サスペンションリンク取付け構造及びサスペンション構造、操舵輪支持手段、操舵輪支持方法
【課題】サスペンションリンクの横剛性を変更可能なサスペンションリンクの取付け構造とする。
【解決手段】サスペンションリンク3Aの車体側端部を上下揺動可能に支持する取付けブラケット11を、横変位機構20を介して車体側部材1に取り付ける。上記横変位機構20は、取付けブラケット11から入力する横力に応じて当該ブラケット11の車幅方向への変位を許容し、横力の入力速度が大きいほど剛性が高い機構となっている。
【解決手段】サスペンションリンク3Aの車体側端部を上下揺動可能に支持する取付けブラケット11を、横変位機構20を介して車体側部材1に取り付ける。上記横変位機構20は、取付けブラケット11から入力する横力に応じて当該ブラケット11の車幅方向への変位を許容し、横力の入力速度が大きいほど剛性が高い機構となっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪を回転自在に支持する車輪支持部材を車体部材に連結するサスペンション構造、特にサスペンションリンクの取付け構造に特徴のある技術である。
【背景技術】
【0002】
サスペンションリンクの車体部材への取付け構造は、通常、特許文献1に記載の構造となっている。すなわち、サスペンションリンクの車体側端部(円筒形状の接続部)にブッシュを設ける。ブッシュは、入れ子状に配置した外筒と内筒との間に弾性体を介装して構成する。そして、ブッシュの内筒を貫通する取付けボルトを、車体側部材に固定した取付けブラケットに支持させる。これによって、サスペンションリンクは、上記取付けボルトを軸として上下に揺動可能となる。
【0003】
また特許文献1では、上記ブッシュの弾性体内部に、高分子アクチュエータを埋設する。この高分子アクチュエータは、導電性高分子材料を電解質に接触させた構成となっている。そして、導電性高分子材料の電位を電解質の電位よりも高くすることで、導電性分子材料が伸長し、また、導電性高分子材料の電位を電解質の電位よりも低くすることで、導電性分子材料が収縮する。このように高分子アクチュエータを伸縮駆動させることで、ブッシュのばね定数を変更可能とする。
【0004】
上記構成によって、特許文献1では、旋回時におけるサスペンション装置の剛性の確保、及び直進走行時における乗り心地向上を図る。そして、特許文献1では、次のことが開示してある。すなわち、車両の高速旋回時に所定以上の横加速度を検出すると、高分子アクチュエータを伸長方向に作動させる。これによってばね定数を大きくしてサスペンション装置の剛性を高める。
【特許文献1】特開2005−127386号公報(図2,段落番号0022参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術は、車両の高速旋回時に所定以上の横加速度を検出すると、ブッシュ剛性を高めて、旋回時におけるサスペンション装置の剛性を確保するものである。この機能により、旋回時に、車両の向きを変える応答性を向上することが可能となるが、車輪に加わる車両幅方向の横入力による車輪の姿勢の変化は小さくなるため、コンプライアンスステア特性を十分に確保することができない。
本発明は、旋回時の車両の向きを変える応答性とコンプライアンス特性とを両立させることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、サスペンションリンクの車体側端部を上下揺動可能に支持するブラケットを、横変位機構を介して車体側部材に取り付ける。上記横変位機構は、取付けブラケットと車体側部材とを弾性的に連結して、取付けブラケットと車体側部材との相対変位の速度が大きいほど反力を高くする機構となっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両が旋回する時の車両の向きを変える応答性とコンプライアンス特性とを両立させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1実施形態)
次に、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態のサスペンション構造を説明する模式的平面図である。図2は、そのサスペンション構造のリンク構成を下方からみた平面図である。
(構成)
本実施形態のサスペンションは、フロントサスペンションである。
図1及び図2中、符号1は、車体フレーム(不図示)が支持するサスペンションメンバを示す。サスペンションメンバ1は、車体フレームに対し直接に固定するか、若しくは車体フレームに対しインシュレータを介して弾性的に連結した状態となっている。そのサスペンションメンバ1に対し、アクスル2が揺動可能に連結する。そのアクスル2の連結は、サスペンションアーム3,4及びショックアブソーバを介して行う。なお、アクスル2は、車輪5を回転自在に支持する。
【0009】
上記サスペンションアームとして、アッパアーム4及びロアアーム3を備える。なお、本実施形態のサスペンションでは、タイヤ横力は、主としてロアアーム3側で受ける。
アッパアーム4は、Aアームからなる。アッパアーム4は、車輪側端部をアクスル2の上部に連結すると共に、車体側端部をサスペンションメンバ1に連結する。
ロアアーム3は、Aアームからなる。そのロアアーム3は、車輪側端部3aをアクスル2の下部に連結すると共に、2箇所の車体側端部3b、3cをサスペンションメンバ1に連結する。アクスル2の下部とはホイールセンタよりも下側を指す。すなわち、ロアアーム3の車輪側端部3aは、ボールジョイントによってアクスル2の下部に連結する。ロアアーム3における2箇所の車体側端部3b、3cは、車両前後方向に離隔している。ここでは、その2つの車体側端部3b、3cを、前側車体側端部3bと後側車体側端部3cと呼ぶ。
【0010】
上記ロアアーム3は、2本のロアリンクを一体に構成したものである。すなわち、ロアアーム3は、第1及び第2のロアリンク3A、3Bを構成する。そして、車輪側端部3aと前側車体側端部3bとを連結する部分が第1のロアリンク3Aを構成し、車輪側端部3aと後側車体側端部3cとを連結する部分が第2のロアリンク3Bを構成する。
第1のロアリンク3Aのリンク軸は、平面視において、第2のロアリンク3Bのリンク軸よりも、車幅方向に対する車両前後方向の傾きが小さい。図2では、第1のロアリンクのリンク軸がほぼ車幅方向に延在する場合を図示している。なお、リンク軸は、アクスル2への取付け部と車体側部材への取付け部とを通過する直線の位置にある。
【0011】
つまり、本実施形態では、主として横力を受けるサスペンションリンクは、第1のロアリンク3Aである。以下、この第1のロアリンク3Aをトランスバースリンク3Aと呼ぶ。そのトランスバースリンク3Aの車体側取付け構造、つまり、前側車体側端部3bの取付け構造については、後述する。
まず、後側車体側端部3cの取付け構造について説明する。後側車体側端部3cは、車両前後方向後方に延びるロッド部からなる。そのロッド部が、ブッシュ6を介して車体側部材に連結する。すなわち、ロッド部をブッシュ6の内筒内に取付け、ブッシュ6の外筒をブラケット7に固定する。そのブラケット7を車体側部材に固定する。これによって、後側車体側端部3cは、ブラケットに上下揺動可能に連結する。後側車体側端部3cを取り付ける車体側部材は、例えば車体フレームである。
【0012】
次に、トランスバースリンク3Aの車体側取付け構造、つまり前側車体側端部3bの取付け構造について、図3及び図4を参照して説明する。
前側車体側端部3bを、ブッシュ8を介して取付けブラケット11に取り付ける。
前側車体側端部3bは、車両前後方向に軸を向けた筒形状となっている。また、ブッシュ8は、入れ子状に配置した内筒8aと外筒との間に、ゴムなどの弾性体を介装した構成となっている。なお、上述のブッシュ8も同様な構造である。なお、内筒8aは外筒よりも長い。すなわち、内筒8aの両側は、外筒よりも軸方向外側に張り出している。
そして、前側車体側端部3bの筒形状の中空部に対して、上記ブッシュ8を圧入などで固定する。すなわち、ブッシュ8の外筒を前側車体側端部3bに固定する。
【0013】
上記取付けブラケット11は、平面視でコ字形状をしている。すなわち、取付けブラケット11は、一対の壁部9と、その一対の壁部9間に架け渡して一対の壁部9を連結する板状の連結部10と、から構成してある。上記一対の壁部9は、車両前後方向から、上記ブッシュ8を挟んで対向配置する。その各壁部9には、取付け穴が開口している。そして、取付けボルト12が、各壁部9の取付け穴、及びブッシュ8内筒8aを同軸に貫通し、その取付けボルト12の先端部にナット13を螺合して締結する。これによって、前側車体側端部3bは、取付けボルト12を軸として上下へ揺動可能な状態で、取付けブラケット11に連結する。なお、内筒8aの両端部がそれぞれ壁部9に当接することで、当該内筒8aの軸方向(車両前後方向)への揺動を規制する。
【0014】
上記取付けブラケット11の連結部10は、ブッシュ8よりも車幅方向内方に位置する。そして、取付けブラケット11の連結部10が、横変位機構20を介して、サスペンションメンバ1の底面に連結する。
上記横変位機構20は、図3に示すようなシリンダ構造となっていて、シリンダ部材21、ピストン22、及びピストンロッド23を備える。
シリンダ部材21の軸は、平面視において、トランスバースリンク3Aと同軸となっている。すなわち、シリンダ部材21は、軸を略車幅方向に向けて配置してある。そのシリンダ部材21にはリブ24が一体に固定してある。そのリブ24を、サスペンションメンバから下方に延びるボルトにボルト止めによって固定する。
【0015】
そのシリンダ部材21内の中空部に、ピストン22を配置する。ピストン22は、上記中空部の内径面に案内を受けることで、シリンダ部材21の軸方向に沿って進退可能となっている。また、ピストン22は、上記中空部内を、車幅方向外側の第1室21aと、車両方向内側の第2室21bとに区画する。そのピストン22から、第1室21a側つまり車幅方向外方側に向けて、ピストンロッド23が延在する。ピストンロッド23は、上記シリンダ部材21の車幅方向外側底部を貫通している。ここで、符号25はオイルシールを示す。また、符号26はナットであって、そのナット26は、ピストン22に対し、ピストンロッド23を固定するためのものである。
【0016】
上記ピストンロッド23の先端部は、上記取付けブラケット11の連結部10に連結する。連結部10には、貫通穴が開口している。また、ピストンロッド23の先端部は、ねじ部となっている。そのねじ部は、上記貫通孔に遊挿可能な径、つまり貫通孔よりも小径である。そして、貫通孔を貫通するねじ部に、連結部10を挟んで一対のナット27,28を螺合し、その各ナット27,28と連結部10との間にそれぞれ板状の緩衝材29,30(ゴム材などからなる。)を介挿させる。上記連結部10へのピストンロッド23の取付けは、例えば次のように行う。上記ねじ部に対し、第1のナット23及び第1の緩衝材29を取り付けた状態で貫通穴を貫通させ、そのねじ部に更に第2の緩衝材30を取り付けて、第2のナット28で締め付ける。
【0017】
上記ピストン22に、図3に示すように、第1室21aと第2室21bとを連通するオリフィス31(反力発生機構)を設ける。このオリフィス31の流路抵抗によって、横変位機構20の伸縮は、速度依存性を有する。このオリフィス31が減衰力発生機構となる。
また、ピストン22のストローク量を規制するストローク量規制手段を備える。そのストローク量規制手段について説明する。上記ピストン22を、中空部内におけるアクスル2側に寄せて配置する。すなわち、ピストン22のアクスル2側へのストローク量を小さく設定する。また、第2室21b内に円板状の隔壁板32を設ける。隔壁板32とピストン22との間のスパンは、ピストン22と第1室21aの底面との間のスパンと同量若しくは略同量に設定してある。これによって、ピストン22の車幅方向内方側へのストローク量を、小さく規制する。そして、例えば、ピストン22のストローク量を、操舵輪を転舵させるタイロッドの進退量相当に設定する。
【0018】
また、ピストン22の位置を初期位置に付勢するバネ部材33を備える。そのバネ部材33は、第1室21a及び第2室21bに配置する。具体的には、第1のバネ部材33を第1室21aに配置し、第2のバネ部材33を第2室21bに配置する。第1のバネ部材33は、コイルスプリングからなり、車輪側端部を第1室21aの底面に着座させると共に車体側端部をピストン22に着座させる。第2のバネ部材33は、コイルスプリングからなり、車輪側端部を上記隔壁板32に着座させると共に車体側端部をピストン22に着座させる。
【0019】
また、図5に示すように、ピストン22の周面に、複数の案内溝22aを形成する。複数の案内溝22aは、ピストン22の軸に対称な位置に設ける。各案内溝22aはピストン22の軸方向に延びる。シリンダ部材21内周面には、上記各案内溝22aと径方向で対向した凸部からなるキー35を有する。キー35も、軸方向に延びる。この案内溝22a及びキー35によって、ピストン22は、シリンダ部材21に対し、回転変位が規制された状態でストローク可能となる。
【0020】
また、第2室21b内にフリーピストン38を配置する。そのフリーピストン38で、第2室21b内をさらに2つの室に画成する。すなわち、第2室21bを、第2内室21b−2と第2外室21b−1に区画する。フリーピストン38は、上記隔壁板32よりも車幅方向内側位置であって、シリンダ部材21の底板に近い側に配置する。
ここで、シリンダ部材21の中空部における、フリーピストン38よりも車幅方向外側の空間、つまり第1室21a及び第2外室21b−1には作動油を収容する。また、フリーピストン38よりも車幅方向内側の空間、つまり第2内室21b−2には空気を収容する。このフリーピストン38は、ピストンロッド23収縮によって、ピストンロッド23がシリンダ部材21内に入り込むことで、シリンダ部材21内の容積が小さくなることに対応するために設ける。
【0021】
また、上記アクスル2には車両前後前方に延びるアームを備える。そのアームの先端部に対し、図1及び図2に示すように、タイロッド36の先端部がボールジョイントによって連結する。タイロッド36は、操舵装置の一部を構成する。
上記タイロッド36の車幅方向内側の端部は、ステアリング装置のステアリングラック部37に連結する。ステアリングラック部37は、軸Rを車幅方向に向けて配置してある。そして、ステアリングホイール39の操舵に応じて、タイロッド36の車幅方向内側の端部が車幅方向に変位することで、アクスル2、及びそのアクスル2が支持する車輪5を転舵する。なお、ステアリング入力は、運転者によるステアリングホイール操作とは別に、アシストモータなどのアクチュエータによって実施する場合もある。
【0022】
上記ステアリングラック部37のステアリングラック軸Rは、トランスバースリンク3Aよりも車両前後方向前側に位置する。また、上記ステアリングラック部37を、サスペンションメンバ1にブッシュを介して弾性支持させる。なお、主として横力を受けないサスペンションリンクは、上記ステアリングラック軸Rよりも車両前後方向前側に位置していても構わない。例えば、アッパアーム4の一方の車体側取付け部が、ステアリングラック軸Rよりも車両前後方向前側に位置していても良い。
ここで、アクスル2が車輪支持部材を構成する。サスペンションメンバ1が車体側部材を構成する。トランスバースリンク3Aがサスペンションリンクを構成する。車輪側端部3aは車輪側端部を構成する。前側車体側端部3bは、車体側端部を構成する。取付けボルト12が、軸部材を構成する。溝22a及びキー35が、案内機構を構成する。
【0023】
(動作・作用)
次に、図6を参照して、動作について、説明する。
「直進状態」
車両が直進走行状態では、トランスバースリンク3Aへの横力入力は小さい。このため、上記前側車体側端部3bは、図6(a)のようになっている。すなわち、ピストン22は、位置決め用のバネ部材33によって中立位置(初期位置)に位置している。また、ロアアーム3に入力する振動は、ブッシュ8によって吸収する。また横方向荷重については、ピストン22が微振動することでも吸収する。
【0024】
また、ロアアーム3は、取付けボルト12を軸として上下に揺動することで、サスペンションストロークを生じる。ここで、前側車体側端部3bに入力する上下方向や車幅方向などの荷重は、ピストンロッド23に伝達する。この伝達した力は、ピストンロッド23、及びピストン22からシリンダ部材21を通じて車体側部材であるサスペンションメンバ1に伝達する。これによって、車体側部材は、横変位機構20を介して、取付けブラケット11を支持する。オリフィス31が減衰力機構を構成する。
【0025】
「操舵時」
運転者がステアリングホイール39を操舵操作したとする。
この運転者の操舵入力によってタイロッド36が車幅方向に変位して、操舵輪である前輪5が転舵する。これによって、前輪5にスリップ角が発生し、タイヤに横力が発生する。その横力は、主としてロアリンクのトランスバースリンク3Aとステアリングラック部37で負担する。すなわち、上記横力は、トランスバースリンク3Aとステアリングラック部37に分散して車体側に伝達する。
トランスバースリンク3Aに軸方向の荷重、つまり横力が入力すると、その横力は、前側車体側端部3bに設けたブッシュ8に入力すると共に、取付けブラケット11を介して横変位機構20のピストンロッド23に伝達する。
【0026】
このとき、操舵初期においては、荷重を受けた横変位機構20は、ピストンロッド23に連結したピストン22が微振幅をしている状態(図6(a)の状態)から、図6(b)の状態となり、減衰力機構で減衰力による反力を発生し、ピストンロッド23の変位を抑制する。すなわち、横力入力速度が早いため横変位機構20の横剛性が高い。従って、ブッシュ8の横剛性を高く設定しておくことで、サスペンションの過渡的な横剛性が高まり、操舵初期の応答性が向上する。なお、直進状態では、上述のようにピストン22が微振動して横力を吸収する。このためブッシュ8自体の横剛性を高くしても、トランスバースリンク3Aの横力に対する、直進走行時の支持剛性を適正な値にすることが可能である。
【0027】
続く、操舵初期以降である操舵中後期では、トランスバースリンク3Aへの横力の入力速度が低下する。このため、減衰力による反力は減少し、同時に、位置決め用のバネ部材33で反力を発生するようになる。この結果、トランスバースリンク3Aの車体側取付け部の車幅方向への変位が徐々に大きくなる。これによって徐々に横力コントローラステアが増加するジオメトリ配置になる。またステア量についても、ブッシュ8を大きくしなくても横変位機構20側を調整することで所望の値とすることが可能である。
【0028】
「定常旋回時」
また、定常旋回状態では、トランスバースリンク3Aの荷重入力を、すべて位置決め用のバネ部材33が受け持つ。すなわち、図6(c)のように、トランスバースリンク3Aは軸方向に最大ストロークした状態となって、横力コンプライアンスステアを大きくとることが可能である。すなわち、ブッシュ8による最大撓み以上にトランスバースリンク3Aを横方向に変位させることが出来る。
ここで、この定常状態からの過渡的な操舵入力に対しても、横力の入力速度が高いことから、減衰発生機構により反力を発生して、瞬時に横剛性を高めることができる。このため、旋回中の切り増しシーンでの操舵応答性も向上できる。
【0029】
「全体的な説明」
まず、ブッシュ8の横力入力に対する応答について説明する。操舵入力によって、トランスバースリンク3Aが横力を受けた場合、上記前側車体側端部3bに設けたブッシュ8への入力荷重の時間的変化は、図7のようになる。そして、上記ブッシュ8は、図8中Aで示すように、その入力荷重に沿った変形を発生する。
一方、横変位機構20は、操舵入力初期(横力入力初期)の横剛性が高く、それに続く操舵初期以降では、相対的に横剛性が低くなる。また、最大ストロークまでストロークすると、横力が大きくなっても変形しない、つまり横剛性が高くなる。
また、横変位機構20でも、横方向の変位が発生するので、上記ブッシュ8の横剛性を高く設定しておくことが出来る。この場合には、図8中Bで示すように、操舵入力に対して、トランスバースリンク3Aの変位挙動を持たせることが可能となる。
すなわち、操舵入力初期の車両の応答性を高めつつ、その後の所望のコンプライアンスステアを確保することが可能となる。
【0030】
更に詳説する。発明者らは、鋭意研究した結果、次のような知見を得た。
すなわち、操舵過渡応答性に影響の高いサスペンション静特性の効果を調査した結果、効果が現れるタイミングに時間差がある事が判明した。すなわち、フロントサスペンションの横剛性は操舵初期に上げる方が有効で、横力コンプライアンスステアは中後期に大きくとる方が有効と分かった。そして、本実施形態を採用することで、操舵過渡の時系列で両者を必要なタイミングに各々の性能を発揮させる事が可能となる。つまり、操舵の際の、初期応答と中後期のリニアリティの両立が可能になる。
【0031】
つまり、操舵初期のトランスバースリンク3Aの横剛性を高くすることで、操舵初期の応答が高くなって、操舵入力に対しリニアな挙動となる。その後、横力コンプライアンスステアの影響で、滑らかに車両が曲がるようになる。
ここで、一般にステアリングラック前置きレイアウトの車両において、フロントサスペンションの横剛性と横力コンプライアンスステア(横力コンプライアンスステア)の両性能を両立する事は構造上難しく、トレードオフ関係であることが分かっている。特に、両性能に寄与の高いトランスバースリンク3Aの車体側端部に設けるブッシュ8(以下トランスバースリンク3Aのブッシュ8)は、横剛性を上げるためには高剛性化が必要で、横力コンプライアンスステアを上げるには低剛性化が必要といった関係がある。
【0032】
これに対し、本実施形態では、トランスバースリンク3Aのブッシュ8の横剛性を高めに設定しておくことで、トランスバースリンク3Aを、操舵初期は変位させず横剛性を上げる。一方、操舵初期以降の操舵中後期では、横変位機構20がストロークすることで、トランスバースリンク3Aを変位させて横力コンプライアンスステアを向上させる。すなわち、サスペンションを、コンベンショナルな構造と出来る。
なお、トランスバースリンク3A自体に、上記横変位機構20を設ける事も可能であるが、リンク構造が複雑になって加工に手間が掛かると共に、トランスバースリンク3A自体が重くなってしまう。
【0033】
(本実施形態の効果)
(1)主として横力を受けるサスペンションリンクであるトランスバースリンク3Aを、ステアリングラック軸に対し車両前後方向後側に配置する。横変位機構20は、反力発生装置であるオリフィス31が発生する減衰力により、トランスバースリンク3Aの車体側部材への取付け部における支持剛性について、操舵初期の剛性を、操舵初期経過後の剛性よりも高くする。ここで、取付けブラケット11と車体側部材である前側車体側端部3bとの相対変位の速度は、操舵初期が操舵初期経過後に対して、大きくなる。
これによって、操舵初期の応答が高くなって、操舵入力に対しリニアな挙動となる。その後、横力コンプライアンスステアの影響で、滑らかに車両が曲がるようになる。
【0034】
(2)トランスバースリンク3Aの車体側端部(前側車体側端部3b)を上下方向へ揺動可能に取付けブラケット11に連結し、取付けブラケット11を、横変位機構20を介して車体側部材に取り付ける。また、上記横変位機構20を、横力の入力速度が大きいほど剛性が高い機構とする。
このような構成とすることで、次の効果を奏する。
横変位機構20は、横力の入力速度が大きいほど剛性が高い機構であるので、横力入力初期の剛性が、それ以降の横力入力中期などの剛性よりも高くなる。これによって、横変位機構20は、相対的に操舵初期の横剛性が高く、それに続く操舵中期の横剛性が低くなる。
【0035】
そして、トランスバースリンク3Aを、上記横変位機構20を介して車体側部材に取り付けるので、横力入力初期の剛性をその後の剛性よりも高く設定することが可能となる。
また、横変位機構20によってトランスバースリンク3Aの支持剛性を変更するので、制御部などを使用することなく、横力の入力に対するサスペンションリンクの横剛性を変更可能とすることが可能となる。
また、横変位機構20はトランスバースリンク3A自体に設けないので、上下のサスペンションストロークする、リンク自体を重くすることがない。
なお、トランスバースリンク3Aは、ばね要素を持つ減衰発生機構を介して車体に連結する。このため、構造全体でのばねは低下し、トランスバースリンク3Aへのリンク入力に対する防振効果が高まる。このため、横変位機構20を設けても、ロードノイズの悪化はない。
【0036】
(3)上記横変位機構20は、減衰力発生機構によって、横力の入力速度が大きいほど剛性を高く設定する。減衰力発生機構によって、確実に、横力の入力速度が大きいほど剛性を高く設定出来る。
(4)横変位機構20のピストン22を初期位置に付勢するバネ部材33を備える。
これによって、軸方向荷重が入らない、若しくは小さい状態における、トランスバースリンク3Aの車体側端部の位置決めが出来る。
【0037】
(5)上記シリンダ部材21内径面とピストン22との間に、シリンダ部材21に対するピストン22の回転を防止しつつ当該ピストン22を進退方向に案内する案内機構を備える。
これによって、取付けブラケット11を、横変位機構20を介して車体側部材に支持させても、トランスバースリンク3Aが取付けブラケット11周りに回転することを防止できる。
【0038】
(6)上記ピストンロッド23と上記連結部10との間に緩衝材29,30を配置する。
これによって、取付けブラケット11からピストンロッド23への荷重伝達の際の異音発生を防止できる。
また、過度の入力に対して緩衝材29,30で吸入して、ピストンロッド23と上記連結部10との取付け部の損傷を抑える。
(7)上記シリンダ部材21内に、フリーピストン38を配置する。
横変位機構20が収縮すると、シリンダ部材21内に位置するピストンロッド23の体積が増加する。それに応じてフリーピストン38がストロークすることで、作動油の過圧縮を防止できる。
【0039】
(8)トランスバースリンク3Aの車両前後方向前側にステアリングラック軸Rを配置するサスペンション構造とする。
これによって、操舵初期の剛性を、操舵初期経過後の剛性よりも高くすることが可能となる。すなわち、操舵初期の操舵に対する応答性を高めると共に、それに続く操舵では、横力コンプライアンスによって、滑らかな旋回とすることが可能となる。
【0040】
なお、発明者らの鋭意検討によって、次の(a)及び(b)を発見したことに基づき、上記のように操舵過渡応答性を変化させている。
(a)タイヤ横剛性は、操舵初期においてブッシュ剛性の感度が高く、操舵後期においては、ブッシュ剛性の感度が低い。
(b)また、コンプライアンスステアは、操舵初期においてブッシュ剛性の感度が低く、操舵後期においてブッシュ剛性の感度が高い。
そして、本実施形態の構成を採用することで、タイヤ横剛性とコンプライアンスステアとを両立させている。
【0041】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記各実施形態と同様な部品等については同一の符号を付して説明する。
本実施形態の基本構成は、図9及び図10に示すように、上記第1実施形態と同様である。
取付けブラケット11の各壁部9に設ける取付け穴をそれぞれ、ブッシュ8の内筒8aの外径と同じ径とする。また、ブッシュ8の内筒8aを、第1実施形態の内筒8aよりも長くして、各壁部9の取付け穴を貫通させる。なお、取付け穴に対し内筒8aを圧入するなどして、取付け穴に対し、内筒8aの揺動が生じないようにする。なお、取付け穴と内筒8a外径面との間に緩衝材を介装してもよい。
【0042】
本実施形態では更に、上記取付けブラケット11の壁部9の外側のそれぞれ位置補強用ブラケット40を設けた。その位置補強用ブラケット40は、上端部をサスペンションメンバ1に固定する。
その位置補強用ブラケット40には取付けボルト12の軸部が貫通するガイド穴40aを形成する。そのガイド穴40aは、取付けボルト12の軸部12aが車幅方向にスライド可能な形状となっている。例えば、上下の幅が軸部の径と同じ大きさであるが、左右方向の寸法を軸部の径より大きい長穴とする。
その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。ただし、位置決め用の溝及びキー35は無くても良い。
【0043】
(動作・作用)
トランスバースリンク3Aが上下ストロークする際に軸部材である取付けボルト12に対し、上下方向荷重が入力する。このとき、位置補強用ブラケット40が、取付けボルト12が上下方向へ変位することを規制する。
また、位置補強用ブラケット40は、取付けボルト12の上下方向への変位を規制しても、ガイド穴40aで取付けボルト12を車幅方向に案内する。このため、横変位機構20の作用を阻害することはない。なお、位置補強用ブラケット40のガイド穴40aに内筒8aを遊挿させても良い。つまり、内筒8aを介して軸部材をガイドするようにしても良い。
ブッシュ8の内筒8aの車両前後方向への変位は、一対の壁部9で拘束する。このため、内筒8aを壁部9に固定している。
【0044】
(本実施形態の効果)
(1)位置補強用ブラケット40で、軸部材(取付けボルト12)を車幅方向に変位可能な状態で車体側部材に連結する。
これによって、軸部材(取付けボルト12)が上下に同方向及び逆方向に変位するような荷重は、位置補強用ブラケット40で負担する。つまり、位置補強用ブラケット40で、トランスバースリンク3Aが上下方向に変位する際の荷重及び、ねじり方向に変位する際の荷重を受ける。この結果、この荷重を横変位機構20で負担する必要がないか、小さくなる。この分、ピストン22のストロークが滑らかになる。つまり、ストローク時の摩擦抵抗を低く出来る。また、その分、横変位機構20の剛性を下げることが可能となる。
【0045】
(2)また、ねじ方向の荷重を位置補強用ブラケット40で受けるので、案内機構が不要となる。案内機構が無い分、ストローク時の摩擦抵抗を低く出来る。
(3)また、トランスバースリンク3Aの車体側端部を、車幅方向に離れた、横変位機構20と位置補強用ブラケット40に設ける。これによって、車体側端部の取付け剛性を高くすることが可能である。
本実施形態では、横変位機構20側の取付け点を車幅方向内側に配置して、取付け点間の距離を稼いでいる。
(4)軸部材の案内を、位置補強用ブラケット40に設けたガイド穴40aによって行う。
これによって、簡易な構造で軸部材を案内可能となる。
【0046】
(変形例)
(1)上記実施形態では、位置補強用ブラケット40に設けるガイド穴40aで軸部材(取付けボルト12)を案内している。これに代えて、軸部材の端部を挿入して車幅方向に延びるガイド溝を設けても良い。
この場合には、軸部材の車両前後方向への変位規制も、位置補強用ブラケット40に負担させることが可能となる。この場合には、壁部9に対して、軸回転可能な状態で内筒8aを貫通させても良い。
【0047】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様な部品などについては同一の符号を付して説明する。
本実施形態では、図11及び図12に示すように、横変位機構20を構成するシリンダ部材21を、サスペンションメンバ1の幅方向スパンに近い長さまで長くする。すなわち、シリンダ部材21の両端部をそれぞれ左右の取付けブラケット11の近傍まで延ばす。
また、ピストン22から左右にそれぞれピストンロッド23を延ばして、各ピストンロッド23の先端部を取付けブラケット11に連結する。
左右にピストンロッド23を延ばすので、フリーピストン38は省略する。
その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。なお、第2実施形態の構成を採用しても良い、
【0048】
(作用効果)
(1)左右のトランスバースリンク3Aの車体側端部を、横変位機構20のピストンロッド23で連結する。これによって、横力コンプライアンスステアの左右のバラツキをなくすことができる。
(2)ピストンロッド23が進退しても、シリンダ部材21内に位置するピストンロッド23の体積は等しくなる。この結果、ピストンロッド23の侵入ストロークによる空気抜きが必要なくなる。つまりフリーピストン38が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に基づく第1実施形態に係るサスペンション構造を示す模式的な平面図である。
【図2】本発明に基づく第1実施形態に係るサスペンションリンクを示す下方から見た図である。
【図3】本発明に基づく第1実施形態に係る横変位機構を説明する平面図である。
【図4】本発明に基づく第1実施形態に係る横変位機構を説明する側面図である。
【図5】本発明に基づく第1実施形態に係るシリンダ部材とピストンの関係を示す断面図である。
【図6】本発明に基づく第1実施形態に係る横変位機構の挙動を説明するための図である。
【図7】トランスバースリンクのブッシュへの横力の入力に対する時間推移を示す図である。
【図8】横力入力に対する時間推移を示す図である。
【図9】本発明に基づく第2実施形態に係る横変位機構を説明する平面図である。
【図10】本発明に基づく第2実施形態に係る横変位機構を説明する側面図である。
【図11】本発明に基づく第3実施形態に係る横変位機構を説明する平面図である。
【図12】本発明に基づく第3実施形態に係る横変位機構の配置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 サスペンションメンバ(車体側部材)
2 アクスル(車輪支持部材)
3,4 サスペンションアーム
3A トランスバースリンク(サスペンションリンク)
3a 車輪側端部(車輪側端部)
3b 前側車体側端部(車体側端部)
5 車輪
8 ブッシュ
8a 内筒
9 壁部
10 連結部
11 取付けブラケット
12 取付けボルト(軸部材)
12a 軸部
20 横変位機構
21 シリンダ部材
22 ピストン
22a 案内溝(案内機構)
23 ピストンロッド
29,30 緩衝材
31 オリフィス(反力発生機構/減衰力発生機構)
32 隔壁板
33 バネ部材
35 キー(案内機構)
36 タイロッド
37 ステアリングラック部
38 フリーピストン
40 位置補強用ブラケット
40a ガイド穴
R ステアリングラック軸
【技術分野】
【0001】
本発明は、車輪を回転自在に支持する車輪支持部材を車体部材に連結するサスペンション構造、特にサスペンションリンクの取付け構造に特徴のある技術である。
【背景技術】
【0002】
サスペンションリンクの車体部材への取付け構造は、通常、特許文献1に記載の構造となっている。すなわち、サスペンションリンクの車体側端部(円筒形状の接続部)にブッシュを設ける。ブッシュは、入れ子状に配置した外筒と内筒との間に弾性体を介装して構成する。そして、ブッシュの内筒を貫通する取付けボルトを、車体側部材に固定した取付けブラケットに支持させる。これによって、サスペンションリンクは、上記取付けボルトを軸として上下に揺動可能となる。
【0003】
また特許文献1では、上記ブッシュの弾性体内部に、高分子アクチュエータを埋設する。この高分子アクチュエータは、導電性高分子材料を電解質に接触させた構成となっている。そして、導電性高分子材料の電位を電解質の電位よりも高くすることで、導電性分子材料が伸長し、また、導電性高分子材料の電位を電解質の電位よりも低くすることで、導電性分子材料が収縮する。このように高分子アクチュエータを伸縮駆動させることで、ブッシュのばね定数を変更可能とする。
【0004】
上記構成によって、特許文献1では、旋回時におけるサスペンション装置の剛性の確保、及び直進走行時における乗り心地向上を図る。そして、特許文献1では、次のことが開示してある。すなわち、車両の高速旋回時に所定以上の横加速度を検出すると、高分子アクチュエータを伸長方向に作動させる。これによってばね定数を大きくしてサスペンション装置の剛性を高める。
【特許文献1】特開2005−127386号公報(図2,段落番号0022参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術は、車両の高速旋回時に所定以上の横加速度を検出すると、ブッシュ剛性を高めて、旋回時におけるサスペンション装置の剛性を確保するものである。この機能により、旋回時に、車両の向きを変える応答性を向上することが可能となるが、車輪に加わる車両幅方向の横入力による車輪の姿勢の変化は小さくなるため、コンプライアンスステア特性を十分に確保することができない。
本発明は、旋回時の車両の向きを変える応答性とコンプライアンス特性とを両立させることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、サスペンションリンクの車体側端部を上下揺動可能に支持するブラケットを、横変位機構を介して車体側部材に取り付ける。上記横変位機構は、取付けブラケットと車体側部材とを弾性的に連結して、取付けブラケットと車体側部材との相対変位の速度が大きいほど反力を高くする機構となっている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両が旋回する時の車両の向きを変える応答性とコンプライアンス特性とを両立させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
(第1実施形態)
次に、本発明に係る実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態のサスペンション構造を説明する模式的平面図である。図2は、そのサスペンション構造のリンク構成を下方からみた平面図である。
(構成)
本実施形態のサスペンションは、フロントサスペンションである。
図1及び図2中、符号1は、車体フレーム(不図示)が支持するサスペンションメンバを示す。サスペンションメンバ1は、車体フレームに対し直接に固定するか、若しくは車体フレームに対しインシュレータを介して弾性的に連結した状態となっている。そのサスペンションメンバ1に対し、アクスル2が揺動可能に連結する。そのアクスル2の連結は、サスペンションアーム3,4及びショックアブソーバを介して行う。なお、アクスル2は、車輪5を回転自在に支持する。
【0009】
上記サスペンションアームとして、アッパアーム4及びロアアーム3を備える。なお、本実施形態のサスペンションでは、タイヤ横力は、主としてロアアーム3側で受ける。
アッパアーム4は、Aアームからなる。アッパアーム4は、車輪側端部をアクスル2の上部に連結すると共に、車体側端部をサスペンションメンバ1に連結する。
ロアアーム3は、Aアームからなる。そのロアアーム3は、車輪側端部3aをアクスル2の下部に連結すると共に、2箇所の車体側端部3b、3cをサスペンションメンバ1に連結する。アクスル2の下部とはホイールセンタよりも下側を指す。すなわち、ロアアーム3の車輪側端部3aは、ボールジョイントによってアクスル2の下部に連結する。ロアアーム3における2箇所の車体側端部3b、3cは、車両前後方向に離隔している。ここでは、その2つの車体側端部3b、3cを、前側車体側端部3bと後側車体側端部3cと呼ぶ。
【0010】
上記ロアアーム3は、2本のロアリンクを一体に構成したものである。すなわち、ロアアーム3は、第1及び第2のロアリンク3A、3Bを構成する。そして、車輪側端部3aと前側車体側端部3bとを連結する部分が第1のロアリンク3Aを構成し、車輪側端部3aと後側車体側端部3cとを連結する部分が第2のロアリンク3Bを構成する。
第1のロアリンク3Aのリンク軸は、平面視において、第2のロアリンク3Bのリンク軸よりも、車幅方向に対する車両前後方向の傾きが小さい。図2では、第1のロアリンクのリンク軸がほぼ車幅方向に延在する場合を図示している。なお、リンク軸は、アクスル2への取付け部と車体側部材への取付け部とを通過する直線の位置にある。
【0011】
つまり、本実施形態では、主として横力を受けるサスペンションリンクは、第1のロアリンク3Aである。以下、この第1のロアリンク3Aをトランスバースリンク3Aと呼ぶ。そのトランスバースリンク3Aの車体側取付け構造、つまり、前側車体側端部3bの取付け構造については、後述する。
まず、後側車体側端部3cの取付け構造について説明する。後側車体側端部3cは、車両前後方向後方に延びるロッド部からなる。そのロッド部が、ブッシュ6を介して車体側部材に連結する。すなわち、ロッド部をブッシュ6の内筒内に取付け、ブッシュ6の外筒をブラケット7に固定する。そのブラケット7を車体側部材に固定する。これによって、後側車体側端部3cは、ブラケットに上下揺動可能に連結する。後側車体側端部3cを取り付ける車体側部材は、例えば車体フレームである。
【0012】
次に、トランスバースリンク3Aの車体側取付け構造、つまり前側車体側端部3bの取付け構造について、図3及び図4を参照して説明する。
前側車体側端部3bを、ブッシュ8を介して取付けブラケット11に取り付ける。
前側車体側端部3bは、車両前後方向に軸を向けた筒形状となっている。また、ブッシュ8は、入れ子状に配置した内筒8aと外筒との間に、ゴムなどの弾性体を介装した構成となっている。なお、上述のブッシュ8も同様な構造である。なお、内筒8aは外筒よりも長い。すなわち、内筒8aの両側は、外筒よりも軸方向外側に張り出している。
そして、前側車体側端部3bの筒形状の中空部に対して、上記ブッシュ8を圧入などで固定する。すなわち、ブッシュ8の外筒を前側車体側端部3bに固定する。
【0013】
上記取付けブラケット11は、平面視でコ字形状をしている。すなわち、取付けブラケット11は、一対の壁部9と、その一対の壁部9間に架け渡して一対の壁部9を連結する板状の連結部10と、から構成してある。上記一対の壁部9は、車両前後方向から、上記ブッシュ8を挟んで対向配置する。その各壁部9には、取付け穴が開口している。そして、取付けボルト12が、各壁部9の取付け穴、及びブッシュ8内筒8aを同軸に貫通し、その取付けボルト12の先端部にナット13を螺合して締結する。これによって、前側車体側端部3bは、取付けボルト12を軸として上下へ揺動可能な状態で、取付けブラケット11に連結する。なお、内筒8aの両端部がそれぞれ壁部9に当接することで、当該内筒8aの軸方向(車両前後方向)への揺動を規制する。
【0014】
上記取付けブラケット11の連結部10は、ブッシュ8よりも車幅方向内方に位置する。そして、取付けブラケット11の連結部10が、横変位機構20を介して、サスペンションメンバ1の底面に連結する。
上記横変位機構20は、図3に示すようなシリンダ構造となっていて、シリンダ部材21、ピストン22、及びピストンロッド23を備える。
シリンダ部材21の軸は、平面視において、トランスバースリンク3Aと同軸となっている。すなわち、シリンダ部材21は、軸を略車幅方向に向けて配置してある。そのシリンダ部材21にはリブ24が一体に固定してある。そのリブ24を、サスペンションメンバから下方に延びるボルトにボルト止めによって固定する。
【0015】
そのシリンダ部材21内の中空部に、ピストン22を配置する。ピストン22は、上記中空部の内径面に案内を受けることで、シリンダ部材21の軸方向に沿って進退可能となっている。また、ピストン22は、上記中空部内を、車幅方向外側の第1室21aと、車両方向内側の第2室21bとに区画する。そのピストン22から、第1室21a側つまり車幅方向外方側に向けて、ピストンロッド23が延在する。ピストンロッド23は、上記シリンダ部材21の車幅方向外側底部を貫通している。ここで、符号25はオイルシールを示す。また、符号26はナットであって、そのナット26は、ピストン22に対し、ピストンロッド23を固定するためのものである。
【0016】
上記ピストンロッド23の先端部は、上記取付けブラケット11の連結部10に連結する。連結部10には、貫通穴が開口している。また、ピストンロッド23の先端部は、ねじ部となっている。そのねじ部は、上記貫通孔に遊挿可能な径、つまり貫通孔よりも小径である。そして、貫通孔を貫通するねじ部に、連結部10を挟んで一対のナット27,28を螺合し、その各ナット27,28と連結部10との間にそれぞれ板状の緩衝材29,30(ゴム材などからなる。)を介挿させる。上記連結部10へのピストンロッド23の取付けは、例えば次のように行う。上記ねじ部に対し、第1のナット23及び第1の緩衝材29を取り付けた状態で貫通穴を貫通させ、そのねじ部に更に第2の緩衝材30を取り付けて、第2のナット28で締め付ける。
【0017】
上記ピストン22に、図3に示すように、第1室21aと第2室21bとを連通するオリフィス31(反力発生機構)を設ける。このオリフィス31の流路抵抗によって、横変位機構20の伸縮は、速度依存性を有する。このオリフィス31が減衰力発生機構となる。
また、ピストン22のストローク量を規制するストローク量規制手段を備える。そのストローク量規制手段について説明する。上記ピストン22を、中空部内におけるアクスル2側に寄せて配置する。すなわち、ピストン22のアクスル2側へのストローク量を小さく設定する。また、第2室21b内に円板状の隔壁板32を設ける。隔壁板32とピストン22との間のスパンは、ピストン22と第1室21aの底面との間のスパンと同量若しくは略同量に設定してある。これによって、ピストン22の車幅方向内方側へのストローク量を、小さく規制する。そして、例えば、ピストン22のストローク量を、操舵輪を転舵させるタイロッドの進退量相当に設定する。
【0018】
また、ピストン22の位置を初期位置に付勢するバネ部材33を備える。そのバネ部材33は、第1室21a及び第2室21bに配置する。具体的には、第1のバネ部材33を第1室21aに配置し、第2のバネ部材33を第2室21bに配置する。第1のバネ部材33は、コイルスプリングからなり、車輪側端部を第1室21aの底面に着座させると共に車体側端部をピストン22に着座させる。第2のバネ部材33は、コイルスプリングからなり、車輪側端部を上記隔壁板32に着座させると共に車体側端部をピストン22に着座させる。
【0019】
また、図5に示すように、ピストン22の周面に、複数の案内溝22aを形成する。複数の案内溝22aは、ピストン22の軸に対称な位置に設ける。各案内溝22aはピストン22の軸方向に延びる。シリンダ部材21内周面には、上記各案内溝22aと径方向で対向した凸部からなるキー35を有する。キー35も、軸方向に延びる。この案内溝22a及びキー35によって、ピストン22は、シリンダ部材21に対し、回転変位が規制された状態でストローク可能となる。
【0020】
また、第2室21b内にフリーピストン38を配置する。そのフリーピストン38で、第2室21b内をさらに2つの室に画成する。すなわち、第2室21bを、第2内室21b−2と第2外室21b−1に区画する。フリーピストン38は、上記隔壁板32よりも車幅方向内側位置であって、シリンダ部材21の底板に近い側に配置する。
ここで、シリンダ部材21の中空部における、フリーピストン38よりも車幅方向外側の空間、つまり第1室21a及び第2外室21b−1には作動油を収容する。また、フリーピストン38よりも車幅方向内側の空間、つまり第2内室21b−2には空気を収容する。このフリーピストン38は、ピストンロッド23収縮によって、ピストンロッド23がシリンダ部材21内に入り込むことで、シリンダ部材21内の容積が小さくなることに対応するために設ける。
【0021】
また、上記アクスル2には車両前後前方に延びるアームを備える。そのアームの先端部に対し、図1及び図2に示すように、タイロッド36の先端部がボールジョイントによって連結する。タイロッド36は、操舵装置の一部を構成する。
上記タイロッド36の車幅方向内側の端部は、ステアリング装置のステアリングラック部37に連結する。ステアリングラック部37は、軸Rを車幅方向に向けて配置してある。そして、ステアリングホイール39の操舵に応じて、タイロッド36の車幅方向内側の端部が車幅方向に変位することで、アクスル2、及びそのアクスル2が支持する車輪5を転舵する。なお、ステアリング入力は、運転者によるステアリングホイール操作とは別に、アシストモータなどのアクチュエータによって実施する場合もある。
【0022】
上記ステアリングラック部37のステアリングラック軸Rは、トランスバースリンク3Aよりも車両前後方向前側に位置する。また、上記ステアリングラック部37を、サスペンションメンバ1にブッシュを介して弾性支持させる。なお、主として横力を受けないサスペンションリンクは、上記ステアリングラック軸Rよりも車両前後方向前側に位置していても構わない。例えば、アッパアーム4の一方の車体側取付け部が、ステアリングラック軸Rよりも車両前後方向前側に位置していても良い。
ここで、アクスル2が車輪支持部材を構成する。サスペンションメンバ1が車体側部材を構成する。トランスバースリンク3Aがサスペンションリンクを構成する。車輪側端部3aは車輪側端部を構成する。前側車体側端部3bは、車体側端部を構成する。取付けボルト12が、軸部材を構成する。溝22a及びキー35が、案内機構を構成する。
【0023】
(動作・作用)
次に、図6を参照して、動作について、説明する。
「直進状態」
車両が直進走行状態では、トランスバースリンク3Aへの横力入力は小さい。このため、上記前側車体側端部3bは、図6(a)のようになっている。すなわち、ピストン22は、位置決め用のバネ部材33によって中立位置(初期位置)に位置している。また、ロアアーム3に入力する振動は、ブッシュ8によって吸収する。また横方向荷重については、ピストン22が微振動することでも吸収する。
【0024】
また、ロアアーム3は、取付けボルト12を軸として上下に揺動することで、サスペンションストロークを生じる。ここで、前側車体側端部3bに入力する上下方向や車幅方向などの荷重は、ピストンロッド23に伝達する。この伝達した力は、ピストンロッド23、及びピストン22からシリンダ部材21を通じて車体側部材であるサスペンションメンバ1に伝達する。これによって、車体側部材は、横変位機構20を介して、取付けブラケット11を支持する。オリフィス31が減衰力機構を構成する。
【0025】
「操舵時」
運転者がステアリングホイール39を操舵操作したとする。
この運転者の操舵入力によってタイロッド36が車幅方向に変位して、操舵輪である前輪5が転舵する。これによって、前輪5にスリップ角が発生し、タイヤに横力が発生する。その横力は、主としてロアリンクのトランスバースリンク3Aとステアリングラック部37で負担する。すなわち、上記横力は、トランスバースリンク3Aとステアリングラック部37に分散して車体側に伝達する。
トランスバースリンク3Aに軸方向の荷重、つまり横力が入力すると、その横力は、前側車体側端部3bに設けたブッシュ8に入力すると共に、取付けブラケット11を介して横変位機構20のピストンロッド23に伝達する。
【0026】
このとき、操舵初期においては、荷重を受けた横変位機構20は、ピストンロッド23に連結したピストン22が微振幅をしている状態(図6(a)の状態)から、図6(b)の状態となり、減衰力機構で減衰力による反力を発生し、ピストンロッド23の変位を抑制する。すなわち、横力入力速度が早いため横変位機構20の横剛性が高い。従って、ブッシュ8の横剛性を高く設定しておくことで、サスペンションの過渡的な横剛性が高まり、操舵初期の応答性が向上する。なお、直進状態では、上述のようにピストン22が微振動して横力を吸収する。このためブッシュ8自体の横剛性を高くしても、トランスバースリンク3Aの横力に対する、直進走行時の支持剛性を適正な値にすることが可能である。
【0027】
続く、操舵初期以降である操舵中後期では、トランスバースリンク3Aへの横力の入力速度が低下する。このため、減衰力による反力は減少し、同時に、位置決め用のバネ部材33で反力を発生するようになる。この結果、トランスバースリンク3Aの車体側取付け部の車幅方向への変位が徐々に大きくなる。これによって徐々に横力コントローラステアが増加するジオメトリ配置になる。またステア量についても、ブッシュ8を大きくしなくても横変位機構20側を調整することで所望の値とすることが可能である。
【0028】
「定常旋回時」
また、定常旋回状態では、トランスバースリンク3Aの荷重入力を、すべて位置決め用のバネ部材33が受け持つ。すなわち、図6(c)のように、トランスバースリンク3Aは軸方向に最大ストロークした状態となって、横力コンプライアンスステアを大きくとることが可能である。すなわち、ブッシュ8による最大撓み以上にトランスバースリンク3Aを横方向に変位させることが出来る。
ここで、この定常状態からの過渡的な操舵入力に対しても、横力の入力速度が高いことから、減衰発生機構により反力を発生して、瞬時に横剛性を高めることができる。このため、旋回中の切り増しシーンでの操舵応答性も向上できる。
【0029】
「全体的な説明」
まず、ブッシュ8の横力入力に対する応答について説明する。操舵入力によって、トランスバースリンク3Aが横力を受けた場合、上記前側車体側端部3bに設けたブッシュ8への入力荷重の時間的変化は、図7のようになる。そして、上記ブッシュ8は、図8中Aで示すように、その入力荷重に沿った変形を発生する。
一方、横変位機構20は、操舵入力初期(横力入力初期)の横剛性が高く、それに続く操舵初期以降では、相対的に横剛性が低くなる。また、最大ストロークまでストロークすると、横力が大きくなっても変形しない、つまり横剛性が高くなる。
また、横変位機構20でも、横方向の変位が発生するので、上記ブッシュ8の横剛性を高く設定しておくことが出来る。この場合には、図8中Bで示すように、操舵入力に対して、トランスバースリンク3Aの変位挙動を持たせることが可能となる。
すなわち、操舵入力初期の車両の応答性を高めつつ、その後の所望のコンプライアンスステアを確保することが可能となる。
【0030】
更に詳説する。発明者らは、鋭意研究した結果、次のような知見を得た。
すなわち、操舵過渡応答性に影響の高いサスペンション静特性の効果を調査した結果、効果が現れるタイミングに時間差がある事が判明した。すなわち、フロントサスペンションの横剛性は操舵初期に上げる方が有効で、横力コンプライアンスステアは中後期に大きくとる方が有効と分かった。そして、本実施形態を採用することで、操舵過渡の時系列で両者を必要なタイミングに各々の性能を発揮させる事が可能となる。つまり、操舵の際の、初期応答と中後期のリニアリティの両立が可能になる。
【0031】
つまり、操舵初期のトランスバースリンク3Aの横剛性を高くすることで、操舵初期の応答が高くなって、操舵入力に対しリニアな挙動となる。その後、横力コンプライアンスステアの影響で、滑らかに車両が曲がるようになる。
ここで、一般にステアリングラック前置きレイアウトの車両において、フロントサスペンションの横剛性と横力コンプライアンスステア(横力コンプライアンスステア)の両性能を両立する事は構造上難しく、トレードオフ関係であることが分かっている。特に、両性能に寄与の高いトランスバースリンク3Aの車体側端部に設けるブッシュ8(以下トランスバースリンク3Aのブッシュ8)は、横剛性を上げるためには高剛性化が必要で、横力コンプライアンスステアを上げるには低剛性化が必要といった関係がある。
【0032】
これに対し、本実施形態では、トランスバースリンク3Aのブッシュ8の横剛性を高めに設定しておくことで、トランスバースリンク3Aを、操舵初期は変位させず横剛性を上げる。一方、操舵初期以降の操舵中後期では、横変位機構20がストロークすることで、トランスバースリンク3Aを変位させて横力コンプライアンスステアを向上させる。すなわち、サスペンションを、コンベンショナルな構造と出来る。
なお、トランスバースリンク3A自体に、上記横変位機構20を設ける事も可能であるが、リンク構造が複雑になって加工に手間が掛かると共に、トランスバースリンク3A自体が重くなってしまう。
【0033】
(本実施形態の効果)
(1)主として横力を受けるサスペンションリンクであるトランスバースリンク3Aを、ステアリングラック軸に対し車両前後方向後側に配置する。横変位機構20は、反力発生装置であるオリフィス31が発生する減衰力により、トランスバースリンク3Aの車体側部材への取付け部における支持剛性について、操舵初期の剛性を、操舵初期経過後の剛性よりも高くする。ここで、取付けブラケット11と車体側部材である前側車体側端部3bとの相対変位の速度は、操舵初期が操舵初期経過後に対して、大きくなる。
これによって、操舵初期の応答が高くなって、操舵入力に対しリニアな挙動となる。その後、横力コンプライアンスステアの影響で、滑らかに車両が曲がるようになる。
【0034】
(2)トランスバースリンク3Aの車体側端部(前側車体側端部3b)を上下方向へ揺動可能に取付けブラケット11に連結し、取付けブラケット11を、横変位機構20を介して車体側部材に取り付ける。また、上記横変位機構20を、横力の入力速度が大きいほど剛性が高い機構とする。
このような構成とすることで、次の効果を奏する。
横変位機構20は、横力の入力速度が大きいほど剛性が高い機構であるので、横力入力初期の剛性が、それ以降の横力入力中期などの剛性よりも高くなる。これによって、横変位機構20は、相対的に操舵初期の横剛性が高く、それに続く操舵中期の横剛性が低くなる。
【0035】
そして、トランスバースリンク3Aを、上記横変位機構20を介して車体側部材に取り付けるので、横力入力初期の剛性をその後の剛性よりも高く設定することが可能となる。
また、横変位機構20によってトランスバースリンク3Aの支持剛性を変更するので、制御部などを使用することなく、横力の入力に対するサスペンションリンクの横剛性を変更可能とすることが可能となる。
また、横変位機構20はトランスバースリンク3A自体に設けないので、上下のサスペンションストロークする、リンク自体を重くすることがない。
なお、トランスバースリンク3Aは、ばね要素を持つ減衰発生機構を介して車体に連結する。このため、構造全体でのばねは低下し、トランスバースリンク3Aへのリンク入力に対する防振効果が高まる。このため、横変位機構20を設けても、ロードノイズの悪化はない。
【0036】
(3)上記横変位機構20は、減衰力発生機構によって、横力の入力速度が大きいほど剛性を高く設定する。減衰力発生機構によって、確実に、横力の入力速度が大きいほど剛性を高く設定出来る。
(4)横変位機構20のピストン22を初期位置に付勢するバネ部材33を備える。
これによって、軸方向荷重が入らない、若しくは小さい状態における、トランスバースリンク3Aの車体側端部の位置決めが出来る。
【0037】
(5)上記シリンダ部材21内径面とピストン22との間に、シリンダ部材21に対するピストン22の回転を防止しつつ当該ピストン22を進退方向に案内する案内機構を備える。
これによって、取付けブラケット11を、横変位機構20を介して車体側部材に支持させても、トランスバースリンク3Aが取付けブラケット11周りに回転することを防止できる。
【0038】
(6)上記ピストンロッド23と上記連結部10との間に緩衝材29,30を配置する。
これによって、取付けブラケット11からピストンロッド23への荷重伝達の際の異音発生を防止できる。
また、過度の入力に対して緩衝材29,30で吸入して、ピストンロッド23と上記連結部10との取付け部の損傷を抑える。
(7)上記シリンダ部材21内に、フリーピストン38を配置する。
横変位機構20が収縮すると、シリンダ部材21内に位置するピストンロッド23の体積が増加する。それに応じてフリーピストン38がストロークすることで、作動油の過圧縮を防止できる。
【0039】
(8)トランスバースリンク3Aの車両前後方向前側にステアリングラック軸Rを配置するサスペンション構造とする。
これによって、操舵初期の剛性を、操舵初期経過後の剛性よりも高くすることが可能となる。すなわち、操舵初期の操舵に対する応答性を高めると共に、それに続く操舵では、横力コンプライアンスによって、滑らかな旋回とすることが可能となる。
【0040】
なお、発明者らの鋭意検討によって、次の(a)及び(b)を発見したことに基づき、上記のように操舵過渡応答性を変化させている。
(a)タイヤ横剛性は、操舵初期においてブッシュ剛性の感度が高く、操舵後期においては、ブッシュ剛性の感度が低い。
(b)また、コンプライアンスステアは、操舵初期においてブッシュ剛性の感度が低く、操舵後期においてブッシュ剛性の感度が高い。
そして、本実施形態の構成を採用することで、タイヤ横剛性とコンプライアンスステアとを両立させている。
【0041】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、上記各実施形態と同様な部品等については同一の符号を付して説明する。
本実施形態の基本構成は、図9及び図10に示すように、上記第1実施形態と同様である。
取付けブラケット11の各壁部9に設ける取付け穴をそれぞれ、ブッシュ8の内筒8aの外径と同じ径とする。また、ブッシュ8の内筒8aを、第1実施形態の内筒8aよりも長くして、各壁部9の取付け穴を貫通させる。なお、取付け穴に対し内筒8aを圧入するなどして、取付け穴に対し、内筒8aの揺動が生じないようにする。なお、取付け穴と内筒8a外径面との間に緩衝材を介装してもよい。
【0042】
本実施形態では更に、上記取付けブラケット11の壁部9の外側のそれぞれ位置補強用ブラケット40を設けた。その位置補強用ブラケット40は、上端部をサスペンションメンバ1に固定する。
その位置補強用ブラケット40には取付けボルト12の軸部が貫通するガイド穴40aを形成する。そのガイド穴40aは、取付けボルト12の軸部12aが車幅方向にスライド可能な形状となっている。例えば、上下の幅が軸部の径と同じ大きさであるが、左右方向の寸法を軸部の径より大きい長穴とする。
その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。ただし、位置決め用の溝及びキー35は無くても良い。
【0043】
(動作・作用)
トランスバースリンク3Aが上下ストロークする際に軸部材である取付けボルト12に対し、上下方向荷重が入力する。このとき、位置補強用ブラケット40が、取付けボルト12が上下方向へ変位することを規制する。
また、位置補強用ブラケット40は、取付けボルト12の上下方向への変位を規制しても、ガイド穴40aで取付けボルト12を車幅方向に案内する。このため、横変位機構20の作用を阻害することはない。なお、位置補強用ブラケット40のガイド穴40aに内筒8aを遊挿させても良い。つまり、内筒8aを介して軸部材をガイドするようにしても良い。
ブッシュ8の内筒8aの車両前後方向への変位は、一対の壁部9で拘束する。このため、内筒8aを壁部9に固定している。
【0044】
(本実施形態の効果)
(1)位置補強用ブラケット40で、軸部材(取付けボルト12)を車幅方向に変位可能な状態で車体側部材に連結する。
これによって、軸部材(取付けボルト12)が上下に同方向及び逆方向に変位するような荷重は、位置補強用ブラケット40で負担する。つまり、位置補強用ブラケット40で、トランスバースリンク3Aが上下方向に変位する際の荷重及び、ねじり方向に変位する際の荷重を受ける。この結果、この荷重を横変位機構20で負担する必要がないか、小さくなる。この分、ピストン22のストロークが滑らかになる。つまり、ストローク時の摩擦抵抗を低く出来る。また、その分、横変位機構20の剛性を下げることが可能となる。
【0045】
(2)また、ねじ方向の荷重を位置補強用ブラケット40で受けるので、案内機構が不要となる。案内機構が無い分、ストローク時の摩擦抵抗を低く出来る。
(3)また、トランスバースリンク3Aの車体側端部を、車幅方向に離れた、横変位機構20と位置補強用ブラケット40に設ける。これによって、車体側端部の取付け剛性を高くすることが可能である。
本実施形態では、横変位機構20側の取付け点を車幅方向内側に配置して、取付け点間の距離を稼いでいる。
(4)軸部材の案内を、位置補強用ブラケット40に設けたガイド穴40aによって行う。
これによって、簡易な構造で軸部材を案内可能となる。
【0046】
(変形例)
(1)上記実施形態では、位置補強用ブラケット40に設けるガイド穴40aで軸部材(取付けボルト12)を案内している。これに代えて、軸部材の端部を挿入して車幅方向に延びるガイド溝を設けても良い。
この場合には、軸部材の車両前後方向への変位規制も、位置補強用ブラケット40に負担させることが可能となる。この場合には、壁部9に対して、軸回転可能な状態で内筒8aを貫通させても良い。
【0047】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について図面を参照して説明する。なお、上記各実施形態と同様な部品などについては同一の符号を付して説明する。
本実施形態では、図11及び図12に示すように、横変位機構20を構成するシリンダ部材21を、サスペンションメンバ1の幅方向スパンに近い長さまで長くする。すなわち、シリンダ部材21の両端部をそれぞれ左右の取付けブラケット11の近傍まで延ばす。
また、ピストン22から左右にそれぞれピストンロッド23を延ばして、各ピストンロッド23の先端部を取付けブラケット11に連結する。
左右にピストンロッド23を延ばすので、フリーピストン38は省略する。
その他の構成は、上記第1実施形態と同様である。なお、第2実施形態の構成を採用しても良い、
【0048】
(作用効果)
(1)左右のトランスバースリンク3Aの車体側端部を、横変位機構20のピストンロッド23で連結する。これによって、横力コンプライアンスステアの左右のバラツキをなくすことができる。
(2)ピストンロッド23が進退しても、シリンダ部材21内に位置するピストンロッド23の体積は等しくなる。この結果、ピストンロッド23の侵入ストロークによる空気抜きが必要なくなる。つまりフリーピストン38が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に基づく第1実施形態に係るサスペンション構造を示す模式的な平面図である。
【図2】本発明に基づく第1実施形態に係るサスペンションリンクを示す下方から見た図である。
【図3】本発明に基づく第1実施形態に係る横変位機構を説明する平面図である。
【図4】本発明に基づく第1実施形態に係る横変位機構を説明する側面図である。
【図5】本発明に基づく第1実施形態に係るシリンダ部材とピストンの関係を示す断面図である。
【図6】本発明に基づく第1実施形態に係る横変位機構の挙動を説明するための図である。
【図7】トランスバースリンクのブッシュへの横力の入力に対する時間推移を示す図である。
【図8】横力入力に対する時間推移を示す図である。
【図9】本発明に基づく第2実施形態に係る横変位機構を説明する平面図である。
【図10】本発明に基づく第2実施形態に係る横変位機構を説明する側面図である。
【図11】本発明に基づく第3実施形態に係る横変位機構を説明する平面図である。
【図12】本発明に基づく第3実施形態に係る横変位機構の配置を示す平面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 サスペンションメンバ(車体側部材)
2 アクスル(車輪支持部材)
3,4 サスペンションアーム
3A トランスバースリンク(サスペンションリンク)
3a 車輪側端部(車輪側端部)
3b 前側車体側端部(車体側端部)
5 車輪
8 ブッシュ
8a 内筒
9 壁部
10 連結部
11 取付けブラケット
12 取付けボルト(軸部材)
12a 軸部
20 横変位機構
21 シリンダ部材
22 ピストン
22a 案内溝(案内機構)
23 ピストンロッド
29,30 緩衝材
31 オリフィス(反力発生機構/減衰力発生機構)
32 隔壁板
33 バネ部材
35 キー(案内機構)
36 タイロッド
37 ステアリングラック部
38 フリーピストン
40 位置補強用ブラケット
40a ガイド穴
R ステアリングラック軸
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を回転自在に支持する車輪支持部材に車輪側端部を連結すると共に車体側端部を車体側部材に連結するサスペンションリンクにおける、上記車体側端部の車体側部材への取付け構造であって、
上記サスペンションリンクの車体側端部を、所定の軸部材回りに上下方向へ揺動可能に連結する取付けブラケットと、その取付けブラケットと車体側部材との間に介装される横変位機構と、を備え、
上記横変位機構は、上記取付けブラケットと上記車体側部材とを弾性的に連結する弾性連結部と、上記取付けブラケットと上記車体側部材との相対変位の速度が大きいほど反力を高くする反力発生装置と、を備えることを特徴とするサスペンションリンク取付け構造。
【請求項2】
上記反力発生装置は、減衰力発生機構によって、上記車体側部材との相対変位の速度が大きいほど反力を高く設定することを特徴とする請求項1に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項3】
上記取付けブラケットは、上記サスペンションリンクの車体側端部を挟んで対向配置して当該車体側端部に連結する一対の壁部と、その一対の壁部を連結する連結部と、を備え、
上記横変位機構は、車体側部材に固定される中空のシリンダ部材と、そのシリンダ部材内に配置されて当該シリンダ部材の軸方向に進退可能なピストンと、ピストンと上記連結部とを連結するピストンロッドと、シリンダ部材に対し、ピストンを初期位置に付勢するバネ部材と、を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれか1項に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項4】
上記シリンダ部材内径面とピストンとの間に設けられて、シリンダ部材に対するピストンの回転を防止しつつ当該ピストンを進退方向に案内する案内機構を備えることを特徴とする請求項3に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項5】
上記ピストンロッドと上記連結部との間に緩衝材を配置することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項6】
上記シリンダ部材内に、上記ピストンとは別に、上記ピストンに対するピストンロッドの延在方向とは反対側の室側にフリーピストンを配置することを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項7】
上記ピストンロッドは、ピストンロッドから左右両側にそれぞれ延在し、その左右に延びたピストンロッドを、それぞれ個別の取付けブラケットに連結することを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項8】
上記軸部材を車幅方向へ変位可能な状態で車体側部材に連結する位置補強用ブラケットを備えることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項9】
上記軸部材が貫通するガイド穴を有し、そのガイド穴の形状を、上記軸部材が車幅方向に変位可能な穴形状としたことを特徴とする請求項8に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項10】
上記請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載したサスペンションリンク取付け構造を採用したサスペンションリンクを、ステアリングラック軸に対し車両前後方向後側に配置したことを特徴とするサスペンション構造。
【請求項11】
ステアリングラック軸と連結する操舵輪を回転自在に支持する車輪支持部材に対し車輪側端部を連結すると共に車体側端部を車体側部材に連結する1又は2以上のサスペンションリンクを備えるサスペンション構造において、
ステアリングラック軸に対し車両前後方向後側に配置するサスペンションリンクの車体側部材への取付け部における、サスペンションリンクの軸方向の支持剛性について、操舵初期の剛性を、操舵初期経過後の剛性よりも高くすることを特徴とするサスペンション構造。
【請求項12】
操舵輪を車両上面視および車両側面視において回転可能に支持する操舵輪支持手段と、
上記操舵輪に車幅方向の操舵入力を加える操舵入力手段と、
上記操舵入力が上記操舵輪に入力される位置に対して、車両前後方向後側の位置において、上記操舵輪支持手段と車体側部材とを弾性的に支持する弾性支持手段と、
上記弾性支持手段の支持剛性を、操舵初期を、操舵初期経過後に対して高くする支持剛性調整手段と、
を備えることを特徴とする操舵輪支持手段。
【請求項13】
操舵輪を車両上面視および車両側面視において回転可能に支持する操舵輪支持手段と、
上記操舵輪に車幅方向の操舵入力を加える操舵入力手段と、
上記操舵入力が上記操舵輪に入力される位置に対して、車両前後方向後側の位置において、上記操舵輪支持手段と車体側部材とを弾性的に支持する弾性支持手段と、
上記弾性支持手段の支持剛性を、操舵初期を、操舵初期経過後に対して高くする支持剛性調整手段と、
を備えることを特徴とする操舵輪支持方法。
【請求項1】
車輪を回転自在に支持する車輪支持部材に車輪側端部を連結すると共に車体側端部を車体側部材に連結するサスペンションリンクにおける、上記車体側端部の車体側部材への取付け構造であって、
上記サスペンションリンクの車体側端部を、所定の軸部材回りに上下方向へ揺動可能に連結する取付けブラケットと、その取付けブラケットと車体側部材との間に介装される横変位機構と、を備え、
上記横変位機構は、上記取付けブラケットと上記車体側部材とを弾性的に連結する弾性連結部と、上記取付けブラケットと上記車体側部材との相対変位の速度が大きいほど反力を高くする反力発生装置と、を備えることを特徴とするサスペンションリンク取付け構造。
【請求項2】
上記反力発生装置は、減衰力発生機構によって、上記車体側部材との相対変位の速度が大きいほど反力を高く設定することを特徴とする請求項1に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項3】
上記取付けブラケットは、上記サスペンションリンクの車体側端部を挟んで対向配置して当該車体側端部に連結する一対の壁部と、その一対の壁部を連結する連結部と、を備え、
上記横変位機構は、車体側部材に固定される中空のシリンダ部材と、そのシリンダ部材内に配置されて当該シリンダ部材の軸方向に進退可能なピストンと、ピストンと上記連結部とを連結するピストンロッドと、シリンダ部材に対し、ピストンを初期位置に付勢するバネ部材と、を備える
ことを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれか1項に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項4】
上記シリンダ部材内径面とピストンとの間に設けられて、シリンダ部材に対するピストンの回転を防止しつつ当該ピストンを進退方向に案内する案内機構を備えることを特徴とする請求項3に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項5】
上記ピストンロッドと上記連結部との間に緩衝材を配置することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項6】
上記シリンダ部材内に、上記ピストンとは別に、上記ピストンに対するピストンロッドの延在方向とは反対側の室側にフリーピストンを配置することを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項7】
上記ピストンロッドは、ピストンロッドから左右両側にそれぞれ延在し、その左右に延びたピストンロッドを、それぞれ個別の取付けブラケットに連結することを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれか1項に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項8】
上記軸部材を車幅方向へ変位可能な状態で車体側部材に連結する位置補強用ブラケットを備えることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項9】
上記軸部材が貫通するガイド穴を有し、そのガイド穴の形状を、上記軸部材が車幅方向に変位可能な穴形状としたことを特徴とする請求項8に記載したサスペンションリンク取付け構造。
【請求項10】
上記請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載したサスペンションリンク取付け構造を採用したサスペンションリンクを、ステアリングラック軸に対し車両前後方向後側に配置したことを特徴とするサスペンション構造。
【請求項11】
ステアリングラック軸と連結する操舵輪を回転自在に支持する車輪支持部材に対し車輪側端部を連結すると共に車体側端部を車体側部材に連結する1又は2以上のサスペンションリンクを備えるサスペンション構造において、
ステアリングラック軸に対し車両前後方向後側に配置するサスペンションリンクの車体側部材への取付け部における、サスペンションリンクの軸方向の支持剛性について、操舵初期の剛性を、操舵初期経過後の剛性よりも高くすることを特徴とするサスペンション構造。
【請求項12】
操舵輪を車両上面視および車両側面視において回転可能に支持する操舵輪支持手段と、
上記操舵輪に車幅方向の操舵入力を加える操舵入力手段と、
上記操舵入力が上記操舵輪に入力される位置に対して、車両前後方向後側の位置において、上記操舵輪支持手段と車体側部材とを弾性的に支持する弾性支持手段と、
上記弾性支持手段の支持剛性を、操舵初期を、操舵初期経過後に対して高くする支持剛性調整手段と、
を備えることを特徴とする操舵輪支持手段。
【請求項13】
操舵輪を車両上面視および車両側面視において回転可能に支持する操舵輪支持手段と、
上記操舵輪に車幅方向の操舵入力を加える操舵入力手段と、
上記操舵入力が上記操舵輪に入力される位置に対して、車両前後方向後側の位置において、上記操舵輪支持手段と車体側部材とを弾性的に支持する弾性支持手段と、
上記弾性支持手段の支持剛性を、操舵初期を、操舵初期経過後に対して高くする支持剛性調整手段と、
を備えることを特徴とする操舵輪支持方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−298318(P2009−298318A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−155769(P2008−155769)
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月13日(2008.6.13)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】
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