説明

エンコーダ装置、光学装置、及び露光装置

【課題】回折格子を用いて計測する際に、干渉用の光学系をコンパクトに配置可能として、かつ格子パターン面の高さ変化に対する干渉光強度の低下を抑制する。
【解決手段】エンコーダ10Xは、第1部材6に設けられたX軸の回折格子12Xと、計測光MX1,MX2を回折格子12Xの格子パターン面12Xbにほぼ垂直に入射させるレーザ光源16と、第2部材7に設けられて、回折格子12Xから計測光MX1によって発生する回折光DX1を回折格子12Xに再度入射させる直角プリズム26Aと、回折光DX1によって発生する回折光DX2と他の回折光EX2との干渉光を検出する光電センサ40Xと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相対移動する部材間の相対移動量を計測するエンコーダ装置、このエンコーダ装置を備えた光学装置及び露光装置、並びにこの露光装置を用いたデバイス製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の電子デバイス(マイクロデバイス)を生産するためのフォトリソグラフィ工程で用いられる、いわゆるステッパー又はスキャニングステッパーなどの露光装置においては、従来より、露光対象の基板を移動するステージの位置計測はレーザ干渉計によって行われていた。ところが、レーザ干渉計では、計測用ビームの光路が長く、かつ変化するため、その光路上の雰囲気の温度揺らぎに起因する計測値の短期的な変動が無視できなくなりつつある。
【0003】
そこで、例えばステージに固定された回折格子にレーザ光よりなる計測光を照射し、回折格子から発生する回折光と他の回折光又は参照光との干渉光を光電変換して得られる検出信号から、その回折格子が設けられた部材(ステージ等)の相対移動量を計測する、いわゆるエンコーダ装置(干渉型エンコーダ)も使用されつつある(例えば特許文献1参照)。このエンコーダ装置は、レーザ干渉計に比べて計測値の短期的安定性に優れるとともに、レーザ干渉計に近い分解能が得られるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2008/029757号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のエンコーダ装置は、回折格子から発生する回折光を平面ミラー等で反射しているため、回折格子の格子パターン面の高さが変化すると、その回折光が他の回折光又は参照光に対して相対的にシフトして、干渉光の強度が低下する恐れがあった。
また、従来のエンコーダ装置は、ほぼ計測光の入射面に沿って、回折光と他の回折光又は参照光とを干渉させるための複数の光学部材を配置していたため、光学系の高さが高くなり、その光学系を例えば狭い空間に組み込むことが困難であった。
【0006】
本発明の態様は、このような課題に鑑み、回折格子を用いて相対移動量を計測する際に、干渉用の光学系をコンパクトに配置可能として、かつ格子パターン面の高さ変化に対する干渉光強度の低下を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様によれば、第1部材に対して少なくとも第1方向に相対移動する第2部材の相対移動量を計測するエンコーダ装置が提供される。このエンコーダ装置は、その第1部材及びその第2部材の一方に設けられ、その第1方向を周期方向とする格子パターンを有する反射型の回折格子と、第1計測光をその回折格子の格子パターン面にほぼ垂直に入射させる光源部と、その第1部材及びその第2部材の他方に設けられるとともに、互いに直交する第1及び第2の反射面を持ち、その回折格子からその第1計測光によって発生する第1回折光を、その2つの反射面を介してその第1方向に直交する第2方向へのシフト成分を含むようにその回折格子に再度入射させる第1の二面反射部材と、その回折格子からその第1回折光によってその格子パターン面にほぼ垂直に発生する第2回折光と他の回折光又は参照光との干渉光を検出する光電検出器と、その光電検出器の検出信号を用いてその第2部材の相対移動量を求める計測部と、を備えるものである。
【0008】
また、第2の態様によれば、本発明のエンコーダ装置と、対象物用の光学系と、を備える光学装置が提供される。
また、第3の態様によれば、パターンを被露光体に露光する露光装置が提供される。この露光装置は、フレームと、その被露光体を支持するとともにそのフレームに対して少なくとも第1方向に相対移動可能なステージと、その第1方向へのステージの相対移動量を計測するための本発明のエンコーダ装置と、を備えるものである。
【0009】
また、第4の様態によれば、リソグラフィ工程を含み、そのリソグラフィ工程では、上記露光装置を用いて物体を露光するデバイス製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、回折格子から第1計測光によって発生する第1回折光を、2つの反射面を介してその回折格子に再度入射させる二面反射部材を設けているため、エンコーダ装置の干渉用の光学系をコンパクトに配置可能である。
また、二面反射部材を用いることによって、回折光と他の回折光又は参照光との相対的な横シフト量を小さくできるため、格子パターン面の高さの変化に対して干渉光の強度低下を抑制でき、計測精度を高く維持できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】(A)は第1の実施形態に係るエンコーダを示す斜視図である。
【図2】(A)は図1のエンコーダにおける回折光の光路を示す図、(B)は格子パターン面の高さが変化したときの回折光の光路を示す図である。
【図3】図1のエンコーダにおけるノイズ光となる回折光の光路を示す図である。
【図4】実施形態の変形例に係るエンコーダを示す斜視図である。
【図5】第2の実施形態に係る露光装置の概略構成を示す図である。
【図6】図5のウエハステージに設けられた回折格子及び複数の検出ヘッドの配置の一例を示す平面図である。
【図7】図5の露光装置の制御系を示すブロック図である。
【図8】電子デバイスの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態につき図1〜図3を参照して説明する。図1は本実施形態に係るX軸のエンコーダ10Xの要部を示す斜視図である。図1において、一例として、第1部材6に対して第2部材7は2次元平面内で相対移動可能に配置され、第2部材7の互いに直交する相対移動可能な2つの方向に平行にX軸及びY軸を取り、X軸及びY軸によって規定される平面(XY面)に直交する軸をZ軸として説明する。また、X軸、Y軸、及びZ軸に平行な軸の回りの角度をそれぞれθx方向、θy方向、及びθz方向の角度とも呼ぶ。
【0013】
図1において、エンコーダ10Xは、第1部材6の上面に固定された、XY面に平行な平板状のX軸の回折格子12Xと、第2部材7に固定されて回折格子12Xに計測光を照射するX軸の検出ヘッド14Xと、検出ヘッド14Xに計測用のレーザ光を供給するレーザ光源16と、検出ヘッド14Xから出力される検出信号を処理して第1部材6に対する第2部材7のX方向の相対移動量を求める計測演算部42Xと、を有する。
【0014】
回折格子12XのXY面に平行な格子パターン面12Xbには、X方向に所定の周期(ピッチ)を持ち、位相型でかつ反射型の格子パターン12Xaが形成されている。格子パターン12Xaの周期は、一例として100nm〜4μm程度(例えば2μm周期)である。格子パターン12Xaは、例えばホログラム(例えば感光性樹脂に干渉縞を焼き付けたもの)として、又はガラス板等に機械的に溝等を形成して反射膜を被着することで作製可能である。さらに、格子パターン面12Xbは、保護用の平板ガラスで覆われていてもよい。なお、回折格子12Xの代わりに、X方向、Y方向に周期的に形成された格子パターンを持つ2次元の回折格子を使用してもよい。
【0015】
レーザ光源16は、例えばHe−Neレーザ又は半導体レーザ等よりなり、一例として偏光方向が互いに直交するとともに互いに周波数が異なる第1及び第2の直線偏光のレーザ光よりなる2周波ヘテロダイン光を射出する。それらのレーザ光は互いに可干渉であり、それらの平均波長をλとする。レーザ光源16は、それらのレーザ光から分岐した2つの光束の干渉光を光電変換して得られる基準周波数の信号(基準信号)を計測演算部42Xに供給する。なお、ホモダイン干渉方式も使用可能である。
【0016】
検出ヘッド14Xは、第2部材7に固定されてXY面に平行な平板状のベース部材22と、レーザ光源16から供給されたヘテロダイン光を互いに同じ光量のS偏光の第1の計測光MX1及びP偏光の第2の計測光MX2(光路を点線で示している)に分割する偏光ビームスプリッタ(以下、PBSという。)18と、計測光MX1の光路長を計測光MX2の光路長に合わせるように計測光MX1を反射するミラー20A1,20A2,20A3及び20Bと、計測光MX2を反射するミラー20Cと、ミラー20Dと、偏光板30と、フォトダイオード等の光電センサ40Xとを有する。ミラー20A1〜20Dはベース部材22の上面側に配置されている。PBS18〜光電センサ40XAまでの部材は、ベース部材22に固定された支持部材(不図示)によって支持されている。ベース部材22には、X方向に沿って所定間隔で配置された2つの窓部22b,22c、及び窓部22b,22cの中間位置からY方向に離れた位置に配置された窓部22dが形成されている。計測光MX1,MX2はミラー20B,20Cで反射され、それぞれ窓部22b,22cを通過して回折格子12Xの格子パターン面12Xbにほぼ垂直に入射する。
【0017】
また、検出ヘッド14Xは、ベース部材22の底面で、窓部22b〜22dの−X方向側にX方向に隣接して固定された段差ミラー24A及び支持部材28Aと、支持部材28Aに固定された直角プリズム26Aと、を有する。段差ミラー24Aは、XY平面に平行な第1の反射面24Aaと、この反射面24Aaに平行でかつ+Z方向にずれている第2の反射面24Abとを持つ。また、直角プリズム26Aは、互いに直交する第1及び第2の反射面26Aa,26Abを持ち、反射面26Aa,26Abの間の入射出面が、XY面に平行な状態からθy方向の時計回りに後述の角度(θd+α/2)だけ回転した状態で支持されている。また、検出ヘッド14Xは、窓部22b〜22dを挟んで、段差ミラー24A、支持部材28A、及び直角プリズム26Aと対称に配置された同じ形状の段差ミラー24B、支持部材28B、及び直角プリズム26Bを有する。
【0018】
図1において、第1の計測光MX1は、窓部22bを介して回折格子12Xの格子パターン面12Xbの第1の計測点PAにほぼ垂直に入射し、回折格子12Xから−X方向に+1次回折光DX1が発生する。回折光DX1は、段差ミラー24Aの第1の反射面24Aaで反射されて直角プリズム26Aに入射し、直角プリズム26Aの2つの反射面26Aa,26Abで反射されて段差ミラー24Aの第2の反射面24Abに入射する。そして、反射面24Abで反射された回折光DX1は、格子パターン面12Xbの第3の計測点PCに斜めに入射し、計測点PCから−1次回折光DX2が垂直に発生する。
【0019】
一方、第2の計測光MX2は、窓部22cを介して格子パターン面12Xbの第2の計測点PBにほぼ垂直に入射し、回折格子12Xから+X方向に−1次回折光EX1が発生する。回折光EX1は、段差ミラー24Bの第1の反射面24Baで反射されて直角プリズム26Bに入射し、直角プリズム26Bの2つの反射面26Ba,26Bbで反射されて段差ミラー24Bの第2の反射面24Bbに入射する。そして、反射面24Bbで反射された回折光EX1は、格子パターン面12Xbの回折光DX1が入射した第3の計測点PCに斜めに入射し、計測点PCから+1次回折光EX2が垂直に発生する。計測点PCで垂直に発生した−1次回折光DX2及び+1次回折光EX2は同軸に合成されて、ベース部材22の窓部22d、ミラー20D、及び偏光板30を介して光電センサ40Xで受光される。光電センサ40Xの検出信号が計測演算部42Xに供給される。この実施形態では、PBS18で分岐されてから光電センサ40Xに入射するまでの計測光MX1,MX2(回折光)の光路長は互いにほぼ等しく設定されているため、計測光MX1,MX2として比較的波長幅の広いレーザ光を使用可能である。なお、計測光MX1,MX2の波長幅が狭い場合には、計測光MX1,MX2(回折光)の光路長差を大きくしてもよい。
【0020】
一例として、計測演算部42Xは、その検出信号とレーザ光源16から供給される基準信号とから、第1部材6に対する第2部材7のX方向への相対移動量を求める。X方向の相対移動量の検出分解能は例えば0.5〜0.1nm程度である。本実施形態では、最終的に2回目の−1次回折光DX2と2回目の+1次回折光EX2との干渉光を検出しているため、相対移動量の検出分解能(検出精度)を1/2に向上(微細化)できる。また、±1次回折光を用いることによって、第1部材6と第2部材7とのθz方向の相対回転角による計測誤差を低減できる。
【0021】
次に、本実施形態の計測光MX1,MX2の格子パターン面12Xbに対するθy方向(X方向)の入射角は、ノイズ光の影響を低減するために、図2(A)に示すように、対称に角度αだけずれている。以下では、計測光MX1の入射角αは、時計回りにずれているものとする。角度αは、例えば0.5°〜数度程度であり、例えば0.5°〜1.5°(目標値で1°程度)に設定することが好ましい。
【0022】
この場合、計測光MX1が格子パターン面12Xbに垂直に入射した場合の+1次回折光DX1の回折角をφd(反時計回りの角度)とすると、計測光MX1,MX2の平均波長λを用いて回折角φdは次の関係を満たす。
sin φd=λ …(1)
本実施形態では、計測光MX1は入射角αで回折格子12Xに入射するため、入射した計測光MX1による回折格子12Xからの+1次回折光DX1の回折角φ1は、次のようにほぼ回折角φdよりも角度αだけ大きくなる。
【0023】
φ1≒φd+α …(2)
また、回折光DX1は、段差ミラー24Aの第1の反射面24Aaで反射されて直角プリズム26Aに入射する。本実施形態では、支持部材28Aの直角プリズム26Aの取り付け面のZY面に対するθy方向の傾斜角は(θd+α/2)に設定されている。この結果、直角プリズム26Aの反射面26Aa,26Abの間の入射出面は、XY面に平行な状態からθy方向の時計回りに角度(θd+α/2)だけ回転した状態となっている。従って、直角プリズム26Aの直交する2つの反射面26Aa,26Abで反射された回折光DX1は、段差ミラー24Aの第2の反射面24Abで反射された後、格子パターン面12Xbに対して反時計回りに入射角φd(+1次回折光の回折角と同じ角度)で入射する。従って、回折光DX1の入射によって回折格子12Xからは垂直上方(回折角0)に−1次回折光DX2が発生する。
【0024】
これと対称に、第2の計測光MX2によって発生した−1次回折光EX1は、段差ミラー24Bの第1の反射面24Baで反射されて直角プリズム26Bの、XY面に平行な状態からθy方向の反時計回りに角度(θd+α/2)だけ回転した面に入射し、直角プリズム26Bの直交する2つの反射面26Ba,26Bbで反射される。そして、回折光EX1は、段差ミラー24Bの第2の反射面24Bbで反射された後、格子パターン面12Xbに対して時計回りに入射角φdで入射する。従って、回折光EX1の入射によって回折格子12Xからは垂直上方(回折角0)に、すなわち−1次回折光DX2に平行に+1次回折光EX2が発生する。従って、回折光DX2,EX2の干渉光は強度変化のコントラストが高いため、高精度に位置検出が可能である。
【0025】
本実施形態において、図2(B)に示すように、回折格子12Xの格子パターン面12Xbの高さ(Z方向の位置)が位置PDに変化した場合には、回折格子12Xの計測点PAから発生した回折光DX1は、段差ミラー24A、直角プリズム26A、及び段差ミラー24Aを介して光路PEで示すようにほぼ回折格子12Xのもとの計測点PCに入射する。同様に、回折格子12Xの計測点PBから発生した回折光EX1は、段差ミラー24B、直角プリズム26B、及び段差ミラー24Bを介して光路PFで示すようにほぼ回折格子12Xのもとの計測点PCに入射する。従って、回折光DX2,EX2間の相対的な横シフトがほとんど発生しないため、常に高精度に位置検出が可能である。
【0026】
ただし、図3に示すように、本実施形態では、回折格子12Xの計測点PCに入射した回折光DX1によって同じ方向に−2次回折光DX21が発生する。図3において、この回折光DX21は、第2の反射面24Ab、直角プリズム26A、第1の反射面24Aaを介して回折格子12Xの計測点PAに戻り、計測点PAから回折角がほぼ(θd−α)の+2次回折光DX22が発生する。この回折光DX22は、第1の反射面24Aa、直角プリズム26A、第2の反射面24Abを介して回折格子12Xの計測点PCに戻り、計測点PCからほぼ回折角2・αで−1次回折光DX23が発生する。この回折光DX23と他の回折光DX2,EX2との干渉光がノイズ光となる。
【0027】
しかしながら、回折光DX23と他の回折光DX2,EX2とのθy方向の角度(交差角)はほぼ2・αであり、周期の小さい干渉縞が形成されるのみで、計測誤差は極めて小さくなる。ここで、計測光MX1,MX2(平均波長λ)のビーム径をdとして、回折光DX23と回折光DX2,EX2とが合流して形成される干渉縞の周期がそのビーム径dの1/100以下程度であれば(干渉縞が100本以上形成される程度であれば)、得られる干渉縞を光電変換して得られる検出信号の0次光に起因する変動成分(ノイズ成分)はほぼ1%以下になり、計測誤差は極めて小さくなる。この際の条件は以下のようになる。ただし、角度αをradで表している。
【0028】
d・2・α≧100λ …(3)
ここで、一例としてビーム径dを2mm、波長λを0.633μmとすると、式(3)を満たす角度αは以下のようになる。
α≧0.0158(rad)=0.91° …(4)
従って、計測光MX1,MX2のビーム径が2mm程度であれば、計測光MX1,MX2のX方向の入射角αは、0.91°以上、例えば1°程度であることが好ましい。なお、計測光MX1,MX2の入射角αが大きくなると、格子パターン面12XaのZ方向の位置の変化に対して、回折光DX2,EX2の横シフト量が大きくなり、相対位置情報を含む干渉光の強度が小さくなるため、式(4)を満たす範囲内で角度αはあまり大きくしない方がよい。
【0029】
なお、例えば+2次回折光の回折効率が低い場合には、角度αは0でもよい。
本実施形態の効果等は以下の通りである。本実施形態のX軸のエンコーダ10Xは、第1部材6と第2部材7とのX方向の相対移動量を計測するエンコーダである。そして、エンコーダ10Xは、第1部材6に設けられ、X方向を周期方向とする回折格子12Xと、可干渉性のある計測光MX1及びMX2を発生するレーザ光源16よ、計測光MX1,MX2を回折格子12Xの格子パターン面12Xbにほぼ垂直に入射させるミラー20B,20Cと、第2部材7に設けられるとともに、互いに直交する反射面26Aa,26Abを持ち、回折格子12Xから計測光MX1によって発生する+1次回折光DX1を、反射面26Aa,26Abを介してY方向にシフトさせて回折格子12Xに再度入射させる直角プリズム26Aと、回折格子12Xから回折光DX1によって格子パターン面12Xbにほぼ垂直に発生する−1次回折光DX2と他の回折光EX2との干渉光を検出する光電センサ40Xと、光電センサ40Xの検出信号を用いて第2部材7の相対移動量を求める計測演算部42Xと、を備えている。
【0030】
本実施形態によれば、回折格子12Xから計測光MX1によって発生する回折光DX1を、2つの反射面を介して回折格子12XにY方向にシフトさせて再度入射させる直角プリズム26A(二面反射部材)を設けているため、エンコーダ10Xの干渉用の光学系を第2部材7の例えば底面にコンパクトに配置可能である。
また、直角プリズム26Aを用いることによって、回折光DX2と他の回折光EX2との相対的な横シフト量を小さくできるため、格子パターン面12Xbの高さ変化に対して干渉光の強度低下を抑制でき、計測精度を高く維持できる。
【0031】
なお、直角プリズム26A,26Bの代わりに例えば直交する2つの反射面を持つダハプリズム等も使用可能である。
本実施形態では、第2の計測光MX2によって回折格子12Xから発生する回折光EX2と回折光DX2との干渉光を検出している。しかしながら、例えば回折光DX2と他の参照光との干渉光を検出してもよい。
【0032】
次に、本実施形態の変形例につき図4を参照して説明する。なお、図4において図1に対応する部分には同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
図4は、Y軸のエンコーダ10Yを示す。エンコーダ10Yは、第1部材6に固定された回折格子12Xを90°回転した構成のY軸の回折格子12Yと、第2部材7に固定されてY軸の検出ヘッド14Yと、検出ヘッド14Yにレーザ光を供給するレーザ光源16と、検出ヘッド14Yから出力される検出信号を処理して第1部材6に対する第2部材7のY方向の相対移動量を求める計測演算部42Yと、を有する。なお、回折格子12Yの代わりに2次元の回折格子を使用してもよい。
【0033】
検出ヘッド14Yは、第2部材7に固定されてXY面に平行な平板状のベース部材22と、レーザ光源16からのレーザ光を可干渉な計測光MY1,MY2に分割するPBS18Aと、ミラー20E〜20Hと、光電センサ40Yとを有する。ベース部材22には、Y方向に沿って所定間隔で配置された2つの窓部22e,22f、及び窓部22fからY方向に離れた位置に配置された窓部22gが形成されている。計測光MY1,MY2はミラー20E,20G及びミラー20Fで反射され、それぞれ窓部22e,22fを通過して回折格子12Xの格子パターン面12Xbの計測点PD,PEにY方向の入射角αで入射する。この変形例でも、PBS18Aで分岐されてから光電センサ40Yに入射するまでの計測光MY1,MY2の光路長は互いにほぼ等しく設定されている。
【0034】
また、検出ヘッド14Yは、ベース部材22の底面に固定された段差ミラー24Aと同じ形状の段差ミラー24C及び支持部材28Cと、支持部材28Cに固定された直角プリズム26Cと、を有する。また、検出ヘッド14Yは、窓部22e〜22gを挟んで、段差ミラー24C、支持部材28C、及び直角プリズム26Cと対向するように配置された支持部材32、及び支持部材32に固定されて計測点PEの方向を向く直角プリズム26Dを有する。
【0035】
図4において、第1の計測光MY1は、回折格子12Yの格子パターン面12Ybの第1の計測点PDにほぼ垂直に入射し、回折格子12Yからの+1次回折光DY1は、段差ミラー24Cの第1の反射面で反射されて直角プリズム26Cに入射し、直角プリズム26Cの2つの反射面で反射されて段差ミラー24Cの第2の反射面に入射する。そして、この反射面で反射された回折光DY1は、格子パターン面12Xbの第3の計測点PFに斜めに入射し、計測点PFから−1次回折光DY2が垂直に発生する。
【0036】
一方、第2の計測光MY2は、窓部22fを介して格子パターン面12Ybの第2の計測点PEにY方向の入射角αで入射し、回折格子12Yから+Y方向に−1次回折光EY1が発生する。回折光EY1は、直角プリズム26Cの2つの反射面26Da,26Dbで反射されて格子パターン面12Ybの回折光DY1が入射した第3の計測点PFに斜めに入射し、計測点PFから+1次回折光EY2が垂直に発生する。計測点PFで垂直に発生した−1次回折光DY2及び+1次回折光EY2は同軸に合成されて、ベース部材22の窓部22g、ミラー20H、及び偏光板30を介して光電センサ40Yで受光される。光電センサ40Yの検出信号が計測演算部42Yに供給され、計測演算部42Yはその検出信号を用いて第1部材6と第2部材7とのY方向の相対移動量を求める。この変形例のエンコーダ10Yにおいても、上記の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、図1のエンコーダ10Xの検出ヘッド14Xと図4のエンコーダ10Yの検出ヘッド14Yとは交差するように配置することが可能である。
【0037】
[第2の実施形態]
第2の実施形態につき図5〜図7を参照して説明する。図5は、この実施形態に係るエンコーダ装置を備えた露光装置EXの概略構成を示す。露光装置EXは、スキャニングステッパーよりなる走査露光型の投影露光装置である。露光装置EXは、投影光学系PL(投影ユニットPU)を備えており、以下、投影光学系PLの光軸AXと平行にZ軸を取り、これに直交する面(ほぼ水平面に平行な面)内でレチクルRとウエハWとが相対走査される方向にY軸を、Z軸及びY軸に直交する方向にX軸を取って説明する。
【0038】
露光装置EXは、例えば米国特許出願公開第2003/0025890号明細書などに開示される照明系110、及び照明系110からの露光用の照明光(露光光)IL(例えば波長193nmのArFエキシマレーザ光、固体レーザ(半導体レーザなど)の高調波など)により照明されるレチクルR(マスク)を保持するレチクルステージRSTを備えている。さらに、露光装置EXは、レチクルRから射出された照明光ILをウエハW(基板)に投射する投影光学系PLを含む投影ユニットPU、ウエハWを保持するウエハステージWSTを含むステージ装置195、及び制御系等(図7参照)を備えている。
【0039】
レチクルRはレチクルステージRSTの上面に真空吸着等により保持され、レチクルRのパターン面(下面)には、回路パターンなどが形成されている。レチクルステージRSTは、例えばリニアモータ等を含む図11のレチクルステージ駆動系111によって、XY平面内で微少駆動可能であると共に、走査方向(Y方向)に指定された走査速度で駆動可能である。
【0040】
レチクルステージRSTの移動面内の位置情報(X方向、Y方向の位置、及びθz方向の回転角を含む)は、レーザ干渉計よりなるレチクル干渉計116によって、移動鏡115(又は鏡面加工されたステージ端面)を介して例えば0.5〜0.1nm程度の分解能で常時検出される。レチクル干渉計116の計測値は、図7のコンピュータよりなる主制御装置120に送られる。主制御装置120は、その計測値に基づいてレチクルステージ駆動系111を制御することで、レチクルステージRSTの位置及び速度を制御する。
【0041】
図5において、レチクルステージRSTの下方に配置された投影ユニットPUは、鏡筒140と、鏡筒140内に所定の位置関係で保持された複数の光学素子を有する投影光学系PLとを含む。投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで所定の投影倍率β(例えば1/4倍、1/5倍などの縮小倍率)を有する。照明系110からの照明光ILによってレチクルRの照明領域IARが照明されると、レチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介して照明領域IAR内のレチクルRの回路パターンの像が、ウエハ(半導体ウエハ)Wの一つのショット領域の露光領域IA(照明領域IARと共役な領域)に形成される。
【0042】
また、露光装置EXは、液浸法を適用した露光を行うため、投影光学系PLを構成する最も像面側(ウエハW側)の光学素子である先端レンズ191を保持する鏡筒140の下端部の周囲を取り囲むように、局所液浸装置108の一部を構成するノズルユニット132が設けられている。ノズルユニット132は、露光用の液体Lq(例えば純水)を供給するための供給管131A及び回収管131Bを介して、液体供給装置186及び液体回収装置189(図11参照)に接続されている。なお、液浸タイプの露光装置としない場合には、上記の局所液浸装置108は設けなくともよい。
【0043】
図5において、ウエハステージWSTは、不図示の複数の例えば真空予圧型空気静圧軸受(エアパッド)を介して、ベース盤112のXY面に平行な上面112aに非接触で支持されている。また、ウエハステージWSTは、例えば平面モータ、又は直交する2組のリニアモータを含むステージ駆動系124(図11参照)によってX方向及びY方向に駆動可能である。露光装置EXは、レチクルRのアライメントを行う空間像計測系(不図示)、ウエハWのアライメントを行うアライメント系AL(図11参照)、照射系90a及び受光系90bよりなりウエハWの表面の複数箇所のZ位置を計測する斜入射方式の多点のオートファオーカスセンサ90(図7参照)、及びウエハステージWSTの位置情報を計測するためのエンコーダ装置8Bを備えている。
【0044】
ウエハステージWSTは、X方向、Y方向に駆動されるステージ本体191と、ステージ本体191上に搭載されたウエハテーブルWTBと、ステージ本体191内に設けられて、ステージ本体191に対するウエハテーブルWTB(ウエハW)のZ方向の位置、及びθx方向、θy方向のチルト角を相対的に微小駆動するZ・レベリング機構とを備えている。ウエハテーブルWTBの中央の上部には、ウエハWを真空吸着等によってほぼXY平面に平行な吸着面上に保持するウエハホルダ(不図示)が設けられている。
【0045】
また、ウエハテーブルWTBの上面には、ウエハホルダ上に載置されるウエハの表面とほぼ同一面となる、液体Lqに対して撥液化処理された表面(又は保護部材)を有し、かつ外形(輪郭)が矩形でその中央部にウエハホルダ(ウエハの載置領域)よりも一回り大きな円形の開口が形成された高平面度の平板状のプレート体128が設けられている。
なお、上述の局所液浸装置108を設けたいわゆる液浸型の露光装置の構成にあっては、さらにプレート体128は、図6のウエハテーブルWTB(ウエハステージWST)の平面図に示されるように、その円形の開口を囲む、外形(輪郭)が矩形の表面に撥液化処理が施されたプレート部(撥液板)128aと、プレート部128aを囲む周辺部128eとを有する。周辺部128eの上面に、プレート部128aをY方向に挟むようにX方向に細長い1対のY軸の第1及び第2の回折格子12Y1,12Y2が配置され、プレート部128aをX方向に挟むようにY方向に細長い1対のX軸の回折格子12X1,12X2が配置されている。X方向を周期方向とする反射型の回折格子12X1,12X2は図1の回折格子12Xと同じ構成であり、Y方向を周期方向とする回折格子12Y1,12Y2は回折格子12Xを90°回転した構成である。
【0046】
また、図5において、投影ユニットPUを支持するフレーム(不図示)に連結部材(不図示)を介してXY面にほぼ平行な平板状の計測フレーム150が支持されている。計測フレーム150の底面に、投影光学系PLをX方向に挟むように、図1のX軸の検出ヘッド14Xと同じ構成の複数の検出ヘッド14Xが固定され、投影光学系PLをY方向に挟むように、図4のY軸の検出ヘッド14Yと同じ構成の複数の検出ヘッド14Yが固定されている(図6参照)。また、複数の検出ヘッド14X,14Yにレーザ光(計測光及び参照光)を供給するための複数のレーザ光源(不図示)も備えられている。なお、検出ヘッド14Yの代わりに図1の検出ヘッド14Xを90°回転した構成の検出ヘッドを使用してもよい。
【0047】
図6において、投影光学系PLからの照明光でウエハWを露光している期間では、常に複数の検出ヘッド14Xのいずれか2つがX軸の回折格子12X1,12X2に対向し、複数の検出ヘッド14Yのいずれか2つがY軸の回折格子12Y1,12Y2に対向するように構成されている。各検出ヘッド14Xは、回折格子12X1又は12X2に計測光を照射し、回折格子12X1,12X2から発生する回折光と参照光との干渉光の検出信号を対応する計測演算部42X(図7)に供給する。計測演算部42Xでは、図1の計測演算部42と同様に、ウエハステージWSTと計測フレーム150とのX方向、Z方向の相対位置(相対移動量)を例えば0.5〜0.1nmの分解能で求めて計測値切り替え部80Xに供給する。計測値切り替え部80Xでは、回折格子12X1,12X2に対向している検出ヘッド14Xに対応する計測演算部42Xから供給される相対位置の情報を主制御装置120に供給する。
【0048】
また、各検出ヘッド14Yは、回折格子12Y1又は12Y2に計測光を照射し、回折格子12Y1,12Y2から発生する回折光と参照光との干渉光の検出信号を対応する計測演算部42Y(図11)に供給する。計測演算部42Yでは、計測演算部42Xと同様に、ウエハステージWSTと計測フレーム150とのY方向、Z方向の相対位置(相対移動量)を例えば0.5〜0.1nmの分解能で求めて計測値切り替え部80Yに供給する。計測値切り替え部80Yでは、回折格子12Y1,12Y2に対向している検出ヘッド14Yに対応する計測演算部42Yから供給される相対位置の情報を主制御装置120に供給する。
【0049】
複数の検出ヘッド14X、レーザ光源(不図示)、計測演算部42X、及びX軸の回折格子12X1,12X2からX軸のエンコーダ10XBが構成され、複数の検出ヘッド14Y、レーザ光源(不図示)、計測演算部42Y、及びY軸の回折格子12Y1,12Y2からY軸のエンコーダ10YBが構成されている。そして、X軸のエンコーダ10XB、Y軸のエンコーダ10YB、及び計測値切り替え部80X,80Yからエンコーダ装置8Bが構成されている。主制御装置120は、エンコーダ装置8Bから供給される相対位置の情報に基づいて、計測フレーム150(投影光学系PL)に対するウエハステージWSTのX方向、Y方向、Z方向の位置、及びθz方向の回転角等の情報を求め、この情報に基づいてステージ駆動系124を介してウエハステージWSTを駆動する。
【0050】
そして、露光装置EXの露光時には、先ずレチクルR及びウエハWのアライメントが行われる。その後、レチクルRへの照明光ILの照射を開始して、投影光学系PLを介してレチクルRのパターンの一部の像をウエハWの表面の一つのショット領域に投影しつつ、レチクルステージRSTとウエハステージWSTとを投影光学系PLの投影倍率βを速度比としてY方向に同期して移動(同期走査)する走査露光動作によって、そのショット領域にレチクルRのパターン像が転写される。その後、ウエハステージWSTを介してウエハWをX方向、Y方向にステップ移動する動作と、上記の走査露光動作とを繰り返すことによって、液浸法でかつステップ・アンド・スキャン方式でウエハWの全部のショット領域にレチクルRのパターン像が転写される。
【0051】
この際に、検出ヘッド14X,14Yにおいては、計測光及び回折光の光路長はレーザ干渉計に比べて短いため、検出ヘッド14X,14Yを用いた計測値に対する空気揺らぎの影響が非常に小さい。従って、本実施例のエンコーダ装置8Bは、レーザ干渉計と比較して、空気が揺らぐ程度の短い期間における計測安定性(短期安定性)が格段に優れているため、レチクルRのパターン像をウエハWに高精度に転写できる。さらに、検出ヘッド14X,14YはZ方向の高さを低くコンパクトに構成できるため、計測フレーム150の底面等に複数の検出ヘッド14X,14Yを容易に設置できる。
【0052】
なお、本実施例では、計測フレーム150側に検出ヘッド14X,14Y等を配置し、ウエハステージWST側に回折格子12X1,12Y1等を配置している。この他の構成として、計測フレーム150側に回折格子12X1,12Y1等を配置し、ウエハステージWST側に検出ヘッド14X,14Y等を配置してもよい。
また、上記の実施例の露光装置EX又は露光方法を用いて半導体デバイス等の電子デバイス(又はマイクロデバイス)を製造する場合、電子デバイスは、図8に示すように、電子デバイスの機能・性能設計を行うステップ221、この設計ステップに基づいたレチクル(マスク)を製作するステップ222、デバイスの基材である基板(ウエハ)を製造してレジストを塗布するステップ223、前述した実施形態の露光装置(露光方法)によりレチクルのパターンを基板(感光基板)に露光する工程、露光した基板を現像する工程、現像した基板の加熱(キュア)及びエッチング工程などを含む基板処理ステップ224、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む)225、並びに検査ステップ226等を経て製造される。
【0053】
言い換えると、このデバイスの製造方法は、上記の実施例の露光装置EX(露光方法)を用いてレチクルのパターンの像を基板(ウエハ)に転写し、その基板を現像するリソグラフィ工程と、そのパターンの像が転写されたその基板をそのパターンの像に基づいて加工する工程(ステップ224のエッチング等)とを含んでいる。この際に、上記の実施例によれば、露光装置のウエハステージWSTの位置を高精度に制御できるため、電子デバイスを高精度に製造できる。
【0054】
なお、本発明は、上述の走査露光型の投影露光装置(スキャナ)の他に、ステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ等)にも適用できる。さらに、本発明は、液浸型露光装置以外のドライ露光型の露光装置にも同様に適用することができる。
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグフィ工程を用いて製造する際の、露光装置にも適用することができる。
【0055】
また、上記の実施形態又は実施例のエンコーダ10X,10Yは、露光装置以外の検査装置又は計測装置等の検査又は加工対象の物体用の光学系を備えた光学装置において、その物体の相対移動量を計測するために適用することができる。
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を取り得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0056】
EX…露光装置、R…レチクル、W…ウエハ、MX1,MX2…計測光、DX1,DX2…±1次回折光、EX2,EX…±1次回折光、10X…X軸のエンコーダ、12X…X軸の回折格子、14X…X軸の検出ヘッド、16…レーザ光源、24A,24B…段差ミラー、26A,26B…直角プリズム、40X,40Y…光電センサ、42X,42Y…計測演算部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1部材に対して少なくとも第1方向に相対移動する第2部材の相対移動量を計測するエンコーダ装置であって、
前記第1部材及び前記第2部材の一方に設けられ、前記第1方向を周期方向とする格子パターンを有する反射型の回折格子と、
第1計測光を前記回折格子の格子パターン面にほぼ垂直に入射させる光源部と、
前記第1部材及び前記第2部材の他方に設けられるとともに、互いに直交する第1及び第2の反射面を持ち、前記回折格子から前記第1計測光によって発生する第1回折光を、前記2つの反射面を介して前記第1方向に直交する第2方向へのシフト成分を含むように前記回折格子に再度入射させる第1の二面反射部材と、
前記回折格子から前記第1回折光によって前記格子パターン面にほぼ垂直に発生する第2回折光と他の回折光又は参照光との干渉光を検出する光電検出器と、
前記光電検出器の検出信号を用いて前記第2部材の相対移動量を求める計測部と、
を備えることを特徴とするエンコーダ装置。
【請求項2】
前記光源部は前記第1計測光と可干渉性のある第2計測光をも前記回折格子の格子パターン面にほぼ垂直に入射させ、
前記第1部材及び前記第2部材の他方に設けられるとともに、互いに直交する第3及び第4の反射面を持ち、前記回折格子から前記第2計測光によって前記第1回折光とほぼ対称に発生する第3回折光を、前記2つの反射面を介して前記第2方向へのシフト成分を含むように前記回折格子に再度入射させる第2の二面反射部材と、を備え、
前記光電検出器は、前記第2回折光と、前記回折格子から前記第3回折光によって前記格子パターン面にほぼ垂直に発生する第4回折光との干渉光を検出することを特徴とする請求項1に記載のエンコーダ装置。
【請求項3】
前記格子パターン面に平行で互いに高さの異なる第5及び第6の反射面を持つ第1の平行反射部材を備え、
前記回折格子から発生する前記第1回折光を、前記第1の平行反射部材の前記第5の反射面、前記第1の二面反射部材の前記第1の反射面及び前記第2の反射面、並びに前記第1の平行反射部材の前記第6の反射面を介して前記回折格子に再度入射させることを特徴とする請求項2に記載のエンコーダ装置。
【請求項4】
前記第1計測光及び前記第2計測光の前記回折格子に対する第1及び第2の入射位置は前記第1方向にずれており、
前記格子パターン面に平行で互いに高さの異なる第7及び第8の反射面を持つ第2の平行反射部材を備え、
前記回折格子から発生する前記第2計測光の前記第3回折光を、前記第2の平行反射部材の前記第7の反射面、前記第2の二面反射部材の前記第3の反射面及び前記第4の反射面、並びに前記第2の平行反射部材の前記第8の反射面を介して前記回折格子の前記第3の入射位置に再度入射させることを特徴とする請求項3に記載のエンコーダ装置。
【請求項5】
前記光源部から前記回折格子に対して出射される前記第1計測光及び前記第2計測光を、前記格子パターン面の法線方向に対して前記第1方向に所定角度傾斜させる角度調整部材を備えることを特徴とする請求項2に記載のエンコーダ装置。
【請求項6】
第1の二面反射部材の入射面の法線方向は、前記所定角度の1/2の角度で補正されていることを特徴とする請求項5に記載のエンコーダ装置。
【請求項7】
前記第1計測光の前記第1回折光及び前記第2回折光は前記回折格子による1次回折光であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のエンコーダ装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の二面反射部材はそれぞれ直角プリズムであることを特徴とする請求項2又は5に記載のエンコーダ装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載のエンコーダ装置と、
対象物用の光学系と、を備えることを特徴とする光学装置。
【請求項10】
パターンを被露光体に露光する露光装置であって、
フレームと、
前記被露光体を支持するとともに前記フレームに対して少なくとも第1方向に相対移動可能なステージと、
前記第1方向への前記ステージの相対移動量を計測するための請求項1〜9のいずれか一項に記載のエンコーダ装置と、を備えることを特徴とする露光装置。
【請求項11】
リソグラフィ工程を含むデバイス製造方法であって、
前記リソグラフィ工程で、請求項10に記載の露光装置を用いて物体を露光することを特徴とするデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−26273(P2013−26273A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156741(P2011−156741)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】