説明

車両位置報知装置

【課題】通信トラフィックの増大を抑止するとともに、周辺車両の走行位置を報知する際の処理負担を低減することができる車両位置報知装置を提供すること。
【解決手段】自車の走行予定位置(Xn,Yn,Zn)と、この走行予定位置(Xn,Yn,Zn)における走行予定時刻(Tn)とを示した走行スケジュールデータDscを作成し(ステップS130)、この走行スケジュールデータDscを車車間通信装置130を用いて周辺車両に送信する(ステップS140)。また、自車が一時停止状態となった場合には(ステップS180でYes)、停止情報(S)と自車の停止位置座標(Xst,Yst,Zst)を含む停止スケジュールデータDstを送信する(ステップS190、ステップS200)。自車が一旦停止状態から走行状態に移行したときには、新たな走行スケジュールデータDscを作成し、送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車車間通信により、自車の走行位置に関する情報を送信するとともに、周辺車両の走行位置に関する情報を受信してその走行位置を報知する車両位置報知装置であって、特に、情報の送受信に伴う通信トラフィックの軽減を図ったものに関する。
【背景技術】
【0002】
車車間通信により受信される周辺車両の走行位置に関する情報に基づいて、周辺車両の走行位置をドライバーに報知する装置としては、特許文献1に記載されているものが知られている。
【0003】
この従来装置では、車両識別名、車両速度、移動方向、車両の現在位置座標等を走行位置に関する情報として所定の周期で周辺車両に送信するとともに、周辺車両から走行位置に関する情報を受信し、この情報に基づいて周辺車両の走行位置を推定して報知する構成である。
【特許文献1】特開2005−84790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来装置では、周期的に走行位置に関する情報を送受信しているために、通信すべき周辺車両の台数が増加すると、これによって通信トラフィックが増大して通信帯域が圧迫されることが懸念される。このような状態を回避するために通信帯域を広帯域化することが考えられるが、通信事情を考慮すると適当ではない。
【0005】
また、受信した走行位置に関する情報から周辺車両の走行位置を推定する必要があるため、周辺車両が増加すると、自車側での処理負担が増大するという問題も発生する。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、通信トラフィックの増大を抑止するとともに、周辺車両の走行位置を報知する際の処理負担を低減することができる周辺車両報知システム及び周辺車両報知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明では、車車間通信により、各車両は、周辺車両の走行位置に関する情報を受信してその走行位置を利用者に報知するとともに、前記周辺車両に対して自車の走行位置に関する情報を送信する車両位置報知システムであって、各車両は、周辺車両と通信接続される車車間通信手段と、自車の走行予定位置と、この走行予定位置における走行予定時刻とを示した走行スケジュールデータを作成し、当該走行スケジュールデータを周辺車両に送信するスケジュール作成手段と、周辺車両から受信した走行スケジュールデータに基づいて周辺車両の走行位置を報知する報知手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明では、自車の走行予定位置と、走行予定位置における走行予定時刻とを示した走行スケジュールデータを作成し、この走行スケジュールデータを車車間通信によって周辺車両に送信するとともに、周辺車両から受信した走行スケジュールデータに基づいて周辺車両の走行位置を報知するようにした。これにより、走行位置に関する情報を周期的に送受信することがなくなるから、通信すべき周辺車両が増大したとしても、通信トラフィックの増大を抑止することができる。また、受信した走行スケジュールデータに基づいて周辺車両の走行位置を報知すればよいから、周辺車両の走行位置を推定するための処理負担が低減される。
【0009】
請求項2の発明では、自車の現在位置及び進行方位に基づいて、自車が走行すると予測される道路を決定する走行道路決定手段を備え、スケジュール作成手段は、走行スケジュールデータとして、走行道路決定手段が決定した道路の各走行予定位置及びこれら各走行予定位置における走行予定時刻を算出することを特徴としている。
【0010】
請求項2の発明によれば、走行すると予測される道路を決定することで、作成される走行スケジュールデータの精度を高めることができる。
【0011】
請求項3の発明では、スケジュール作成手段は、走行道路決定手段が決定した道路の道路状況、道路形状、交通状況、及び気象状況の少なくともいずれか1つに基づいて、前記自車の走行速度を算出し、当該走行速度を考慮して前記決定した道路の各走行予定位置及びこれら各走行予定位置における走行予定時刻を算出することを特徴としている。このようにすれば、道路形状、交通状況、気象状況に応じて走行速度が変動する可能性がある場合でも、作成される走行スケジュールデータDscの精度を高精度に維持できる。
【0012】
請求項4の発明では、自車が停車したか否かを判定する停止判定手段を備え、スケジュール作成手段は、停車判定手段にて肯定判定がなされたことを条件として、自車の停車位置を示した停車スケジュールデータを作成し、この停車スケジュールデータを周辺車両に送信することを特徴としている。
【0013】
例えば、交差点の右左折時においては対向車両の通過待ちや歩行者の横断待ちをするために車両を一旦停止させることがある。このような車両の一旦停止は事前に予測することが困難であり、また、車両の走行開始時期も予測することが困難であるため、これらを考慮して走行スケジュールデータを作成することは困難である。これに対して、請求項4の発明では、車両が停止しているときには、停止位置を示した停止スケジュールデータを送信するようにしているから、車両が停止状態であってもその位置を周辺車両に報知することができる。
【0014】
請求項5の発明では、前記スケジュール作成手段は、前記自車が停車状態から走行状態に遷移したこと、又は、走行スケジュールデータと異なる運行状態となったことを条件として、前記走行スケジュールデータを更新することを特徴としている。
【0015】
請求項5の発明によれば、一時的に停止した後に走行状態に移行したり、あるいは、既に作成した走行スケジュールデータと異なる運行状態となった場合でも、これらの場合に対応した走行スケジュールデータを作成して送信するようにしているから、周辺車両に対して常に最適な走行スケジュールを提供することができる。
【0016】
請求項6の発明では、スケジュール作成手段は、走行道路決定手段が決定した道路、当該道路の走行予定時刻、及び走行速度の情報を周辺車両に送信し、周辺車両から受信した走行道路決定手段が決定した道路、及び走行速度の情報に基づいて、周辺車両の走行スケジュールを作成することを特徴としている。このようにすれば、自車側での走行スケジュールデータの作成が不要となるため、当該データの作成のための処理負担を省略することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態について図1ないし図5に基づいて説明する。本実施形態は、車車間通信を行うことにより、周辺車両からその走行位置に関する情報を受信してその走行位置を運転者に報知するとともに、周辺車両に対して自車の走行位置に関する情報を送信する車両位置報知装置を備えるナビゲーション装置である。
【0018】
ナビゲーション装置100は、図1に示すように、位置検出器110、車速センサ115、地図データ入力器120、車車間通信装置130、VICS装置140、送受信機150、記憶装置160、表示装置170、音声出力装置180、操作デバイス190、リモコンセンサ200及び制御回路210を備える。
【0019】
位置検出器110は、何れも周知である、衛星からのGPS信号に基づいて車両の現在位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機110aと、ジャイロスコープ110bと、距離センサ110cと、車両の進行方位を絶対方位として検出する地磁気センサ110dとから構成される。これらのセンサは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、各センサの精度によっては位置検出器110を上述した内の一部で構成してもよい。
【0020】
車速センサ115は、車輪と同期して回転する所定の回転体の回転速度に基づいて車速を検出して、その車速を表す車速信号を制御回路210へ出力する。
【0021】
地図データ入力器120は、道路データ、索引データ、描画データ等によって構成される地図データを入力するための装置であり、制御回路210からの要請により各種データを送信する。これら各種データを記憶する記憶媒体としては、そのデータ量からCD−ROMまたはDVD−ROMが一般的であるが、メモリカード、ハードディスク等の書き込み可能な記憶媒体を採用してもよい。ここで、道路データを構成するノードデータとリンクデータについて説明する。
【0022】
ノードデータは、地図上の各道路が交差・分岐・合流するノード毎に固有の番号を付したノードID、ノード座標(緯度・経度)、ノードコスト、ノードに接続する全てのリンクのリンクIDが記述される接続リンクID等の各データから構成される。
【0023】
一方、リンクとは、地図上の各道路を交差・分岐・合流する地点等の複数のノードにて分割し、それぞれのノード間をリンクとして規定されるものである。このリンクデータは、リンク毎の固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端及び終端ノード座標、道路名称、道路種別、リンク旅行時間、リンクコスト、道路係数、及び道路形状係数等の各データから構成される。
【0024】
ここで、道路係数は、当該道路を走行した際の、各成分方向(X,Y,Z)における移動度(Rx,Ry,Rz)を示したものであり、当該道路の始端位置からの移動距離を、これらの移動度(Rx,Ry,Rz)にそれぞれ乗ずることで、移動後の位置を算出することができる。これらの移動度(Rx,Ry,Rz)にはそれぞれ1以下の値が付与されている。
【0025】
また、道路形状係数は、当該道路の形状に起因する車速低下のし易さを反映して付与される係数であり、例えば、上り坂や狭幅員等の速度が低下する可能性の高い道路に対して付与される。付与される値は1以下の値とされており、車速低下の可能性が高い道路ほど小さい値が付与されている。
【0026】
車車間通信装置130(車車間通信手段)は、他の車両との間で通信を行うためのものであり、制御回路210から出力された走行スケジュールデータDsc及び停止スケジュールデータDst(これらについては、後述する。)を周辺車両に対して送信する送信機能と、周辺車両からの走行スケジュールデータDsc又は停止スケジュールデータDstを受信し、制御回路210に出力する受信機能とを有する。
【0027】
VICS装置140は、道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介して、VICS(Vehicle Information and Communication System)センタから提供される道路交通情報を受信する。また、送受信機150は、外部局に設けられた情報提供装置との間で通信を行うものであり、この情報提供装置から送信される各地域の気象情報を受信する。
【0028】
記憶装置160は、例えば、EEPROM等の不揮発性メモリにより構成されており、自車を識別するための車両識別情報等の各種情報が記憶されているとともに、制御回路210が作成した走行スケジュールデータDsc・停止スケジュールデータDst、及び周辺車両から受信した走行スケジュールデータDsc・停止スケジュールデータDstを記憶するための領域が確保されている。
【0029】
表示装置170は、例えば液晶ディスプレイによって構成され、このディスプレイ上には位置検出器110から入力された自車両の現在位置に対応する自車両位置マークと、地図データ入力器120より入力された地図データによって生成される自車両周辺の道路地図を表示することができる。また、音声出力装置180は、図示しないスピーカを備えており、制御回路210によって生成された合成音声や喚起音を出力する。
【0030】
操作デバイス190は、例えば、表示装置170と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等が用いられ、表示装置170の画面に表示される地図のスクロール操作や文字入力等の各種入力に使用される。
【0031】
リモコンセンサ200は、操作デバイス180のかわりに操作信号を制御回路210に入力するためのものであり、赤外線受信部などを備える。このリモコンセンサ200は、リモコン205から送信される赤外線信号を受信すると、受信した赤外線信号に応じてナビゲーション装置100が実行する現在位置から目的地までの案内経路の設定などの機能に対応付けられた操作信号を制御回路210に出力する。
【0032】
制御回路210(請求項に記載のスケジュール作成手段、走行道路決定手段、及び停止判定手段に相当)は、通常のコンピュータとして構成されており、内部には周辺のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(何れも図示せず)が備えられている。ROMには、カーナビゲーション装置100が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。
【0033】
本実施形態のナビゲーション装置100の構成は以上であり、続いてその動作について説明する。当該ナビゲーション装置100は、車車間通信により、自車の走行スケジュールデータDsc又は停止スケジュールデータDstを送信するとともに、周辺車両からの走行スケジュールデータDsc又は停止スケジュールデータDstを受信し、周辺車両の走行位置を報知する。
【0034】
制御回路210は、図2に示すように、位置検出器110を構成するGPSセンサが検出した自車の現在位置及び地磁気センサが検出した自車の進行方位に基づいて、地図データ入力器120に入力された道路データを参照し、自車が走行すると予測される道路を決定する(ステップS100)。
【0035】
次に、予測した道路を走行する際の走行速度(V)を、下記数式1に基づいて算出する(ステップS110)。
(数1)
走行速度(V)=法定速度×気象係数×道路形状係数×交通係数
尚、気象係数は、受信した気象情報に基づいて、予測した道路上の気象状況に応じて設定される係数であり、例えば、降雨、霧、降雪等の速度低下要因の程度を考慮して走行速度(V)が低下し易い気象状況であるほどその値を小さく設定する。また、交通係数は、推定された道路上の交通状況に応じて設定される係数であり、例えば、混雑状態、あるいは渋滞状態により走行速度が低下し易い状況であるほど小さい値に設定する。
【0036】
上記数式1により算出された走行速度(V)を用いて、予測した道路の走行予定位置(Xn,Yn,Zn)を下記数式2〜4に基づいて算出するとともに、各走行予定位置(Xn,Yn,Zn)における走行予定時刻を下記数式5に基づいて算出する(ステップS120)。
(数2)
X方向座標(Xn)=基準位置X座標(X0)+道路係数(Rx)×走行速度(V)×経過時間(t)
(数3)
Y方向座標(Yn)=基準位置Y座標(Y0)+道路係数(Ry)×走行速度(V)×経過時間(t)
(数4)
Z方向座標(Zn)=基準位置Z座標(Z0)+道路係数(Rz)×走行速度(V)×経過時間(t)
(数5)
走行予定時刻(Tn)=基準時刻(T0)+経過時間(t)
尚、基準位置座標(X0,Y0,Z0)は、推定した道路の始端位置の座標を示している。また、基準時刻(T0)は、基準位置座標(X0,Y0,Z0)における時刻を示しており、経過時間(t)は、基準時刻(T0)からの経過時間を示している。
【0037】
このようにして算出された、予測した道路の各走行予定位置(Xn,Yn,Zn)における走行予定時刻(Tn)を示した走行スケジュールデータDscを作成し(ステップS130、図3参照)、記憶装置160に記憶するとともに、車車間通信装置130を用いて周辺車両に送信する(ステップS140)。
【0038】
この後、制御回路210は、自車の各走行位置における走行時刻(以降、運行状態という)が、作成した走行スケジュールデータDscと一致しているか否かを判断する(ステップS150)。ここで、自車の運行状態が、作成した走行スケジュールデータDscと一致し続けて、この走行スケジュールデータDscの通りに自車が走行し終えた場合には(ステップS150及びステップS160でYes)、ステップS100に戻って新たな走行スケジュールデータDscを作成する。
【0039】
一方、走行速度の変化等によって自車の運行状態が走行スケジュールデータDscからずれた場合には(ステップS150でNo)、自車が停止状態であるか否かを判断する(ステップS170)。ここで、車速センサ115により検出された車速がゼロとなっているときには停止状態と判断する(ステップS170でYes)。
【0040】
逆に、車速がゼロとなっていないときには(ステップS170でNo)、走行速度等の変化によって自車が作成した走行スケジュールデータDscと異なる走行状態となっているため、ステップS100に戻って新たに走行スケジュールデータDscを作成(更新)する。
【0041】
停止状態であると判断された場合には(ステップS170でYes)、その停止状態が一旦停止状態であるか否かを判断する(ステップS180)。この一旦停止状態の判断は、地図データ入力器120に入力された地図データを参照した結果、自車の停止位置が駐車場や駐車区域等の駐車可能な場所であるか、それら以外の場所であるかに基づいて行う。
【0042】
ここで、自車の停止位置が駐車可能な領域以外の場所である場合には、右左折時に対向車両や歩行者の通過待ちのために道路上に一時停車するなどの一旦停止状態であると判断して(ステップS180でYes、図4の(A)の位置)、一旦停止状態を示した停止情報(S)及び停止位置の座標(Xst,Yst,Zst)とを含む停止スケジュールデータDstを作成し(ステップS190)、この停止スケジュールデータDstを周辺車両に送信する(ステップS200)。
【0043】
この後、自車が走行状態に移行したか否かを判断する(ステップS210)。ここで、自車の車速がゼロ以上なったときには、車両が一旦停止状態から走行状態に移行したと判断して(ステップS210でYes、図4の(B)の位置))、ステップS100に戻って新たな走行スケジュールデータDscを作成(更新)し、送信する。
【0044】
逆に、自車の停止位置が駐車可能な場所である場合には、継続して停止することが考えられるため、一旦停止状態ではないと判断して(ステップS180でNo)、停止スケジュールデータDstの作成・送信は行わない。尚、自車が駐車可能な場所に位置し続けている場合には、他車の走行に影響を与えるおそれがないため、走行スケジュールデータDscの作成(更新)も行わない。
【0045】
ところで、制御回路210は上記の処理と並行して、車車間通信装置130により周辺車両から受信した走行スケジュールデータDsc又は停止スケジュールデータDstに基づいて周辺車両の走行位置を報知する。具体的には、図5に示すように、走行スケジュールデータDsc又は停止スケジュールデータDstが受信されたか否かを判断し(ステップS300)、いずれかが受信されたときには(ステップS300でYes)、受信したデータDsc(Dst)を記憶装置160に記憶し(ステップS310)、この記憶装置160に記憶したデータDsc(Dst)に基づいて周辺車両の走行位置を表示装置170に表示する(ステップS320)。
【0046】
走行スケジュールデータDscに基づいて周辺車両の走行位置を表示する場合には、例えば自車周辺の地図画像上に、自車の走行位置を示すシンボルとともに周辺車両の走行位置を示すシンボルを表示することができる。さらには、周辺車両のシンボルについては、その進行方位の情報を含んだシンボルを表示するようにしてもよい。また、停止スケジュールデータDstに基づいて周辺車両の位置を表示する際にも、自車周辺の地図画像上に周辺車両の位置を示すシンボルを表示することができる。尚、周辺車両から新しいデータDsc(Dst)を受信した場合には、新たに受信したデータDsc(Dst)を記憶装置160に更新記憶し、この新たに受信したデータDsc(Dst)に基づいて周辺車両の走行位置を表示する。
【0047】
本実施形態によれば、車車間通信により周辺車両に対して走行スケジュールデータDscを送信するとともに、周辺車両から受信した走行スケジュールデータDscに基づいて周辺車両の走行位置を報知するようにしているから、周期的な情報の送受信が不要となり、通信トラフィックの増大を抑止することができる。また、周辺車両から受信した走行スケジュールデータDscに基づいてその走行位置を表示装置170に表示しているため、自車側で周辺車両の走行位置を推定するための処理負担が低減される。
【0048】
また、自車の現在位置及び進行方位に基づいて、自車が走行すると予測される道路を決定し、この決定した道路の走行予定位置及び走行予定時刻を算出しているから、作成される走行スケジュールデータDscの精度を高めることができる。さらに、走行予定位置及び走行予定時刻を算出するに際して、道路形状係数、交通係数、及び気象係数に基づいて算出された走行速度を考慮しているため、道路形状、交通状況、気象状況に応じて走行速度が変動する可能性がある場合でも、作成される走行スケジュールデータDscの精度を高精度に維持できる。
【0049】
また、自車が一旦停止した場合には、停車スケジュールデータDstを作成し、この停車スケジュールデータDstを周辺車両に送信するようにしているから、自車が一旦停止状態であっても、その停止位置を周辺車両に正確に報知することができる。
【0050】
また、自車が停車状態から走行状態に遷移したこと、あるいは、自車の運行状態が既に作成した走行スケジュールデータDscと異なったことを条件として、走行スケジュールデータDscを更新するようにしているから、周辺車両に対して常に最適な走行スケジュールデータDscを提供することができる。
【0051】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0052】
上記実施形態では、数式1〜5に基づいて、自車側で走行スケジュールデータDscを作成していたが、数式1〜5に用いる変数を周辺車両に送信し、周辺車両側で走行スケジュールデータDscを作成させるようにしてもよい。このようにすれば、走行スケジュールデータDscを送受信する場合に比べて通信トラフィックを低減することができる。
【0053】
また、上記実施形態では、走行スケジュールデータDscを作成するに際して、気象係数、道路形状係数、交通係数を用いて予測した道路の走行速度を算出するようにしていたが、これらを考慮せずに走行速度を算出するようにしても良い。あるいは、気象係数、道路形状係数、及び交通係数のうちいずれかを用いて走行速度を算出しても良い。
【0054】
また、上記実施形態では、車速がゼロであって、自車の停止位置が駐車可能な領域以外の領域である場合に、自車が一旦停止状態であると判断するようにしていたが、例えば、車速がゼロであって、かつ、ターンインジケータランプが点灯していることを条件として車両が一旦停止状態であると判断するようにしても良い。これは、自車が右左折する際に、対向車両や歩行者が通過待ちのために一時停止していると考えられるからである。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施形態に係る車両位置報知装置の全体構成を示したブロック図である。
【図2】制御回路の処理内容を示したフローチャートである。
【図3】走行スケジュールデータの内容を示した概念図である。
【図4】車両の運行状態に対応して送信されるデータを示した概念図である。
【図5】制御回路の処理内容を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0056】
110…位置検出器
115…車速センサ
120…地図データ入力器
140…車車間通信装置(車車間通信手段)
150…VICS装置
160…送受信機
170…記憶装置
180…表示装置
190…音声出力装置
130…操作デバイス
200…リモコンセンサ
210…制御回路(スケジュール作成手段、走行道路決定手段)
Dsc…走行スケジュールデータ
Dst…停止スケジュールデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車車間通信により、周辺車両に対して自車の走行位置に関する情報を送信するとともに、前記周辺車両から受信した走行位置に関する情報に基づいてその走行位置を報知する車両位置報知装置であって、
前記周辺車両と通信接続される車車間通信手段と、
自車の走行予定位置と、この走行予定位置における走行予定時刻とを示した走行スケジュールデータを作成し、当該走行スケジュールデータを前記周辺車両に送信するスケジュール作成手段と、
前記周辺車両から受信した走行スケジュールデータに基づいて前記周辺車両の走行位置を報知する報知手段とを備えることを特徴とする車両位置報知装置。
【請求項2】
前記自車の現在位置及び進行方位に基づいて、自車が走行すると予測される道路を決定する走行道路決定手段を備え、
前記スケジュール作成手段は、
前記走行スケジュールデータとして、前記走行道路決定手段が決定した道路の各走行予定位置及びこれら各走行予定位置における走行予定時刻を算出することを特徴とする請求項1に記載の車両位置報知装置。
【請求項3】
前記スケジュール作成手段は、
前記走行道路決定手段が決定した道路の道路形状、交通状況、及び気象状況の少なくともいずれか1つに基づいて、前記自車の走行速度を算出し、当該走行速度を考慮して前記決定した道路の各走行予定位置及びこれら各走行予定位置における走行予定時刻を算出することを特徴とする請求項2に記載の車両位置報知装置。
【請求項4】
前記自車が停車したか否かを判定する停止判定手段を備え、
前記スケジュール作成手段は、前記停車判定手段にて肯定判定がなされたことを条件として、前記自車の停車位置を示した停車スケジュールデータを作成し、この停車スケジュールデータを前記周辺車両に送信し、
前記報知手段は、前記周辺車両から受信した停止スケジュールデータに基づいて前記周辺車両の停止位置を報知することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車両位置報知装置。
【請求項5】
前記スケジュール作成手段は、前記自車が停車状態から走行状態に遷移したこと、又は、走行スケジュールデータと異なる運行状態となったことを条件として、前記走行スケジュールデータを更新することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車両位置報知装置。
【請求項6】
前記スケジュール作成手段は、前記走行道路決定手段が決定した道路、当該道路の走行予定時刻、及び前記走行速度の情報を前記周辺車両に送信し、
前記周辺車両から受信した前記走行道路決定手段が決定した道路、当該道路の走行予定時刻、及び前記走行速度の情報に基づいて、周辺車両の走行スケジュールを作成することを特徴とする請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の車両位置報知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−280220(P2007−280220A)
【公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−107940(P2006−107940)
【出願日】平成18年4月10日(2006.4.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】