説明

ESD保護素子、半導体装置およびプラズマディスプレイ装置

【課題】 製造コストを上昇させることなくSOI構造の高耐圧半導体集積回路装置に組み込むことができるとともに、チップ面積の増大を抑制できるESD保護素子を提供する。
【解決手段】
ESD保護素子は、埋め込み絶縁膜2上に形成され、素子分離領域17で囲まれた第1導電型半導体層3、半導体層3に形成された第1導電型第1半導体領域8、第1導電型第1半導体領域8から離間して半導体層3に形成された第2導電型第1半導体領域16、第2導電型第1半導体領域16に形成され、それより高不純物濃度の第2導電型第2半導体領域10、第2導電型第2半導体領域10に形成された高不純物濃度の第1導電型第2半導体領域9からなる構造を有している。また、第1電極12および第2電極13は高耐圧半導体回路に電気的に接続され、第2導電型第1および第2半導体領域16、10は電気的にフローティング状態となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はESD(lectro tatic ischarge)保護素子、特にシリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板上に形成される高耐圧半導体集積回路に組み込むことができるESD保護素子の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)基板上に形成されたMOS型集積回路は様々な種類に拡大してきている。このような集積回路は、CPU用途などの低消費電力で高速動作が要求されるLSIと、車載用、フラットパネルディスプレイ(FDP)用などの高電圧駆動IC(パワーICを含む)に具体的に大別することができる。一般に半導体集積回路においては電圧/電流入出力パッドなどから静電気放電(ESD)などに起因するノイズ・サージのような高電圧、大電流が瞬間的に入力されたり、場合によっては出力されたりすることがある。しかしながらSOI構造を有する半導体装置は熱伝導度が小さいシリコン酸化膜などの絶縁膜でその周囲を包囲されているために放熱性が悪く、通常のバルクシリコン基板を用いる半導体装置の場合と比較してESD時の温度上昇が大きくなり熱破壊されやすいので、ESD耐量が劣ると考えられる。
【0003】
こうした事情は半導体装置を構成する回路だけでなく、回路と共に組み込まれたSOI型ESD保護素子に対しても同様である。特許文献1には、SOI構造を有する電源電圧数V以下の低電圧駆動高速MOS型半導体集積回路において、サージが入力されてもそれに伴う発熱を抑制して破壊されにくく、満足なESD耐量を確保できるMOS型ESD保護素子構造が記載されている。図7は特許文献1に記載されたESD保護トランジスタの断面図である。
【0004】
図7において、支持基板1上には埋め込み絶縁膜2が形成され、さらにその上にESD保護素子の基礎となる島状の低濃度P型半導体層3が形成されている。そしてこの半導体層3の両端はN型のソース領域4およびドレイン領域5となっている。また半導体層3上には薄いゲート絶縁膜6を介してゲート電極7が設けられている。このESD保護トランジスタは、集積回路内ではゲート電極7がソース領域4に接続され、さらに例えばチップグランドバスに接続される。また、ドレイン領域5はサージが入力される可能性がある配線やボンディングパッドに接続され、ソース領域4およびドレイン領域5で挟まれるP型半導体層3は電気的に浮遊状態(フローティング状態)となるように設定されている。このESD保護トランジスタの別の接続形態では、ソース領域4が、サージが入力される可能性のある配線やボンディングパッドに接続され、ドレイン領域5は電源線に接続される。
【0005】
図8はサージが入力されたときに図7のESD保護トランジスタが示す降伏特性に関わる電流―電圧特性である。印加電圧がトランジスタの逆バイアスに印加されて増加すると逆方向降伏電圧約12V(A点)に達し、さらに電流がわずかに増加すると直ちにスナップバックを起こして、素子にかかる最小の電圧である保持電圧約7V(B点)となる。続いて電流が増加するとともにソース領域4およびドレイン領域5間に存在する抵抗に基づいて電圧もやや増加していく。そして図示はされてないが更に電流が増加していくと再度降伏してESD保護トランジスタ自体が熱的破壊に至る。
【0006】
以上のように特許文献1に記載されたSOI型ESD保護トランジスタは、P型半導体層3を浮遊状態にしたことによるフローティングボディ効果によって、大きいサージ電流が入力すると直ちにスナップバックを起こし、ESD保護トランジスタのソース・ドレイン両端の電圧が約7V近辺(保持電圧)という、逆方向降伏電圧約12Vの半分に近い電圧となる。これによりサージに基づく消費電力が低下し、ESD保護トランジスタの発熱量も従来に比べて低下するため、SOI型ESD保護トランジスタとしてより大きいサージ電流に対応できるようになる。
【0007】
以上はESD保護素子の適用対象を低電圧駆動の高速SOI型半導体集積回路とした場合の例であるが、SOI構造で製造される半導体装置としては上にも述べたように高電圧駆動(高耐圧)の半導体集積回路も存在する。ここで高電圧駆動あるいは高耐圧半導体集積回路とは例えばPDP(プラズマディスプレイパネル)を駆動制御するスキャン・ドライバなど150V〜300V、代表的には200V前後の電源電圧が必要なMOS型集積回路を想定している。図9にPDPスキャン・ドライバIC回路の概略回路構成図を示す。
【0008】
図9において回路の出力端子には図示しないがPDPの各電極が接続され、同時に高耐圧PチャネルMOSトランジスタ22(Pch3)と高耐圧絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)25および高耐圧ダイオード26の各半導体素子が接続されている。これら出力パワー素子で構成する出力段の前段には、レベルシフト動作を行う高耐圧PチャネルMOSトランジスタ20(Pch1)、21(Pch2)と高耐圧NチャネルMOSトランジスタ23(Nch1)、24(Nch2)が接続され、更に5V系の低電圧駆動CMOS制御回路27がMOSトランジスタ23、24およびIGBT25のゲート電極に接続されている。図9の駆動回路は単位セルの回路であり、実際のPDPスキャン・ドライバ1チップ内には上記単位セルが高電圧電源線と接地(GND)線間に多数並列に接続配置されている。このスキャン・ドライバの出力段はPチャネルMOSトランジスタ22、IGBT25のような比較的寸法の大きい高耐圧素子で構成されるので、これら素子自体である程度のESD耐性を保持している。
【0009】
しかしスキャン・ドライバ回路が出力電流の低い仕様である場合、できる限りチップサイズを小さくし、製造コストを抑制するという観点から、高耐圧IGBT25および高耐圧PチャネルMOSトランジスタ22のゲート電極直下のチャネル幅を縮小することが行われる。しかし、チャネル幅を縮小すると出力段でのESD耐量が低下するので、新たにESD保護素子を設けることになる。
【0010】
図10はPDPスキャン・ドライバ高耐圧半導体集積回路装置チップ内部へ図8に例示したような特許文献1のESD保護素子を配置した場合のチップ概略平面レイアウト図である。PDPスキャン・ドライバのようなチップ29内にはトランジスタ22、IGBT25、ダイオード26、トランジスタ20〜24からなる高耐圧半導体回路の形成領域30、および5V系CMOS制御回路27のような低電圧駆動半導体回路の形成領域33に図9のスキャン・ドライバ回路を単位回路セルとして、複数の単位回路セルが横方向および上下方向に配列される。
【0011】
上記従来のESD保護素子は単位回路セルごとに設けられたESD保護素子形成領域31に形成される。図9のスキャン・ドライバ回路を用いて具体的にいえば、単位回路セルごとに、PチャネルMOS型トランジスタ22よりも出力端子に近い側であって、高電圧電源線と出力端子との間に1個、IGBT25および高耐圧ダイオード26よりも出力端子に近い側であって、出力端子と接地線との間に1個接続される。従来のESD保護素子は、図8のようにトリガー電圧付近に達したときのESDに対する電流容量が小さいので単位回路セルごとに必要とされるというのがひとつの理由である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,989,057号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら上記スキャン・ドライバなどのようなSOI構造の高耐圧半導体集積回路に特許文献1が開示するSOI型ESD保護トランジスタを適用することは以下の理由により困難であった。
【0014】
すなわち、特許文献1のESD保護トランジスタを駆動電圧のより高い半導体装置のESD保護素子として適合させるためにP型半導体層3のソース・ドレイン方向の長さを増大すれば、図8の保持電圧(B点)についてはある程度(例えば10V強)大きくできる可能性はある。しかしゲート絶縁膜6が薄いことや、ドレイン領域5に入力されるサージの高電圧に起因してドレイン領域5の近傍に生じる高電界のため、容易にアバランシェ増倍現象を起こし、ソース・ドレイン間電圧が例えば高耐圧回路の動作電圧(電源電圧)に達しないうちに容易に降伏が起こると考えられ、降伏電圧(いわゆるトリガー電圧:A点)を上昇させて(例えば200V程度まで)ESD保護素子を高耐圧回路に適合させるのは容易ではない。この点からも特許文献1のトランジスタは寸法を大きくしても高耐圧半導体装置のESD保護素子として適するものではないといえる。
【0015】
また図8のように、保持電圧が逆方向降伏電圧(A点)の半分近くにまで低下する特性となることも問題である。保持電圧は高耐圧半導体集積回路の動作電源電圧以上に設定する必要があるので、それが可能となるよう、逆方向降伏電圧も動作電源電圧に対するマージンを大きく取る必要がある。しかし逆方向降伏電圧を大きくする程ESD保護素子の素子寸法を拡大しなければならないので、チップ面積が増加し、最終的に製造コスト上昇につながる。以上のことからも図8のような特性を有する従来のESD保護素子は高耐圧回路には適さないといえる。
【0016】
さらにスキャン・ドライバのような回路のチップレイアウト面からいうと、図10に示したように従来のESD保護素子では、回路を構成する素子と比較して寸法が大きいにもかかわらず単位回路セル数の2倍だけチップ29上に設けなければならずチップ面積の増大は避けられない。これとは逆にESD保護素子を設けずにIGBT25やPチャネルMOSトランジスタ22の構造を変更し、ESD耐量を維持させることも考えられるが、その場合は上記チャネル幅を縮小しても代わりとなるどこかの部分を変更して全体として素子面積を増加させざるを得なくなるので、チップサイズを小さくすることは困難である。
【0017】
本発明は以上のような従来の課題を解決するものであって、製造コストを上昇させることなく容易にSOI構造の高耐圧半導体集積回路装置に搭載可能で、しかもそれによって当該高耐圧半導体集積回路装置のチップ面積を著しく増大させることのないESD保護素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記従来の課題を解決するための本発明に係る第1のESD保護素子は、半導体層と、前記半導体層に形成された第1導電型の第1半導体領域と、前記第1導電型の第1半導体領域に近接または隣接して前記半導体層に形成された第2導電型の第1半導体領域と、前記第2導電型の第1半導体領域に形成された第2導電型の第2半導体領域と、前記第2導電型の第2半導体領域に形成された第1導電型の第2半導体領域とを備え、前記第2導電型の第2半導体領域の不純物濃度は前記第2導電型の第1半導体領域の不純物濃度より高く、前記第2導電型の第1半導体領域および前記第2導電型の第2半導体領域は電気的にフローティングとなっていることを特徴とする構成を有するものである。
【0019】
また、本発明に係る第2のESD保護素子は、半導体層と、前記半導体層に形成された第2導電型の第1半導体領域と、前記第2導電型の第1半導体領域に形成された第1導電型の第1半導体領域と、前記第1導電型の第1半導体領域から離間して前記第2導電型の第1半導体領域に形成された第2導電型の第2半導体領域と、前記第2導電型の第2半導体領域に形成された第1導電型の第2半導体領域とを備え、前記第2導電型の第2半導体領域の不純物濃度は前記第2導電型の第1半導体領域の不純物濃度より高く、前記第2導電型の第1半導体領域および前記第2導電型の第2半導体領域は電気的にフローティングとなっていることを特徴とする構成を有するものである。
【0020】
上記両ESD保護素子の一形態としては、前記第2導電型の第1半導体領域および前記第2導電型の第2半導体領域には電極が接続されていない。これによって前記2つの半導体領域が結果的に電気的にフローティングとなる。また本発明に係るESD保護素子は、前記半導体層が支持基板上に設けられた絶縁膜上に形成されていることが望ましい。
【0021】
さらに上記第1および第2のESD保護素子は、前記第1導電型の第1半導体領域に接続する第1電極、および前記第1導電型の第2半導体領域に接続する第2電極と、前記第2導電型の第1半導体領域の上方を覆う層間絶縁膜とをさらに備え、前記第1電極が、前記層間絶縁膜を介し、前記第1導電型の第2半導体領域へ向けて前記第2導電型の第1半導体領域上に延在するようにすることが望ましい。
【0022】
あるいはまた、上記第1および第2のESD保護素子は、前記第1導電型の第1半導体領域に接続する第1電極、および前記第1導電型の第2半導体領域に接続する第2電極と、前記第2導電型の第1半導体領域の上方を覆うフィールド絶縁膜と、前記フィールド絶縁膜上に形成された層間絶縁膜と、前記フィールド絶縁膜と前記層間絶縁膜との間であって且つ前記第2導電型の第1半導体領域の上方に設けられた導電プレートとをさらに備え、前記第1電極が前記導電プレートと電気的に接続されるようにすることが望ましい。
【0023】
さらにまた、前記第1導電型をP型、前記第2導電型をN型とすることが望ましい。
【0024】
本発明に係る上記第1および第2のESD保護素子は、前記半導体層に形成され、前記ESD保護素子によって保護される半導体回路と共に半導体装置に含まれる形態をとる。その場合、前記ESD保護素子の前記第1導電型の第1半導体領域は前記半導体回路の接地線に電気的に接続され、前記ESD保護素子の前記第1導電型の第2半導体領域は前記半導体回路の電源線に電気的に接続されるようにすることができる。また前記半導体回路が複数の単位回路セルを含むときは、前記半導体装置に搭載される前記ESD保護素子の数を前記単位回路セルの数より小さくすることができる。
【0025】
また、プラズマディスプレイ装置は本発明に係る上記第1および第2のESD保護素子、またはこの保護素子を含む半導体装置を組み込んだものとすることができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係るESD保護素子は以上に述べたように、第2導電型の半導体領域を第1半導体領域と第2半導体領域で構成するようにしたため、第2導電型の第1半導体領域の不純物濃度を低くし、第2導電型の第2半導体領域の不純物濃度を高く調整することによって、ESD保護素子のDC測定での降伏電圧およびスナップバックに至るトリガー電圧を高くできるという効果を奏し、高耐圧半導体集積回路に対応できるものとなる。そして同時にそれら電圧値を所望の値に設定することができるようになる。
【0027】
また、第2導電型の第2半導体領域の不純物濃度を第2導電型の第1半導体領域の不純物濃度より高くしたことと、第2導電型の第1および第2半導体領域を電気的にフローティングとしたことにより、ESD保護素子が降伏を起こしてから破壊に至るまでの、電流−電圧特性を、電流の立ち上がりの傾きを高くして、急峻なものにできるとともに、スナップバックが起きる電流を大きくすることができるようになる。このため、例えば電源線と接地線間に並列的に接続される多数の同じ単位回路セルに対して、ESD保護素子を共通に利用できるのでESD保護素子が少なくて済み、半導体集積回路のチップ面積増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るESD保護素子の断面図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係るESD保護素子の降伏特性を示す図。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るESD保護素子の断面図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るESD保護素子の断面図。
【図5】本発明の第3の実施形態に係るPDPスキャン・ドライバ回路の概略図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るPDPスキャン・ドライバICの概略平面レイアウト図。
【図7】従来のSOI構造のMOS型ESD保護トランジスタの断面図。
【図8】従来のESD保護トランジスタの降伏特性を示す図。
【図9】PDPスキャン・ドライバ回路の構成を示す概略図。
【図10】従来のPDPスキャン・ドライバICの概略平面レイアウト図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
(第1の実施形態)
図1は本発明に係る第1の実施形態によるESD保護素子の断面図であり、以下にその構成を説明する。図1において、SOI基板の一部を構成する支持基板1上にシリコン酸化膜からなる埋め込み絶縁膜2が膜厚2.0μmで形成されている。さらに埋め込み絶縁膜2上にESD保護素子のベースとなるとともに活性層に相当し、単結晶シリコンからなる低不純物濃度P型半導体層3が膜厚3.5μmで、支持基板1および埋め込み絶縁膜2に対して貼り合わせ形成されている。素子分離領域17は、埋め込み絶縁膜2に達するまで半導体層3に溝を形成し、シリコン酸化膜などの絶縁膜を溝に埋め込んだ領域であり、通常ESD保護素子が形成されるべき半導体層3の領域の全周囲を取り囲んでいる。
【0030】
素子分離領域17で囲まれた半導体層3の所定領域には、半導体層3より不純物濃度が高い中不純物濃度P型第1半導体領域8が形成され、そのP型不純物濃度のピーク値は1×1018[cm-3]強である。また半導体層3内にはP型第1半導体領域8に近接してはいるが間隔をおいて低不純物濃度N型第1半導体領域16が形成され、そのN型不純物濃度のピーク値は1×1016[cm-3]弱である。このN型第1半導体領域16はP型第1半導体領域8に接していてもよい。
【0031】
N型第1半導体領域16内には、それより不純物濃度が高い中濃度N型第2半導体領域10が形成され、その領域の不純物濃度のピーク値は3×1018[cm-3]程度である。N型第2半導体領域10内の表面部には高不純物濃度P型第2半導体領域9が形成され、そのP型不純物濃度のピーク値は1×1021[cm-3]程度である。P型第1半導体領域8にも高不純物濃度P型半導体領域11が設けられているが、このP型半導体領域は金属電極とオーミックコンタクトを取るためのものであり、例えばイオン注入などによりP型第2半導体領域9と同時に形成されるものである。以後この半導体領域11をオーミックコンタクト用P型拡散領域という。
【0032】
半導体層3、P型第1半導体領域8の一部、N型第1半導体領域16、N型第2半導体領域10の一部表面上にはLOCOS法によって形成されたフィールド絶縁膜14が設けられ、さらに基板全面に渡ってリフロー処理で表面が平坦化されたBPSGなどからなる層間絶縁膜15が積層されている。また層間絶縁膜15の所定箇所に開口されたコンタクトホールを通じ、オーミックコンタクト用P型拡散領域11およびP型第2半導体領域9とそれぞれ電気的接続されたアルミニウム合金膜からなる第1電極12、第2電極13が設けられている。特に第1電極12はオーミックコンタクト用P型拡散領域11からP型第2半導体領域9方向にN型第1半導体領域16上に延在するように形成されている。層間絶縁膜15および第1、第2電極12、13上には図示していないが、SiN膜など水分や可動イオンに対する外部汚染バリアになる絶縁保護膜が形成される。なお、N型第1半導体領域16およびN型第2半導体領域10には基本的に電極は設けられず、また半導体層3に形成された拡散層など他の半導体領域にも接続されないので電気的にフローティング状態とされている。
【0033】
以上がESD保護素子を断面で見た構成であるが、平面レイアウトで見ると、P型第2半導体領域9、N型第2半導体領域10および第2電極13が図1に示す相対的配置関係を保って紙面に垂直方向かつ線状に伸び、その方向が長手方向になっている。そして少なくともN型第1半導体領域16、P型第1半導体領域8はリング状パターンを有し、P型第2半導体領域9、N型第2半導体領域10および第2電極13を取り囲んでいる。さらに第1電極12、オーミックコンタクト用P型拡散領域11をリング状パターンとし、P型第2半導体領域9、N型第2半導体領域10および第2電極13を取り囲むようにすることもできるし、紙面に垂直方向かつ線状に伸びたパターンとすることもできる。図1においてESD保護素子がN型第2半導体領域10などを中心として左右対称となっていることが以上のパターンレイアウトを反映している。図1は本発明によるESD保護素子部しか表示していないが、素子分離領域17より外部の半導体層3にはスキャン・ドライバ回路(高耐圧MOS型トランジスタ、IGBT他を含む)など高耐圧半導体回路が形成されている。
【0034】
次に、図1のESD保護素子の特性について説明する。本発明によるESD保護素子は、電気的にはP型の半導体層3およびP型第1半導体領域8をコレクタ、N型第1半導体領域16およびN型第2半導体領域10を電気的フローティング状態にあるベース、P型第2半導体領域9をエミッタとするPNP型バイポーラトランジスタとみなすことができる。図2は本発明によるESD保護素子の降伏に関する電流−電圧(I−V)特性の測定結果を示すグラフである。この測定結果は第1電極12(コレクタ)を接地し、第2電極13(エミッタ)をサージなどパルス状の高電圧がコレクタ−エミッタ間に逆バイアス印加される入出力端子とし、TLP(Transmission Line Pulsing)法で得たものである。TLP法は、電圧または電流の大きさを順次変化させながら複数の矩形波パルスを同軸ケーブルを通じてテストデバイスに印加し、その入射波とテストデバイスからの出力波に基づき、電流−電圧曲線を得る方法である。TLP法はESD特性測定法として現在広く用いられ、実際にサージが入力されたときのESD保護素子の挙動あるいは電流−電圧特性をよく反映する。
【0035】
図2に示されるように、サージが入力され、電圧が増加するとDC測定法で得られるバイポーラトランジスタのコレクタ−エミッタ間降伏電圧BVCE0(215V)に達する。ここでDC測定法での降伏電圧は通常電流が1nAから1μAの微小値から急速に増加する点での電圧とされる。さらに電圧が増加すると降伏電圧BVCE0の点からI−V特性が急峻な傾きを持って直線的に立ち上がり、トリガー電圧Vtr(電圧248V、電流1.66A)に達してスナップバックした時に、この大電流により熱的な損傷を受け非可逆な破壊に至る。
【0036】
このように本発明によるESD保護素子は、図8のような、トリガー電圧から電圧が低下して保持電圧を示した後、素子が破壊されず電流が増加する特性を示さない点で従来の保護素子とは異なる。そして図7の従来のSOI−MOS型ESD保護トランジスタと比較して、降伏電圧BVCE0、トリガー電圧Vtrを高耐圧半導体集積回路の電源電圧やIGBTなどの高耐圧半導体素子の各種耐圧と同程度にまで高めることができること、および降伏電圧BVCEOからスナップバック直前のトリガー電圧Vtrに至る間に、電圧があまり増加することなく大きい電流を流すことができることが特徴である。以下、その理由を説明する。
【0037】
本発明によるESD保護素子では図1のような構造にすることによって降伏電圧BVCE0およびトリガー電圧Vtrを、以下に述べるように、バイポーラトランジスタにおける降伏電圧に関する一般式に基づいて比較的容易に所望の値に設定することができる。
【0038】
バルクシリコン基板を用いるバイポーラトランジスタにおける降伏電圧に関して一般に以下の式が成立する。
【0039】
BVCEO=BVCBO ・(1−α)1/n (1)

CEO=ICBO/(1−α・M) (2)
【0040】
ここでBVCEOはコレクタ−エミッタ間降伏電圧、BVCBOはコレクタ−ベース間耐圧、αはベース接地時の電流利得、Mはアバランシェ増倍係数、ICEOはBVCEOにおけるコレクタ電流またはエミッタ電流、ICBOはコレクタ−ベース間のPN接合でのアバランシェ増倍係数Mに比例する逆方向電流であり、nは通常4〜6をとる。また普通αは1以下であるため、(1)式よりBVCEOはBVCBOよりも必ず低くなりαが1に近い程低下する。式(1)および(2)はベースが電気的フローティング状態のトランジスタについて成り立つものと考えられる。
【0041】
さて、ESD保護素子の第1電極12を接地し、第2電極13にESDなどによる高電圧が印加されたとき、P型半導体層3とN型第1半導体領域16間のPN接合は逆バイアスとなり、N型第1半導体領域16は低不純物濃度であるからその内部が空乏化される。これに対してN型第2半導体領域10はN型第1半導体領域16よりも2桁程度不純物濃度が高いため極めて空乏化され難い。BVCBOはP型半導体層3とN型第1半導体領域16間の耐圧と考えられるから、N型第1半導体領域16の不純物濃度を低減させることでBVCBOを増大させ、式(1)よりBVCEOを向上させることができる。
【0042】
一方、バイポーラトランジスタの動作理論によれば電流利得αはPNP型の場合よい精度で

α=1−(n0E/p0B)・(W/Le)・(De/Dh) (3)

で与えられる。ここでn0Eはエミッタ中の少数キャリア(電子)濃度、p0Bはベース中の少数キャリア(ホール)濃度、Wはベース幅、Leは電子の拡散長、De、Dhはそれぞれ電子、ホールの拡散係数である。またベースにおいて

B0B=ni2 (4)

が成立する。ここでnBはベース中の多数キャリア(電子)濃度、niは真性領域のキャリア濃度である。
【0043】
式(3)からp0Bを小さくする、すなわち式(4)からnBを大きくするためにベースの不純物濃度を高くすることによってαを小さくでき、式(1)より降伏電圧BVCEOを上昇させることができる。これは具体的にはN型第2半導体領域10の不純物濃度を高めて達成される。このように本発明によるESD保護素子はベース相当領域がN型第1半導体領域16とN型第2半導体領域10とで構成されているために、前者の不純物濃度の調整によりBVCBOを、後者の不純物濃度の調整によりαを別々に制御できるため、容易にBVCEOを高くすることが可能となる。従ってトリガー電圧VtrもBVCEOに追従して高くすることができる。
【0044】
本発明によるESD保護素子はまた、上に述べたように降伏電圧BVCEOからトリガー電圧Vtrに至る間に電流立ち上がりの傾きを大きくできる。これはベースに相当するN型第1半導体領域16およびN型第2半導体領域10が電気的にフローティング状態になっているためと考えられる。本発明によるESD保護素子はさらに、降伏電圧BVCEOとなった時から電流が大きく増加しなければスナップバックを起こさないという特性を有している。この特性は定性的に次のように説明できる。まず、ESD保護素子への印加電圧がBVCEOからさらに上昇すると電流ICEOが増加し、電流利得αも上昇する。電流利得αは一般的にはコレクタ電流に依存すると考えられるためである。また、印加電圧の上昇による電界増加に伴いアバランシェ増倍係数Mも増加する。このような状態にあるとき、式(2)からESD保護素子に流れる電流ICEOも増加していくことがわかる。そして電流利得αが上昇して1に近づくとすると、アバランシェ増倍係数Mが減少しても電流利得αがさらに1に近づくことによってICEOが増加するスナップバック(負性抵抗状態)に入る。以上のことからこのスナップバック段階に入る時点は、式(2)においてICEOの増加が、アバランシェ増倍係数Mが主として増加することによって起こる状態から、電流利得αが主として増加することによって起こる状態に移行したことと等価であると見ることができる。
【0045】
本発明によるESD保護素子ではN型第2半導体領域10の不純物濃度を高めて幅を持たせているため電流利得αが小さくなる。そして上記の説明から分かるように、スナップバック状態に入るためにはより多くの電流ICEOを流すことによって電流利得αを増大させなければならない構造になっていると推定される。このようにして本発明によるESD保護素子ではスナップバックを起こすまでに大きい電流が必要になると考えられる。本発明によるESD保護素子がスナップバックを容易に起こし難いのは、N型第2半導体領域10の不純物濃度を高くしてαを小さくできることと、αのICEO電流依存性を低減できることによると考えられる。
【0046】
以上説明したように、本発明の保護素子構造によれば高耐圧半導体集積回路をESDによるサージなどから十分保護するに足る程度に高い降伏電圧BVCEOやトリガー電圧Vtrを簡単な設定で得ることができる。またこの保護素子は図1に示す断面構造から明らかなように、SOI型高耐圧半導体集積回路中の素子が形成される単結晶半導体層中に形成できるので製造工程上の整合性がよく、製造コストを抑制できるという利点も有する。
【0047】
(第2の実施形態)
図3および図4は本発明の第2の実施形態によるESD保護素子の構造を示す断面図である。これらの保護素子は第1の実施形態(図1)と概ね同様な構造を有しているので、同一構造で同一機能を有する部位には同一の符号を付与して説明を省略し、第1の実施形態の保護素子と異なる特徴のある部分について主に説明する。まず図3のESD保護素子は、第1の実施形態のESD保護素子におけるP型半導体層3に代え、埋め込み絶縁膜2上に形成された単結晶シリコン半導体層のうち、少なくとも素子分離領域17で囲まれ、ESD保護素子が形成されるべき領域全体を低不純物濃度のN型半導体層としたもので、この半導体層がそのままフィールド絶縁膜14の下に形成されたN型第1半導体領域18となり、第1の実施形態におけるN型第1半導体領域16に相当する。こうした構造にしても第1実施形態の保護素子と同様の機能を発揮することができる。この構造では単結晶シリコン半導体層自体がN型第1半導体領域18となるので、低濃度P型半導体層3を形成した後、それに不純物を導入してN型第1半導体領域16を形成する第1の実施形態より1工程低減でき、低コスト化に寄与するものである。
【0048】
また、図4に示すESD保護素子は、図3の保護素子において、N型第1半導体領域18上に位置するフィールド絶縁膜14と層間絶縁膜15との間に新たに導電プレート19を挿入し、第1電極12と電気的に接続したものである。この導電プレート19はフィールド絶縁膜14を介してN型第1半導体領域18上をN型第2半導体領域10の方向へ延在し、フィールドプレートとして働く。すなわちサージなどの高電圧が第2電極13に印加され、N型第1半導体領域18内部に空乏化に応じた高電位のポテンシャル分布が生じたとき、導電プレート19を接地電位となっている第1電極12と同電位とすることによって前記ポテンシャル分布を変形させ、電界集中が起こって降伏し易くなっている部位の電界を緩和し、ESD保護素子の降伏電圧を向上させる。
【0049】
図1や図3の保護素子においても第1電極12がN型第1半導体領域16、18それぞれの上へある程度の距離まで延在するように設けられているのでフィールドプレートとしての作用をする。しかし図4の保護素子の導電プレート19は、第1電極12よりもN型第1半導体領域18に近いフィールド絶縁膜14の表面上に直接設けられるので、ポテンシャル分布の変形効果がより大きく、場合によって大きく電界を緩和させることができる。
【0050】
(第3の実施形態)
次に本発明による第3の実施形態として、ESD保護素子の回路接続方法について説明する。図5は第1または第2の実施形態によるESD保護素子を、すでに図9で説明したPDP用スキャン・ドライバICの高耐圧半導体回路セルに組み込んだ場合の回路概略図である。本発明によるESD素子28は等価回路的にはベース開放のPNP型バイポーラトランジスタの1種と見なすことができ、エミッタに対応する第2電極13(P型第2半導体領域9)がスキャン・ドライバ回路の高電圧電源線に接続され、コレクタに対応する第1電極12(オーミックコンタクト用P型拡散領域11、P型第1半導体領域8)が接地線に接続される。
【0051】
また図5に示すように回路の出力段を構成する第1素子としての高耐圧PチャネルMOS型トランジスタ22はそのP型ソース(S)およびチャンネル領域を含むN型ボディが電源電圧に設定され、ドレイン側(D)が出力端子に接続されている。出力段を構成する第2素子としての高耐圧IGBT25はゲート電極、P型コレクタ、P型エミッタを有し、図8に示すSOI−MOS型トランジスタと同様なESDに対する降伏特性を示す。従ってDC測定法で定義される降伏電圧、TLP法で測定される一定のトリガー電圧および保持電圧を有している。
【0052】
次に図5に示す回路のESDに対する動作を説明すると、正のサージにより電源電圧よりはるかに高い高電圧が出力端子から入力されると、出力端子と高電圧電源線間に接続されているMOS型トランジスタ22のドレイン(D)PN接合が順方向にバイアスされ、サージ電流がドレインからソース(S)および電源線を経由してESD保護素子28へ流れ込む。そのときESD保護素子28は図2に示した特性に基づいて降伏し、接地線へサージ電流を逃すことになる。
【0053】
上記動作を正常にさせるためには、ESD保護素子28の特にトリガー電圧が電源電圧よりも大きく、IGBT25のトリガー電圧より必ず小さくなるように設計し、IGBT25が常に保護されるようにする。もしESD保護素子28のトリガー電圧が電源電圧より小さければESD保護素子28が直ちにスナップバックして電源線から電流が流れ続け、熱的破壊に至ることになり、一方ESD保護素子28のトリガー電圧がIGBT25のトリガー電圧より大きければサージによりIGBT25の方が先に破壊される可能性出てくるためである。
【0054】
このような設計は第1の実施形態で説明したようにN型第1半導体領域16または18、およびN型第2半導体領域10のN型不純物濃度の調整、フィールドプレートとしての第1電極12、導電プレート19のパターン調整により行うことができる。ESD保護素子28が適切に設計されていれば、IGBT25のトリガー電圧よりESD保護素子28のトリガー電圧の方が低いのでサージ電流がESD保護素子28側へ優先的に流れることになり、IGBT25が破壊から保護される。特にESD保護素子28のトリガー電圧はIGBT25よりも僅かに低く設定することが望ましい。こうして本発明のESD保護素子28を回路に付加したことにより、IGBT25のチャネル幅はそのESD耐量を厳密に考慮することなく縮小可能となり素子面積が容易に縮小できる。
【0055】
上記ESD保護素子28は、従来のESD保護素子のように、低い保持電圧を電源電圧より高く持ち上げるためにトリガー電圧(または降伏電圧)を回路の電源電圧と比較して大きくとる必要がなく、電源電圧とトリガー電圧間のマージンを小さくすることができる。従ってESD保護素子28のトリガー電圧をIGBT25のトリガー電圧より僅かに低く設定することも可能となる。ESD保護素子28は降伏電圧BVCBOを電源電圧より大幅に大きくする必要がないため、素子寸法を小さく抑制することができる。
【0056】
本発明によるESD保護素子は高耐圧集積回路チップ上におけるそれ自体の占有面積増加を抑制できる点でも利点を有する。図6は高耐圧半導体集積回路(PDPスキャン・ドライバ)チップ内部へESD保護素子を配置した例を示すチップ概略平面レイアウト図である。図10に示した従来のチップと同様、トランジスタ22、IGBT25、ダイオード26、トランジスタ20〜24からなる高耐圧半導体回路の形成領域30、5V系CMOS制御回路27のような低電圧駆動半導体回路の形成領域33に、図9のスキャン・ドライバ回路を単位回路セルとして、複数の単位回路セルが横方向および上下方向に配列される。すなわち1個の高耐圧半導体回路形成領域30および1個の低電圧駆動半導体回路形成領域34に上述の単位回路セル1個が割り当てられる。
【0057】
本発明によるチップレイアウトでは、上記の単位回路セル配列に加え、図1、3、4の少なくともいずれかのESD保護素子がチップ29の左右両端にそれぞれ2箇所存在するESD保護素子形成領域32に合計4個が配列され、さらにそれらはすべて前記単位回路セルの電源線と接地線に共通に並列接続される。このように本発明による高耐圧半導体集積回路装置では多数の単位回路セルに対してESD保護素子を4個しか搭載しないので、ESD保護素子によるチップ29の面積増加を抑制できる。その理由は図2で見たようにこのESD保護素子のESDに対する電流容量が大きいため、複数の回路セルの出力端子にサージ電流が同時に入力されたとしても少ないESD保護素子でそれ自体が破壊されることなく回路素子を保護できるからである。
【0058】
上記本発明の第3の実施形態によれば、高耐圧半導体集積回路の出力段(あるいは入力段であってもよい)を構成する高耐圧・パワー素子の寸法(IGBT、高耐圧MOS型トランジスタのチャネル幅など)を小さくして占有面積を縮小し、それに伴って低くなったESD耐量を補うESD保護素子を必要とする場合、チップ内に挿入するESD保護素子は数個程度だけ、少なくとも回路セル数よりも少ない数だけですむ。このため本発明によるESD保護素子の寸法が、十分なESD耐量を有するようにするために従来のものより大きくなったとしてもチップ面積増大を抑制することができる。高電圧の入出力回路あるいは入出力端子の多い半導体集積回路装置ではチップ面積の節約効果が特に大きい。こうして本発明によればチップ面積が小さく、信頼性が高い上に安価な高耐圧半導体集積回路が得られ、それがPDPスキャン・ドライバの場合はプラズマディスプレイ装置の低コスト化に寄与する。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明によるESD素子、このESD素子を搭載した高耐圧半導体集積回路装置のレイアウトは上記実施形態に説明したスキャン・ドライバに限らず、本発明と同様の目的を達成するためであれば他の半導体装置にも応用が可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 支持基板
2 埋め込み絶縁膜
3 低濃度P型半導体層
4 ソース領域
5 ドレイン領域
6 ゲート絶縁膜
7 ゲート電極
8 P型第1半導体領域
9 P型第2半導体領域
10 N型第2半導体領域
11 オーミックコンタクト用P型拡散領域
12 第1電極
13 第2電極
14 フィールド絶縁膜
15 層間絶縁膜
16、18 N型第1半導体領域
17 素子分離領域
19 導電プレート
20、21、22 高耐圧PチャネルMOSトランジスタ
23、24 高耐圧NチャネルMOSトランジスタ
25 高耐圧IGBT
26 高耐圧ダイオード
27 CMOS制御回路
28 ESD保護素子
29 チップ
30 高耐圧半導体回路形成領域
31、32 ESD保護素子形成領域
33 低電圧駆動半導体回路形成領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体層と、
前記半導体層に形成された第1導電型の第1半導体領域と、
前記第1導電型の第1半導体領域に近接または隣接して前記半導体層に形成された第2導電型の第1半導体領域と、
前記第2導電型の第1半導体領域に形成された第2導電型の第2半導体領域と、
前記第2導電型の第2半導体領域に形成された第1導電型の第2半導体領域とを備え、
前記第2導電型の第2半導体領域の不純物濃度は前記第2導電型の第1半導体領域の不純物濃度より高く、前記第2導電型の第1半導体領域および前記第2導電型の第2半導体領域は電気的にフローティングとなっていることを特徴とするESD保護素子。
【請求項2】
半導体層と、
前記半導体層に形成された第2導電型の第1半導体領域と、
前記第2導電型の第1半導体領域に形成された第1導電型の第1半導体領域と、
前記第1導電型の第1半導体領域から離間して前記第2導電型の第1半導体領域に形成された第2導電型の第2半導体領域と、
前記第2導電型の第2半導体領域に形成された第1導電型の第2半導体領域とを備え、
前記第2導電型の第2半導体領域の不純物濃度は前記第2導電型の第1半導体領域の不純物濃度より高く、前記第2導電型の第1半導体領域および前記第2導電型の第2半導体領域は電気的にフローティングとなっていることを特徴とするESD保護素子。
【請求項3】
前記第2導電型の第1半導体領域および前記第2導電型の第2半導体領域には電極が接続されていないことを特徴とする請求項1または2に記載のESD保護素子。
【請求項4】
前記半導体層は支持基板上に設けられた絶縁膜上に形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のESD保護素子。
【請求項5】
前記第1導電型の第1半導体領域に接続する第1電極、および前記第1導電型の第2半導体領域に接続する第2電極と、前記第2導電型の第1半導体領域の上方を覆う層間絶縁膜とをさらに備え、
前記第1電極は、前記層間絶縁膜を介し、前記第1導電型の第2半導体領域へ向けて前記第2導電型の第1半導体領域上に延在していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のESD保護素子。
【請求項6】
前記第1導電型の第1半導体領域に接続する第1電極、および前記第1導電型の第2半導体領域に接続する第2電極と、前記第2導電型の第1半導体領域の上方を覆うフィールド絶縁膜と、前記フィールド絶縁膜上に形成された層間絶縁膜と、前記フィールド絶縁膜と前記層間絶縁膜との間であって且つ前記第2導電型の第1半導体領域の上方に設けられた導電プレートとをさらに備え、
前記第1電極は前記導電プレートと電気的に接続されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のESD保護素子。
【請求項7】
前記第1導電型がP型、前記第2導電型がN型であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のESD保護素子。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載のESD保護素子と、前記半導体層に形成され、前記ESD保護素子によって保護される半導体回路とを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
前記ESD保護素子の前記第1導電型の第1半導体領域は前記半導体回路の接地線に電気的に接続され、前記ESD保護素子の前記第1導電型の第2半導体領域は前記半導体回路の電源線に電気的に接続されていることを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体回路は複数の単位回路セルを含み、前記半導体装置に搭載される前記ESD保護素子の数は前記単位回路セルの数より小さいことを特徴とする請求項8または9に記載の半導体装置。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれかに記載のESD保護素子を有するプラズマディスプレイ装置。
【請求項12】
請求項8〜10のいずれかに記載の半導体装置を有するプラズマディスプレイ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−142242(P2011−142242A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2676(P2010−2676)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】