説明

開口部の形成方法及び半導体装置の作製方法

【課題】少なくともフォトマスクの枚数を増加させることなく、積層構造の下部の導電層が露出するように該導電層上の絶縁膜に対する開口部の形成方法を提供する。
【解決手段】開口部が設けられる部分の積層構造の下部の導電層を、該開口部を形成するフォトマスクと同一のフォトマスクを用いて形成されたエッチングマスクにより予め露出させ、その後保護絶縁膜を形成し、前記積層構造の上部の導電層が開口部において露出されないように、保護絶縁膜に開口部を形成する。このような開口部の形成方法は、半導体装置の作製方法に適用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄膜への開口部の形成方法及び半導体装置の作製方法に関する。なお、本明細書において、半導体装置とは、半導体素子自体または半導体素子を含むものをいい、このような半導体素子として、例えばトランジスタ(薄膜トランジスタなど)が挙げられる。また、液晶表示装置などの表示装置も半導体装置に含まれる。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置は人間の生活に欠かせないものとなっている。このような半導体装置に含まれる薄膜トランジスタなどの半導体素子は、基板上に薄膜を形成し、該薄膜をフォトリソグラフィ法などにより所望の形状に加工することで作製される。このような作製方法は、例えば、液晶表示装置(例えば、液晶テレビ)にも適用されている。フォトリソグラフィ法においてマスクの枚数を削減することは、工程の簡略化のために重要である。そのため、作製工程におけるマスクの枚数を削減するために、数多くの技術開発がなされている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1には、第1の薄膜上の第1のレジストマスクを用いて、該第1の薄膜をエッチングして第1の薄膜層を形成し、該第1のレジストマスクを除去し、該第1の薄膜層上に第2の薄膜を形成し、該第2の薄膜上に第2のレジストマスクを形成し、該第2の薄膜上の第2のレジストマスクを用いて、該第2の薄膜をエッチングして第2の薄膜層を形成し、該第1のレジストマスクと該第2のレジストマスクを同一のフォトマスクにより形成することで、フォトマスクの枚数を削減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−246348号公報
【特許文献2】特開2006−113571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図12(A)及び(B)は、液晶表示装置に設けられる従来の逆スタガ型薄膜トランジスタの断面図の一例を示す。図12(A)に示す薄膜トランジスタでは、基板500上にゲート電極層502が設けられ、ゲート電極層502を覆ってゲート絶縁層504が設けられ、ゲート絶縁層504上に凹部を有する半導体層506が設けられ、半導体層506上に凹部と重畳しない不純物半導体層508が設けられ、少なくとも不純物半導体層508上の一部に接して、導電層510と導電層512が積層されたソース電極及びドレイン電極層516が設けられ、ゲート絶縁層504、半導体層506、不純物半導体層508、ソース電極及びドレイン電極層516を覆って保護絶縁層518が設けられ、保護絶縁層518上に画素電極層522が設けられ、導電層512と画素電極層522は開口部520を介して接続されている。
【0006】
しかしながら、図12(A)に示す構造では、開口部520において露出される層がAl層であり、画素電極層522が例えばITO(インジウム錫酸化物)層である場合には、Al層とITO層が接触し、電蝕が生じてしまう(例えば、特許文献2[0007]段落を参照)。従って、この場合にも該開口部におけるコンタクト抵抗が非常に高くなるという問題がある。
【0007】
前記問題点に鑑み、半導体層に凹部を形成する際(CFガスを用いたエッチング工程の際)にはTi層が露出されておらず、半導体層に凹部を形成した後にTi層を露出させ、該Ti層をITO層と接続させればよい。このような構造を有する薄膜トランジスタとしては、図12(B)に示すものが挙げられる。
【0008】
図12(B)に示す薄膜トランジスタでは、基板600上にゲート電極層602が設けられ、ゲート電極層602を覆ってゲート絶縁層604が設けられ、ゲート絶縁層604上に凹部を有する半導体層606が設けられ、半導体層606上に凹部と重畳しない不純物半導体層608が設けられ、少なくとも不純物半導体層608上の一部に接して、導電層610と導電層612が積層されたソース電極及びドレイン電極層616が設けられ、ゲート絶縁層604、半導体層606、不純物半導体層608、ソース電極及びドレイン電極層616を覆って保護絶縁層618が設けられ、保護絶縁層618上に画素電極層622が設けられ、導電層610上には導電層612が設けられていない領域を有し、導電層610と画素電極層622は開口部620を介して接続されている。
【0009】
しかしながら、図12(B)に示す薄膜トランジスタを作製するに際しては、導電層610上に導電層612が設けられていない領域を形成するために使用するマスクの枚数が一枚増加する。
【0010】
そこで、本発明の一態様は、少なくともフォトマスクの枚数を増加させることなく、積層構造の下部の導電層が露出するように該導電層上の絶縁膜に開口部を形成する方法を提供することを課題とする。
【0011】
本発明の一態様は、少なくともフォトマスクの枚数を増加させることなく、積層構造の下部の導電層が露出した構造を有する半導体装置の作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一態様においては、開口部が設けられる部分の積層構造の下部の導電層を、該開口部を形成するフォトマスクと同一のフォトマスクを用いて形成されたエッチングマスクにより予め露出させ、その後保護絶縁膜を形成し、前記積層構造の上部の導電層が開口部において露出されないように、保護絶縁膜に開口部を形成する。このような開口部の形成方法は、半導体装置の作製方法に適用することができる。
【0013】
本発明の一態様は、基板上に第1の導電膜と第2の導電膜を形成し、前記第2の導電膜上に第1のエッチングマスクを形成し、前記第1のエッチングマスクを用いて前記第2の導電膜をエッチングすることで導電層を形成し、前記第1のエッチングマスクを除去し、前記第1の導電膜及び前記導電層上に絶縁膜を形成し、前記絶縁膜上に第2のエッチングマスクを形成し、前記第2のエッチングマスクを用いて前記絶縁膜に開口部を形成し、前記第1のエッチングマスクと前記第2のエッチングマスクは同一のフォトマスクにより形成されることを特徴とする開口部の形成方法である。
【0014】
本発明の一態様は、基板上に第1の導電膜と第2の導電膜を形成し、前記第2の導電膜上に第1のエッチングマスクを形成し、前記第1のエッチングマスクを縮小させて、縮小された第1のエッチングマスクを形成し、前記縮小された第1のエッチングマスクを用いて前記第2の導電膜をエッチングすることで導電層を形成し、前記縮小された第1のエッチングマスクを除去し、前記第1の導電膜及び前記導電層上に絶縁膜を形成し、前記絶縁膜上に第2のエッチングマスクを形成し、前記第2のエッチングマスクを用いて前記絶縁膜に開口部を形成し、前記第1のエッチングマスクと前記第2のエッチングマスクは同一のフォトマスクにより形成されることを特徴とする開口部の形成方法である。
【0015】
前記構成の開口部の形成方法において、前記第1のエッチングマスクはレジストマスクであり、前記縮小された第1のエッチングマスクは、前記第1のエッチングマスクを酸素プラズマによりアッシングすることで形成されることが好ましい。
【0016】
本発明の一態様は、第1のエッチングマスクを用いて第1の導電膜を加工することで第1の導電層を形成し、前記第1のエッチングマスクを除去し、前記第1の導電層を覆ってゲート絶縁層を形成し、前記ゲート絶縁層上に、半導体膜及び第2のエッチングマスクを形成し、前記第2のエッチングマスクを用いて前記半導体膜を加工して薄膜積層体を形成し、前記第2のエッチングマスクを除去し、前記ゲート絶縁層及び前記薄膜積層体上に第2の導電膜及び第3の導電膜を形成し、前記第3の導電膜上に第3のエッチングマスクを形成し、前記第3の導電膜を縮小させるように加工してエッチングされた第3の導電膜を形成し、前記第3のエッチングマスクを除去し、前記エッチングされた第3の導電膜上に第4のエッチングマスクを形成し、前記第4のエッチングマスクを用いて前記第2の導電膜及び前記エッチングされた第3の導電膜を加工して第2の導電層及び第3の導電層を形成し、前記第4のエッチングマスクを用いて薄膜積層体を加工することで半導体層を有する薄膜トランジスタを形成し、前記第4のエッチングマスクを除去し、前記薄膜トランジスタを覆って保護絶縁膜を形成し、前記保護絶縁膜上に第5のエッチングマスクを形成し、前記第5のエッチングマスクを用いて前記保護絶縁膜を加工することで、前記第3の導電層を覆ったまま前記第2の導電層を露出して開口部を有する保護絶縁層を形成し、前記開口部を介して前記第2の導電層に接続されるように第4の導電膜を形成し、前記第3のエッチングマスクと前記第5のエッチングマスクは同一のフォトマスクにより形成されることを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0017】
本発明の一態様は、第1のエッチングマスクを用いて第1の導電膜を加工することで第1の導電層を形成し、前記第1のエッチングマスクを除去し、前記第1の導電層を覆ってゲート絶縁層を形成し、前記ゲート絶縁層上に、半導体膜及び第2のエッチングマスクを形成し、前記第2のエッチングマスクを用いて前記半導体膜を加工して薄膜積層体を形成し、前記第2のエッチングマスクを除去し、前記ゲート絶縁層及び前記薄膜積層体上に第2の導電膜及び第3の導電膜を形成し、前記第3の導電膜上に第3のエッチングマスクを形成し、前記第3のエッチングマスクを縮小加工して縮小された第3のエッチングマスクを形成し、前記第3の導電膜を縮小させるように加工してエッチングされた第3の導電膜を形成し、前記縮小された第3のエッチングマスクを除去し、前記エッチングされた第3の導電膜上に第4のエッチングマスクを形成し、前記第4のエッチングマスクを用いて前記第2の導電膜及び前記エッチングされた第3の導電膜を加工して第2の導電層及び第3の導電層を形成し、前記第4のエッチングマスクを用いて薄膜積層体を加工することで半導体層を有する薄膜トランジスタを形成し、前記第4のエッチングマスクを除去し、前記薄膜トランジスタを覆って保護絶縁膜を形成し、前記保護絶縁膜上に第5のエッチングマスクを形成し、前記第5のエッチングマスクを用いて前記保護絶縁膜を加工することで、前記第3の導電層を覆ったまま前記第2の導電層を露出して開口部を有する保護絶縁層を形成し、前記開口部を介して前記第2の導電層に接続されるように第4の導電膜を形成し、前記第3のエッチングマスクと前記第5のエッチングマスクは同一のフォトマスクにより形成されることを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0018】
前記構成の半導体装置の作製方法において、前記第3のエッチングマスクはレジストマスクであり、前記縮小された第3のエッチングマスクは、前記第1のエッチングマスクを酸素プラズマによりアッシングすることで形成されることが好ましい。
【0019】
前記構成の半導体装置の作製方法において、例えば、前記第2の導電膜はTi膜であり、前記第3の導電膜はAl膜であればよい。
【0020】
前記構成の半導体装置の作製方法において、例えば、前記第4の導電膜はITO膜であればよい。
【0021】
なお、本明細書中において、「膜」とは、CVD法(プラズマCVD法などを含む。)またはスパッタリング法などにより、被形成面の全面に形成されたものをいう。一方で、「層」とは、「膜」が加工されたもの、または被形成面の全面に形成された状態で加工を要しないものをいう。ただし、「膜」と「層」を特に区別することなく用いることがあるものとする。
【0022】
なお、本明細書中において、「フォトマスク」とは、フォトリソグラフィ法の露光に用いるマスクをいい、「エッチングマスク」とは、該エッチングマスク下に形成された膜がエッチングされることを防止するために形成されるマスク層をいう。エッチングマスクとしては、例えばレジストマスクが挙げられる。なお、単に「マスク」と表記する場合には、フォトマスクとエッチングマスクの双方を含むものとする。
【発明の効果】
【0023】
本発明の一態様によれば、少なくともフォトマスクの枚数を増加させることなく、積層構造の下部の導電層が露出するように、該導電層上の絶縁膜に開口部を形成することができる。
【0024】
本発明の一態様によれば、少なくともフォトマスクの枚数を増加させることなく、積層構造の下部の導電層を露出させて、半導体装置を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一態様である開口部の形成方法を説明する図。
【図2】図1の工程を採用したサンプルのSTEM像。
【図3】本発明の一態様である開口部の形成方法を説明する図。
【図4】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を説明する図。
【図5】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を説明する図。
【図6】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を説明する図。
【図7】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を説明する図。
【図8】本発明の一態様である半導体装置の作製方法を説明する図。
【図9】本発明の一態様である半導体装置を説明する図。
【図10】本発明の一態様である半導体装置を説明する図。
【図11】本発明の一態様である半導体装置を説明する図。
【図12】従来の半導体装置の作製方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、上面図において、絶縁膜及び絶縁層は図示しないことがある。
【0027】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様である開口部の形成方法について図面を参照して説明する。
【0028】
図1(A)〜(D)は、本発明の一態様である開口部の形成方法の概略を説明する図である。図1(A)〜(D)に示す開口部の形成方法では、基板100上に第1の導電膜102と第2の導電膜104を形成し、第2の導電膜104上に第1のエッチングマスク106を形成し(図1(A))、第1のエッチングマスク106を用いて第2の導電膜104をエッチング(好ましくはウエットエッチング)することで導電層108を形成し(図1(B))、第1のエッチングマスク106を除去し、第1の導電膜102及び導電層108上に絶縁膜110を形成し(図1(C))、絶縁膜110上に第2のエッチングマスク112を形成し、第2のエッチングマスク112を用いて絶縁膜110に開口部114を形成する(図1(D))。ここで、第1のエッチングマスク106と第2のエッチングマスク112は、同一のフォトマスクにより形成する。そのため、第1のエッチングマスク106の形状と第2のエッチングマスク112の形状は概略等しいものとなる。
【0029】
基板100は、絶縁性基板である。基板100としては、例えば、ガラス基板、石英基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる程度の耐熱性を有するプラスチック基板などを用いることができる。なお、基板100は、透光性基板でなくてもよい。
【0030】
第1の導電膜102は、導電性材料(例えば金属材料、または一導電型の不純物元素が添加された半導体材料など)を用いて、例えば、スパッタリング法により形成する。なお、第1の導電膜102は、単層で形成してもよいし、複数の膜を積層して形成してもよい。第1の導電膜102は、後の開口部の形成により露出させられる導電膜である。
【0031】
第2の導電膜104は、第2の導電膜104とは異なる導電性材料(例えば金属材料、または一導電型の不純物元素が添加された半導体材料など)を用いて、例えば、スパッタリング法により形成する。なお、第2の導電膜104は、単層で形成してもよいし、複数の膜を積層して形成してもよい。第2の導電膜104は、後の開口部の形成により露出させられない導電膜である。すなわち、後に形成される開口部に設けられる導電膜と接することが好ましくない導電膜である。
【0032】
第1のエッチングマスク106としては、例えば、レジストマスクを形成すればよいが、エッチング工程においてマスクとして用いることができるものであれば特定のものに限定されない。
【0033】
絶縁膜110は、例えば、プラズマCVD法を用いて絶縁性材料(例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは酸化シリコンなど)膜を形成すればよい。なお、絶縁膜110は、単層で形成してもよいし、複数の膜を積層して形成してもよい。
【0034】
第2のエッチングマスク112は、第1のエッチングマスク106と同様の材料及び同様の方法により形成することができる。
【0035】
図1に示す工程で薄膜に開口部を形成したサンプルのSTEM像の一例(一側面)を図2に示す。なお、図2のサンプルでは、窒化シリコン膜上にTi膜を有し、Ti膜上にAl層を有し、Al層を覆って窒化シリコン層を有し、窒化シリコン層は開口部を有し、該開口部にはITO膜が設けられ、該開口部において、Ti膜とITO膜が接触している。Al層は窒化シリコン層に覆われ、Al層とITO膜は接触していない。
【0036】
図1(A)〜(D)に示すように、第1のエッチングマスク106と第2のエッチングマスク112を同一のフォトマスクにより形成することで、少なくともフォトマスクの枚数を増加させることなく、第1の導電膜102が露出するように絶縁膜110に開口部114を形成することができる。
【0037】
ただし、図1(A)〜(D)に示す開口部の形成方法では、第1のエッチングマスク106の形状と第2のエッチングマスク112の形状が概略等しいため、第2の導電膜104のエッチング後退量によっては、導電層108を絶縁膜110により完全に覆うことが困難な場合がある。
【0038】
そこで、本発明の一態様である開口部の形成方法のより好ましい形態について、図3(A)〜(D)を参照して説明する。
【0039】
図3(A)〜(D)は、本発明の一態様である開口部の形成方法の概略を説明する図である。図3(A)〜(D)に示す開口部の形成方法では、基板100上に第1の導電膜102と第2の導電膜104を形成し、第2の導電膜104上に第1のエッチングマスク106を形成し、第1のエッチングマスク106を縮小させて、縮小された第1のエッチングマスク116を形成し(図3(A))、縮小された第1のエッチングマスク116を用いて第2の導電膜104をエッチング(好ましくはウエットエッチング)することで導電層118を形成し(図3(B))、縮小された第1のエッチングマスク116を除去し、第1の導電膜102及び導電層118上に絶縁膜110を形成し(図3(C))、絶縁膜110上に第2のエッチングマスク112を形成し、第2のエッチングマスク112を用いて絶縁膜110に開口部120を形成する(図3(D))。ここで、第1のエッチングマスク106と第2のエッチングマスク112は、同一のフォトマスクにより形成する。そのため、第1のエッチングマスク106の形状と第2のエッチングマスク112の形状は概略等しいものとなる。このように形成された図3の開口部120は、図1の開口部114よりも面積を大きくすることができる。
【0040】
なお、第1のエッチングマスク106の材料がレジストである場合には、第1のエッチングマスク106を縮小させるには、酸素プラズマによるアッシング工程を用いればよい。なお、第1のエッチングマスク106を縮小させる工程は、第1のエッチングマスク106の縮小量に応じて条件を適宜設定すればよい。
【0041】
ここでは、第2の導電膜104のエッチングに用いるレジストマスクが、縮小された第1のエッチングマスク116であるため、第1の導電膜102が露出された部分の面積は、図1(B)の露出された部分の面積よりも大きい。従って、第2の導電膜104のエッチング後退量に関わらず、導電層108を絶縁膜110により完全に覆うことが容易になる。
【0042】
以上説明したように、本実施の形態によれば、少なくともフォトマスクの枚数を増加させることなく、積層構造の下部の導電層が露出するように該導電層上の絶縁膜に開口部を形成することができる。
【0043】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様である半導体装置の作製方法について図面を参照して説明する。
【0044】
まず、基板200上に第1の導電膜202を形成し、第1の導電膜202上に第1のエッチングマスク204を形成する(図4(A))。
【0045】
基板200は、絶縁性基板である。基板200としては、例えば、ガラス基板、石英基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる程度の耐熱性を有するプラスチック基板などを用いることができる。基板200がガラス基板である場合には、第1世代(例えば、320mm×400mm)〜第10世代(例えば、2950mm×3400mm)のものを用いればよいが、これに限定されるものではない。なお、基板200は、透光性基板でなくてもよい。
【0046】
第1の導電膜202は、例えば、導電性材料(例えば金属材料、または一導電型の不純物元素が添加された半導体材料など)を用いてスパッタリング法により形成する。なお、第1の導電膜202は、単層で形成してもよいし、複数の膜を積層して形成してもよい。例えば、Ti膜によりAl膜を挟持した3層の積層構造とすればよい(図示しない)。
【0047】
第1のエッチングマスク204としては、例えば、レジストマスクを形成すればよいが、エッチング工程においてマスクとして用いることができるものであれば特定のものに限定されない。
【0048】
次に、第1のエッチングマスク204を用いて第1の導電膜202を加工して第1の導電層206を形成し、第1のエッチングマスク204を除去し、第1の導電層206を覆ってゲート絶縁層208を形成する(図4(B))。
【0049】
ゲート絶縁層208は、例えば、プラズマCVD法を用いて絶縁性材料(例えば、窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは酸化シリコンなど)膜を形成すればよい。なお、ゲート絶縁層208は、単層で形成してもよいし、複数の層を積層して形成してもよい。ここでは、例えば、窒化シリコン層上に酸化窒化シリコン層が積層された2層の積層構造とするとよい。
【0050】
なお、「窒化酸化シリコン」とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものであって、好ましくは、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward scattering Spectrometry)を用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。
【0051】
なお、「酸化窒化シリコン」とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものであって、好ましくは、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、組成範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。
【0052】
ただし、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、シリコン及び水素の含有比率が前記範囲内に含まれるものとする。
【0053】
なお、第1の導電層206は、少なくとも走査線とゲート電極を構成する。
【0054】
なお、第1の導電層206は、液滴吐出法(例えば、インクジェット法)などを用いて選択的に形成されていてもよい。第1の導電層206の形成に液滴吐出法(例えば、インクジェット法)などを用いると、マスクの枚数が一枚減ることになり、好ましい。
【0055】
なお、ゲート絶縁層208上に結晶性半導体膜を形成する場合には、ゲート絶縁層208に対して酸素を含むガスによりプラズマ処理を行うことが好ましい。ここで、酸素を含むガスとしては、例えば、NOガスが挙げられる。ゲート絶縁層208に対して酸素を含むガスによりプラズマ処理を行うことで、ゲート絶縁層208上に形成される結晶性半導体膜の結晶性を良好なものとすることができる。
【0056】
次に、ゲート絶縁層208上に第1の半導体膜210と、第2の半導体膜212と、不純物半導体膜214と、を形成し、不純物半導体膜214上に第2のエッチングマスク216を形成する(図4(C))。
【0057】
第1の半導体膜210は、大部分が結晶性である半導体膜である。結晶性半導体としては、例えば、微結晶半導体が挙げられる。ここで、微結晶半導体とは、非晶質と結晶構造(単結晶、多結晶を含む。)の中間的な構造の半導体をいう。微結晶半導体は、自由エネルギー的に安定な第3の状態を有する半導体であって、短距離秩序を持ち格子歪みを有する結晶質な半導体であり、結晶粒径が2nm以上200nm以下、好ましくは10nm以上80nm以下、より好ましくは20nm以上50nm以下の柱状または針状の結晶粒が基板表面に対して法線方向に成長している半導体である。このため、柱状または針状の結晶粒の界面には、粒界が形成されることもある。なお、ここでの結晶粒径は、基板表面に対して平行な面における結晶粒の最大直径である。また、結晶粒は、非晶質半導体領域と、単結晶とみなせる微小結晶である結晶子を有する。なお、結晶粒は双晶を有する場合もある。
【0058】
微結晶半導体としては、微結晶シリコンを用いればよい。微結晶半導体の一である微結晶シリコンでは、そのラマンスペクトルのピークが単結晶シリコンを示す520cm−1よりも低波数側にシフトしている。すなわち、単結晶シリコンを示す520cm−1と非晶質シリコンを示す480cm−1の間に微結晶シリコンのラマンスペクトルのピークがある。また、未結合手(ダングリングボンド)を終端するため水素またはハロゲンを少なくとも1原子%またはそれ以上含ませている。さらに、He、Ar、Kr、またはNeなどの希ガス元素を含ませて格子歪みをさらに助長させることで、安定性が増し、良好な微結晶半導体膜が得られる。
【0059】
なお、結晶性半導体膜に含まれる酸素及び窒素の濃度(二次イオン質量分析法による測定値)を低くし、好ましくはこれらの濃度を1×1018cm−3未満とすると、結晶性を高めることができる。
【0060】
なお、結晶性半導体膜は、2段階の成膜処理により形成することが好ましく、2段階の成膜処理において、例えば、第1段階では500Pa程度の圧力下で厚さ5nm程度の微結晶シリコン膜を形成し、第2段階では5000Pa程度の圧力下で所望の厚さの微結晶シリコン膜を形成するとよい。第2段階では第1段階よりもシランの流量比を小さくし、高希釈な条件とするとよい。
【0061】
第2の半導体膜212は、バッファ層として機能し、大部分が非晶質である半導体膜である。好ましくは、非晶質半導体と微小半導体結晶粒を有し、従来の非晶質半導体と比較して、一定光電流法(CPM:Constant Photocurrent Method)やフォトルミネッセンス分光測定で測定されるUrbach端のエネルギーが小さく、欠陥吸収スペクトル量が少ない半導体膜である。このような半導体膜は、従来の非晶質半導体膜と比較して欠陥が少なく、価電子帯のバンド端(移動度端)における準位のテイル(裾)の傾きが急峻である秩序性の高い半導体膜である。
【0062】
第2の半導体膜212には、ハロゲンや窒素を含んでいてもよい。窒素が含まれる場合には、NH基またはNH基として含まれていてもよい。
【0063】
なお、ここで、第1の半導体膜210と第2の半導体膜212の界面領域は、微結晶半導体領域と、当該微結晶半導体領域の間に充填される非晶質半導体領域と、を有する。具体的には、第1の半導体膜210から錐形状に伸びた微結晶半導体領域と、第2の半導体膜212と同様の「非晶質半導体を含む膜」と、で構成される。
【0064】
また、第2の半導体膜212によりバッファ層が設けられるため、トランジスタのオフ電流を小さくすることができる。そして、前記界面領域において、錐形状に伸びた微結晶半導体領域を有するため、縦方向(厚さ方向)の抵抗、すなわち、第2の半導体膜212と、不純物半導体膜214により構成されるソース領域またはドレイン領域と、の間の抵抗を低くすることができ、トランジスタのオン電流を高めることができる。すなわち、従来の非晶質半導体を適用した場合と比較すると、オフ電流を十分に低減させつつ、オン電流の低下をも抑制することができ、トランジスタのスイッチング特性を高くすることができる。
【0065】
なお、完成したトランジスタにおいて、第1の半導体膜210により形成される第1の半導体層が薄くなるとオン電流が低下し、第1の半導体膜210により形成される第1の半導体層が厚くなると、第1の半導体膜210により形成される第1の半導体層と後に形成される第2の導電層の接触面積が広くなり、オフ電流が増大する。従って、オンオフ比を高くするためには、第1の半導体膜210を厚くし、更には後に説明するように、第1の半導体膜210により形成される第1の半導体層を含む薄膜積層体218の側壁に絶縁化処理を行うことが好ましい。
【0066】
前記微結晶半導体領域は、第1の半導体膜210から第2の半導体膜212に向かって先端が細くなる錐形状の結晶粒により大部分が構成されているとよい。または、第1の半導体膜210から第2の半導体膜212に向かって幅が広がる結晶粒により大部分が構成されていてもよい。
【0067】
また、前記界面領域において、微結晶半導体領域が第1の半導体膜210から第2の半導体膜212に向かって先端が細くなる錐形状に伸びた結晶粒である場合には、第1の半導体膜210側のほうが、第2の半導体膜212側と比較して、微結晶半導体領域の占める割合が高い。微結晶半導体領域は、第1の半導体膜210の表面から厚さ方向に成長するが、原料ガスにおいて堆積性ガス(例えば、シラン)に対する水素の流量が小さく(すなわち、希釈率が低く)、または窒素を含む原料ガスの濃度が高いと、微結晶半導体領域における結晶成長が抑制され、結晶粒が錐形状になり、堆積されて形成される半導体は、大部分が非晶質半導体となる。
【0068】
なお、前記界面領域は、窒素、特にNH基若しくはNH基を含有することが好ましい。これは、微結晶半導体領域に含まれる結晶の界面、微結晶半導体領域と非晶質半導体領域の界面において、窒素、特にNH基若しくはNH基がシリコン原子のダングリングボンドと結合すると、欠陥を低減し、キャリアが流れやすくなるためである。このため、窒素、好ましくはNH基若しくはNH基を1×1020cm−3乃至1×1021cm−3の濃度で含有させると、シリコン原子のダングリングボンドを窒素、好ましくはNH基若しくはNH基で架橋しやすくなり、キャリアがより流れやすくなる。この結果、結晶粒界や欠陥におけるキャリアの移動を促進する結合ができ、前記界面領域のキャリア移動度が向上する。そのため、トランジスタの電界効果移動度が向上する。
【0069】
なお、前記界面領域の酸素濃度を低減させることにより、微結晶半導体領域と非晶質半導体領域の界面または結晶粒間の界面における欠陥密度を低減させ、キャリアの移動を阻害する結合を低減させることができる。
【0070】
不純物半導体膜214は、一導電型を付与する不純物元素を添加した半導体により形成する。トランジスタがn型である場合には、一導電型を付与する不純物元素を添加した半導体として、例えば、PまたはAsを添加したシリコンが挙げられる。または、トランジスタがp型である場合には、一導電型を付与する不純物元素として、例えば、Bを添加することも可能である。しかし、トランジスタはn型とすることが好ましい。そのため、ここでは、一例として、Pを添加したシリコンを用いる。なお、不純物半導体膜214は、非晶質半導体により形成してもよいし、微結晶半導体などの結晶性半導体により形成してもよい。
【0071】
不純物半導体膜214を非晶質半導体により形成する場合には、堆積性ガスの流量に対する希釈ガスの流量を1倍以上10倍未満、好ましくは1倍以上5倍以下とすればよい。不純物半導体膜214を結晶性半導体により形成する場合には、堆積性ガスの流量に対する希釈ガスの流量を10倍以上2000倍以下、好ましくは50倍以上200倍以下とすればよい。
【0072】
なお、ゲート絶縁層208から不純物半導体膜214までは同一チャンバー内で連続して形成することが好ましい。ゲート絶縁層208から不純物半導体膜214までの各々の層間の界面に不純物が含まれてしまうことを防止するためである。
【0073】
第2のエッチングマスク216は、第1のエッチングマスク204と同様の材料及び同様の方法により形成することができる。
【0074】
次に、第2のエッチングマスク216を用いて第1の半導体膜210と、第2の半導体膜212と、不純物半導体膜214と、をエッチングする。その後、第2のエッチングマスク216を除去することで、薄膜積層体218を得ることができる(図4(D))。
【0075】
なお、ここで、前記したように、薄膜積層体218の側壁に絶縁化処理を行うことが好ましい。なぜなら、完成したトランジスタの第1の半導体層と第2の導電層が接するとオフ電流が増大してしまうことが多いからである。ここで絶縁化処理としては、薄膜積層体218の側壁を酸素プラズマ若しくは窒素プラズマに曝す処理、または薄膜積層体218の側壁が露出された状態で絶縁膜を形成し、該絶縁膜を異方性の高いエッチング方法により基板200の表面に垂直な方向のエッチングを行うことで、薄膜積層体218の側壁に接してサイドウォール絶縁層を形成する処理が挙げられる。
【0076】
次に、ゲート絶縁層208及び薄膜積層体218上に第2の導電膜220及び第3の導電膜222を形成し、第3の導電膜222上に第3のエッチングマスク224を形成する(図5(A))。
【0077】
なお、第3のエッチングマスク224を縮小させて、第3のエッチングマスク224に露出される第3の導電膜222の面積を拡大させてもよい。第3の導電膜222の露出される面積を拡大させると、後の工程で開口部244を形成した際に、第3の導電膜222により形成された第3の導電層232の側面と開口部244の間の距離を十分に確保することができ、第3の導電層232が開口部244により露出されることを防止することができる。ここで、第3のエッチングマスク224がレジストマスクである場合には、アッシング工程を行うことで第3のエッチングマスク224を縮小させればよい。
【0078】
第2の導電膜220は、後に形成される第4の導電膜248と接することが可能な導電性材料膜である。第2の導電膜220としては、例えばTi膜を用いる。
【0079】
第3の導電膜222は、後に形成される第4の導電膜248と接触させると、その界面における抵抗が増大するなどの不都合が生じる導電性材料膜である。第3の導電膜222としては、例えばAl膜を用いる。
【0080】
第3のエッチングマスク224は、第1のエッチングマスク204及び第2のエッチングマスク216と同様の材料及び同様の方法により形成することができる。
【0081】
次に、第3の導電膜222をウエットエッチングなどにより縮小させるように加工する(図5(B))。第3の導電膜222を縮小させるように加工するには、第3の導電膜222を形成する材料と化学的に反応して第2の導電膜220を露出させるのみならず、エッチングされた第3の導電膜226の側面が第3のエッチングマスク224の側面よりも内側に設けられる条件を採用すればよい。
【0082】
ここで、例えば第3の導電膜222がAl膜である場合には、エッチャントとして、硝酸、酢酸及びリン酸を含む薬液を用いればよい。
【0083】
次に、第3のエッチングマスク224を除去し、第4のエッチングマスク228を形成し、第4のエッチングマスク228を用いて第2の導電膜220及びエッチングされた第3の導電膜226を加工することで、第2の導電層230及び第3の導電層232を形成する。そして、第4のエッチングマスク228を用いて薄膜積層体218のエッチングを行う(図5(C))。なお、薄膜積層体218のエッチングは、第4のエッチングマスク228を除去し、第2の導電層230をエッチングマスクとして用いて行ってもよい。
【0084】
なお、第2の導電層230と第3の導電層232が積層された導電層は、少なくとも信号線、ソース電極及びドレイン電極を構成する。
【0085】
次に、第4のエッチングマスク228を除去し、保護絶縁膜240及び第5のエッチングマスク242を形成する(図6(A))。ここで、第5のエッチングマスク242は、第3のエッチングマスク224と同一のフォトマスクにより形成する。なお、保護絶縁膜240は、少なくとも第1の半導体層234の露出された部分を覆って形成する。
【0086】
次に、第5のエッチングマスク242を用いて保護絶縁膜240に開口部244を形成するように加工することで、開口部244が設けられた保護絶縁層246を形成する(図6(B))。
【0087】
次に、開口部244を介して第2の導電層230に電気的に接続されるように、第4の導電膜248を形成する。
【0088】
第4の導電膜248は、画素トランジスタに接続される画素電極を構成することから、透光性を有する材料により形成するとよい。
【0089】
第4の導電膜248は、透光性を有する導電性高分子(導電性ポリマーともいう。)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性組成物を用いて形成した第4の導電膜248は、シート抵抗が10000Ω/□以下であり、且つ波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。なお、導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリン若しくはその誘導体、ポリピロール若しくはその誘導体、ポリチオフェン若しくはその誘導体、またはアニリン、ピロール及びチオフェンの2種以上の共重合体若しくはその誘導体などが挙げられる。
【0090】
または、第4の導電膜248は、例えば、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化シリコンを添加したインジウム錫酸化物などを用いて形成することができる。
【0091】
なお、図示していないが、保護絶縁層246と第4の導電膜248の間に、スピンコーティング法などにより形成された有機樹脂層が設けられていてもよい。
【0092】
次に、第4の導電膜248上に第6のエッチングマスク250を形成する(図6(C))。第6のエッチングマスク250を用いて第4の導電膜248をエッチングして第4の導電層252を形成する(図7)。
【0093】
なお、第4の導電層252は、液滴吐出法(例えば、インクジェット法)などを用いて選択的に形成されていてもよい。第4の導電層252の形成に液滴吐出法(例えば、インクジェット法)などを用いると、マスクの枚数が一枚減ることになり、好ましい。
【0094】
なお、以上説明した本実施の形態の薄膜トランジスタは好ましい一形態であり、これに限定されるものではない。例えば、第1の半導体膜210は微結晶半導体膜でなくてもよいし、第2の半導体膜212には微小半導体結晶粒が含まれていなくてもよい。または、第1の半導体膜210が設けられておらず、ゲート絶縁層208上に第2の半導体膜212が設けられていてもよい。
【0095】
また、本実施の形態では、結晶性半導体層及び非晶質半導体層を形成する材料としてシリコンを用いているが、これに限定されず、結晶性半導体層及び非晶質半導体層を形成する材料として酸化物半導体を用いてもよい。
【0096】
更には、第3の導電膜222を加工してエッチングされた第3の導電膜を形成するタイミングは上記説明に限定されない。すなわち、第3の導電膜222まで形成し(図5(A))、第3の導電膜222上に第4のエッチングマスク228を形成し(図8(A))、第4のエッチングマスク228を用いて第2の導電膜220及び第3の導電膜222を加工して第2の導電層230及び第3の導電層260を形成し、薄膜積層体218を加工することで薄膜トランジスタを形成し(図8(B))、第4のエッチングマスク228を除去して第3のエッチングマスク224を形成し、第3の導電層260を縮小させるように加工してエッチングされた第3の導電層262を形成し(図8(C))、その後、保護絶縁膜240を形成してもよい。
【0097】
(実施の形態3)
実施の形態2で説明したように作製した薄膜トランジスタを適用した半導体装置としては、電子ペーパーが挙げられる。電子ペーパーは、情報を表示するものであればあらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。例えば、電子ペーパーを用いて、電子書籍(電子ブック)、ポスター、デジタルサイネージ、PID(Public Information Display)、電車などの乗り物の車内広告、クレジットカード等の各種カードにおける表示等に適用することができる。電子機器の一例を図9に示す。
【0098】
図9は、電子書籍の一例を示している。例えば、電子書籍300は、筐体302および筐体304の2つの筐体で構成されている。筐体302および筐体304は、軸部314により一体とされており、該軸部314を軸として開閉動作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍と同様に取り扱うことが可能となる。
【0099】
筐体302には表示部306及び光電変換装置308が組み込まれ、筐体304には表示部310及び光電変換装置312が組み込まれている。表示部306及び表示部310は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば右側の表示部(図9では表示部306)に文章を表示し、左側の表示部(図9では表示部310)に画像を表示することができる。
【0100】
また、図9では、筐体302に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体302において、電源316、操作キー318、スピーカ320などを備えている。操作キー318により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングデバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子、またはACアダプタおよびUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。さらに、電子書籍300は、電子辞書としての機能を持たせた構成としてもよい。
【0101】
また、電子書籍300は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0102】
(実施の形態4)
実施の形態2で説明したように作製した薄膜トランジスタを適用した半導体装置としては、電子ペーパー以外にもさまざまな電子機器(遊技機も含む)が挙げられる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0103】
図10(A)は、テレビジョン装置の一例を示している。テレビジョン装置322は、筐体324に表示部326が組み込まれている。表示部326により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド328により筐体324を支持した構成を示している。
【0104】
テレビジョン装置322の操作は、筐体324が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機334により行うことができる。リモコン操作機334が備える操作キー332により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部326に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機334に、当該リモコン操作機334から出力する情報を表示する表示部330を設ける構成としてもよい。
【0105】
なお、テレビジョン装置322は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0106】
図10(B)は、デジタルフォトフレームの一例を示している。例えば、デジタルフォトフレーム336は、筐体338に表示部340が組み込まれている。表示部340は、各種画像を表示することが可能であり、例えばデジタルカメラなどで撮影した画像データを表示させることで、通常の写真立てと同様に機能させることができる。
【0107】
なお、デジタルフォトフレーム336は、操作部、外部接続用端子(USB端子、USBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成とする。これらの構成は、表示部と同一面に組み込まれていてもよいが、側面や裏面に備えるとデザイン性が向上するため好ましい。例えば、デジタルフォトフレームの記録媒体挿入部に、デジタルカメラで撮影した画像データを記憶したメモリを挿入して画像データを取り込み、取り込んだ画像データを表示部340に表示させることができる。
【0108】
また、デジタルフォトフレーム336は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、所望の画像データを取り込み、表示させる構成とすることもできる。
【0109】
図11は携帯型のコンピュータの一例を示す斜視図である。
【0110】
図11の携帯型のコンピュータは、上部筐体342と下部筐体344とを接続するヒンジユニットを閉状態として表示部346を有する上部筐体342と、キーボード348を有する下部筐体344とを重ねた状態とすることができ、持ち運ぶことが便利であるとともに、使用者がキーボード入力する場合には、ヒンジユニットを開状態として、表示部346を見て入力操作を行うことができる。
【0111】
また、下部筐体344はキーボード348の他に入力操作を行うポインティングデバイス352を有する。また、表示部346をタッチ入力パネルとすれば、表示部の一部に触れることで入力操作を行うこともできる。また、下部筐体344はCPUやハードディスク等の演算機能部を有している。また、下部筐体344は他の機器、例えばUSBの通信規格に準拠した通信ケーブルが差し込まれる外部接続ポート350を有している。
【0112】
上部筐体342には更に上部筐体342内部にスライドさせて収納可能な表示部354を有しており、広い表示画面を実現することができる。また、収納可能な表示部354の画面の向きを使用者は調節できる。また、収納可能な表示部354をタッチ入力パネルとすれば、収納可能な表示部の一部に触れることで入力操作を行うこともできる。
【0113】
表示部346または収納可能な表示部354は、液晶表示パネル、有機発光素子または無機発光素子などの発光表示パネルなどの映像表示装置を用いる。
【0114】
また、図11の携帯型のコンピュータは、受信機などを備えた構成として、テレビ放送を受信して映像を表示部に表示することができる。また、上部筐体342と下部筐体344とを接続するヒンジユニットを閉状態としたまま、表示部354をスライドさせて画面全面を露出させ、画面角度を調節して使用者がテレビ放送を見ることもできる。この場合には、ヒンジユニットを閉状態として表示部346を表示させず、さらにテレビ放送を表示するだけの回路の起動のみを行うため、最小限の消費電力とすることができ、バッテリー容量の限られている携帯型のコンピュータにおいて有用である。
【符号の説明】
【0115】
100 基板
102 第1の導電膜
104 第2の導電膜
106 第1のエッチングマスク
108 導電層
110 絶縁膜
112 第2のエッチングマスク
114 開口部
116 縮小された第1のエッチングマスク
118 導電層
120 開口部
200 基板
202 第1の導電膜
204 第1のエッチングマスク
206 第1の導電層
208 ゲート絶縁層
210 第1の半導体膜
212 第2の半導体膜
214 不純物半導体膜
216 第2のエッチングマスク
218 薄膜積層体
220 第2の導電膜
222 第3の導電膜
224 第3のエッチングマスク
226 エッチングされた第3の導電膜
228 第4のエッチングマスク
230 第2の導電層
232 第3の導電層
234 第1の半導体層
236 第2の半導体層
238 不純物半導体層
240 保護絶縁膜
242 第5のエッチングマスク
244 開口部
246 保護絶縁層
248 第4の導電膜
250 第6のエッチングマスク
252 第4の導電層
260 第3の導電層
262 エッチングされた第3の導電層
300 電子書籍
302 筐体
304 筐体
306 表示部
308 光電変換装置
310 表示部
312 光電変換装置
314 軸部
316 電源
318 操作キー
320 スピーカ
322 テレビジョン装置
324 筐体
326 表示部
328 スタンド
330 表示部
332 操作キー
334 リモコン操作機
336 デジタルフォトフレーム
338 筐体
340 表示部
342 上部筐体
344 下部筐体
346 表示部
348 キーボード
350 外部接続ポート
352 ポインティングデバイス
354 表示部
400 基板
402 ゲート電極層
404 ゲート絶縁層
406 半導体層
408 不純物半導体層
410 導電層
412 導電層
414 導電層
416 ソース電極及びドレイン電極層
418 保護絶縁層
420 開口部
422 画素電極層
500 基板
502 ゲート電極層
504 ゲート絶縁層
506 半導体層
508 不純物半導体層
510 導電層
512 導電層
516 ソース電極及びドレイン電極層
518 保護絶縁層
520 開口部
522 画素電極層
600 基板
602 ゲート電極層
604 ゲート絶縁層
606 半導体層
608 不純物半導体層
610 導電層
612 導電層
616 ソース電極及びドレイン電極層
618 保護絶縁層
620 開口部
622 画素電極層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に第1の導電膜と第2の導電膜を形成し、
前記第2の導電膜上に第1のエッチングマスクを形成し、
前記第1のエッチングマスクを用いて前記第2の導電膜をエッチングすることで導電層を形成し、
前記第1のエッチングマスクを除去し、
前記第1の導電膜及び前記導電層上に絶縁膜を形成し、
前記絶縁膜上に第2のエッチングマスクを形成し、
前記第2のエッチングマスクを用いて前記絶縁膜に開口部を形成し、
前記第1のエッチングマスクと前記第2のエッチングマスクは同一のフォトマスクにより形成されることを特徴とする開口部の形成方法。
【請求項2】
基板上に第1の導電膜と第2の導電膜を形成し、
前記第2の導電膜上に第1のエッチングマスクを形成し、
前記第1のエッチングマスクを縮小させて、縮小された第1のエッチングマスクを形成し、
前記縮小された第1のエッチングマスクを用いて前記第2の導電膜をエッチングすることで導電層を形成し、
前記縮小された第1のエッチングマスクを除去し、
前記第1の導電膜及び前記導電層上に絶縁膜を形成し、
前記絶縁膜上に第2のエッチングマスクを形成し、
前記第2のエッチングマスクを用いて前記絶縁膜に開口部を形成し、
前記第1のエッチングマスクと前記第2のエッチングマスクは同一のフォトマスクにより形成されることを特徴とする開口部の形成方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1のエッチングマスクはレジストマスクであり、
前記縮小された第1のエッチングマスクは、前記第1のエッチングマスクを酸素プラズマによりアッシングすることで形成されることを特徴とする開口部の形成方法。
【請求項4】
第1のエッチングマスクを用いて第1の導電膜を加工することで第1の導電層を形成し、
前記第1のエッチングマスクを除去し、
前記第1の導電層を覆ってゲート絶縁層を形成し、
前記ゲート絶縁層上に、半導体膜及び第2のエッチングマスクを形成し、
前記第2のエッチングマスクを用いて前記半導体膜を加工して薄膜積層体を形成し、
前記第2のエッチングマスクを除去し、
前記ゲート絶縁層及び前記薄膜積層体上に第2の導電膜及び第3の導電膜を形成し、
前記第3の導電膜上に第3のエッチングマスクを形成し、
前記第3の導電膜を縮小させるように加工してエッチングされた第3の導電膜を形成し、
前記第3のエッチングマスクを除去し、
前記エッチングされた第3の導電膜上に第4のエッチングマスクを形成し、
前記第4のエッチングマスクを用いて前記第2の導電膜及び前記エッチングされた第3の導電膜を加工して第2の導電層及び第3の導電層を形成し、
前記第4のエッチングマスクを用いて薄膜積層体を加工することで半導体層を有する薄膜トランジスタを形成し、
前記第4のエッチングマスクを除去し、
前記薄膜トランジスタを覆って保護絶縁膜を形成し、
前記保護絶縁膜上に第5のエッチングマスクを形成し、
前記第5のエッチングマスクを用いて前記保護絶縁膜を加工することで、前記第3の導電層を覆ったまま前記第2の導電層を露出して開口部を有する保護絶縁層を形成し、
前記開口部を介して前記第2の導電層に接続されるように第4の導電膜を形成し、
前記第3のエッチングマスクと前記第5のエッチングマスクは同一のフォトマスクにより形成されることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項5】
第1のエッチングマスクを用いて第1の導電膜を加工することで第1の導電層を形成し、
前記第1のエッチングマスクを除去し、
前記第1の導電層を覆ってゲート絶縁層を形成し、
前記ゲート絶縁層上に、半導体膜及び第2のエッチングマスクを形成し、
前記第2のエッチングマスクを用いて前記半導体膜を加工して薄膜積層体を形成し、
前記第2のエッチングマスクを除去し、
前記ゲート絶縁層及び前記薄膜積層体上に第2の導電膜及び第3の導電膜を形成し、
前記第3の導電膜上に第3のエッチングマスクを形成し、
前記第3のエッチングマスクを縮小加工して縮小された第3のエッチングマスクを形成し、
前記第3の導電膜を縮小させるように加工してエッチングされた第3の導電膜を形成し、
前記縮小された第3のエッチングマスクを除去し、
前記エッチングされた第3の導電膜上に第4のエッチングマスクを形成し、
前記第4のエッチングマスクを用いて前記第2の導電膜及び前記エッチングされた第3の導電膜を加工して第2の導電層及び第3の導電層を形成し、
前記第4のエッチングマスクを用いて薄膜積層体を加工することで半導体層を有する薄膜トランジスタを形成し、
前記第4のエッチングマスクを除去し、
前記薄膜トランジスタを覆って保護絶縁膜を形成し、
前記保護絶縁膜上に第5のエッチングマスクを形成し、
前記第5のエッチングマスクを用いて前記保護絶縁膜を加工することで、前記第3の導電層を覆ったまま前記第2の導電層を露出して開口部を有する保護絶縁層を形成し、
前記開口部を介して前記第2の導電層に接続されるように第4の導電膜を形成し、
前記第3のエッチングマスクと前記第5のエッチングマスクは同一のフォトマスクにより形成されることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項6】
請求項5において、
前記第3のエッチングマスクはレジストマスクであり、
前記縮小された第3のエッチングマスクは、前記第1のエッチングマスクを酸素プラズマによりアッシングすることで形成されることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項7】
請求項4乃至請求項6のいずれか一において、
前記第2の導電膜はTi膜であり、前記第3の導電膜はAl膜であることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記第4の導電膜はインジウム錫酸化物膜であることを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−138413(P2012−138413A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288373(P2010−288373)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】