説明

MoO2粉末の製造法、MoO2粉末から製造された製品、MoO2薄膜の付着およびこのような材料の使用方法

本発明は、回転炉または舟形炉(boat furnace)中で還元剤として水素を使用することにより、モリブデン酸アンモニウムまたは三酸化モリブデンを還元することによる高純度なMoO粉末に関する。加圧/焼結、ホットプレスおよび/またはHIPによる粉末の圧密は、スパッタリングターゲットとして使用されるディスク、スラブまたは板を製造するために使用される。MoOのディスク、スラブまたは板の形状物は、適当なスパッタリング方法または他の物理的手段を用いて支持体上にスパッタリングされ、望ましい膜厚を有する薄膜を提供する。薄膜は、透明度、導電率、仕事関数、均一性および表面粗さに関連してインジウム−酸化錫(ITO)および亜鉛がドープされたITOの性質と比較可能かまたは前記性質よりも優れている性質、例えば電気的性質、光学的性質、表面粗さおよび均一性を有する。MoOおよびMoOを含有する薄膜は、有機発光ダイオード(OLED)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、電界放出ディスプレイ(FED)、薄膜ソーラーセル、低抵抗オーミック接触ならびに他の電子デバイスおよび半導体デバイスに使用されてよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術背景
本発明は、高純度のMoOの製造法、殊に理論的密度に近似したMoO板、このような板を含む製品に関する。
【0002】
インジウム−酸化錫(ITO)、亜鉛がドープされたITOおよびアルミニウムがドープされたZnOは、典型的なスパッタリングターゲット材料である。しかし、前記材料が複数の用途、例えば有機発光ダイオードに使用される場合、前記材料の仕事関数(典型的には、約4.7eV)は、望ましい発光機能と十分には適合していない。
【0003】
ITOおよび亜鉛がドープされたITOスパッタリングターゲット材料の問題および制限を有しない有機発光ダイオードを製造するために使用することができるスパッタリングターゲット材料を提供することが望まれている。
【0004】
概要本発明は、回転炉または舟形炉(boat furnace)中で還元剤として水素を使用することにより、モリブデン酸アンモニウムまたは三酸化モリブデンを還元することによる高純度なMoO粉末に関する。加圧/焼結、ホットプレスおよび/またはHIPによる粉末の圧密は、スパッタリングターゲットとして使用されるディスク、スラブまたは板を製造するために使用される。MoOのディスク、スラブまたは板の形状物は、適当なスパッタリング処理方法または他の物理的手段を用いて支持体上にスパッタリング処理され、望ましい膜厚を有する薄膜を提供する。
【0005】
薄膜は、透明度、導電率、仕事関数、均一性および表面粗さに関連してインジウム−酸化錫(ITO)、亜鉛がドープされたITOおよびアルミニウムがドープされたZnOの性質と比較可能かまたは前記性質よりも優れている性質、例えば電気的性質、光学的性質、表面粗さおよび均一性を有する。薄膜は、有機発光ダイオード(OLED)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、電界放出ディスプレイ(FED)、薄膜ソーラーセル、低抵抗オーミック接触部ならびに他の電子デバイスおよび半導体デバイスに使用されてよい。
【0006】
発明の開示操作例以外にかまたは他の点で指摘されるように、明細書中または特許請求の範囲中で使用される、成分の量、反応条件等に関連する全ての数または表現は、全ての場合に”約ないしはほぼ”の用語によって変更されるものと理解されてよい。前記の変異の幅は、連続的であるので、前記の変異の幅は、最小値と最大値との間の全ての値を含む。他の点では表現上指摘されない限り、本明細書中で記載された種々の数値範囲は、近似値である。
【0007】
本明細書中で使用されているように、”高純度のMoO”の用語は、MoOを99.95質量%超含有し、かつMoO相を少なくとも99質量%含有する材料および化合物に帰因する。
【0008】
本明細書中で使用されているように、”化学量論的なMoO粉末”の用語は、前記の百分率のMoO、即ち11:2の比のMoとOを含有する粉末に帰因する。制限のない例として、99%の化学量論的量のMoO粉末は、MoO粉末を99%含有し、かつ別の材料を1%含有し、この場合このような制限のない例は、MoOである。
【0009】
本発明は、一般に回転炉または舟形炉(boat furnace)中で還元剤として水素を使用することにより、モリブデン酸アンモニウムまたは三酸化モリブデンを還元することによる高純度なMoO粉末を提供する。加圧/焼結、ホットプレスおよび/またはHIPによる粉末の圧密は、スパッタリングターゲットとして使用されるディスク、スラブまたは板を製造するために使用される。MoOのディスク、スラブまたは板の形状物は、適当なスパッタリング処理方法または他の物理的手段を用いて支持体上にスパッタリング処理され、望ましい膜厚を有する薄膜を提供する。薄膜は、透明度、導電率、仕事関数、均一性および表面粗さに関連してインジウム−酸化錫(ITO)、亜鉛がドープされたITOおよびアルミニウムがドープされたZnOの性質と比較可能かまたは前記性質よりも優れている性質、例えば電気的性質、光学的性質、表面粗さおよび均一性を有する。薄膜は、有機発光ダイオードならびに他の電子デバイスおよび半導体デバイス中に使用されてよい。
【0010】
本明細書中で使用されるように、”仕事関数”の用語は、原子中の電子をフェルミ準位から真空準位へ移動させる、即ち原子の外側から移動させるために必要とされるエネルギーに帰因する。本発明において、仕事関数は、表面状態、例えば不純物に依存して変動するであろう。
【0011】
本明細書中で使用されるように、”有機発光ダイオード”の用語は、一連の有機薄膜を2個の導体の間に置くことによって形成された電子デバイスに帰因する。電流を印加した場合には、典型的にエレクトロルミネセンスにより明るい光が放出される。
【0012】
本発明の1つの実施態様は、高純度のMoO粉末の製造法に向けられている。この方法は、
(a)モリブデン成分を炉内に入れ、
(b)モリブデン成分を還元雰囲気を有する炉内で加熱することを含む。
【0013】
本発明の1つの実施態様において、任意の適当なモリブデン源は、モリブデン成分として使用されてよい。適当なモリブデン源は、本発明による方法で使用した場合に高純度のMoOを提供することができる化合物を含む。モリブデン成分に適した源は、制限されないが、しかし、アンモニウム二モリブデン酸塩、三酸化モリブデンおよびこれらの組合せ物を含む。
【0014】
本発明の1つの実施態様において、モリブデン成分は、十分に高い温度に加熱され、モリブデン成分は、高純度のMoO、典型的には、99%よりも高い化学量論的量のMoO粉末に変わる。本発明による方法における炉温度は、1250℃未満、幾つかの場合には1000℃未満、他の場合には800℃、幾つかの状態においては700℃、他の状態においては650℃であることができる。また、本発明による方法における炉温度は、少なくとも100℃、幾つかの場合には250℃、他の場合には500℃であることができる。炉温度は、上記温度の任意のものであってもよいし、上記の炉温度の値の任意の範囲にあってもよい。
【0015】
本発明の1つの実施態様において、モリブデン成分は、モリブデン成分を高純度のMoO、典型的には99%よりも高い化学量論的量のMoO粉末に変換するのに十分な時間の間、前記の炉温度に加熱される。前記の時間は、高温が一般に必要とされる短い加熱時間を生じる場合には、炉温度に依存して変動しうる。加熱時間は、少なくとも5分間、幾つかの場合には、少なくとも10分間、他の場合には、少なくとも15分間、幾つかの状態の場合には、少なくとも30分間、他の状態の場合には、少なくとも45分間、幾つかの架橋においては少なくとも1時間、他の環境においては少なくとも90分間であることができる。また、加熱時間は、8時間まで、幾つかの場合には、6時間まで、他の場合には、5時間まで、幾つかの状態の場合には、4時間まで、他の状態の場合には、3時間までであることができる。モリブデン成分が炉温度で加熱される時間は、前記時間の任意の時間であってもよいし、上記時間の任意の時間の範囲内であってもよい。
【0016】
任意の適当な炉は、本発明において使用されてよい。適当な炉は、上記の望ましい時間の間および望ましい環境下および/または雰囲気下でモリブデン成分を望ましい温度に晒すことができる炉を含む。本発明に使用されてよい適当な炉は、制限されないが、管状の固定炉、管状の回転炉およびか焼炉を含む。
【0017】
任意の適当な雰囲気は、本発明により炉内で使用されてよい。適当な雰囲気は、高純度のMoO、典型的には99%を上廻る化学量論的量のMoO粉末の形成を促進する。本発明の1つの実施態様において、還元雰囲気は、炉内で使用される。本発明の特殊な実施態様において、還元雰囲気は、水素を含む。本発明の1つの実施態様において、モリブデン成分は、平底のボート中に置かれ、このボートは、炉内に置かれ、上記したように望ましい雰囲気中で加熱される。1つの特殊な実施態様において、二モリブデン酸アンモニウム6.8kgは、平底のボート中に置かれ、このボートは、管状の固定炉中で500〜700℃の温度で2〜3時間加熱される。
【0018】
本発明の1つの実施態様において、高純度のMoO粉末の製造法は、99質量%を上廻る化学量論的量のMoOを有するMoO粉末を提供する。
MoO粉末は、少なくとも0.1μm、幾つかの場合には、少なくとも0.5μm、他の場合には、少なくとも1μmの平均粒径を有することによって特徴付けられていてよい。また、MoO粉末は、50μmまで、幾つかの場合には、100μmまでの平均粒径を有することができる。MoO粉末の平均粒径は、上記の値の任意の値であってもよいし、上記値の任意の値の範囲内であってよい。
更に、本発明の実施態様は、
(A)99%を上廻る化学量論的量のMoO粉末成分にアイソスタティックプレスを行ない、ビレットに変え、
(B)前記ビレットを、99%を上廻るMoOの化学量論を維持するための条件下で真空焼結および/または加圧焼結し、
(C)99%を上廻る化学量論的量のMoOを含む板を成形することを含む板の製造法に向けられている。
【0019】
別の実施態様において、本発明は、99%を上廻る化学量論的量のMoO粉末成分をホットプレス条件に掛け、それによって99%を上廻る化学量論的量のMoOを含有する板を形成させることを含む板の製造法を含む。ホットプレス条件は、一般に板が低い歪み率で焼結過程およびクリープ過程を誘発させるのに十分に高い温度で形成されるように、高い圧力で起こる。MoOについては、一般に望ましい密度を達成させるために、1000+℃を必要とする。板がホットプレス条件下で製造されるような1つの実施態様において、ホットプレス工程は、一次的な液相により補助されるホットプレス、液相および固体相が化学反応により同時に存在するような温度で粉末の圧密を含む加圧技術、部分溶融または共融液体形成を用いて実施される。
【0020】
1つの実施態様において、本発明により形成される板は、スパッタリングターゲットに形成される。スパッタリングターゲットは、望まし性質および/または寸法を有するスパッタリングターゲットが得られるまで、99%を上廻る化学量論的量のMoOを含む板を機械加工することによって製造される。板に掛けられる機械加工は、適当な性質/寸法を有するスパッタリングターゲットを製造するのに適した任意の機械加工を含むことができる。適当な機械加工工程の例は、レーザー切断に限定されずにフライス削り、旋削および旋盤技術を含む。スパッタリングターゲットは、表面粗さを改善するために研磨されてよい。
【0021】
円形のスパッタリングターゲットに適した直径の例は、例えば1インチ(2.54cm)〜25インチ(63.5cm)、好ましくは4インチ(10.2cm)〜8インチ(20.4インチ)の範囲内にあることができる。このような円形のスパッタリングターゲットに適した厚さの例は、1/8インチ(0.3cm)〜2インチ、3インチ、4インチ、5インチまたはそれ以上、好ましくは1インチ未満(2.54cm未満)の範囲内にあることができる。
【0022】
個々のビレットを形成させるのに適した任意の圧力は、MoO粉末がアイソスタティックプレスされる場合に適用されてよい。適当な圧力は、金属粉末コンパクトをMoO粉末とビレットとの間で形成させることができる程度の圧力である。
【0023】
圧力は、少なくとも5000psi、幾つかの場合には、少なくとも7500psi、他の場合には、少なくとも10000psi、幾つかの状態においては、少なくとも15000psi、他の場合には、少なくとも20000psiであることができる。また、圧力は、100000psiまで、幾つかの場合には、75000psiまで、他の場合には、50000psiまで、幾つかの状態の場合には、40000psiまで、他の状態の場合には、30000psiまでであることができる。アイソスタティックプレス工程における圧力は、前記の圧力値の任意の値であってもよいし、上記の圧力値の任意の値の範囲内であってもよい。
【0024】
適当な焼結条件は、MoO粉末が溶融なしに凝集性の結合質量を形成するような条件である。 The length of time for sintering will depend on the sintering temperature.本発明の1つの実施態様において、ビレットは、真空下でかまたは酸素の適当な部分圧で少なくとも15分間、幾つかの場合においては、少なくとも30分間で、他の場合においては少なくとも1時間で、幾つかの状態の場合には、少なくとも2時間で、他の状態の場合には、少なくとも3時間で焼結される。また、ビレットは、10時間まで、幾つかの場合には、20時間まで、他の場合には、7時間まで、幾つかの状態の場合には、6時間まで、他の状態の場合には、5時間まで真空焼結されてよい。ビレットが真空下でかまたは酸素の適当な部分圧で焼結される時間は、前記の時間の任意の時間であってもよいし、上記の時間の任意の時間の範囲内であってもよい。
【0025】
本発明のもう1つの実施態様において、焼結温度は、MoO粉末の正確な組成およびビレットに依存して、少なくとも1000℃、幾つかの場合において少なくとも1100℃、他の場合において、少なくとも1200℃、幾つかの状態において、少なくとも1250℃である。また、焼結温度は、2500℃まで、幾つかの場合において2000℃まで、幾つかの状態において、1750℃まで、他の状態において1500℃までであることができる。焼結温度は、前記温度の値の任意の値であってもよいし、前記温度の値の任意の値の範囲内であってもよい。
【0026】
任意の適当な加圧条件は、本発明において使用されてよい。適当な加圧条件は、加圧されかつ焼結されたMoO粉末が99%を上廻る化学量論的量を維持しながら板に変形されてよいような条件である。
【0027】
本発明の1つの実施態様において、板は、熱間等静圧圧縮成形に掛けられる。
【0028】
本発明のもう1つの実施態様において、上記方法によって形成された板は、少なくとも85%、幾つかの場合において少なくとも90%、他の場合において少なくとも95%である密度を有し、MoOの理論的密度の99%まで、幾つかの場合において100%までであることができる。
【0029】
板の密度は、前記密度の値の任意の値であってもよいし、前記密度の値の任意の値の範囲内であってもよい。
【0030】
更に、本発明の実施態様は、上記したように99%を上廻る化学量論的量のMoOを含む板をスパッタリング状態に晒し、それによって板をスパッタリング処理することを含むスパッタリング処理方法に向けられている。
【0031】
スパッタリング処理の任意の適当な方法は、本発明に使用されてよい。
【0032】
適当な方法は、薄膜を板上に付着させることができる方法である。
【0033】
適当なスパッタリング処理法の例は、制限されないが、マグネトロンスパッタリング処理法、パルスレーザースパッタリング処理法、イオンビームスパッタリング処理法、3極スパッタリング処理法およびこれらの組合せを含む。
【0034】
他の方法は、本発明において、スパッタリング処理の他に薄膜を板上に付着させるために使用されてよい。本発明により薄膜を付着させる任意の適当な方法は、使用されてよい。
【0035】
薄膜を板に適用する適当な方法は、制限されないが、電子ビーム蒸発および物理的手段、例えば物理的蒸着を含む。
【0036】
本発明は、付加的に薄膜の製造法に向けられている。本方法は、99%を上廻る化学量論的量のMoOを含有する板にスパッタリング処理し、MoO分子を板から除去し、MoO分子を支持体上に付着させ、それによって薄膜を形成させる複数の工程を含む。
【0037】
上記したように適当なスパッタリング処理法は、前記の実施態様において使用されてよい。
【0038】
本発明による方法によって適用された薄膜は、任意の望ましい厚さを有することができる。薄膜は、少なくとも0.5nm、幾つかの状態において1nm、幾つかの場合において少なくとも5nm、他の場合において少なくとも10nm、幾つかの状態において、少なくとも25nm、他の状態において、少なくとも50nm、幾つかの状況において少なくとも75nm、他の状況において少なくとも100nmであることができる。
【0039】
また、膜厚は、10μmまで、幾つかの場合において5μmまで、他の場合において2μm、幾つかの状態において、1μm、他の状態において、0.5μmまでであることができる。膜厚は、前記値の任意の値であってもよいし、前記値の任意の値の範囲内であってもよい。
【0040】
また、本発明は、上記の記載と同様に本発明により製造された薄膜に向けられている。
【0041】
本発明の1つの実施態様において、薄膜は、同じ寸法を有するインジウム−酸化錫被膜の仕事関数と比較してよりいっそう高い仕事関数を有する。そういうものとして、仕事関数は、5.0e.V.〜6.0e.V.、幾つかの場合に少なくとも5.2e.V.または前記値の個々の任意の値であることができる。
【0042】
本発明の1つの実施態様において、薄膜は、インジウム−酸化錫の薄膜の表面粗さと比較してよりいっそう僅かな表面粗さを有する。特に、表面粗さは、10nm未満、幾つかの場合において5nm未満、他の場合において4nm未満、幾つかの状態において、3nm未満であることができる。表面粗さは、典型的には0.1nmを上廻る。表面粗さは、前記値の任意の値であってもよいし、前記値の任意の値の範囲内であってもよい。
【0043】
本発明の別の実施態様において、薄膜は、350〜800nmの波長で85%を上廻る平均透過率を有する。
【0044】
本発明の付加的な実施態様において、薄膜は、500μΩ・cm未満、幾つかの場合において300μΩ・cm未満、他の場合において250μΩ・cm未満である抵抗を有する。薄膜の抵抗は、前記値の任意の値であってもよいし、前記値の任意の値の範囲内であってもよい。薄膜は、温度関数として金属的挙動を伴って高度に伝導する。
【0045】
本発明の特殊な実施態様において、極めて薄い被膜が提供される。この実施態様において、薄膜は、少なくとも100Å、幾つかの場合において、少なくとも250Å、他の場合において、少なくとも500Åである。この実施態様において、薄膜は、5000Åまで、幾つかの場合において3000Åまで、他の場合において2500Åまで、幾つかの状態において2000Åまでであることができる。
【0046】
本発明の1つの実施態様は、
(a)金属電極;
(b)電子輸送層;
(c)エミッタ層;
(d)導電性ポリマー(ホール輸送層);および
(e)支持体上に位置した上記したような薄膜を含む有機発光ダイオードに向けられている。
【0047】
任意の適当な支持体は、本発明において使用されてよい。有機発光ダイオード中に使用された薄膜に適当な支持体は、制限されないが、プラスチック支持体、ガラス支持体、セラミック支持体およびこれらの組合せを含む。プラスチック支持体は、制限されないが、ポリノルボルネン、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタネート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)および類似物を含む。セラミック支持体の制限のない例は、サファイアを含む。
【0048】
本発明は、種々の用途に使用される製品を包含する。
【0049】
1つの実施態様において、本発明により製造された薄膜は、薄膜トランジスタ(TFT)−液晶ディスプレイ(LCD)の用途に使用されることができる。
【0050】
また、別の実施態様において、本発明は、ソーラーセルの用途および蓄電池の用途に使用される薄膜を包含する。1つの実施態様において、本発明は、(i)共通電極(約1500A)および(ii)ピクセル電極(約500A)の双方を含むLCDデバイスである。
【0051】
薄膜ソーラーセルの用途において、本発明は、次の詳細なデバイス構造に関連して、MoOがフロント電極として機能するようなソーラーセルを包含する:MoOフロント接触部/p層/接合層/n層/Alバック接触部、この場合p層は、光が衝突した際に電子を放出し、電子欠陥を生じ、層は、負に帯電される。別の実施態様において、本発明は、オーミック接触部(透明で薄い酸化物/金属接触部)を包含し、全ての接触抵抗を減少させ、ならびに光放出ダイオード(GaN LED)またはダイオードレーザーからの光の放出を可能にする。
【0052】
本発明の他の実施態様は、光学的ディスプレイデバイスに向けられている。この実施態様において、光学的ディスプレイデバイスは、支持体の少なくとも一部分上に配置された、99%を上廻る化学量論的量のMoOを含有する被膜を含む。
【0053】
本発明の1つの実施態様において、被膜は、
(a)99%を上廻る化学量論的量のMoOを含有する板をスパッタリング処理し;(b)MoO分子を板から除去し;
(c)MoO分子を支持体上に付着させ、それによってMoO薄膜を形成させることによって形成されうる。
【0054】
別の実施態様において、被膜は、
(a)99%を上廻るMoを含有する板をスパッタリング処理し;
(b)Mo分子を板から除去し;
(c)MoO分子をチャンバー内で酸素の部分圧力下で形成させ、支持体上にMoO薄膜を形成させることによって形成されうる。
【0055】
任意の適当なスパッタリング処理法は、本発明において使用されてよい。本発明により使用されうるが、しかし、制限されない適当なスパッタリング処理法は、マグネトロンスパッタリング処理法、パルスレーザースパッタリング処理法、イオンビームスパッタリング処理法、3極スパッタリング処理法およびこれらの組合せを含む。
【0056】
本発明の1つの実施態様において、薄膜は、少なくとも0.1nm、幾つかの場合においては、少なくとも0.5nm、他の場合においては、少なくとも1nm、幾つかの状態においては、少なくとも2nm、他の状態においては、少なくとも5nm、或る場合においては、少なくとも8nm、他の場合には、少なくとも10nm、特殊な状態においては、少なくとも25nmの厚さを有する。また、被膜は、10μmまで、幾つかの場合においては、7.5μmまで、他の場合においては、5μmまで、幾つかの状態においては、2.5μmまで、他の状態においては、1μmまで、或る場合においては、0.5μmまで、他の場合には、0.25μmまで、特殊な状態においては、0.1μmまでの厚さを有することができる。膜厚は、上記の値の任意の値であってもよいし、上記の値の任意の値の範囲内を変動してもよい。
【0057】
本発明の別の実施態様において、一定の用途および使用において、光学的ディスプレイデバイス中の薄膜は、50Å〜2500Åの膜厚を有することができる。本発明の1つの実施態様において、薄膜は、少なくとも50Å、幾つかの場合において、少なくとも100Å、他の場合において少なくとも250Å、幾つかの状態において少なくとも500Åの厚さを有する。また、被膜は、2500Åまで、幾つかの場合において2000Åまで、他の場合において1500Åまで、幾つかの状態において、1000Åまでの厚さを有することができる。膜厚は、上記の値の任意の値であってもよいし、上記の値の任意の値の範囲内を変動してもよい。
【0058】
本発明による光学的デバイスの幾つかの実施態様において、被膜を含む1つ以上の適当なMoOが含まれている。適当な被膜の制限のない例は、単一のMoO相被膜に制限されずに、不純物がドープされたMoO被膜、MoOがドープされた酸化錫被膜、MoOがドープされたインジウム酸化錫被膜、ドープされたZnO/In被膜、MoOがドープされたZnO/SnO/In被膜、MoOがドープされたZnO被膜、MoOがドープされたSnO被膜、MoOがドープされたZnO/Al被膜、MoOがドープされたGa/ZnO被膜、ドープされたGaO/ZnO被膜、MoOがドープされたスズ酸亜鉛(ZnSnO)被膜およびMoO−MoO複合体被膜を含む。
【0059】
スパッタリング板は、任意の適当な形状および寸法であることができる。制限のない例として、スパッタリング板は、方形、矩形、円形または卵形の形状であることができる。1つの特殊な実施態様において、方形のスパッタリング板は、四角形であることができ、0.1cm×0.1cm〜5cm×5cm、幾つかの場合において、0.5cm×0.5cm〜4cm×4cm、他の場合において、1cm×1cm〜3cm×3cm、幾つかの状態において、2cm×2cm〜3cm×3cmの寸法を有し、他の状態においては、方形のスパッタリング板は、約2.5cm×約2.5cmの寸法を有する。
【0060】
別の特殊な実施態様において、矩形のスパッタリング板は、少なくとも0.1cm、幾つかの場合において少なくとも0.5cm、他の場合において、少なくとも1cm、幾つかの状態において、少なくとも2cm、他の状態において、少なくとも2.5cm、或る場合において、少なくとも3cm、他の場合には、少なくとも4cm、特殊な状態においては、少なくとも5cmの長さの短辺を有することができる。また、矩形の長辺は、6cmまで、幾つかの場合において5cmまで、他の場合において、4cmまで、幾つかの状態において、3cmまで、他の状態において、2.5cmまで、或る場合において、2cmまで、他の場合には、1cmまで、特殊な状態においては、0.75cmまでであることができる。矩形のスパッタリング板の寸法は、長辺の寸法が短辺の寸法を上廻る限り、上記の寸法の任意の寸法の範囲内で変動することができる。
【0061】
本発明の別の特殊な実施態様において、MoOまたはMoO含有スパッタリングターゲットは、支持板に結合されていてよく、大きな面積のスパッタリングターゲットを形成させることができる。1つの特殊な実施態様において、セグメントを形成するスパッタリング法は、使用されてよい。
【0062】
大きな面積のスパッタリング板は、任意の適当な形状および寸法であることができる。
【0063】
制限のない例として、大きな面積のスパッタリング板は、方形、矩形、円形または卵形の形状であることができる。1つの特殊な実施態様において、方形のスパッタリング板は、四角形であることができ、0.1m×0.1m〜6m×6cm、幾つかの場合において、0.5m×0.5m〜5.5m×5.5m、他の場合において、1m×1m〜4m×4m、幾つかの状態において、2m×2m〜3m×3mの寸法を有し、他の状態においては、方形のスパッタリング板は、約2.5m×約2.5mの寸法を有する。
【0064】
別の特殊な実施態様において、大きな面積の矩形のスパッタリング板は、少なくとも0.1m、幾つかの場合において少なくとも0.5m、他の場合において、少なくとも1m、幾つかの状態において、少なくとも2m、他の状態において、少なくとも2.5m、或る場合において、少なくとも3m、他の場合には、少なくとも4m、特殊な状態においては、少なくとも5m、特殊な場合には、少なくとも5.5mの長さの短辺を有することができる。また、矩形の長辺は、6mまで、幾つかの場合において5mまで、他の場合において、4mまで、幾つかの状態において、3mまで、他の状態において、2.5mまで、或る場合において、2mまで、他の場合には、1mまで、特殊な状態においては、0.75mまでであることができる。大きな面積の矩形のスパッタリング板の寸法は、長辺の寸法が短辺の寸法を上廻る限り、上記の寸法の任意の寸法の範囲内で変動することができる。
【0065】
本発明の1つの実施態様において、光学的ディスプレイデバイス中の被膜は、有機金属化学蒸着(MOCVD)、有機金属蒸着(MOD)およびゾルゲル技術から構成されている群から選択された1つ以上の方法を用いて形成されている。
【0066】
本明細書中で使用されているように、MOCVDまたは”有機金属化学蒸着”は、付着されるべき全ての材料が蒸気相で蒸着面上に存在しているような被膜成長の化学蒸着法に帰因する。MOCVD法において、化学蒸着の源は、金属原子を1つ以上の有機配位子に結合させるために酸素をヘテロ原子として有する有機金属化合物である。制限のない例として、モリブデンメチルヘキサノエートは、有機金属前駆体として使用されることができ、MoO薄膜を形成させることができる。制限のない特殊な例として、前駆体は、ガラス質のシリカボート中またはガラス質のシリカ反応管中に含まれていてよく、この化合物は、ほぼ沸点に加熱され、その後にアルゴンキャリヤーガスが適当な酸素部分圧力で装入され、前記化合物は還元雰囲気下で酸化され、MoO分子が形成され、その後に反応室内で支持体上に付着される。
【0067】
本明細書中で使用されているように、”ゾルゲル法”は、溶液の前駆体としてのカチオンを形成する網状組織の金属アルコキシドを用いての処理に帰因する。制限のない例として、カチオンは、M(OR)であることができ、この場合Mは、金属を表わし、Rは、アルキル基を表わす。更に、この例に関連して、ゾルゲルMoOのための出発アルコキシドは、モリブデンアセチル−アセトネートであることができる(メタノール中)。更に、加水分解は、溶液をエタノールと組み合わせることによって達成させることができ、重合された溶液を生じうる。前駆体溶液は、数日間だけ安定であり、その後に透明度は、失われ、ゼラチンが発生しうる。前駆体溶液は、支持体上に塗布されることができ、引続き例えば1000rpmで回転され、薄手の湿った被膜が形成されうる。薄膜を形成させるための別の技術は、例えば580mm/分の取出し速度を用いて支持体を前駆体溶液中に浸漬させることである。更に、湿った被膜は、真空の水素雰囲気(還元雰囲気)中で加熱処理されることができ、支持体上にMoO薄膜が生じうる。
【0068】
本明細書中で使用されているように、”MOD法”または”有機金属蒸着法”は、MOCVD法および/またはゾルゲル法と同様の方法に帰因する。MOD法において、金属原子を1個以上の有機配位子に結合させるために、ヘテロ原子としての酸素を有する、前駆体としての有機金属化合物が使用されてもよい。前記化合物は、適当な溶剤中に溶解され、この場合制限のない例は、キシレンである。制限のない例として、モリブデンメチルヘキサノエートまたはモリブデンアセチルアセトネートは、有機金属化合物として使用されることができ、MoO薄膜を形成させることができる。前記溶液のレオロジーを調節した後、液状被膜は、前駆体溶液を支持体上に回転塗布することによって形成される。
【0069】
典型的には、MOD法における最後の工程は、熱分解であり、この熱分解は、溶剤の蒸発、化合物の熱分解および固溶体を含み、適当な酸化還元雰囲気下でMoO被膜を形成する。
【0070】
本発明の1つの実施態様において、MOD法で、純粋なMoO相薄膜と共に、MoO含有被膜は、幾つかの異なる有機金属溶液を混合することによって形成されてもよい。制限のない例として、モリブデンメチル−ヘキサノエートは、望ましい化学量論的量が達成されるような速度で溶剤中、例えばキシレン中で錫エチルヘキサノエートと混合されてよい。回転塗布後に湿った被膜を支持体上に形成させるために、酸素の適当な部分圧力での熱分解が行なわれ、モリブデン錫オキシド薄膜が形成される(MoO含有被膜)。
【0071】
本発明の1つの実施態様において、MOCVDまたはMOD技術は、モリブデンエチル−ヘキサノエートを含む有機金属化学薬品に利用される。
【0072】
本発明の1つの実施態様において、本発明の光学的デバイス中の薄膜は、4.5〜6eV、幾つかの場合に4〜5.5eV、幾つかの状態において4.5〜5.5eVの仕事関数を有することができる。
【0073】
本発明の別の実施態様において、薄膜は、一般に約5nm未満、幾つかの場合に0.1nm〜5nm、他の場合に0.1〜2.5nmの粗さを有する。
【0074】
更に、本発明の実施態様において、薄膜は、350nm〜800nmの波長で85%を上廻る、幾つかの場合に90%を上廻る、他の場合に95%を上廻る平均透過率を有することができる。
【0075】
本発明の付加的な実施態様において、薄膜は、300μΩ・cm未満、幾つかの場合に250μΩ・cm未満、他の場合に200μΩ・cm未満の抵抗を有することができる。
【0076】
本発明の1つの特殊な実施態様において、光学的デバイスは、有機発光ダイオードであり、MoO含有被膜は、アノードである。
【0077】
更に、この実施態様に関連して、有機発光ダイオードは、(a)金属カソード;(b)電子輸送層;(c)電子放出層;(d)ホール輸送層;および(e)アノード層としてのMoOを含有する被膜を含む。
【0078】
前記実施態様の幾つかの視点において、薄膜は、プラスチック支持体、ガラス支持体、セラミック支持体およびこれらの組合せから選択された支持体上に位置することができる。制限のない例として、プラスチック支持体は、ポリノルボルネン、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレン−ナフタネートおよびポリエチレンテレフタレートから選択された1つ以上のプラスチックを含むことができる。また、制限のない例として、セラミック支持体は、サファイアを含むことができる。
【0079】
本発明の別の実施態様において、光学的デバイスは、発光ダイオードであり、MoOを含有する薄膜は、オーミック接触部であることができる。
【0080】
更に、前記の実施態様に関連して、発光ダイオードは、
(a)支持体;
(b)緩衝層;
(c)N型半導体材料;
(d)接合層;
(e)P型半導体材料;
(f)p型金属接触部および
(g)n型金属接触部を含むことができる。
【0081】
適当な支持体の制限のない例は、サファイア、SiC、Si、GaN、GaP、GeSi、AINおよびこれらの組合せ物から選択された材料を含む支持体である。適当な緩衝層材料の制限のない例は、元素の周期律表からの第IIIB族の元素および第VB族の元素の1つ以上の化合物を含む緩衝層材料である。
【0082】
本明細書中で使用されたように、”元素の周期律表”の用語は、IUPACによって使用された周期律表の形式に帰因する。本発明の特殊な実施態様において、緩衝層は、AIN、GaNまたはこれらの組合せ物を含む。
【0083】
本発明の発光ダイオードの実施態様の別の視点において、N型半導体材料は、制限されずにSi、Se、TeおよびSから選択された1つ以上の元素でドープされた1つ以上の化合物を含有する材料を含むことができる。このような化合物の制限されない例は、元素の周期律表からの第IIIB族の元素および第VB族の元素の化合物ならびに元素の周期律表からの第IIB族の元素および第VIB族の元素の化合物から選択された化合物を含む。第IIIB族の元素および第VB族の元素の適当な化合物の制限のない例は、GaN、GaAs、GaAlAs、AlGaN、GaP、GaAsP、GaInN、AlGaInN、AlGaAs、AlGaInP、PbSnTe、PbSnSeおよびこれらの組合せ物から選択された、Siがドープされた化合物を含む。第IIB族の元素および第VIB族の元素の適当な化合物の制限のない例は、ZnSSe、ZnSe、SiCおよびこれらの組合せ物から選択された、Siがドープされた化合物を含む。
【0084】
本発明の発光ダイオードの実施態様の別の視点において、薄膜は、n型の金属接触部であることができる。本発明の特殊な実施態様において、n型の金属接触部は、Ti/Au金属、MoO導電性酸化物およびMoO/金属、但し、この場合金属は、Ti、Auから選択されるものとし、およびこれらの組合せ物から選択された材料を含むことができる。
【0085】
本発明の発光ダイオードの実施態様の別の視点において、P型半導体材料は、Mg、ZnおよびCから選択された1つ以上の元素でドープされた1つ以上の化合物を含むことができる。本発明の前記視点で適当な化合物は、元素の周期律表からの第IIIB族の元素および第VB族の元素の化合物ならびに元素の周期律表からの第IIB族の元素および第VIB族の元素の化合物から選択された化合物を含む。
【0086】
第IIIB族の元素および第VB族の元素の適当な化合物の制限のない例は、GaN、GaAs、GaAlAs、AlGaN、GaP、GaAsP、GaInN、AlGaInN、AlGaAs、AlGaInP、PbSnTe、PbSnSeおよびこれらの組合せ物から選択された、Mgがドープされた化合物を含む。第IIB族の元素および第VIB族の元素の適当な化合物の制限のない例は、ZnSSe、ZnSe、SiCおよびこれらの組合せ物から選択された、Mgがドープされた化合物を含む。
【0087】
本発明の発光ダイオードの実施態様の別の視点において、薄膜は、p型の金属接触部であることができる。本発明の特殊な実施態様において、p型の金属接触部は、MoO含有の透明な導電性酸化物およびMoO含有/金属被膜、但し、この場合金属は、Ag、Auから選択されたものであるとし、およびこれらの組合せ物から選択された材料を含む。
【0088】
本発明の実施態様において、光学的デバイスは、液晶ディスプレイであることができ、MoO含有薄膜は、1個以上の共通電極、ピクセル電極、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、記憶キャパシタ電極およびこれらの組合せである。
【0089】
更に、前記の実施態様に関連して、液晶ディスプレイは、薄膜ダイオードまたは薄膜トランジスタスイッチング素子を含むことができる。
【0090】
本発明の液晶ディスプレイの実施態様の視点は、
A)ガラス支持体、
B)ソース電極、
C)ドレイン電極、
D)ゲート電極、
E)ゲート電極、
F)無定形シリコーン、多結晶シリコーンまたは単結晶シリコーン層、
G)n型ドープされたシリコーン層、
H)不動態化層、
I)ピクセル透明電極、
J)共通電極、
K)ポリイミド心合わせ層および
L)記憶キャパシタ電極を含む液晶ディスプレイを含む。
前記実施態様の幾つかの視点において、ピクセル透明電極および共通電極は、MoO含有被膜を含む。
本発明の別の実施態様は、光学的デバイスがプラズマディスプレイパネルであり、MoO含有被膜が正電極または負電極であるような状態に向けられている。前記の実施態様において、プラズマディスプレイパネルは、
A)前面ガラス板、
B)誘電性被膜、
C)MgO層、
D)イオン化ガス、
E)セパレーター、
F)1つ以上の燐および
G)支持ガラス板を含むことができる。
前記実施態様の幾つかの視点において、支持ガラスは、MoO薄膜で被覆されていてよい。
【0091】
更に、本発明の実施態様は、光学的デバイスが電界放出ディスプレイであり、MoO含有薄膜がアノード電極材料またはカソード電極材料であるような場合に向けられている。前記実施態様において、電界放出ディスプレイは、
A)ガラス面板アノード、
B)燐、
C)スペーサー、
D)マイクロチップ、
E)行および桁カソードおよび
F)ガラス底板を含むことができる。
【0092】
前記実施態様の幾つかの視点において、ガラス面板A)は、MoO含有薄膜で被覆されている。前記実施態様の別の視点において、行および桁カソードE)の少なくとも1つは、MoO含有薄膜を含んでいてよい。
【0093】
本発明の付加的な実施態様において、光学的デバイスは、ソーラーセルであることができ、MoO含有被膜は、1つ以上の電気的接触部、透明接触部および上面接合層であることができる。前記実施態様において、ソーラーセルは、
A)カバーガラス、
B)上面電気的接触層、
C)透明接触部、
D)上面接合層、
E)吸収体層、
F)バック電気的接触部および
G)支持体を含むことができる。
【0094】
前記実施態様の幾つかの視点において、透明接触部C)は、MoO含有被膜を含むことができる。前記実施態様の別の視点において、上面接合層D)は、MoO含有被膜を含むことができる。前記実施態様の他の視点において、カバーガラスA)は、反射防止コーティングを含むことができる。
【0095】
実施例
例1
4つの異なるMoO粉末を、膨張計を用いて焼結挙動および収縮挙動に関連して特性決定した。φ約8*10の小さな試験片を鋼製ダイで加圧し、冷間等方加工プレス(CIP)によって後圧縮した。4つのMoO粉末は、次の特徴を示した:
【0096】
【表1】

【0097】
5K/分の速度でAr−3H2雰囲気中で膨張計中で1250℃に加熱した場合には、MoO−P 1,2および4から形成された試験片は、膨張および高密度化の減少を示し、最後には、約3.5g/cmの”加圧された現状のままの”出発密度と比較可能な密度となる。これにも拘わらず、MoO−P3から形成された試験片は、1250℃の最大温度が達成されるまで連続される約600℃での開始収縮を示した。記録された収縮率は、10.3%に達し、膨張計の運転後に測定された密度は、4.1g/cmであった。
【0098】
この結果は、粉末の不純物含量も比表面積も鉱物学的相と逆方向に密度化挙動に対して重大な影響を受けないことと解釈された。
【0099】
例2
φ約30*5mmの試験片を試験1の記載と同様に、MoO−P1〜4から製造した。”加圧された現状のままの”密度は、約3.5g/cmであった。前記試験片をAr−3H2雰囲気中で気密のAl内張炉内で焼結させ、再結晶化されたSiC板上に置いた。5K/分の加熱速度で、温度をそれぞれ1100℃、1150℃、1200℃、1250℃および1300℃に上昇させ、引続き1〜5時間の均熱時間で温度を均一にさせた。1200℃までで、密度の僅かな増加率は、約3.8g/cmの焼結作業周期後に測定することができたが、しかし、MoO−P3から形成された試験片は、4.1g/cmにまで達した。更に、温度が上昇すると、再び密度が減少し、質量損失が生じた。
【0100】
また、この結果は、粉末の不純物含量も比表面積も鉱物学的相と逆方向に焼結挙動に対して重大な影響を受けないことと解釈された。
【0101】
例3
MoO−P粉末4を黒鉛から形成された、Mo箔内張ホットプレスダイ中に置いた。種々のホットプレス試験を上昇する温度で、750℃から出発して、1000℃、最終的に1300℃で実施した。ホットプレスを膨張計として運転させるために、600℃で30MPaの最大圧力を加え、温度の関数として高密度化を記録した。
【0102】
加熱速度および冷却速度は、10K/分であり、雰囲気として、再びAr−3H2を適用した。前記条件は、強く高密度化された試験片を生じなかった。
【0103】
多くの場合に、前記試験片は、ダイからの放出中に破壊され、指の爪で引っ掻くことができる程度に軟質であった。1300℃で試験した場合には、既にMo箔との激しい反応が起こり、強力な粘着をまねく。
【0104】
従って、この粉末は、工業的に実現可能なホットプレス条件下で高密度化するのには不適当である。
【0105】
例4
MoO−P4を微細なMoO粉末2.5質量%と混合した。ローラフレイム上でプラスチック瓶中で乾燥状態でAlボールを用いて混合を行ない、分布を支えた。混合された粉末を300μm未満で篩別し、さらにホットプレス試験のために使用した。膨張計としてのホットプレスを運転させるために、600℃で30MPaの最大圧力を加え、高密度化を温度の関数として記録した。加熱速度および冷却速度は、10K/分であり、雰囲気として、再びAr−3H2を適用した。
【0106】
この系は、高密度化の開始を約700℃で記録し、約800℃になるまで連続させた。更に、温度を上昇させても、さらなる高密度化は生じなかった。放出後、約5.9g/cmの密度が測定された。Mo絶縁箔との反応は存在しなかった。XRDによって、MoO相だけを検出することができた。XRD検出限界を上廻り、2を超えるO/Mo比を有する結晶性Mo相の存在は、示されなかった。これは、2を超えるO/Mo比を有する数パーセントのMo相が比較的低い温度でほぼ理論的密度にホットプレスすることによってMoO粉末を(上記に示した特徴の限界内で)高密度化させることができるという結論を支持する。
【0107】
例5
ホットプレスにおいて、MoO粉末の高密度化で付加されるMoOの量の影響を分析するために、MoO−P2を試験4により、それぞれMoO粉末2質量%、3質量%および5質量%と混合した。ホットプレス条件を750℃、30分間の均熱時間、30MPaの圧力およびAr−3H2の雰囲気に定めた。絶縁箔として、黒鉛を使用した。
【0108】
前記条件下で、MoO混合物1質量%を有する試験片No.1は、4.5g/cmの密度を達成し、一方で、MoO3質量%を有する試験片No.2およびMoO5質量%を有する試験片No.3は、6.1g/cmの密度を達成した。試験片材料と黒鉛絶縁箔との反応は、示されなかった。前記の試験片は、硬質であり、指の爪によって引っ掻くことができなかった。XRDの場合には、MoO相だけを検出することができ、XRD検出限界を超えて2を上廻るO/Mo比を有する結晶性Mo相の存在は、示されなかった。
【0109】
試験4に記載された方法により上記の記載と同様ではあるが、延長された均圧時間でMoO3質量%を添加した場合には、6.0g/cmの密度を有する板は、φ50〜250mmおよび約20mmまでの厚さで製造されることができた。従って、この方法は、工業的に重要な寸法の高密度のMoO板を製造するのに適している。
【0110】
本発明およびその種々の実施態様は、上記に記載された。明細書および係属した特許請求の範囲中に定義されたような本発明の範囲内の記載から逸脱することなく、本明細書中で種々の変更および変法が可能であることは、当業者にとって自明のことである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高純度のMoO粉末を製造する方法において、
(a)モリブデン成分を炉内に装入し、この場合モリブデン成分は、アンモニウム二モリブデン酸塩、三酸化モリブデンおよびこれらの組合せ物から構成されている群から選択され、
(b)モリブデン成分を炉内で還元雰囲気下で700℃未満の温度で加熱し、それによって高純度のMoO粉末を形成させることを特徴とする、高純度のMoO粉末を製造する方法。
【請求項2】
MoO粉末が99.95%を超える純度を示し、99%を上廻るMoO相を有する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
MoO粉末が99%を上廻る化学量論的量のMoO粉末である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
モリブデン成分を15分間〜約4時間加熱する、請求項1記載の方法。
【請求項5】
炉は、管状の固定炉、管状の回転炉およびか焼炉から構成されている群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
還元雰囲気は、水素を有する、請求項1記載の方法。
【請求項7】
二モリブデン酸アンモニウム6.8kgを平底のボート中に置き、このボートを管状の固定炉内で500℃〜700℃の温度で2〜3時間加熱する、請求項1記載の方法。
【請求項8】
99%を上廻る化学量論的量のMoOからなるMoO粉末。
【請求項9】
板を製造する方法において、
(a)99%を上廻る化学量論的量のMoO粉末成分にアイソスタティックプレスを行ない、ビレットに変え、
(b)前記ビレットを、99%を上廻るMoOの化学量論を維持するための条件下で真空焼結し、
(c)99%を上廻る化学量論的量のMoOを含む板を成形することを特徴とする、板の製造法
【請求項10】
ビレットを少なくとも1250℃の温度で6時間真空焼結させる、請求項9記載の方法。
【請求項11】
MoO粉末に10000psi〜40000psiの範囲内の圧力でアイソスタティックプレスを行なう、請求項9記載の方法。
【請求項12】
板を熱間等静圧圧縮成形に掛ける、請求項9記載の方法。
【請求項13】
板がMoOの理論的密度の90%〜100%である密度を有する、請求項9記載の方法。
【請求項14】
請求項9記載の方法により製造された板。
【請求項15】
スパッタリング方法において、99%を上廻る化学量論的量のMoOをスパッタリング条件に掛け、それによって板をスパッタリング処理することを特徴とする、スパッタリング方法。
【請求項16】
スパッタリングをマグネトロンスパッタリング処理法、パルスレーザースパッタリング処理法、イオンビームスパッタリング処理法、3極スパッタリング処理法およびこれらの組合せから構成されている群から選択されたスパッタリング法を用いて行なう、請求項15記載の方法。
【請求項17】
薄膜の製造法において、
(a)99%を上廻る化学量論的量のMoOを含有する板をスパッタリング処理し;(b)MoO分子を板から除去し;
(c)MoO分子を支持体上に付着させ、それによって薄膜を形成させることを特徴とする、薄膜の製造法。
【請求項18】
薄膜が0.5nm〜10μmの範囲内の厚さを有する、請求項17記載の方法。
【請求項19】
スパッタリングをマグネトロンスパッタリング処理法、パルスレーザースパッタリング処理法、イオンビームスパッタリング処理法、3極スパッタリング処理法およびこれらの組合せから構成されている群から選択する、請求項17記載の方法。
【請求項20】
請求項16記載の方法により製造された薄膜。
【請求項21】
薄膜が同じ寸法を有するインジウム−酸化錫の薄膜の仕事関数よりも高い仕事関数を有する、請求項20記載の薄膜。
【請求項22】
薄膜が約4.5〜約6eVの仕事関数を有する、請求項20記載の薄膜。
【請求項23】
薄膜がインジウム−酸化錫の薄膜の表面粗さよりも少ない表面粗さを有する、請求項20記載の薄膜。
【請求項24】
薄膜が約5nm未満である粗さを有する、請求項20記載の薄膜。
【請求項25】
薄膜が350〜800nmの波長で85%よりも大きい平均透過率を有する、請求項20記載の薄膜。
【請求項26】
薄膜が300μΩ・cm未満の抵抗を有する、請求項20記載の薄膜。
【請求項27】
薄膜の厚さが約50Å〜約2500Åの範囲内にある、請求項20記載の薄膜。
【請求項28】
有機発光ダイオードにおいて、
(a)金属電極;
(b)電子輸送層;
(c)電子放出層;
(d)導電性ポリマー層;および
(e)約99%を上廻る化学量論的量のMoOからなる薄膜からなり、この場合薄膜は、支持体上に位置していることを特徴とする、有機発光ダイオード。
【請求項29】
支持体がプラスチック支持体、ガラス支持体、セラミック支持体およびこれらの組合せ物から構成されている群から選択されている、請求項28記載の有機発光ダイオード。
【請求項30】
プラスチック支持体は、ポリノルボルネン、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタネートおよびポリエチレンテレフタレートから構成されている群から選択された1つ以上のプラスチックからなる、請求項28記載の有機発光ダイオード。
【請求項31】
セラミック支持体がサファイアからなる、請求項28記載の有機発光ダイオード。
【請求項32】
スパッタリングターゲットが機械加工された高純度のMoO板からなる、スパッタリングターゲットを有する部材。
【請求項33】
板がレーザー切断、フライス削り、旋削および旋盤技術によって機械加工されている、請求項32記載の部材。
【請求項34】
スパッタリングターゲットが円形であり、スパッタリングターゲットが2.54cm〜63.5cmの範囲内の直径を有する、請求項32記載の部材。
【請求項35】
ターゲットが約0.15cm〜約20cmの範囲内の厚さを有する、請求項32記載の部材。
【請求項36】
光学的ディスプレイデバイスにおいて、支持体の少なくとも一部分上に配置された99%を上廻る化学量論的量のMoOを含有する被膜を含むことを特徴とする、光学的ディスプレイデバイス。
【請求項37】
(a)99%を上廻る化学量論的量のMoOを有する板をスパッタリング処理し;(b)MoO分子を板から除去し;
(c)MoO分子を支持体上に付着させ、それによってMoO薄膜を形成させることにより、薄膜を形成させる、請求項36記載の光学的デバイス。
【請求項38】
(a)99%を上廻るMoを有する板をスパッタリング処理し;
(b)Mo分子を板から除去し;
(c)MoO分子をチャンバー内で酸素の部分圧力下で形成させ、MoO薄膜を支持体上に形成させることにより、薄膜を形成させる、請求項36記載の光学的デバイス。
【請求項39】
薄膜が0.5nm〜10μmの範囲内の厚さを有する、請求項36記載の光学的デバイス。
【請求項40】
スパッタリング法がマグネトロンスパッタリング処理法、パルスレーザースパッタリング処理法、イオンビームスパッタリング処理法、3極スパッタリング処理法およびこれらの組合せから構成されている群から選択されている、請求項37記載の光学的デバイス。
【請求項41】
薄膜が4.5〜6eVの仕事関数を有する、請求項36記載の光学的デバイス。
【請求項42】
薄膜が約5nm未満である粗さを有する、請求項36記載の光学的デバイス。
【請求項43】
薄膜が約350〜約800nmの波長で85%よりも大きい平均透過率を有する、請求項36記載の光学的デバイス。
【請求項44】
被膜が約300μΩ・cm未満の抵抗を有する、請求項36記載の光学的デバイス。
【請求項45】
被膜が約50Å〜約2500Åの膜厚を有する、請求項36記載の光学的デバイス。
【請求項46】
光学的デバイスが有機発光ダイオードであり、MoO含有被膜がアノードである、請求項36記載の光学的デバイス。
【請求項47】
有機発光ダイオードが、
(a)金属カソード;
(b)電子輸送層;
(c)電子放出層;
(d)ホール輸送層;および
(e)アノード層としてのMoO2を含有する被膜を含む、請求項46記載の光学的デバイス。
【請求項48】
薄膜がプラスチック支持体、ガラス支持体、セラミック支持体およびこれらの組合せ物から構成されている群から選択された支持体上に位置している、請求項46記載の光学的デバイス。
【請求項49】
プラスチック支持体が、ポリノルボルネン、ポリイミド、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタネートおよびポリエチレンテレフタレートから構成されている群から選択された1つ以上のプラスチックからなる、請求項48記載の光学的デバイス。
【請求項50】
セラミック支持体がサファイアからなる、請求項48記載の光学的デバイス。
【請求項51】
光学的デバイスが発光ダイオードであり、MoO含有被膜がオーミック接触部である、請求項36記載の光学的デバイス。
【請求項52】
薄膜がp型の金属接触部である、請求項51記載の光学的デバイス。
【請求項53】
薄膜がn型の金属接触部である、請求項51記載の光学的デバイス。
【請求項54】
発光ダイオードが、
(a)支持体;
(b)緩衝層;
(c)N型半導体材料;
(d)接合層;
(e)P型半導体材料;
(f)p型金属接触部および
(g)n型金属接触部を含む、請求項51記載の光学的デバイス。
【請求項55】
支持体がサファイア、SiC、Si、GaN、GaP、GeSi、AINおよびこれらの組合せ物から構成されている群から選択された材料を有する、請求項54記載の光学的デバイス。
【請求項56】
緩衝層が元素の周期律表からの第IIIB族の元素および第VB族の元素の1つ以上の化合物を有する、請求項54記載の光学的デバイス。
【請求項57】
緩衝層がAIN、GaNまたはこれらの組合せ物を有する、請求項56記載の光学的デバイス。
【請求項58】
N型半導体材料がSi、Se、TeおよびSから選択された1つ以上の元素でドープされた1つ以上の化合物を有し、この化合物が元素の周期律表からの第IIIB族の元素および第VB族の元素の化合物ならびに元素の周期律表の第IIB族の元素および第VIB族の元素の化合物から選択された化合物から選択されている、請求項54記載の光学的デバイス。
【請求項59】
第IIIB族の元素および第VB族の元素の化合物がGaN、GaAs、GaAlAs、AlGaN、GaP、GaAsP、GaInN、AlGaInN、AlGaAs、AlGaInP、PbSnTe、PbSnSeおよびこれらの組合せ物から構成されている群から選択された、Siがドープされた化合物である、請求項58記載の光学的デバイス。
【請求項60】
第IIB族の元素および第VIB族の元素の化合物がZnSSe、ZnSe、SiCおよびこれらの組合せ物から選択された、Siがドープされた化合物である、請求項58記載の光学的デバイス。
【請求項61】
n型の金属接触部が、Ti/Au金属、MoO導電性酸化物およびMoO/金属、但し、この場合金属は、Ti、Auから選択されるものとし、およびこれらの組合せ物から選択された材料を含む、請求項54記載の光学的デバイス。
【請求項62】
PN型半導体材料がMg、ZnおよびCから選択された1つ以上の元素でドープされた1つ以上の化合物を有し、この化合物が元素の周期律表からの第IIIB族の元素および第VB族の元素の化合物ならびに元素の周期律表の第IIB族の元素および第VIB族の元素の化合物から選択された化合物から選択されている、請求項54記載の光学的デバイス。
【請求項63】
第IIIB族の元素および第VB族の元素の化合物がGaN、GaAs、GaAlAs、AlGaN、GaP、GaAsP、GaInN、AlGaInN、AlGaAs、AlGaInP、PbSnTe、PbSnSeおよびこれらの組合せ物から構成されている群から選択された、Mgがドープされた化合物である、請求項62記載の光学的デバイス。
【請求項64】
第IIB族の元素および第VIB族の元素の化合物がZnSSe、ZnSe、SiCおよびこれらの組合せ物から選択された、Mgがドープされた化合物である、請求項58記載の光学的デバイス。
【請求項65】
p型の金属接触部が、MoO含有透明導電性酸化物およびMoO含有/金属被膜、但し、この場合金属は、Ag、Auから選択されるものとし、およびこれらの組合せ物から選択された材料を含む、請求項54記載の光学的デバイス。
【請求項66】
光学的デバイスが液晶ディスプレイであり、MoO含有被膜が1個以上の共通電極、ピクセル電極、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極、記憶キャパシタ電極およびこれらの組合せである、請求項36記載の光学的デバイス。
【請求項67】
液晶ディスプレイが薄膜ダイオードまたは薄膜トランジスタまたはスイッチング素子を有する、請求項66記載の光学的デバイス。
【請求項68】
液晶ディスプレイが、
A)ガラス支持体、
B)ソース電極、
C)ドレイン電極、
D)ゲート電極、
E)ゲート電極、
F)無定形シリコーン、多結晶シリコーンまたは単一の結晶性シリコーン層、
G)n−ドープされたシリコーン層、
H)不動態層、
I)ピクセル透明電極、
J)共通電極、
K)ポリイミド心合わせ層および
L)記憶キャパシタ電極を有する、請求項66記載の光学的デバイス。
【請求項69】
ピクセル透明電極および共通電極がMoO含有被膜を有する、請求項68記載の光学的デバイス。
【請求項70】
光学的デバイスがプラズマディスプレイパネルであり、MoO含有被膜が正電極または負電極である、請求項36記載の光学的デバイス。
【請求項71】
プラズマディスプレイパネルが、
A)前面ガラス板、
B)誘電性被膜、
C)MgO層、
D)イオン化ガス、
E)セパレーター、
F)1つ以上の燐および
G)支持ガラス板を含む、請求項70記載の光学的デバイス。
【請求項72】
支持ガラスがMoO被膜で被覆されている、請求項71記載の光学的デバイス。
【請求項73】
光学的デバイスが電界放出ディスプレイであり、MoO含有被膜がアノード電極材料またはカソード電極材料である、請求項36記載の光学的デバイス。
【請求項74】
電界放出ディスプレイが、
A)ガラス面板アノード、
B)燐、
C)スペーサー、
D)マイクロチップ、
E)行および桁カソードおよび
F)ガラス底板を含む、請求項73記載の光学的デバイス。
【請求項75】
ガラス面板がMoO被膜で被覆されている、請求項74記載の光学的デバイス。
【請求項76】
少なくとも1つの行および桁カソードE)がMoO含有被膜を有する、請求項74記載の光学的デバイス。
【請求項77】
光学的デバイスがソーラーセルであり、MoO含有被膜が1つ以上の電気的接触部、透明接触物および上面接合層である、請求項36記載の光学的デバイス。
【請求項78】
ソーラーセルが、
A)カバーガラス、
B)上面電気的接触層、
C)透明の接触部、
D)上面接合層、
E)吸収体層、
F)バック電気的接触部および
G)支持体を含む、請求項77記載の光学的デバイス。
【請求項79】
透明接触部C)がMoO含有被膜を有する、請求項78記載の光学的デバイス。
【請求項80】
上面接合層D)がMoO含有被膜を有する、請求項78記載の光学的デバイス。
【請求項81】
カバーガラスA)が反射防止コーティングを有する、請求項78記載の光学的デバイス。
【請求項82】
反射防止コーティングがMoO含有被膜、Si被膜、チタンシリカ被膜およびこれらの組合せ物を有する、請求項81記載の光学的デバイス。
【請求項83】
1つ以上のMoO含有被膜が単一のMoO相被膜、不純物がドープされたMoO被膜、MoOがドープされた酸化錫被膜、MoOがドープされたインジウム酸化錫被膜、MoOがドープされたZnO/In被膜、MoOがドープされたZnO/SnO/In被膜、MoOがドープされたZnO被膜、MoOがドープされたSnO被膜、MoOがドープされたZnO/Al被膜、MoOがドープされたGa/ZnO被膜、ドープされたGaO/ZnO被膜、MoOがドープされたスズ酸亜鉛(ZnSnO)被膜およびMoO−MoO複合体被膜から構成されている群から選択されたものを含む、請求項36記載の光学的デバイス。
【請求項84】
スパッタリング板が方形または矩形の形状である、請求項37記載の光学的デバイス。
【請求項85】
板が方形については2.5cm×2.5cmの小さな寸法を有し、矩形については、2.5cm×3cmの小さな寸法を有する、請求項84記載の光学的デバイス。
【請求項86】
MoOまたはMoO含有スパッタリングターゲットが支持板に結合されており、大きな面積のスパッタリングターゲットを形成している、請求項37記載の光学的デバイス。
【請求項87】
セグメント形成スパッタリング処理法が使用されている、請求項86記載の光学的デバイス。
【請求項88】
大きな面積のスパッタリングターゲットの寸法が6m×5.5mの大きさであることができる、請求項87記載の光学的デバイス。
【請求項89】
MoOまたはMoO含有スパッタリングターゲットが0.15cm〜20cmの範囲内の厚さを有する、請求項37記載の光学的デバイス。
【請求項90】
被膜が、有機金属化学蒸着(MOCVD)、有機金属蒸着(MOD)およびゾルゲル技術から構成されている群から選択された1つ以上の方法を用いて形成されている、請求項36記載の光学的デバイス。
【請求項91】
ゾルゲル技術がモリブデンアセチルアセトネートを含む金属有機化学薬品を利用している、請求項90記載の光学的デバイス。
【請求項92】
MOCVDまたはMOD技術がモリブデンエチルヘキサノエートを含む金属有機化学薬品を利用している、請求項90記載の光学的デバイス。
【請求項93】
板の製造法において、99%を上廻る化学量論的量のMoO粉末構成成分をホットプレス条件に掛け、それによって99%を上廻る化学量論的量のMoOを含む板を形成させることを特徴とする、板の製造法。
【請求項94】
ホットプレスを一次的な液相で支持されたホットプレスを用いて実施する、請求項93記載の方法。

【公表番号】特表2007−500661(P2007−500661A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521084(P2006−521084)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【国際出願番号】PCT/US2004/020932
【国際公開番号】WO2005/040044
【国際公開日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【出願人】(503153986)ハー ツェー シュタルク インコーポレイテッド (27)
【氏名又は名称原語表記】H.C. Starck, Inc.
【住所又は居所原語表記】45 Industrial Place, Newton, MA 02461, USA
【Fターム(参考)】