説明

表示パネルおよび電子書籍

【課題】歩留まりおよび信頼性が高い表示パネルおよび電子書籍を提供することを課題とする。
【解決手段】走査線と信号線が交差する表示部を有する矩形シート状の可撓性表示パネル基板上に、前記可撓性の表示パネルの上面における一辺および該一辺と対向する一辺の少なくとも一方に設けられ、前記信号線に信号を出力する信号線駆動回路と、前記基板上に、前記信号線駆動回路と略垂直方向の前記可撓性の表示パネルの一辺および該一辺と対向する一辺の少なくとも一方に設けられ、前記走査線に信号を出力する走査線駆動回路と、を有する可撓性表示パネルの、少なくとも前記信号線駆動回路と前記走査線駆動回路と重畳する位置は、該重畳する位置以外の領域よりも機械的強度を向上させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
表示パネルおよび電子書籍に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル化技術の進歩に伴い、新聞、雑誌などの文字情報や画像情報を電子データとして提供するサービスが普及してきている。このようなサービスにおいて、電子データは、一般に、PCなどが備える表示装置に表示されることで、その内容が閲覧される。
【0003】
上記のようなサービスを提供する表示装置として、例えば、可撓性を有する電子ペーパーと呼ばれるものが提案されている(特許文献1を参照)。可撓性を有する電子ペーパーの表示部をトランジスタなどの素子を用いて形成する場合には、当該トランジスタを駆動するための回路(以下、駆動回路と呼ぶ)を設ける必要がある。この場合、電子ペーパーを湾曲させると、当該駆動回路が破壊されるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−337353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一態様は、歩留まりおよび信頼性が高い表示パネル並びに電子書籍を提供することを課題とする。特に、本発明の一態様は、駆動回路が破壊されにくい可撓性を有する表示パネル、表示装置および電子書籍を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、湾曲することで応力が集中する箇所、または駆動回路部などの強度を向上させた表示パネルおよび電子書籍である。
【0007】
なお、表示パネルとしては、電子ペーパーの他、発光装置および液晶表示装置が挙げられる。発光装置は発光素子を含み、液晶表示装置は液晶素子を含む。発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子を含み、具体的には無機EL(Electro Luminescence)素子および有機EL素子などがある。
【発明の効果】
【0008】
機械的強度が高く、信頼性の高い表示パネル、表示装置および電子書籍を提供することができる。
【0009】
高い歩留まりで表示パネル、表示装置および電子書籍を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一態様である表示パネルを説明する図。
【図2】本発明の一態様である表示パネルを説明する図。
【図3】本発明の一態様である表示パネルを説明する図。
【図4】本発明の一態様である表示パネルを説明する図。
【図5】本発明の一態様の表示パネルに用いる基板の作製方法を説明する図。
【図6】本発明の一態様の表示パネルに用いる基板の作製方法を説明する図。
【図7】本発明の一態様の表示パネルに用いる基板の作製方法を説明する図。
【図8】本発明の一態様の表示パネルに用いる基板の作製方法を説明する図。
【図9】本発明の一態様の表示パネルに用いる基板の作製方法を説明する図。
【図10】本発明の一態様の表示パネルに用いる基板の作製方法を説明する図。
【図11】本発明の一態様の表示パネルの作製方法を説明する図。
【図12】本発明の一態様の表示パネルの作製方法を説明する図。
【図13】本発明の一態様の表示パネルの作製方法を説明する図。
【図14】本発明の一態様である電子書籍を説明する図。
【図15】本発明の一態様である電子書籍を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。そして、便宜上、絶縁層は上面図には表さない場合がある。なお、各図面において示す各構成の、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されて表記している場合がある。従って、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0012】
(実施の形態1)
本実施の形態は、本発明の一態様である表示パネルについて説明する。
【0013】
本発明の一態様は、走査線と信号線が交差する上面が矩形シート状の可撓性表示部と、前記可撓性表示部が設けられた基板上に、前記基板の上面における一辺および該一辺と対向する一辺の少なくとも一方に設けられ、前記信号線に信号を出力する信号線駆動回路と、前記基板上に、前記信号線駆動回路と略垂直方向の前記基板の一辺および該一辺と対向する一辺の少なくとも一方に設けられ、前記走査線に信号を出力する走査線駆動回路と、を有し、少なくとも前記信号線駆動回路および前記走査線駆動回路と重畳する位置は、該重畳する位置以外の領域よりも機械的強度が高いことを特徴とする表示パネルである。
【0014】
本発明の一態様は、 走査線と信号線が交差する上面が矩形シート状の可撓性表示部と、前記可撓性表示パネルが設けられた基板上に、前記基板の上面における一辺および該一辺と対向する一辺の少なくとも一方に設けられ、前記信号線に信号を出力する信号線駆動回路と、前記基板上に、前記信号線駆動回路と略垂直方向の前記基板の一辺および該一辺と対向する一辺の少なくとも一方に設けられ、前記走査線に信号を出力する走査線駆動回路と、を有し、前記基板の四辺近傍の領域は、該四辺近傍以外の領域よりも機械的強度が高いことを特徴とする表示パネルである。
【0015】
上記構成の表示パネルにおいて、前記可撓性表示部、信号線駆動回路、及び走査線駆動回路はフィルムにより覆われ、前記機械的強度が高い部分のフィルムが他の部分よりも厚くすればよい。
【0016】
上記構成の表示パネルにおいて、前記機械的強度が高い部分に重畳してプリプレグが設けられていればよい。
【0017】
上記構成の表示パネルにおいて、前記可撓性表示部の全体には第1のプリプレグが設けられ、前記力学的に強化されている位置に重畳して第2のプリプレグが設けられてもよく、このとき、前記第2のプリプレグは、前記第1のプリプレグよりも細い繊維により形成されていることが好ましい。
【0018】
上記構成の表示パネルの四辺近傍の領域が、該四辺近傍以外の領域よりも機械的強度が高いことを特徴とする表示パネルにおいて、前記表示パネルの四隅近傍は、前記四隅近傍を除く四辺近傍よりも機械的強度が高いことが好ましい。
【0019】
上記構成の表示パネルにおいて、前記信号線駆動回路と前記走査線駆動回路の一方または双方は、単結晶半導体層により設けられた薄膜トランジスタを有することが好ましい。
【0020】
なお、矩形状または矩形シート状には、4本の線分により囲まれた形状であって、角を有さず、曲線を有する形状も含まれる。すなわち、本明細書中における矩形状は、矩形の隅が丸められたものを含むものとする。
【0021】
なお、本実施の形態において、上とは、基板を基準に、薄膜などが形成される方向をいう。従って、図中の最上部に基板を配し、該基板の下側に薄膜などが形成されているように示されている図であっても、以下の説明では基板「上」に薄膜が形成されていると表現するものとする。
【0022】
図1は、本発明の一態様である表示パネルの構成の概略図を示す。
【0023】
図1に示す表示パネル100は、表示部102と、第1の走査線駆動回路104と、第2の走査線駆動回路106と、第1の信号線駆動回路108と、第2の信号線駆動回路110と、を有する。なお、第1の走査線駆動回路104と第2の走査線駆動回路106は、一方のみが設けられていてもよい。同様に、第1の信号線駆動回路108と第2の信号線駆動回路110は、一方のみが設けられていてもよい。表示パネル100はプラスチック基板などの可撓性基板上に設けられており、曲げることができる。
【0024】
図1に示す第1の走査線駆動回路104、第2の走査線駆動回路106、第1の信号線駆動回路108および第2の信号線駆動回路110が設けられている領域は、表示パネル100が曲げられたときに応力が集中しやすく、表示パネルが破損し、または破壊される原因となり、歩留まりおよび信頼性を低下させる一因となる。
【0025】
そこで、本発明の一態様は、曲げられたときに応力が集中しやすい領域の機械的強度を向上させることで表示パネルの歩留まりおよび信頼性を向上させる。具体的には、図1において点線で囲んだ強化領域112に設ける樹脂層を厚くする。または、表示パネル100をフィルムなどで覆い、強化領域112と重畳する部分のフィルムを厚くする。
【0026】
または、より好ましくは、強化領域112に重畳するように、繊維に有機樹脂が含浸された構造体であるプリプレグを配する。強化領域112と重畳してプリプレグを配することで、曲げられたときに最も応力が集中しやすい強化領域112の機械的強度をより向上させることができる。
【0027】
または、更に好ましくは、表示パネル100の表面全体にプリプレグを配し、強化領域112の機械的強度を更に強化してもよい。このように強化領域112を効果的に補強するためには、例えば、強化領域112に配するプリプレグとして、繊維が細いものを密に(すなわち、単位面積あたりの繊維の本数を多くして)設ければよい。繊維が細いプリプレグを密に設けることで応力が分散しやすくなり、強化領域112の機械的強度を効果的に向上させることができる。
【0028】
なお、上記したように表示パネル100の全体にプリプレグを設けると表示特性が低下しやすいため、片面のみに画像を表示する片面表示型パネルの裏面(表示面と対向する逆の面)にのみプリプレグを設けることが好ましい。
【0029】
なお、強化領域112は、図1に示すように、y方向に延在する第1の強化領域112A(図1において、横線のハッチングを施した領域)と、x方向に延在する第2の強化領域112B(図1において、縦線のハッチングを施した領域)と、四隅近傍に存在する第3の強化領域112C(第1の強化領域112Aと第2の強化領域112Bが交差する領域)と、に分割することもできる。第3の強化領域112Cは、曲げられたときに最も応力が集中しやすい場所である。従って、y方向に延在する繊維を第1の強化領域112Aに設け、x方向に延在する繊維を第2の強化領域112Bに設け、第3の強化領域112Cには、これらが交差して設けられているとよい。
【0030】
または、x方向に延在する繊維を第1の強化領域112Aに設け、y方向に延在する繊維を第2の強化領域112Bに設け、第3の強化領域112Cには、これらが延在して交差したものが設けられていてもよい。このような構成とすることで、第1の強化領域112Aはy方向に曲がりやすく、第2の強化領域112Bはx方向に曲がりやすくなるため、表示パネル100の可撓性を阻害することなく、表示パネル100の機械的強度を向上させることができる。
【0031】
次に、表示パネル100に用いる表示素子について説明する。本発明の一態様である表示パネルは、電子ペーパー、発光表示パネル(EL(エレクトロルミネッセンス)パネル)または液晶表示パネルなどを用いることができ、特定のものに限定されない。そして、表示パネル100の表示部102は、パッシブマトリクス型であってもよいし、アクティブマトリクス型であってもよいが、以下ではアクティブマトリクス型について説明する。
【0032】
なお、ここで電子ペーパーとは、紙のように薄く、軽く、視認性が高いディスプレイをいう。電子ペーパーは、光学異方性と染料分子配向のような分子により表示されるもの、電気泳動、粒子移動、粒子回転、相変化のような粒子により表示されるもの、フィルムの一端が移動することにより表示されるもの、分子の発色/相変化により表示されるもの、分子の光吸収により表示されるもの、電子とホールが結合して自発光により表示されるものなどのことをいう。例えば、電子ペーパーの表示方法として、マイクロカプセル型電気泳動、水平移動型電気泳動、垂直移動型電気泳動、球状ツイストボール、磁気ツイストボール、円柱ツイストボール方式、帯電トナー、電子粉流体、磁気泳動型、磁気感熱式、エレクトロウェッテイング、光散乱(透明/白濁変化)、コレステリック液晶/光導電層、コレステリック液晶、双安定性ネマチック液晶、強誘電性液晶、2色性色素・液晶分散型、可動フィルム、ロイコ染料による発消色、フォトクロミック、エレクトロクロミック、エレクトロデポジション、フレキシブル有機ELなどを用いることができる。ただし、これらに限定されず、電子ペーパーおよびその表示方法として様々なものを用いることができる。ここで、マイクロカプセル型電気泳動を用いることによって、電気泳動方式の欠点である泳動粒子の凝集と沈殿を解決することができる。電子粉流体は、高速応答性、高反射率、広視野角、低消費電力、メモリー性などのメリットを有する。なお、広義には、表示素子として液晶素子または発光素子を用いたものを含むが、本実施の形態においては、表示素子として液晶素子または発光素子以外のものを用いたものを電子ペーパーと呼ぶ。電子ペーパーは、電界、磁界、光または熱を利用して、表示媒体の形状や位置を変化させるなどして画像を表示させることができる。電子ペーパーの方式としては、例えば、ツイストボール方式、電気泳動方式、サーマルリライタブル方式、トナーディスプレイ方式および電子粉粒体を用いた方式などが挙げられる。
【0033】
なお、表示パネル100は、両面に画像を表示する両面表示型パネルであってもよいし、片面のみに画像を表示する片面表示型パネルであってもよい。両面表示型パネルは、両面射出型の表示パネルを用いてもよいし、2枚の片面表示型パネルの裏面を貼り合わせて用いてもよい。片面表示型パネルを2枚貼り合わせて用いる場合には、2枚の片面表示型パネルの間にバックライトを挟んだ構成であってもよい。なお、バックライトとしては、可撓性基板上に設けたEL表示パネルを用いることが好ましい。バックライトを設けても可撓性が低下しないためである。
【0034】
なお、上記したように、表示パネル100が片面表示型パネルである場合には、表示面の裏面側にのみプリプレグを設けることが好ましい。表示特性を低下させないためである。
【0035】
図2(A)〜(C)は、表示パネル100に適用できる両面表示型パネルの例を示す。なお、図2のそれぞれにおいて、点線の矢印は視認方向(表示面側)を示している。
【0036】
図2(A)は、表示素子126を基板122と基板124で挟持した表示パネル120の側面を示し、基板122側に第1の表示部128、基板124側に第2の表示部129が設けられている。表示素子126によって、第1の表示部128と第2の表示部129に画像が表示されるため、基板122と基板124は透光性を有する。表示素子126としては、自発光型の発光素子であるEL素子を用いることが好ましい。なお、表示パネル120に入射する光を利用することで、表示素子126として液晶表示素子や電気泳動表示素子を用いることもできる。
【0037】
図2(B)は、基板131と基板133で挟持された表示素子135を含む片面表示型の表示パネル130Aと、基板132と基板134で挟持された表示素子136を含む片面表示型の表示パネル130Bと、を貼り合わせた表示パネル130の側面を示し、基板131側に第1の表示部138、基板132側に第2の表示部139が設けられている。表示素子135によって第1の表示部138に画像が表示され、表示素子136によって第2の表示部139に画像が表示されるため、基板131と基板132は透光性を有する。一方、基板133と基板134は透光性を有していなくてもよい。または、基板133と基板134は、反射性を有していてもよい。または、基板133と表示素子135との間、および基板134と表示素子136の間に遮光層が設けられていてもよい。なお、図示していないが、片面表示型の表示パネル130Aと片面表示型の表示パネル130Bは、例えば接着層を介して貼り合わせればよい。または、基板133と基板134のどちらか一方のみを用いてもよい。すなわち、基板の一主表面上に表示素子135を設け、該一主表面の裏面(対向する面)に表示素子136を設けてもよい。表示素子135と表示素子136としては、自発光型の発光素子であるEL素子を用いることが好ましい。なお、表示パネル130に入射する光を利用することで、表示素子135と表示素子136として液晶表示素子や電気泳動表示素子を用いることもできる。このとき、光の取り出し効率を向上させるため、片面表示型の表示パネルとして反射型の表示パネルを用いると好ましい。
【0038】
または、透過型液晶表示パネルの間にバックライトを設けてもよい。図2(C)は、基板141と基板143で挟持された表示素子145を含む透過型液晶表示パネル140Aと、基板142と基板144で挟持された表示素子146を含む透過型液晶表示パネル140Bと、を光源となるバックライト147を介して貼り合わせた表示パネル140の側面を示し、基板141側に第1の表示部148、基板142側に第2の表示部149が設けられている。バックライト147からの光の透過率が表示素子145によって制御されることで第1の表示部148に画像が表示され、バックライト147からの光の透過率が表示素子146によって制御されることで第2の表示部149に画像が表示される。そのため、基板141、基板142、基板143および基板144は透光性を有する。なお、2つの透過型液晶表示パネル140Aおよび透過型液晶表示パネル140Bと、バックライト147は、接着層を介して貼り合わせればよい。バックライト147として薄型のELパネルを用いると、表示パネル140を薄くすることができるため好ましい。
【0039】
本発明の一態様である表示パネルには、電子ペーパー、液晶表示パネルまたは発光表示パネルを適用することができる。これらの表示パネルについて以下に説明する。
【0040】
まず、表示パネルとして電子ペーパーを用いる場合について説明する。
【0041】
図3(A)〜(C)は、アクティブマトリクス型の電子ペーパーを用いた表示パネルの断面図を示す。電子ペーパーは、紙と同程度に視認性が高く、他の表示パネルに比べて消費電力が低く、薄型化、軽量化が可能である。
【0042】
図3(A)は、ツイストボール方式を用いた電子ペーパーの断面図を示す。ツイストボール方式とは、白と黒に塗り分けられた球形の粒子を表示素子に用いる電極間に配置し、電極間の電圧によって球形粒子の向きを制御して、画像を表示する方式をいう。
【0043】
図3(A)に示すツイストボール方式を用いた電子ペーパーは、表示部157と駆動回路部158を有する。表示部157は、基板150上の薄膜トランジスタ151と接続された第1の電極層152と、基板153上に設けられた第2の電極層154と、第1の電極層152と第2の電極層154の間に配された球形粒子155と、を有する。球形粒子155は、黒色領域155aおよび白色領域155bを有し、周りに液体で満たされているキャビティ155cを含む。球形粒子155の周囲には有機樹脂などの充填材156が充填されている。第2の電極層154は、共通電極(対向電極)に相当し、共通電位線と電気的に接続されている。なお、駆動回路部158は、表示部157内の薄膜トランジスタ151と同一の工程で形成された薄膜トランジスタを含む。
【0044】
図3(B)は、電気泳動素子方式を用いた電子ペーパーの断面図を示す。図3(B)では、図3(A)における球形粒子155に代えてマイクロカプセル159を用いる。マイクロカプセル159は、透明な液体159cと、黒色粒子159aと、白色粒子159bと、を有する。
【0045】
第1の電極層152と第2の電極層154の間に設けられるマイクロカプセル159は、第1の電極層152と第2の電極層154によって電場が生じると第1の粒子である白色粒子159bと、第2の粒子である黒色粒子159aが各々逆の方向に移動し、白または黒を表示することができる。このような表示素子を電気泳動表示素子と呼ぶ。電気泳動表示素子は、反射率が高いため補助ライトが不要であり、消費電力が小さく、薄暗い場所でも視認性が高い。そして、表示部に電源が供給されていない状態であっても、一度表示した像を保持することが可能である。
【0046】
なお、第1の粒子と第2の粒子は染料を含み、電位勾配がない状態では移動しないものである。第1の粒子と第2の粒子の色は黒色と白色に限定されず、異なるもの(無色を含む)であればよい。
【0047】
上記したマイクロカプセルを溶媒中に分散させたものが電子インクと呼ばれるものである。電子インクは、ガラス、プラスチック、布または紙などの表面に印刷することができる。なお、カラーフィルタや色素を有する粒子を用いることによってカラー表示も可能である。
【0048】
なお、マイクロカプセル159中の第1の粒子と第2の粒子は、導電体材料、絶縁体材料、半導体材料、磁性材料、液晶材料、強誘電性材料、エレクトロルミネセント材料、エレクトロクロミック材料、磁気泳動材料から選ばれた一種の材料、またはこれらの複合材料を用いればよい。
【0049】
図3(C)は、電子粉粒方式を用いた電子ペーパーの断面図を示す。図3(C)では、第1の電極層152と、第2の電極層154と、リブ160に囲まれた空間161に、正に帯電した黒色粉粒体162Aと、負に帯電した白色粉粒体162Bと、が充填されている。空間161には、例えば空気が充填されていればよい。
【0050】
第1の電極層152と第2の電極層154によって電位勾配が生じると、黒色粉粒体162Aと、白色粉粒体162Bが逆の方向に移動し、白または黒を表示することができる。粉粒体として赤、黄、青のようなカラー粉体を用いてもよい。カラー粉体を用いるとカラー表示が可能になる。
【0051】
または、表示素子として、エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子(EL素子)を用いてもよい。エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって大別され、一般に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0052】
有機EL素子では、発光性の有機化合物により設けられる発光素子に電圧を印加することで、一対の電極から電子と正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入されて電流が流れる。そして、電子と正孔が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻ることで発光する。このようなメカニズムにより発光する発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0053】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子に分類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有し、その発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、誘電体層を介して発光層を電極で挟持した構造であり、その発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光である。なお、ここでは、発光素子として有機EL素子を用いて説明する。
【0054】
発光素子は、発光を取り出すために一対の電極の少なくとも一方が透明であればよい。本発明の一態様である表示パネルには、発光素子を基準として素子が形成された基板とは逆側の面(封止基板側)から発光を取り出す上面射出(トップエミッション)構造、発光素子を基準として素子が形成された基板側の面から発光を取り出す下面射出(ボトムエミッション)構造、上記の両面から発光を取り出す両面射出(デュアルエミッション)構造の発光素子のいずれを適用してもよい。
【0055】
図4(A)は、表示パネル100として発光表示パネルを用いたものの断面図を示す。表示素子である発光素子164は、表示部157に設けられた薄膜トランジスタ151と電気的に接続されている。なお、発光素子164の構成は、第1の電極層152、電界発光層165および第2の電極層154を積層した構造であるが、図示した構成に限定されない。発光素子164から取り出す光の方向などによって、発光素子164の構成は適宜変更することができる。
【0056】
電界発光層165は、単一の層で形成されていてもよいし、複数の層が積層されて形成されていてもよい。
【0057】
隔壁166は、有機樹脂膜、無機絶縁膜または有機ポリシロキサンなどを用いて形成する。特に、感光性の材料を用いることで、露光により第1の電極層152上に開口部を形成し、該開口部の側壁が連続した曲面の傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0058】
そして、発光素子164に酸素、水素、水分、二酸化炭素などが侵入しないように、第2の電極層154上に保護層を形成してもよい。保護層の材料としては、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、DLC(Diamond Like Carbon)などを用いることができる。基板150、基板153およびシール材によって封止された空間には充填材163が設けられ、密封されている。このように外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフィルム、紫外線硬化樹脂フィルムなど)またはカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
【0059】
充填材163としては、窒素またはアルゴンなどの不活性な気体を用いることができる。更には、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。
【0060】
発光素子の射出面に偏光板または円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを必要に応じて設けてもよい。例えば、白色の発光素子とカラーフィルタを用いると、発光素子を色毎に形成しなくてもよく、生産性を向上させることができる。なお、偏光板または円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0061】
図4(B)は、表示パネル100として液晶表示パネルを用いたものの断面図を示す。図4(B)において、表示素子である液晶素子167は、第1の電極層152と第2の電極層154が、配向膜168Aと配向膜168Bを介して液晶層169を挟持した構造を有する。第2の電極層154は、基板153側に設けられている。
【0062】
なお、スペーサ169Aは絶縁膜を選択的にエッチングすることで形成することができ、液晶層169の膜厚(セルギャップ)を調整するために設けられている。なお、スペーサ169Aに代えて球状のスペーサを用いていてもよい。
【0063】
なお、図4(B)の液晶表示パネルでは図示しないが、カラーフィルタ層(着色層)、ブラックマトリクス層(遮光層)、偏光部材、位相差部材、反射防止部材などの光学部材(光学基板)などは適宜設ければよい。例えば、偏光板および位相差板による円偏光を用いてもよい。そして、例えばバックライトを基板150側に配すればよい。
【0064】
または、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は、液晶相の一つであり、コレステリック液晶を加熱すると、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために5重量%以上のカイラル剤を混合させて用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤を含む液晶組成物は、応答速度が10μs〜100μsである。更には、このような液晶組成物は、光学的に等方性であるため配向処理が不要で視野角依存性が小さい。
【0065】
なお、図4は透過型液晶表示パネルの例であるが、反射型液晶表示パネルも半透過型液晶表示パネルも適用できる。
【0066】
なお、図3および図4において、基板150および基板153としては、透光性を有するプラスチック基板などを用いることができる。ここで、プラスチック基板としては、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(Poly Vinyl Fluoride)フィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムを用いることができる。または、アルミニウムホイルをPVFフィルムやポリエステルフィルムで挟んだ構造のシートを用いてもよい。
【0067】
なお、薄膜トランジスタ151などは、保護層により覆われている。このような保護層は、大気中に浮遊する有機物や金属物、水蒸気などの汚染不純物の侵入を防ぐためのものであり、緻密な膜であることが好ましい。保護層は、例えば、スパッタリング法を用いて、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、または窒化酸化アルミニウム膜を単層で、またはこれらの複数の層を積層して形成すればよい。
【0068】
そして、上記の保護層上には平坦化絶縁膜として機能する絶縁層が設けられている。平坦化絶縁膜として機能する絶縁層は、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシなどの、耐熱性を有する有機材料により形成することができる。または、上記の有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(Phospho−Silicate−Glass)、BPSG(Boro−Phospho−Silicate−Glass)などを用いることができる。これらの複数の層を積層させて、絶縁層を形成してもよい。
【0069】
上記した薄膜トランジスタ151などを覆う保護層、および平坦化絶縁層として機能する絶縁層の形成方法は特に限定されず、その材料に応じて、スパッタリング法、SOG法、スピンコート法、ディップ法、スプレー塗布法、液滴吐出法(インクジェット法)、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などを用いればよい。ベーク工程を経てこれらの絶縁層を形成する場合には、該ベーク工程が、薄膜トランジスタ151などが有する半導体層のアニール(200℃〜400℃)を兼ねていてもよい。絶縁層のベーク工程が半導体層のアニール工程を兼ねることで、効率よく表示パネルを作製することができる。
【0070】
表示パネルは、光源または表示素子からの光を透過させて像を表示する。よって表示部の光が透過する領域に設けられる基板、絶縁膜および導電膜などの薄膜は、可視光の波長領域の光に対して透光性とするとよい。
【0071】
表示素子に電圧を印加する第1の電極層152と第2の電極層154は、取り出す光の方向、電極層が設けられる場所、および電極層のパターン構造によって透光性としてもよいし、反射性を有せしめてもよい。なお、第1の電極層152と第2の電極層154は、その機能に応じて画素電極、共通電極または対向電極などと呼ばれる。
【0072】
第1の電極層152および第2の電極層154は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと呼ぶ)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いて形成することができる。
【0073】
または、第1の電極層152および第2の電極層154は、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物により形成することができる。導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、またはこれらの2種以上の共重合体などが挙げられる。
【0074】
または、第1の電極層152および第2の電極層154が透光性を有さなくてもよい場合には、タングステン、モリブデン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、コバルト、ニッケル、チタン、白金、アルミニウム、銅、銀などの金属、またはこれらの合金若しくはこれらの金属の窒化物の一種または複数種の材料を用いて形成することができる。第1の電極層152および第2の電極層154としては、これらの材料により導電層を薄く(数nm程度)形成して透光性を有せしめることもできる。
【0075】
なお、薄膜トランジスタは静電気などにより破壊されやすいため、保護回路を設けることが好ましい。保護回路は、非線形素子を用いて構成することが好ましい。保護回路は、例えば、表示部157と駆動回路部158の間に設ければよい。
【0076】
なお、上記の説明では、駆動回路部158が有する薄膜トランジスタが、表示部157が有する薄膜トランジスタ151と同一の工程で形成されているが、本発明の一態様である表示パネルはこれに限定されない。駆動回路部158が有する薄膜トランジスタには、高速動作が要求されるため、基板150上に単結晶半導体を設け、この単結晶半導体を加工して駆動回路を形成することが好ましい。そこで、基板150上に単結晶半導体を形成する方法について以下に説明する。なお、以下の説明では、第1の基板170と半導体基板190を用いる(図5を参照)。
【0077】
第1の基板170は、作製工程に耐えうる程度の耐熱性と耐薬品性を有していればよく、基板の材料は特定のものに限定されない。例えば、ガラス基板、石英基板、シリコン基板若しくはステンレス基板など、またはこれらの基板上に絶縁層を設けた基板を用いることができる。ここでは、ガラス基板を用いる。ガラス基板は大面積のものを作製することが可能であるため、生産性を高めることができ、更には、ガラス基板上に半導体素子(例えば、薄膜トランジスタ)を作製する技術は、ほぼ確立されつつあり、汎用性の高いプロセスを採用することができるからである。
【0078】
半導体基板190の材料としては、例えばシリコンまたはゲルマニウムを用いる。または、ガリウムヒ素、インジウムリンなどの化合物半導体を用いてもよい。なお、半導体基板190は単結晶半導体基板に限定されず、例えば、多結晶半導体基板であってもよい。ここでは、最も好ましい形態として、単結晶シリコン基板を用いる場合について説明する。半導体基板として単結晶の基板を用いることで、高速動作が可能な半導体装置を作製することができ、シリコン基板を用いることで、汎用性の高いプロセスを採用することができるからである。従って、単結晶シリコン基板を用いることで、高速動作が可能な半導体装置を、汎用性の高いプロセスで作製することができる。
【0079】
まず、第1の基板170上に剥離層172を形成する(図5(A−1)を参照)。剥離層172は単層であってもよいし、複数の層を積層して形成してもよい。図5(A−1)では、剥離層172は積層構造を有し、第1の剥離層174上に第2の剥離層176が形成されている。
【0080】
剥離層172は、例えばスパッタリング法を用いて、タングステン、モリブデン、チタン、タンタル、ニオブ、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムおよびシリコンから選択された元素、またはこれらの元素を主成分とする合金材料、またはこれらの元素を主成分とする化合物材料からなる層を、単層で、または複数の層を積層して形成する。ここで、列挙した材料の結晶構造は、特に限定されない。そして、スパッタリング法のみならず、プラズマCVD法、塗布法(スピンコーティング法)、液滴吐出法、ディスペンス法または印刷法を用いてもよい。
【0081】
剥離層172が単層構造の場合には、好ましくは、タングステン、モリブデン、若しくはタングステンとモリブデンの混合物、またはこれらを含む材料により形成する。または、タングステンの酸化物若しくはタングステンの酸化窒化物を含む材料、モリブデンの酸化物若しくはモリブデンの酸化窒化物を含む材料、またはタングステンとモリブデンの混合物の酸化物若しくは酸化窒化物を含む材料により形成する。なお、タングステンとモリブデンの混合物としては、例えば、タングステンとモリブデンの合金材料が挙げられる。
【0082】
剥離層172が積層構造の場合には、好ましくは、1層目(第1の剥離層174)として金属層を形成し、2層目(第2の剥離層176)として金属酸化物層を形成するとよい。例えば、第1の剥離層174として、タングステン、モリブデン、またはタングステンとモリブデンの混合物を含む層を形成し、第2の剥離層176として、これらの酸化物、窒化物、酸化窒化物または窒化酸化物を含む層を形成するとよい。
【0083】
第1の剥離層174を金属層とし、第2の剥離層176を金属酸化物層としてこれらを積層して設ける場合には、例えば、第1の剥離層174としてタングステンを含む層を形成し、その上に金属酸化物からなる絶縁層を形成すると、タングステンを含む層と金属酸化物からなる絶縁層との界面にタングステンの酸化物を含む層が形成されるが、これを第2の剥離層176として用いてもよい。さらには、第1の剥離層174である金属層の表面に対して、熱酸化処理、酸素プラズマ処理またはオゾン水などの酸化力の強い溶液による処理などを行って、第2の剥離層176となる金属酸化物層を形成してもよい。例えば、タングステン層上に酸化シリコン層を形成することで、タングステン層と酸化シリコン層の間にタングステン酸化物層を形成してもよい。しかし、タングステンの酸化物と酸化シリコンとは密着し難いため、剥離には有利であるが、作製工程中において意図せず剥離してしまうおそれがある。一方、タングステン層と酸化シリコン層との間にタングステン窒化物層を形成すると、作製工程中における意図しない剥離を防止することはできるが、剥離し難くなるという問題がある。そのため、剥離層172として設ける層は、例えば酸化シリコン層とタングステン窒化物層の間に酸化窒化タングステン層を設けた積層構造とするなど、作製工程に応じて決定するとよい。
【0084】
なお、上記のプラズマ処理や加熱処理は、一酸化二窒素、二酸化窒素、あるいはこれらのガスとその他のガスとの混合気体雰囲気中で行ってもよい。
【0085】
更には、第2の剥離層176として、金属窒化物層または金属酸化窒化物層を設けてもよい。例えば、第1の剥離層174としてタングステンを含む層を形成し、第2の剥離層176として窒化タングステン層若しくは酸化窒化タングステン層を形成すればよい。
【0086】
剥離層172の厚さは、剥離工程において素子にダメージが入らない程度とすればよく、スループットを極端に低下させない程度の厚さで形成すればよい。例えば、第1の剥離層174として厚さ30nmのタングステン層を形成し、第2の剥離層176として厚さ250nmの酸化シリコン層を形成すればよい。第1の剥離層174および第2の剥離層176は、例えば、スパッタリング法またはCVD法などにより形成することができる。
【0087】
なお、第1の剥離層174としてタングステン層を形成し、第2の剥離層176としてCVD法により酸化シリコン層を形成する場合には、第1の剥離層174であるタングステン層を形成した直後に一酸化二窒素プラズマ処理を行うことが好ましい。一酸化二窒素プラズマ処理を行うことで、酸化タングステン層を厚く形成することができる。タングステン層と酸化シリコン層の界面に形成される酸化タングステン層が厚く形成されることで、作製工程において要求される密着性を確保しつつ、スムーズに剥離することが可能となる。
【0088】
次に、剥離層172の表面を平坦化する。剥離層172は、凹凸を有していることが多い。特に、剥離層172がスパッタリング法により形成された層である場合にはこれが顕著である。表面に凹凸を有すると、後の工程で二つの基板上に設けられた接合層を接合する際に、接合層間の接触面積が小さくなり、十分な接合強度を確保することが困難になる。そのため、剥離層172を平坦化するとよい。
【0089】
なお、ここで求められる平坦性は、第1の基板と半導体基板を貼り合わせることを可能とする程度であればよい。なお、ここで、平坦性は、平均面粗さRおよび自乗平均面粗さRmsで表され、以下のように定義される。
【0090】
ここで、平坦性を測定する測定面を座標(x1,y1)(x1,y2)(x2,y1)(x2,y2)で表される4点により囲まれる長方形の領域とし、この面積をSと表す。測定面をS、測定面における粗さを関数f(x)で表すと、平均面粗さRは次の式(1)にて定義される。
【0091】
【数1】

【0092】
なお、Zは測定面の平均の高さをいい、次の式(2)で表される。
【数2】

【0093】
なお、式(1)は、座標(x1,y1)(x1,y2)(x2,y1)(x2,y2)を用いると、次の式(3)にて定義される。
【0094】
【数3】

【0095】
なお、自乗平均面粗さRmsは、以下の式(4)にて定義される。
【0096】
【数4】

【0097】
剥離層172の平坦化は、剥離層172の全面を均一に平坦化できる方法により行うとよい。更には、平坦化は、剥離層形成工程または接合層形成工程と同一の装置内で行うことが可能な、簡略な工程によることが好ましく、このような方法として、例えば、逆スパッタリング法が挙げられる。ただし、これに限定されず、平坦性を高めることのできる処理であれば、あらゆる処理方法を用いることができる。これらの処理方法は、物理的エッチング方法であってもよいし、化学的エッチング方法であってもよい。
【0098】
剥離層をスパッタリング法により形成した場合には、逆スパッタリング法によって平坦化を行うことで、剥離層の形成から平坦化までを同一の装置内にて行うことができるため、スループットが高く、好ましい。
【0099】
逆スパッタリング法は、例えば、高真空のチャンバーに不活性ガス(アルゴンガスなど)を導入し、被処理面に対して電界をかけることでプラズマを発生させて行う。プラズマ中には、電子と不活性ガスなどにより生じた陽イオンが存在し、不活性ガスなどにより生じた陽イオンは、陰極方向に加速される。加速された陽イオンは被処理面をスパッタリングする。このとき、該被処理面の凸部が優先的にスパッタされて、平坦化される。
【0100】
以上説明したように、剥離層172の平坦性を向上させ、平坦な剥離層178を形成することができる(図5(B−1)を参照)。更には、剥離層の形成と平坦化を連続して一括で同一の装置内にて行うことができるため、半導体装置の作製工程におけるスループットが向上し、好ましい。
【0101】
次に、平坦な剥離層178上に第1の接合層180を形成する(図5(C−1)を参照)。第1の接合層180は、スパッタリング法またはCVD法などにより形成されるため、その表面は平坦な剥離層178の形状を反映することになる。第1の接合層180は、表面の平坦性が高く、且つ表面が親水性を有する材料により設ける。第1の接合層180としては、例えば酸化シリコン層を用いればよい。特にシランガス、ジシランガス、トリシランガスまたは有機シランガスなどのシラン系ガスを用いて化学気相成長法により形成される酸化シリコン層が好ましい。または、二酸化窒素または一酸化二窒素との混合ガスを用いて酸化窒化シリコン層を形成することが好ましい。有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOSともよばれる)、トリメチルシラン(TMS)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)またはトリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)などのシリコン含有化合物を用いることができる。化学気相成長法としては、プラズマCVD法、熱CVD法または光CVD法を用いればよい。または、第1の接合層180として、窒化シリコン層を用いてもよいし、窒化シリコン層上に窒化酸化シリコン層を積層して形成したものを用いてもよいし、窒化シリコン層上に酸化窒化シリコン層を積層して形成したものを用いてもよい。または、酸化アルミニウム層を用いてもよい。
【0102】
なお、親水性は、固体表面における水の接触角により定義される。ここで、接触角とは、滴下したドットのふちにおける、固体表面と液滴の接線がなす角度θのことをいう。固体表面に水を滴下した際の接触角が0°以上90°未満であるときには該固体表面は親水性であるとし、90°以上180°以下であるときには該固体表面は撥水性であるとする。
【0103】
上記した、表面の平坦性が高く、且つ親水性表面を有する第1の接合層180は、5nm以上500nm以下の厚さで設けるとよい。第1の接合層180をこのような厚さで設けることで、第1の接合層180が表面に下地の形状を反映して形成される絶縁層(例えば、CVD法により形成される酸化シリコン層)であっても、接合面における下地の形状の影響を小さくすることが可能である。そして、第1の接合層180を400nm以上500nm以下と厚く形成することで、接合する基板間に生じる歪みを緩和することができる。
【0104】
第1の接合層180の下に接して設けられている平坦な剥離層178は、逆スパッタリング法などにより平坦化されたものである。そのため、第1の接合層180は薄く形成してもよい。具体的には、第1の接合層180は、5nm以上50nm以下の厚さとすることができる。第1の接合層180を薄く形成することができるため、半導体装置の作製工程のスループットを向上させることができる。ただし、第1の接合層180を50nmよりも厚く形成してもよい。
【0105】
第1の接合層180の下に接して設けられている平坦な剥離層178により、第1の接合層180の厚さに関わらず、接合層間の剥離が生じ難いものとすることができ、製造工程の歩留まりが向上する。更には、接合層間の剥離が生じ難く、これに起因する不良を低減することができる。そのため、信頼性の高い半導体装置を作製することができる。
【0106】
上記したように、第1の基板170上に薄膜を形成する一方で、半導体基板190にも処理を行う。
【0107】
半導体基板190には、まず表面から一定の深さに、損傷領域192を形成する(図5(A−2)を参照)。損傷領域192は、電界で加速されたイオンを、清浄化された半導体基板190の表面から所定の深さに打ち込むことで形成される。イオンの打ち込みは、第1の基板170上に形成する単結晶半導体層または多結晶半導体層(以下、これをLTSS層とよぶ)の厚さを考慮して加速電圧などを調整して行う。LTSS層の厚さは、5nm以上500nm以下、好ましくは10nm以上200nm以下とする。損傷領域192の形成には、水素、不活性ガスまたはハロゲンを用いることができる。不活性ガスとしては、例えばヘリウムが挙げられ、ハロゲンとしては、例えばフッ素が挙げられる。
【0108】
なお、損傷領域192の形成ではイオンを高ドーズ条件で打ち込むため、半導体基板190の表面が粗くなる場合がある。この表面の荒れを防ぐためには、イオンが打ち込まれる面に、保護層を設けておくとよい。この保護層は、酸化シリコン、窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンなどにより0.5nm以上200nm以下の厚さで形成すればよい。
【0109】
なお、ここでドーズ条件は、目的に応じて適宜設定すればよい。このドーズ条件により、損傷領域192が半導体基板表面からどれだけの深さの位置に形成されるかが決定される。例えば、加速電圧を60kV、ドーズ量を2.0×1016cm−2とすると、半導体基板表面から約150nmの深さの位置に損傷領域192が形成される。
【0110】
次に、第1の基板170と接合する面に、第2の接合層200を形成する(図5(B−2)を参照)。第2の接合層200としては、シリコンを含む絶縁層、特に酸化シリコン層を形成することが好ましい。酸化シリコン層としては上述のように有機シランガスを用いて化学気相成長法により形成される酸化シリコン層が好ましい。化学気相成長法は、半導体基板190に形成した損傷領域192から脱ガスが起こらない温度(例えば、350℃以下)で行う。なお、単結晶半導体基板若しくは多結晶半導体基板からLTSS層を剥離する熱処理には、第2の接合層200を形成する際の温度よりも高い温度が適用されるとよい。
【0111】
なお、化学気相成長法としては、プラズマCVD法、熱CVD法または光CVD法を用いればよい。特に珪酸エチルとOによるプラズマCVD法を用いて、またはモノシランと二酸化窒素による熱CVD法を用いて形成すると、接合層に適した平坦な酸化シリコン層を低温(350℃以下)で形成する事ができるため好ましい。
【0112】
または、第2の接合層200となる酸化シリコン層は、オゾン水と過酸化水素を含む薬液、またはオゾン水で形成することもできる。その場合には、酸化シリコン層の厚さは0.5nm以上5nm以下とすればよい。または、第2の接合層200は、水素またはフッ素で終端した半導体表面であってもよい。または、第2の接合層200となる酸化シリコン層は、塩化水素を含む薬液(例えば、ジクロロエチレン)により形成することもできる。
【0113】
なお、第1の接合層180と半導体基板190との接合強度が十分に確保できるのであれば、第2の接合層200を形成することなく、第1の接合層180と半導体基板190を直接接合してもよい。
【0114】
同様に、平坦な剥離層178と第2の接合層200との接合強度が十分に確保できるのであれば、第1の接合層180を形成することなく、平坦な剥離層178と第2の接合層200を直接接合してもよい。
【0115】
つまり、接合強度に問題がなければ、必ずしも第1の基板170上と半導体基板190上の双方に接合層を形成しなくともよい。接合層を形成しないことで、半導体装置の作製工程におけるスループットを向上させることができる。更には、作製工程中で用いる材料の削減ができるため、作製工程におけるコストを低減することができる。このような形態については、後に説明する。
【0116】
次に、第1の基板170上に形成された第1の接合層180と、半導体基板190上に形成された第2の接合層200とを密接させて接合することで、第3の接合層182が形成される(図5(D)を参照)。第1の接合層180と第2の接合層200を密接させることで、室温で接合することも可能である。より強固に接合するためには、第1の基板170と半導体基板190に対して、接合面と垂直な方向に加圧すればよい。更には、第1の基板170と半導体基板190に対して、熱処理を行うことが好ましい。熱処理は、加圧した状態で行ってもよい。加圧した状態で熱処理を行うと、第1の接合層180と第2の接合層200がより強固に接合され、これら接合層間の意図しない剥離を防止し、歩留まりが向上する。そして、得られる半導体装置の信頼性も向上する。
【0117】
接合を形成する面が異種材料であって、低温で接合する場合には、接合を形成する面を清浄化するとよい。清浄化した第1の接合層180と第2の接合層200を密接させると、表面間引力により第3の接合層182が形成される。清浄化した表面を親水性表面とするためには、多数の水酸基を付着させればよい。例えば、第1の接合層180または第2の接合層200の表面を、酸素プラズマ処理またはオゾン処理すればよい。このように表面を親水性にする処理を加えると、表面の水酸基により水素結合するため、強固な接合が形成される。
【0118】
または、強固な接合を形成するために、接合を形成する面を活性化してもよい。例えば、接合を形成する面に原子ビームまたはイオンビームを照射することで、接合を形成する面を活性化することができる。原子ビームまたはイオンビームを用いる場合、アルゴンなどの、不活性ガス中性原子ビームまたは不活性ガスイオンビームを照射することができる。特に、イオンビームを照射すると、第1の接合層180または第2の接合層200の表面に未結合手が露出し、非常に活性な表面が形成される。または、プラズマ照射若しくはラジカル処理を行ってもよい。接合を形成する面に対してこのような表面処理を行うことにより、第1の接合層180と第2の接合層200が異種材料であっても、200℃乃至400℃程度の温度で第3の接合層182を形成することが容易になる。表面を活性化して接合する方法は、当該表面を高度に清浄化しておくことが要求されるので、真空中で行うことが好ましい。更に好ましくは高真空中で行う。
【0119】
なお、第3の接合層182の接合強度を高めるために、接合後に加熱処理または加圧処理を行うことが好ましい。特に、第3の接合層182が室温にて貼り合わせられた場合には、接合後に熱処理を行うことが好ましい。加熱処理または加圧処理を行うことで、接合する面において接合に寄与する主な結合が水素結合から共有結合に変わり、接合強度が更に向上する。加熱処理の温度は、第1の基板170の耐熱温度以下で行う。加圧処理では、接合面に対して垂直な方向に圧力を加える。ここで加える圧力は、第1の基板170と半導体基板190の機械的強度などを考慮して決定する。
【0120】
次に、半導体基板190が貼り合わせられた第1の基板170に対して熱処理を行い、損傷領域192内の任意の位置を劈開面として、半導体基板190を第1の基板170から剥離する(図5(E)を参照)。ここで、剥離には物理的手段を用いればよい。なお、熱処理は、第1の接合層180および第2の接合層200の形成時の温度以上、第1の基板170の耐熱温度以下で行うことが好ましい。例えば、400℃乃至600℃の熱処理を行うとよい。このような温度範囲で熱処理を行うことにより、損傷領域192に形成された微小な空洞の体積が変化し、損傷領域192に沿って劈開させることが可能となる。第3の接合層182は第1の基板170と接合しているので、第1の基板170上には半導体基板190と同様の結晶性のLTSS層が残存することとなる。
【0121】
なお、物理的手段とは、力学的手段または機械的手段を指し、力学的エネルギー(機械的エネルギー)を変化させる何らかの手段を指しており、その手段は、例えば機械的な力を加えること(例えば、人間の手や把治具で引き剥がす処理や、ローラーを回転させながら分離する処理)である。
【0122】
LTSS層184は、上記の剥離工程後にCMP(Chemical Mechanical Polishing)法などを用いて、薄く、平坦にされることが好ましい(図5(F)を参照)。例えば、単結晶半導体基板の所定の深さに、水素、ヘリウムに代表される不活性ガス、またはフッ素に代表されるハロゲンを打ち込んで導入し、その後熱処理を行って表層の単結晶シリコン層を剥離する方法(イオン注入剥離法)で形成することができる。または、多孔質シリコン上に単結晶シリコンをエピタキシャル成長させ、多孔質シリコン層をウオータージェットで劈開して剥離する方法を適用してもよい。LTSS層184の厚さは5nm乃至500nm、好ましくは10nm乃至200nmである。なお、これらに限定されず、LTSS層を薄く、平坦にするに際して、逆スパッタリング法を用いてもよい。更には、CMP法と逆スパッタリング法を併用してもよい。
【0123】
なお、損傷領域192を劈開面として半導体基板190を剥離する前に、剥離を容易に行うためのきっかけを形成してもよい。更には、半導体基板190を剥離する際、第1の基板170または半導体基板190の少なくとも一方の表面に光または熱により剥離可能な粘着シートを設けて、第1の基板170および半導体基板190のいずれかを固定し、他方を引き剥がすと、剥離が更に容易になる。このとき、第1の基板170または半導体基板190の他方の面(接合していない面の少なくとも一方)に支持部材を配することで、容易に引き剥がすことができる。
【0124】
なお、図示していないが、LTSS層184と第3の接合層182の間にバリア層を設けてもよい。バリア層は、第1の基板170として用いられるガラス基板からアルカリ金属またはアルカリ土類金属のような可動イオンとなる不純物が拡散してLTSS層184が汚染されることを防止できる材料により設ければよい。更には、バリア層により剥離層からの不純物の拡散を防止することもできることが好ましい。バリア層として、例えば、窒素を含有した絶縁層を用いることができる。窒素を含有した絶縁層としては窒化シリコン層、窒化酸化シリコン層若しくは酸化窒化シリコン層を単層で、または積層して形成したものが挙げられる。例えば、LTSS層184側から酸化窒化シリコン層と、窒化酸化シリコン層を積層して形成することで、窒素を含有した絶縁層によるバリア層を設けることができる。
【0125】
なお、酸化窒化シリコンとは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、好ましくは、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)および水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。そして、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、好ましくは、RBSおよびHFSを用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。但し、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、シリコンおよび水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
【0126】
なお、上記の説明に限定されず、第1の接合層180が不要な場合には特に形成しなくてもよい(図6を参照)。または、第2の接合層200が不要な場合には特に形成しなくてもよい(図7を参照)。なお、接合層が不要な場合とは、接合層を形成しなくとも、貼り合わせ面と被貼り合わせ面が十分に強固に接合される場合をいう。第1の接合層180および第2の接合層200の一方のみを形成し、または双方を形成しないことで、工程が削減され、スループットが向上する。
【0127】
なお、上記の説明に限定されず、例えば、剥離層を半導体基板上に形成してもよい。このような形態について、以下に説明する。なお、重複する点については、説明を省略する。
【0128】
図8は、剥離層を半導体基板側に形成する形態の一例を示す。
【0129】
まず、半導体基板190に上記と同様にイオンの打ち込みを行って損傷領域192を形成する(図8(A−2)を参照)。
【0130】
次に、損傷領域192が形成された半導体基板190上に、上記と同様に剥離層172を形成する(図8(B−2)を参照)。
【0131】
次に、剥離層172を平坦化し、平坦な剥離層178上に第2の接合層200を形成する。なお、平坦化は逆スパッタリング法により行うことが好ましい(図8(C−2)を参照)。
【0132】
半導体基板190に処理を行う一方で、第1の基板170上には上記と同様に、第1の接合層180を形成する(図8(A−1)を参照)。
【0133】
以上のように処理を行った第1の基板170と、半導体基板190を貼り合わせる。つまり、上記と同様に、第1の接合層180と第2の接合層200を接合させ、第3の接合層182を形成することができる(図8(D)を参照)。
【0134】
次に、半導体基板190を損傷領域192で剥離することで、第1の基板170上に半導体層を形成する(図8(E)を参照)。更には、半導体層を平坦化することで、LTSS層184を形成する(図8(F)を参照)。
【0135】
なお、ここでも、上記の説明に限定されず、第1の接合層180が不要な場合には特に形成しなくてもよい(図9を参照)。または、第2の接合層200が不要な場合には特に形成しなくてもよい(図10を参照)。なお、接合層が不要な場合とは、接合層を形成しなくとも、貼り合わせ面と被貼り合わせ面が強固に貼り合わせられる場合をいう。第1の接合層180および第2の接合層200の一方のみを形成し、または双方を形成しないことで、工程が削減され、スループットが向上する。
【0136】
上記説明したように単結晶半導体(LTSS層)が設けられた基板を作製することができる。上記のように作製した基板上には、薄膜トランジスタなどの素子を形成することができる。更には、該薄膜トランジスタなどを用いて、表示装置を作製することができる。このような表示装置の作製方法の一例について以下に説明する。なお、以下の説明では、好ましい形態として、上記のように形成したLTSS層を駆動回路部にのみ用いる形態について説明するが、これに限定されず、画素部に設ける薄膜トランジスタをLTSS層によって形成してもよい。
【0137】
ここでは、上記説明したように作製したLTSS層184を有する第1の基板170を用いる(図11(A)を参照)。第1の基板170上には平坦な剥離層178が設けられ、平坦な剥離層178上には第3の接合層182が設けられ、第3の接合層182上にはLTSS層184が設けられている。
【0138】
第1の基板170は、素子の作製工程に合わせて選択すればよい。第1の基板170としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、セラミック基板または表面に絶縁層が形成された金属基板などを用いることができる。または、処理温度に耐えうる程度の耐熱性を有するプラスチック基板を用いてもよい。
【0139】
第1の基板170上のLTSS層184を所望のパターン形状となるように加工する(図11(B)を参照)ここで、LTSS層184の加工には、レジストマスクを用いてエッチングを行えばよい。このようにして半導体層202を形成する。そして、半導体層202を覆って絶縁膜204を形成する。
【0140】
次に、絶縁膜204上に導電層206Aおよび導電層206Bを形成する。導電層206Aは半導体層202上に形成し、導電層206Bは画素部に形成する。導電層206Aおよび導電層206Bは、導電膜を形成し、これを所望のパターン形状となるようにエッチングして形成すればよい。導電層206Aおよび導電層206B(特に、導電層206A)は、テーパ形状とすることが好ましい。導電層206Aおよび導電層206Bが形成された状態で、半導体層202に対して、一導電型を付与する不純物元素を添加する。上記したように、導電層206Aがテーパ形状であると、導電層206Aの周辺にあるテーパ部分(相対的に薄い部分)と重畳する半導体層202に低濃度不純物領域202Cおよび低濃度不純物領域202Dを形成することができる。ここで、半導体層202の導電層206Aと重畳しない領域には高濃度不純物領域202Aおよび高濃度不純物領域202Bが形成される。その後、導電層206Aおよび導電層206Bを覆って絶縁膜208を形成する(図11(C)を参照)。
【0141】
次に、導電層206Bと重畳する絶縁膜208上に半導体層210を形成し、半導体層210上に不純物半導体層を形成する。半導体層210と不純物半導体層は、絶縁膜208上に半導体膜を形成し、該半導体膜上に不純物半導体膜を形成し、これらが島状(アイランド状)となるようにエッチングして形成すればよい。その後、これらを覆って導電膜を形成し、該導電膜を所望のパターン形状となるようにエッチングすることで、導電層214Aおよび導電層214Bが形成される。導電層214Aおよび導電層214Bが形成された状態で該不純物半導体層をエッチングすると、不純物半導体層212Aおよび不純物半導体層212Bが形成される。なお、この工程で、高濃度不純物領域202Aおよび高濃度不純物領域202Bに接続される導電層214Cおよび導電層214Dも形成されるため、絶縁膜208の所望の箇所(高濃度不純物領域202Aと高濃度不純物領域202Bと重畳する箇所)に開口部を形成しておくとよい(図11(D)を参照)。なお、不純物半導体層212Aおよび不純物半導体層212Bは、特に必要のない場合には設けなくてもよい。
【0142】
次に、これらを覆って絶縁膜216および絶縁膜218を形成する。その後、絶縁膜216および絶縁膜218の所望の箇所に開口部を形成し、該開口部を介して導電層214Aまたは導電層214Bに接続されるように導電層220を形成する。導電層220は、導電膜を形成し、該導電膜を所望の形状にエッチングすることにより形成すればよい(図11(E)を参照)。
【0143】
次に、平坦な剥離層178に達するように開口部222Aおよび開口部222Bを形成する(図12(A)を参照)。
【0144】
次に、絶縁膜218および導電層220が形成された面に支持基板224を貼り付け、平坦な剥離層178にエッチャント(例えば、水)などを導入して、第1の基板170を剥離する(図12(B)を参照)。
【0145】
次に、上記のように剥離された素子の支持基板224とは逆側の面(対向する面)に基板226を貼り付ける(図12(C)を参照)。基板226としては、可撓性基板を用いるとよい。
【0146】
可撓性基板の材料としては、アラミド樹脂、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂またはポリイミド(PI)樹脂などを用いることができる。
【0147】
次に、支持基板224を剥離する(図12(D)を参照)。
【0148】
次に、支持基板224が剥離された面に配向膜228を形成する(図12(E)を参照)。
【0149】
上記のようにして、素子基板側の工程が完了する。その一方で、対向基板側にも電極などを形成する。
【0150】
まず、基板230上に、素子基板側と同様に剥離層232を形成し、剥離層232上に基板234を形成し、基板234上に導電層236を形成し、導電層236上にスペーサ238を形成する(図13(A)を参照)。
【0151】
次に、剥離層232にエッチャント(例えば、水)などを導入して、基板230を剥離する(図13(B)を参照)。
【0152】
次に、基板230が剥離された素子(導電層236およびスペーサ238)上に配向膜240を形成する(図13(C)を参照)。
【0153】
上記のようにして、対向基板側の工程が完了する。なお、上記工程に限定されず、対向基板は素子基板側と同様に作製してもよい。
【0154】
上記説明したように工程が完了した基板226と基板234とを貼り合わせ、基板226と基板234の間に液晶材料を導入する。
【0155】
以上説明したように、駆動回路部の薄膜トランジスタが単結晶半導体により形成され、画素部の薄膜トランジスタが単結晶半導体以外の半導体材料である液晶表示素子により表示パネルを作製することができる。
【0156】
なお、素子を他の基板へ転置する方法は特に限定されず、上記説明した以外の方法を用いてもよい。
【0157】
なお、本実施の形態において、トランジスタの構造は特に限定されない。よって様々な構造のトランジスタや様々な半導体材料を用いることができる。すなわち、トップゲート型薄膜トランジスタであってもよいし、ボトムゲート型薄膜トランジスタであってもよい。トップゲート型薄膜トランジスタの場合には、順スタガ型であってもよいし、上記説明した駆動回路部に適用したコプラナ型であってもよい。ボトムゲート型薄膜トランジスタの場合には、上記説明した表示部に適用した逆スタガ型であってもよいし、逆コプラナ型であってもよい。
【0158】
なお、本実施の形態では、薄膜トランジスタは、シングルゲート構造として説明したが、これに限定されない。同一の金属層により分離されてゲート電極が形成されたダブルゲート構造であってもよいし、半導体層の上下にゲート電極が形成されたデュアルゲート構造であってもよい。
【0159】
なお、本実施の形態において、半導体層を形成する材料は、特定のものに限定されない。
【0160】
半導体素子が有する半導体層を形成する材料は、シランやゲルマンに代表される半導体材料ガスを用いて気相成長法やスパッタリング法で形成される非晶質半導体、微結晶半導体、または非晶質半導体を光エネルギーや熱エネルギーにより結晶化させた多結晶半導体などを用いることができる。非晶質半導体膜は、スパッタリング法、LPCVD法またはプラズマCVD法などにより形成することができる。
【0161】
微結晶半導体は、非晶質と単結晶の中間的な準安定状態に属するものである。すなわち、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有し、柱状または針状結晶が基板表面に対して法線方向に成長しているものである。微結晶半導体の代表例である微結晶シリコンは、そのラマンスペクトルが単結晶シリコンを示す520cm−1よりも低波数側にシフトしている。即ち、単結晶シリコンを示す520cm−1とアモルファスシリコンを示す480cm−1の間に微結晶シリコンのラマンスペクトルのピークがある。未結合手(ダングリングボンド)を終端するため水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませているとよい。さらに、ヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させると、安定性が増し、良好な微結晶半導体膜が得られる。
【0162】
微結晶半導体は、周波数が数十MHz〜数百MHzの高周波プラズマCVD法、または周波数が1GHz以上のマイクロ波プラズマCVD装置により形成することができる。例えば、SiH、Si、SiHCl、SiHCl、SiClまたはSiFなどの水素化シリコンを水素で希釈して形成することができる。または、水素化シリコンと水素に加え、ヘリウム、アルゴン、クリプトン若しくはネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素で希釈してもよい。微結晶半導体を形成するとき、水素化シリコンに対する水素の流量比は、5倍以上200倍以下、好ましくは50倍以上150倍以下、更に好ましくは100倍とするとよい。
【0163】
非晶質半導体としては、例えば水素化アモルファスシリコンが挙げられ、結晶性半導体としては、例えば多結晶シリコンなどが挙げられる。ここで、多結晶シリコンには、800℃以上のプロセス温度を経て形成される所謂高温ポリシリコン、600℃以下のプロセス温度で形成される所謂低温ポリシリコン、または、結晶化を促進する元素などを用いて非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンなどを含む。
【0164】
なお、半導体材料としては、シリコン若しくはゲルマニウムなどの単体の半導体材料、または、GaAs、InP、SiC、ZnSe、GaN、SiGeなどのような化合物半導体材料を用いてもよい。
【0165】
半導体材料に結晶性半導体を用いる場合、その結晶性半導体膜は、種々の方法(レーザ結晶化法、熱結晶化法またはニッケルなどの結晶化を促進する元素を用いた熱結晶化法など)を用いればよい。または、微結晶半導体膜にレーザ照射して結晶性を高めたものを用いてもよい。または、結晶化を促進する元素を導入しない場合、例えば非晶質シリコン膜にレーザ光を照射する前に、窒素雰囲気中500℃で1時間加熱することによって非晶質シリコン膜中の水素濃度を1×1020cm−3以下にまで低減させるとよい。
【0166】
非晶質半導体膜への金属元素の導入方法は、金属元素を非晶質半導体膜の表面またはその内部に存在させることができる方法であればよく、特に限定されない。例えば、スパッタリング法、CVD法、プラズマ処理法(プラズマCVD法も含む)、吸着法または金属塩の溶液を塗布する方法を使用することができる。このうち、溶液を用いる方法は簡便であり、金属元素の濃度調整が容易である。このとき非晶質半導体膜の表面の濡れ性を改善し、非晶質半導体膜の表面全体に水溶液を行き渡らせることを目的として、酸素雰囲気中でのUV光の照射、熱酸化法、オゾン水または過酸化水素による処理などを行えばよい。
【0167】
なお、非晶質半導体膜を結晶化して結晶性半導体膜を形成する工程で、非晶質半導体膜に結晶化を促進する元素を添加し、熱処理(例えば、550℃〜750℃で3分〜24時間)により結晶化を行ってもよい。結晶化を促進する元素としては、鉄、ニッケル、コバルト、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅および金から選ばれた一種または複数種を用いることができる。
【0168】
結晶化を促進する元素を用いて非晶質シリコンを結晶化させたポリシリコンを形成する場合には、結晶化を促進する元素を結晶性半導体膜から除去するため、結晶性半導体膜に接して不純物元素を含む半導体膜を形成し、ゲッタリングシンクとして機能させるとよい。このような不純物元素としては、一導電型(p型でもn型でもよい)を付与する不純物元素や希ガス元素などを用いることができ、例えば、リン、窒素、ヒ素、アンチモン、ビスマス、ボロン、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトンおよびキセノンから選ばれた一種または複数種の元素を用いることができる。結晶化を促進する元素を含む結晶性半導体膜中の一部に希ガス元素を含ませ、熱処理(例えば、550℃〜750℃で3分〜24時間)を行う。この加熱処理により、結晶性半導体膜中に含まれる結晶化を促進する元素は、希ガス元素を含む部分に移動し、結晶性半導体膜中の結晶化を促進する元素は除去される。その後、希ガス元素を含む部分の半導体膜を除去する。
【0169】
非晶質半導体膜の結晶化は、熱処理とレーザ光照射による結晶化を組み合わせてもよく、熱処理やレーザ光照射を複数回行ってもよい。
【0170】
なお、半導体材料としては上記したシリコンなどに限定されず、酸化物半導体を用いてもよい。例えば、酸化物半導体としては、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)などを用いることができる。ZnOを用いる場合、ゲート絶縁層をY、Al、TiOまたはこれらを積層して形成し、ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極は、ITO、Au、Tiなどを用いて形成すればよい。ZnOにInやGaなどを添加してもよい。
【0171】
または、酸化物半導体として、InMO(ZnO)(m>0、且つmは整数でなくてもよい)で表記される薄膜を用いることもできる。なお、Mは、ガリウム(Ga)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)およびコバルト(Co)から選ばれた一の金属元素または複数の金属元素を示す。例えばMとして、Gaの他、GaとNiまたはGaとFeなど、Ga以外の上記金属元素が含まれる場合がある。または、上記の酸化物半導体において、Mとして含まれる金属元素の他に、不純物元素としてFe、Niその他の遷移金属元素、または該遷移金属の酸化物が含まれているものがある。例えば、酸化物半導体層としてIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜を用いることができる。
【0172】
酸化物半導体(InMO(ZnO)(m>0))層としてIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜のかわりに、Mを他の金属元素とするInMO(ZnO)(m>0、且つmは整数でなくてもよい)膜を用いてもよい。または、酸化物半導体層に適用する酸化物半導体として上記の他にも、In−Sn−Zn−O系、In−Al−Zn−O系、Sn−Ga−Zn−O系、Al−Ga−Zn−O系、Sn−Al−Zn−O系、In−Zn−O系、Sn−Zn−O系、Al−Zn−O系、In−O系、Sn−O系、Zn−O系の酸化物半導体を適用することもできる。
【0173】
なお、表示装置の回路部に設けられる半導体素子としては電界効果トランジスタのみならず、記憶素子などもともに形成することができ、多用途に渡って要求される機能を満たす半導体集積回路を設けることができる。
【0174】
なお、上記の説明に限定されず、可撓性基板上に素子を直接形成してもよい。または、LTSS層の形成についても、上記の方法に限定されない。
【0175】
なお、特に発光装置などの場合に、支持基板を剥離することなく、支持基板を有する状態で表示装置を完成させてもよい。
【0176】
または、上記説明した転置法と、可撓性基板上に直接形成する方法とを組み合わせてもよい。例えば、印刷法などを用いて、表示部、走査線駆動回路部、FPCなどを電気的に接続する配線を表示パネルの可撓性基板上に直接形成してもよい。
【0177】
なお、他の基板への転置工程は、(1)基板と素子の間に剥離層を形成し、剥離層と素子の間に金属酸化膜を設け、当該金属酸化膜を結晶化により脆化させ、当該素子を剥離する方法、(2)基板と素子の間に水素を含む非晶質シリコン膜を設け、レーザ光の照射またはエッチングにより当該非晶質シリコン膜を除去することで、当該素子を剥離する方法、(3)基板と素子の間に剥離層を形成し、剥離層と素子との間に金属酸化膜を設け、当該金属酸化膜を結晶化により脆化させ、剥離層の一部を溶液やNF、BrF、ClFなどのフッ化ハロゲンガスによりエッチングで除去した後、脆化された金属酸化膜において剥離する方法、(4)素子が形成された基板を機械的に除去または溶液やNF、BrF、ClFなどのフッ化ハロゲンガスによるエッチングで除去する方法などを適宜用いることができる。
【0178】
または、剥離層として窒素、酸素または水素などを含む膜(例えば、水素を含む非晶質シリコン膜、水素含有合金膜、酸素含有合金膜など)を用い、剥離層にレーザ光を照射して剥離層内に含有する窒素、酸素や水素をガスとして放出させ素子層と基板との剥離を促進する方法を用いてもよい。
【0179】
または、上記の剥離方法を複数組み合わせることで、より容易に転置工程を行うことができる。例えば、レーザ光の照射と、ガスや溶液などによる剥離層へのエッチングと、鋭いナイフやメスなどによる機械的な剥離と、を行い、剥離層と素子とを剥離しやすい状態にしてから、物理的な力(機械などによる)によって剥離を行うこともできる。
【0180】
または、剥離層と素子の界面にエッチャント(液体)を浸透させて基板から素子層を剥離してもよい。エッチャントとしては、例えば水などを用いることができる。
【0181】
以上説明したように、本発明の一態様である表示パネルを作製することができる。
【0182】
なお、上記説明に限定されず、本発明の一態様において、駆動回路部は必ずしも画素部と同じ基板に設けられていなくてもよい。別の基板上に形成し、これを画素部に接続してもよい。
【0183】
なお、本実施の形態において、半導体装置には、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を含む。従って、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置に含まれる。従って、本実施の形態の表示パネルも半導体装置に含まれる。
【0184】
(実施の形態2)
本実施の形態は、本発明の一態様であって、実施の形態1とは異なるものについて説明する。
【0185】
実施の形態1にて説明した矩形状の表示パネルは、その一辺が綴じ部により拘持されていてもよい。表示パネルが綴じ部により拘持されることで、綴じ部を書籍の背表紙と同様に機能させることができる(図14を参照)。
【0186】
図14(A)〜(C)に示す電子書籍は、第1の表示部251を有する第1の表示パネル250と、第2の表示部261を有する第2の表示パネル260と、第1の表示パネル250と第2の表示パネル260の一端部を拘持した綴じ部270と、第1の表示部251の表示制御を行う第1の走査線駆動回路252および第2の走査線駆動回路253と、第2の表示部261の表示制御を行う第3の走査線駆動回路262および第4の走査線駆動回路263と、第1の表示部251および第2の表示部261の表示制御を行う信号線駆動回路と、を有する。なお、図示していない信号線駆動回路は、綴じ部270内に配されていることが好ましい。
【0187】
更には、表示パネルが綴じ部により拘持されることで、綴じ部が複数の表示パネルを拘持することも可能であり、複数の頁を有する電子書籍を作製することができる(図15を参照)。
【0188】
図15に示す電子書籍は、第1の表示部281を有する第1の表示パネル280と、第2の表示部(図示していない)を有する第2の表示パネル285と、第3の表示部291を有する第3の表示パネル290と、第4の表示部(図示していない)を有する第4の表示パネル295と、第1乃至第4の表示パネルの一端部を拘持した綴じ部300と、第1の表示部281の表示制御を行う第1の走査線駆動回路282および第2の走査線駆動回路283と、第2の表示部(図示していない)の表示制御を行う第3の走査線駆動回路(図示していない)および第4の走査線駆動回路(図示していない)と、第3の表示部291の表示制御を行う第5の走査線駆動回路292および第6の走査線駆動回路293と、第4の表示部(図示していない)の表示制御を行う第7の走査線駆動回路(図示していない)および第8の走査線駆動回路(図示していない)と、第1乃至第4の表示部の表示制御を行う第1乃至第4の信号線駆動回路(図示していない)と、を有する。なお、図示していない信号線駆動回路は、綴じ部300内に配されていることが好ましい。
【0189】
電子書籍が複数の表示パネルにより構成される複数の頁を有することで、従来の書籍と同様の扱い方により使用できるため、快適に利用できる電子書籍とすることができる。
【符号の説明】
【0190】
100 表示パネル
102 表示部
104 第1の走査線駆動回路
106 第2の走査線駆動回路
108 第1の信号線駆動回路
110 第2の信号線駆動回路
112 強化領域
112A 第1の強化領域
112B 第2の強化領域
112C 第3の強化領域
120 表示パネル
122 基板
124 基板
126 表示素子
128 第1の表示部
129 第2の表示部
130 表示パネル
130A 片面表示型の表示パネル
130B 片面表示型の表示パネル
131 基板
132 基板
133 基板
134 基板
135 表示素子
136 表示素子
138 第1の表示部
139 第2の表示部
140 表示パネル
140A 透過型液晶表示パネル
140B 透過型液晶表示パネル
141 基板
142 基板
143 基板
144 基板
145 表示素子
146 表示素子
147 バックライト
148 第1の表示部
149 第2の表示部
150 基板
151 薄膜トランジスタ
152 第1の電極層
153 基板
154 第2の電極層
155 球形粒子
155a 黒色領域
155b 白色領域
155c キャビティ
156 充填材
157 表示部
158 駆動回路部
159 マイクロカプセル
159a 黒色粒子
159b 白色粒子
159c 透明な液体
160 リブ
161 空間
162A 黒色粉粒体
162B 白色粉粒体
163 充填材
164 発光素子
165 電界発光層
166 隔壁
167 液晶素子
168A 配向膜
168B 配向膜
169 液晶層
169A スペーサ
170 第1の基板
172 剥離層
174 第1の剥離層
176 第2の剥離層
178 平坦な剥離層
180 第1の接合層
182 第3の接合層
184 LTSS層
190 半導体基板
192 損傷領域
200 第2の接合層
202 半導体層
202A 高濃度不純物領域
202B 高濃度不純物領域
202C 低濃度不純物領域
202D 低濃度不純物領域
204 絶縁膜
206A 導電層
206B 導電層
208 絶縁膜
210 半導体層
212A 不純物半導体層
212B 不純物半導体層
214A 導電層
214B 導電層
214C 導電層
214D 導電層
216 絶縁膜
218 絶縁膜
220 導電層
222A 開口部
222B 開口部
224 支持基板
226 基板
228 配向膜
230 基板
232 剥離層
234 基板
236 導電層
238 スペーサ
240 配向膜
250 第1の表示パネル
251 第1の表示部
252 第1の走査線駆動回路
253 第2の走査線駆動回路
260 第2の表示パネル
261 第2の表示部
262 第3の走査線駆動回路
263 第4の走査線駆動回路
270 綴じ部
280 第1の表示パネル
281 第1の表示部
282 第1の走査線駆動回路
283 第2の走査線駆動回路
285 第2の表示パネル
290 第3の表示パネル
291 第3の表示部
292 第5の走査線駆動回路
293 第6の走査線駆動回路
295 第4の表示パネル
300 綴じ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査線と信号線が交差する上面が矩形シート状の可撓性表示部と、
前記可撓性表示部が設けられた基板上に、前記基板の上面における一辺および該一辺と対向する一辺の少なくとも一方に設けられ、前記信号線に信号を出力する信号線駆動回路と、
前記基板上に、前記信号線駆動回路と略垂直方向の前記基板の一辺および該一辺と対向する一辺の少なくとも一方に設けられ、前記走査線に信号を出力する走査線駆動回路と、を有し、
少なくとも前記信号線駆動回路および前記走査線駆動回路と重畳する位置は、該重畳する位置以外の領域よりも機械的強度が高いことを特徴とする表示パネル。
【請求項2】
走査線と信号線が交差する上面が矩形シート状の可撓性表示部と、
前記可撓性表示パネルが設けられた基板上に、前記基板の上面における一辺および該一辺と対向する一辺の少なくとも一方に設けられ、前記信号線に信号を出力する信号線駆動回路と、
前記基板上に、前記信号線駆動回路と略垂直方向の前記基板の一辺および該一辺と対向する一辺の少なくとも一方に設けられ、前記走査線に信号を出力する走査線駆動回路と、を有し、
前記基板の四辺近傍の領域は、該四辺近傍以外の領域よりも機械的強度が高いことを特徴とする表示パネル。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記可撓性表示部、信号線駆動回路、及び走査線駆動回路はフィルムにより覆われ、
前記機械的強度が高い部分のフィルムが他の部分よりも厚いことを特徴とする表示パネル。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、
前記機械的強度が高い部分に重畳してプリプレグが設けられていることを特徴とする表示パネル。
【請求項5】
請求項1または請求項2において、
前記可撓性表示部の全体には第1のプリプレグが設けられ、
前記機械的強度が高い部分に重畳して第2のプリプレグが設けられ、
前記第2のプリプレグは、前記第1のプリプレグよりも細い繊維により形成されていることを特徴とする表示パネル。
【請求項6】
請求項2に記載の可撓性表示パネルの四隅近傍は、前記四隅近傍を除く四辺近傍よりも機械的強度が高いことを特徴とする表示パネル。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
前記信号線駆動回路と前記走査線駆動回路の一方または双方は、単結晶半導体層により設けられた薄膜トランジスタを有することを特徴とする表示パネル。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一の表示パネルを複数枚有することを特徴とする電子書籍。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−53672(P2011−53672A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−177035(P2010−177035)
【出願日】平成22年8月6日(2010.8.6)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】