説明

電力変換装置

【課題】インバータ装置とDC/DCコンバータ装置との冷却水路を接続するホースに電食が生じないように、インバータ装置とDC/DCコンバータ装置とを一体型として小型化を図ること。
【解決手段】インバータ装置2とDC/DCコンバータ装置3との筺体同士を結合して一体型にすると共に、インバータ装置2とDC/DCコンバータ装置3との筺体内に形成された冷却水路の出入口を所定の抵抗値を有するホース4で接続し、筺体同士の結合部分の第1の抵抗値R1とホース4の第2の抵抗値R2との合成抵抗値Rを、電力変換動作時のDC/DCコンバータ装置3から筺体とホース4に電流が流れた際に、ホース4に電食を発生させない電位差以下の電圧が生じる値となるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2輪駆動や4輪駆動等の車両において、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などの電力変換用のスイッチング素子を用いてモータジェネレータを駆動するインバータ装置と、DC/DCコンバータ装置とを一体型とした電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電力変換装置は、複数の電力変換用のスイッチング素子を用いてモータジェネレータを駆動するインバータ装置と、インバータ装置に接続される高圧バッテリーの直流電力を異なる電圧の直流電力に変換して低圧バッテリーに充電するDC/DCコンバータ装置とを備える。インバータ装置と、DC/DCコンバータ装置は、各々独立しているが、電力変換装置の小型化の要望からそれらを一体型とすることが要望されている。
【0003】
この場合、電力変換装置は複数のスイッチング素子を用いるが、これらスイッチング素子の発熱を冷却するため、例えば特許文献1のように、スイッチング素子間に冷却水路を配置してスイッチング素子に当接させる構成がある。インバータ装置とDC/DCコンバータ装置とを一体型とする場合、DC/DCコンバータ装置も発熱するので冷却水路に当接する構成を採る必要がある。この場合、インバータ装置内の冷却水路とDC/DCコンバータ装置内の冷却水路とをEPDM製などのホースで接続する。なお、EPDMとは、エチレンとプロピレン及び架橋用ジエンモノマーとの三元共重合体で、工業的に広く使用されているゴムである。
【特許文献1】特開2007−266634号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようにインバータ装置とDC/DCコンバータ装置とを一体型とした場合、DC/DCコンバータ装置が低圧バッテリーへの充電時に電力変換を行う際に、最大70Aの電流が流れる。低圧バッテリーの負極側はDC/DCコンバータ装置の筺体に接続されているため、その70Aの電流が筺体に流れ、冷却水路を形成する配管部分に電位差が生じる。この電位差によって、DC/DCコンバータ装置とインバータ装置との冷却水路を接続するホースに電食が生じてホースが劣化するという問題がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、インバータ装置とDC/DCコンバータ装置との冷却水路を接続するホースに電食が生じないように、インバータ装置とDC/DCコンバータ装置とを一体型として小型化を図ることができる電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明による電力変換装置は、高圧バッテリーの直流電力が昇降圧コンバータで昇圧された電力を複数のスイッチング素子で交流電力に変換し、この交流電力でモータジェネレータを駆動し、当該モータジェネレータを発電機とする際に当該モータジェネレータから出力される交流電力を直流電力に変換し、この変換した直流電力を昇降圧コンバータで降圧して前記高圧バッテリーに回生するインバータ装置と、前記高圧バッテリーの直流電力を低圧の直流電力に変換して低圧バッテリーに充電するDC/DCコンバータ装置とを有し、前記インバータ装置及び前記DC/DCコンバータ装置が個別に金属製の筺体内に発熱を抑制する冷却水路を伴って形成されている電力変換装置において、前記インバータ装置と前記DC/DCコンバータ装置との筺体同士を結合して一体型にすると共に、当該インバータ装置と当該DC/DCコンバータ装置との筺体内に形成された冷却水路の出入口を所定の抵抗値を有するホースで接続し、前記筺体同士の結合部分の第1の抵抗値と前記ホースの第2の抵抗値との合成抵抗値を、電力変換動作時のDC/DCコンバータ装置から筺体とホースに電流が流れた際に、当該ホースに電食を発生させない電位差以下の電圧が生じる値となるようにしたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、インバータ装置とDC/DCコンバータ装置との冷却水路を接続するホースに電食が生じないように、インバータ装置とDC/DCコンバータ装置とを一体型として電力変換装置を構成したので、電力変換装置の小型化を図ることができる。
【0008】
また、本発明による電力変換装置は、前記合成抵抗値が、約7mΩ以下であることを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、電力変換動作時のDC/DCコンバータ装置から結合された筺体とホースに最大70Aの電流が流れるが、この際に、筺体とホースの合成抵抗値が7mΩなので、DC/DCコンバータ装置とインバータ装置との間の電位差は、約0.5Vとなる。ホースに電食を発生させない電位差は0.5V以下であるため、この条件を満足することになる。
【0010】
また、本発明による電力変換装置は、前記ホースは、エチレンとプロピレン及び架橋用ジエンモノマーとの三元共重合体で且つカーボンを含有するEPDM製であって、前記筺体同士の結合部分の第1の抵抗値に応じて、前記合成抵抗値が当該ホースに電食を発生させない電位差以下の電圧が生じる値となるように、当該カーボンの量が調整されることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、インバータ装置とDC/DCコンバータ装置との筺体の結合部分の強弱等に応じて第1の抵抗値の大きさが異なるが、第1の抵抗値が高い場合は、ホースに含まれるカーボンの量を増やして第2の抵抗値を低くすればよい。このようにカーボン量で合成抵抗値を所定値以下とすることができる。
【0012】
また、本発明による電力変換装置は、前記インバータ装置とDC/DCコンバータ装置との筺体同士の結合後に、当該筺体同士を導電材料で接続することを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、第1の抵抗値を小さくすることができるので、第2の抵抗値との合成抵抗値を所定値以下とする際に、し易くなる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、インバータ装置とDC/DCコンバータ装置との冷却水路を接続するホースに電食が生じないように、インバータ装置とDC/DCコンバータ装置とを一体型として小型化を図ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。但し、本明細書中の全図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適時省略する。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る電力変換装置の構成を示す図である。
【0017】
図1に示す電力変換装置1は、アルミダイキャスト製の筺体で形成されたインバータ装置2と、アルミダイキャスト製の筺体で形成されたDC/DCコンバータ装置3とがねじ止めにより結合され、インバータ装置2の冷却水路の出口とDC/DCコンバータ装置3の冷却水路の入口とがカーボンを含有するEPDM製のホース4で接続されて一体型に構成されている。なお、インバータ装置2とDC/DCコンバータ装置3との筺体の結合は、ねじ止めの他に、ボルト、ナット止めや、各筺体のエッジ部を挟む手法であっても良い。
【0018】
また、冷却水路内の冷媒を冷却するラジエータ5の出口がホース6でポンプ7の入口に接続され、ポンプ7の出口がホース8でDC/DCコンバータ装置3の冷却水路の入口に接続され、上記のようにDC/DCコンバータ装置3の出口がホース4でインバータ装置2の入口に接続され、更に、インバータ装置2の冷却水路の出口がホース9でラジエータ5の入口に接続されている。なお、他のホース6,8,9もEPDM製であるとする。
【0019】
このような電力変換装置1の電気回路の構成図を図2に示す。
【0020】
インバータ装置2は、昇降圧コンバータ12と、モータジェネレータMG1用のインバータ13と、モータジェネレータMG2用のインバータ14と、各インバータ13,14の間に接続され、蓄電の役割も有するサージ電圧吸収用コンデンサ15とを備えて構成されている。
【0021】
DC/DCコンバータ装置3は、アルミダイキャスト製の筺体3a内に配設されており、インバータ装置16に接続される高圧バッテリー18の直流電力を低圧の直流電力に変換して低圧バッテリー19に充電する。低圧バッテリー19の負極側は、DC/DCコンバータ装置3の筺体3aに接続され、アースされている。筺体3aもアースされている。また、低圧バッテリー19には、カーナビゲーション、カーオーディオ、ライト、計器類などの負荷装置20が接続されている。なお、低圧バッテリー19と負荷装置20はDC/DCコンバータ装置3の構成要素とは異なる。
【0022】
高圧バッテリー18は、昇降圧コンバータ12に接続されており、昇降圧コンバータ12に直流電力を供給し、また昇降圧コンバータ12から回生される直流電力を蓄電する。
【0023】
昇降圧コンバータ12は、高圧バッテリー18から供給された直流電力を昇圧してインバータ13及び14へ出力し、またインバータ13及び14から出力された直流電力を降圧して高圧バッテリー18へ出力する。また、昇降圧コンバータ12は、コンデンサ23と、リアクトル24と、高圧側の半導体素子である上アーム用スイッチング素子(電力変換用スイッチング素子)21と、高圧GND(グランド)側の半導体素子である下アーム用スイッチング素子(電力変換用スイッチング素子)22と、ダイオードD1,D2を含んで構成されている。
【0024】
これら構成要素は、高圧バッテリー18の正極側にコンデンサ23及びリアクトル24の一端が接続され、負極側にコンデンサ23の他端と下アーム用スイッチング素子22のエミッタ端子が接続されている。上アーム用スイッチング素子21と下アーム用スイッチング素子22とは直列に接続されており、リアクトル24の他端は、その間、つまり上アーム用スイッチング素子21のエミッタ端子及び下アーム用スイッチング素子22のコレクタ端子に接続されている。
【0025】
上アーム用スイッチング素子21のコレクタ端子は、後述するMG1用インバータ13及びMG2用インバータ14の一端側に接続されている。下アーム用スイッチング素子22のエミッタ端子は、MG1用インバータ13及びMG2用インバータ14の他端側に接続されている。スイッチング素子21,22のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側に電流を流すダイオードD1,D2が接続されている。また、スイッチング素子21,22のゲート端子は、図示せぬ制御手段に接続されている。
【0026】
モータジェネレータMG1及びモータジェネレータMG2は、それぞれMG1用インバータ13、MG2用インバータ14に接続されており、高圧バッテリー18から供給される電力により駆動する。発電機として働く場合は、交流電力をそれぞれに接続されるインバータ13及び14に出力する。なお、モータジェネレータMG1及びMG2は、インバータ装置2の構成要素とは異なる。
【0027】
MG1用インバータ13及びMG2用インバータ14は、互いに並列に接続されており、昇降圧コンバータ12によって昇圧された直流電力を三相交流に変換して、モータジェネレータMG1及びMG2に出力する。また、モータジェネレータMG1及びMG2が発電機として働く場合は、モータジェネレータMG1及びMG2から出力される交流電力を直流に変換して昇降圧コンバータ12に出力する。
【0028】
MG1用インバータ13は、U相31、V相32及びW相33からなり、U相31、V相32及びW相33は、昇降圧コンバータ12に並列に接続されている。U相31は、高圧側の半導体素子の上アーム用スイッチング素子34と高圧GND側の半導体素子の下アーム用スイッチング素子35とが直列に接続されてなる。同様に、V相は上アーム用スイッチング素子36と下アーム用スイッチング素子37、W相は上アーム用スイッチング素子38と下アーム用スイッチング素子39が直列に接続されてなる。
【0029】
各スイッチング素子34〜39のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。各スイッチング素子34〜39のゲート端子には、図示せぬモータ制御手段からのPWM(パルス幅変調)指令信号が入力され、当該スイッチング素子34〜39の駆動が制御されるようになっている。UVW各相の中間点は、モータジェネレータMG1の各相コイル(図示略)の各相端に接続されている。
【0030】
MG2用インバータ14は、U相41、V相42及びW相43からなり、U相41、V相42及びW相43は、昇降圧コンバータ12及びMG1用インバータ13に並列に接続されている。U相41は、高圧側の半導体素子の上アーム用スイッチング素子44と高圧GND側の半導体素子の下アーム用スイッチング素子45とが直列に接続されてなる。同様に、V相は上アーム用スイッチング素子46と下アーム用スイッチング素子47、W相は上アーム用スイッチング素子48と下アーム用スイッチング素子49が直列に接続されてなる。
【0031】
各スイッチング素子44〜49のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD9〜D14がそれぞれ接続されている。各スイッチング素子44〜49のゲート端子には、モータ制御手段からのPWM指令信号が入力され、当該スイッチング素子44〜49の駆動が制御されるようになっている。UVW各相の中間点は、モータジェネレータMG2の各相コイル(図示略)の各相端に接続されている。ここで、昇降圧コンバータ12及びインバータ13,14にそれぞれ含まれるスイッチング素子は、IGBT等のパワーデバイスが用いられているとする。
【0032】
このような電力変換装置1においては、高圧バッテリー18の直流電力が昇降圧コンバータ12で昇圧されてインバータ13及び14で三相交流に変換され、この三相交流でモータジェネレータMG2が駆動される。一方、モータジェネレータMG1が発電機として働く場合は、モータジェネレータMG1から出力される交流電力がインバータ13で直流電力に変換され、更に昇降圧コンバータ12で降圧されて高圧バッテリー18に回生される。また、DC/DCコンバータ装置3によって高圧バッテリー18の直流電力が異なる電圧の直流電力に変換され、この変換された直流電力が低圧バッテリー19に充電される。
【0033】
このように外観構造的、冷却水路構造的、電気回路的に一体に構成された電力変換装置1の特徴は、図3に示すように、インバータ装置2とDC/DCコンバータ装置3とを形成する各々のアルミダイキャスト製の筺体同士をねじ止め51すると共に、インバータ装置2とDC/DCコンバータ装置3の内部に形成された冷却水路の出入口をEPDM製のホース4で接続する。そして、図4に示すように、ねじ止め部分の第1の抵抗値R1と、ホース4部分の第2の抵抗値R2との合成抵抗値Rを、電力変換動作時のDC/DCコンバータ装置3から筺体とホース4に最大70Aの電流Iaが流れた際に、ホース4に電食を発生させない電位差以下の電圧Vaが生じる値となるようにした。なお、合成抵抗値R=R1・R2/(R1+R2)である。
【0034】
つまり、ホース4に電食を発生させない電位差Vaは0.5V以下であるため、この際の合成抵抗値Rは、0.5V/70A≒7mΩとなる。従って、合成抵抗値Rが7mΩ以下となるように、第1の抵抗値R1と第2の抵抗値R2とを定める。
【0035】
第1の抵抗値R1は、インバータ装置2とDC/DCコンバータ装置3との筺体のねじ止めによる結合度合いで決まるが、その結合度合いが弱い程に抵抗値R1が高くなる。抵抗値R1を低くするには結合度合いを強くすればよいが、更に抵抗値R1を低くするには筺体同士をねじ止めで結合後に導電部材で接続する等の構成をとっても良い。
【0036】
第2の抵抗値R2はホース4の抵抗値となるが、ホース4はEPDM製であり、その成分としてカーボンが配合されているので、カーボンの量を調整して抵抗値を変化させる。カーボンの量を少なくすると抵抗値R2が高くなる。
【0037】
そこで、第1の抵抗値R1が高い場合は、ホース4のカーボン量を多くして第2の抵抗値R2を低くする。逆に、第1の抵抗値R1が低い場合は、ホース4のカーボン量を少なくして第2の抵抗値R2を高くすればよい。
【0038】
このように本実施形態の電力変換装置1では、インバータ装置2とDC/DCコンバータ装置3との筺体同士を結合して一体型にすると共に、インバータ装置2とDC/DCコンバータ装置3との筺体内に形成された冷却水路の出入口を所定の抵抗値を有するホース4で接続し、筺体同士の結合部分の第1の抵抗値R1とホース4の第2の抵抗値R2との合成抵抗値Rを、電力変換動作時のDC/DCコンバータ装置3から筺体とホース4に電流が流れた際に、ホース4に電食を発生させない電位差以下の電圧が生じる値となるようにした。
【0039】
つまり、インバータ装置2とDC/DCコンバータ装置3との冷却水路を接続するホース4に電食が生じないように、インバータ装置2とDC/DCコンバータ装置3とを一体型として電力変換装置1を構成したので、電力変換装置の小型化を図ることができる。
【0040】
また、合成抵抗値Rを、約7mΩ以下とした。
【0041】
従って、電力変換動作時のDC/DCコンバータ装置3から結合された筺体とホース4に最大70Aの電流が流れるが、この際に、筺体とホース4の合成抵抗値が7mΩなので、DC/DCコンバータ装置3とインバータ装置2との間の電位差は、約0.5Vとなる。ホース4に電食を発生させない電位差は0.5V以下であるため、この条件を満足することになる。
【0042】
また、ホース4は、エチレンとプロピレン及び架橋用ジエンモノマーとの三元共重合体で且つカーボンを含有するEPDM製であって、筺体同士の結合部分の第1の抵抗値R1に応じて、合成抵抗値Rがホース4に電食を発生させない電位差以下の電圧が生じる値となるように、カーボンの量が調整されるようにした。
【0043】
これによって、インバータ装置2とDC/DCコンバータ装置3との筺体の結合部分の強弱等に応じて第1の抵抗値R1の大きさが異なるが、第1の抵抗値R1が高い場合は、ホース4に含まれるカーボンの量を増やして第2の抵抗値R2を低くすればよい。このようにカーボン量で合成抵抗値Rを所定値以下とすることができる。
【0044】
また、ホース4として上記のEPDM製であって、ホース内部に金属メッシュが周回されて配設されたタイプのものを用いても良い。この場合、第2の抵抗値R2を減少させることができる。
【0045】
また、インバータ装置2とDC/DCコンバータ装置3との筺体同士の結合を行った後に、筺体同士を導電材料で接続する構成としても良い。
【0046】
この構成によれば、第1の抵抗値R1を小さくすることができるので、第2の抵抗値R2との合成抵抗値Rを所定値以下とする際に、し易くなる。
【0047】
また、DC/DCコンバータ装置が低圧バッテリーへの充電時に電力変換を行う際に、流れる電流が本実施例と異なる仕様となる場合は、その電流値に応じてホースに電食を発生しない電位差以下となるよう、合成抵抗を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施形態に係る電力変換装置の構成を示す図である。
【図2】本実施形態の電力変換装置の電気回路の構成図である。
【図3】本実施形態の電力変換装置の第1及び第2の抵抗値と、DC/DCコンバータ装置から流れる電流を示す図である。
【図4】本実施形態の電力変換装置の第1及び第2の抵抗値と、DC/DCコンバータ装置から流れる電流と、発生電圧との関係を回路図である。
【符号の説明】
【0049】
1 電力変換装置
2 インバータ装置
3 DC/DCコンバータ装置
3a DC/DCコンバータ装置の筺体
4,6,8,9 ホース
5 ラジエータ
7 ポンプ
12 昇降圧コンバータ
13 MG1用インバータ
14 MG2用インバータ
15 サージ電圧吸収用コンデンサ
16 駆動制御部
18 高圧バッテリー
19 低圧バッテリー
20 負荷装置
21,22,34〜39,44〜49 スイッチング素子
23 コンデンサ
24 リアクトル
51 ねじ止め部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧バッテリーの直流電力が昇降圧コンバータで昇圧された電力を複数のスイッチング素子で交流電力に変換し、この交流電力でモータジェネレータを駆動し、当該モータジェネレータを発電機とする際に当該モータジェネレータから出力される交流電力を直流電力に変換し、この変換した直流電力を昇降圧コンバータで降圧して前記高圧バッテリーに回生するインバータ装置と、前記高圧バッテリーの直流電力を低圧の直流電力に変換して低圧バッテリーに充電するDC/DCコンバータ装置とを有し、前記インバータ装置及び前記DC/DCコンバータ装置が個別に金属製の筺体内に発熱を抑制する冷却水路を伴って形成されている電力変換装置において、
前記インバータ装置と前記DC/DCコンバータ装置との筺体同士を結合して一体型にすると共に、当該インバータ装置と当該DC/DCコンバータ装置との筺体内に形成された冷却水路の出入口を所定の抵抗値を有するホースで接続し、
前記筺体同士の結合部分の第1の抵抗値と前記ホースの第2の抵抗値との合成抵抗値を、電力変換動作時のDC/DCコンバータ装置から筺体とホースに電流が流れた際に、当該ホースに電食を発生させない電位差以下の電圧が生じる値となるようにしたことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記合成抵抗値が、約7mΩ以下であることを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記ホースは、エチレンとプロピレン及び架橋用ジエンモノマーとの三元共重合体で且つカーボンを含有するEPDM製であって、前記筺体同士の結合部分の第1の抵抗値に応じて、前記合成抵抗値が当該ホースに電食を発生させない電位差以下の電圧が生じる値となるように、当該カーボンの量が調整されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記インバータ装置とDC/DCコンバータ装置との筺体同士の結合後に、当該筺体同士を導電材料で接続することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−119275(P2010−119275A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292630(P2008−292630)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】