説明

被加熱型基板支持構造体

【課題】 処理チャンバ内で使用される被加熱型の基板支持プレートを改良すること、特に熱特性を向上させることにある。
【解決手段】 本発明の基板支持プレート136は、加熱要素54,56を受け入れるための溝90,100を有している。加熱要素54,56は、外被200と、ヒータコイル202と、熱伝導充填材料204とから構成されている。この加熱要素54,56は溝90,100内に配置された後、圧縮されて熱伝導充填材料がヒータコイルの回りで圧密化されるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、真空処理チャンバに関し、特に、化学気相堆積チャンバ内の基板を加熱するための被加熱型基板支持プレート(heated substrate supportplate)に関する。
【背景技術】
【0002】
化学気相堆積(CVD)法は、シリコン基板やガラス基板等の基板上に薄膜層を堆積するためのプロセスである。一般的に、基板は、真空堆積処理チャンバ内で支持され、数百℃に加熱される。そして、堆積ガスがチャンバ内に導入され、化学反応が生じて、基板上に薄膜層が形成される。この薄膜層は、誘電体層(窒化ケイ素や酸化ケイ素)、半導体層(アモルフォスシリコン)、又は金属層(タングステン)である。この堆積プロセスは、プラズマにより促進されるもの(PECVD)や、熱により促進されるものがある。
【0003】
サセプタは、真空堆積処理チャンバ内に基板を保持するための機械的な部品である。典型的には、サセプタは、ステム上に取り付けられた基板支持プレートを含んでおり、これは、真空処理チャンバ内で基板を上下させるための昇降アセンブリを伴っている。基板支持プレートは、堆積プロセスを促進するために加熱される。加熱は、誘電体堆積プロセスを生じさせるのに十分なエネルギを提供するために必要とされる。加熱要素は基板支持プレート内に設けられているのが典型的である。また、加熱要素は、外被(アウタシース)により囲まれたヒータコイルを含む管アセンブリであってもよい。
【0004】
ここで、加熱要素の所定長さにわたる当該加熱要素により発生される熱の量を熱密度という。また、電力密度は、加熱要素の所定長さにわたり消費される電力量(ワット)を意味する関連の概念である。高い熱密度と電力密度を有する加熱要素は、加熱要素により占められる支持プレートの面積を最小にすると共に、基板を十分に加熱するために、真空堆積プロセスにおいて好適である。
【0005】
加熱要素に対して高い熱密度・電力密度性能を得るために、加熱要素の外被は、インカロイ(incoloy)等の種々の硬い耐熱金属から構成されているのが一般的である。インカロイは、主として鉄、ニッケル及びクロムからなる合金であり、インターナショナル・ニッケル・カンパニイ・インコーポレイテッドにより製造されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、加熱要素の外被と、それが取り付けられる基板支持プレートとの間の適合性において問題がある。典型的には、基板支持プレートは、アルミニウム又はアルミニウム合金の高い耐腐食性及び高い熱伝導特性を利用するために、これらの材料から構成されている。加熱要素の外被の構成に用いるために硬い耐熱金属を選定することは、熱密度・電力密度特性を改善するためには優れた選び方であることは分っているが、これと同じ材料を基板支持プレートを構成するのに用いることはできなかった。これは、前記材料が一般に熱伝導特性及び耐腐食性に乏しく、高価であるためである。従って、基板支持プレートは、加熱要素の外被とは異なる材料から作られていた。基板支持プレートと加熱要素の外被とが同じ材料から作られないとすると、非類似材料の熱膨張特性はほぼ同じとしなければならず、或はまた、設計上、補償されなければならない。そうしなければ、加熱要素が損傷する可能性がある。
【0007】
従って、外被が基板支持プレートと同じ材料から作られ、しかも熱密度・電力密度性能を高くすることのできる加熱要素を提供することが望まれている。
【0008】
従って、本発明の目的は、真空処理チャンバ内で用いられるよう配置された基板支持プレートと同じ材料から形成された外被を有する加熱要素を提供することにある。
【0009】
また、本発明の別の目的は、高い熱密度・電力密度の用途のために適正な熱消費を確保すべく圧密化された熱伝導充填材料(compacted heat conducting filler material)を有する加熱要素を含んでいる改良された被加熱型基板支持プレートを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的や利点は、以下の説明において述べられており、また、以下の説明から明かとなろう。また、本発明の目的や利点は、特許請求の範囲に特に記載した手段及び組合せによって具現化され或は取得されるものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、処理チャンバ内で基板を加熱し支持するための基板支持構造体に関する。この基板支持構造体は、加熱要素を受け入れるための溝を表面に有する被加熱型基板支持プレートからなる。加熱要素は、外被と、ヒータコイルと、これらの間に配置された熱伝導充填材料とを有している。加熱要素は溝内に配置された後、ヒータコイルの回りで熱伝導充填材料を圧密化するよう圧縮される。
【0012】
概略的に述べるならば、本発明の一態様において、溝は所定の深さを有し、加熱要素は前記所定の深さよりも大きな第1の寸法を有している。加熱要素の外被は、熱伝導充填材料がヒータコイルの回りで圧密化される状態で加熱要素が溝内に嵌合されるよう、圧縮により変形される。
【0013】
また、本発明の他の態様において、簡単に述べると、基板支持構造体は、上部プレートと下部プレートとを有している。上部プレートの上面は基板を支持し、下部プレートは上部プレートに接合される。上部プレート又は下部プレートは、第1の深さを有する溝を含んでいる。加熱要素が前記溝内に配置され、配置前の初期状態においては、加熱要素は前記第1の深さよりも大きな第1の寸法を有している。加熱要素の外被は、熱伝導充填材料がヒータコイルの回りで圧密化される状態で加熱要素が溝内に嵌合されるよう、圧縮により変形される。
【0014】
本発明の更に別の態様において、概略的には、基板支持構造体は、内部の基板処理位置で基板を処理するための真空処理チャンバ内に配置される。基板支持構造体は、第1の材料から構成されたベースプレートを含んでおり、このベースプレートは、前記第1の材料から構成された外被を有する加熱要素を受け入れるための溝が配設された上面を有している。
【0015】
更に、本発明の別の態様では、簡単に述べると、基板支持プレートは、回りに内側のループと外側のループとを形成する複数の溝を有するベースプレートを備えている。外側のループはベースプレートの周縁の近傍の経路に沿って延びており、内側のループはベースプレートの中央部分に近傍の経路に沿って延びている。加熱要素は前記複数の溝の各々に配置される。各加熱要素の外被は、当該外被がベースプレートの上面と同一平面となる状態で溝の対応の一つに嵌合されるよう、圧縮により変形される。そして、熱伝導充填材料がヒータコイルの回りで圧密化される。
【0016】
本発明の利点については次の通りである。すなわち、基板支持プレートと、当該基板支持プレート内に配置されこれと同じ材料から作られた加熱要素の外被とを有する基板支持構造体は、高い熱密度及び電力密度性能を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、真空堆積処理チャンバ内で用いられる改良された被加熱型の基板支持プレートであって、加熱要素が内部に配置されたものを提供するための装置に関する。
【0018】
図1に示すように、真空堆積処理チャンバ133内の中央に、ステム137に取り付けられた被加熱型基板支持プレート136を有するサセプタ135が配置されている。この基板支持プレート136の上面145は、ガラスパネルや半導体ウェハのような基板(図示しない)を、基板処理ないしは反応領域141で支持する。また、サセプタ135を上下させるために、リフト機構(図示しない)が設けられている。被加熱型基板支持プレートは、チャンバ側壁134の挿入・取出し口142を通してロボットブレード(図示しない)により基板をチャンバから出し入れするのを容易化するために、基板リフトピン162を有している。
【0019】
堆積処理ガス(矢印123)が、入口マニホールド126、通常の多孔閉塞プレート124及び処理ガス分配面板122の穴121を通して(図1の基板処理領域141の小さな矢印)、チャンバ133内に導入される。被加熱型基板支持プレート136の上面145は、面板122に対して平行で、小さな間隔をもって配置されている。RF電源(図示しない)がガス分配面板122とサセプタ135との間に電力を印加し、処理ガス混合気を励起して、面板122とサセプタ135との間の領域内に、RECVDプロセスにおいて、プラズマを発生させる。プラズマの成分は、基板支持プレート136上の基板の表面に所望の薄膜を堆積するよう反応する。
【0020】
堆積処理ガスは、チャンバから、反応領域を囲むスロット状のオリフィス131を通して、排気プレナム222に排出される。オリフィス131とプレナム222は、チャンバ側壁134の上部(側壁134上の上部誘電体蓋234を含む)と、チャンバ蓋221の下部(蓋221とガス分配面板122の周フランジ125との間の誘電絶縁体120を含む)とにより画成されている。
【0021】
排気プレナム222からガスは、排気プレナムの横方向延長部分245の下側を流れ、下向きの延長ガス流路239から真空遮断弁226へと流通し、外部の真空ポンプ(図示しない)に接続された排気出口240内に流れる。
【0022】
図2を参照すると、基板支持プレート136の平面図が示されている。図示するように、基板支持プレート136は、真空堆積処理チャンバ内でガラスパネル30のような基板を支持するための上面145を有している。基板支持プレート136の上面145の下側には加熱要素56が配置されており、その一部が点線で示されている。加熱される支持プレートの上面の下に2つの加熱要素が配置されてもよいが、この図では1つのみが示されている。
【0023】
図3は、サセプタ135のステム137に取り付けられた基板支持プレート136を示している。基板支持プレート136は、高純度100.01グレードの非陽極酸化の鋳造アルミニウムから作られた矩形形状のボディとすることができる。基板支持プレートは、ベースプレート(下部プレート)60と、上部プレート20と、両プレート60,20間に配置されたろう付け領域70とを有している。ベースプレート60内には1対の加熱要素54,56が配置されている(図5も見よ)。
【0024】
ステム137は、中空コアを有しており、被加熱型基板支持プレート136のベースプレート60と適合するように形成されている。中空コアの内側が大気圧(雰囲気圧力)であるように、真空気密ジョイント85が作られている。
【0025】
熱電対管40と、加熱要素管55,57,59,61(加熱要素管57,59,61は図5に示されている)とが、ステム137の中空コア内に配置されている。各加熱要素管は、加熱要素のヒータコイルの端部に取り付けるための導電性のリード線52(図3に1本のみ示す)を有している。熱電対管40は、1対の熱電対リード線42を有している。熱電対管40の被加熱型支持プレート側の端部において、熱電対リード線42は、被加熱型基板支持プレート136の温度を計測するための接点(図示しない)を形成している。熱電対管40と加熱要素管55,57,59,61とはステム137の端部で終端しており、リード線はヒータコントローラ(図示しない)に接続されている。このヒータコントローラは、加熱要素を作動させ、また、被加熱支持プレートの温度をモニタする。
【0026】
ステム137についての真空シール及びアース接続は、その下面150でなされる。ヒータコントローラにおける導電性のリード線の端部と熱電対リード線の端部とに対する接続は、雰囲気環境でなされる。
【0027】
加熱要素54と加熱要素56とは、構成上、同一であるが、長さと、基板支持プレートのベースプレート部分の周囲に配置されていることのみが異なっている。従って、加熱要素の一方のみの構造を説明する。
【0028】
図4に示すように、加熱要素54は、外被200と、ヒータコイル202と、これらの間に配置された熱伝導充填材料204とを有している。使用時、熱伝導充填材料は、ヒータコイルと外被との間に良好な熱伝導経路を提供することにより、ヒータコイルから外被への短絡を防止する。その後は、外被は、被加熱型支持プレートと熱的に連通し、その上の被加熱型支持プレートを加熱する。加熱要素のヒータコイルと外被との間の熱経路における如何なる破壊も、ヒータコイルのオーバヒートを起こし、加熱要素を早期に破損(開回路)する。
【0029】
外被200はアルミニウムから構成され、コイル202はニクロム線(ニッケルとクロムからなる)から構成されるとよい。一実施形態において、熱伝導充填材料は酸化マグネシウムである。加熱要素は、例えば約0.314インチ(7.976mm)の直径Dを有する。
【0030】
ここで、図5を参照すると、サセプタ135が、ベースプレート60及び加熱要素54,56を示すために上部プレート20とろう付け領域70が省略された形で表されている。ベースプレート60は、加熱要素54,56のそれぞれに対する第1及び第2の溝領域ないしはチャンネル90,100を含んでいる。
【0031】
加熱要素54,56内のヒータコイル202の各端部は、概ね線197の位置で冷接点により、被加熱型基板支持プレート136内で、加熱要素管55,57,59,61内の対応の導電性リード線に接続されている。より詳細には、各加熱要素のニクロム製ヒータコイルは、被加熱型基板支持プレート136の中央が直接加熱されないように、ほぼこの境界線197の位置で各リード線52に接着されている。同境界線にて、各加熱要素54,56の外被200はそれぞれ加熱要素管55,57,59,61に接着されている。或は、加熱要素の外被はステム137を下方に延ばされ、リード線52を囲み、個別の加熱要素管の必要性を無くすようにしてもよい。
【0032】
図5に示すように、ベースプレート60における加熱要素の配置は、内側と外側の溝領域90,100に沿うやや平行な二重ループを提供している。この二重ループパターンは、ベースプレート全面にわたる実質的に軸対称の温度分布を提供すると共に、その外側表面でのより大きな熱損失を考慮している。実質的に軸対称の温度分布は、中心軸線(基板支持プレートの面に直角であり且つ基板支持プレートの中心を貫通して基板支持プレートのステムに平行に延びている線)から等距離の全ての点についてほぼ一定である温度パターンにより特徴付けられる。内側と外側のループは、異なる温度で作動されてもよく、その場合、外側のループは内側ループよりも高温で作動されるのが一般的となろう。
【0033】
減圧されたガス圧力(真空)作動状態下、被加熱型支持プレートとその上に載置された基板との間の熱伝導は、被加熱型支持プレートの温度が均一であっても、均一な基板温度とするには不十分である。これは、加熱時、被加熱型支持プレート上に載置された基板が当該基板の縁部分で大きな熱損失を生ずるからである。従って、全面にわたりほぼ均一の温度分布を有する被加熱型支持プレートは、基板の不均一な熱損失特性を補償し得ない。
【0034】
内側ループの加熱要素よりも高温で外側ループの加熱要素を作動させることにより、基板の最外周部、すなわち縁部分での大きな熱損失を補償することができる。このようにして、実質的に均一の温度分布が基板の全面にわたり得られる。一実施形態において、被加熱型基板支持プレートは、幅が約26.26インチ(667.0mm)、長さが約32.26インチ(819.4mm)の矩形形状であり、これは最大570mm×720mmのフラットパネルディスプレイのためのガラス基板を処理することを考慮したものである。加熱要素54,56は、被加熱型基板支持プレート136の上面145から約1.5インチ(38.1mm)の位置に配置されるとよい。この実施形態において、外側の加熱要素は、ベースプレートの外縁から約0.66インチ(16.8mm)の位置に配置され、内側の加熱要素はベースプレートの外縁から約7.75インチ(196.9mm)の位置に配置される。この形態により、被加熱型基板支持プレート136上に配置された基板を均一に加熱することができる。
【0035】
上述したように、ベースプレート60は、加熱要素54,56をそれぞれ受け入れる溝領域90,100を有している。溝領域90,100は同一構成であるので、一方のみ説明する。図6に示すように、溝領域は、ベースプレート60内のほぼ半円形の凹部300によって特徴付けられる。凹部は、半径Rの半円形の窪み部分302を有しており、これは加熱要素を受け入れるよう形成されている。また、凹部300は、ベースプレート60の上面310から窪み部分302まで延びる垂直壁304,306を有している。
【0036】
一実施形態において、窪み部分302は、約0.157インチ(3.988mm)の半径Rを有する。また、垂直壁304,306は、約0.104インチ(2.642mm)の高さを有しており、従って、ベースプレート60の上面310からの凹部の全深さD1は約0.261インチ(6.629mm)である。
【0037】
図7の(A)には、ベースプレート60と加熱要素56のサブアセンブリ700が示されている。なお、加熱要素54は同様な方法で製造される。組立工程中、加熱要素は図示するようにベースプレート60の凹部300内に配置される。この構成では、加熱要素の最上部分400はベースプレート60の上面310の上方に突出する。
【0038】
加熱要素は、その周囲に最小の間隙をもって、窪み領域302内に遊嵌される。この構成において、加熱要素の高さの約1/6がベースプレート60の上面310から突出する。図から分るように、加熱要素はその最上部分400で、垂直壁304,306に対して、相対的に述べるならば近接していない。
【0039】
図7の(A)の加熱要素・ベースプレートサブアセンブリの圧縮後が、図7の(B)に示されている。この圧縮は、加熱要素とベースプレートの溝領域の全長にわたり5インチ(127mm)の直線部分毎に30〜40トンの力を加える油圧プレスとアルミニウムブロックとの組合せにより行われる。勿論、凹部300内の加熱要素を圧縮する手段は他にもある。例えば、非常に大きな油圧プレスを用い、1回の圧縮工程で加熱要素の圧縮を行ってもよい。
【0040】
圧縮された加熱要素は、ベースプレート60の上面310と実質的に同一平面となる上面410を有している。圧縮された加熱要素内における熱伝導用充填材料204の圧密化(compaction)レベルは、圧縮後、1cm3当たり約3.0グラムである。この圧密化レベルは、外被200との関連でベースプレート60の側壁304,306及び窪み領域302により提供される支持によって達成される。
【0041】
油圧プレスは、凹部300内に加熱要素を圧入するので、熱伝導充填材料204は、加熱要素の内部でヒータコイル202の周囲にて圧密化ないしはコンパクト化される。通常、熱伝導充填材料の圧密化は、外被200のアルミニウム構造のために、1cm3当たり2.3グラムを越えない。しかしながら、加熱要素を受け入れるための溝若しくはチャンネル90,100の使用によって、1cm3当たり3.0グラム以上の圧密化レベルが可能となる。1cm3当たり2.75グラム〜3.5グラムの圧密化レベルは、電力密度・熱密度の特性を改善することができる。1cm3当たり約3.0グラム以上の圧密化レベルが好ましい。
【0042】
図7の(C)を参照すると、圧密化プロセスが完了した後、アルミニウムろう付け材料がベースプレート60に上部プレート20をろう付けするために用いられ、ろう付け領域70が形成されている。ろう付けは、上部プレート部分とベースプレート部分を接合し、両部品間の熱伝導性を可能な限り高めるために、行われる。なお、溶接によって両プレートを接合してもよい。
【0043】
実際に使用すると、本発明に従って圧縮された加熱要素は、1インチ(25.4mm)当たり75Wを越える熱密度を維持することができた。更に、加熱要素の外被と基板支持プレートは共にアルミニウムから構成されているので、これらの部品の熱膨張特性は同一である。従って、基板支持プレート及び加熱要素外被の構成材料として用いられるアルミニウム又はアルミニウム合金の融点に近い動作温度であっても、熱膨張を補償する必要はない。
【0044】
別の実施形態において、加熱要素54,56は上部プレート20に設けられた溝内に圧縮されてもよい。上記方法と異なっている点は、ベースプレートに対向するように加熱要素を上部プレートに配置している点だけである。
【0045】
また、被加熱型基板支持プレート136を、加熱要素54,56を内蔵ないしは埋設した単一のプレート構造から構成してもよい。内蔵型構造の一実施形態において、加熱要素54,56は、被加熱型基板支持プレート136内に内蔵される前に圧密化される。より詳細には、上述したようにして、加熱要素54,56は支持ブロックの溝領域内に圧入される。支持ブロックは、加熱要素を受け入れるように上面に溝が切られたアルミニウム製の実質的にむくの矩形管である。支持ブロックは、加熱要素の一般的形状(例えば、加熱要素54,56に関連して上述したループパターン)に合うように形作られている。一つの加熱要素が支持ブロック内に圧入され、次いで、その組合せ体が基板支持プレート内に内包される。組合せ体は、金型内に支持ブロックを配置してその回りに支持プレートを形成することにより、内包される。
【0046】
簡単に述べるならば、圧縮可能な加熱要素を含む基板支持プレートからなる、真空堆積処理チャンバ内の基板を加熱するための装置は、上述したものである。
【0047】
以上、本発明について特定の実施形態を参照して説明したが、上記説明は本発明の例示であり、制限的に解釈すべきものではない。当業者ならば、特許請求の範囲により特定される本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、種々の変更を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施形態によるPECVD処理チャンバの断面図である。
【図2】基板が載置される被加熱型基板支持プレートの平面図である。
【図3】被加熱型基板支持プレートとステムとを有するサセプタを一部切り欠いて示す側面図である。
【図4】被加熱型基板支持プレートのベースプレート内に配置する前における本発明による加熱要素の断面図である。
【図5】ベースプレートの平面図である。
【図6】図4の6−6線に沿っての断面図であり、加熱要素を組み付ける前におけるベースプレートの凹部領域を示す図である。
【図7】(A)は、ベースプレートの凹部領域内に加熱要素を配置した後におけるベースプレート・サブアセンブリを示す図、(B)は、圧縮後における(A)のサブアセンブリを示す図、(C)は、ベースプレートに上部プレートをろう付けした後における(B)のサブアセンブリを示す図である。
【符号の説明】
【0049】
20…上部プレート、54,56…加熱要素、60…ベースプレート(下部プレート)、60,100…溝領域、133…真空処理チャンバ、135…サセプタ、136…被加熱型基板支持プレート、137…ステム、145…基板支持プレートの上面、200…外被、202…ヒータコイル、204…熱伝導充填材料。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバ内で基板を加熱し支持するための基板支持構造体であって、
支持プレートと、
前記支持プレート内に配置され、前記支持プレートの周縁の近傍の経路に沿って延びる外側のループを形成する第1の加熱要素と、
前記支持プレート内に配置され、前記外側のループよりも前記支持プレートの中央部分に接近した経路に沿って延びる内側のループを形成する第2の加熱要素と、
を備える基板支持構造体。
【請求項2】
内側及び外側の加熱要素は、支持プレートの中央でリード線に接着されている請求項1に記載の基板支持構造体。
【請求項3】
前記支持プレートの中心軸線で前記支持プレートに固定された中空ステムを更に備え、前記リード線は前記ステムを通って延びている請求項2に記載の基板支持構造体。
【請求項4】
前記ステムを通って延び、当該ステムの支持プレート側の端部で接点を形成する一対の熱電対リード線を更に備える請求項3に記載の基板支持構造体。
【請求項5】
前記内側のループと前記外側のループとの一部は並行して延びている請求項1に記載の基板支持構造体。
【請求項6】
前記支持プレートは、前記基板を支持するための上面及び下面を有する上部プレートと、前記上部プレートの前記下面に接合される上面を有する下部プレートとを備え、前記第1の加熱要素及び第2の加熱要素は、前記上部プレートと前記下部プレートとの間に配置される請求項1に記載の基板支持構造体。
【請求項7】
前記上部プレートの前記下面及び前記下部プレートの前記上面の少なくとも何れかは、複数の溝を含み、前記第1の加熱要素及び前記第2の加熱要素は前記複数の溝に嵌合する請求項6に記載の基板支持構造体。
【請求項8】
前記支持プレートは矩形形状である請求項1に記載の基板支持構造体。
【請求項9】
前記第2の加熱要素は、完全に前記プレート上の前記基板の下に配置され、前記基板の縁部分を越えて延びている請求項1に記載の基板支持構造体。
【請求項10】
各加熱要素は、外被と、ヒータコイルと、前記外被及び前記ヒータコイルの間に配置された熱伝導充填材料とを有する請求項1に記載の基板支持構造体。
【請求項11】
前記プレート及び前記外被はアルミニウムから構成される請求項10に記載の基板支持構造体。
【請求項12】
前記熱伝導充填材料は酸化マグネシウムである請求項11に記載の基板支持構造体。
【請求項13】
基板を処理するための処理チャンバと、
前記処理チャンバ内で基板を加熱し支持するための基板支持構造体と、を備え、
前記支持構造体は、
支持プレートと、
前記支持プレート内に配置され、前記支持プレートの周縁の近傍の経路に沿って延びる外側のループを形成する第1の加熱要素と、
前記支持プレート内に配置され、前記外側のループよりも前記支持プレートの中央部分に接近した経路に沿って延びる内側のループを形成する第2の加熱要素と、
を備える装置。
【請求項14】
前記第1及び前記第2の加熱要素と電気的に接続され、前記第1及び前記第2の加熱要素を異なる温度にさせるようにされたコントローラを更に備える請求項13に記載の装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−91660(P2009−91660A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282281(P2008−282281)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【分割の表示】特願平9−102018の分割
【原出願日】平成9年4月18日(1997.4.18)
【出願人】(595063994)エーケーティー株式会社 (5)
【Fターム(参考)】