説明

電動過給圧縮機、その組立方法及び内燃機関

【課題】構成を簡素化し、組立が容易で、振動、騒音を低減でき、かつモータインバータ付きで、モータ出力及び回転軸出力の損失を抑制可能な電動過給圧縮機を実現する。
【解決手段】電動モータ46及びモータインバータ48を内蔵した一体型ハウジング14と、電動モータ46の両側に配置された玉軸受24及びダンパースリーブ構成体54とを備え、ダンパースリーブ構成体54は、大径スリーブ56、バネガイド58とコイルバネ62と玉軸受60とから構成されている。玉軸受24,60とスリーブ34、大径スリーブ56との間に隙間s1が形成され、玉軸受24、60の内輪240又は外輪242を両側に配置された各種支持部材で支持している。スリーブ34及び大径スリーブ56の外側に、これらを弾性的に支持する弾性Oリング38を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両に搭載され、電動モータで駆動される電動過給圧縮機、その組立方法及び該電動過給圧縮機が組み込まれた内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、内燃機関の熱効率を向上させるため、吸気通路に設けられたコンプレッサ及び排気通路に設けられたタービンを備えたターボ過給機が設けられている。最近では、ターボ過給機のターボラグや応答性を改善する手段のひとつとして、電動モータ駆動による電動過給圧縮機が注目されている。しかし、電動過給圧縮機には、耐久性、組立容易性及び車両搭載時の据付け容易性等において、多くの課題がある。
【0003】
電動過給圧縮機は、軸振動を低減させる観点から、重量が大きいモータ回転子の部分を両端で支持する方式が一般的である。特許文献1には、かかる両端支持方式の電動過給圧縮機が開示されている。以下、この方式を図8により説明する。電動過給圧縮機100Aのハウジングは、コンプレッサハウジング102と、モータハウジング104と、モータハウジング104の両側に設けられたベアリングハウジング106a及び106bとから構成されている。コンプレッサハウジング102の内部に、コンプレッサホィール108が収容され、コンプレッサホィール108の中心部からモータハウジング104側に回転軸110が延設されている。
【0004】
回転軸110にモータロータ112が取り付けられ、モータハウジング104の内部にステータ(図示省略)が設けられ、該ステータは、モータロータ112に対面した位置に配置されている。ベアリングハウジング106a及び106bの内側に、モータハウジング104の両側で回転軸110を支承する軸受114が設けられている。コンプレッサハウジング102の入口102aは、内燃機関の吸気通路に接続され、コンプレッサホィール108が回転することで、給気aが取り込まれ、圧縮されて、吸気通路の出口側に排出される。
【0005】
図9に、回転軸110を片持ちで支承する電動過給圧縮機100Bを示す。電動過給圧縮機100Bでは、コンプレッサハウジング102とモータハウジング104との間にベアリングハウジング106が設けられている。ベアリングハウジング106の内側に複数の軸受114が設けられ、これらの軸受114で回転軸110を支承している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2002−369474号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電動モータを両側から支持する両端支持方式の電動過給圧縮機は、電動モータの安定支持が可能になり、振動低減には有効であるが、電動モータの両側に軸受を設けるため、組立が面倒になる。一方、片持ち式では、両端支持方式と比べて組立は容易であるが、振動低減の観点からは有利ではない。
【0008】
また、特許文献1の電動過給圧縮機は、電動モータの回転数を制御するモータインバータをモータハウジングから離れた位置に設けている。かかる分離された配置では、組立容易性及び車両への搭載容易性の観点から有利であるが、電動モータとモータインバータとの距離が離れるほど、電動モータとモータインバータ間を流れる電流抵抗が大きくなる。そのため、電動モータとモータインバータ間を流れる電流の損失が大きくなり、モータ出力が低下する。特に、車両に搭載される発電装置の限られた発電能力では、モータ出力の低下は性能面で不利となる。
【0009】
また、電動モータの回転数が大きくなるほど、回転軸に加わる負荷のアンバランスと電動モータの磁気吸引力の影響が大きくなる。そのため、回転軸に発生する振動が大きくなると共に、回転軸の出力低下が生じ、また、騒音も大きくなるという問題がある。
【0010】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、構成を簡素化し、組立が容易で、振動及び騒音を低減でき、かつモータインバータを設けた場合に、モータ出力及び回転軸出力の損失を抑制可能な電動過給圧縮機及びその組立方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するため、本発明の電動過給圧縮機は、コンプレッサハウジングに内蔵されたコンプレッサホィールと、コンプレッサホィールの回転軸を駆動する電動モータと、回転軸の回転数を制御するモータインバータと、電動モータの両側に設けられ回転軸を回転自在に支承する転がり軸受とを備えた電動過給圧縮機において、電動モータ及び前記モータインバータが回転軸上に直列に隣接配置され、転がり軸受の外側に、転がり軸受との間に隙間を形成して設けられたスリーブと、転がり軸受の外輪又は内輪の側面を両側から挟持して転がり軸受を支持する支持部材と、スリーブの外側に配設され、スリーブを弾性的に支持するダンパー機構とを備えているものである。
【0012】
本発明の電動過給圧縮機では、電動モータ及びモータインバータが回転軸上に直列に隣接配置されているので、電動モータとモータインバータ間の電流損失を最小限に抑えることができる。また、電動モータを両端支持することによる振動低減効果に加えて、転がり軸受と転がり軸受の外側に配置されるスリーブとの間に、隙間を形成しているので、この隙間によって、転がり軸受の熱膨張を吸収しかつ回転軸の振動を遮断でき、回転軸から電動モータ及びインバータに振動が伝達するのを抑制できる。加えて、該隙間を形成したことで、回転軸や転がり軸受に発生する偏荷重を抑制できるので、装置構成を簡素化かつ低コスト化できると共に、回転軸の出力低下を抑制できる。
【0013】
さらに、スリーブの外側にダンパー機構を設けているので、電動モータやインバータへの振動伝達をさらに抑制できる。なお、支持部材により転がり軸受の外輪又は内輪を両側側面から挟持しているので、転がり軸受を安定して固定できる。そのため、コンプレッサホィール等から回転軸に加わるスラスト力を転がり軸受で安定して受け止めることができ、このことが振動及び騒音の低減に寄与すると共に、装置構成を簡素化かつ低コスト化できる。
【0014】
本発明装置において、転がり軸受をグリース封入型転がり軸受で構成するとよい。これによって、転がり軸受がグリース封入型転がり軸受で構成されているので、転がり軸受に潤滑油を供給するための潤滑油配管等の装置が不要となり、装置構成を簡素化かつ低コスト化できる。
【0015】
本発明装置において、ダンパー機構が、スリーブと該スリーブに対面するハウジングの内側面との間に隙間が形成され、該隙間に弾性をもつダンパー部材が介装されているものであるとよい。これによって、簡単かつ低コストなダンパー機構を実現できる。
【0016】
本発明装置において、ダンパー機構が、スリーブと該スリーブに対面するハウジングの内側面との間に隙間が形成され、該隙間に潤滑油の油膜が形成されているものであるとよい。このように、潤滑油の油膜を形成することで、ダンパー部材の経年劣化のおそれがない長寿命のダンパー機構を実現できる。
【0017】
本発明装置において、モータインバータ側に配置された転がり軸受及び該転がり軸受の外側に設けられたスリーブが、両端に内側へ突出した内側係止部を有する大径スリーブと、大径スリーブの内側に配置され一端に外側へ突出した外側係止部を有する円筒状のバネガイドと、大径スリーブの内側に配置され、大径スリーブとの間に、転がり軸受の熱膨張を吸収しかつ回転軸の振動を遮断する隙間を形成しながら大径スリーブの一方の内側係止部とバネガイドの外側係止部とで挟持される転がり軸受と、大径スリーブ及びバネガイド間に形成された円筒状空間に配置され、該外側係止部を介して転がり軸受に弾性挟持力を付与するバネ部材と、からなるダンパースリーブ構成体で構成されているとよい。
【0018】
前記ダンパースリーブ構成体は、バネ部材により転がり軸受に弾性挟持力を付加しているので、転がり軸受の位置変動に対しても、常に転がり軸受に対する挟持力を保持できる。そのため、転がり軸受の寸法公差や回転軸に固定された各部材(モータロータ、スリーブ等)の取付け誤差を許容しながら、転がり軸受に対する挟持力を保持できる。従って、各部材の許容寸法公差を緩和できるので、各部材の製作費を節減できる。また、予め一体に組み立てられたダンパースリーブ構成体を用いることで、軸受機構の組立が容易になる。
【0019】
本発明装置において、コンプレッサ側に配置された転がり軸受とスペーサとの間に、バネ部材を設けるようにしてもよい。コンプレッサホィールの背面側に給気が回り込むと、該背面側に給気圧が加わる。これによって、回転軸の軸線方向に、コンプレッサ側に作用する引張り力が発生する。そこで、コンプレッサ側に配置された転がり軸受とスペーサとの間に、バネ部材を設けることで、前記引張り力を弾性的に受けることができる。そのため、転がり軸受とスペーサとの間に、過大な荷重が発生するのを防止でき、転がり軸受やスペーサの損傷を防止できる。
【0020】
本発明装置において、コンプレッサハウジングに吸気通路が接続され、コンプレッサホィールに対して吸気をバイパスさせる吸気バイパス通路及び該吸気バイパス通路に設けられたバイパス弁が、コンプレッサハウジングに一体形成されているとよい。これによって、吸気バイパス通路を別に設ける必要がなくなり、電動過給圧縮機をコンパクト化できる。そのため、車両への搭載が容易になる。
【0021】
本発明の内燃機関は、本発明の電動過給圧縮機が吸気通路に設けられているものである。本発明の電動過給圧縮機を内燃機関に組み込むことによって、内燃機関をコンパクト化できるので、車両への搭載が容易になる。また、内燃機関をコンパクト化できることで、燃費を向上できる。また、電動過給圧縮機の振動及び騒音を低減できる。
【0022】
本発明の内燃機関において、本発明の電動過給圧縮機が吸気通路に設けられ、該電動過給圧縮機の上流側又は下流側の吸気通路に設けられたコンプレッサ及び排気通路に設けられたタービンを有するターボ過給機と、排気通路から排気の一部を吸気通路に戻す排気再循環機構とを備えているものである。前記作用効果に加えて、本発明の電動過給圧縮機とターボ過給機とを組み合わせることで、内燃機関の出力向上が可能になると共に、過度運転時の応答性を向上できる。また、排気再循環機構を設けたことで、排気中のNOの発生を抑制できる。
【0023】
また、本発明の電動過給圧縮機の組立方法は、回転軸のモータインバータ側端から回転軸にモータロータを嵌入させ、回転軸に形成された拡径部にモータロータを係止させた状態で固定する第1工程と、回転軸のコンプレッサ側端から回転軸に転がり軸受を嵌入させ、拡径部に係止させた状態で固定すると共に、回転軸のモータインバータ側端から回転軸にダンパースリーブ構成体を嵌入させ、モータロータに隣接した位置で固定する第2工程と、ベアリングハウジングの内側面にスリーブ及び該スリーブの外側に第1ダンパー機構が設けられ、回転軸のコンプレッサ側端から回転軸にベアリングハウジング及びコンプレッサホィールを嵌入させ、コンプレッサホィールを回転軸に固定すると共に、スリーブが、転がり軸受の外側に転がり軸受の熱膨張を吸収しかつ回転軸の振動を遮断する隙間を形成して配置される第3工程と、電動モータ及びモータインバータのハウジングを兼用する一体型ハウジングの内側面に第2ダンパー機構が設けられ、第1工程から第3工程までの組立工程で組み立てられた回転軸組立構成体を両側からコンプレッサハウジングと一体型ハウジングとで覆い、ベアリングハウジングをコンプレッサハウジングと一体型ハウジングとで挟持した状態で、コンプレッサハウジングと一体型ハウジングとを結合すると共に、第2ダンパー機構が大径スリーブの外側に配置される第4工程とからなるものである。
【0024】
本発明方法によれば、回転軸に形成された拡径部に、両側からモータロータ及び転がり軸受を係止させることで、モータロータ及び転がり軸受の位置決めが容易になる。また、ダンパースリーブ構成体を予め製作しておき、ダンパースリーブ構成体をモータロータに隣接配置することで、モータインバータ側軸受機構の装着が容易になる。また、電動モータ及びモータインバータのハウジングを兼用する一体型ハウジングを製作しておき、コンプレッサハウジングと一体型ハウジングとを、これらのハウジングでベアリングハウジングを挟むようにして結合するようにしているので、電動過給圧縮機のハウジングの取り付けが一工程で完結する。
【0025】
このように、本発明方法によれば、振動低減及びその他の長所を有する本発明の電動過給圧縮機の組立工程を短縮でき、組立を容易にできる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の電動過給圧縮機によれば、コンプレッサハウジングに内蔵されたコンプレッサホィールと、コンプレッサホィールの回転軸を駆動する電動モータと、回転軸の回転数を制御するモータインバータと、電動モータの両側に設けられ回転軸を回転自在に支承する転がり軸受とを備えた電動過給圧縮機において、電動モータ及び前記モータインバータが回転軸上に直列に隣接配置され、転がり軸受の外側に、転がり軸受との間に隙間を形成して設けられたスリーブと、転がり軸受の外輪又は内輪の側面を両側から挟持して転がり軸受を支持する支持部材と、スリーブの外側に配設され、スリーブを弾性的に支持するダンパー機構とを備えているので、電動モータ及びモータインバータの振動を大幅に低減できる。加えて、回転軸や転がり軸受に偏荷重が発生しないので、装置構成を簡素化かつ低コスト化できると共に、回転軸の出力低下を抑制できる。さらに、回転軸に加わるスラスト力に対して、転がり軸受を安定して固定できる。
【0027】
本発明の内燃機関によれば、本発明の電動過給圧縮機が吸気通路に設けられているので、内燃機関のコンパクト化が可能になる。そのため、燃費を向上できると共に、車両への搭載が容易になり、かつ燃費を向上できる。また、電動過給圧縮機の振動及び騒音を低減できる。
【0028】
本発明の電動過給圧縮機の組立方法によれば、前記第1工程から第4工程までの組立工程からなるので、本発明の電動過給圧縮機の組立工程を短縮でき、組立が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の電動過給圧縮機の第1実施形態に係る正面視断面図である。
【図2】前記電動過給圧縮機の軸受機構の一部拡大断面図である。
【図3】前記電動過給圧縮機のコンプレッサホィールの一部拡大断面図である。
【図4】本発明の電動過給圧縮機の第2実施形態に係る軸受機構の一部拡大断面図である。
【図5】本発明の電動過給圧縮機の第3実施形態に係るコンプレッサハウジングの一部断面図である。
【図6】本発明の内燃機関の第1実施形態に係る系統図である。
【図7】本発明方法の第1実施形態に係る組立工程図である。
【図8】有来の両端支持方式の電動過給圧縮機の正面視断面図である。
【図9】従来の片持ち式の電動過給圧縮機の正面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0031】
(実施形態1)
本発明の電動過給圧縮機の第1実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。本実施形態の電動過給圧縮機10は、車両に搭載された内燃機関の吸気通路(図示省略)に設けられている。電動過給圧縮機10のハウジングは、コンプレッサハウジング12、電動モータ及びモータインバータのハウジングを兼ねる一体型ハウジング14、及びベアリングハウジング16で構成されている。コンプレッサハウジング12の内部に、コンプレッサホィール18が収容されている。コンプレッサホィール18の中心軸線上に貫通孔が設けられ、該貫通孔に回転軸20の端部が嵌入し、該端部に形成されたネジ部20aにナット26が螺着することで、回転軸20のコンプレッサ側端部がコンプレッサホィール18に結合されている。回転軸20はハウジングの中心軸線上に配置されている。
【0032】
コンプレッサホィール18の外周面に複数のインペラ28が放射状に突設されている。コンプレッサホィール18が回転することで、給気aが吸気通路から吸入されかつ圧縮されて、内燃機関のインレットマニホールド(図示省略)に供給される。コンプレッサハウジング12及び一体型ハウジング14には、互いに当接される平坦なフランジ面を有するフランジ部12a及び14aが形成されている。フランジ部12a及び14aでベアリングハウジング16のフランジ部16aを挟み、ボルト50でフランジ部12a及び14aを結合することで、電動過給圧縮機10の全ハウジングを一工程で組立できる。
【0033】
回転軸20の中央に円板状の拡径部20bが形成されている。ベアリングハウジング16の内部に、転がり軸受の一種である玉軸受24が、拡径部20bに接した位置で回転軸20に圧入されている。玉軸受24は、内部にグリースGが封入されており、グリース漏れを防ぐシール部材248を備えている(図2参照)。玉軸受24の内輪240の一方の側面は拡径部20bに当接している。玉軸受24とコンプレッサホィール18間にスリーブ40が介設され、内輪240の他方の側面は、スリーブ40の端面に接している。こうして、玉軸受24の内輪240の両側面は、拡径部20bとスリーブ40とで挟持されている。
【0034】
スペーサ30がボルト32でベアリングハウジング16に結合されており、スペーサ30がコンプレッサホィール18と玉軸受24間に介在し、スペーサ30の突端が玉軸受24の外輪242の側面に当り、玉軸受24を支持している。
【0035】
図2に示すように、玉軸受24の外側にはスリーブ34が設けられている。玉軸受24の外周面とスリーブ34の内周面との間に隙間s1が形成されている。隙間s1は、玉軸受24の最高温度(例えば100℃)における熱膨張と、回転軸20の振動とを吸収できる必要最小量の大きさに設定されている。スリーブ34とベアリングハウジング16の内面との間にも隙間s2が形成されている。隙間s2は、回転軸20に作用する磁気吸引力や、回転軸20の振動により玉軸受24,60に加わる荷重を考慮し、該荷重に対する弾性Oリング38のひずみ量を算出し、該ひずみ量から安全率を考慮し、弾性支持に必要な最小量に設定されている。
【0036】
ベアリングハウジング16の内面には、2条の四角断面の凹溝36が刻設され、ゴム材からなる弾性Oリング38が嵌入されている。弾性Oリング38は隙間s2を埋めるように配置され、スリーブ34が弾性的にベアリングハウジング16の内面に接触させる弾性支持作用をもっている。
【0037】
玉軸受24は、内輪240と外輪242との間に球状の転動体244が介在し、転動体244を保持する保持器246と、外輪242に固定され、グリースGを封入するシール部材248とを備えている。モータロータ22が、拡径部20bの他方の側面に接した状態で、回転軸20に圧入されている。モータロータ22の外側には、モータロータ22と間隔を置いてモータコイル42が配置されている。モータコイル42の外側には、モータステータ44が配置されている。
【0038】
モータロータ22、モータコイル42及びモータステータ44で、電動モータ46を構成し、モータコイル42及びモータステータ44は、電動モータ46及びモータインバータ48のハウジングを兼用する一体型ハウジング14に内蔵されている。
【0039】
モータロータ22に対して、四角断面のリング状スペーサ52を介し、ダンパースリーブ構成体54が隣接配置されている。図7に示すように、ダンパースリーブ構成体54は、円筒状の大径スリーブ56と、円筒状のバネガイド58と、玉軸受24と同一構成のグリース封入型玉軸受60と、コイルバネ62とで構成されている。大径スリーブ56の一端内周面には、リング状の内側係止部56aが内方へ突設され、他端内周面には、内方へ突出した複数の固定ピン64が周方向に取り付けられている。バネガイド58の一端外周面にリング状の外側係止部58aが外方へ突設している。
【0040】
大径スリーブ56及びバネガイド58で形成された円筒状空間にコイルバネ62が収容され、固定ピン64と外側係止部58aとの間に、玉軸受60の外輪242が嵌入されている。こうして、玉軸受24の外輪242は両側から固定ピン64と外側係止部58aとで挟持されている。玉軸受60の外輪242には、外側係止部58aを介してコイルバネ62のバネ力が付加されている。
【0041】
玉軸受24の外輪242の外周面と大径スリーブ56の内面との間には隙間s1が形成されている。隙間s1は、玉軸受60の最高温度(例えば100℃)における熱膨張と、回転軸20の振動を吸収できる必要最小量に設定されている。大径スリーブ56の外周面と一体型ハウジング14の内周面との間に隙間s2が形成されている。一体型ハウジング14の内面には、図2に示すように、2条の四角断面の凹溝36が刻設され、ゴム材からなる弾性Oリング38が嵌入されている。弾性Oリング38は隙間s2を埋めるように配置され、スリーブ34が弾性的に一体型ハウジング14の内面に接触させる弾性支持作用をもっている。
【0042】
ダンパースリーブ構成体54に隣接して、スリーブ66が回転軸20に圧入されている。スリーブ66の一端は、玉軸受60の内輪240の側面に当接し、玉軸受60を固定している。スリーブ66の他端には、センサーターゲット68が外方へ突設されている。回転軸20のインバータ側端には、ネジ部20cが形成され、ネジ部20cにナット70が螺着している。一体型ハウジング14の内部には、電動モータ46に隣接してモータインバータ48が配置されている。一体型ハウジング14の内面には、センサーターゲット68に対面する位置に、回転軸20の回転数を検出する回転センサー72が取り付けられている。
【0043】
本実施形態によれば、グリース封入型玉軸受24及び60で回転軸20を支承したことにより、潤滑油を玉軸受に供給するための潤滑油供給配管等の潤滑油供給手段を必要としない。そのため、電動過給圧縮機10の構成を簡素化かつ低コスト化できる。
【0044】
また、重量が大きい電動モータ46を、その両側に配置された玉軸受24及び60で支持することで、回転軸20の振動を低減できる。これに加えて、玉軸受24及び60の内輪又は外輪をこれらの両側に配置された部材で挟持し、玉軸受24,60の外側に配置されたスリーブ34、大径スリーブ56との間に、玉軸受の熱膨張及び回転軸20の振動を吸収できる隙間s1を形成したので、回転軸20の振動が電動モータ46及びモータインバータ48に伝達するのを効果的に防止できる。また、隙間s1を形成することで、回転軸20や玉軸受24及び60に発生する偏荷重を抑制できるので、回転軸20の出力低下を抑制できる。
【0045】
さらに、回転軸20に作用する磁気吸引力や、回転軸20の振動により玉軸受24,60に加わる荷重を考慮し、スリーブ34又は大径スリーブ56と、ベアリングハウジング16又は一体型ハウジング14の内面との間に隙間s2を形成し、スリーブ34又は大径スリーブ56の外周面を弾性Oリング38で弾性的に支持しているので、電動モータ46及びモータインバータ48の振動を大幅に低減できる。また、玉軸受24、60の内輪又は外輪をこれらの両側に配置された部材で挟持しているので、コンプレッサホィール18等から回転軸20に加わるスラスト力を玉軸受24、60で安定して受け止めることができ、このことが振動低減にも寄与する。こうして、電動過給圧縮機10の振動を大幅に低減できるので、電動過給圧縮機10から発生する騒音も大幅に低減できる。
【0046】
また、一体型ハウジング14の内部に電動モータ46及びモータインバータ48を内蔵し、これらを隣接配置したので、電動モータ46とモータインバータ48間での電流損失を最小限に抑えることができる。これによって、モータ出力の低下を最小限に抑えることができる。
【0047】
さらに、一体型ハウジング14の内部でダンパースリーブ構成体54を設けることで、各部材の回転軸20の軸方向の寸法公差及び取付け誤差を吸収しながら、コイルバネ62の弾性力によって、玉軸受60の内輪240及び外輪242を両側から挟持できる。これによって、各部材に寸法公差や取付け誤差が発生したときでも、玉軸受60を安定して固定できる。なお、弾性Oリング38の硬度は、JIS規格で70以上のものを用いるとよい。また、玉軸受60に付加するコイルバネ62によるバネ力は、70〜90N(ニュートン)とすることで、玉軸受60を安定して固定できる。
【0048】
なお、コンプレッサホィール18の材質や形状を変えることで、慣性モーメントを低減させ、過度運転時の応答性を向上させ、回転軸20の振動を低減できる。例えば、通常使用されているアルミ合金でなく、マグネシウム、樹脂等を使用することで、慣性モーメントを低減できる。また、図3に示すように、コンプレッサホィール18の背面18aを回転軸20に対し直角方向の平面とすることで、コンプレッサホィール18の全長を短縮できる。また、背面18aに断面が半月又は半円形状の円形又は楕円形状の凹溝18bを刻設することで、コンプレッサホィール18の重量を低減できる。
【0049】
なお、コンプレッサホィール18の背面18aに給気aが入り込むと、背面18aに給気圧が加わり、回転軸20に軸線方向に、コンプレッサ側に作用する引張り力が発生する。この引張り力によってスペーサ30と玉軸受24との間に過大な荷重が発生するおそれがある。そこで、前記第1実施形態において、スペーサ30と玉軸受24との間にコイルバネ等のバネ部材を介装するようにしてもよい。これによって、スペーサ30と玉軸受24間に過大な荷重が発生するのを防止でき、スペーサ30や玉軸受24の損傷を防止できる。
【0050】
(実施形態2)
次に、本発明の電動過給圧縮機の第2実施形態を図4に基づいて説明する。本実施形態は、ベアリングハウジング16の内面に、凹溝36より広い幅をもつ四角断面の凹溝74を刻設し、該凹溝74に四角断面をもつ幅広の平板状ゴム製ダンパー76を嵌合させたものである。弾性ダンパー76はスリーブ34に接触しており、スリーブ34の両側面に夫々隙間s1及びs2を形成すること、及びその他の構成は、第1実施形態と同一である。
【0051】
本実施形態によれば、第1実施形態で得られる作用効果に加えて、1個の幅広の凹溝74を形成することで、凹溝の加工が容易になると共に、幅広の弾性ダンパー76を設けることで、回転軸20の弾性支持機能を高め、電動モータ46及びモータインバータ48の振動を一層低減できる。なお、弾性ダンパー76を波板形状としてもよい。あるいは弾性Oリング38又は弾性ダンパー76を樹脂製又は凹凸をもつ金属材(例えばトレランスリング)としてもよい。
【0052】
ダンパー機構の別な代替手段として、隙間s2に潤滑油を供給する構成とし、隙間s2に油膜を形成して弾性支持作用をもたせるようにしてもよい。油膜形成方式とすれば、弾性ダンパーの劣化を考慮する必要がなくなり、弾性支持作用を長期間保持できる。
【0053】
(実施形態3)
次に、本発明の電動過給圧縮機の第3実施形態を図5に基づいて説明する。本実施形態は、内燃機関の吸気通路にコンプレッサホィール18をバイパスするバイパス通路を備えている例である。コンプレッサハウジング12は給気aの吐出口12bを備えている。また、コンプレッサハウジング12には、バイパス通路78が一体に形成され、バイパス通路78にバイパス弁79が設けられている。
【0054】
本実施形態によれば、車両に搭載されたエンジンに電動過給圧縮機を組み付けるとき、給気aのバイパス管を取り付ける必要がなくなる。そのため、電動過給圧縮機をコンパクト化でき、車両への搭載が容易になる。
【0055】
(実施形態4)
次に、本発明の内燃機関の第1実施形態を図6に基づいて説明する。図6において、車両に搭載されたエンジン80に、吸気通路82及び排気通路84が設けられている。吸気通路82には本発明の電動過給圧縮機10が介設されている。吸気通路82及び排気通路84に跨って、ターボ過給機86が設けられている。ターボ過給機86は、電動過給圧縮機10の上流側で吸気通路82に設けられたコンプレッサ862と、排気通路84に設けられたタービン864と、コンプレッサ862及びタービン864間を接続した回転軸860とで構成されている。
【0056】
吸気通路82には、電動過給圧縮機10のコンプレッサホィール18をバイパスするバイパス通路820と、バイパス通路820に設けられたバイパス弁822と、コンプレッサホィール18の下流側に設けられたインタークーラ824とが設けられている。排気通路84には、タービン864をバイパスするバイパス通路840と、バイパス通路840に設けられたバイパス弁842とが設けられている。
【0057】
また、タービン864の下流側排気通路84とコンプレッサ862の上流側吸気通路82とに接続された低圧排気再循環路88を備えている。低圧排気再循環路88には、流量調整弁880と、インタークーラ882とが設けられている。また、タービン864の上流側排気通路84とコンプレッサ862の下流側でコンプレッサホィール18の上流側吸気通路82とに接続された高圧排気再循環路90を備えている。高圧排気再循環路90には、流量調整弁900とインタークーラ902とが設けられている。
【0058】
また、バイパス弁822、864及び流量調整弁880、900の開度を制御すると共に、エンジン80の運転を制御するECU(エンジン・コントロール・ユニット)92が設けられている。バイパス弁822又は864の開度を制御することで、吸気通路82又は排気通路84の流量を制御できる。また、流量調整弁880又は900の開度を制御することで、排気再循環量を制御できる。吸気通路82は、コンプレッサ862の上流側で分岐している。分岐通路82aは、電動過給圧縮機10の電動モータ46及びモータインバータ48の内部に導設され、電動モータ46及びモータインバータ48を冷却する。分岐通路82aは、電動モータ46及びモータインバータ48の下流側で吸気通路82に合流する。
【0059】
かかる構成において、吸気通路82に吸入される給気aは、ターボ過給機86及び電動過給圧縮機10によって2段階に加圧された後、エンジン80に供給される。排気中のNO量を低減するため、低圧排気再循環路88又は高圧排気再循環路90から排気の一部が吸気通路82に戻される。運転状況に応じて、ECU92が前記バイパス弁及び流量調整弁の開度を制御する。例えば、低負荷運転時には、排気通路84に排出される排気の圧力が低いため、低圧排気再循環路88を通して排気を吸気通路82に戻している。高負荷運転時には、排気通路84に排出される排気の圧力が高いため、高圧排気再循環路90を通して排気を吸気通路82に戻している。
【0060】
低負荷運転から高負荷運転へ移行する過度運転時には、主として低圧排気再循環路88から大量の排気を吸気通路82に戻すようにすると共に、電動過給圧縮機10で高圧過給を行なうことで、燃費の悪化を抑制しつつ、排気中のNO量を低減できる。
【0061】
本実施形態によれば、低圧排気再循環路88及び高圧排気再循環路90から排気を吸気通路82に戻すことで、排気中のNO量を低減できる。また、吸気通路82にターボ過給機86と電動過給圧縮機10とを2段に配置したことで、エンジン80の出力を増大できる。そのため、エンジン80を小型化できるため、燃費を向上できると共に、過度運転時の応答性を向上できる。
【0062】
なお、本実施形態において、低圧排気再循環路88又は高圧排気再循環路90のどちらか一方のみを設けるようにしてもよい。
【0063】
(実施形態5)
次に、本発明方法の第1実施形態を図7に基づいて説明する。回転軸20の中央に拡径部20bが形成されており、モータロータ22の中央に軸方向に貫通孔22aが穿設されている。まず、モータロータ22を回転軸20のインバータ側端から挿入し、小径側端面を拡径部20bに当てた状態で、冷しばめ又は圧入等の方法で回転軸20に固定する。次に、玉軸受24を回転軸20のコンプレッサ側端から挿入し、拡径部20bに当てた状態で、冷しばめ又は圧入等の方法で回転軸20に固定する。
【0064】
四角断面をもつスペーサ52及びダンパースリーブ構成体54を回転軸20のインバータ側端から挿入する。ダンパースリーブ構成体54は、大径スリーブ56、小径スプリングガイド58、玉軸受60及びコイルバネ62が固定ピン64によって一体化されている。モータロータ22及びダンパースリーブ構成体54間にスペーサ52が介在し、これら三者が接触した状態で、玉軸受24を冷しばめ又は圧入等の方法で回転軸20に固定する。次に、センサーターゲット68を有するスリーブ66を回転軸20に装着し、ナット70をネジ部20cに螺着させる。
【0065】
次に、ベアリングハウジング16及びコンプレッサホィール18をこの順で回転軸20の装着し、ナット26をネジ部20cに螺着する。ベアリングハウジング16には、予め弾性Oリング38、スリーブ34及びスペーサ30がボルト32で結合されている。弾性Oリング38及びスリーブ34は、玉軸受24の外周側に隙間s1を形成して配置される。また、ベアリングハウジング16の内面とスリーブ34間にも隙間s2が形成されている。玉軸受24の内輪の両側面は、スペーサ52及びスリーブ66で挟持される。
【0066】
次に、前記工程で組立てられた回転軸組立構成体に対し、両側からコンプレッサハウジング12及び一体型ハウジング14を装着する。コンプレッサハウジング12及び一体型ハウジング14の互いに対面したフランジ12a及び14aでベアリングハウジング16のフランジ部16aを挟み、フランジ部12aとフランジ部14aとをボルト50で結合する。
【0067】
本実施形態によれば、回転軸20に形成された拡径部20bに、両側からモータロータ22及び玉軸受24を係止させることで、モータロータ22及び玉軸受24の位置決めが容易になる。また、ダンパースリーブ構成体54を予め製作しておき、ダンパースリーブ構成体54をモータロータ22に隣接配置することで、モータインバータ側軸受機構の装着が容易になる。また、電動モータ46及びモータインバータ48のハウジングを兼用する一体型ハウジング14を製作しておき、コンプレッサハウジング12と一体型ハウジング14とを、これらハウジングのフランジ部でベアリングハウジング16のフランジ部を挟み、ボルト50で結合するようにしているので、電動過給圧縮機10のハウジングの組立が一工程で完結する。
【0068】
このように、本実施形態によれば、振動低減及びその他の長所を有する電動過給圧縮機10の組立工程を短縮でき、組立を容易にできる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明によれば、コンパクトで組立が容易で、振動及び騒音を低減できる電動過給圧縮機を実現できる。また、該電動過給圧縮機を内燃機関に組み込むことで、内燃機関をコンパクト化でき、車両への等差を容易にできる。
【符号の説明】
【0070】
10、100A、110B 電動過給圧縮機
12,102 コンプレッサハウジング
12a、14a、16a フランジ部
14 一体型ハウジング
16,106,106a、106b ベアリングハウジング
18,108 コンプレッサホィール
20,110 回転軸
20b 拡径部
22,112 モータロータ
24,60 玉軸受
240 内輪
242 外輪
244 転動体
246 保持器
248 シール部材
26,70 ナット
28 インペラ
30,52 スペーサ
32,50 ボルト
34,40,66 スリーブ
36,74 凹溝
38 弾性Oリング
42 モータコイル
44 モータステータ
46 電動モータ
48 モータインバータ
54 ダンパースリーブ構成体
56 大径スリーブ
56a 内側係止部
58 バネガイド
58a 外側係止部
62 コイルバネ
64 固定ピン
68 センサーターゲット
72 回転センサー
76 弾性ダンパー
78 バイパス通路
79 バイパス弁
80 エンジン
82 吸気通路
84 排気通路
86 ターボ過給機
88 低圧排気再循環路
90 高圧排気再循環路
92 ECU
104 モータハウジング
114 軸受
G グリース
a 給気
s1、s2 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンプレッサハウジングに内蔵されたコンプレッサホィールと、該コンプレッサホィールの回転軸を駆動する電動モータと、該回転軸の回転数を制御するモータインバータと、該電動モータの両側に設けられ前記回転軸を回転自在に支承する転がり軸受とを備えた電動過給圧縮機において、
前記電動モータ及び前記モータインバータが前記回転軸上に直列に隣接配置され、前記転がり軸受の外側に、該転がり軸受との間に隙間を形成して設けられたスリーブと、
前記転がり軸受の外輪又は内輪の側面を両側から挟持して転がり軸受を支持する支持部材と、
前記スリーブの外側に配設され、該スリーブを弾性的に支持するダンパー機構と、を備えていることを特徴とする電動過給圧縮機。
【請求項2】
前記転がり軸受をグリース封入型転がり軸受で構成したことを特徴とする請求項1に記載の電動過給圧縮機。
【請求項3】
前記ダンパー機構が、前記スリーブと該スリーブに対面するハウジングの内側面との間に隙間が形成され、該隙間に弾性をもつダンパー部材が介装されているものであることを特徴とする請求項1に記載の電動過給圧縮機。
【請求項4】
前記ダンパー機構が、前記スリーブと該スリーブに対面するハウジングの内側面との間に隙間が形成され、該隙間に潤滑油の油膜が形成されているものであることを特徴とする請求項1に記載の電動過給圧縮機。
【請求項5】
前記モータインバータ側に配置された転がり軸受及び該転がり軸受の外側に設けられた前記スリーブが、
両端に内側へ突出した内側係止部を有する大径スリーブと、大径スリーブの内側に配置され一端に外側へ突出した外側係止部を有する円筒状のバネガイドと、大径スリーブの内側に配置され、大径スリーブとの間に前記隙間を形成しながら大径スリーブの一方の内側係止部とバネガイドの外側係止部とで挟持される転がり軸受と、大径スリーブ及びバネガイド間に形成された円筒状空間に配置され、該外側係止部を介して転がり軸受に弾性挟持力を付与するバネ部材と、からなるダンパースリーブ構成体で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動過給圧縮機。
【請求項6】
前記コンプレッサ側に配置された転がり軸受とスペーサとの間に、バネ部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の電動過給圧縮機。
【請求項7】
前記コンプレッサハウジングに吸気通路が接続され、前記コンプレッサホィールに対して吸気をバイパスさせる吸気バイパス通路及び該吸気バイパス通路に設けられたバイパス弁が、コンプレッサハウジングに一体形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の電動過給圧縮機。
【請求項8】
請求項1に記載の電動過給圧縮機が吸気通路に設けられていることを特徴とする内燃機関。
【請求項9】
前記電動過給圧縮機の上流側又は下流側の吸気通路に設けられたコンプレッサ及び排気通路に設けられたタービンを備えたターボ過給機と、前記排気通路から排気の一部を前記吸気通路に戻す排気再循環機構と、を備えていることを特徴とする請求項8に記載の内燃機関。
【請求項10】
請求項5に記載の電動過給圧縮機の組立方法において、
回転軸のモータインバータ側端から回転軸にモータロータを嵌入させ、回転軸に形成された拡径部にモータロータを係止させた状態で固定する第1工程と、
回転軸のコンプレッサ側端から回転軸に転がり軸受を嵌入させ、前記拡径部に係止させた状態で固定すると共に、回転軸のモータインバータ側端から回転軸に前記ダンパースリーブ構成体を嵌入させ、前記モータロータに隣接した位置で固定する第2工程と、
ベアリングハウジングの内側面にスリーブ及び該スリーブの外側に第1ダンパー機構が設けられ、回転軸のコンプレッサ側端から回転軸にベアリングハウジング及びコンプレッサホィールを嵌入させ、コンプレッサホィールを回転軸に固定すると共に、前記スリーブが、前記転がり軸受の外側に前記隙間を形成して配置される第3工程と、
電動モータ及びモータインバータのハウジングを兼用する一体型ハウジングの内側面に第2ダンパー機構が設けられ、第1工程から第3工程までの組立工程で組み立てられた回転軸組立構成体を両側からコンプレッサハウジングと一体型ハウジングとで覆い、ベアリングハウジングをコンプレッサハウジングと一体型ハウジングとで挟持した状態で、コンプレッサハウジングと一体型ハウジングとを結合すると共に、第2ダンパー機構が前記大径スリーブの外側に配置される第4工程と、からなることを特徴とする電動過給圧縮機の組立方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−24059(P2013−24059A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157237(P2011−157237)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】