車載ナビゲーション装置
【課題】より見やすい画像表示を行なうことが可能な車載ナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】車外設備（１００）から車線毎の交通情報を受信する通信手段（５０）と、自車両の走行している車線を認識する走行車線認識手段（１０、１５、３２、４０）と、前記受信手段により受信された交通情報のうち、前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線についての情報を選択し、該選択した情報が表示されるように表示手段を制御する制御手段（６０）と、を備える車載ナビゲーション装置（１）。
【解決手段】車外設備（１００）から車線毎の交通情報を受信する通信手段（５０）と、自車両の走行している車線を認識する走行車線認識手段（１０、１５、３２、４０）と、前記受信手段により受信された交通情報のうち、前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線についての情報を選択し、該選択した情報が表示されるように表示手段を制御する制御手段（６０）と、を備える車載ナビゲーション装置（１）。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車外設備から受信した交通情報を表示する車載ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、車外設備である情報センターにおいて編集、処理された渋滞や旅行時間（ある区間の走行所要時間をいう）、交通規制などの交通情報をリアルタイムで車両に送信する無料の情報通信システムが、ＶＩＣＳ（登録商標；Vehicle Information and Communication System）という名称で知られている。ＶＩＣＳでは、ビーコンやＦＭ多重放送を介して車両への情報送信が行なわれている。また、自動車メーカーは、携帯電話の電波網やＦＭ多重放送を介してＶＩＣＳと同様の交通情報を有償で車両に提供するサービスを行なっている。このような交通情報は、車室内の液晶ディスプレイ装置やＨＵＤ（Head Up Display）等によって乗員に表示される。
【０００３】
ところで、他車線の道路においては、車線毎に渋滞の程度が異なる場合がある。従って、単に道路毎に渋滞の程度を報知するだけでは、ユーザーの必要とする情報提供とならない場合がある。この点について考慮した交通情報提示装置についての発明が開示されている（例えば、特許文献１参照）。この装置では、ＡＶＩセンサーやプローブカーからの情報によって車線毎の渋滞情報を生成し、車両に送信するものとしている。
【特許文献１】特開２００４−２２７３１６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上記従来の装置においては、各車線についての渋滞情報の全てが表示される結果、ユーザーにとって見辛いものとなる場合がある。
【０００５】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、より見やすい画像表示を行なうことが可能な車載ナビゲーション装置を提供することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するための本発明の第１の態様は、
車外設備から車線毎の交通情報を受信する通信手段と、
自車両の走行している車線を認識する走行車線認識手段と、
前記受信手段により受信された交通情報のうち、前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線についての情報を選択し、該選択した情報が表示されるように表示手段を制御する制御手段と、
を備える車載ナビゲーション装置である。
【０００７】
この本発明の第１の態様によれば、自車両の走行している車線についての情報を選択して表示するため、より見やすい画像表示を行なうことができる。
【０００８】
この本発明の第１の態様において、
ユーザー入力を受け付け可能な受付手段を備え、
前記制御手段は、前記受付手段に所定のユーザー入力がなされた場合には、前記受信手段により受信された交通情報のうち、前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線以外の車線についての情報を選択し、該選択した情報が表示されるように表示手段を制御する手段であるものとしてもよい。
【０００９】
上記目的を達成するための本発明の第２の態様は、
車外設備との通信を行なう通信手段と、
自車両の走行している車線を認識する走行車線認識手段と、
前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線を含む情報を前記車外設備に送信するように前記通信手段を制御すると共に、前記通信手段により受信された自車両の走行している車線についての交通情報が表示されるように表示手段を制御する制御手段と、
を備える車載ナビゲーション装置である。
【００１０】
この本発明の第２の態様によれば、自車両の走行している車線を含む情報を車外設備に送信し、受信された自車両の走行している車線についての交通情報を表示するため、より見やすい画像表示を行なうことができる。
【００１１】
この本発明の第２の態様において、
ユーザー入力を受け付け可能な受付手段を備え、
前記制御手段は、前記受付手段に所定のユーザー入力がなされた場合には、該所定のユーザー入力に応じて前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線から変更された車線を含む情報を前記車外設備に送信するように前記通信手段を制御する手段であるものとしてもよい。
【００１２】
また、本発明の第１又は第２の態様において、
前記走行車線認識手段は、
車両周辺を撮像する撮像手段と、
該撮像手段の撮像画像を解析して自車両の走行している車線を認識する画像解析手段と、
を含むものとしてもよい。
【００１３】
この場合、
前記走行車線認識手段は、車線情報を記憶した記憶手段を更に含み、
前記画像解析手段は、前記撮像手段の撮像画像における道路区画線を認識すると共に、該認識した道路区画線を前記記憶手段に記憶された車線情報と比較して自車両の走行している車線を認識する手段であるものとしてもよい。
【００１４】
これらの場合、
前記走行車線認識手段は、
前記撮像手段の撮像画像における道路区画線の移動を認識して、自車両が車線を跨いだことを認識する手段であるものとしてもよい。
【発明の効果】
【００１５】
本発明によれば、より見やすい画像表示を行なうことが可能な車載ナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【００１７】
＜第１実施例＞
以下、本発明の第１実施例に係る車載ナビゲーション装置１について説明する。
【００１８】
［構成］
図１は、車載ナビゲーション装置１の全体構成の一例を示す図である。車載ナビゲーション装置１は、主要な構成として、ＧＰＳ受信機１０と、ＩＮＳ用センサー１５と、ＨＭＩ（Human Machine Interface）２０と、記憶装置３０と、車外カメラ４０と、通信装置５０と、ナビゲーション装置用ＥＣＵ（Electronic Control Unit）６０と、を備える。なお、図中の矢印は、多重通信線を介し、ＣＡＮ（Controller Area Network）やＢＥＡＮ、ＡＶＣ−ＬＡＮ、ＦｌｅｘＲａｙ等の適切な通信プロトコルを用いて行なわれる機器間の情報通信の流れを示す。
【００１９】
ＧＰＳ受信機１０は、ＧＰＳ衛星から衛星の軌道と時刻のデータを含む電波信号を受信してナビゲーション装置用ＥＣＵ６０に出力する。ＩＮＳ用センサー１５は、例えばジャイロセンサーや車速センサーを含み、センサー出力値をナビゲーション装置用ＥＣＵ６０に出力する。
【００２０】
ＨＭＩ２０は、例えば、タッチパネルとしてユーザーによる各種の入力操作を可能に構成されたディスプレイ装置２２や、音声入出力のためのマイク、スピーカー、ブザー等を含む。ディスプレイ装置２２では、その表面にユーザーがタッチ操作したことによる電圧の変化を検出し、タッチ操作された位置を認識する。これにより、画面上の所定の位置にＧＵＩ（Graphical User Interface）スイッチを設定することができる。ＨＭＩ２０の出力内容はナビゲーション装置用ＥＣＵ６０により決定され、ＨＭＩ２０になされた入力内容は、ナビゲーション装置用ＥＣＵ６０に送信される。
【００２１】
記憶装置３０は、例えば、ＨＤＤ（Hard Disk Drive）やＤＶＤドライブ、ＣＤ−ＲＯＭドライブ等の記憶装置である。記憶装置３０の記憶媒体には、地図データ３２その他の情報が格納されている。地図データ３２は、交差点等を示す複数のノード座標、及びこれを接続するリンクの集合として道路形状を表現したものである。各リンクには、道路幅員や車線数、曲率等が付随して記憶されている。また、地図データ３２は、代表的な設備の情報（地点情報）を含んでいる。
【００２２】
車外カメラ４０は、例えば、ウインドシールド中央上部に配設されたＣＣＤ（Charge-Coupled Device）やＣＭＯＳ（Complementary Metal Oxide Semiconductor）等の撮像素子を利用したカメラであり、車両前方（後方であってもよい）斜め下方を撮像領域とし、数［ｍｓ］毎に繰り返し撮像を行なう。車外カメラ４０の撮像画像は、例えばＮＴＳＣ（National Television Standards Committee）等のインターレース方式によって生成される画像信号として、定期的に（例えば、撮像フレーム毎に）ナビゲーション装置用ＥＣＵ６０に出力される。
【００２３】
通信装置５０は、例えば、無線基地局８０やネットワーク９０を介して情報センター１００のセンター側通信装置１４０との送受信を行なう。通信装置５０と無線基地局８０との間では携帯電話網、ＰＨＳ（Personal Handy-phone System）網、無線ＬＡＮ、ＷｉＭＡＸ（Worldwide Interoperability for Microwave Access）、衛星電話等を利用した無線通信が行なわれる。また、無線基地局８０と情報センター１００を接続するネットワーク９０は、例えば、公衆電話交換網（PSTN）やデジタル通信ネットワーク（ISDN）、光ファイバ等の有線ネットワークである。また、通信装置５０は、ＦＭ多重放送受信機やビーコン受信機を含み、ＦＭ波やビーコンを介して情報を取得するものであってもよい。
【００２４】
情報センター１００は、例えば自動車メーカーが運営する施設であり、ＶＩＣＳ（登録商標；Vehicle Information and Communication System）情報取得部１１０と、プローブ情報取得部１２０と、サーバー１３０と、センター側通信装置１４０と、を備える。 ＶＩＣＳ情報取得部１１０は、ＶＩＣＳセンターから交通情報を取得する。ＶＩＣＳセンターでは、警察や道路管理者等のデータベースから入力された情報を元に、渋滞の有無及び程度、区間旅行時間、交通規制などを含む交通情報を生成して車両等に提供している。
【００２５】
プローブ情報取得部１２０は、プローブカーから種々の情報を受信する。本実施例におけるプローブカーとは、本実施例の車載ナビゲーション装置１の如く車外カメラや通信装置を有し、走行中の道路及び走行車線を認識すると共に区間旅行時間を算出し、これを情報センターにアップロードすることが可能な車両をいう。従って、車載ナビゲーション装置１を搭載する車両がプローブカーとして行動するものとしてもよいし、専ら交通情報を収集するプローブカーが存在するものとしてもよい。
【００２６】
サーバー１３０は、ＶＩＣＳ情報取得部１１０により取得された交通情報と、プローブ情報取得部１２０により取得された車線毎の区間旅行時間等を統合し、車線毎の交通情報として車両に提供するようにセンター側通信装置１４０を制御する。また、車載ナビゲーション装置１から目的地と車両の現在位置を含む情報を受信したときには、当該現在位置から目的地に至る推奨経路を、上記交通情報を加味して生成し、車載ナビゲーション装置１に返信する。推奨経路の生成には、ダイクストラ法等の生成手法が用いられる。なお、係る経路の生成を、車両側で完結する構成であってもよい。
【００２７】
ナビゲーション装置用ＥＣＵ６０は、例えば、ＣＰＵを中心としてＲＯＭやＲＡＭ等がバスを介して相互に接続されたコンピューターユニットであり、その他、フラッシュメモリ、Ｉ／Ｏポート、タイマー、カウンター等を備える。ＲＯＭには、ＣＰＵが実行するプログラムやデータが格納されている。
【００２８】
また、ナビゲーション装置用ＥＣＵ６０は、ＲＯＭに記憶されたプログラムをＣＰＵが実行することにより機能する主要な機能ブロックとして、目的地設定部６１と、現在位置特定部６２と、通信制御部６３と、音声制御部６４と、走行車線認識部６５と、表示制御部６６と、を備える。
【００２９】
目的地設定部６１は、所定のタイミングでＨＭＩ２０により目的地設定をユーザーに促し、音声又はタッチ入力等によりユーザーが目的地を設定すると、これを地図データ３２から検索して、目的地の座標を通信制御部６３に出力する。なお、「出力する」とは便宜的な表現であり、フラッシュメモリ等の共有メモリに書き込む処理が行なわれてもよい。
【００３０】
現在位置特定部６２は、ＧＰＳ受信機１０及びＩＮＳ用センサー１５から入力される信号に基づいて、自車両の現在位置（緯度、経度）を特定する。具体的には、例えば、原則としてＧＰＳ受信機１０が受信した電波信号の時間差に基づく演算により自車両の現在位置を特定し、ＧＰＳ受信機１０の受信圏外においてはＩＮＳセンサー１５の出力に基づく補正を行なって自車両の現在位置を推定する。更に、地図データ３２とのマッチングにより、特定した自車両の現在位置が正確か否かを定期的にチェックする処理を行なってもよいし、ＦＭ多重放送受信機やビーコン受信機を介して受信される各種情報に基づいて自車両の現在位置を補正してもよい。現在位置特定部６２が特定した自車両の現在位置は、通信制御部６３に出力される。
【００３１】
通信制御部６３は、目的地設定部６１において目的地が設定されると、当該目的地及び現在位置特定部６２により特定された自車両の現在位置を含む情報を、情報センター１００に送信するように通信装置５０を制御する。そして、通信装置５０が受信した推奨経路や交通情報を、記憶装置３０の記憶媒体に格納する。
【００３２】
音声制御部６４は、通信装置５０が受信した推奨経路に沿って自車両が走行できるように、ＨＭＩ２０による音声案内を行なう。より具体的には、現在位置特定部６２により特定された自車両の現在位置を用いて地図データ３２を参照することにより、交差点における右左折の案内や、高速道路の利用案内、目的地が近づいてきた旨の案内等を行なうように、スピーカー等を制御する。
【００３３】
［走行車線の認識］
走行車線認識部６５は、現在位置特定部６２により特定された自車両の現在位置、地図データ３２、及び車外カメラ４０の撮像画像に基づいて、自車両の走行している車線（以下、走行車線と称する）を認識する。走行車線の認識は、例えば、地図データ３２に含まれる車線数の情報を自車両の現在位置を用いて検索し、これに車外カメラ４０の撮像画像解析を加味して行なわれる。以下、この撮像画像解析について述べる。
【００３４】
まず、走行車線認識部６５は、車外カメラ４０が撮像した画像において２値化処理や特徴点抽出処理を行ない、道路上の道路区画線（白線や黄線、破線、ボッツドッツ等）に該当すると考えられる画素（道路区画線候補点）を選出し、選出した道路区画線候補点のうち道路長手方向に直線的に並んだものを道路区画線であると認識する。そして、道路区画線で画成される領域を車線であると認識する。さらに、道路区画線候補点の並んだ態様に基づいて、予め記憶装置３０の記憶媒体等に記憶された複数のパターン（例えば、実線パターン、破線パターンＡ、破線パターンＢ等に分類される）を用いてパターンマッチング処理を行ない、実線（例えば、道路の両端に描かれる）、破線Ａ（例えば、片側複数車線の道路において車線を区分するように描かれる）、及び破線Ｂ（例えば、高速道路において本線と合流路や退出路との境界に描かれる；破線Ａよりも太い）を区別して認識する。
【００３５】
図２は、車外カメラ４０が撮像した画像の一例を示す図である。この場合、画像の中心線Ｍから左右方向に関して最も近い道路区画線が共に破線Ａであるから、地図データ３２に含まれる車線数の情報により、自車両が走行している道路が片側３車線の道路であることが判明していれば、自車両は中央車線（左側車線から２番目の車線）を走行していると判断できる。
【００３６】
さらに、走行車線認識部６５は、自車両の車線変更を検出する。この車線変更の検出の具体的手法の一例を、図３を用いて説明する。まず、車外カメラ４０が撮像した画像の下端部のうち、自車両の幅に相当すると考えられる範囲を、自車両範囲として予め設定しておく。この自車両範囲を例えば３等分し、３等分したそれぞれの範囲から道路後方に向けて延在する領域を、領域Ａ、領域Ｂ、領域Ｃと定義する。
【００３７】
こうして、予め３領域を定義しておくことにより、道路区画線がまず領域Ａで検出され、次に領域Ｂで検出され、最後に領域Ｃで検出されたとすると、自車両がより左側の車線に車線変更したと判断できる。その逆も成立することは言うまでもない。なお、この他にも、種々の手法により車線を認識したり、車線変更を検出したりすることが可能である。例えば、道路に埋め込まれた磁気マーカを検出してもよい。
【００３８】
［交通情報等の表示］
表示制御部６６は、ディスプレイ装置２２によるナビゲーション表示を制御する。具体的には、現在位置特定部６２により特定された自車両の現在位置を用いて地図データ３２を参照することにより、自車両前方の道路画像を生成する。道路画像は、上空から見た鳥瞰画像であってもよいし、運転者の視界に擬した画像であってもよい。以下、運転者の視界に擬した画像を表示するものとして説明する。そして、道路画像に重畳して、自車両の現在位置を示すマークを表示したり、進路変更を行なう箇所において矢印を表示したりする。
【００３９】
また、表示制御部６６は、通信装置５０により受信された交通情報を、道路画像に重畳表示させる。この際に、走行車線認識部６５の認識結果を参照して２車線以上の道路を走行していると判断される場合には、交通情報のうち自車両の走行している車線についての情報を選択してディスプレイ装置２２に表示させる。また、例えば自車両が右車線を走行しており、且つ経路生成部６３が生成した推奨経路が１つ先の交差点（ないし分岐点）で右折するものである場合、当該右折先の道路についての情報も表示するものとする。図４は、自車両の走行している車線についての交通情報が道路画像に重畳表示されたディスプレイ装置２２の画像例である。なお、道路画像には、例えば、渋滞度を示す各色の矢印（赤色；渋滞、橙色；混雑、水色；順調）や、事故・工事等を示すマーク、通行止め等の交通規制を示すマーク等が、ナビゲーション表示と共に重畳表示される。
【００４０】
図５は、上記の如く車線を選択して表示を行なわない場合の、表示画像の例である。この場合、各車線についての渋滞情報の全てが表示される結果、ユーザーにとって見辛いものとなる場合がある。この点、本実施例の車載ナビゲーション装置１では、ユーザーの必要とする情報に限定して表示を行なうため、より見やすい画像表示を行なうことができる。
【００４１】
なお、自車両が推奨経路に従って走行していない場合（右折予定なのに左側を走行しているような場合）には、画面表示又は音声により、推奨経路に従って走行するように促すものとする。
【００４２】
更に、表示制御部６６は、ディスプレイ装置２２の表示画面において、交通情報表示車線変更スイッチ２２Ａを設定し、交通情報表示車線変更スイッチ２２Ａがタッチ操作されると、交通情報のうち、他の車線についての情報をディスプレイ装置２２に表示させることとした。例えば、３車線の道路の右側車線を走行しているときに交通情報表示車線変更スイッチ２２Ａがタッチ操作された場合、タッチ操作の度に、右側車線についての情報→中央車線についての情報→左側車線についての情報→右側車線についての情報、等と表示情報を遷移させる。この逆に、３車線の道路の左側車線を走行しているときに交通情報表示車線変更スイッチ２２Ａがタッチ操作された場合、タッチ操作の度に、左側車線についての情報→中央車線についての情報→右側車線についての情報→左側車線についての情報、等と表示情報を遷移させてよい。
【００４３】
交通情報表示車線変更スイッチ２２Ａのタッチ操作による表示状態の認識は、例えば、ナビゲーション装置用ＥＣＵ６０のレジスタに所定のフラグを立てることにより行なわれる。なお、ＧＵＩスイッチに限らず、機械式スイッチを設けてもよいし、音声認識によって表示情報の切替えを可能としてもよい。
【００４４】
図６は、本実施例に係る車載ナビゲーション装置１と情報センター１００が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
【００４５】
まず、車載ナビゲーション装置１において目的地が設定されると、通信装置５０から目的地及び現在位置が情報センター１００に送信される。（Ｓ１００、１０２）。
【００４６】
情報センター１００は、これを受信すると（Ｓ２００）、前述の如く推奨経路を生成し（Ｓ２０２）、当該推奨経路を含む領域についての交通情報（車線毎）を、推奨経路と共に車載ナビゲーション装置１に返信する（Ｓ２０４）。車載ナビゲーション装置１では、これを受信する（Ｓ１０４）。
【００４７】
その後、車載ナビゲーション装置１では、自車両の現在位置を用いて地図データ３２を検索することにより、自車両が２車線以上の道路を走行しているか否かを判定する（Ｓ１０６）。
【００４８】
自車両が２車線以上の道路を走行していると判定した場合には、前述した走行車線の認識処理を行なう（Ｓ１０８）。そして、情報センター１００から受信した交通情報のうち、自車両の走行している車線（又はスイッチ操作に応じて選択された車線；図中、該当車線と表記した）についての情報を選択して表示するようにディスプレイ装置２２を制御する（Ｓ１１０）。
【００４９】
一方、自車両が１車線の道路を走行している場合には、情報センター１００から受信した交通情報をそのまま表示するようにディスプレイ装置２２を制御する（Ｓ１１２）。
【００５０】
以降、Ｓ１０６〜Ｓ１１２の処理を、目的地に到達するまでの間、繰り返し実行する（Ｓ１１４）。
【００５１】
本実施例の車載ナビゲーション装置１によれば、より見やすい画像表示を行なうことができる。また、ユーザーの操作（又は音声入力）に応じて、ユーザーが必要とする情報を表示するように切替えることができる。
【００５２】
＜第２実施例＞
以下、本発明の第２実施例に係る車載ナビゲーション装置２について説明する。
【００５３】
［構成］
車載ナビゲーション装置２は、ハードウエア構成において第１実施例の車載ナビゲーション装置１と共通するため、ハードウエア構成については図１を参照することとし、各構成要素について同一の符号を付して機能等の説明を省略する。
【００５４】
本実施例において交通情報は、推奨経路を取得する際と、車両の走行に応じて２車線以上の道路に進入した際とに分けて取得される点に関して第１実施例と相違するが、その他の点については、第１実施例と同様である。
【００５５】
図７は、本実施例に係る車載ナビゲーション装置２と情報センター１００が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
【００５６】
まず、車載ナビゲーション装置２において目的地が設定されると、通信装置５０から目的地及び現在位置が情報センター１００に送信される。（Ｓ３００、３０２）。
【００５７】
情報センター１００は、これを受信すると（Ｓ４００）、前述の如く推奨経路を生成し（Ｓ４０２）、当該推奨経路を含む領域についての交通情報（車線毎でないもの）を、推奨経路と共に車載ナビゲーション装置１に返信する（Ｓ４０４）。車載ナビゲーション装置２は、これを受信する（Ｓ３０４）。
【００５８】
その後、車載ナビゲーション装置２では、自車両の現在位置を用いて地図データ３２を検索することにより、自車両が２車線以上の道路を走行しているか否かを判定する（Ｓ３０６）。
【００５９】
自車両が２車線以上の道路を走行している場合には、前述した走行車線の認識処理を行なう（Ｓ３０８）。そして、自車両の現在位置、進行方向、自車両の走行している車線（又はスイッチ操作に応じて選択された車線；図中、該当車線と表記した）等を含む要求信号を情報センター１００に送信するように通信装置５０を制御する（Ｓ３１０）。
【００６０】
情報センター１００は、これを受信すると（Ｓ４０６）、受信した現在位置、進行方向、車線に応じた交通情報（車線毎）を抽出して、これを車載ナビゲーション装置１に返信する（Ｓ４０８）。
【００６１】
車載ナビゲーション装置１では、受信した交通情報を表示するようにディスプレイ装置２２を制御する（Ｓ３１２、３１４）。
【００６２】
一方、自車両が１車線の道路を走行している場合には、Ｓ３０４において情報センター１００から受信した交通情報を表示するようにディスプレイ装置２２を制御する（Ｓ３１６）。
【００６３】
以降、Ｓ３０６〜Ｓ３１６の処理を、目的地に到達するまでの間、繰り返し実行する（Ｓ３１８）。
【００６４】
本実施例の車載ナビゲーション装置２によれば、より見やすい画像表示を行なうことができる。また、ユーザーの操作（又は音声入力）に応じて、ユーザーが必要とする情報を表示するように切替えることができる。
【００６５】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【００６６】
例えば、経路案内を行なわずに、単に交通情報を表示する装置として構成されてもよい。
【００６７】
また、地図データ３２の一部（車線数等）を情報センター１００に保持する構成であってもよい。この場合、自車両が２車線以上の道路を走行しているか否かを判定する際に、情報センター１００に自車両の現在位置と進行方向を送信して、車線数を取得することとなる。
【産業上の利用可能性】
【００６８】
本発明は、自動車製造業や自動車部品製造業等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【００６９】
【図１】車載ナビゲーション装置１の全体構成の一例を示す図である。
【図２】車外カメラ４０が撮像した画像の一例を示す図である。
【図３】車線変更の検出の具体的手法を説明するための説明図である。
【図４】自車両の走行している車線についての交通情報が道路画像に重畳表示されたディスプレイ装置２２の画像例である。
【図５】車線を選択して表示を行なわない場合の表示画像の例である。
【図６】第１実施例に係る車載ナビゲーション装置１と情報センター１００が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
【図７】第２実施例に係る車載ナビゲーション装置２と情報センター１００が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【００７０】
１、２ 車載ナビゲーション装置
１０ ＧＰＳ受信機
１５ ＩＮＳ用センサー
２０ ＨＭＩ
２２ ディスプレイ装置
２２Ａ 交通情報表示車線変更スイッチ
３０ 記憶装置
３２ 地図データ
４０ FM多重放送受信機
４５ ビーコン受信機
５０ 通信装置
６０ ナビゲーション装置用ＥＣＵ
６１ 目的地設定部
６２ 現在位置特定部
６３ 通信制御部
６４ 音声制御部
６５ 走行車線認識部
６６ 表示制御部
８０ 無線基地局
９０ ネットワーク
１００ 情報センター
【技術分野】
【０００１】
本発明は、車外設備から受信した交通情報を表示する車載ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、車外設備である情報センターにおいて編集、処理された渋滞や旅行時間（ある区間の走行所要時間をいう）、交通規制などの交通情報をリアルタイムで車両に送信する無料の情報通信システムが、ＶＩＣＳ（登録商標；Vehicle Information and Communication System）という名称で知られている。ＶＩＣＳでは、ビーコンやＦＭ多重放送を介して車両への情報送信が行なわれている。また、自動車メーカーは、携帯電話の電波網やＦＭ多重放送を介してＶＩＣＳと同様の交通情報を有償で車両に提供するサービスを行なっている。このような交通情報は、車室内の液晶ディスプレイ装置やＨＵＤ（Head Up Display）等によって乗員に表示される。
【０００３】
ところで、他車線の道路においては、車線毎に渋滞の程度が異なる場合がある。従って、単に道路毎に渋滞の程度を報知するだけでは、ユーザーの必要とする情報提供とならない場合がある。この点について考慮した交通情報提示装置についての発明が開示されている（例えば、特許文献１参照）。この装置では、ＡＶＩセンサーやプローブカーからの情報によって車線毎の渋滞情報を生成し、車両に送信するものとしている。
【特許文献１】特開２００４−２２７３１６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
しかしながら、上記従来の装置においては、各車線についての渋滞情報の全てが表示される結果、ユーザーにとって見辛いものとなる場合がある。
【０００５】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、より見やすい画像表示を行なうことが可能な車載ナビゲーション装置を提供することを、主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
上記目的を達成するための本発明の第１の態様は、
車外設備から車線毎の交通情報を受信する通信手段と、
自車両の走行している車線を認識する走行車線認識手段と、
前記受信手段により受信された交通情報のうち、前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線についての情報を選択し、該選択した情報が表示されるように表示手段を制御する制御手段と、
を備える車載ナビゲーション装置である。
【０００７】
この本発明の第１の態様によれば、自車両の走行している車線についての情報を選択して表示するため、より見やすい画像表示を行なうことができる。
【０００８】
この本発明の第１の態様において、
ユーザー入力を受け付け可能な受付手段を備え、
前記制御手段は、前記受付手段に所定のユーザー入力がなされた場合には、前記受信手段により受信された交通情報のうち、前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線以外の車線についての情報を選択し、該選択した情報が表示されるように表示手段を制御する手段であるものとしてもよい。
【０００９】
上記目的を達成するための本発明の第２の態様は、
車外設備との通信を行なう通信手段と、
自車両の走行している車線を認識する走行車線認識手段と、
前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線を含む情報を前記車外設備に送信するように前記通信手段を制御すると共に、前記通信手段により受信された自車両の走行している車線についての交通情報が表示されるように表示手段を制御する制御手段と、
を備える車載ナビゲーション装置である。
【００１０】
この本発明の第２の態様によれば、自車両の走行している車線を含む情報を車外設備に送信し、受信された自車両の走行している車線についての交通情報を表示するため、より見やすい画像表示を行なうことができる。
【００１１】
この本発明の第２の態様において、
ユーザー入力を受け付け可能な受付手段を備え、
前記制御手段は、前記受付手段に所定のユーザー入力がなされた場合には、該所定のユーザー入力に応じて前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線から変更された車線を含む情報を前記車外設備に送信するように前記通信手段を制御する手段であるものとしてもよい。
【００１２】
また、本発明の第１又は第２の態様において、
前記走行車線認識手段は、
車両周辺を撮像する撮像手段と、
該撮像手段の撮像画像を解析して自車両の走行している車線を認識する画像解析手段と、
を含むものとしてもよい。
【００１３】
この場合、
前記走行車線認識手段は、車線情報を記憶した記憶手段を更に含み、
前記画像解析手段は、前記撮像手段の撮像画像における道路区画線を認識すると共に、該認識した道路区画線を前記記憶手段に記憶された車線情報と比較して自車両の走行している車線を認識する手段であるものとしてもよい。
【００１４】
これらの場合、
前記走行車線認識手段は、
前記撮像手段の撮像画像における道路区画線の移動を認識して、自車両が車線を跨いだことを認識する手段であるものとしてもよい。
【発明の効果】
【００１５】
本発明によれば、より見やすい画像表示を行なうことが可能な車載ナビゲーション装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付図面を参照しながら実施例を挙げて説明する。
【実施例】
【００１７】
＜第１実施例＞
以下、本発明の第１実施例に係る車載ナビゲーション装置１について説明する。
【００１８】
［構成］
図１は、車載ナビゲーション装置１の全体構成の一例を示す図である。車載ナビゲーション装置１は、主要な構成として、ＧＰＳ受信機１０と、ＩＮＳ用センサー１５と、ＨＭＩ（Human Machine Interface）２０と、記憶装置３０と、車外カメラ４０と、通信装置５０と、ナビゲーション装置用ＥＣＵ（Electronic Control Unit）６０と、を備える。なお、図中の矢印は、多重通信線を介し、ＣＡＮ（Controller Area Network）やＢＥＡＮ、ＡＶＣ−ＬＡＮ、ＦｌｅｘＲａｙ等の適切な通信プロトコルを用いて行なわれる機器間の情報通信の流れを示す。
【００１９】
ＧＰＳ受信機１０は、ＧＰＳ衛星から衛星の軌道と時刻のデータを含む電波信号を受信してナビゲーション装置用ＥＣＵ６０に出力する。ＩＮＳ用センサー１５は、例えばジャイロセンサーや車速センサーを含み、センサー出力値をナビゲーション装置用ＥＣＵ６０に出力する。
【００２０】
ＨＭＩ２０は、例えば、タッチパネルとしてユーザーによる各種の入力操作を可能に構成されたディスプレイ装置２２や、音声入出力のためのマイク、スピーカー、ブザー等を含む。ディスプレイ装置２２では、その表面にユーザーがタッチ操作したことによる電圧の変化を検出し、タッチ操作された位置を認識する。これにより、画面上の所定の位置にＧＵＩ（Graphical User Interface）スイッチを設定することができる。ＨＭＩ２０の出力内容はナビゲーション装置用ＥＣＵ６０により決定され、ＨＭＩ２０になされた入力内容は、ナビゲーション装置用ＥＣＵ６０に送信される。
【００２１】
記憶装置３０は、例えば、ＨＤＤ（Hard Disk Drive）やＤＶＤドライブ、ＣＤ−ＲＯＭドライブ等の記憶装置である。記憶装置３０の記憶媒体には、地図データ３２その他の情報が格納されている。地図データ３２は、交差点等を示す複数のノード座標、及びこれを接続するリンクの集合として道路形状を表現したものである。各リンクには、道路幅員や車線数、曲率等が付随して記憶されている。また、地図データ３２は、代表的な設備の情報（地点情報）を含んでいる。
【００２２】
車外カメラ４０は、例えば、ウインドシールド中央上部に配設されたＣＣＤ（Charge-Coupled Device）やＣＭＯＳ（Complementary Metal Oxide Semiconductor）等の撮像素子を利用したカメラであり、車両前方（後方であってもよい）斜め下方を撮像領域とし、数［ｍｓ］毎に繰り返し撮像を行なう。車外カメラ４０の撮像画像は、例えばＮＴＳＣ（National Television Standards Committee）等のインターレース方式によって生成される画像信号として、定期的に（例えば、撮像フレーム毎に）ナビゲーション装置用ＥＣＵ６０に出力される。
【００２３】
通信装置５０は、例えば、無線基地局８０やネットワーク９０を介して情報センター１００のセンター側通信装置１４０との送受信を行なう。通信装置５０と無線基地局８０との間では携帯電話網、ＰＨＳ（Personal Handy-phone System）網、無線ＬＡＮ、ＷｉＭＡＸ（Worldwide Interoperability for Microwave Access）、衛星電話等を利用した無線通信が行なわれる。また、無線基地局８０と情報センター１００を接続するネットワーク９０は、例えば、公衆電話交換網（PSTN）やデジタル通信ネットワーク（ISDN）、光ファイバ等の有線ネットワークである。また、通信装置５０は、ＦＭ多重放送受信機やビーコン受信機を含み、ＦＭ波やビーコンを介して情報を取得するものであってもよい。
【００２４】
情報センター１００は、例えば自動車メーカーが運営する施設であり、ＶＩＣＳ（登録商標；Vehicle Information and Communication System）情報取得部１１０と、プローブ情報取得部１２０と、サーバー１３０と、センター側通信装置１４０と、を備える。 ＶＩＣＳ情報取得部１１０は、ＶＩＣＳセンターから交通情報を取得する。ＶＩＣＳセンターでは、警察や道路管理者等のデータベースから入力された情報を元に、渋滞の有無及び程度、区間旅行時間、交通規制などを含む交通情報を生成して車両等に提供している。
【００２５】
プローブ情報取得部１２０は、プローブカーから種々の情報を受信する。本実施例におけるプローブカーとは、本実施例の車載ナビゲーション装置１の如く車外カメラや通信装置を有し、走行中の道路及び走行車線を認識すると共に区間旅行時間を算出し、これを情報センターにアップロードすることが可能な車両をいう。従って、車載ナビゲーション装置１を搭載する車両がプローブカーとして行動するものとしてもよいし、専ら交通情報を収集するプローブカーが存在するものとしてもよい。
【００２６】
サーバー１３０は、ＶＩＣＳ情報取得部１１０により取得された交通情報と、プローブ情報取得部１２０により取得された車線毎の区間旅行時間等を統合し、車線毎の交通情報として車両に提供するようにセンター側通信装置１４０を制御する。また、車載ナビゲーション装置１から目的地と車両の現在位置を含む情報を受信したときには、当該現在位置から目的地に至る推奨経路を、上記交通情報を加味して生成し、車載ナビゲーション装置１に返信する。推奨経路の生成には、ダイクストラ法等の生成手法が用いられる。なお、係る経路の生成を、車両側で完結する構成であってもよい。
【００２７】
ナビゲーション装置用ＥＣＵ６０は、例えば、ＣＰＵを中心としてＲＯＭやＲＡＭ等がバスを介して相互に接続されたコンピューターユニットであり、その他、フラッシュメモリ、Ｉ／Ｏポート、タイマー、カウンター等を備える。ＲＯＭには、ＣＰＵが実行するプログラムやデータが格納されている。
【００２８】
また、ナビゲーション装置用ＥＣＵ６０は、ＲＯＭに記憶されたプログラムをＣＰＵが実行することにより機能する主要な機能ブロックとして、目的地設定部６１と、現在位置特定部６２と、通信制御部６３と、音声制御部６４と、走行車線認識部６５と、表示制御部６６と、を備える。
【００２９】
目的地設定部６１は、所定のタイミングでＨＭＩ２０により目的地設定をユーザーに促し、音声又はタッチ入力等によりユーザーが目的地を設定すると、これを地図データ３２から検索して、目的地の座標を通信制御部６３に出力する。なお、「出力する」とは便宜的な表現であり、フラッシュメモリ等の共有メモリに書き込む処理が行なわれてもよい。
【００３０】
現在位置特定部６２は、ＧＰＳ受信機１０及びＩＮＳ用センサー１５から入力される信号に基づいて、自車両の現在位置（緯度、経度）を特定する。具体的には、例えば、原則としてＧＰＳ受信機１０が受信した電波信号の時間差に基づく演算により自車両の現在位置を特定し、ＧＰＳ受信機１０の受信圏外においてはＩＮＳセンサー１５の出力に基づく補正を行なって自車両の現在位置を推定する。更に、地図データ３２とのマッチングにより、特定した自車両の現在位置が正確か否かを定期的にチェックする処理を行なってもよいし、ＦＭ多重放送受信機やビーコン受信機を介して受信される各種情報に基づいて自車両の現在位置を補正してもよい。現在位置特定部６２が特定した自車両の現在位置は、通信制御部６３に出力される。
【００３１】
通信制御部６３は、目的地設定部６１において目的地が設定されると、当該目的地及び現在位置特定部６２により特定された自車両の現在位置を含む情報を、情報センター１００に送信するように通信装置５０を制御する。そして、通信装置５０が受信した推奨経路や交通情報を、記憶装置３０の記憶媒体に格納する。
【００３２】
音声制御部６４は、通信装置５０が受信した推奨経路に沿って自車両が走行できるように、ＨＭＩ２０による音声案内を行なう。より具体的には、現在位置特定部６２により特定された自車両の現在位置を用いて地図データ３２を参照することにより、交差点における右左折の案内や、高速道路の利用案内、目的地が近づいてきた旨の案内等を行なうように、スピーカー等を制御する。
【００３３】
［走行車線の認識］
走行車線認識部６５は、現在位置特定部６２により特定された自車両の現在位置、地図データ３２、及び車外カメラ４０の撮像画像に基づいて、自車両の走行している車線（以下、走行車線と称する）を認識する。走行車線の認識は、例えば、地図データ３２に含まれる車線数の情報を自車両の現在位置を用いて検索し、これに車外カメラ４０の撮像画像解析を加味して行なわれる。以下、この撮像画像解析について述べる。
【００３４】
まず、走行車線認識部６５は、車外カメラ４０が撮像した画像において２値化処理や特徴点抽出処理を行ない、道路上の道路区画線（白線や黄線、破線、ボッツドッツ等）に該当すると考えられる画素（道路区画線候補点）を選出し、選出した道路区画線候補点のうち道路長手方向に直線的に並んだものを道路区画線であると認識する。そして、道路区画線で画成される領域を車線であると認識する。さらに、道路区画線候補点の並んだ態様に基づいて、予め記憶装置３０の記憶媒体等に記憶された複数のパターン（例えば、実線パターン、破線パターンＡ、破線パターンＢ等に分類される）を用いてパターンマッチング処理を行ない、実線（例えば、道路の両端に描かれる）、破線Ａ（例えば、片側複数車線の道路において車線を区分するように描かれる）、及び破線Ｂ（例えば、高速道路において本線と合流路や退出路との境界に描かれる；破線Ａよりも太い）を区別して認識する。
【００３５】
図２は、車外カメラ４０が撮像した画像の一例を示す図である。この場合、画像の中心線Ｍから左右方向に関して最も近い道路区画線が共に破線Ａであるから、地図データ３２に含まれる車線数の情報により、自車両が走行している道路が片側３車線の道路であることが判明していれば、自車両は中央車線（左側車線から２番目の車線）を走行していると判断できる。
【００３６】
さらに、走行車線認識部６５は、自車両の車線変更を検出する。この車線変更の検出の具体的手法の一例を、図３を用いて説明する。まず、車外カメラ４０が撮像した画像の下端部のうち、自車両の幅に相当すると考えられる範囲を、自車両範囲として予め設定しておく。この自車両範囲を例えば３等分し、３等分したそれぞれの範囲から道路後方に向けて延在する領域を、領域Ａ、領域Ｂ、領域Ｃと定義する。
【００３７】
こうして、予め３領域を定義しておくことにより、道路区画線がまず領域Ａで検出され、次に領域Ｂで検出され、最後に領域Ｃで検出されたとすると、自車両がより左側の車線に車線変更したと判断できる。その逆も成立することは言うまでもない。なお、この他にも、種々の手法により車線を認識したり、車線変更を検出したりすることが可能である。例えば、道路に埋め込まれた磁気マーカを検出してもよい。
【００３８】
［交通情報等の表示］
表示制御部６６は、ディスプレイ装置２２によるナビゲーション表示を制御する。具体的には、現在位置特定部６２により特定された自車両の現在位置を用いて地図データ３２を参照することにより、自車両前方の道路画像を生成する。道路画像は、上空から見た鳥瞰画像であってもよいし、運転者の視界に擬した画像であってもよい。以下、運転者の視界に擬した画像を表示するものとして説明する。そして、道路画像に重畳して、自車両の現在位置を示すマークを表示したり、進路変更を行なう箇所において矢印を表示したりする。
【００３９】
また、表示制御部６６は、通信装置５０により受信された交通情報を、道路画像に重畳表示させる。この際に、走行車線認識部６５の認識結果を参照して２車線以上の道路を走行していると判断される場合には、交通情報のうち自車両の走行している車線についての情報を選択してディスプレイ装置２２に表示させる。また、例えば自車両が右車線を走行しており、且つ経路生成部６３が生成した推奨経路が１つ先の交差点（ないし分岐点）で右折するものである場合、当該右折先の道路についての情報も表示するものとする。図４は、自車両の走行している車線についての交通情報が道路画像に重畳表示されたディスプレイ装置２２の画像例である。なお、道路画像には、例えば、渋滞度を示す各色の矢印（赤色；渋滞、橙色；混雑、水色；順調）や、事故・工事等を示すマーク、通行止め等の交通規制を示すマーク等が、ナビゲーション表示と共に重畳表示される。
【００４０】
図５は、上記の如く車線を選択して表示を行なわない場合の、表示画像の例である。この場合、各車線についての渋滞情報の全てが表示される結果、ユーザーにとって見辛いものとなる場合がある。この点、本実施例の車載ナビゲーション装置１では、ユーザーの必要とする情報に限定して表示を行なうため、より見やすい画像表示を行なうことができる。
【００４１】
なお、自車両が推奨経路に従って走行していない場合（右折予定なのに左側を走行しているような場合）には、画面表示又は音声により、推奨経路に従って走行するように促すものとする。
【００４２】
更に、表示制御部６６は、ディスプレイ装置２２の表示画面において、交通情報表示車線変更スイッチ２２Ａを設定し、交通情報表示車線変更スイッチ２２Ａがタッチ操作されると、交通情報のうち、他の車線についての情報をディスプレイ装置２２に表示させることとした。例えば、３車線の道路の右側車線を走行しているときに交通情報表示車線変更スイッチ２２Ａがタッチ操作された場合、タッチ操作の度に、右側車線についての情報→中央車線についての情報→左側車線についての情報→右側車線についての情報、等と表示情報を遷移させる。この逆に、３車線の道路の左側車線を走行しているときに交通情報表示車線変更スイッチ２２Ａがタッチ操作された場合、タッチ操作の度に、左側車線についての情報→中央車線についての情報→右側車線についての情報→左側車線についての情報、等と表示情報を遷移させてよい。
【００４３】
交通情報表示車線変更スイッチ２２Ａのタッチ操作による表示状態の認識は、例えば、ナビゲーション装置用ＥＣＵ６０のレジスタに所定のフラグを立てることにより行なわれる。なお、ＧＵＩスイッチに限らず、機械式スイッチを設けてもよいし、音声認識によって表示情報の切替えを可能としてもよい。
【００４４】
図６は、本実施例に係る車載ナビゲーション装置１と情報センター１００が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
【００４５】
まず、車載ナビゲーション装置１において目的地が設定されると、通信装置５０から目的地及び現在位置が情報センター１００に送信される。（Ｓ１００、１０２）。
【００４６】
情報センター１００は、これを受信すると（Ｓ２００）、前述の如く推奨経路を生成し（Ｓ２０２）、当該推奨経路を含む領域についての交通情報（車線毎）を、推奨経路と共に車載ナビゲーション装置１に返信する（Ｓ２０４）。車載ナビゲーション装置１では、これを受信する（Ｓ１０４）。
【００４７】
その後、車載ナビゲーション装置１では、自車両の現在位置を用いて地図データ３２を検索することにより、自車両が２車線以上の道路を走行しているか否かを判定する（Ｓ１０６）。
【００４８】
自車両が２車線以上の道路を走行していると判定した場合には、前述した走行車線の認識処理を行なう（Ｓ１０８）。そして、情報センター１００から受信した交通情報のうち、自車両の走行している車線（又はスイッチ操作に応じて選択された車線；図中、該当車線と表記した）についての情報を選択して表示するようにディスプレイ装置２２を制御する（Ｓ１１０）。
【００４９】
一方、自車両が１車線の道路を走行している場合には、情報センター１００から受信した交通情報をそのまま表示するようにディスプレイ装置２２を制御する（Ｓ１１２）。
【００５０】
以降、Ｓ１０６〜Ｓ１１２の処理を、目的地に到達するまでの間、繰り返し実行する（Ｓ１１４）。
【００５１】
本実施例の車載ナビゲーション装置１によれば、より見やすい画像表示を行なうことができる。また、ユーザーの操作（又は音声入力）に応じて、ユーザーが必要とする情報を表示するように切替えることができる。
【００５２】
＜第２実施例＞
以下、本発明の第２実施例に係る車載ナビゲーション装置２について説明する。
【００５３】
［構成］
車載ナビゲーション装置２は、ハードウエア構成において第１実施例の車載ナビゲーション装置１と共通するため、ハードウエア構成については図１を参照することとし、各構成要素について同一の符号を付して機能等の説明を省略する。
【００５４】
本実施例において交通情報は、推奨経路を取得する際と、車両の走行に応じて２車線以上の道路に進入した際とに分けて取得される点に関して第１実施例と相違するが、その他の点については、第１実施例と同様である。
【００５５】
図７は、本実施例に係る車載ナビゲーション装置２と情報センター１００が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
【００５６】
まず、車載ナビゲーション装置２において目的地が設定されると、通信装置５０から目的地及び現在位置が情報センター１００に送信される。（Ｓ３００、３０２）。
【００５７】
情報センター１００は、これを受信すると（Ｓ４００）、前述の如く推奨経路を生成し（Ｓ４０２）、当該推奨経路を含む領域についての交通情報（車線毎でないもの）を、推奨経路と共に車載ナビゲーション装置１に返信する（Ｓ４０４）。車載ナビゲーション装置２は、これを受信する（Ｓ３０４）。
【００５８】
その後、車載ナビゲーション装置２では、自車両の現在位置を用いて地図データ３２を検索することにより、自車両が２車線以上の道路を走行しているか否かを判定する（Ｓ３０６）。
【００５９】
自車両が２車線以上の道路を走行している場合には、前述した走行車線の認識処理を行なう（Ｓ３０８）。そして、自車両の現在位置、進行方向、自車両の走行している車線（又はスイッチ操作に応じて選択された車線；図中、該当車線と表記した）等を含む要求信号を情報センター１００に送信するように通信装置５０を制御する（Ｓ３１０）。
【００６０】
情報センター１００は、これを受信すると（Ｓ４０６）、受信した現在位置、進行方向、車線に応じた交通情報（車線毎）を抽出して、これを車載ナビゲーション装置１に返信する（Ｓ４０８）。
【００６１】
車載ナビゲーション装置１では、受信した交通情報を表示するようにディスプレイ装置２２を制御する（Ｓ３１２、３１４）。
【００６２】
一方、自車両が１車線の道路を走行している場合には、Ｓ３０４において情報センター１００から受信した交通情報を表示するようにディスプレイ装置２２を制御する（Ｓ３１６）。
【００６３】
以降、Ｓ３０６〜Ｓ３１６の処理を、目的地に到達するまでの間、繰り返し実行する（Ｓ３１８）。
【００６４】
本実施例の車載ナビゲーション装置２によれば、より見やすい画像表示を行なうことができる。また、ユーザーの操作（又は音声入力）に応じて、ユーザーが必要とする情報を表示するように切替えることができる。
【００６５】
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【００６６】
例えば、経路案内を行なわずに、単に交通情報を表示する装置として構成されてもよい。
【００６７】
また、地図データ３２の一部（車線数等）を情報センター１００に保持する構成であってもよい。この場合、自車両が２車線以上の道路を走行しているか否かを判定する際に、情報センター１００に自車両の現在位置と進行方向を送信して、車線数を取得することとなる。
【産業上の利用可能性】
【００６８】
本発明は、自動車製造業や自動車部品製造業等に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【００６９】
【図１】車載ナビゲーション装置１の全体構成の一例を示す図である。
【図２】車外カメラ４０が撮像した画像の一例を示す図である。
【図３】車線変更の検出の具体的手法を説明するための説明図である。
【図４】自車両の走行している車線についての交通情報が道路画像に重畳表示されたディスプレイ装置２２の画像例である。
【図５】車線を選択して表示を行なわない場合の表示画像の例である。
【図６】第１実施例に係る車載ナビゲーション装置１と情報センター１００が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
【図７】第２実施例に係る車載ナビゲーション装置２と情報センター１００が実行する特徴的な処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【００７０】
１、２ 車載ナビゲーション装置
１０ ＧＰＳ受信機
１５ ＩＮＳ用センサー
２０ ＨＭＩ
２２ ディスプレイ装置
２２Ａ 交通情報表示車線変更スイッチ
３０ 記憶装置
３２ 地図データ
４０ FM多重放送受信機
４５ ビーコン受信機
５０ 通信装置
６０ ナビゲーション装置用ＥＣＵ
６１ 目的地設定部
６２ 現在位置特定部
６３ 通信制御部
６４ 音声制御部
６５ 走行車線認識部
６６ 表示制御部
８０ 無線基地局
９０ ネットワーク
１００ 情報センター
【特許請求の範囲】
【請求項１】
車外設備から車線毎の交通情報を受信する通信手段と、
自車両の走行している車線を認識する走行車線認識手段と、
前記受信手段により受信された交通情報のうち、前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線についての情報を選択し、該選択した情報が表示されるように表示手段を制御する制御手段と、
を備える車載ナビゲーション装置。
【請求項２】
ユーザー入力を受け付け可能な受付手段を備え、
前記制御手段は、前記受付手段に所定のユーザー入力がなされた場合には、前記受信手段により受信された交通情報のうち、前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線以外の車線についての情報を選択し、該選択した情報が表示されるように表示手段を制御する手段である、
請求項１に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項３】
車外設備との通信を行なう通信手段と、
自車両の走行している車線を認識する走行車線認識手段と、
前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線を含む情報を前記車外設備に送信するように前記通信手段を制御すると共に、前記通信手段により受信された車線についての交通情報が表示されるように表示手段を制御する制御手段と、
を備える車載ナビゲーション装置。
【請求項４】
ユーザー入力を受け付け可能な受付手段を備え、
前記制御手段は、前記受付手段に所定のユーザー入力がなされた場合には、該所定のユーザー入力に応じて前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線から変更された車線を含む情報を前記車外設備に送信するように前記通信手段を制御する手段である、
請求項３に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項５】
前記走行車線認識手段は、
車両周辺を撮像する撮像手段と、
該撮像手段の撮像画像を解析して自車両の走行している車線を認識する画像解析手段と、
を含む、
請求項１ないし４のいずれか１項に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項６】
前記走行車線認識手段は、車線情報を記憶した記憶手段を更に含み、
前記画像解析手段は、前記撮像手段の撮像画像における道路区画線を認識すると共に、該認識した道路区画線を前記記憶手段に記憶された車線情報と比較して自車両の走行している車線を認識する手段である、
請求項５に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項７】
前記走行車線認識手段は、
前記撮像手段の撮像画像における道路区画線の移動を認識して、自車両が車線を跨いだことを認識する手段である、
請求項５又は６に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項１】
車外設備から車線毎の交通情報を受信する通信手段と、
自車両の走行している車線を認識する走行車線認識手段と、
前記受信手段により受信された交通情報のうち、前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線についての情報を選択し、該選択した情報が表示されるように表示手段を制御する制御手段と、
を備える車載ナビゲーション装置。
【請求項２】
ユーザー入力を受け付け可能な受付手段を備え、
前記制御手段は、前記受付手段に所定のユーザー入力がなされた場合には、前記受信手段により受信された交通情報のうち、前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線以外の車線についての情報を選択し、該選択した情報が表示されるように表示手段を制御する手段である、
請求項１に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項３】
車外設備との通信を行なう通信手段と、
自車両の走行している車線を認識する走行車線認識手段と、
前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線を含む情報を前記車外設備に送信するように前記通信手段を制御すると共に、前記通信手段により受信された車線についての交通情報が表示されるように表示手段を制御する制御手段と、
を備える車載ナビゲーション装置。
【請求項４】
ユーザー入力を受け付け可能な受付手段を備え、
前記制御手段は、前記受付手段に所定のユーザー入力がなされた場合には、該所定のユーザー入力に応じて前記走行車線認識手段により認識された自車両の走行している車線から変更された車線を含む情報を前記車外設備に送信するように前記通信手段を制御する手段である、
請求項３に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項５】
前記走行車線認識手段は、
車両周辺を撮像する撮像手段と、
該撮像手段の撮像画像を解析して自車両の走行している車線を認識する画像解析手段と、
を含む、
請求項１ないし４のいずれか１項に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項６】
前記走行車線認識手段は、車線情報を記憶した記憶手段を更に含み、
前記画像解析手段は、前記撮像手段の撮像画像における道路区画線を認識すると共に、該認識した道路区画線を前記記憶手段に記憶された車線情報と比較して自車両の走行している車線を認識する手段である、
請求項５に記載の車載ナビゲーション装置。
【請求項７】
前記走行車線認識手段は、
前記撮像手段の撮像画像における道路区画線の移動を認識して、自車両が車線を跨いだことを認識する手段である、
請求項５又は６に記載の車載ナビゲーション装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【公開番号】特開２００９−１６８７７９（Ｐ２００９−１６８７７９Ａ）
【公開日】平成２１年７月３０日（２００９．７．３０）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−１０４０３（Ｐ２００８−１０４０３）
【出願日】平成２０年１月２１日（２００８．１．２１）
【出願人】（０００００３２０７）トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年７月３０日（２００９．７．３０）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１月２１日（２００８．１．２１）
【出願人】（０００００３２０７）トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Ｆターム（参考）】
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