説明

車両情報提供システム

【課題】所定の目的地へと走行している車両のみから情報を情報センタへと送信することにより、車両と情報センタ間の通信回数を減少させ、通信処理に係る負担を減少させた車両情報提供システムを提供する。
【解決手段】プローブカー2において目的地の設定又は変更が行われた後に、プローブカー2で設定された目的地の情報をプローブ情報センタ3へと送信し(S2)、プローブ情報センタ3は送信されたプローブカー2の目的地と同一の目的地を設定する端末車両4があると判定された場合(S102:YES)に、当該プローブカー2に対してプローブ情報の送信指示を送信する(S103)とともに、送信指示が送信されたプローブカー2は送信された送信指示に従ってプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信する(S5)ように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両又は車両の周辺に係る情報を取得するとともに取得した情報を情報センタに対して送信する車両情報提供システムに関し、特に、所定の目的地へと走行している車両から情報を情報センタへと送信することにより、車両と情報センタ間の通信回数を減少させ、通信処理に係る負担を減少させた車両情報提供システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得して液晶モニタに表示することが可能な装置である。更に、かかるナビゲーション装置には、所望する目的地を入力すると、自車位置から目的地までの最適経路を探索する経路探索機能を備えており、ディスプレイ画面に誘導経路を表示するとともに、交差点に接近した場合等には音声による案内をすることによって、運転者を所望の目的地まで確実に案内するようになっている。
【0003】
また、従来のナビゲーション装置では、上記経路の探索を行う際に、例えば、高速道路、有料道路、国道、主要地方道、県道、細街路等の道路種別や、右左折禁止、一方通行等の交通規制の有無や、リンクの長さ、即ちリンク長の大小、道路の幅員の大小、車線数の多寡等によって、それぞれ、リンク又はリンク間(ノード)に各種のコストが設定される。そして、自車位置から目的地までの最適経路を探索する際においては、地図データに記憶されたリンクに沿って出発地側及び目的地側から経路の探索が行われ、出発地側からの探索と目的地側からの探索との重なり部分において、出発地側から累積されたコストと目的地側から累積されたコストとを加算した値、即ちコスト加算値が算出されるようになっている。その結果、算出されたコスト加算値が最小になる経路が誘導経路として設定される。
【0004】
ここで、上記の経路探索に用いられるコストやリンクを通過するのに必要な旅行時間を設定する要素の一つとして、リンクの長さや種類のみでは判別できない実際の交通情報(渋滞情報等)が必要となる。従来において、このような交通情報は、道路交通情報システム(VICS)に代表されるように、路側に設置されたセンサ等を用いて収集されている。また、プローブカーと呼ばれる路面を実際に走行する車両自体から交通情報を収集する仕組みについても導入されている。
ここで、特にプローブカーを用いて交通情報の収集を行う際には、全国を走行する全てのプローブカーから所定時間間隔(例えば1分間隔)で情報を収集することとしていたが、それでは通信回数が非常に多くなり、プローブカーや情報センタの通信処理に対する負荷が非常に高くなっていた。そこで、2004−287724号公報には、プローブカー周辺の交通状態の変動率を算出し、交通状態の変動率の値によってプローブカーと情報センタとの通信間隔を変更した交通情報送信システムについて記載されている。
【特許文献1】特開2004−287724号公報(第5頁〜第9頁、図2〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載の交通情報送信システムでは、通信を行う間隔を変更することはできるものの、プローブカーから情報センタに対して送信される情報の内容に基づいて送信を行う間隔を変更することはできなかった。即ち、プローブカーから情報センタに対して送信する情報の内には、他の車両にとって必要のない情報も多く含まれており、そのような情報についても一律に情報センタに対して送信することは、依然としてプローブカーや情報センタの通信処理に対する負荷が非常に高くなっていた。
更に、前記特許文献1に記載の交通情報送信システムでは、他の車両にとって必要とされる情報についても交通状態の変動率によっては通信間隔が長くなってしまうので、より新しく精度の高い情報を提供することができなかった。
【0006】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、他の車両にとって必要とされている情報を有する車両から情報を情報センタへと送信することにより、車両と情報センタ間の通信回数を減少させ、通信処理に係る負担を減少させた車両情報提供システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る車両情報提供システム(1)は、車両(2)又は車両の周辺に係る情報を取得する情報取得手段(30、31、34)と、前記情報取得手段により取得した情報を情報センタ(3)に送信する情報送信手段(5)と、を有する車両情報提供システムにおいて、前記車両が所定の目的地へ走行しているか否かを判定する目的地判定手段(11)を有し、前記情報送信手段は前記目的地判定手段によって所定の目的地へ走行していると判定された車両が前記情報取得手段で取得した情報を前記情報センタに送信することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る車両情報提供システム(1)は、請求項1に記載の車両情報提供システムにおいて、車両(4)に搭載されるとともに目的地への車両の走行を案内するナビゲーション装置(8)に対して目的地を設定する目的地設定手段(9)を有し、前記所定の目的地はいずれかの車両で前記目的地設定手段により設定された目的地であることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る車両情報提供システム(1)は、自車又は自車の周辺に係る情報を取得する情報取得手段(30、31、34)を備えた車両(2)と、前記車両が取得した情報を蓄積するとともに蓄積された情報に基づいて作成された交通情報を他車両へ配信する配信手段(6)を備えた情報センタ(3)と、を有する車両情報提供システムにおいて、前記車両(2)は、目的地に関する情報を情報センタ(3)に対して送信する目的地送信手段(5)と、前記情報センタから送信された送信指示を受信する送信指示受信手段(5)と、前記送信指示受信手段によって送信指示を受信した場合に、前記情報取得手段で取得した情報を情報センタに対して送信する情報送信手段(5)と、を有し、前記情報センタは、前記目的地送信手段によって送信された目的地に関する情報を受信する目的地受信手段(6)と、前記目的地受信手段によって受信した情報に基づいて前記車両が所定の目的地へ走行しているか否かを判定する目的地判定手段(6)と、前記目的地判定手段によって所定の目的地へと送信すると判定された場合に、前記車両に対して送信指示を送信する送信指示送信手段(6)と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る車両情報提供システム(1)は、請求項3に記載の車両情報提供システムにおいて、車両(4)に搭載されるとともに目的地への車両の走行を案内するナビゲーション装置(8)に対して目的地を設定する目的地設定手段(9)を備え、前記所定の目的地はいずれかの車両で前記目的地設定手段により設定された目的地であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る車両情報提供システム(1)は、車両又は車両の周辺に係る情報を取得する情報取得手段(30、31、34)と、前記情報取得手段により取得した情報を情報センタ(3)に送信する情報送信手段(5)と、を有する車両情報提供システムにおいて、現在の時期を特定する時期特定手段(23)と、前記時期特定手段によって特定された時期が対応付けられた対応地点又は対応地点の周辺に前記車両が位置するか否かを判定する対応地点判定手段(23)と、を有し、前記情報送信手段は前記対応地点判定手段によって対応地点又は対応地点の周辺に位置すると判定された車両から前記情報取得手段で取得した情報を前記情報センタに送信することを特徴とする。
【0012】
更に、請求項6に係る車両情報提供システム(1)は、自車又は自車の周辺に係る情報を取得する情報取得手段を備えた車両(2)と、前記車両が取得した情報を蓄積するとともに蓄積された情報に基づいて作成された交通情報を他車両へ配信する配信手段を備えた情報センタ(3)と、を有する車両情報提供システムにおいて、前記車両は、自車の現在位置を検出する自車位置検出手段(21)と、前記情報センタから送信された対応地点に関する情報を受信する対応地点情報受信手段(5)と、現在の時期を特定する時期特定手段(23)と、前記時期特定手段によって特定された時期が対応付けられた対応地点又は対応地点の周辺に自車が位置するか否かを判定する対応地点判定手段(23)と、前記対応地点判定手段によって対応地点又は対応地点の周辺に自車が位置すると判定された場合に、前記情報取得手段で取得した情報を情報センタに対して送信する情報送信手段(5)と、を有し、前記情報センタは、地図データを記憶する地図データ記憶手段(16)と、地図データの各地点に対して時期を対応付ける時期対応手段(18)と、前記時期対応手段によって時期が対応付けられた対応地点に関する情報を送信する対応地点情報送信手段(6)と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
前記構成を有する請求項1の車両情報提供システムでは、所定の目的地へ走行している車両から当該車両で取得した情報を情報センタへと送信するので、車両の走行状況を考慮して他の車両にとって必要とされる情報を有する車両を選別して、情報センタが情報の収集を行うことが可能となる。従って、必要とされる情報については十分な通信回数と通信量を確保しつつ、車両と情報センタ間の通信回数を減少させ、通信処理に係る負担を減少させることが可能となる。
【0014】
また、請求項2の車両情報提供システムでは、他車のナビゲーション装置で設定された目的地へ走行している車両から当該車両で取得した情報を情報センタへと送信するので、他の車両にとって必要とされる情報を有する車両を選別して、情報センタが情報の収集を行うことが可能となる。従って、必要とされる情報については十分な通信回数と通信量を確保しつつ、車両と情報センタ間の通信回数を減少させ、通信処理に係る負担を減少させることが可能となる。
【0015】
また、請求項3の車両情報提供システムでは、車両から情報センタへと車両の走行する目的地を送信し、情報センタによって所定の目的地へと走行する車両であると判定された車両から当該車両で取得した情報を情報センタへと送信するので、車両の走行状況を考慮して他の車両にとって必要とされる情報を有する車両を選別して、情報センタが情報の収集を行うことが可能となる。従って、必要とされる情報については十分な通信回数と通信量を確保しつつ、車両と情報センタ間の通信回数を減少させ、通信処理に係る負担を減少させることが可能となる。
【0016】
また、請求項4の車両情報提供システムでは、他車のナビゲーション装置で設定された目的地へ走行している車両から当該車両で取得した情報を情報センタへと送信するので、他の車両にとって必要とされている情報を有する車両のみを選別して、情報センタが情報の収集を行うことが可能となる。従って、必要とされる情報については十分な通信回数と通信量を確保しつつ、車両と情報センタ間の通信回数を減少させ、通信処理に係る負担を減少させることが可能となる。
【0017】
また、請求項5の車両情報提供システムでは、現在の時期に対応する対応地点及び対応地点の周囲に位置する車両から当該車両で取得した情報を情報センタへと送信するので、現在の時期を考慮して他の車両にとって必要とされる情報を有する車両を選別して、情報センタが情報の収集を行うことが可能となる。従って、必要とされる情報については十分な通信回数と通信量を確保しつつ、車両と情報センタ間の通信回数を減少させ、通信処理に係る負担を減少させることが可能となる。
【0018】
更に、請求項6の車両情報提供システムでは、時期に対応する地点及び地点の周辺に位置する車両から当該車両で取得した情報を情報センタへと送信するので、現在の時期を考慮して他の車両にとって必要とされる情報を有する車両を選別して、情報センタが情報の収集を行うことが可能となる。従って、必要とされる情報については十分な通信回数と通信量を確保しつつ、車両と情報センタ間の通信回数を減少させ、通信処理に係る負担を減少させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る車両情報提供システムについて具体化した第1乃至第3実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
(第1実施形態)
先ず、第1実施形態に係る車両情報提供システム1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は第1実施形態に係る車両情報提供システム1の概略構成図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る車両情報提供システム1は、路面上を走行するとともにプローブ情報を取得する複数のプローブカー(車両)2と、プローブカー2から送信されたプローブ情報を受信して蓄積するとともに蓄積されたプローブ情報から交通情報を作成するプローブ情報センタ(情報センタ)3と、プローブ情報センタ3から配信された交通情報を利用する利用者端末である端末車両(車両)4とから基本的に構成されている。
そして、プローブカー2とプローブ情報センタ3は、プローブカー2に設けられた通信装置(情報送信手段、目的地送信手段、送信指示受信手段、対応地点情報受信手段)5と、プローブ情報センタ3に設けられたセンタ側通信装置(配信手段、目的地受信手段、送信指示送信手段、対応地点情報送信手段)6とによって相互に情報通信が可能となっている。また、プローブ情報センタ3と端末車両4は、センタ側通信装置6と端末車両4に設けられた端末通信装置7とによって相互に情報通信が可能となっている。
【0021】
ここで、通信装置5は、通信ネットワーク10(図2参照)を介してプローブ情報をプローブ情報センタ3に送信する通信手段であり、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するビーコンレシーバである。また、通信装置5としては、LAN、WAN、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系において通信を可能とするネットワーク機器であっても良い。
そして、プローブカー2が取得し、通信装置5を介して送信するプローブ情報としては、例えば、自車両の現在位置、ナビゲーション装置で設定している目的地、シフトレバーの位置、ステアリングの角度、アクセルの開度、ブレーキ圧、エンジンオイル等の残量、燃料の残量、シートベルト装着状況、自車両の速度、自車両の進行方向、自車両の走行距離、ワイパーの動作状況、ウィンカの状態、現在時刻等がある。尚、プローブ情報としては車両によって取得可能な情報であれば、車両自身の情報以外にも車両の周辺環境に関する情報でも良く、例えば車両の前方又は後方に設置されたカメラで撮像した画像や、ミリ波レーダで検出した前方車両までの距離や前方車両の車速に関する情報も含めることができる。
【0022】
また、センタ側通信装置6は、通信ネットワーク10(図2参照)を介してプローブカー2からプローブ情報を受信するとともに、蓄積されたプローブ情報から作成された交通情報を端末車両4に送信する通信手段である。
【0023】
更に、端末通信装置7は、通信ネットワーク10(図2参照)を介してプローブ情報センタ3から端末車両4へと送信された必要な交通情報を受信する通信手段である。
【0024】
尚、第1実施形態ではプローブカー2と端末車両4とを異なる種別の車両として区分して説明しているが、端末車両4はプローブカー2としても用いることも可能であり、また、プローブカー2は端末車両4としても用いることも可能である。更に、端末車両4の代わりに携帯電話機、PDA、パーソナルコンピュータ等の情報端末を用いることも可能である。
【0025】
次に、第1実施形態に係る車両情報提供システム1の具体的な構成について図2及び図3を用いて説明する。図2は第1実施形態に係る車両情報提供システム1の特にプローブ情報センタ3の構成について示したブロック図、図3は第1実施形態に係る車両情報提供システム1の特にプローブカー2の構成について示したブロック図である。
【0026】
図2に示すように、車両情報提供システム1はプローブカー2と、プローブ情報センタ3と、端末車両4と、通信ネットワーク10とから構成される。そして、プローブカー2とプローブ情報センタ3と端末車両4は、通信ネットワーク10を介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されている。
【0027】
ここで、端末車両4には端末通信装置7とナビゲーション装置8を制御するナビゲーションECU(目的地設定手段)9を有するナビゲーション装置8が設置されており、プローブ情報センタ3から送信された交通情報を用いてナビゲーションECU9は経路の探索等を行う。それによって、より正確な交通情報に基づいた経路の探索が可能となる。尚、端末車両4に搭載されたナビゲーション装置8の構成は後述するプローブカー2に搭載されるナビゲーション装置20と基本的に同一の構成であるので、ここではその説明は省略する。
【0028】
また、プローブ情報センタ3は、センタ側通信装置6と、サーバ(目的地判定手段)11と、サーバ11に接続された情報記録部としてのプローブ情報DB15と、センタ地図情報DB(地図データ記憶手段)16と、ユーザ目的地DB17とを備える。また、サーバ11は、サーバ11の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU12、並びにCPU12が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM13、プローブカー2が所定の目的地へと走行している場合にプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信するように指示する目的地別プローブ情報送信判定プログラム(図6参照)やプローブカー2に対して座標と時期とを対応付けた地点時期対応データ18を送信する時期別プローブ情報送信判定プログラム(図7参照)や端末車両4からの要求に基づいて作成された交通情報を送信する交通情報配信処理プログラム(図9参照)等のサーバ11を制御するための各種の制御プログラムが記録されたROM14等の内部記憶装置を備えている。また、CPU12に代えてMPU等を使用することができる。
【0029】
また、プローブ情報DB15は全国を走行する各プローブカー2の内、後述する条件を満たしたプローブカー2から所定時間間隔(例えば1分間隔)で通信ネットワーク10を介して送信されるプローブ情報を累積して記憶する記憶手段である。尚、第1実施形態においては、プローブ情報DB15の記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、磁気ディスク、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
【0030】
また、センタ地図情報DB16はプローブ情報の送信指示を送信すべきプローブカー2を特定するのに必要な地図データが記録された記憶手段である。ここで、地図データは、例えば地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、施設に関する施設データ、時期と地点(位置座標)を対応付けた地点時期対応データ(時期対応手段)18等から構成されている。
【0031】
ここで、地図データを構成する地図表示データとしては、各レベル階層の地図データに応じた地図表示を行う為の地図描画情報が記憶される。
【0032】
また、リンクデータとしては、道路を構成する各リンクに関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、自動車専用道路、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。また、有料道路に関しては、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に関するデータが記録される。
【0033】
また、ノードデータとしては、道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクのリンク番号のリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0034】
また、施設データとしては、各地域のホテル、病院、ガソリンスタンド、駐車場、観光施設、インターチェンジ、レストラン、サービスエリア等の建物に関するデータが建物を特定する施設IDとともに記録される。
【0035】
また、地点時期対応データ18は、地図データの地点(座標)に対して時期(春「3月〜5月」、夏「6月〜8月」、秋「9月〜11月」、冬「12月〜2月」、通年「1月〜12月」の5種)の対応付けを行うデータである。図4は第1実施形態に係る地点時期対応データ18を示した図である。
図4に示すように、地点時期対応データ18は座標と座標に対して対応付けられた時期とから構成されており、例えば、図4に示す地点時期対応データ18では、座標(x1、y1)に「春」が対応付けられ、座標(x2、y2)に「夏」が対応付けられ、座標(x3、y3)に「夏」が対応付けられ、座標(x4、y4)に「秋」が対応付けられ、座標(x5、y5)に「冬」が対応付けられ、座標(x6、y6)に「通年」が対応付けられている。
そして、サーバ11は後述するようにプローブカー2からの要求があった際に、地点時期対応データ18をプローブカー2に対して送信し(図7のS113)、送信されたプローブカー2が現在の時期に対応する対応地点及びその周辺に位置するか否かを判定し(図7のS15)、プローブ情報を送信するか否かを決定する。
尚、地点時期対応データ18においては座標の変わりに施設名称(例えば、○○スキー場、××ランド)や施設IDを時期と対応付けることとしても良い。また、施設のジャンル(例えば、海水浴場やゴルフ場)等を時期と対応付けることとしても良い。尚、ジャンルが対応付けられた場合には、時期に対応するジャンルに該当する全ての施設及びその周辺に位置すると判定されたプローブカー2からプローブ情報の送信が行われることとするのが望ましい。
更に、地点に対応付ける時期としては、「ゴールデンウィーク」や「お盆」の他、具体的な月日などでも良い。
【0036】
また、ユーザ目的地DB17は端末車両4のナビゲーション装置8によって目的地に設定されている目的地を累積的に記憶する記憶手段である。ここで、図5は第1実施形態に係るユーザ目的地DB17の記憶領域を示した図である。
図5に示すように、ユーザ目的地DB17には端末車両4を特定する識別IDと、端末車両4のナビゲーション装置8によって目的地に設定された施設名称が記憶される。また、これらの情報は端末車両4がナビゲーション装置8により目的地を設定した際に、端末車両4を識別する識別IDと設定した目的地に関する情報を端末通信装置7によりプローブ情報センタ3に送信することにより記憶される。また、端末車両4が設定された目的地に到着した際に、識別IDと到着した旨を端末通信装置7によりプローブ情報センタ3に送信することにより同一の施設IDに該当する情報がユーザ目的地DB17から削除される。
そして、サーバ11は後述するようにユーザ目的地DB17に記憶されたいずれかの目的地へと走行するプローブカー2に対して、プローブ情報をプローブ情報センタ3へと送信するように送信指示を送信する(図6のS103)。尚、目的地としては施設名称の代わりに施設IDや座標を記憶することとしても良い。
【0037】
次に、図3を用いて車両情報提供システム1を構成するプローブカー2の構成について説明すると、第1実施形態に係るプローブカー2には通信装置5を有するナビゲーション装置20が搭載されている。
図3に示すようにナビゲーション装置20は、自車の現在位置を検出する現在地検出処理部21と、各種のデータが記録されたデータ記録部22と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU(対応地点判定手段、時期特定手段)23と、操作者からの操作を受け付ける操作部24と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ25と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ26と、プローブ情報センタ3や交通情報センタ等の情報センタとの間で通信を行う端末通信装置7と、から構成されている。また、ナビゲーションECU23には自車の走行速度を検出する車速センサ(情報取得手段)30が接続される。
【0038】
以下に、ナビゲーション装置20を構成する各構成要素について説明する。
現在地検出処理部21は、GPS(情報取得手段、自車位置検出手段)31、地磁気センサ32、距離センサ33、ステアリングセンサ(情報取得手段)34、方位検出部としてのジャイロセンサ35、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0039】
具体的には、GPS31は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在地及び現在時刻を検出し、地磁気センサ32は、地磁気を測定することによって自車方位を検出し、距離センサ33は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ33としては、例えば、自車の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等を使用することができる。
【0040】
また、ステアリングセンサ34は自車の舵(だ)角を検出する。ここで、ステアリングセンサ34としては、例えば、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0041】
そして、ジャイロセンサ35は自車の旋回角を検出する。ここで、ジャイロセンサ35としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ35によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0042】
また、データ記録部22は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB28、ナビ側プローブ情報DB29及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、第1実施形態においては、データ記録部22の外部記憶装置及び記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、ハードディスクのほかに、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置として使用することができる。また、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
【0043】
また、ナビ側プローブ情報DB29には、プローブカー2が車速センサ30、GPS31、ステアリングセンサ34等の各種センサで取得したプローブ情報が記憶される。プローブ情報としては、例えば、自車両の現在位置、ナビゲーション装置で設定している目的地、シフトレバーの位置、ステアリングの角度、アクセルの開度、ブレーキ圧、エンジンオイル等の残量、燃料の残量、シートベルト装着状況、自車両の速度、自車両の進行方向、自車両の走行距離、ワイパーの動作状況、ウィンカの状態、現在時刻等がある。
【0044】
また、地図情報DB28には、経路案内及び地図表示に必要な地図データが記録されている。第1実施形態において地図データは、前記したように道路網の情報量に応じて3層に階層化されており、各階層の地図データは、例えば地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、経路を探索するための探索データ、施設に関する施設データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
【0045】
ここで、探索データとしては、それぞれのレベル階層の地図データにおいて設定された目的地までの経路を探索及び表示する際に使用されるデータについて記録されており、ノードを通過する際のコスト(以下、ノードコストという)や道路を構成するリンクのコスト(以下、リンクコストという)からなる探索コストを算出する為に使用するコストデータ、リンクを通過するのに必要な旅行時間、経路探索により選択された経路を液晶ディスプレイ25の地図上に表示するための経路表示データ等から構成されている。
ここで、ノードコストは交差点に対応するノードに対して基本的に設定されており、第1実施形態に係るナビゲーション装置20では、信号の有無や交差点を通過する際の自車の走行経路(即ち直進、右折及び左折の種類)によってその値が決定される。
また、リンクコストは、リンクを構成する道路属性や道路種別、道路幅、車線数、リンク長さ、旅行時間、渋滞情報等に関するデータを用いて算出される。更に、第1実施形態に係る車両情報提供システム1では、プローブ情報センタ3から配信される交通情報に従って、リンクの旅行時間やリンクコストが調整される(図9のS25)。
【0046】
尚、探索データ以外に地図データを構成する交差点データ、リンクデータ、ノードデータに関しては既に説明したプローブ情報センタ3のセンタ地図情報DB16(図2参照)に記憶されているものと同一内容であるので、ここではその説明は省略する。
【0047】
そして、ナビゲーションECU23は、現在地(出発地)から目的地までの距離が短距離(例えば、3km程度)の経路探索の場合には、現在地周辺の最下層の地図データであるレベル1の地図データのメッシュのみを使用して経路を探索する。
また、現在地から目的地までの距離が中距離(例えば、50km程度)の経路探索の場合には、現在地及び目的地周辺については最下層の地図データであるレベル1の地図データのメッシュを使用し、前記レベル1の地図データのメッシュに隣接するエリアは中間層の地図データであるレベル2の地図データのメッシュを使用して経路を探索する。
更に、現在地から目的地までの距離が長距離(例えば、300km程度)の経路探索の場合には、現在地及び目的地周辺の最下層の地図データであるレベル1の地図データのメッシュを使用し、前記レベル1の地図データのメッシュに隣接するエリアは中間層の地図データであるレベル2の地図データのメッシュを使用し、前記レベル2の地図データのメッシュに隣接するエリアは最上層の地図データであるレベル3の地図データのメッシュを使用して経路を探索する。それによって、経路を探索の為の演算量を抑えることができ、経路探索に必要な時間を短縮することができる。
【0048】
そして、ナビゲーションECU23が経路を探索する際には、地図データにおける探索データ中の道路データを調査して、探索に使用されるメッシュに含まれる道路(リンク及びノード)についての探索コスト(ノードコスト及びリンクコスト)を計算して、経路を探索する。具体的には、出発地側及び目的地側から経路の探索が行われ、出発地側からの探索と目的地側からの探索との重なり部分において、出発地側から累積された探索コストと目的地側から累積された探索コストとを加算した値、即ち、コスト加算値が算出される。その結果、コストが小さい順に経路を複数本(例えば3本)選択し、最もコスト加算値が小さくなった経路、又は利用者によって選択された経路を誘導経路として設定する。
【0049】
また、これら地図情報DB28の内容は、DVDや外部に接続したメモリーカード等の記録媒体から情報を転送すること、又は特定の情報センタ等から端末通信装置7を介して情報をダウンロードすること等によって更新される。
【0050】
更に、ナビゲーションECU23は、ナビゲーション装置20の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、プローブ情報センタ3からの送信指示に基づいてプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信する目的地別プローブ情報送信判定プログラム(図6参照)やプローブ情報センタ3から送信された地点時期対応データ18に基づいて自車が現在の時期に対応付けられた地点及びその周辺に位置すると判定された場合にプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信する時期別プローブ情報送信判定プログラム(図7参照)やプローブ情報センタ3から配信された交通情報を受信して目的地までの経路を探索する交通情報配信処理プログラム(図9参照)が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記録するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、前記RAM42、ROM43、フラッシュメモリ44等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としては、CPU41に代えてMPU等を使用することも可能である。
【0051】
また、第1実施形態においては、前記ROM43に各種のプログラムが記録され、前記データ記録部22に各種のデータが記録されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部記憶装置、メモリーカード等からプログラム、データ等を読み出して前記フラッシュメモリ44に書き込むこともできる。更に、メモリーカード等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。
【0052】
更に、前記ナビゲーションECU23には、操作部24、液晶ディスプレイ25、スピーカ26、端末通信装置7の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0053】
操作部24は、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU23は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部24としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、ライトペン、スタイラスペン等を使用することもできる。更に、液晶ディスプレイ25の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0054】
また、液晶ディスプレイ25には、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ25の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用したり、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することも可能である。
【0055】
また、スピーカ26は、ナビゲーションECU23からの指示に基づいて誘導経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスを出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「300m先の交差点を右方向です。」や「この先の国道○○号線が渋滞しています。」等がある。なお、スピーカ26より出力される音声としては、合成された音声のほかに、各種効果音、予めテープやメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0056】
そして、通信装置5は、所定の条件を満たした際に車速センサ30、GPS31及びステアリングセンサ34等の各種センサで取得したプローブ情報をプローブ情報センタ3へと送信する他に、交通情報センタ、例えば、VICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等から送信された渋滞情報、規制情報、駐車場情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信するビーコンレシーバである。また、端末通信装置7としては、LAN、WAN、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系において通信を可能とするネットワーク機器であっても良い。更に、端末通信装置7は前記情報センタからの情報の他に、ニュース、天気予報等の情報から成るFM多重情報を、FM放送局を介してFM多重放送として受信するFM受信機を備える。尚、前記ビーコンレシーバ及びFM受信機は、ユニット化されてVICSレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【0057】
次に、第1実施形態に係る車両情報提供システム1においてプローブカー2のナビゲーションECU23及びプローブ情報センタ3のサーバ11が実行する目的地別プローブ情報送信判定プログラムについて図6に基づき説明する。図6は第1実施形態に係る車両情報提供システムにおける目的地別プローブ情報送信判定プログラムのフローチャートである。ここで、目的地別プローブ情報送信判定プログラムはプローブカー2がいずれかの端末車両4によって設定されている同一の目的地に向かう車両であるか否かを判定し、同一の目的地へと向かうプローブカー2のみからプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信するプログラムである。尚、以下の図6にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置20が備えているRAM42やROM43、又はサーバ11が備えているRAM13やROM14に記憶されており、CPU41或いはCPU12により所定間隔(例えば4ms毎)で実行される。
【0058】
先ず、図6に基づいてナビゲーション装置20のCPU41が実行する目的地別プローブ情報送信判定プログラムについて説明すると、ステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は目的地の設定又は変更が行われたか否かを操作部24の操作に基づいて判定する。
【0059】
その結果、目的地の設定又は変更が行われたと判定された場合(S1:YES)には、S2でCPU41はナビ側プローブ情報DB29に記憶されたプローブ情報をプローブ情報センタ3に対してアップロードするアップロード条件の取得要求をプローブ情報センタ3へと送信する。また、取得要求と同時に自車両(プローブカー2)の現在位置とプローブカー2に搭載されたナビゲーション装置20で設定された目的地に関する情報を送信する。それに対し、目的地の設定及び変更が行われていないと判定した場合(S1:NO)には、当該目的地別プローブ情報送信判定プログラムを終了する。
【0060】
また、S3でCPU41は、プローブ情報センタ3から送信されたプローブ情報の送信指示を通信装置5により受信する。続いて、S4ではプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信するタイミングであるか否かが判定される。ここで、第1実施形態に係る車両情報提供システム1では1分間隔でプローブカー2が新たに取得したプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信するように構成されている。
【0061】
そして、プローブ情報を送信するタイミングであると判定された場合(S4:YES)には、通信装置5によりナビ側プローブ情報DB29に記憶されたプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信する(S5)。一方、プローブ情報を送信するタイミングでないと判定された場合(S4:NO)には、送信するタイミングとなるまで待機する。
【0062】
次に、S6でCPU41は、GPS31により検出された自車位置と設定された目的地の座標とに基づいて自車両が目的地に到着したか否かが判定される。そして、目的地に到着していないと判定された場合(S6:NO)にはS4へと戻り、再度、送信のタイミングであるか否かが判定される。一方、目的地に到着したと判定された場合(S6:YES)には当該目的地別プローブ情報送信判定プログラムを終了する。
【0063】
次に、図6に基づいてサーバ11のCPU12が実行する目的地別プローブ情報送信判定プログラムについて説明する。先ずS101において、CPU12は前記S2でプローブカー2から送信されたプローブカー2の現在位置とナビゲーション装置20において設定された目的地に関する情報をセンタ側通信装置6により受信する。
【0064】
次に、S102においてCPU12は、前記S101で受信したプローブカー2のナビゲーション装置20で設定された目的地とユーザ目的地DB17(図5参照)に基づいて、交通情報の提供を受けるいずれかの端末車両4の内、プローブカー2と同一の目的地が設定されている車両があるか否かを判定する。具体的には、前記S101で受信したプローブカー2の目的地がユーザ目的地DB17に記録されたいずれかの目的地(図5では「○○デパート」、「△△駅」、「××競技場」、「□□ゴルフ場」、「△○デパート」)と一致する場合に、同一の目的地を設定した端末車両4があると判定される。尚、上記S102が目的地判定手段の処理に相当する。
【0065】
そして、同一の目的地を設定した端末車両4があると判定された場合(S102:YES)には、プローブカー2で取得されたプローブ情報をプローブ情報センタ3に対してアップロードする旨を指示する送信指示をプローブカー2に対して送信する(S103)。一方、同一の目的地を設定した端末車両4がないと判定された場合(S102:NO)には、プローブカー2で取得する情報は他車両にとって必要とされていない情報であると考えられ、送信指示を送ることなく当該目的地別プローブ情報送信判定プログラムを終了する。
【0066】
次に、S104でCPU12は、前記S5においてプローブカー2から送信されたプローブ情報を受信する。その後、S105では前記S104で受信したプローブ情報をプローブ情報DB15に格納する。尚、格納されたプローブ情報からは交通情報が作成され、作成された交通情報は後述するように端末車両4からの要求に基づいて送信される(図9のS122、S123)。
【0067】
次に、第1実施形態に係る車両情報提供システム1においてプローブカー2のナビゲーションECU23及びプローブ情報センタ3のサーバ11が実行する時期別プローブ情報送信判定プログラムについて図7に基づき説明する。図7は第1実施形態に係る車両情報提供システムにおける時期別プローブ情報送信判定プログラムのフローチャートである。ここで、時期別プローブ情報送信判定プログラムはプローブカー2が現在の時期に対応付けられた対応地点又は対応地点の周辺に位置するか否かを判定し、位置すると判定されたプローブカー2のみからプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信するプログラムである。尚、以下の図7にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置20が備えているRAM42やROM43、又はサーバ11が備えているRAM13やROM14に記憶されており、CPU41或いはCPU12により所定間隔(例えば4ms毎)で実行される。
【0068】
先ず、図7に基づいてナビゲーション装置20のCPU41が実行する時期別プローブ情報送信判定プログラムについて説明すると、S11において、CPU41は自車両のイグニションがONされたか否かを判定する。
【0069】
その結果、イグニションがONされた判定された場合(S11:YES)には、S12でCPU41はナビ側プローブ情報DB29に記憶されたプローブ情報をプローブ情報センタ3に対してアップロードするアップロード条件の取得要求を通信装置5によりプローブ情報センタ3へと送信する。それに対し、イグニションがONされていないと判定された場合(S11:NO)には、当該時期別プローブ情報送信判定プログラムを終了する。
【0070】
また、S13でCPU41は、プローブ情報センタ3から送信された地点時期対応データ(図4参照)を通信装置5により受信する。続いて、S14ではGPS31によって検出した現在の日時に基づいて、現在の時期を「春(3月〜5月)」、「夏(6月〜8月)」、「秋(9月〜11月)」、「冬(12月〜2月)」、「通年(1月〜12月)」のいずれかに特定する。例えば、GPS31で検出した現在の日時が12月14日の12時であった場合には、「冬」と「通年」が現在の時期として特定される。尚、上記S13が時期特定手段の処理に相当する。
【0071】
次に、S15ではCPU41はGPS31により自車両の現在位置を検出してマップマッチングするとともに、前記S13で受信した地点時期対応データ18(図4参照)の地点の内、現在の時期が対応付けられた対応地点及び対応地点の周辺(例えば半径2km内)内に自車両が位置するか否かを判定する。
【0072】
ここで、図8は現在の時期に対応する対応地点として地点51が特定された場合における特定地域を示した図であり、図8では地点51の半径2km以内の特定地域52内に位置するプローブカー2が、前記S15の判定処理において対応地点及び対応地点の周辺内に自車両が位置すると判定される。尚、上記S15が対応地点判定手段の処理に相当する。
【0073】
そして、対応地点及び対応地点の周辺(例えば半径2km内)内に自車両が位置すると判定された場合(S15:YES)には、プローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信するタイミングであるか否かが判定される(S16)。ここで、第1実施形態に係る車両情報提供システム1では1分間隔でプローブカー2が新たに取得したプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信するように構成されている。
【0074】
そして、プローブ情報を送信するタイミングであると判定された場合(S16:YES)には、通信装置5によりナビ側プローブ情報DB29に記憶されたプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信する(S17)。一方、対応地点及び対応地点の周辺内に自車両が位置しないと判定された場合(S15:NO)、及びプローブ情報を送信するタイミングでないと判定された場合(S16:NO)には、S15へと戻り、新たに検出した自車位置に基づいて対応地点及び対応地点の周辺内に自車両が位置するか否かを判定する。
【0075】
更に、S18でCPU41は、自車両のイグニションがOFFされたか否か判定する。そして、イグニションがOFFされていないと判定された場合(S18:NO)にはS15へと戻り、新たに検出した自車位置に基づいて対応地点及び対応地点の周辺に自車両が位置するか否かを判定する。一方、イグニションがOFFされたと判定された場合(S18:YES)には、当該時期別プローブ情報送信判定プログラムを終了する。
【0076】
次に、図7に基づいてサーバ11のCPU12が実行する時期別プローブ情報送信判定プログラムについて説明する。先ずS111において、CPU12は前記S12でプローブカー2から送信されたアップロード条件の取得要求を受信する。
【0077】
その後、S112では取得要求を受信したことに基づいて、地点時期対応データ18をセンタ地図情報DB16から取得する。尚、地図データの一部として予め地点時期対応データ18を記憶するのではなく、S112の処理において地点時期対応データ18を作成するようにしても良い。
【0078】
そして、S113では前記S112で取得又は作成された地点時期対応データ18をプローブカー2に対して送信する。そして、プローブカー2は前記したように自車の現在位置が時期に対応する対応地点又は対応地点の周辺に位置するか否かを判定する。
【0079】
次に、S114でCPU12は、前記S17においてプローブカー2から送信されたプローブ情報を受信する。その後、S115では前記S114で受信したプローブ情報をプローブ情報DB15に格納する。尚、格納されたプローブ情報からは交通情報が作成され、作成された交通情報は後述するように端末車両4からの要求に基づいて送信される(図9のS122、S123)。
【0080】
次に、車両情報提供システム1において端末車両4に搭載されたナビゲーション装置8を制御するナビゲーションECU9及びプローブ情報センタ3のサーバ11が実行する交通情報配信処理プログラムについて図9に基づき説明する。図9は第1実施形態に係る車両情報提供システムにおける交通情報配信処理プログラムのフローチャートである。ここで、交通情報配信処理プログラムは端末車両4からの要求に基づいてプローブ情報センタ3で作成された交通情報を送信するプログラムである。
【0081】
先ず、図9に基づいて端末車両4のナビゲーション装置8のナビゲーションECU9が実行する交通情報配信処理プログラムについて説明する。S21において、ナビゲーションECU9は利用者の操作部の操作に基づいて目的地を設定する。
【0082】
次に、S22では自車(端末車両4)の現在位置を検出する。その後、S23では前記S21で設定された目的地に関する情報(具体的には目的地となる施設のIDや位置座標)と前記S22で検出された自車の現在位置に関する情報(具体的には位置座標)を端末通信装置7によりプローブ情報センタ3に対して送信する。
【0083】
そして、S24ではプローブ情報センタ3から送信された交通情報を端末通信装置7により受信する。更に、S25では前記S24で受信した交通情報を用いて目的地までの経路を探索する。
具体的にナビゲーションECU9による経路の探索処理について説明すると、先ず、地図データにおける探索データ中の道路データを調査して、探索に使用されるメッシュに含まれる道路(リンク及びノード)についての探索コスト(ノードコスト及びリンクコスト)を前記S24で受信した交通情報を用いて計算する。その後、出発地側からの探索と目的地側からの探索との重なり部分において、出発地側から累積された探索コストと目的地側から累積された探索コストとを加算した値、即ち、コスト加算値が算出される。その結果、コストが最も小さい経路を選択する。
【0084】
また、S26ではナビゲーションECU9は前記S25で探索された経路を誘導経路に設定する。そして、設定された誘導経路に従って液晶ディスプレイ及びスピーカを用いた各種走行の案内が行われる(S27)。
【0085】
次に、図9に基づいてサーバ11が実行する走行予測処理プログラムについて説明する。先ずS121において、サーバ11は前記S23で端末車両4から送信された端末車両4の現在位置及び設定された目的地に関する情報をセンタ側通信装置6により受信する。
【0086】
続いて、S122では前記S121で受信した端末車両4のナビゲーション装置8で設定された目的地に関する情報に基づいて、ユーザ目的地DB17(図5参照)を更新する。具体的には、ユーザ目的地DB17に対して端末車両4を特定する識別IDと目的地をそれぞれ新たに追加する。尚、追加された識別IDと目的地は該当する端末車両4が目的地へと到着した後に削除される。
【0087】
次に、S123においてサーバ11は、前記S121で受信した端末車両4の現在位置及び設定された目的地に合わせた交通情報を作成する。具体的には、端末車両4の現在位置から目的地までの経路の探索において関連するエリア内の交通情報(渋滞情報や平均車速など)を前記S105、S115でプローブ情報DB15に格納されたプローブ情報から作成する。
【0088】
そして、S124では前記S122で作成された交通情報をセンタ側通信装置6により端末車両4に対して送信する。
【0089】
以上詳細に説明した通り、第1実施形態に係る車両情報提供システム1では、プローブカー2において目的地の設定又は変更が行われた後に、プローブカー2で設定された目的地の情報をプローブ情報センタ3へと送信し(S2)、プローブ情報センタ3は送信されたプローブカー2の目的地と同一の目的地を設定する端末車両4があると判定された場合(S102:YES)に、当該プローブカー2に対してプローブ情報の送信指示を送信する(S103)とともに、送信指示が送信されたプローブカー2は送信された送信指示に従ってプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信する(S5)ので、プローブカー2や端末車両4の走行状況を考慮して他の端末車両4にとって必要とされる情報を有するプローブカー2のみを選別して、プローブ情報センタ3が情報の収集を行うことが可能となる。従って、必要とされる情報については十分な通信回数と通信量を確保しつつ、プローブカー2とプローブ情報センタ3間の通信回数を減少させ、プローブカー2とプローブ情報センタ3のそれぞれについても通信処理に係る負担を減少させることが可能となる。
また、プローブカー2からのアップロード条件の取得要求が行われた後に、プローブ情報センタ3は時期と地点を対応付けた地点時期対応データ18をプローブカー2へと送信し(S113)、プローブカー2は現在の自車位置が現在の時刻に対応付けられた対応地点及び対応地点の周辺にあると判定された場合(S15:YES)に、プローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信する(S17)ので、現在の時期を考慮して他の端末車両4にとって必要とされる情報を有するプローブカー2のみを選別して、プローブ情報センタ3が情報の収集を行うことが可能となる。従って、必要とされる情報については十分な通信回数と通信量を確保しつつ、プローブカー2とプローブ情報センタ3間の通信回数を減少させ、プローブカー2とプローブ情報センタ3のそれぞれについても通信処理に係る負担を減少させることが可能となる。
【0090】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係る車両情報提供システムについて図10に基づいて説明する。尚、以下の説明において上記図1乃至図9の第1実施形態に係る車両情報提供システム1等の構成と同一符号は、前記第1実施形態に係る車両情報提供システム等の構成と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0091】
この第2実施形態に係る車両情報提供システムの概略構成は、第1実施形態に係る車両情報提供システム1とほぼ同じ構成である。また、各種制御処理も第1実施形態に係る車両情報提供システム1とほぼ同じ制御処理である。
ただし、第1実施形態に係る車両情報提供システム1が、図6の目的地別プローブ情報送信判定プログラムにおいてプローブ情報センタ3側でプローブカー2のナビゲーション装置20に設定された目的地と同一の目的地に設定している他の車両があるか否かを判定する(S102)のに対して、第2実施形態に係る車両情報提供システムでは、プローブカー2側でプローブカー2のナビゲーション装置20に設定された目的地と同一の目的地に設定している他の車両があるか否かを判定する点で前記第1実施形態に係る車両情報提供システム1と異なっている。
【0092】
以下に、第2実施形態に係る車両情報提供システムにおいてプローブカー2のナビゲーションECU23及びプローブ情報センタ3のサーバ11が実行する目的地別プローブ情報送信判定プログラムについて図10に基づき説明する。図10は第2実施形態に係る車両情報提供システムにおける目的地別プローブ情報送信判定プログラムのフローチャートである。
【0093】
先ず、図10に基づいてナビゲーション装置20のCPU41が実行する目的地別プローブ情報送信判定プログラムについて説明すると、S31において、CPU41は目的地の設定又は変更が行われたか否かを操作部24の操作に基づいて判定する。
【0094】
その結果、目的地の設定又は変更が行われたと判定された場合(S31:YES)には、S32でCPU41はナビ側プローブ情報DB29に記憶されたプローブ情報をプローブ情報センタ3に対してアップロードするアップロード条件の取得要求を通信装置5によりプローブ情報センタ3へと送信する。それに対し、目的地の設定又は変更が行われていないと判定された場合(S31:NO)には、当該目的地別プローブ情報送信判定プログラムを終了する。
【0095】
また、S33でCPU41は、プローブ情報センタ3から送信されたユーザ目的地データを通信装置5により受信する。ここで、ユーザ目的地データとは、ユーザ目的地DB17(図5参照)に記録された各端末車両4で設定された目的地に関するデータが相当する。
【0096】
続いて、S34では前記S33で受信したユーザ目的地データに基づいて、交通情報の提供を受けるいずれかの端末車両4の内、自車両と同一の目的地が設定されている車両があるか否かを判定する。
【0097】
その結果、自車両と同一の目的地が設定されている車両があると判定された場合(S34:YES)には、S35へと移行する。それに対し、自車両と同一の目的地が設定されている車両がないと判定された場合(S34:NO)には、当該目的地別プローブ情報送信判定プログラムを終了する。
【0098】
S35では、プローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信するタイミングであるか否かが判定される。ここで、第2実施形態に係る車両情報提供システム1では1分間隔でプローブカー2が新たに取得したプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信するように構成されている。
【0099】
そして、プローブ情報を送信するタイミングであると判定された場合(S35:YES)には、通信装置5によりナビ側プローブ情報DB29に記憶されたプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信する(S36)。一方、プローブ情報を送信するタイミングでないと判定された場合(S35:NO)には、送信するタイミングとなるまで待機する。
【0100】
次に、S37でCPU41は、GPS31により検出された自車位置と設定された目的地の座標とに基づいて自車両が目的地に到着したか否かが判定される。そして、目的地に到着していないと判定された場合(S37:NO)にはS35へと戻り、再度、送信のタイミングであるか否かが判定される。一方、目的地に到着したと判定された場合(S37:YES)には当該目的地別プローブ情報送信判定プログラムを終了する。
【0101】
次に、図10に基づいてサーバ11のCPU12が実行する目的地別プローブ情報送信判定プログラムについて説明する。先ずS131において、CPU12は前記S32でプローブカー2から送信されたアップロード条件の取得要求を受信する。
【0102】
その後、S132では取得要求を受信したことに基づいて、ユーザ目的地データをユーザ目的地DB17から取得する。
【0103】
そして、S133では前記S132で取得されたユーザ目的地データをプローブカー2に対して送信する。そして、プローブカー2は前記したように同一の目的地が設定された他車両が存在するか否かを判定する。
【0104】
次に、S134でCPU12は、前記S36においてプローブカー2から送信されたプローブ情報を受信する。その後、S135では前記S134で受信したプローブ情報をプローブ情報DB15に格納する。尚、格納されたプローブ情報からは交通情報が作成され、作成された交通情報は後述するように端末車両4からの要求に基づいて送信される。
【0105】
以上詳細に説明した通り、第2実施形態に係る車両情報提供システムでは、プローブカー2において目的地の設定又は変更が行われた後に、プローブ情報センタ3は各端末車両4で設定された目的地を記録したユーザ目的地データをプローブカー2に対して送信し(S133)、プローブカー2は自車の目的地と同一の目的地を設定する端末車両4があると判定された場合(S34:YES)に、プローブ情報センタ3に対してプローブ情報を送信する(S36)ので、プローブカー2や端末車両4の走行状況を考慮して他の端末車両4にとって必要とされる情報を有するプローブカー2のみを選別して、プローブ情報センタ3が情報の収集を行うことが可能となる。従って、必要とされる情報については十分な通信回数と通信量を確保しつつ、プローブカー2とプローブ情報センタ3間の通信回数を減少させ、プローブカー2とプローブ情報センタ3のそれぞれについても通信処理に係る負担を減少させることが可能となる。
【0106】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態に係る車両情報提供システムについて図11に基づいて説明する。尚、以下の説明において上記図1乃至図9の第1実施形態に係る車両情報提供システム1等の構成と同一符号は、前記第1実施形態に係る車両情報提供システム等の構成と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0107】
この第3実施形態に係る車両情報提供システムの概略構成は、第1実施形態に係る車両情報提供システム1とほぼ同じ構成である。また、各種制御処理も第1実施形態に係る車両情報提供システム1とほぼ同じ制御処理である。
ただし、第1実施形態に係る車両情報提供システム1が、図7の時期別プローブ情報送信判定プログラムにおいてプローブカー2側でプローブカー2が現在の時期に対応する対応地点又はその周囲に位置するか否かを判定する(S15)のに対して、第3実施形態に係る車両情報提供システムでは、プローブ情報センタ3側でプローブカー2が現在の時期に対応する対応地点又はその周囲に位置するか否かを判定する点で前記第1実施形態に係る車両情報提供システム1と異なっている。
【0108】
以下に、第3実施形態に係る車両情報提供システムにおいてプローブカー2のナビゲーションECU23及びプローブ情報センタ3のサーバ11が実行する時期別プローブ情報送信判定プログラムについて図11に基づき説明する。図11は第3実施形態に係る車両情報提供システムにおける時期別プローブ情報送信判定プログラムのフローチャートである。
【0109】
先ず、図11に基づいてナビゲーション装置20のCPU41が実行する時期別プローブ情報送信判定プログラムについて説明すると、S41において、CPU41は自車両のイグニションがONされたか否かを判定する。
【0110】
その結果、イグニションがONされた判定された場合(S41:YES)には、S42でCPU41はナビ側プローブ情報DB29に記憶されたプローブ情報をプローブ情報センタ3に対してアップロードするアップロード条件の取得要求をプローブ情報センタ3へと送信する。また、取得要求と同時に自車両(プローブカー2)の現在位置とプローブカー2に搭載されたナビゲーション装置20で設定された目的地に関する情報を送信する。それに対し、イグニションがONされていないと判定された場合(S41:NO)には、当該時期別プローブ情報送信判定プログラムを終了する。
【0111】
また、S43でCPU41は、プローブ情報センタ3から送信されたプローブ情報の送信指示を通信装置5により受信する。続いて、S44ではプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信するタイミングであるか否かが判定される。ここで、第3実施形態に係る車両情報提供システム1では1分間隔でプローブカー2が新たに取得したプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信するように構成されている。
【0112】
そして、プローブ情報を送信するタイミングであると判定された場合(S44:YES)には、通信装置5によりナビ側プローブ情報DB29に記憶されたプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信する(S45)。一方、プローブ情報を送信するタイミングでないと判定された場合(S44:NO)には、送信するタイミングとなるまで待機する。
【0113】
更に、S46でCPU41は、自車両のイグニションがOFFされたか否か判定する。そして、イグニションがOFFされていないと判定された場合(S46:NO)にはS44へと戻り、再びプローブ情報の送信のタイミングであるか否かを判定する。一方、イグニションがOFFされたと判定された場合(S46:YES)には当該時期別プローブ情報送信判定プログラムを終了する。
【0114】
次に、図11に基づいてサーバ11のCPU12が実行する時期別プローブ情報送信判定プログラムについて説明する。先ずS141において、CPU12は前記S42でプローブカー2から送信されたプローブカー2の現在位置とナビゲーション装置20において設定された目的地に関する情報をセンタ側通信装置6により受信する。
【0115】
次に、S142においてCPU12は、地点時期対応データ18をセンタ地図情報DB16から取得する。尚、地図データの一部として予め地点時期対応データ18を記憶するのではなく、S142の処理において地点時期対応データ18を作成するようにしても良い。
【0116】
続いて、S143においてCPU12は、サーバ11内に備えたタイマ(図示せず)等によって現在の時期を「春(3月〜5月)」、「夏(6月〜8月)」、「秋(9月〜11月)」、「冬(12月〜2月)」、「通年(1月〜12月)」のいずれかに特定する。例えば、現在の日時が12月14日の12時であった場合には、「冬」と「通年」が現在の時期として特定される。
【0117】
次に、S144でCPU12は、前記S141で受信したプローブカー2の現在位置をマップマッチングするとともに、前記S142で作成した地点時期対応データ18(図4参照)の地点の内、現在の時期が対応付けられた対応地点及び対応地点の周辺(例えば半径2km内)内にプローブカー2が位置するか否かを判定する。
【0118】
そして、対応地点及び対応地点の周辺内にプローブカー2が位置すると判定された場合(S144:YES)には、プローブカー2で取得されたプローブ情報をプローブ情報センタ3に対してアップロードする旨を指示する送信指示をプローブカー2に対して送信する(S145)。一方、対応地点及び対応地点の周辺内にプローブカー2が位置しないと判定された場合(S144:NO)には、プローブカー2で取得する情報は他車両にとって必要とされていない情報であると考えられ、送信指示を送ることなく当該時期別プローブ情報送信判定プログラムを終了する。
【0119】
次に、S146でCPU12は、前記S45においてプローブカー2から送信されたプローブ情報を受信する。その後、S147では前記S146で受信したプローブ情報をプローブ情報DB15に格納する。尚、格納されたプローブ情報からは交通情報が作成され、作成された交通情報は後述するように端末車両4からの要求に基づいて送信される。
【0120】
以上詳細に説明した通り、第3実施形態に係る車両情報提供システムでは、プローブカー2からのアップロード条件の取得要求が行われた後に、プローブ情報センタ3は時期と地点を対応付けた地点時期対応データ18に基づいて、プローブカー2が現在の時刻に対応付けられた対応地点及び対応地点の周辺にあるか否かを判定し(S144:YES)、現在の時刻に対応付けられた対応地点及び対応地点の周辺にあると判定された場合に、当該プローブカー2に対してプローブ情報の送信指示を送信する(S145)とともに、送信指示が送信されたプローブカー2は送信された送信指示に従ってプローブ情報をプローブ情報センタ3に対して送信する(S46)ので、現在の時期を考慮して他の端末車両4にとって必要とされる情報を有するプローブカー2のみを選別して、プローブ情報センタ3が情報の収集を行うことが可能となる。従って、必要とされる情報については十分な通信回数と通信量を確保しつつ、プローブカー2とプローブ情報センタ3間の通信回数を減少させ、プローブカー2とプローブ情報センタ3のそれぞれについても通信処理に係る負担を減少させることが可能となる。
【0121】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、第1乃至第3実施形態では、他の車両と同一の目的地を設定しているプローブカー2のみからプローブ情報をプローブ情報センタ3へと送信するように構成されているが、イベント等が行われることが事前に分かっている地域(例えば、コンサート会場、野球場、イベントホールなど)や、週末などに多くの人が集まることが分かっている地域(例えば、公園、テーマパークなど)へと目的地を設定したプローブカー2からもプローブ情報をプローブ情報センタ3へと送信するように構成しても良い。
また、イベント等が行われることが事前に分かっている地域や、週末などに多くの人が集まることが分かっている地域やその周辺に位置するプローブカー2からもプローブ情報をプローブ情報センタ3へと送信するように構成しても良い。
【0122】
更に、第1乃至第3実施形態では、地点時期対応データ18により時期に対応付けられた対応時点及びその周辺に位置するプローブカー2のみからプローブ情報をプローブ情報センタ3へと送信するように構成されているが、前年度以前の同じ時期に目的設定の多かった地点及びその周辺に位置するプローブカー2からもプローブ情報をプローブ情報センタ3へと送信するように構成しても良い。
【0123】
また、プローブカー2が自車の現在位置と現在時刻をプローブ情報センタ3に対して送信するタイミングを所定時間間隔(第1乃至第3実施形態では1分間隔)でなく、所定距離間隔(例えば100m間隔)にしても良い。更に、ノードを通過する毎に送信することとしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】第1実施形態に係る車両情報提供システムの概略構成図である。
【図2】第1実施形態に係る車両情報提供システムの特にプローブ情報センタの構成について示したブロック図である。
【図3】第1実施形態に係る車両情報提供システムの特にプローブカーの構成について示したブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る地点時期対応データを示した図である。
【図5】第1実施形態に係るユーザ目的地DBの記憶領域を示した図である。
【図6】第1実施形態に係る車両情報提供システムにおける目的地別プローブ情報送信判定プログラムのフローチャートである。
【図7】第1実施形態に係る車両情報提供システムにおける時期別プローブ情報送信判定プログラムのフローチャートである。
【図8】所定の地点が対応地点として検出された場合の特定地域を示した図である。
【図9】第1実施形態に係る車両情報提供システムにおける交通情報配信処理プログラムのフローチャートである。
【図10】第2実施形態に係る車両情報提供システムにおける目的地別プローブ情報送信判定プログラムのフローチャートである。
【図11】第3実施形態に係る車両情報提供システムにおける時期別プローブ情報送信判定プログラムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0125】
1 車両情報提供システム
2 プローブカー
3 プローブ情報センタ
4 端末車両
6 センタ側通信装置
11 サーバ
12 CPU
13 RAM
14 ROM
15 プローブ情報DB
16 センタ地図情報DB
17 ユーザ目的地DB
18 地点時期対応データ
21 現在地検出処理部
23 ナビゲーションECU
31 GPS
41 CPU
42 RAM
43 ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両又は車両の周辺に係る情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得した情報を情報センタに送信する情報送信手段と、を有する車両情報提供システムにおいて、
前記車両が所定の目的地へ走行しているか否かを判定する目的地判定手段を有し、
前記情報送信手段は前記目的地判定手段によって所定の目的地へ走行していると判定された車両から前記情報取得手段で取得した情報を前記情報センタに送信することを特徴とする車両情報提供システム。
【請求項2】
車両に搭載されるとともに目的地への車両の走行を案内するナビゲーション装置に対して目的地を設定する目的地設定手段を有し、
前記所定の目的地はいずれかの車両で前記目的地設定手段により設定された目的地であることを特徴とする請求項1に記載の車両情報提供システム。
【請求項3】
自車又は自車の周辺に係る情報を取得する情報取得手段を備えた車両と、
前記車両が取得した情報を蓄積するとともに蓄積された情報に基づいて作成された交通情報を他車両へ配信する配信手段を備えた情報センタと、を有する車両情報提供システムにおいて、
前記車両は、
目的地に関する情報を情報センタに対して送信する目的地送信手段と、
前記情報センタから送信された送信指示を受信する送信指示受信手段と、
前記送信指示受信手段によって送信指示を受信した場合に、前記情報取得手段で取得した情報を情報センタに対して送信する情報送信手段と、
を有し、
前記情報センタは、
前記目的地送信手段によって送信された目的地に関する情報を受信する目的地受信手段と、
前記目的地受信手段によって受信した情報に基づいて前記車両が所定の目的地へ走行しているか否かを判定する目的地判定手段と、
前記目的地判定手段によって所定の目的地へと送信すると判定された場合に、前記車両に対して送信指示を送信する送信指示送信手段と、
を有することを特徴とする車両情報提供システム。
【請求項4】
車両に搭載されるとともに目的地への車両の走行を案内するナビゲーション装置に対して目的地を設定する目的地設定手段を備え、
前記所定の目的地はいずれかの車両で前記目的地設定手段により設定された目的地であることを特徴とする請求項3に記載の車両情報提供システム。
【請求項5】
車両又は車両の周辺に係る情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得した情報を情報センタに送信する情報送信手段と、を有する車両情報提供システムにおいて、
現在の時期を特定する時期特定手段と、
前記時期特定手段によって特定された時期が対応付けられた対応地点又は対応地点の周辺に前記車両が位置するか否かを判定する対応地点判定手段と、を有し、
前記情報送信手段は前記対応地点判定手段によって対応地点又は対応地点の周辺に位置すると判定された車両から前記情報取得手段で取得した情報を前記情報センタに送信することを特徴とする車両情報提供システム。
【請求項6】
自車又は自車の周辺に係る情報を取得する情報取得手段を備えた車両と、
前記車両が取得した情報を蓄積するとともに蓄積された情報に基づいて作成された交通情報を他車両へ配信する配信手段を備えた情報センタと、を有する車両情報提供システムにおいて、
前記車両は、
自車の現在位置を検出する自車位置検出手段と、
前記情報センタから送信された対応地点に関する情報を受信する対応地点情報受信手段と、
現在の時期を特定する時期特定手段と、
前記時期特定手段によって特定された時期が対応付けられた対応地点又は対応地点の周辺に自車が位置するか否かを判定する対応地点判定手段と、
前記対応地点判定手段によって対応地点又は対応地点の周辺に自車が位置すると判定された場合に、前記情報取得手段で取得した情報を情報センタに対して送信する情報送信手段と、
を有し、
前記情報センタは、
地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
地図データの各地点に対して時期を対応付ける時期対応手段と、
前記時期対応手段によって時期が対応付けられた対応地点に関する情報を送信する対応地点情報送信手段と、
を有することを特徴とする車両情報提供システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−179099(P2007−179099A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−373462(P2005−373462)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】