説明

電力変換装置およびそのファン故障検出方法

【課題】閉鎖型の電力変換装置にて内部の空気を強制循環させて冷却しているファンの停止による異常昇温を防止する。
【解決手段】筐体15の内部の空気温度を検出してその空気温度が異常かどうかを検出する温度監視回路20と、この温度監視回路20により空気温度の異常が検出されたとき、装置出力を制限するよう制御する制御回路13とを備えている。電力変換装置の運転中にファン18が停止することによって筐体内部の空気が高温になり、温度監視回路20がその空気温度の異常を検出すると、制御回路13が装置出力を停止または低減するように制限する。これにより、発熱部品の発熱量を抑え、筐体15の内部の空気温度を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電力変換装置およびそのファン故障検出方法に関し、特に密閉構造の筐体内部に設置されたパワーデバイスを冷却している冷却体に熱的に接続された冷却フィンを有し、その冷却フィンに筐体内部の空気を循環通風させることにより筐体内部の空気を冷却するようにした閉鎖型の電力変換装置およびそのファン故障検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電力変換装置は、パワーデバイスを備え、このパワーデバイスをスイッチング動作させることにより、交流を直流若しくは交流に、または直流を直流若しくは交流に変換している。パワーデバイスは、そのスイッチング動作の際に発熱するので、そのような熱を電力変換装置の筐体外部へ輸送して冷却する必要がある。
【0003】
パワーデバイスの駆動回路およびその制御回路は、電子部品で構成されており、発熱するパワーデバイスと一緒に筐体内に収容されている。電子部品を安定して動作させるためには、電子部品の周囲温度をデバイスメーカが推奨する動作温度範囲内に保たなければならない。これは、電子部品の周囲温度が推奨周囲温度以上になった場合に、電力変換装置の誤動作、ひいては装置の故障に繋がるからである。
【0004】
電力変換装置において、パワーデバイスの放熱を行うと同時に、電子部品の周囲温度、すなわち、筐体内部の空気温度をも効率よく冷却する構成が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1によれば、密閉構造の筐体内部に液体冷却用の冷却体を設け、この冷却体にパワーデバイスを装着している。パワーデバイスの熱は、冷却体を循環する液体によって筐体外部へ導出され、外部に設置された放熱器およびファンにより冷却されることで、電力変換装置の筐体外部へ放散され、これによって発熱されたパワーデバイスが冷却される。
【0006】
一方、閉鎖された電力変換装置の筐体内部の空気は、その温度が電子部品の発熱によって筐体外部の空気温度より高くなっている場合、筐体内部の熱がカバーを貫通して筐体外部へ伝わる熱通過現象によって自然に放熱され、冷却されている。ただ、この熱通過による放熱量は、一般に少ない。そのため、電力変換装置の筐体内部の空気は、ファンにより循環させられ、その循環風を冷却体に熱的に接続した冷却フィンに当てるようにしている。これにより、発熱電子部品が空気中に放熱した熱は、一度、冷却フィンで集熱され、その熱は、パワーデバイスの冷却体に移動され、さらに冷却体から電力変換装置外部に放熱されることになる。その結果、電力変換装置の筐体内部の空気温度は、冷却されて、電子部品の推奨周囲温度以上になることはない。
【0007】
このような電力変換装置による内部空気の冷却方式の場合、冷却フィンが筐体内部の熱を集熱してパワーデバイスの冷却体へ伝熱することができるので、自然放熱による冷却に比べて冷却効率が高くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−60515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、筐体内部の空気を循環させるファンは、駆動電源の喪失により突然停止する場合があり、また寿命または使用環境によるストレスにより故障停止する場合があって、そのような場合には、冷却フィンが筐体内部の熱を集熱できずに筐体内部の温度が電子部品の推奨周囲温度以上になってしまうことがあるという問題点があった。
【0010】
図18はファン停止時における電力変換装置内空気温度の変化を示す図である。この図18によれば、電力変換装置が運転を開始すると、これに連動してファンが運転を開始し、電力変換装置は、所定の出力を供給する。電力変換装置が運転を継続するにつれて、電力変換装置内の空気温度が上昇するが、その温度は、電子部品の推奨周囲温度以上になることはない。
【0011】
ここで、ファンが故障により停止した場合、筐体表面からの放熱のみとなって、筐体内部の発熱部品が空気に放熱した熱の大部分は装置外に放熱できないため、筐体内部の空気温度が短時間で上昇する。筐体内部の空気温度の最終到達値は、内部で発生する熱量と放熱量が一致する温度である。このように、筐体内部の空気温度が上昇して電子部品の動作許容温度を超えてしまうと、電子部品の誤動作に至ってしまう。
【0012】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、ファン停止による筐体内の空気の異常昇温に対応させた閉鎖型の電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では上記の課題を解決するために、筐体内部のパワーデバイスを冷却体で冷却し、前記冷却体に熱的に接続した冷却フィンにファンが前記筐体内部の空気を循環通風して前記筐体内部の空気を冷却する閉鎖型の電力変換装置において、前記筐体内部の空気温度の異常を検出する温度監視部と、前記温度監視部による空気温度の異常検出に応じて装置出力を制限する制御部と、を備えていることを特徴とする電力変換装置が提供される。
【0014】
このような電力変換装置によれば、温度監視部が筐体内部の空気温度を監視し、空気温度の異常が検出されると、制御部が装置出力を制限するように動作する。これにより、筐体内部の空気中に放熱される発熱部品の発熱量が低減されるので、筐体内部の空気温度を下げることができる。
【発明の効果】
【0015】
上記構成の電力変換装置は、空気温度の異常を検出して装置出力を制限するため、ファンが故障して筐体内部の空気の集熱および冷却体への伝熱ができなくなることで空気温度が異常に高温になることがあっても、装置出力の制限により発熱部品の発熱量が抑えられることで確実に筐体内部の空気温度を下げることができ、異常高温による誤動作を未然に防止することができるという利点がある。また、温度異常検出時に装置出力を低減するように制御することで、電力変換装置を完全に停止させることなく運転を継続させることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す図である。
【図2】空気温度異常検出回路の構成例を示す回路図である。
【図3】空気温度異常検出回路の変形例を示す回路図である。
【図4】制御回路および空気温度監視回路の構成例を示す回路図である。
【図5】図4の回路による電力変換装置の動作例を示す説明図である。
【図6】制御回路および空気温度監視回路の変形例を示す回路図である。
【図7】図6の回路による電力変換装置の動作例を示す説明図である。
【図8】図6の回路による電力変換装置の別の動作例を示す説明図である。
【図9】第2の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す図である。
【図10】第2の実施の形態に係る電力変換装置の温度監視回路の構成例を示す回路図である。
【図11】第2の実施の形態に係る電力変換装置の温度監視回路の変形例を示す回路図である。
【図12】制御回路および駆動回路の構成例を示す回路図である。
【図13】図12の回路による電力変換装置の動作例を示す説明図である。
【図14】制御回路および駆動回路の変形例を示す回路図である。
【図15】図14の回路による電力変換装置の動作例を示す説明図である。
【図16】制御回路および駆動回路のさらなる変形例を示す回路図である。
【図17】図16の回路による電力変換装置の動作例を示す説明図である。
【図18】ファン停止時における電力変換装置内空気温度の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、筐体内部のパワーデバイスを冷却する冷却体に熱的に接続した冷却フィンに筐体内部の空気を循環通風して筐体内部の空気を冷却する閉鎖型の電力変換装置に適用した場合を例に図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
図1は第1の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す図である。
電力変換装置は、電力の変換を行うパワーデバイス11と、このパワーデバイス11を駆動する駆動回路12と、この駆動回路12を含めて装置全体の制御を司る制御回路13(特許請求の範囲における制御部に対応)とを備えている。パワーデバイス11は、液冷式の冷却体14に熱的に結合した状態で装着されている。冷却体14は、図示はしないが、冷却液を循環させる2本のパイプの一端が接続されている。これらのパイプは、筐体15を貫通して電力変換装置の外部に導かれており、他端にはポンプおよび放熱器が接続され、放熱器には強制空冷用のファンが設置されて、液冷却システムが構成されている。
【0019】
筐体15は、密閉構造を有していて閉鎖型の電力変換装置を構成し、その内部には、空気16を循環させる通路が形成され、その通路に冷却フィン17およびファン18が設置されている。冷却フィン17は、パワーデバイス11を冷却する冷却体14にたとえばヒートパイプ19によって熱的に接続されている。これにより、筐体15の内部の空気16は、ファン18によって強制的に循環され、循環する空気16が冷却フィン17を通過するときに、冷却フィン17が空気16の熱を集熱してパワーデバイス11の冷却体14に伝熱させ、空気16を冷却する。
【0020】
この電力変換装置は、筐体15の内部の空気温度を制御する温度監視回路20(特許請求の範囲における温度監視部に対応)を備えている。この温度監視回路20は、発熱部品の近傍に設置された空気温度検出センサ21の検出出力を入力とする空気温度検出回路22と、この空気温度検出回路22の出力を入力とする空気温度異常検出回路23とを有している。空気温度異常検出回路23の出力は、制御回路13に接続されている。
【0021】
これにより、温度監視回路20では、空気温度検出センサ21の検出信号を基に、空気温度検出回路22が筐体15の内部の空気温度を演算する。空気温度異常検出回路23は、空気温度検出回路22の出力から空気温度異常を検出する。空気温度異常検出回路23は、空気温度の異常がなければ、何も出力せず、空気温度の異常高温を検出した場合は、空気温度異常を表す警報信号を制御回路13に出力する。制御回路13は、空気温度異常検出回路23から空気温度異常の警報信号を受けると、電力変換装置の出力をゼロ(運転停止)または所定の値に制限するように制御する。これにより、発熱部品の発熱量がなくなるか少ない発熱量に抑えられるので、筐体15の内部の空気温度を低下させることができる。
【0022】
次に、温度監視回路20における空気温度異常検出回路23の構成例について説明する。
図2は空気温度異常検出回路の構成例を示す回路図である。なお、この図2において、図1に示した構成要素と同じまたは均等の構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0023】
この図2に示す空気温度異常検出回路23は、比較器24と、空気温度異常検出値設定回路25とを有している。比較器24は、その一方の入力に空気温度検出回路22の出力が接続され、他方の入力には空気温度異常検出値設定回路25の出力が接続されている。空気温度異常検出値設定回路25は、空気温度が異常であると検出される温度に対応する値を出力するようにあらかじめ設定されている。この空気温度異常を検出する温度は、たとえば、デバイスメーカが推奨する電子部品の最高周囲温度に基づいて、または、内蔵するパワーデバイス11または他の電気部品が許容する最高周囲温度に基づいて定められている。したがって、空気温度検出センサ21は、電子部品またはパワーデバイス11などの発熱部品の近傍に設置される。
【0024】
以上のように構成された空気温度異常検出回路23は、比較器24によって空気温度検出センサ21で検出した筐体15の内部の空気温度と空気温度異常検出値設定回路25によって定められた所定値とが比較され、空気温度が所定値に達しない正常時は、空気温度異常の信号は出力されない。筐体15の内部の空気温度が所定値以上に上昇すると、比較器24は、空気温度異常を検出して空気温度異常の信号を出力する。
【0025】
なお、温度監視回路20における空気温度検出回路22および空気温度異常検出回路23の機能は、たとえば制御回路13を構成するマイクロコンピュータの機能の一部を利用して実現させることができる。その場合、空気温度異常の検出は、マイクロコンピュータにより、空気温度を周期的にサンプリングし、そのサンプリングした値があらかじめ定めた温度以上になったと判断することで行う。
【0026】
図3は空気温度異常検出回路の変形例を示す回路図である。なお、この図3において、図1に示した構成要素と同じまたは均等の構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0027】
この図3に示す空気温度異常検出回路23は、比較器24と、空気温度上昇率検出回路26と、空気温度上昇率異常検出値設定回路27とを有している。比較器24は、その一方の入力に空気温度上昇率検出回路26の出力が接続され、他方の入力には空気温度上昇率異常検出値設定回路27の出力が接続されている。空気温度上昇率検出回路26は、空気温度検出回路22で検出した空気温度を入力して、単位時間における空気温度の変化率を出力する。空気温度上昇率異常検出値設定回路27は、短時間における空気温度の異常上昇に対応する温度上昇率を出力している。
【0028】
この空気温度異常検出回路23の機能は、たとえばマイクロコンピュータによって実現させることができる。その場合、空気温度異常の検出は、マイクロコンピュータにより、空気温度を周期的にサンプリングし、サンプリングした値の一定時間内における温度上昇値が、あらかじめ定めた温度上昇値以上になったと判断することで行う。
【0029】
なお、空気温度異常検出回路23は、図2に示す構成と図3に示す構成とを組み合わせることにより、筐体15の内部の空気温度の異常上昇がゆっくりである場合にも対応することができる。
【0030】
次に、制御回路13および温度監視回路20の構成例および温度監視回路20が空気温度異常を検出した場合の制御回路13の動作例について説明する。
図4は制御回路および空気温度監視回路の構成例を示す回路図、図5は図4の回路による電力変換装置の動作例を示す説明図である。なお、この図4において、図1に示した構成要素と同じまたは均等の構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0031】
制御回路13は、電力変換装置の運転指令を送出する運転指令出力回路28と、ゲート回路29とを有している。ゲート回路29は、その正論理入力に運転指令出力回路28の出力が接続され、負論理入力には温度監視回路20の出力が接続されており、電力変換装置の運転指令と空気温度異常信号との論理積をとって、電力変換装置の運転指令とするようにしている。
【0032】
この制御回路13によれば、温度監視回路20が空気温度異常を検出していない正常状態では、ゲート回路29が運転指令出力回路28からの運転指令を許可し、電力変換装置を運転状態にする。この運転状態のとき、ファン18も運転され、電力変換装置は、所定の出力値に維持されていて、電力変換装置内部の空気温度は、所定の温度以下に保たれている。
【0033】
ここで、図5に示したように、運転途中に何らかの原因でファン18の運転が停止したとする。これにより、筐体15の内部では、冷却フィン17による集熱が行われなくなるので、電力変換装置内の空気温度が急増する。温度監視回路20が空気温度異常を検出して空気温度異常信号を出力すると、ゲート回路29が運転指令出力回路28からの運転指令を禁止し、制御回路13は、電力変換装置を運転停止する。このとき、電力変換装置の出力指令値も制御回路13によってゼロに設定される。電力変換装置が運転を停止したことにより、発熱部品から電力変換装置内の空気への熱放散がなくなるため、電力変換装置内の空気温度の上昇は停止し、降温することになる。
【0034】
図6は制御回路および空気温度監視回路の変形例を示す回路図、図7は図6の回路による電力変換装置の動作例を示す説明図である。なお、この図6において、図1に示した構成要素と同じまたは均等の構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0035】
制御回路13は、電力変換装置の出力指令値を出力する出力指令回路30と、リミッタ回路31と、出力制限値演算回路32とを有している。出力制限値演算回路32は、その入力に温度監視回路20の空気温度異常検出回路23の出力が接続され、出力は、リミッタ回路31の出力制御入力に接続されている。リミッタ回路31は、出力指令回路30の出力に接続されている。
【0036】
この制御回路13によれば、温度監視回路20が空気温度異常を検出していない正常状態では、出力制限値演算回路32は、リミッタ回路31の上限値を最大に設定している。これにより、出力指令回路30から出力された出力指令値は、リミッタ回路31で何ら制限されることなく制御回路13の出力指令値となる。この運転状態のとき、ファン18も運転され、電力変換装置は、所定の出力値に維持されていて、電力変換装置内部の空気温度は、所定の温度以下に保たれている。
【0037】
ここで、ファン18の運転が停止したとすると、図7に示したように、筐体15の内部では、冷却フィン17による集熱が行われなくなるので、電力変換装置内の空気温度が急増する。温度監視回路20が空気温度異常を検出して空気温度異常信号を出力すると、出力制限値演算回路32は、あらかじめ定められた出力制限値を演算し、リミッタ回路31に出力する。リミッタ回路31は、出力指令回路30から出力された出力指令値を出力制限値演算回路32によって演算された出力制限値に低減し、制御回路13の出力指令値として出力する。これにより、電力変換装置は、ファンが不可避的に突然停止するような事態に遭遇したとしても、その出力が定められた値に引き下げられた状態で運転が継続されることになる。装置出力が低減されたことにより、電力変換装置内の空気は、その温度上昇が停止し、装置出力に相応する温度となる。
【0038】
なお、出力の制限方法としては、出力指令回路30の出力に制限を加える上記のリミッタ回路31に代えて、乗算器を設け、出力指令回路30の出力に所定係数を掛けて制限する構成にしても良い。
【0039】
図8は図6の回路による電力変換装置の別の動作例を示す説明図である。
この図8に示す電力変換装置の動作は、装置出力を電力変換装置内の空気温度に応じて制限しようというものである。このため、温度監視回路20は、空気温度異常検出回路23が出力制限値演算回路32に空気温度異常信号を送出するとき、空気温度が異常かどうかを表す信号の他に、検出した空気温度を表す信号をも送出するようにしている。出力制限値演算回路32は、空気温度異常検出回路23から空気温度異常信号および空気温度信号を受けて、空気温度に応じた出力指令値の上限値を演算する。リミッタ回路31は、出力指令回路30から出力された出力指令値を出力制限値演算回路32によって演算された上限値まで低減し、制御回路13の出力指令値として出力する。これにより、電力変換装置は、その内部の空気温度が所定値以上にならないように装置出力を動的に低減して運転を継続することになり、ファンが停止したとしても、電力変換装置が完全に運転停止してしまうことがないようにしている。
【0040】
図9は第2の実施の形態に係る電力変換装置の構成例を示す図である。
電力変換装置は、直流または交流の電源を直流または交流に変換して出力するもので、たとえば、直流または単相若しくは三相の交流電力を供給する電源装置、若しくは、単相または三相の交流電力を出力して電動機を駆動するインバータ装置とすることができる。このような電力変換装置のパワーデバイス11としては、たとえば、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ: Insulated Gate Bipolar Transistor)が用いられ、電力を変換するインバータ回路を構成している。パワーデバイス11には、駆動回路12が接続され、この駆動回路12は、装置全体の制御を司る制御回路13によって制御されるように接続されている。
【0041】
パワーデバイス11は、これらが発生する熱を吸熱する冷却体14に搭載されている。冷却体14は、電力変換装置の外部に設置された放熱器40に配管され、配管途中に設けられたポンプ41によって冷媒が循環するように構成されている。これにより、パワーデバイス11に通電することにより発生された熱は、冷却体14を循環通流する冷媒によって装置外部に移送され、放熱器40によって放熱される。
【0042】
冷却体14は、筐体15の内部に配置された冷却フィン17に熱的に接続されている。この冷却フィン17は、ファン18によって筐体15の内部の空気が強制的に循環される空気の通路に配置され、循環する空気が通過するときに、空気の熱を集熱する。冷却フィン17によって集熱された熱は、冷却体14に移送される。これは、冷却体14の温度が、パワーデバイス11の発生損失に対して循環冷媒の温度および循環冷媒の量を制御することで、筐体15の内部空気温度よりも常に低い温度に保たれていて、筐体15の内部の空気から冷却フィン17を介して冷却体14に至る熱の流れのルートが形成されていることによる。
【0043】
この電力変換装置では、駆動回路12および制御回路13で消費する電力、パワーデバイス11および主回路導体他の部品を流れる電流によって発生する損失が熱として筐体15の内部に放熱される。放熱された熱は、ファン18の稼働により内部空気が装置内を循環することで、一度、冷却フィン17に吸熱され、その熱をパワーデバイス11の冷却体14に移動させ、さらに、その冷却体14から装置外部の放熱器40にて放熱することができる。
【0044】
また、このような閉鎖型の電力変換装置においては、内部と外部の空気の温度差および装置表面積に比例した熱量が装置の表面部材を通過して外部へ移動する。しかし、この熱通過による放熱量は、冷却フィン17により集熱される熱量に比べて少ない。このように、筐体15の内部に放熱された熱の大部分は、装置外に排熱されるため、筐体15の内部の空気温度の上昇は緩やかである。
【0045】
ファン18が故障により停止したときには、装置外への放熱は、装置表面から行われるものに限定され、この放熱量は、ファン18が稼働していたときに冷却フィン17が吸熱していた熱量に比べ、相対的に少ない。したがって、装置内の発熱部品が空気に放熱した熱の大部分は、装置外に放熱できず、装置内空気温度が短時間で急上昇する。装置内空気温度は、内部で発生する熱量と装置表面から放熱する熱量とが一致するまで上昇する。
【0046】
また、電力変換装置は、筐体15の内部の温度を監視する温度監視回路20を備え、この温度監視回路20には、筐体15の内部の空気温度を検出する空気温度検出センサ21および冷却体14の温度を検出する冷却体温度検出センサ42が接続されている。温度監視回路20は、筐体15の内部の空気温度および冷却体14の温度の変化を監視し、冷却体14の温度が正常でありながら筐体15の内部の空気温度が異常を示したときに、ファン18が故障したと判断し、制御回路13にファン故障信号を出力する。制御回路13は、ファン故障信号を受けると、装置出力を制限するよう制御する。
【0047】
ここで、空気温度を検出する空気温度検出センサ21および冷却体14の温度を検出する冷却体温度検出センサ42は、測温抵抗体、熱電対、半導体温度センサなどで構成することができる。
【0048】
次に、温度監視回路20、駆動回路12および制御回路13の具体的な構成例について説明する。
図10は第2の実施の形態に係る電力変換装置の温度監視回路の構成例を示す回路図である。なお、この図10において、図2および図9に示した構成要素と同じまたは均等の構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0049】
この温度監視回路20は、空気温度検出回路22と、冷却体温度検出回路43と、ファン故障検出回路44とを有している。ファン故障検出回路44は、比較器24と、空気温度異常検出値設定回路25と、比較器45と、冷却体温度異常検出値設定回路46と、ゲート回路47とを有している。比較器24は、その一方の入力に空気温度検出回路22の出力が接続され、他方の入力には空気温度異常検出値設定回路25の出力が接続されている。比較器45は、その一方の入力に冷却体温度検出回路43の出力が接続され、他方の入力には冷却体温度異常検出値設定回路46の出力が接続されている。比較器24の出力は、ゲート回路47の正論理入力に接続され、ゲート回路47の負論理入力には比較器45の出力が接続されている。
【0050】
比較器24は、空気温度検出センサ21によって検出された筐体15の内部の空気温度が空気温度異常検出値設定回路25によって設定された第1の所定値より低いとき、論理「0」の信号を出力し、筐体15の内部の空気温度が第1の所定値以上になった場合に、論理「1」の信号を出力する。
【0051】
空気温度異常検出値設定回路25によって設定された第1の所定値は、たとえば、電子部品などが安定に動作する温度の上限値に設定されている。
比較器45は、冷却体温度検出センサ42によって検出された冷却体14の温度が冷却体温度異常検出値設定回路46によって設定された第2の所定値以下のとき、論理「0」の信号を出力し、冷却体14の温度が第2の所定値より高くなった場合に、論理「1」の信号を出力する。
【0052】
冷却体温度異常検出値設定回路46によって設定された第2の所定値は、装置稼働条件において最高の冷却体温度、たとえば、装置が最大出力で稼働しているときの冷却体14の温度よりも高い温度に設定されている。これにより、別の要因で冷却体14の温度が高くなり、これが空気の温度の上昇に影響を与えるような場合の誤検出を防止している。
【0053】
ゲート回路47は、閉鎖型の電力変換装置の内部の空気温度が第1の所定値以上であり、パワーデバイス11を冷却する冷却体14の温度が第2の所定値以下のとき、論理「1」の信号を出力する。これにより、ファン故障検出回路44は、冷却体14が正常に冷却されているにも拘わらず、空気温度が異常高温になったときに、ファン故障と判断し、ファン故障信号を制御回路13に出力することになる。
【0054】
なお、温度監視回路20の各機能は、たとえば制御回路13を構成するマイクロコンピュータの機能の一部を利用して実現させることができる。その場合、空気温度検出センサ21および冷却体温度検出センサ42の検出出力をアナログ・ディジタル変換し、そのディジタル値をマイクロコンピュータで、サンプリングして検出する。空気温度異常および冷却体温度異常の検出は、マイクロコンピュータによりそのサンプリングした値があらかじめ定めた温度以上になったと判断することで行う。
【0055】
図11は第2の実施の形態に係る電力変換装置の温度監視回路の変形例を示す回路図である。なお、この図11において、図3および図9に示した構成要素と同じまたは均等の構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0056】
この温度監視回路20は、空気温度検出回路22と、冷却体温度検出回路43と、ファン故障検出回路44とを有している。ファン故障検出回路44は、比較器24と、空気温度上昇率検出回路26と、空気温度上昇率異常検出値設定回路27と、比較器45と、冷却体温度上昇率検出回路48と、冷却体温度上昇率異常検出値設定回路49と、ゲート回路47とを有している。比較器24は、その一方の入力に空気温度上昇率検出回路26の出力が接続され、他方の入力には空気温度上昇率異常検出値設定回路27の出力が接続されている。比較器45は、その一方の入力に冷却体温度上昇率検出回路48の出力が接続され、他方の入力には冷却体温度上昇率異常検出値設定回路49の出力が接続されている。比較器24の出力は、ゲート回路47の正論理入力に接続され、ゲート回路47の負論理入力には比較器45の出力が接続されている。
【0057】
比較器24は、空気温度検出センサ21によって検出された筐体15の内部の空気温度上昇率が空気温度上昇率異常検出値設定回路27によって設定された第1の所定値より低いとき、論理「0」の信号を出力し、筐体15の内部の空気温度上昇率が第1の所定値以上になった場合に、論理「1」の信号を出力する。
【0058】
空気温度上昇率異常検出値設定回路27によって設定された第1の所定値は、装置内の空気を循環させるファン18が正常に稼働しているときの内部空気の最大温度上昇率よりも高い値に設定されている。
【0059】
比較器45は、冷却体温度検出センサ42によって検出された冷却体14の温度上昇率が冷却体温度上昇率異常検出値設定回路49によって設定された第2の所定値以下のとき、論理「0」の信号を出力し、冷却体14の温度上昇率が第2の所定値より高くなった場合に、論理「1」の信号を出力する。
【0060】
冷却体温度上昇率異常検出値設定回路49によって設定された第2の所定値は、装置稼働条件において最高の冷却体温度上昇率、たとえば、装置が最大出力で稼働しているときの冷却体14の温度上昇率よりも高い上昇率に設定されている。これにより、別の要因で冷却体14の温度が急に上昇し、これが空気の温度の上昇に影響を与えるような場合の誤検出を防止している。
【0061】
ゲート回路47は、閉鎖型の電力変換装置の内部の空気温度上昇率が第1の所定値以上であり、パワーデバイス11を冷却する冷却体14の温度上昇率が第2の所定値以下のとき、論理「1」の信号を出力する。これにより、ファン故障検出回路44は、冷却体14が正常に冷却されているにも拘わらず、空気温度上昇率が異常になったときに、ファン故障と判断し、ファン故障信号を制御回路13に出力することになる。
【0062】
なお、温度監視回路20の各機能は、たとえば制御回路13を構成するマイクロコンピュータの機能の一部を利用して実現させることができる。その場合、空気温度検出センサ21および冷却体温度検出センサ42の検出出力をアナログ・ディジタル変換し、そのディジタル値をマイクロコンピュータで、一定周期でサンプリングして検出する。一定周期でサンプリングしたデータ間の偏差をとることにより、温度の上昇率を求めることができ、それを冷却体温度上昇率異常検出値設定回路49によって設定された第2の所定値と比較することで空気温度上昇率異常を検出することができる。
【0063】
図12は制御回路および駆動回路の構成例を示す回路図、図13は図12の回路による電力変換装置の動作例を示す説明図である。なお、この図12において、図4および図9に示した構成要素と同じまたは均等の構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0064】
制御回路13は、電力変換装置の運転指令を送出する運転指令出力回路28と、ゲート回路29と、出力指令値を演算する出力指令演算回路50とを有している。ゲート回路29は、その正論理入力に運転指令出力回路28の出力が接続され、負論理入力には温度監視回路20の出力が接続されている。したがって、ゲート回路29は、電力変換装置の運転指令とファン故障信号との論理積をとって、電力変換装置の運転指令とするようにしている。駆動回路12は、PWM(Pulse Width Modulation)変調回路51を有している。このPWM変調回路51は、ゲート回路29からの運転指令と、出力指令演算回路50からの出力指令とを受けて、たとえばインバータ回路を構成しているパワーデバイス11の制御用ゲート信号を生成している。
【0065】
この制御回路13によれば、温度監視回路20がファン故障信号を出力していない正常状態では、ゲート回路29が運転指令出力回路28からの運転指令を許可し、PWM変調回路51へ出力する。PWM変調回路51は、出力指令演算回路50から出力指令を受けて、それに対応する装置出力が維持されるようなゲート信号を出力する。このとき、ファン18は、正常に稼動され、電力変換装置内部の空気温度は、所定の温度以下に保たれている。すなわち、電力変換装置内部の空気温度は、装置運転開始から緩やかに上昇し、内部発熱量と放熱量とがバランスしている。
【0066】
ここで、図13に示したように、運転途中に何らかの原因でファン18の運転が停止したとする。これにより、筐体15の内部では、冷却フィン17による集熱が行われなくなるので、電力変換装置内の空気温度が急上昇する。温度監視回路20が空気温度異常を検出してファン故障信号を出力すると、制御回路13では、ゲート回路29が運転指令出力回路28からの運転指令を禁止し、PWM変調回路51は、パワーデバイス11に対してゲートオフの指令を出力し、電力変換装置を運転停止させる。これにより、電力変換装置の出力は、ゼロにまで制限される。電力変換装置が運転を停止したことにより、発熱部品から電力変換装置内の空気への熱放散がなくなるため、電力変換装置内の空気温度が上昇することはなくなり、徐々に低下することになる。
【0067】
図14は制御回路および駆動回路の変形例を示す回路図、図15は図14の回路による電力変換装置の動作例を示す説明図である。なお、この図14において、図6、図9および図12に示した構成要素と同じまたは均等の構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0068】
制御回路13は、電力変換装置の運転指令を送出する運転指令出力回路28と、電力変換装置の出力指令値を出力する出力指令演算回路50と、リミッタ回路31と、出力制限値演算回路32とを有している。出力制限値演算回路32は、その入力に温度監視回路20の出力が接続され、出力は、リミッタ回路31の出力制御入力に接続されている。リミッタ回路31は、出力指令演算回路50の出力に接続されている。駆動回路12は、PWM変調回路51を有している。このPWM変調回路51は、運転指令出力回路28からの運転指令と、出力指令演算回路50からの出力指令とを受けて、パワーデバイス11の制御用ゲート信号を生成している。
【0069】
この制御回路13によれば、温度監視回路20がファン故障を検出していない正常状態では、出力制限値演算回路32は、リミッタ回路31の上限値を最大に設定している。これにより、出力指令演算回路50から出力された出力指令値は、リミッタ回路31で何ら制限されることなくPWM変調回路51へ入力される。この運転状態のとき、ファン18は稼働され、電力変換装置は、所定の出力値に維持されていて、電力変換装置内部の空気温度は、所定の温度以下に保たれている。
【0070】
ここで、ファン18の運転が停止したとすると、図15に示したように、筐体15の内部では、冷却フィン17による集熱が行われなくなるので、電力変換装置内の空気温度が急増する。このとき、運転指令出力回路28からの運転指令はそのまま継続される。温度監視回路20が空気温度異常を検出してファン故障信号を出力すると、出力制限値演算回路32は、あらかじめ定められた出力制限値を演算し、リミッタ回路31に出力する。リミッタ回路31は、出力指令演算回路50から出力された出力指令値を出力制限値演算回路32によって演算された出力制限値に低減し、PWM変調回路51へ入力する。PWM変調回路51は、制限された出力指令値でパルス幅変調を行うことにより、電力変換装置は、その出力を低減して運転することになる。これにより、電力変換装置は、ファン18が不可避的に突然停止するような事態に遭遇したとしても、その出力が定められた値に引き下げられた状態で運転が継続されることになる。装置出力が低減されたことにより、パワーデバイス11や導体などに流れる電流が減り、装置内部への放熱量が低減し、電力変換装置内の空気温度の上昇が抑制されることになり、その結果、電力変換装置内の空気温度は、装置出力に相応する温度となる。
【0071】
図16は制御回路および駆動回路のさらなる変形例を示す回路図、図17は図16の回路による電力変換装置の動作例を示す説明図である。なお、この図16において、図9および図12に示した構成要素と同じまたは均等の構成要素については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
【0072】
制御回路13は、電力変換装置の運転指令を出力する運転指令出力回路28と、出力指令値を出力する出力指令演算回路50と、出力指令値に対して制限を加える減算器52と、空気温度調節回路53と、空気温度上限設定値出力回路54と、温度監視回路20からのファン故障信号に応答して切り換え動作を行うスイッチ55とを有している。空気温度調節回路53は、たとえば、比較器および比例積分調節器を有し、空気温度検出センサ21が検出した空気温度から空気温度上限設定値出力回路54が出力する空気温度上限設定値を減算し、この量を、たとえば比例積分調節器に入力して、検出した空気温度と空気温度上限設定値との偏差を出力する。
【0073】
スイッチ55は、温度監視回路20からファン故障信号が出力されていないとき、図16に示す位置に倒され、ファン故障信号が出力されたときには、空気温度調節回路53の側に倒されるよう動作する。
【0074】
この制御回路13によれば、温度監視回路20がファン故障を検出していない正常状態では、スイッチ55は、図示の位置にあって減算器52にはゼロの制限値が加えられる。これにより、出力指令演算回路50からの出力指令値に対して何ら制限は加えられず、そのままPWM変調回路51へ入力され、電力変換装置は、その出力指令値に対応する出力で運転される。このとき、ファン18は稼働され、電力変換装置は、所定の出力値に維持されていて、電力変換装置内部の空気温度は、所定の温度以下に保たれている。
【0075】
ここで、ファン18の運転が停止したとすると、図17に示したように、電力変換装置内の空気温度が急増し、温度監視回路20がファン故障信号を出力する。これに応動して制御回路13のスイッチ55は、空気温度調節回路53の側に倒され、空気温度調節回路53の出力が減算器52に入力される。このとき、運転指令出力回路28からの運転指令はそのまま継続される。
【0076】
減算器52は、出力指令演算回路50から出力された出力指令値から空気温度調節回路53の出力を減算して、PWM変調回路51への出力指令値とする演算を行う。PWM変調回路51は、この出力指令値でパルス幅変調を行うことにより、電力変換装置は、その出力を低減して、空気温度が空気温度上限設定値出力回路54で設定された空気温度上限設定値となるように運転する。これにより、電力変換装置は、ファン18が停止したとしても、その出力が定められた空気温度上限設定値に維持された状態で運転が継続されることになる。装置出力が低減されたことにより、パワーデバイス11や導体などに流れる電流が減り、装置内部への放熱量が低減し、電力変換装置内の空気温度の上昇が抑制されることになり、その結果、電力変換装置内の空気温度は、装置出力に相応する温度となる。
【符号の説明】
【0077】
11 パワーデバイス
12 駆動回路
13 制御回路
14 冷却体
15 筐体
16 空気
17 冷却フィン
18 ファン
20 温度監視回路
21 空気温度検出センサ
22 空気温度検出回路
23 空気温度異常検出回路
24 比較器
25 空気温度異常検出値設定回路
26 空気温度上昇率検出回路
27 空気温度上昇率異常検出値設定回路
28 運転指令出力回路
29 ゲート回路
30 出力指令回路
31 リミッタ回路
32 出力制限値演算回路
40 放熱器
41 ポンプ
42 冷却体温度検出センサ
43 冷却体温度検出回路
44 ファン故障検出回路
45 比較器
46 冷却体温度異常検出値設定回路
47 ゲート回路
48 冷却体温度上昇率検出回路
49 冷却体温度上昇率異常検出値設定回路
50 出力指令演算回路
51 PWM変調回路
52 減算器
53 空気温度調節回路
54 空気温度上限設定値出力回路
55 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内部のパワーデバイスを冷却体で冷却し、前記冷却体に熱的に接続した冷却フィンにファンが前記筐体内部の空気を循環通風して前記筐体内部の空気を冷却する閉鎖型の電力変換装置において、
前記筐体内部の空気温度の異常を検出する温度監視部と、
前記温度監視部による空気温度の異常検出に応じて装置出力を制限する制御部と、
を備えていることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記温度監視部は、前記筐体内部の空気温度が所定値以上に上昇したことを検出して空気温度異常と判断することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記温度監視部は、前記筐体内部の空気温度が所定値以上の上昇率で上昇したことを検出して空気温度異常と判断することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記温度監視部が空気温度異常を検出したとき、前記装置出力を停止するようにしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記温度監視部が空気温度異常を検出したとき、前記装置出力を低減して運転を継続するようにしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記温度監視部が空気温度異常を検出したとき、前記筐体内部の空気温度が所定値以上にならないように前記装置出力を動的に制御して運転を継続するようにしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記温度監視部は、さらに前記冷却体の温度異常を検出する機能を有し、前記冷却体の温度が正常の場合のみ、前記筐体内部の空気温度が所定値以上に上昇したことを検出して前記ファンが故障であると判断し、前記制御部が装置出力を制限することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記温度監視部は、さらに前記冷却体の温度上昇率異常を検出する機能を有し、前記冷却体の温度上昇率が正常の場合のみ、前記筐体内部の空気温度が所定値以上の上昇率で上昇したことを検出して前記ファンが故障であると判断し、前記制御部が装置出力を制限することを特徴とする請求項1記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記温度監視部が前記ファンの故障を検出したとき、前記装置出力を停止するようにしたことを特徴とする請求項7または請求項8記載の電力変換装置。
【請求項10】
前記制御部は、前記温度監視部が前記ファンの故障を検出したとき、前記装置出力を低減して運転を継続するようにしたことを特徴とする請求項7または請求項8記載の電力変換装置。
【請求項11】
前記制御部は、前記温度監視部が前記ファンの故障を検出したとき、前記筐体内部の空気温度が所定値以上にならないように前記装置出力を動的に制御して運転を継続するようにしたことを特徴とする請求項7または請求項8記載の電力変換装置。
【請求項12】
筐体内部のパワーデバイスを冷却体で冷却し、前記冷却体に熱的に接続した冷却フィンに前記筐体内部の空気を循環通風して前記筐体内部の空気を冷却する閉鎖型の電力変換装置にて、前記筐体内部の空気を前記冷却フィンに循環通風させるファンの故障検出方法において、
前記筐体内部の空気温度を検出し、
空気温度が所定値以上に上昇したことを検出して、前記ファンの故障を検出するようにしたことを特徴とする電力変換装置のファン故障検出方法。
【請求項13】
筐体内部のパワーデバイスを冷却体で冷却し、前記冷却体に熱的に接続した冷却フィンに前記筐体内部の空気を循環通風して前記筐体内部の空気を冷却する閉鎖型の電力変換装置にて、前記筐体内部の空気を前記冷却フィンに循環通風させるファンの故障検出方法において、
前記筐体内部の空気温度および前記冷却体の温度を検出し、
前記冷却体の温度が正常であるときに、空気温度が所定値以上に上昇したことを検出して、前記ファンの故障を検出するようにしたことを特徴とする電力変換装置のファン故障検出方法。
【請求項14】
筐体内部のパワーデバイスを冷却体で冷却し、前記冷却体に熱的に接続した冷却フィンに前記筐体内部の空気を循環通風して前記筐体内部の空気を冷却する閉鎖型の電力変換装置にて、前記筐体内部の空気を前記冷却フィンに循環通風させるファンの故障検出方法において、
前記筐体内部の空気温度の上昇率を検出し、
空気温度の上昇率が所定値以上に上昇したことを検出して、前記ファンの故障を検出するようにしたことを特徴とする電力変換装置のファン故障検出方法。
【請求項15】
筐体内部のパワーデバイスを冷却体で冷却し、前記冷却体に熱的に接続した冷却フィンに前記筐体内部の空気を循環通風して前記筐体内部の空気を冷却する閉鎖型の電力変換装置にて、前記筐体内部の空気を前記冷却フィンに循環通風させるファンの故障検出方法において、
前記筐体内部の空気温度の上昇率および前記冷却体の温度の上昇率を検出し、
前記冷却体の温度の上昇率が正常であるときに、空気温度の上昇率が所定値以上に上昇したことを検出して、前記ファンの故障を検出するようにしたことを特徴とする電力変換装置のファン故障検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−193695(P2010−193695A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51526(P2009−51526)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】