説明

MEMSセンサおよびMEMSセンサの製造方法

【課題】可撓部が変形する際に破断しにくく耐衝撃性能に優れたMEMSセンサを提供する。
【解決手段】支持部と、一端が前記支持部に結合している可撓性を有する膜であって、厚肉部と前記厚肉部との境界を区間端とし前記厚肉部から離れるにつれて厚さが漸減している漸減区間を有する薄肉部とが前記一端から離れる方向に配列されている可撓部と、前記薄肉部に形成され前記薄肉部に生ずる歪みを検出するための歪み検出手段と、を備えるMEMSセンサ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)センサおよびMEMSセンサの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加速度センサ、角速度センサ、圧力センサ、振動センサ、マイクロホン、力覚センサ等のMEMSセンサには梁やダイヤフラム等の可撓部が備えられている。特許文献1には、ダイヤフラムに屈曲部が形成されているMEMSセンサが記載されている。
【特許文献1】特開平7−74370号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載されたMEMSセンサでは、ダイヤフラムが変形する際、ダイヤフラムに形成された屈曲部に応力が集中し、破断しやすい。
【0004】
本発明はこの問題に鑑みて創作されたものであって、可撓部が変形する際に破断しにくく耐衝撃性能に優れたMEMSセンサの提供を目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記目的を達成するためのMEMSセンサは、支持部と、一端が前記支持部に結合している可撓性を有する膜であって、厚肉部と前記厚肉部との境界を区間端とし前記厚肉部から離れるにつれて厚さが漸減している漸減区間を有する薄肉部とが前記一端から離れる方向に配列されている可撓部と、前記薄肉部に形成され前記薄肉部に生ずる歪みを検出するための歪み検出手段と、を備える。
【0006】
本発明によると、可撓部に薄肉部が形成されているため、剛性を高めることなく可撓部を小さくできるため、MEMSセンサを小型化できる。また、可撓部の変形による応力が薄肉部の漸減区間全体に分散されるため、可撓部が破断しにくく耐衝撃性能が向上する。また、可撓部が変形する際、薄肉部は厚肉部に比べて歪みが大きくなるため、薄肉部に歪み検出手段を形成することによって、可撓部の変形に伴う物理量の検出感度を高めることができる。
【0007】
(2)上記目的を達成するためのMEMSセンサにおいて、前記可撓部の他端に結合している錘部をさらに備え、前記厚肉部と前記薄肉部とは前記可撓部の一端と他端とを結ぶ直線上に形成されていてもよい。
【0008】
本発明によると、MEMSセンサが錘部を備えていても可撓部の変形による応力が漸減区間全体に分散されるため、可撓部が破断しにくく耐衝撃性能が向上する。また、厚肉部と薄肉部とが可撓部の一端と他端とを結ぶ直線上に形成されることで可撓部が撓みやすくなるため、可撓部の撓みに伴う物理量の検出感度を高めることができる。
【0009】
(3)上記目的を達成するためのMEMSセンサにおいて、前記可撓部は一端が前記支持部に結合し他端が前記錘部に結合した梁であって、前記薄肉部は前記梁の一端と他端とを結ぶ2辺間を横断していてもよい。
【0010】
本発明によると、薄肉部が梁の2辺間を横断することで可撓部が撓みやすくなるため、可撓部の撓みに伴う物理量の検出感度を高めることができる。
【0011】
(4)上記目的を達成するためのMEMSセンサにおいて、前記可撓部は一端が前記支持部に結合し他端が前記錘部に結合した環状のダイヤフラムであって、前記薄肉部は前記ダイヤフラムを一周していてもよい。
【0012】
本発明によると、薄肉部が一周することでダイヤフラムが撓みやすくなるため、ダイヤフラムの撓みを伴う物理量の検出感度を高めることができる。
【0013】
(5)上記目的を達成するためのMEMSセンサにおいて、前記可撓部の主面の一方は平坦であって前記可撓部の主面の他方は前記薄肉部においてなだらかに凹んでいてもよい。
【0014】
本発明によると、可撓部の両主面を凹ませる必要がなくなるため、可撓部が破断しにくく耐衝撃性能に優れたMEMSセンサの製造工程を簡素化し製造コストを削減できる。また、薄肉部の凹みがなだらかであるため、可撓部が破断しにくく耐衝撃性能が向上する。なお、主面がなだらかに凹んでいるとは、主面が折れ曲がることなく主面の傾斜が連続的に変化することにより凹みが形成されていることを意味する。なお、本明細書において可撓部の主面とは、可撓部を構成する膜が広がる方向に広がる面であって、MEMSセンサのダイを構成する積層構造体に含まれる複数の膜が積層されている方向に対して垂直な方向に広がる面をいう。
【0015】
(6)上記目的を達成するためのMEMSセンサは、支持部と、一端が前記支持部に結合している可撓性を有する膜であって前記一端から離れる方向になだらかにうねる波形区間を有する可撓部と、前記波形区間に形成され前記波形区間に生ずる歪みを検出するための歪み検出手段と、を備える。
【0016】
本発明によると、可撓部が波形区間を有することで剛性を高めることなく可撓部を小さくできるため、MEMSセンサを小型化できる。また、可撓部における波形区間のうねりがなだらかであるため、可撓部が破断しにくく耐衝撃性能が向上する。また、可撓部が変形する際、波形区間は可撓部における波形区間以外の区間に比べて歪みが大きくなるため、波形区間に歪み検出手段を形成することによって、可撓部の変形を伴う物理量の検出感度を高めることができる。なお、波形区間がなだらかにうねるとは、波形区間における2つの主面が折れ曲がることなく互いの距離を基本的には一定に保ちながら2つの主面の傾斜が連続的に変化していることを意味する。
【0017】
(7)上記目的を達成するためのMEMSセンサにおいて、前記可撓部の他端に結合している錘部をさらに備え、前記波形区間は前記可撓部の一端から他端に向かう方向になだらかにうねっていてもよい。
【0018】
本発明によると、MEMSセンサが錘部を備えていても可撓部における波形区間のうねりがなだらかであるため、可撓部が破断しにくく耐衝撃性能が向上する。また、波形区間が可撓部の一端から他端に向かう方向にうねっていることで可撓部が撓みやすくなるため、可撓部の撓みを伴う物理量の検出感度を高めることができる。また、波形区間が可撓部の一端から他端に向かう方向うねっていることで可撓部が撓みやすくなるため、可撓部の撓みを伴う物理量の検出感度を高めることができる。
【0019】
(8)上記目的を達成するためのMEMSセンサにおいて、前記可撓部は一端が前記支持部に結合し他端が前記錘部に結合した梁であって、前記波形区間は前記梁の一端と他端とを結ぶ2辺間を横断していてもよい。
【0020】
本発明によると、波形区間が梁の2辺間を横断することで可撓部が撓みやすくなるため、可撓部の撓みを伴う物理量の検出感度を高めることができる。
【0021】
(9)上記目的を達成するためのMEMSセンサにおいて、前記可撓部は一端が前記支持部に結合し他端が前記錘部に結合した環状のダイヤフラムであって、前記波形区間は前記ダイヤフラムを一周していてもよい。
【0022】
本発明によると、波形区間が一周することでダイヤフラムが撓みやすくなるため、ダイヤフラムの撓みを伴う物理量の検出感度を高めることができる。
【0023】
(10)上記目的を達成するためのMEMSセンサの製造方法は、第1シリコン層と前記第1シリコン層より薄い第2シリコン層とを含むSOIウエハの前記第2シリコン層の表面になだらかにうねる波面を形成し、前記第1シリコン層を含む支持部と、一端が前記支持部に結合し前記第2シリコン層を含み前記第1シリコン層を含まない可撓性を有する膜であって前記支持部から離れる方向になだらかにうねる前記波面を有する可撓部とを前記第1シリコン層の一部を除去することによって形成し、前記可撓部の歪みを検出するための歪み検出手段を前記可撓部の前記波面に対応する区間に形成する、ことを含む。
【0024】
本発明によると、可撓部における波面のうねりがなだらかに形成されるため、破断しにくく耐衝撃性能に優れたMEMSセンサを製造できる。なお、波面がなだらかにうねるとは、表面が折れ曲がることなく表面の傾斜が連続的に変化していることを意味する。
【0025】
(11)上記目的を達成するためのMEMSセンサの製造方法において、所定のパターンを有する耐熱保護膜を前記第2シリコン層の上に形成し、前記耐熱保護膜の下に位置する前記第2シリコン層を熱酸化し、前記第2シリコン層の熱酸化された領域を選択的に除去することによって前記波面を形成してもよい。
【0026】
本発明ではLOCOS(local oxidation of silicon)プロセスによって可撓部の波面を形成する。すなわち本発明によると、熱酸化によって酸素を等方的に拡散させることによって、可撓部となる第二シリコン層の表面になだらかな波面を形成する。
【0027】
(12)上記目的を達成するためのMEMSセンサの製造方法において、所定の3次元パターンを有する保護膜を前記第2シリコン層の表面に形成し、前記保護膜もろともに前記第2シリコン層を異方性エッチングすることによって前記波面を形成してもよい。
【0028】
本発明によると、保護膜もろともに異方性エッチングすることで保護膜のパターンが第2シリコン層に転写されるため、可撓部になだらかな波面領域を形成できる。また、保護膜もろともにエッチングするため、製造工程を簡素化し製造コストを削減できる。
【0029】
(13)上記目的を達成するためのMEMSセンサの製造方法において、多階調マスクを介した露光と現像とによって前記保護膜を形成してもよい。
【0030】
本発明によると、多階調マスクを用いることで1回の露光と現像で3次元パターンを有する保護膜を形成できる。
【0031】
(14)上記目的を達成するためのMEMSセンサの製造方法は、第1シリコン層と前記第1シリコン層より薄い第2シリコン層とを含むSOIウエハにおいて前記第2シリコン層の表面になだらかにうねる波面領域を形成し、前記波面領域が形成された前記第2シリコン層の表面にエピタキシャル結晶シリコン層をエピタキシャル結晶成長させ、前記第1シリコン層を含む支持部と、一端が前記支持部に結合し前記エピタキシャル結晶シリコン層を含み前記第1シリコン層を含まない可撓性を有する膜であって前記支持部から離れる方向になだらかにうねり前記波面領域に対応する波形区間を含む可撓部とを前記第1シリコン層の一部と前記第2シリコン層の一部とを選択的に除去することによって形成し、前記可撓部の歪みを検出するための歪み検出手段を前記波形区間に形成する、ことを含む。
【0032】
本発明によると、可撓部における波形区間のうねりがなだらかに形成されるため、破断しにくく耐衝撃性能に優れたMEMSセンサを製造できる。なお、波形区間がなだらかにうねるとは、波形区間における2つの主面が折れ曲がることなく互いの距離を基本的には一定に保ちながら2つの主面の傾斜が連続的に変化していることを意味する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら以下の順に説明する。尚、各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
1.第一実施形態
(構成)
本発明の第一実施形態である6軸のモーションセンサのダイ1Aを図1A、図1Bおよび図1Cに示す。モーションセンサ1は、図2に示すパッケージ1Bとパッケージ1Bに収容されたダイ1Aとを備え、互いに直交する3軸の加速度成分と互いに直交する3軸の角速度成分を検出する。図1Aに示すBB線断面、CC線断面をそれぞれ示す図1Bおよび図1Cにおいて、モーションセンサ1のダイ1Aを構成する層の界面は破線で示し、モーションセンサ1のダイ1Aを構成する機械的構成要素の境界は実線で示している。
【0034】
モーションセンサ1のダイ1Aは、図1Bおよび図1Cに示すように、第1シリコン層としての厚いシリコン層101と、エッチングストッパ層102と、第2シリコン層としての薄いシリコン層104と、絶縁層106と、電極層108、112と、圧電層110と、表面絶縁層114と、表面配線層115を含む積層構造体である。単結晶シリコン(Si)からなる厚いシリコン層101の厚さは625μmである。エッチングストッパ層102はシリコン酸化膜(SiO)からなる。エッチングストッパ層102の厚さは1μmである。単結晶シリコンからなる薄いシリコン層104の厚さは10μmである。絶縁層106はシリコン酸化膜からなる。絶縁層106の厚さは300nmである。電極層108、112はいずれも白金(Pt)からなる。電極層108、112の厚さはいずれも0.1μmである。圧電層110はPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる。圧電層110の厚さは3μmである。表面絶縁層114は感光性ポリイミドからなる。表面絶縁層114の厚さは10μmである。表面配線層115はアルミニウム(Al)からなる。表面配線層115の厚さは0.5μmである。
【0035】
モーションセンサ1のダイ1Aは、矩形枠の形態を有する支持部Sと、一端が支持部Sに結合し支持部Sの内側に十文字形に配置されている4つの可撓部Fと、4つの可撓部Fに結合している錘部Mと、ひずみ検出手段としてのピエゾ抵抗素子40と、ひずみ検出手段または駆動手段としての圧電素子Pとを備え、パッケージ1Bに収容される。
【0036】
支持部Sは厚いシリコン層101と、エッチングストッパ層102と、薄いシリコン層104と、絶縁層106とを含む。支持部Sは可撓部Fに比べて十分に厚いシリコン層101を含み、パッケージ1Bに固定されるため、モーションセンサに固定された座標系において静止した実質的に剛体として振る舞う。
【0037】
可撓部Fは薄いシリコン層104と絶縁層106とを含む。可撓部Fは一端が支持部Sに結合され他端が錘部Mに結合している。可撓部Fは厚いシリコン層101を含まないため、可撓性を有する膜として振る舞う。可撓部Fの主面の一方である上面はなだらかにうねっている。すなわち可撓部Fの上面は、薄肉部202においてなだらかに凹んでいる。一方、可撓部Fの主面の他方である下面は平坦である。そのため、可撓部Fの厚さは、支持部Sから錘部Mへ向かう方向において一定ではない。すなわち可撓部Fは厚肉部201と厚肉部201より薄い薄肉部202とを有する。可撓部Fに薄肉部202を形成することによって、可撓部Fの剛性を上げることなく可撓部Fを小さくすることができる。薄肉部202は、厚肉部201との境界を区間端とし厚肉部201から離れるにつれて厚さが漸減している漸減区間を有する。可撓部Fの変形による応力は薄肉部202に集中するものの薄肉部202の漸減区間全体に分散される。その結果、可撓部Fが破断しにくく可撓部Fの耐衝撃性能が向上する。また、可撓部Fの下面を曲面に形成する必要がないため、製造工程を簡素化し製造コストを削減できる。
【0038】
厚肉部201と薄肉部202とは、可撓部Fの支持部Sに結合している一端と可撓部Fの錘部Mに結合している他端とを結ぶ直線上に形成されている。すなわち、厚肉部201と薄肉部202とは、可撓部Fにおいて支持部Sから離れる方向に配列されている。薄肉部201は可撓部Fの全幅にわたっている。すなわち薄肉部201は可撓部Fの固定端と自由端とを結ぶ2辺間を横断している。厚肉部201と薄肉部202のこうした配列により、可撓部Fが撓みやすくなる。そのため、ピエゾ抵抗素子40および圧電素子Pの検出感度を高めることができる。
【0039】
錘部Mは、厚いシリコン層101とエッチングストッパ層102と薄いシリコン層104と絶縁層106とを含む。錘部Mは厚いシリコン層101を含み、可撓部Fにのみ結合しパッケージ1Bの底面90aから浮いているため、モーションセンサ1に固定された座標系において運動する実質的な剛体として振る舞う。
【0040】
可撓部Fにおける、支持部Sとの近接領域と錘部Mとの近接領域とに合計12個のピエゾ抵抗素子40が設けられている。ピエゾ抵抗素子40は不純物濃度が相対的に低い抵抗部42と不純物濃度が高い接続抵抗低減部41を含む。これらのピエゾ抵抗素子40はすべて可撓部Fと支持部Sとの境界、あるいは可撓部Fと錘部Mとの境界をまたいでいる。ピエゾ抵抗素子40は薄いシリコン層104に形成されている。可撓部Fの変形によって生じる応力の向きは可撓部Fの上面と下面とで逆になる。このため、ピエゾ抵抗素子40は薄いシリコン層104の界面近くに薄く形成される。ピエゾ抵抗素子40は4つ1組で1つのブリッジ回路を構成し、各ブリッジ回路から直交する3軸の加速度成分に相当する出力信号を取り出せるように結線される。
【0041】
ピエゾ抵抗素子40の抵抗部42は薄肉部202に形成されている。可撓部Fが撓む際、薄肉部202は厚肉部201に比べて歪みが大きくなるため、抵抗部42を薄肉部202に形成することによって、加速度による可撓部Fの撓みの検出感度を高めることができる。すなわち、抵抗部42を薄肉部202に形成することによって可撓部Fの撓みを伴う加速度の検出感度が高まる。
【0042】
圧電素子Pは、電極層108と、圧電層110と、電極層112とを含む。圧電素子Pは電極層108と電極層112との間に圧電層110が挟まれた構造を有する。複数の圧電素子Pの一部は、可撓部Fを歪ませることによって錘部Mを周回運動させる駆動手段として機能し、残部は角速度に伴うコリオリ力によって生じる可撓部Fの歪みを検出する検出手段として機能する。
【0043】
圧電素子Pは、薄肉部202において絶縁層106の表面上に設けられる。可撓部Fが撓む際、薄肉部202は厚肉部201に比べて歪みが大きくなるため、圧電素子Pを薄肉部202に設けることで角速度による可撓部Fの撓みの検出感度を高めることができる。すなわち、圧電素子Pを薄肉部に設けることで可撓部Fの撓みを伴う角速度の検出感度が高まる。
【0044】
図2に示すパッケージ1Bは、無蓋箱型のベース90とベース90の内部空間を閉塞するカバー94とを備える。ベース90とカバー94とは接着層93を介して接合されている。ベース90には複数の貫通電極91が設けられている。ワイヤ95は一端がダイ1Aの表面配線層50に接合され他端がパッケージ1Bの貫通電極91に接合される。ダイ1Aの支持部Sはベース90の内側の底面90aに接着層92によって接着されている。底面90aに形成する凹部の深さや接着層92の厚さによってダイ1Aの錘部Mとベース90の内側の底面90aとの間の空隙の高さが設定されている。なお、パッケージ1Bの内部にダイ1Aと接続されるLSIダイを収容してもよい。
【0045】
(製造方法)
以下、図3から図13を参照してモーションセンサ1のダイ1Aの製造方法の一例を説明する。図3、図4A、図5〜図9、図11A、図12Aおよび図13は、図1Aに示すBB線に対応する断面図である。図10、図11Bおよび図12Bは図1Aに示すCC線に対応する断面図である。
【0046】
はじめに図3に示すように厚いシリコン層101、エッチングストッパ層102、薄いシリコン層104、酸化シリコン層105および窒化シリコン層107がこの順で積層された積層構造体を形成する。具体的にはまず、厚いシリコン層101、エッチングストッパ層102および薄いシリコン層104を含むSOI(Silicon On Insulator)ウエハ100を用意する。次に薄いシリコン層104の表面を熱酸化することにより二酸化シリコン(SiO)からなる酸化シリコン層105を形成する。この段階における酸化シリコン層105の厚さは30nmである。次に酸化シリコン層105の表面にCVD等によって窒化シリコン(Si)からなる窒化シリコン層107を形成する。窒化シリコン層107の厚さは140nmである。
【0047】
次に、図4Aに示すようにフォトレジストからなる保護膜R1を用いてエッチングすることにより、窒化シリコン層107を所定形状にパターニングする。具体的には、CHFガスをエッチングガスとして用いた反応性イオンエッチングによってパターニングする。保護膜R1は酸化シリコン層105を露出させるためのスリットRSを有する。図4Bは、保護膜R1を上方から見た図であって、可撓部Fに対応する領域が破線によって示されている。スリットRSは、それぞれに可撓部Fが形成される4つの領域において可撓部Fの一端から他端に向かう方向に複数ずつ配列されている。それぞれのスリットRSは可撓部Fが形成される4つの領域のそれぞれを横断している。このようにスリットRSを形成することによって可撓部Fの一端と他端とを結ぶ直線上に厚肉部201と薄肉部202を配列し、可撓部Fの一端と他端とを結ぶ2辺間を横断する薄肉部202を形成できる。次に、図5に示すように保護膜R1を除去する。
【0048】
次に、図6に示すように窒化シリコン層107を耐熱保護膜として用いて薄いシリコン層104の一部を熱酸化する。具体的には、薄いシリコン層104が1050℃で熱処理される。この処理により、酸化シリコン層105の露出している領域が成長し、薄いシリコン層104が縮小する。熱酸化では酸素が等方的に拡散されるため、酸化シリコン層105の露出している領域の直下において、薄いシリコン層104の酸化シリコン層105との界面は下方になだらかに凹む。酸化シリコン層105の最も厚い部分の厚さが例えば1μmになるまで薄いシリコン層104を熱酸化する。
【0049】
次に、図7に示すように窒化シリコン層107および酸化シリコン層105を除去する。このとき薄いシリコン層104の前工程において熱酸化された領域が酸化シリコン層105の一部として除去されるため、薄いシリコン層104において可撓部Fが形成される表面になだらかにうねる波面が形成される。具体的には緩衝フッ酸を用いたウェットエッチング等によって窒化シリコン層107および酸化シリコン層105を除去する。
【0050】
次に、図8に示すように薄いシリコン層104の表面全体に絶縁層106を形成する。具体的には、薄いシリコン層104の表面全体を熱酸化することにより酸化シリコンからなる絶縁層106を形成する。
【0051】
次に、立体的な機械構造が形成されていない図9に示す積層構造体Wを、絶縁層106の表面に薄膜を積層したり改質したりエッチングする等の公知の方法によって形成する。例えば、絶縁層106を貫通させて薄いシリコン層104の表面から不純物イオンを注入し、活性化することにより薄いシリコン層104にピエゾ抵抗素子40を形成する。ピエゾ抵抗素子40は可撓部Fとなる薄いシリコン層104の波面に対応する区間に形成される。次に絶縁層106の表面に白金からなる電極層108を形成し、コンタクトホールを介して電極層108とピエゾ抵抗素子40とを接続する。次に、電極層108の表面全体にPZTからなる圧電層110をスパッタ法またはゾルゲル法によって形成する。次に、圧電層110の表面全体に白金からなる電極層112を形成する。その後、フォトレジストからなる保護膜を用いて電極層112、圧電層110、電極層108をエッチングすることで、圧電素子Pを形成する。圧電素子Pは可撓部Fとなる薄いシリコン層104の波面に対応する区間に形成される。次に、感光性ポリミイドからなる表面絶縁層114を形成し、露光・現像によってコンタクトホールと可撓部Fをエッチングするための開口部とを形成する。次に、コンタクトホールから露出している電極層108、112に接続するアルミニウムからなる表面配線層115を形成する。次に、表面配線層115をエッチングによりにパターニングすると、図9に示す積層構造体Wが得られる。
【0052】
次に、図10に示すように表面絶縁層114を保護膜として用いて絶縁層106および薄いシリコン層104をエッチングし、可撓部Fのパターンを形成するとともにエッチングストッパ層102の一部を露出させる。具体的には、CHFガスを用いた反応性イオンエッチングによって二酸化シリコンからなる絶縁層106をエッチングする。続いてCFガスを用いた反応性イオンエッチングによって多結晶シリコンからなる薄いシリコン層をエッチングする。
【0053】
次に、図11Aおよび図11Bに示すように積層構造体Wを犠牲基板99に一時的に接着し、厚いシリコン層101の裏面上にフォトレジストからなる保護膜R2を形成する。犠牲基板99と積層構造体Wとはワックス、フォトレジスト、両面粘着シートなどからなる接着手段Bを用いて一時的に接着することができる。
【0054】
次に、図12Aおよび図12Bに示すように保護膜R2から露出している厚いシリコン層101を貫通するまでエッチングし、エッチングストッパ層102を露出させる。具体的には、Cプラズマを用いたパッシベーションとSFプラズマを用いたエッチングとを短い間隔で交互に繰り返すボッシュプロセスといわれるDeep−RIE(Reactive Ion Etching)によって厚いシリコン層101をエッチングする。その後、保護膜R2を除去する。
【0055】
次に、図13に示すように厚いシリコン層101をマスクとして用いてエッチングストッパ層102の露出している領域をエッチングする。具体的には緩衝フッ酸を用いたウェットエッチング等によってエッチングストッパ層102を可撓部Fの下方から除去する。続いて犠牲基板99の除去、ダイシング、パッケージング等の工程を実施するとモーションセンサのダイ1Aが完成する。
【0056】
以上説明した製造方法によると、可撓部Fにおける波面のうねりがなだらかに形成されるため、破断しにくく耐衝撃性能に優れたMEMSセンサが製造される。
【0057】
2.第二実施形態
図14に本発明の第二実施形態によるモーションセンサのダイ2Aを示す。図14においてモーションセンサのダイ2Aを構成する層の界面は破線で示し、モーションセンサのダイ2Aを構成する機械的構成要素の境界は実線で示している。第二実施形態によるモーションセンサは、ダイ2Aの断面構造のみが第一実施形態において説明したダイ1Aと異なり、その他の構成は第一実施形態において説明したモーションセンサ1と実質的に同一である。
【0058】
モーションセンサのダイ2Aは、厚いシリコン層101と、エッチングストッパ層102と、薄いシリコン層104と、エピタキシャル結晶シリコン層109と、絶縁層106と、電極層108、112と、圧電層110と、表面絶縁層114と、表面配線層115とを含む積層構造体である。厚さ625μmの厚いシリコン層101はp型の単結晶シリコン(Si)からなる。エッチングストッパ層102はシリコン酸化膜(SiO)からなる。エッチングストッパ層102の厚さは1μmである。厚さ10μmの薄いシリコン層104はn型の単結晶シリコンからなる。薄いシリコン層104は支持部Sおよび錘部Mに含まれる。薄いシリコン層104は可撓部Fに含まれていない。エピタキシャル結晶シリコン層109はシリコンのエピタキシャル結晶成長によって形成されたp型の単結晶シリコンからなる。エピタキシャル結晶シリコン層109の厚さは10μmである。エピタキシャル結晶シリコン層109は、支持部S、可撓部Fおよび錘部Mに含まれている。薄いシリコン層104をn型とし、エピタキシャル結晶層105および厚いシリコン層101をp型とするのは、薄いシリコン層104の選択的エッチングを可能にするためである。したがって、薄いシリコン層104をp型とし、エピタキシャル結晶層105および厚いシリコン層101をn型としてもよい。絶縁層106はシリコン酸化膜からなる。絶縁層106の厚さは300nmである。電極層108、112はいずれも白金(Pt)からなる。電極層108、112の厚さはいずれも0.1μmである。圧電層110はPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる。圧電層110の厚さは3μmである。表面絶縁層114は感光性ポリイミドからなる。表面絶縁層114の厚さは10μmである。表面配線層115はアルミニウム(Al)からなる。表面配線層115の厚さは0.5μmである。
【0059】
可撓部Fはエピタキシャル結晶シリコン層109と絶縁層106とを含む。可撓部Fは一端が支持部Sに結合され他端が錘部Mに結合している。可撓部Fは厚いシリコン層101を含まないため、可撓性を有する膜として振る舞う。それぞれの可撓部Fは、支持部Sとの境界である固定端から錘部Mとの境界である自由端に向かう方向になだらかにうねった波形区間203を有する。波形区間203は可撓部Fの全幅にわたっている。すなわち波形区間203は可撓部Fの固定端と自由端とを結ぶ2辺間を横断している。波形区間203において可撓部Fの上面と下面は折れ曲がることなく互いの距離を一定に保ちながらはなだらかにうねっている。
【0060】
波形区間203は平らな区間よりも剛性が低く撓みやすくなるため、可撓部Fに波形区間203を形成することによって可撓部F全体の剛性を高めることなく可撓部Fを小さくすることできる。その結果、モーションセンサ1の感度を上げたり、ダイナミックレンジを広げたり、感度を落とすことなくモーションセンサを小型化することができる。また波形区間203におけるうねりがなだらかであるため、屈曲させて可撓部Fの剛性を低下させる場合に比べると、局所への応力集中が緩和される。その結果、可撓部Fが破断しにくくなり、モーションセンサの耐衝撃性能が向上する。また、可撓部Fに薄肉部を形成して可撓部Fを撓みやすくする場合に比べると、可撓部Fに波形区間203を形成して撓みやすくしても可撓部Fの強度は低くならない。このため可撓部Fに波形区間203を形成することにより可撓部Fの変形量の限界を高く剛性を低く設定することができる。その結果、圧電素子Pによって効率よく大きな振幅で可撓部Fを励振することができるため、角速度の検出感度を高めることができる。また、可撓部Fの変形量の限界が高いため、ハードスプリング効果による共振周波数のシフトを防止することができる。
【0061】
ピエゾ抵抗素子40は可撓部Fの波形区間203においてエピタキシャル結晶シリコン層109に形成されている。錘部Mの運動に伴って可撓部Fが変形する際、波形区間203は可撓部Fにおける波形区間203以外の区間に比べて歪みが大きくなる。このため、波形区間203にピエゾ抵抗素子40を形成することによって、可撓部Fの変形を伴う加速度および角速度の検出感度を高めることができる。
【0062】
図15から図19はダイ2Aの製造方法を示す断面図であって、図1Aに示すBB線に対応する。
はじめに図15に示すようにSOIウエハ100の薄いシリコン層104の表面に表面がなだらかにうねるフォトレジストからなる保護膜R3を形成する。保護膜R3の表面のうねりは可撓部Fの波形区間203の界面のうねりに対応させる。このような保護膜R3は、例えば次のように形成する。まず厚さ3μmのポジ型フォトレジストを薄いシリコン層104の表面に塗布し、プリベークする。次に多階調マスク(ハーフトーンマスク又はグレートーンマスク)を介してフォトレジストを露光し、現像すればよい。多階調マスクを用いることにより、1回の露光と現像で3次元パターンを有する保護膜R3を形成することができる。なお、レーザ光による直接描画法よってフォトレジストに3次元形状の露光領域を形成しても良い。
【0063】
次に保護膜R3もろともに薄いシリコン層104を異方性エッチングすることによって、保護膜R3の表面形状を薄いシリコン層104に転写する。その結果、図16に示すように薄いシリコン層104の表面に可撓部Fの波面に対応する波面領域104aが形成される。例えばCF−Oをエッチングガスとして用いる反応性イオンエッチングによって保護膜R3の表面形状を薄いシリコン層104に転写する。このとき薄いシリコン層104と保護膜R3との選択比を1:1に設定することによって保護膜R3の波面をそのまま薄いシリコン層104に転写することができる。なお、選択比は1:1でない場合、保護膜R3の波面とは異なる振幅の波面が薄いシリコン層104に形成される。
【0064】
次に薄いシリコン層104の表面にエピタキシャル結晶シリコン層109を図17に示すようにエピタキシャル成長させる。その結果、可撓部Fの波形区間203となる部分を有するエピタキシャル結晶シリコン層109が形成される。P型のエピタキシャル結晶シリコン層109は、反応温度1050℃〜1150℃でSiHClガスを供給することによって、SiHCl→Si+2HClの反応を起こして成長させることができる。
【0065】
その後、第一実施形態と同様に絶縁層106、電極層108、112、圧電層110、表面絶縁層114、表面配線層115を形成し、これらを改質したりパターニングする。このときピエゾ抵抗素子40および圧電素子Pは可撓部Fとなるエピタキシャル結晶層105の波形区間203に形成される。
【0066】
さらに第一実施形態と同様にして厚いシリコン層101とエッチングストッパ層102とを図18に示すようにエッチングする。
【0067】
次に厚いシリコン層101とエッチングストッパ層102とを保護膜として薄いシリコン層104を図19に示すようにエッチングする。その結果、エピタキシャル結晶シリコン層109の可撓部Fに対応する部分の表面から薄いシリコン層104が除去される。n型の薄いシリコン層104は電気化学エッチングにより選択的にエッチングされる。このときp型の厚いシリコン層101はエッチングされず、p型のエピタキシャル結晶シリコン層109はエッチングストッパとなる。
【0068】
その後、犠牲基板99の除去、ダイシング、パッケージング等の工程を実施するとモーションセンサのダイ2Aが完成する。
【0069】
3.他の実施形態
尚、本発明の技術的範囲は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、図20に示すようにダイヤフラム型の可撓部Fに薄肉部202と厚肉部201とを形成しても良い。可撓部Fが環状のダイヤフラム型である場合、薄肉部202は可撓部Fを1周するように形成することが好ましい。また図20Bに示すように薄肉部202の全体が漸減区間であっても良い。図20Aはダイヤフラム型の可撓部Fを示す上面図である。図20Aにおいて薄肉部202の領域にはハッチングが付されている。図20Bは図20Aに示すBB線に対応する断面図である。また例えばダイヤフラム型の可撓部Fに波形区間を形成しても良い。ダイヤフラム型の可撓部Fに波形区間を形成する場合、図20Aにハッチングで示す領域を波形区間とし、波形区間が可撓部Fを一周するように形成することが好ましい。また例えば図21に示すように、薄肉部202の漸減区間202aにおいて可撓部Fの厚さが厚肉部201から離れるにつれて線型に減少していても良い。図21Aは梁型の可撓部Fを示す上面図である。図21Aにおいて薄肉部202の領域にはハッチングが付されている。図21Bは図21Aに示すBB線に対応する断面図である。
【0070】
また、本発明は加速度センサ、角速度センサ、姿勢センサ、振動センサ、マイクロホン、圧力センサといった他のMEMSセンサにも当然に適用できる。また上記実施形態で示した材質や寸法や成膜方法やパターン転写方法はあくまで例示であるし、当業者であれば自明である工程の追加や削除や工程順序の入れ替えについては説明が省略されている。例えば、上述した製造工程において、膜の組成、成膜方法、膜の輪郭形成方法、工程順序などは、コンデンサマイクロホンを構成しうる物性を持つ膜材料の組み合わせや、膜厚や、要求される輪郭形状精度などに応じて適宜選択されるものであって、特に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1Aは本発明の第一実施形態にかかる平面図。図1Bは図1Aに示すBB線の断面図。図1Cは図1Aに示すCC線の断面図。
【図2】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図3】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図4】図4Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図4Bは本発明の実施形態にかかる平面図。
【図5】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図6】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図7】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図8】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図9】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図10】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図11】図11Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図11Bは本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図12】図12Aは本発明の第一実施形態にかかる断面図。図12Bは本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図13】本発明の第一実施形態にかかる断面図。
【図14】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図15】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図16】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図17】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図18】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図19】本発明の第二実施形態にかかる断面図。
【図20】図20Aは本発明の他の実施形態にかかる平面図。図20Bは本発明の他の実施形態にかかる断面図。
【図21】図21Aは本発明の他の実施形態にかかる平面図。図21Bは本発明の他の実施形態にかかる断面図。
【符号の説明】
【0072】
1:モーションセンサ、1A:ダイ、1B:パッケージ、2A:ダイ、40:ピエゾ抵抗素子、41:接続抵抗低減部、42:抵抗部、50:表面配線層、90:ベース、90a:底面、91:貫通電極、92:接着層、93:接着層、94:カバー、95:ワイヤ、99:犠牲基板、100:ウエハ、101:厚いシリコン層、102:エッチングストッパ層、104:薄いシリコン層、104a:波面領域、105:酸化シリコン層、109:エピタキシャル結晶シリコン層、106:絶縁層、107:窒化シリコン層、108:電極層、110:圧電層、112:電極層、114:表面絶縁層、115:表面配線層、115:表面絶縁層、201:厚肉部、202:薄肉部、203:波形区間、B:接着手段、F:可撓部、M:錘部、P:圧電素子、R1:保護膜、R2:保護膜、R3:保護膜、RS:スリット、S:支持部、W:積層構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部と、
一端が前記支持部に結合している可撓性を有する膜であって、厚肉部と前記厚肉部との境界を区間端とし前記厚肉部から離れるにつれて厚さが漸減している漸減区間を有する薄肉部とが前記一端から離れる方向に配列されている可撓部と、
前記薄肉部に形成され前記薄肉部に生ずる歪みを検出するための歪み検出手段と、
を備えるMEMSセンサ。
【請求項2】
前記可撓部の他端に結合している錘部をさらに備え、
前記厚肉部と前記薄肉部とは前記可撓部の一端と他端とを結ぶ直線上に形成されている、
請求項1に記載のMEMSセンサ。
【請求項3】
前記可撓部は一端が前記支持部に結合し他端が前記錘部に結合した梁であって、
前記薄肉部は前記梁の一端と他端とを結ぶ2辺間を横断している、
請求項2に記載のMEMSセンサ。
【請求項4】
前記可撓部は一端が前記支持部に結合し他端が前記錘部に結合した環状のダイヤフラムであって、
前記薄肉部は前記ダイヤフラムを一周している、
請求項2に記載のMEMSセンサ。
【請求項5】
前記可撓部の主面の一方は平坦であって前記可撓部の主面の他方は前記薄肉部においてなだらかに凹んでいる、
請求項1から4のいずれか一項に記載のMEMSセンサ。
【請求項6】
支持部と、
一端が前記支持部に結合している可撓性を有する膜であって前記一端から離れる方向になだらかにうねる波形区間を有する可撓部と、
前記波形区間に形成され前記波形区間に生ずる歪みを検出するための歪み検出手段と、
を備えるMEMSセンサ。
【請求項7】
前記可撓部の他端に結合している錘部をさらに備え、
前記波形区間は前記可撓部の一端から他端に向かう方向になだらかにうねる、
請求項6に記載のMEMSセンサ。
【請求項8】
前記可撓部は一端が前記支持部に結合し他端が前記錘部に結合した梁であって、
前記波形区間は前記梁の一端と他端とを結ぶ2辺間を横断している、
請求項7に記載のMEMSセンサ。
【請求項9】
前記可撓部は一端が前記支持部に結合し他端が前記錘部に結合した環状のダイヤフラムであって、
前記波形区間は前記ダイヤフラムを一周している、
請求項7に記載のMEMSセンサ。
【請求項10】
第1シリコン層と前記第1シリコン層より薄い第2シリコン層とを含むSOIウエハの前記第2シリコン層の表面になだらかにうねる波面を形成し、
前記第1シリコン層を含む支持部と、一端が前記支持部に結合し前記第2シリコン層を含み前記第1シリコン層を含まない可撓性を有する膜であって前記支持部から離れる方向になだらかにうねる前記波面を有する可撓部とを前記第1シリコン層の一部を除去することによって形成し、
前記可撓部の歪みを検出するための歪み検出手段を前記可撓部の前記波面に対応する区間に形成する、
ことを含むMEMSセンサの製造方法。
【請求項11】
所定のパターンを有する耐熱保護膜を前記第2シリコン層の上に形成し、
前記耐熱保護膜の下に位置する前記第2シリコン層を熱酸化し、
前記第2シリコン層の熱酸化された領域を選択的に除去することによって前記波面を形成する、
請求項10に記載のMEMSセンサの製造方法。
【請求項12】
所定の3次元パターンを有する保護膜を前記第2シリコン層の表面に形成し、
前記保護膜もろともに前記第2シリコン層を異方性エッチングすることによって前記波面を形成する、
請求項10に記載のMEMSセンサの製造方法。
【請求項13】
多階調マスクを介した露光と現像とによって前記保護膜を形成する、
請求項12に記載のMEMSセンサの製造方法。
【請求項14】
第1シリコン層と前記第1シリコン層より薄い第2シリコン層とを含むSOIウエハにおいて前記第2シリコン層の表面になだらかにうねる波面領域を形成し、
前記波面領域が形成された前記第2シリコン層の表面にエピタキシャル結晶シリコン層をエピタキシャル結晶成長させ、
前記第1シリコン層を含む支持部と、一端が前記支持部に結合し前記エピタキシャル結晶シリコン層を含み前記第1シリコン層を含まない可撓性を有する膜であって前記支持部から離れる方向になだらかにうねり前記波面領域に対応する波形区間を含む可撓部とを前記第1シリコン層の一部と前記第2シリコン層の一部とを選択的に除去することによって形成し、
前記可撓部の歪みを検出するための歪み検出手段を前記波形区間に形成する、
ことを含むMEMSセンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−147268(P2010−147268A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323357(P2008−323357)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】