電子部品実装装置
【課題】撮像による画像データを用いてより高精度な実装対象の電子部品の外部情報を取得する。
【解決手段】部品配置部に配置された電子部品を撮像する撮像手段1と、部品配置部と撮像手段との距離を可動調節する可動部111と、これらを制御して、電子部品について部品配置部と撮像手段の距離が異なる複数の画像データを取得する撮像制御部120と、各画像データの同一画素におけるコントラストの対比に基づいて、当該各画素における撮像手段から部品配置部の合焦点位置を求める測距処理部23と、撮像エリア内の各画素における合焦点位置と、各画像データにおける各画素の輝度値とから、撮像エリアの一部の範囲内の画素における合焦点位置での輝度値を求め、局所全焦点画像を生成する全焦点画像生成部25とを備えている。
【解決手段】部品配置部に配置された電子部品を撮像する撮像手段1と、部品配置部と撮像手段との距離を可動調節する可動部111と、これらを制御して、電子部品について部品配置部と撮像手段の距離が異なる複数の画像データを取得する撮像制御部120と、各画像データの同一画素におけるコントラストの対比に基づいて、当該各画素における撮像手段から部品配置部の合焦点位置を求める測距処理部23と、撮像エリア内の各画素における合焦点位置と、各画像データにおける各画素の輝度値とから、撮像エリアの一部の範囲内の画素における合焦点位置での輝度値を求め、局所全焦点画像を生成する全焦点画像生成部25とを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像手段により得られる2次元画像データから高さデータを生成し、3次元の部品認識を可能にする電子部品実装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像手段としてのカメラを用いて立体形状を検出する方法としては、カメラと被写体である立体形状との相対的な距離を変えて複数の画像データを取得し、各画像データにおいて周囲とのコントラストから焦点が合っている状態の画素を求め、補間により全ての画素における焦点距離を求めて被写体の立体形状を三次元データで取得するものが挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2960684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、立体形状の三次元データ、即ち、撮像エリア内の各画素位置での高さを求める技術であり、撮像による画像データを画像処理にかけて実装対象の電子部品の形状的な特徴(例えば、外形、中心位置等)を算出する電子部品実装装置には適用することができなかった。
【0005】
本発明は、撮像による画像データを用いてより高精度な実装対象の電子部品の外部情報を取得することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、電子部品が配置される部品配置部と、前記部品配置部に配置された電子部品を撮像する撮像手段と、前記部品配置部と前記撮像手段との距離を可動調節する可動部と、前記可動部及び撮像手段を制御して、前記電子部品について前記部品配置部と前記撮像手段の距離が異なる複数の画像データを取得する撮像制御部と、前記複数の画像データの撮像範囲内の複数の画素の各々について、前記複数の画像データの同一画素におけるコントラストの対比に基づいて、当該各画素における前記撮像手段から前記部品配置部の合焦点位置を求める測距処理部と、前記撮像手段による撮像エリア内の前記各画素における合焦点位置と、前記複数の画像データにおける前記各画素の輝度値とから、前記撮像エリアの一部範囲内の画素における合焦点位置での輝度値を求め、当該合焦点位置での輝度値からなる局所全焦点画像を生成する局所全焦点画像生成部とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記コントラスト又は前記合焦点位置に対してその範囲に制限を設けることで前記局所全焦点画像を生成することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、電子部品の前記局所全焦点画像のテンプレート画像である局所全焦点テンプレート画像の画像データを記憶するテンプレート画像記憶部と、前記局所全焦点画像生成部で生成した前記局所全焦点画像が局所全焦点テンプレート画像と合致しているかの判断に基づいて部品不良か否かを判定する不良検査部とを備えることを特徴とする。
局所全焦点テンプレート画像は、部品の3DCADデータから作成しても良いし、良品サンプル部品の撮像データから作成しても良い。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明は、複数の画像データの撮像範囲内の各画素でのコントラストから合焦点位置を取得する。即ち、部品配置部と撮像手段の距離(以下、「撮像距離」とする)が異なる複数の撮像を行い、当該各撮像に基づく画像データにおいて、各画素について周囲とのコントラストを求め、複数の画像データの同じ画素についてコントラストを比較する。その結果、コントラストの値が最大値となった画像データの撮像距離において、当該画素の焦点が合っている状態となる。
なお、一つの画素についてコントラストが最大値となった画像データは、最も合焦点に近い状態であり、合焦点位置に完全一致するとは限らないので、コントラストが最大値となった画像データの撮像時における撮像距離を近似的に合焦点位置と見なしても良いし、また、コントラストの大きさが1番目と2番目となる二つの画像データの撮像距離からより正確に合焦点位置を求めても良い。
そして、部品配置部と撮像手段の合焦点位置から、電子部品上の各画素での高さを算出することができる。
撮像エリアの一部の範囲内における各画素について、上記手法により電子部品上の複数の点までの高さを算出することで、電子部品の表面における随所の高さが求まることとなる。
そして、電子部品の表面上の各点において高さが求まると、電子部品の表面上の各点について、当該各点における合焦点位置に合致する撮像距離の画像データから、対応する画素位置の輝度値(輝度値)を取得する。なお、合焦点位置に合致する画像データが存在しない場合には、合焦点位置に近似する画像データの輝度値を採用しても良いし、合焦点位置に近似する複数の画像データの輝度値から合焦点位置における輝度値を近似的に算出しても良い。
そして、撮像エリアの一部範囲内の画素について、焦点が合っている状態の輝度値を取得することで局所全焦点画像(データ)を生成することができる。
この局所全焦点画像は、全画素での焦点が合っているため、画像全体をより鮮明とすることが可能である。
このため、かかる局所全焦点画像を得ることにより、撮像画像に基づく電子部品の特徴部位や中心位置を抽出或いは特定する場合等の画像処理や画像分析において高い精度を得ることが可能となる。
また、撮像エリアの一部の範囲に制限して全焦点画像を生成するので、撮像画像に基づく電子部品の特徴部位や中心位置を抽出或いは特定する場合等の画像処理をより迅速を行うと共に処理負担の軽減を図ることが可能となる。
【0010】
請求項2記載の発明は、コントラスト又は合焦点位置に対して範囲に制限を設けて局所全焦点画像を生成するので、画像内で不要となる部位、例えば電子部品の背景などを容易に排除することが可能となる。
例えば、いずれの画像データでもある程度のコントラストが得られない場合には、各画像データの撮像を行った撮像距離の範囲内に合焦点位置が含まれないこととなる。つまり、撮像手段から最も遠くなるであろう部品配置部の配置面(背景部分)は、コントラストの制限により容易に排除することができる。
また、合焦点位置を得られた場合でもあっても合焦点位置そのものに制限を設けることにより、突出している部分、窪んでいる部分など、実装作業の必要性に応じて検出すべき部位のみを抽出して全焦点画像を取得することができ、処理データ量を低減して、効率よく処理することが可能となる。
【0011】
請求項3記載の発明は、生成される局所全焦点画像を元に、局所全焦点テンプレート画像との合致の判断を例えばマッチング処理により行い、これにより、部品の良否判定を行うので、形状に異常のある電子部品の搭載を防止することができる。
例えば、搭載しようとしている電子部品が正常な部品である場合、局所全焦点画像と局所全焦点テンプレート画像の相関度が高くなり、正常な電子部品と判別される。一方、電子部品にそりが生じている場合などは、局所全焦点画像が一部しか得られないため、相関度が低くなり、不良と判断することができる。上記不良の判断時には、例えば、部品実装の動作制御を実行する制御に対してエラー通知を発行することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態たる電子部品実装装置の斜視図である。
【図2】撮像装置の周辺の構成を示す斜視図である。
【図3】電子部品実装装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】1次フィルタ演算部でコントラストを求める手法を示した説明図である。
【図5】2次フィルタ演算部で平滑化を行う手法を示した説明図である。
【図6】一つの着目画素について撮像高さの異なる画像データにおける平滑化されたコントラスト値を示す線図である。
【図7】一つの着目画素について撮像高さの異なる画像データにおける平滑化されたコントラスト値を示す線図であって、ピークが得られない場合を示している。
【図8】表示装置における高さ画像データの表示例である。
【図9】表示装置における局所全焦点画像データの表示例である。
【図10】良品の電子部品の側面図である。
【図11】図10に示す良品である電子部品の局所全焦点画像の例である。
【図12】不良の電子部品の側面図である。
【図13】図12に示す不良である電子部品の局所全焦点画像の例である。
【図14】吸着ノズルに吸着された電子部品の複数回の撮像から電子部品の姿勢、位置等の算出までの処理について示すフローチャートである。
【図15】図14の処理に不良検査を行う処理を加えた例について示すフローチャートである。
【図16】部品配置部を電子部品を載置するステージとした例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の実施形態)
発明の実施形態について、図1乃至図15に基づいて説明する。図1は、本実施形態たる電子部品実装装置100の斜視図である。以下、図示のように、水平面において互いに直交する二方向をそれぞれX軸方向とY軸方向とし、これらに直交する鉛直方向をZ軸方向というものとする。
電子部品実装装置100は、基板Sに各種の電子部品Cの搭載を行うものであって、図1に示すように、搭載される電子部品Cを供給する複数の部品供給装置としての電子部品フィーダ108を複数(図1では一つのみ図示)並べて保持する設置部としてのフィーダバンク102からなる部品供給部と、X軸方向に基板を搬送する基板搬送手段103と、当該基板搬送手段103による基板搬送経路の途中に設けられた基板Sに対する電子部品搭載作業を行うための基板保持部としての基板クランプ機構104と、部品配置部としての複数の吸着ノズル105を昇降可能に保持して電子部品Cの保持を行うヘッド106と、実装動作に要する各種の情報を得るために吸着ノズル105に吸着された電子部品Cの撮像を行う撮像手段としての撮像装置1と(図3参照)、ヘッド106を部品供給部と基板クランプ機構104とを含んだ作業エリア内の任意の位置に駆動搬送する移動機構としてのX−Yガントリ107と、上記各構成を搭載支持するベースフレーム114と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段としてのホストコントローラ120と、撮像装置1の撮像により得られる画像データを処理する画像処理装置10を備えている。
【0014】
かかる電子部品実装装置100は、ホストコントローラ120が、電子部品Cの実装に関する各種の設定内容が記録された実装データを保有し、実装データから実装すべき電子部品Cと、電子部品Cの電子部品フィーダ108等の設置位置に基づく部品受け取り位置108aと、基板上の実装位置を示すデータとを読み出すと共に、X−Yガントリ107を制御してヘッド106を電子部品Cの受け取り位置108aと実装位置とに移送し、各位置においてヘッド106を制御して吸着ノズル105の昇降動作及び吸着又は解放動作を行い、電子部品Cの実装の動作制御を実行する。
【0015】
(基板搬送手段及び基板保持部)
基板搬送手段103は、図示しない搬送ベルトを備えており、その搬送ベルトにより基板をX軸方向に沿って搬送する。
また、前述したように、基板搬送手段103による基板搬送経路の途中には、電子部品Cを基板へ搭載する際の作業位置で基板Sを固定保持するための基板クランプ機構104が設けられている。かかる基板クランプ機構104が装備されており、基板搬送方向に直交する方向における両端部で基板Sをクランプするようになっている。また、基板クランプ機構104の下方には、クランプ時に基板Sの下面側に当接して電子部品搭載時に基板Sが下方に撓まぬように支承する複数の支持棒が設けられている。基板Sはこれらにより保持された状態で安定した電子部品Cの搭載作業が行われる。
【0016】
(X−Yガントリ)
X−Yガントリ107は、X軸方向にヘッド106の移動を案内するX軸ガイドレール107aと、このX軸ガイドレール107aと共にヘッド106をY軸方向に案内する二本のY軸ガイドレール107bと、X軸方向に沿ってヘッド106を移動させる駆動源であるX軸モータ109と、X軸ガイドレール107aを介してヘッド106をY軸方向に移動させる駆動源であるY軸モータ110とを備えている。そして、各モータ109、110の駆動により、ヘッド106を二本のY軸ガイドレール107bの間となる領域のほぼ全体に搬送することを可能としている。
なお、各モータ109、110は、それぞれの回転量がホストコントローラ120に認識され、所望の回転量となるように制御されることにより、ヘッド106を介して吸着ノズル105の位置決めを行っている。
また、電子部品実装作業の必要上、前記した二つのフィーダバンク102,基板クランプ機構104とはいずれもX−Yガントリ107によるヘッド106の搬送可能領域内に配置されている。
【0017】
(ヘッド)
ヘッド106は、その先端部で空気吸引により電子部品Cを保持する吸着ノズル105(図1参照)と、吸着ノズル105をZ軸方向に沿って昇降させる昇降機構としてのZ軸モータ111と、吸着ノズル105を回転させて保持された電子部品CをZ軸方向回りに角度調節するためのθ軸モータ112とが設けられている。
また、上記吸着ノズル105は、Z軸方向に沿った状態で昇降可能且つ回転可能にヘッド106に支持されており、昇降による電子部品Cの受け取り又は実装及び回転による電子部品Cの角度調節が可能となっている。
【0018】
(フィーダバンク及び電子部品フィーダ)
フィーダバンク102は、ベースフレーム114のY軸方向一端部(図1手前側)にX軸方向に沿った状態で設けられている。フィーダバンク102は、X−Y平面に沿った長尺の平坦部を備え、当該平坦部の上面に複数の電子部品フィーダ108等がX軸方向に沿って羅列して載置装備される(図1では電子部品フィーダ108を一つのみ図示しているが実際には複数の電子部品フィーダ108等が並んで装備される)。
また、フィーダバンク102は、各電子部品フィーダ108等を保持するための図示しないラッチ機構を備えており、必要に応じて、各電子部品フィーダ108等をフィーダバンク102に対して装着又は分離することを可能としている。
【0019】
上述した電子部品フィーダ108は、後端部には電子部品Cが均一間隔で並んで封止されたテープを巻回したテープリールを保持し、先端上部にはヘッド106に対する電子部品Cの供給位置である受け渡し部を有している。そして、電子部品フィーダ108がフィーダバンク102に取り付けられた状態における電子部品Cの受け渡し部の位置を示すX、Y座標値は前述した実装データに記録されている。
【0020】
(撮像装置)
図2は撮像装置1の周辺の構成を示す斜視図である。
撮像装置1は、基板搬送手段103を挟んでフィーダバンク102の反対側においてベースフレーム114に設けられたカメラであり、その視線を垂直上方に向けて配設されている。即ち、吸着ノズル105に吸着された電子部品Cに対して下方から撮像を行うようになっている。
上記撮像手段1のカメラは、被写体画像を撮像するCCD又はCMOS撮像素子と、当該撮像素子の眼前に設けられた固定焦点レンズからなる光学系が配設されている。つまり、撮像手段1は固定焦点のカメラである。なお、この撮像装置1の撮像時に得られる画像信号は、画像処理装置10に出力される。
【0021】
撮像手段1のすぐ上側には、照明装置2が設けられている。この照明装置2は、平面視正方形状であって内部中空の直方体のケース2aとケース内底部の四方から光照射を行う複数の発光素子2bとケース内上部の四方から光照射を行う複数の発光素子2cとから構成される。
照明装置2のケース2aは、上部と下部とが開口している。そして、上側の開口部から吸着ノズル105に吸着された電子部品CがZ軸モータ111の駆動により下降してケース2a内に侵入し、四方から光照射が行われた状態で下側の開口部を通じて撮像装置1により電子部品Cの撮像が行われる。
【0022】
(電子部品実装装置の制御系)
図3は電子部品実装装置100の制御系を示すブロック図である。図示のように、X−Yガントリ107のX軸モータ109、Y軸モータ110、ヘッド106において吸着ノズル105の昇降を行うZ軸モータ111、吸着ノズル105の回転を行うθ軸モータ112は、それぞれ図示しない駆動回路を介してホストコントローラ120に接続されている。
また、撮像装置1の撮像の実行と照明装置2の光照射の実行とは、ホストコントローラ120により制御される。そして、撮像装置1の撮像による画像信号は、前述したように、画像処理装置10に入力されるようになっている。
【0023】
ホストコントローラ120は、実装対象となる電子部品Cのリスト及びその搭載の順番、各電子部品Cの基板S上における搭載位置、各電子部品Cがいずれの電子部品フィーダ108から受け取るかを示す受け取り位置等が定められた実装スケジュールデータを記憶する図示しないメモリと、実装動作制御プログラムを実行するCPU121とを主に備えている。
そして、電子部品の実装時には、実装スケジュールデータを読み込んで、X軸及びY軸モータ109,110を制御して所定の電子部品フィーダ108の受け取り位置にヘッド106を搬送し、Z軸モータ111を制御して吸着ノズル105にて電子部品Cを吸着し、撮像装置1に移動して下方から電子部品Cの撮像を行ってから実装スケジュールデータに定められた基板実装位置に電子部品Cを搬送して実装を行う。
そして、実装スケジュールデータに定められた全ての電子部品Cについて実装を行い、動作制御を終了するようになっている。
【0024】
また、ホストコントローラ120は、画像処理装置10と通信可能に接続されている。そして、電子部品Cの撮像により生成される全焦点画像の解析の結果に基づいて得られる電子部品Cの中心位置及びZ軸周りの角度の情報を画像処理装置10から受信し、吸着ノズル105に対する電子部品Cの中心位置ズレ及びZ軸周りの角度ズレをX軸及びY軸モータ109,110とθ軸モータ112の制御により補正してから基板Sへの実装動作制御を行うようになっている。
【0025】
また、ホストコントローラ120は、電子部品Cの実装時において、Z軸方向について一定の間隔で吸着ノズル105の高さを変えるようにZ軸モータ111を制御し、それぞれの高さで吸着ノズル105に吸着された電子部品Cを鉛直下方から撮像するよう撮像装置1を制御する。即ち、ホストコントローラ120は、撮像制御部として機能する。
例えば、吸着ノズル105の下端部が撮像装置1の焦点に合っている位置を起点として所定の高さまで吸着ノズル105を上昇させると共に、均一間隔ごとに電子部品Cの撮像を行うよう撮像装置1を制御する。
撮像時の吸着ノズル105の上昇移動量と撮像回数とは、図示しないメモリに記憶されており、外部から任意に設定することが可能となっている。
なお、同範囲について吸着ノズル105を下降させながら撮像を行っても良い。
【0026】
(画像処理装置)
そして、画像処理装置10は、上記複数回の撮像により複数の画像データを取得し、画像を構成する各画素の位置における合焦点位置(一つの画素について焦点が合っている場合における撮像装置1と吸着ノズル105との相対的な位置又は距離)を求め、全画素について焦点のあった画像からなる全焦点画像又は電子部品Cにおける一定の高さ範囲内となる部分の画素について焦点のあった画像からなる局所全焦点画像を生成する処理を行うものである。
【0027】
このため、図3に示すように、画像処理装置10は、上記撮像装置1の複数回の撮像による画像信号をA/D変換して各撮像ごとの画像データを生成するA/Dコンバータ11と、これらの画像データを格納する画像記憶部12と、各画像データから電子部品Cの高さデータ、高さ画像データ及び全焦点画像データを生成する処理部20と、高さデータを記憶する高さデータ記憶部31と高さ画像データを記憶する高さ画像記憶部32と全焦点画像データを記憶する全焦点画像記憶部33とからなる処理結果記憶部30と、全焦点画像データ及び高さデータから局所全焦点画像データを生成する局所全焦点画像生成部41と、生成された局所全焦点画像データを記憶する局所全焦点画像記憶部42と、局所全焦点画像データに対する画像処理を行って電子部品Cの姿勢や位置を算出する部品位置検出処理部13と、電子部品の局所全焦点画像のテンプレート画像である局所全焦点テンプレート画像の画像データを記憶するテンプレート画像記憶部52とテンプレート画像記憶部52に保持されている局所全焦点テンプレート画像の画像データと局所全焦点画像記憶部42に保持されている局所全焦点画像データとから不良検査を行う不良検査部51と不良検査結果を保持する検査結果記憶部53とからなる三次元形状検査部50と、各部の処理の実行及びデータの格納について制御するCPU14とを備えている。
【0028】
また、処理部20は、全画像データの各画素におけるコントラスト値を算出する1次フィルタ演算部21と、各画素におけるコントラスト値を平滑化する2次フィルタ演算部22と、平滑化されたコントラスト値から各画素での合焦点位置を算出する高さ算出部23と、電子部品Cの各画素位置における高さをその高さに応じた輝度値で示した高さ画像データを生成する高さ画像生成部24と、電子部品Cの各部を撮像する各画素について各々が焦点が合っている画像からなる全焦点画像データを生成する全焦点画像生成部25とを備えている。
以下、画像処理装置10の各部について順に説明する。
【0029】
上記A/Dコンバータ11は、吸着ノズル105の1ストロークの移動における各撮像時に撮像装置1から出力される画像信号をアナログからデジタルに変換して各撮像ごとの画像データを生成する。一つの画像データは、1フレームを構成する全画素について個々に検出された輝度値を記録したものである。
各画像データは、全て、画像記憶部12に格納される。
【0030】
処理部20の1次フィルタ演算部21は、各撮像の画像データにおける全画素についてコントラストを算出する。
図4は、1次フィルタ演算部21でコントラストを求める手法を示した説明図である。コントラストを求める対象となる画素を着目画素(i,j)(i,jは画素位置を示すX−Y座標値)とし、その輝度値をI(i,j)とした場合に、式(1)に示すように、当該着目画素を中心に縦方向と横方向と45°斜めの二方向からなる四方向について、X軸方向については±dx、Y軸方向については±dy、斜め方向については±dx且つ±dyだけ離れて並んだ合計八つの画素と着目画素の輝度値の差分の総和を着目画素におけるコントラストLm(i,j)として求めている。
なお、コントラストLm(i,j)は、式(2)に示すように、より簡易的に、斜め方向の各画素との対比を省略して求めても良い。
【数1】
【0031】
なお、dx,dyは、予め定められた整数であり、一例として、画素1〜10個分程度とする場合を示すが、増減させても良い。
また、上記手法でコントラストを求める場合、厳密には平面に並んだ全画素の内、その外縁からdx列分又はdy列分の画素についてはコントラストを求めることができず、処理対象から除かれることになるが、全体からすればごくわずかの範囲なので、便宜上、「全画素のコントラスト」と記載するものとする。
【0032】
2次フィルタ演算部22は、各撮像の画像データにおける全画素について、1次フィルタ演算部21で算出されたコントラストLm(i,j)に基づいて次式(3)に従って平滑化を行う。
【数2】
【0033】
即ち、着目画素(i,j)についてコントラストの平滑化を行う場合には、着目画素を中心として、図5に示す加算領域、即ち、一辺が2N+1個の正方形の範囲内の全画素のコントラストの値を平均化することで算出される。
なお、Nは予め定められた整数であり、例えば、その値は解像度に応じて適宜選択される。
また、上記のような手法で平滑化を行うため、コントラストが算出された全画素の内、厳密には、その外縁からN列分の画素については平滑化を行うことができず、その処理対象から除かれることになるが、この場合も、全体からすればごくわずかの範囲なので、便宜上、「全画素について平滑化」と記載するものとする。
【0034】
高さ算出部23は、全画像データの全画素の平滑化されたコントラスト値(2次フィルタ結果)に基づいて、各画像データの同じ画素位置での平滑化されたコントラスト値を比較して、各画素における合焦点位置を取得する。即ち、高さ算出部23は、測距処理部として機能することとなる。
図6は、着目画素について、撮像高さ(吸着ノズル105の先端部から撮像装置1までの距離)の異なる画像データにおける平滑化されたコントラスト値を示す線図である。
コントラスト値(平滑化された場合も同様)は、撮像手段の焦点が合った状態に近い程、高い値を示すこととなる。
従って、着目画素について、平滑化されたコントラスト値が最大値となる高さを求めることで、当該着目画素における合焦点位置を求めることが可能となる。
なお、実際に撮像を行った撮像高さが合焦点位置に完全一致するとは限らないが、その場合には、平滑化されたコントラスト値が最大となる撮像高さを近似的に合焦点位置としても良いし、平滑化されたコントラスト値が予め定めた閾値(例えば、得られた平滑化されたコントラスト値の最大値の80%の値を閾値とする等)を超える二つの撮像高さからその平均をとって合焦点位置としても良い。
また、着目画素について、各画像データの撮像高さ(吸着ノズル105の先端部から撮像装置1までの距離)における平滑化されたコントラスト値が、正規分布曲線に近似するので、正規分布式N(μ,σ2)を生成し、その平均値μを合焦点位置として算出しても良い。
上記高さ算出部23は、全画素における合焦点位置を算出し、これを高さデータとして高さデータ記憶部31に格納する。
【0035】
なお、吸着ノズル105に吸着された電子部品Cを下方から撮像した場合、電子部品Cの周囲の背景は、撮像装置1に対して電子部品Cよりもずっと遠方にあり、吸着ノズル105の昇降を行っても焦点が合うことはないため、このような背景を撮像した画素については、図7に示すように、平滑化されたコントラスト値にピークが現れず、合焦点位置が求めることができないか或いは誤った撮像高さを合焦点位置と認定するおそれがある。
従って、高さ算出部23では、図7に示すように、平滑化されたコントラスト値に対して所定の閾値Kを予め定めておき、いずれの撮像高さでも当該閾値を超えない場合には、その画素については処理対象から除外する処理を行う。これにより、不要な背景領域を除外し、電子部品Cを撮像した画素のみを処理対象とすることができる。
なお、閾値Kについては、試験的に電子部品と背景とを撮像して、背景画像では得られないコントラスト値を求める等の手法により容易に取得することが可能である。
【0036】
高さ画像生成部24は、高さデータ記憶部31に格納されている高さデータを輝度値に正規化して高さ画像を生成し、高さ画像記憶部32に格納する。
正規化の手法としては、高さデータに含まれる全画素(除外された背景画素は除く)の合焦点位置の最小値から最大値までの範囲内の各合焦点位置に対して、画素の輝度値の階調の全範囲を割り振るようにする。例えば256階調であれば最小値に輝度値255、最大値に輝度値0を割り振る。これにより、高さデータに含まれる全画素(除外された背景画素は除く)の合焦点位置が、高さに応じた輝度値に置き換えられてなる高さ画像データが生成され、高さ画像記憶部32に格納される。なお、この高さ画像データでは、電子部品Cの撮像装置1に近い点ほど高輝度となる画像が生成されることになる。
また、高さ算出部23において除外された画素については輝度値0が格納される。
【0037】
また、正規化の手法としては、実際に得られた合焦点位置の最小値から最大値の範囲で正規化せずに、例えば、合焦点位置の範囲を予め定めると共に、当該範囲内の合焦点位置に対して全階調の輝度値を割り振ると共に、高さデータ記憶部31に格納されている高さデータ内の各合焦点位置データに対して、対応する輝度値に置き換えることで正規化を行っても良い。
【0038】
なお、画像処理装置10に表示装置を接続し、生成された高さ画像データの表示を行うよう制御する表示制御部を設けても良い。
図8は、表示装置における高さ画像データの表示例を示している。このように、電子部品Cの下面における撮像装置1側に近接する部位を高い明度で表示し、撮像装置1に遠い部位ほど暗く表示させることができ、立体形状を2次元画像により視覚的に容易に認識させることが可能である。なお、電子部品の遠近部位と表示画像の明度との関係は逆としても良い。また、電子部品Cの各部の高さに応じて色分けするように表示を行っても良い。
【0039】
全焦点画像生成部25は、高さデータ記憶部31に格納されている高さデータから全焦点画像データを生成する処理を行う。
即ち、各画素について、高さ画像データに含まれる各画素の合焦点位置に合致又は最も近似する画像データの同一画素における輝度値を画像記憶部12から読み出して各画素における輝度値とすることで、全画素が、個々に焦点の合った画像となり、全焦点画像データが生成されることとなる。
なお、画素における合焦点位置と撮像高さが完全一致する画像データが存在しない場合には、最も撮像高さが近い二つの画像データにおけるそれぞれの撮像高さと合焦点位置との距離比による重み付けをして当該各画像データの輝度値を平均化して、合焦点位置における輝度値を近似的に算出しても良い。
【0040】
そして、全焦点画像生成部25は、生成された全焦点画像データを全焦点画像記憶部33に格納する。
なお、この全焦点画像データについても、画像処理装置10に接続した表示装置で表示可能としても良い。
【0041】
局所全焦点画像生成部41は、高さデータ記憶部31を参照し、合焦点位置が予め設定した範囲内の高さとなる画素の座標情報を取得する。そして、これら所定の高さ範囲内となる各画素の座標情報に従って、全焦点画像記憶部33内の輝度値を抽出し、電子部品Cの所定の高さ範囲内となる部分のみの局所全焦点画像データを生成する。
そして、局所全焦点画像生成部41は、局所全焦点画像データを局所全焦点画像記憶部42内に格納する。
なお、合焦点位置が予め設定した範囲外の高さとなる画素及び既に処理対象から除外された画素については輝度値0が格納される。
【0042】
なお、局所全焦点画像生成部41において局所全焦点画像データを抽出する範囲を決定する高さ範囲については、図示しないメモリによりその設定値が記憶されている。また、このメモリ内の設定値については、入力手段を設けて任意に設定可能としても良い。
また、この局所全焦点画像データも、前述した表示装置を用いて表示可能としても良い。
図9は、表示装置における局所全焦点画像データの表示例を示している。このように、電子部品Cの下面において、所定の高さ範囲内となる部位のみについて異なる高さでありながら全点において焦点が合った画像を表示することができる。
【0043】
3次元形状検査部50の不良検査部51は、局所全焦点画像記憶部42を参照し、予めテンプレート画像記憶部52に保存されている画像との相関度を検査する。そして、相関度が予め設定した範囲内であれば良品と判断し、良品であることを検査結果記憶部53に記憶させる。予め設定した範囲外であれば不良と判断し、不良であることを検査結果記憶部53に記憶させる。
なお、この不良検査結果も、前述した表示装置を用いて表示可能としても良い。
図10は電子部品Cの良品の側面図であり、図11は図10に示す局所全焦点画像生成部41で定められている所定の高さ範囲Hにおける局所全焦点画像であり、良品と判断される局所全焦点画像の例である。この図11をテンプレート画像にしても良い。
また、図12は電子部品Cに反りが生じた不良部品の側面図であり、図13は図12に示す所定の高さ範囲Hにおける局所全焦点画像である。電子部品Cに反りがあるため、局所全焦点画像を生成した場合に、全焦点画像が一部しか得ることができず、極端な場合には全く得られないこともある。そのため、テンプレート画像との相関値が低くなり、図13は不良と判断される。
【0044】
部品位置検出処理部13は、検査結果記憶部53の結果を元に、局所全焦点画像記憶部42内の局所全焦点画像データに基づいて所定の画像処理、例えば、マッチング等により電子部品の所定形状の部分の向きを求めたり、重心位置を演算して、電子部品Cの中心位置を求めたりする。
そして、これにより、吸着ノズル105の中心に対する電子部品Cの位置ズレ量、吸着ノズル105の中心に対する電子部品Cの角度、電子部品Cの姿勢などを求め、部品位置検出処理部13は、これらの情報をホストコントローラ120側に送信する。
これにより、ホストコントローラ120のCPU121は、吸着ノズル105をθ軸モータ112の回転制御により吸着された電子部品Cの向きを補正し、吸着ノズル105に対する位置ズレ量を補正して電子部品Cの基板Sに対する位置決めを行うことができる。
【0045】
図14は、吸着ノズル105に吸着された電子部品Cの複数回の撮像から電子部品Cの姿勢、位置等の算出までの処理について示すフローチャートである。
図14に従って上記処理内容を順番に説明する。
まず、ホストコントローラ120は、メモリ内に設定されている吸着ノズル105の上昇移動量と撮像回数の読み取りを行う(ステップS1)。
そして、撮像装置1を制御して、吸着ノズル105が撮像開始位置にある状態で電子部品Cを撮像し(ステップS3)、Z軸モータ111を制御して次の撮像高さまで吸着ノズル105を上昇させる(ステップS5)。撮像装置1の撮像による画像信号は、画像処理装置10に送信され、A/D変換されて画像データとして画像記憶部12に格納される。
そして、ホストコントローラ120は、設定された撮像回数分の撮像が終了したか判定し、まだ、終了してない場合には、ステップS3に処理を戻して次の位置で撮像を行う。
また、設定された撮像回数分の撮像が終了した場合には、画像処理装置10側での処理に移行する。さらに、処理タクトを向上させるため、ホストコントローラ120と画像処理装置10が連携して、撮像、Z軸移動、画像処理を効率良く行ってもよい。
【0046】
画像処理装置10の1次フィルタ演算部21は、各画像データの各画素についてコントラストを算出する(ステップS9)。そして、2次フィルタ演算部22は、各画素におけるコントラストの平滑化を行う(ステップS11)。
高さ算出部23は、全画像データにおける各画素の平滑化されたコントラストの値から、各画素位置においてピーク位置、即ち、合焦点位置を求め、高さデータとして高さデータ記憶部31に格納する(ステップS13)。
【0047】
次いで、高さ画像生成部24は、高さデータを輝度値に正規化して高さ画像を生成する(ステップS15)。
また、全焦点画像生成部25は、高さデータが示す各画素位置における高さ(合焦点位置)と各画像データから全焦点画像データを生成する(ステップS17)。
【0048】
次に、局所全焦点画像生成部41は、全焦点画像データから局所の抽出を行うための高さ範囲の設定値の読み出しを行い(ステップS19)、電子部品Cにおける設定高さ範囲内の全焦点画像データのみを抽出してなる局所全焦点画像データを生成して(ステップS21)、部品位置検出処理部13に出力する(ステップS23)。
部品位置検出処理部13では、局所全焦点画像データから電子部品Cの姿勢、向き、位置を算出し、ホストコントローラ120に送信する(ステップS25)。
これにより、ホストコントローラ120は、電子部品Cの向き及び位置補正を行って基板Sに対する実装動作を行い、制御を終了する。
【0049】
図15は、図14に示した処理に加え、不良検査を行う処理について示すフローチャートである。
図15に従って上記検査内容を順番に説明する。まず、後に行われるマッチング処理に使用する局所全焦点テンプレート画像を作成し、テンプレート画像記憶部52に格納する(ステップS31)。
この局所全焦点テンプレート画像は、部品の3DCADデータから作成しても良いし、良品のサンプル品を撮像してその画像データから局所全焦点画像を生成し、局所全焦点テンプレート画像としても良い。
そして、図14のステップS1〜ステップS23までの処理と同様の処理を行い、局所全焦点画像を取得する(ステップS33)。
次いで、局所全焦点画像記憶部42とテンプレート画像記憶部52に格納された局所全焦点テンプレート画像を用いてマッチング処理を行う(ステップS35)。
さらに、マッチング結果に対する不良判断基準(例えば、予め設定された相関度の閾値)を取得し(ステップS37)、マッチング結果と不良判断基準から、不良判別を行い(ステップS39)、判別結果を検査結果記憶部53に格納する。
格納された検査結果が基準を満たすものであれば、前述したステップS25と同じ処理である部品認識処理を行う(ステップS41)。検査結果が基準を満たさない場合は、不良をホストコントローラ120に通知し、電子部品Cの実装動作を行わない。
【0050】
(電子部品実装装置の技術的効果)
電子部品実装装置100は、その画像処理装置10が全画素について焦点が合っている状態の一定の高さ範囲内の局所全焦点画像データとを得ることができるので、これにより、電子部品Cの位置、姿勢、特徴形状などを画像処理で求める場合に、その処理精度を向上させることが可能となる。また、撮像エリアの一部の範囲内となる局所全焦点画像データを生成するので、その後の画像処理において、処理負担を軽減し、処理の高速化を図ることが可能となる。
【0051】
また、画像処理装置10の高さ算出部23が、平滑化されたコントラストに対して閾値を設定し、閾値を超える範囲で高さデータを生成するので、不要となる背景画像などを処理対象から除外することができ、その結果、高さ算出部23以降の処理について処理負担を軽減し、また、処理時間を短縮することが可能となる。
【0052】
さらに、画像処理装置10で撮られた画像により局所全焦点画像データを生成し、局所全焦点テンプレート画像とのマッチング処理のみで、3次元の形状の検査が比較的容易に且つ軽微な処理負担で行うことが可能になる。
【0053】
(その他)
画像処理装置10の局所全焦点画像生成部41は、全焦点画像生成部25が生成した全焦点画像データに基づいて局所全焦点画像データを生成しているが、これに限定されない。
即ち、局所全焦点画像生成部41は、高さデータ記憶部31を参照し、合焦点位置が予め設定した範囲内の高さとなる画素の座標情報を取得すると共に、これらの画素について、高さ画像データに含まれる各画素の合焦点位置に合致又は最も近似する画像データの同一画素における輝度値を画像記憶部12から読み出して各画素における輝度値とすることで、局所全焦点画像データを生成しても良い。
これにより、全焦点画像生成部25を介することなく局所全焦点画像データを生成可能となり、全焦点画像生成部25を省略し、構成の簡略化を図ることが可能となる。
【0054】
また、電子部品実装装置100では、吸着ノズル105を部品配置部として、当該吸着ノズル105に吸着された電子部品Cの撮像を行い、その画像データに基づいて全焦点画像データ及び局所全焦点画像データを生成し、電子部品Cの各種情報の取得を行っているが、その他の状態での電子部品Cの撮像を行い、その撮像画像から全焦点画像データ及び局所全焦点画像データを生成することも可能である。
例えば、図16に示すように、部品配置部としてのステージ201と、上方からステージ201上の電子部品Cを撮像可能な撮像装置202と、ステージ201又は撮像装置202を昇降可能とする昇降装置(図示略)とを設け、ステージ201上に電子部品Cを載置した状態で相互間距離を変えながら上方から撮像装置202により撮像を行って、高さの異なる複数の画像データを取得し、当該各画像データから全焦点画像データ及び局所全焦点画像データを生成しても良い。
例えば、このような構成を電子部品実装装置100に設けることにより、吸着ノズル105に吸着する前の電子部品Cにおける外形、向きなどの情報を得ることが可能である。
【0055】
また、図16に示すステージ201は昇降を行わずに固定し、撮像装置202を昇降可能として、ステージ201を上方から撮像することも可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 撮像装置(撮像手段)
10 画像処理装置
23 高さ算出部(測距処理部)
25 全焦点画像生成部
41 局所全焦点画像生成部
51 不良検査部
52 テンプレート画像記憶部
100 電子部品実装装置
105 吸着ノズル(部品配置部)
106 ヘッド
111 Z軸モータ(可動部)
120 ホストコントローラ(撮像制御部)
201 ステージ(部品配置部)
202 撮像装置(撮像手段)
C 電子部品
S 基板
H 局所全焦点画像生成範囲
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像手段により得られる2次元画像データから高さデータを生成し、3次元の部品認識を可能にする電子部品実装装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像手段としてのカメラを用いて立体形状を検出する方法としては、カメラと被写体である立体形状との相対的な距離を変えて複数の画像データを取得し、各画像データにおいて周囲とのコントラストから焦点が合っている状態の画素を求め、補間により全ての画素における焦点距離を求めて被写体の立体形状を三次元データで取得するものが挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2960684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、立体形状の三次元データ、即ち、撮像エリア内の各画素位置での高さを求める技術であり、撮像による画像データを画像処理にかけて実装対象の電子部品の形状的な特徴(例えば、外形、中心位置等)を算出する電子部品実装装置には適用することができなかった。
【0005】
本発明は、撮像による画像データを用いてより高精度な実装対象の電子部品の外部情報を取得することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、電子部品が配置される部品配置部と、前記部品配置部に配置された電子部品を撮像する撮像手段と、前記部品配置部と前記撮像手段との距離を可動調節する可動部と、前記可動部及び撮像手段を制御して、前記電子部品について前記部品配置部と前記撮像手段の距離が異なる複数の画像データを取得する撮像制御部と、前記複数の画像データの撮像範囲内の複数の画素の各々について、前記複数の画像データの同一画素におけるコントラストの対比に基づいて、当該各画素における前記撮像手段から前記部品配置部の合焦点位置を求める測距処理部と、前記撮像手段による撮像エリア内の前記各画素における合焦点位置と、前記複数の画像データにおける前記各画素の輝度値とから、前記撮像エリアの一部範囲内の画素における合焦点位置での輝度値を求め、当該合焦点位置での輝度値からなる局所全焦点画像を生成する局所全焦点画像生成部とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記コントラスト又は前記合焦点位置に対してその範囲に制限を設けることで前記局所全焦点画像を生成することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、電子部品の前記局所全焦点画像のテンプレート画像である局所全焦点テンプレート画像の画像データを記憶するテンプレート画像記憶部と、前記局所全焦点画像生成部で生成した前記局所全焦点画像が局所全焦点テンプレート画像と合致しているかの判断に基づいて部品不良か否かを判定する不良検査部とを備えることを特徴とする。
局所全焦点テンプレート画像は、部品の3DCADデータから作成しても良いし、良品サンプル部品の撮像データから作成しても良い。
【発明の効果】
【0009】
請求項1記載の発明は、複数の画像データの撮像範囲内の各画素でのコントラストから合焦点位置を取得する。即ち、部品配置部と撮像手段の距離(以下、「撮像距離」とする)が異なる複数の撮像を行い、当該各撮像に基づく画像データにおいて、各画素について周囲とのコントラストを求め、複数の画像データの同じ画素についてコントラストを比較する。その結果、コントラストの値が最大値となった画像データの撮像距離において、当該画素の焦点が合っている状態となる。
なお、一つの画素についてコントラストが最大値となった画像データは、最も合焦点に近い状態であり、合焦点位置に完全一致するとは限らないので、コントラストが最大値となった画像データの撮像時における撮像距離を近似的に合焦点位置と見なしても良いし、また、コントラストの大きさが1番目と2番目となる二つの画像データの撮像距離からより正確に合焦点位置を求めても良い。
そして、部品配置部と撮像手段の合焦点位置から、電子部品上の各画素での高さを算出することができる。
撮像エリアの一部の範囲内における各画素について、上記手法により電子部品上の複数の点までの高さを算出することで、電子部品の表面における随所の高さが求まることとなる。
そして、電子部品の表面上の各点において高さが求まると、電子部品の表面上の各点について、当該各点における合焦点位置に合致する撮像距離の画像データから、対応する画素位置の輝度値(輝度値)を取得する。なお、合焦点位置に合致する画像データが存在しない場合には、合焦点位置に近似する画像データの輝度値を採用しても良いし、合焦点位置に近似する複数の画像データの輝度値から合焦点位置における輝度値を近似的に算出しても良い。
そして、撮像エリアの一部範囲内の画素について、焦点が合っている状態の輝度値を取得することで局所全焦点画像(データ)を生成することができる。
この局所全焦点画像は、全画素での焦点が合っているため、画像全体をより鮮明とすることが可能である。
このため、かかる局所全焦点画像を得ることにより、撮像画像に基づく電子部品の特徴部位や中心位置を抽出或いは特定する場合等の画像処理や画像分析において高い精度を得ることが可能となる。
また、撮像エリアの一部の範囲に制限して全焦点画像を生成するので、撮像画像に基づく電子部品の特徴部位や中心位置を抽出或いは特定する場合等の画像処理をより迅速を行うと共に処理負担の軽減を図ることが可能となる。
【0010】
請求項2記載の発明は、コントラスト又は合焦点位置に対して範囲に制限を設けて局所全焦点画像を生成するので、画像内で不要となる部位、例えば電子部品の背景などを容易に排除することが可能となる。
例えば、いずれの画像データでもある程度のコントラストが得られない場合には、各画像データの撮像を行った撮像距離の範囲内に合焦点位置が含まれないこととなる。つまり、撮像手段から最も遠くなるであろう部品配置部の配置面(背景部分)は、コントラストの制限により容易に排除することができる。
また、合焦点位置を得られた場合でもあっても合焦点位置そのものに制限を設けることにより、突出している部分、窪んでいる部分など、実装作業の必要性に応じて検出すべき部位のみを抽出して全焦点画像を取得することができ、処理データ量を低減して、効率よく処理することが可能となる。
【0011】
請求項3記載の発明は、生成される局所全焦点画像を元に、局所全焦点テンプレート画像との合致の判断を例えばマッチング処理により行い、これにより、部品の良否判定を行うので、形状に異常のある電子部品の搭載を防止することができる。
例えば、搭載しようとしている電子部品が正常な部品である場合、局所全焦点画像と局所全焦点テンプレート画像の相関度が高くなり、正常な電子部品と判別される。一方、電子部品にそりが生じている場合などは、局所全焦点画像が一部しか得られないため、相関度が低くなり、不良と判断することができる。上記不良の判断時には、例えば、部品実装の動作制御を実行する制御に対してエラー通知を発行することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態たる電子部品実装装置の斜視図である。
【図2】撮像装置の周辺の構成を示す斜視図である。
【図3】電子部品実装装置の制御系を示すブロック図である。
【図4】1次フィルタ演算部でコントラストを求める手法を示した説明図である。
【図5】2次フィルタ演算部で平滑化を行う手法を示した説明図である。
【図6】一つの着目画素について撮像高さの異なる画像データにおける平滑化されたコントラスト値を示す線図である。
【図7】一つの着目画素について撮像高さの異なる画像データにおける平滑化されたコントラスト値を示す線図であって、ピークが得られない場合を示している。
【図8】表示装置における高さ画像データの表示例である。
【図9】表示装置における局所全焦点画像データの表示例である。
【図10】良品の電子部品の側面図である。
【図11】図10に示す良品である電子部品の局所全焦点画像の例である。
【図12】不良の電子部品の側面図である。
【図13】図12に示す不良である電子部品の局所全焦点画像の例である。
【図14】吸着ノズルに吸着された電子部品の複数回の撮像から電子部品の姿勢、位置等の算出までの処理について示すフローチャートである。
【図15】図14の処理に不良検査を行う処理を加えた例について示すフローチャートである。
【図16】部品配置部を電子部品を載置するステージとした例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(発明の実施形態)
発明の実施形態について、図1乃至図15に基づいて説明する。図1は、本実施形態たる電子部品実装装置100の斜視図である。以下、図示のように、水平面において互いに直交する二方向をそれぞれX軸方向とY軸方向とし、これらに直交する鉛直方向をZ軸方向というものとする。
電子部品実装装置100は、基板Sに各種の電子部品Cの搭載を行うものであって、図1に示すように、搭載される電子部品Cを供給する複数の部品供給装置としての電子部品フィーダ108を複数(図1では一つのみ図示)並べて保持する設置部としてのフィーダバンク102からなる部品供給部と、X軸方向に基板を搬送する基板搬送手段103と、当該基板搬送手段103による基板搬送経路の途中に設けられた基板Sに対する電子部品搭載作業を行うための基板保持部としての基板クランプ機構104と、部品配置部としての複数の吸着ノズル105を昇降可能に保持して電子部品Cの保持を行うヘッド106と、実装動作に要する各種の情報を得るために吸着ノズル105に吸着された電子部品Cの撮像を行う撮像手段としての撮像装置1と(図3参照)、ヘッド106を部品供給部と基板クランプ機構104とを含んだ作業エリア内の任意の位置に駆動搬送する移動機構としてのX−Yガントリ107と、上記各構成を搭載支持するベースフレーム114と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段としてのホストコントローラ120と、撮像装置1の撮像により得られる画像データを処理する画像処理装置10を備えている。
【0014】
かかる電子部品実装装置100は、ホストコントローラ120が、電子部品Cの実装に関する各種の設定内容が記録された実装データを保有し、実装データから実装すべき電子部品Cと、電子部品Cの電子部品フィーダ108等の設置位置に基づく部品受け取り位置108aと、基板上の実装位置を示すデータとを読み出すと共に、X−Yガントリ107を制御してヘッド106を電子部品Cの受け取り位置108aと実装位置とに移送し、各位置においてヘッド106を制御して吸着ノズル105の昇降動作及び吸着又は解放動作を行い、電子部品Cの実装の動作制御を実行する。
【0015】
(基板搬送手段及び基板保持部)
基板搬送手段103は、図示しない搬送ベルトを備えており、その搬送ベルトにより基板をX軸方向に沿って搬送する。
また、前述したように、基板搬送手段103による基板搬送経路の途中には、電子部品Cを基板へ搭載する際の作業位置で基板Sを固定保持するための基板クランプ機構104が設けられている。かかる基板クランプ機構104が装備されており、基板搬送方向に直交する方向における両端部で基板Sをクランプするようになっている。また、基板クランプ機構104の下方には、クランプ時に基板Sの下面側に当接して電子部品搭載時に基板Sが下方に撓まぬように支承する複数の支持棒が設けられている。基板Sはこれらにより保持された状態で安定した電子部品Cの搭載作業が行われる。
【0016】
(X−Yガントリ)
X−Yガントリ107は、X軸方向にヘッド106の移動を案内するX軸ガイドレール107aと、このX軸ガイドレール107aと共にヘッド106をY軸方向に案内する二本のY軸ガイドレール107bと、X軸方向に沿ってヘッド106を移動させる駆動源であるX軸モータ109と、X軸ガイドレール107aを介してヘッド106をY軸方向に移動させる駆動源であるY軸モータ110とを備えている。そして、各モータ109、110の駆動により、ヘッド106を二本のY軸ガイドレール107bの間となる領域のほぼ全体に搬送することを可能としている。
なお、各モータ109、110は、それぞれの回転量がホストコントローラ120に認識され、所望の回転量となるように制御されることにより、ヘッド106を介して吸着ノズル105の位置決めを行っている。
また、電子部品実装作業の必要上、前記した二つのフィーダバンク102,基板クランプ機構104とはいずれもX−Yガントリ107によるヘッド106の搬送可能領域内に配置されている。
【0017】
(ヘッド)
ヘッド106は、その先端部で空気吸引により電子部品Cを保持する吸着ノズル105(図1参照)と、吸着ノズル105をZ軸方向に沿って昇降させる昇降機構としてのZ軸モータ111と、吸着ノズル105を回転させて保持された電子部品CをZ軸方向回りに角度調節するためのθ軸モータ112とが設けられている。
また、上記吸着ノズル105は、Z軸方向に沿った状態で昇降可能且つ回転可能にヘッド106に支持されており、昇降による電子部品Cの受け取り又は実装及び回転による電子部品Cの角度調節が可能となっている。
【0018】
(フィーダバンク及び電子部品フィーダ)
フィーダバンク102は、ベースフレーム114のY軸方向一端部(図1手前側)にX軸方向に沿った状態で設けられている。フィーダバンク102は、X−Y平面に沿った長尺の平坦部を備え、当該平坦部の上面に複数の電子部品フィーダ108等がX軸方向に沿って羅列して載置装備される(図1では電子部品フィーダ108を一つのみ図示しているが実際には複数の電子部品フィーダ108等が並んで装備される)。
また、フィーダバンク102は、各電子部品フィーダ108等を保持するための図示しないラッチ機構を備えており、必要に応じて、各電子部品フィーダ108等をフィーダバンク102に対して装着又は分離することを可能としている。
【0019】
上述した電子部品フィーダ108は、後端部には電子部品Cが均一間隔で並んで封止されたテープを巻回したテープリールを保持し、先端上部にはヘッド106に対する電子部品Cの供給位置である受け渡し部を有している。そして、電子部品フィーダ108がフィーダバンク102に取り付けられた状態における電子部品Cの受け渡し部の位置を示すX、Y座標値は前述した実装データに記録されている。
【0020】
(撮像装置)
図2は撮像装置1の周辺の構成を示す斜視図である。
撮像装置1は、基板搬送手段103を挟んでフィーダバンク102の反対側においてベースフレーム114に設けられたカメラであり、その視線を垂直上方に向けて配設されている。即ち、吸着ノズル105に吸着された電子部品Cに対して下方から撮像を行うようになっている。
上記撮像手段1のカメラは、被写体画像を撮像するCCD又はCMOS撮像素子と、当該撮像素子の眼前に設けられた固定焦点レンズからなる光学系が配設されている。つまり、撮像手段1は固定焦点のカメラである。なお、この撮像装置1の撮像時に得られる画像信号は、画像処理装置10に出力される。
【0021】
撮像手段1のすぐ上側には、照明装置2が設けられている。この照明装置2は、平面視正方形状であって内部中空の直方体のケース2aとケース内底部の四方から光照射を行う複数の発光素子2bとケース内上部の四方から光照射を行う複数の発光素子2cとから構成される。
照明装置2のケース2aは、上部と下部とが開口している。そして、上側の開口部から吸着ノズル105に吸着された電子部品CがZ軸モータ111の駆動により下降してケース2a内に侵入し、四方から光照射が行われた状態で下側の開口部を通じて撮像装置1により電子部品Cの撮像が行われる。
【0022】
(電子部品実装装置の制御系)
図3は電子部品実装装置100の制御系を示すブロック図である。図示のように、X−Yガントリ107のX軸モータ109、Y軸モータ110、ヘッド106において吸着ノズル105の昇降を行うZ軸モータ111、吸着ノズル105の回転を行うθ軸モータ112は、それぞれ図示しない駆動回路を介してホストコントローラ120に接続されている。
また、撮像装置1の撮像の実行と照明装置2の光照射の実行とは、ホストコントローラ120により制御される。そして、撮像装置1の撮像による画像信号は、前述したように、画像処理装置10に入力されるようになっている。
【0023】
ホストコントローラ120は、実装対象となる電子部品Cのリスト及びその搭載の順番、各電子部品Cの基板S上における搭載位置、各電子部品Cがいずれの電子部品フィーダ108から受け取るかを示す受け取り位置等が定められた実装スケジュールデータを記憶する図示しないメモリと、実装動作制御プログラムを実行するCPU121とを主に備えている。
そして、電子部品の実装時には、実装スケジュールデータを読み込んで、X軸及びY軸モータ109,110を制御して所定の電子部品フィーダ108の受け取り位置にヘッド106を搬送し、Z軸モータ111を制御して吸着ノズル105にて電子部品Cを吸着し、撮像装置1に移動して下方から電子部品Cの撮像を行ってから実装スケジュールデータに定められた基板実装位置に電子部品Cを搬送して実装を行う。
そして、実装スケジュールデータに定められた全ての電子部品Cについて実装を行い、動作制御を終了するようになっている。
【0024】
また、ホストコントローラ120は、画像処理装置10と通信可能に接続されている。そして、電子部品Cの撮像により生成される全焦点画像の解析の結果に基づいて得られる電子部品Cの中心位置及びZ軸周りの角度の情報を画像処理装置10から受信し、吸着ノズル105に対する電子部品Cの中心位置ズレ及びZ軸周りの角度ズレをX軸及びY軸モータ109,110とθ軸モータ112の制御により補正してから基板Sへの実装動作制御を行うようになっている。
【0025】
また、ホストコントローラ120は、電子部品Cの実装時において、Z軸方向について一定の間隔で吸着ノズル105の高さを変えるようにZ軸モータ111を制御し、それぞれの高さで吸着ノズル105に吸着された電子部品Cを鉛直下方から撮像するよう撮像装置1を制御する。即ち、ホストコントローラ120は、撮像制御部として機能する。
例えば、吸着ノズル105の下端部が撮像装置1の焦点に合っている位置を起点として所定の高さまで吸着ノズル105を上昇させると共に、均一間隔ごとに電子部品Cの撮像を行うよう撮像装置1を制御する。
撮像時の吸着ノズル105の上昇移動量と撮像回数とは、図示しないメモリに記憶されており、外部から任意に設定することが可能となっている。
なお、同範囲について吸着ノズル105を下降させながら撮像を行っても良い。
【0026】
(画像処理装置)
そして、画像処理装置10は、上記複数回の撮像により複数の画像データを取得し、画像を構成する各画素の位置における合焦点位置(一つの画素について焦点が合っている場合における撮像装置1と吸着ノズル105との相対的な位置又は距離)を求め、全画素について焦点のあった画像からなる全焦点画像又は電子部品Cにおける一定の高さ範囲内となる部分の画素について焦点のあった画像からなる局所全焦点画像を生成する処理を行うものである。
【0027】
このため、図3に示すように、画像処理装置10は、上記撮像装置1の複数回の撮像による画像信号をA/D変換して各撮像ごとの画像データを生成するA/Dコンバータ11と、これらの画像データを格納する画像記憶部12と、各画像データから電子部品Cの高さデータ、高さ画像データ及び全焦点画像データを生成する処理部20と、高さデータを記憶する高さデータ記憶部31と高さ画像データを記憶する高さ画像記憶部32と全焦点画像データを記憶する全焦点画像記憶部33とからなる処理結果記憶部30と、全焦点画像データ及び高さデータから局所全焦点画像データを生成する局所全焦点画像生成部41と、生成された局所全焦点画像データを記憶する局所全焦点画像記憶部42と、局所全焦点画像データに対する画像処理を行って電子部品Cの姿勢や位置を算出する部品位置検出処理部13と、電子部品の局所全焦点画像のテンプレート画像である局所全焦点テンプレート画像の画像データを記憶するテンプレート画像記憶部52とテンプレート画像記憶部52に保持されている局所全焦点テンプレート画像の画像データと局所全焦点画像記憶部42に保持されている局所全焦点画像データとから不良検査を行う不良検査部51と不良検査結果を保持する検査結果記憶部53とからなる三次元形状検査部50と、各部の処理の実行及びデータの格納について制御するCPU14とを備えている。
【0028】
また、処理部20は、全画像データの各画素におけるコントラスト値を算出する1次フィルタ演算部21と、各画素におけるコントラスト値を平滑化する2次フィルタ演算部22と、平滑化されたコントラスト値から各画素での合焦点位置を算出する高さ算出部23と、電子部品Cの各画素位置における高さをその高さに応じた輝度値で示した高さ画像データを生成する高さ画像生成部24と、電子部品Cの各部を撮像する各画素について各々が焦点が合っている画像からなる全焦点画像データを生成する全焦点画像生成部25とを備えている。
以下、画像処理装置10の各部について順に説明する。
【0029】
上記A/Dコンバータ11は、吸着ノズル105の1ストロークの移動における各撮像時に撮像装置1から出力される画像信号をアナログからデジタルに変換して各撮像ごとの画像データを生成する。一つの画像データは、1フレームを構成する全画素について個々に検出された輝度値を記録したものである。
各画像データは、全て、画像記憶部12に格納される。
【0030】
処理部20の1次フィルタ演算部21は、各撮像の画像データにおける全画素についてコントラストを算出する。
図4は、1次フィルタ演算部21でコントラストを求める手法を示した説明図である。コントラストを求める対象となる画素を着目画素(i,j)(i,jは画素位置を示すX−Y座標値)とし、その輝度値をI(i,j)とした場合に、式(1)に示すように、当該着目画素を中心に縦方向と横方向と45°斜めの二方向からなる四方向について、X軸方向については±dx、Y軸方向については±dy、斜め方向については±dx且つ±dyだけ離れて並んだ合計八つの画素と着目画素の輝度値の差分の総和を着目画素におけるコントラストLm(i,j)として求めている。
なお、コントラストLm(i,j)は、式(2)に示すように、より簡易的に、斜め方向の各画素との対比を省略して求めても良い。
【数1】
【0031】
なお、dx,dyは、予め定められた整数であり、一例として、画素1〜10個分程度とする場合を示すが、増減させても良い。
また、上記手法でコントラストを求める場合、厳密には平面に並んだ全画素の内、その外縁からdx列分又はdy列分の画素についてはコントラストを求めることができず、処理対象から除かれることになるが、全体からすればごくわずかの範囲なので、便宜上、「全画素のコントラスト」と記載するものとする。
【0032】
2次フィルタ演算部22は、各撮像の画像データにおける全画素について、1次フィルタ演算部21で算出されたコントラストLm(i,j)に基づいて次式(3)に従って平滑化を行う。
【数2】
【0033】
即ち、着目画素(i,j)についてコントラストの平滑化を行う場合には、着目画素を中心として、図5に示す加算領域、即ち、一辺が2N+1個の正方形の範囲内の全画素のコントラストの値を平均化することで算出される。
なお、Nは予め定められた整数であり、例えば、その値は解像度に応じて適宜選択される。
また、上記のような手法で平滑化を行うため、コントラストが算出された全画素の内、厳密には、その外縁からN列分の画素については平滑化を行うことができず、その処理対象から除かれることになるが、この場合も、全体からすればごくわずかの範囲なので、便宜上、「全画素について平滑化」と記載するものとする。
【0034】
高さ算出部23は、全画像データの全画素の平滑化されたコントラスト値(2次フィルタ結果)に基づいて、各画像データの同じ画素位置での平滑化されたコントラスト値を比較して、各画素における合焦点位置を取得する。即ち、高さ算出部23は、測距処理部として機能することとなる。
図6は、着目画素について、撮像高さ(吸着ノズル105の先端部から撮像装置1までの距離)の異なる画像データにおける平滑化されたコントラスト値を示す線図である。
コントラスト値(平滑化された場合も同様)は、撮像手段の焦点が合った状態に近い程、高い値を示すこととなる。
従って、着目画素について、平滑化されたコントラスト値が最大値となる高さを求めることで、当該着目画素における合焦点位置を求めることが可能となる。
なお、実際に撮像を行った撮像高さが合焦点位置に完全一致するとは限らないが、その場合には、平滑化されたコントラスト値が最大となる撮像高さを近似的に合焦点位置としても良いし、平滑化されたコントラスト値が予め定めた閾値(例えば、得られた平滑化されたコントラスト値の最大値の80%の値を閾値とする等)を超える二つの撮像高さからその平均をとって合焦点位置としても良い。
また、着目画素について、各画像データの撮像高さ(吸着ノズル105の先端部から撮像装置1までの距離)における平滑化されたコントラスト値が、正規分布曲線に近似するので、正規分布式N(μ,σ2)を生成し、その平均値μを合焦点位置として算出しても良い。
上記高さ算出部23は、全画素における合焦点位置を算出し、これを高さデータとして高さデータ記憶部31に格納する。
【0035】
なお、吸着ノズル105に吸着された電子部品Cを下方から撮像した場合、電子部品Cの周囲の背景は、撮像装置1に対して電子部品Cよりもずっと遠方にあり、吸着ノズル105の昇降を行っても焦点が合うことはないため、このような背景を撮像した画素については、図7に示すように、平滑化されたコントラスト値にピークが現れず、合焦点位置が求めることができないか或いは誤った撮像高さを合焦点位置と認定するおそれがある。
従って、高さ算出部23では、図7に示すように、平滑化されたコントラスト値に対して所定の閾値Kを予め定めておき、いずれの撮像高さでも当該閾値を超えない場合には、その画素については処理対象から除外する処理を行う。これにより、不要な背景領域を除外し、電子部品Cを撮像した画素のみを処理対象とすることができる。
なお、閾値Kについては、試験的に電子部品と背景とを撮像して、背景画像では得られないコントラスト値を求める等の手法により容易に取得することが可能である。
【0036】
高さ画像生成部24は、高さデータ記憶部31に格納されている高さデータを輝度値に正規化して高さ画像を生成し、高さ画像記憶部32に格納する。
正規化の手法としては、高さデータに含まれる全画素(除外された背景画素は除く)の合焦点位置の最小値から最大値までの範囲内の各合焦点位置に対して、画素の輝度値の階調の全範囲を割り振るようにする。例えば256階調であれば最小値に輝度値255、最大値に輝度値0を割り振る。これにより、高さデータに含まれる全画素(除外された背景画素は除く)の合焦点位置が、高さに応じた輝度値に置き換えられてなる高さ画像データが生成され、高さ画像記憶部32に格納される。なお、この高さ画像データでは、電子部品Cの撮像装置1に近い点ほど高輝度となる画像が生成されることになる。
また、高さ算出部23において除外された画素については輝度値0が格納される。
【0037】
また、正規化の手法としては、実際に得られた合焦点位置の最小値から最大値の範囲で正規化せずに、例えば、合焦点位置の範囲を予め定めると共に、当該範囲内の合焦点位置に対して全階調の輝度値を割り振ると共に、高さデータ記憶部31に格納されている高さデータ内の各合焦点位置データに対して、対応する輝度値に置き換えることで正規化を行っても良い。
【0038】
なお、画像処理装置10に表示装置を接続し、生成された高さ画像データの表示を行うよう制御する表示制御部を設けても良い。
図8は、表示装置における高さ画像データの表示例を示している。このように、電子部品Cの下面における撮像装置1側に近接する部位を高い明度で表示し、撮像装置1に遠い部位ほど暗く表示させることができ、立体形状を2次元画像により視覚的に容易に認識させることが可能である。なお、電子部品の遠近部位と表示画像の明度との関係は逆としても良い。また、電子部品Cの各部の高さに応じて色分けするように表示を行っても良い。
【0039】
全焦点画像生成部25は、高さデータ記憶部31に格納されている高さデータから全焦点画像データを生成する処理を行う。
即ち、各画素について、高さ画像データに含まれる各画素の合焦点位置に合致又は最も近似する画像データの同一画素における輝度値を画像記憶部12から読み出して各画素における輝度値とすることで、全画素が、個々に焦点の合った画像となり、全焦点画像データが生成されることとなる。
なお、画素における合焦点位置と撮像高さが完全一致する画像データが存在しない場合には、最も撮像高さが近い二つの画像データにおけるそれぞれの撮像高さと合焦点位置との距離比による重み付けをして当該各画像データの輝度値を平均化して、合焦点位置における輝度値を近似的に算出しても良い。
【0040】
そして、全焦点画像生成部25は、生成された全焦点画像データを全焦点画像記憶部33に格納する。
なお、この全焦点画像データについても、画像処理装置10に接続した表示装置で表示可能としても良い。
【0041】
局所全焦点画像生成部41は、高さデータ記憶部31を参照し、合焦点位置が予め設定した範囲内の高さとなる画素の座標情報を取得する。そして、これら所定の高さ範囲内となる各画素の座標情報に従って、全焦点画像記憶部33内の輝度値を抽出し、電子部品Cの所定の高さ範囲内となる部分のみの局所全焦点画像データを生成する。
そして、局所全焦点画像生成部41は、局所全焦点画像データを局所全焦点画像記憶部42内に格納する。
なお、合焦点位置が予め設定した範囲外の高さとなる画素及び既に処理対象から除外された画素については輝度値0が格納される。
【0042】
なお、局所全焦点画像生成部41において局所全焦点画像データを抽出する範囲を決定する高さ範囲については、図示しないメモリによりその設定値が記憶されている。また、このメモリ内の設定値については、入力手段を設けて任意に設定可能としても良い。
また、この局所全焦点画像データも、前述した表示装置を用いて表示可能としても良い。
図9は、表示装置における局所全焦点画像データの表示例を示している。このように、電子部品Cの下面において、所定の高さ範囲内となる部位のみについて異なる高さでありながら全点において焦点が合った画像を表示することができる。
【0043】
3次元形状検査部50の不良検査部51は、局所全焦点画像記憶部42を参照し、予めテンプレート画像記憶部52に保存されている画像との相関度を検査する。そして、相関度が予め設定した範囲内であれば良品と判断し、良品であることを検査結果記憶部53に記憶させる。予め設定した範囲外であれば不良と判断し、不良であることを検査結果記憶部53に記憶させる。
なお、この不良検査結果も、前述した表示装置を用いて表示可能としても良い。
図10は電子部品Cの良品の側面図であり、図11は図10に示す局所全焦点画像生成部41で定められている所定の高さ範囲Hにおける局所全焦点画像であり、良品と判断される局所全焦点画像の例である。この図11をテンプレート画像にしても良い。
また、図12は電子部品Cに反りが生じた不良部品の側面図であり、図13は図12に示す所定の高さ範囲Hにおける局所全焦点画像である。電子部品Cに反りがあるため、局所全焦点画像を生成した場合に、全焦点画像が一部しか得ることができず、極端な場合には全く得られないこともある。そのため、テンプレート画像との相関値が低くなり、図13は不良と判断される。
【0044】
部品位置検出処理部13は、検査結果記憶部53の結果を元に、局所全焦点画像記憶部42内の局所全焦点画像データに基づいて所定の画像処理、例えば、マッチング等により電子部品の所定形状の部分の向きを求めたり、重心位置を演算して、電子部品Cの中心位置を求めたりする。
そして、これにより、吸着ノズル105の中心に対する電子部品Cの位置ズレ量、吸着ノズル105の中心に対する電子部品Cの角度、電子部品Cの姿勢などを求め、部品位置検出処理部13は、これらの情報をホストコントローラ120側に送信する。
これにより、ホストコントローラ120のCPU121は、吸着ノズル105をθ軸モータ112の回転制御により吸着された電子部品Cの向きを補正し、吸着ノズル105に対する位置ズレ量を補正して電子部品Cの基板Sに対する位置決めを行うことができる。
【0045】
図14は、吸着ノズル105に吸着された電子部品Cの複数回の撮像から電子部品Cの姿勢、位置等の算出までの処理について示すフローチャートである。
図14に従って上記処理内容を順番に説明する。
まず、ホストコントローラ120は、メモリ内に設定されている吸着ノズル105の上昇移動量と撮像回数の読み取りを行う(ステップS1)。
そして、撮像装置1を制御して、吸着ノズル105が撮像開始位置にある状態で電子部品Cを撮像し(ステップS3)、Z軸モータ111を制御して次の撮像高さまで吸着ノズル105を上昇させる(ステップS5)。撮像装置1の撮像による画像信号は、画像処理装置10に送信され、A/D変換されて画像データとして画像記憶部12に格納される。
そして、ホストコントローラ120は、設定された撮像回数分の撮像が終了したか判定し、まだ、終了してない場合には、ステップS3に処理を戻して次の位置で撮像を行う。
また、設定された撮像回数分の撮像が終了した場合には、画像処理装置10側での処理に移行する。さらに、処理タクトを向上させるため、ホストコントローラ120と画像処理装置10が連携して、撮像、Z軸移動、画像処理を効率良く行ってもよい。
【0046】
画像処理装置10の1次フィルタ演算部21は、各画像データの各画素についてコントラストを算出する(ステップS9)。そして、2次フィルタ演算部22は、各画素におけるコントラストの平滑化を行う(ステップS11)。
高さ算出部23は、全画像データにおける各画素の平滑化されたコントラストの値から、各画素位置においてピーク位置、即ち、合焦点位置を求め、高さデータとして高さデータ記憶部31に格納する(ステップS13)。
【0047】
次いで、高さ画像生成部24は、高さデータを輝度値に正規化して高さ画像を生成する(ステップS15)。
また、全焦点画像生成部25は、高さデータが示す各画素位置における高さ(合焦点位置)と各画像データから全焦点画像データを生成する(ステップS17)。
【0048】
次に、局所全焦点画像生成部41は、全焦点画像データから局所の抽出を行うための高さ範囲の設定値の読み出しを行い(ステップS19)、電子部品Cにおける設定高さ範囲内の全焦点画像データのみを抽出してなる局所全焦点画像データを生成して(ステップS21)、部品位置検出処理部13に出力する(ステップS23)。
部品位置検出処理部13では、局所全焦点画像データから電子部品Cの姿勢、向き、位置を算出し、ホストコントローラ120に送信する(ステップS25)。
これにより、ホストコントローラ120は、電子部品Cの向き及び位置補正を行って基板Sに対する実装動作を行い、制御を終了する。
【0049】
図15は、図14に示した処理に加え、不良検査を行う処理について示すフローチャートである。
図15に従って上記検査内容を順番に説明する。まず、後に行われるマッチング処理に使用する局所全焦点テンプレート画像を作成し、テンプレート画像記憶部52に格納する(ステップS31)。
この局所全焦点テンプレート画像は、部品の3DCADデータから作成しても良いし、良品のサンプル品を撮像してその画像データから局所全焦点画像を生成し、局所全焦点テンプレート画像としても良い。
そして、図14のステップS1〜ステップS23までの処理と同様の処理を行い、局所全焦点画像を取得する(ステップS33)。
次いで、局所全焦点画像記憶部42とテンプレート画像記憶部52に格納された局所全焦点テンプレート画像を用いてマッチング処理を行う(ステップS35)。
さらに、マッチング結果に対する不良判断基準(例えば、予め設定された相関度の閾値)を取得し(ステップS37)、マッチング結果と不良判断基準から、不良判別を行い(ステップS39)、判別結果を検査結果記憶部53に格納する。
格納された検査結果が基準を満たすものであれば、前述したステップS25と同じ処理である部品認識処理を行う(ステップS41)。検査結果が基準を満たさない場合は、不良をホストコントローラ120に通知し、電子部品Cの実装動作を行わない。
【0050】
(電子部品実装装置の技術的効果)
電子部品実装装置100は、その画像処理装置10が全画素について焦点が合っている状態の一定の高さ範囲内の局所全焦点画像データとを得ることができるので、これにより、電子部品Cの位置、姿勢、特徴形状などを画像処理で求める場合に、その処理精度を向上させることが可能となる。また、撮像エリアの一部の範囲内となる局所全焦点画像データを生成するので、その後の画像処理において、処理負担を軽減し、処理の高速化を図ることが可能となる。
【0051】
また、画像処理装置10の高さ算出部23が、平滑化されたコントラストに対して閾値を設定し、閾値を超える範囲で高さデータを生成するので、不要となる背景画像などを処理対象から除外することができ、その結果、高さ算出部23以降の処理について処理負担を軽減し、また、処理時間を短縮することが可能となる。
【0052】
さらに、画像処理装置10で撮られた画像により局所全焦点画像データを生成し、局所全焦点テンプレート画像とのマッチング処理のみで、3次元の形状の検査が比較的容易に且つ軽微な処理負担で行うことが可能になる。
【0053】
(その他)
画像処理装置10の局所全焦点画像生成部41は、全焦点画像生成部25が生成した全焦点画像データに基づいて局所全焦点画像データを生成しているが、これに限定されない。
即ち、局所全焦点画像生成部41は、高さデータ記憶部31を参照し、合焦点位置が予め設定した範囲内の高さとなる画素の座標情報を取得すると共に、これらの画素について、高さ画像データに含まれる各画素の合焦点位置に合致又は最も近似する画像データの同一画素における輝度値を画像記憶部12から読み出して各画素における輝度値とすることで、局所全焦点画像データを生成しても良い。
これにより、全焦点画像生成部25を介することなく局所全焦点画像データを生成可能となり、全焦点画像生成部25を省略し、構成の簡略化を図ることが可能となる。
【0054】
また、電子部品実装装置100では、吸着ノズル105を部品配置部として、当該吸着ノズル105に吸着された電子部品Cの撮像を行い、その画像データに基づいて全焦点画像データ及び局所全焦点画像データを生成し、電子部品Cの各種情報の取得を行っているが、その他の状態での電子部品Cの撮像を行い、その撮像画像から全焦点画像データ及び局所全焦点画像データを生成することも可能である。
例えば、図16に示すように、部品配置部としてのステージ201と、上方からステージ201上の電子部品Cを撮像可能な撮像装置202と、ステージ201又は撮像装置202を昇降可能とする昇降装置(図示略)とを設け、ステージ201上に電子部品Cを載置した状態で相互間距離を変えながら上方から撮像装置202により撮像を行って、高さの異なる複数の画像データを取得し、当該各画像データから全焦点画像データ及び局所全焦点画像データを生成しても良い。
例えば、このような構成を電子部品実装装置100に設けることにより、吸着ノズル105に吸着する前の電子部品Cにおける外形、向きなどの情報を得ることが可能である。
【0055】
また、図16に示すステージ201は昇降を行わずに固定し、撮像装置202を昇降可能として、ステージ201を上方から撮像することも可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 撮像装置(撮像手段)
10 画像処理装置
23 高さ算出部(測距処理部)
25 全焦点画像生成部
41 局所全焦点画像生成部
51 不良検査部
52 テンプレート画像記憶部
100 電子部品実装装置
105 吸着ノズル(部品配置部)
106 ヘッド
111 Z軸モータ(可動部)
120 ホストコントローラ(撮像制御部)
201 ステージ(部品配置部)
202 撮像装置(撮像手段)
C 電子部品
S 基板
H 局所全焦点画像生成範囲
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が配置される部品配置部と、
前記部品配置部に配置された電子部品を撮像する撮像手段と、
前記部品配置部と前記撮像手段との距離を可動調節する可動部と、
前記可動部及び撮像手段を制御して、前記電子部品について前記部品配置部と前記撮像手段の距離が異なる複数の画像データを取得する撮像制御部と、
前記複数の画像データの撮像範囲内の複数の画素の各々について、前記複数の画像データの同一画素におけるコントラストの対比に基づいて、当該各画素における前記撮像手段から前記部品配置部の合焦点位置を求める測距処理部と、
前記撮像手段による撮像エリア内の前記各画素における合焦点位置と、前記複数の画像データにおける前記各画素の輝度値とから、前記撮像エリアの一部範囲内の画素における合焦点位置での輝度値を求め、当該合焦点位置での輝度値からなる局所全焦点画像を生成する局所全焦点画像生成部とを備えることを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項2】
前記コントラスト又は前記合焦点位置に対してその範囲に制限を設けることで前記局所全焦点画像を生成することを特徴とする請求項1記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
電子部品の前記局所全焦点画像のテンプレート画像である局所全焦点テンプレート画像の画像データを記憶するテンプレート画像記憶部と、
前記局所全焦点画像生成部で生成した前記局所全焦点画像が局所全焦点テンプレート画像と合致しているかの判断に基づいて部品不良か否かを判定する不良検査部とを備えることを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品実装装置。
【請求項1】
電子部品が配置される部品配置部と、
前記部品配置部に配置された電子部品を撮像する撮像手段と、
前記部品配置部と前記撮像手段との距離を可動調節する可動部と、
前記可動部及び撮像手段を制御して、前記電子部品について前記部品配置部と前記撮像手段の距離が異なる複数の画像データを取得する撮像制御部と、
前記複数の画像データの撮像範囲内の複数の画素の各々について、前記複数の画像データの同一画素におけるコントラストの対比に基づいて、当該各画素における前記撮像手段から前記部品配置部の合焦点位置を求める測距処理部と、
前記撮像手段による撮像エリア内の前記各画素における合焦点位置と、前記複数の画像データにおける前記各画素の輝度値とから、前記撮像エリアの一部範囲内の画素における合焦点位置での輝度値を求め、当該合焦点位置での輝度値からなる局所全焦点画像を生成する局所全焦点画像生成部とを備えることを特徴とする電子部品実装装置。
【請求項2】
前記コントラスト又は前記合焦点位置に対してその範囲に制限を設けることで前記局所全焦点画像を生成することを特徴とする請求項1記載の電子部品実装装置。
【請求項3】
電子部品の前記局所全焦点画像のテンプレート画像である局所全焦点テンプレート画像の画像データを記憶するテンプレート画像記憶部と、
前記局所全焦点画像生成部で生成した前記局所全焦点画像が局所全焦点テンプレート画像と合致しているかの判断に基づいて部品不良か否かを判定する不良検査部とを備えることを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品実装装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−23340(P2012−23340A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125156(P2011−125156)
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月3日(2011.6.3)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
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