説明

運転状態警告システム、運転状態警告方法及びプログラム

【課題】運転者が眠気を催したときに、運転者に対して適正なタイミングで警告を行うことができるようにする。
【解決手段】運転者の生理情報を取得する生理情報取得処理手段と、前記生理情報に基づいて、運転者の覚醒状態からの状態の変化の度合いを表す状態変化指標を算出する状態変化指標算出処理手段と、前記状態変化指標に応じて、異なるタイミングで運転者に対して警告を行う警告処理手段とを有する。運転者の覚醒状態からの状態の変化の度合いを表す状態変化指標に応じて、異なるタイミングで運転者に対して警告が行われるので、運転者が眠気を催したときに運転者に対して適正なタイミングで警告が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転状態警告システム、運転状態警告方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両において、運転者が眠気を催した状態で車両を運転すると、運転状態が不安定になり、車速が変化したり、車間距離が変化したりしてしまう。
【0003】
そこで、運転中の運転者の心拍数、眼の瞬き等の運転者の生理データ、及び走行している道路種別、連続運転時間、運転時間帯等の車両の道路走行データに基づいて眠気を判定するためのパラメータ、すなわち、眠気判定パラメータが算出され、該眠気判定パラメータが閾(しきい)値より大きいかどうかが判定され、眠気判定パラメータが眠気判定閾値より大きい場合、運転者が眠気を催していると判断され、運転者に対して警告が行われ、運転者が覚醒させられるようにした運転状態警告システムが提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平8−140949号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記運転状態警告システムにおいては、連続運転時間が長かったり、運転時間帯が深夜であったりする場合、眠気判定パラメータを大きくすることによって警告を行いやすくしているが、運転者が運転を開始する前に、例えば、スキー場でスキーをしていたり、レストランで食事をしていたりして、覚醒状態から急激に眠気を催した場合、通常と同じタイミングで警告を行っても、運転者を十分に覚醒させることができない。
【0005】
本発明は、前記従来の運転状態警告システムの問題点を解決して、運転者が眠気を催したときに、運転者に対して適正なタイミングで警告を行うことができる運転状態警告システム、運転状態警告方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の運転状態警告システムにおいては、運転者の生理情報を取得する生理情報取得処理手段と、前記生理情報に基づいて、運転者の覚醒状態からの状態の変化の度合いを表す状態変化指標を算出する状態変化指標算出処理手段と、前記状態変化指標に応じて、異なるタイミングで運転者に対して警告を行う警告処理手段とを有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、運転者の覚醒状態からの状態の変化の度合いを表す状態変化指標に応じて、異なるタイミングで運転者に対して警告が行われるので、運転者が眠気を催したときに運転者に対して適正なタイミングで警告が行われる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、この場合、運転状態警告システムとしてのナビゲーションシステムについて説明する。
【0009】
図1は本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【0010】
図において、14は情報端末、例えば、車両に搭載された車載装置としてのナビゲーション装置、63はネットワーク、51は情報提供者としての情報センタであり、ナビゲーション装置14、ネットワーク63、情報センタ51等によってナビゲーションシステムが構成される。
【0011】
前記ナビゲーション装置14は、車両の現在地を自車位置として、車両の方位を自車方位として検出する現在地検出部としてのGPSセンサ15、図示されない地図データのほかに各種の情報が記録された情報記録部としてのデータ記録部16、ナビゲーション処理等の各種の演算処理を行うナビゲーション処理部17、操作者である運転者が操作することによって所定の入力を行うための第1の入力部としての操作部34、図示されない画面に表示された画像によって各種の表示を行い、運転者に通知するための第1の出力部としての表示部35、運転者が音声によって所定の入力を行うための第2の入力部としての音声入力部36、音声出力を行い、各種の情報を運転者に通知するための第2の出力部としての音声出力部37、及び通信端末として機能する送受信部としての通信部38を備え、前記ナビゲーション処理部17に、GPSセンサ15、データ記録部16、操作部34、表示部35、音声入力部36、音声出力部37及び通信部38が接続される。また、前記ナビゲーション処理部17には、車速を検出する車速検出部としての車速センサ44等が接続される。そして、前記GPSセンサ15は、自車位置及び自車方位のほかに時刻を検出する。なお、GPSセンサ15とは独立させて方位センサを配設することによって自車方位を検出することができる。
【0012】
また、前記ナビゲーション処理部17には、車内の所定の箇所、本実施の形態においては、運転席に着座している運転者の顔と対向する位置に取り付けられ、運転者の顔を撮影する撮像装置としてのカメラ48が接続され、該カメラ48は、CCDセンサ、電子マイクロカメラ、レンズを内蔵したMOSセンサ等から成り、運転者の顔を撮影すると、画像データをナビゲーション装置14に送る。
【0013】
前記データ記録部16には、地図データファイルから成る地図データベースが配設され、該地図データベースに地図データが記録される。該地図データには、交差点(分岐点)に関する交差点データ、ノードに関するノードデータ、道路リンクに関する道路データ、探索用に加工された探索データ、施設に関する施設データ等が含まれるほか、道路上の地物に関する地物データが含まれる。
【0014】
さらに、前記データ記録部16には、統計データファイルから成る統計データベース、走行履歴データファイルから成る走行履歴データベース等が形成され、前記統計データファイルに統計データが、前記走行履歴データファイルに走行履歴データが、いずれも実績データとして記録される。
【0015】
前記データ記録部16は、前記各種のデータを記録するために、ハードディスク、CD、DVD、光ディスク等の図示されないディスクを備えるほかに、各種のデータを読み出したり、書き込んだりするための読出・書込ヘッド等の図示されないヘッドを備える。また、前記データ記録部16において、メモリカード等を使用することができる。なお、前記各ディスク、メモリカード等によって外部記憶装置が構成される。
【0016】
本実施の形態においては、前記データ記録部16に、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等が配設されるようになっているが、情報センタ51において、前記地図データベース、統計データベース、走行履歴データベース等を配設することもできる。
【0017】
また、前記ナビゲーション処理部17は、ナビゲーション装置14の全体の制御を行う制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU31、該CPU31が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM32、制御用のプログラムのほか、目的地までの経路の探索、経路案内等を行うための各種のプログラムが記録されたROM33、各種のデータ、プログラム等を記録するために使用される図示されないフラッシュメモリ等を備える。なお、前記RAM32、ROM33、フラッシュメモリ等によって、内部記憶装置が構成される。
【0018】
前記操作部34として、表示部35とは独立させて配設された図示されないキーボード、マウス等を使用することができる。また、前記操作部34として、前記表示部35に形成された画面に画像で表示された各種のキー、スイッチ、ボタン等の画像操作部をタッチ又はクリックすることによって、所定の入力操作を行うことができるようにしたタッチパネルを使用することもできる。
【0019】
前記表示部35としてディスプレイが使用され、表示部35に形成された各種の画面に、自車位置、自車方位等を表示したり、地図、探索経路、該探索経路に沿った案内情報、交通情報等を表示したり、探索経路における次の交差点までの距離、次の交差点における進行方向等を表示したりすることができる。
【0020】
また、音声入力部36は、図示されないマイクロホン等によって構成され、音声によって必要な情報を入力することができる。さらに、音声出力部37は、図示されない音声合成装置及びスピーカを備え、前記探索経路の経路案内を音声出力によって行うことができる。
【0021】
前記通信部38は、道路交通情報センタから送信された現況の交通情報、一般情報等の各種の情報を受信するための図示されないビーコンレシーバ、前記各種の情報をFM放送局を介してFM多重放送として受信するための図示されないFM受信機等を備える。そして、通信部38は、前記情報センタ51から、交通情報、一般情報等の情報のほかに、前記地図データ、統計データ、走行履歴データ等のデータを、ネットワーク63を介して受信することができる。
【0022】
そのために、前記情報センタ51は、サーバ53、該サーバ53に接続された通信部57、情報記録部としてのデータベース(DB)58等を備え、前記サーバ53は、制御装置としての、かつ、演算装置としてのCPU54、RAM55、ROM56等を備える。また、前記データベース58に、前記データ記録部16に記録された各種のデータと同様のデータが記録される。
【0023】
なお、前記ナビゲーションシステム、ナビゲーション処理部17、CPU31、54、サーバ53等は、単独で、又は二つ以上組み合わせることによってコンピュータとして機能し、各種のプログラム、データ等に基づいて演算処理を行う。また、前記データ記録部16、RAM32、55、ROM33、56、データベース58、フラッシュメモリ等によって記録媒体が構成される。そして、演算装置として、CPU31、54に代えてMPU等を使用することもできる。
【0024】
次に、前記構成のナビゲーションシステムの基本動作について説明する。
【0025】
まず、運転者によって操作部34が操作され、ナビゲーション装置14が起動されると、CPU31の図示されない初期化処理手段は、初期化処理を行い、GPSセンサ15によって検出された自車位置及び自車方位を読み込むとともに、各種のデータを初期化する。なお、前記CPU31の図示されないマッチング処理手段は、マッチング処理を行い、読み込まれた自車位置の軌跡、及び自車位置の周辺の道路を構成する各道路リンクの形状、配列等に基づいて、自車位置がいずれの道路リンク上に位置するかの判定を行うことによって、自車位置を特定する。
【0026】
続いて、CPU31の図示されない基本情報取得処理手段は、基本情報取得処理を行い、前記地図データを、データ記録部16から読み出して取得するか、又は通信部38及びネットワーク63を介して情報センタ51等から受信して取得する。
【0027】
そして、前記CPU31の図示されない表示処理手段は、表示処理を行い、前記表示部35に地図画面を形成し、該地図画面に自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位を表示する。したがって、運転者は、前記自車位置、自車位置の周辺の地図及び自車方位に従って車両を走行させることができる。
【0028】
また、運転者が操作部34を操作して目的地を入力すると、CPU31の図示されない目的地設定処理手段は、目的地設定処理を行い、目的地を設定する。なお、必要に応じて出発地を入力し、設定することもできる。また、あらかじめ所定の地点を登録しておき、登録された地点を目的地として設定することができる。続いて、運転者が操作部34を操作して探索条件を入力すると、CPU31の図示されない経路探索処理手段は、経路探索処理を行い、前記自車位置、目的地、探索条件等を読み込むとともに、データ記録部16から探索データ等を読み出し、自車位置、目的地及び探索データに基づいて、自車位置で表される出発地から目的地までの経路を前記探索条件で探索し、探索経路を表す経路データを出力する。この場合、各道路リンクごとに付与されたリンクコストの合計が最も小さい経路が探索経路とされる。
【0029】
なお、前記情報センタ51において経路探索処理を行うことができる。その場合、CPU31は、自車位置、自車方位、目的地、探索条件等を通信部38及びネットワーク63を介して情報センタ51に送信する。該情報センタ51が前記自車位置、自車方位、目的地、探索条件等を受信すると、CPU54の図示されない経路探索処理手段は、CPU31と同様の経路探索処理を行い、データベース58から探索データ等を読み出し、自車位置、自車方位、目的地、探索条件等に基づいて、出発地から目的地までの経路を探索し、探索経路を表す経路データを出力する。次に、CPU54の図示されない送信処理手段は、送信処理を行い、前記経路データをネットワーク63を介してナビゲーション装置14に送信する。
【0030】
続いて、前記CPU31の図示されない案内処理手段は、案内処理を行い、経路案内を行う。そのために、前記案内処理手段の経路表示処理手段は、経路表示処理を行い、前記経路データを読み込み、該経路データに従って前記地図画面に探索経路を表示する。この場合、必要に応じて、前記案内処理手段の音声出力処理手段は、音声出力処理を行い、音声出力部37から探索経路を音声で出力して経路案内を行う。
【0031】
また、前記案内処理手段の案内点拡大図形成処理手段は、案内点拡大図形成処理を行い、車両が案内交差点に到達する前に、地図画面の所定の領域に案内交差点の拡大図、すなわち、案内点拡大図としての交差点拡大図を形成し、該交差点拡大図による経路案内を行う。そのために、探索経路上の前記案内交差点より手前(自車位置側)の、設定された距離だけ離れた箇所に、案内点拡大図表示地点が設定され、車両が案内点拡大図表示地点に到達すると、表示部35に前記交差点拡大図が形成される。
【0032】
この場合、該交差点拡大図に、前記案内交差点の周辺の地図、探索経路、案内交差点において目印になる施設等の陸標が表示される。
【0033】
また、前記表示処理手段は、通信部38を介して交通情報を受信すると、交通情報を交通状況指標としての渋滞帯に変換し、該渋滞帯を前記地図画面上の道路に沿って表示する。この場合、前記渋滞帯は、渋滞の始点から終点まで延在させて表示され、かつ、渋滞の度合いに応じて渋滞帯の色が、赤、橙(だいだい)、緑等に変更される。このようにして、運転者は、車両を走行させる予定の経路、探索経路等における道路の渋滞状況を知ることができる。
【0034】
ところで、運転者が眠気を催した状態で車両を運転すると、運転状態が不安定になり、車速が変化したり、車間距離が変化したりしてしまう。
【0035】
そこで、本実施の形態においては、運転中の運転者の眼の瞬きに基づいて、運転者が覚醒状態にあるかどうかを判断し、運転者が覚醒状態になく、眠気を催していると判断された場合、運転者に対して警告を行うことによって、運転者を覚醒させるようにしている。
【0036】
図2は本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフローチャート、図3は本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を説明する第1のタイムチャート、図4は本発明の実施の形態における第1の覚醒状態判定マップを示す図、図5は本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を説明する第2のタイムチャート、図6は本発明の実施の形態における第2の覚醒状態判定マップを示す図である。
【0037】
この場合、まず、CPU31の図示されない覚醒状態判定処理手段は、覚醒状態判定処理を行い、運転者が覚醒状態にあるかどうかを判断する。
【0038】
そのために、前記覚醒状態判定処理手段の画像処理手段は、画像処理を行い、カメラ48から画像データを受けると、該画像データのうちの運転者の顔を表すデータ、すなわち、顔データを抽出し、抽出された顔データと、あらかじめROM33に記録された顔データとを比較し、画像認識を行い、運転者が瞬きをしたかどうかを判断し、画像認識情報としての、かつ、画像認識信号としての瞬き信号を発生させる。該瞬き信号は、例えば、図3に示されるようなパルス信号によって構成され、瞬きによって眼が閉じられている間、パルスがハイレベルにされ、眼が開かれている間、パルスがローレベルにされる。なお、眼が閉じられている間、パルスをローレベルにし、眼が開かれている間、パルスをハイレベルにすることもできる。
【0039】
続いて、前記覚醒状態判定処理手段の生理情報取得処理手段は、生理情報取得処理を行い、運転者の生理情報を取得する。本実施の形態においては、生理情報として、運転者が瞬きをしたときに、眼が第1の状態に置かれる時間、本実施の形態においては、運転者の眼が閉じられている時間を表す閉眼時間が使用される。この場合、前記生理情報取得処理手段は、前記瞬き信号を読み込み、瞬きがあるごとの、パルスがハイレベルである時間を読み込み、該時間を閉眼時間として取得する。
【0040】
なお、眼が第2の状態に置かれる時間、本実施の形態においては、運転者の眼が開かれている時間を表す開眼時間を使用することもできる。この場合、前記生理情報取得処理手段は、前記瞬き信号を読み込み、瞬きがあるごとの、パルスがローレベルである時間を読み込み、該時間を開眼時間として取得する。
【0041】
続いて、前記覚醒状態判定処理手段の覚醒状態判定値算出処理手段は、覚醒状態判定値算出処理を行い、運転者が覚醒状態にあるかどうかを判定するための値である覚醒状態判定値を算出する。本実施の形態において、前記覚醒状態判定値算出処理手段は、覚醒状態判定値として、一定の時間が経過するごと、本実施の形態においては、5秒が経過するごとのタイミングtj(j=0、1、…)で、前記閉眼時間の合計を表す時間加算値としての閉眼時間加算値si(i=1、2、…)を算出する。
【0042】
次に、前記覚醒状態判定処理手段の状態変化指標算出処理手段としての眠気度変化度算出処理手段は、状態変化指標算出処理としての眠気度変化指標算出処理を行い、閉眼時間加算値siの変化率を、眠気度変化度εi(i=1、2、…)として算出する。この場合、前記閉眼時間加算値siにおいて、今回の閉眼時間加算値をskとし、前回の閉眼時間加算値をs(k−1)としたとき、眠気度変化度εiは、前回の閉眼時間加算値s(k−1)に対する今回の閉眼時間加算値skの比である
εi=sk/s(k−1)
で表すことができる。前記眠気度変化度εiは、運転者の覚醒状態からの状態の変化度合い、すなわち、覚醒状態からどの程度急激に眠気を催しているかを表す指標であり、眠気度変化度εiが大きいほど、眠気を催す速度が高いことを表し、眠気度変化度εiが小さいほど、眠気を催す速度が低いことを表す。
【0043】
なお、本実施の形態においては、眠気度変化度εiは、前回の閉眼時間加算値s(k−1)に対する今回の閉眼時間加算値skの比で表されるようになっているが、他の関数等によって表すこともできる。
【0044】
続いて、前記覚醒状態判定処理手段の状態変化指標判定処理手段としての眠気度変化度判定処理手段は、状態変化指標判定処理としての眠気度変化指標判定処理を行い、眠気度変化度εiが所定値、本実施の形態においては、1.5以上であるかどうかを判断する。
【0045】
そして、前記CPU31の図示されない警告処理手段は、警告処理を行い、眠気度変化度εiに対応させて設定された閾値に基づいて、異なるタイミングで運転者に対して警告を行う。
【0046】
すなわち、前記眠気度変化度εiが1.5より小さい場合、運転者が眠気を催す速度が低く、覚醒状態から緩やかに眠気を催していることが推定されるので、警告処理手段は、運転者を覚醒させるための警告を通常のタイミングで行う。
【0047】
そのために、前記眠気度変化度εiが1.5より小さい場合、前記CPU31の図示されない閾値設定処理手段は、閾値設定処理を行い、ROM33に設定された図4の第1の覚醒状態判定マップを参照し、第1の閾値sth1、本実施の形態においては、2秒を設定し、閉眼時間加算値siが2秒以上であるかどうかを判断する。そして、閉眼時間加算値siが2秒以上である場合、前記警告処理手段は、運転者に対して警告を行うことによって、居眠り状態であることを通知する。なお、運転者に対する警告は、音声出力部37による音声出力、図示されない振動装置による座席の振動等によって行われる。
【0048】
図3に示される例において、各タイミングt2〜t5における眠気度変化度εiは、いずれも1.5より小さいので、第1の閾値sth1である2秒が設定される。そして、タイミングt1〜t4までは閉眼時間加算値siが2秒より短いが、タイミングt5になると、閉眼時間加算値siが2秒以上になるので、タイミングt5で運転者に対する警告が行われる。
【0049】
また、前記眠気度変化度εiが1.5以上である場合、前記閾値設定処理手段は、ROM33に設定された図6の第2の覚醒状態判定マップを参照し、閾値を変更して第2の閾値sth2、本実施の形態においては、1秒を設定し、閉眼時間加算値siが1秒以上であるかどうかを判断する。そして、閉眼時間加算値siが1秒以上である場合、前記警告処理手段は、運転者に対して警告を行うことによって、居眠り状態であることを通知する。
【0050】
図5に示される例において、タイミングt2における眠気度変化度εiは、1.5以上であるので、タイミングt2で閾値が変更され、第2の閾値sth2である1秒が設定される。そして、タイミングt1、t2までは閉眼時間加算値siが1秒より短いが、タイミングt3になると、閉眼時間加算値siが1秒以上になるので、タイミングt3で運転者に対する警告が行われる。
【0051】
このように、眠気度変化度εiが1.5以上である場合、運転者が運転を開始する前に、例えば、スキー場でスキーをしていたり、レストランで食事をしていたりして、眠気を催す速度が高く、覚醒状態から急激に眠気を催していることが推定されるので、閉眼時間加算値siの閾値が変更され、小さくされる。したがって、運転者を覚醒させるための警告を、通常より早いタイミングで行うことができる。
【0052】
このように、本実施の形態においては、運転者の覚醒状態からの状態の変化の度合いを表す眠気度変化度εiに応じて、異なるタイミングで運転者に対して警告が行われるので、運転者が眠気を催したときに適正なタイミングで運転者に対して警告を行うことができる。
【0053】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 所定の時間ごとの閉眼時間加算値を算出する。
ステップS2 眠気度変化度εiを算出する。
ステップS3 眠気度変化度εiが所定値以上であるかどうかを判断する。眠気度変化度εiが所定値以上である場合はステップS4に、所定値より小さい場合はステップS5に進む。
ステップS4 第2の閾値sth2を設定する。
ステップS5 第1の閾値sth1を設定する。
ステップS6 閉眼時間加算値siと設定された閾値とを比較する。
ステップS7 閉眼時間加算値siが閾値以上であるかどうかを判断する。閉眼時間加算値siが閾値以上である場合はステップS8に進み、閾値より小さい場合はステップS1に戻る。
ステップS8 警告処理を行い、処理を終了する。
【0054】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態におけるナビゲーションシステムを示す図である。
【図2】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を説明する第1のタイムチャートである。
【図4】本発明の実施の形態における第1の覚醒状態判定マップを示す図である。
【図5】本発明の実施の形態におけるナビゲーション装置の動作を説明する第2のタイムチャートである。
【図6】本発明の実施の形態における第2の覚醒状態判定マップを示す図である。
【符号の説明】
【0056】
14 ナビゲーション装置
31 CPU
33、56 ROM
48 カメラ
51 情報センサ
63 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の生理情報を取得する生理情報取得処理手段と、前記生理情報に基づいて、運転者の覚醒状態からの状態の変化の度合いを表す状態変化指標を算出する状態変化指標算出処理手段と、前記状態変化指標に応じて、異なるタイミングで運転者に対して警告を行う警告処理手段とを有することを特徴とする運転状態警告システム。
【請求項2】
運転者の顔を撮影し、画像データを生成する撮像装置と、該撮像装置から送られた画像データに基づいて画像処理を行い、画像認識信号を発生させる画像処理手段とを有するとともに、前記生理情報は、運転者が瞬きをしたときに眼が所定の状態に置かれる時間であり、前記画像認識信号から取得される請求項1に記載の運転状態警告システム。
【請求項3】
運転者が瞬きをしたときに眼が所定の状態に置かれる時間に基づいて、運転者が覚醒状態にあるかどうかを判定するための覚醒状態判定値を算出する覚醒状態判定値算出処理手段を有するとともに、前記警告処理手段は、覚醒状態判定値と、状態変化指標に対応させて設定された閾値とを比較し、比較結果に基づいて運転者に対して警告を行う請求項2に記載の運転状態警告システム。
【請求項4】
前記運転者が瞬きをしたときに眼が所定の状態に置かれる時間は閉眼時間である請求項2又は3に記載の運転状態警告システム。
【請求項5】
前記状態変化指標は、所定の時間ごとに算出された閉眼時間の合計を表す閉眼時間加算値の変化率である請求項2〜4のいずれか1項に記載の運転状態警告システム。
【請求項6】
運転者の生理情報を取得し、該生理情報に基づいて、運転者の覚醒状態からの状態の変化の度合いを表す状態変化指標を算出し、該状態変化指標に応じて、異なるタイミングで運転者に対して警告を行うことを特徴とする運転状態警告方法。
【請求項7】
コンピュータを、運転者の生理情報を取得する生理情報取得処理手段、前記生理情報に基づいて、運転者の覚醒状態からの状態の変化の度合いを表す状態変化指標を算出する状態変化指標算出処理手段、及び前記状態変化指標に応じて、異なるタイミングで運転者に対して警告を行う警告処理手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−230247(P2009−230247A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−72156(P2008−72156)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(591261509)株式会社エクォス・リサーチ (1,360)
【Fターム(参考)】