説明

HDDヘッド用トレー及びその製造方法

【課題】 寸法精度が優れた、ソリの小さなHDD収納トレー、特に洗浄、運搬用トレーおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】 導電性樹脂組成物を射出成形して成るハードディスクドライブヘッドの洗浄運搬用トレーにおいて、ヘッドを収納する窪みがトレーの表面中央部に複数個設けられ、該窪みが設けられた上面がトレー外側周辺部の表面と同じかそれより凸になっており且つ該窪みが設けられた面の裏面がトレー外側周辺部の裏面と同じかそれより凸になっている事を特徴としたハードディスクドライブヘッドのトレー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はハードディスクドライブヘッド(以下HDDヘッドと略記する)を収納する、特に洗浄、運搬または洗浄及び運搬(以下洗浄及び/または運搬と略記する)するためのトレーおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
HDDヘッドの洗浄は多数のヘッドを洗浄及び/または運搬用トレーに収納して行われている。この洗浄及び/または運搬用トレーにはヘッドを収納する窪みが多数設けられ、トレー同士を重ね合わせた状態でヘッドをトレー間に保持して洗浄および/または運搬される。近年ヘッドの高密度化に伴い、ヘッドの小型化が進み、より精密な寸法精度、電気特性及びクリーン度がトレーに要求されてきている。従来、ヘッド洗浄用トレーには寸法精度、耐溶剤性、耐磨耗性、電気特性の面からポリエーテルエーテルケトン等の熱可塑性樹脂材料に導電性カーボンを添加した導電性樹脂組成物を射出成形したものが使用されている。(特許文献1)
しかしながら、射出成形で得られる成形品は金型から取り出した後、室温まで冷却される間に収縮が発生し、この収縮量が成形品の形状により成形品内で不均一となる事から、要求する寸法精度を達成する事が難しいという問題があった。特に、トレーの平面度が悪いと、ヘッドをトレーに自動機で搭載する際に搭載できないヘッドが発生したり、洗浄する際に重ね合わせたトレーの間からヘッドが抜け落ちたり、ヘッドを顕微鏡で検査する際に焦点が合わない為に検査効率が落ちるという問題が発生する。
【特許文献1】特開平10−310122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的はハードディスクドライブヘッドの収納、特に洗浄、検査、運搬を容易に行う為に、洗浄性及び寸法精度及び作業性を向上させたトレーを提供する事にある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ハードディスクドライブヘッドの収納、特に洗浄及び/または運搬トレーに必要なヘッド洗浄性を向上させ且つ要求される寸法精度を確保できる成形品の形状、金型構造を発見した。
【0005】
本発明は熱可塑性樹脂に導電性材料を添加してなる導電性樹脂組成物を射出成形して成るハードディスクドライブヘッドの収納、特に洗浄及び/または運搬用トレーにおいて、ヘッドを収納する窪み(以下「ポケット」と称す)がトレーの表面中央部に複数個設けられ、該ポケットが設けられた上面がトレー外側周辺部の表面と同じかそれより凸になっており且つ該ポケットが設けられた面の裏面がトレー外側周辺部の裏面と同じかそれより凸になっている事を特徴としている。
【0006】
本発明者らはトレーの平面度を悪化させる主要因が成形品内において発生する収縮差である事を付きとめ、収縮差があってもトレーの平面度を悪化させない形状を考案した。
【0007】
本発明ではポケットが設けられたトレーの中央部の厚みの範囲内にトレーの外側周辺部の厚みが入る事からトレーの中央部と外側周辺部の収縮差がトレーを曲げるモーメントとなる事を防止できる。
【0008】
また本発明ではポケットが設けられたトレーの中央部から離れたトレー外側周辺部に勘合する部分を独立して設ける事も特徴としている。またその勘合部の長さをトレーの1辺の長さの1/2以下にしている。これにより勘合部のトレーの表裏に対する非対称性が起因する収縮による曲げモーメントを小さくする事ができ、勘合部分の収縮平面度を悪化させる事なく複数枚のトレーを重ね合わせた時の位置ずれを防止できる。
【0009】
また本発明の思想のもとに凸形状の勘合部を外周周辺部の表面及び裏面に設ける事により凹形状の勘合部より容易に金型製作ができる。
【0010】
また本発明では樹脂注入ゲートを成形品の外周部の1辺に設けて且つ該ゲートの幅が成形品の外周部の1辺の長さの1/5以上から2/3以下としている。
【0011】
従来より多点ピンゲート等の方法が取られているが、多点ピンゲートの場合、ゲートから流入した樹脂の合わせ部でガス溜まりによる平面度の悪化が発生する。
【0012】
本発明ではゲート位置を成形品の1辺に設ける事で樹脂の合わせ部をなくす事ができる。またゲートの幅を1辺の長さの1/5以上にする事により、ゲート付近での樹脂の流速を抑える事ができ、ゲート付近で樹脂に発生するせん断力を小さくする事ができる。その結果、導電性材料の切断による導電性の低下が防止できる。しかしながらゲートの幅を2/3以上にすると成形品の中央部への樹脂の充填より外周周辺部からの樹脂の充填が早くなり、樹脂が外周部周辺部より廻り込んでポケットが設けられた範囲内に樹脂の合わせ部が発生する。
【0013】
また本発明ではポケット部を形成する金型が複数個の入れ子で構成されており、該入れ子の1辺の長さが窪みの配置されたピッチの3倍〜9倍の範囲である事を特徴としている。
【0014】
ポケット部分は平面度以外にもピッチ精度が重要とされる。従来、単一ピッチについては金型精度で±0.002mm以内に入れる事は十分可能であったが、ポケットが数十列あるトレーの金型で累積ピッチを±0.005mm以内に入れる事は困難であった。
【0015】
本発明ではポケット部を形成する金型を複数の入れ子で形成する事により、1つの入れ子の加工が終了した段階で寸法測定を行い、その結果をもとに次に加工する入れ子の加工条件を変更して累積ピッチを調整する事ができる。
【0016】
また水抜き穴部でのばりの脱落によるヘッドの汚染が従来より大きな問題となっていた。水抜き穴部でのばりの発生要因は金型合わせ面に発生する隙間に樹脂が流入する事である。この金型合わせ面に発生する隙間は金型精度及び樹脂圧力に起因する。
【0017】
本発明では、ポケット部分及び水抜き穴を形成する前記入れ子と金型開き面に対して対称の位置に該入れ子と同じ数で同じ大きさの入れ子を設けた事を特徴としている。
【0018】
水抜き穴を形成する入れ子を金型の開き面に対して対称に金型の固定側と移動側に同数ずつ形成する事により、金型の合わせ面に発生する隙間を調整する事が可能となる。調整の仕方は入れ子高さの仕上がり寸法により入れ子の高さを追加工して行う事ができる。また入れ子の大きさを同じにして互換性をもたせておけば固定側入れ子と移動側入れ子の組み合わせを変えて調整する事もできる。
【0019】
また樹脂圧力による金型合わせ面に発生する隙間に樹脂が流れにくくする為に、本発明ではヘッド収納部が設けられた部分に併設された貫通穴の断面が段付となっており、ヘッド収納部側の貫通穴面積を小さくした事を特徴としている。
【0020】
貫通穴の断面を段付にして金型合わせ面の隙間に流れ込む樹脂を一旦、段付の部分で薄くする事により、樹脂温度を金型への伝熱により低下させ、樹脂粘度を上昇させる。これにより、樹脂が金型合わせ面の隙間に流れ込みにくくなる。
【0021】
本発明では成形品を金型から取り離す為の突き出しピンをヘッド収納部以外に設けて且つ最も近い位置に隣接する該突き出しピンのピッチが全てヘッド収納部ピッチの3倍以下とした事を特徴としている。
【0022】
本発明者らはトレーの平面度を悪化させる要因として成形品が金型から突き出される際に発生する曲げモーメントがある事を発見した。突き出しピンのピッチが大きいと突き出しピン間で発生する離型抵抗による曲げモーメントが大きくなり、平面度を悪化させる。この為、突き出しピンのピッチはポケットピッチの3倍以下とし、平面度の悪化を防いでいる。
【0023】
また本発明ではヘッド収納部が形成された領域の面積に対して金型から取り離す為の突き出しピンの占有する面積が1/45以上とした事を特徴としている。
【0024】
突き出しピンの占有する面積が小さいと成形品の離型抵抗に対して突き出しピンの強度が不足して突き出しピンが破損したり、成形品強度が不足して成形品が破損、変形したりという問題が発生する為、突き出しピンの占有する面積をヘッド収納部が形成された領域の面積に対して1/45以上としている。
【0025】
本発明ではヘッド収納部をトレーの表面と裏面に設け、且つ該ヘッド収納部が表裏対称の位置に設けた事を特徴としている。
【0026】
この事によりトレーを重ね合わせた状態でトレーを反転させる事によりヘッドの移し替えができ、作業性が大幅に向上する。
【0027】
本発明では洗浄及び/または運搬用トレーをそのまま検査用として使用でき、また出荷梱包用としても使用できる。
【0028】
出荷梱包用トレーとして使用する場合には、製造ロット、出荷日等の情報をレーザー等を用いてトレーに書き込み、随時、必要な時に読み込み装置を用いて情報を引き出す。これにより、出荷先でのトレーの識別が可能となる。また、ICタグを用いてトレーの識別をすることも可能である。
【0029】
本発明では水抜き穴の開口率を5%以上〜50%以下にしている。開口率が小さいと洗浄液の通りが悪くなり、洗浄性が低下する。また、開口率が大き過ぎると、剛性が不足したり、成形時の流動性が悪くなるなどの問題が発生する。
【0030】
また本発明ではヘッドが収納する四隅の部分に水抜き穴を設けて、ヘッドの角部とトレーの接触を避ける事により、ヘッド角部への磨耗粉の付着を防止できる。
【0031】
またヘッド収納部の周囲縦壁に切り欠きを設けて洗浄液がヘッド収納部に滞留する事なく周辺部へ流れるようにして洗浄性を向上させている。
【0032】
また本発明は、
金型のキャビティ部分の全面もしくは一部を圧縮用部材で構成された金型を用いて
充填、保圧工程から冷却工程中にキャビティ圧縮部分の圧力が50Mpa〜200Mpaに
相当する力で圧縮用部材を押し圧して成形する事を特徴とする請求項1、2、11もしくは請求項15のいずれか1項に記載のハードディスクヘッドのトレーの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0033】
この事により、ハードディスクドライブヘッドの収納、特に洗浄及び/または運搬用トレーで従来、難しいとされていた平面度0.03mm/□46mm以下という寸法精度を達成させる事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
本発明でハードディスクドライブヘッドのトレーの成形材料として適した材料は耐薬品性、耐熱性、耐磨耗性、寸法精度の面でポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニルサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂、ポリスチレン樹脂の少なくとも1種以上からなる樹脂が使用される。
【0035】
この中では耐薬品性、耐磨耗性、耐熱性の面からポリエーテルエーテルケトン樹脂が最も好ましい。
【0036】
本発明で用いる導電性材料は、円筒構造の炭素、中空シェル状粒子構造の炭素または繊維状炭素から選ばれた少なくとも一種が好ましく用いられえる。
この際の導電材料の割合は熱可塑性樹脂に対して1〜35質量%、好ましくは3〜10質量%である。導電性材料が円筒構造の炭素のみを用いる場合は、熱可塑性樹脂に対して好ましくは2〜7質量%、さらに好ましくは3〜6質量%である。
さらに前記導電性材料が直径が0.2μm以下の円筒構造の炭素を熱可塑性樹脂に対して0.1〜5質量%、及び直径が1〜10μmの繊維状炭素を熱可塑性樹脂に対して1〜30質量%で構成されていることが好ましい。
【0037】
また本発明でハードディスクドライブヘッドの洗浄及び/または運搬用トレーに適した導電性材料は、少量の含有率で表面抵抗値を出せる直径0.2μm以下の円筒構造の炭素を使用している。特に、直径が従来の炭素繊維に対して直径が1/100未満と小さい場合は、樹脂材料からの脱落がしにくく、ヘッドを汚染するという問題が発生しない。
【0038】
本願発明では熱可塑性樹脂としてポリエーテルエーテルケトン樹脂を導電性材料として
直径0.2μm以下の円筒構造の炭素を用いると好ましい。このような炭素としては、ハイペリオカタリシスインターナショナル社から市販されている。
また、導電性材料として直径が1〜10μmの従来の炭素繊維と直径が0.2μm以下の円筒構造の炭素を併用することにより導電率の分布が少ない成型品が得られて好ましい。
【0039】
本発明のHDDトレーの構造は、例えば実施例に示している構造が例示されるがこれに限定されるものではない。該HDDトレーの上面には孔が通常200〜500あり、ここにハードディスクドライブヘッドを収納し洗浄、運搬される。
【0040】
図11は本発明の成形装置の一部を示す概念図である。
【0041】
図12は樹脂を充填後の圧縮工程の有無による樹脂にかかる圧力の差を示す。図12Aは圧縮工程がない場合で、図13Aに示すようにゲートから出た樹脂にかかる圧力が部位Aではゲートに近い部分の樹脂にかかる圧力が部位Bより大きくしかも時間が経っても圧力差が残っている。これに対して図12Bは樹脂を充填後に圧縮工程のある場合で、図13Bに示されているように、樹脂を充填した直後は部位Aと部位Bでは圧力差が存在するが、圧縮工程で部位Aと部位Bでは圧力差が無くなり両者の圧縮力が殆ど等しくなる。従って圧縮工程のある場合はゲートからの距離が異なっていても均一な条件で成形させる。
図14は成形物表面の平坦性と圧縮圧力の関係を示したものであり圧縮力が大きいと平坦性の良好な成形物が得られる。図15は樹脂を金型に充填後の圧縮時間と平坦性を示したものである。樹脂は金型に充填後に圧縮時間が長い方が硬化が始まるのでできるだけ早く圧縮させることによって平坦性の良好な成形品が得られる。図16は樹脂を金型に充填後の圧縮の開始時間と平坦性を模式的に示したものであり、充填後なるべく短い時間で圧縮すると平坦な成形品が得られる。
【0042】
本発明の実施例では図14−図16の結果を基に成形されたものである。本発明の方法によって平坦性の良好な成形物が得られる。さらに本発明のHDDヘッド用トレーは温度変化等過酷な条件で使用されるため成形物のソリが発生しやすいという問題点があるが、本発明の方法によってソリの小さいトレーを作成することが可能となった。
【実施例】
【0043】
実施例1
PEEK樹脂(ビクトレックス社製、Peek、融点334℃)100質量部とカーボンナノチューブ(ハイパリオンカタリスト社製)6質量部、成形温度420℃、金型温度180℃、成形圧力200Mpaで図7に示す構造のHDDヘッド洗浄トレーを作成した。
【0044】
構造は外側外周部よりも中央部が凸であり(請求項1)、外周部に凹凸の勘合部があり(請求項2)、ゲート位置が外周部の一辺でゲート長さが一辺の1/3(請求項4)、図5に記載のようにポケット部入れ子がピッチの9倍のものを用いて成形を行ない(請求項6)であるものを作製した。
【0045】
得られたHDDヘッド洗浄トレーの寸法精度(ソリ)は0.03mm/50mmであり、成形品トレーの表面固有抵抗(JIS K6911)は1×106Ω/□〜1×108Ω/□であった。
【0046】
比較例1
実施例1と同様な材料を用い、特開平10−310122号公報に記載の外側外周部よりも中央部が凹である形状のトレーを作製した。得られたトレーの寸法精度(ソリ)は0.2mm/50mmであり、本願発明のトレーの構造が寸法精度が良好であることが分かった。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のトレーの断面図の一例で、トレーの外周部が中央部よりも凹の構造を示す図である。(請求項1)
【図2】本発明のトレーの一例で、トレーの外側周辺部に凹凸の勘合部がある構造を示す要部断面図である。(請求項2)
【図3】本発明のトレーの一例で、トレーの外側周辺部に凸凸の勘合部がある構造を示す図である。(請求項3)(A)は要部断面図、(B)は斜視図である。
【図4】本発明のトレーの製造方法を示す一例で、ゲート位置がトレーの外周部の一辺にあって、ゲート長さが一辺の1/5以上、2/3以下が好ましいことを示す要部斜視図である。(請求項4)
【図5】本発明のトレーの製造において金型に入れ子を用いた例を示す図である。(請求項5、6)
【図6】本発明の水抜き孔の一例を示す断面図である。(請求項14)
【図7】本発明のHDD洗浄用トレーの一例を示す図である。(実施例1)
【図8】従来のトレーの一例の断面図で、トレーの外周部が中央部よりも凸の構造を示す図である。
【図9】従来のトレーでそりが発生するメカニズムの予想図である。
【図10】従来のトレーの一例の断面図で、トレーの外側周辺部に凹凸の勘合部がある構造を示す図である。
【図11】本発明の成形装置の一部を示す概念図である。
【図12】(A)は成形において圧縮工程の無い場合の圧力のかかり方を示す模式図である。(B)は圧縮工程の有る場合の成形物の部位による樹脂にかかる圧力の差を示す模式図である。
【図13】Aは成形において圧縮工程が無い場合の圧力のかかり方を示す図である。Bは圧縮工程の有る場合の成形物の部位による樹脂にかかる圧力の差を示す図である。
【図14】模式的に成形物表面の平坦性と圧縮圧力の関係を示した図である。
【図15】樹脂を金型に充填後の圧縮時間と平坦性の関係を示した図である。
【図16】樹脂を金型に充填後の圧縮の開始時間と平坦性を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂に導電性材料を添加してなる導電性樹脂組成物を射出成形して成るハードディスクドライブヘッドの収納トレーにおいて、ヘッドを収納する窪みがトレーの表面中央部に複数個設けられ、該窪みが設けられた上面がトレー外側周辺部の表面と同じかそれより凸になっており且つ該窪みが設けられた面の裏面がトレー外側周辺部の裏面と同じかそれより凸になっている事を特徴としたハードディスクドライブヘッドのトレー。
【請求項2】
熱可塑性樹脂に導電性材料を添加してなる導電性樹脂組成物を射出成形して成るハードディスクドライブヘッドの洗浄、運搬または洗浄及び運搬用トレーにおいて、ヘッドを収納する窪みがトレーの表面中央部に複数個設けられ、該窪みが設けられた上面がトレー外側周辺部の表面と同じかそれより凸になっており且つ該窪みが設けられた面の裏面がトレー外側周辺部の裏面と同じかそれより凸になっている事を特徴とした請求項1記載のハードディスクドライブヘッドのトレー。
【請求項3】
前記トレー外側周辺部の表面に少なくとも1箇所、勘合用の凹部を設け、該凹部の裏側に位置する部分に該凹部に勘合する凸部を設けて複数枚のトレーを重ね合わせた時の位置ずれを防止した事を特徴とした請求項1または2に記載のハードディスクドライブヘッドのトレー。
【請求項4】
前記トレー外側周辺部の表面に少なくとも2箇所、勘合用の凸部を設け、該凸部の裏側に位置する部分に該凸部に勘合する凸部を設けて複数枚のトレーを重ね合わせた時の位置ずれを防止した事を特徴とした請求項1〜3のいずれかに記載のハードディスクドライブヘッドのトレー。
【請求項5】
樹脂注入ゲートを成形品の外周部の1辺に設けて且つ該ゲートの幅が成形品の外周部の1辺の長さの1/5以上から2/3以下とした事を特徴とした請求項1または2に記載のハードディスクドライブヘッドのトレー。
【請求項6】
ハードディスクドライブヘッドを収納する窪みを形成する金型が複数個の入れ子で構成されており、該入れ子の1辺の長さが窪みの配置されたピッチの3倍〜9倍の範囲である事を特徴とした請求項1または2に記載のハードディスクドライブヘッドトレー。
【請求項7】
前記入れ子と金型開き面に対して対称の位置に該入れ子と同じ数で同じ大きさの入れ子を設けた事を特徴とした請求項6に記載のハードディスクドライブヘッドトレー。
【請求項8】
熱可塑性樹脂に導電性材料を添加してなる導電性樹脂組成物を射出成形して成るハードディスクドライブヘッドの洗浄運搬用トレーにおいてヘッド収納部が設けられた部分に併設された貫通穴の断面が段付となっており、ヘッド収納部側の貫通穴面積を小さくした事を特徴とした請求項7に記載のハードディスクドライブヘッドトレー。
【請求項9】
成形品を金型から取り離す為の突き出しピンをヘッド収納部以外に設けて且つ最も近い位置に隣接する該突き出しピンのピッチが全てヘッド収納部ピッチの3倍以下とした事を特徴とした請求項1または2に記載のハードディスクドライブヘッドのトレー。
【請求項10】
ヘッド収納部が形成された領域の面積に対して金型から取り離す為の突き出しピンの占有する面積が1/45以上とした事を特徴とした請求項1または2に記載のハードディスクドライブヘッドのトレー。
【請求項11】
熱可塑性樹脂に導電性材料を添加してなる導電性樹脂組成物を射出成形して成るハードディスクドライブヘッドの収納用トレーにおいてヘッド収納部をトレーの表面と裏面に設け、且つ該ヘッド収納部が表裏対称の位置に設けた事を特徴としたハードディスクドライブヘッドのトレー。
【請求項12】
前記トレーがハードディスクドライブヘッドの検査用トレーとして兼用される事を特徴とする請求項1、2もしくは請求項11のいずれか1項に記載のハードディスクドライブヘッドのトレー。
【請求項13】
前記トレーがハードディスクドライブヘッドの出荷梱包用トレーとして兼用される事を特徴とする請求項1、2もしくは請求項11のいずれか1項に記載のハードディスクドライブヘッドのトレー。
【請求項14】
前記トレーに個体判別用マークがレーザーで書き込まれている事を特徴とする請求項13に記載のハードディスクドライブヘッドのトレー。
【請求項15】
熱可塑性樹脂に導電性材料を添加してなる導電性樹脂組成物を射出成形して成るハードディスクドライブヘッドの洗浄運搬用トレーにおいてヘッド収納部が設けられた部分に併設された貫通穴の開口率が5%以上から50%以下である事を特徴とするハードディスクドライブヘッドのトレー。
【請求項16】
熱可塑性樹脂に導電性材料を添加してなる導電性樹脂組成物を射出成形して成るハードディスクドライブヘッドの洗浄運搬用トレーにおいてヘッド収納部の四隅の位置に貫通穴を設けた事を特徴とした請求項15に記載のハードディスクドライブヘッドのトレー。
【請求項17】
熱可塑性樹脂に導電性材料を添加してなる導電性樹脂組成物を射出成形して成るハードディスクドライブヘッドの洗浄運搬用トレーにおいてヘッドを収納する窪みの周囲縦壁が一部切り欠かれてトレーの外側周辺部へ連通している事を特徴とした請求項15に記載のハードディスクドライブヘッドのトレー。
【請求項18】
前記熱可塑性樹脂がポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニルサルファイド樹脂、ポリエーテルサルフォン樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂、ポリスチレン樹脂の少なくとも1種以上である事を特徴とする請求項1、2、11もしくは請求項15のいずれか1項に記載のハードディスクドライブヘッドのトレー。
【請求項19】
前記導電性材料が円筒構造の炭素、中空シェル状粒子構造の炭素または繊維状炭素から選ばれた少なくとも一種からから構成されている事を特徴とする請求項1、2、11もしくは請求項15のいずれか1項に記載のハードディスクドライブヘッドのトレー。
【請求項20】
前記導電性材料が直径が0.2μm以下の円筒構造の炭素を熱可塑性樹脂に対して0.1〜5質量%、及び直径が1〜10μmの繊維状炭素を熱可塑性樹脂に対して1〜30質量%で構成されていることを特徴とする請求項19記載ハードディスクドライブヘッドのトレー。
【請求項21】
金型のキャビティ部分の全面もしくは一部を圧縮用部材で構成された金型を用いて
充填、保圧工程から冷却工程中にキャビティ圧縮部分の圧力が50Mpa〜200Mpaに
相当する力で圧縮用部材を押し圧して成形する事を特徴とする請求項1、2、11もしくは請求もしくは請求項15のいずれか1項に記載のハードディスクヘッドの洗浄運搬用
トレーの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2006−36363(P2006−36363A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−186829(P2005−186829)
【出願日】平成17年6月27日(2005.6.27)
【出願人】(591016334)大塚テクノ株式会社 (19)
【Fターム(参考)】