説明

蛍光観察装置

【課題】実験小動物の位置決め作業を簡易化して、データの取得を効率的に行うことを可能とし、かつ、多数の画像の対比観察を容易にする。
【解決手段】実験小動物Aの明視野画像と蛍光画像とが合成された複数の合成画像を少なくとも一方向に配列して表示する表示部5と、各合成画像に含まれる明視野画像における実験小動物Aの輪郭形状を抽出する輪郭抽出部6と、該輪郭抽出部6により抽出された実験小動物Aの輪郭形状が配列方向に直交する方向に相互に一致するように、各合成画像の表示位置を調節する画像位置調節部6とを備える蛍光観察装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蛍光観察装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、マウス等の実験小動物に励起光を照射して、癌組織等の病変部から発生する蛍光を観察する蛍光観察装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。蛍光観察は発光観察と比較して、比較的高い輝度の蛍光を観察するので、観察画像が鮮明となり、観察し易いという利点がある。
【0003】
また、実験小動物に対して、病変部に作用させるための薬剤が投与され、同一の実験小動物における病変部の経時変化を観察したり、多数の実験小動物における薬効を確認したりする創薬スクリーニングが行われる。創薬スクリーニングにおいては、スクリーニング精度を向上するために、同一の実験小動物に対して時間間隔をあけて多数回にわたる観察を行ったり、多数の実験小動物に対して観察を行ったりする必要がある。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5650135号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、時間間隔をあけた多数回の観察を行う場合に、観察装置に対して実験小動物を搭載し直す作業を繰り返す必要があり、その都度、実験小動物の位置決め作業を行わなければならないという不都合がある。すなわち、位置決め作業に時間を要する場合には、効率的にデータを取得することができないという問題がある。さらに、位置決め作業が正確に行われない場合には、得られた多数の蛍光画像における病変部の位置が変動し、多数の蛍光画像を表示画面中に配列して行う対比観察や、表示される蛍光画像を切り替えて行う対比観察において、病変部の変化の確認等が困難になるという不都合がある。
【0006】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、実験小動物の位置決め作業を簡易化して、データの取得を効率的に行うことを可能とし、かつ、多数の画像の対比観察を容易にすることができる蛍光観察装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明は、実験小動物の明視野画像と蛍光画像とが合成された複数の合成画像を少なくとも一方向に配列して表示する表示部と、各合成画像に含まれる明視野画像における実験小動物の輪郭形状を抽出する輪郭抽出部と、該輪郭抽出部により抽出された実験小動物の輪郭形状が前記配列方向に直交する方向に相互に一致するように、各合成画像の表示位置を調節する画像位置調節部とを備える蛍光観察装置を提供する。
【0008】
本発明によれば、輪郭抽出部の作動により、各合成画像に含まれる明視野画像における実験小動物の輪郭形状が抽出され、画像位置調節部の作動により、複数の合成画像間において実験小動物の輪郭形状が配列方向に直交する方向に一致するように表示位置が調節される。そして、この状態で、表示部の作動により、複数の合成画像が少なくとも一方向に配列して表示される。
【0009】
これにより、時間間隔をあけて実験小動物の明視野画像および蛍光画像を取得する場合に、実験小動物の位置決め作業を大まかに行っても、配列方向に直交する方向に揃えた形態で複数の合成画像を表示することができ、これら合成画像間の対比観察を容易にすることができる。
すなわち、実験小動物の位置決め作業に費やす時間を短縮することができ、同一の実験小動物における病変部の経時変化を観察したり、多数の実験小動物における薬効を確認したりする創薬スクリーニング等の作業を効率的に行うことができる。
【0010】
上記発明においては、前記画像位置調節部が、前記実験小動物の輪郭形状の重心位置を算出し、各合成画像における前記重心位置が、前記配列方向に直交する方向に相互に一致するように、各合成画像の表示位置を調節することとしてもよい。
このようにすることで、実験小動物の輪郭形状が多少変動しても、表示位置が配列方向に直交する方向に大きく変動しないように一致させて表示できる。したがって、各合成画像間において病変部の対応関係や形状変化を迅速に把握することが可能となる。
【0011】
また、上記発明においては、前記画像位置調節部が、前記実験小動物の輪郭形状の長手軸方向とその向きを算出し、各合成画像における前記長手軸方向およびその向きが一致するように、各合成画像の表示角度を調節することとしてもよい。
このようにすることで、少なくとも一方向に配列される複数の合成画像が、実験小動物の輪郭形状の長手方向とその向きを一致させた状態で表示部により表示される。輪郭形状の長手方向を一致させることで、実験小動物の輪郭が略平行となるように配列される。また長手方向の向きを一致させることで、実験小動物の頭の方向を一致させることができる。
【0012】
また、本発明は、実験小動物の明視野画像と蛍光画像とが合成された複数の合成画像を切り替えて表示する表示部と、各合成画像に含まれる明視野画像における実験小動物の輪郭形状を抽出する輪郭抽出部と、該輪郭抽出部により抽出された実験小動物の輪郭形状が相互に一致するように、各合成画像の表示位置を調節する画像位置調節部とを備える蛍光観察装置を提供する。
【0013】
本発明によれば、輪郭抽出部の作動により、各合成画像に含まれる明視野画像における実験小動物の輪郭形状が抽出され、画像位置調節部の作動により、複数の合成画像間において実験小動物の輪郭形状が相互に一致するように表示位置が調節される。そして、この状態で、表示部の作動により、複数の合成画像が切り替えて表示される。
これにより、順次切り替わる複数の合成画像において、実験小動物の輪郭形状が一致しているので、病変部の変化あるいは相違のみをクローズアップして対比観察することができる。
【0014】
上記発明においては、前記画像位置調節部が、前記実験小動物の輪郭形状の重心位置を算出し、各合成画像における前記重心位置が相互に一致するように、各合成画像の表示位置を調節することとしてもよい。
このようにすることで、実験小動物の輪郭形状が多少変動しても、表示位置が大きく変動しないように一致させて表示できる。したがって、各合成画像間において病変部の対応関係や形状変化を迅速に把握することが可能となる。
【0015】
また、上記発明においては、前記画像位置調節部が、前記実験小動物の輪郭形状の長手軸方向とその向きを算出し、各合成画像における前記長手軸方向およびその向きが一致するように、各合成画像の表示角度を調節することとしてもよい。
このようにすることで、順次切り替わる複数の合成画像が、実験小動物の輪郭形状の長手方向とその向きを一致させた状態で表示部により表示される。これにより、合成画像柱の実験小動物の輪郭形状が、その回転方向についても一致させられた状態で表示されるので、対比観察をさらに容易にすることができる。
【0016】
また、上記発明においては、実験小動物の明視野画像および蛍光画像を取得する観察光学系と、該観察光学系を前記実験小動物に対して固定して取得された明視野画像および蛍光画像を合成する画像合成部と、該画像合成部により得られた合成画像を記憶する画像記憶部とを備え、該画像記憶部に記憶された複数の合成画像を前記表示部に表示することとしてもよい。
また、上記発明においては、前記画像記憶部に記憶された合成画像を解析する画像解析部を備えることとしてもよい。
【0017】
また、上記発明においては、前記観察光学系を収容して遮光するケースを備え、該ケースに、開閉可能な扉と、該扉の開閉を検出するセンサとが備えられ、該センサにより扉が閉鎖されたことが検出された場合に、前記観察光学系により明視野画像および蛍光画像の取得が行われることとしてもよい。
このようにすることで、ケースの扉を開いて、実験小動物を観察光学系に配置し、ケースの扉を閉めることにより、ケース内が遮光される。ケースの扉が閉鎖されたことがセンサにより検出されるので、これに応じて観察光学系により明視野画像および蛍光画像が取得される。ケースの扉が閉じられると、ケース内が遮光されるので、外光の影響を受けることなく、また、励起光を外部に漏洩させることなく、明視野画像および蛍光画像を取得することが可能となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、実験小動物の位置決め作業を簡易化して、データの取得を効率的に行うことを可能とし、かつ、多数の画像の対比観察を容易にすることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の一実施形態に係る蛍光観察装置1について、図1〜図7を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る蛍光観察装置1は、図1に示されるように、観察装置本体2と、画像合成部3と、画像記憶部4と、表示部5と、これらを制御する制御部6とを備えている。
観察装置本体2は、実験小動物、例えば、マウスAを搭載するステージ7と、観察光学系8と、該観察光学系8を収容して遮光するケース9とを備えている。
【0020】
観察光学系8は、明視野観察用の可視光を出射する可視光源10と、蛍光観察用の励起光を出射する励起光源11と、これらを同一光路に合流させるミラー12およびダイクロイックミラー13と、可視光および励起光の合焦位置を調節する合焦位置調節光学系14と、観察倍率を調節するズーム光学系15と、可視光および励起光をステージ7上のマウスAに照射する一方、マウスAから戻る可視光の反射光および蛍光を集光する対物レンズ16と、対物レンズ16により集光された反射光および蛍光を励起光から分岐するダイクロイックミラー17と、分岐された反射光および蛍光を撮影する撮像手段18とを備えている。
前記ケース9には、ステージ7近傍に開閉可能な扉19が設けられている。扉19には、該扉19が閉じられたことを検出するセンサ20が設けられている。符号21は、センサ20により検出する検出片である。
【0021】
画像合成部3は、可視光源10から出射された可視光をマウスAに照射することにより、マウスAの表面から発せられる反射光を撮像手段18により撮影して得られたマウスAの輪郭形状を含む、図2(a)に示される反射光画像Gと、励起光源11から出射された励起光をマウスAに照射することにより、マウスAから発せられる蛍光を撮像手段18により撮影して得られた、図2(b)に示される病変部Bの蛍光画像Gとを合成し、図2(c)に示される合成画像Gを生成するようになっている。
【0022】
画像記憶部4は、生成された合成画像Gを順次記憶していくようになっている。
制御部6は、ケース9のセンサ20からの扉19の閉鎖信号を受けて観察装置本体2を駆動するとともに、画像合成部3を起動して合成画像Gを生成させるようになっている。また、制御部6は、画像記憶部4に複数の合成画像Gが蓄積された後に、これら複数の合成画像Gを読み出して以下の画像処理を行うようになっている。
【0023】
まず、図3に示されるように、各合成画像Gを処理して、合成画像Gに含まれる反射光画像GのマウスAの輪郭形状を抽出する。輪郭形状の抽出は、2値化あるいは画素ずらし等の公知の方法により簡易に行うことができる。
次いで、抽出された輪郭形状の重心位置Cを求める。重心位置Cは、例えば、抽出された輪郭形状の面積を算出し、当該面積を1/2に分割する2本の分割線の交点を算出することにより容易に求めることができる。
【0024】
次いで、図3に示されるように、各合成画像GのマウスAの輪郭形状の長手方向とマウスAの向き(矢印D)を求める。長手方向は輪郭線が最も離れる画素を結ぶことにより簡易に求めることができる。また、マウスAの向きは、目、ひげ、鼻、尻尾等の頭部と尾部とを区別するための特徴部分を抽出することにより簡易に求めることができる。
【0025】
そして、制御部6は、複数の合成画像Gを図4に示されるように配列して表示させる。図4は、表示部5に表示される合成画像Gの配列例を示している。本実施形態においては、制御部6は、表示部5の画面上において、15枚の合成画像Gを3行5列に配列して表示するようになっている。
【0026】
この場合に、本実施形態においては、図4に示される縦横線Kに沿って等間隔に配置されたポイントに、各合成画像Gの重心位置を一致させ、かつ、全ての合成画像Gにおける矢印Dが同一方向に向くように、各合成画像Gを並進移動および回転させて配列するようになっている。
【0027】
このように構成された本実施形態に係る蛍光観察装置1の作用について、以下に説明する。
本実施形態に係る蛍光観察装置1を用いてマウスAの蛍光観察を行うには、操作者は、蛍光薬剤を投与したマウスAを睡眠させた状態で観察装置本体2のケース9内のステージ7上に固定し、ケース9の扉19を閉じる。
【0028】
ケース9の扉19にはセンサ20が設けられているので、扉19が閉じられたことを示す信号がセンサ20から制御部6に送られる。
制御部6においては、観察装置本体2および画像合成部3に起動信号が送られ、観察装置本体2により反射光画像Gおよび蛍光画像Gの取得が行われる。
【0029】
すなわち、制御部6からの起動信号に応じて、観察装置本体2の可視光源10から可視光が出射され、ステージ7上のマウスAに照射される。マウスAの表面における反射光は、対物レンズ16により集光され、撮像手段18により撮影される。撮影手段18により取得されたマウスAの輪郭形状を含む反射光画像Gは、画像合成部3に送られて、一旦保持される。
【0030】
次いで、励起光源11から励起光が出射され、ステージ7上のマウスAに照射される。マウスAにおいては、癌等の病変部Bに特異的に集積している蛍光薬剤が励起されて蛍光が発生し、対物レンズ16により集光され撮像手段18により撮影される。撮影手段18により取得された病変部Bの形に高輝度を有する蛍光画像Gは、画像合成部3に送られて、保持されていた反射光画像Gと合成され、合成画像Gが生成される。そして、生成された合成画像Gは、画像記憶部4に記憶される。
【0031】
同一個体のマウスAについて経時的な蛍光観察を行う場合には、ケース9の扉19を開けて、マウスAを取り出し、覚醒させて、平常通りの活動をさせた後、再度睡眠させて上記工程を繰り返すことにより、多数の合成画像Gを画像記憶部4に蓄積するように記憶することができる。異なる個体のマウスAについて、蛍光観察を行う場合には、ケース9の扉19を開けて、マウスAを取り出し、睡眠状態の別のマウスAに入れ替えて、上記工程を繰り返す。
【0032】
そして、例えば、15枚の合成画像Gが画像記憶部4内に蓄積されたときには、制御部6は、これらの合成画像Gに画像処理を施して、重心位置Cとマウスの向きDとを算出し、図4に示されるように、重心位置Cが等間隔に配列され、かつ、マウスの向きDが同一方向に向かうように各合成画像Gを並進移動および回転移動させる。
【0033】
そして、例えば、各合成画像GにおけるマウスAの輪郭形状よりも外側の画像部分について除去する画像処理を行うことにより、図5に示されるように全ての合成画像GにおけるマウスAを等間隔に、かつ同一方向に向けて配列した状態で表示部5に表示することができる。
【0034】
このように構成された本実施形態に係る蛍光観察装置1によれば、同一個体のマウスAまたは異なる複数のマウスAについて、時間間隔をあけて取得された合成画像Gを正しく整列させた状態で表示部5に表示することができる。したがって、同一個体における病変部Bの形状の経時的な変化を観察する場合においては、変化の様子を容易に観察でき、微妙な変化も見逃すことなく観察することができるという利点がある。また、異なる複数の個体についての病変部Bの形状を対比観察することができ、個体の相違による病変部Bの相違を容易に発見することができる。
【0035】
比較のために、上記画像処理を施すことなく、取得された複数の合成画像Gをそのまま配列して表示した場合を図6に示す。この図6によれば、表示画面上において病変部Bの位置が上下に変動し、しかも、回転している合成画像Gも存在するため、マウスAの輪郭形状内における病変部Bの位置が変化しているのか、形状が変化しているのかについて、迅速かつ確実に判断することが困難である。
【0036】
これに対して、本実施形態に係る蛍光観察装置1によれば、図5に示されるように、全ての合成画像GにおけるマウスAの輪郭形状を正しく整列させた状態に表示するので、マウスAの輪郭形状内における病変部Bの位置が微妙な変化や、形状の微妙な変化を容易に発見することができるという利点がある。
【0037】
さらに、本実施形態においては、上述したように、時間間隔をあけて行われる合成画像Gの取得に際して、その都度、ステージ7上にマウスAを固定する作業が行われるが、この固定作業においては、撮像手段18の視野範囲内にマウスAのほぼ全体が入るように大まかに位置決めするだけで済む。すなわち、生成された合成画像Gを移動して、マウスAが正しく整列されるように配列して表示するので、ステージ7上に正しく位置決めして固定する必要がない。
【0038】
その結果、マウスAの固定作業を簡易に行って、観察時間を短縮することができる。
特に、創薬スクリーニングを行う場合等、多数のマウスAについて画像取得を行う必要がある場合には、マウスAの入れ替えに要する時間を短縮してスピーディに多数の合成画像Gを蓄積することができるという利点がある。
【0039】
また、本実施形態においては、励起光源11を含む観察光学系8をケース9内に収容し、扉19の閉鎖を検出して励起光源11から励起光を出射させることとしたので、励起光が外部に漏れる不都合を未然に防止することができるという利点がある。
【0040】
なお、本実施形態においては、合成画像Gのうち、マウスAの輪郭形状の外側の画像部分を除去して表示することとしたが、これに代えて、図4のように、外側の画像部分を除去することなくそのまま表示することにしてもよい。また、図7に示されるように、正しく整列された枠の中心位置に、整列移動されたマウスAをそれぞれ配置するように表示してもよい。
【0041】
また、本実施形態においては、実験小動物としてマウスAを例示したが、これに限定されるものではなく、他の任意の実験小動物の蛍光観察に適用してもよい。
また、本実施形態においては、15枚の合成画像Gを配列する場合を例示したが、これに代えて、任意の枚数、任意の行数および列数の合成画像を表示することにしてもよい。また、1列あるいは1行の合成画像Gを表示することにしてもよい。
また、制御部6においては、取得された複数枚の合成画像Gに基づいて、病変部Bの面積、平均輝度、最高輝度等を算出し、これらを用いて病変部Bの解析を行うこととしてもよい。
【0042】
また、本実施形態においては、複数枚の合成画像Gを配列して一度に表示する場合について説明したが、これに代えて、複数枚の合成画像Gを1枚ずつ順次表示する場合に適用してもよい。
この場合には、制御部6において算出された重心位置CおよびマウスAの向きDを全ての画像において一致させるように表示すればよい。
【0043】
このようにすることで、同一個体のマウスAの経時変化を観察する場合には、輪郭形状がほぼ移動しないようにして、病変部Bの形状や位置のみが変化するように表示することができる。したがって、病変部Bの経時変化をわかりやすく観察することができる。
また、異なる個体の複数のマウスAを対比観察する場合には、病変部Bの大きさや位置の相違をより明確に観察することができ、微妙な相違も見逃すことなく観察することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態に係る蛍光観察装置を示す全体構成図である。
【図2】図1の蛍光観察装置により取得された(a)反射光画像、(b)蛍光画像および(c)合成画像の一例を示す図である。
【図3】図1の蛍光観察装置により取得された合成画像において算出された重心位置およびマウスの向きを示す図である。
【図4】図1の蛍光観察装置による複数の合成画像の表示例を示す図である。
【図5】図4の合成画像の内、マウスの輪郭形状以外の画像部分を除去した複数の合成画像の表示例を示す図である。
【図6】図1の蛍光観察装置により取得された複数の合成画像を、画像処理を施すことなく表示した比較例を示す図である。
【図7】図1の蛍光観察装置による複数の合成画像の表示の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
A マウス(実験小動物)
C 重心位置
D 長手軸方向
反射光画像(明視野画像)
蛍光画像
合成画像
1 蛍光観察装置
3 画像合成部
4 画像記憶部
5 表示部
6 制御部(輪郭抽出部、画像位置調節部、画像解析部)
8 観察光学系
9 ケース
19 扉
20 センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
実験小動物の明視野画像と蛍光画像とが合成された複数の合成画像を少なくとも一方向に配列して表示する表示部と、
各合成画像に含まれる明視野画像における実験小動物の輪郭形状を抽出する輪郭抽出部と、
該輪郭抽出部により抽出された実験小動物の輪郭形状が前記配列方向に直交する方向に相互に一致するように、各合成画像の表示位置を調節する画像位置調節部とを備える蛍光観察装置。
【請求項2】
前記画像位置調節部が、前記実験小動物の輪郭形状の重心位置を算出し、各合成画像における前記重心位置が、前記配列方向に直交する方向に相互に一致するように、各合成画像の表示位置を調節する請求項1に記載の蛍光観察装置。
【請求項3】
前記画像位置調節部が、前記実験小動物の輪郭形状の長手軸方向とその向きを算出し、各合成画像における前記長手軸方向およびその向きが一致するように、各合成画像の表示角度を調節する請求項1または請求項2に記載の蛍光観察装置。
【請求項4】
実験小動物の明視野画像と蛍光画像とが合成された複数の合成画像を切り替えて表示する表示部と、
各合成画像に含まれる明視野画像における実験小動物の輪郭形状を抽出する輪郭抽出部と、
該輪郭抽出部により抽出された実験小動物の輪郭形状が相互に一致するように、各合成画像の表示位置を調節する画像位置調節部とを備える蛍光観察装置。
【請求項5】
前記画像位置調節部が、前記実験小動物の輪郭形状の重心位置を算出し、各合成画像における前記重心位置が相互に一致するように、各合成画像の表示位置を調節する請求項4に記載の蛍光観察装置。
【請求項6】
前記画像位置調節部が、前記実験小動物の輪郭形状の長手軸方向とその向きを算出し、各合成画像における前記長手軸方向およびその向きが一致するように、各合成画像の表示角度を調節する請求項4または請求項5に記載の蛍光観察装置。
【請求項7】
実験小動物の明視野画像および蛍光画像を取得する観察光学系と、
該観察光学系を前記実験小動物に対して固定して取得された明視野画像および蛍光画像を合成する画像合成部と、
該画像合成部により得られた合成画像を記憶する画像記憶部とを備え、
該画像記憶部に記憶された複数の合成画像を前記表示部に表示する請求項1から請求項6のいずれかに記載の蛍光観察装置。
【請求項8】
前記画像記憶部に記憶された合成画像を解析する画像解析部を備える請求項7に記載の蛍光観察装置。
【請求項9】
前記観察光学系を収容して遮光するケースを備え、
該ケースに、開閉可能な扉と、該扉の開閉を検出するセンサとが備えられ、
該センサにより扉が閉鎖されたことが検出された場合に、前記観察光学系により明視野画像および蛍光画像の取得が行われる請求項7または請求項8に記載の蛍光観察装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−224312(P2008−224312A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−60483(P2007−60483)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】