説明

薄膜トランジスタ表示板及びその製造方法

本発明は、基板110、基板上に形成されているゲート電極124、基板及びゲート電極を覆っているゲート絶縁膜140、ゲート絶縁膜上に形成されているソース電極173及びドレイン電極175、ゲート絶縁膜、ソース電極、及びドレイン電極上に形成されている半導体層150、半導体層、ソース電極、ドレイン電極及びゲート絶縁膜を覆っている保護膜180を含み、ゲート絶縁膜及び保護膜はパリレンからなる薄膜トランジスタ表示板を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薄膜トランジスタ表示板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、現在最も広く使用されている平板表示装置のうちの一つであって、電界生成電極が形成されている二枚の表示板及びその間に挿入されている液晶層からなり、電極に電圧を印加して液晶層の液晶分子を再配列させることによって、液晶層を通過する光の透過率を調節する表示装置である。
液晶表示装置の中でも、現在最も広く使用されているものは、電界生成電極が二枚の表示板に各々形成されているものである。この中でも、一方の表示板には複数の画素電極が行列形態に配列されており、他方の表示板には一つの共通電極が表示板の全面を覆っている構造の液晶表示装置が主流である。前記液晶表示装置における画像の表示は、各画素電極に別途の電圧を印加することによって行われる。このために、画素電極に印加される電圧をスイッチングするための三端子素子である薄膜トランジスタを各画素電極に連結して、この薄膜トランジスタを制御するための信号を伝達するゲート線及び画素電極に印加される電圧を伝達するデータ線を表示板に設置する。
【0003】
このような液晶表示装置用表示板は、複数の導電層及び絶縁層が積層された層状構造からなる。ゲート線、データ線及び画素電極は、互いに異なる導電層(以下、各々ゲート導電体、データ導電体及び画素導電体とする)に形成されて、絶縁層で分離されていて、下から順に配置されるのが一般的である。
このような液晶表示装置用表示板に使用される基板としては、ガラス基板が一般的であるが、フレキシブル薄膜トランジスタ表示板を製造する場合には、基板としてプラスチックが使用される。
【0004】
このようなフレキシブル薄膜トランジスタ表示板の製造工程において、最も問題となる工程は、高温工程である化学気相蒸着(CVD)工程及び熱硬化工程である。
つまり、ゲート絶縁膜に使用する窒化膜(SiNx)、非晶質半導体層、または有機絶縁膜の蒸着工程及び熱硬化工程には、高温が要求される。
フレキシブル薄膜トランジスタ表示板のプラスチック基板としては、一般に、ポリエーテルスルホン(PES)、ありライト(Arylite)、配向膜フィルムであるキャプトーン(Kaptone)などが使用されている。このようなプラスチック基板は、耐熱性は優れているが、熱膨張係数(CTE)がシリコン(Si)に比べて非常に劣っている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、高温工程を行う場合、プラスチック基板及び窒化膜(SiNx)、非晶質半導体層または有機絶縁膜の間の熱膨張係数の差によって発生するストレスによって、基板が極度に曲がったり、薄膜が浮き上がる現象が発生しやすい問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、室温で蒸着されるパリレンによってゲート絶縁膜及び保護膜を形成する、薄膜トランジスタ表示板及びその製造方法を提供する。
本発明は、基板、前記基板上に形成されているゲート電極、前記基板及び前記ゲート電極を覆っているゲート絶縁膜、前記ゲート絶縁膜上に形成されているソース電極及びドレイン電極、前記ゲート絶縁膜、ソース電極及びドレイン電極上に形成されている半導体層、前記半導体層、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート絶縁膜を覆っている保護膜を含み、前記ゲート絶縁膜及び保護膜の少なくとも1つはパリレンからなる薄膜トランジスタ表示板を提供する。
【0007】
前記基板は、プラスチック、ガラス及び金属膜の中から選択されるいずれか一つとしてもよい。前記半導体層は有機半導体層またはシリコン半導体層としてもよい。
前記保護膜上に形成され、前記ドレイン電極の一部を露出する保護膜の接触孔を通じて前記ドレイン電極と連結されている画素電極をさらに含んでもよい。
また、本発明は、基板上にゲート電極を形成し、前記基板上に前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成し、前記ゲート絶縁膜上にソース電極及びドレイン電極を形成し、前記ソース電極及びドレイン電極の一部を覆う半導体層を形成し、前記ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極及び半導体層を覆う保護膜を形成する工程を含み、前記ゲート絶縁膜及び保護膜の少なくとも1つはパリレンからなる薄膜トランジスタ表示板の製造方法を提供する。
【0008】
ここで、前記ゲート絶縁膜及び保護膜は、化学気相蒸着方法でパリレンによって形成することができる。
また、本発明は、基板、前記基板上に形成されているゲート電極、前記基板及び前記ゲート電極を覆っているゲート絶縁膜、前記ゲート絶縁膜上の前記ゲート電極に対応する位置に形成されている半導体層、前記半導体層の一部と接触し、前記ゲート絶縁膜上に形成され、互いに所定の間隔で離隔しているソース電極及びドレイン電極、前記半導体層、ゲート絶縁膜、ソース電極、及びドレイン電極を覆っている保護膜を含み、前記ゲート絶縁膜及び保護膜の少なくとも1つはパリレンからなる薄膜トランジスタ表示板を提供する。
【0009】
本発明は、基板、前記基板上に形成され、互いに所定の間隔で離隔しているソース電極及びドレイン電極、前記ソース電極及びドレイン電極を覆っている半導体層、前記基板及び半導体層を覆っているゲート絶縁膜、前記ゲート絶縁膜上に形成され、前記ソース電極及びドレイン電極の間に対応する位置に形成されているゲート電極、前記ゲート絶縁膜及びゲート電極を覆っている保護膜を含み、前記ゲート絶縁膜及び保護膜の少なくとも1つはパリレンからなる薄膜トランジスタ表示板を提供する。
【0010】
薄膜トランジスタ表示板は、前記保護膜上に形成されていて、前記ドレイン電極の一部を露出する保護膜及びゲート絶縁膜の接触孔を通じて前記ドレイン電極と連結されている画素電極をさらに含んでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように、本発明の実施例について、添付した図面を参照して詳細に説明する。しかし、本発明は多様な相異した形態で実現でき、ここで説明する実施例に限定されない。
図面では、各層及び領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。明細書全体を通して類似した部分については、同一な図面符号を付けた。層、膜、領域、板などの部分が他の部分の“上に”あるとする時、これは他の部分の“真上に”ある場合だけでなく、その中間に他の部分がある場合も意味する。反対に、ある部分が他の部分の“真上に”あるとする時、これはその中間に他の部分がない場合を意味する。
【0012】
それでは、本発明の実施例による薄膜トランジスタ表示板及びその製造方法について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の第1実施例による薄膜トランジスタ表示板の配置図であり、図2は本発明の第1実施例による薄膜トランジスタ表示板の断面図であって、図1のII−II’線に沿って切断して示した断面図である。
【0013】
図1及び図2に示したように、本発明の第1実施例による薄膜トランジスタ表示板は、基板110上に金属パターンのゲート線121、124、129が形成されている。基板は、プラスチック、ガラス、または金属膜からなることができ、本発明の第1実施例では、プラスチック基板を基準にして説明する。
ゲート線121は、横方向に長く形成されていて、ゲート信号を伝達し、ゲート線121の一部は上または下に突出して複数のゲート電極124を構成する。そして、ゲート線の一側端部129は、外部回路から走査信号の印加を受けて外部回路と接続するために、幅が拡張されている。
【0014】
ゲート線121は、比抵抗が低い銀(Ag)や銀合金などの銀系金属、アルミニウム(Al)やアルミニウム合金などのアルミニウム系金属などからなる導電膜を含み、このような導電膜に加えて、他の物質、特にITOまたはIZOとの物理的、化学的、電気的接触特性が優れているクロム(Cr)、チタニウム(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、及びこれらの合金[例:モリブデン−タングステン(MoW)合金]などからなる他の導電膜を含む多層膜構造からなることもできる。下部膜及び上部膜の組み合わせの例としては、クロム/アルミニウム−ネオジム(Nd)合金がある。
【0015】
ゲート線121の側面は傾いていて、傾斜角は基板110の表面に対して約30−80゜の範囲である。
ゲート線121上にパリレン(Parylene)からなるゲート絶縁膜140が形成されている。
パリレンは、ポリパラキシリレン(poly(para−xylylene)の略語であって、真空中で化学気相蒸着(CVD)工程によって形成される高分子物質である。
【0016】
このようなパリレンの構造が、化学式1〜化学式3に示されている。
【0017】
【化1】

【0018】
【化2】

【0019】
【化3】

【0020】
化学式1はダイマー状態のパリレンであり、化学式2はモノマー状態のパリレンであり、化学式3はポリマー状態のパリレンである。
このようなパリレンは、光透過率が95%であり、表1及び表2に示されているように、ガス透過率及び水分透過率が非常に低いという長所がある。
【0021】
【表1】

【0022】
【表2】

【0023】
ここで、パリレンNは、パリレンのベンゼン環の置換基としてHを有する。パリレンCは、パリレンの置換基としてClを有するものであり、パリレンDは、パリレンの置換基として2つのClを有するものである。下記の化学式4〜6には、パリレンN、パリレンC、パリレンDがそれぞれ示されている。
【0024】
【化4】

【0025】
【化5】

【0026】
【化6】

【0027】
パリレンNは、誘電率が非常に低く、誘電体強度が高いので、絶縁膜に適しており、温度の上昇による誘電定数の増加も非常に少ない。また、形成された被膜は人体に無害なので、医療機器のコーティングに適している。そして、パリレンCは、電気、機械的特性が優れているだけでなく、水分及び腐蝕ガス透過率が非常に低い。また、ピンホールのない均一なコーティングが可能であるので、耐腐食性及び耐化学性が要求されるコーティングに適している。パリレンDは、高温での使用が要求される材料のコーティングに非常に適している。
【0028】
パリレンは、コーティングの均一度が非常に優れており、1000Å〜数umまでコーティングの厚さを調節することが容易であり、表3に示したように、誘電率が非常に低くて、絶縁膜としての特性が優れている。
【0029】
【表3】

【0030】
パリレンは、高分子化されると、現存する全ての有機溶媒にほとんど溶解されず、耐薬品性が優れている。
パリレンポリマーは、室温で蒸着することができるので、熱によるストレスがなく、ドライコーティング工程を行うことができるため、溶媒が必要ないので、環境に優しいという長所がある。また、添加剤を用いないので、ガスが発生せず、特にシリコン半導体を利用した薄膜トランジスタ表示板の製造に適している。工程が単純なので、製造単価の低価格化が可能である。
【0031】
ゲート絶縁膜140上には、各々データ線171及びドレイン電極175が形成されている。
データ線171は、主に縦方向にのびてゲート線121と交差して、データ電圧を伝達する。各データ線171からドレイン電極175に向かってのびた複数の枝がソース電極173を構成する。一対のソース電極173及びドレイン電極175は、互いに分離されていて、ゲート電極124に対して互いに反対側に位置する。ドレイン電極175は、拡張及び延長されて後述する画素電極190と重畳する拡張部176を含む。ゲート電極124、ソース電極173及びドレイン電極175は、後述する半導体層150のチャンネル部154と共に薄膜トランジスタ(TFT)を構成し、薄膜トランジスタのチャネルは、ソース電極173及びドレイン電極175の間のチャンネル部154に形成される。
【0032】
データ線の一側端部179は、外部回路からイメージ信号の印加を受け、外部回路と接触するために、幅が拡張されている。
データ線171及びドレイン電極175も、銀系金属またはアルミニウム系金属などからなる導電膜を含み、このような導電膜に加えて、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)及びこれらの合金などからなる他の導電膜を含む多層膜構造からなることができる。
【0033】
データ線121及びドレイン電極175の側面も傾いていて、傾斜角は基板110表面に対して約30−80゜の範囲である。
ソース電極173及びドレイン電極175の間に、露出されたゲート絶縁膜140、ソース電極173及びドレイン電極175を覆う半導体層150が形成されている。
このような半導体層150はシリコン半導体層または有機半導体層でありうる。
【0034】
シリコン半導体層150である場合には、水素化非晶質シリコン(非晶質シリコンは略称でa−Siとする)からなり、このような水素化非晶質シリコンの上部には、シリサイドまたはn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンからなる複数の線状及び島型抵抗性接触部材が形成される。
一方、有機半導体層150である場合には、テトラセン(tetracene)またはペンタセン(pentacene)の置換基を含む誘導体や、チオフェン環(thiophenering)の2、5位置を通じて4〜8個が連結されたオリゴチオフェン(oligothiophene)でありうる。
【0035】
また、有機半導体層150は、ペリレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(PTCDA)またはそのイミド誘導体や、ナフタレンテトラカルボキシリックジアンハイドライド(NTCDA)またはそのイミド誘導体でありうる。
有機半導体層150は、金属化フタロシアニンまたはそのハロゲン化誘導体や、ペリレンまたはコロエン及びその置換基を含む誘導体でありうる。ここで、金属化フタロシアニンに添加される金属としては、銅、コバルト、亜鉛とすることができる。
【0036】
また、有機半導体層150は、チエニレン及びビニレンのコオリゴマーまたはコポリマーでありうる。また、有機半導体層150は、チオフェンでありうる。
有機半導体層150は、ペリレンまたはコロエン及びそれらの置換基を含む誘導体でありうる。
また、有機半導体層150は、このような誘導体の芳香族またはヘテロ芳香族環に炭素数1〜30個の炭化水素鎖を1個以上含む誘導体でありうる。
【0037】
保護膜180は、このような半導体層150、ソース電極173、ドレイン電極175及びゲート絶縁膜140を覆っている。このような保護膜180には、ドレイン電極の一部176、つまり拡張部176を露出する接触孔183が形成されている。このような保護膜180はパリレンとすることができる。
保護膜180上には、接触孔183を通じてドレイン電極175と連結される画素電極190が形成されている。
【0038】
前記のような本発明による薄膜トランジスタ表示板の製造方法を、以下で詳細に説明する。
図3A〜図3Eは本発明の第1実施例による薄膜トランジスタ表示板の製造方法を説明するための図面である。
まず、図3Aに示したように、基板110上にゲート電極124を形成する。この時に使用される透明な絶縁基板110としては、ガラス、シリコン、またはプラスチックがある。ゲート電極124は、絶縁基板110上に金(Au)などの導電層を蒸着し、これをフォトエッチングによってパターニングして形成する。
【0039】
次に、図3Bに示したように、絶縁基板及びゲート電極上にゲート絶縁膜140を形成する。ゲート絶縁膜140は、化学気相蒸着方法(CVD)でパリレンを蒸着して形成する。
つまり、化学気相蒸着装置の昇華部内で、ダイマー状態のパリレンは、温度の上昇によって気体状態のダイマーに昇華される(蒸発)。
【0040】
昇華された気体状態のダイマーは、高温の熱分解領域を通過して気体状態のモノマーに分解される(熱分解)。
気体状態のモノマーは、化学気相蒸着装置の蒸着部に移動して、蒸着しようとする基板の表面にポリマー状態で蒸着される(重合)。
従来のように、150℃程度の温度で化学気相蒸着方法で窒化膜(SiNx)を蒸着してゲート絶縁膜140を形成する場合、プラスチック基板上に形成されたゲート絶縁膜は、ストレスによって浮き上がるようになる。
【0041】
これを防止するために、有機ゲート絶縁膜を使用することもあるが、大部分の有機絶縁膜は、スピンコーティング法で、200℃以上の硬化温度、1時間以上の硬化時間で形成されるため、プラスチック基板や下部機能性粘着剤に影響を与えやすいという短所があった。
本発明では、パリレンを利用して化学気相蒸着方法でゲート絶縁膜を形成する場合には、プラスチック基板上にパリレンを室温で蒸着するため、基板及びゲート絶縁膜の間にストレスが発生せず、下部粘着剤にダメージを有さない。
【0042】
次に、図3Cに示したように、ゲート絶縁膜140上にソース電極173、ドレイン電極175及び拡張部176を形成する。これは、金(Au)などの導電層を真空熱蒸着で形成した後、フォトエッチングによってパターニングして形成する。
次に、図3Dに示したように、ソース電極173及びドレイン電極175の間に露出されたゲート絶縁膜140、ソース電極173及びドレイン電極175を覆う半導体層150を形成する。このような半導体層150はシリコン半導体層または有機半導体層でありうる。
【0043】
続いて、図3Eに示したように、半導体層150、ソース電極、ドレイン電極及びゲート絶縁膜を覆う保護膜180を積層し、フォトエッチングによってドレイン電極の拡張部176が露出されるように接触孔183を形成する。
次に、図2に示したように、拡張部176及び接触孔183を通じて連結される画素電極190が保護膜180上に形成される。
【0044】
従来のように、半導体層としてペンタセンなどのような有機半導体層を形成する場合には、保護膜として有機絶縁膜を形成したが、保護膜の形成時にソルベントが保護膜に浸透したり、保護膜の硬化時に保護膜にクラックが発生する場合が多かった。
しかし、本発明の第1実施例による薄膜トランジスタの製造方法によって保護膜をパリレンで熱硬化なしに形成するので、溶媒が保護膜に浸透する現象や熱収縮によるクラックの発生を防止することができる。
【0045】
また、パリレンはフェニル環内の置換基の変更が容易であるので、有機半導体の場合、分子配向に適した分子を形成することができる。
保護膜は、低誘電率の有機絶縁膜であるので、超高開口率構造の薄膜トランジスタ表示板を製造することができる。
本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ表示板が図1及び図4に示されている。ここで、前記図面と同一な図面符号は同一な機能を行う同一な部材を示す。
【0046】
図1は本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ表示板の配置図であり、図4は本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ表示板の断面図であって、図1のII−II’線に沿って切断して示した断面図である。
図1及び図4に示したように、本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ表示板は、基板110上に金属パターンのゲート線121、124、129が形成されている。基板は、プラスチック、ガラスまたは金属膜からなることができ、本発明の第2実施例では、プラスチック基板を基準にして説明する。
【0047】
ゲート線121は、横方向に長く形成されていて、ゲート信号を伝達し、ゲート線121の一部は上または下に突出して複数のゲート電極124を構成する。そして、ゲート線の一側端部129は、外部からゲート信号の印加を受けてゲート線121に伝達するために、幅が拡張されている。
ゲート線121は、比抵抗が低い銀(Ag)や銀合金などの銀系金属、アルミニウム(Al)やアルミニウム合金などのアルミニウム系金属などからなる導電膜を含み、このような導電膜に加えて、他の物質、特にITOまたはIZOとの物理的、化学的、電気的接触特性が優れているクロム(Cr)、チタニウム(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、及びこれらの合金[例:モリブデン−タングステン(MoW)合金]などからなる他の導電膜を含む多層膜構造からなることもできる。下部膜及び上部膜の組み合わせの例としては、クロム/アルミニウム−ネオジム(Nd)合金がある。
【0048】
ゲート線121の側面は傾いていて、傾斜角は基板110の表面に対して約30−80゜の範囲である。
ゲート線121上にパリレンからなるゲート絶縁膜140が形成されている。
パリレンは、ポリ(パラ)キシリレンの略語であって、真空中で化学気相蒸着(CVD)工程によって形成される高分子物質である。
【0049】
ゲート絶縁膜140上には、ゲート電極124に対応する位置に半導体層150が形成されている。
このような半導体層150はシリコン半導体層または有機半導体層でありうる。
シリコン半導体層150である場合には、水素化非晶質シリコン非晶質シリコンは略称でa−Siとする)などからなり、このような水素化非晶質シリコンの上部には、シリサイドまたはn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質からなる複数の線状及び島型抵抗性接触部材が形成される。
【0050】
そして、有機半導体層150である場合には、テトラセンまたはペンタセンの置換基を含む誘導体や、チオフェン環の2、5位置を通じて4〜8個が連結されたオリゴチオフェンでありうる。
また、有機半導体層150は、ペリレンテトラカルボキシリクジアンハイドライド(PTCDA)またはそのイミド誘導体や、ナフタレンテトラカルボキシリクジアンハイドライド(NTCDA)またはそのイミド誘導体でありうる。
【0051】
また、有機半導体層150は、金属化フタロシアニンまたはそのハロゲン化誘導体や、ペリレンまたはコロエン及びその置換基を含む誘導体でありうる。ここで、金属化フタロシアニンに添加される金属としては、銅、コバルト、亜鉛などが好ましい。
また、有機半導体層150は、チエニレン及びビニレンのコオリゴマーまたはコポリマーでありうる。また、有機半導体層150は、チオフェンでありうる。
【0052】
また、有機半導体層150は、ペリレンまたはコロエン及びそれらの置換基を含む誘導体でありうる。
また、有機半導体層150は、このような誘導体の芳香族またはヘテロ芳香族環に炭素数1〜30個の炭化水素鎖を1個以上含む誘導体でありうる。
半導体層150の一部と接触して、半導体層150の一部及びゲート絶縁膜140上にデータ線171及びドレイン電極175が形成されている。
【0053】
データ線171は、主に縦方向にのびてゲート線121と交差して、データ電圧を伝達する。各データ線171からドレイン電極175に向かってのびた複数の枝がソース電極173を構成する。一対のソース電極173及びドレイン電極175は、互いに分離されていて、ゲート電極124に対して互いに反対側に位置する。ドレイン電極175は、拡張及び延長されて後述する画素電極190と重畳する拡張部176を含む。ゲート電極124、ソース電極173、及びドレイン電極175は、後述する半導体層150のチャンネル部154と共に薄膜トランジスタ(TFT)を構成し、薄膜トランジスタのチャネルは、ソース電極173及びドレイン電極175の間のチャンネル部154に形成される。
【0054】
データ線の一側端部179は、外部からゲート信号の印加を受けてデータ線171に伝達するために、幅が拡張されている。
データ線171及びドレイン電極175も、銀系金属またはアルミニウム系金属などからなる導電膜を含み、このような導電膜に加えて、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、及びこれらの合金などからなる他の導電膜を含む多層膜構造からなることができる。データ線171及びドレイン電極175の側面も傾いていて、傾斜角は基板110表面に対して約30−80゜の範囲である。
【0055】
保護膜180が、半導体層150、ソース電極173、ドレイン電極175、及びゲート絶縁膜140を覆っている。このような保護膜180には、ドレイン電極の一部176、つまり拡張部176を露出する接触孔183が形成されている。このような保護膜180はパリレンからなるのが好ましい。
保護膜180上には、接触孔183を通じてドレイン電極175と連結される画素電極190が形成されている。
【0056】
本発明の第3実施例による薄膜トランジスタ表示板が図1及び図5に示されている。ここで、前記図面と同一な図面符号は同一な機能を行う同一な部材を示す。
図1は本発明の第3実施例による薄膜トランジスタ表示板の配置図であり、図5は本発明の第3実施例による薄膜トランジスタ表示板の断面図であって、図1のII−II’線に沿って切断して示した断面図である。
【0057】
図1及び図5に示したように、本発明の第3実施例による薄膜トランジスタ表示板は、基板110上にデータ線171及びドレイン電極175が形成されている。基板110は、プラスチック、ガラス、または金属膜からなることができ、本発明の第3実施例では、プラスチック基板を基準にして説明する。
データ線171は、主に縦方向にのびてゲート線121と交差して、データ電圧を伝達する。各データ線171からドレイン電極175に向かってのびた複数の枝がソース電極173を構成する。一対のソース電極173及びドレイン電極175は、互いに分離されていて、ゲート電極124に対して互いに反対側に位置する。ドレイン電極175は、拡張及び延長されて後述する画素電極190と重畳する拡張部176を含む。ゲート電極124、ソース電極173、及びドレイン電極175は、後述する半導体層150のチャンネル部154と共に薄膜トランジスタ(TFT)を構成し、薄膜トランジスタのチャネルは、ソース電極173及びドレイン電極175の間のチャンネル部154に形成される。
【0058】
データ線の一側端部179は、外部からゲート信号の印加を受けてデータ線171に伝達するために、幅が拡張されている。
データ線171及びドレイン電極175は、銀系金属またはアルミニウム系金属などからなる導電膜を含み、このような導電膜に加えて、クロム(Cr)、チタニウム(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、及びこれらの合金などからなる他の導電膜を含む多層膜構造からなることができる。データ線171及びドレイン電極175の側面は傾いていて、傾斜角は基板110の表面に対して約30−80゜の範囲である。
【0059】
ソース電極173及びドレイン電極175の間に露出された基板110、ソース電極173、及びドレイン電極175上に半導体層150が形成されている。
このような半導体層150はシリコン半導体層または有機半導体層でありうる。
シリコン半導体層150である場合には、水素化非晶質シリコン非晶質シリコンは略称でa−Siとする)などからなり、このような水素化非晶質シリコンの上部には、シリサイドまたはn型不純物が高濃度にドーピングされているn+水素化非晶質シリコンなどの物質からなる複数の線状及び島型抵抗性接触部材が形成される。
【0060】
そして、有機半導体層150である場合には、テトラセンまたはペンタセンの置換基を含む誘導体や、チオフェン環の2、5位置を通じて4〜8個が連結されたオリゴチオフェンでありうる。
また、有機半導体層150は、ペリレンテトラカルボキシリクジアンハイドライド(PTCDA)またはそのイミド誘導体や、ナフタレンテトラカルボキリシクジアンハイドライド(NTCDA)またはそのイミド誘導体でありうる。
【0061】
また、有機半導体層150は、金属化フタロシアニンまたはそのハロゲン化誘導体や、ペリレンまたはコロエン及びその置換基を含む誘導体でありうる。ここで、金属化フタロシアニンに添加される金属としては、銅、コバルト、亜鉛などが好ましい。
また、有機半導体層150は、チエニレン及びビニレンのコオリゴマーまたはコポリマーでありうる。また、有機半導体層150は、チオフェンでありうる。
【0062】
また、有機半導体層150は、ペリレンまたはコロエン及びそれらの置換基を含む誘導体でありうる。
また、有機半導体層150は、このような誘導体の芳香族またはヘテロ芳香族環に炭素数1〜30個の炭化水素鎖を1個以上含む誘導体でありうる。
このような基板110、ソース電極173、ドレイン電極175、及び半導体層150上には、パリレンからなるゲート絶縁膜140が形成されている。
【0063】
パリレンは、ポリ(パラキリシレン)の略語であって、真空中で化学気相蒸着(CVD)工程によって形成される高分子物質である。
ゲート絶縁膜140上には、金属パターンのゲート線121、124、129が形成されている。
ゲート線121は、横方向に長く形成されていて、ゲート信号を伝達し、ゲート線121の一部は上または下に突出してゲート電極124を構成する。このようなゲート電極124は、ソース電極173及びドレイン電極175の間に対応する位置に形成されている。そして、ゲート線の一側端部129は、外部からゲート信号の印加を受けてゲート線121に伝達するために、幅が拡張されている。
【0064】
ゲート線121は、比抵抗が低い銀(Ag)や銀合金などの銀系金属、アルミニウム(Al)やアルミニウム合金などのアルミニウム系金属などからなる導電膜を含み、このような導電膜に加えて、他の物質、特にITOまたはIZOとの物理的、化学的、電気的接触特性が優れているクロム(Cr)、チタニウム(Ti)、タンタル(Ta)、モリブデン(Mo)、及びこれらの合金[例:モリブデン−タングステン(MoW)合金]などからなる他の導電膜を含む多層膜構造からなることもできる。下部膜及び上部膜の組み合わせの例としては、クロム/アルミニウム−ネオジム(Nd)合金がある。
【0065】
ゲート線121の側面も傾いていて、傾斜角は基板110の表面に対して約30−80゜の範囲である。
ゲート線121及びゲート絶縁膜140上には、保護膜180が形成されている。このような保護膜180及びゲート絶縁膜140には、ドレイン電極の一部176、つまり拡張部176を露出する接触孔183が形成されている。このような保護膜180はパリレンからなるのが好ましい。
【0066】
保護膜180上には、接触孔183を通じてドレイン電極175と連結される画素電極190が形成されている。
以上で、本発明の好ましい実施例について詳細に説明したが、当該技術分野における通常の知識を有する者であれば、前記から多様な変形及び均等な異なる実施例が可能であるということを理解することができる。したがって、本発明の権利範囲は前記に限定されず、請求の範囲で定義している本発明の基本概念を利用した当業者の様々な変形及び改良形態も、本発明の権利範囲に属する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1〜第3実施例による薄膜トランジスタ表示板の配置図である。
【図2】本発明の第1実施例による薄膜トランジスタ表示板の断面図であって、図1のII−II’線に沿って切断して示した断面図である。
【図3A】本発明の第1実施例による薄膜トランジスタ表示板を製造する段階を示した図面である。
【図3B】本発明の第1実施例による薄膜トランジスタ表示板を製造する段階を示した図面である。
【図3C】本発明の第1実施例による薄膜トランジスタ表示板を製造する段階を示した図面である。
【図3D】本発明の第1実施例による薄膜トランジスタ表示板を製造する段階を示した図面である。
【図3E】本発明の第1実施例による薄膜トランジスタ表示板を製造する段階を示した図面である。
【図4】本発明の第2実施例による薄膜トランジスタ表示板の断面図であって、図1のII−II’線に沿って切断して示した断面図である。
【図5】本発明の第3実施例による薄膜トランジスタ表示板の断面図であって、図1のII−II’線に沿って切断して示した断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、
前記基板上に形成されているゲート電極、
前記基板及び前記ゲート電極を覆っているゲート絶縁膜、
前記ゲート絶縁膜上に形成されているソース電極及びドレイン電極、
前記ゲート絶縁膜、ソース電極、及びドレイン電極上に形成されている半導体層、
前記半導体層、ソース電極、ドレイン電極、及びゲート絶縁膜を覆っている保護膜を含み、
前記ゲート絶縁膜及び保護膜の少なくとも1つはパリレンからなる薄膜トランジスタ表示板。
【請求項2】
前記基板は、プラスチック、ガラス及び金属膜の中から選択されるいずれか一つの材料からなる請求項1に記載の薄膜トランジスタ表示板。
【請求項3】
前記半導体層は、有機半導体層またはシリコン半導体層からなる請求項1に記載の薄膜トランジスタ表示板。
【請求項4】
前記保護膜上に形成され、前記ドレイン電極の一部を露出する保護膜の接触孔を通じて前記ドレイン電極と連結されている画素電極をさらに含む請求項1に記載の薄膜トランジスタ表示板。
【請求項5】
基板上にゲート電極を形成し、
前記基板上の前記ゲート電極を覆うゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜上にソース電極及びドレイン電極を形成し、
前記ソース電極及びドレイン電極の一部を覆う半導体層を形成し、
前記ゲート絶縁膜、ソース電極、ドレイン電極及び半導体層を覆う保護膜を形成する工程を含み、
前記ゲート絶縁膜及び保護膜の少なくとも1つはパリレンからなる薄膜トランジスタ表示板の製造方法。
【請求項6】
前記ゲート絶縁膜及び保護膜は、化学気相蒸着法でパリレンを形成する請求項1に記載のトランジスタ表示板の製造方法。
【請求項7】
基板、
前記基板上に形成されているゲート電極、
前記基板及び前記ゲート電極を覆っているゲート絶縁膜、
前記ゲート絶縁膜上の前記ゲート電極に対応する位置に形成されている半導体層、
前記半導体層の一部と接触し、前記ゲート絶縁膜上に形成され、互いに所定の間隔で離隔しているソース電極及びドレイン電極、
前記半導体層、ゲート絶縁膜、ソース電極、及びドレイン電極を覆っている保護膜を含み、
前記ゲート絶縁膜及び保護膜の少なくとも1つはパリレンからなる薄膜トランジスタ表示板。
【請求項8】
基板、
前記基板上に形成され、互いに所定の間隔で離隔しているソース電極及びドレイン電極、
前記ソース電極及びドレイン電極を覆っている半導体層、
前記基板及び半導体層を覆っているゲート絶縁膜、
前記ゲート絶縁膜上に形成され、前記ソース電極及びドレイン電極の間に対応する位置に形成されているゲート電極、
前記ゲート絶縁膜及びゲート電極を覆っている保護膜を含み、
前記ゲート絶縁膜及び保護膜の少なくとも1つはパリレンからなる薄膜トランジスタ表示板。
【請求項9】
前記保護膜上に形成され、前記ドレイン電極の一部を露出する保護膜及びゲート絶縁膜の接触孔を通じて前記ドレイン電極と連結されている画素電極をさらに含む請求項8に記載の薄膜トランジスタ表示板。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2007−524241(P2007−524241A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552058(P2006−552058)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000380
【国際公開番号】WO2005/076367
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】