説明

ガスバリア性積層フィルム

【課題】高度なガスバリア性を有するガスバリア性積層フィルムを提供する。
【解決手段】基材フィルム1の一方の面に、第1の無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、該第1の無機酸化物の蒸着膜の上に、一般式R1 n M(OR2 m (ただし、式中、R1 、R2 、M、n、m、n+mの意味は略す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、鱗片形状二酸化ケイ素粒子と、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物による第1のガスバリア性塗布膜を設け、更にまた、上記と同様にして、該第1のガスバリア性塗布膜3の上に、第2の無機酸化物の蒸着膜4と第2ガスバリア性塗布膜5とを順次に設けたことを特徴とするガスバリア性積層フィルムA。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスバリア性積層フィルムに関し、更に詳しくは、透明性を有すると共に特に優れたガスバリア性を備え、更に、耐衝撃性等に優れたガスバリア性積層フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガスバリア性を備えた包材基材として、従来より、アルミニウム箔あるいは基材フィルムにアルミニウムの蒸着膜を設けた包材基材が使用されている。
しかし、このような包材基材は、安定したガスバリア性が得られるものの、ガスバリア層としてのアルミニウム箔あるいはアルミニウムの蒸着膜を備えているため、焼却適性が劣り、使用後の廃棄処分が容易ではないという問題がある。
また、アルミニウム箔を備えているため、透明性を有する包材基材は得られないという問題もある。
【0003】
これに対処するために、ポリ塩化ビニリデン系樹脂(PVDC)やエチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)からなるバリア層を備えた包材基材が開発されている。
しかし、PVDCは、塩素を含有するため、使用後に焼却することにより塩素ガスが発生し、環境衛生上好ましくないという問題がある。
一方、EVOHは、酸素透過性が低く、かつ、香味成分の吸着性が低いという長所があるものの、水蒸気に接触するとガスバリア性が低下してしまうという問題がある。
このため、バリア層であるEVOHを水蒸気から遮断するために他の包材基材を積層し、複雑な積層構造とする必要があり、製造コストの増大を来すという問題点を有するものである。
【0004】
而して、近年、高いガスバリア性と保香性を安定して発揮し、かつ、透明性を有する包材基材として、珪素酸化物、酸化アルミニウム等の無機酸化物の薄膜からなるバリア層を備えたガスバリア性フィルムが開発されている。
この無機酸化物の薄膜は、材料である無機酸化物を真空蒸着により基材フィルム上に付着させることにより形成され、廃棄時における環境上の問題もなく、また、ガスバリア性の湿度依存性もないものである。
【0005】
しかしながら、上述の珪素酸化物、酸化アルミ等の無機酸化物の薄膜からなるバリア層においては、無機酸化物粒子が基材上に蒸着したものであるため、無機酸化物粒子間に結晶粒界という隙間が存在しており、ガスバリア性が十分とはいえず、膜厚を厚く(500〜1000Å)する必要があること、無機酸化物の酸素原子割合が小さいほどガスバリア性は向上するが、反面、透明性が低下すること、上記のように膜厚を厚くする必要性があるので、その結果延展性に劣りクラックが生じやすいこと、基板と無機酸化物粒子との密着力が弱いこと等の種々の問題があるものである。
【0006】
上記の問題を解決しガスバリア性能を向上させるために、例えば、基材フィルム層(1)の少なくとも一方の面が、ケイ素酸化物で構成されている透明性を有する無機質層(2)を介して、塩化ビニリデン系共重合体又はエチレン−ビニルアルコール共重合体からなるバリア性樹脂コーティング層(3)で被覆されているガスバリア性フィルムが知られている(例えば、特許文献1等参照。)。
しかしながら、上記の特許文献1に係るガスバリア性フィルムは、水酸基やアミド基などの極性基は、水分子と結合しやすく、そのガスバリア性は環境湿度が高くなるにつれて低下するという問題点がある。
すなわち、内容物が水分を含む液体、あるいは水分を含む食品などを入れた場合は、内容物の水分蒸気などの影響によりガスバリア性が低下し、保存中に内容物の品質の劣化をもたらすという問題がある。
また、食品によっては、包装体に食品を充填後、ボイル処理、もしくは、レトルト処理によって熱水により殺菌を行うことが通常行われるが、上記ガスバリア材は処理時にガスバリア性の劣化、接着強度などの機械的強度の劣化を引き起こし該処理方法には適さないという問題点もある。
【0007】
上記の問題を解決するために、例えば、高分子樹脂組成物からなる基材上に、無機化合物からなる蒸着層を第1層とし、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及びその加水分解物又は(b)塩化錫の少なくとも一方を含む水溶液、或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を塗布し、加熱乾燥してなるガスバリア性被膜を第2層として積層してなることを特徴とするガスバリア性積層フィルムが提案されている(例えば、特許文献等2参照。)。
しかしながら、上記の特許文献2に係るガスバリア性積層フィルムは、耐湿性、耐熱性等が向上し、外部湿度の影響はなく、ボイル、レトルト適性に優れるフィルムではあるが、近年ガスバリア性フィルムのバリア性レベルは、食品包装においてもアルミニウム箔と同等のレベルが求められるようになり、また、医薬医療、産業部材など用途を拡大するために、そのバリア性レベルも高度化が必要となっており、特に、ハイバリア化が困難な水蒸気バリア性の高度化が求められ、更なる技術向上が必要となってきているというのが実状である。
【特許文献1】特開平7−80986号公報
【特許文献2】特開平7−164591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、高いガスバリア性を安定して維持するとともに、良好な透明性、及び耐熱水性を備えたガスバリア性積層フィルムであり、更には、医薬品包材、工業用途用包材などで必要とされるアルミニウム箔に匹敵する高度なガスバリア性を有するガスバリア性積層フィルムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記の目的を達成すべく種々研究の結果、基材フィルムの一方の面に、第1の無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、該第1の無機酸化物の蒸着膜の上に、一般式R1 n M(OR2 m (ただし、式中、R1 、R2 は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、鱗片形状二酸化ケイ素粒子と、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物による第1のガスバリア性塗布膜を設け、更にまた、該第1のガスバリア性塗布膜の上に、第2の無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、該第2の無機酸化物の蒸着膜の上に、一般式R1 n M(OR2 m (ただし、式中、R1 、R2 は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、鱗片形状二酸化ケイ素粒子と、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物による第2のガスバリア性塗布膜を設けてガスバリア性積層フィルムを製造し、次いで、該ガスバリア性積層フィルムを使用し、これに、例えば、ヒ−トシ−ル性樹脂層、その他等の他の基材フィルム等を積層して包装用材料を製造し、しかる後、該包装用材料を使用し、これを製袋して包装用袋を製造し、而して、該包装用袋内に所望の内容物を充填包装して包装製品を製造したところ、特に、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性に優れ、更に、透明性等にも優れ、かつ、柔軟性、耐衝撃性、耐摩擦性、耐ピンホール性、耐突き刺し性、耐熱性、耐圧性、耐水性、ヒートシール性、品質保持性、印刷適性、開口性、充填包装適性等の諸物性に優れ、しかも、ボイル・レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐え、例えば、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、飲料水、その他等の各種の飲食品を充填包装するに有用であり、かつ、その内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れていることを見出して本発明を完成したものである。
【0010】
すなわち、本発明は、基材フィルムの一方の面に、第1の無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、該第1の無機酸化物の蒸着膜の上に、一般式R1 n M(OR2 m (ただし、式中、R1 、R2 は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、鱗片形状二酸化ケイ素粒子と、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物による第1のガスバリア性塗布膜を設け、また、該第1のガスバリア性塗布膜の上に、第2の無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、該第2の無機酸化物の蒸着膜の上に、一般式R1 n M(OR2 m (ただし、式中、R1 、R2 は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、鱗片形状二酸化ケイ素粒子と、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物による第2のガスバリア性塗布膜を設けたことを特徴とするガスバリア性積層フィルムに関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜とを重層することにより、更に、特に、第1と第2のガスバリア性塗布膜中に鱗片形状二酸化ケイ素粒子を含ませることにより、第1と第2の無機酸化物の蒸着膜と相乗して、極めて高いガスバリア性を安定して維持するとともに、良好な透明性を有し、更に、柔軟性、耐衝撃性、耐熱性、耐水性、その他等の諸物性に優れているガスバリア性積層フィルムを製造可能とするものである。
而して、本発明においては、上記ガスバリア性積層フィルムに、例えば、ヒ−トシ−ル性樹脂層、その他等の他の基材フィルム等を積層して、種々の積層構成からなる包装用材料を製造可能とし、これにより、例えば、耐摩擦性、耐ピンホール性、耐突き刺し性、ヒートシール性、品質保持性、印刷適性、開口性、充填包装適性等の諸物性に優れ、しかも、ボイル・レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐え、例えば、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、飲料水、その他等の各種の飲食品を充填包装するに有用であり、かつ、その内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れている包装製品を製造し得るというものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
上記の本発明に係るガスバリア性積層フィルムについて以下に図面等を用いて更に詳しく説明する。
図1は、本発明に係るガスバリア性積層フィルムについてその積層構成の一例を示す概略的断面図である。
次に、図2、図3および図4は、上記の図1に示す本発明に係るガスバリア性積層フィルムを使用して製造した包装用材料としての積層材についてその積層構成の一二例を示す概略的断面である。
更に、図5および図6は、上記の図2に示す本発明に係るガスバリア性積層フィルムを使用して製造した包装用材料としての積層材を使用し、これを製袋してなる包装用袋、更に、その包装用袋内に内容物を充填包装した包装製品についてその構成の一例を示す概略的構成図である。
【0013】
まず、本発明に係るガスバリア性積層フィルムAは、図1に示すように、基材フィルム1の一方の面に、第1の無機酸化物の蒸着膜2を設け、更に、該第1の無機酸化物の蒸着膜2の上に、一般式R1 n M(OR2 m (ただし、式中、R1 、R2 は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、鱗片形状二酸化ケイ素粒子と、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物による第1のガスバリア性塗布膜3を設け、更にまた、該第1のガスバリア性塗布膜3の上に、第2の無機酸化物の蒸着膜4を設け、更に、該第2の無機酸化物の蒸着膜4の上に、一般式R1 n M(OR2 m (ただし、式中、R1 、R2 は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、鱗片形状二酸化ケイ素粒子と、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物による第2のガスバリア性塗布膜5を設けた積層構成からなることを基本構造とするものである。
上記の例示は、本発明に係るガスバリア性積層フィルムについてその一例を例示するものであり、本発明はこれによって限定されるものではない。
例えば、図示しないが、上記の本発明に係るガスバリア性積層フィルムにおいて、第1および第2の無機酸化物の蒸着膜としては、同種ないし異種からなる2層以上の無機酸化物の蒸着膜を重層して構成することができるものである。
更に、本発明に係るガスバリア性積層フィルムにおいては、図示しないが、例えば、基材フィルムの一方の面に、要すれば、不活性ガスによるプラズマ処理面等を設け、これを介して、第1の無機酸化物の蒸着膜を設けることができるものである。
また、本発明に係るガスバリア性積層フィルムにおいては、図示しないが、例えば、第1および第2の無機酸化物の蒸着膜の面に、要すれば、酸素ガスによるプラズマ処理面を設け、これ介して、ガスバリア性組成物による第1および第2のガスバリア性塗布膜を設けることもできるものである。
更に、本発明に係るガスバリア性積層フィルムにおいては、図示しないが、例えば、更に、ガスバリア性組成物による第1および第2のガスバリア性塗布膜の面に、要すれば、不活性ガスによるプラズマ処理面、および/または、ポリエステル系樹脂またはポリウレタン系樹脂をビヒクルの主成分とする組成物によるプライマ−剤層等を設け、これを介して、第1および第2の無機酸化物の蒸着膜を設け、あるいは、後述するヒ−トシ−ル性樹脂層、あるいは、その他等の他の基材フィルムを任意に積層して、包装用材料としての種々の積層構成からなる積層材を製造し得るものである。
【0014】
次に、本発明において、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを使用した積層材について、上記の図1に示す本発明に係るガスバリア性積層フィルムAを使用する積層材の場合を例示して説明すると、図2に示すように、上記の図1に示す本発明に係るガスバリア性積層フィルムAを構成する第2のガスバリア性塗布膜5の面に、ヒ−トシ−ル性樹脂層11を積層した構成からなる本発明に係るガスバリア性積層フィルムを使用した積層材B、あるいは、図3に示すように、上記の図1に示す本発明に係るガスバリア性積層フィルムAを構成する第2のガスバリア性塗布膜5の面に、中間基材12を介して、ヒ−トシ−ル性樹脂層11を積層した構成からなる本発明に係るガスバリア性積層フィルムを使用した積層材B1 、更に、図4に示すように、上記の図1に示す本発明に係るガスバリア性積層フィルムAを構成する基材フィルム1の他方の面に、更に、プラスチック基材フィルム13を積層し、また、本発明に係るガスバリア性積層フィルムAを構成する第2のガスバリア性塗布膜5の面に、ヒ−トシ−ル性樹脂層11を積層した構成からなる本発明に係るガスバリア性積層フィルムを使用した積層材B2 等を例示することができる。
なお、上記の図2、図3および図4において、符号1、2、3等は、前述の図1に示す符号1、2、3等と同じ意味である。
上記の例示は、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを使用した積層材についてその一二例を例示するものであり、本発明はこれによって限定されるものではない。 なお、上記の積層材において、第1および第2の無機酸化物の蒸着膜、並びに、第1および第2のガスバリア性塗布膜の面は、外面側あるいは内面側のいずれの面に対向して設けられても差し支えないものである。
【0015】
更に、本発明において、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを使用して製造した積層材を使用して製袋した包装用袋についてその一例を挙げれば、かかる包装用袋としては、例えば、上記の図2に示す積層材Bを使用して製袋した包装用袋を例示して説明すると、図5に示すように、上記の積層材B、Bを2枚用意し、その最内層に位置するヒ−トシ−ル性樹脂層11、11の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部の三方をヒ−トシ−ルしてヒ−トシ−ル部15、15、15を形成すると共にその上方に開口部16を形成して、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを使用した積層材を使用して製袋した本発明に係る三方シ−ル型の包装用袋Cを製造することができる。
【0016】
而して、本発明においては、図6に示すように、上記で製造した本発明に係るガスバリア性積層フィルムを使用した積層材を使用して製袋した本発明に係る三方シ−ル型の包装用袋Cを使用し、その開口部16から、例えば、飲食品等の内容物17を充填し、次いで、上方の開口部16をヒ−トシ−ルして上方のシ−ル部18等を形成して、種々の形態からなる包装製品Dを製造することができる。
なお、本発明において、図示しないが、上記で製造した本発明に係るガスバリア性積層フィルムを使用した積層材を使用して製袋した本発明に係る三方シ−ル型の包装用袋を使用し、その開口部から、例えば、例えば、カレ−、シチュ−、ス−プ、ミ−トソ−ス、ハンバ−グ、ミ−トボ−ル、しゅうまい、おでん、その他等の所望の飲食品等の内容物を充填し、次いで、上方の開口部をヒ−トシ−ルして上方のシ−ル部等を形成して包装半製品を製造し、しかる後、該包装半製品を、例えば、温度、110℃〜130℃位、圧力、1〜3Kgf/cm2 ・G位で20〜60分間程度加圧加熱殺菌処理等のレトルト処理等を施して、種々の形態からなるレトルト包装製品を製造することができるものである。
なお、本発明においては、上記のようなレトルト処理に代えて、例えば、90℃位で30分間位煮沸して加熱殺菌処理等を施して、殺菌処理包装製品を製造することもできるものである。
更に、本発明においては、図示しないが、上記の図3および図4に示す本発明に係るガスバリア性積層フィルムを使用した積層材を使用し、上記と同様にして、上記と同様に、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを使用した積層材を使用して製袋した包装用袋、包装製品等を製造し得ることがでるものである。
なお、本発明において、本発明に係る包装用袋、包装製品等としては、上記に図示した例示の包装用袋の形状に限定されるものでないことは言うまでもないことであり、その目的、用途等により、四方シ−ル型、自立性型、ガゼット型、角底型、ピロ−型、その他等の種々の形態からなる包装用袋を製造することができるものである。
【0017】
上記の例示は、本発明に係るガスバリア性フィルム、それを使用した積層材、および、積層材を使用して製袋した包装用袋、包装製品等について、その一二例を例示したものであり、本発明はこれらによって限定されるものではないものである。
例えば、本発明においては、図示しないが、更に、その使用目的、用途等によって、他の素材等を任意に使用し、種々の形態からなるガスバリア性積層フィルム、それを使用した積層材、および、積層材を使用して製袋した包装用袋、包装製品等を設計して製造することができるものである。
また、例えば、図示しないが、本発明においては、第1および第2の無機酸化物の蒸着膜としては、無機酸化物の蒸着膜の1層からなる単層膜のみならず無機酸化物の蒸着膜の2層以上からなる多層膜等から構成することもできるものである。
更に、例えば、図示しないが、本発明においては、第1および第2のガスバリア性塗布膜としては、1層のみならず2層以上の多層に設けることもできるものである。
なお、本発明において、上記のような本発明に係るガスバリア性積層フィルムを使用した積層材を積層する方法としては、図示しないが、例えば、例えば、アンカ−コ−ト剤によるアンカ−コ−ト剤層、ポリオレフィン系樹脂等を溶融押出した溶融押出樹脂層等を介して積層する溶融押出ラミネ−ト法、あるいは、例えば、ラミネ−ト用接着剤によるラミネ−ト用接着剤層等をを介して積層するドライラミネ−ト法、その他等により積層することができる。
【0018】
次に、本発明において、本発明に係るガスバリア性積層フィルム、積層材、包装用袋、包装製品等を構成する材料、製造法等について説明すると、まず、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを構成する基材フィルムについて説明すると、かかる基材フィルムとしては、これが、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを構成する基本素材となること、更に、第1および第2の無機酸化物の蒸着膜、あるいは、第1および第2のガスバリア性塗布膜等を保持する基材であること等から、まず、それらの形成、加工等の条件に耐え、かつ、その特性を損なうことなくそれらを良好に保持し得ることができること、更に、包装用袋の製袋に際し、加工作業性、耐熱性、滑り性、耐ピンホ−ル性、その他等の諸物性に優れ、更に、その他等の条件を充足し得る樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
本発明において、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、具体的には、例えば、ポリエチレン系樹脂あるいはポリプロピレン系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、アクリロニトリルル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−ト等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン樹脂等のポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アセタ−ル系樹脂、セルロ−ス系樹脂、その他等の各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
本発明においては、上記の樹脂のフィルムないしシ−トの中でも、特に、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、または、ポリアミド系樹脂のフィルムないしシ−トを使用することが好ましいものである。
【0019】
本発明において、上記の各種の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、例えば、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレ−ション法、その他等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、あるいは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を使用し、製膜化する前に混合して製膜化する方法等により、各種の樹脂のフィルムないしシ−トを製造し、更に、要すれば、例えば、テンタ−方式、あるいは、チュ−ブラ−方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる各種の樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
本発明において、各種の樹脂のフィルムないしシ−トの膜厚としては、6〜200μm位、より好ましくは、9〜100μm位が望ましい。
【0020】
なお、上記の各種の樹脂の1種ないしそれ以上を使用し、その製膜化に際して、例えば、フィルムの加工性、耐熱性、耐候性、機械的性質、寸法安定性、抗酸化性、滑り性、離形性、難燃性、抗カビ性、電気的特性、強度、その他等を改良、改質する目的で、種々のプラスチック配合剤や添加剤等を添加することができ、その添加量としては、極く微量から数十%まで、その目的に応じて、任意に添加することができる。上記において、一般的な添加剤としては、例えば、滑剤、架橋剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤、補強剤、帯電防止剤、顔料、その他等を使用することができ、更には、改質用樹脂等も使用することがてきる。
【0021】
また、本発明において、各種の樹脂フィルムないしシートの表面には、第1の無機酸化物の蒸着膜等との密接着性等を向上させるために、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けることができるものである。
本発明において、上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロー放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層、その他等を形成して設けることができる。
上記の表面前処理は、各種の樹脂のフィルムないしシートと第1の無機酸化物の蒸着膜との密接着性等を改善するための方法として実施するものであるが、上記の密接着性を改善する方法として、その他、例えば、各種の樹脂のフィルムないしシートの表面に、予め、プライマーコート剤層、アンダーコート剤層、アンカーコート剤層、接着剤層、あるいは、蒸着アンカーコート剤層等を任意に形成して、表面処理層とすることもできる。
上記の前処理のコート剤層としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、(メタ)アクリル系掛胎、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレンあるいはポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂あるいはその共重合体ないし変性樹脂、セルロース系樹脂、その他等をビヒクルの主成分とする樹脂組成物を使用することができる。
【0022】
ところで、本発明に係るガスバリア性積層フィルムにおいて、上記のような基材フィルムの一方の面には、該基材フィルムと、該基材フィルムの一方の面に設ける第1の無機酸化物の蒸着膜との密接着性等を向上させ 終局的には、その両者を強固に密着させて、その層間剥離(デラミ)等の発生を防止するために、不活性ガスによるプラズマ処理面を設けることが好ましいものである。
而して、本発明において、不活性ガスによるプラズマ処理面について説明すると、かかるプラズマ処理面としては、気体をア−ク放電により電離させることにより生じるプラズマガスを利用して表面改質を行うプラズマ表面処理法等を利用してプラズマ処理面を形成することがてきる。
すなわち、本発明においては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、その他等の不活性ガスをプラズマガスとして使用するプラズマ表面処理法でプラズマ処理を行うことにより不活性ガスによるプラズマ処理面を形成することができる。
なお、本発明において、プラズマガスとしては、上記の不活性ガスに、更に、酸素ガスを添加した混合ガスを使用することもできる。
また、本発明において、不活性ガスによるプラズマ処理面を形成する場合、基材フィルムの一方の面に、第1の無機酸化物の蒸着膜を形成する直前に、インラインでプラズマ処理を行うことにより、基材フィルムの表面の水分、塵等を除去すると共にその表面の平滑化、活性化、その他等の表面処理を可能とすることから望ましいものである。
更に、本発明において、上記のプラズマ処理としては、プラズマ出力、プラズマガスの種類、プラズマガスの供給量、処理時間、その他等の条件を考慮してプラズマ放電処理をおこなうことが好ましいものである。
また、本発明において、プラズマを発生させる方法としては、例えば、直流グロ−放電、高周波放電、マイクロ波放電、その他等の装置を利用して行うことができる。
勿論、本発明において、大気圧プラズマ処理法によってもプラズマ処理面を形成することができるものである。
【0023】
次に、本発明において、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを構成する基材フィルムの一方の面に設ける第1および第2の無機酸化物の蒸着膜について説明すると、かかる第1および第2の無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、化学気相成長法、または、物理気相成長法、あるいは、その両者を併用して、無機酸化物の蒸着膜の1層からなる単層膜あるいは2層以上からなる多層膜または複合膜を形成して製造することができるものである。
【0024】
本発明において、上記の化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜について更に詳しく説明すると、かかる化学気相成長法による無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を用いて無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
本発明においては、具体的には、基材フィルムの一方の面に、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスを原料とし、キャリヤ−ガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて酸化珪素等の第1の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することがてき、而して、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るためには、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
なお、基材フィルムの一方の面に第1の無機酸化物の蒸着膜と第1のガスバリア性塗布膜とを設け、その第1のガスバリア性塗布膜の上に、第2の無機酸化物の蒸着膜を形成する場合も、上記と同様な方法により同様にして、第1のガスバリア性塗布膜の上に、酸化珪素等の第2の無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものである。
【0025】
具体的に、上記の低温プラズマ化学気相成長法による第1の無機酸化物の蒸着膜の形成法についてその一例を例示して説明すると、図7は、上記のプラズマ化学気相成長法による第1の無機酸化物の蒸着膜の形成法についてその概要を示す低温プラズマ化学気相成長装置の概略的構成図である。
本発明においては、図7に示すように、プラズマ化学気相成長装置21の真空チャンバ−22内に配置された巻き出しロ−ル23から基材フィルム1を繰り出し、更に、該基材フィルム1を、補助ロ−ル24を介して所定の速度で冷却・電極ドラム25周面上に搬送する。
而して、本発明においては、ガス供給装置26、27および、原料揮発供給装置28等から酸素ガス、不活性ガス、有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガス、その他等を供給し、それらからなる蒸着用混合ガス組成物を調整しなから原料供給ノズル29を通して真空チャンバ−22内に該蒸着用混合ガス組成物を導入し、そして、上記の冷却・電極ドラム25周面上に搬送された、基材フィルム1の一方の面に、グロ−放電プラズマ30によってプラズマを発生させ、これを照射して、酸化珪素等の第1の無機酸化物の蒸着膜を製膜化する。
本発明においては、その際に、冷却・電極ドラム25は、真空チャンバ−22の外に配置されている電源31から所定の電力が印加されており、また、冷却・電極ドラム25の近傍には、マグネット32を配置してプラズマの発生が促進されている。
次いで、上記で基材フィルム1の一方の面に、酸化珪素等の第1の無機酸化物の蒸着膜を形成した後、その基材フィルム1は、第1の無機酸化物の蒸着膜を保持した状態で、補助ロ−ル33を介して巻き取りロ−ル34に巻き取って、本発明にかかるプラズマ化学気相成長法による第1の無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものである。
なお、図中、35は、真空ポンプを表す。
上記の例示は、その一例を例示するものであり、これによって本発明は限定されるものではないことは言うまでもないことである。
図示しないが、本発明においては、第1の無機酸化物の蒸着膜としては、無機酸化物の蒸着膜の1層だけではなく、2層あるいはそれ以上を積層した多層膜の状態でもよく、また、使用する材料も1種または2種以上の混合物で使用し、また、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
なお、基材フィルムの一方の面に第1の無機酸化物の蒸着膜と第1のガスバリア性塗布膜とを設け、その第1のガスバリア性塗布膜の上に、第2の無機酸化物の蒸着膜を形成する場合も、上記と同様な方法により同様にして、第1のガスバリア性塗布膜の上に、酸化珪素等の第2の無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものである。
【0026】
上記において、真空チャンバ−内を真空ポンプにより減圧し、真空度1×10-1〜1×10-8Torr位、好ましくは、真空度1×10-3〜1×10-7Torr位に調製することが望ましいものである。
また、原料揮発供給装置においては、原料である有機珪素化合物を揮発させ、ガス供給装置から供給される酸素ガス、不活性ガス等と混合させ、この混合ガスを原料供給ノズルを介して真空チャンバ−内に導入されるものである。
この場合、混合ガス中の有機珪素化合物の含有量は、1〜40%位、酸素ガスの含有量は、10〜70%位、不活性ガスの含有量は、10〜60%位の範囲とすることができ、例えば、有機珪素化合物と酸素ガスと不活性ガスとの混合比を1:6:5〜1:17:14程度とすることができる。
一方、冷却・電極ドラムには、電源から所定の電圧が印加されているため、真空チャンバ−内の原料供給ノズルの開口部と冷却・電極ドラムとの近傍でグロ−放電プラズマが生成され、このグロ−放電プラズマは、混合ガスなかの1つ以上のガス成分から導出されるものであり、この状態において、基材フィルムを一定速度で搬送させ、グロ−放電プラブマによって、冷却・電極ドラム周面上の基材フィルムの面に、酸化珪素等の第1の無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものである。
なお、このときの真空チャンバ−内の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、真空度1×10-1〜1×10-2Torr位に調製することが望ましく、また、基材フィルムの搬送速度は、10〜300m/分位、好ましくは、50〜150m/分位に調製することが望ましいものである。
【0027】
また、上記のプラズマ化学気相成長装置において、酸化珪素等の第1の無機酸化物の蒸着膜の形成は、基材フィルムの一方の面に、プラズマ化した原料ガスを酸素ガスで酸化しながらSiOX の形で薄膜状に形成されるので、当該形成される酸化珪素等の第1の無機酸化物の蒸着膜は、緻密で、隙間の少ない、可撓性に富む連続層となるものであり、従って、酸化珪素等の第1の無機酸化物の蒸着膜のバリア性は、従来の真空蒸着法等によって形成される酸化珪素等の第1の無機酸化物の蒸着膜と比較してはるかに高いものとなり、薄い膜厚で十分なガスバリア性を得ることができるものである。
また、本発明においては、SiOX プラズマにより基材フィルムの表面が、清浄化され、基材フィルムの表面に、極性基やフリ−ラジカル等が発生するので、形成される酸化珪素等の第1の無機酸化物の蒸着膜と基材フィルムの表面との密接着性が高いものとなるという利点を有するものである。
更に、上記のように酸化珪素等の第1の無機酸化物の連続膜の形成時の真空度は、1×10-1〜1×10-4Torr位、好ましくは、1×10-1〜1×10-2Torr位に調製することから、従来の真空蒸着法により酸化珪素等の第1の無機酸化物の蒸着膜を形成する時の真空度、1×10-4〜1×10-5Torr位に比較して低真空度であることから、基材フィルムを原反交換時の真空状態設定時間を短くすることができ、真空度を安定しやすく、製膜プロセスが安定するものである。
【0028】
本発明において、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスを使用して形成される第1の酸化珪素の蒸着膜は、有機珪素化合物等の蒸着モノマ−ガスと酸素ガス等とが化学反応し、その反応生成物が、基材フィルムの一方の面と密接着し、緻密な、柔軟性等に富む薄膜を形成するものであり、通常、一般式SiOX (ただし、Xは、0〜2の数を表す)で表される酸化珪素を主体とする連続状の薄膜である。
而して、上記の酸化珪素の蒸着膜としては、透明性、バリア性等の点から、一般式SiOX (ただし、Xは、1.3〜1.9の数を表す。)で表される酸化珪素の蒸着膜を主体とする薄膜であることが好ましいものである。
上記において、Xの値は、蒸着モノマ−ガスと酸素ガスのモル比、プラズマのエネルギ−等により変化するが、一般的に、Xの値が小さくなればガス透過度は小さくなるが、膜自身が黄色性を帯び、透明性が悪くなる。
【0029】
また、上記の酸化珪素の蒸着膜は、酸化珪素を主体とし、これに、更に、炭素、水素、珪素または酸素の1種類、または、その2種類以上の元素からなる化合物を少なくとも1種類を化学結合等により含有する蒸着膜からなることを特徴とするものである。
例えば、C−H結合を有する化合物、Si−H結合を有する化合物、または、炭素単位がグラファイト状、ダイヤモンド状、フラ−レン状等になっている場合、更に、原料の有機珪素化合物やそれらの誘導体を化学結合等によって含有する場合があるものである。
具体例を挙げると、CH3 部位を持つハイドロカ−ボン、SiH3 シリル、SiH2 シリレン等のハイドロシリカ、SiH2 OHシラノ−ル等の水酸基誘導体等を挙げることができる。
上記以外でも、蒸着過程の条件等を変化させることにより、酸化珪素の蒸着膜中に含有される化合物の種類、量等を変化させることができる。
而して、上記の化合物が、酸化珪素の蒸着膜中に含有する含有量としては、0.1〜50%位、好ましくは、5〜20%位が望ましいものである。
上記において、含有率が、0.1%未満であると、酸化珪素の蒸着膜の耐衝撃性、延展性、柔軟性等が不十分となり、曲げなどにより、擦り傷、クラック等が発生し易く、高いバリア性を安定して維持することが困難になり、また、50%を越えると、バリア性が低下して好ましくないものである。
更に、本発明においては、酸化珪素の蒸着膜において、上記の化合物の含有量が、酸化珪素の蒸着膜の表面から深さ方向に向かって減少させることが好ましく、これにより、酸化珪素の蒸着膜の表面においては、上記の化合物等により耐衝撃性等を高められ、他方、基材フィルムの面との界面においては、上記の化合物の含有量が少ないために、基材フィルムと酸化珪素の蒸着膜との密接着性が強固なものとなるという利点を有するものである。
【0030】
而して、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜について、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy、XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy、SIMS)等の表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングすること等により分析する方法を利用して、酸化珪素の蒸着膜の元素分析を行うことより、上記のような物性を確認することができる。
また、本発明において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚としては、膜厚50Å〜4000Å位であることが望ましく、具体的には、その膜厚としては、100〜1000Å位が望ましく、而して、上記において、1000Å、更には、4000Åより厚くなると、その膜にクラック等が発生し易くなるので好ましくなく、また、100Å、更には、50Å未満であると、バリア性の効果を奏することが困難になることから好ましくないものである。
上記のおいて、その膜厚は、例えば、株式会社理学製の蛍光X線分析装置(機種名、RIX2000型)を用いて、ファンダメンタルパラメ−タ−法で測定することができる。 また、上記において、上記の酸化珪素の蒸着膜の膜厚を変更する手段としては、蒸着膜の体積速度を大きくすること、すなわち、モノマ−ガスと酸素ガス量を多くする方法や蒸着する速度を遅くする方法等によって行うことができる。
【0031】
次に、上記において、酸化珪素等の無機酸化物の蒸着膜を形成する有機珪素化合物等の蒸着用モノマ−ガスとしては、例えば、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、その他等を使用することができる。
本発明において、上記のような有機珪素化合物の中でも、1.1.3.3−テトラメチルジシロキサン、または、ヘキサメチルジシロキサンを原料として使用することが、その取り扱い性、形成された連続膜の特性等から、特に、好ましい原料である。
また、上記において、不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス、ヘリウムガス等を使用することができる。
なお、基材フィルムの一方の面に第1の無機酸化物の蒸着膜と第1のガスバリア性塗布膜とを設け、その第1のガスバリア性塗布膜の上に、第2の無機酸化物の蒸着膜を形成する場合も、上記と同様な方法により同様にして、第1のガスバリア性塗布膜の上に、酸化珪素等の第2の無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものであり、而して、その酸化珪素等の第2の無機酸化物の蒸着膜の特性等は、上記の酸化珪素等の第1の無機酸化物の蒸着膜の特性等と全く同様なものである。
【0032】
次に、本発明において、上記の物理気相成長法による第1および第2の無機酸化物の蒸着膜について更に詳しく説明すると、かかる物理気相成長法による第1および第2の無機酸化物の蒸着膜としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレ−ティング法、イオンクラスタ−ビ−ム法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)を用いて無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
本発明において、具体的には、金属または金属の酸化物を原料とし、これを加熱して蒸気化し、これを、基材フィルムの一方の面に蒸着する真空蒸着法、あるいは、原料として金属または金属の酸化物を使用し、酸素を導入して酸化させて、基材フィルムの一方の面に蒸着する酸化反応蒸着法、更に酸化反応をプラズマで助成するプラズマ助成式の酸化反応蒸着法等を用いて第1の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
上記において、蒸着材料の加熱方式としては、例えば、抵抗加熱方式、高周波誘導加熱方式、エレクトロンビ−ム加熱方式(EB)等にて行うことができる。
なお、基材フィルムの一方の面に第1の無機酸化物の蒸着膜と第1のガスバリア性塗布膜とを設け、その第1のガスバリア性塗布膜の上に、第2の無機酸化物の蒸着膜を形成する場合も、上記と同様な方法により同様にして、第1のガスバリア性塗布膜の上に、第2の無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものである。
【0033】
本発明において、物理気相成長法による第1の無機酸化物の薄膜膜を形成する方法について、その具体例を挙げると、図8は、巻き取り式真空蒸着装置の一例を示す概略的構成図である。
図8に示すように、巻き取り式真空蒸着装置41の真空チャンバ−42の中で、巻き出しロ−ル43から繰り出す、基材フィルム1は、ガイドロ−ル44、45を介して、冷却したコ−ティングドラム46に案内される。
而して、上記の冷却したコ−ティングドラム46上に案内された、基材フィルム1の一方の面に、るつぼ47で熱せられた蒸着源48、例えば、金属アルミニウム、あるいは、酸化アルミニウム等を蒸発させ、更に、必要ならば、酸素ガス吹出口49より酸素ガス等を噴出し、これを供給しながら、マスク50、50を介して、例えば、酸化アルミニウム等の第1の無機酸化物の蒸着膜を成膜化し、次いで、上記において、例えば、酸化アルミニウム等の第1の無機酸化物の蒸着膜を形成した基材フィルム1を、ガイドロ−ル51、52を介して送り出し、巻き取りロ−ル53に巻き取ることによって、本発明にかかる物理気相成長法による第1の無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
なお、本発明においては、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、まず、第1層の無機酸化物の蒸着膜を形成し、次いで、同様にして、該無機酸化物の蒸着膜の上に、更に、無機酸化物の蒸着膜を形成するか、あるいは、上記のような巻き取り式真空蒸着装置を用いて、これを2連に連接し、連続的に、無機酸化物の蒸着膜を形成することにより、2層以上の多層膜からなる無機酸化物の蒸着膜を形成することができる。
なお、基材フィルムの一方の面に第1の無機酸化物の蒸着膜と第1のガスバリア性塗布膜とを設け、その第1のガスバリア性塗布膜の上に、第2の無機酸化物の蒸着膜を形成する場合も、上記と同様な方法により同様にして、第1のガスバリア性塗布膜の上に、酸化アルミニウム等の第2の無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものである。
【0034】
上記において、第1の無機酸化物の蒸着膜としては、基本的には、金属の酸化物を蒸着した薄膜であれば使用可能であり、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の金属の酸化物の蒸着膜を使用することができる。
而して、好ましいものとしては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)等の金属の酸化物の蒸着膜を挙げることができる。
また、上記の金属の酸化物の蒸着膜は、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、マグネシウム酸化物等のように金属酸化物として呼ぶことができ、その表記は、例えば、SiOX 、AlOX 、MgOX 等のようにMOX (ただし、式中、Mは、金属元素を表し、Xの値は、金属元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。
上記のXの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0〜2、アルミニウム(Al)は、0〜1.5、マグネシウム(Mg)は、0〜1、カルシウム(Ca)は、0〜1、カリウム(K)は、0〜0.5、スズ(Sn)は、0〜2、ナトリウム(Na)は、0〜0.5、ホウ素(B)は、0〜1、5、チタン(Ti)は、0〜2、鉛(Pb)は、0〜1、ジルコニウム(Zr)は0〜2、イットリウム(Y)は、0〜1.5の範囲の値をとることができる。
また、上記において、X=0の場合、完全な金属であり、透明ではなく全く使用することができない、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。
本発明において、一般的に、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)以外は、使用される例に乏しく、ケイ素(Si)は、1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は、0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
本発明において、上記のような第1の無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する金属、または、金属の酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50〜2000Å位、好ましくは、100〜1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。
また、本発明においては、第1の無機酸化物の蒸着膜としては、使用する金属または金属の酸化物としては、1種または2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物の蒸着膜を構成することもできる。
なお、基材フィルムの一方の面に第1の無機酸化物の蒸着膜と第1のガスバリア性塗布膜とを設け、その第1のガスバリア性塗布膜の上に、第2の無機酸化物の蒸着膜を形成する場合も、上記と同様な方法により同様にして、第1のガスバリア性塗布膜の上に、酸化アルミニウム等の第2の無機酸化物の蒸着膜を形成することができるものであり、而して、その酸化アルミニウム等の第2の無機酸化物の蒸着膜の特性等は、上記の酸化アルミニウム等の第1の無機酸化物の蒸着膜の特性等と全く同様なものである。
【0035】
ところで、本発明に係るガスバリア性積層フィルムにおいて、上記のように基材フィルムの一方の面に設けた第1の無機酸化物の蒸着膜の面には、その無機酸化物の蒸着膜の上に設ける第1のガスバリア性塗布膜との密接着性等を向上させ 終局的には、それらの両者を強固に密着させて、その層間剥離(デラミ)等の発生を防止するために、酸素ガスによるプラズマ処理面を形成することが好ましいものである。
而して、本発明において、酸素ガスによるプラズマ処理面としては、前述の不活性ガスによるプラズマ処理面と同様に形成することができる。
すなわち、本発明において、酸素ガスによるプラズマ処理面としては、気体をア−ク放電により電離させることにより生じるプラズマガスを利用して表面改質を行うプラズマ表面処理法等を利用して、酸素ガスによるプラズマ処理面を形成することがてきる。
而して、本発明において、プラズマガスとしては、酸素ガス、または、酸素ガスと窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、その他等の不活性ガスとの混合ガス等を使用するプラズマ表面処理法でプラズマ処理を行うことにより、酸素ガスによるプラズマ処理面を形成することができる。
なお、本発明において、酸素ガスによるプラズマ処理面を形成する場合、第1の無機酸化物の蒸着膜を形成した後、その直後に、該第1の無機酸化物の蒸着膜に、インラインで酸素ガスによるプラズマ放電処理を行うことにより、酸素ガスによるプラズマ処理面を形成することができるものである。
更に、本発明において、上記のプラズマ処理としては、プラズマ出力、プラズマガスの種類、プラズマガスの供給量、処理時間、その他等の条件を考慮してプラズマ放電処理をおこなうことが好ましいものである。
また、本発明において、プラズマを発生させる方法としては、例えば、直流グロ−放電、高周波放電、マイクロ波放電、その他等の装置を利用して行うことができる。
勿論、本発明において、大気圧プラズマ処理法によってもプラズマ処理面を形成することができるものである。
【0036】
次に、本発明において、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを構成する第1および第2のガスバリア性塗布膜について説明すると、かかる第1および第2のガスバリア性塗布膜としては、例えば、一般式R1 n M(OR2 m (ただし、式中、R1 、R2 は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、鱗片形状二酸化ケイ素粒子と、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、更に、ゾルーゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物を調製する工程、基材フィルムの一方の面に設けた第1および第2の無機酸化物の蒸着膜の上に、上記のゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物を塗工して塗工膜を設ける工程、上記の第1および第2の無機酸化物の蒸着膜の上に塗工膜を設けた基材フィルムを、50℃〜250℃で、かつ、上記の基材フィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理して、上記の基材フィルムの一方の面に設けた第1および第2の無機酸化物の蒸着膜の上に、上記のガスバリア性組成物による第1および第2のガスバリア性塗布膜を形成する工程等を包含する製造工程により製造することができる。
【0037】
なお、本発明において、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを構成する第1および第2のガスバリア性塗布膜としては、一般式R1 n M(OR2 m (ただし、式中、R1 、R2 は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、鱗片形状二酸化ケイ素粒子と、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、更に、ゾルーゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物を調製する工程、基材フィルムの一方の面に設けた第1および第2の無機酸化物の蒸着膜の上に、上記のゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物を塗工して塗工膜を2層以上重層する工程、上記の第1および第2の無機酸化物の蒸着膜の上に2層以上重層した塗工膜を設けた基材フィルムを、50℃〜250℃で、かつ、上記の基材フィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理して、上記の基材フィルムの一方の面に設けた第1および第2の無機酸化物の蒸着膜の上に、上記のガスバリア性組成物による第1および第2のガスバリア性塗布膜を2層以上重層した複合ポリマ−層を形成する工程等を包含する製造工程により製造することができる。
【0038】
上記において、本発明にかかるガスバリア性積層フィルムを構成する第1および第2のガスバリア性塗布膜を形成する一般式R1 n M(OR2 m で表されるアルコキシドとしては、アルコキシドの部分加水分解物、アルコキシドの加水分解縮合物の少なくとも1 種以上を使用することができ、また、上記のアルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されている必要はなく、1個以上が加水分解されているもの、および、その混合物であってもよく更に、加水分解の縮合物としては、部分加水分解アルコキシドの2量体以上のもの、具体的には、2〜6量体のものを使用される。
【0039】
上記の一般式R1 n M(OR2 m で表されるアルコキシドにおいて、Mで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、その他等を使用することができる。
而して、本発明において、好ましい金属としては、例えば、ケイ素を挙げることができる。
また、本発明において、アルコキシドの用い方としては、単独又は2種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うこともできる。
【0040】
また、上記の一般式R1 n M(OR2 m で表されるアルコキシドにおいて、R1 で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、その他等のアルキル基を挙げることができる。
また、上記の一般式R1 n M(OR2 m で表されるアルコキシドにおいて、R2 で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、その他等を挙げることができる。
なお、本発明において、同一分子中にこれらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
【0041】
而して、本発明において、上記の一般式R1 n M(OR2 m で表されるアルコキシドとしては、例えば、MがSiであるアルコキシシランを使用することが好ましいものである。
上記のアルコキシシランとしては、一般式Si(ORa )4 (ただし、式中、Raは、低級アルキル基を表す。)で表されるものである。
上記において、Raとしては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、その他等が用いられる。
上記のアルコキシシランの具体例としては、例えば、テトラメトキシシラン Si(OCH3 4 、テトラエトキシシラン Si(OC2 5 4 、テトラプロポキシシラン Si(0C 37 4 、テトラブトキシシラン Si(OC4 9 4 、その他等を使用することができる。
【0042】
また、本発明において、上記の一般式R1 n M(OR2 m で表されるアルコキシドとしては、例えば、一般式Rbn Si(ORc)4-m (ただし、式中、nは、0以上の整数を表し、mは、1、2、3の整数を表し、Rb、Rcは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、その他を表わす。)で表されるアルキルアルコキシシランを使用することができる。
上記のアルキルアルコキシシランの具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン CH3 Si(OCH3 3 、メチルトリエトキシシラン CH3 Si(OC2 5 3 、ジメチルジメトキシシラン (CH3 2 Si(OCH3 2 、ジメチルジエトキシシラン (CH3 2 Si(OC2 5 2 、その他等を使用することができる。
上記のアルコキシシラン、アルキルアルコキシシラン等は、単独又は2種以上を混合しても用いることができる。
また、本発明において、上記のアルコキシシランの縮重合物も使用することができ、具体的には、例えば、ポリテトラメトキシシラン、ポリテトラエメトキシシラン、その他等を使用することができる。
【0043】
次に、本発明において、上記の一般式R1 n M(OR2 m で表されるアルコキシドとしては、例えば、MがZrであるジルコニウムアルコキシドを使用することができる。
上記のジルコニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシジルコニウム Zr(OCH3 4 、テトラエトキシジルコニウム Zr(OC2 5 4 、テトラiプロポキシジルコニウム Zr(is0−0C 37 4 、テトラnブトキシジルコニウム Zr(OC4 9 4 、その他等を使用することができる。
【0044】
また、本発明において、上記の一般式R1 n M(OR2 m で表されるアルコキシドとしては、例えば、MがTiであるチタニウムアルコキシドを使用することができる。
上記のチタニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシチタニウム Ti(OCH3 4 、テトラエトキシチタニウム Ti(OC2 5 4 、テトライソプロポキシチタニウム Ti(is0−0C 37 4 、テトラnブトキシチタニウム Ti(OC4 9 4 、その他等を使用することができる。
【0045】
更に、本発明において、上記の一般式R1 n M(OR2 m で表されるアルコキシドとしては、例えば、MがAlであるアルミニウムアルコキシドを使用することができる。
上記のアルミニウムアルコキシドの具体例としては、例えば、テトラメトキシアルミニウム Al(OCH3 4 、テトラエトキシアルミニウム Al(OC2 5 4 、テトライソプロポキシアルミニウム Al(is0−0C 37 4 、テトラnブトキシアルミニウム Al(OC4 9 4 、その他等を使用することができる。
【0046】
なお、本発明においては、上記のようなアルコキシドは、その2種以上を混合して用いてもよいものである。
而して、本発明において、特に、アルコキシシランとジルコニウムアルコキシドを混合して用いることによって、得られるガスバリア性積層フィルムの靭性、耐熱性等を向上させることができ、また、延伸時のフィルムの耐レトルト性などの低下が回避されるものである。
上記のジルコニウムアルコキシドの使用量は、上記のアルコキシシラン100重量部に対して10重量部以下の範囲であり、好ましくは、約5重量部位が好ましいものである。 上記において、10重量部を越えると、形成される第1および第2のガスバリア性塗布膜が、ゲル化し易くなり、また、その膜の脆性が大きくなり、更に、第1および第2のガスバリア性塗布膜が剥離し易くなる傾向にあることから好ましくないものである。
【0047】
また、本発明において、特に、アルコキシシランとチタニウムアルコキシドを混合して用いることによって、得られる第1および第2のガスバリア性塗布膜の熱伝導率が低くなり、ガスバリア性積層フィルムの耐熱性が著しく向上するという利点がある。
上記において、チタニウムアルコキシドの使用量は、上記のアルコキシシラン100重量部に対して5重量部以下の範囲であり、好ましくは、約3重量部位が好ましいものである。
上記において、5重量部を越えると、形成される第1および第2のガスバリア性塗布膜の脆性が大きくなり、また、第1および第2のガスバリア性塗布膜が剥離し易くなる傾向にあることから好ましくないものである。
【0048】
次に、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを構成する第1および第2のガスバリア性塗布膜を形成する鱗片形状二酸化ケイ素粒子としては、純度の高い鱗片状シリカ微粒子(SiO2 :98%以上)で、化学的に安定したものであり、通常の球状のシリカ微粒子と異なり、鱗片形状のものであって、具体的には、厚みが0.01から1μm、面径が0.1から5μmの無孔質の鱗片形状粒子で、高い透明性を有するものを使用することができる。
而して、上記の鱗片形状二酸化ケイ素粒子は、比表面積(50〜300m2 /g)が大きく、更に、その表面や層間に活性で飯能性の高いSi−OH基を高密度に有するものであり、例えば、有機コ−ティング剤中に添加して配合することにより、被膜中に配向して積層し、ガスバリア性、強度、表面親水性、耐熱難燃性等の効果を付与するという作用効果を奏するものである。
上記の鱗片形状二酸化ケイ素粒子としては、具体的には、旭硝子エスアイテック株式会社製のファインシリカ製品中の『サンラブリ−シリ−ズ』製品(粉体製品、製品名、サンラブリ−、スラリ−製品、製品名、サンラブリ−LFS等)を使用することができる。
本発明において、上記の鱗片形状二酸化ケイ素粒子の配合割合としては、アルコキシドに対し上記の鱗片形状二酸化ケイ素粒子を0.1〜20重量%位の配合割合が好ましいものである。
上記において、0.1重量%未満であると、バリア性に効果がないという理由から好ましくなく、また、20重量%を越えると、バリア性が劣化するという理由から好ましくないものである。
【0049】
次に、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを構成する第1および第2のガスバリア性塗布膜を形成するポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体としては、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、または、エチレン・ビニルアルコ一ル共重合体を単独で各々使用することができ、あるいは、ポリビニルアルコ一ル系樹脂およびエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを組み合わせて使用することができ、而して、本発明において、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体を使用することにより、ガスバリア性塗布膜のガスバリア性、耐水性、耐候性、その他等の物性を著しく向上させることができるものである。
特に、本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用することにより、上記のガスバリア性、耐水性、および耐候性等の物性に加えて、耐熱水性および熱水処理後のガスバリア性等に著しく優れた第1および第2のガスバリア性塗布膜を形成することができるものである。
【0050】
本発明において、ポリビニルアルコ一ル系樹脂およびエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを組み合わせて使用する場合、それぞれの配合割合としては、重量比で、ポリビニルアルコ一ル系樹脂:エチレン・ビニルアルコ−ル共重合体=10:0. 05〜10:6 位であることが好ましく、更には、約10:1 位の配合割合で使用することが更に好ましいものである。
【0051】
また、本発明において、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体との含有量は、上記のアルコキシドの合計量100重量部に対して5〜500重量部の範囲であり、好ましくは、約20〜200重量部位の配合割合でガスバリア性組成物を調製することが好ましいものである。
上記において、500重量部を越えると、第1および第2のガスバリア性塗布膜の脆性が大きくなり、得られるガスバリア性積層フィルムの耐水性および耐候性等も低下する傾向にあることから好ましくなく、更に、5重量部を下回るとガスバリア性が低下することから好ましくないものである。
【0052】
本発明において、ポリビニルアルコ一ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体としては、まず、ポリビニルアルコ一ル系樹脂としては、一般に、ポリ酢酸ビニルをケン化して得られるものを使用することができる。
上記のポリビニルアルコール系樹脂としては、酢酸基が数十%残存している部分ケン化ポリビニルアルコール系樹脂でも、もしくは、酢酸基が残存しない完全ケン化ポリビニルアルコールでも、あるいは、OH基が変性された変性ポリビニルアルコール系樹脂でもよく、特に限定されるものではない。
上記ポリビニルアルコール系樹脂の具体例としては、株式会社クラレ製のRSポリマーであるRS−110(ケン化度=99%、重合度=1,000)、同社製のクラレポバールLM−20SO(ケン化度=40%、重合度=2,000)、日本合成化学工業株式会社製のゴーセノールNM−14(ケン化度=99%、重合度=1,400)等を使用することができる。
【0053】
また、本発明において、エチレン・ビニルアルコール共重合体としては、エチレンと酢酸ビニルとの共重合体のケン化物、すなわち、エチレン−酢酸ビニルランダム共重合体をケン化して得られるものを使用することができる。
具体的には、酢酸基が数十モル%残存している部分ケン化物から、酢酸基が数モル%しか残存していないかまたは酢酸基が残存しない完全ケン化物まで含み、特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から好ましいケン化度は、80モル%以上、より好ましくは、90モル%以上、さらに好ましくは、95モル%以上であるものを使用することが望ましいものである
また、上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体中のエチレンに由来する繰り返し単位の含量(以下「エチレン含量」ともいう)は、通常、0〜50モル%、好ましくは、20〜45モル%であるものを使用することが好ましいものである。
上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体の具体例としては、株式会社クラレ製、エバールEP−F101(エチレン含量;32モル%)、日本合成化学工業株式会社製、ソアノールD2908(エチレン含量;29モル%)等を使用することができる。
【0054】
次に、本発明において、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを構成する第1および第2のガスバリア性塗布膜を形成するガスバリア性組成物について説明すると、かかるガスバリア性組成物としては、前述のような一般式R1 n M(OR2 m (ただし、式中、R1 、R2 は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、上記のような鱗片形状二酸化ケイ素粒子と、上記のようなポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、更に、ゾルーゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物を調製するものである。
【0055】
上記のガスバリア性組成物を調製するに際し、例えば、シランカップリング剤等も添加することができるものである。
而して、上記のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。
本発明においては、特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適であり、それには、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、あるいは、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を使用することができる。
上記のようなシランカップリング剤は、1種ないし2種以上を混合して用いてもよい。 本発明において、上記のようなシランカップリング剤の使用量は、上記のアルコキシシラン100重量部に対して1〜20重量部位の範囲内で使用することができる。
上記において、20重量部以上を使用すると、形成される第1および第2のガスバリア性塗布膜の剛性と脆性とが大きくなり、また、第1および第2のガスバリア性塗布膜の絶縁性および加工性が低下する傾向にあることから好ましくないものである。
【0056】
次に、上記のガスバリア性組成物において用いられる、ゾルーゲル法触媒、主として、重縮合触媒としては、水に実質的に不溶であり、かつ有機溶媒に可溶な第三アミンが用いられる。
具体的には、例えば、N、N−ジメチルベンジルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、その他等を使用することができる。
本発明においては、特に、N、N−ジメチルべンジルアミンが好適である。
その使用量は、アルコキシド、および、シランカップリング剤の合計量100重量部当り、0.01〜1.0重量部、好ましくは、約0.03重量部位使用することが好ましいものである。
また、上記のガスバリア性組成物において用いられる、酸としては、上記ゾルーゲル法の触媒、主として、アルコキシドやシランカップリング剤などの加水分解のための触媒として用いられる。
上記の酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸などの鉱酸、ならびに、酢酸、酒石酸な等の有機酸、その他等を使用することができる。
上記の酸の使用量は、アルコキシドおよびシランカップリング剤のアルコキシド分(例えばシリケート部分)の総モル量に対し0.001〜0.05モル位、好ましくは、約0.01モル位を使用することが好ましいものである。
【0057】
更に、上記のガスバリア性組成物においては、上記のアルコキシドの合計モル量1モルに対して0.1〜100モル、好ましくは、0.8から2モルの割合の水をもちいることができる。
上記の水の量が、2モルを越えると、上記のアルコキシシランと金属アルコキシドとから得られるポリマーが球状粒子となり、更に、この球状粒子同士が3次元的に架橋し、密度の低い、多孔性のポリマーとなり、而して、そのような多孔性のポリマーは、ガスバリア性積層フィルムのガスバリア性を改善することができなくなることから好ましくないものである。
また、上記の水の量が0.8モルを下回ると、加水分解反応が進行しにくくなる傾向にあることから好ましくないものである。
【0058】
更にまた、上記のガスバリア性組成物において用いられる、有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、その他等を用いることができる。
更に、上記のガスバリア性組成物において、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコール共重合体は、上記のアルコキシドやシランカップリング剤などを含む塗工液中で溶解した状態であることが好ましく、そのため上記の有機溶媒の種類が適宜選択されるものである。
ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用する場合には、n−ブタノールを使用することが好ましい。
本発明において、溶媒中に可溶化されたエチレン・ビニルアルコール共重合体は、例えば、ソアノール(商品名)として市販されているものを使用することができる。
上記の有機溶媒の使用量は、通常、上記のアルコキシド、シランカップリング剤、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/ 又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、酸およびゾルーゲル法触媒の合計量100重量部当り30〜500重量部位である。
【0059】
次に、本発明においては、本発明に係る第1および第2のガスバリア塗布膜は、具体的には、例えば、以下のようにして製造される。
まず、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、鱗片形状二酸化ケイ素粒子、シランカップリング剤、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/ 又はエチレン・ビニルアルコール共重合体、ゾルーゲル法触媒、酸、水、有機溶媒、および、必要に応じて、金属アルコキシド等を混合してガスバリア性組成物(塗工液)を調製する。
次に、上記のガスバリア性組成物(塗工液)中では次第に重縮合反応が進行する。
次いで、基材フィルムの一方の面に形成した第1および第2の無機酸化物の蒸着膜の上に、常法により、上記のガスバリア性組成物(塗工液)を通常の方法で塗布し、乾燥する。
而して、上記の乾燥により、上記のアルコキシシラン等のアルコキシド、金属アルコキシド、シランカップリング剤およびポリビニルアルコール系樹脂及び/ 又はエチレン・ビニルアルコール共重合体等の重縮合が進行し、塗工膜が形成される。
更に、好ましくは、上記の塗布操作を繰り返して、2層以上からなる複数の塗工膜を積層する。
最後に、上記の塗工液を塗布した基材フィルムを50℃〜250℃位で、かつ、基材フィルムの融点以下の温度、好ましくは、約50℃〜160℃位の範囲の温度で、10秒〜10分間加熱処理して、基材フィルムの一方の面に形成した第1および第2の無機酸化物の蒸着膜の上に、上記のガスバリア性組成物(塗工液)による第1および第2のガスバリア性塗布膜を1層ないし2層以上形成して、本発明に係る第1および第2のガスバリア性塗布膜を製造することができる。
このようにして得られた本発明に係る第1および第2のガスバリア性塗布膜は、ガスバリア性に優れているものである。
【0060】
なお、本発明において、ポリビニルアルコール系樹脂の代わりに、エチレン・ビニルアルコール共重合体、あるいは、ポリビニルアルコール系樹脂とエチレン・ビニルアルコール共重合体との両者を用いて、上記と同様に、塗工、乾燥および加熱処理を行うことにより製造される本発明に係る第1および第2のガスバリア性塗布膜は、ボイル処理、レトルト処理等の熱水処理後のガスバリア性が更に向上するという利点を有するものである。
【0061】
更に、本発明においては、上記のようにエチレン・ビニルアルコール共重合体、あるいは、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて使用しない場合、すなわち、ポリビニルアルコール系樹脂のみを使用して、本発明に係る第1および第2のガスバリア性塗布膜を製造する場合には、熱水処理後のガスバリアー性を向上させるために、例えば、予め、ポリビニルアルコール系樹脂を使用したガスバリア性組成物を塗工して第1の塗工層を形成し、次いで、その塗工層の上に、エチレン・ビニルアルコール共重合体を含有するガスバリア性組成物を塗工して第2の塗工層を形成し、それらの複合層を形成することにより、本発明に係る第1および第2のガスバリア性塗布膜のガスバリア性を向上させることを可能とするものである。
【0062】
更にまた、上記のエチレン・ビニルアルコール共重合体を含有するガスバリア性組成物により形成される塗工層、または、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とを組み合わせて含有するガスバリア性組成物により形成される塗工層を、複数層重層して形成することによっても、本発明に係る第1および第2のガスバリア性塗布膜のガスバリア性の向上に有効な手段となるものである。
【0063】
次に、本発明に係る第1および第2のガスバリア性塗布膜の製造法について、アルコキシドとして、アルコキシシランをする場合を事例としてその作用を説明すると、まず、アルコキシシランおよび金属アルコキシドは、添加された水によって、加水分解される。
その際、酸が加水分解の触媒となる。
次いで、ゾルーゲル法触媒の働きによって、生じた水酸基からプロトンが奪取され、加水分解生成物同士が脱水重縮合する。
このとき、酸触媒により同時にシランカップリング剤も加水分解されて、アルコキシ基が水酸基となる。
また、塩基触媒の働きにより、エポキシ基の開環も起こり、水酸基が生じる。
加水分解されたシランカップリング剤と加水分解されたアルコキシドとの重縮合反応も進行する。
さらに、反応系にはポリビニルアルコール系樹脂、または、エチレン・ビニルアルコール共重合体、または、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体とが存在するため、ポリビニルアルコール系樹脂およびエチレン・ビニルアルコール共重合体が有する水酸基との反応も生じる。
生成する重縮合物は、例えば、Si−O−Si、Si−O−Zr、Si−O−Ti、その他等の結合からなる無機質部分と、シランカップリング剤に起因する有機部分とを含有する複合ポリマーを構成する
上記の反応においては、例えば、下記の式(III)に示される部分構造式を有し、更に、シランカップリング剤に起因する部分を有する直鎖状のポリマーがまず生成する。
このポリマーは、OR基(エトキシ基などのアルコキシ基)が、直鎖状のポリマーから分岐した形で有する。
このOR基は、存在する酸が触媒となって加水分解されてOH基となり、ゾルーゲル法触媒(塩基触媒)の働きにより、まず、OH基が、脱プロトン化し、次いで、重縮合が進行する。
すなわち、このOH基が、下記の式(I)に示されるポリビニルアルコール系樹脂、または、下記の式(II))に示されるエチレン・ビニルアルコール共重合体と重縮合反応し、Si−O−Si結合を有する、例えば、下記の式(IV)に示される複合ポリマー、あるいは、下記の式(V)及び(VI)に示される共重合した複合ポリマーが生じると考えられるものである。
【0064】
【化1】

【0065】
【化2】

【0066】
【化3】

【0067】
【化4】

【0068】
【化5】

【0069】
【化6】

【0070】
上記の反応は常温で進行し、ガスバリア性組成物(塗工液)は、調製中に粘度が増加する。
このガスバリア性組成物(塗工液)を、基材フィルムの一方の面に設けた第1および第2の無機酸化物の蒸着膜の上に塗布し、加熱して溶媒および重縮合反応により生成したアルコールを除去すると、重縮合反応が完結し、基材フィルムの一方の面に設けた第1および第2の無機酸化物の蒸着膜の上に透明な塗工層が形成される。
上記の塗工層を複数層積層する場合には、層間の塗工層中の複合ポリマー同士も縮合し、層と層との間が強固に結合する。
更に、シランカップリング剤の有機反応性基や、加水分解によって生じた水酸基が基材フィルムの一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の表面の水酸基等と結合するため、基材フィルムの一方の面に設けた無機酸化物の蒸着膜の表面と、塗工層との密着性、接着性等も良好なものとなるものである。
【0071】
本発明の方法においては、添加される水の量が、アルコキシド類1モルに対して0.8〜2モル、好ましくは、1 .5 モルに調節されているため、上記の直鎖状のポリマーが形成される。
このような直鎖状ポリマーは、結晶性を有し、非晶質部分の中に多数の微小の結晶が埋包された構造をとる。
このような結晶構造は、結晶性有機ポリマー(例えば、塩化ビニリデンやポリビニルアルコール)と同様であり、さらに極性基(OH基)が部分的に分子内に存在し、分子の凝集エネルギーが高く分子鎖剛性も高いため良好なガスバリアー性を示す。
【0072】
上記の反応について更に詳述すると、下記の式(VII)に示されるように、ポリマーとアルコキシドとの反応と共に、無機酸化物蒸着膜とアルコキシドを介したポリマーとの反応も進行する。
特に、水蒸気バリアー性においては、蒸着膜界面での反応の寄与が大きく、乾燥後の高温加熱により界面反応を促進することで水蒸気バリアー性が向上する。
更に、蒸着膜面の水酸基と加水分解されたアルコキシドの水酸基が反応し、かつ他方のアルコキシドの水酸基とポリマーの水酸基が結合することで、アルコキシドを介して蒸着膜とポリマーとが緊密な状況となり、且つ無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜との密着性が向上し、その2層およびその多層化による相乗効果により、より良好なガスバリア性の効果を発揮し得るものである。
ポリマーは親水性であり水蒸気が到達すると、分子間に水分子が介在しやすく、水蒸気バリアー性が劣化するが、上記のように界面での化学結合により分子間が強固になり、水蒸気バリア性が向上するものである。
【0073】
而して、本発明では、鱗片形状二酸化ケイ素微粒子を塗膜内に積層させることで、更に、本効果を促進させ優れた水蒸気バリア性を得ることができた。
すなわち、下記の式(VIII)に示すごとく、鱗片形状二酸化ケイ素微粒子の表面に存在する水酸基とアルコキシドの水酸基が反応し、さらにポリマーの水酸基と反応することで、鱗片形状二酸化ケイ素微粒子界面とポリマーとが緊密な状態となり、水蒸気バリア性の向上に効果的である。
このような界面反応が増加することでバリアー性は向上することとなる。
したがって、下記の式(IX)に示すごとく、本発明では、塗膜内に鱗片形状二酸化ケイ素微粒子を積層させることで、塗膜全体においてポリマーと鱗片形状二酸化ケイ素微粒子との界面での架橋密度が向上し、その結果水蒸気バリアーの向上が達成できたものであると推定されるものである。
【0074】
【化7】

【0075】
【化8】

【0076】
【化9】

【0077】
本発明においては、第1および第2の無機酸化物の蒸着膜と第1および第2のガスバリア性塗布膜とが、例えば、加水分解・共縮合反応による化学結合、水素結合、あるいは、配位結合などを形成し、無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜との密着性が向上し、その多層の積層化の相乗効果により、より良好なガスバリア性の効果を発揮し得るものである。
上記の本発明のガスバリア性組成物を塗布する方法としては、例えば、グラビアロ−ルコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコ−ト、デイツピング、刷毛、バーコード、アプリケータ等の塗布手段により、1回あるいは複数回の塗布で、乾燥膜厚が、0.01〜30μm、好ましくは、0.1〜10μm位の塗工膜を形成することができ、更に、通常の環境下、50〜250℃、好ましくは、70〜200℃の温度で、0.005〜60分間、好ましくは、0.01〜10分間、加熱・乾操することにより、縮合が行われ、本発明のガスバリア性塗布膜を形成することができる。
また、必要ならば、本発明のガスバリア性組成物を塗布する際に、予め、第1および第2の無機酸化物の蒸着膜の上に、プライマー剤等を塗布することもできるものであり、また、コロナ放電処理あるいはプラズマ処理、その他等の前処理を任意に施すことができるものである。
【0078】
而して、本発明に係るガスバリア性積層フィルムは、優れた特性を有し、包装材料として有用であり、特に、ガスバリア性(O2 、N2 、H2 O、CO2 、その他等の透過を遮断、阻止する)に優れるため、食品包装用フィルムを構成するガスバリア性基材として、好適に使用されるものである。
特に、N2 あるいは、CO2 ガス等を充填した、いわゆる、ガス充填包装に用いた場合には、その優れたガスバリア性が、充填ガスの保持に極めて有効となる。
更に、本発明に係るガスバリア性塗布膜は、熱水処理、特に、高圧熱水処理(レトルト処理)に優れ、極めて優れたガスバリア性特性を示すものである。
【0079】
以上において説明したように、本発明に係るガスバリア性積層フィルムは、基材フィルムの一方の面に、化学気相成長法または物理気相成長法による第1および第2の無機酸化物の蒸着膜と第1および第2のガスバリア性塗布膜とを順次に積層したことを特徴とするガスバリア性積層フィルムに係るものである。
而して、本発明に係るガスバリア性積層フィルムは、基材フィルムと無機酸化物の蒸着膜とガスバリア性塗布膜との相互間の良好な密接着性を有し、更に、高いガスバリア性を安定して維持すると共に良好な透明性、及び、耐熱水性、耐衝撃性等を備え、包装用袋等を構成するガスバリア性素材として極めて有用なものであり、これに、例えば、ヒ−トシ−ル性樹脂層、中間基材、プラスチック基材フィルム、その他等の基材を任意に積層して、種々の層構成からなる包装用材料としての積層材を製造し、次いで、これを使用し、製袋して、種々の形態からなる包装用袋、包装製品を製造し得るものである。
【0080】
次に、本発明において、本発明に係る積層材を構成するヒ−トシ−ル性樹脂層について説明すると、かかるヒ−トシ−ル性樹脂層としては、熱によって溶融し相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂、その他等の樹脂の1種ないしそれ以上からなる樹脂のフィルムないしシ−トあるいはその塗布膜等を使用することができる。
上記の樹脂のフィルムないしシ−トは、単層ないし多層で使用することができ、また、上記の樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、5μm〜300μm位、好ましくは、10μm〜110μm位が望ましい。
更に、本発明において、上記の樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、本発明に係る積層材を使用し、包装用袋の製袋時において、ガスバリア性積層フィルムを構成する無機酸化物の蒸着膜に、擦り傷、あるいは、クラック等を発生するすることを防止するために、比較的に、その膜厚を厚くすることが好ましく、具体的には、40μm〜110μm位、望ましくは、50μm〜100μm位であることが好ましいものである。
而して、本発明においては、上記のような樹脂のフィルムないしシ−トの中でも、特に、厚さ50μm〜100μm位の無延伸ポリプロピレンフィルムないしシ−トを使用することが好ましいものである。
【0081】
次にまた、本発明において、本発明に係る積層材を構成する中間基材としては、これが前述の基材フィルムと同様に、本発明に係る包装用袋を構成する基本ないし補助素材となることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた性質を有し、その強度に優れ、更に、耐熱性、防湿性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、透明性、その他等に優れた樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
具体的には、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靱な樹脂のフィルムないしシ−トを使用することができる。
而して、上記の樹脂のフィルムないしシ−トとしては、未延伸フィルム、あるいは、一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
また、本発明において、その樹脂のフィルムないしシ−トの厚さとしては、強度、耐突き刺し性、剛性、その他等について必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するとい欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性、剛性、その他等が低下して好ましくないものである。
本発明においては、上記のような理由から、約10μmないし100μm位、好ましくは、約12μmないし50μm位が最も望ましい。
而して、本発明においては、上記のような樹脂のフィルムないしシ−トの中でも、特に、厚さ15μm〜30μm位の2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを使用することが好ましいものである。
【0082】
次に、本発明において、本発明に係る積層材を構成するプラスチック基材フィルムについて説明すると、かかるプラスチック基材フィルムとしては、これが、本発明に係る包装用袋を構成する基本素材ないし補助素材となることから、機械的、物理的、化学的、その他等において優れた強度を有し、更に、耐突き刺し性等に優れ、その他、耐熱性、防湿性、耐ピンホール性、透明性、その他等に優れた樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、各種のナイロン樹脂等のポリアミド系樹脂、ポリアラミド系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、フッ素系樹脂、その他等の強靭な樹脂のフィルムないしシートを使用することができる。
上記において、上記の樹脂のフィルムないしシートとしては、未延伸フィルム、あるいは一軸方向または二軸方向に延伸した延伸フィルム等のいずれのものでも使用することができる。
また、本発明において、その樹脂のフィルムないしシートの厚さとしては、強度、耐突き刺し性、その他等について、必要最低限に保持され得る厚さであればよく、厚すぎると、コストを上昇するとい欠点もあり、逆に、薄すぎると、強度、耐突き刺し性、その他等が低下して好ましくないものである。
本発明においては、上記のような理由から、約9μmないし100μm位、好ましくは、約12μmないし50μm位が最も望ましい。
なお、本発明において、上記のプラスチック基材の表面および/または裏面には、所望の印刷模様層等を設けることができるものである。
【0083】
ところで、通常、包装用袋は、物理的にも化学的にも過酷な条件におかれることから、包装用袋を構成する積層材には、厳しい包装適性が要求され、変形防止強度、落下衝撃強度、耐ピンホ−ル性、耐熱性、密封性、品質保全性、作業性、衛生性、その他等の種々の条件が要求され、このために、本発明においては、上記のような材料の他に、上記のような諸条件を充足するその他の材料を任意に使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジェン−スチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカ−ボネ−ト系樹脂、ポリビニルアルコ−ル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタ−ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロ−ス、その他等の公知の樹脂のフィルムないしシ−トを任意に選択して使用することができる。
その他、例えば、合成紙等も使用することができる。
本発明において、上記のフィルムないしシ−トは、未延伸、一軸ないし二軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。
また、その厚さは、任意であるが、数μmから300μm位の範囲から選択して使用することができる。
更に、本発明においては、フィルムないしシ−トとしては、押し出し成膜、インフレ−ション成膜、コ−ティング膜等のいずれの性状の膜でもよい。
【0084】
特に、本発明において、その他の基材としては、例えば、水蒸気、水等の透過を阻止するバリア性を有する低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等の樹脂のフィルムないしシ−ト、樹脂に顔料等の着色剤を、その他、所望の添加剤を加えて混練してフィルム化してなる遮光性を有する各種の着色樹脂のフィルムないしシ−ト等を使用することができる。
これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。
また、上記のフィルムないしシ−トの厚さとしては、任意であるが、通常、5μmないし300μm位、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
【0085】
なお、本発明において、本発明に係るガスバリア性積層フィルム、積層材等を構成する上記のような基材のいずれかの片面あるいは両面には、例えば、文字、図形、記号、模様、その他等からなる所望の印刷模様を印刷して、印刷模様層を形成することができるものである。
上記の印刷模様層としては、通常のインキビヒクルの1種ないし2種以上を主成分とし、これに、必要ならば、可塑剤、安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、帯電防止剤、充填剤、その他等の添加剤の1種ないし2種以上を任意に添加し、更に、染料・顔料等の着色剤を添加し、溶媒、希釈剤等で充分に混練してインキ組成物を調整し、次いで、該インキ組成物を使用し、例えば、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、スクリ−ン印刷、転写印刷、フレキソ印刷、その他等の印刷方式を使用し、上記の基材フィルムの片面に、文字、図形、記号、模様、その他等からなる所望の印刷模様を印刷して、本発明にかかる印刷模様層を形成することができるものである。
【0086】
上記において、インキビヒクルとしては、公知のもの、例えば、あまに油、きり油、大豆油、炭化水素油、ロジン、ロジンエステル、ロジン変性樹脂、シェラック、アルキッド樹脂、フェノ−ル系樹脂、マレイン酸樹脂、天然樹脂、炭化水素樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルブチラ−ル樹脂、アクリルまたはメタクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アミノアルキッド系樹脂、ニトロセルロ−ス、エチルセルロ−ス、塩化ゴム、環化ゴム、その他等の1種ないし2種以上を使用することができる。
【0087】
また、本発明において、本発明に係る積層材を形成するラミネート用接着剤層を構成するラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2 −エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、あるいは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレンーブタジェンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤、その他等の接着剤を使用することがてきる。
上記の接着剤の組成系は、水性型、溶液型、エマルジョン型、分散型等のいずれの組成物形態でもよく、また、その性状は、フィルム・シート状、粉末状、固形状等のいずれの形態でもよく、更に、接着機構については、化学反応型、溶剤揮発型、熱溶融型、熱圧型等のいずれの形態でもよいものである。
而して、本発明においては、積層する両者の一方の面に、上記のラミネート用接着剤を、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、その他等のコート法、あるいは、印刷法等によって施し、次いで、溶剤等を乾燥させてラミネート用接着剤層を形成すことができ、そのコーティングないし印刷量としては、0.1〜10g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
【0088】
また、本発明において、本発明に係る積層材を形成するアンカ−コ−ト剤層を構成するアンカ−コ−ト剤としては、例えば、イソシアネ−ト系(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系、ポリブタジェン系、有機チタン系、その他等のアンカ−コ−ティング剤を使用することができる。
更に、本発明において、溶融押出ラミネ−ト法における溶融押出樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン系触媒を使用して重合したエチレンーα・オレフイン共重合体、ポリプロピレン、エチレンー酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレンーアクリル酸エチル共重合体、エチレンーアクリル酸共重合体、エチレンーメタクリル酸共重合体、エチレンープロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフイン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸、その他等の不飽和カルポン酸で変性した酸変性ポリオレフイン系樹脂、その他等を使用することができる。
なお、本発明において、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、積層する基材等の表面に、例えば、コロナ処理、オゾン処理、フレーム処理等の前処理を任意に施すことができる。
【0089】
ところで、本発明において、上記のようなアンカ−コ−ト剤層を形成するアンカ−コ−ト剤、および、ラミネ−ト用接着剤層を形成するラミネ−ト用接着剤としては、例えば、トリレンジイソシアナ−ト、ジフェニルメタンジイソシアナ−ト、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナ−ト等の芳香族ポリイソシアナ−ト、あるいは、ヘキサメチレンジイソシアナ−ト、キシリレンジイソシアナ−ト等の脂肪族ポリイソシアナ−ト等の多官能イソシアネ−トと、ポリエ−テル系ポリオ−ル、ポリエステル系ポリオ−ル、ポリアクリレ−トポリオ−ル等のヒドロキシル基含有化合物との反応により得られるポリエ−テルポリウレタン系樹脂、ポリエステル系ポリウレタン系樹脂、または、ポリアクリレ−トポリウレタン系樹脂を主成分とするアンカ−コ−ト剤、あるいは、ラミネ−ト用接着剤を使用することが望ましいものである。
而して、上記のようなアンカ−コ−ト剤、あるいは、ラミネ−ト用接着剤を使用して形成してなるアンカ−コ−ト剤層、あるいは、ラミネ−ト用接着剤層は、柔らかく、柔軟性に富み、かつ、屈曲性に富む薄膜を形成することができ、その引っ張り伸長度を向上させ、無機酸化物の蒸着膜に対し柔軟性、屈曲性等を有する被膜として作用し、例えば、ラミネ−ト加工、印刷加工、あるいは、製袋加工等の後加工時における無機酸化物の蒸着膜の後加工適性を向上させ、後加工時における無機酸化物の蒸着膜へのクラック等の発生等を防止するものである。
ちなみに、本発明において、上記のようなアンカ−コ−ト剤によるアンカ−コ−ト剤層および/またはラミネ−ト用接着剤によるラミネ−ト用接着剤層は、JIS規格K7113に基づいて、100〜300%の範囲からなる引っ張り伸度を有するものである。
而して、本発明においては、上記のようなアンカ−コ−ト剤によるアンカ−コ−ト剤層および/またはラミネ−ト用接着剤によるラミネ−ト用接着剤層の引っ張り伸度、その他により、ガスバリア性積層フィルムと、ヒ−トシ−ル性樹脂層との密接着性を向上させ、これにより、無機酸化物の蒸着膜へのクラック等の発生を防止し、そのラミネ−ト強度等を高めるものである。
上記において、引っ張り伸度が、100%未満であると、積層材としての柔軟性がなくなり、無機酸化物の蒸着膜へのクラック等が発生し易くなることから好ましくなく、また、引っ張り伸度が、300%を越えると、アンカ−コ−ト剤、あるいは、ラミネ−ト用接着剤等としての接着性の強度が十分でなく、要求されるラミネ−ト強度が発現されにくくなることから好ましくないものである。
【0090】
次に、上記の本発明において、本発明に係る積層材を製造する方法について更に詳しく説明すると、かかる方法としては、通常の包装用材料を製造するときに使用する積層法、例えば、ウエットラミネ−ション法、ドライラミネ−ション法、無溶剤ラミネ−ション法、押出ラミネ−ション法、共押出ラミネ−ション法、インフレ−ション法、その他の方法等で行うことができる。
而して、本発明においては、上記の積層を行う際に、必要ならば、例えば、その積層する基材の表面に、コロナ処理、オゾン処理、フレ−ム処理等の前処理を任意に施すことができる。
また、上記において、押出ラミネ−トするときには、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマ−樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマ−、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマ−ル酸、その他等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等を溶融押出ラミネ−ト用樹脂として使用することができる。
その際に、接着助剤として、例えば、イソシアネ−ト系、ポリエチレンイミン系、その他等のアンカ−コ−ト剤等を任意に使用することができる。
また、本発明においては、ドライラミネ−トするときには、例えば、ビニル系、アクリル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系、エポキシ系、その他等をビヒクルの主成分とする溶剤型、水性型、エマルジョン型、その他等のラミネ−ト用接着剤等を使用することができる。
【0091】
次に、本発明において、本発明に係る積層材を構成するプライマ−剤層について説明すると、かかるプライマ−剤層としては、基材フィルムの一方の面に、無機酸化物の蒸着膜を設け、次に、該無機酸化物の蒸着膜の上に、ガスバリア性塗布膜を設け、更に、該ガスバリア性塗布膜の上に、プライマ−剤層を設け、而して、かかるプライマ−剤層により、例えば、印刷模様層、ヒ−トシ−ル性樹脂層、中間基材、その他の基材等を積層する場合に、その密着性等を向上させ、終局的には、積層する各素材を強固に密着させて、その層間剥離(デラミ)等の発生を防止するために設けるものである。
而して、上記のプライマ−剤層としては、まず、ポリウレタン系樹脂あるいはポリエステル系樹脂等をビヒクルの主成分とし、該ポリウレタン系樹脂あるいはポリエステル系樹脂等1〜30重量%に対し、シランカップリング剤0.05〜10重量%位、好ましくは、0.1重量%〜5重量%位、充填剤0.1〜20重量%位、好ましくは、1〜10重量%位の割合で添加し、更に、必要ならば、安定剤、硬化剤、架橋剤、滑剤、紫外線吸収剤、その他等の添加剤を任意に添加し、溶媒、希釈剤等を加えて充分に混合してポリウレタン系あるいはポリエステル系樹脂組成物を調整し、次いで、該ポリウレタン系あるいはポリエステル系樹脂組成物を使用し、これを、例えば、ロ−ルコ−ト、グラビアコ−ト、ナイフコ−ト、デップコ−ト、スプレイコ−ト、その他のコ−ティング法等により、上記の本発明に係るガスバリア性積層フィルムを構成するガスバリア性塗布膜の上に、コ−ティングし、しかる後、コ−ティング膜を乾燥させて溶媒、希釈剤等を除去し、更に、要すれば、エ−ジング処理等を行って、本発明にかかるプライマ−剤層を形成することができる。
なお、本発明において、プライマ−剤層の膜厚としては、例えば、0.1g/m2 〜1.0g/m2 (乾燥状態)位が望ましい。
而して、本発明においては、上記のようなプライマ−剤層により、上記の本発明に係るガスバリア性積層フィルムを構成するガスバリア性塗布膜と、印刷模様層、ヒ−トシ−ル性樹脂層、中間基材、その他等の基材との密接着性等を向上させると共にプライマ−剤層の伸長度を向上させ、例えば、ラミネ−ト加工、あるいは、製袋加工等の後加工適性を向上させ、後加工時における本発明に係るガスバリア性積層フィルムを構成する無機酸化物の蒸着膜のクラック等の発生を防止するものである。
【0092】
上記において、ポリウレタン系樹脂組成物を構成するポリウレタン系樹脂としては、例えば、多官能イソシアネ−トとヒドロキシル基含有化合物との反応により得られるポリウレタン系樹脂を使用することができる。
具体的には、例えば、トリレンジイソシアナ−ト、ジフェニルメタンジイソシアナ−ト、ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアナ−ト等の芳香族ポリイソシアナ−ト、あるいは、ヘキサメチレンジイソシアナ−ト、キシリレンジイソシアナ−ト等の脂肪族ポリイソシアナ−ト等の多官能イソシアネ−トと、ポリエ−テルポリオ−ル、ポリエステルポリオ−ル、ポリアクリレ−トポリオ−ル、その他等のヒドロキシル基含有化合物との反応により得られる一液ないし二液硬化型のポリウレタン系樹脂を使用することができる。
而して、本発明において、上記のようなポリウレタン系樹脂を使用することにより、ガスバリア性塗布膜とヒ−トシ−ル性樹脂層との密接着性等を向上させると共にプライマ−剤層の伸長度を向上させ、例えば、ラミネ−ト加工、あるいは、製袋加工等の後加工適性を向上させ、後加工時における無機酸化物の蒸着膜のクラック等の発生を防止するものである。
【0093】
また、上記において、上記のポリエステル系樹脂組成物を構成するポリエステル系樹脂としては、例えば、例えば、テレフタル酸等のベンゼン核を基本骨格とする芳香族飽和ジカルボン酸の一種またはそれ以上と、飽和二価アルコ−ルの一種またはそれ以上との重縮合により生成する熱可塑性のポリエステル系樹脂を使用することができる。 上記において、ベンゼン核を基本骨格とする芳香族飽和ジカルボン酸としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェニルエ−テル−4、4−ジカルボン酸、その他等を使用することができる。
また、上記において、飽和二価アルコ−ルとしては、エチレングリコ−ル、プロピレングリコ−ル、トリメチレングリコ−ル、テトラメチレングリコ−ル、ジエチレングリコ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、ヘキサメチレングリコ−ル、ドデカメチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グリコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコ−ル、2.2−ビス(4′−β−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ナフタレンジオ−ル、その他の芳香族ジオ−等を使用することができる。
【0094】
本発明において、上記のポリエステル系樹脂としては、具体的には、例えば、テレフタル酸とエチレングリコ−ルとの重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂、テレフタル酸とテトラメチレングリコ−ルとの重縮合により生成する熱可塑性ポリブチレンテレフタレ−ト樹脂、テレフタル酸と1、4−シクロヘキサンジメタノ−ルとの重縮合により生成する熱可塑性ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレ−ト樹脂、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコ−ルとの共重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂、テレフタル酸とエチレングリコ−ルと1、4−シクロヘキサンジメタノ−ルとの共重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂、テレフタル酸とイソフタル酸とエチレングリコ−ルとプロピレングリコ−ルとの共重縮合により生成する熱可塑性ポリエチレンテレフタレ−ト樹脂、ポリエステルポリオ−ル樹脂、その他等を使用することができる。
なお、本発明においては、上記のようなベンゼン核を基本骨格とする飽和芳香族ジカルボン酸に、更に、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸等の脂肪族飽和ジカルボン酸の一種ないしそれ以上を添加して共重縮合することもでき、その使用量としては、ベンゼン核を基本骨格とする芳香族飽和ジカルボン酸に対し、1〜10重量%位を添加して使用することが好ましい。
而して、本発明において、上記のようなポリエステル系樹脂を使用することにより、その密接着性等を向上させると共にプライマ−剤層の伸長度を向上させ、例えば、ラミネ−ト加工、あるいは、製袋加工等の後加工適性を向上させ、後加工時における無機酸化物の蒸着膜のクラック等の発生を防止するものである。
【0095】
次にまた、上記において、ポリウレタン系あるいはポリエステル系樹脂組成物を構成するシランカップリング剤としては、二元反応性を有する有機官能性シランモノマ−類を使用することができ、例えば、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルシリコ−ンの水溶液等の1種ないしそれ以上を使用することができる。
【0096】
上記のようなシランカップリング剤は、その分子の一端にある官能基、通常、クロロ、アルコキシ、または、アセトキシ基等が加水分解し、シラノ−ル基(SiOH)を形成し、これが、ガスバリア性塗布膜の膜表面上の活性な基、例えば、水酸基等の官能基と何らかの作用により、例えば、脱水縮合反応等の反応を起こして、ガスバリア性塗布膜の膜表面上にシランカップリング剤が共有結合等で修飾され、更に、シラノ−ル基自体のガスバリア性塗布膜の膜表面に吸着や水素結合等により強固な結合を形成する。
他方、シランカップリング剤の他端にあるビニル、メタクリロキシ、アミノ、エポキシ、あるいは、メルカプト等の有機官能基が、そのシランカップリング剤の薄膜の上に形成される、例えば、印刷模様層、ラミネ−ト用接着剤層、アンカ−コ−ト剤層、その他の層等を構成する物質と反応して強固な結合を形成し、更に、上記の印刷模様層、ラミネ−ト用接着剤層、アンカ−コ−ト剤層等を介して、ヒ−トシ−ル性樹脂層等が強固に密接着して、そのラミネ−ト強度を高め、このようにして、本発明においては、ラミネ−ト強度の高い強固な積層構造を形成可能とするものである。
本発明においては、シランカップリング剤が有する無機性と有機性とを利用し、ガスバリア性塗布膜と、印刷模様層、接着剤層あるいはアンカ−コ−ト剤層を介して、ヒ−トシ−ル性樹脂層との密接着性を向上させ、これにより、そのラミネ−ト強度等を高めるものである。
【0097】
次に、本発明において、上記のポリウレタン系あるいはポリエステル系樹脂組成物を構成する充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、シリカ、タルク、ガラスフリット、樹脂粉末、その他等のものを使用することができる。
而して、上記の充填剤は、ポリウレタン系あるいはポリエステル系樹脂組成物液の粘度等を調製し、そのコ−ティング適性を向上させると共にバインダ−樹脂としてのポリウレタン系あるいはポリエステル系樹脂とシランカップリング剤を介して結合し、コ−ティング膜の凝集力を向上させるものである。
【0098】
次に、本発明において、上記の積層材を使用して製造する本発明に係る包装用袋について説明すると、かかる包装用袋は、上記のような積層材を使用し、そのヒ−トシ−ル性樹脂層の面を対向して重ね合わせ、しかる後、その周辺端部をヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成して、上端部に開口部を有する包装用袋を製袋することができる。
而して、その製袋方法としては、上記のような積層材を、折り曲げるかあるいは重ね合わせて、その内層の面を対向させ、更にその周辺端部を、例えば、側面シ−ル型、二方シ−ル型、三方シ−ル型、四方シ−ル型、封筒貼りシ−ル型、合掌貼りシ−ル型(ピロ−シ−ル型)、ひだ付シ−ル型、平底シ−ル型、角底シ−ル型、ガゼット型、その他等のヒ−トシ−ル形態によりヒ−トシ−ルして、上端部に開口部を有する種々の形態からなる包装用袋を製造することができる。
その他、包装用袋としては、例えば、自立性包装用袋(スタンディングパウチ)等も可能である。
上記において、ヒ−トシ−ルの方法としては、例えば、バ−シ−ル、回転ロ−ルシ−ル、ベルトシ−ル、インパルスシ−ル、高周波シ−ル、超音波シ−ル等の公知の方法で行うことができる。
【0099】
次に、本発明において、上記で製造した包装用袋の開口部から内容物を充填し、次いで、その上端部に開口部をヒ−トシ−ル等により密閉することによって、本発明に係る種々の形態からなる包装製品を製造することができる。
なお、本発明において、上記で製造した包装用袋の開口部から内容物を充填し、次いで、その上端部に開口部をヒ−トシ−ル等により密閉することによって、本発明にかかるレトルト用パウチを使用した包装半製品を製造し、しかる後、該包装半製品を、レトルト処理あるいはボイル処理等の加熱処理を施すことによって、本発明にかかるレトルト用パウチを使用したレトルト包装食品を製造することができるものである。
上記において、レトルト処理あるいはボイル処理する方法としては、例えば、通常のレトルト釜を使用し、温度、110〜130℃位、好ましくは、120℃前後位、圧力、1〜3Kgf/cm2 ・G、好ましくは、2.1Kgf/cm2 ・G前後位、時間、20〜60分間位、好ましくは、30分間前後で加熱加圧処理する方法、あるいは、温度、90〜100℃、好ましくは、90℃前後位、時間、5〜20分間位、好ましくは、10分間前後位でボイル処理する方法等により行うことができる。
而して、本発明においては、上記のようなレトルト処理あるいはボイル処理により、内容物を加熱殺菌、あるいは、加熱殺菌調理等を行うことができるものである。
【0100】
次に、本発明において、本発明に係る包装用袋内に充填包装する内容物としては、例えば、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体ス−プ、調味料、飲料水、その他等の各種の飲食品、具体的には、例えば、カレ−、シチュ−、ス−プ、ミ−トソ−ス、ハンバ−グ、ミ−トボ−ル、しゅうまい、おでん、お粥等の流動食品、ゼリ−状食品、調味料、水、その他等の各種の飲食品等を挙げることができる。
而して、本発明において、本発明に係る包装用袋は、耐熱性、耐圧性、耐水性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、耐突き刺し性、密接着性、その他等の諸物性に優れ、特に、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性、透明性等に優れ、かつ、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐え、更に、容器・包装ごみの軽量化、減量化等を図ると共にその製造工程の短縮化によりその製造コストの低減化を図ることができ、内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているものである。
【0101】
なお、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜、および、ガスバリア性塗布膜は、各々、透明性を有し、かつ、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性を有するものであり、それらにより、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性等の作用効果を発揮し、終極的には、それらの相乗的な効果により、バリア性等の作用効果を発揮し、アルミニウム箔等の金属箔とほぼ同等のバリア性等の作用効果を発揮すると共にアルミニウム箔等の金属箔と異なり、透明性に優れ、内容物等の視認性等に優れているものであり、更に、金属探知機等による金属探知テストを可能とするものである。
更に、本発明においては、無機酸化物の蒸着膜等は、その膜厚は、数十Å〜数千Åからなるものであり、また、ガスバリア性塗布膜の膜厚も0.1g/m2 〜2.0g/m2 (乾燥状態)程度のものであり、例えば、膜厚が5〜20μm前後からなるアルミニウム箔等の金属箔等と比較して、その膜厚を著しく薄膜化し、軽量化することができ、また、その重量を著しく低減化し、容器・包装ごみの軽量化、減量化等を図ることができるものである。
更にまた、本発明においては、有機珪素化合物を蒸着用モノマ−ガスとして使用し、プラズマ化学気相成長法を用いて製膜化してなる酸化珪素の蒸着膜を、バリア性層を構成する無機酸化物の蒸着膜として使用すると、該酸化珪素の蒸着膜が、柔軟性に富み、耐屈曲性等を有することから、酸化珪素の蒸着膜にクラック等を生じてバリア性等を低下するということがないという利点を有するものである。
次に、上記の本発明について実施例を挙げて更に具体的に説明する。
【実施例1】
【0102】
(1).まず、基材フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、これを、プラズマ化学気相成長装置の巻き出しロールに装着し、次いで、該二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを繰り出し、そのコロナ処理面に、下記に示す条件により、厚さ200Åの第1の酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5(単位:Slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;150m/min
パワー;35kW
次に、上記で厚さ200Åの第1の酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度150m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(2).他方、下記の表1に示す組成に従って調整した組成a.のポリビニルアルコール水溶液、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液に、予め調製した組成b.のエチルシリケート40、鱗片形状二酸化ケイ素粒子溶液(旭硝子エスアイテック株式会社製)、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を加えて攪拌し、無色透明のバリアー塗工液を得た。
(表1)
a ポリビニルアルコール 1.235(wt%)
水 58.866
イソプロピルアルコール 5.139
酢酸 0.104
b エチルシリケート40 9.259
鱗片形状二酸化ケイ素粒子溶液 1.000
水 20.491
イソプロピルアルコール 3.888
アセチルアセトンアルミニウム 0.018
計 100.000
次に、上記の(1)で形成したプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、150℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2 (乾操状態)の第1のガスバリア性塗布膜を形成した。
(3).上記で第1のガスバリア性塗布膜を形成した厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを、プラズマ化学気相成長装置の巻き出しロールに装着し、次いで、これを繰り出し、その第1のガスバリア性塗布膜のコロナ処理面に、下記に示す条件により、厚さ200Åの第2の酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5(単位:Slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;150m/min
パワー;35kW
次に、上記で厚さ200Åの第2の酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7Z0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度150m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(4).次いで、上記の表1に示すガスバリア性組成物と同じガスバリア性組成物を同様に使用し、これを、上記の(3)で形成したプラズマ処理面に、上記と同様に、グラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、150℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2 (乾操状態)の第2のガスバリア性塗布膜を形成して、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを製造した。
(5).次に、上記の(4)で製造したガスバリア性積層フィルムのガスバリア性塗布膜の面に、所望の印刷模様を形成した後、その印刷模様を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤をグラビアロ−ルコ−ト法を用いて厚さ4.0g/m2 (乾燥状態)にコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネ−ト用接着剤層の面に、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを、そのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−トして積層した。
次に、上記で積層した2軸延伸ナイロン6フィルムの面に、コロナ放電処理を施した後、そのコロナ処理面に、上記と同様にして、ラミネ−ト用接着剤層を形成し、しかる後、上記のラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、本発明に係る積層材を製造した。
(6).次に、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。 上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から水を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造し、次いで、その包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1Kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、本発明にかかるレトルト包装食品を製造した。
上記で製造したレトルト包装食品は、その包装用袋が、耐熱性、耐圧性、耐水性、バリア性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、突き刺し性、透明性等に優れ、更に、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、食品容器としての機能、例えば、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れていた。
【実施例2】
【0103】
(1).まず、基材フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、これを、プラズマ化学気相成長装置の巻き出しロールに装着し、次いで、ライン速度150mm/minで搬送し、マグネトロンスパッタリング装置を使用し、アルゴンガス600sccmを導入して、出力20kWでプラズマ処理を行って、上記の二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムの面に、不活性ガスによるプラズマ処理面を形成し、次いで、そのプラズマ処理面に、下記に示す条件により、厚さ200Åの第1の酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5(単位:Slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;150m/min
パワー;35kW
次に、上記で厚さ200Åの第1の酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度150m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(2).他方、下記の表2に示す組成に従って調製した組成b.のポリビニルアルコール、鱗片形状二酸化ケイ素粒子分散液(旭硝子エスアイテック株式会社製)、N、N−ジメチルベンジルアミン32重量%エタノ−ルル溶液及びイオン交換水からなる混合液に、予め調製した組成a.のエチルシリケート(テトラエトキシシラン)、エタノ−ル、2N塩酸、イオン交換水及びシランカップリング剤(エポキシシリカSH6040)からなる加水分解液を加えて攪拌し、無色透明のバリアー塗工液を得た。
(表2)
a エチルシリケート 34.074(wt%)
水 34.074
2N塩酸 2.535
エタノ−ル 2.058
シランカップリング剤 3.407
b ポリビニルアルコール 2.372
鱗片形状二酸化ケイ素粒子分散液 3.200
水 18.144
NNジメチルベンジルアミンエタノ−ル溶液(32wt%)
0.136
計 100.000
次に、上記の(1)で形成したプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2 (乾操状態)の第1のガスバリア性塗布膜を形成した。
(3).上記で第1のガスバリア性塗布膜を形成した厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを、プラズマ化学気相成長装置の巻き出しロールに装着し、次いで、ライン速度150mm/minで搬送し、マグネトロンスパッタリング装置を使用し、アルゴンガス600sccmを導入して、出力20kWでプラズマ処理を行って、上記の第1のガスバリア性塗布膜の面に、不活性ガスによるプラズマ処理面を形成し、次いで、そのプラズマ処理面に、下記に示す条件により、厚さ200Åの第2の酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5(単位:Slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;150m/min
パワー;35kW
次に、上記で厚さ200Åの第2の酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7Z0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度150m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(4).次いで、上記の表2に示すガスバリア性組成物と同じガスバリア性組成物を同様に使用し、これを、上記の(3)で形成したプラズマ処理面に、上記と同様に、グラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、150℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2 (乾操状態)の第2のガスバリア性塗布膜を形成して、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを製造した。
(5).次に、上記の(2)で製造したガスバリア性積層フィルムを使用し、以下、上記の実施例1と同様にして、上記の実施例1と同様に、本発明に係る積層材、三方シ−ル型の軟包装用袋、包装半製品、レトルト包装食品を製造した。
上記で製造したレトルト包装食品は、その包装用袋が、耐熱性、耐圧性、耐水性、バリア性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、突き刺し性、透明性等に優れ、更に、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、食品容器としての機能、例えば、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れていた。
【実施例3】
【0104】
(1).まず、基材フィルムとして、厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムを使用し、これを、プラズマ化学気相成長装置の巻き出しロールに装着し、次いで、これを繰り出し、その二軸延伸ナイロン6フィルムのコロナ処理面に、下記に示す条件により、厚さ200Åの第1の酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1:11:10(単位:Slm)
到達圧力;5.2×10-6mbar
製膜圧力;5.1×10-2mbar
ライン速度;100m/min
パワー;30kW
次に、上記で厚さ200Åの第1の酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度100m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(2).他方、下記の表3に示す組成に従って組成a.EVOH(エチレン共重合比率29%)をイソプロピルアルコールおよびイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、予め調製した組成b.のエチルシリケート40(コルコート社製)、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水、イソプロピルアルコールからなる加水分解液を加えて攪拌、更に、予め調製した組成c.のポリビニルアルコール水溶液、鱗片形状二酸化ケイ素粒子分散液(旭硝子エスアイテック株式会社製)、シランカップリング剤(エポキシシリカSH6040)、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液を加えて攪拌し、バリアー塗工液を得た。
(表3) a EVOH(エチレン共重合率29%) 0.610(wt%)
水 3.294
イソプロピルアルコール 2.196
b エチルシリケート40 11.460
水 20.752
イソプロピルアルコール 10.662
アルミニウムアセチルアセトン 0.020
c ポリビニルアルコール 1.520
鱗片形状二酸化ケイ素粒子分散液 3.500
シランカップリング剤 0.050
水 35.462
イソプロピルアルコール 10.344
酢酸 0.130
計 100.000
次に、上記の(1)で形成したプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2 (乾操状態)の第1のガスバリア性塗布膜を形成した。
(3).上記で第1のガスバリア性塗布膜を形成した厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムを、プラズマ化学気相成長装置の巻き出しロールに装着し、次いで、これを繰り出し、その第1のガスバリア性塗布膜のコロナ処理面に、下記に示す条件により、厚さ200Åの第2の酸化珪素の蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
反応ガス混合比;へキサメチルジシロキサン:酸素ガス:ヘリウム=1.2:5.0:2.5(単位:Slm)
到達圧力;5.0×10-5mbar
製膜圧力;7.0×10-2mbar
ライン速度;150m/min
パワー;35kW
次に、上記で厚さ200Åの第2の酸化珪素の蒸着膜を形成した直後に、その酸化珪素の蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7Z0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度150m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化珪素の蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(4).次いで、上記の表3に示すガスバリア性組成物と同じガスバリア性組成物を同様に使用し、これを、上記の(3)で形成したプラズマ処理面に、上記と同様に、グラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、150℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2 (乾操状態)の第2のガスバリア性塗布膜を形成した。
更に、上記で形成した第2のガスバリア性塗布膜の面に、ポリエステル系樹脂の初期縮合物に、エポキシ系のシランカップリング剤(8.0重量%)とブロッキング防止剤(1.0重量%)を添加し、十分に混練してなるプライマ−樹脂組成物を使用し、これをグラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.2g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてプライマ−剤層を形成して、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを製造した。
(5).次に、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムのコロナ処理面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。
次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、2液硬化型ポリウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ5.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネート用接着剤層面に、上記(4)で製造したガスバリア性積層フィルムを、そのプライマ−剤層の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層した。
更に、上記でドライラミネ−ト積層したガスバリア性積層フィルムの二軸延伸ナイロン6フィルムのコロナ処理面の面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ5.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネート用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、本発明に係る積層材を製造した。
(6).次に、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。 上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から水を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造し、次いで、その包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1Kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、本発明にかかるレトルト包装食品を製造した。
上記で製造したレトルト包装食品は、その包装用袋が、耐熱性、耐圧性、耐水性、バリア性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、突き刺し性、透明性等に優れ、更に、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、食品容器としての機能、例えば、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れていた。
【実施例4】
【0105】
(1).まず、基材フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、これを、巻き取り式真空蒸着装置の巻き出しロールに装着し、次いで、二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚200Åの第1の酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チヤンバー内の真空度;2×10-4mbar
巻き取りチヤンバー内の真空度;2×10-2mbar
電子ビーム電力;25kw
フィルムの搬送速度;240m/min
次に、上記で厚さ200Åの第1の酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度200m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(2).他方、下記の表1に示す組成に従って調整した組成a.のポリビニルアルコール水溶液、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液に、予め調製した組成b.のエチルシリケート40、鱗片形状二酸化ケイ素粒子溶液(旭硝子エスアイテック株式会社製)、イソプロピルアルコール、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水からなる加水分解液を加えて攪拌し、無色透明のバリアー塗工液を得た。
(表1)
a ポリビニルアルコール 1.235(wt%)
水 58.866
イソプロピルアルコール 5.139
酢酸 0.104
b エチルシリケート40 9.259
鱗片形状二酸化ケイ素粒子溶液 1.000
水 20.491
イソプロピルアルコール 3.888
アセチルアセトンアルミニウム 0.018
計 100.000
次に、上記の(1)で形成したプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、150℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2 (乾操状態)の第1のガスバリア性塗布膜を形成した。
(3).次に、上記で第1のガスバリア性塗布膜を形成した厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、これを、巻き取り式真空蒸着装置の巻き出しロールに装着し、次いで、上記の第1のガスバリア性塗布膜のコロナ処理面面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚200Åの第2の酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チヤンバー内の真空度;2×10-4mbar
巻き取りチヤンバー内の真空度;2×10-2mbar
電子ビーム電力;25kw
フィルムの搬送速度;240m/min
次に、上記で厚さ200Åの第2の酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度200m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(4).次いで、上記の表1に示すガスバリア性組成物と同じガスバリア性組成物を同様に使用し、これを、上記の(3)で形成したプラズマ処理面に、上記と同様に、グラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、150℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2 (乾操状態)の第2のガスバリア性塗布膜を形成して、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを製造した。
(5).次に、上記の(4)で製造したガスバリア性積層フィルムの第2のガスバリア性塗布膜の面に、所望の印刷模様を形成した後、その印刷模様を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤をグラビアロ−ルコ−ト法を用いて厚さ4.0g/m2 (乾燥状態)にコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネ−ト用接着剤層の面に、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを、そのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−トして積層した。
次に、上記で積層した2軸延伸ナイロン6フィルムの面に、コロナ放電処理を施した後、そのコロナ処理面に、上記と同様にして、ラミネ−ト用接着剤層を形成し、しかる後、上記のラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、本発明に係る積層材を製造した。
(6).次に、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。 上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から水を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造し、次いで、その包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1Kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、本発明にかかるレトルト包装食品を製造した。
上記で製造したレトルト包装食品は、その包装用袋が、耐熱性、耐圧性、耐水性、バリア性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、突き刺し性、透明性等に優れ、更に、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、食品容器としての機能、例えば、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れていた。
【実施例5】
【0106】
(1).基材フィルムとして、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、以下、上記の実施例4と同様にして、上記の実施例4と同様に、二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムのコロナ処理面に、厚さ200Åの第1の酸化アルミニウムの蒸着膜を形成し、更に、該酸化アルミニウムの蒸着膜に、酸素ガスによるプラズマ処理面を形成した。
(2).他方、下記の表2に示す組成に従って調製した組成b.のポリビニルアルコール、鱗片形状二酸化ケイ素粒子分散液(旭硝子エスアイテック株式会社製)、N、N−ジメチルベンジルアミン32重量%エタノ−ルル溶液及びイオン交換水からなる混合液に、予め調製した組成a.のエチルシリケート(テトラエトキシシラン)、エタノ−ル、2N塩酸、イオン交換水及びシランカップリング剤(エポキシシリカSH6040)からなる加水分解液を加えて攪拌し、無色透明のバリアー塗工液を得た。
(表2)
a エチルシリケート 34.074(wt%)
水 34.074
2N塩酸 2.535
エタノ−ル 2.058
シランカップリング剤 3.407
b ポリビニルアルコール 2.372
鱗片形状二酸化ケイ素粒子分散液 3.200
水 18.144
NNジメチルベンジルアミンエタノ−ル溶液(32wt%)
0.136
計 100.000
次に、上記の(1)で形成したプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2 (乾操状態)の第1のガスバリア性塗布膜を形成した。
(3).次に、上記で第1のガスバリア性塗布膜を形成した厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用し、これを、巻き取り式真空蒸着装置の巻き出しロールに装着し、次いで、上記の第1のガスバリア性塗布膜のコロナ処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚200Åの第2の酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チヤンバー内の真空度;2×10-4mbar
巻き取りチヤンバー内の真空度;2×10-2mbar
電子ビーム電力;25kw
フィルムの搬送速度;240m/min
次に、上記で厚さ200Åの第2の酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度200m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(4).次いで、上記の表2に示すガスバリア性組成物と同じガスバリア性組成物を同様に使用し、これを、上記の(3)で形成したプラズマ処理面に、上記と同様に、グラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、150℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2 (乾操状態)の第2のガスバリア性塗布膜を形成した。
更に、上記で形成した第2のガスバリア性塗布膜の面に、ポリウレタン系樹脂の初期縮合物に、エポキシ系のシランカップリング剤(8.0重量%)とブロッキング防止剤(1.0重量%)を添加し、十分に混練してなるプライマ−樹脂組成物を使用し、これをグラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.5g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてプライマ−剤層を形成して、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを製造した。
(5).次に、上記の(4)で製造したガスバリア性積層フィルムのプライマ−剤層の面に、所望の印刷模様を形成した後、その印刷模様を含む全面に、2液硬化型のポリウレタン系ラミネ−ト用接着剤をグラビアロ−ルコ−ト法を用いて厚さ4.0g/m2 (乾燥状態)にコ−ティングしてラミネ−ト用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネ−ト用接着剤層の面に、厚さ15μmの2軸延伸ナイロン6フィルムを、そのコロナ処理面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−トして積層した。
次に、上記で積層した2軸延伸ナイロン6フィルムの面に、コロナ放電処理を施した後、そのコロナ処理面に、上記と同様にして、ラミネ−ト用接着剤層を形成し、しかる後、上記のラミネ−ト用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、本発明に係る積層材を製造した。
(6).次に、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。 上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から水を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造し、次いで、その包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1Kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、本発明にかかるレトルト包装食品を製造した。
上記で製造したレトルト包装食品は、その包装用袋が、耐熱性、耐圧性、耐水性、バリア性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、突き刺し性、透明性等に優れ、更に、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、食品容器としての機能、例えば、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れていた。
【実施例6】
【0107】
(1).まず、基材フィルムとして、厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムを使用し、これを、巻き取り式真空蒸着装置の巻き出しロールに装着し、次いで、上記の二軸延伸ナイロン6フィルムのコロナ処理面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚200Åの第1の酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チヤンバー内の真空度;2×10-4mbar
巻き取りチヤンバー内の真空度;2×10-2mbar
電子ビーム電力;25kw
フィルムの搬送速度;240m/min
次に、上記で厚さ200Åの第1の酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度200m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(2).他方、下記の表3に示す組成に従って組成a.EVOH(エチレン共重合比率29%)をイソプロピルアルコールおよびイオン交換水の混合溶媒にて溶解したEVOH溶液に、予め調製した組成b.のエチルシリケート40(コルコート社製)、アセチルアセトンアルミニウム、イオン交換水、イソプロピルアルコールからなる加水分解液を加えて攪拌、更に、予め調製した組成c.のポリビニルアルコール水溶液、鱗片形状二酸化ケイ素粒子分散液(旭硝子エスアイテック株式会社製)、シランカップリング剤(エポキシシリカSH6040)、酢酸、イソプロピルアルコール及びイオン交換水からなる混合液を加えて攪拌し、バリアー塗工液を得た。
(表3) a EVOH(エチレン共重合率29%) 0.610(wt%)
水 3.294
イソプロピルアルコール 2.196
b エチルシリケート40 11.460
水 20.752
イソプロピルアルコール 10.662
アルミニウムアセチルアセトン 0.020
c ポリビニルアルコール 1.520
鱗片形状二酸化ケイ素粒子分散液 3.500
シランカップリング剤 0.050
水 35.462
イソプロピルアルコール 10.344
酢酸 0.130
計 100.000
次に、上記の(1)で形成したプラズマ処理面に、上記で製造したガスバリア性組成物を使用し、これをグラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、100℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2 (乾操状態)の第2のガスバリア性塗布膜を形成した。
(3).次に、上記で第1のガスバリア性塗布膜を形成した厚さ15μmの二軸延伸ナイロン6フィルムを使用し、これを、巻き取り式真空蒸着装置の巻き出しロールに装着し、次いで、上記の第1のガスバリア性塗布膜のコロナ処理面面に、アルミニウムを蒸着源に用いて、酸素ガスを供給しながら、エレクトロンビーム(EB)加熱方式による真空蒸着法により、下記の蒸着条件により、膜厚200Åの第2の酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した。
(蒸着条件)
蒸着チヤンバー内の真空度;2×10-4mbar
巻き取りチヤンバー内の真空度;2×10-2mbar
電子ビーム電力;25kw
フィルムの搬送速度;240m/min
次に、上記で厚さ200Åの第2の酸化アルミニウムの蒸着膜を形成した直後に、その酸化アルミニウムの蒸着膜面に、グロー放電プラズマ発生装置を使用し、パワー9kW、酸素ガス(O2 ):アルゴンガス(Ar)=7.0:2.5(単位:Slm)からなる混合ガスを使用し、混合ガス圧6×10-2mbar、処理速度200m/minで酸素/アルゴン混合ガスプラズマ処理を行って、酸化アルミニウムの蒸着膜面の表面張力を54dyne/cm以上向上させてたプラズマ処理面を形成した。
(4).次いで、上記の表3に示すガスバリア性組成物と同じガスバリア性組成物を同様に使用し、これを、上記の(3)で形成したプラズマ処理面に、上記と同様に、グラビアロールコート法によりコーティングして、次いで、150℃で30秒間、加熱処理して、厚さ0.4g/m2 (乾操状態)の第2のガスバリア性塗布膜を形成した。
更に、上記で形成したガスバリア性塗布膜の面に、ポリエステル系樹脂の初期縮合物に、エポキシ系のシランカップリング剤(8.0重量%)とブロッキング防止剤(1.0重量%)を添加し、十分に混練してなるプライマ−樹脂組成物を使用し、これをグラビアロ−ルコ−ト法により、膜厚0.2g/m2 (乾燥状態)になるようにコ−ティングしてプライマ−剤層を形成して、本発明に係るガスバリア性積層フィルムを製造した。
(5).次に、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルムのコロナ処理面に、通常のグラビアインキ組成物を使用し、グラビア印刷方式により、文字、図形、絵柄、その他等からなる所定の印刷模様を印刷して印刷模様層を形成した。
次に、上記で形成した印刷模様層を含む全面に、2液硬化型ポリウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ5.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネート用接着剤層面に、上記(2)で製造したガスバリア性積層フィルムを、そのプライマ−剤層の面を対向させて重ね合わせ、しかる後、その両者をドライラミネ−ト積層した。
更に、上記でドライラミネ−ト積層したガスバリア性積層フィルムの二軸延伸ナイロン6フィルムのコロナ処理面の面に、2液硬化型ウレタン系接着剤(主剤:ポリエステルポリオール、硬化剤:脂肪族シソシアネート)を使用し、これをグラビアロールコ−ト法を用いて、厚さ5.0g/m2 (乾燥状態)にコーティングしてラミネート用接着剤層を形成し、次いで、該ラミネート用接着剤層面に、厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネ−トして積層して、本発明に係る積層材を製造した。
(6).次に、上記で製造した積層材の2枚を用意し、その無延伸ポリプロピレンフィルムの面を対向して重ね合わせ、しかる後、その外周周辺の端部を三方ヒ−トシ−ルしてシ−ル部を形成すると共に上方に開口部を有する三方シ−ル型の軟包装用袋を製造した。 上記で製造した三方シ−ル型の軟包装用袋内に、その開口部から水を充填包装し、しかる後、その開口部をヒ−トシ−ルして上方シ−ル部を形成して包装半製品を製造し、次いで、その包装半製品をレトルト釜に入れて、温度、120℃、圧力、2.1Kgf/cm2 ・G、時間、30分間からなるレトルト処理条件でレトルト処理を行い、本発明にかかるレトルト包装食品を製造した。
上記で製造したレトルト包装食品は、その包装用袋が、耐熱性、耐圧性、耐水性、バリア性、ヒ−トシ−ル性、耐ピンホ−ル性、突き刺し性、透明性等に優れ、更に、酸素ガス、水蒸気等に対するバリア性に優れ、破袋ないし内容物の漏れ等も認められず、食品容器としての機能、例えば、内容物の充填包装適性、流通適正、保存適性等に優れていた。
【0108】
(比較例1)
上記の実施例1において、表1に示すガスバリア性組成物の代わりに、下記の表4に示すガスバリア性組成物を使用し、それ以外は、上記の実施例1と全く同様にし、上記の実施例1と同様に、ガスバリア性積層フィルム、積層材、包装用袋、および、包装製品を製造した。
(表4)
a ポリビニルアルコール 1.235(wt%)
水 58.866
イソプロピルアルコール 5.139
酢酸 0.104
b エチルシリケート40 9.259
水 21.491
イソプロピルアルコール 3.888
アセチルアセトンアルミニウム 0.018
計 100.000
【0109】
(比較例2)
上記の実施例4において、表1に示すガスバリア性組成物の代わりに、下記の表4に示すガスバリア性組成物を使用し、それ以外は、上記の実施例4と全く同様にし、上記の実施例4と同様に、ガスバリア性積層フィルム、積層材、包装用袋、および、包装製品を製造した。
(表4)
a ポリビニルアルコール 1.235(wt%)
水 58.866
イソプロピルアルコール 5.139
酢酸 0.104
b エチルシリケート40 9.259
水 21.491
イソプロピルアルコール 3.888
アセチルアセトンアルミニウム 0.018
計 100.000
【0110】
(実験例)
上記の実施例1〜6、および、比較例1〜2において製造したガスバリア性積層フィルムについて、酸素透過度、および、水蒸気透過度を測定した。
また、上記の実施例1〜6、および、比較例1〜2において製造したガスバリア性積層フィルム使用して製造した積層材を製袋して製造した包装用袋について、レトルト処理前後の酸素透過度、水蒸気透過度、また、レトルト処理前後のラミネ−ト強度を測定した。 (1).酸素透過度の測定
これは、温度23℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、オクストラン(OXTRAN)〕にて測定した。
(2).水蒸気透過度の測定
これは、温度40℃、湿度90%RHの条件で、米国、モコン(MOCON)社製の測定機〔機種名、パ−マトラン(PERMATRAN)〕にて測定した。
(3).シ−ル強度の測定
シ−ル強度は、テンシロン測定器を使用し、試験片15mm、剥離速度50minで強度を測定した。
包材は、バリア性フィルム/ONy/CPPの構成を用いた。
上記の測定結果について、下記の表5、表6、および、表7に示す。
【0111】
(表5)
┌────┬────────────────┐ │ │ ガスバリア性積層フィルム │ │ ├───────┬────────┤ │ │ 酸素透過度 │ 水蒸気透過度 │ ├────┼───────┼────────┤ │実施例1│ 0.1 │ 0.02 │ ├────┼───────┼────────┤ │実施例2│ 0.1 │ 0.03 │ ├────┼───────┼────────┤ │実施例3│ 0.1 │ 0.02 │ ├────┼───────┼────────┤ │実施例4│ 0.1 │ 0.04 │ ├────┼───────┼────────┤ │実施例5│ 0.1 │ 0.02 │ ├────┼───────┼────────┤ │実施例6│ 0.1 │ 0.02 │ ├────┼───────┼────────┤ │比較例1│ 0.3 │ 0.1 │ ├────┼───────┼────────┤ │比較例2│ 0.3 │ 0.1 │ └────┴───────┴────────┘ 上記の表5において、酸素透過度の単位は、〔cc/m2 /day/atm・23℃・90%RH〕であり、水蒸気透過度の単位は、〔g/m2 /day・40℃・90%RH〕である。
【0112】
(表6)
┌────┬───────────────────────┐ │ │ 包装用袋 │ │ ├───────────┬───────────┤ │ │ 酸素透過度 │ 水蒸気透過度 │ │ ├─────┬─────┼─────┬─────┤ │ │レトルト前│レトルト後│レトルト前│レトルト後│ ├────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │実施例1│ 0.1 │ 0.4 │0.02 │ 0.2 │ ├────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │実施例2│ 0.1 │ 0.3 │0.03 │ 0.2 │ ├────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │実施例3│ 0.1 │ 0.4 │0.02 │ 0.2 │ ├────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │実施例4│ 0.1 │ 0.3 │0.04 │ 0.3 │ ├────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │実施例5│ 0.1 │ 0.3 │0.02 │ 0.2 │ ├────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │実施例6│ 0.1 │ 0.3 │0.02 │ 0.3 │ ├────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │比較例1│ 0.3 │ 0.6 │0.1 │ 0.6 │ ├────┼─────┼─────┼─────┼─────┤ │比較例2│ 0.3 │ 0.7 │0.1 │ 0.8 │ └────┴─────┴─────┴─────┴─────┘ 上記の表6において、酸素透過度の単位は、〔cc/m2 /day/atm・23℃・90%RH〕であり、水蒸気透過度の単位は、〔g/m2 /day・40℃・90%RH〕である。
【0113】
(表7)
┌────┬───────────────────────┐ │ │ 包装用袋 │ │ ├───────────────────────┤ │ │ シ−ル強度 │ │ ├───────────┬───────────┤ │ │ レトルト前 │ レトルト後 │ ├────┼───────────┼───────────┤ │実施例1│ 4.0 │ 3.9 │ ├────┼───────────┼───────────┤ │実施例2│ 4.1 │ 4.0 │ ├────┼───────────┼───────────┤ │実施例3│ 4.2 │ 4.1 │ ├────┼───────────┼───────────┤ │実施例4│ 4.3 │ 4.2 │ ├────┼───────────┼───────────┤ │実施例5│ 3.9 │ 3.7 │ ├────┼───────────┼───────────┤ │実施例6│ 4.2 │ 4.1 │ ├────┼───────────┼───────────┤ │比較例1│ 3.9 │ 3.8 │ ├────┼───────────┼───────────┤ │比較例2│ 4.0 │ 4.0 │ └────┴───────────┴───────────┘ 上記の表7において、シ−ル強度の単位は、[Kgf/15mm]である。
【0114】
上記の表5、表6および表7に示す測定結果から明らかなように、実施例1〜6にかかるものは、酸素透過度および水蒸気透過度において十分に実用性を有するものであることが確認され、また、シ−ル強度等においても優れ、更に、透明性を有し、内容物の視認性に優れているものであった。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明に係るガスバリア性積層フィルムおよびそれを使用した積層材、更に、それを使用して製袋した包装用袋は、酸素ガス、水蒸気等の透過を阻止するバリア性、特に、水蒸気バリア性に優れ、更に、積層材の密着性に優れ、例えば、レトルト処理等の加工に伴う熱処理に耐え、更に、容器・包装ごみの軽量化、減量化等を図ると共にその製造工捏の短縮化によりその製造コストの低減化を図り、例えば、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、煮物、餅、液体スープ、調味料、飲料水、その他等の各種の飲食品を充填包装するに有用であり、かつ、その内容物の充填包装適性、品質保全性等に優れているものである。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明に係るガスバリア性積層フィルムについてその層構成の一例を示す概略的断面図である。
【図2】図1に示す本発明に係るガスバリア性積層フィルムを使用した積層材についてその層構成の一例を示す概略的断面図である。
【図3】図1に示す本発明に係るガスバリア性積層フィルムを使用した積層材についてその層構成の一例を示す概略的断面図である。
【図4】図1に示す本発明に係るガスバリア性積層フィルムを使用した積層材についてその層構成の一例を示す概略的断面図である。
【図5】図2に示す積層材を使用し、これを製袋して製造した本発明に係る包装用袋についてその構成の一例を示す概略的斜視図である。
【図6】図2に示す積層材を使用し、これを製袋して製造した本発明に係る包装用袋についてその構成の一例を示す概略的斜視図である。
【図7】プラズマ化学気相成長装置についてその一例の概要を示す概略的構成図である。
【図8】巻き取り式真空蒸着装置についてその一例の概要を示す概略的構成図である。
【符号の説明】
【0117】
A ガスバリア性積層フィルム
B、B1 、B2 積層材
C 包装用袋
D 包装製品
1 基材フィルム
2 第1の無機酸化物の蒸着膜
3 第1のガスバリア性塗布膜
4 第2の無機酸化物の蒸着膜
5 第2のガスバリア性塗布膜
11 ヒ−トシ−ル性樹脂層
12 中間基材
13 プラスチック基材フィルム
15 ヒ−トシ−ル部
16 開口部
17 内容物
18 上方のシ−ル部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材フィルムの一方の面に、第1の無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、該第1の無機酸化物の蒸着膜の上に、一般式R1 n M(OR2 m (ただし、式中、R1 、R2 は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、鱗片形状二酸化ケイ素粒子と、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物による第1のガスバリア性塗布膜を設け、また、該第1のガスバリア性塗布膜の上に、第2の無機酸化物の蒸着膜を設け、更に、該第2の無機酸化物の蒸着膜の上に、一般式R1 n M(OR2 m (ただし、式中、R1 、R2 は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、鱗片形状二酸化ケイ素粒子と、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、更に、ゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物による第2のガスバリア性塗布膜を設けたことを特徴とするガスバリア性積層フィルム。
【請求項2】
基材フィルムが、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム、2軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム、または、2軸延伸ポリオレフイン系樹脂フィルムからなることを特徴とする上記の請求項1に記載するガスバリア性積層フィルム。
【請求項3】
第1と第2の無機酸化物の蒸着膜が、化学気相成長法または物理気相成長法による無機酸化物の蒸着膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜2のいずれか1項に記載するガスバリア性積層フィルム。
【請求項4】
第1と第2の無機酸化物の蒸着膜が、化学気相成長法による酸化珪素の蒸着膜からなることを特徴とする上記の請求項3に記載するガスバリア性積層フィルム。
【請求項5】
第1と第2の無機酸化物の蒸着膜が、物理気相成長法による酸化アルミニウムの蒸着膜からなることを特徴とする上記の請求項3に記載するガスバリア性積層フィルム。
【請求項6】
第1と第2のガスバリア性塗布膜を構成する一般式R1 n M(OR2 m 中のMが、珪素、ジルコニウム、チタニウム、または、アルミニウムからなることを特徴とする上記の請求項1〜5のいずれか1項に記載するガスバリア性積層フィルム。
【請求項7】
第1と第2のガスバリア性塗布膜を構成するアルコキシドが、アルコキシシランからなることを特徴とする上記の請求項1〜6のいずれか1項に記載するガスバリア性積層フィルム。
【請求項8】
第1と第2のガスバリア性塗布膜を構成するアルコキシドが、アルコキシドの加水分解物、または、アルコキシドの加水分解縮合物からなることを特徴とする上記の請求項1〜7のいずれか1項に記載するガスバリア性積層フィルム。
【請求項9】
第1と第2のガスバリア性塗布膜を構成する鱗片形状二酸化ケイ珪素粒子が、厚みが1μm以下、面径が5μm以下であることを特徴とする上記の請求項1〜8のいずれか1項に記載するガスバリア性積層フィルム。
【請求項10】
第1と第2のガスバリア性塗布膜を構成するガスバリア性組成物が、シランカップリング剤を含むことを特徴とする上記の請求項1〜8のいずれか1項に記載するガスバリア性積層フィルム。
【請求項11】
第1と第2のガスバリア性塗布膜を構成するガスバリア性組成物が、一般式R1 n M(OR2 m (ただし、式中、R1 、R2 は、炭素数1〜8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも1種以上のアルコキシドと、鱗片形状二酸化ケイ素粒子と、ポリビニルアルコ−ル系樹脂及び/又はエチレン・ビニルアルコ−ル共重合体とを含有し、更に、ゾルーゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合するガスバリア性組成物からなることを特徴とする上記の請求項1〜10のいずれか1項に記載するガスバリア性積層フィルム。
【請求項12】
第1と第2のガスバリア性塗布膜を構成するガスバリア性組成物中のゾルゲル法触媒が、水に実質的に不溶であり、かつ、有機溶媒に可溶な第3アミンからなることを特徴とする上記の請求項1〜11のいずれか1項に記載するガスバリア性積層フィルム。
【請求項13】
第1と第2のガスバリア性塗布膜を構成するガスバリア性組成物中の第3アミンが、N,N−ジメチルベンジルアミンからなることを特徴とする上記の請求項1〜12のいずれか1項に記載するガスバリア性積層フィルム。
【請求項14】
第1と第2のガスバリア性塗布膜を構成するガスバリア性組成物中の水が、アルコキシド1モルに対して0.1〜100モルの割合で用いられることを特徴とする上記の請求項1〜13のいずれか1項に記載するガスバリア性積層フィルム。
【請求項15】
第1と第2のガスバリア性塗布膜が、1層ないし2層以上を重層した複合ポリマ−層からなることを特徴とする上記の請求項1〜14のいずれか1項に記載するガスバリア性積層フィルム。
【請求項16】
第1と第2のガスバリア性塗布膜が、ガスバリア性組成物を塗工して塗工膜を設けた基材フィルムを、50℃〜250℃で、かつ、上記の基材フィルムの融点以下の温度で30秒〜10分間加熱処理した硬化膜からなることを特徴とする上記の請求項1〜15のいずれか1項に記載するガスバリア性積層フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−73993(P2008−73993A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−256979(P2006−256979)
【出願日】平成18年9月22日(2006.9.22)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】