンズ
57 短パルス高ピーク出力固体レーザ装置
58 Qスイッチグリーンレーザ装置
59 光ファイバ
60 Qスイッチ
61 出射ユニット
62 被加工物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄鋼材料、鋳物材、非鉄金属ダイキャスト鋳物、チタン合金、アルミニウム合金やマグネシウム合金、ニッケル合金、銅合金、銀、金、樹脂の金属及び樹脂の製品表面に、リン酸皮膜処理や酸化被膜処理の表面処理加工、メッキ処理、溶射、溶着の金属コーティングや表面処理を施し、金属粉体、硫化物や酸化物の潤滑材、炭化物や酸化物のセラミックス粉体、触媒金属、半導体、水素貯蔵合金、カーボンナノファイバー、ダイヤモンドの粉体、cBNの粉体、超硬合金の粉体、アモルファス合金、ニッケル超合金、二硫化モリブデンン、金属間化合物、又は、フッ素系樹脂の固体潤滑材及び硬化材を塗布し、その上にレーザの吸収を増強し、かつ被加工物を衝撃波から守る被膜としてグラファイト、黒色ペンキ、フィルムあるいは離型剤を塗布したレーザ吸収増強被膜を設け、ナノ秒オーダーの短パルス高ピーク出力1メガW以上のレーザを用いてレーザピーニング処理をするレーザ被膜ピーニング処理、又は、レーザ粉体ピーニング処理を施すことにより、その表面にミクロンオーダーの微細なくぼみを複数生成すると同時に上述の固体潤滑材及び硬化材を打込む表面処理法
【請求項2】
鉄鋼材料、鋳物材、非鉄金属ダイキャスト鋳物、チタン合金、アルミニウム合金やマグネシウム合金、ニッケル合金、銅合金、銀、金、樹脂の金属及び樹脂の製品表面に、リン酸皮膜処理や酸化被膜処理の表面処理加工、メッキ処理、溶射、溶着の金属コーティングや表面処理を施し、金属粉体、硫化物や酸化物の潤滑材、炭化物や酸化物のセラミックス粉体、触媒金属、半導体、水素貯蔵合金、カーボンナノファイバー、ダイヤモンドの粉体、cBN の粉体、超硬合金の粉体、アモルファス合金、ニッケル超合金、二硫化モリブデンン、金属間化合物およびフッ素系樹脂の固体潤滑材や硬化材を、アルゴンや窒素ガスのキャリヤガスに混合して、噴射ノズルを用いて高速で被加工物の表面に噴射すると同時にこれら固体潤滑材や硬化材の上に、帯状フィルムのレーザ吸収増強被膜を被膜供給機より供給した後に、その噴射された箇所にナノ秒オーダーの短パルス高ピーク出力1メガW以上のレーザを用いてレーザ被膜ピーニング処理、又は、レーザ粉体ピーニング処理をすることにより、その表面にミクロンオーダーの微細なくぼみを複数生成すると同時に上述の固体潤滑材や硬化材を打込む表面処理法
【請求項3】
メッキ処理した金属表面や樹脂表面、又は溶射処理した金属表面や樹脂表面に、金属粉体、硫化物や酸化物の潤滑材、炭化物や酸化物のセラミックス粉体、触媒金属、半導体、水素貯蔵合金、カーボンナノファイバー、ダイヤモンドの粉体、cBNの粉体、超硬合金の粉体、アモルファス合金、ニッケル超合金、二硫化モリブデンン、金属間化合物、およびフッ素系樹脂、又は、固体潤滑材および硬化材を塗布または噴射すると同時またはその直後に、その噴射部にナノ秒オーダーの短パルス高ピーク出力1メガW以上のレーザを用いてレーザピーニング処理をするレーザ被膜ピーニング処理、又は、レーザ粉体ピーニング処理を行い、その表面にくぼみを複数成形することにより、金属製品表面の機能を、飛躍的に向上させる表面処理法。
【請求項4】
半凝固過程にある金属部材の表面を窒素ガスや、キャリヤガス雰囲気内において、ナノ秒オーダーの短パルス高ピーク出力1メガW以上のレーザを用いてレーザピーニング処理であるレーザ被膜ピーニング処理、又は、レーザ粉体ピーニング処理を行い、凝固する組織の微細化、組織変化、表面の改質、表面窒化、高性能化、又は、鋳物巣などの欠陥除去を行う表面処理法。
【請求項5】
リン酸皮膜処理や酸化被膜処理の表面処理加工、メッキ処理、溶射、溶着の金属コーティングや表面処理を施し、金属粉体、硫化物や酸化物などの潤滑材、炭化物や酸化物のセラミックス粉体、触媒金属、半導体、水素貯蔵合金、カーボンナノチューブ、ダイヤモンドの粉体、cBNの粉体、超硬合金、アモルファス合金、ニッケル超合金、二硫化モリブデンン、金属間化合物、およびフッ素系樹脂、又は、固体潤滑材および硬化材を塗布した金属部材表面に、超音波ピーニング処理した後、被加工物を衝撃波から守る皮膜としてグラファイト塗布、黒色ペンキあるいは離型材のレーザ吸収増強被膜を塗布した後、超音波ピーニングを施し、レーザピーニング処理する超音波レーザ多重ピーニング処理をすることにより、その表面を改質する表面処理法
【請求項6】
請求項1から請求項3および請求項5において、材料表面を浸炭あるいは浸窒処理した部材、金属あるいはセラミックコーティングした部材、および金属、セラミックス、硫化物や酸化物の潤滑材の微粒子を、照射した部材の表面に、超音波ピーニング処理した後、被加工物を衝撃波から守る被膜としてグラファイト塗布、黒色ペンキあるいは離型材などのレーザ吸収増強被膜を塗布して、さらに、その上に水、油、溶融塩、フィルムなどのレーザ干渉膜を塗布して、レーザピーニング処理するレーザ被膜ピーニング処理、又は、レーザ粉体ピーニング処理、又は、超音波レーザ多重ピーニング処理することにより、その表面を改質する処理方法
【請求項7】
請求項1から請求項4で示すレーザ粉体ピーニング処理あるいは超音波レーザ多重ピーニング処理を用いて、その回転面や摺動面に無数の微細なミクロンオーダーのくぼみを発生させ、回転抵抗をより面接触から点接触に変化させること、又は、潤滑油溜まりを作ることによりその摺動特性や耐摩耗生を改善した軸受け部材、ベアリンブ、摺動部品、ピストン、ブッシュ、シャフト、ローラーなどの機械部品、又は、金属部材や、乗物用の動力機械の部品、動力機械器具、水力機械器具、表面処理用機械要素。
【請求項8】
請求項1から請求項6で示すレーザ被膜ピーニング処理、レーザ粉体ピーニング処理あるいは超音波レーザ多重ピーニング処理法を用いて、金属やセラミックス表面に複数の微細なくぼみを加工する、又は、金属やセラミックスなどへの異物埋め込む加工および溝加工をすることにより、金属製品の溝加工、パターニング、模様付け、超硬化処理、超強靱化処理、エッジ加工、バリ取り加工、不純物除去、ディンプル加工、圧縮残留応力付与を行う加工方法。
【請求項9】
請求項1から請求項6で示すピーニング処理法を用いて、その表面を硬化処理、強靱化処理、長寿命化などの改質処理をした金型、金型表面、金型部品、機械加工用工具、加工用刃物工具類、ボルト・ナット、バルブ、スプリング、ギヤ、シャフト、ローラーカムフロア、チップ、ブローチ、リーマー、等の機械部品およびメガネフレーム、装飾品、医療用のインプラント製品、
【請求項10】
請求項1および請求項6において、レーザピーニングする際に金属やセラミックス製のマスクを用いて、ピーニング処理する箇所としない箇所を区別してレーザピーニングするレーザ被膜ピーニング処理、レーザ粉体ピーニング処理あるいは超音波レーザ多重ピーニング処理法
【請求項11】
請求項10において、レーザピーニングする際に四角、多角形、円形、楕円形などの穴を多数設けた金属製またはセラミックス製のマスクを用いてレーザ照射し、精密機械の摺動面に摺り合わせ加工のキサゲ模様と同様な形状の微小なくぼみを、被加工物表面に形成することにより、形成されるディンプル、くぼみの形状を制御したレーザピーニング処理およびこの処理に用いる厚さ0.1mmから5mmの金属製およびセラミックス製のマスク
【請求項12】
請求項10および請求項11において、レーザピーニングする際に四角、多角形、円形、楕円形などの穴を多数設けた金属製またはセラミックス製のマスクを用いてレーザ照射し、精密機械の摺動面に摺り合わせ加工のキサゲ模様と同様な形状の微小なくぼみを、被加工物表面に多数形成するために、レーザピーニング処理時にレーザビームをX−Yスキャナー装置およびコンピュータ制御を用いて高速操作することにより、所用のディンプル、くぼみを複数形成するようにしたレーザピーニング処理
【請求項13】
シリンダー、シャフト、軸受けなどの機械部品の摺動面に硫化物や酸化物の潤滑材、金属またはセラミックコーティングした後、レーザピーニングする際に四角、多角形、円形、楕円形などの穴を多数設けた金属製またはセラミックス製のマスクを用いてレーザ照射し、精密機械の摺動面に摺り合わせ加工のキサゲ模様と同様な形状の微小なくぼみを、被加工物表面に形成することにより、形成されるディンプル、くぼみを、数μm〜数10μm深さで複数形成するマイクロレーザピーニング処理方法。
【請求項14】
粉体を加工部に噴射して行うレーザ粉体ピーニング処理で、レーザ干渉膜として使用するレーザを透過できる写真フィルムのような干渉膜で、その形状およびサイズは帯状で、
その厚さは10ミクロンから500ミクロンで、数mmの幅を持つコイル状の固体干渉膜
【請求項15】
クランクシャフトの摺動面、エンジンブロックのシリンダー内面、摺動面、又は、ベアリングの軸受け摺動面、ブッシュなどの軸受けの摺動面に硫化物や酸化物の潤滑材、二硫化モリブデンをコーティングした後、レーザ粉体ピーニングすることにより、微細なディンプル数μm〜数10μm深さのくぼみを、複数形成するマイクロレーザピーニング処理方法、又は、この処理により表面改質された機械部品。
【請求項16】
請求項15において、四角、多角形、円形、楕円形などの穴を多数設けた金属製またはセラミックス製のマスクを用いてレーザ照射し、精密機械の摺動面に摺り合わせ加工のキサゲ模様と同様な形状の微小なくぼみを、被加工物表面に形成することにより、任意の形状のディンプル数μm〜数10μm深さのくぼみを、無数に形成することにより機械部品の耐摩耗性、寿命などを向上させるマイクロレーザピーニング処理、又は、この処理により摺動面が表面改質された機械部品


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−320907(P2006−320907A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−143417(P2005−143417)
【出願日】平成17年5月17日(2005.5.17)
【出願人】(501417549)
【出願人】(594044912)株式会社齋藤工業 (7)
【Fターム(参考)】