説明

高圧処理装置

【課題】被処理体の表面上に処理流体が滞留するのを防止して表面処理の均一性を向上させることができる高圧処理装置を提供する。
【解決手段】回転軸J回りに回転駆動される基板Wに対して噴出管5から噴出されるSCCO2が基板Wの表面に平行に供給される。噴出管5は回転軸Jに平行な回動軸K回りに回動自在に設けられており、コントローラ4からの制御指令に基づき、サーボモータ73が作動することで噴出管5が回動駆動される。これにより、噴出管5からのSCCO2の噴出方向が変更可能となっている。このため、基板Wの表面処理のプロセス条件に応じてSCCO2の噴出方向を自在に調整することができ、基板Wの表面上におけるSCCO2の滞留を防止して表面処理の均一性を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、高圧流体あるいは高圧流体と薬剤との混合物を処理流体として用いて基板などの被処理体の表面に所定の表面処理(洗浄処理、リンス処理や乾燥処理など)を施す高圧処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造プロセスの中でレジストを用いてパターン形成する場合、パターン形成後に不要となるレジストや、エッチングの時に生成して基板上に残存してしまうエッチングポリマー等の不要物・汚染物質を基板から除去するための洗浄工程が必須工程となる。そこで、処理流体を基板などの被処理体の表面に接触させて該被処理体に対して洗浄処理や乾燥処理などの表面処理を施す高圧処理装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
例えば特許文献1記載の高圧処理装置では、圧力容器の内部に設けられた処理チャンバー内に基板を水平姿勢で保持しながら基板の側方に固定配置された供給管から処理流体を基板表面に平行に流している。また、処理流体の供給と同時に基板を回転させることで基板表面での処理流体の流速を増長させることにより、表面処理の効率の向上を図っている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−151896号公報(図8、図10)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、基板表面上での処理流体の挙動が処理プロセスに大きな影響を及ぼすことは良く知られているが、これをさらに詳細に検討すると、回転駆動される基板の表面に対する処理流体の流れ方向が処理プロセスの影響因子として挙げられる。したがって、このような観点を考慮した上で、基板表面上での処理流体の置換性を良好に満足させながら基板表面の処理の均一性を向上させていくことが重要となっている。
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の高圧処理装置では、単に基板の側方に固定配置された供給管から処理流体を基板表面に沿って平行に流しているため、次のような問題が発生することがあった。すなわち、基板表面に平行に、しかも一定の方向から基板表面に処理流体が供給されている状態で基板が回転駆動されると、基板表面上の処理流体が基板の回転による影響を受けて流れが歪められる。その結果、図9に示すように、基板の回転中心付近の処理流体が基板外に排出されるのが阻害され、基板表面上に滞留してしまうことがあた。そして、このように基板表面上に処理流体が部分的に滞留してしまうと、処理流体が滞留した表面部位での表面処理の進行が他の表面部位に対して遅れてしまう。その結果、基板表面の処理の均一性が損なわれていた。
【0007】
この発明は上記課題に鑑みなされたものであり、被処理体の表面上に処理流体が滞留するのを防止して表面処理の均一性を向上させることができる高圧処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
「発明が解決しようとする課題」の項で説明したように、被処理体の表面に平行に流れる処理流体が被処理体の回転による影響を受けて被処理体の表面上で処理流体が部分的に滞留する場合があるのであれば、図10に示すように、被処理体に向けて噴出される処理流体の噴出方向を予め調整しておくことが考えられる。すなわち、回転駆動される被処理体の表面上で処理流体が滞留しないように被処理体に向けて噴出される処理流体の噴出方向を被処理体の回転方向に応じて予め調整しておくことが考えられる。これにより、被処理体の表面上での処理流体の置換性を向上させることが可能となる。
【0009】
しかしながら、処理チャンバー内で処理流体を噴出させる噴出方向を固定してしまうと、種々のプロセス条件に対応することができない。というのも、被処理体の表面処理のプロセス条件が異なれば、処理流体の流れの歪められ方も変化してしまうからである。例えば、被処理体の回転数が異なれば、処理流体の流れが歪められる度合いが変化してしまう。また、処理流体を用いている関係上、処理チャンバー内の温度および圧力に応じて流体の粘性も変わってしまう。そのため、処理チャンバー内の温度および圧力を変化させると、処理流体の流れの歪められ方も変化してしまう。したがって、被処理体の表面上で処理流体が滞留しないようにするためには、被処理体の表面処理のプロセス条件に応じて処理流体の噴出方向を変化させる必要がある。
【0010】
そこで、本願にかかる高圧処理装置は、上記した知見に基づいて、被処理体の表面上に処理流体が滞留するのを防止して表面処理の均一性を向上させる観点から、次のように構成されている。
【0011】
この発明にかかる高圧処理装置は、高圧流体あるいは高圧流体と薬剤との混合物を処理流体として用いて圧力容器の内部に配置された被処理体の表面に対して所定の表面処理を施す高圧処理装置であって、上記目的を達成するため、圧力容器の内部で被処理体を保持する保持手段と、保持手段により保持されている被処理体を所定の回転軸回りに回転させる回転手段と、回転軸と平行な回動軸回りに回動自在に設けられるとともに、処理流体を噴出して被処理体に対して処理流体を被処理体の表面に平行に供給する流体供給手段と、流体供給手段を回動駆動して流体供給手段からの処理流体の噴出方向を変更させる駆動手段とを備えたことを特徴としている。
【0012】
このように構成された発明によれば、処理流体を噴出して被処理体に対して処理流体を被処理体の表面に平行に供給する流体供給手段が被処理体の回転軸と平行な回動軸回りに回動自在に設けられており、駆動手段により回動駆動されることで流体供給手段からの処理流体の噴出方向を変更させることが可能となっている。このため、被処理体の表面処理のプロセス条件に応じて処理流体の噴出方向を自在に変化させることができる。したがって、被処理体の表面上における処理流体の滞留を防止して表面処理の均一性を向上させることができる。ここで、流体供給手段は、回動軸方向に延設されるとともに圧力容器に対して回動軸回りに回動自在に軸支された噴出管を有し、噴出管の側面に形成された噴出口から処理流体を噴出し、駆動手段は噴出管を回動駆動して噴出管からの処理流体の噴出方向を変更させるように構成してもよい。
【0013】
また、噴出管を1個だけ設けるようにしてもよいし、複数の噴出管を被処理体の径方向外方に被処理体の回転方向に沿って設けるようにしてもよい。後者の場合には、複数の噴出管を被処理体を挟んで被処理体の周端面に対向する圧力容器の両周壁のうち、一方の周壁の内周側に設けてもよい。この構成によれば、複数の噴出管からの処理流体を全体として圧力容器の両周壁のうち一方の周壁側から他方の周壁側に向けて流通させることができ、被処理体上の処理流体を良好に置換することができる。さらに、駆動手段は複数の噴出管に1対1に対応して設けられた複数の駆動部を有し、複数の駆動部の各々は独立して噴出管を回動駆動することで噴出管からの処理流体の噴出方向を変更させるのが好ましい。この構成によれば、被処理体の表面における処理流体の流れをきめ細かく制御することができ、表面処理の均一性をさらに向上させることができる。
【0014】
また、被処理体が基板である場合には、保持手段は圧力容器の内部に1枚の基板を保持してもよいし、複数の基板を保持するようにしてもよい。後者の場合には、保持手段は、複数の基板を互いに離間し、しかも互いに整列された状態で保持し、噴出管は基板の整列方向に沿って並んで開口された複数の噴出孔を有し、各噴出孔から処理流体を噴出して複数基板の各々の表面に平行に処理流体を供給するように構成してもよい。この構成によれば、各基板の表面上における処理流体の滞留を防止しながら複数基板に対して処理流体を用いて一括して表面処理を施すことができる。
【0015】
また、圧力容器の周壁に、被処理体の表面に供給された処理流体を圧力容器の外部に排出する流体排出路を形成してもよい。この場合、被処理体の表面における処理流体の置換性を向上させる観点からは、流体排出路は被処理体を挟んで流体供給手段の反対側に形成するのが好ましい。
【0016】
なお、本発明における「被処理体の表面」とは、表面処理を施すべき面を意味しており、「被処理体」が例えば半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板などの各種基板である場合、その基板の両主面のうち回路パターンなどが形成された一方主面に対して表面処理を施す必要がある場合には、該一方主面が本発明の「被処理体の表面」に相当する。また、他方主面に対して表面処理を施す必要がある場合には、該他方主面が本発明の「被処理体の表面」に相当する。もちろん、両面実装基板のように両主面に対して表面処理を施す必要がある場合には、両主面が本発明の「被処理体の表面」に相当する。
【0017】
また、「被処理体」としては、半導体基板に限定されず、金属、プラスチック、セラミックス等の各種基材の上に、異種物質の非連続または連続層が形成もしくは残留しているようなものが含まれる。
【0018】
また、本発明における「表面処理」とは、例えばレジストが付着した半導体基板のように汚染物質が付着している被処理体から汚染物質を剥離・除去する洗浄処理が代表例としてあげられる。また、洗浄処理に限られず、処理流体を用いて、被処理体の表面から不要な物質を除去する処理(例えば、乾燥、リンス等)は、全て本発明の高圧処理装置の対象とすることができる。
【0019】
また、本発明において、用いられる高圧流体としては、安全性、価格、超臨界状態にするのが容易、といった点で、二酸化炭素が好ましい。二酸化炭素以外には、水、アンモニア、亜酸化窒素、エタノール等も使用可能である。高圧流体を用いるのは、拡散係数が高く、溶解した汚染物質を媒体中に分散することができるためであり、その高圧流体を超臨界流体にした場合には、気体と液体の中間の性質を有するようになり、拡散係数は気体に近づき、微細なパターン部分にもよく浸透することができる。また、高圧流体の密度は、液体に近く、気体に比べて遥かに大量の助剤を含むことができる。
【0020】
ここで、本発明における「高圧流体」とは、1MPa以上の圧力の流体である。好ましく用いることのできる高圧流体は、高密度、高溶解性、低粘度、高拡散性の性質が認められる流体であり、さらに好ましいものは超臨界状態または亜臨界状態の流体である。二酸化炭素を超臨界流体とするには31.1℃、7.4MPa以上とすればよい。洗浄並びに洗浄後のリンス工程や乾燥・現像工程等は、5〜30MPaの亜臨界流体または超臨界流体(高圧流体)を用いることが好ましく、7.4〜30MPaの下でこれらの処理を行うことがより好ましい。
【発明の効果】
【0021】
この発明にかかる高圧処理装置によれば、処理流体を噴出して被処理体に対して処理流体を被処理体の表面に平行に供給する流体供給手段が被処理体の回転軸と平行な回動軸回りに回動駆動されることで流体供給手段からの処理流体の噴出方向を変更させることができる。このため、被処理体の表面処理のプロセス条件に応じて処理流体の噴出方向を自在に変化させることができ、被処理体の表面上における処理流体の滞留を防止して表面処理の均一性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
<第1実施形態>
図1はこの発明にかかる高圧処理装置の第1実施形態を示す図である。図2は図1の高圧処理装置のA−A’断面図である。この高圧処理装置は、圧力容器1の内部に形成される処理チャンバー11に処理流体として超臨界二酸化炭素(以下「SCCO2」という)を導入し、処理チャンバー11において保持されている略円形の半導体ウエハなどの基板Wに対して所定の洗浄処理、リンス処理および乾燥処理などの表面処理を行う装置である。以下、その構成および動作について詳細に説明する。
【0023】
圧力容器1の内部、つまり処理チャンバー11には、基板Wを略水平姿勢で保持する基板保持部3(本発明の「保持手段」に相当)が配置されている。基板保持部3は、その上面に設けられた吸着口(図示省略)により表面処理(高圧処理)を施すべき表面を上向きにした状態で基板Wの裏面の中央部を吸着保持可能となっている。なお、基板保持部3による基板Wの保持は吸着に限られるものではなく、メカ的に保持する構成でもよい。
【0024】
また、基板保持部3は、モータ31の駆動により鉛直方向にほぼ平行な回転軸J回りに回転可能に構成されている。すなわち、基板保持部3には駆動軸32が取り付けられており、この駆動軸32は圧力容器1に設けられた軸通路を通って圧力容器1外に延設され、モータ31に連結されている。そして、装置全体を制御するコントローラ4からの制御指令に基づきモータ31が駆動されると、基板保持部3が回転方向R(この実施形態では、時計回り方向)に回転するように構成されている。このように、この実施形態では、モータ31が本発明の「回転手段」として機能する。
【0025】
また、圧力容器1の上面周縁部には処理チャンバー11に高圧流体を導入するための導入路12が設けられており、この導入路12の上流側に高圧流体供給部2が接続されている。高圧流体供給部2は、本発明の「高圧流体」としてSCCO2を処理チャンバー11に向けて圧送するものである。処理チャンバー11は基板Wが処理される処理空間11Aと、基板Wの径方向外方に形成され処理空間11Aに隣接する導入空間11Bとを有し、高圧流体供給部2からのSCCO2が導入空間11Bに導入される。すなわち、導入路12の下流側は導入空間11Bに接続され、導入路12を介して高圧流体供給部2から圧送されるSCCO2が導入空間11Bに導入される。導入空間11BにはSCCO2を基板Wに向けて噴出する噴出管5(本発明の「流体供給手段」に相当)が回転軸Jと平行な回動軸K回りに回動自在に配置されている。
【0026】
この実施形態では、図2に示すように、噴出管5を配置した導入空間11Bが基板Wの回転方向Rに沿って処理空間11Aの周りに複数個(5個)形成されている。つまり、噴出管5が基板Wの径方向外方に回転方向Rに沿って複数個設けられている。しかも、複数の噴出管5は基板Wを挟んで基板Wの周端面に対向する圧力容器1の両周壁(側壁)1a,1bのうち、一方の側壁1aの内周側に設けられている。この構成によれば、複数の噴出管5からのSCCO2を全体として圧力容器1の両側壁1a,1bのうち一方の側壁1a側から他方の側壁1b側に向けて流通させることができ、基板表面上のSCCO2を良好に置換することができる。
【0027】
また、圧力容器1の両側壁1a,1bのうち、基板Wを挟んで噴出管5の反対側に位置する圧力容器1の側壁1bには、流体排出路13が形成されており、この流体排出路13を介して処理チャンバー11(処理空間11A)が貯留部6に連通している。この実施形態では、各噴出管5に対応して複数(5本)の流体排出路が圧力容器1の側壁1bに形成されているが、1本の流体排出路を介して処理チャンバー11と貯留部6とを連通してもよい。貯留部6としては、例えば気液分離容器等を設ければ良く、気液分離容器を用いてSCCO2を気体部分と液体部分とに分離し、別々の経路を通して廃棄する。あるいは、各成分を回収(および必要により精製)して再利用してもよい。なお、気液分離容器により分離された気体成分と液体成分は、別々の経路を通して系外へ排出してもよい。また、この実施形態では、高圧処理装置が貯留部6を備えているが、装置が貯留部を備えずに、例えば装置外に設けられた貯留部を利用するようにしてもよい。
【0028】
そして、処理チャンバー11と貯留部6との間には、圧力調整弁(図示せず)が介装されており、コントローラ4からの制御指令に基づき圧力調整弁が開くと、処理チャンバー11内のSCCO2などが貯留部6に排出される一方、圧力調整弁が閉じられると、処理チャンバー11にSCCO2を閉じ込めることができる。また、圧力調整弁の開閉制御により処理チャンバー11内の圧力を調整することも可能である。
【0029】
次に、図3を参照して、噴出管5について詳述する。図3は図1の高圧処理装置の要部を示す図である。噴出管5は圧力容器1の側壁1aに回動軸K回りに回動自在に軸支されている。すなわち、噴出管5の中央および上端部は導入空間11B内に配置される一方、下端部は圧力容器1の外部に延設されている。そして、噴出管5の上端部と圧力容器1の側壁1aの内周面との間にはベアリング71が圧入されており、噴出管5はベアリング71を介して圧力容器1に支持されながら回動軸K回りに回動可能となっている。噴出管5の下端にはギヤ72が取り付けられており、サーボモータ73の駆動軸に固定されたピニオン74とギヤ72とが噛合している。このため、サーボモータ73を駆動してピニオン74を回転(順方向または逆方向に回転)させると、ピニオン74に噛合しているギヤ72が回転して噴出管5が回動軸K回りに回動する。コントローラ4は複数の噴出管5に1対1に対応したサーボモータ73を独立に駆動して各噴出管5からのSCCO2の噴出方向を独立して制御することができる。このように、この実施形態では、サーボモータ73が本発明の「駆動手段」として機能する。
【0030】
圧力容器1の底部には噴出管5の下端部を包囲するようにフランジ75が取り付けられている。噴出管5はギヤ72が下端に取り付けられた軸部の上方に軸部の径よりも大きなベース部を有しており、ベース部がフランジ75上に配置されている。噴出管5(ベース部)とフランジ75との間にはシール部材76が噴出管5の周囲全周にわたって設けられており、シール部材76により処理チャンバー11(導入空間11B)が密閉される。
【0031】
噴出管5は回動軸Kが延びる方向に延設された有底筒状に形成されている。すなわち、噴出管5の内部はSCCO2が流通する流路51を形成し、流路51の上端(噴出管5の上面)が導入路12に向けて開口する一方、流路51の下端が塞がれている。また、噴出管5の側面には、回動軸Kが延びる方向に対して直交する方向に向けて開口した噴出孔52が穿設されており、噴出孔52を介して流路51と処理空間11Aとが連通している。したがって、流路51の上端に送り込まれてくるSCCO2は、噴出孔52から処理空間11Aに配置された基板Wに向けて噴出される。すなわち、処理空間11A内に水平姿勢で配置された基板Wに向けてSCCO2が噴出され、基板Wに対してSCCO2が基板Wの表面に平行に供給される。
【0032】
導入空間11Bの上部、つまり導入路12と噴出管5の上面との間には流体溜部14が形成されている。そして、高圧流体供給部2からのSCCO2は流体溜部14を介して噴出管5の上面開口部(流路51の上端)に送り込まれる一方、SCCO2の一部がラビリンス機構15に送り込まれる。ここで、ラビリンス機構とは、非接触型のシール機構であり、2つの部材の凹凸を組み合わせてそれらの間を小さな隙間通路としたシール機構である。これにより、ラビリンス機構15の凹凸部がSCCO2の通過を抑制する流体抵抗として働き、ラビリンス機構15の上部空間と下部空間との間で差圧が発生する。この場合、高圧流体供給部2からのSCCO2が供給される、ラビリンス機構15の上部空間の方がラビリンス機構15の下部空間に比べて圧力が高く、ラビリンス機構15の上部空間からラビリンス機構15の下部空間へと至るSCCO2の流れが形成されている。このため、ベアリング71(摺動部)で発生したパーティクルがラビリンス機構15の上部空間に流入するのを防止することができる。
【0033】
ベアリング71の下方であって、圧力容器1の側壁1aの内周面(導入空間11Bを形成する壁面)と噴出管5の外周面との間には、ラビリンス機構15と同様な構造を有するラビリンス機構16,17が形成されている。ベアリング71とラビリンス機構16との間に形成された空間はリーク通路18を介して圧力容器1の外部空間と連通している。ここで、ラビリンス機構16の上部空間の圧力よりもラビリンス機構16の下部空間の圧力の方が高く、ラビリンス機構16の下部空間からラビリンス機構16の上部空間へと至るSCCO2の流れが形成されている。これにより、ベアリング71で発生したパーティクルがラビリンス機構16の下部空間に拡散するのを防止することができる。ベアリング71とラビリンス機構16との間に形成された空間にはベアリング71で発生したパーティクルが存在するが、当該パーティクルはリーク通路18を介して系外(圧力容器1の外部空間)に排出される。
【0034】
また、ラビリンス機構17とシール部材76との間に形成された空間はリーク通路19を介して圧力容器1の外部空間と連通している。ここで、ラビリンス機構17の下部空間の圧力よりもラビリンス機構17の上部空間の圧力の方が高く、ラビリンス機構17の上部空間からラビリンス機構17の下部空間へと至るSCCO2の流れが形成されている。これにより、シール部材76(摺動部)で発生したパーティクルがラビリンス機構17の上部空間に拡散するのを防止することができる。ラビリンス機構17とシール部材76との間に形成された空間にはシール部材76で発生したパーティクルが存在するが、当該パーティクルはリーク通路19を介して系外(圧力容器1の外部空間)に排出される。
【0035】
フランジ75の下方であって、噴出管5の下端部(軸部)の周囲にはラビリンス機構20が形成されている。ここで、ラビリンス機構20の下部空間の圧力よりもラビリンス機構20の上部空間の圧力の方が高く、ラビリンス機構20の上部空間からラビリンス機構20の下部空間へとシール部材76を通じてわずかに漏れてきたSCCO2の流れが形成されている。このため、シール部材76で発生したパーティクルはラビリンス機構20を通じて系外(圧力容器1の外部空間)に排出される。
【0036】
以上のような構成により、噴出管5を回動軸K回りに回動自在にしながらも、ベアリング71およびシール部材76で発生したパーティクルが処理チャンバー11(処理空間11A)に流入するのを防止することができる。
【0037】
次に、上記のように構成された高圧処理装置の動作について図1ないし図4を参照しつつ説明する。図4は図1の高圧処理装置の動作を示す模式図である。基板Wを処理チャンバー11に対して搬入出させるための開口部(図示せず)を開いた状態で、産業用ロボット等のハンドリング装置や搬送機構により被処理体たる基板Wが1枚、処理チャンバー11の処理空間11Aにローディングされ、基板保持部3に基板Wが保持されると、開口部を閉じて処理準備を完了する。それに続いて、高圧流体供給部2からのSCCO2圧送を開始すると、導入路12および流体溜部14を介して噴出管5の上面開口部(流路51の上端)にSCCO2が送り込まれる。そして、噴出管5の内部に形成された流路51に沿ってSCCO2が流通し、噴出孔52から処理空間11Aに配置された基板Wに向けてSCCO2が噴出する。これにより、基板Wの表面に平行にSCCO2が供給される。このとき、圧力調整弁をコントローラ4からの開閉指令に応じて開閉制御することで、処理チャンバー11内の圧力が所定値(例えば20MPa)に保たれる。なお、この開閉制御による圧力調整は後で説明する減圧処理が完了するまで継続される。また、高圧流体供給部2からの処理チャンバー11へのSCCO2圧送開始と同時またはそれに引き続いて、モータ31を駆動して基板Wを回転させる。
【0038】
このようにSCCO2送給の開始により洗浄工程が始まるが、このときSCCO2の送給は連続的に行う。また、この実施形態では、基板Wの表面におけるSCCO2の置換性を良好にするために、以下のようにサーボモータ73を駆動して噴出管5を回動軸K回りに回動させる。すなわち、基板Wの回転が停止した状態では、基板Wの表面上でSCCO2が圧力容器1の両側壁の一方側(噴出管5が配置された側)から他方側にかけて(図4の左側から右側にかけて)直線状に流れていく(図4(a))。しかしながら、基板Wが回転駆動されると、「発明が解決しようとする課題」の項で説明したように、基板表面上のSCCO2が基板Wの回転による影響を受けてSCCO2の流れが歪められる。その結果、基板Wの回転中心付近のSCCO2が基板外に排出されるのが阻害され、基板表面上にSCCO2が滞留してしまうことがあった(図9)。
【0039】
これに対し、この実施形態では、プロセス条件のひとつである基板Wの回転数に応じて各噴出管5から噴出されるSCCO2の噴出方向を変化させている。すなわち、基板Wの回転数が大きくなるにしたがって基板表面上のSCCO2の流れが歪められる度合いも大きくなる。そこで、この実施形態では、基板Wの回転数の高低に応じて各噴出管5を回動させる角度(回動角)を調整し、各噴出管5から噴出されるSCCO2の噴出方向を変化させている。なお、この実施形態では、基板Wを回転方向R(時計回り方向)に回転させているので、基板表面上にSCCO2が滞留するのを防止する観点から、各噴出管5を基板Wの回転数に応じた所定の角度だけ時計回り方向、つまり基板Wの回転方向Rと同方向に回動させている。
【0040】
具体的には、例えば、基板Wが比較的低速に回転駆動される場合には、図4(a)に示す状態から各噴出管5を基板Wの回転数(低回転数)に応じた比較的小さな回動角で時計回り方向に回動させる。これにより、図4(b)に示すように、各噴出管5からのSCCO2の噴出方向が各噴出管5の回動角に応じて変化する。また、基板Wが比較的高速に回転駆動される場合には、図4(a)に示す状態から各噴出管5を基板Wの回転数(高回転数)に応じた比較的大きな回動角で時計回り方向に回動させる。つまり、図4(b)に示す状態から各噴出管5を時計回り方向にさらに回動させる。これにより、図4(c)に示すように、各噴出管5からのSCCO2の噴出方向が各噴出管5の回動角に応じて変化する。
【0041】
このように、基板Wの回転数に応じて各噴出管5から噴出されるSCCO2の噴出方向を変化させているので、基板表面上にSCCO2が部分的に滞留してしまうのを抑制し、基板表面におけるSCCO2の置換性を向上させることができる。その結果、基板表面を均一に処理することができる。なお、基板表面から除去された不要物質を随伴させたSCCO2は流体排出路13を通って貯留部6へ送られる。
【0042】
また、各噴出管5からのSCCO2の噴出方向は基板Wの回転数のほか、処理チャンバー11内の温度および圧力等のプロセス条件によっても調整される。というのも、処理チャンバー11内の温度および圧力に応じて流体の粘性も変わってしまい、SCCO2の流れの歪められ方も変化するからである。したがって、基板Wの表面上でSCCO2が滞留するのを防止するためには、基板Wの表面処理(洗浄処理)のプロセス条件に応じてSCCO2の噴出方向を変化させる必要がある。
【0043】
そして、洗浄工程が完了すると、SCCO2圧送を停止し、基板Wの回転を停止する。また、圧力調整弁の開閉を制御することで処理チャンバー11内を常圧に戻す。この減圧過程において、処理チャンバー11内に残留するSCCO2は気体になって蒸発するので、基板Wの表面にシミ等が発生するなどの不具合を発生させることなく、基板Wを乾燥させることができる。しかも、近年、基板表面に微細パターンが形成されることが多く、乾燥処理の際に微細パターンが破壊されるという問題がクローズアップされているが、減圧乾燥を用いることで上記問題を解消することができる。
【0044】
そして、処理チャンバー11が常圧に戻ると、処理チャンバー11を開き、産業用ロボット等のハンドリング装置や搬送機構により洗浄処理済みの基板Wをアンロードする。こうして、一連の表面処理、つまり洗浄処理+乾燥処理が完了する。そして、次の未処理の基板Wが搬送されてくると、上記動作が繰り返されていく。
【0045】
以上のように、この実施形態によれば、回転軸J回りに回転駆動される基板Wに対して噴出管5から噴出されるSCCO2が基板Wの表面に平行に供給される。噴出管5は回転軸Jに平行な回動軸K回りに回動自在に設けられており、コントローラ4からの制御指令に基づき噴出管5が回動駆動されることで噴出管5からのSCCO2の噴出方向を変更させることが可能となっている。このため、基板Wの表面処理のプロセス条件に応じてSCCO2の噴出方向を自在に調整することができる。したがって、基板Wの表面上におけるSCCO2の滞留を防止して表面処理の均一性を向上させることができる。
【0046】
また、この実施形態によれば、基板Wの回転方向Rに沿って複数の噴出管5を配置するとともに、複数の噴出管5に1対1に対応して設けられた複数のサーボモータ73の各々が独立して噴出管5を回動駆動している。このため、複数の噴出管5からのSCCO2の噴出方向を各噴出管5ごとに自在に変更することができる。これにより、基板Wの表面におけるSCCO2の流れをきめ細かく制御することができ、表面処理の均一性をさらに向上させることができる。
【0047】
<第2実施形態>
図5はこの発明にかかる高圧処理装置の第2実施形態を示す図である。図5に示す高圧処理装置は、基板保持部3A(本発明の「保持手段」に相当)によって複数枚の基板Wを同時に保持しながら各基板Wに対して所定の表面処理(洗浄処理、リンス処理および乾燥処理など)を実行する、いわゆるバッチ方式の高圧処理装置であり、この点で図1に示す枚葉方式の高圧処理装置と大きく異なる。なお、その他の構成および動作は基本的に第1実施形態と同様であるため、ここでは同一符号を付して説明を省略する。
【0048】
この実施形態では、処理チャンバー11内で複数の基板Wが互いに離間し、しかも互いに積層(鉛直方向に整列)された状態で基板保持部3Aにより保持されている。基板保持部3Aは、鉛直方向に延設された、複数基板Wの各々を略水平姿勢で保持するための複数本、例えば3本の保持柱301と、3本の保持柱301をそれぞれ連結して固定する支持板302とを有している。支持板302は駆動軸303により鉛直軸回りに回転自在に支持されている。駆動軸303はモータ304(本発明の「回転手段」に相当)に連結されており、モータ304が駆動されると、基板保持部3Aが回転軸J回りに回転するように構成されている。
【0049】
基板保持部3Aにより保持された複数の基板Wの側方には、噴出管5Aが回転軸Jに平行な回動軸K回りに回動自在に軸支されている。すなわち、噴出管5Aと圧力容器1の側壁1aの内周面との間にはベアリング701が圧入されており、噴出管5Aはベアリング701を介して圧力容器1に支持されながら回動軸K回りに回動可能となっている。そして、コントローラ4からの作動指令に応じてサーボモータ703が作動することで、噴出管5Aが回動軸K回りに回動駆動される。この実施形態では、このような噴出管5Aが基板Wの径方向外方に基板Wの回転方向に沿って複数個設けられている。
【0050】
また、噴出管5Aの側面には複数基板Wに対応して基板Wの整列方向(積層方向)に沿って並んで開口された複数の噴出孔501が形成されている。複数の噴出孔501の各々は、噴出管5Aの側面に穿設されており、各噴出孔501から複数基板Wに向けてSCCO2を噴出することが可能となっている。各噴出孔501は噴出管5Aの内部に形成された流路502に接続されている。このため、高圧流体供給部2から流路502にSCCO2が圧送されると、各噴出孔501からSCCO2が噴出され、複数基板Wの各々の表面に平行にSCCO2が供給される。なお、噴出管5Aの詳細な構成は、先の実施形態で図3に示したものと同様とすることができる。
【0051】
以上のように、この実施形態によれば、噴出管5Aを回動駆動させることで噴出管5AからのSCCO2の噴出方向を変更させることができる。このため、いずれの基板Wにおいても、第1実施形態と同様な作用効果が得られる。すなわち、各基板Wに対応して設けられた複数の噴出孔501からのSCCO2の噴出方向を変更させることが可能となっている。このため、基板Wの表面処理のプロセス条件に応じてSCCO2の噴出方向を自在に調整することができる。したがって、各基板Wの表面上におけるSCCO2の滞留を防止して表面処理の均一性を向上させることができる。しかも、複数基板Wに対してSCCO2を用いて一括して表面処理を施すことができ、装置のスループットを大幅に向上させることができる。
【0052】
<その他>
なお、本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記第1実施形態では、サーボモータ73の作動によりサーボモータ73の駆動軸に固定されたピニオン74に噛合されたギヤ72を回動させることによって噴出管5を回動駆動させているが、噴出管5の回動駆動させるための駆動機構はこれに限定されない。例えば、図6に示すように磁力を利用して噴出管5を回動駆動させてもよい(第3実施形態)。
【0053】
図6はこの発明にかかる高圧処理装置の第3実施形態を示す図である。図6に示すように噴出管5の下端には、円柱状の回動軸81が連結部材82を介して連結されている。回動軸81は後述するように回動軸K回りに回動自在に設けられている。回動軸81の外周面には、周方向に磁化(周方向にS極とN極の磁極が配置)した永久磁石81aが装着されている。また、回動軸81の周囲には回動軸81を包囲するように、有底の円筒状部材83が圧力容器1の底部に固設されている。円筒状部材83の内周面には永久磁石81aと対向するように複数の電磁石83aが回動軸Kを中心として放射状に略等角度間隔で装着されている。各電磁石83aは、励磁部83bからの信号によって励磁され、S極またはN極に選択的に磁化されることが可能となっている。そして、コントローラ4からの制御指令に応じて励磁部83bを作動させることで、励磁された電磁石83aと永久磁石81aとの間に作用する磁力によって回動軸81は円筒状部材83に対して非接触状態で回動方向(順方向または逆方向)に所定の角度だけ回動駆動される。これによって回動軸81に連結された噴出管5が回動軸K回りに所定の角度だけ回動(順方向または逆方向に回動)する。このように、この実施形態では、励磁部83bが本発明の「駆動手段」として機能する。
【0054】
回動軸81の底面と円筒状部材83の内周面との間にはベアリング84が圧入されており、噴出管5はベアリング84を介して回動軸K回りに回動自在に軸支されている。また、磁石81a,83aの上方であって、回動軸81の外周面と円筒状部材83との内周面との間にはラビリンス機構85が形成されている。このラビリンス機構85は、第1実施形態において説明したラビリンス機構15と同様な構造を有する。円筒状部材83の底部にはリーク通路86が形成されており、ラビリンス機構85の下方側であって回動軸81と円筒状部材83とに挟まれた空間はリーク通路86を介して圧力容器1の外部空間と連通している。ここで、ラビリンス機構85の下部空間よりもラビリンス機構85の上部空間の方が圧力が高く、ラビリンス機構85の上部空間からラビリンス機構85の下部空間へと至るSCCO2の流れが形成されている。これにより、ベアリング84で発生したパーティクルがラビリンス機構85の上部空間に拡散するのを防止することができる。つまり、回動軸81と円筒状部材83とに挟まれた空間にはベアリング84で発生したパーティクルが存在するが、当該パーティクルはリーク通路86を介して系外(圧力容器1の外部空間)に排出される。
【0055】
また、上記第2実施形態でも、第3実施形態と同様にして、サーボモータ703の作動に代えて磁力を利用して噴出管5Aを回動駆動させてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、噴出管5,5Aを基板Wの径方向外方に複数個配置しているが、図7に示すように、噴出管5,5Aを基板Wの径方向外方に1個だけ配置するようにしてもよい。この場合でも、基板Wの表面処理のプロセス条件に応じて噴出管5,5AからのSCCO2の噴出方向を自在に調整することで基板Wの表面を均一にして処理することができる。
【0057】
また、上記実施形態では、噴出管5,5Aの側面に噴出孔を穿設して該噴出孔からSCCO2を噴出させているが、噴出管5,5AからのSCCO2の噴出方法はこれに限定されない。例えば、図8に示すように、噴出管5,5Aの管壁から水平方向(回動軸Kが延びる方向に直交する方向)にノズル55を延設し、ノズル55の先端に開口された噴出孔55aからSCCO2を噴出させてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、処理流体としてSCCO2(本発明の「高圧流体」に相当)を単独で用いて、表面処理を実行しているが、これに限られず、SCCO2と薬剤(添加剤)との混合物を処理流体として用いて表面処理を実行するようにしてもよい。
【0059】
なお、上記実施形態では、基板Wを水平に保持して処理するように処理チャンバー11を水平に設置した場合について説明しているが、これに限られず、例えば処理チャンバー11を鉛直方向に設置したり、斜めに傾斜して設置するようにしてもよい。これらの場合には、基板Wをその面法線にほぼ平行な回転軸回りに回転させるようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、高圧流体あるいは高圧流体と薬剤との混合物を処理流体として用いて基板などの被処理体に表面処理を施す高圧処理装置に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】この発明にかかる高圧処理装置の第1実施形態を示す図である。
【図2】図1の高圧処理装置のA−A’断面図である。
【図3】図1の高圧処理装置の要部を示す図である。
【図4】図1の高圧処理装置の動作を示す模式図である。
【図5】この発明にかかる高圧処理装置の第2実施形態を示す図である。
【図6】この発明にかかる高圧処理装置の第3実施形態を示す図である。
【図7】この発明にかかる高圧処理装置の変形形態を示す図である。
【図8】この発明にかかる高圧処理装置の変形形態を示す図である。
【図9】基板表面上の処理流体の流れを説明するための図である。
【図10】基板表面上の処理流体の流れを説明するための図である。
【符号の説明】
【0062】
1…圧力容器
1a,1b…圧力容器の側壁
3,3A…基板保持部(保持手段)
5,5A…噴出管(流体供給手段)
11…処理チャンバー
13…流体排出路
31…モータ(回転手段)
52…噴出孔
55a…噴出孔
73…サーボモータ(駆動手段)
83b…励磁部(駆動手段)
304…モータ(回転手段)
501…(複数の)噴出孔
703…サーボモータ(駆動手段)
J…回転軸
K…回動軸
R…(基板の)回転方向
W…基板(被処理体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧流体あるいは高圧流体と薬剤との混合物を処理流体として用いて圧力容器の内部に配置された被処理体の表面に対して所定の表面処理を施す高圧処理装置において、
前記圧力容器の内部で前記被処理体を保持する保持手段と、
前記保持手段により保持されている前記被処理体を所定の回転軸回りに回転させる回転手段と、
前記回転軸と平行な回動軸回りに回動自在に設けられるとともに、前記処理流体を噴出して前記被処理体に対して前記処理流体を前記被処理体の表面に平行に供給する流体供給手段と、
前記流体供給手段を回動駆動して前記流体供給手段からの前記処理流体の噴出方向を変更させる駆動手段と
を備えたことを特徴とする高圧処理装置。
【請求項2】
前記流体供給手段は、前記回動軸方向に延設されるとともに前記圧力容器に対して前記回動軸回りに回動自在に軸支された噴出管を有し、前記噴出管の側面に形成された噴出口から前記処理流体を噴出し、
前記駆動手段は前記噴出管を回動駆動して前記噴出管からの前記処理流体の噴出方向を変更させる請求項1記載の高圧処理装置。
【請求項3】
前記流体供給手段は前記噴出管を複数個有し、前記複数の噴出管は前記被処理体の径方向外方に前記被処理体の回転方向に沿って設けられる請求項2記載の高圧処理装置。
【請求項4】
前記複数の噴出管は前記被処理体を挟んで前記被処理体の周端面に対向する前記圧力容器の両周壁のうち、一方の周壁の内周側に設けられる請求項3記載の高圧処理装置。
【請求項5】
前記駆動手段は前記複数の噴出管に1対1に対応して設けられた複数の駆動部を有し、前記複数の駆動部の各々は独立して前記噴出管を回動駆動することで該噴出管からの前記処理流体の噴出方向を変更させる請求項3または4記載の高圧処理装置。
【請求項6】
前記被処理体は基板であり、
前記保持手段は複数の基板を互いに離間し、しかも互いに整列された状態で保持し、
前記噴出管は前記基板の整列方向に沿って並んで開口された前記噴出孔を複数個有し、各噴出孔から前記処理流体を噴出して前記複数基板の各々の表面に平行に前記処理流体を供給する請求項2ないし5のいずれかに記載の高圧処理装置。
【請求項7】
前記圧力容器の周壁には、前記被処理体の表面に供給された前記処理流体を前記圧力容器の外部に排出する流体排出路が形成される請求項1ないし6のいずれかに記載の高圧処理装置。
【請求項8】
前記流体排出路は前記被処理体を挟んで前記流体供給手段の反対側に形成される請求項7記載の高圧処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−4596(P2009−4596A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164650(P2007−164650)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】