説明

ナビゲーション装置

【課題】ユーザによって選択された経路の探索条件に合わせて動的経路の経路探索を行う。
【解決手段】予め定められた複数の探索条件毎に探索された複数の経路の中からユーザによって選択された経路の探索条件を外部メモリ19に記憶し、外部から取得した交通情報から案内経路上に走行に影響を及ぼす区間が存在することを判定(S200でYESと判定)すると、外部メモリ19に記憶された探索条件に従って走行に影響を及ぼす区間を迂回する動的経路を探索し(S204、S212、S220)、探索した動的経路を案内経路として設定する(S208、S216、S222)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出発地から目的地までの案内経路に従って走行案内を行うナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のナビゲーション装置としては、時間優先、距離優先等の探索条件毎に経路探索を行い、これらの中から運転者の目的に合った経路を案内経路に設定して走行案内を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、ナビゲーション装置には、情報センタから渋滞情報を考慮した経路情報を取得し、この経路情報に基づいて渋滞情報を反映させた動的経路を設定し、この動的経路に従って走行案内を行うものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平7−91971号公報
【特許文献2】特開平10−160498号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示した装置は、運転者の目的に合った経路が案内経路として設定されると、走行中の経路に渋滞区間があっても、既に設定された案内経路に従って走行案内が行われる。そこで、特許文献2に示した装置のように、走行中の経路に影響のある渋滞情報を受信した場合には、渋滞情報を反映させた動的経路を設定し、この動的経路に従って走行案内を行うことが考えられる。
【0005】
しかし、このような動的経路を探索する場合、例えば、既に設定されている案内経路の探索条件が時間優先となっていても、距離を優先して動的経路が探索されてしまう場合や、既に設定されている案内経路の探索条件が距離優先となっていても、到達時間を優先して動的経路が探索されてしまう場合がある。すなわち、動的経路の探索条件が、既にユーザが選択した経路の探索条件と合わない場合があるといった問題がある。
【0006】
本発明は上記問題に鑑みたもので、ユーザによって選択された経路の探索条件に合わせて動的経路の経路探索を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明では、ユーザによって選択された経路の探索条件を記憶手段に記憶し、外部から取得した交通情報から案内経路上に走行に影響を及ぼす区間が存在することを判定すると、記憶手段に記憶された探索条件に従って走行に影響を及ぼす区間を迂回する動的経路を探索し、探索した動的経路を案内経路として設定することを第1の特徴としている。
【0008】
このように、外部から取得した交通情報から案内経路上に走行に影響を及ぼす区間が存在することを判定すると、記憶手段に記憶された探索条件に従って走行に影響を及ぼす区間を迂回する動的経路を探索し、探索した動的経路を案内経路として設定するので、ユーザによって選択された経路の探索条件に合わせて動的経路の経路探索を行うことができる。
【0009】
また、本発明では、前記目的地までの到達時間を優先して探索された経路がユーザによって選択された場合、時間優先を示す情報を前記記憶手段に記憶させ、前記記憶手段に前記到達時間優先を示す情報が記憶されていることを判定した場合、前記目的地までの到達時間を優先して、前記走行に影響を及ぼす区間を迂回する動的経路を探索する手段を備えたことを第2の特徴としている。
【0010】
このように、記憶手段に前記到達時間優先を示す情報が記憶されていることを判定した場合、前記目的地までの到達時間を優先して、前記走行に影響を及ぼす区間を迂回する動的経路を探索するので、ユーザによって選択された探索条件と同様に目的地までの到達時間を優先して動的経路を探索することができる。
【0011】
また、本発明は、到達時間優先探索手段によって探索された動的経路の方が、既に設定されている案内経路よりも目的地までの到達時間が予め定められた基準時間以上短いか否かを判定し、到達時間優先探索手段によって探索された動的経路の方が、既に設定されている案内経路よりも目的地までの到達時間が予め定められた基準時間以上短いと判定された場合、動的経路を案内経路として設定することを第3の特徴としている。
【0012】
このように、到達時間優先探索手段によって探索された動的経路の方が、既に設定されている案内経路よりも目的地までの到達時間が予め定められた基準時間以上短いと判定された場合に、動的経路を案内経路として設定するので、動的経路を案内経路に設定したことによってかえって目的地までの到達時間が長くなってしまうような状況をなくすことが可能である。
【0013】
また、本発明では、前記目的地までの距離を優先して探索された経路がユーザによって選択された場合、距離優先を示す情報を前記記憶手段に記憶させ、前記記憶手段に前記距離優先を示す情報が記憶されていることを判定した場合、前記目的地までの距離を優先して、前記走行に影響を及ぼす区間を迂回する動的経路を探索する手段を備えたことを第4の特徴としている。
【0014】
このように、記憶手段に前記距離優先を示す情報が記憶されていることを判定した場合、前記目的地までの到達時間を優先して、前記走行に影響を及ぼす区間を迂回する動的経路を探索するので、ユーザによって選択された探索条件と同様に目的地までの距離を優先して動的経路を探索することができる。
【0015】
また、本発明では、距離優先探索手段によって探索された動的経路の方が、既に設定されている案内経路よりも目的地までの距離が所定距離以上短いか否かを判定し、距離優先探索手段によって探索された動的経路の方が、既に設定されている案内経路よりも目的地までの距離が所定距離以上短いと判定された場合、動的経路を案内経路として設定することを第5の特徴としている。
【0016】
このように、距離優先探索手段によって探索された動的経路の方が、既に設定されている案内経路よりも目的地までの距離が所定距離以上短いと判定された場合に、動的経路を案内経路として設定するので、動的経路を案内経路に設定したことによってかえって目的地までの距離が長くなってしまうような状況をなくすことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の構成を図1に示す。本ナビゲーション装置1は、位置検出器11、地図データ入力器16、操作スイッチ群17、外部メモリ19、表示装置20、外部情報入出力装置21、リモコンセンサ22およびこれらに接続された制御回路18を備えている。なお、本ナビゲーション装置1は、車両に搭載されている。
【0018】
位置検出器11は、いずれも周知の地磁気センサ12、ジャイロスコープ13、距離センサ14、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機15を有している。これらのセンサ等12〜15は各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補間しながら使用するように構成されている。
【0019】
地図データ入力器16は、地図表示に用いられる地図データ、マップマッチングに用いられる地図データ、および経路案内に用いられる地図データを入力する装置である。これらの地図データを記憶する記憶媒体としては、CD、DVD、ハードディスクドライブなどがある。経路案内に用いられる地図データは、道路ネットワークデータとして構成されており、後述する経路探索を行うのに用いられる。
【0020】
操作スイッチ群17は、表示装置20の表示画面に重ねて設けられたタッチスイッチおよび表示装置20の表示画面の周囲に設けられたメカニカルスイッチ等によって構成され、各種入力に使用される。
【0021】
制御回路18は、CPU、内部メモリ等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUは内部メモリに記憶されたプログラムに従って各種処理を行う。
【0022】
外部メモリ19は、制御回路18の内部メモリとは別に設けられる記憶部で、ROMあるいはRAMなどから構成され、各種のデータやプログラムなどが記憶されるようになっている。また、本実施形態において、この外部メモリ19には、後述する時間優先フラグ、距離優先フラグを記憶する領域が設けられている。
【0023】
表示装置20は、液晶等の表示画面を有し、制御回路18から入力される映像信号に応じた映像を表示画面に表示させる。
【0024】
外部情報入出力装置21は、外部(例えば、VICSセンタなどの情報センタ)から提供される交通情報等の外部情報を受信して制御回路18へ出力し、また、制御回路18から入力された情報を外部へ送信する装置である。この外部情報入出力装置21を介して受信される交通情報には、交通事故情報、交通渋滞情報、速度規制情報、通行止め情報などが含まれる。
【0025】
リモコンセンサ22は、ユーザの操作に基づいて赤外線等による無線信号を送信するリモコン23から受信した信号を制御回路18へ出力する。
【0026】
このように構成された本ナビゲーション装置1は、イグニッションスイッチがオンすると、バッテリから電源が供給され動作状態となる。制御回路18は、位置検出器11から入力される信号に基づいて自車位置を算出する自車位置算出処理、自車位置マークを自車位置周辺の地図上に重ねて表示装置20の表示画面に表示させる地図表示処理等を開始する。また、制御回路18は、動作開始時に外部メモリ19の時間優先フラグ、距離優先フラグをそれぞれリセットする。
【0027】
また、ユーザが、操作スイッチ群17あるいはリモコン23を用いて目的地の設定を行うと、制御回路18は、道路ネットワークデータを用いて、出発地から目的地までの最適な案内経路を探索する経路探索処理を行う。最適な案内経路を探索する手段としては、ダイクストラ法等が知られている。
【0028】
また、制御回路18は、経路探索処理において、「到達時間優先」、「距離優先」、「その他」の3つの基準を探索条件として、探索条件毎に経路探索を行い、これらの経路の中からユーザによって選択された経路を案内経路として設定する。
【0029】
到達時間優先経路探索は、出発地から目的地までの到達時間を優先した到達時間優先案内経路の探索を行うもので、目的地への到達時間が短くなる経路が探索される。具体的には、道路種別(高速道路、自動車専用道路、一般道など)毎に予め定められた速度を割り当てて目的地までの到達予想時間を算出し、目的地への到達時間が短くなる案内経路を探索する。
【0030】
距離優先経路探索は、出発地から目的地までの距離を優先した距離優先案内経路の探索を行うもので、目的地までの距離が短くなる経路が探索される。
【0031】
その他経路探索は、到達時間優先経路探索と同様のアルゴリズムを用いて、到達時間優先経路探索によって探索される経路の一部を避ける経路の探索を行うもので、到達時間優先経路探索によって探索される経路の一部が異なる別経路が探索される。
【0032】
次に、図2を参照して、上記した経路探索処理について説明する。ユーザの操作により、50音検索、施設検索、電話番号検索、住所検索等の目的地を設定するための操作がなされると、制御回路18は、図2に示す経路探索処理を開始する。
【0033】
まず、目的地の設定を行う(S100)。具体的には、上記した目的地を設定するための操作に応じて、50音検索、施設検索、電話番号検索、住所検索等の検索画面を表示させ、この検索画面に従ってユーザが入力した条件に従って検索を行う。ここで、目的地が検索された場合には、検索結果を表示装置20の表示画面に表示させ、検索された目的地とともに現在位置を出発地として外部メモリ19に記憶させる。また、目的地が検索されなかった場合には、目的地が検索されなかったことを表示装置20の表示画面に表示させる。
【0034】
次に、外部メモリ19に目的地が記憶されているか否かに基づいて目的地が設定されたか否かを判定する(S102)。
【0035】
外部メモリ19に目的地が記憶されていない場合、S102の判定はNOとなり、本処理を終了する。なお、再度、ユーザの操作により目的地を設定するための操作がなされると、図2に示す経路探索処理を開始する。
【0036】
また、外部メモリ19に目的地が記憶されている場合、S102の判定はYESとなり、次に、到達時間優先経路探索を行う(S104)。この到達時間優先経路探索では、上記したように目的地までの到達時間を優先した到達時間優先案内経路の探索を行い、探索した経路を外部メモリ19に記憶させる。
【0037】
次に、距離優先経路探索を行う(S106)。この距離優先経路探索では、上記したように目的地までの距離を優先した距離優先案内経路の探索を行い、探索した経路を外部メモリ19に記憶させる。
【0038】
次に、その他経路探索を行う(S108)。その他経路探索では、上記したように到達時間優先経路探索によって探索される案内経路の一部を避ける経路の探索を行い、探索した経路を外部メモリ19に記憶させる。
【0039】
次に、上記経路探索によって探索された全経路を地図上に表示させる(S110)。具体的には、表示装置20の表示画面の地図上に、探索された全経路を経路毎に選択可能に重ねて表示させるとともに、ユーザの操作に応じて探索された各経路を順番に選択するための選択操作部、案内開始を指示するための案内開始操作部、操作をキャンセルするためのキャンセル操作部を表示させる。
【0040】
次に、ユーザによって案内開始操作部へのタッチ操作があるか否かに基づいて案内開始が選択されたか否かを判定する(S112)。
【0041】
ここで、ユーザによって案内開始操作部へのタッチ操作がなされることなくキャンセル操作部がタッチ操作された場合、S112の判定はNOとなり、本処理を終了する。
【0042】
また、ユーザの選択操作部のタッチ操作に応じて地図上に表示された全経路の中から特定の経路が選択され、案内開始操作部がタッチ操作されると、S112の判定はYESとなり、次に、ユーザによってどの経路が選択されたかを判定する。
【0043】
S114では、ユーザによって到達時間優先経路探索によって探索された到達時間優先経路が選択されたか否かを判定する。また、S118では、ユーザによって距離優先経路探索によって探索された距離優先探索経路が選択されたか否かを判定する。
【0044】
ユーザによって選択された経路が到達時間優先経路の場合、S114の判定はYESとなり、外部メモリ19の時間優先フラグをセットし(S116)、本処理を終了する。
【0045】
また、ユーザによって選択された経路が距離優先経路の場合、S118の判定はYESとなり、次に、外部メモリ19の距離優先フラグをセットし(S120)、本処理を終了する。
【0046】
また、ユーザによってその他経路探索によって探索された経路が選択された場合、S118の判定はNOとなり、本処理を終了する。
【0047】
なお、上記した時間優先フラグおよび距離優先フラグは、後述する動的経路探索においてユーザによって選択された経路を識別するために用いられる。また、ユーザによって、その他優先経路探索で探索された経路が選択されたか否かについては、外部メモリ19の時間優先フラグと距離優先フラグがいずれもセットされていないことから識別できるため、外部メモリ19にその他経路探索で探索された経路を示すフラグを記憶するようにしていない。
【0048】
また、制御回路18は、ユーザの案内開始の指示に従い、上記した経路探索処理によって探索された案内経路に従って走行案内を開始する。すなわち、ユーザによって到達時間優先経路が選択された場合には到達時間優先経路を案内経路として走行案内を開始し、距離優先経路が選択された場合には距離優先経路を案内経路として走行案内を開始し、その他経路探索によって探索された経路が選択された場合にはその他経路探索によって探索された経路を案内経路として走行案内を開始する。
【0049】
また、本ナビゲーション装置1における制御回路18は、上記した経路探索処理によって設定された案内経路に従って走行案内を行うとともに、外部情報入出力装置21を介して交通情報を取得し、この交通情報から走行中の経路に影響を及ぼす情報(例えば、交通渋滞)が含まれることを判定すると、走行中の経路に影響を及ぼす区間を迂回する動的経路を設定する動的探索処理を行う。
【0050】
図3に、制御回路18による動的探索処理を示す。本ナビゲーション装置1を搭載した車両が、道路上に設置された路側機の通信エリア内に進入し、外部情報入出力装置21を介して路側機から交通情報を受信すると、制御回路18は、受信した交通情報を外部メモリ19へ保存するとともに、図3に示す処理を開始する。
【0051】
まず、設定経路上に走行中の経路に影響を及ぼす渋滞があるか否かを判定する(S200)。具体的には、自車位置算出処理によって算出した自車位置と経路探索処理によって探索された案内経路から案内経路上の自車位置を特定し、外部メモリ19に保存した交通情報から、走行先の案内経路上に走行に影響を及ぼす交通渋滞が発生している区間が存在するか否かを判定する。
【0052】
案内経路上に走行に影響を及ぼす交通渋滞が発生している区間が存在しない場合、S200の判定はNOとなり、本動的探索処理を終了し、既に設定されている案内経路に従って走行案内を継続する。
【0053】
また、案内経路上に走行に影響を及ぼす交通渋滞が発生している区間が存在する場合、S200の判定はYESとなり、次に、外部メモリ19の時間優先フラグがセットされているか否かを判定する(S202)。
【0054】
外部メモリ19の時間優先フラグがセットされている場合、S202の判定はYESとなり、次に、目的地までの到達時間を優先する到着時間優先動的探索処理を行う(S204)。
【0055】
この到着時間優先動的探索処理は、到着時間優先探索処理によって探索された経路に対し、受信した交通情報から案内経路上の走行に影響を及ぼす交通渋滞の発生している区間を特定し、目的地への到達時間を優先して、特定した区間を迂回する動的経路を探索する処理である。この到着時間優先動的探索処理により、例えば、図4に示すように、走行中の案内経路A上に渋滞区間Bが存在する場合、目的地への到達時間を優先して渋滞区間Bを迂回する迂回経路Cが探索される。
【0056】
次に、到着時間優先動的探索処理によって探索された新規経路を走行する場合の新規経路到達予測時間が、既に案内経路として設定されている既経路を走行する場合の既経路到達予測時間よりも予め定められた基準時間X(分)以上短いか否かを判定する(S206)。
【0057】
具体的には、まず、上記した到達時間優先経路探索と同様に、道路種別(高速道路、自動車専用道路、一般道など)毎に予め定められた速度を用いて新規経路を走行する場合の新規経路到達予測時間を算出する。次に、道路種別毎に予め定められた速度を用いて渋滞区間を除いた区間の予測時間を算出するとともに、予め定められた渋滞区間の走行速度(渋滞のない場合よりも低速に設定された速度)を用いて渋滞区間の通過予測時間を算出し、算出した各予測時間を加算して既経路を走行する場合の既経路到達予測時間を算出する。そして、新規経路到達予測時間が既経路到達予測時間よりも予め定められた基準時間X(分)以上短いか否かを判定する。
【0058】
ここで、新規経路到達予測時間が既経路到達予測時間よりも予め定められた基準時間X(分)以上短い場合、S206の判定はYESとなり、次に、既に案内経路として設定されている既経路に代えて到着時間優先動的探索処理によって探索された新規経路を案内経路として設定し(S208)、本処理を終了する。なお、制御回路18は、新たに設定された案内経路に従って走行案内を行う。
【0059】
また、道路上に設置された次の路側機の通信エリア内に車両が進入し、再度、外部情報入出力装置21を介して路側機から交通情報を受信すると、制御回路18は、図3に示す処理を再度行う。
【0060】
また、経路到達予測時間が既経路到達予測時間よりも予め定められた基準時間X(分)以上短くない場合、S206の判定はNOとなり、既経路を案内経路としたまま本処理を終了する。
【0061】
また、外部メモリ19の時間優先フラグがセットされていない場合、S202の判定はNOとなり、次に、外部メモリ19の距離優先フラグがセットされているか否かを判定する(S210)。
【0062】
ここで、外部メモリ19の時間優先フラグがセットされている場合、S210の判定はYESとなり、次に、目的地までの距離を優先する距離優先動的探索処理を行う(S212)。
【0063】
この距離優先動的探索処理は、距離優先探索処理によって探索された経路に対し、受信した交通情報から案内経路上の走行に影響を及ぼす交通渋滞の発生している区間を特定し、目的地への距離を優先して、特定した区間を迂回する動的経路を探索する処理である。この距離優先動的探索処理により、例えば、図4に示すように、走行中の案内経路A上に渋滞区間Bが存在する場合、目的地への距離を優先して渋滞区間Bを迂回する迂回経路Cが探索される。
【0064】
次に、距離優先動的探索処理によって探索された新規経路の経路長が、既に案内経路として設定されている既経路の渋滞を見込んだ経路長よりも所定距離Yメートル(m)以上短いか否かを判定する(S214)。
【0065】
具体的には、まず、距離優先動的探索処理によって探索された新規経路の道なりの経路長を算出する。次に、既経路の渋滞区間を除いた区間の経路長を算出するとともに、この既経路の渋滞区間を除いた区間の経路長に、渋滞区間の距離に予め定められた係数a(係数a>1)を乗算した値を加算して既経路の渋滞を見込んだ経路長を算出する。そして、新規経路の経路長が、既に案内経路として設定されている既経路の渋滞を見込んだ経路長よりも所定距離Yメートル(m)以上短いか否かを判定する。
【0066】
ここで、新規経路の経路長が既経路の渋滞を見込んだ経路長より所定距離Yメートル(m)以上短い場合、S214の判定はYESとなり、次に、既に案内経路として設定されている既経路に代えて距離優先動的探索処理によって探索された新規経路を案内経路として設定し(S216)、本処理を終了する。なお、制御回路18は、新たに設定された案内経路に従って走行案内を行う。
【0067】
また、新規経路の経路長が既経路の渋滞を見込んだ経路長より所定距離Yメートル(m)以上短くない場合、S214の判定はNOとなり、既経路を案内経路としたまま本処理を終了する。なお、制御回路18は、既に設定された案内経路に従って走行案内を行う。
【0068】
また、外部メモリ19の時間優先フラグと距離優先フラグのいずれもセットされていない場合、S202、S210の判定はそれぞれNOとなり、次に、その他動的探索処理を行う(S218)。
【0069】
その他動的探索処理は、上記したその他経路探索によって探索された経路に対し、受信した交通情報から案内経路上の走行に影響を及ぼす交通渋滞の発生している区間を特定し、目的地への到達時間を優先して、特定した区間を迂回する動的経路を探索する処理である。
【0070】
次に、その他動的探索処理によって探索された新規経路を走行する場合の新規経路到達予測時間が、既に案内経路として設定されている既経路を走行する場合の既経路到達予測時間よりも予め定められた基準時間Z(分)以上短いか否かを判定する(S220)。
【0071】
具体的には、上記した距離優先動的探索処理と同様に、まず、新規経路の道なりの経路長を算出するとともに、既経路の渋滞区間を除いた区間の経路長と渋滞区間の距離に係数a(係数a>1)を乗算した値を加算して既経路の渋滞を見込んだ経路長を算出し、新規経路の経路長が、既に案内経路として設定されている既経路の渋滞を見込んだ経路長よりも所定距離Yメートル(m)以上短いか否かを判定する。
【0072】
ここで、新規経路到達予測時間が既経路到達予測時間よりも予め定められた基準時間Z(分)以上短い場合、S220の判定はYESとなり、次に、既に案内経路として設定されている既経路に代えてその他動的探索処理によって探索された新規経路を案内経路として設定し(S222)、本処理を終了する。なお、制御回路18は、新たに設定された案内経路に従って走行案内を行う。
【0073】
また、経路到達予測時間が既経路到達予測時間よりも予め定められた基準時間Z(分)以上短くない場合、S220の判定はNOとなり、既経路を案内経路としたまま本処理を終了する。なお、制御回路18は、既に設定された案内経路に従って走行案内を行う。
【0074】
上記した構成によれば、ユーザによって選択された経路の探索条件を外部メモリ19に記憶し、外部から取得した交通情報から案内経路上に走行に影響を及ぼす区間が存在することを判定すると、外部メモリ19に記憶された探索条件に従って走行に影響を及ぼす区間を迂回する動的経路を探索し、探索した動的経路を案内経路として設定するので、ユーザによって選択された経路の探索条件に合わせて動的経路の経路探索を行うことができる。
【0075】
また、到達時間優先経路探索によって探索された動的経路の方が、既に設定されている案内経路よりも目的地までの到達時間が予め定められた基準時間以上短いと判定した場合に、動的経路を案内経路として設定するので、動的経路を案内経路に設定したことによってかえって目的地までの到達時間が長くなってしまうような状況をなくすことが可能である。
【0076】
また、距離優先経路探索によって探索された動的経路の方が、既に設定されている案内経路よりも目的地までの距離が所定距離以上短いと判定された場合に、動的経路を案内経路として設定するので、動的経路を案内経路に設定したことによってかえって目的地までの距離が長くなってしまうような状況をなくすことが可能である。
【0077】
また、その他経路探索によって探索された動的経路の方が、既に設定されている案内経路よりも目的地までの到達時間が予め定められた基準時間以上短いと判定した場合に、動的経路を案内経路として設定するので、動的経路を案内経路に設定したことによってかえって目的地までの到達時間が長くなってしまうような状況をなくすことが可能である。
【0078】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0079】
例えば、上記実施形態では、その他経路探索において、到達時間優先経路探索によって探索された経路の一部を避ける経路を探索する例を示したが、例えば、距離優先経路探索によって探索された経路の一部を避ける経路を探索するようにしてもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、「到達時間優先」、距離優先」、「その他」を3つの探索条件として経路探索および動的探索を行う例を示したが、例えば、目的地までの交差点の転回回数が最小となるような「交差点転回回数最小」、高速道路を優先した「高速道路優先」、一般道を優先した「一般道優先」などを探索条件として経路探索を行うようにしてもよい。
【0081】
また、上記実施形態では、複数の探索条件毎に目的地までの経路を探索し、これらの経路探索によって探索された経路の中からユーザによって選択された経路を案内経路として走行案内を行う例を示したが、例えば、ユーザに探索条件を選択させ、ユーザによって選択された探索条件に従って経路探索し、この経路探索によって探索された経路を案内経路として走行案内を行うようにしてもよい。
【0082】
また、上記実施形態では、S206、S216、S220に示したように、新たに探索された動的経路を走行した場合と既に設定されている案内経路を走行した場合を比較して、動的経路を案内経路に設定するか否かを自動的に判定する例を示したが、例えば、案内経路の変更を許可するか否かをユーザに確認する画面を表示させ、案内経路の変更をユーザに確認するようにしてもよい。
【0083】
また、上記実施形態では、道路種別(高速道路、自動車専用道路、一般道など)毎に予め定められた速度を用いて渋滞区間を除いた区間の予測時間を算出する例を示したが、例えば、交通情報に含まれる雨天時の速度規制情報を用いて目的地までの到達予測時間を算出するようにしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、S214において、既経路の渋滞区間を除いた区間の経路長を算出し、この既経路の渋滞区間を除いた区間の経路長に、渋滞区間の距離に予め定められた係数a(係数a>1)を乗算した値を加算して既経路の渋滞を見込んだ経路長を算出する例を示したが、例えば、道路種別(高速道路、自動車専用道路、一般道など)毎に、係数aの値を変化させるようにしてもよい。例えば、車両が一般道から渋滞している高速道路へ進入してしまうと、次の出口まで高速道路から出られないため、渋滞から抜け出せなくなってしまう。そこで、高速道路における係数aを一般道における係数aよりも大きな値に設定することにより、渋滞している高速道路へ進入するような動的経路が案内経路として設定されないようにすることが可能である。
【0085】
また、上記実施形態では、案内経路上の走行に影響を及ぼす区間として、交通渋滞の発生している区間を例に説明したが、これらの区間に限定されるものではなく、例えば、交通事故の発生している区間等に適用してもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、S206、S214、S220において、それぞれ新規経路到達予測時間が既経路到達予測時間よりも予め定められた基準時間以上短いか否かを判定する例を示したが、この基準時間は固定であっても可変であってもよい。
【0087】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S104、S106、S108の処理が経路探索手段に相当し、S104が到達時間優先探索手段に相当し、S106が距離優先探索手段に相当し、外部メモリ19が記憶手段に相当し、S116の処理が記憶手段に時間優先を示す情報を記憶させる手段に相当し、S120の処理が記憶手段に距離優先を示す情報を記憶させる手段に相当し、外部情報入出力装置21が交通情報取得手段に相当し、S204、S212、S218の処理が動的経路探索手段に相当し、S206の処理が第1の経路判定手段に相当し、S214の処理が第2の経路判定手段に相当する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の一実施形態に係るナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】制御回路による経路探索処理を示す図である。
【図3】制御回路による動的探索処理を示す図である。
【図4】動的探索処理を説明するための図である。
【符号の説明】
【0089】
1…ナビゲーション装置、11…位置検出器、12…地磁気センサ…、
13…ジャイロスコープ、14…距離センサ、15…GPS受信機、
16…地図データ入力器、17…操作スイッチ群、18…制御回路、
19…外部メモリ、20…表示装置、21…外部情報入出力装置、
22…リモコンセンサ、23…リモコン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた複数の探索条件毎に目的地までの経路を探索する経路探索手段を備え、ユーザによって選択された探索条件に従って探索された経路を案内経路として走行案内を行うナビゲーション装置であって、
前記ユーザによって選択された経路の探索条件を記憶する記憶手段と、
外部から交通情報を取得する交通情報取得手段と、
前記交通情報取得手段を介して取得した前記交通情報から前記案内経路上に走行に影響を及ぼす区間が存在することを判定すると、前記記憶手段に記憶された前記探索条件に従って前記走行に影響を及ぼす区間を迂回する動的経路を探索する動的経路探索手段と、
前記動的経路探索手段によって探索された前記動的経路を前記案内経路として設定する新規経路設定手段と、を備えたことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記複数の探索条件は、目的地までの到達時間を優先して経路探索する検索条件を含むものであって、
前記経路探索手段は、前記目的地までの到達時間を優先して経路探索する到達時間優先探索手段を有し、
前記到達時間優先探索手段によって探索された経路がユーザによって選択された場合、前記記憶手段に時間優先を示す情報を記憶させる手段と、
前記記憶手段に前記到達時間優先を示す情報が記憶されているか否かを判定する第1の探索条件判定手段を備え、
前記動的経路探索手段は、前記第1の探索条件判定手段によって前記記憶手段に前記到達時間優先を示す情報が記憶されていると判定された場合、前記目的地までの到達時間を優先して、前記走行に影響を及ぼす区間を迂回する動的経路を探索することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記到達時間優先探索手段によって探索された前記動的経路の方が、既に設定されている前記案内経路よりも前記目的地までの到達時間が予め定められた基準時間以上短いか否かを判定する第1の経路判定手段を備え、
前記新規経路設定手段は、前記第1の経路判定手段によって前記到達時間優先探索手段によって探索された前記動的経路の方が、既に設定されている前記案内経路よりも前記目的地までの到達時間が予め定められた基準時間以上短いと判定された場合、前記動的経路を前記案内経路として設定することを特徴とする請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記複数の探索条件は、目的地までの距離を優先して経路探索する検索条件を含むものであって、
前記経路探索手段は、前記目的地までの距離を優先して経路探索する距離優先探索手段を有し、
前記距離優先探索手段によって探索された経路がユーザによって選択された場合、前記記憶手段に距離優先を示す情報を記憶させる手段と、
前記記憶手段に前記距離優先を示す情報が記憶されているか否かを判定する第2の探索条件判定手段を備え、
前記動的経路探索手段は、前記第2の探索条件判定手段によって前記記憶手段に前記距離優先を示す情報が記憶されていると判定された場合、前記目的地までの距離を優先して前記走行に影響を及ぼす区間を迂回する動的経路を探索することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記距離優先探索手段によって探索された前記動的経路の方が、既に設定されている前記案内経路よりも前記目的地までの距離が所定距離以上短いか否かを判定する第2の経路判定手段を備え、
前記新規経路設定手段は、前記第2の経路判定手段によって前記距離優先探索手段によって探索された前記動的経路の方が、既に設定されている前記案内経路よりも前記目的地までの距離が所定距離以上短いと判定された場合、前記動的経路を前記案内経路として設定することを特徴とする請求項4に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−139573(P2007−139573A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333543(P2005−333543)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】