説明

LED表示装置

【課題】LEDチップの出射光を表示部に導光する導光ユニットについて、部品点数,組立工数の削減、およびコスト低減化が図れるように改良した組立構造を提供する。
【解決手段】前面に表示部を備えた箱形ケース内に直立姿勢に配置したプリント基板3に複数個のLEDチップ12をアレー状に並べ、LEDチップ12と表示部との間に略L字形の導光部材5を配備たLED表示装置において、その導光ユニット4を導光部材集合体13と支持台板14との二つの部品で構成し、LEDチップ12のアレーに対応して複数の導光部材を相互連結して一体にモールド成形し、2組の導光部材集合体13を支持台板14に敷設し、支持台板14には位置決めリブ14a,コーナー部の遮光リブ14b、およびLEDチップ12から出射する光の周囲漏れを防ぐ遮光壁部15,スナップフィット式の係合爪16を一体形成しプリント基板3の板面に係止連結して導光ユニット4を組立てる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、プログラマブルコントローラなどに搭載装備してその前面表示部に情報を表示するLED表示装置に関し、詳しくはその組立構造に係わる。
【背景技術】
【0002】
頭記のLED表示装置として、前面に表示部を備えた箱形ケースの内部に収納して直立姿勢に配置したプリント基板に複数個のLEDチップをアレー状に並べて配置するとともに、該LEDチップと前記表示部との間に導光経路を略L字形に形成した透明樹脂製(例えば、アクリル樹脂製)の導光部材(レンズ)を敷設し、該導光部材を通じて各LEDチップからの出射光を表示部に導光,照射するようにした構成が知られており(例えば、特許文献1参照)、その組立構造を図7,図8に示す。
図7において、1は前部ケース1a,後部ケース1bからなるプログラマブルコントローラの箱形ケース、2は前部ケース1aの前面に配した表示部、3は板面をケース1の側壁面に沿わせて直立姿勢に配置したプリント基板、4はプリント基板3に搭載したLEDチップ(図示せず)からの出射光をケース前面の表示部2に導く導光ユニットであり、プリント基板3の板面(導光ユニット4と対面する側)には複数のLEDチップがアレー状に並べて配置されている。
また、前記の導光ユニット4は、図8で示すように、アレー状に並ぶ各LEDチップと一対一に対応させてLEDチップと表示部2の表示名板との間に配列した複数本の導光部材5と、該導光部材5の入射側および出射側の両端に配した入射突起6および対物突起7と、前記入射突起6を挿入してLEDチップから出射する光が周囲に漏れるのを防止する格子状の遮光仕切板8と、対物突起7に連結して各導光部材5から出射する光を前方に動向する格子状のマスク9と、該マスク9の前面を覆うレンズカバー10と、これら各部材を内包して組立位置に保持するユニットケース11とからなる。また、前記マスク9には固定脚としての固定リブ9a,9bを、ユニットケース11には固定リブ11aを設け、この固定リブ9a,9bおよび11aをプリント基板3の板面に穿孔した固定穴に嵌着して導光ユニット4をプリント基板3に係止連結している。なお、各部の詳細構造,機能については、特許文献1に詳しく述べられている。
【特許文献1】特開2000−347605号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記特許文献1に開示されているLED表示装置は、導光ユニットの組立構造が複雑で部品点数,組立工数が多く、さらに導光ユニットを構成する各種の樹脂成形部品を製作する金型の投資も必要となってコスト高になる。
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、前記した従来の導光部組立構造を見直して部品点数,組立工数の削減、製作コストの低減化が図れるように改良したLED表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、この発明によれば、前面に表示部を備えた箱形ケース内に収納し、そのケース側面に板面を沿わせて直立姿勢に配置したプリント基板に複数個のLEDチップをアレー状に並べて配備するとともに、該LEDチップと前記表示部との間に導光経路が略L字形に屈曲した透明樹脂製の導光部材を敷設し、該導光部材を通じて各LEDチップからの出射光を表示部に導光するようにしたLED表示装置において、
横一列に並ぶLEDチップに対応して配列した導光部材の相互間をタイバー連結して一体にモールド成形した導光部材集合体を備え、かつこの導光部材集合体を水平姿勢に配した支持台板の板面に敷設して位置決め保持した上で、該支持台板を前記プリント基板に係止連結して組立てるものとし(請求項1)、具体的には次記のような態様で構成する。
(1)前記構成において、プリント基板の板面に対峙する支持台板の端部に、各導光部材の入射端を差し込んでLEDチップから出射する光の漏れを防止する格子状の遮光壁部を一体成形する(請求項2)。
(2)前記支持台板の板面には、導光部材集合体を定位置に保持する位置決めリブ,および各導光部材のL字形コーナー部分を覆って隣接する導光部材との間の光干渉を阻止する遮光リブを起立形成する(請求項3)。
(3)前記プリント基板と対峙する支持台板の端縁部にスナップフィット式の係合爪を設け、該係合爪により支持台板をプリント基板に係止連結する(請求項4)。
(4)、複数のLEDチップを上下列に分けてプリント基板上にアレー配列した上で、各列のLEDチップに対応してモールド成形した2組の導光部材集合体を支持台板の表裏両面に分けて敷設する(請求項5)。
【発明の効果】
【0005】
上記の組立構造によれば、プリント基板に搭載したLEDチップの出射光を箱体ケース前面に配した表示部に導光する導光部の組立体を単体のモールド成形品になる導光材集合体と、この導光集合体を搭載して定位置に位置決め保持する支持台板との僅か二つの部品で構成することができ、これにより従来構造と比べて部品点数,組立工数を大幅に削減してコストダウンが図れる。
また、前記の支持台板に、導光部材集合体を定位置に位置決め保持するリブ、各導光部材のL字形コーナー部分を覆って隣接する導光部材との間の光干渉を阻止する遮光リブ、および格子状の遮光壁部,プリント基板に係止連結するスナップフィット式の係止爪を一体にモールド成形したことにより、組立作業性の簡便化が図れるとともに、機能性でも隣り合う導光部材との間の光干渉を防止して導光性能を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、この発明の実施の形態を図1〜図6に示す実施例に基づいて説明する。なお、図1は導光ユニットの分解斜視部、図2は導光ユニットの組立状態の斜視図、図3は図2の平面図、図4導光ユニットをプリント基板に係止連結した組立状態の平面図およびその要部断面図、図5は図4の組立状態の斜視図、図6はLED表示装置全体の分解斜視図であり、図7,図8に対応する部材には同じ符号を付している。
図示実施例のLED表示装置では、図1で示すようにLEDチップ12が上下2列に分けてプリント基板3の板面にアレー配列されている(横一列に並ぶLEDチップは9個)。そして、このLEDチップ12のアレー配列に対して、各LEDチップ12からの出射光を図6の箱形ケース1の前面に配した表示部2に向けて個別に導光,照射する導光ユニット4が、上下に並ぶ2組の導光部材集合体13と、この2組の導光部材集合体13を上下面に担持してプリント基板3に係止連結する支持台板14との2部品からなる組立体で構成されている。
ここで、導光部材集合体13は透明アクリル樹脂の成形品で、プリント基板3に搭載したLEDチップ12の一列分のアレー配列数(9個)に合わせて入射端,出射端が同じ面上に並ぶよう揃えて配列した略L字形の導光部材5(9本)の相互間をタイバー(連結バー)13aにより連結して一体にモールド成形した構造体になる。また、導光経路の途中箇所がL字形に屈曲している導光部材5はその屈曲コーナー部を角度45°に傾斜させ、LEDチップ12から出射した光を前記コーナー部で反射させて直角な導光経路を形成している。
【0007】
一方、支持台板14は導光部材集合体13に対応した外形サイズを有する樹脂製の板で、その上下板面には前記タイバー13aおよび各導光部材5の出射側端部を嵌め込んで導光部材集合体13を定位置に係止保持する位置決めリブ14a、および前記した導光部材5の傾斜コーナー部を内外から覆って隣接する導光部材の相互間で光が干渉するのを防止する遮光リブ14bが起立形成されている。
また、プリント基板3に対向して支持台板14の側縁部には、前記導光部材5の入射端を差し込んでLEDチップ12から出射する光が周囲に漏れるのを防止する格子状の遮光壁部15が一体成形されている。さらに、前記遮光壁部15の両端にはプリント基板3に向けて突き出すようにスナップフィット式の係合爪16,および鉤形の支持脚17を形成し、この係合爪16,支持脚17をプリント基板3に穿孔した係合穴へ嵌挿して係止連結するようにしている。
そして、前記の導光ユニット4を組み立てるには、先ず各導光部材5の入射端を支持台板14に設けた格子状の遮光壁部15に差し込んで2組の導光部材集合体13を支持台板14の上下両面に重ね合わせ、各導光部材5の出射側端およびタイバー部13aを支持台板14に起立形成した位置決めリブ14aの間に嵌め込んで定位置に係止保持する(図2,図3参照)。次に、遮光壁部15の両端に設けた係合爪(スナップフィット)16,支持脚17をプリント基板3の板面に穿孔した係合穴へ嵌挿して導光ユニット4をプリント基板3に係止連結する(図4,図5参照)。この組立状態では、図4(b)で示すように各導光部材5の入射側端面がLEDチップ12に近接して対向し、かつその周域が格子状の遮光壁部15で囲まれる。
【0008】
前記手順により相互連結したプリント基板3と導光ユニット4との組立体は、図6で示すようにプログラマブルコントローラの箱形ケース1の中に組み込み、そのケース前面に表示部2を設置してLED表示装置を構成する。なお、表示部2には各導光部材5の出射端面と個々に位置合わせて表示する文字,数字のマークが印刷されている。
上記の構成において、LEDチップ12を点灯させると、該LEDチップから出射した光は周囲に漏れて干渉し合うことなしに導光部材5の端面に入射した後、その途中箇所に形成した屈曲コーナー部で反射して導光経路を直角方向に変え、その先端から表示部2に照射して表示文字,数字のマークを前面に照らし出す。
しかも、前記導光経路では導光部材5の屈曲コーナー部が支持台板14に設けた遮光リブ14bにより内外から覆われているので、このコーナー部から拡散反射して導光部材5の導光経路から漏れた光が隣接する導光部材5に侵入して光干渉を引き起こすおそれはない。また、各導光部材5の間を連結するタイバー13aは導光経路に対して直角方向に形成されているので、直進する導光性に影響を及ぼすこともない。
なお、支持台板14の両面に2組の導光部材集合体13を敷設して組立てた図示実施例の導光ユニット4を複数セット組合せることにより、表示部2に表示する情報点数を拡張して多目的な仕様にも対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施例による導光ユニットの分解斜視部
【図2】図1の導光ユニットの組立状態を表す斜視図
【図3】図2の平面図
【図4】図2の導光ユニットをプリント基板に係止連結した組立状態を表す図で、(a)は平面図、(b)は(a)におけるA部の拡大断面図
【図5】図4の斜視図
【図6】LED表示装置全体の分解斜視図
【図7】プログラマブルコントローラに搭載した従来のLED表示装置の分解斜視図
【図8】図7における導光ユニットの詳細構造を表す分解斜視図
【符号の説明】
【0010】
1 箱形ケース
2 表示部
3 プリント基板
4 導光ユニット
5 導光部材
12 LEDチップ
13 導光部材集合体
13a タイバー
14 支持台板
14a 位置決めリブ
14b 遮光リブ
15 遮光壁部
16 係合爪(スナップフィット)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に表示部を備えた箱形ケース内に収納し、そのケース側面に板面を沿わせて直立姿勢に配置したプリント基板に複数個のLEDチップをアレー状に並べて配備するとともに、該LEDチップと前記表示部との間に導光経路が略L字形に屈曲した透明樹脂製の導光部材を敷設し、該導光部材を通じて各LEDチップからの出射光を表示部に導光するようにしたLED表示装置において、
横一列に並ぶLEDチップに対応して配列した導光部材の相互間をタイバー連結して一体にモールド成形した導光部材集合体を備え、かつこの導光部材集合体を水平姿勢に配した支持台板の板面に敷設して位置決め保持した上で、該支持台板を前記プリント基板に係止連結して組立てたことを特徴とするLED表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載のLED表示装置において、プリント基板の板面に対峙する支持台板の端部に、各導光部材の入射端を差し込んでLEDチップから出射する光の漏れを防止する格子状の遮光壁部を一体成形したことを特徴とするLED表示装置。
【請求項3】
請求項1に記載のLED表示装置において、支持台板の板面には、導光部材集合体を定位置に保持する位置決めリブ,および各導光部材のL字形コーナー部分を覆って隣接する導光部材との間の光干渉を阻止する遮光リブを起立形成したことを特徴とするLEDチップ表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載のLED表示装置において、プリント基板に対峙する支持台板の端縁部にスナップフィット式の係合爪を設け、該係合爪により支持台板をプリント基板に係止連結したことを特徴とするLED表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載のLED表示装置において、複数のLEDチップを上下列に分けてプリント基板上にアレー配列した上で、各列のLEDチップに対応してモールド成形した2組の導光部材集合体を支持台板の表裏両面に分けて敷設したことを特徴とするLED表示装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2009−222957(P2009−222957A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66982(P2008−66982)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(591083244)富士電機システムズ株式会社 (1,717)
【Fターム(参考)】