車両用情報表示装置
【課題】仮想先行車両を利用して運転支援を行う場合に、運転負担の軽減をより一層効果的に行えるようにする。
【解決手段】フロントウインドガラスの前方に、走行経路に対応して仮想先行車両の画像を表示して、運転支援が行われる。仮想先行車両は、走行経路に沿って縦列状に表示された複数台とされる。複数の仮想先行車両としては、例えば、互いに異なる運転キャラクタを有するように設定したり、予測される自車両の走行状態に設定することができ、また2輪車を含めることもできる。
【解決手段】フロントウインドガラスの前方に、走行経路に対応して仮想先行車両の画像を表示して、運転支援が行われる。仮想先行車両は、走行経路に沿って縦列状に表示された複数台とされる。複数の仮想先行車両としては、例えば、互いに異なる運転キャラクタを有するように設定したり、予測される自車両の走行状態に設定することができ、また2輪車を含めることもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想先行車両を利用して運転支援を行うようにした車両用情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の車両では地図情報を表示するナビゲーション装置を搭載したものが多くなっており、ディスプレイに表示される地図情報および地図情報上での自車両の現在位置表示を利用して、設定された目的地までの径路誘導を行なうことが行われている。この地図情報を利用した径路誘導は、目的地まで径路誘導してもらえるという点では運転支援となって運転負担軽減となるが、地図情報が表示されるディスプレイの位置が運転中に前方を見ている運転者の視線からかなりずれた方向になることや、ディスプレイの表示がかなり精細なこともあって、運転負担軽減には限度がある。
【0003】
一方、前方に追従すべき先行車両が存在することは、運転者の負担軽減になるということが知られている。このような観点から、特許文献1には、フロントウインドガラス越しに見える風景に、1台の仮想先行車両の画像を表示して、この仮想先行車両によって自車両のガイド機能を持たせて、運転支援を行うことが提案されている。
【特許文献1】特開2002−144913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した仮想先行車両を利用した運転支援は、ナビゲーション装置による地図情報を利用する場合に比して相当に効果の大きいものではあるが、さらなる運転負担軽減のためにはいまだ改善の余地がある。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、仮想先行車両を利用して運転支援を行う場合に、運転負担の軽減をより一層効果的に行う
ことのできるようにした車両用情報表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明にあっては基本的に、1台の先行車両に追従する場合よりも、走行経路に沿って縦列状に走行している複数台の先行車両に追従する場合の方が、運転者の運転負担がより軽減されてより効果的な運転支援になるという事実に基づくものである。具体的には、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
運転者がフロントウインドガラス越しに見ている風景に対して、車両が進行すべき走行経路に対応して仮想先行車両の画像を表示させることで運転の支援を行うようにした車両用情報表示装置であって、
前記仮想先行車両が、走行経路に沿って縦列状に複数台表示されるように設定されている、
ようにしてある。上記解決手法によれば、走行経路に沿って縦列状でもって画像表示される複数台の仮想先行車両に追従することによって、進行方向の認識負荷が大幅に軽減されて、運転負担を大幅に軽減することができる。
【0007】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記複数台の仮想先行車両が、二輪車を含むように設定されている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、4輪車に比して視界を遮蔽する度合が極めて小さくまり、かつ乗員が全体的に大きく露出していることを利用して車間距離表現や警報表現を効果的に行う上で好ましいものとなる。
【0008】
前記複数台の仮想先行車両が、自車の現状態を反映してなる少なくとも1台の現状態反映車両を含むように設定されている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、仮想先行車両を利用して、自車両の車線逸脱度合等の状況を明確に確認させる上で好ましいものとなる。
【0009】
前記複数台の仮想先行車両が、自車の所定時間経過後の状態を推定した結果を反映してなる少なくとも1台の将来状態反映車両を含むように設定されている、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、自車両の近い将来状況を明確に予測させて、現在の運転状態をより適切なものに修正させる上で好ましいものとなる。
【0010】
前記複数台の仮想先行車両が、互いに異なる運転特性を反映してなる複数台の運転特性反映車両を含むように設定されている、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、複数台の仮想先行車両を全て同じ状態とする場合に比して、あきさせることなく前方への集中度合つまり注意力を高めることができ、また複数の運転特性の中から運転者の好みの運転特性に応じて自車両を運転させるようにする上でも好ましいものとなる。
【0011】
前記複数台の仮想先行車両が、少なくとも車間距離警報機能を有する警報車両を含むように設定されている、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、仮想先行車両を利用して、車間距離警報を行うことができる。
【0012】
前記複数台の仮想先行車両が全て前記警報車両として設定されて、該複数台の仮想先行車両のうち先頭の仮想先行車両から手前側の仮想先行車両へと順次ブレーキランプが点灯されるように設定されている、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、自車両のブレーキタイミングを運転者に明確に認識させる上で好ましいものとなる。
【0013】
前記複数台の仮想先行車両が、二輪車を含むように設定されており、
前記二輪車の乗員の動作によって車間距離警報を行うように設定されている、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、2輪車の乗員は全体的に露出されていて明確に視認されるので、この2輪車の乗員の動作によって、車間距離警報を効果的に行うことができる。
【0014】
前記複数台の仮想先行車両間での各車両間隔が、先頭の仮想先行車両側から手前側の仮想先行車両側へと順次大きくなるように設定されている、ようにしてある(請求項9対応)。この場合、各仮想先行車両間での車間距離の順次の変化を運転者が明確に認識することにより、自車両ともっとも手前側の仮想先行車両との車間距離をどの程度の大きさにすべきかを運転者が明確に認識することができ、いたすらに先行車両に近づいてしまうという好ましくない運転動作を矯正する上でも好ましいものとなる。
【0015】
前記複数台の仮想先行車両のうち先頭の仮想先行車両から手前側の仮想先行車両へと順次方向指示ランプが点灯されることにより、進行方向を案内するように設定されている、ようにしてある(請求項10対応)。この場合、仮想先行車両の順次の方向指示ランプの点灯によって、自車両において方向指示ランプを点灯させるタイミングを明確に認識することができ、また進行方向を明確に認識することができる。
【0016】
前記複数台の仮想先行車両のうち少なくとも1台の仮想先行車両が、警報機能を有する警報車両として設定されている、ようにしてある(請求項11対応)。この場合、仮想先行車両を警報装置として有効利用できる。また、仮想先行車両は複数台あるので、全ての仮想先行車両によって同一の警報を行ったり、あるいは仮想先行車両毎に別々の警報を行う等、警報手法の選択の幅が広いものとすることができる。
【0017】
前記複数台の仮想先行車両のうちもっとも手前側の仮想先行車両が、二輪車に設定されており、
前記二輪車の乗員の動作によって警報を行うように設定されている、
ようにしてある(請求項12対応)。この場合、2輪車の乗員は全体的に露出されていて明確に視認されるので、この2輪車の乗員の動作によって、車間距離警報を効果的に行うことができる。
【0018】
前記複数台の仮想先行車両のうちもっとも手前側に表示される直前仮想先行車両が、二輪車またはオープンカーとして設定され、
前記二輪車またはオープンカーの乗員の動作によって警報を与えるように設定されている、
ようにしてある(請求項13対応)。この場合、もっとも手前側の仮想先行車両の幅を狭く、あるいは高さを低くすることができて、前方視界を遮らないようにする上で好ましいものとなる。また、乗員がかなり大きく露出されるので、乗員の動作を利用して警報を効果的に行うことができる。
【0019】
前記複数台の仮想先行車両間での各車両間隔が、互いに等しくなるように設定されている、ようにしてある(請求項14対応)。この場合、各仮想先行車両間での同一の車間距離を運転者が明確に認識することにより、自車両ともっとも手前側の仮想先行車両との車間距離をどの程度の大きさにすべきかを運転者が明確に認識することができ、いたすらに先行車両に近づいてしまうという好ましくない運転動作を矯正する上でも好ましいものとなる。
【0020】
前記複数台の仮想先行車両のそれぞれが、自車の所定時間経過後の状態を推定した結果を反映してなる将来状態反映車両として設定され、
前記所定経過時間が、前記複数台の仮想先行車両のうち先頭の仮想先行車両から手前側の仮想先行車両へと順次短い時間となるように設定されている、
ようにしてある(請求項15対応)。この場合、自車両の将来の状態を、時間の経過順に、もっとも手前側の仮想先行車両から先頭の仮想先行車両へと順次明確に認識することができ、自車両の現在の運転状態をより適切な状態に修正させる上で好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、仮想先行車両を利用して運転支援を行う場合に、運転負担の軽減をより一層効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態による車両用情報提供装置を説明する。まず、図1は、車両用情報提供装置を示す全体構成図である。本実施形態による車両用情報提供装置は、実際の先導車の代わりに、バーチャル先導車の画像を複数台表示して、運転者に進むべき走行経路に関する経路情報を提供して車両の運転を支援するようにしたものである。
【0023】
図1に示すように、符号1は、車両に搭載される車両用情報提供装置を示し、この車両用情報提供装置1は、運転者により設定された目的地までの進むべき走行経路に関する経路情報を車両に提供して車両の運転を支援する基本機能であるナビゲーション機能や後述する他の機能を達成するCPU2を備えている。
【0024】
車両用情報提供装置1は、更に、主要な地図情報、建物情報を格納するDVD−ROM4と、詳細な地図情報やバーチャル先導車の画像に関する情報を記憶するHDD記憶装置6と、地図情報等の種々の情報を表示するモニタ画面8と、目的地設定を行うため等の操作スイッチ10とを備えている。
【0025】
HDD記憶装置6は、運転者が設定した目的地、走行経路に関するデータ、運転者の運転特性に関するデータ、自車両の走行性能に関するデータ等を記憶している。さらに、運転者が視認している実際の風景内に表示するためのバーチャル先導車の画像を含むバーチャル表示用画像データを含んでいる。
【0026】
また、車両用情報提供装置1は、送受信装置12を備え、この送受信装置12により、最新の地図情報、地域の詳細な道路情報、バーチャル先導車の画像に関する情報を含む各種の情報を車両外部の情報センタ(図示せず)からインターネット等を経由して送受信可能となっている。この送受信装置12によって得られた情報は、HDD記憶装置6に記憶される。車両用情報提供装置1は、さらに、車両の現在位置を検出するためのGPS受信機14、車速センサ16及びジャイロセンサ18を備えている。
【0027】
車両用情報提供装置1は、さらに、運転者の目の位置および視線を検出し、これらに基づいて、運転者が視認している現実の風景にバーチャル先導車の画像を表示するために、アイカメラ20、バーチャル画像表示装置22及びCCDカメラ24を備えている。
【0028】
アイカメラ20は、乗員の瞳孔等を撮影することにより、乗員の瞳孔の位置、視線の方向、及び、視認物までの距離等を検出するためのものであり、例えば、EOG法、光電素子式EOG(P−EOG)法、角膜反射法、第1・第4プルキンエ像検出法、コンタクトレンズ法、サーチコイル法、赤外線眼底カメラ法等の種々の技術が適用される。
【0029】
バーチャル画像表示装置22は、CPU2と共に、運転者の瞳孔の位置および車両の現在の位置および向きに基づいて、運転者がフロントウインドウガラス44越しに視認している実際の風景内に、ホログラムなどの方法により、バーチャル先導車の画像を表示させ、運転者が、バーチャル先導車があたかも自車両の前方を走行しているように認識できるようにしている。
【0030】
また、CCDカメラ24は、車両の上部に車両前方に向けて取付けられ、車両前方の風景を撮影し、この風景の画像データから、車両前方を走行する他の先行車両、その先行車両のウインカーの点滅やブレーキランプの点灯、駐車車両、走行経路上の様々な障害物、カーブの状況、車線、信号、交差点、道路標識、路面標識、歩行者、車外の明るさ、霧の状況や視界状況などを含む天候状態等を検出できるようになっている。
【0031】
車両用情報提供装置1は、さらに、レーザレーダ装置26及び路面μセンサ28を備えている。レーザレーダ装置26は、車両の前端部に車両前方に向けて取付けられ、先行車両、路上の障害物等を検出すると共に、自車両とそれらの先行車両等との車間距離や相対速度を検出するものである。また、路面μセンサ28は、路面状態又は路面摩擦係数を検出する。
【0032】
車両用情報提供装置1は、さらに、音声対話装置30を備えている。音声対話装置30は、スピーカ30aおよびマイク30bを備え、運転者に音声情報を提供するとともに、運転者からの音声による指示を受け付けるようになっている。
車両用情報提供装置1は、さらに、運転者に対し、自車両が減速(ブレーキ操作等)を行う必要があるときに警報を発するための警報装置32を備えている。
【0033】
図2は、本実施形態による車両用情報提供装置が搭載された車両の運転席の周囲を示す図である。図2に示すように、音声対話装置30であるスピーカ30a及びマイク30bが、運転席の近傍のAピラー34に取り付けられている。
【0034】
操作スイッチ10は、インストルメントパネル36に設けられており、モニタ画面8がこの操作スイッチ10の近傍に取り付けられている。アイカメラ20は、ルームミラー38に組み込まれている。また、送受信装置12は、運転席40と助手席42の間に取り付けられている。さらに、バーチャル画像表示装置22は、インストルメントパネル36の上部に取り付けられており、上述したように、バーチャル先導車つまり仮想先行車両R0〜R3の画像をホログラム等の方法により表示する(図2では、合計4台の仮想先行車両が表示されている場合が示される)。運転者がその仮想先行車両R0〜R3を見れば、その仮想先行車両R0〜R3があたかも自車両の前方を走行しているように認識できるようになっている。なお、仮想先行車両R0〜R3は透過性を有して、仮想先行車両R0〜R3によって前方視界を完全には遮らないように設定されている。
【0035】
次に、図3〜図5のフローチャートを参照しつつ、複数台の仮想先行車両を利用した運転支援について説明する。なお、図3〜図5のフローチャートでは、画像表示される仮想先行車両間での車間距離が、先頭の仮想先行車両から手前側の仮想先行車両へと所定距離△Xづつ順次大きくなるように表示する場合を示してある。また、以下の説明でSはステップを示す。
【0036】
まず、図3は、メインのフローチャートを示すもので、S1において、イニシャル設定が行われる。このイニシャル設定は、運転者がモニタ画面8の表示に従って操作スイッチ10を操作して行う。次に、S2に進み、目的地を設定し、S3において、車両の現在地を検出する。さらに、S4に進み、DVD−ROM4及びHDD記憶装置6の地図データに基づいて、現在地から目的地までの進むべき走行経路を設定する。その後、S5に進み、車両が進むべき走行経路を走行できるように経路誘導を行う。そして、S6において、S5における径路誘導に対応して、フロントウインドガラス44越しの風景に対して、図2に示すように、複数台の仮想先行車両R0〜R3(図2では合計4台の仮想先行車両が示される)を表示する処理が行われる。この複数台の仮想先行車両R0〜R3の表示は、走行経路に沿って縦列状に行われる。
【0037】
図4、図5は、図3におけるS6の詳細を示すものであり、まず図4のS11において、実際の先行車両との車間距離Lが計測される。次いでS12において、実際の車間距離Lが、仮想先行車両を表示すべき最小車間距離Yminよりも大きいか否かが判別される。このS12の判別でNOのときは、仮想先行車両を表示すべき状況にはないということで、そのままリターンされる。なお、上記最小車間距離Yminは、例えば、自車両の走行状態や走行環境、つまり車速や、高速道路、一般道路、渋滞路、車線幅等の道路状況、さらには天候や路面状況等に対応してあらかじめ記憶されている中から、現在の走行状態や走行環境等に応じて決定される。
【0038】
上記S12の判別でYESのときは、表示すべき仮想先行車両の先頭番目を示す先頭値n(表示される仮想先行車両の総台数はn+1となる)が算出される。すなわち、車間距離の設定に際しては、図6に示すように、自車両ともっとも手前側の仮想先行車両R0との車間距離をXに設定して、前方へ遠ざかるほど車間距離を△Xづづ小さくするようにしてある。このような車間距離の変化を前提としつつ、上記実際の車間距離Lの範囲において先頭値nが算出される。なお、上記車間距離Xや△Xの値は、自車両の走行状態や走行環境等に対応してあらかじめ記憶されて、現在の走行状態や走行環境等に応じて決定される。
【0039】
S13の後、S14において、現在表示されている仮想先行車両の総台数が、S13で算出された先頭値nよりも小さいか否かが判別される。このS14の判別でYESのときは、S15において、仮想先行車両が1台追加される。なお、この仮想先行車両の追加は、例えば図7に示すように直線道路の無限遠方から追加されたり、先頭仮想先行車両の前方あるいは側方(物陰)から追加される。なお、仮想先行車両が存在しない場合は無限遠方から追加するのが好ましく、仮想先行車両が既に存在する場合には、無限遠方から追加することもできあるいは先頭仮想先行車両の前方や側方(物陰)から追加することもできる。
【0040】
S15の後、あるいはS14の判別でNOのときは、それぞれS16において、現在表示されている仮想先行車両の総台数が、S13で算出された先頭値nよりも大きいか否かが判別される。このS16の判別でYESのときは、S17において、仮想先行車両が1台削除される。仮想先行車両の削除は、例えば図8に示すように、先頭仮想先行車両R3(Rnに相当)を無限遠方に遠ざけるようにして削除することができる。また、仮想先行車両の削除を、先頭仮想先行車両R3の側方から物陰に隠れるように、さらにR3をR2と重ねるようにして削除することができる。
【0041】
S17の後、あるいはS16の判別でNOのときは、それぞれS18において、自車両の車速が所定車速V1以上で減速が行われた場合に、所定時間t1秒後に、自車両の直前に表示されている仮想先行車両R0との仮想車間距離がaメートル以上になるか否かが判別される。このS18の判別でYESのときは、S19において、仮想先行車両が1台追加される。上記処理は、自車両の減速によって、自車両と直前の仮想先行車両R0との車間距離が大きくなり過ぎるときに、仮想先行車両を追加する処理となる。なお、上記各しきい値となるV1、aの値は、自車両の走行状態や走行環境に対応してあらかじめ記憶されて、自車両の現在の走行状態や走行環境等に応じて変更される(t1を走行状態や走行環境等に応じて変更することも可能)。
【0042】
S19の後、あるいはS18の判別でNOのときは、それぞれS20において、自車両の車速が所定車速V2以上で加速が行われた場合に、所定時間t2秒後に、自車両の直前に表示されている仮想先行車両R0との仮想車間距離がbメートル以下になるか否かが判別される。このS20の判別でYESのときは、S21において、仮想先行車両が1台削除される。なお、上記各しきい値となるV2、bの値は、自車両の走行状態や走行環境に対応してあらかじめ記憶されて、自車両の現在の走行状態や走行環境等に応じて変更される(t2を走行状態や走行環境等に応じて変更することも可能)。
【0043】
S21の後、あるいはS20の判別でNOのときは、それぞれ、図5のS31に移行される。このS31では、画像表示される各仮想先行車両R0〜Rnの前後方向位置が決定される。なお、各車間距離は、前述したように、△Xづつ変化されるものである。次いで、S32において、各仮想先行車両R0〜Rnについて、それぞれ異なる運転キャラクタ(運転特性)が設定される。実施形態では、n=3の場合において、例えば図6に示すように、先頭仮想先行車両R3についてはベテラン運転者の運転特性が設定され、先頭から2番目の仮想先行車両R2については、車幅方向に頻繁に動くせっかち運転の運転特性が設定され、先頭から3番目の仮想先行車両R1については、安全重視の運転特性が設定され、もっとも手前側つまり自車両の直前の仮想先行車両R0については、自車両の運転者の運転特性が設定される。
【0044】
例えば、ベテラン運転者の運転特性を有する先頭仮想先行車両R3においては、そのときの状況に応じて最適な車幅方向位置が設定され(例えばコーナリング時にはコーナ外方寄を走行する等)、せっかちな運転特性が設定された仮想先行車両R2においては、頻繁に車幅方向位置が変更されるような設定とされ、安全重視の運転特性が設定された仮想先行車両R1においては常時走行路の中心に位置するように設定され、自車両の運転者の運転特性を反映した仮想先行車両R0については、現在の自車両の車幅方向位置がそのまま設定される。S32の後、S33において、各仮想先行車両R0〜R3について、上述した運転特性に応じた車幅方向位置が決定される。
【0045】
上記S33の後は、S34において、自車両の運転者の現在の視線方向に対応して、S32で設定された前後方向位置、S33で設定された車幅方向位置が修正される(S32、S33で設定された位置が同一であっても、自車両の運転者の視線方向によって、仮想先行車両R0〜R3の見え方が相違してくるのに対応した修正)。前述のように異なる運転特性が設定された各仮想先行車両R0〜R3は、例えば、図9に示すように表示される。
【0046】
S34の後、S35〜S37の処理によって、仮想先行車両R0〜R3を利用したブレーキ警報の処理が行われる。すなわち、S35において、基地局からの情報やナビゲーションによる道路状況の情報等から、例えば前方に急カーブや一時停止の交差点が存在する等であって、ブレーキ動作が必要であることの予測が行われる。S36においては、S35においてブレーキ動作が予測されたときに、各仮想先行車両R0〜R3のそれぞれについて、ブレーキランプの点灯タイミングが決定される。この後、S37において、上記決定されたタイミングでもって、各仮想先行車両R0〜R3のブレーキランプが点灯される。このブレーキランプの点灯は、先頭仮想先行車両R3から開始され、次いで2番目の仮想先行車両R2のブレーキランプが点灯され、次いで3番目の仮想先行車両R1のブレーキランプが点灯され、最後に直前の仮想先行車両R0のブレーキランプが点灯される。
【0047】
上述した仮想先行車両R0〜R3のそれぞれのブレーキランプ点灯タイミングの決定は、例えば次のようにして行うことができる。すなわち、自車両の実際のブレーキランプ点灯タイミングを、先行車両との車間距離や交差点位置等から、現時点からTb秒後と決定する。そして、仮想先行車両のブレーキランプ作動タイミングが一定時間△Tbづつ遅れて行われるように設定すればよい。より具体的には、Tbを仮想先行車両の総台数に応じた数「n+1」で除した値となる△Tbを算出して、仮想先行車両R0のブレーキランプの作動タイミングをTb−△Tb後とし、仮想先行車両R1のブレーキランプの作動タイミングをTb−2△Tb後とし、仮想先行車両R2のブレーキランプの作動タイミングをTb−3△Tb後とし、仮想先行車両R3のブレーキランプの作動タイミングをTb−4△Tb後というように設定される。
【0048】
図10は、仮想先行車両R0〜R3のブレーキランプ51が、先頭の仮想先行車両R3から順次実行されていく状況が示され、図10では、先頭から3番目までの仮想先行車両R1のブレーキランプ51が点灯された状況が示される(直前の仮想先行車両R0についてはブレーキランプ51がまだ点灯されるタイミングとなっていない状況)。
【0049】
S37の後、S38〜S40の処理によって、方向指示ランプの点灯を利用した進行方向の案内の処理が行われる。すなわち、S38において、基地局からの情報やナビゲーションによる道路状況の情報等から、例えば右折あるいは左折する交差点(分岐点)が存在したり、片側車線が工事中のために車線変更する必要がある等、方向指示ランプを点灯させる必要であることの予測が行われる。S39においては、S38において方向指示ランプ点灯が予測されたときに、各仮想先行車両R0〜R3のそれぞれについて、方向指示ランプの点灯タイミングが決定される。この後、S40において、上記決定されたタイミングでもって、各仮想先行車両R0〜R3の方向指示ランプが点灯される。この方向指示ランプの点灯は、先頭仮想先行車両R3から開始され、次いで2番目の仮想先行車両R2の方向指示ランプが点灯され、次いで3番目の仮想先行車両R1の方向指示ランプが点灯され、最後に直前の仮想先行車両R0の方向指示ランプが点灯される。なお、各仮想先行車両R0〜R3における方向指示ランプの点灯タイミングは、ブレーキランプの点灯タイミングと同様にして設定すればよい。
【0050】
図11は、仮想先行車両R0〜R3の右側の方向指示ランプ52が、先頭の仮想先行車両R3から順次実行されていく状況が示され、図11では、先頭から3番目までの仮想先行車両R1のブ方向指示ランプ52が点灯された状況が示される(直前の仮想先行車両R0については方向指示ランプ52がまだ点灯されるタイミングとなっていない状況)。
【0051】
図12〜図14は、本発明の第2の実施形態を示すものである。本実施形態では、図13に示すように、自車両とその直前の仮想先行車両R0との車間距離や、各仮想先行車両同士の車間距離を、全て同一の車間距離Xに設定するようにしてある。また、各仮想先行車両R0〜R3の状態として、図14に示すように、自車両から所定時間経過後の状態を示すようにしてある。仮想先行車両R0〜R3による将来の自車両の状態としては、特に車幅方向位置を示すようにしてある。すなわち、自車両の直前の仮想先行車両R0については、現在の自車両の状態そのままの状態とされ、仮想先行車両R1については所定経過時間T1秒後の状態とされ、仮想先行車両R2については所定経過時間T2秒後の状態とされ、仮想先行車両R3については、所定経過時間T3秒後の状態とされる(T3>T2>T1)。また、実施形態では、T2=2T1、T3=3T1とされている。このT1(つまりT2、T3)は、自車両の車速等の走行状態や走行環境等に応じて変更することができる。
【0052】
以上のことを前提として、図12のフローチャートは、図4,図5のフローチャートのうち変形となる部分のみが示される。すなわち、図4のS213に対応するS50において、同一の車間距離Xとするための仮想先行車両の先頭値nが決定される。この後、図4のS14〜S21の処理を経た後、S51の処理が行われる(図5のS31に対応)。この後、S52において、自車両の現在のハンドル舵角からして(図1のCPUに舵角センサからの信号が入力される)、前述した各所定時間経過後の自車両の車幅方向位置が予測される。この後、各仮想先行車両R0〜R3について、予測された車幅方向位置が設定される。この後は、図5のS34移行と同様の処理が行われる。図14には、自車両の所定時間経過後の状態となる各仮想先行車両R0〜R3の車幅方向位置の一例が示される。
【0053】
図15〜図18は、本発明の第3の実施形態を示すもので、仮想先行車両として、2輪車を含むようにしたものである。特に、本実施形態では、自車両の直前の仮想先行車両R0を2輪車とすることにより、自車両と2輪車である仮想先行車両R0との車間距離を小さくできる。また、2輪車は、前方視界を遮る度合が4輪車に比してはるかに小さくなるので、前方視界を極力広く確保するという点で好ましいものとなる。さらに、2輪車となる直前の仮想先行車両R0の乗員が大きく露出しているので、2輪車の乗員の動きによって各種警報を効果的に与えることが可能となる。
【0054】
図15は、2輪車(仮想先行車両R0)が、走行路のほぼ中心に位置するように表示されている。
図16は、図15の変形例となるもの、2輪車としての仮想先行車両R0が、走行路の端部側に表示するようにしてある。これにより、前方視界がより一層広く確保されることになる。また、走行路の端部位置というものをより明確に認識し易いものとなる。
【0055】
図17は、2輪車の乗員が頭を大きく左右に振る動作表示を行うようにしてあり、これによって、自車両の運転者が眠気をもよおしていたり、疲労が激しい状況であるということを自車両の運転者にフィードバックする警報が行われる。このような警報は、2輪車である直前の仮想先行車両R0を蛇行運転させたり、乗員の状態を左右に大きく振る等によって行うこともできる(これは4輪車の場合も同様)。
【0056】
図18は、2輪車の乗員が左方を向くと共に、腕を略水平に上げる動作を表示してある。このような乗員の動作によって、ポンピングブレーキを促したり、側方に障害物や危険が存在することの警報を行うようにしてある。
【0057】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。仮想先行車両としての2輪車は、直前の仮想先行車両R0の場合に限らず、先頭の仮想先行車両R3(Rn)であったり、中間に位置する仮想先行車両にする等、適宜選択できるものであり、また仮想先行車両としての2輪車を2台以上表示するようにしてもよい(全てを2輪車とすることもできる)。また、2輪車の乗員の動作による警報の種類としては適宜のものを設定することができ、乗員の動作と警報の種類との対応付けも適宜のものとすることができる。
【0058】
2輪車に代えてあるいは加えて、乗員が比較的大きく露出するオープンカーを仮想先行車両として含めるようにしてもよい。自車両直前の仮想先行車両としては、前方視界を妨げないようにする意味から、2輪車のように幅の小さい車両や、オープンカーやスポーツカーのように高さの低い車両にするのが好ましく、特に乗員の動作を利用した警報を行う場合は、乗員が大きく露出する2輪車やオープンカーとするのが好ましい。仮想先行車両としては、極力前方視界を妨げないように小型で低い車両が好ましく、この意味において、トラックやバス等の大型車両を仮想先行車両として含めないようにするのが好ましい。仮想先行車両の数は、複数台で有れば適宜の台数とすることができるが、前方視界確保の点からあまり多すぎないように、また前方の認識負荷軽減の観点から縦列状態での複数台の仮想先行車両が必要ということから、仮想先行車両の総台数としては、3〜5台の範囲内で設定するのが好ましい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態による車両用情報表示装置を示す全体構成図。
【図2】本発明が適用された車両の運転席の周囲状況を複数台の仮想先行車両と共に示す図。
【図3】本発明の制御例を示すフローチャート。
【図4】本発明の制御例を示すフローチャート。
【図5】本発明の制御例を示すフローチャート。
【図6】複数台の仮想先行車両について、車間距離が先頭の仮想先行車両側から順次大きくされる場合の一例を示す平面図。
【図7】各仮想先行車両に異なる運転特性を設定する一例を示す図。
【図8】仮想先行車両を1台追加する状況を示す図。
【図9】仮想先行車両を1台削除する状況を示す図。
【図10】先頭の仮想先行車両から順次ブレーキランプを点灯する状況を示す図。
【図11】先頭の仮想先行車両から順次方向指示ランプを点灯する状況を示す図。
【図12】本発明の第2の実施形態を示すフローチャート。
【図13】第2の実施形態において、車間距離を同一に設定する状況を示す図。
【図14】第2の実施形態において、各仮想先行車両が所定時間経過後の自車両の状態を示す表示を行った場合を示す図。
【図15】本発明の第3の実施形態を示すもので、仮想先行車両として2輪車を含めた場合を示す図。
【図16】仮想先行車両として2輪車の異なる表示態様を示す図。
【図17】仮想先行車両として2輪車の異なる表示態様を示す図。
【図18】仮想先行車両として2輪車の異なる表示態様を示す図。
【符号の説明】
【0060】
1:車両用情報表示装置
2:CPU
8:モニタ画面(地図情報等の表示)
20:アイカメラ
22:バーチャル画像表示装置(仮想先行車両表示用)
44:フロントウインドガラス
R0〜R3:仮想先行車両
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想先行車両を利用して運転支援を行うようにした車両用情報表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近の車両では地図情報を表示するナビゲーション装置を搭載したものが多くなっており、ディスプレイに表示される地図情報および地図情報上での自車両の現在位置表示を利用して、設定された目的地までの径路誘導を行なうことが行われている。この地図情報を利用した径路誘導は、目的地まで径路誘導してもらえるという点では運転支援となって運転負担軽減となるが、地図情報が表示されるディスプレイの位置が運転中に前方を見ている運転者の視線からかなりずれた方向になることや、ディスプレイの表示がかなり精細なこともあって、運転負担軽減には限度がある。
【0003】
一方、前方に追従すべき先行車両が存在することは、運転者の負担軽減になるということが知られている。このような観点から、特許文献1には、フロントウインドガラス越しに見える風景に、1台の仮想先行車両の画像を表示して、この仮想先行車両によって自車両のガイド機能を持たせて、運転支援を行うことが提案されている。
【特許文献1】特開2002−144913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した仮想先行車両を利用した運転支援は、ナビゲーション装置による地図情報を利用する場合に比して相当に効果の大きいものではあるが、さらなる運転負担軽減のためにはいまだ改善の余地がある。
【0005】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、仮想先行車両を利用して運転支援を行う場合に、運転負担の軽減をより一層効果的に行う
ことのできるようにした車両用情報表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明にあっては基本的に、1台の先行車両に追従する場合よりも、走行経路に沿って縦列状に走行している複数台の先行車両に追従する場合の方が、運転者の運転負担がより軽減されてより効果的な運転支援になるという事実に基づくものである。具体的には、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
運転者がフロントウインドガラス越しに見ている風景に対して、車両が進行すべき走行経路に対応して仮想先行車両の画像を表示させることで運転の支援を行うようにした車両用情報表示装置であって、
前記仮想先行車両が、走行経路に沿って縦列状に複数台表示されるように設定されている、
ようにしてある。上記解決手法によれば、走行経路に沿って縦列状でもって画像表示される複数台の仮想先行車両に追従することによって、進行方向の認識負荷が大幅に軽減されて、運転負担を大幅に軽減することができる。
【0007】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記複数台の仮想先行車両が、二輪車を含むように設定されている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、4輪車に比して視界を遮蔽する度合が極めて小さくまり、かつ乗員が全体的に大きく露出していることを利用して車間距離表現や警報表現を効果的に行う上で好ましいものとなる。
【0008】
前記複数台の仮想先行車両が、自車の現状態を反映してなる少なくとも1台の現状態反映車両を含むように設定されている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、仮想先行車両を利用して、自車両の車線逸脱度合等の状況を明確に確認させる上で好ましいものとなる。
【0009】
前記複数台の仮想先行車両が、自車の所定時間経過後の状態を推定した結果を反映してなる少なくとも1台の将来状態反映車両を含むように設定されている、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、自車両の近い将来状況を明確に予測させて、現在の運転状態をより適切なものに修正させる上で好ましいものとなる。
【0010】
前記複数台の仮想先行車両が、互いに異なる運転特性を反映してなる複数台の運転特性反映車両を含むように設定されている、ようにしてある(請求項5対応)。この場合、複数台の仮想先行車両を全て同じ状態とする場合に比して、あきさせることなく前方への集中度合つまり注意力を高めることができ、また複数の運転特性の中から運転者の好みの運転特性に応じて自車両を運転させるようにする上でも好ましいものとなる。
【0011】
前記複数台の仮想先行車両が、少なくとも車間距離警報機能を有する警報車両を含むように設定されている、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、仮想先行車両を利用して、車間距離警報を行うことができる。
【0012】
前記複数台の仮想先行車両が全て前記警報車両として設定されて、該複数台の仮想先行車両のうち先頭の仮想先行車両から手前側の仮想先行車両へと順次ブレーキランプが点灯されるように設定されている、ようにしてある(請求項7対応)。この場合、自車両のブレーキタイミングを運転者に明確に認識させる上で好ましいものとなる。
【0013】
前記複数台の仮想先行車両が、二輪車を含むように設定されており、
前記二輪車の乗員の動作によって車間距離警報を行うように設定されている、ようにしてある(請求項8対応)。この場合、2輪車の乗員は全体的に露出されていて明確に視認されるので、この2輪車の乗員の動作によって、車間距離警報を効果的に行うことができる。
【0014】
前記複数台の仮想先行車両間での各車両間隔が、先頭の仮想先行車両側から手前側の仮想先行車両側へと順次大きくなるように設定されている、ようにしてある(請求項9対応)。この場合、各仮想先行車両間での車間距離の順次の変化を運転者が明確に認識することにより、自車両ともっとも手前側の仮想先行車両との車間距離をどの程度の大きさにすべきかを運転者が明確に認識することができ、いたすらに先行車両に近づいてしまうという好ましくない運転動作を矯正する上でも好ましいものとなる。
【0015】
前記複数台の仮想先行車両のうち先頭の仮想先行車両から手前側の仮想先行車両へと順次方向指示ランプが点灯されることにより、進行方向を案内するように設定されている、ようにしてある(請求項10対応)。この場合、仮想先行車両の順次の方向指示ランプの点灯によって、自車両において方向指示ランプを点灯させるタイミングを明確に認識することができ、また進行方向を明確に認識することができる。
【0016】
前記複数台の仮想先行車両のうち少なくとも1台の仮想先行車両が、警報機能を有する警報車両として設定されている、ようにしてある(請求項11対応)。この場合、仮想先行車両を警報装置として有効利用できる。また、仮想先行車両は複数台あるので、全ての仮想先行車両によって同一の警報を行ったり、あるいは仮想先行車両毎に別々の警報を行う等、警報手法の選択の幅が広いものとすることができる。
【0017】
前記複数台の仮想先行車両のうちもっとも手前側の仮想先行車両が、二輪車に設定されており、
前記二輪車の乗員の動作によって警報を行うように設定されている、
ようにしてある(請求項12対応)。この場合、2輪車の乗員は全体的に露出されていて明確に視認されるので、この2輪車の乗員の動作によって、車間距離警報を効果的に行うことができる。
【0018】
前記複数台の仮想先行車両のうちもっとも手前側に表示される直前仮想先行車両が、二輪車またはオープンカーとして設定され、
前記二輪車またはオープンカーの乗員の動作によって警報を与えるように設定されている、
ようにしてある(請求項13対応)。この場合、もっとも手前側の仮想先行車両の幅を狭く、あるいは高さを低くすることができて、前方視界を遮らないようにする上で好ましいものとなる。また、乗員がかなり大きく露出されるので、乗員の動作を利用して警報を効果的に行うことができる。
【0019】
前記複数台の仮想先行車両間での各車両間隔が、互いに等しくなるように設定されている、ようにしてある(請求項14対応)。この場合、各仮想先行車両間での同一の車間距離を運転者が明確に認識することにより、自車両ともっとも手前側の仮想先行車両との車間距離をどの程度の大きさにすべきかを運転者が明確に認識することができ、いたすらに先行車両に近づいてしまうという好ましくない運転動作を矯正する上でも好ましいものとなる。
【0020】
前記複数台の仮想先行車両のそれぞれが、自車の所定時間経過後の状態を推定した結果を反映してなる将来状態反映車両として設定され、
前記所定経過時間が、前記複数台の仮想先行車両のうち先頭の仮想先行車両から手前側の仮想先行車両へと順次短い時間となるように設定されている、
ようにしてある(請求項15対応)。この場合、自車両の将来の状態を、時間の経過順に、もっとも手前側の仮想先行車両から先頭の仮想先行車両へと順次明確に認識することができ、自車両の現在の運転状態をより適切な状態に修正させる上で好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、仮想先行車両を利用して運転支援を行う場合に、運転負担の軽減をより一層効果的に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の好ましい実施形態による車両用情報提供装置を説明する。まず、図1は、車両用情報提供装置を示す全体構成図である。本実施形態による車両用情報提供装置は、実際の先導車の代わりに、バーチャル先導車の画像を複数台表示して、運転者に進むべき走行経路に関する経路情報を提供して車両の運転を支援するようにしたものである。
【0023】
図1に示すように、符号1は、車両に搭載される車両用情報提供装置を示し、この車両用情報提供装置1は、運転者により設定された目的地までの進むべき走行経路に関する経路情報を車両に提供して車両の運転を支援する基本機能であるナビゲーション機能や後述する他の機能を達成するCPU2を備えている。
【0024】
車両用情報提供装置1は、更に、主要な地図情報、建物情報を格納するDVD−ROM4と、詳細な地図情報やバーチャル先導車の画像に関する情報を記憶するHDD記憶装置6と、地図情報等の種々の情報を表示するモニタ画面8と、目的地設定を行うため等の操作スイッチ10とを備えている。
【0025】
HDD記憶装置6は、運転者が設定した目的地、走行経路に関するデータ、運転者の運転特性に関するデータ、自車両の走行性能に関するデータ等を記憶している。さらに、運転者が視認している実際の風景内に表示するためのバーチャル先導車の画像を含むバーチャル表示用画像データを含んでいる。
【0026】
また、車両用情報提供装置1は、送受信装置12を備え、この送受信装置12により、最新の地図情報、地域の詳細な道路情報、バーチャル先導車の画像に関する情報を含む各種の情報を車両外部の情報センタ(図示せず)からインターネット等を経由して送受信可能となっている。この送受信装置12によって得られた情報は、HDD記憶装置6に記憶される。車両用情報提供装置1は、さらに、車両の現在位置を検出するためのGPS受信機14、車速センサ16及びジャイロセンサ18を備えている。
【0027】
車両用情報提供装置1は、さらに、運転者の目の位置および視線を検出し、これらに基づいて、運転者が視認している現実の風景にバーチャル先導車の画像を表示するために、アイカメラ20、バーチャル画像表示装置22及びCCDカメラ24を備えている。
【0028】
アイカメラ20は、乗員の瞳孔等を撮影することにより、乗員の瞳孔の位置、視線の方向、及び、視認物までの距離等を検出するためのものであり、例えば、EOG法、光電素子式EOG(P−EOG)法、角膜反射法、第1・第4プルキンエ像検出法、コンタクトレンズ法、サーチコイル法、赤外線眼底カメラ法等の種々の技術が適用される。
【0029】
バーチャル画像表示装置22は、CPU2と共に、運転者の瞳孔の位置および車両の現在の位置および向きに基づいて、運転者がフロントウインドウガラス44越しに視認している実際の風景内に、ホログラムなどの方法により、バーチャル先導車の画像を表示させ、運転者が、バーチャル先導車があたかも自車両の前方を走行しているように認識できるようにしている。
【0030】
また、CCDカメラ24は、車両の上部に車両前方に向けて取付けられ、車両前方の風景を撮影し、この風景の画像データから、車両前方を走行する他の先行車両、その先行車両のウインカーの点滅やブレーキランプの点灯、駐車車両、走行経路上の様々な障害物、カーブの状況、車線、信号、交差点、道路標識、路面標識、歩行者、車外の明るさ、霧の状況や視界状況などを含む天候状態等を検出できるようになっている。
【0031】
車両用情報提供装置1は、さらに、レーザレーダ装置26及び路面μセンサ28を備えている。レーザレーダ装置26は、車両の前端部に車両前方に向けて取付けられ、先行車両、路上の障害物等を検出すると共に、自車両とそれらの先行車両等との車間距離や相対速度を検出するものである。また、路面μセンサ28は、路面状態又は路面摩擦係数を検出する。
【0032】
車両用情報提供装置1は、さらに、音声対話装置30を備えている。音声対話装置30は、スピーカ30aおよびマイク30bを備え、運転者に音声情報を提供するとともに、運転者からの音声による指示を受け付けるようになっている。
車両用情報提供装置1は、さらに、運転者に対し、自車両が減速(ブレーキ操作等)を行う必要があるときに警報を発するための警報装置32を備えている。
【0033】
図2は、本実施形態による車両用情報提供装置が搭載された車両の運転席の周囲を示す図である。図2に示すように、音声対話装置30であるスピーカ30a及びマイク30bが、運転席の近傍のAピラー34に取り付けられている。
【0034】
操作スイッチ10は、インストルメントパネル36に設けられており、モニタ画面8がこの操作スイッチ10の近傍に取り付けられている。アイカメラ20は、ルームミラー38に組み込まれている。また、送受信装置12は、運転席40と助手席42の間に取り付けられている。さらに、バーチャル画像表示装置22は、インストルメントパネル36の上部に取り付けられており、上述したように、バーチャル先導車つまり仮想先行車両R0〜R3の画像をホログラム等の方法により表示する(図2では、合計4台の仮想先行車両が表示されている場合が示される)。運転者がその仮想先行車両R0〜R3を見れば、その仮想先行車両R0〜R3があたかも自車両の前方を走行しているように認識できるようになっている。なお、仮想先行車両R0〜R3は透過性を有して、仮想先行車両R0〜R3によって前方視界を完全には遮らないように設定されている。
【0035】
次に、図3〜図5のフローチャートを参照しつつ、複数台の仮想先行車両を利用した運転支援について説明する。なお、図3〜図5のフローチャートでは、画像表示される仮想先行車両間での車間距離が、先頭の仮想先行車両から手前側の仮想先行車両へと所定距離△Xづつ順次大きくなるように表示する場合を示してある。また、以下の説明でSはステップを示す。
【0036】
まず、図3は、メインのフローチャートを示すもので、S1において、イニシャル設定が行われる。このイニシャル設定は、運転者がモニタ画面8の表示に従って操作スイッチ10を操作して行う。次に、S2に進み、目的地を設定し、S3において、車両の現在地を検出する。さらに、S4に進み、DVD−ROM4及びHDD記憶装置6の地図データに基づいて、現在地から目的地までの進むべき走行経路を設定する。その後、S5に進み、車両が進むべき走行経路を走行できるように経路誘導を行う。そして、S6において、S5における径路誘導に対応して、フロントウインドガラス44越しの風景に対して、図2に示すように、複数台の仮想先行車両R0〜R3(図2では合計4台の仮想先行車両が示される)を表示する処理が行われる。この複数台の仮想先行車両R0〜R3の表示は、走行経路に沿って縦列状に行われる。
【0037】
図4、図5は、図3におけるS6の詳細を示すものであり、まず図4のS11において、実際の先行車両との車間距離Lが計測される。次いでS12において、実際の車間距離Lが、仮想先行車両を表示すべき最小車間距離Yminよりも大きいか否かが判別される。このS12の判別でNOのときは、仮想先行車両を表示すべき状況にはないということで、そのままリターンされる。なお、上記最小車間距離Yminは、例えば、自車両の走行状態や走行環境、つまり車速や、高速道路、一般道路、渋滞路、車線幅等の道路状況、さらには天候や路面状況等に対応してあらかじめ記憶されている中から、現在の走行状態や走行環境等に応じて決定される。
【0038】
上記S12の判別でYESのときは、表示すべき仮想先行車両の先頭番目を示す先頭値n(表示される仮想先行車両の総台数はn+1となる)が算出される。すなわち、車間距離の設定に際しては、図6に示すように、自車両ともっとも手前側の仮想先行車両R0との車間距離をXに設定して、前方へ遠ざかるほど車間距離を△Xづづ小さくするようにしてある。このような車間距離の変化を前提としつつ、上記実際の車間距離Lの範囲において先頭値nが算出される。なお、上記車間距離Xや△Xの値は、自車両の走行状態や走行環境等に対応してあらかじめ記憶されて、現在の走行状態や走行環境等に応じて決定される。
【0039】
S13の後、S14において、現在表示されている仮想先行車両の総台数が、S13で算出された先頭値nよりも小さいか否かが判別される。このS14の判別でYESのときは、S15において、仮想先行車両が1台追加される。なお、この仮想先行車両の追加は、例えば図7に示すように直線道路の無限遠方から追加されたり、先頭仮想先行車両の前方あるいは側方(物陰)から追加される。なお、仮想先行車両が存在しない場合は無限遠方から追加するのが好ましく、仮想先行車両が既に存在する場合には、無限遠方から追加することもできあるいは先頭仮想先行車両の前方や側方(物陰)から追加することもできる。
【0040】
S15の後、あるいはS14の判別でNOのときは、それぞれS16において、現在表示されている仮想先行車両の総台数が、S13で算出された先頭値nよりも大きいか否かが判別される。このS16の判別でYESのときは、S17において、仮想先行車両が1台削除される。仮想先行車両の削除は、例えば図8に示すように、先頭仮想先行車両R3(Rnに相当)を無限遠方に遠ざけるようにして削除することができる。また、仮想先行車両の削除を、先頭仮想先行車両R3の側方から物陰に隠れるように、さらにR3をR2と重ねるようにして削除することができる。
【0041】
S17の後、あるいはS16の判別でNOのときは、それぞれS18において、自車両の車速が所定車速V1以上で減速が行われた場合に、所定時間t1秒後に、自車両の直前に表示されている仮想先行車両R0との仮想車間距離がaメートル以上になるか否かが判別される。このS18の判別でYESのときは、S19において、仮想先行車両が1台追加される。上記処理は、自車両の減速によって、自車両と直前の仮想先行車両R0との車間距離が大きくなり過ぎるときに、仮想先行車両を追加する処理となる。なお、上記各しきい値となるV1、aの値は、自車両の走行状態や走行環境に対応してあらかじめ記憶されて、自車両の現在の走行状態や走行環境等に応じて変更される(t1を走行状態や走行環境等に応じて変更することも可能)。
【0042】
S19の後、あるいはS18の判別でNOのときは、それぞれS20において、自車両の車速が所定車速V2以上で加速が行われた場合に、所定時間t2秒後に、自車両の直前に表示されている仮想先行車両R0との仮想車間距離がbメートル以下になるか否かが判別される。このS20の判別でYESのときは、S21において、仮想先行車両が1台削除される。なお、上記各しきい値となるV2、bの値は、自車両の走行状態や走行環境に対応してあらかじめ記憶されて、自車両の現在の走行状態や走行環境等に応じて変更される(t2を走行状態や走行環境等に応じて変更することも可能)。
【0043】
S21の後、あるいはS20の判別でNOのときは、それぞれ、図5のS31に移行される。このS31では、画像表示される各仮想先行車両R0〜Rnの前後方向位置が決定される。なお、各車間距離は、前述したように、△Xづつ変化されるものである。次いで、S32において、各仮想先行車両R0〜Rnについて、それぞれ異なる運転キャラクタ(運転特性)が設定される。実施形態では、n=3の場合において、例えば図6に示すように、先頭仮想先行車両R3についてはベテラン運転者の運転特性が設定され、先頭から2番目の仮想先行車両R2については、車幅方向に頻繁に動くせっかち運転の運転特性が設定され、先頭から3番目の仮想先行車両R1については、安全重視の運転特性が設定され、もっとも手前側つまり自車両の直前の仮想先行車両R0については、自車両の運転者の運転特性が設定される。
【0044】
例えば、ベテラン運転者の運転特性を有する先頭仮想先行車両R3においては、そのときの状況に応じて最適な車幅方向位置が設定され(例えばコーナリング時にはコーナ外方寄を走行する等)、せっかちな運転特性が設定された仮想先行車両R2においては、頻繁に車幅方向位置が変更されるような設定とされ、安全重視の運転特性が設定された仮想先行車両R1においては常時走行路の中心に位置するように設定され、自車両の運転者の運転特性を反映した仮想先行車両R0については、現在の自車両の車幅方向位置がそのまま設定される。S32の後、S33において、各仮想先行車両R0〜R3について、上述した運転特性に応じた車幅方向位置が決定される。
【0045】
上記S33の後は、S34において、自車両の運転者の現在の視線方向に対応して、S32で設定された前後方向位置、S33で設定された車幅方向位置が修正される(S32、S33で設定された位置が同一であっても、自車両の運転者の視線方向によって、仮想先行車両R0〜R3の見え方が相違してくるのに対応した修正)。前述のように異なる運転特性が設定された各仮想先行車両R0〜R3は、例えば、図9に示すように表示される。
【0046】
S34の後、S35〜S37の処理によって、仮想先行車両R0〜R3を利用したブレーキ警報の処理が行われる。すなわち、S35において、基地局からの情報やナビゲーションによる道路状況の情報等から、例えば前方に急カーブや一時停止の交差点が存在する等であって、ブレーキ動作が必要であることの予測が行われる。S36においては、S35においてブレーキ動作が予測されたときに、各仮想先行車両R0〜R3のそれぞれについて、ブレーキランプの点灯タイミングが決定される。この後、S37において、上記決定されたタイミングでもって、各仮想先行車両R0〜R3のブレーキランプが点灯される。このブレーキランプの点灯は、先頭仮想先行車両R3から開始され、次いで2番目の仮想先行車両R2のブレーキランプが点灯され、次いで3番目の仮想先行車両R1のブレーキランプが点灯され、最後に直前の仮想先行車両R0のブレーキランプが点灯される。
【0047】
上述した仮想先行車両R0〜R3のそれぞれのブレーキランプ点灯タイミングの決定は、例えば次のようにして行うことができる。すなわち、自車両の実際のブレーキランプ点灯タイミングを、先行車両との車間距離や交差点位置等から、現時点からTb秒後と決定する。そして、仮想先行車両のブレーキランプ作動タイミングが一定時間△Tbづつ遅れて行われるように設定すればよい。より具体的には、Tbを仮想先行車両の総台数に応じた数「n+1」で除した値となる△Tbを算出して、仮想先行車両R0のブレーキランプの作動タイミングをTb−△Tb後とし、仮想先行車両R1のブレーキランプの作動タイミングをTb−2△Tb後とし、仮想先行車両R2のブレーキランプの作動タイミングをTb−3△Tb後とし、仮想先行車両R3のブレーキランプの作動タイミングをTb−4△Tb後というように設定される。
【0048】
図10は、仮想先行車両R0〜R3のブレーキランプ51が、先頭の仮想先行車両R3から順次実行されていく状況が示され、図10では、先頭から3番目までの仮想先行車両R1のブレーキランプ51が点灯された状況が示される(直前の仮想先行車両R0についてはブレーキランプ51がまだ点灯されるタイミングとなっていない状況)。
【0049】
S37の後、S38〜S40の処理によって、方向指示ランプの点灯を利用した進行方向の案内の処理が行われる。すなわち、S38において、基地局からの情報やナビゲーションによる道路状況の情報等から、例えば右折あるいは左折する交差点(分岐点)が存在したり、片側車線が工事中のために車線変更する必要がある等、方向指示ランプを点灯させる必要であることの予測が行われる。S39においては、S38において方向指示ランプ点灯が予測されたときに、各仮想先行車両R0〜R3のそれぞれについて、方向指示ランプの点灯タイミングが決定される。この後、S40において、上記決定されたタイミングでもって、各仮想先行車両R0〜R3の方向指示ランプが点灯される。この方向指示ランプの点灯は、先頭仮想先行車両R3から開始され、次いで2番目の仮想先行車両R2の方向指示ランプが点灯され、次いで3番目の仮想先行車両R1の方向指示ランプが点灯され、最後に直前の仮想先行車両R0の方向指示ランプが点灯される。なお、各仮想先行車両R0〜R3における方向指示ランプの点灯タイミングは、ブレーキランプの点灯タイミングと同様にして設定すればよい。
【0050】
図11は、仮想先行車両R0〜R3の右側の方向指示ランプ52が、先頭の仮想先行車両R3から順次実行されていく状況が示され、図11では、先頭から3番目までの仮想先行車両R1のブ方向指示ランプ52が点灯された状況が示される(直前の仮想先行車両R0については方向指示ランプ52がまだ点灯されるタイミングとなっていない状況)。
【0051】
図12〜図14は、本発明の第2の実施形態を示すものである。本実施形態では、図13に示すように、自車両とその直前の仮想先行車両R0との車間距離や、各仮想先行車両同士の車間距離を、全て同一の車間距離Xに設定するようにしてある。また、各仮想先行車両R0〜R3の状態として、図14に示すように、自車両から所定時間経過後の状態を示すようにしてある。仮想先行車両R0〜R3による将来の自車両の状態としては、特に車幅方向位置を示すようにしてある。すなわち、自車両の直前の仮想先行車両R0については、現在の自車両の状態そのままの状態とされ、仮想先行車両R1については所定経過時間T1秒後の状態とされ、仮想先行車両R2については所定経過時間T2秒後の状態とされ、仮想先行車両R3については、所定経過時間T3秒後の状態とされる(T3>T2>T1)。また、実施形態では、T2=2T1、T3=3T1とされている。このT1(つまりT2、T3)は、自車両の車速等の走行状態や走行環境等に応じて変更することができる。
【0052】
以上のことを前提として、図12のフローチャートは、図4,図5のフローチャートのうち変形となる部分のみが示される。すなわち、図4のS213に対応するS50において、同一の車間距離Xとするための仮想先行車両の先頭値nが決定される。この後、図4のS14〜S21の処理を経た後、S51の処理が行われる(図5のS31に対応)。この後、S52において、自車両の現在のハンドル舵角からして(図1のCPUに舵角センサからの信号が入力される)、前述した各所定時間経過後の自車両の車幅方向位置が予測される。この後、各仮想先行車両R0〜R3について、予測された車幅方向位置が設定される。この後は、図5のS34移行と同様の処理が行われる。図14には、自車両の所定時間経過後の状態となる各仮想先行車両R0〜R3の車幅方向位置の一例が示される。
【0053】
図15〜図18は、本発明の第3の実施形態を示すもので、仮想先行車両として、2輪車を含むようにしたものである。特に、本実施形態では、自車両の直前の仮想先行車両R0を2輪車とすることにより、自車両と2輪車である仮想先行車両R0との車間距離を小さくできる。また、2輪車は、前方視界を遮る度合が4輪車に比してはるかに小さくなるので、前方視界を極力広く確保するという点で好ましいものとなる。さらに、2輪車となる直前の仮想先行車両R0の乗員が大きく露出しているので、2輪車の乗員の動きによって各種警報を効果的に与えることが可能となる。
【0054】
図15は、2輪車(仮想先行車両R0)が、走行路のほぼ中心に位置するように表示されている。
図16は、図15の変形例となるもの、2輪車としての仮想先行車両R0が、走行路の端部側に表示するようにしてある。これにより、前方視界がより一層広く確保されることになる。また、走行路の端部位置というものをより明確に認識し易いものとなる。
【0055】
図17は、2輪車の乗員が頭を大きく左右に振る動作表示を行うようにしてあり、これによって、自車両の運転者が眠気をもよおしていたり、疲労が激しい状況であるということを自車両の運転者にフィードバックする警報が行われる。このような警報は、2輪車である直前の仮想先行車両R0を蛇行運転させたり、乗員の状態を左右に大きく振る等によって行うこともできる(これは4輪車の場合も同様)。
【0056】
図18は、2輪車の乗員が左方を向くと共に、腕を略水平に上げる動作を表示してある。このような乗員の動作によって、ポンピングブレーキを促したり、側方に障害物や危険が存在することの警報を行うようにしてある。
【0057】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。仮想先行車両としての2輪車は、直前の仮想先行車両R0の場合に限らず、先頭の仮想先行車両R3(Rn)であったり、中間に位置する仮想先行車両にする等、適宜選択できるものであり、また仮想先行車両としての2輪車を2台以上表示するようにしてもよい(全てを2輪車とすることもできる)。また、2輪車の乗員の動作による警報の種類としては適宜のものを設定することができ、乗員の動作と警報の種類との対応付けも適宜のものとすることができる。
【0058】
2輪車に代えてあるいは加えて、乗員が比較的大きく露出するオープンカーを仮想先行車両として含めるようにしてもよい。自車両直前の仮想先行車両としては、前方視界を妨げないようにする意味から、2輪車のように幅の小さい車両や、オープンカーやスポーツカーのように高さの低い車両にするのが好ましく、特に乗員の動作を利用した警報を行う場合は、乗員が大きく露出する2輪車やオープンカーとするのが好ましい。仮想先行車両としては、極力前方視界を妨げないように小型で低い車両が好ましく、この意味において、トラックやバス等の大型車両を仮想先行車両として含めないようにするのが好ましい。仮想先行車両の数は、複数台で有れば適宜の台数とすることができるが、前方視界確保の点からあまり多すぎないように、また前方の認識負荷軽減の観点から縦列状態での複数台の仮想先行車両が必要ということから、仮想先行車両の総台数としては、3〜5台の範囲内で設定するのが好ましい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態による車両用情報表示装置を示す全体構成図。
【図2】本発明が適用された車両の運転席の周囲状況を複数台の仮想先行車両と共に示す図。
【図3】本発明の制御例を示すフローチャート。
【図4】本発明の制御例を示すフローチャート。
【図5】本発明の制御例を示すフローチャート。
【図6】複数台の仮想先行車両について、車間距離が先頭の仮想先行車両側から順次大きくされる場合の一例を示す平面図。
【図7】各仮想先行車両に異なる運転特性を設定する一例を示す図。
【図8】仮想先行車両を1台追加する状況を示す図。
【図9】仮想先行車両を1台削除する状況を示す図。
【図10】先頭の仮想先行車両から順次ブレーキランプを点灯する状況を示す図。
【図11】先頭の仮想先行車両から順次方向指示ランプを点灯する状況を示す図。
【図12】本発明の第2の実施形態を示すフローチャート。
【図13】第2の実施形態において、車間距離を同一に設定する状況を示す図。
【図14】第2の実施形態において、各仮想先行車両が所定時間経過後の自車両の状態を示す表示を行った場合を示す図。
【図15】本発明の第3の実施形態を示すもので、仮想先行車両として2輪車を含めた場合を示す図。
【図16】仮想先行車両として2輪車の異なる表示態様を示す図。
【図17】仮想先行車両として2輪車の異なる表示態様を示す図。
【図18】仮想先行車両として2輪車の異なる表示態様を示す図。
【符号の説明】
【0060】
1:車両用情報表示装置
2:CPU
8:モニタ画面(地図情報等の表示)
20:アイカメラ
22:バーチャル画像表示装置(仮想先行車両表示用)
44:フロントウインドガラス
R0〜R3:仮想先行車両
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者がフロントウインドガラス越しに見ている風景に対して、車両が進行すべき走行経路に対応して仮想先行車両の画像を表示させることで運転の支援を行うようにした車両用情報表示装置であって、
前記仮想先行車両が、走行経路に沿って縦列状に複数台表示されるように設定されている、
ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両が、二輪車を含むように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両が、自車の現状態を反映してなる少なくとも1台の現状態反映車両を含むように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両が、自車の所定時間経過後の状態を推定した結果を反映してなる少なくとも1台の将来状態反映車両を含むように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両が、互いに異なる運転特性を反映してなる複数台の運転特性反映車両を含むように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両が、少なくとも車間距離警報機能を有する警報車両を含むように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記複数台の仮想先行車両が全て前記警報車両として設定されて、該複数台の仮想先行車両のうち先頭の仮想先行車両から手前側の仮想先行車両へと順次ブレーキランプが点灯されるように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記複数台の仮想先行車両が、二輪車を含むように設定されており、
前記二輪車の乗員の動作によって車間距離警報を行うように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項9】
請求項6において、
前記複数台の仮想先行車両間での各車両間隔が、先頭の仮想先行車両側から手前側の仮想先行車両側へと順次大きくなるように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項10】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両のうち先頭の仮想先行車両から手前側の仮想先行車両へと順次方向指示ランプが点灯されることにより、進行方向を案内するように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項11】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両のうち少なくとも1台の仮想先行車両が、警報機能を有する警報車両として設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記複数台の仮想先行車両のうちもっとも手前側の仮想先行車両が、二輪車に設定されており、
前記二輪車の乗員の動作によって警報を行うように設定されている、
ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項13】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両のうちもっとも手前側に表示される直前仮想先行車両が、二輪車またはオープンカーとして設定され、
前記二輪車またはオープンカーの乗員の動作によって警報を与えるように設定されている、
ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項14】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両間での各車両間隔が、互いに等しくなるように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項15】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両のそれぞれが、自車の所定時間経過後の状態を推定した結果を反映してなる将来状態反映車両として設定され、
前記所定経過時間が、前記複数台の仮想先行車両のうち先頭の仮想先行車両から手前側の仮想先行車両へと順次短い時間となるように設定されている、
ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項1】
運転者がフロントウインドガラス越しに見ている風景に対して、車両が進行すべき走行経路に対応して仮想先行車両の画像を表示させることで運転の支援を行うようにした車両用情報表示装置であって、
前記仮想先行車両が、走行経路に沿って縦列状に複数台表示されるように設定されている、
ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両が、二輪車を含むように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両が、自車の現状態を反映してなる少なくとも1台の現状態反映車両を含むように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両が、自車の所定時間経過後の状態を推定した結果を反映してなる少なくとも1台の将来状態反映車両を含むように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両が、互いに異なる運転特性を反映してなる複数台の運転特性反映車両を含むように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両が、少なくとも車間距離警報機能を有する警報車両を含むように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記複数台の仮想先行車両が全て前記警報車両として設定されて、該複数台の仮想先行車両のうち先頭の仮想先行車両から手前側の仮想先行車両へと順次ブレーキランプが点灯されるように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項8】
請求項6において、
前記複数台の仮想先行車両が、二輪車を含むように設定されており、
前記二輪車の乗員の動作によって車間距離警報を行うように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項9】
請求項6において、
前記複数台の仮想先行車両間での各車両間隔が、先頭の仮想先行車両側から手前側の仮想先行車両側へと順次大きくなるように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項10】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両のうち先頭の仮想先行車両から手前側の仮想先行車両へと順次方向指示ランプが点灯されることにより、進行方向を案内するように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項11】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両のうち少なくとも1台の仮想先行車両が、警報機能を有する警報車両として設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項12】
請求項11において、
前記複数台の仮想先行車両のうちもっとも手前側の仮想先行車両が、二輪車に設定されており、
前記二輪車の乗員の動作によって警報を行うように設定されている、
ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項13】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両のうちもっとも手前側に表示される直前仮想先行車両が、二輪車またはオープンカーとして設定され、
前記二輪車またはオープンカーの乗員の動作によって警報を与えるように設定されている、
ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項14】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両間での各車両間隔が、互いに等しくなるように設定されている、ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【請求項15】
請求項1において、
前記複数台の仮想先行車両のそれぞれが、自車の所定時間経過後の状態を推定した結果を反映してなる将来状態反映車両として設定され、
前記所定経過時間が、前記複数台の仮想先行車両のうち先頭の仮想先行車両から手前側の仮想先行車両へと順次短い時間となるように設定されている、
ことを特徴とする車両用情報表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−37167(P2008−37167A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−210938(P2006−210938)
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]