説明

Bステージ化可能フィルム、電子装置および関連プロセス

【課題】 熱界面材料を含むBステージ化可能フィルム(330)を提供する。
【解決手段】 フィルム(330)は熱発生装置(320)を熱放散部品に固定し、さらに架橋し、熱発生装置から熱放散部品に熱エネルギーを伝えることができる。フィルム(330)を内蔵した装置に加え、フィルムの作成方法などを提供する。フィルムは、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、有機官能性ポリシロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、フルオロカーボン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フッ化ポリアリルエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、フェノールクレゾール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂またはフッ素樹脂の一つ以上をさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は伝熱フィルムなどに関する実施形態を含む。実施形態は伝熱フィルムを含む装置に関する。実施形態はフィルムの製造および/または使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱発生装置は、装置の使用中に発生する熱を除去する熱放散部品に取り付けられる場合がある。熱界面材料は熱発生装置と熱放散部品の間の伝熱路として作用し、熱除去を促進する。
【0003】
熱界面材料はグリース、テープ、パッド、接着剤などの形態に作成されている。これら熱界面材料の様々な形態は異なる熱特性、組成、用途などを有する。
【0004】
熱グリースは伝熱性充填材を充填したシリコーン油などを含む。熱グリースは手で塗布する必要があるため、熱グリースの厚さを調整する事が難しい場合がある。また熱グリースは時間とともに乾燥、分離し、また熱負荷サイクルによって界面層から排出されてしまう場合がある。
【0005】
熱テープおよび熱パッドは伝熱性充填材を有するシリコーンなどを含む。熱テープまたは熱パッドを用いて熱放散部品を熱発生装置に組立てる場合、接着剤面を露出するためテープまたはパッドから一枚以上の保護フィルムを手で取り除く必要がある。テープまたはパッドを熱界面層として使用する場合、熱放散部品と熱発生装置を固定するためのクランプ機構(例えばクリップ)が必要になる場合がある。保護フィルムの存在やクランプ機構の必要性および/またはテープまたはパッドの位置合わせや配向の必要性によって組み立ての容易性が損なわれる場合がある。
【特許文献1】特開平07−154068号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
既存の成分の特性と異なる特性を有した成分を得ることが望ましい。既存の構造の特性と異なる特性を有した構造を得ることが望ましい。既存の装置の特性と異なる特性を有した装置を得ることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は熱界面材料などのフィルムに関する実施形態を含む。フィルムはBステージ化可能で熱発生装置を熱放散部品に固定し、流動し、さらに架橋して、熱発生装置から熱放散部品に熱エネルギーを伝えることができる。一つの実施形態において、Bステージ化したフィルムは固形質、不粘着または硬質の何れか一つ以上の形態を取る。
【0008】
本発明は熱界面材料などのBステージ化したフィルムに関する実施形態を含む。フィルムは熱発生装置を熱放散部品に固定し、さらに架橋して、熱発生装置から熱放散部品に熱エネルギーを伝えることができる。
【0009】
本発明は電子アッセンブリに関する実施形態を含む。アッセンブリは熱発生装置、熱放散部品および熱放散部品を熱発生装置に固定するフィルムなどを含む。フィルムは熱界面材料などを含み、さらに架橋し、熱発生装置から熱放散部品に熱エネルギーを伝えることができる。
【0010】
本発明は電子装置の作製方法に関する実施形態を含む。この方法は、熱発生装置または熱放散装置の何れか一つの伝熱面にBステージ化したフィルムを形成することを含む。形成されたBステージ化したフィルムは、一つの伝熱面の少なくとも一部に接触する内向きの表面を有している。またフィルムは、最初は露出した外向きの表面を有している。フィルムは熱発生装置を熱放散部品に固定してサンドイッチ構造を形成し、さらに架橋し熱エネルギーを伝えることができる。露出したフィルム面を、もう一方の熱発生装置または熱放散装置の伝熱面に接触させることができる。このBステージ化したフィルムを硬化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、熱伝導性で、伝熱面に固定でき、架橋性のBステージ化可能フィルムなどに関する実施形態を含む。
【0012】
Bステージ化したフィルムの付いた伝熱面を、例えば、保存、輸送、積載、その他の取り扱いを行った後に電子装置に取り付けることができるように、Bステージ化したフィルムは、固形質、不粘着質または硬質の何れか一つ以上の形態を取ることができる。不粘着とは、およそ室温付近で感圧接着特性を有さない表面などを指す。一つの目安として、不粘着面は約25℃において指で軽く触れた際に付着もしくは粘着しない。固形質とは、材料が中程度の応力に対し目に見えて流動するか、または固形質でなければ変形を起こすような一つ以上の力(例えば、圧縮または引張)に耐える明確な能力を有する性質を指す。一つの観点において、固形質は通常の条件下で明確な大きさと形状を有する事ができる。熱伝導性とは、熱を伝える能力などを含み、所定の体積内の温度差を含む単位に対し、その体積を単位時間内に通過することのできる熱量を表す物理定数を指す場合がある。
【0013】
他の観点において実施形態は、熱を発生する、発生した熱を移送または除去する、および/または熱をヒートシンクに放散するように動作可能な部品または付属部品を有する一つ以上の装置などに関する。また実施形態は、熱エネルギー、即ち熱を移送または除去するための構造、またはシステムなどに関する。さらに実施形態は、装置の作製および/または使用方法、装置の付属部品、熱移送または熱除去構造、または熱管理システムなどにも関する。
【0014】
重合体とは重合生成物などを含み、重合生成物は反応生成物よりも分子量の低い反応性基質に由来する一つ以上の繰り返し単位を含む全ての化学反応生成物などを含む。重合生成物の例には、ホモ重合体、ヘテロ重合体、共重合体、インタ−重合体、三元重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体、付加重合体などの一つ以上が含まれる。アルキルはノルマルアルキル、分枝アルキル、アラルキルおよびシクロアルキルなどの基を含む。ノルマルおよび分枝アルキル基はおよそ1から12個の炭素原子を含むもので、説明のための非限定的な例として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、第3級ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基およびヘキシル基などを含む。シクロアルキル基は、およそ4から12個の炭素環原子を含むものなどである。適当なシクロアルキル基には、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロヘキシル基およびシクロヘプチル基などが含まれる。アラルキル基はおよそ7から14個の範囲の炭素原子を含むもので、ベンジル基、フェニルブチル基、フェニルプロピル基およびフェニルエチル基などを含む。アリール基は、およそ6から14個の炭素環原子を含むものなどである。適当なアリール基は、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基などを含み、さらにトリフローロプロピルなどのハロゲン化部分を含む場合がある。
【0015】
「硬化性材料をBステージ化する」およびその関連用語、語句は、所定時間の加熱を、任意に真空下で行い、溶剤の一部または全部を除去し;材料を少なくとも部分的に固形質化し;および/または硬化性樹脂を未硬化の状態から、完全にではなく、部分的に硬化した状態になるように硬化または架橋を促進させることなどの一つ以上を含む。「溶剤フリー」などの用語や語句は、溶剤の一部または全てが、例えばBステージ化の間に除去された状態などを含む。
【0016】
本発明の実施形態によるBステージ化可能フィルムは、一つ以上の硬化性(例えば架橋性)樹脂を含む。適当な樹脂には、芳香性樹脂、脂肪族樹脂、脂環式樹脂などが含まれる。本明細書および請求項を通じて、樹脂は特定の名称の付いた樹脂、または名称の付いた樹脂部分を有する組成、モノマーまたは分子などによって記述される。
【0017】
一つの実施形態において、樹脂は、エポキシ樹脂、ポリジメチルシロキサン樹脂、アクリル樹脂、その他の有機官能性ポリシロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、フッ化炭素樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フッ素化ポリアリルエーテル、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、フェノールクレゾール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、フッ素樹脂などの一つ以上を含む。
硬化性および架橋性材料は、遊離基重合、原子移動、ラジカル重合、開環重合、開環メタセシス重合、アニオン重合、またはカチオン重合によって架橋可能な、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリジメチルシロキサン樹脂、またはその他の有機官能性ポリシロキサン樹脂の一つ以上を含む。
【0018】
エポキシ樹脂は、エポキシ官能基を有する有機システムまたは無機システムの全てを含む。一つの実施形態において、エポキシ樹脂は芳香族エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂またはこれら2つ以上の混合物などを含む。
【0019】
有用なエポキシ樹脂は、金属水酸化物などの塩基性触媒の存在下で、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはアミン基を含む化合物をエピクロルヒドリンと反応させることにより生成されるものなどを含む。また、少なくとも1つ、2つまたはそれ以上の炭素間二重結合を含む化合物とペルオキソ酸などの過酸化物との反応によって生成されるエポキシ樹脂なども含まれる。
【0020】
適当な芳香族エポキシ樹脂は、単官能でも多官能でも良い。一つの実施形態において作られた硬化フィルム製品のガラス転移温度(Tg)は、芳香族エポキシ樹脂をより多く加えることにより上昇させる、またより少量の芳香族エポキシ樹脂を使用することによって低下させることができる。
【0021】
適当な芳香族エポキシ樹脂には、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、4,4’−ビフェニルエポキシ樹脂、レゾルシノールジグリシジルエーテルなどの多官能性エポキシ樹脂、ジビニルベンゼンジオキシドおよび2−グリシジルフェニルグリシジルエーテルの一つ以上などが含まれる。適当な三官能性の芳香族エポキシ樹脂には、トリグリシジルイソシアヌレートエポキシ、さらには三井化学製のVG3101Lなどが含まれる。適当な四官能性の芳香族エポキシ樹脂には、Ciba Geigy社製ARALDITE MTO 163などが含まれる。市販のエポキシ樹脂には、住友化学株式会社(日本、東京)から販売されているエポキシクレゾールノボラックなどがある。
【0022】
芳香族エポキシ樹脂は、使用する場合には、総樹脂成分重量に対し、約0.3重量%から約0.5重量%、約0.5から約1重量%、約1から約5重量%、約5から約10重量%、約10重量%から約15重量%、約15重量%から約25重量%、約25重量%から約50重量%、約50重量%から約75重量%、約75重量%から約85重量%、約85重量%から約95重量%、または約95重量%を越える範囲の量とすることができる。
【0023】
脂環式エポキシ樹脂は、少なくとも1つの脂環基を含む事ができる。脂環式エポキシ樹脂は、単官能でも多官能でも良い。
【0024】
一つの実施形態において脂環式樹脂は、3−(1,2−エポキシエチル)−7−オキサビシクロヘプタン;ビス(7−オキサビシクロヘプチルメチル)エステル;2−(7−オキサビシクロヘプト−3−イル)−スピロ(1,3−ジオキサ−5,3’−(7)−オキサビシクロヘプタン;メチル3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレ−ト、3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセニルカルボキシレ−トジエポキシド、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ−(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン、3,4−エポキシシクロヘキシルアルキル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレ−ト、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレ−ト、ビニルシクロヘキサンジオキシド、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペ−ト、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペ−ト、エキソ−エキソビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル、エンド−エキソビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル;2,2−ビス(4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル)プロパン、2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシシクロヘキシル−p−ジオキサン);2,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ノルボルネン;リノ−ル酸二量体のジグリシジルエーテル;リモネンジオキシド;2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン、ジシクロペンタジエンジオキシド;1,2−エポキシ−6−(2,3−エポキシプロポキシ)−ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダン;p−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル;(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル−5、6−エポキシヘキサヒドロ−4、7−メタノインダン;o−(2,3−エポキシ)シクロペンチルフェニル−2,3−エポキシプロピルエーテル;1,2−ビス(5−(1,2−エポキシ)−4,7−ヘキサヒドロメタノインダノキシル)エタン;シクロペンテニルフェニルグリシジルエーテル;シクロヘキサンジオールジグリシジルエーテル;ブタジエンジオキシド;ジメチルペンタンジオキシド;ジグリシジルエーテル;1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル;ジエチレングリコールジグリシジルエーテル;ジペンテンジオキシド;またはジグリシジルヘキサヒドロフタレ−トの一つ以上を含む事ができる。一つの実施形態において、脂環式エポキシ樹脂は3−シクロヘキセニルメチル−3−シクロヘキセニルカルボキシレ−トジエポキシドを含む事ができる。
【0025】
脂環式エポキシモノマーは、使用する場合には、総樹脂成分重量に対し、約0.3重量%から約0.5重量%、約0.5から約1重量%、約1から約5重量%、約5から約10重量%、約10重量%から約15重量%、約15重量%から約25重量%、約25重量%から約50重量%、約50重量%から約75重量%、約75重量%から約85重量%、約85重量%から約95重量%、または約95重量%を越える範囲の量とすることができる。
【0026】
適当な脂肪族エポキシ樹脂は、例えばC4−C20脂肪族基など、少なくとも1つの脂肪族基を含む。脂肪族エポキシ樹脂は、単官能でも多官能でも良い。適当な脂肪族エポキシ樹脂は、ブタジエンジオキシド、ジメチルペンタンジオキシド、ジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジエポキシド、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルおよびジペンテンジオキシドの一つ以上を含む事ができる。これらの脂肪族エポキシ樹脂は、DER732やDER736などの商品名でDowから販売されており、一般には軟化剤などと呼称されている。
【0027】
脂肪族エポキシ樹脂は、使用する場合には、総樹脂成分重量に対し、約0.3重量%から約0.5重量%、約0.5から約1重量%、約1から約5重量%、約5から約10重量%、約10重量%から約15重量%、約15重量%から約25重量%、約25重量%から約50重量%、約50重量%から約75重量%、約75重量%から約85重量%、約85重量%から約95重量%、または約95重量%を越える範囲の量とすることができる。
【0028】
例えば以下の式で表される、適当なシリコーンエポキシ樹脂を利用する事ができる。
M’D’T’
ここで、添字a、b、c、d、e、fはゼロまたは正の整数で、添字b、d、fの合計は1以上であり、
Mは化学式:RSiO1/2
M’は化学式:(Z)RSiO1/2
Dは化学式:RSiO1/2
D’は化学式:(Z)RSiO1/2
Tは化学式:R10SiO3/2
T’は化学式:(Z)SiO3/2、および
Qは化学式:SiO4/2でそれぞれ表され、
からR10はその都度独立した水素原子、C1−C22アルキル、C1−C22アルコキシル、C2−C22アルケニル、C6−C14アリール、C6−C22アルキル置換アリール、またはC6−C22アリールアルキルの一つである。これらの基は、例えば、C1−C22フルオロアルキル等のフッ化炭素を含むようにフッ素化するなどハロゲン化すること、または例えばアミノプロピルまたはアミノエチルアミノプロピルなどアミノアルキルを生成するアミノ基を含む事ができ、また、Rをメチルまたは水素など、kをおよそ4からおよそ20までの範囲の値、Zを例えばオキシラン(またはエポキシ)基などの官能基を含むペンダント基とした化学式(CH2CHRO)で表されるポリエーテルユニットを含む事ができる。
【0029】
例えば脂環式エポキシと芳香族のエポキシの混合など、二つ以上の異なったエポキシ樹脂を組合せて使用する事ができる。このような組合せは、例えば透明性や流動性などに影響を及ぼす場合がある。一つの実施形態において、エポキシ樹脂は三つ以上の官能基を含む事ができる。官能基を増やす事でBステージ化可能フィルムに、比較的低い熱膨張係数、比較的良好なフラックス性能、高いガラス転移温度の何れか一つ以上を付与する事ができる。
【0030】
本発明の一つの実施形態によるフィルム中の樹脂の総含有量は、他成分の含有量の基準として用いられる場合がある。一つの実施形態にいて、樹脂含有量は、総樹脂成分重量に対し、約0.3重量%から約0.5重量%、約0.5から約1重量%、約1から約5重量%、約5から約10重量%、約10重量%から約15重量%、約15重量%から約25重量%、約25重量%から約50重量%、約50重量%から約75重量%、約75重量%から約85重量%、約85重量%から約95重量%、または約95重量%を越える範囲の量とすることができる。樹脂量は、他成分のモル量や用途固有パラメ−タ等の要因に応じ、調整、選択、決定する事ができる。
【0031】
Bステージ化可能フィルムは溶剤を含む事ができる。適当な溶媒は、1−メトキシ−2−プロパノール、メトキシプロパノールアセテート、ブチルアセテート、メトキシエチルエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エチルセロソルブ、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、およびエチルアセテート、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテートなどのセロソルブ、さらにこれ等の組合せなど一つ以上の有機溶剤を含む。これらの溶剤は単独または2つ以上の成分の組み合わせとして使用する事ができる。
【0032】
溶剤は、全組成総重量に対し重量比で約1%以上、Bステージ化可能フィルム内に存在することができる。一つの実施形態において、Bステージ化可能フィルム中の溶剤量は、約1重量%から約10重量%、約10重量%から約25重量%、約25重量%から約50重量%、または約50重量%を超える範囲である。
【0033】
Bステージ化の後には残渣またはわずかな量の溶剤が残る場合があるが、この状態は溶剤の大部分が除かれているため、「溶剤フリー」という用語に含まれる。さらに沸点の異なる溶剤を混合して使用することがあるため、沸点の高い溶剤のいくつかは沸点の低い溶剤に比べて容易に抽出できない場合がある。極性基または反応基を有する溶剤は、Bステージ化フィルムを形成するために溶剤を抽出した後も、硬化性組成物中に残留する場合がある。
【0034】
一つの実施形態おいては、フィルムに硬化剤が含まれる場合がある。一つの実施形態において、硬化剤はエポキシ硬化剤である。エポキシ硬化剤は、アミンエポキシ硬化剤、フェノールまたはノボラック樹脂硬化剤またはカルボン酸無水物硬化剤の一つ以上を含む事ができる。任意に、硬化触媒および硬化助剤の一方または両方、またはヒドロキシル部分を含む有機化合物を硬化剤と組み合わせて使用することができる。
【0035】
適当なアミンエポキシ硬化剤は、芳香族アミンまたは脂肪族アミンの一方または両方を含む事ができる。芳香族アミンは、m−フェニレンジアミン、4,4’−メチレンジアニリン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル、トルエンジアミンまたはジアニシデンの一つ以上を含む事ができる。脂肪族アミンはエチレンアミン、シクロヘキシルジアミン、アルキル置換ジアミン、メンタンジアミン、イソホロンジアミン、およびこれら芳香族ジアミンを水素化したものの一つ以上を含む事ができる。
【0036】
適当なフェノール樹脂硬化剤は、ノボラックまたはクレゾール樹脂などのフェノールホルムアルデヒド縮合生成物などを含む。これらの樹脂は各種フェノールとホルムアルデヒドを様々なモル比で縮合した生成物などである。市販のノボラック硬化剤には、例えばArakawa Chemical(USA)(イリノイ州、シカゴ)からTAMANOL758またはHRJ1583として販売されるフェノールノボラック樹脂硬化剤などがある。
【0037】
適当なカルボン酸無水物は、カルボン酸をアシルハライドと反応させる、またはカルボン酸を脱水、即ち、二つのカルボン酸分子間の水を除いて無水物を生成することにより作成することができる。代わりに、カルボン酸無水物を一般の化学品業者から商業的に入手する事も可能である。適当なカルボン酸無水物は、芳香族カルボン酸無水物、脂肪族カルボン酸無水物または脂環式カルボン酸無水物をなどの一つ以上を含む。
【0038】
硬化剤との併用に有用な適当なヒドロキシル基含有化合物は、本組成物の樹脂マトリックスを阻害しないものであれば良い。このようなヒドロキシル基含有モノマーは、R、R、R、RまたはR(ここでR、R、R、RまたはRはそれぞれ独立したC1−C10の分枝状または鎖状の脂肪族または芳香族、またはヒドロキシル基など)の一つ以上で置換したフェノールなどのヒドロキシル基含有芳香族化合物を含む。これらの適当なヒドロキシル基含有芳香族化合物は、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、レゾルシノール、メチルレゾルシノールカテコールおよびメチルカテコールを含むが、これらに限定されるものではない。
【0039】
一つの実施形態において、硬化剤は硬化時の半田ボ−ルの流動を容易にするなどの働きをする。即ち、硬化温度をBステージ化可能フィルム内に配置された半田ボ−ルの融点とほぼ同一温度に選定することができる。半田ボ−ルの溶融によって電気的接点を形成することができる。硬化剤は、フラックス性硬化助剤なしに形成された接点に比べて、形成された電気接点を強化し、またはその品質を改善するためのフラックスとして機能する。
【0040】
硬化剤は、使用する場合には、総樹脂成分重量に対して約0.1重量%から約0.5重量%、約0.5から約1重量%、約1から約3重量%、約3から約5重量%、約5重量%から約10重量%、約10重量%から約15重量%、約15重量%から約25重量%、約25重量%から約50重量%または約50重量%を越える範囲の量とすることができる。
【0041】
本発明のBステージ化可能な組成を形成する他の添加成分に硬化助剤などがある。適当な硬化助剤は、アゾ化合物、過酸化物などのフリーラジカル開始剤を一つ以上含む。硬化助剤に適当なアゾ化合物はアゾビスイソブチロニトリルなどを含む。
【0042】
適当な過酸化物は、R−O−O−HまたはR−O−O−R’などの構造式で表される有機過酸化物を一つ以上含む事ができる。一つの実施形態において、有機過酸化物はジアシル、ペルオキシジカーボネート、モノペルオキシカーボネート、ペルオキシケタール、ペルオキシエステル、ジアルキルペルオキシドの一つ以上を含むことができる。一つの実施形態において、有機過酸化物はジクミルペルオキシド、クミルヒドロペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾアート、またはケトンペルオキシドの一つ以上を含むことができる。市販される有機ケトンペルオキシドには、Norac社(アーカンソー州、ヘレナ)のNOROX(登録商標)MEKP−9がある。一つの実施形態における過酸化物はヒドロペルオキシドである。
【0043】
硬化助剤は、使用する場合、約0.5重量%を越える量とすることができる。一つの実施形態において、硬化助剤は、総樹脂成分重量に対して約0.1重量%から約0.5重量%、約0.5から約1重量%、約1から約3重量%、約3から約5重量%、約5重量%から約10重量%、約10重量%から約15重量%、約15重量%から約25重量%、約25重量%から約50重量%または約50重量%を越える範囲の量とすることができる。
【0044】
硬化触媒をBステージ化可能フィルムに含める事ができる。適当な硬化触媒は、アミン、イミダゾール、イミダゾリウム塩、ホスフィン、金属塩、または窒素含有化合物の塩の一つ以上を含むことができる。金属塩は、例えば、アルミニウムアセチルアセトネート(Al(acac)3)を含む。窒素含有分子は、例えば、アミン化合物、ジアザ化合物、トリアザ化合物、ポリアミン化合物およびこれらの組合せを含むことができる。酸性化合物は、フェノール、オルガノ置換フェノール、カルボン酸、スルホン酸およびこれらの組合せを含むことができる。
【0045】
適当なアミンは、例えば、モノアミン、アニリン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、ピロリジン、インドールまたはアザ化合物などの窒素含有分子を含むことができる。一つの実施形態における窒素含有分子は、グリシン、ペンタフルオロアニリン、メチルアニリン、ジエチレントリアミン、ジアミノジフェニルアミン、1,4−ジアザブシクロ[2,2,2]オクタン、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1−フェニルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデカ−7−エン(DBU)などの一つ以上を含むことができる。一つの実施形態において、アミンは第3級を除くアミンを一つ以上含むことができる。一つの実施形態において、アミンは実質的にイミダゾールから構成される。適当なジアザ窒素含有分子は、下記の構造などを有する事ができる。
【化1】

1,7,10,16−テトラオキサ−4,13−ジアザシクロオクタデカン
【0046】
一つの実施形態における触媒は、窒素含有化合物の塩を含むことができる。このような塩は例えば、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデカンなどを含む。市販される窒素含有化合物の塩には、例えば、Air Productsから入手可能なPolycat SA−1およびPolycat SA−102がある。一つの実施形態において、触媒はトリフェニルホスフィン、メチルイミダゾール、ジブチルスズジラウレ−トの一つ以上を含むことができる。
【0047】
適当なホスフィンは、例えばトリブチルホスフィン、ジフェニルブチルホスフィン、トリフェニルホスフィンなど、一つ以上のリン含有化合物を含むことができる。一つの実施形態において、ホスフィンは第3級を除くホスフィンを一つ以上含むことができる。一つの実施形態において、ホスフィンは第3級を除く一つ以上のホスフィンから実質的に成る。
【0048】
硬化触媒は、使用する場合には、0.5重量%以上の量とすることができる。一つの実施形態において硬化触媒は、総樹脂成分重量に対して約0.1重量%から約0.5重量%、約0.5から約1重量%、約1から約3重量%、約3から約5重量%、約5重量%から約10重量%、約10重量%から約15重量%、約15重量%から約25重量%、約25重量%から約50重量%、または約50重量%を越える範囲の量とすることができる。
【0049】
本発明のBステージ化可能フィルムは、他のフィルム成分と混合された充填材を含むことができる。適当な充填材は、アルミナ、窒化ホウ素、シリカ、タールク、酸化亜鉛などの一つ以上を含むことができる。適当な他の充填材には、インジウム、アルミニウム、ガリウム、ホウ素、リン、スズなどの金属またはこれら二つ以上の合金または混合物を含む粒子などがある。
【0050】
適当なシリカはJCI USA(Nippon、東京の代理店)よりLE03S、LE05S、LE10、LE25の商品名で販売されており、アルミナは電気化学工業株式会社(Denka Corporation)製の商品名DA W05、またアルミニウムはAtlantic Equipment Engineersから販売される商品名Al 104などがある。
【0051】
充填材はシリカを含むことができる。適当なシリカは、溶融シリカ、ヒュ−ムドシリカ、またはコロイダルシリカの一つ以上を含むことができる。充填材はおよそ500μmよりも小さい平均粒径を有する場合がある。一つの実施形態において、充填材の平均粒径は約1nmから約5nm、約5nmから約10nm、約10nmから約50nmの範囲である。
充填材を官能化剤または適合剤で処理し、またさらに不動態化剤で処理する事ができる。適当な適合剤にはオルガノアルコキシシラン、また適当な不動態化剤にはシリザンなどが含まれる。
【0052】
適当なオルガノアルコキシシランは
(R11Si(OR124−a
で表される化学式に含まれ、ここでR11は都度独立したC1−C18の一価炭化水素基で、任意にアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート、またはエポキシド基、またはC6−C14のアリール基、またはアルキル基でさらに官能基化しても良く、R12は都度独立したC1−C18の一価炭化水素基はたは水素基であり、“a”は1から3以内の整数である。
適当なオルガノアルコキシシランは、フェニルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、またはメタクリロキシプロピルトリメトキシシランの一つ以上を含む事ができる。
【0053】
オルガノアルコキシシランは、充填材中の二酸化ケイ素の重量に対し、約0.5重量%から約1重量%、約1重量%から約5重量%、約5重量%から約20重量%、約20重量%から約30重量%または約30重量%を越える範囲で使用する事ができる。
【0054】
充填材の官能基化は、例えば脂肪族溶剤の水溶液に分散した充填材に、官能化剤を上記の重量比で加えることにより実施する事ができる。この生成物は官能性充填材と官能化剤を溶液中に含み、これを予備分散物と呼称する。脂肪族溶媒はイソプロパノール、t−ブタノ−ル、2−ブタノ−ル、などを含むことができ、さらに1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ2−プロピルアセテート、トルエンおよびそれらの組合せを含むことができる。脂肪族アルコールの量は、充填材予備分散水溶液中に存在する二酸化ケイ素量の1倍から10倍の範囲とすることができる。
【0055】
処理または官能基化された充填材を、pHを中和するため、さらに酸またはアルカリで処理する事ができる。酸、アルカリまたは他の触媒はシラノ−ル基、アルコキシシラン基の縮合を促進し、官能基化プロセスを促進する。適当な触媒は、例えばテトラブチルチタネート、チタンイソプロポキシビス(アセチルアセトネート)またはジブチルスズジラウレ−ト、などの有機チタン酸塩または有機スズ化合物などを含む。場合によって、予備分散物に4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジニルオキシ(4−ヒドロキシTEMPO)などの安定化剤を加えても良い。このように作製した予備分散物を約50℃から約100℃の温度範囲で約1時間から約5時間加熱しても良い。
【0056】
冷却すると、予備分散物は透明および/または無色になる。予備分散物を処理して最終的な分散物を形成することができる。例えば、硬化性のモノマーまたはオリゴマ−を予備分散物に加える事ができる。任意に、脂肪族溶剤を予備分散物にさらに加えても良い。官能性充填材の最終分散物を酸またはアルカリまたはイオン交換樹脂で処理して酸はたはアルカリの不純物を除去する事ができる。
【0057】
最終分散組成を手混合または、例えば生地混合機、チェ−ン缶混合機、遊星混合機などの標準的な混合機で混ぜ合わせる事ができる。分散成分の混合は、バッチ式、連続式、半連続式などで行う事ができる。
【0058】
官能性充填材の最終分散物を、溶剤や残留水分など低沸点成分を取り除くため、約0.5Torr(約0.5mmHg)から約250Torr(約250mmHg)の範囲の真空下において、約20℃から約140℃の温度範囲で凝縮する事ができる。凝縮した官能性充填材最終製品を硬化性モノマーに添加する事ができる。低沸点成分の除去は、凝縮された充填材分散物が総重量に対し15重量%から80重量%の充填材を含むに十分なだけ低沸点成分を除去することを含む。低沸点成分の部分的な除去は、低沸点成分の全量に対し少なくとも約10重量%の除去を行う場合がある。
【0059】
官能性充填材を含む組成に対し、最終的なBステージ化可能フィルム中の二酸化ケイ素含有量は、組成総重量に対し約1重量%を越えるようにする事ができる。一つの実施形態において、シリカの含有量は約1重量%から約25重量%、約25重量%から約50重量%、約50重量%から約75重量%または約75重量%から約90重量%の範囲である。一つの実施形態において、充填材は開示された組成中に均一に分散し、この分散状態は室温で安定である。均一分散状態とは、目視できる析出物が存在しない場合を含む。一つの実施形態における分散物は透明である。透明とは、材料中の所定の距離を透して目視した際に物を見分ける事ができる性質を含む。一つの実施形態における透明性は、ASTM D1746−97および/またはASTM D1003−00の規定に従って定義される。
【0060】
官能性充填材の予備分散物および/または最終分散物をさらに処理する事ができる。例えば低沸点成分を少なくとも部分的に取り除き、その後、官能性充填材の上で残りのヒドロキシル(シラノ−ル)官能基と反応するような適当なキャッピング剤を、予備分散物または最終分散物中に存在する充填材重量の約0.05倍から約10倍の範囲で添加しても良い。
【0061】
効果的な量のキャッピング剤は官能性充填材をキャップする。本書ではキャップされ官能化された充填材を官能性充填材と定義するが、これは対応するキャップされていない充填材に存在するフリーヒドロキシル基の約10%から約35%がキャッピング剤の反応により官能基化されていることを示す。一つの実施形態において、表面ヒドロキシル基の残量は約4個毎平方ナノメートル未満である。
【0062】
官能基化により、別の方法では適合しない充填材を母材に対し適合するようにする事ができる。キャップまたは不動態化された官能性充填材を含む組成は、キャップされていない充填材を含む同様の組成に比べ、室温安定性などに優れている。官能性充填材のキャッピングは、硬化性樹脂組成の硬化後の特性に影響を及ぼす場合がある。これらの特性には、充填材を加えた樹脂組成の室温安定性、ガラス転移温度、熱変形温度、化学的耐性、電気的耐性、見かけ、表面テクスチャ−などが含まれる。
【0063】
適当なキャッピング剤は、シリル化剤などヒドロキシル基反応性材料を一つ以上含むことができる。適当なシリル化剤は、ヘキサメチルジシラザン(HMDZ)、テトラメチルジシラザン、ジビニルテトラメチルジシラザン、ジフェニルテトラメチルジシラザン、N−(トリメチルシリル)ジエチルアミン、1−(トリメチルシリル)イミダゾール、トリメチルクロロシラン、ペンタメチルクロロジシロキサン、ペンタメチルジシロキサンなどの一つ以上を含むことができる。一つの実施形態においてはヘキサメチルジシラザンをキャッピング剤として使用する場合がある。
【0064】
例えばキャッピングによって分散物がさらに官能基化されると、少なくとも一種類の硬化性モノマーを加えて最終的な分散物を形成することができる。このような分散物を約20℃から約140℃の温度範囲で約0.5時間から約48時間加熱しても良い。得られた混合物にフィルタ−を掛ける事ができる。硬化性モノマー中の官能性充填材混合物を約0.5Torr(約0.5mmHg)から約250Torr(約250mmHg)の範囲の圧力下で凝縮し最終濃度の分散物を形成することができる。この過程で、溶剤、残留水、キャッピング剤の副生成物およびヒドロキシル基、過剰なキャッピング剤、およびこれらの複合物などの低沸点成分が除去され、約15%から75%の充填材を含むキャップされた官能性充填材の分散物を得る事ができる。
【0065】
ヒドロキシル基含有部分として利用される適当な有機化合物には、ジオールや、ヒドロキシル基およびビスフェノールの一つ以上を含む高沸点アルキルアルコールなどが含まれる。アルキルアルコールは、直鎖状、分枝状、脂環状のいずれでもよく、2から12個の炭素原子を含むことができる。このようなアルコールとして適当なものに、エチレングリコール;プロピレングリコール、すなわち1,2−および1,3−プロピレングリコール;2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール;2−エチル,2−メチル,1,3−プロパンジオール;1,3−と1,5−ペンタンジオール;ジプロピレングリコール;2−メチル−1,5−ペンタンジオール;1,6−ヘキサンジオール;ジメタノールデカリン,メタノールビシクロオクタン;1,4−シクロヘキサンジメタノールと特にそのシス−およびトランス−異性体;トリエチレングリコール;1,10−デカンジオール;およびこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されるものではない。さらに適当なジオールはビスフェノールを含む。
【0066】
ビスフェノールの非限定的な実例として、ジヒドロキシ置換芳香族炭化水素がある。一つの実施形態において、ジヒドロキシ置換芳香族炭化水素は、4,4’−(3,3,5トリメチルシクロヘキシリデン)ジフェノール;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA);2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン(ビスフェノールF);2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン;2,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン;ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(4−ヒドロキシ−5−ニトロフェニル)メタン;ビス(4−ヒドロキシ−2,6−ジメチル−3−メトキシフェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシ−2−クロロフェニルエタン;2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン;2,2,2’,2’−テトラヒドロ−3,3,3’,3’−テトラメチ−1,1’−スピロビ[1H−インデン]−6,6’−ジオール;2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン(DMBPC);およびC1−13アルキル置換レゾルシノールなどを含む。ヒドロキシル基部分を含む有機化合物の組み合わせを使用しても良い。
【0067】
充填材は0.5重量%以上の量とすることができる。一つの実施形態における充填材量は、組成総重量に対し、約0.5重量%から約10重量%、約10重量%から約20重量%、約20重量%から約30重量%、約30重量%から約40重量%、約40重量%から約50重量%、約50重量%から約60重量%、約60重量%から約70重量%、約70重量%から約80重量%、約80重量%から約90重量%、または約90重量%を越える範囲の量とすることができる。
【0068】
組成物の粘性を低下させるため、反応性の有機希釈剤を硬化性エポキシ組成物の全量に対して添加することもできる。適当な反応性希釈剤は、3−エチル−3−ヒドロキシメチル−オキセタン、ドデシルグリシジルエーテル、4−ビニル−1−シクロヘキサンジエポキシド、ジ(ベ−タ(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル)−テトラメチルジシロキサンおよびこれらの組合せの一つ以上を含む。反応性希釈剤は、単官能エポキシおよび/または少なくとも一つのエポキシ官能基を含む化合物を含んでも良い。これに適する代表的な希釈剤として、3−(2−ノニルフェニルオキシ)−1,2エポキシプロパンまたは3−(4−ノニルフェニルオキシ)−1,2−エポキシプロパンなどフェノールグリシジルエーテルのアルキル誘導体の一つ以上が含まれる。使用できる他の希釈剤は、フェノール自体のグリシジルエーテル、および例えば2−メチルフェノール、4−メチルフェノール、3−メチルフェノール、2−ブチルフェノール、4−ブチルフェノール、3−オクチルフェノール、4−オクチルフェノール、4−t−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、4−(フェニルイソプロピリデン)フェノールなどの置換フェノールを含むことができる。
【0069】
反応性希釈剤は、使用する場合には、組成総重量に対し約0.5重量%を越える量とすることができる。一つの実施形態における希釈剤の量は、組成総重量に対し、約0.5重量%から約1重量%、約1重量%から約1.5重量%、約1.5重量%から約2.5重量%、約2.5重量%から約3.5重量%、約3.5重量%から約4.5重量%、約4.5重量%から約5.5重量%、約5.5重量%から約10重量%、約10重量%から約15重量%、約15重量%から約20重量%,または約20重量%を越える範囲の量とすることができる。
【0070】
Bステージ化可能フィルムは接着促進剤を含むことができる。一つの実施形態において接着促進剤は、例えばγ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)フマレート、などのトリアルコキシオルガノシランを一つ以上含むことができる。
【0071】
接着促進剤は、使用する場合には、組成総重量に対し約0.5重量%を越える量とすることができる。一つの実施形態における接着促進剤の量は、組成総重量に対し、約0.5重量%から約1重量%、約1重量%から約1.5重量%、約1.5重量%から約2.5重量%、約2.5重量%から約3.5重量%、約3.5重量%から約4.5重量%、約4.5重量%から約5.5重量%、約5.5重量%から約10重量%、約10重量%から約15重量%、約15重量%から約20重量%,または約20重量%を越える範囲の量とすることができる。
【0072】
Bステージ化可能フィルムは難燃剤を含む事ができる。適当な難燃剤はトリフェニルホスフェ−ト(TPP)、レソルシノールジホスフェ−ト(RDP)、ビスフェノールa−ジホスフェ−ト(BPA−DP)、有機ホスフィン酸化物、ハロゲン化樹脂(例えばテトラブロモビスフェノールA)、金属酸化物、金属水酸化物、などの一つ以上を含むことができる。他の適当な難燃剤には、ホスホルアミド化合物の類から選択される化合物などがある。
【0073】
難燃剤は、使用する場合には、組成総重量に対し約0.5重量%を越える量とすることができる。一つの実施形態における難燃剤の量は、組成総重量に対し、約0.5重量%から約1重量%、約1重量%から約1.5重量%、約1.5重量%から約2.5重量%、約2.5重量%から約3.5重量%、約3.5重量%から約4.5重量%、約4.5重量%から約5.5重量%、約5.5重量%から約10重量%、約10重量%から約15重量%、約15重量%から約20重量%,または約20重量%を越える範囲の量とすることができる。
【0074】
適当な熱放散部品は、ヒートシンク、熱ラジエータ、熱スプレッダー、熱パイプまたはペルティエ熱ポンプの一つ以上を含む。適当な熱発生装置は、集積チップ、動力チップ、電源、光源(例えば、LED、蛍光灯、白熱灯)、モータ、センサー、コンデンサ、燃料貯蔵部、導電体、誘導体、スイッチ、ダイオードまたはトランジスタの一つ以上を含む。
【0075】
一つの実施形態において、例えば、不均一な電力分配によって、熱発生装置面に沿って温度の異なる領域が発生する場合がある。例えば、合計約100ワットを放散する1センチメ−トル四方の集積回路チップ上における熱放散の合計は、1平方ミリメ−トル当たりの平均で約1ワットである。しかしながらこれは平均値であり、電力密度がチップ表面全体に均一分布している場合にのみに言える事である。集積回路はIO、記憶回路、レジスタ、演算論理回路など様々な回路を有しており、電力密度の異なる領域を有する。不均一な電力密度または分布は、他の部分、あるいはチップ全体の平均的熱放散より高い、または低いなどの局所的な電力ピ−ク、熱負荷を引き起こす。熱スプレッダーは、表面全体で異なる温度領域を熱的に平坦化することができる。
【0076】
Bステージ化可能フィルムは、表面実装技術(SMT:surface mount technology)の一つ以上の方法により、伝熱面に塗布する事ができる。SMT法には、スクリーン印刷法、側方毛細管フロー法、中央ウェル法、中央ライン法などがある。一つの実施形態において、硬化したフィルムの層は連続的または非連続的である。
【0077】
図1において、サブアッセンブリ100をスクリーン印刷法により形成することができる。Bステージ化可能フィルムを伝熱面上の第一部分130および第二部分140に塗布するため、ステンシル120が基板110上に配向されている。ドクターブレード150を使用してBステージ化可能フィルム剤をステンシル120の表面に塗布し、矢印で示した方向にステンシル面を引くことで余剰な材料を取り除くことができる。
【0078】
塗布の際に、塗布材の厚さを調整することができる。一つの実施形態では、ステンシルの厚さを変えることにより、伝熱面上に堆積する材料の厚さを調整可能にしている。フィルム厚は均一でも良く、また予め定められた基準に従い制御された方法で場所毎に異なっても良い。
【0079】
印刷されたBステージ化可能フィルムは、例えば、溶剤の大部分または全部を除去する、反応性モノマーを部分的に架橋する、および/またはBステージ化可能フィルムを部分的に固形質化するなどの方法でBステージ化することができる。真空オ−ブンを用いて、Bステージ化の際に負圧、加熱またはその両者を適用しても良い。
【0080】
一つの実施形態において、Bステージ化を行った後、Bステージ化したフィルムは不粘着質で柔軟性があり、脆弱ではない。Bステージ化したフィルムの付いた電熱面は、例えば鋸などで四角片に切断することができる。Bステージ化したフィルムは、四角片の切り口で欠けたり、砕けたりせず、割れや剥離も起こらない。さらに、切断によって発生する熱は限られているためBステージ化したフィルムの硬化が始まることも無い。四角片に切断した各片を出荷、取扱い、保管等する事ができる。Bステージ化したフィルムの不粘着な特性により、梱包材への付着などを防ぐことができる。
【0081】
サブアッセンブリ200は、図2に示す側方毛細管フロー法により形成する事ができる。ここで、同様な部品は同じ参照番号で示されている。基板110には、基板伝熱面202の外周エッジ近傍に溝またはチャンネルが予め形成されている。この溝、またはチャンネルにBステージ化可能フィルム210、220を塗布することができる。
【0082】
Bステージ化可能フィルムは、例えば、溶剤の大部分または全部を除去する、反応性モノマーを部分的に架橋する、および/またはBステージ化可能フィルムを部分的に固形質化するなどの方法でBステージ化することができる。伝熱面を対応する面に配向し、Bステージ化可能フィルムの露出面に接触させることでアッセンブリを形成することができる。組立後の硬化過程で、Bステージ化可能フィルムは、熱によって軟化および/または流動し、毛細管流動によって伝熱面上の一つ以上の間隙を充填する。
【0083】
図3は中央に開口部312を画定する熱放散面310を有した基板110を含むアッセンブリ300を示す。基板110は熱発生基板320と配向され、熱が伝わる状態にある。基板110の伝熱面は熱放散面310の反対側にあり、熱発生基板320とともに、Bステージ化可能フィルム330によって満たされる空間を画定する。Bステージ化可能フィルムは、開口部312を通じて中央ウェル法により図中矢印で示す方向に注がれる。中央ウェル法は比較的大きな面積を有する伝熱面に有用な場合がある。伝熱路への負の影響を最小化するため、開口部312の直径はできるだけ小さく(例えば<3mm)することが望ましい。一つの実施形態では、貫通孔よりも大きな直径を有する円形の熱テープを用い放散面の孔を塞ぐことができる。
【0084】
溶剤フリーなBステージ化可能フィルムを開口部312から投入し、Bステージ化することができる。代わりに、溶媒和されたBステージ化可能材料を開口部に配置し、溶剤を取り除いてBステージ化することもできる。組立後の硬化の間に、Bステージ化可能フィルムは軟化し、毛細管流動によって熱発生基板と熱放散表面の間の空間に流れ込むことができる。半田ボ−ル340は、この容積内の電気的および/または熱的接続を容易にする。気泡の密度を低減することにより、Bステージ化したフィルム層中の欠陥(ボイドなど)の密度を低減することができる。
【0085】
中央ライン法は、開口部の代わりに貫通ラインを毛細管流動に使用することを除けば、中央ウェル法に類似している。中央ライン法の延長として、隣り合わせに隣接した二つの熱放散部品を用いることができる。これら二つの熱放散部品の合端部が、Bステージ化可能フィルムを毛細管流動させるための中央ラインの役割を果たすことができる。
【0086】
Bステージ化可能フィルムの塗布工程は、製造の後工程で熱放散部品を作成する工程に統合することができる。表面実装技術を採用し、熱伝導面にBステージ化可能フィルムを予め塗布する。このようにして作られたBステージ化可能フィルムの塗布された熱放散部品をBステージ化し、組立のために電子装置の近傍に配向する。
【0087】
図1、2および3に示すように、伝熱面を有する一つ以上の表面に孔、溝、チャンネルなど様々な開口やテクスチャ−を設け、Bステージ化の際にBステージ化可能フィルムの流れを制御および/または方向付けすることができる。
Bステージ化可能フィルムのBステージ化は、Bステージ化した樹脂フィルムを有する熱放散部品が、熱放散部品に接着し、場合によってはフィルムが溶剤フリーとなるように、十分な時間、温度、真空で行う。
【0088】
Bステージ化可能フィルムのBステージ化は、室温より高い温度で行う。一つの実施形態におけるBステージ化温度は、約50℃から約65℃、約65℃から約80℃、約80℃から約220℃、約220℃から約235℃、約235℃から約250℃、または約250℃を越える範囲とする事ができる。
【0089】
Bステージ化可能フィルムのBステージ化は、約30秒より長い時間行われる。一つの実施形態におけるBステージ化時間は、約1分から約10分、約10分から約30分、約30分から約60分、約60分から約70分、約70分から約240分、約240分から約270分、約270分から約300分または約300分よりも長い範囲とする事ができる。
【0090】
Bステージ化可能フィルムのBステージ化は、制御された圧力下で行われる。一つの実施形態における圧力はおよそ常圧である。一つの実施形態における圧力は、約10mmHg(約10Torr)未満の負圧である。一つの実施形態における圧力は、約10mmHg(約10Torr)から約50mmHg(約50Torr)、約50mmHg(約50Torr)から約75mmHg(約75Torr)、約75mmHg(約75Torr)から約200mmHg(約200Torr)、約200mmHg(約200Torr)から約225mmHg(約225Torr)、約225mmHg(約225Torr)から約250mmHg(約250Torr)、または約250mmHg(約250Torr)より高い範囲とする事ができる。一つの実施形態においてBステージ化は、約95℃、約10mmHg(約10Torr)未満、約90分で行われる。
【0091】
一つの実施形態では、部品の配向後に、事前に塗布されたBステージ化可能フィルムが熱放散部品と電子装置の間の間隙を十分に流れて充填するように硬化を行うことができる。一つの実施形態では、Bステージ化可能フィルムが、熱発生装置とPCBなどその装置が実装される基板の間の空間を流れ、これ等の部品を濡らす。一つの実施形態におけるBステージ化可能フィルムは、加えられた熱に対し流れることがなく、また形状や大きさを変えずに硬化する。
【0092】
硬化のため、アッセンブリを熱や紫外線などのエネルギーに曝す場合がある。硬化は、硬化した樹脂フィルムが電子装置と熱放散部品を接着させるのに十分な時間とエネルギーで行われる。
【0093】
熱エネルギーを用いる場合、硬化は約50℃を越える温度で行うことができる。一つの実施形態において、硬化温度は約50℃から約65℃、約65℃から約100℃、約100℃から約200℃、約200℃から約235℃、約235℃から約250℃、または約250℃を越える範囲とする事ができる。
【0094】
硬化は、30秒未満、約30秒から約10分、約10分から約30分、約30分から約120分、約120分から約240分、約240分から約300分、約300分を越える時間で行うことができる。一つの実施形態における硬化は、硬化性組成物を約140℃から約160℃の温度範囲で約40から約60分間処理することにより行うことができる。
硬化は、常圧など所定の圧力で行われる。一つの実施形態では、最終用途に応じ金属クリップにより1から2ポンドの力を加えて前記アッセンブリを合わせるなど、前記3部品アッセンブリに荷重かけて硬化を行う事ができる。
【0095】
Bステージ化温度と硬化温度は各重合体樹脂システムによって異なるが、一般に、Bステージ化温度は硬化温度よりも低い。その理由はBステージ化の目的が、溶剤の一部または全部を取り除くことにあり、樹脂中の反応成分を完全に重合させることに無いためである。これに対し硬化は、主としてBステージ化可能フィルム製品樹脂を重合させることを目的としている。硬化の間に、エポキシ、触媒、硬化剤の一つ以上が反応、架橋して、熱放散部品と電子装置を接着する固体のBステージ化可能フィルム層を形成することができる。硬化は、組立てられたサンドイッチ構造に強固な機械的接着および/または化学的接着をもたらす。
【0096】
界面におけるBステージ化可能フィルムの接合部厚さ(BLT;Bond line thickness)は約10μmを越える厚さとすることができる。一つの実施形態におけるBLTは、約10μmから約15μm、約15μmから約20μm、約20μmから約20μm、約50μmから約60μm、または約60μmから約70μm、または約70μmを越える範囲である。一つの実施形態において、硬化したフィルム層のある領域は他の領域よりも厚い場合がある。
【0097】
一つの実施形態において、硬化したフィルムの熱性能、せん断強度、電気伝導度(絶縁耐力)、柔軟性および接着力は、BLTの奥行および/またはボイド欠陥の数と密度など、Bステージ化可能フィルムのパラメ−タを制御する事により決定される。硬化プロセスはバッチ式、または連続式に逐次行っても良い。
【実施例】
【0098】
以下の実施例は本発明に従った方法と実施例の例示を意図するもので、請求項に制限を課すものと解釈されてはならない。別に特定しない限り、全ての成分は、Aldrich Chemical Company(ウィスコンシン州、ミルウォーキー)などの一般的な化学品供給業者から市販されているものである。
【0099】
Bステージ化可能フィルムを伝熱面に塗布し、その後、Bステージ化し、対応する第二の伝熱面への組付け、および硬化をテストするために、一連のBステージ化可能フィルムを作成する。伝熱面は、例えばアルミニウムや銅の基板表面である。アッセンブリを模擬するため試験媒体(試片)を使用する場合がある。
【0100】
試験方法
熱性能試験は、熱拡散、熱伝導、熱抵抗などの試験を含む。
【0101】
試片のその場熱拡散率は、ASTM E−1461に基づくレ−ザフラッシュ法により測定する。レ−サフラッシュ装置(商標MICROFLASH300、Netzsch Instrumentsから購入)を測定に使用する。試験は、25℃で行う。選択された試験媒体に、FLURON(登録商標)(オハイオ州、トリ−ドのAP Parts Corporationが保有する登録商標)中のグラファイト分散物を用い、約5μm厚のグラファイト被覆を塗布する。FLURONは固体潤滑剤を分散させるためのハロゲン化炭化水素系液体キャリアである。グラファイト被覆は、硬化後、試験前にシリコンおよび基板(アルミニウムまたは銅)表面に塗布する。グラファイトは、Miracle Power Products Corporation(オハイオ州、クリ−ブランド)からDGF123乾燥グラファイトフィルム潤滑剤として購入したミクロンサイズの、細かく純粋なコロイド状合成グラファイトである。グラファイトは、レ−ザエネルギーの吸収と検知器への赤外線(IR)放出を強めるために塗布する。
【0102】
三重積層試片の熱拡散率測定値、物理特性および寸法からBステージ化したフィルムのその場熱伝導率、一括熱抵抗値を計算する。熱抵抗の目標値は約300mm°K/W未満である。
【0103】
さらに、20kgロ−ドセルの付いたDage model 22 microtesterを用いてせん断試験を行い、機械的接着力を求めた。せん断試験は破壊試験であるため、供試サンプルは試験により破壊される。より具体的には、各シリコン製四角片(4mm×4mm)にBステージ化可能フィルムを塗布し、その後、ソルダ−レジストで覆われた基板(アルミニウムまたは銅)上で組立および硬化を行ってサンプルを作成する。Dage microtesterの保持具で各基板を固定する。顕微鏡下でDage microtesterのせん断アンビルをシリコン四角片の端部に配置し、均一な力を加え、x、y、z方向を厳密に管理しながらせん断アンビルを動かす。シリコン四角片が破砕する、または基板から剥がれるまで均一な力を加える。シリコン四角片を基板からせん断するのに要する荷重をせん断面積で割ることにより、四角片のせん断強度をポンド毎平方インチ(psi)で算出した。せん断強度の目標値は約5000psi以上である。
【0104】
Bステージ化可能フィルムの界面におけるボイド百分率とBステージ化可能フィルムの接合部厚さ(BLT)を測定する。Bステージ化可能フィルムの界面におけるボイド百分率は走査型超音波顕微鏡(CSAM)を用いて測定する。
【0105】
接合部厚さ(BLT)は組立の間に各部層の厚さを測って測定する。
【0106】
さらに試片の信頼性を評価するための加速試験として、空気対空気熱衝撃試験を実施する。目標とする熱膨張係数差は約18ppm/℃未満である。熱膨張差が2018ppm/℃より大きいと、層間剥離または合わせ面の剥離の原因となり得る。層間剥離が発生すると、界面における熱インピ−ダンスが急激に上昇する。熱衝撃試験は、サンプルを0℃から100℃、10分/サイクルの温度サイクルに曝すことにより行う。加速熱衝撃試験は−50℃から150℃、10分/サイクルで行う。加速熱衝撃試験において、硬化フィルムの接着が損傷するまでの目標サイクル(約−50℃から150℃)の数は、約500サイクル以上である。
【0107】
エポキシクレゾールノボラックは住友化学(日本、東京)より市販されている。フェノールノボラックはArakawa ChemicalよりTAMANOL 758として市販されている。ビスフェノールA−エポキシはResolution Performance Products(コロラド州、プエブロ)からEPON 826として市販されている。溶剤は、Alpha Aesar社(マサチュ−セッツ州、ワ−ドヒル)およびAldrich Chemical社(ウィスコンシン州、ミルウォーキー)から市販の1−メトキシ−2−プロパノールである。触媒は、Aldrichから購入したN−メチルイミダゾールである。軟化剤を使用する場合には、Dow Chemical社(ミシガン州、ミッドランド)からDER732として市販されているポリグリコールジエポキシドを用いる。
【0108】
粒子状充填材の一つはJCI USA Inc.(ニューヨーク州、ホワイトプレーン)からLE10の商品名で市販の溶融シリカである。JCIは日本化学工業(日本、東京)の米国代理店である。もう一つの粒子状充填材は、Atlantic Equipment Engineer(ニュ−ジャ−ジ−州、バ−ゲンフィ−ルド)からAl104の商品名で市販されているアルミニウムである。さらにもう一つの粒子状充填材は、(Denka社、ニューヨーク)からDA W05の商品名で市販のアルミナである。
【0109】
実施例A
アルミニウム、Bステージ化可能フィルム、シリコンウェハ−を用いて試験媒体を作製する。
【0110】
Bステージ化可能フィルム(触媒添加前)は表1Aに示す成分量を含んでいる。
(表1A)Bステージ化可能フィルム(充填材を除く)のマスタ−バッチ、材料Aの組成。
【表1A】

【0111】
Bステージ化可能フィルムに0.118グラムの触媒を添加する。触媒はN−メチルイミダゾールを含む。これらから形成されるBステージ化したフィルムの物理的性質を表1Bに示す。
(表1B)Bステージ化可能フィルム(充填材を除く)のマスタ−バッチ、材料Aの物理的性質。
【表1B】

【0112】
組立前に、各試験媒体についてシリコンウェハ−およびアルミニウムの厚さをそれぞれ測定する。下記の表2にアルミニウムとシリコンウェハ−の特性をまとめる。
(表2)試験媒体中のAlおよびSiの物理的性質
【表2】

【0113】
試験媒体は以下のように作製する。ステンシルを用いてアルミニウム基板の伝熱面上にBステージ化可能フィルムをスクリーン印刷する。ステンシルの厚さは3milである。Bステージ化可能フィルムの付いたアルミニウム基板を約100Torrの真空下で、約95℃、約120分間かけてBステージ化する。Bステージ化したフィルムは溶剤フリーな不粘着質で固形質である。
【0114】
Bステージ化したフィルムを対応するシリコンウェハ−の伝熱面に配向、または位置合わせする。合わされたBステージ化したフィルムをシリコンウェハ−の伝熱面と接触させアッセンブリを形成する。このアッセンブリをおよそ常圧下において約150℃で約60分間加熱する。硬化前に、熱を加えてBステージ化したフィルムを軟化させ、Bステージ化したフィルムがシリコンウェハ−表面を流動し濡らすと共に、任意にエッジ周辺やウェハ−の下部領域に流れ込ませてチップを封入する。Bステージ化したフィルム内の反応性モノマーは熱に反応して架橋する。前記処理を繰り返し複数の試験媒体アッセンブリを形成する。いくつかのアッセンブリには硬化の間に圧負荷を加え接合部厚さを調整する。アッセンブリを通常状態にまで冷却する。
【0115】
アッセンブリの熱拡散率、熱伝導率、熱抵抗を測定しその結果を表3〜8に示す。特に表3と表4はそれぞれ熱抵抗および熱伝導率に関するものである。表5〜8は合計21個のサンプルの熱性能に関する。(表5:圧負荷なしで硬化した7サンプル、表6:圧負荷1ポンドで硬化した7サンプル、表7:圧負荷2ポンドで硬化した7サンプル。)また、硬化時の圧負荷に対する熱抵抗値を図4のグラフに表し、熱抵抗値とBLTの関係を図5のグラフに示す。各表5、6、7の合計21サンプルの熱界面材料界面におけるボイド百分率を走査型超音波顕微鏡(CSAM)により得る。その結果を表8に記載する。CSAM走査の例を図6の写真に示す。
【0116】
熱抵抗の回帰モデルは以下の通りである。
回帰式: y=51.7+4375x
係数 標準偏差 T値 P値
予測定数 51.70 10.19 5.08 0.000
X 4374.5 463.5 9.44 0.000
ここで S=25.43 R−Sq=82.4% R−Sq(調整)=81.5%
分散分析
変動因 自由度 平方和 平均平方 F値 P値
回帰 1 57623 57623 89.07 0.000
残留誤差 19 12291 647
合計 20 69914
【0117】
(表3)熱抵抗まとめ(充填材なし)
【表3】

【0118】
(表4)熱伝導率まとめ(充填材なし)
【表4】

【0119】
(表5)熱性能(圧負荷なしで硬化)
【表5】

【0120】
(表6)熱性能(圧負荷1ポンドで硬化)
【表6】

【0121】
(表7)熱性能(圧負荷2ポンドで硬化)
【表7】

【0122】
(表8)熱界面材料界面のボイド面積%
【表8】

回帰式: TR=52.7+4402BLT−0.203Void
係数 標準偏差 T値 P値
予測定数 52.70 10.96 4.81 0.000
BLT 4402.3 484.0 9.10 0.000
Void −0.2029 0.6779 −.030 0.768
ここで、S=26.07 R−Sq=82.5% R−Sq(調整)=80.6%
分散分析
変動因 自由度 平方和 平均平方 F値 P値
回帰 2 57684 28842 42.45 0.000
残留誤差 18 12230 679
合計 20 69914
【0123】
熱抵抗値はBLTに対してほぼ直線的に増加する。圧負荷を掛けて硬化した試験媒体は圧負荷を掛けずに硬化したものに比べ、面積ボイド百分率(中央値)が低い。回帰分析によれば、BLTを調整することでボイド百分率および熱抵抗を制御することができる。
【0124】
20kgロ−ドセル付きのDAGE MODEL 22 microtesterを用い、せん断試験により機械的接着力を評価する。シリコン四角片それぞれの伝熱面にBステージ化可能材料を塗布し、充填材なしにBステージ化した12個の個別サンプルを作成する。Bステージ化可能材料をBステージ化する。Bステージ化したフィルムをソルダ−レジストで覆われたそれぞれのアルミ基板に配向し接触させる。このBステージ化したフィルムを硬化する。硬化したフィルムを試験する。せん断試験の結果、平均接着力すなわちせん断力は約2500ポンド毎平方インチ(psi)である。せん断試験の結果を表9にまとめる。
【0125】
(表9)熱界面材料(材料A、触媒入−充填材なし)のせん断試験結果
【表9】

【0126】
試験媒体について加速熱衝撃試験(−50から150℃)を行い信頼性特性を評価する。全ての試験媒体は500時間の熱衝撃を経て熱機械的な信頼性評価を獲得する。表5、6、7の各7つのサンプルそれぞれについテープロセス条件と信頼性性能を下記の表10にまとめる。
【0127】
(表10)熱衝撃試験結果(充填材なし)
【表10】

【0128】
実施例B
下記の要領で充填材の入ったBステージ化可能フィルムのサンプルB1、B2、B3、B4を作成する。サンプルB1、B2、B3、B4の違いは、B1はシリカ、B2はアルミニウム、B3およびB4は異なるアルミナを含む点にある。
【0129】
充填材の添加量は、組成総重量に対しシリカ2重量%、アルミニウム70重量%、アルミナ70%である。触媒の添加量は、組成総重量に対し0.1重量%である。さらにサンプルB4については、樹脂の一部が軟化剤で置き換えられている。下記の表11、12、13、14に熱界面材料の各種成分量をまとめる。
【0130】
(表11)サンプルB1
【表11】

【0131】
(表12)サンプルB2
【表12】

【0132】
(表13)サンプルB3
【表13】

【0133】
(表14)サンプルB4
【表14】

【0134】
シリコンは8mm×8mmのフリップチップ装置である。特にシリコン装置は高ガラス転移温度FR−4積層板(難燃性、タイプ4積層板)上に組立てられており、積層板面の銅パッド上の組立は、非清浄粘性フラックスとスズ・鉛リフローを用いて行われている。FR−4積層板はメッキしたプリント回路を形成する基板材料に用いられる。FR−4積層板はガラス織物で強化されたエポキシ樹脂で、エポキシ樹脂と銅箔で満たされたガラス織物で作られている。半田相互接続(高さ2mil)によりシリコン装置と積層板を相互接続する。フリップチップ装置は、標準の共晶スズ・鉛(63Sn/37Pb)半田バンプ(高さ4mil)、88I/O(Input/Output)を有しピッチは8milである。装置上の保護層は窒化シリコンである。基板は、梨地ニッケル仕上げした8mm×8mmの熱スプレッダーを有する銅で出来ている。
【0135】
各サンプルB1〜B4は、実施例1と同様なスクリーン印刷機とステンシルを用いる方法で、各銅製熱スプレッダーの伝熱面上に、完全連続的な分注パタ−ンに印刷されている。Bステージ化可能フィルムに必要な材料の体積は、被覆面積および所望の厚さ(BLT)から計算し、Bステージ化過程における溶剤体積の損失を考慮する。サンプルB1〜B4の場合、各銅製熱スプレッダーに厚さ1milのBステージ化可能材料を印刷する。
【0136】
このようにして出来たBステージ化可能フィルムのついた銅製熱スプレッダーを真空オ−ブンに入れ十分な真空、すなわち10mmHg(10Torr)未満において95℃、1.5時間かけてBステージ化する。分注時の形状を保った固形質のBステージ化されたフィルムが各銅製熱スプレッダー上に得られる。
【0137】
Bステージ化したフィルムの付いた各銅製熱スプレッダーをシリコンフリップチップに配向する。Bステージ化したフィルムの外表面をチップの伝熱面に接触させてアッセンブリを形成する。金属製クリップにより1ポンドの力を掛け、銅/Bステージ化可能フィルム/シリコンの各アッセンブリを留め合わす。
【0138】
硬化の間、各アッセンブリを150℃の恒温炉で40分間保持する。温度が上昇すると、Bステージ化したフィルムは軟化し流動してシリコンフリップチップの伝熱面を濡らす。150℃でBステージ化したフィルムは硬化する。硬化したアッセンブリを通常状態に冷却し、チップの4辺および角におけるフィレットの形成を観察する。
【0139】
組立前に、各銅製スプレッダーおよびシリコンフリップチップ内の5箇所で測定を行い、各5点測定の平均を測定する。アッセンブリの合計厚さを測定する。接合部厚さ(BLT)を、アッセンブリの合計厚さから各部品の厚さを差し引いて求める。
【0140】
熱膨張係数およびガラス転移温度(硬化後Tg)を測定する。熱性能試験前に、硬化したアッセンブリをグラファイトの薄層で被覆する。サンプルの接合性試験を行い、その際の標準偏差をSDで表す。B1、B2、B3、B4の各サンプルについて行った測定および試験の結果を下記の表15にまとめる。
【0141】
(表15)熱性能試験結果
【表15】

【0142】
上記の実施例は単に説明のためのものであり、本発明の特徴のいくつかのみを説明するものである。添付の請求範囲が本発明の考慮し得る限りの範囲を請求するもので、ここに示された実施例は多岐に渡る可能な実施形態から選択された実施形態を説明するものである。従って出願人は、添付の請求範囲が本発明の特徴を説明に利用される実施例の選定によって限定されないことを意図するものである。請求範囲に用いられる「含む(comprises)」およびその文法的な派生語は、限定されるものではないが例として、「実質的に成る(consisting essentially of)」、「構成される(consisting of)」などの様々な語句を論理的に内在し包含するものである。必要に応じ範囲が設定されるが、これらの範囲はその間の部分的な範囲を含むものである。これら範囲の変形は当業者にとって自明であり、これらの変形も一般に開示されていない限り添付の請求範囲に含まれるものと解釈されるように期される。さらに科学技術の進化により、用語が不明瞭なため今日予想されていない等価物ないしは代替物が可能になることも予期され、これらの変形も、可能な場合、添付の請求項に含まれるものと解釈される。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】スクリーン印刷アッセンブリを含む実施形態を示す模式図。
【図2】側方毛細管アッセンブリを含む実施形態を示す模式図。
【図3】中央ウェルアッセンブリを含む実施形態を示す模式図。
【図4】異なる圧負荷のもとで硬化した際の熱抵抗を示す棒グラフ。
【図5】熱抵抗と接合部厚さ(BLT)との関係を示すグラフ。
【図6】走査超音波顕微鏡(CSAM)によって撮影された写真。
【図7】異なる圧負荷のもとで硬化した際のボイド百分率を示す棒グラフ。
【図8】熱抵抗とボイド面積百分率の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
【0144】
100 サブアッセンブリ
110 基板
120 ステンシル
130 伝熱面上の第一部分
140 伝熱面上の第二部分
150 ドクターブレード
200 サブアッセンブリ
202 伝熱面
210 Bステージ化可能
220 Bステージ化可能
300 サブアッセンブリ
310 熱放散面
312 開口部
320 熱発生基板
330 Bステージ化可能フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱発生装置を熱放散部品に固定するために伝熱面に配置可能な熱界面材料を含むフィルムで、さらに流動可能、架橋可能であり、前記熱発生装置から前記熱放散部品への熱エネルギーの伝達が可能なことを特徴とするフィルム。
【請求項2】
前記熱発生装置と前記熱放散部品の一方または両方が金属を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記金属が銅およびアルミニウムの一方または両方であることを特徴とする請求項2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記フィルムが架橋した反応性モノマーを約50%未満有することを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記フィルムが、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、有機官能性ポリシロキサン樹脂、ポリイミド樹脂、フルオロカーボン樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フッ化ポリアリルエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、フェノールクレゾール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂またはフッ素樹脂の一つ以上をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記エポキシ樹脂が、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールAエポキシ樹脂、ビスフェノールFエポキシ樹脂、フェノールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールエポキシ樹脂、ビフェニルエポキシ樹脂、4,4’−ビフェニルエポキシ樹脂、多官能性エポキシ樹脂、ジビニルベンゼンジオキシド、2−グリシジルフェニルグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートエポキシ、ブタジエンジオキシド、ジメチルペンタンジオキシド、レゾルシノールジグリシジルエーテル、ポリグリコールジ−エポキシド、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、またはジペンテンジオキシドの一つ以上を含むことを特徴とする請求項5に記載のフィルム。
【請求項7】
前記樹脂が前記フィルムの総重量に対し約1重量%から約70重量%の範囲の量で存在することを特徴とする請求項5に記載のフィルム。
【請求項8】
前記フィルムが硬化剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
前記硬化剤がアミンエポキシ硬化剤、フェノール樹脂硬化剤、カルボン酸−無水物硬化剤またはノボラック硬化剤の一つ以上を含むことを特徴とする請求項8に記載のフィルム。
【請求項10】
前記硬化剤が前記フィルムの総重量に対し約1重量%から約25重量%の範囲の量で存在することを特徴とする請求項8に記載のフィルム。
【請求項11】
前記フィルムが硬化助剤または硬化触媒の一方または両方をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項12】
前記硬化助剤がアゾ化合物、有機過酸化物または無水物化合物の一つ以上を含むことを特徴とする請求項11に記載のフィルム。
【請求項13】
前記硬化助剤が、前記フィルムの総重量に対し約1重量%から約25重量%の範囲の量で存在することを特徴とする請求項11に記載のフィルム。
【請求項14】
前記硬化触媒がアミン、イミダゾール、イミダゾリウム塩、ホスフィン、金属塩または窒素含有化合物塩の一つ以上を含むことを特徴とする請求項11に記載のフィルム。
【請求項15】
前記硬化触媒が前記フィルムの総重量に対し約1重量%から約25重量%の範囲の量で存在することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記熱界面材料が前記フィルムの硬化温度より低い範囲に軟化点を有する伝熱性金属を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項17】
前記熱界面材料が粒子状充填材を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項18】
前記充填材が、アルミナ、窒化ホウ素、シリカ、タールク、酸化亜鉛;またはアルミニウム、ホウ素、ガリウム、インジウム、リン、スズを含む金属または合金、またはこれら2つ以上の混合物を含むことを特徴とする請求項17に記載のフィルム。
【請求項19】
前記充填材が、適合剤または不動態化剤の一方または両方で予備処理されたナノスケ−ル粒子を含むことを特徴とする請求項17に記載のフィルム。
【請求項20】
前記充填材が前記フィルムの総重量に対し約1重量%から約95重量%の範囲の量で存在することを特徴とする請求項17に記載のフィルム。
【請求項21】
1−メトキシ−2−プロパノール、メトキシプロパノールアセテート、ブチルアセテート、メトキシエチルエーテル、メタノール、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、エチルセロソルブ、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルアセテート、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテートまたはブチルカルビトールアセテートの一つ以上を含む有機溶剤をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項22】
前記溶剤が前記フィルムの総重量に対し約1重量%から約95重量%の範囲の量で存在することを特徴とする請求項21に記載のフィルム。
【請求項23】
請求項1に記載のBステージ化可能フィルムから形成されるBステージ化した硬化性フィルム。
【請求項24】
実質的に溶剤フリーであることを特徴とする請求項23に記載のBステージ化した硬化性フィルム。
【請求項25】
少なくとも部分的に架橋または固形質化したことを特徴とする請求項23に記載のBステージ化した硬化性フィルム。
【請求項26】
前記フィルムが非連続層であることを特徴とする請求項23に記載のBステージ化した硬化性フィルム。
【請求項27】
前記フィルムが、前記フィルムの他の部分における熱抵抗、電気伝導性、接合部厚さ、せん断力、柔軟性、または接着力の一つ以上と異なる熱抵抗、電気伝導性、接合部厚さ、せん断力、柔軟性、または接着力のそれぞれを有する部分を少なくとも一つ含むことを特徴とする請求項26に記載のBステージ化した硬化性フィルム。
【請求項28】
前記フィルムが、前記フィルムの他の部分における熱抵抗値、電気伝導値、接合部厚さ、せん断力値、柔軟性値、または接着力値の一つ以上と異なる熱抵抗値、電気伝導値、接合部厚さ、せん断力値、柔軟性値、または接着力値のそれぞれを有する部分を少なくとも一つ含むことを特徴とする請求項23に記載のBステージ化した硬化性フィルム。
【請求項29】
前記フィルムが約5μmを越える範囲の接合部厚さを有することを特徴とする請求項23に記載のBステージ化した硬化性フィルム。
【請求項30】
前記フィルムが約室温において固形質、不粘着質、硬質の一つ以上であることを特徴とする請求項23に記載のBステージ化した硬化性フィルム。
【請求項31】
前記フィルムが室温より高く、前記フィルムの硬化温度より低い温度で軟化可能、流動可能、または軟化流動可能であることを特徴とする請求項23に記載のBステージ化した硬化性フィルム。
【請求項32】
熱発生装置と;熱放散部品と;前記熱放散部品を前記熱発生装置に固定する請求項23に記載のフィルムと;を具備することを特徴とする電子アッセンブリ。
【請求項33】
前記フィルムが、約5000psiを越えるせん断力、約300mm°KW未満の熱抵抗値、約10μmから約70μmの範囲の接合部厚さの一つ以上の特性を有することを特徴とする請求項32に記載の電子アッセンブリ。
【請求項34】
前記熱発生装置が集積チップ、動力チップ、電源、光源、モータ、センサー、コンデンサ、燃料貯蔵部、導電体、誘導体、スイッチ、ダイオードまたはトランジスタの一つ以上を含むことを特徴とする請求項32に記載の電子アッセンブリ。
【請求項35】
前記熱放散部品がヒートシンク、熱ラジエータ、熱スプレッダー、熱パイプまたはペルティエ熱ポンプの一つ以上を具備することを特徴とする請求項32に記載の電子アッセンブリ。
【請求項36】
Bステージ化したフィルムが、伝熱面の少なくとも一部に接触する内向きの表面と、最初は露出した外向きの表面とを有するように、熱発生装置または熱放散装置の一つの伝熱面上においてフィルムをBステージ化し、前記フィルムはさらに架橋でき熱エネルギーを伝達できることと;
サンドイッチ構造を形成するように前記露出したフィルム表面をもう一方の熱発生装置または熱放散装置の表面に接触さることと;
前記Bステージ化したフィルムを硬化することと;
を含むことを特徴とする電子装置の作製方法。
【請求項37】
前記フィルムのBステージ化が溶剤を蒸発させることを含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記フィルムのBステージ化が前記Bステージ化したフィルムの少なくとも一部を構成する反応性モノマーの架橋を完了することを含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項39】
架橋を完了することが熱、電子線、紫外線の一つ以上を加えること含む請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記フィルムのBステージ化が約10Torrから約250Torrの負圧を掛けることを含む請求項36に記載の方法。
【請求項41】
前記露出したフィルム表面をもう一方の熱発生装置または熱放散装置の表面に配向することをさらに含む請求項36に記載の方法。
【請求項42】
前記フィルムのBステージ化が、前記フィルムを約50℃より高い範囲の温度に加熱し、その後前記Bステージ化したフィルムの硬化完了前に、前記フィルムを常温まで冷却することを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項43】
前記フィルムのBステージ化が、前記Bステージ化したフィルムに埋設された半田ボ−ルの融点より低い温度で行われることを特徴とする請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記Bステージ化したフィルムの硬化と前記半田ボ−ルによる電気接点の形成の両方を行うため、前記半田ボ−ルの溶融と同時に前記Bステージ化したフィルムを硬化させることをさらに含むことを特徴とする請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記Bステージ化したフィルムの形成が、前記Bステージ化したフィルムを伝熱面の所定の領域にスクリーン印刷を施すこと、または伝熱面の開口部、溝、中央カットラインを通じて前記Bステージ化したフィルムを流すことを含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。
【請求項46】
前記Bステージ化したフィルムの硬化前に、前記Bステージ化したフィルムを積載すること、保存すること、取り扱うことの一つ以上をさらに含むことを特徴とする請求項36に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−545869(P2008−545869A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−515750(P2008−515750)
【出願日】平成18年5月30日(2006.5.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/020685
【国際公開番号】WO2006/135556
【国際公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(506390498)モーメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・インク (85)
【Fターム(参考)】