説明

電源回路及び表示装置

【課題】電荷転送トランジスタのゲート電極の抵抗を低減することにより、電源回路の効
率を向上させる。
【解決手段】T1〜T4のゲート電極に補助ゲート電極を設けて二重配線構造にして、ゲ
ート電極の全体としての抵抗値を低くした。T1について説明すると、ゲート電極104
にオーバーラップした補助ゲート電極108が形成されている。補助ゲート電極108は
、T1の一方の側でゲート電極104に接続されている。即ち、ポリシリコン層102の
外のガラス基板100上に延びたゲート電極104上の層間絶縁膜107にコンタクトホ
ールCH1が形成され、このコンタクトホールCH1を通して、補助ゲート電極108が
ゲート電極104に電気的に接続されている。補助ゲート電極108は、例えば、アルミ
ニウムまたはアルミニウム合金からなり、ゲート電極104より低いシート抵抗を有して
いることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源回路及びその電源回路を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、低温ポリシリコンTFT(Thin Film Transistor)プロセスにより製造され
るアクティブマトリクス型液晶表示装置において、駆動信号ICのコストを下げるため、
液晶パネルのガラス基板上に、画素TFTのオン・オフを制御するための電源電位を生成
する電源回路が形成されていた。
【0003】
この電源回路には、入力電位である正の電源電位VDDを2倍して2VDDを発生する
チャージポンプ方式の正電源発生回路と、正の電源電位VDDを−1倍した負の電源電位
−VDDを発生するチャージポンプ方式の負電源発生回路がある。
【0004】
この正電源発生回路、負電源発生回路は、直列接続された複数の電荷転送トランジスタ
と、電荷転送トランジスタの接続ノードに結合されたフライングコンデンサを備える。そ
して、フライングコンデンサに印加される第1のクロックに応じて、電荷転送トランジス
タをスイッチングさせることで、電荷転送トランジスタを介して入力側から出力側へ電荷
を転送する。電荷転送トランジスタのゲート電極には、電荷転送トランジスタをスイッチ
ングさせるための第2のクロックが印加される。
【0005】
この種の電源回路をガラス基板上に内蔵したアクティブマトリクス型液晶表示装置は特
許文献1に記載されている。
【特許文献1】特開2004−146082号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述の電源回路においては電荷転送トランジスタのサイズが大きくなる
と、電荷転送トランジスタのゲート電極の抵抗が大きくなり、電荷転送トランジスタのス
イッチングに遅れが生じることから電源回路の効率が悪くなるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明の電源回路は、第1のゲート電極と、該第1のゲート電極に接続される
と共に、該第1のゲート電極に絶縁層を介してオーバーラップした第1の補助ゲート電極
とを有する第1の電荷転送トランジスタと、前記第1の電荷転送トランジスタと直列に接
続され、第2のゲート電極と、該第2のゲート電極に接続されると共に、該第2のゲート
電極に絶縁層を介してオーバーラップした第2の補助ゲート電極とを有する第2の電荷転
送トランジスタと、前記第1の電荷転送トランジスタと前記第1の電荷転送トランジスタ
との接続点に第1の端子が結合され、第2の端子に第1のクロックが供給されるフライン
グコンデンサと、を備え、前記第1のクロックに応じて、前記第1及び第2のゲート電極
に第2のクロックを供給することにより、前記第1及び第2の電荷転送トランジスタを相
補的にスイッチングさせるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電源回路によれば、電荷転送トランジスタのゲート電極の抵抗を低減すること
により、電源回路の効率を向上させることができる。特に、表示装置(例えば、液晶表示
装置)においては、電源回路の出力電流を大きくするために、電荷転送トランジスタのサ
イズを大きくする必要があることから、その効果は大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態の
電源回路の構成を示す図である。この電源回路は、正の入力電位VDDに基づいて、正の
出力電位VPP=2VDDを生成する正電源発生回路1と、負の出力電位VBB=−VD
Dを発生する負電源発生回路2とで構成されている。
【0010】
ドライバーIC3は、これらの回路に電源電位VDD、接地電位VSS、及び専用のク
ロックを作成して供給する。発生された出力電位VPP=2VDD、VBB=−VDDは
画素領域の各画素に配置された画素TFTのオン・オフを制御する垂直走査信号を作成す
る垂直駆動回路にその電源電位として供給される。電源電位VDD、接地電位VSSの値
は、特に限定されないが、例えば、VDD=5V、VSS=0Vである。
【0011】
また、この電源回路は、低温ポリシリコンTFTプロセス技術と液晶駆動に必要な回路
機能を集積するシステム・オン・グラス(SOG)技術により、アクティブマトリクス型
液晶表示装置のガラス基板100(液晶パネル)上に形成される。ガラス基板100上に
は、電源回路とドライバーIC3の他に、垂直駆動回路、水平駆動回路、これらの駆動回
路からの水平走査信号、垂直走査信号が供給される画素領域が形成されるが、図1におい
ては、電源回路とドライバーIC3のみを示している。
【0012】
[正電源発生回路の構成]
まず、正電源発生回路1の構成について図1を参照して説明する。Nチャネル型の電荷
転送トランジスタT1(本発明の「第1の電荷転送トランジスタ」の一例、以下、「T1
」と略称する)とPチャネル型の電荷転送トランジスタT2(本発明の「第2の電荷転送
トランジスタ」の一例、以下、「T2」と略称する)が直列に接続されている。それらの
トランジスタの接続ノードには、フライングコンデンサC1(本発明の「フライングコン
デンサ」の一例)の一方の端子が配線11を介して接続されている。フライングコンデン
サC1はガラス基板100の外に設けられた外付けコンデンサである。この配線11は、
前記接続ノードからガラス基板100上に設けられた端子P1を介してフライングコンデ
ンサC1の一方の端子に接続する配線である。
【0013】
また、Nチャネル型の電荷転送トランジスタT3(以下、「T3」と略称する)とPチ
ャネル型の電荷転送トランジスタT4(以下、「T4」と略称する)が直列に接続されて
いる。それらのトランジスタの接続ノードには、フライングコンデンサC2の一方の端子
が配線12を介して接続されている。フライングコンデンサC2もガラス基板100の外
に設けられた外付けコンデンサである。配線12は、前記接続ノードからガラス基板10
0上に設けられた端子P2を介してフライングコンデンサC2の一方の端子に接続する配
線である。
【0014】
また、T1及びT2のゲート電極は、T3とT4の接続ノードに接続されている。T3
及びT4のゲート電極は、T1とT2の接続ノードに接続されている。
【0015】
T1とT3のソースは互いに接続されて、共通ソースを形成している。この共通ソース
には、配線14を介してドライバーIC3から入力電位として正の電源電位VDDが印加
されている。T2とT4のドレインは互いに接続されて共通ドレイン(出力端)を形成し
ている。この共通ドレインは配線13を介して出力コンデンサCvppの一方の端子に接続
されている。出力コンデンサCvppの他方の端子は接地されている。配線13は、共通ド
レインからガラス基板100上に設けられた端子P3を介して出力コンデンサCvppの一
方の端子に接続する配線である。
【0016】
また、フライングコンデンサC2の他方の端子には、ドライバーIC3からのクロック
DDCLK(本発明の「第2のクロック」の一例)が端子P4を介して印加される。フラ
イングコンデンサC1の他方の端子には、ドライバーIC3からの反転クロックBDDC
LK(本発明の「第1のクロック」の一例)(DDCLKの反転クロック)が端子P5を
介して印加される。
【0017】
[負電源発生回路の構成]
次に、負電源発生回路2の構成について図1を参照して説明する。Pチャネル型の電荷
転送トランジスタT7(本発明の「第1の電荷転送トランジスタ」の一例、以下、「T7
」と略称する)とNチャネル型の電荷転送トランジスタT8(本発明の「第2の電荷転送
トランジスタ」の一例、以下、「T8」と略称するが直列に接続されている。それらのト
ランジスタの接続ノードには、フライングコンデンサC3の一方の端子が配線21を介し
て接続されている。フライングコンデンサC3は外付けコンデンサである。配線21は、
前記接続ノードからガラス基板100上に設けられた端子P6を介してフライングコンデ
ンサC3の一方の端子に接続する配線である。
【0018】
また、Pチャネル型の電荷転送トランジスタT5(以下、「T5」と略称する)とNチ
ャネル型の電荷転送トランジスタT6(以下、「T6」と略称する)が直列に接続され、
それらのトランジスタの接続ノードには、フライングコンデンサC4の一方の端子が配線
22を介して接続されている。
【0019】
フライングコンデンサC4もガラス基板100の外に設けられた外付けコンデンサであ
る。配線22は、前記接続ノードからガラス基板100上に設けられた端子P7を介して
フライングコンデンサC4の一方の端子に接続する配線である。
【0020】
また、T7及びT8のゲート電極は、T5とT6の接続ノードに接続され、T5及びT
6のゲート電極は、T7とT8の接続ノードに接続されている。
【0021】
T5とT7のソースは互いに接続されて、共通ソースを形成している。この共通ソース
には、配線24を介してドライバーIC3から接地電位VSSが印加されている。
【0022】
T6とT8のドレインは互いに接続されて共通ドレイン(出力端)を形成している。こ
の共通ドレインは配線23を介して出力コンデンサCvbbの一方の端子に接続されている
。出力コンデンサCvbbの他方の端子は接地されている。配線23は、共通ドレインから
ガラス基板100上に設けられた端子P8を介して出力コンデンサCvbbの一方の端子に
接続する配線である。
【0023】
また、フライングコンデンサC4の他方の端子には、ドライバーIC3からのクロック
DDCLK(本発明の「第2のクロック」の一例)が端子P4を介して印加される。フラ
イングコンデンサC3の他方の端子には、ドライバーIC3からの反転クロックBDDC
LK(本発明の「第1のクロック」の一例)(DDCLKの反転クロック)が端子P5を
介して印加される。
【0024】
[正電源発生回路の動作]
上述の正電源発生回路1の動作について、図2を参照して説明する。クロックDDCL
KがLレベル(VSS)のとき、反転クロックBDDCLKはHレベル(VDD)であり
、T1,T4はオフ状態、T2,T3はオン状態である。T1とT2の接続ノードの電位
VDCLKはフライングコンデンサC1の容量結合により2VDDに昇圧され、そのレベ
ルがT2を通して出力される。T3とT4の接続ノード(電位XVDCLK)はVDDに
充電される。
【0025】
次に、クロックDDCLKがHレベル(VDD)のとき、T1,T4はオン状態、T2
,T3はオフ状態である。T3とT4の接続ノードの電位XVDCLKはフライングコン
デンサC2の容量結合により2VDDに昇圧され、そのレベルがT4を通して出力される

【0026】
T1とT2の接続ノード(電位VDCLK)は、VDDに充電される。つまり、正電源
発生回路1の左右の直列トランジスタ回路から電荷転送により2VDDという出力電位V
PPが交互に出力される。
【0027】
[負電源発生回路の動作]
上述の負電源発生回路2の動作について、図2を参照して説明する。クロックDDCL
KがLレベル(VSS)のとき、反転クロックBDDCLKはHレベル(VDD)であり
、T5,T8はオフ状態、T6,T7はオン状態である。
【0028】
T7とT8の接続ノードの電位VBCLKはVSSに充電され、T5とT6の接続ノー
ドの電位XVBCLKはフライングコンデンサC4の容量結合により−VDDの電位に下
がり、その電位がT6を通して出力される。
【0029】
クロックDCCLKがHレベル(VDD)になると、T5,T8はオン状態、T6,T
7はオフ状態であり、T7とT8の接続ノードの電位VBCLKはフライングコンデンサ
C3の容量結合により、−VDDに下がり、そのレベルがT8を通して出力される。T5
とT6の接続ノード(電位XVBCLK)はVSSに充電される。つまり、負電源発生回
路2の左右の直列トランジスタ回路から電荷転送により−VDDという電位が出力電位V
BBとして交互に出力される。
【0030】
上述のように、正電源発生回路1において、T1とT2はクロックDDCLKに応じて
スイッチングし、T3とT4は反転クロックBDDCLKに応じてスイッチングする。こ
こで、T1〜T4のゲート電極の抵抗の影響でT1〜T4のスイッチングに遅れが生じて
、電源回路の効率が悪くなる。そこで、本実施形態では、T1〜T4のゲート電極に補助
ゲート電極を設けて二重配線構造にして、ゲート電極の全体としての抵抗値を低くしたも
のである。負電源発生回路2においても、同様の問題があるので、T5〜T8のゲート電
極を二重配線構造にしてゲート電極の全体としての抵抗値を低くした。
【0031】
[電荷転送トランジスタの構成]
以下、電荷転送トランジスタT1〜T8の構成について詳しく説明する。図3にT1(
Nチャネル型)とT2(Pチャネル型)の構造を示す。図3(A)は平面図であり、図3
(B)は図3(A)のX−X線に沿った断面図である。T3、T6、T8はT1と同じT
FT構造を有しており、T4、T5、T7はT2と同じTFT構造を有していることが各
ゲート電極の抵抗値を下げる上で好ましい。
【0032】
まず、T1の構造について説明する。ガラス基板100上に、例えばシリコン酸化膜(
SiO2)とシリコン窒化膜(SiNx)からなるバッファ膜101が形成され、このバッファ膜1
01上にポリシリコン層102が島状に形成されている。ポリシリコン層102を覆って
、例えばシリコン窒化膜(SiNx)からなるゲート絶縁膜103が形成され、ゲート絶縁膜1
03上に例えば、モリブデン(Mo)からなるゲート電極104が形成されている。ゲート電
極104の下方のポリシリコン層102の領域がチャネル領域になっている。また、ポリ
シリコン層102の中に、チャネル領域の左側に隣接してN−型のソース層105AとN
+型のソース層105Bが形成されている。また、ポリシリコン層102の中に、チャネ
ル領域の右側に隣接してN−型のドレイン層106AとN+型のドレイン層106Bが形
成されている。
【0033】
また、ゲート電極104とポリシリコン層102を覆って、例えば、シリコン酸化膜(
SiO2)からなる層間絶縁膜107が形成されている。そして、ガラス基板100に垂直な
方向から見たとき、ゲート電極104にオーバーラップした補助ゲート電極108が形成
されている。補助ゲート電極108は、T1の一方の側でゲート電極104に接続されて
いる。即ち、ポリシリコン層102の外のガラス基板100上に延びたゲート電極104
上の層間絶縁膜107にコンタクトホールCH1が形成され、このコンタクトホールCH
1を通して、補助ゲート電極108がゲート電極104に電気的に接続されている。補助
ゲート電極108は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、ゲート電
極104より低いシート抵抗を有していることが好ましい。
【0034】
また、N+型のソース層105B上の層間絶縁膜107にはコンタクトホールCH2が
形成され、このコンタクトホールCH2を通して、N+型のソース層105Bに接続され
たソース電極109が形成されている。N+型のドレイン層106B上の層間絶縁膜10
7にはコンタクトホールCH3が形成され、このコンタクトホールCH3を通して、N+
型のドレイン層106Bに接続されたドレイン電極110が形成されている。
【0035】
補助ゲート電極108は、ソース電極109及びドレイン電極110と同じプロセスで
形成することで、工程を増やすことなく、補助ゲート電極108を形成することができる
。また、アルミニウムまたはアルミニウム合金などの低抵抗材料で形成されるソース電極
109とドレイン電極110と同じ材料で形成されるので低抵抗化を実現できる。
【0036】
次に、T2の構造について説明する。ガラス基板100上のバッファ膜101上にポリ
シリコン層111が島状に形成されている。ポリシリコン層111を覆って、ゲート絶縁
膜103が形成され、ゲート絶縁膜103上に例えば、ゲート電極104と同じ材料から
なるゲート電極112が形成されている。ゲート電極112の下方のポリシリコン層11
1の領域がチャネル領域になっている。また、ポリシリコン層111の中に、チャネル領
域の左側に隣接してP+型のソース層113が形成されている。また、ポリシリコン層1
02の中に、チャネル領域の右側に隣接してP+型のドレイン層114が形成されている

【0037】
また、ゲート電極112とポリシリコン層111を覆って、例えば、シリコン酸化膜(
SiO2)からなる層間絶縁膜107が形成されている。そして、ガラス基板100に垂直な
方向から見たとき、ゲート電極112にオーバーラップした補助ゲート電極115が形成
されている。補助ゲート電極115は、T2の一方の側でゲート電極112に接続されて
いる。即ち、ポリシリコン層111の外のガラス基板100上に延びたゲート電極112
上の層間絶縁膜107にコンタクトホールCH4が形成され、このコンタクトホールCH
4を通して、補助ゲート電極115がゲート電極112に電気的に接続されている。補助
ゲート電極115は、例えば、アルミニウムまたはアルミニウム合金からなり、ゲート電
極112より低いシート抵抗を有していることが好ましい。
【0038】
また、P+型のソース層113上の層間絶縁膜107にはコンタクトホールCH5が形
成され、このコンタクトホールCH5を通して、P+型のソース層113に接続されたソ
ース電極116が形成されている。P+型のドレイン層114上の層間絶縁膜107には
コンタクトホールCH6が形成され、このコンタクトホールCH6を通して、P+型のド
レイン層114に接続されたドレイン電極117が形成されている。
【0039】
上述のT1のTFT構造では、補助ゲート電極108は、T1の一方の側でゲート電極
104に接続されているが、図4に示すように、補助ゲート電極108をT1の両側でゲ
ート電極104に接続して更にゲート電極の低抵抗化を図ることができる。即ち、ポリシ
リコン層102の両側のガラス基板100上に延びたゲート電極104上の層間絶縁膜1
07に、コンタクトホールCH1、C7が形成され、これらのコンタクトホールCH1、
C7を通して、補助ゲート電極108がゲート電極104に電気的に接続される。
【0040】
同様に、T2についても、補助ゲート電極115をT2の両側でゲート電極112に接
続して更にゲート電極の低抵抗化を図ることができる。即ち、ポリシリコン層111の両
側のガラス基板100上に延びたゲート電極112上の層間絶縁膜107に、コンタクト
ホールCH4、C8が形成され、これらのコンタクトホールCH4、C8を通して、補助
ゲート電極115がゲート電極112に電気的に接続される。
【0041】
実際の電荷転送トランジスタT1〜T8のゲート電極は平面的に見ると、細長い配線の
形状を呈している。そこで、T1〜T8は、それぞれを並列接続された複数のサブトラン
ジスタに分割し、ゲート電極と補助ゲート電極は、各サブトランジスタの両側で接続する
ことがゲート電極の抵抗を下げる上で好ましい。
【0042】
図5は、そのような電荷転送トランジスタT1〜T4で形成された正電源発生回路1の
平面図である。T1について説明すると、n個(nは2以上の自然数)のサブトランジス
タT1−1〜T1−nに分割されており、それぞれのサブトランジスタT1−1〜T1−
nの各ソースは共通に接続され、各ドレインは共通に接続されている。ゲート電極104
と補助ゲート電極108は、直線上に各サブトランジスタT1−1〜T1−n上に延びて
いる。そして、ゲート電極104と補助ゲート電極108は、各サブサブトランジスタT
1−1〜T1−nの両側で、それぞれコンタクトホールCH1、C7を通して接続されて
いる。T2〜T4はT1と平行に隣接して配置されており、同様のゲート電極構造を有し
ている。
【0043】
今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えら
れるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によ
って示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれ
る。例えば、実施形態の電源回路においては、正電源発生回路1と負電源発生回路2とが
併設されているが、どちらか1つの回路のみを設けてもよい。また、実施形態の電源回路
は、クロックの極性の反転に応じて左右の直列トランジスタ回路から出力電位が交互に出
力される、双極クランプ方式の電源回路であるが、本発明は1つの直列トランジスタ回路
を用いた単極クランプ方式の電源回路にも同様に適用することができる。
【0044】
また、電源発生回路は、フライングコンデンサ、フライングコンデンサにクロックを供
給するクロック発生回路、電荷転送トランジスタを利用して入力電位を変換出力する回路
であれば、実施形態の回路に限らず、他のタイプの回路でもよい。
【0045】
また、実施形態の電源回路は、TNモード、垂直配向モード(VAモード)、横電界を
利用したIPSモード、フリンジ電界を利用したFFSモードなどの液晶表示装置に利用
しても構わない。また、全透過型のみならず全反射型、反射透過兼用型の液晶表示装置に
利用しても構わない。また、液晶表示装置ではなく、有機ELディスプレイ、フィールド
エミッション型ディスプレイに用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施形態による電源回路の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態による電源回路の動作を説明する図である。
【図3】本発明の実施形態による電源回路を構成する電荷転送トランジスタの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態による電源回路を構成する電荷転送トランジスタの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態による電源回路を構成する電荷転送トランジスタの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
1 正電源発生回路 2 負電源発生回路
3 ドライバーIC 11〜14 配線 21〜24 配線
P1〜P8 端子 C1〜C4 フライングコンデンサ
Cvpp 出力コンデンサ Cvbb 出力コンデンサ
T1〜T8 電荷転送トランジスタ 100 ガラス基板
101 バッファ膜 102 ポリシリコン層 103 ゲート絶縁膜
104 ゲート電極 105A N−型のソース層
105B N+型のソース層 106A N−型のドレイン層
106B N+型のドレイン層 107 層間絶縁膜
108 補助ゲート電極 109 ソース電極 110 ドレイン電極
111 ポリシリコン層 112 ゲート電極 113 ソース層
114 ドレイン層 115 補助ゲート電極
116 ソース電極 117 ドレイン電極
CH1〜CH8 コンタクトホール T1―1〜T1−n サブトランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のゲート電極と、該第1のゲート電極に接続されると共に、該第1のゲート電極に絶
縁層を介してオーバーラップした第1の補助ゲート電極とを有する第1の電荷転送トラン
ジスタと、
前記第1の電荷転送トランジスタと直列に接続され、第2のゲート電極と、該第2のゲ
ート電極に接続されると共に、該第2のゲート電極に絶縁層を介してオーバーラップした
第2の補助ゲート電極とを有する第2の電荷転送トランジスタと、
前記第1の電荷転送トランジスタと前記第2の電荷転送トランジスタとの接続点に第1
の端子が結合され、第2の端子に第1のクロックが供給されるフライングコンデンサと、
を備え、
前記第1のクロックに応じて、前記第1及び第2のゲート電極に第2のクロックを供給
することにより、前記第1及び第2の電荷転送トランジスタを相補的にスイッチングさせ
るようにしたことを特徴とする電源回路。
【請求項2】
前記第1及び第2の補助ゲート電極のシート抵抗は、前記第1及び第2のゲート電極のシ
ート抵抗より小さいことを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項3】
前記第1のゲート電極と前記第1の補助ゲート電極は、第1の電荷転送トランジスタの一
方の側で接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項4】
前記第1のゲート電極と前記第1の補助ゲート電極は、第1の電荷転送トランジスタの両
側で接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項5】
前記第1の電荷転送トランジスタは、互いに並列接続された複数のサブトランジスタから
なり、前記第1のゲート電極と前記第1の補助ゲート電極は、各サブトランジスタの両側
で接続されていることを特徴とする請求項1に記載の電源回路。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の電源回路を備えた表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−201174(P2009−201174A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−36948(P2008−36948)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】