説明

2次元及び3次元位置検出システム、及びそのセンサ

2次元及び3次元の位置検出システム、ならびにそのシステムで使用されるセンサが開示される。センサは、線形アレイセンサ、及び、光又は他の放射線がセンサの大部分の素子に到達するのを遮るための開口プレートを内包する。相対的な放射線源の方向が、各センサの内の放射されたセンサ素子に基づいて、決定される。センサは、放射線源の位置を推定可能とするために、システム内に組み合わされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明される実施形態は、2次元又は3次元の放射線源の位置、又は放射線を遮る物体の位置を検出するための、システム、及び方法に関する。実施形態は、また、そのようなシステム及び方法で使用するための、センサに関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
本発明の一部の実施形態は、センサに対する物体の方向を推定するためのセンサを提供する。放射線源は、発生された又は反射された放射線を、センサに向かって放射する。センサは、開口プレートの背後に線形光学センサアレイを有する。センサアレイは、直線状に配列された複数のセンサ素子を有する。開口プレートは、システムが使用中のとき、放射線源からの放射線が、センサ素子のいくつかだけに到達可能とする、開口を有する。センサからの強度(intensity)信号が、放射線が入射するセンサ素子を識別するように構成されたプロセッサに結合される。中央センサ素子が、放射されたセンサ素子の中から選択され、センサに対する放射線源の方向を推定するために使用される。
【0003】
別の実施形態は、1対のセンサアレイを備えるセンサを提供する。センサアレイは、同一直線上にあるのではなく、互いに直交して配列されてもよい。放射線源からの放射線は、開口プレート内のそれぞれの開口を通って、両方のセンサアレイに入射する。プロセッサは、各センサアレイから強度信号を受け取り、強度信号に基づき線を計算する。放射線源は、線上に、又は線の近くにある。
【0004】
別の態様では、本発明は、3次元位置検出システムを提供する。一実施形態では、3つのセンサが、放射線源からの放射線を受け取る。プロセッサは、各センサに入射する放射線に基づき、3つの平面を計算する。放射線源は、3つの平面上に、又は3つの平面の近くにあり、平面の交点にあると推定される。一部の実施形態では、センサのうちの2つが互いに直交して配列される、2つのセンサアレイを有する単一のセンサに組み合わせられてもよい。
【0005】
別の実施形態では、2つのセンサアレイをそれぞれ有する1対のセンサが、1対の線を推定するために使用される。放射線源が線のそれぞれの上に、又は線のそれぞれの近くにあり、2つの線間の最短線分の中点にあると推定される。
【0006】
一態様は、検出領域内に配置された放射線源の方向を推定する方法を提供し、方法は、検出領域に対向し、直線状に配列された複数の第1のセンサ素子を有する、第1の線形アレイセンサと、検出領域に対向し、直線状に配列される複数の第2のセンサ素子を有する、第2の線形アレイセンサと、検出領域からの放射線が線形アレイセンサに到達するのを遮るために、線形アレイセンサと検出領域との間に配置された開口プレートと、検出領域からの放射線が第1のセンサ素子のいくつかに到達可能とするために、開口プレート内に形成された第1の開口と、検出領域からの放射線が第2のセンサ素子のいくつかに到達可能とするために、開口プレート内に形成された第2の開口と、を含む2次元放射線センサを提供し、第1の開口を通って第1のセンサ素子に入射した放射線に対応する第1の強度値を含む第1の強度信号を、第1の線形アレイセンサから受け取り、第2の開口を通って第2のセンサ素子に入射した放射線に対応する第2の強度値を含む第2の強度信号を、第2の線形アレイセンサから受け取り、第1及び第2の強度信号に基づき方向を決定する、ことを含む。
【0007】
一部の実施形態では、第1の放射線強度信号は、第1の閾値を超える少なくとも1つの高い強度値を含み、第2の放射線強度信号は、第2の閾値を超える少なくとも1つの高い強度値を含み、方向は、第1及び第2の放射線強度信号の高い強度値に基づき決定される。
【0008】
一部の実施形態では、第1の放射線強度信号は、第1の閾値を超える、ある範囲の高い強度値を含み、第2の放射線強度信号は、第2の閾値を超える、ある範囲の高い強度値を含み、方向を決定することは、第1の放射線強度信号のある範囲の高い強度値に基づき、第1の中央センサ素子を選択し、第2の放射線強度信号のある範囲の高い強度値に基づき、第2の中央センサ素子を選択し、第1及び第2の中央センサ素子に基づき、方向を決定する、ことを含む。
【0009】
一部の実施形態では、第1及び第2の放射線強度信号は、アナログ信号であり、方向を決定することは、第1の放射線強度信号を対応する第1の最終放射線強度信号に変換し、第2の放射線強度信号を対応する第2の最終放射線強度信号に変換し、第1及び第2の最終放射線強度信号に基づき、方向を決定する、ことを含む。
【0010】
一部の実施形態では、第1及び第2の放射線強度信号は、第1及び第2のセンサ素子のそれぞれに対応する高い値又は低い値を有する、デジタル信号であり、方向を決定することは、第1の放射線強度信号のある範囲の高い強度値に基づき、第1の中央センサ素子を選択し、第2の放射線強度信号のある範囲の高い強度値に基づき、第2の中央センサ素子を選択し、第1及び第2の中央センサ素子に基づき、方向を決定する、ことを含む。
【0011】
一部の実施形態では、方法は、方向を決定する前に、不要な値を取り除くために、第1及び第2の放射線強度信号をフィルタにかける、ことを含む。
【0012】
一部の実施形態では、方向を決定することは、第1の放射線強度信号に対応する第1の角度をルックアップテーブルで調べて、第2の放射線強度信号に対応する第2の角度をルックアップテーブルで調べる、ことを含む。
【0013】
一部の実施形態では、方向を決定することは、第1の角度を計算し、第2の角度を計算する、ことを含む。
【0014】
一部の実施形態では、第1及び第2の角度は、方向を決定するために組み合わせられる。
【0015】
別の一態様は、3次元空間内の放射線源の位置を推定する方法を提供し、方法は、3次元空間に対応する第1の位置に2次元センサを配置し、3次元空間に対応する第2の位置に1次元センサを配置することであって、第1及び第2の位置のセンサは、ある距離だけ離間されており、2次元センサに対応する光線を決定し、1次元位置センサに対応する平面を決定し、放射線源の位置を平面と光線との交点にあると推定する、ことを含む。
【0016】
別の態様は、3次元空間内の放射線源の位置を推定する方法を提供し、方法は、3次元空間に対応する第1の位置に、第1の1次元センサを配置し、3次元空間に対応する第2の位置に、第2の1次元センサを配置し、3次元空間に対応する第3の位置に、第3の1次元センサを配置し、第1の位置のセンサに対応する第1の平面を決定し、第2の位置のセンサに対応する第2の平面を決定し、第3の位置のセンサに対応する第3の平面を決定し、放射線源の位置を3つの平面の交点にあると推定する、ことを含む。
【0017】
一部の実施形態では、第1、第2、及び第3の1次元センサのそれぞれは、線形アレイセンサを含み、第3の1次元センサの線形アレイセンサは、第1の1次元センサの線形アレイセンサに直交して配置される。
【0018】
一部の実施形態では、第1及び第2の1次元センサの線形アレイセンサは、同一直線上に配置される。
【0019】
別の態様は、3次元空間内の放射線源の位置を推定する方法を提供し、方法は、3次元空間に対応する第1の位置に、第1の2次元センサを配置し、3次元空間に対応する第2の位置に、第2の2次元センサを配置し、第1の2次元センサに対応する第1の光線を決定し、第2の2次元センサに対応する第2の光線を決定し、第1及び第2の光線に基づき放射線の位置を推定する、ことを含む。
【0020】
一部の実施形態では、放射線源の位置は、第1及び第2の光線の間の最短線分上にあると推定される。
【0021】
一部の実施形態では、放射線源の位置は、線分の中点にあると推定される。
【0022】
別の態様は、検出領域に対向し、直線状に配列された複数の第1のセンサ素子を有する、第1の線形アレイセンサと、検出範囲に対向し、直線状に配列された複数の第2のセンサ素子を有する、第2の線形アレイセンサと、検出領域からの放射線が線形アレイセンサに到達するのを遮るために、線形アレイセンサと検出領域との間に配置された、開口プレートと、検出領域からの放射線が第1のセンサ素子のいくつかに到達可能とするために、開口プレート内に形成された第1の開口と、検出領域からの放射線が第2のセンサ素子のいくつかに到達可能とするために、開口プレート内に形成された第2の開口と、を含む、2次元センサを提供する。
【0023】
一部の実施形態では、第1及び第2の線形アレイセンサは、直交して配列される。
【0024】
一部の実施形態では、センサは、第1の開口を通って、ある範囲の第1のセンサ素子に入射した放射線の強度に対応する第1の放射線強度信号を、第1の線形アレイセンサから受け取り、第2の開口を通って、ある範囲の第2のセンサ素子に入射した放射線の強度に対応する第2の放射線強度信号を、第2の線形アレイセンサから受け取るための、第1の線形アレイセンサに結合されたプロセッサと、を含む。
【0025】
一部の実施形態では、センサは、第1のセンサ素子に到達する放射線をフィルタする、第1の光学フィルタと、第2のセンサ素子に到達する放射線をフィルタする、第2の光学フィルタと、を含む。
【0026】
一部の実施形態では、センサ素子は、検出領域内の放射線源により放射される放射線を感知し、光学フィルタは、放射線源により放射される放射線がセンサ素子に到達可能にするように選択される。
【0027】
一部の実施形態では、プロセッサは、第1及び第2の放射線強度信号に応答して位置センサに対応する方向を推定するように構成される。
【0028】
本発明のこれら及び別の態様が、本発明の一部の例示的実施形態の説明において、以下で説明される。
【0029】
ここで、本発明のさまざまな実施形態が、図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るセンサを図示する。
【図2】図1のセンサの一部を切り取った正面図である。
【図3】図1のセンサの断面上面図である。
【図4】図1のセンサからの強度信号を図示する。
【図5】他の強度信号例を図示する。
【図6】他の強度信号例を図示する。
【図7】図4の信号に基づく最終強度信号を図示する。
【図8】放射線源の位置を推定するためのシステムを図示する。
【図9】本発明に係る第1のホワイトボードシステムを図示する。
【図10】3次元位置検出システムを図示する。
【図11】3次元位置検出システムを図示する。
【図12】3次元位置検出システムを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図面は、例示的でしかなく、一定の縮尺では描かれていない。
【0032】
ここで説明される例示的実施形態は、放射線源の位置、又は放射線を遮る物体の位置を決定するための、光学センサシステム及び方法に関する詳細を提供する。別の例示的実施形態は、ホワイトボード表面上のペン、又は他の物体の動きを追跡するための、ホワイトボードシステムの詳細を説明する。放射線源は、放射線源により発生される放射線を放射してもよい、又は他の放射線源からの放射線を反射してもよい。放射線は、可視光スペクトル内、又は他のスペクトル、例えば紫外スペクトル又は赤外スペクトル内であってもよい。本明細書で説明される実施形態は例示的でしかなく、光学センサの別の実施態様及び構成も可能である。
【0033】
まず、位置センサ100及び放射線源110を図示する図1、図2、及び図3が参照される。放射線源110は、センサ100に入射する放射線112を放射する。本明細書では、放射線源が他の放射線源により生み出された放射線を単に反射するか、放射線源が放射線を発生させ、次に、その放射線が放射線源から離れて伝播するかどうかにかかわらず、放射線を放射するものとして放射線源が説明される。一部の実施形態では、放射線源110は、最初に他の放射線源によって発生された放射線を反射する、受動発生源であってもよい。例えば、放射線源は、放射線をセンサ100に向かって単に反射する反射源であってもよい。一部の実施形態では、放射線源110は、能動発生源、例えばLED、白熱電球、又は他の発生源であってもよい。
【0034】
センサ100は、線形センサアレイ114、開口プレート118、及びプロセッサ120を含む。線形センサアレイ114は、センサ支持物128上に搭載され、センサ支持物128は、さらにベースプレート126上に搭載される。開口プレート118もまた、ベースプレート126上に搭載される。
【0035】
センサアレイ114は、直線状に配列された複数のセンサ素子116を有する。センサ素子116のそれぞれは、検出領域111内に配置された放射線源110により放射された放射線を感知する。例えば、センサアレイ114は、放射線源110により放射される可視放射線又は赤外放射線を感知する、線形CMOSセンサであってもよい。センサアレイ114は、プロセッサ120に結合される。センサアレイ114は、強度信号122(図3)をプロセッサ120に提供する。
【0036】
開口プレート118は、放射線源110により放射される放射線がセンサ素子116のいくつかだけに入射するように、開口プレート118内に形成された開口124を有する。この実施形態では、開口124は、放射線源110をz次元内において動かした場合においても、開口124を通ってセンサ100の上に放射線が放射されることを可能にするスリットである。別の実施形態では、開口は、孔であってもよい、又は他の形状を有してもよい。一部の実施形態では、開口の形状(サイズを含む)は、センサ素子116の感度、形状、及び間隔に基づき選択されてもよい。
【0037】
検出領域111は、放射線源110が開口124を通って検出素子116に入射する放射線を放射することができる、ある範囲の空間である。センサ素子116は、一般に検出領域111の平面に平行に配列される。放射線源110は、センサ100に対して検出領域111内をx又はy次元に動き、放射線源110により放射された放射線が開口124を通過し、異なるセンサ素子116に入射する。
【0038】
一部の実施形態では、センサアレイ114に入射する放射線の周波数帯を制限するために、光学フィルタが使用されてもよい。図2及び図3を参照すると、センサ素子116に到達する外来放射線の量を低減するために、(図2に示されるように)開口124の前に、又は開口124とセンサアレイ114との間に、光学フィルタが配置されてもよい。例えば、フィルタは、放射線源110により放射された放射線に対応する周波数範囲内の放射線だけが、センサ素子116に到達可能となるようにしてもよい。一部の実施形態では、光学ノッチフィルタが、望ましくない放射線がセンサ素子116に到達するのを遮るために使用されてもよい。光学フィルタの使用は、例えば強度信号のSN比を増大させることで、センサ100の動作を改善できる。
【0039】
図4は、強度信号122の一例を図示する。強度信号122は、センサアレイ114により提供されるアナログ信号である。強度信号122は、一般に、放射線源110からの放射線がほとんど入射しない、又はまったく入射しない大部分のセンサ素子116に対応する低い強度レベルを有する。強度信号122は、放射線源110からの放射線が入射するセンサ素子116に対応する比較的高い強度レベルを有する。
【0040】
さまざまな実施形態では、センサ素子116及び開口124の寸法及び間隔は、1つ、又は少しのセンサ素子116が、入射する放射線源110からの放射線を有するようなものであってもよい。別の実施形態では、開口124は、放射線源110からの放射線が多数のセンサ素子に入射するように形作られてもよい。
【0041】
さまざまな実施形態では、強度信号122は、アナログ信号でも、デジタル信号(又は両方の組み合わせ)であってもよい。強度信号がデジタル信号である実施形態では、特定のアレイ素子に対応する強度信号が、2つ以上の値を有してもよい。例えば、図5は、強度レベルが、各センサ素子に入射する放射線が閾値未満か、閾値を超えるかどうかに応じて、ハイレベル又はローレベルとなる強度信号122を図示する。別の実施形態では、各センサ素子に入射する放射線の強度は、ある範囲の値以内の強度レベルであるとして報告されてもよい。例えば、図6は、各センサ素子に、低い値と高い値との間の強度レベルが提供された場合の強度信号を図示する。各センサ素子に強度レベルを報告するために8ビットが提供された場合、低い値は0であってもよく、高い値は255であってもよい。
【0042】
再び図4を参照すると、この実施形態では、強度信号122は、プロセッサ120により最終(final)強度信号136に変換される、未加工(raw)強度信号である。この実施形態では、プロセッサ120は、以下の方法でそうするように構成される。プロセッサ120はまず、放射線のバックグラウンドレベルと、放射線源110により放射される放射線のより高いレベルとの間を識別するための閾値を、推定する。これは、例えば、最も共通する強度レベル(モーダル値(modal value))を識別し、閾値をモーダル強度レベルと未加工強度信号のピークレベルとの間のレベルに設定することにより行われてもよい。未加工強度信号122は、バイモダーダル信号(bimodal signal)でもよく、閾値は、2つのモーダル値の間のレベルに設定されてもよい。別の実施形態では、これは典型的には、バックグラウンド放射線レベルと、放射線源110により放射される放射線のレベルとの間である平均強度レベル(平均値を計算することにより行われてもよい。別の実施形態では、閾値レベルは、他の方法で選択されてもよい。この例では、閾値レベル134は、以下のように計算される。

閾値レベル134=(ピーク強度レベル−平均強度レベル)30%+平均強度レベル

【0043】
図4及び図7を参照すると、最終強度信号136は、未加工強度信号において閾値134を超える強度レベルを有したセンサ素子においては、高い強度を有し、未加工強度信号において、閾値、又は閾値未満の強度レベルを有したセンサ素子においては、低い強度レベルを有する。
【0044】
典型的には、最終強度信号136は、開口プレート118を通って放射線源110からの放射線が入射するセンサ素子において、高いレベルにある、ある範囲の強度レベルを有する。この実施形態では、次に、プロセッサは、最終強度信号136が高いレベルを有する範囲のセンサ素子の真ん中において、中央センサ素子を識別する。図4及び図7の例では、センサアレイは、4096のセンサ素子を有し、センサ素子2883から2905までの強度レベルは、最終強度信号136において高い。センサ素子2894は、図3で示されるように、中央素子である。
【0045】
一部の実施形態では、中央素子は、未加工強度信号から直接計算されてもよい。最終強度信号136から中央素子を選択するための工程はまた、図5に図示されるように、2つの値だけを有するデジタル強度信号から、中央素子を直接計算するために使用されてもよい。別の実施形態では、中央素子は、他の方法で計算されてもよい。例えば、センサが、図4及び図6に示されるように、ある範囲の強度レベルが提供される場合、プロセッサは、最大センサ強度レベルを有するセンサ素子を選択するように構成されてもよい。一部の実施形態では、プロセッサは、不要な値を取り除くために未加工強度信号、又は最終強度信号をフィルタしてもよい。例えば、強度信号は、低い強度レベルにより囲まれた、1つ又は少数のセンサ素子における高い強度レベルを取り除くために、フィルタされてもよい。開口プレート、及びセンサアレイ118の配置(geometry)は、放射線源110からの放射線が、センサ素子のグループを放射するように配列されてもよい。放射線源により放射されるべきよりも、少ない素子の小さなグループが高い強度レベルを有し、かつ低い強度レベルを有するセンサ素子により囲まれている場合、素子のグループは、低い強度レベルを有するものとして扱われてもよい。
【0046】
再び図1を参照すると、センサ100は、x−y平面に対して所定の角度で配置される。この実施形態では、センサ100は、x及びy次元に対して45°の角度で配置される。プロセッサ120は、強度信号122を受け取り、放射線源110からの放射線がセンサ100に入射する角度θ(図1)を決定する。
【0047】
プロセッサ120は、中央センサ素子に基づき角度θを決定する。これは、さまざまな幾何学的技法又は計算技法、あるいは技法の組み合わせを使用して行われてもよい。
【0048】
幾何学的技法が図3に図示されている。プロセッサ120は、典型的にはセンサ100の寸法(dimensions)の範囲内にある、基準点に対する角度θを決定する。一部の実施形態では、基準点は、センサ100の寸法の外側にあってもよい。この実施形態では、角度θは、開口124の中央にある基準点130に対して決定される。センサアレイは、基準点130のすぐ後がセンサアレイの中央140となるように、開口プレートから距離hに配置される。中央センサ素子2894は、センサアレイの中央140から距離dの間隔を置いて配置される。角度θは、以下のように計算されることができる。

∠θ=∠α+∠β
=tan−1(d/h)+45°

【0049】
一部の実施形態では、ルックアップテーブルが角度θを決定するために使用されてもよい。角度θは、センサアレイ114内のあらゆるセンサ素子116に対して前もって計算されてもよく、結果は、プロセッサ120にアクセスできるルックアップテーブル内に記憶されてもよい。このとき、中央素子が識別された後に、プロセッサ120は、角度θを調べてもよい。
【0050】
集合的に、基準点130及び角度θは、放射線源110がセンサ100に対して配置される光線(ray)132を明確(define)にする。
【0051】
次に、x−y平面に対する放射線源210の位置を推定するためのシステム200を図示する図8が参照される。システム200は、センサ100に類似する1対のセンサ202及び204を含む。センサ202は、基準点230を有する。光線232は、基準点230を通過し、y次元から角度θの所にある。センサ204は、基準点236を有する。光線246が基準点236を通過し、y次元に対して角度φの所にある。放射線源210は、光線232と246との交点にある。センサ202及び204は、それぞれのセンサアレイ214及び248が強度信号をプロセッサ220に提供するように、プロセッサ220を共用してもよい。プロセッサ220は、光線132及び図3に関連して上記で説明された方法で、光線232及び246を計算する。プロセッサ220は、上記で説明された、ルックアップテーブル技法を含む任意の方法で光線を計算してもよい。
【0052】
光線232及び246は、x−y平面上にある。プロセッサ220は、光線232及び246が交差する交点250を計算する。交点250は、放射線源210の位置の推定値である。
【0053】
基準点236は、x−y平面の原点に配置され、点(0,0)にある。基準点236及び230は、基準点230が点(d,0)にあるように、x次元において距離dだけ分離される。プロセッサ220は、上記で説明されるように角度θ及びφを計算する。放射線源310は、点(x,y)に配置される。放射線源210の推定される位置は、以下のように計算される。
【数1】

【0054】
プロセッサ220は、放射線源210の位置を反復して推定するように構成されてもよい。放射線源が方々に動かされた場合、放射線源の推定された位置は記録され、放射線源の動きの記録が提供される。任意で、プロセッサ220は、プロセッサに結合される機器に、最新のもの又は記録されたもの(又は両方)を提供してもよい。
【0055】
次に、2次元位置センサを図示する図9が参照される。センサ300は、放射線源310により放射される放射線を検出するセンサ素子316h及び316vを有する、それぞれ線形アレイセンサである2つのセンサアレイ314h及び314vを有する。各センサアレイ314h、314vは、開口プレート318の背後に配置される。放射線源310は、センサ300からz次元に間隔を置いて配置された3次元検出領域311内に配置される。開口プレート318は、開口プレート318内に形成され、かつ放射線源310からの放射線が、センサ素子316hのいくつかだけに入射するように、センサアレイ314hの中央に位置された開口324hを有する。同様に、開口プレート318は、放射線源310からの放射線が、センサ素子316vのいくつかだけに入射するように、センサアレイ314vの中央に位置された開口324vを有する。この実施形態では、開口324h、324vは円形である。
【0056】
センサアレイ316h及び316vは、直交して配列される。センサ素子316hは、放射線源310がy及びz次元に動くとき、開口324hを通過する放射線が、センサ素子316hに入射したままとなるように垂直に(y次元に)伸びる(z次元は図9の平面と直角を成す)。同様に、センサ素子316vは、放射線源310がx及びz次元に動くとき、放射線源310からの放射線がセンサ素子316vに入射したままとなるようにx次元に伸びる。
【0057】
センサアレイ314h、314vは、それぞれ強度信号322h、322vをプロセッサ320に提供する。
【0058】
プロセッサ320は、強度信号122(図4及び図7)に関連して、上記で説明されたように、強度信号322hに基づき中央センサ素子316hcを識別する。プロセッサ320は、基準点330h及び中央センサ素子316hcに基づき、平面332hを計算する。基準点330hは、開口324hの中央にある。平面332hは、y軸に平行であり、中央センサ素子316h及び基準点230hを通過する。平面332hはz軸から角度θの所にある。平面332hは、上記で説明されるように、幾何学的技法又は計算技法を使用して計算されてもよい。
【0059】
プロセッサ320は、また、強度信号322vに基づき中央センサ素子316hvを識別する。プロセッサ320は、基準点330v及び中央センサ素子316hvに基づき、平面332vを計算する。基準点330vは、開口324vの中央にある。平面332vは、x軸に平行であり、中央センサ素子316hv及び基準点330vを通過する。平面332vは、y軸から角度αの所にある。
【0060】
次に、プロセッサ320は、平面332vと332hとの間の交線352を計算する。放射線源310は、交線352の線の上又はその近くにある。
【0061】
次に、2次元センサ300と1次元センサ100とを組み合わせることにより、3次元空間内の放射線源310の位置を推定するための、位置検出システム301を図示する、図10が参照される。この実施形態では、センサ100のセンサアレイ114は、プロセッサ120(図1)の代わりに、プロセッサ320に結合される。センサ100及び300は、公知の距離dだけ離間される。センサ300は、上記で説明されるように、線352を推定するために使用される。放射線源310からの放射線は、また、センサ100に入射する。プロセッサ320は、センサアレイ114から強度信号を受け取り、上記で説明されるように、中央センサ素子116を識別する。プロセッサ320は、y軸に平行であり、かつ中央センサ素子116(図3)、及びセンサ100の基準点130(図3)を通過する平面358を計算する。プロセッサ320は、平面358と線352との交点360を計算し、交点は、3次元空間内の放射線源310の位置の推定値である。
【0062】
図10の実施形態は、3次元内の放射線源の位置を推定する3つのセンサ(単一のプロセッサを共用してもよい)の使用の一例である3、次元位置検出システム301を図示する。より一般的には、3つのセンサ、例えばセンサ100は、それぞれのセンサへの放射線源からの放射線の入射に基づき、3つの平面を計算するために使用されてもよい。プロセッサは、3つの平面の交点を計算する。放射線源は、交点にあると推定される。
【0063】
放射線源の推定された位置の精度は、3つのセンサの向きにより影響を及ぼされ得る。例えば、センサの2つの線形センサアレイが同一直線上にある、又はほとんど同一直線上にある場合、プロセッサにより計算される平面の2つは、平行になる、又は平行になり得る、あるいは放射線源の近くで交差しないことがあり得る。3つの線形センサは、好ましくは、3つの線形センサのそれぞれのセンサアレイが同一直線上にないように配置される。
【0064】
一部の実施形態では、センサアレイの2つが平行であってもよいが、第3のセンサアレイは、平行なセンサアレイと直交する。図11は、3次元位置検出システム400を図示する。1次元センサ402、404、及び406がプロセッサ420を共用する。センサ402及び404は、同一直線上にあり、x軸に平行である。センサ406は、y軸に平行である。放射線源410からの放射線は、3つのセンサすべてに入射する。プロセッサは、センサ402、404、及び406それぞれから受信される強度信号に基づき平面462、464、及び466を計算する。平面462及び464は、線468で交差する。平面466は、点470で平面462及び464と交差し、点470は、放射線源410の位置の推定値である。
【0065】
別の3次元位置検出システム500を図示する図12が参照される。システム500は、センサ300(図9)に類似する2つのセンサ502及び504を有する。各センサは(センサ300に関連して上記で説明されるように)2つのセンサアレイを有し、センサアレイのそれぞれが、プロセッサ520に結合される。プロセッサ520は、センサ300に関連して上記で説明された方法で、センサ502から受信される強度信号に基づき線552を計算し、センサ502から受信される強度信号に基づき線570を計算する。放射線源510は、線552及び570のそれぞれの上に、又はその近くにある。この実施形態では、プロセッサ520は、線552と570との間の最短線分572を計算する。放射線源510は、線572の中点574にあると推定される。
【0066】
本発明が本明細書ではほんの一例として説明された。本発明の精神及び範囲を逸脱することなくさまざまな修正及び変形がこれらの例示的実施形態に対して行われてもよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域内に配置された放射線源の方向を推定する方法であって、
2次元放射線センサを提供することであって、前記2次元センサは、
検出範囲に対向し、直線状に配列された複数の第1のセンサ素子を有する、第1の線形アレイセンサと、
前記検出領域に対向し、直線状に配列された複数の第2のセンサ素子を有する、第2の線形アレイセンサと、
前記検出領域からの放射線が、前記線形アレイセンサに到達するのを遮るために、前記線形アレイセンサと前記検出領域との間に配置された、開口プレートと、
前記検出領域からの放射線が、前記第1のセンサ素子のいくつかに到達可能とするために、前記開口プレート内に形成された、第1の開口と、
前記検出領域からの放射線が、前記第2のセンサ素子のいくつかに到達可能とするために、前記開口プレート内に形成された、第2の開口と
を含む、前記提供することと、
前記第1の開口を通って前記第1のセンサ素子に入射した放射線に対応する第1の強度値を含む第1の強度信号を、前記第1の線形アレイセンサから受け取り、
前記第2の開口を通って前記第2のセンサ素子に入射した放射線に対応する第2の強度値を含む第2の強度信号を、前記第2の線形アレイセンサから受け取り、
前記第1及び前記第2の強度信号に基づき、前記方向を決定する、
ことを含む、方法。
【請求項2】
前記第1の放射線強度信号は、第1の閾値を超える、少なくとも1つの高い強度値を含み、
前記第2の放射線強度信号は、第2の閾値を超える、少なくとも1つの高い強度値を含み、
前記方向は、前記第1及び前記第2の放射線強度信号の前記高い強度値に基づき、決定される、
ことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の放射線強度信号は、第1の閾値を超える、ある範囲の高い強度値を含み、
前記第2の放射線強度信号は、第2の閾値を超える、ある範囲の高い強度値を含み、
前記方向を決定することは、
前記第1の放射線強度信号の前記ある範囲の高い強度値に基づき、第1の中央センサ素子を選択し、
前記第2の放射線強度信号の前記ある範囲の高い強度値に基づき、第2の中央センサ素子を選択し、
前記第1及び第2の中央センサ素子に基づき、方向を決定する、
ことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1及び前記第2の放射線強度信号は、アナログ信号であり、
前記方向を決定することは、
前記第1の放射線強度信号を、対応する第1の最終放射線強度信号に変換し、
前記第2の放射線強度信号を、対応する第2の最終放射線強度信号に変換し、
前記第1及び前記第2の最終放射線強度信号に基づき、前記方向を決定する、
ことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1及び前記第2の放射線強度信号は、各前記第1及び前記第2のセンサ素子に対応する、高い値又は低い値を有するデジタル信号であり、
前記方向を決定することは、
前記第1の放射線強度信号における、ある範囲の高い強度値に基づき、第1の中央センサ素子を選択し、
前記第2の放射線強度信号における、ある範囲の高い強度値に基づき、第2の中央センサ素子を選択し、
前記第1及び前記第2の中央センサ素子に基づき、方向を決定する、
ことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記方向を決定する前に、不要な値を取り除くために、前記第1及び前記第2の放射線強度信号をフィルタリングする、ことを含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記方向を決定することは、前記第1の放射線強度信号に対応する第1の角度をルックアップテーブルで調べ、前記第2の放射線強度信号に対応する第2の角度をルックアップテーブルで調べる、ことを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記方向を決定することは、第1の角度を計算し、第2の角度を計算する、ことを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記方向を決定するために、前記第1及び第2の角度を組み合わせる、ことをさらに含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項10】
3次元空間内の放射線源の位置を推定する方法であって、
前記3次元空間に対応する第1の位置に、2次元センサを配置し、
前記3次元空間に対応する第2の位置に、1次元センサを配置することであって、前記第1及び前記第2の位置のセンサは、ある距離だけ離間されており、
前記2次元センサに対応する光線を決定し、
前記1次元位置センサに対応する平面を決定し、
放射線源の前記位置は、前記平面と前記光線の交点にあると推定する、
ことを含む、方法。
【請求項11】
3次元空間内の放射線源の位置を推定する方法であって、
前記3次元空間に対応する第1の位置に、第1の1次元センサを配置し、
前記3次元空間に対応する第2の位置に、第2の1次元センサを配置し、
前記3次元空間に対応する第3の位置に、第3の1次元センサを配置し、
前記第1の位置のセンサに対応する、第1の平面を決定し、
前記第2の位置のセンサに対応する、第2の平面を決定し、
前記第3の位置のセンサに対応する、第3の平面を決定し、
前記放射線源の前記位置は、前記3つの平面の交点にあると推定する、
ことを含む、方法。
【請求項12】
前記第1、前記第2、及び前記第3の1次元センサのそれぞれが線形アレイセンサを含み、
前記第3の1次元センサの前記線形アレイセンサは、前記第1の1次元センサの前記線形アレイセンサと直交して配置される、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1及び前記第2の1次元センサの前記線形アレイセンサは、同一直線上に配置される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
3次元空間内の放射線源の位置を推定する方法であって、
前記3次元空間に対応する第1の位置に、第1の2次元センサを配置し、
前記3次元空間に対応する第2の位置に、第2の2次元センサを配置し、
前記第1の2次元センサに対応する、第1の光線を決定し、
前記第2の2次元センサに対応する、第2の光線を決定し、
前記第1及び前記第2の光線に基づき、前記放射線の前記位置を推定する、
ことを含む、方法。
【請求項15】
前記放射線源の前記位置は、前記第1及び前記第2の光線の間の最短線分上にあると推定する、ことを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記放射線源の前記位置は、前記線分の中点にあると推定する、ことを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
2次元センサであって、
検出領域に対向し、直線状に配列された複数の第1のセンサ素子を有する、第1の線形アレイセンサと、
前記検出領域に対向し、直線状に配列された複数の第2のセンサ素子を有する、第2の線形アレイセンサと、
前記検出領域からの放射線が前記線形アレイセンサに到達するのを遮るために、前記線形アレイセンサと前記検出領域との間に配置された、開口プレートと、
前記検出領域からの放射線が前記第1のセンサ素子のいくつかに到達可能とするために、前記開口プレート内に形成された、第1の開口と、
前記検出領域からの放射線が前記第2のセンサ素子のいくつかに到達可能とするために、前記開口プレート内に形成された、第2の開口と
を含む、2次元センサ。
【請求項18】
前記第1及び前記第2の線形アレイセンサは、直交して配列される、請求項17に記載のセンサ。
【請求項19】
前記第1の開口を通って、ある範囲の第1のセンサ素子に入射する放射線の強度に対応する第1の放射線強度信号を、前記第1の線形アレイセンサから受け取り、
前記第2の開口を通って、ある範囲の第2のセンサ素子に入射する放射線の強度に対応する第2の放射線強度信号を、前記第2の線形アレイセンサから受け取る
ように、前記第1の線形アレイセンサに結合されたプロセッサと、
をさらに含む、請求項17又は18に記載のセンサ。
【請求項20】
前記第1のセンサ素子に到達する放射線をフィルタする、第1の光学フィルタと、
前記第2のセンサ素子に到達する放射線をフィルタする、第2の光学フィルタと、
をさらに含む、請求項17〜19のいずれか一項に記載のセンサ。
【請求項21】
前記センサ素子は、前記検出領域内の放射線源により放射される放射線を感知し、
前記光学フィルタは、前記放射線源により放射される放射線が前記センサ素子に到達可能となるように選択される、請求項20に記載のセンサ。
【請求項22】
前記プロセッサは、前記第1及び前記第2の放射線強度信号に応答して、前記位置のセンサに対応する方向を推定するように構成される、請求項17〜21のいずれか一項に記載の位置センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−532309(P2012−532309A)
【公表日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515299(P2012−515299)
【出願日】平成22年6月16日(2010.6.16)
【国際出願番号】PCT/CA2010/000884
【国際公開番号】WO2010/145003
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【出願人】(511073216)バーント インターナショナル リミテッド (4)
【Fターム(参考)】