説明

電源装置及び電源装置におけるタイミング制御回路

【課題】電源投入時に流れる突入電流を削減すること。
【解決手段】商用電源2から電気機器3に電力を供給する電源装置1において、ON/OFFスイッチ22をONするとタイミング制御回路7で制御された無接点リレー6Aが交流波形の立ち下がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を開始し、かつ、ON/OFFスイッチ22をOFFするとタイミング制御回路7Aで制御された無接点リレー6Aが交流波形の立ち下がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を終了するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商用電源から電気機器へと電力を供給する電源装置と、電源装置におけるタイミング制御回路に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の電気機器の電源回路には、いわゆるコンデンサインプット型の整流回路が多く利用されている。図24は従来の電源回路の一例を示す回路図であり、同図の電源回路は、電気機器に内蔵された電源トランスと整流平滑回路により構成されている。電源トランスには例えばトロイダルトランスが使用され、商用電源から供給される交流電源電圧を定格電圧に変換して出力する一方、整流平滑回路はブリッジ形整流回路と平滑コンデンサからなり、電源トランスから出力された定格電圧を整流平滑化するようになっている。
【0003】
ところが、従来の電源機器の電源回路において、電源トランスに使用されるトロイダルトランスは特に、電源を投入した瞬間に流れる突入電流(インラッシュ電流)が非常に大きいことが欠点である。また、一般にゲームセンターやパチンコ店等においては、図25に示すように商用電源に対してゲーム機や遊技機等の電気機器を複数台並べて並列接続している(例えば特許文献1を参照)。この場合、電源回路に内蔵されたトロイダルトランスが商用電源に対して並列接続されているので、トランスの出力がオープンでも電源投入時の突入電流は約110Aと非常に大きくなってしまう。このため、電源投入時において、電源電圧の不安定化や、電源スイッチ接点の溶着、ヒューズの溶断、あるいはブレーカの遮断といった各種の悪影響を及ぼすという問題があった。
【0004】
【特許文献1】特開2006−247008号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記のような問題を解決するためになされたものであり、商用電源から電気機器に電力を供給する場合において、電源投入時に流れる突入電流を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、商用電源から供給される交流電源電圧と突入電流との関係について鋭意研究を重ねた結果、以下の点を見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
1.電源をOFFすると、電源がOFFされる前(切断される瞬間)の磁気の状態を記憶している(残留磁気)。
2.残留磁気の状態は約30日以上保持される。
3.電源をONした場合に流れる突入電流の大きさは残留磁気の状態に左右される。
4.実験の結果、最後に電源をOFFした時と同じ状態で電源をONすると突入電流は小さくなる。
5.上記4.をトランスに加える電圧で考えた場合、
1)電源をOFFした時の電圧と同じ状態の電圧で電源をONすると突入電流は小さくなる。
2)電圧は同じでも電圧が減少する場合にOFFしたか、電圧が増加する場合にOFFしたかにより異なる。
a)減少する場合…ON/OFF共に減少する場合には突入電流は小さい。
b)増加する場合…ON/OFF共に増加する場合には突入電流は小さい。
【0007】
突入電流を小さくする方法としては、ゼロクロス機能を有する無接点リレー(いわゆるゼロクロススイッチ)を使用する場合と、電源を直接ON/OFFする場合に分けて考えることができる。前者のゼロクロススイッチを使用するメリットとしては、検出結果が安定していること、検出が簡単であること、市販のゼロクロススイッチが入手可能であることが挙げられる。一方、後者の場合には、電源が切断された時の交流電源電圧の状態(電圧の正負、増減)を記憶しておき、電源をONする際にその切断時の状態と同じ状態の時にONすれば良い。
【0008】
すなわち、請求項1に係る発明は、図1、8、16、23に示すように、商用電源2から電気機器3に電力を供給する電源装置1であって、上記商用電源2からの交流電源電圧の供給の開始と終了を切り換えるリレー6と、上記商用電源2の電源投入時に、前回の電源切断時に供給を終了した時の交流電源電圧の状態と同じ状態で交流電源電圧の供給を開始するように上記リレー6の切換タイミングを制御するタイミング制御回路7と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項10に係る発明は、商用電源2から電気機器3に電力を供給する電源装置1において、商用電源2からの交流電源電圧の供給の開始と終了を切り換えるリレー6に接続されたタイミング制御回路7であって、上記商用電源2の電源投入時に、前回の電源切断時に供給を終了した時の交流電源電圧の状態と同じ状態で交流電源電圧の供給を開始するように上記リレー6の切換タイミングを制御することを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、図2に示すように、上記リレー6が上記商用電源2からの交流電源電圧の供給をゼロクロス点で切り換えるゼロクロス回路を有するとともに、上記タイミング制御回路7に上記リレー6を切り換えるON/OFF信号を出力するON/OFFスイッチ22が設けられており、上記タイミング制御回路7が、上記ON/OFFスイッチ22からのON/OFF信号の出力状態を保持する保持回路34と、上記交流電源電圧のプラスを検出して極性信号を出力する電源極性検出回路32と、上記交流電源電圧のピークを検出してピーク信号を出力するピーク検出回路33と、上記ON/OFF信号、上記極性信号及び上記ピーク信号に基づいて、上記ON/OFFスイッチ22をOFFした時に交流電源電圧のプラスピークで上記リレー6にOFF信号を出力し、立ち下がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を終了させ、上記ON/OFFスイッチ22をONした時には交流電源電圧のプラスピークで上記リレー6にON信号を出力し、立ち下がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を開始させるように上記ON/OFF信号の出力を制御する出力制御回路35と、から構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、請求項11に係る発明は、上記リレー6が上記商用電源2からの交流電源電圧の供給をゼロクロス点で切り換えるゼロクロス回路を有するとともに、上記タイミング制御回路7に上記リレー6を切り換えるON/OFF信号を出力するON/OFFスイッチ22が設けられた電源装置1におけるタイミング制御回路7であって、上記ON/OFFスイッチ22からのON/OFF信号の出力状態を保持する保持回路34と、上記交流電源電圧のプラスを検出して極性信号を出力する電源極性検出回路32と、上記交流電源電圧のピークを検出してピーク信号を出力するピーク検出回路33と、上記ON/OFF信号、上記極性信号及び上記ピーク信号に基づいて、上記ON/OFFスイッチ22をOFFした時に交流電源電圧のプラスピークで上記リレー6にOFF信号を出力し、立ち下がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を終了させ、上記ON/OFFスイッチ22をONした時には交流電源電圧のプラスピークで上記リレー6にON信号を出力し、立ち下がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を開始させるように上記ON/OFF信号の出力を制御する出力制御回路35と、から構成されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、図9に示すように、上記リレー6が上記商用電源2からの交流電源電圧の供給をゼロクロス点で切り換えるゼロクロス回路を有するとともに、上記タイミング制御回路7に上記リレー6を切り換えるON/OFF信号を出力するON/OFFスイッチ22が設けられており、上記タイミング制御回路7が、上記ON/OFFスイッチ22からのON/OFF信号の出力状態を保持する保持回路34と、上記交流電源電圧のマイナスを検出して極性信号を出力する電源極性検出回路32と、上記交流電源電圧のピークを検出してピーク信号を出力するピーク検出回路33と、上記ON/OFF信号、上記極性信号及び上記ピーク信号に基づいて、上記ON/OFFスイッチ22をOFFした時に交流電源電圧のマイナスピークで上記リレー6にOFF信号を出力し、立ち上がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を終了させ、上記ON/OFFスイッチ22をONした時には交流電源電圧のマイナスピークで上記リレー6にON信号を出力し、立ち上がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を開始させるように上記ON/OFF信号の出力を制御する出力制御回路35と、から構成されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項12に係る発明は、上記リレー6が上記商用電源2からの交流電源電圧の供給をゼロクロス点で切り換えるゼロクロス回路を有するとともに、上記タイミング制御回路7に上記リレー6を切り換えるON/OFF信号を出力するON/OFFスイッチ22が設けられた電源装置1におけるタイミング制御回路7であって、上記ON/OFFスイッチ22からのON/OFF信号の出力状態を保持する保持回路34と、上記交流電源電圧のマイナスを検出して極性信号を出力する電源極性検出回路32と、上記交流電源電圧のピークを検出してピーク信号を出力するピーク検出回路33と、上記ON/OFF信号、上記極性信号及び上記ピーク信号に基づいて、上記ON/OFFスイッチ22をOFFした時に交流電源電圧のマイナスピークで上記リレー6にOFF信号を出力し、立ち上がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を終了させ、上記ON/OFFスイッチ22をONした時には交流電源電圧のマイナスピークで上記リレー6にON信号を出力し、立ち上がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を開始させるように上記ON/OFF信号の出力を制御する出力制御回路35と、から構成されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に係る発明は、図3に示すように、上記タイミング制御回路7が、上記ON/OFFスイッチ22のON端子とOFF端子にS端子とR端子が接続された第1のRSフリップフロップ53と、上記商用電源2にトランス21を介して発光素子が接続され、NOT回路47の入力端子に受光素子が接続されたフォトカプラ46と、上記トランス21にブリッジダイオード41を介してカソードが接続され、バッファ回路51の入力端子にアノードが接続された定電圧ダイオード49と、上記NOT回路47の出力端子と上記バッファ回路51の出力端子に接続された2入力AND回路54と、2入力AND回路54の出力端子と上記第1のRSフリップフロップ53のQ端子に接続されたNAND回路55と、上記2入力AND回路54の出力端子と上記第1のRSフリップフロップ53の ̄Q端子に接続されたNAND回路56と、これら1組のNAND回路55,56の出力端子にS端子とR端子が接続された第2のRSフリップフロップ57と、上記第2のRSフリップフロップ57のQ端子にベースが接続され、上記リレー6の入力回路にコレクタが接続されたNPNトランジスタ58と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項13に係る発明は、上記ON/OFFスイッチ22のON端子とOFF端子にS端子とR端子が接続された第1のRSフリップフロップ53と、上記商用電源2にトランス21を介して発光素子が接続され、NOT回路47の入力端子に受光素子が接続されたフォトカプラ46と、上記トランス21にブリッジダイオード41を介してカソードが接続され、バッファ回路51の入力端子にアノードが接続された定電圧ダイオード49と、上記NOT回路47の出力端子と上記バッファ回路51の出力端子に接続された2入力AND回路54と、2入力AND回路54の出力端子と上記第1のRSフリップフロップ53のQ端子に接続されたNAND回路55と、上記2入力AND回路54の出力端子と上記第1のRSフリップフロップ53の ̄Q端子に接続されたNAND回路56と、これら1組のNAND回路55,56の出力端子にS端子とR端子が接続された第2のRSフリップフロップ57と、上記第2のRSフリップフロップ57のQ端子にベースが接続され、上記リレー6の入力回路にコレクタが接続されたNPNトランジスタ58と、を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項5に係る発明は、図17に示すように、上記商用電源2に電源投入または電源切断を切り換える電源スイッチ23が設けられており、上記タイミング制御回路7が、上記商用電源2からの交流電源電圧のプラスまたはマイナスを検出して極性信号を出力する電源極性検出回路32と、上記電源スイッチ23による電源切断時に交流電源電圧の供給が停止したことを検出して電源OFF信号を出力する電源OFF検出回路37と、上記電源スイッチ23による電源投入時に交流電源電圧の供給が開始したことを検出し、CPU初期設定時間が経過した後にリセット信号を出力する電源ON時リセット回路38と、上記極性信号、上記電源OFF信号及び上記リセット信号に基づいて、上記電源スイッチ23による電源切断時の交流電源電圧の状態を記憶し、電源投入時には電源切断時に記憶された交流電源電圧の状態を再現するように上記リレー6のON/OFFを制御するCPU回路39と、上記リセット信号に基づいて、上記CPU回路39の初期設定時間中の誤動作を防止し、上記リレー6がONした後に上記電源極性検出回路32、上記電源OFF検出回路37及び上記CPU回路39の誤動作により上記リレー6がOFFしないように制御する誤動作防止回路40と、から構成されていることを特徴とする。
【0017】
また、請求項14に係る発明は、上記商用電源2に電源投入または電源切断を切り換える電源スイッチ23が設けられた電源装置1におけるタイミング制御回路7であって、上記商用電源2からの交流電源電圧のプラスまたはマイナスを検出して極性信号を出力する電源極性検出回路32と、上記電源スイッチ23による電源切断時に交流電源電圧の供給が停止したことを検出して電源OFF信号を出力する電源OFF検出回路37と、上記電源スイッチ23による電源投入時に交流電源電圧の供給が開始したことを検出し、CPU初期設定時間が経過した後にリセット信号を出力する電源ON時リセット回路38と、上記極性信号、上記電源OFF信号及び上記リセット信号に基づいて、上記電源スイッチ23による電源切断時の交流電源電圧の状態を記憶し、電源投入時には電源切断時に記憶された交流電源電圧の状態を再現するように上記リレー6のON/OFFを制御するCPU回路39と、上記リセット信号に基づいて、上記CPU回路39の初期設定中の誤動作を防止し、上記リレー6がONした後に上記電源極性検出回路32、上記電源OFF検出回路37及び上記CPU回路39の誤動作により上記リレー6がOFFしないように制御する誤動作防止回路40と、から構成されていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項6に係る発明は、図18に示すように、上記タイミング制御回路7が、上記商用電源2にトランス21を介して発光素子が接続され、第1のNOT回路47の入力端子に受光素子が接続されたフォトカプラ46と、上記商用電源2にトランス21を介して2個の発光素子が逆並列接続され、第2のNOT回路62に受光素子が接続されたAC入力対応フォトカプラ61と、上記トランス21にブリッジダイオード41及び3端子レギュレータ43を介して接続されたコンデンサ63と、上記コンデンサ63に接続されたバッファ回路64,67と、上記第1のNOT回路47の出力端子、上記第2のNOT回路62の出力端子及び上記バッファ回路64,67の出力端子に入力端子が接続されたCPU66と、上記CPU66の出力端子に接続されたNAND回路68と、上記NAND回路68の出力端子にS端子が接続され、上記バッファ回路64,67の出力端子にR端子が接続されたRSフリップフロップ69と、上記RSフリップフロップ69のQ端子にベースが接続され、上記リレー6の入力回路にコレクタが接続されたNPNトランジスタ58と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
また、請求項15に係る発明は、上記商用電源2にトランス21を介して発光素子が接続され、第1のNOT回路47の入力端子に受光素子が接続されたフォトカプラ46と、上記商用電源2にトランス21を介して2個の発光素子が逆並列接続され、第2のNOT回路62に受光素子が接続されたAC入力対応フォトカプラ61と、上記トランス21にブリッジダイオード41及び3端子レギュレータ43を介して接続されたコンデンサ63と、上記コンデンサ63に接続されたバッファ回路64,67と、上記第1のNOT回路47の出力端子、上記第2のNOT回路62の出力端子及び上記バッファ回路64,67の出力端子に入力端子が接続されたCPU66と、上記CPU66の出力端子に接続されたNAND回路68と、上記NAND回路68の出力端子にS端子が接続され、上記バッファ回路64,67の出力端子にR端子が接続されたRSフリップフロップ69と、上記RSフリップフロップ69のQ端子にベースが接続され、上記リレー6の入力回路にコレクタが接続されたNPNトランジスタ58と、を備えたことを特徴とする。
【0020】
また、請求項7に係る発明は、図1に示すように、上記電気機器3の内部に、上記商用電源2からの交流電源電圧を定格電圧に変換して出力する電源トランス8と、電源トランス8からの定格電圧を整流平滑化して上記電気機器3に供給する整流平滑回路9とからなる電源回路4が設けられており、上記電源装置1が、上記リレー6と上記電源トランス8との間に直列接続されたチョークコイル13からなる力率改善回路5を備えたことを特徴とする。
【0021】
また、請求項8に係る発明は、図12、13に示すように、上記力率改善回路5が、上記チョークコイル13と上記電源トランス8との間に接続され、チョークコイル13の出力電圧を昇圧して上記電源トランス8に供給する昇圧トランス14を有することを特徴とする。
【0022】
また、請求項9に係る発明は、図14、15に示すように、上記力率改善回路5が、上記チョークコイル13または上記昇圧トランス14に接続され、チョークコイル13の出力電圧または昇圧トランス14の出力電圧に応じてチョークコイル13のインダクタンス値を複数段階のうちの最適段階に切り換えてチョークコイル13の出力電圧を一定に保持するインダクタンス切換回路15を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ON/OFFスイッチをOFFするとタイミング制御回路で制御されたゼロクロス機能を有するリレーにより交流波形の立ち下がり(または立ち上がり)のゼロクロス点で交流電源電圧の供給を終了し、ON/OFFスイッチをONするとタイミング制御回路で制御された同リレーによりOFF時と同じゼロクロス点で交流電源電圧の供給を開始する。また、本発明によれば、電源スイッチをOFFするとタイミング制御回路に電源切断時の交流電源電圧の状態が記憶され、次に電源スイッチをONすると、記憶されている電源切断時の交流電源電圧の状態を再現し、交流電源電圧の交流波形が電源切断時の状態と同じ状態で電源投入される。これにより、電源投入時の突入電流が大幅に削減され、電源電圧の不安定化や、電源スイッチ接点の溶着、ヒューズの溶断、あるいはブレーカの遮断といった各種の電源トラブルを解消することができる。また、力率改善回路を設けることにより電源トランスに過大な突入電流が流れ込むのを防ぐとともに、電源効率を向上させて省エネを図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0025】
《第1実施形態》
図1は本発明の電源装置をゲームセンターやパチンコ店等における電力供給システムに適用した実施形態であり、電源のON/OFFの切換を電源装置でコントロールできる場合の例を示す。本実施形態において、この電源装置1(1A)は、商用電源2から電源回路4を内蔵した電気機器3(例えばゲーム機や、パチンコ機やスロット機などの遊技機)に電力を供給する装置であって、力率改善回路5と、無接点リレー6と、タイミング制御回路7を備えて構成されている。
【0026】
電源回路4は、電源トランス8と整流平滑回路9により構成されている。電源トランス8は、商用電源2に対して無接点リレー6と力率改善回路5を介して1次側が接続されたトロイダルトランスからなり、商用電源2から供給される交流電源電圧(AC100V)を電気機器3の定格電圧(遊技機であればAC24V)に変換し、変換後の定格電圧を整流平滑回路9に出力する。整流平滑回路9は、電源トランス8の2次側にブリッジ形整流回路11と電解コンデンサ12を並列接続したコンデンサインプット型の全波整流回路である。ブリッジ形整流回路11は電源トランス8から出力された定格電圧を全波整流して出力し、電解コンデンサ12はブリッジ形整流回路11から出力された脈流電圧を平滑化し、交流成分が取り除かれた直流電圧を電気機器3に供給する。
【0027】
力率改善回路5は、無接点リレー6と電源トランス8の1次側との間に直列接続されたチョークコイル13を備えている。チョークコイル13は、珪素鋼板やフェライト等の磁性コアに絶縁体を介して銅線を巻き付けたトロイダルコイルであり、商用電源2に含まれる高調波成分を減衰させて除去し、電源回路4の力率を向上させる機能を有するとともに、電源投入時に入力電流に対する制限抵抗となり、電源トランス8に過大な突入電流が流れ込むのを阻止する機能も有している。チョークコイル13のインダクタンス値Lは除去する高調波成分の周波数に対応させて高い値に設定されるが、インダクタンス値Lが大きすぎると逆に力率が低下してしまうので好ましくない。目的周波数は50Hzまたは60Hzであり、チョークコイル13のインダクタンス値Lは、直流電圧低下が電気機器3(負荷回路)の動作に影響しない範囲で大きく設定することができる。なお、入力電流がピーク値に達した時でも磁気飽和せずに安定したインダクタとして機能させるため、チョークコイル13の磁性コアは磁路にギャップを形成したカットコアにするのが好ましい。
【0028】
無接点リレー6(6A)は、本実施形態の場合、ゼロクロス回路を内蔵する交流負荷用のSSR(ソリッドステートリレー)で構成されたいわゆるゼロクロススイッチであり、商用電源2と力率改善回路5の間に介在し、その入力回路がタイミング制御回路7に接続され、その出力回路が力率改善回路5のチョークコイル13に接続されている。このスイッチは、内部のフォトトランジスタカプラまたはフォトトライアックカプラ(図示略)によって入力回路と出力回路の間を絶縁した無接点のリレーであって、入力信号をONするとゼロクロス回路により交流電源電圧がゼロ電圧付近でトリガーし、出力回路のトライアックがONして負荷に電流が流れ、逆に入力信号をOFFすると負荷電流はトライアックのラッチング作用により負荷電流のゼロ付近でOFFするようになっている。
【0029】
タイミング制御回路7は、無接点リレー6Aの入力回路に接続されるとともに、トランス21を介して商用電源2に接続されている。トランス21は商用電源2から供給される交流電源電圧(AC100V)を電源電圧(AC12V)に変換し、変換後の電源電圧をタイミング制御回路7に出力する。また、タイミング制御回路7にはON/OFFスイッチ22が接続されており、ON/OFFスイッチ22の動作によって無接点リレー6AのON/OFFの切換タイミングを制御する。すなわち、ON/OFFスイッチ22をONにするとタイミング制御回路7から無接点リレー6Aに対してON信号が出力され、無接点リレー6Aによって入力電圧が交流波形のゼロクロス点でONされる。逆にON/OFFスイッチ22をOFFにするとタイミング制御回路7から無接点リレー6Aに対してOFF信号が出力され、無接点リレー6Aによって入力電圧が交流波形のゼロクロス点でOFFされる。
【0030】
図2はタイミング制御回路の機能ブロック図、図3は同制御回路の回路構成図、図4は同制御回路の各部の状態変化を表したタイミングチャート図である。
【0031】
図2と図3に示すように、本実施形態のタイミング制御回路7Aは、安定化電源回路31と、電源極性検出回路32と、ピーク検出回路33と、ON/OFF保持回路34と、出力制御回路35と、無接点リレー駆動回路36を備えて構成されている。
【0032】
安定化電源回路31は、トランス21から出力された交流電源電圧(図4(A)参照)を安定した直流電圧に変換して出力する機能を有する回路であり、本実施形態ではブリッジダイオード41と電解コンデンサ42と3端子レギュレータ43を備えてなる。ブリッジダイオード41はトランス21の2次側に接続され、トランス21から出力された交流電源電圧(AC12V)を全波整流して出力する。電解コンデンサ42はブリッジダイオード41から出力された脈流電圧を平滑化し、交流成分が取り除かれた直流電圧(DC16V)を3端子レギュレータ43に出力する。また、この直流電圧は無接点リレー6Aの電源としても使用される。さらに、3端子レギュレータ43は電解コンデンサ42からの入力電圧を変換して出力し、その出力電圧(DC5V)はタイミング制御回路7AのIC電源として使用される。なお、ブリッジダイオード41と3端子レギュレータ43の間には逆流を防止する整流用ダイオード44が接続され、3端子レギュレータ43の入力端子と出力端子にはそれぞれ発振防止用のセラミックコンデンサ45,45が接続されている。
【0033】
電源極性検出回路32は、交流電源電圧の正負を検出して出力制御回路35に極性信号を出力する機能を有する回路であり、本実施形態ではフォトカプラ46とNOT回路47を備えてなる。フォトカプラ46は発光素子(LED)がトランス21の2次側に電流制限抵抗を介して接続され、受光素子(フォトトランジスタ)がNOT回路47に接続されている。フォトカプラ46では、トランス21から出力された交流電源電圧の極性がプラスの時には順方向電流によりLEDが発光してフォトトランジスタがONし、極性がマイナスの時には逆方向電流によりLEDが発光せずフォトトランジスタがOFFする。そして、フォトカプラ46の出力信号(図4(B)参照)はNOT回路47で反転されて、電源極性検出回路32から交流電源電圧のプラスの極性信号(図4(C)参照)が出力されるようになっている。なお、トランス21とフォトカプラ46の間には逆流防止用のシリコンダイオード48が並列接続されている。
【0034】
ピーク検出回路33は、交流電源電圧のピークを検出して出力制御回路35にピーク信号を出力する機能を有する回路であり、本実施形態では定電圧ダイオード49とバッファ回路51を備えてなる。定電圧ダイオード49はそのカソードがブリッジダイオード41に接続されており、ブリッジダイオード41からの出力電圧が10V以上の時に降伏し、10V以上のピーク電圧を検出する。したがって、ブリッジダイオード41の出力電圧が10V以上の時、すなわち交流電源電圧のピーク時には定電圧ダイオード49に逆方向電流が流れ、バッファ回路51を経てピーク検出回路33から交流電源電圧のピーク信号(図4(D)参照)が出力されるようになっている。なお、定電圧ダイオード49のアノードにはICに5V以上の電圧がかからないようにするために保護用の定電圧ダイオード52が接続されている。
【0035】
ON/OFF保持回路34は、ON/OFFスイッチ22からのON/OFF信号の出力状態を保持する機能と、チャタリングを防止する機能を有する回路であり、本実施形態ではRSフリップフロップ(以下「第1のRSフリップフロップ」という)53を備えてなる。第1のRSフリップフロップ53は、S端子が電流制限抵抗を介してON/OFFスイッチ22のON端子に接続され、R端子が電流制限抵抗を介してON/OFFスイッチ22のOFF端子に接続されている。また、ON/OFFスイッチ22の共通端子はGNDに接続されている。したがって、ON/OFFスイッチ22をONすると、第1のRSフリップフロップ53のS端子に“L”、R端子に“H”が入力され、Q端子からの出力が“L”になり、ON信号(図4(E)参照)が出力される。逆に、ON/OFFスイッチ22をOFFすると、第1のRSフリップフロップ53のS端子に“H”、R端子に“L”が入力され、Q端子からの出力が“H”になり、OFF信号(図4(E)参照)が出力される。なお、ON/OFFスイッチ22をON/OFFした後に元の位置に戻しても、ON/OFFを切り換えない限り直前の出力状態が保持されるようになっている(図4(E)のa期間)。
【0036】
出力制御回路35は、ON/OFFスイッチ22をON/OFFした時にON/OFF信号、極性信号及びピーク信号に基づいて所定のタイミングで無接点リレー6Aに対するON/OFF信号の出力を制御する機能を有する回路であり、本実施形態では2入力AND回路54と1組のNAND回路55,56とRSフリップフロップ(以下「第2のRSフリップフロップ」という)57を備えてなる。2入力AND回路54は、入力端子が電源極性検出回路32の出力端子とピーク検出回路33の出力端子に接続されており、電源極性検出回路32からプラスの極性信号が出力され、かつピーク検出回路33からピーク信号が出力された時、すなわち交流電源電圧がプラスピーク時にのみ“H”を出力し、それ以外の時には“L”を出力する。NAND回路55は、入力端子がON/OFF保持回路34のQ端子と2入力AND回路54の出力端子に接続され、出力端子が第2のRSフリップフロップ57のS端子に接続されており、NAND回路56は、入力端子がON/OFF保持回路34の ̄Q端子と2入力AND回路54の出力端子に接続され、出力端子が第2のRSフリップフロップ57のR端子に接続されている。したがって、ON/OFFスイッチ22がON(Q=L、 ̄Q=H)の状態で交流電源電圧がプラスピークになると、第2のRSフリップフロップ57のS端子に“H”、R端子に“L”が入力され、Q端子から出力される制御信号が“H”になる(図4(F)参照)。一方、ON/OFFスイッチ22をOFF(Q=H、 ̄Q=L)にすると、第2のRSフリップフロップ57のQ端子から出力される制御信号は、プラスピークになるまで“L”の状態を維持している(図4(F)のb期間)が、プラスピークになると“H”が出力されるようになっている。
【0037】
無接点リレー駆動回路36は、出力制御回路35からの制御信号を受けて無接点リレー6Aを駆動する機能を有する回路であり、本実施形態ではNPNトランジスタ58を備えてなる。NPNトランジスタ58は、ベースが電流制限抵抗を介して出力制御回路35の出力端子に接続され、コレクタが無接点リレー6Aの入力回路に接続され、エミッタがGNDに接続されている。したがって、ON/OFFスイッチ22をONして出力制御回路35から出力される制御信号が“H”の時には、NPNトランジスタ58のエミッタ−ベース間に流れる電流によりエミッタ−コレクタ間に大電流が流れ、NPNトランジスタ58がONし、無接点リレー6Aの入力回路に入力信号がONされる。これにより、無接点リレー6Aはプラスピーク直後のゼロクロス点でONする(図4(G)のc点)。一方、ON/OFFスイッチ22をOFFすると、プラスピークになった時点で出力制御回路35から出力される制御信号が“H”になり、再びNPNトランジスタ58がONし、無接点リレー6Aの入力回路に入力信号がONされる。これにより、無接点リレー6Aはプラスピーク直後のゼロクロス点でOFFする(図4(G)のd点)。
【0038】
このように本実施形態の電源装置1Aによれば、ON/OFFスイッチ22をONするとタイミング制御回路7Aによって交流電源電圧のプラスピーク時に無接点リレー6Aに制御信号が出力され、その直後の交流波形の立ち下がりのゼロクロス点で無接点リレー6AがONし、交流電源電圧の供給を開始する。また、ON/OFFスイッチ22をOFFするとタイミング制御回路7Aによって交流電源電圧のプラスピークになるまで待って無接点リレー6Aに制御信号が出力され、その直後の交流波形の立ち下がりのゼロクロス点で無接点リレー6AがOFFし、交流電源電圧の供給を終了する。したがって、電源投入時に流れる突入電流が大幅に削減され、突入電流に起因する各種の電源トラブルを解消することができる。本発明者の実験によれば、電源切断時と電源投入時のゼロクロス点を同じ向きにした場合(図5(A)(B)参照)には、反対向きにした場合(図5(C)(D)参照)に比べて約1/5程度に削減できることが判明した。
【0039】
なお、電源をONした時とOFFした時のゼロクロス点を一致させると突入電流が削減されるのは、次のような理由による。
【0040】
図6は電源ON時と電源OFF時のゼロクロス点が同じ場合の磁束の状態を示す波形図である。図6において、定常状態の磁束を破線で示し、電圧φで電源ONした時の磁束を一点鎖線で示し、電源を交流波形の立ち上がりのゼロクロス点(B点)でOFFし、その後同じ立ち上がりのゼロクロス点(A点)でONした時の磁束を実線で示す。
【0041】
図示したように、電圧φで電源ONした時の磁束は磁気飽和を超えるため、Tで示す期間中突入電流が流れる。また、電源をOFFすると電源OFFの瞬間の磁気の状態(残留磁気)が記憶され、この残留磁気はトロイダルトランスでは約30日以上保持される。B点で電源をOFFした時の残留磁気の振幅(φr)は、定常状態の磁束の振幅(φm)の約70〜90%に達する(φr=φm×0.8)。B点で電源をOFFしたトランスにA点で電源をONすると、トランスに残留磁気が保持されているため、電源ON時の磁束の最大振幅はφ=2φm−φr=2φm−0.8φm=1.2φmとなり、磁気飽和に達しないので突入電流は少なくなる。したがって、電源ON時と電源OFF時のゼロクロス点を一致させると突入電流を小さくすることができる(図5の(B)と同じ状態)。
【0042】
これに対して、図7は電源ON時と電源OFF時のゼロクロス点が異なる場合の磁束を示す波形図である。図7において、定常状態の磁束を破線で示し、電源を交流波形の立ち下がりのゼロクロス点(B点)でOFFし、その後これとは逆に交流波形の立ち上がりのゼロクロス点(A点)でONした時の磁束を実線で示す。
【0043】
図示したように、B点で電源をOFFしたトランスにA点で電源をONすると、トランスに残留磁気(φr≒φm)が保持されているため、電源ON時の磁束の最大振幅はφ=2φm+φr≒3φmとなり、磁気飽和を大幅に超えるので突入電流が多く流れる。したがって、電源ON時と電源OFF時のゼロクロス点が異なると突入電流が大きくなってしまうことが分かる(図5の(C)と同じ状態)。
【0044】
なお、本実施形態では、図1に示したようにコンデンサインプット型の電源回路4が内蔵された電気機器3に電力を供給したが、負荷側がコンデンサインプット型の入力電源でない場合には、図8に示すように力率改善回路5を省略し、電源装置1Bから電気機器3に直接電力を供給しても良い。また、交流電源電圧のプラスピークを検出して交流波形の立ち下がりのゼロクロス点でON/OFFするように設定したが、これに替えて、交流電源電圧のマイナスピークを検出して交流波形の立ち上がりのゼロクロス点でON/OFFするように設定することもできる。この場合の回路は、図9に示すようにタイミング制御回路7の電源極性検出回路32において、フォトカプラ46の入力端子を図3の例とは反対向きに接続すれば良い。また、図3の回路構成においてフォトカプラ46の出力端子に接続されているNOT回路47を取り除いても良い。
【0045】
ここで、電源投入時の突入電流について実験データに基づいて説明する。
【0046】
図10(a)は図1に示す力率改善回路を設けた電源装置において、また図10(b)は図8に示す力率改善回路を設けていない電源装置において、それぞれ図5(C)のように交流波形の立ち下がりのゼロクロス点で電源OFFした後に立ち上がりのゼロクロス点で電源ONした場合の回路に流れる電流を測定した波形図である。なお、使用したチョークコイルのインダクタンス値は12.6mH、電源トランスの容量は250VAでその出力は24Vである。図示した波形図から明らかなように、電源投入時に図1の電源装置では約28A、図8の電源装置では約81Aの突入電流が発生し、特に力率改善回路を設けていない電源装置にあっては非常に大きな突入電流が流れるという結果が得られた。
【0047】
これに対して、図11(a)は図1に示す力率改善回路を設けた電源装置において、また図11(b)は図8に示す力率改善回路を設けていない電源装置において、それぞれ図5(B)のように交流波形の立ち上がりのゼロクロス点で電源OFFした後に同じく立ち上がりのゼロクロス点で電源ONした場合の回路に流れる電流を測定した波形図である。なお、使用したチョークコイルと電源トランスは図10の時と同じである。図示した波形図から明らかなように、電源投入時に図1と図8のどちらの電源装置においてもほとんど突入電流が発生しないという結果が得られた。
【0048】
以上説明した例はゲームセンターやパチンコ店等において新規に電源装置1Aを設置する場合の例であるが、既に電源回路4が導入されているシステムについては、以下に説明するいずれかの方法によって電源回路4における突入電流の削減と電源効率の向上を図ることができる。図12〜15は、商用電源2から電気機器3に電力を供給する電源回路4が導入された既存のシステムにおいて、新規に力率改善回路5を設置する例を示したものである。力率改善回路5が無接点リレー6Aと電源回路4の間に設置される点は図1と同様である。
【0049】
図12に示す例は、チョークコイル13による電圧降下が問題であり、絶縁する必要がある場合に好適な力率改善回路5Aである。この力率改善回路5Aは、チョークコイル13と昇圧トランス14を備えて構成されている。チョークコイル13は一端が無接点リレー6Aの出力回路に接続され、他端が昇圧トランス14に接続されている。一方、昇圧トランス14は1次巻線をチョークコイル13に接続し、2次巻線を電源トランス8の入力側に接続した絶縁トランス14aである。本例によれば、電源回路4の電圧変動に伴って入力電源ラインの交流電源電圧が降下しても、これを昇圧トランス14で昇圧することにより安定した交流電源電圧を電源回路4に供給することができる。
【0050】
図13に示す例は、チョークコイル13による電圧降下が問題であり、絶縁する必要がない場合に好適な力率改善回路5Bである。この力率改善回路5Bは、チョークコイル13と昇圧トランス14を備えている点では図9の例と同じであるが、昇圧トランス14を単巻トランス14bで構成した点が異なっている。すなわち、チョークコイル13の他端は単巻トランス14bにおける分路巻線の一方側の端子に接続され、単巻トランス14bの出力端子が電源トランス8の入力側に接続されている。本例によれば、図12の例と同様に安定した交流電源電圧を電源回路4に供給することができるとともに、単巻トランス14bにしたことで絶縁トランス14aに比べて回路全体の小型化を図ることができる。
【0051】
図14に示す例は、チョークコイル13の出力電圧の変動を小さくするために、出力電圧に基づいてチョークコイル13のインダクタンス値Lを選択的に切り換えるようにした力率改善回路5Cである。この力率改善回路5Cは、チョークコイル13と昇圧トランス14とインダクタンス切換回路15を備えて構成されている。より詳しくは、インダクタンス切換回路15は、チョークコイル13にそのインダクタンス値Lを4段階のうちから最適な段階に切り換えるスイッチ部16が接続されており、電圧検出部17で検出されたチョークコイル13の出力電圧の値に応じて切換制御部18がスイッチ部16の接点の切換動作を制御する。本例によれば、チョークコイル13の出力電圧VLに従ってインダクタンス値Lが適正値に切り換わるようになっているため、チョークコイル13の出力電圧VLを常に一定に保持することができる。なお、昇圧トランス14は、図12に示した絶縁トランス14aと図13に示した単巻トランス14bのいずれのものであっても良く、また設けられていなくても良い。
【0052】
さらに、図14の例に替えて、図15に示す力率改善回路5Dのように昇圧トランス14の出力電圧VTの値に応じてチョークコイル13のインダクタンス値Lを選択的に切り換えるインダクタンス切換回路15を設けるようにしても良い。
【0053】
《第2実施形態》
図16は本発明の電源装置をゲームセンターやパチンコ店等における電力供給システムに適用した実施形態であり、電源のON/OFFの切換を電源装置でコントロールできない場合の例を示す。本実施形態では、電源装置1(1C)にON/OFFスイッチ22が設けられておらず、商用電源2に接続された電源スイッチ23を操作することによって電源装置1Cに供給される交流電源電圧のON/OFFのタイミングが無作為に切り換えられてしまう。そこで、この電源装置1Cではゼロクロス回路を内蔵しない交流負荷用のSSRで構成された無接点リレー6Bを使用しており、タイミング制御回路7の構成が第1実施形態の回路と異なっている。その他の構成は第1実施形態の回路と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0054】
図17はタイミング制御回路の機能ブロック図、図18は同制御回路の回路構成図、図19と図20は同制御回路の各部の状態変化を表したタイミングチャート図である。
【0055】
図17と図18に示すように、本実施形態のタイミング制御回路7Bは、安定化電源回路31と、電源極性検出回路32と、電源OFF検出回路37と、電源ON時リセット回路38と、CPU回路39と、誤動作防止回路40と、無接点リレー駆動回路36を備えて構成されている。
【0056】
安定化電源回路31は、トランス21から出力された交流電源電圧を安定した直流電圧に変換して出力する機能を有する回路であり、第1実施形態と同様に、ブリッジダイオード41と電解コンデンサ42と3端子レギュレータ43を備えてなる。なお、3端子レギュレータ43の入力端子と出力端子には、それぞれ発振防止用のセラミックコンデンサ45,45が接続されている。
【0057】
電源極性検出回路32は、交流電源電圧の正負を検出してCPU回路39に極性信号を出力する機能を有する回路であり、第1実施形態と同様に、フォトカプラ46とNOT回路(以下「第1のNOT回路」という)47を備えてなる。フォトカプラ46では、トランス21から出力された交流電源電圧の極性がプラスの時にはLEDが発光してフォトトランジスタがONし、極性がマイナスの時にはLEDが発光せずフォトトランジスタがOFFする。そして、フォトカプラ46の出力信号(図19の(A)参照)は第1のNOT回路47で反転されて、電源極性検出回路32から交流電源電圧のプラスの極性信号(図19の(B)参照)が出力されるようになっている。なお、トランス21とフォトカプラ46の間にはフォトカプラ46のLEDに高い逆電圧が印加されるのを防ぐシリコンダイオード48が接続されている。
【0058】
電源OFF検出回路37は、電源切断時に交流電源電圧の供給が停止したことを検出してCPU回路39に電源OFF信号を出力する機能を有する回路であり、本実施形態ではAC入力対応フォトカプラ61とNOT回路(以下「第2のNOT回路」という)62を備えてなる。AC入力対応フォトカプラ61はトランス21の2次側に電流制限抵抗を介して2個の発光素子(LED1、LED2)が逆並列に接続され、受光素子(フォトトランジスタ)が第2のNOT回路62に接続されている。AC入力対応フォトカプラ61では、トランス21から出力された交流電源電圧の極性がプラスの時には一方のLED1が発光してフォトトランジスタがONし、極性がマイナスの時には他方のLED2が発光してフォトトランジスタがONするが、電源スイッチ23により交流電源電圧の供給が切断されるとLED1とLED2が共に発光せずフォトトランジスタがOFFする。そして、AC入力対応フォトカプラ61の出力信号(図19の(C)参照)は第2のNOT回路62で反転され、電源OFF検出回路37から交流電源電圧の電源OFF信号(図19の(D)参照)が出力されるようになっている。
【0059】
電源ON時リセット回路38は、電源投入時に交流電源電圧の供給が開始したことを検出する機能と、電源投入時にCPU回路39が正常動作するまでの間充電してCPU回路39にリセット信号を出力する機能とを有する回路であり、本実施形態ではセラミックコンデンサ63とNOT回路(以下「第3のNOT回路」という)64を備えてなる。電源スイッチ23によって電源が投入されるとトランス21からの交流電源電圧の供給が始まり、安定化電源回路31から出力された直流電圧がセラミックコンデンサ63に充電される(図20の(A)参照)。そして、セラミックコンデンサ63の充電が完了してCPU回路39の初期設定時間を経過すると、第3のNOT回路64からCPU回路39に対してリセット信号が出力される(図20の(B)参照)。なお、セラミックコンデンサ63には電源OFF時に充電電圧を急速に放電するためのシリコンダイオード65が接続されている。
【0060】
CPU回路39は、電源切断時に電源OFFのタイミングを記憶する機能と、電源投入時に電源切断時と同一のタイミングで無接点リレー6BをONする制御機能を有する回路であり、本実施形態ではカウンタとメモリを有するCPU66を備えてなる。電源ON時に交流電源電圧が供給されると、安定化電源回路31から出力された直流電圧によってCPU66が起動し、CPU回路39の初期設定時間を経過した後、電源ON時リセット回路38から出力されたリセット信号がCPU66の入力端子に入力される。ここで、CPU66は電源極性検出回路32から出力された極性信号と電源OFF検出回路37から出力された電源OFF信号に基づいて、交流電源電圧の状態(電圧の正負、増減)のデータとリセット信号の入力時からの経過時間のデータをカウンタでカウントしていき、電源OFF時のカウントデータをメモリに記憶する。そして、電源スイッチ23により新たに電源が投入された時には、記憶されているカウントデータを読み出すことによって前回の電源OFF時の交流電源電圧の状態を再現する。この時、CPU66の出力端子から誤動作防止回路40に対してCPU−OUT信号が出力される。なお、CPU66やその他ICの電源は電池によりバックアップされる。
【0061】
誤動作防止回路40は、CPU回路39の初期設定中の誤動作を防止する機能と、無接点リレー6BがONした後、電源極性検出回路32、電源OFF検出回路37、CPU回路39等の誤動作により無接点リレー6BをOFFさせないように制御する機能を有する回路であり、本実施形態ではNOT回路(以下「第4のNOT回路」という)67とNAND回路68とRSフリップフロップ69を備えてなる。第4のNOT回路67は、第3のNOT回路64に接続されてバッファ回路を構成しており、電源ON時リセット回路38から出力されたリセット信号を反転させ、CPU回路39の初期設定時間を経過した後にリセット信号“H”を出力する(図20の(C)参照)。NAND回路68は、入力端子がCPU66の出力端子と第4のNOT回路67の出力端子に接続されており、CPU66からCPU−OUT信号が出力され、かつ第4のNOT回路67からリセット信号“H”が出力された時、つまり電源をONしてCPU初期設定時間経過後CPU−OUT信号が出力された時にのみ“L”を出力し、それ以外の時には“H”を出力し続ける。RSフリップフロップ69は、S端子がNAND回路68の出力端子に接続され、R端子が第4のNOT回路67の出力端子に接続されているので、電源をONして無接点リレー駆動回路36に制御信号を出力した後は、CPU−OUT信号の出力に関係なくQ端子からの制御信号の出力は常に“L”となる(図20の(D)参照)。
【0062】
無接点リレー駆動回路36は、誤動作防止回路40からの制御信号を受けて無接点リレー6Bを駆動する機能を有する回路であり、第1実施形態と同様に、NPNトランジスタ58を備えてなる。NPNトランジスタ58は、ベースが電流制限抵抗を介して誤動作防止回路40の出力端子に接続され、コレクタが無接点リレー6Bの入力回路に接続され、エミッタがGNDに接続されている。したがって、誤動作防止回路40から出力される制御信号が“H”の時には、NPNトランジスタ58のエミッタ−ベース間に流れる電流によりエミッタ−コレクタ間に大電流が流れ、NPNトランジスタ58がONする。これにより、無接点リレー6Bの入力回路に入力信号がセットされ、無接点リレー6BがONする。なお、無接点リレー6BをONした後は、誤動作防止回路40により電源極性検出回路32、電源OFF検出回路37、CPU回路39等が誤動作しても無接点リレー6BはOFFされないようになっている。
【0063】
このように本実施形態の電源装置1Cによれば、電源スイッチ23をOFFすると、タイミング制御回路7Bによって電源切断時の交流電源電圧の状態が記憶され、次に電源スイッチ23をONすると、記憶されている電源OFF時の交流電源電圧の状態を再現し、交流電源電圧の交流波形が電源切断時の状態と同じ状態で電源投入される。したがって、電源投入時に流れる突入電流が大幅に削減され、突入電流に起因する各種の電源トラブルを解消することができる。
【0064】
なお、電源をONした時とOFFした時の交流電源電圧の状態を一致させると突入電流が削減されるのは、次のような理由による。
【0065】
図21は電源ON時と電源OFF時の交流電源電圧の状態が同じ場合の磁束の状態を示す波形図である。図21において、定常状態の磁束を破線で示し、電源を交流波形の立ち上がりの途中の点(B点)でONした場合の磁束を一点鎖線で示し、電源をB点でOFFした後にB点と同じ状態のA点で電源をONした場合の磁束を実線で示す。
【0066】
図示したように、B点で電源をONした時の磁束は磁気飽和を超えるため、Tで示す期間中突入電流が流れる。B点で電源をOFFすると電源OFFの瞬間の磁気の状態(残留磁気)が記憶されるが、その残留磁気の振幅(φr)は、定常状態の磁束の振幅(φm)の約70〜90%に達する(φr=φm×0.8)。B点で電源をOFFした後にA点で電源をONすると、電源ON時の磁束の最大振幅はφ=2φm−(φr+φβ)となり、磁気飽和に達しないので突入電流は少なくなる(なお、φβは変動分である)。したがって、電源OFF時の交流電源電圧の状態を記憶しておけば、次の電源ON時に同じ状態を再現することにより突入電流を小さくすることができる。
【0067】
これに対して、図22は電源ON時と電源OFF時の交流電源電圧の状態が異なる場合の磁束を示す波形図である。図22において、定常状態の磁束を破線で示し、B点で電源をOFFした後にA点で電源をONした場合の磁束の状態を一点鎖線で示し、C点で電源をOFFした後にA点で電源をONした場合の磁束の状態を二点鎖線で示す。
【0068】
図示したように、B点で電源をOFFした後に最大電圧のA点で電源をONすると、トランスに残留磁気(φr=+φm)が保持されているため、電源ON時の磁束の最大振幅はφ=+2φm+φmとなり、磁気飽和を大幅に超えるので突入電流が多く流れる。またC点で電源をOFFした後にA点で電源をONすると、電源ON時の磁束の最大振幅はφ=−2φm−φmとなり、これも磁気飽和を大幅に超えるので突入電流が多く流れる。したがって、電源ON時と電源OFF時の交流電源電圧の状態が異なると突入電流が大きくなってしまうことが分かる。
【0069】
なお、本実施形態では、図16に示したようにコンデンサインプット型の電源回路4が内蔵された電気機器3に電力を供給したが、負荷側がコンデンサインプット型の入力電源でない場合には、図23に示すように力率改善回路5を省略し、電源装置1Dから電気機器3に直接電力を供給しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】第1実施形態の電源装置を適用した電力供給システムの全体図。
【図2】同電源装置におけるタイミング制御回路の機能ブロック図。
【図3】同タイミング制御回路の回路構成図。
【図4】同タイミング制御回路の各部の状態変化を表したタイミングチャート図。
【図5】第1実施形態の作用を示す模式図。
【図6】電源ON時とOFF時のゼロクロス点が同じ場合の磁束を示す波形図。
【図7】電源ON時とOFF時のゼロクロス点が異なる場合の磁束を示す波形図。
【図8】第1実施形態の電源装置の変形例を示す全体図。
【図9】タイミング制御回路の変形例を示す回路図。
【図10】交流波形の立ち下がりのゼロクロス点で電源をOFFした後に立ち上がりのゼロクロス点で電源をONした場合の電流を測定した波形図。
【図11】交流波形の立ち上がりのゼロクロス点で電源をOFFした後に立ち上がりのゼロクロス点で電源をONした場合の電流を測定した波形図。
【図12】電源装置における力率改善回路の他の構成例を示す回路図。
【図13】電源装置における力率改善回路の他の構成例を示す回路図。
【図14】電源装置における力率改善回路の他の構成例を示す回路図。
【図15】電源装置における力率改善回路の他の構成例を示す回路図。
【図16】第2実施形態の電源装置を適用した電力供給システムの全体図。
【図17】同電源装置におけるタイミング制御回路の機能ブロック図。
【図18】同タイミング制御回路の回路構成図。
【図19】同タイミング制御回路の各部の状態変化を表したタイミングチャート図。
【図20】同タイミング制御回路の各部の状態変化を表したタイミングチャート図。
【図21】電源ON時とOFF時の交流電源電圧の状態が同じ場合の磁束示す波形図。
【図22】電源ON時とOFF時の交流電源電圧の状態が異なる場合の磁束を示す波形図。
【図23】第2実施形態の電源装置の変形例を示す全体図。
【図24】従来の電源回路の一構成例を示す回路図。
【図25】従来の電源回路の他の構成例を示す回路図。
【符号の説明】
【0071】
1(1A、1B、1C、1D) 電源装置
2 商用電源
3 電気機器
4 電源回路
5 力率改善回路
6 無接点リレー
6A 無接点リレー(ゼロクロス回路あり)
6B 無接点リレー(ゼロクロス回路なし)
7 タイミング制御回路
7A タイミング制御回路(ON/OFFスイッチ用)
7B タイミング制御回路(電源スイッチ用)
8 電源トランス
9 整流平滑回路
11 ブリッジ形整流回路
12 電解コンデンサ
13 チョークコイル
14 昇圧トランス
14a 絶縁トランス
14b 単巻トランス
15 インダクタンス切換回路
16 スイッチ部
17 電圧検出部
18 切換制御部
21 トランス
22 ON/OFFスイッチ
23 電源スイッチ
31 安定化電源回路
32 電源極性検出回路
33 ピーク検出回路
34 ON/OFF保持回路
35 出力制御回路
36 無接点リレー駆動回路
37 電源OFF検出回路
38 電源ON時リセット回路
39 CPU回路
40 誤動作防止回路
41 ブリッジダイオード
42 電解コンデンサ
43 3端子レギュレータ
44 整流用ダイオード
45 セラミックコンデンサ
46 フォトカプラ
47 NOT回路
48 シリコンダイオード
49 定電圧ダイオード
51 バッファ回路
52 定電圧ダイオード
53 RSフリップフロップ
54 2入力AND回路
55 NAND回路
56 NAND回路
57 RSフリップフロップ
58 NPNトランジスタ
61 AC入力対応フォトカプラ
62 NOT回路
63 セラミックコンデンサ
64 NOT回路
65 シリコンダイオード
66 CPU
67 NOT回路
68 NAND回路
69 RSフリップフロップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源(2)から電気機器(3)に電力を供給する電源装置(1)であって、
上記商用電源(2)からの交流電源電圧の供給の開始と終了を切り換えるリレー(6)と、
上記商用電源(2)の電源投入時に、前回の電源切断時に供給を終了した時の交流電源電圧の状態と同じ状態で交流電源電圧の供給を開始するように上記リレー(6)の切換タイミングを制御するタイミング制御回路(7)と、を備えた
ことを特徴とする電源装置。
【請求項2】
上記リレー(6)が上記商用電源(2)からの交流電源電圧の供給をゼロクロス点で切り換えるゼロクロス回路を有するとともに、上記タイミング制御回路(7)に上記リレー(6)を切り換えるON/OFF信号を出力するON/OFFスイッチ(22)が設けられており、
上記タイミング制御回路(7)が、
上記ON/OFFスイッチ(22)からのON/OFF信号の出力状態を保持する保持回路(34)と、
上記交流電源電圧のプラスを検出して極性信号を出力する電源極性検出回路(32)と、
上記交流電源電圧のピークを検出してピーク信号を出力するピーク検出回路(33)と、
上記ON/OFF信号、上記極性信号及び上記ピーク信号に基づいて、上記ON/OFFスイッチ(22)をOFFした時に交流電源電圧のプラスピークで上記リレー(6)にOFF信号を出力し、立ち下がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を終了させ、上記ON/OFFスイッチ(22)をONした時には交流電源電圧のプラスピークで上記リレー(6)にON信号を出力し、立ち下がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を開始させるように上記ON/OFF信号の出力を制御する出力制御回路(35)と、から構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
上記リレー(6)が上記商用電源(2)からの交流電源電圧の供給をゼロクロス点で切り換えるゼロクロス回路を有するとともに、上記タイミング制御回路(7)に上記リレー(6)を切り換えるON/OFF信号を出力するON/OFFスイッチ(22)が設けられており、
上記タイミング制御回路(7)が、
上記ON/OFFスイッチ(22)からのON/OFF信号の出力状態を保持する保持回路(34)と、
上記交流電源電圧のマイナスを検出して極性信号を出力する電源極性検出回路(32)と、
上記交流電源電圧のピークを検出してピーク信号を出力するピーク検出回路(33)と、
上記ON/OFF信号、上記極性信号及び上記ピーク信号に基づいて、上記ON/OFFスイッチ(22)をOFFした時に交流電源電圧のマイナスピークで上記リレー(6)にOFF信号を出力し、立ち上がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を終了させ、上記ON/OFFスイッチ(22)をONした時には交流電源電圧のマイナスピークで上記リレー(6)にON信号を出力し、立ち上がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を開始させるように上記ON/OFF信号の出力を制御する出力制御回路(35)と、から構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
上記タイミング制御回路(7)が、
上記ON/OFFスイッチ(22)のON端子とOFF端子にS端子とR端子が接続された第1のRSフリップフロップ(53)と、
上記商用電源(2)にトランス(21)を介して発光素子が接続され、NOT回路(47)の入力端子に受光素子が接続されたフォトカプラ(46)と、
上記トランス(21)にブリッジダイオード(41)を介してカソードが接続され、バッファ回路(51)の入力端子にアノードが接続された定電圧ダイオード(49)と、
上記NOT回路(47)の出力端子と上記バッファ回路(51)の出力端子に接続された2入力AND回路(54)と、2入力AND回路(54)の出力端子と上記第1のRSフリップフロップ(53)のQ端子に接続されたNAND回路(55)と、上記2入力AND回路(54)の出力端子と上記第1のRSフリップフロップ(53)の ̄Q端子に接続されたNAND回路(56)と、これら1組のNAND回路(55,56)の出力端子にS端子とR端子が接続された第2のRSフリップフロップ(57)と、
上記第2のRSフリップフロップ(57)のQ端子にベースが接続され、上記リレー(6)の入力回路にコレクタが接続されたNPNトランジスタ(58)と、を備えた
ことを特徴とする請求項2または3に記載の電源装置。
【請求項5】
上記商用電源(2)に電源投入または電源切断を切り換える電源スイッチ(23)が設けられており、
上記タイミング制御回路(7)が、
上記商用電源(2)からの交流電源電圧のプラスまたはマイナスを検出して極性信号を出力する電源極性検出回路(32)と、
上記電源スイッチ(23)による電源切断時に交流電源電圧の供給が停止したことを検出して電源OFF信号を出力する電源OFF検出回路(37)と、
上記電源スイッチ(23)による電源投入時に交流電源電圧の供給が開始したことを検出し、CPU初期設定時間が経過した後にリセット信号を出力する電源ON時リセット回路(38)と、
上記極性信号、上記電源OFF信号及び上記リセット信号に基づいて、上記電源スイッチ(23)による電源切断時の交流電源電圧の状態を記憶し、電源投入時には電源切断時に記憶された交流電源電圧の状態を再現するように上記リレー(6)のON/OFFを制御するCPU回路(39)と、
上記リセット信号に基づいて、上記CPU回路(39)の初期設定時間中の誤動作を防止し、上記リレー(6)がONした後に上記電源極性検出回路(32)、上記電源OFF検出回路(37)及び上記CPU回路(39)の誤動作により上記リレー(6)がOFFしないように制御する誤動作防止回路(40)と、から構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
【請求項6】
上記タイミング制御回路(7)が、
上記商用電源(2)にトランス(21)を介して発光素子が接続され、第1のNOT回路(47)の入力端子に受光素子が接続されたフォトカプラ(46)と、
上記商用電源(2)にトランス(21)を介して2個の発光素子が逆並列接続され、第2のNOT回路(62)に受光素子が接続されたAC入力対応フォトカプラ(61)と、
上記トランス(21)にブリッジダイオード(41)及び3端子レギュレータ(43)を介して接続されたコンデンサ(63)と、
上記コンデンサ(63)に接続されたバッファ回路(64,67)と、
上記第1のNOT回路(47)の出力端子、上記第2のNOT回路(62)の出力端子及び上記バッファ回路(64,67)の出力端子に入力端子が接続されたCPU(66)と、
上記CPU(66)の出力端子に接続されたNAND回路(68)と、
上記NAND回路(68)の出力端子にS端子が接続され、上記バッファ回路(64,67)の出力端子にR端子が接続されたRSフリップフロップ(69)と、
上記RSフリップフロップ(69)のQ端子にベースが接続され、上記リレー(6)の入力回路にコレクタが接続されたNPNトランジスタ(58)と、を備えた
ことを特徴とする請求項5に記載の電源装置。
【請求項7】
上記電気機器(3)の内部に、上記商用電源(2)からの交流電源電圧を定格電圧に変換して出力する電源トランス(8)と、電源トランス(8)からの定格電圧を整流平滑化して上記電気機器(3)に供給する整流平滑回路(9)とからなる電源回路(4)が設けられており、
上記電源装置(1)が、
上記リレー(6)と上記電源トランス(8)との間に直列接続されたチョークコイル(13)からなる力率改善回路(5)を備えた
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電源装置。
【請求項8】
上記力率改善回路(5)が、
上記チョークコイル(13)と上記電源トランス(8)との間に接続され、チョークコイル(13)の出力電圧を昇圧して上記電源トランス(8)に供給する昇圧トランス(14)を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の電源装置。
【請求項9】
上記力率改善回路(5)が、
上記チョークコイル(13)または上記昇圧トランス(14)に接続され、チョークコイル(13)の出力電圧または昇圧トランス(14)の出力電圧に応じてチョークコイル(13)のインダクタンス値を複数段階のうちの最適段階に切り換えてチョークコイル(13)の出力電圧を一定に保持するインダクタンス切換回路(15)を有する
ことを特徴とする請求項8に記載の電源装置。
【請求項10】
商用電源(2)から電気機器(3)に電力を供給する電源装置(1)において、商用電源(2)からの交流電源電圧の供給の開始と終了を切り換えるリレー(6)に接続されたタイミング制御回路(7)であって、
上記商用電源(2)の電源投入時に、前回の電源切断時に供給を終了した時の交流電源電圧の状態と同じ状態で交流電源電圧の供給を開始するように上記リレー(6)の切換タイミングを制御する
ことを特徴とする電源装置におけるタイミング制御回路。
【請求項11】
上記リレー(6)が上記商用電源(2)からの交流電源電圧の供給をゼロクロス点で切り換えるゼロクロス回路を有するとともに、上記タイミング制御回路(7)に上記リレー(6)を切り換えるON/OFF信号を出力するON/OFFスイッチ(22)が設けられた電源装置(1)におけるタイミング制御回路(7)であって、
上記ON/OFFスイッチ(22)からのON/OFF信号の出力状態を保持する保持回路(34)と、
上記交流電源電圧のプラスを検出して極性信号を出力する電源極性検出回路(32)と、
上記交流電源電圧のピークを検出してピーク信号を出力するピーク検出回路(33)と、
上記ON/OFF信号、上記極性信号及び上記ピーク信号に基づいて、上記ON/OFFスイッチ(22)をOFFした時に交流電源電圧のプラスピークで上記リレー(6)にOFF信号を出力し、立ち下がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を終了させ、上記ON/OFFスイッチ(22)をONした時には交流電源電圧のプラスピークで上記リレー(6)にON信号を出力し、立ち下がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を開始させるように上記ON/OFF信号の出力を制御する出力制御回路(35)と、から構成されている
ことを特徴とする請求項10に記載の電源装置におけるタイミング制御回路。
【請求項12】
上記リレー(6)が上記商用電源(2)からの交流電源電圧の供給をゼロクロス点で切り換えるゼロクロス回路を有するとともに、上記タイミング制御回路(7)に上記リレー(6)を切り換えるON/OFF信号を出力するON/OFFスイッチ(22)が設けられた電源装置(1)におけるタイミング制御回路(7)であって、
上記ON/OFFスイッチ(22)からのON/OFF信号の出力状態を保持する保持回路(34)と、
上記交流電源電圧のマイナスを検出して極性信号を出力する電源極性検出回路(32)と、
上記交流電源電圧のピークを検出してピーク信号を出力するピーク検出回路(33)と、
上記ON/OFF信号、上記極性信号及び上記ピーク信号に基づいて、上記ON/OFFスイッチ(22)をOFFした時に交流電源電圧のマイナスピークで上記リレー(6)にOFF信号を出力し、立ち上がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を終了させ、上記ON/OFFスイッチ(22)をONした時には交流電源電圧のマイナスピークで上記リレー(6)にON信号を出力し、立ち上がりのゼロクロス点で交流電源電圧の供給を開始させるように上記ON/OFF信号の出力を制御する出力制御回路(35)と、から構成されている
ことを特徴とする請求項10に記載の電源装置におけるタイミング制御回路。
【請求項13】
上記ON/OFFスイッチ(22)のON端子とOFF端子にS端子とR端子が接続された第1のRSフリップフロップ(53)と、
上記商用電源(2)にトランス(21)を介して発光素子が接続され、NOT回路(47)の入力端子に受光素子が接続されたフォトカプラ(46)と、
上記トランス(21)にブリッジダイオード(41)を介してカソードが接続され、バッファ回路(51)の入力端子にアノードが接続された定電圧ダイオード(49)と、
上記NOT回路(47)の出力端子と上記バッファ回路(51)の出力端子に接続された2入力AND回路(54)と、2入力AND回路(54)の出力端子と上記第1のRSフリップフロップ(53)のQ端子に接続されたNAND回路(55)と、上記2入力AND回路(54)の出力端子と上記第1のRSフリップフロップ(53)の ̄Q端子に接続されたNAND回路(56)と、これら1組のNAND回路(55,56)の出力端子にS端子とR端子が接続された第2のRSフリップフロップ(57)と、
上記第2のRSフリップフロップ(57)のQ端子にベースが接続され、上記リレー(6)の入力回路にコレクタが接続されたNPNトランジスタ(58)と、を備えた
ことを特徴とする請求項11または12に記載の電源装置におけるタイミング制御回路。
【請求項14】
上記商用電源(2)に電源投入または電源切断を切り換える電源スイッチ(23)が設けられた電源装置(1)におけるタイミング制御回路(7)であって、
上記商用電源(2)からの交流電源電圧のプラスまたはマイナスを検出して極性信号を出力する電源極性検出回路(32)と、
上記電源スイッチ(23)による電源切断時に交流電源電圧の供給が停止したことを検出して電源OFF信号を出力する電源OFF検出回路(37)と、
上記電源スイッチ(23)による電源投入時に交流電源電圧の供給が開始したことを検出し、CPU初期設定時間が経過した後にリセット信号を出力する電源ON時リセット回路(38)と、
上記極性信号、上記電源OFF信号及び上記リセット信号に基づいて、上記電源スイッチ(23)による電源切断時の交流電源電圧の状態を記憶し、電源投入時には電源切断時に記憶された交流電源電圧の状態を再現するように上記リレー(6)のON/OFFを制御するCPU回路(39)と、
上記リセット信号に基づいて、上記CPU回路(39)の初期設定中の誤動作を防止し、上記リレー(6)がONした後に上記電源極性検出回路(32)、上記電源OFF検出回路(37)及び上記CPU回路(39)の誤動作により上記リレー(6)がOFFしないように制御する誤動作防止回路(40)と、から構成されている
ことを特徴とする請求項10に記載の電源装置におけるタイミング制御回路。
【請求項15】
上記商用電源(2)にトランス(21)を介して発光素子が接続され、第1のNOT回路(47)の入力端子に受光素子が接続されたフォトカプラ(46)と、
上記商用電源(2)にトランス(21)を介して2個の発光素子が逆並列接続され、第2のNOT回路(62)に受光素子が接続されたAC入力対応フォトカプラ(61)と、
上記トランス(21)にブリッジダイオード(41)及び3端子レギュレータ(43)を介して接続されたコンデンサ(63)と、
上記コンデンサ(63)に接続されたバッファ回路(64,67)と、
上記第1のNOT回路(47)の出力端子、上記第2のNOT回路(62)の出力端子及び上記バッファ回路(64,67)の出力端子に入力端子が接続されたCPU(66)と、
上記CPU(66)の出力端子に接続されたNAND回路(68)と、
上記NAND回路(68)の出力端子にS端子が接続され、上記バッファ回路(64,67)の出力端子にR端子が接続されたRSフリップフロップ(69)と、
上記RSフリップフロップ(69)のQ端子にベースが接続され、上記リレー(6)の入力回路にコレクタが接続されたNPNトランジスタ(58)と、を備えた
ことを特徴とする請求項14に記載の電源装置におけるタイミング制御回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2009−176263(P2009−176263A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61449(P2008−61449)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(591264496)日本▲まき▼線工業株式会社 (13)
【Fターム(参考)】