説明

ハイブリッド車両の制御装置

【課題】 運転者のスポーツ走行要求時、走行レスポンスを向上できるハイブリッド車両の制御装置を提供すること。
【解決手段】 エンジンと、モータジェネレータと、前記エンジンと前記モータジェネレータとの間に介装され前記エンジンと前記モータジェネレータとを断接する第1締結要素と、前記第1締結要素の締結および解放を制御する第1締結要素制御手段と、前記モータジェネレータと駆動輪との間に介装され前記モータジェネレータの出力回転を変速して前記駆動輪に伝達する自動変速機と、走行状態に応じて自動的に変速段を切り替える自動変速モードと、運転者により選択された変速段に変速段を固定する手動変速モードと、を運転者の選択に応じて切り替える変速モード切替手段と、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、変速モードが前記手動変速モードに切り替えられたとき、前記第1締結要素制御手段に指令を出力して前記第1締結要素の解放を禁止するエンジン切り離し禁止手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力源としてエンジンおよびモータを備えたハイブリッド車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッド車両として特許文献1の技術が開示されている。このハイブリッド車両は、エンジンとモータとを断接する第1締結要素と、モータと駆動輪との間に介装された自動変速機と、を備え、走行モードとして、モータのみを動力源として走行するモータ走行モードと、エンジンを動力源に含みながら走行するエンジン走行モードとを有し、走行状態に応じてこれらの走行モードを自動的に切り替えることで、燃費の向上を図っている。
【特許文献1】特開平11−82260号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、自動変速モードと手動変速モード(スポーツモード)とを運転者の選択に応じて切り替えることが可能な変速モード切替手段を有しているハイブリッド車両において、手動変速モード(スポーツモード)が選択されたときには、燃費よりも走行レスポンスの向上、すなわち運転者の駆動力要求に応じた迅速な加速が必要とされる。
【0004】
しかし、特許文献1に記載のハイブリッド車両の制御装置にあっては、走行状態に応じて自動的に第1締結要素を締結または解放し、自動的にエンジンの始動または停止を行う構成となっている。よって、仮に特許文献1に記載のハイブリッド車両の制御装置に変速モード切替手段を追加的に設けた構成を想定しても、この構成においては、自動変速モードであるか手動変速モードであるかに関わらず、所定の走行条件が成立すれば自動的に第1締結要素を解放してエンジンとモータを切り離し、エンジンを停止してモータ走行に切替えることとなる。また、運転者の駆動力要求(アクセル開度)が大きい場合には、自動的に第1締結要素を締結してエンジンとモータを接続し、エンジンを再始動してエンジン走行に切替えることとなる。
【0005】
このように、運転者が手動変速モード(スポーツモード)を選択し、スポーツ走行を要求している場合においても、自動的にエンジンの始動および停止を行う構成となっているため、エンジンを(再)始動する際、第1締結要素の締結制御に要する時間の分だけエンジン始動時が遅れ、走行レスポンスが低下するおそれがあった。
【0006】
また、エンジンを(再)始動する度に、エンジン始動用電力、すなわちクランキング等のエンジン始動に要する電力の分だけ、モータ走行用電力、すなわちモータ走行のためのトルクを出力するモータの駆動に利用できる電力の上限が減少する。このため、モータ出力が制限されて迅速な加速ができなくなり、走行レスポンスが低下するおそれがあった。
【0007】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、運転者のスポーツ走行要求時、走行レスポンスを向上できるハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願発明のハイブリッド車両の制御装置では、エンジンと、モータジェネレータと、前記エンジンと前記モータジェネレータとの間に介装され前記エンジンと前記モータジェネレータとを断接する第1締結要素と、前記第1締結要素の締結および解放を制御する第1締結要素制御手段と、前記モータジェネレータと駆動輪との間に介装され前記モータジェネレータの出力回転を変速して前記駆動輪に伝達する自動変速機と、走行状態に応じて自動的に変速段を切り替える自動変速モードと、運転者により選択された変速段に変速段を固定する手動変速モードと、を運転者の選択に応じて切り替える変速モード切替手段と、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、変速モードが前記手動変速モードに切り替えられたとき、前記第1締結要素制御手段に指令を出力して前記第1締結要素の解放を禁止するエンジン切り離し禁止手段を設けた。
【発明の効果】
【0009】
よって、本発明のハイブリッド車両の制御装置にあっては、運転者のスポーツ走行要求時、第1締結要素の制御に要する時間が不要となり、またエンジン始動用電力の分をモータ走行用電力として利用可能となるため、走行レスポンスを向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0011】
(駆動系の構成)
まず、実施例1におけるハイブリッド車両の駆動系の構成を説明する。図1は、実施例1のハイブリッド車両の制御装置が適用された後輪駆動によるハイブリッド車両を示す全体システム図である。ハイブリッド車両の駆動系は、エンジンEと、フライホイールFWと、第1クラッチCL1と、モータジェネレータMGと、第2クラッチCL2と、自動変速機ATと、プロペラシャフトPSと、ディファレンシャルDFと、左ドライブシャフトDSLと、右ドライブシャフトDSRと、左後輪RL(駆動輪)と、右後輪RR(駆動輪)と、を有している。なお、FLは左前輪、FRは右前輪である。
【0012】
(エンジン)
エンジンEは、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンであり、後述するエンジンコントローラ1からの制御指令に基づいて、スロットルバルブのバルブ開度等が制御される。なお、エンジン出力軸にはフライホイールFWが設けられている。
【0013】
(第1クラッチ)
第1クラッチCL1は、エンジンEとモータジェネレータMGとの間に介装された締結要素(クラッチ)であり、後述する第1クラッチコントローラ5からの制御指令に基づいて、第1クラッチ油圧ユニット6により作り出された制御油圧により、その締結および解放が制御される。
【0014】
(モータジェネレータ)
モータジェネレータMGは、ロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルが巻き付けられた同期型モータジェネレータであり、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づいて、インバータ3により作り出された三相交流を印加することにより制御される。このモータジェネレータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできるし(この状態を「力行」と呼ぶ)、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ4を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。なお、このモータジェネレータMGのロータは、図外のダンパを介して自動変速機ATの入力軸に連結されている。
【0015】
(第2クラッチ)
第2クラッチCL2は、モータジェネレータMGと左右後輪RL,RRとの間に介装された締結要素(クラッチ)であり、後述するATコントローラ7からの制御指令に基づいて、第2クラッチ油圧ユニット8により作り出された制御油圧により、その締結および解放が制御される。
【0016】
(自動変速機)
自動変速機ATは、前進5速後退1速等の有段階の変速比を車速VSPやアクセル開度AP等に応じて自動的に切り替える変速機である。第2クラッチCL2は、ハイブリッド車両専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結される複数の締結要素のうち、いくつかの締結要素を流用している。
【0017】
なお、上記第1クラッチCL1と第2クラッチCL2には、比例ソレノイドで油流量および油圧を連続的に制御できる湿式多板クラッチを用いているが、他の構成としてもよい。
【0018】
自動変速機ATの出力軸は、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、左ドライブシャフトDSL、右ドライブシャフトDSRを介して左右後輪RL,RRに連結されている。
【0019】
(変速モード)
自動変速機ATの各走行レンジには、走行状態に応じて自動的に変速段を切り替える自動変速モードと、運転者により選択された変速段に変速段を固定する手動変速モードと、が設定されている。これら2つの変速モードは、運転者の選択に応じて切り替えられる。具体的には、運転者によって操作される後述の変速モード切替スイッチ26のON/OFF信号により切り替えられる。
【0020】
自動変速モードが選択された場合には、走行条件(アクセル開度APおよび車速VSP)に基づき、予め設定されATコントローラ7に記憶された変速マップに従って自動的に変速される。一方、手動変速モードが選択された場合には、上記走行条件や変速マップにかかわらず、運転者により選択された変速段に変速され、運転者が操作しない限りその変速段に固定される。なお、手動変速モードが選択されたときでも、エンジンEやモータジェネレータMGの上限回転数(レブリミット)を超える場合には自動的にアップシフトするように構成してもよい。
【0021】
(走行モード)
このハイブリッド車両の駆動系は、第1クラッチCL1の締結・解放状態に応じた2つの走行モードを有している。第1の走行モードは、第1クラッチCL1の解放状態で、モータジェネレータMGの動力のみを動力源として走行するモータ使用走行モードとしての電気自動車走行モード(以下、「EV走行モード」)である。第2の走行モードは、第1クラッチCL1の締結状態で、エンジンEを動力源に含みながら走行するエンジン使用走行モード(以下、「HEV走行モード」)である。
【0022】
さらに上記「HEV走行モード」は、「エンジン走行モード」と「モータアシスト走行モード」と「走行発電モード」との3つの走行モードを有している。「エンジン走行モード」は、エンジンEのみを動力源として駆動輪を動かす。「モータアシスト走行モード」は、エンジンEとモータジェネレータMGの2つを動力源として駆動輪を動かす。「走行発電モード」は、エンジンEを動力源として駆動輪RR,RLを動かすと同時に、モータジェネレータMGを発電機として機能させる。
【0023】
上記「走行発電モード」は、定速運転時や加速運転時には、エンジンEの動力を利用してモータジェネレータMGを発電機として動作させ、発電した電力をバッテリ4の充電のために使用する。また、減速運転時には、制動エネルギーを利用してモータジェネレータMGを発電機として動作させ、制動エネルギーを回生する。
【0024】
(制御系)
次に、実施例1におけるハイブリッド車両の制御系を説明する。ハイブリッド車両の制御系は、後述する各種センサおよびスイッチの他、エンジンコントローラ1、モータコントローラ2、インバータ3、バッテリ4、第1クラッチコントローラ5、第1クラッチ油圧ユニット6、ATコントローラ7、第2クラッチ油圧ユニット8、ブレーキコントローラ9、および統合コントローラ10を有している。
【0025】
なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、情報交換が可能なCAN通信線11を介して互いに接続されている。
【0026】
各種センサおよびスイッチは、エンジン回転数センサ12、レゾルバ13、第1クラッチ油圧センサ14、第1クラッチストロークセンサ15、アクセル開度センサ16、車速センサ17、第2クラッチ油圧センサ18、車輪速センサ19、ブレーキストロークセンサ20、モータ回転数センサ21、第2クラッチ出力回転数センサ22、第2クラッチトルクセンサ23、ブレーキ油圧センサ24、バッテリ電力センサ25、変速モード切替スイッチ26、および手動変速モード時エンジン切り離し禁止スイッチ27を有している。
【0027】
手動変速モード時エンジン切り離し禁止スイッチ27は、手動変速モード選択時においてエンジンEとモータジェネレータMGとの切り離しを禁止する後述のエンジン切り離し禁止制御の実行の許否を、運転者の選択に委ねるものである。運転者によって操作される手動変速モード時エンジン切り離し禁止スイッチ27のON/OFF信号により、第1クラッチCL1の切り離しを禁止するか否か、すなわちエンジンEとモータジェネレータMGとの切り離しを禁止するか否か、が制御される。
【0028】
(エンジンコントローラ)
エンジンコントローラ1は、エンジン回転数センサ12が検出したエンジン回転数Neや統合コントローラ10からの目標エンジントルク指令等の情報に基づき、エンジン動作点(Ne,Te)を制御する指令を、例えば、図外のスロットルバルブアクチュエータへ出力する。なお、エンジン回転数Ne、すなわち第1クラッチCL1入力回転数の情報は、エンジンコントローラ1からCAN通信線11を介して統合コントローラ10に入力される。
【0029】
(モータコントローラ)
モータコントローラ2は、レゾルバ13が検出したモータジェネレータMGのロータ回転位置、および統合コントローラ10からの目標モータジェネレータトルク指令等に基づき、モータジェネレータMGのモータ動作点(Nm,Tm)を制御する指令をインバータ3へ出力する。
【0030】
(第1クラッチコントローラ)
第1クラッチコントローラ5は、第1クラッチ油圧センサ14が検出した第1クラッチ圧、第1クラッチストロークセンサ15が検出した第1クラッチストロークC1S、および統合コントローラ10からの第1クラッチ制御指令に基づき、第1クラッチCL1の締結・解放を制御する指令を第1クラッチ油圧ユニット6に出力する。なお、第1クラッチストロークC1Sの情報は、CAN通信線11を介して統合コントローラ10に入力される。
【0031】
(ATコントローラ)
ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16が検出したアクセル開度AP、車速センサ(AT出力回転数センサ)17が検出した車速VSP、第2クラッチ油圧センサ18が検出した第2クラッチ圧、および統合コントローラ10からの第2クラッチ制御指令等に基づき、第2クラッチCL2の締結・解放を制御する指令をAT油圧コントロールバルブ内の第2クラッチ油圧ユニット8に出力する。なお、アクセル開度APと車速VSPは、CAN通信線11を介して統合コントローラ10に入力される。
【0032】
(ブレーキコントローラ)
ブレーキコントローラ9は、車輪速センサ19が検出した4輪の各車輪速、ブレーキストロークセンサ20が検出したブレーキストロークBS、および統合コントローラ10からの回生協調制御指令に基づき、回生協調ブレーキ制御を行う。例えば、ブレーキ踏み込み制動時、ブレーキストロークBSから算出される要求制動力に対し回生制動力だけでは不足する場合、その不足分を機械制動力(液圧制動力やモータ制動力)で補うように制御する。
【0033】
(統合コントローラ)
統合コントローラ10は、主に、車両全体の消費エネルギーを管理し、最高効率で車両を走らせる機能を有している。図2は、統合コントローラ10の制御ブロック図である。図2に示すように、統合コントローラ10は、走行モード制御部10a、アイドルストップ制御部10b、エンジン切り離し禁止制御部10c、およびバッテリ使用領域制御部10dからなる本発明に係る各部、および上記機能を担うその他の図外の各部を有している。
【0034】
図1に示すように、統合コントローラ10は、モータ回転数センサ21が検出したモータ回転数Nm、第2クラッチ出力回転数センサ22が検出した第2クラッチ出力回転数N2out、第2クラッチトルクセンサ23が検出した第2クラッチトルクTCL2、ブレーキ油圧センサ24が検出したブレーキ圧、変速モード切替スイッチ26が検出した選択された変速モード、バッテリ電力センサ25が検出したバッテリ4の使用可能な電力容量(以下、バッテリSOC)、手動変速モード時エンジン切り離し禁止スイッチ27が検出したエンジン切り離し許否等の情報、およびCAN通信線11を介して得られた各情報、すなわちエンジン回転数Ne(第1クラッチCL1入力回転数)、第1クラッチストロークC1S、第1、第2クラッチ圧、アクセル開度AP、車速VSP、およびブレーキストロークBS等の入力を受ける。
【0035】
(エンジン制御)
統合コントローラ10は、エンジン回転数Ne等に基づき算出した目標エンジントルクをエンジンコントローラ1に出力して、エンジンEの動作を制御する。
【0036】
(第1クラッチ制御)
統合コントローラ10は、エンジン回転数Ne(第1クラッチCL1入力回転数)およびモータ回転数Nm(第1クラッチCL1出力回転数)等に基づき算出した第1クラッチ制御指令を第1クラッチコントローラ5に出力して、第1クラッチCL1の締結および解放を制御する。
【0037】
具体的には、統合コントローラ10の走行モード制御部10aは、走行状態に応じて自動的に第1クラッチ制御指令を第1クラッチコントローラ5に出力することにより、EV走行モードとHEV走行モードとを自動的に切り替える。
【0038】
また、統合コントローラ10は、選択された変速モードが手動変速モードであるとき、走行モード制御部10aの指令に関わらず、運転者の要求に応じて第1クラッチCL1の締結を維持し、第1クラッチCL1の解放を禁止することが可能である。
【0039】
具体的には、統合コントローラ10のエンジン切り離し禁止制御部10cは、手動変速モードが選択されており、かつ手動変速モード時エンジン切り離し禁止スイッチ27がONである(エンジン切り離し禁止信号が統合コントローラ10に入力されている)とき、第1クラッチ締結指令を第1クラッチコントローラ5に継続的に出力すること等により、第1クラッチCL1の解放を禁止する。
【0040】
それ以外のとき、すなわち自動変速モードが選択されているか、または手動変速モードが選択されているが手動変速モード時エンジン切り離し禁止スイッチ27がOFFである(エンジン切り離し禁止信号が統合コントローラ10に入力されていない)とき、エンジン切り離し禁止制御部10cは、第1クラッチ締結指令を第1クラッチコントローラ5に出力せず、第1クラッチCL1の解放を禁止しない。すなわち、走行モード制御部10aが第1クラッチCL1の自動制御を続行する。
【0041】
また、エンジン切り離し禁止制御部10cは、EV走行モードで走行中に運転者の要求があったとき、すなわち手動変速モードが選択され、かつ手動変速モード時エンジン切り離し禁止スイッチ27がONとされたとき、即座に第1クラッチ締結指令を第1クラッチコントローラ5に出力してエンジンEを始動させ、かつ、その後におけるエンジン切り離しを禁止する。
【0042】
なお、手動変速モード時エンジン切り離し禁止スイッチ27を設けず、その代わり、エンジン切り離し禁止制御部10cが、HEV走行モードで走行中に運転者の要求があったとき、すなわち手動変速モードが選択されたときに、エンジン切り離しを禁止することとしてもよい。
【0043】
さらに、手動変速モード時エンジン切り離し禁止スイッチ27を設けず、その代わり、エンジン切り離し禁止制御部10cが、EV走行モードで走行中に手動変速モードが選択されたとき、即座に(エンジンEを始動させ、かつ、)エンジン切り離しを禁止することとしてもよい。また、スイッチ27を設けず、エンジン切り離し禁止制御部10cが、EV走行モードで走行中に手動変速モードが選択された後、走行モード制御部10aの指令によりHEV走行モードに切り替わった時点で、(エンジンEを始動させ、かつ、)エンジン切り離しを禁止することとしてもよい。
【0044】
(第2クラッチ制御)
統合コントローラ10は、モータ回転数Nm(第2クラッチCL1入力回転数)および第2クラッチ出力回転数N2out等に基づき算出した第2クラッチ制御指令をATコントローラ7に出力して、第2クラッチCL2の締結および解放を制御する。
【0045】
(バッテリ制御)
統合コントローラ10のバッテリ使用領域制御部10dは、バッテリ電力センサ25が検出したバッテリ4の使用可能な電力容量(バッテリSOC)に基づき、バッテリSOCの上限値および下限値を設定する。これにより、バッテリ使用領域を制御する。
【0046】
バッテリ使用領域制御部10dは、手動変速モードが選択されており、かつ手動変速モード時エンジン切り離し禁止スイッチ27がONであること(以下、この状態を「エンジン切り離し禁止モード」という。)によりエンジン切り離し禁止制御部10cが第1クラッチCL1の解放を禁止するとき、バッテリ4の使用領域を拡大する。具体的には、第1クラッチCL1の解放すなわちエンジンEの切り離しが禁止されていない自動変速モード等(以下、「通常モード」という。)に比べて、エンジン切り離し禁止モードにおけるバッテリSOCの上限値を高く設定し、また下限値を低く設定する。
【0047】
図3は、バッテリ使用領域制御の概念図である。図中、横軸はバッテリSOCの制御領域を示す。(1)は、通常モード時の制御領域である。(1)に(2)および(3)を加えた領域が、エンジン切り離し禁止モード時の制御領域である。バッテリ使用領域制御部10dは、エンジン切り離し禁止モード時には、バッテリSOCの下限値を低く設定することにより、制御領域を(2)の分だけ拡大する。また、バッテリSOCの上限値を高く設定することにより、制御領域を(3)の分だけ拡大する。
【0048】
(モータ制御)
統合コントローラ10は、モータ回転数Nm等に基づき算出した目標モータジェネレータトルクTmをモータコントローラ2に出力して、バッテリ使用領域制御部10dが設定したバッテリ使用領域の範囲内で、モータジェネレータMGの動作を制御する。
【0049】
(アイドルストップ制御)
統合コントローラ10のアイドルストップ制御部10bは、所定の条件が成立したときはエンジンEの作動を停止するアイドルストップ制御を行う。具体的には、極低車速であることとエンジンEがアイドル回転していることを判定し、さらに各種センサの信号を併用して、アイドルストップ制御の開始および終了を判断する。
【0050】
エンジン切り離し禁止制御部10cは、変速モードが手動変速モードに切り替えられた後、第1クラッチCL1の解放を禁止したとき、アイドルストップ制御部10bに指令を出力して、エンジンEの作動停止すなわちアイドルストップ制御の実行を禁止する。
【0051】
[実施例1の作用効果]
(エンジン切り離し禁止制御)
統合コントローラ10は、運転者による変速モードの切り替えを判定すると同時に、計器パネルなどで運転者に変速モードの状態を知らせる。エンジン切り離し禁止制御部10cは、運転者により変速モードが手動変速モード(スポーツモード)に切り替えられた後、運転者によりエンジン切り離し禁止スイッチがONにされた(エンジン切り離し禁止モードが選択された)とき、第1クラッチコントローラ5に第1クラッチ締結指令を出力して、第1クラッチCL1の解放を禁止する。これにより、エンジンEはモータジェネレータMGと切り離されることがなくなり、走行モードは、エンジンEとモータジェネレータMGとを併用するHEV走行モードに固定される。
【0052】
一般に、走行レスポンスを向上させるためには、エンジンEとモータジェネレータMGの併用頻度を高めることが望ましい。エンジンEとモータジェネレータMGとは時定数が異なり、それぞれの応答特性が異なるためである。各動力源をその特性に応じて最適に使い分けることにより、いずれの走行状態においても要求駆動力を適切に満足させることができる。
【0053】
本実施例1では、燃費よりも走行レスポンスが要求されるスポーツ走行要求時において、エンジンEを(再)始動する必要をなくし、第1クラッチCL1の締結制御に要する時間をなくした。また、エンジンEとモータジェネレータMGとを常に併用することとした。よって、運転者の要求する駆動力を、運転者の要求する適切なタイミングで遅滞なく得ることができ、走行レスポンスを向上できる。
【0054】
また、本実施例1においてエンジン切り離し禁止制御部10cは、単に手動変速モードが選択されたときではなく、手動変速モードの選択後、運転者によりエンジン切り離し禁止モードが要求されたときに初めて、第1クラッチCL1の解放を禁止する。このように運転者の要求に応じてエンジンEとモータジェネレータMGとの切り離しを禁止可能な構成であるため、手動変速モード選択時における運転者の操作の幅を広げ、燃費向上と走行レスポンス向上とを運転者の意図に応じて柔軟に両立できる。
【0055】
なお、エンジン切り離し禁止制御部10cは、変速モードが手動変速モードに切り替えられたときに、自動的に第1クラッチコントローラ5に制御指令を出力することとしてもよい。この場合、変速モードが手動変速モードに切り替えられたときに、自動的に第1クラッチCL1が締結されてエンジンが始動する(EV走行モード時に変速モードが切り替えられた場合)。また、自動的に第1クラッチCL1の解放が禁止される(EV走行モード時、HEV走行モード時)。このようにスポーツモード時に自動的に、走行レスポンスを向上させる上記エンジン切り離し禁止モードを実行する構成とした場合には、運転者の操作の手間を省き、操作の利便性を向上できる。
【0056】
(バッテリ使用領域制御)
一般に、モータアシスト走行によって応答性よく要求駆動力を満足させるには、バッテリ電力を最大限に利用し、バッテリSOCの広い領域にわたってモータジェネレータMGを駆動することが望ましい。これにより、モータジェネレータMGの使用頻度を高め、よってエンジンEとモータジェネレータMGの併用頻度を高めることができる。
【0057】
従来技術では、エンジンEとモータジェネレータMGとの間に介装されるクラッチを自動的に断接してエンジンEを(再)始動する。このため、第1に、バッテリSOCにおいてエンジン始動用電力を常に確保しておく必要があり、この分だけバッテリSOCの下限に限界がある。すなわちバッテリSOCの下限が上昇し、モータ駆動に利用できる電力が制限される。よって、モータアシストの頻度が減少する、という問題があった。第2に、バッテリSOCの上限に限界があるため、モータ回生の頻度が減少し、モータ走行中の回生電力がそれ以上バッテリに蓄えられない。よって、その分だけモータ駆動に利用できる電力が制限され、モータ使用頻度が減少する、という問題があった。
【0058】
これに対し本実施例1では、手動変速モード選択後、エンジンEの切り離し禁止制御を行うだけでなくバッテリ使用領域制御を行う。すなわち、モータジェネレータMGとの間で電力の授受を行うバッテリ4において、バッテリSOCの領域を拡大する制御を実行する。具体的には、バッテリSOCの上限値を高く設定し、また下限値を低く設定する。
【0059】
第1に、バッテリSOCの下限値を低く設定することにより、バッテリSOCの領域を拡大する(図3の領域(2)参照)。第1クラッチCL1の解放を禁止している間は、バッテリSOCにおけるエンジン始動(クランキング等)に必要な分の電力を確保しておく必要がないため、この電力分だけモータ駆動用の電力、すなわちモータ走行における車両駆動力に利用することができる。よって、本実施例1では、バッテリSOCの下限を低下させることにより、モータ駆動に利用できる電力、すなわちモータアシスト電力を増やす。これによりモータジェネレータMGの使用頻度(エンジンEとの併用頻度)を増大させ、モータアシスト走行による迅速な加速を可能とし、走行レスポンスを向上できる。
【0060】
第2に、バッテリSOCの上限値を高く設定することにより、バッテリSOCの領域を拡大する(図3の領域(3)参照)。バッテリSOCの上限値を高くした分だけ、走行中のモータ回生電力、すなわちモータアシストに利用できる電力が増大し、その分だけモータジェネレータMGの使用頻度が増大する。これによりモータアシスト走行による迅速な加速を可能とし、走行レスポンスを向上できる。
【0061】
(アイドルストップ禁止制御)
統合コントローラ10は、所定の条件が成立したときはエンジンEの作動を停止するアイドルストップ制御部10bを備えるが、変速モードが手動変速モードに切り替えられた後、第1クラッチCL1の解放を禁止したときは、アイドルストップ制御の実行を禁止し、エンジンEの作動停止を禁止する。よって、車両発進時において、エンジンEが切り離されず、かつエンジンEが作動していることとなるため、エンジン作動開始のための制御およびそれに要する時間が不要となり、即座に、モータジェネレータMG以外にエンジンEの駆動力を利用できる。したがって、走行レスポンスが要求される手動変速モード(スポーツモード)の選択時に、両動力源を併用することで発進時のレスポンスを向上できる。
【0062】
[実施例1の効果]
以下、実施例1から把握される、本発明のハイブリッド車両の制御装置が有する効果を列挙する。
【0063】
(1)エンジンEと、モータジェネレータMGと、エンジンEとモータジェネレータMGとの間に介装されエンジンEとモータジェネレータMGとを断接する第1クラッチCL1と、第1クラッチCL1の締結および解放を制御する第1クラッチコントローラ5と、モータジェネレータMGと駆動輪RR,RLとの間に介装されモータジェネレータMGの出力回転を変速して駆動輪RR,RLに伝達する自動変速機ATと、走行状態に応じて自動的に変速段を切り替える自動変速モードと、運転者により選択された変速段に変速段を固定する手動変速モードと、を運転者の選択に応じて切り替える変速モード切替スイッチ26と、を備えたハイブリッド車両の制御装置において、変速モードが手動変速モードに切り替えられたとき、第1クラッチコントローラ5に指令を出力して第1クラッチCL1の解放を禁止するエンジン切り離し禁止制御部10cを設けた。
【0064】
よって、変速モード切替手段(スイッチ等)が設けられているハイブリッド車両において、燃費よりも走行レスポンスが要求される手動変速モード(スポーツモード)が選択されたときは、第1クラッチCL1を締結状態に固定してエンジンEとモータジェネレータMGとを切り離さないでおくことが可能である。よって、エンジンEを(再)始動する必要をなくし、第1クラッチCL1の締結制御に要する時間をなくすことが可能である。また、エンジンEとモータジェネレータMGとを常に併用することが可能である。したがって、運転者の要求する駆動力を運転者の要求する適切なタイミングで遅滞なく得ることができ、走行レスポンスを向上できる、という効果を有する。
【0065】
(2)ハイブリッド車両の制御装置は、第1クラッチCL1を解放しモータジェネレータMGの駆動力のみで走行するEV走行モードと、第1クラッチCL1を締結しエンジンEとモータジェネレータMGの両方の駆動力で走行するHEV走行モードと、を走行状態に応じて自動的に切り替える走行モード制御部10aを有し、エンジン切り離し禁止制御部10cは、EV走行モードで走行中に変速モードが手動変速モードに切り替えられたとき、第1クラッチコントローラ5に制御指令を出力し、第1クラッチCL1を締結させてエンジンEを始動させるとともに、第1クラッチCL1の解放を禁止することとした。
【0066】
よって、EV走行モードとHEV走行モードとを走行状態に応じて自動的に切り替えるハイブリッド車両の制御装置において、EV走行モードで走行中に手動変速モード(スポーツモード)が選択されたとき、所定の走行条件の実現を待たずに速やかにエンジンを始動させることにより、エンジンEとモータジェネレータMGとを併用することが可能となる。したがって、燃費よりも走行レスポンスが要求される手動変速モード(スポーツモード)選択時に、運転者の要求する駆動力を運転者の要求する適切なタイミングで遅滞なく得ることができ、走行レスポンスを向上できる、という効果を有する。
【0067】
(3)エンジン切り離し禁止制御部10cは、変速モードが手動変速モードに切り替えられた後、運転者によりエンジン切り離し禁止モードが要求されたときに初めて、第1クラッチCL1の解放を禁止する指令を出力することとした。
【0068】
よって、運転者の要求に応じてエンジンEとモータジェネレータMGとの切り離しを禁止できるため、手動変速モード選択時における運転者の操作の幅を広げ、燃費向上と走行レスポンス向上とを運転者の意図に応じて柔軟に両立できる、という効果を有する。
【0069】
(4)エンジン切り離し禁止制御部10cは、変速モードが手動変速モードに切り替えられたときに自動的に、第1クラッチコントローラ5に制御指令を出力することとした。
【0070】
よって、変速モードが手動変速モードに切り替えられたときに自動的に第1クラッチCL1が締結されてエンジンが始動し(EV走行モード時に変速モードが切り替えられたとき)、また、自動的に第1クラッチCL1の解放が禁止される(EV走行モード時、HEV走行モード時)。このようにスポーツモード時に自動的に、走行レスポンスを向上できるエンジン切り離し禁止モードを実行することで、運転者の操作の手間を省き、操作の利便性を向上できる、という効果を有する。
【0071】
(5)モータジェネレータMGとの間で電力の授受を行うバッテリ4と、第1クラッチCL1の解放が禁止されたとき、バッテリ4の容量の使用領域を拡大するバッテリ使用領域制御部10dと、を設けた。
【0072】
よって、バッテリ電力を最大限に利用し、バッテリSOCの広い領域にわたってモータジェネレータMGを駆動することで、エンジンEとモータジェネレータMGの併用頻度を高めることができる。すなわち、モータアシストやモータ回生の頻度を増やすことで、モータジェネレータMGとエンジンEとの双方を走行中に併用できる時間の割合を増やすことができる。このため、いずれの走行状態においても運転者の要求する駆動力を応答性よく満足できることとなり、走行レスポンスを向上できる、という効果を有する。
【0073】
(6)バッテリ使用領域制御部10dは、第1クラッチCL1の解放が禁止されたとき、バッテリ使用領域の下限を低下させる、すなわちバッテリSOCの下限値を低く設定することとした。
【0074】
よって、エンジン始動用電力をモータ走行用電力として利用することにより、モータアシスト電力を増やすことができ、これによりモータジェネレータMGの使用頻度を増大させ、モータアシスト走行による迅速な加速を可能とし、走行レスポンスを向上できる、という効果を有する。
【0075】
(7)バッテリ使用領域制御部10dは、第1クラッチCL1の解放が禁止されたとき、バッテリ使用領域の上限を上昇させる、すなわちバッテリSOCの上限値を高く設定することとした。
【0076】
このようにバッテリSOCの上限値を高くした分だけ、走行中のモータ回生電力、すなわちモータアシストに利用できる電力が増大し、その分だけモータジェネレータMGの使用頻度が増大する。これによりモータアシスト走行による迅速な加速を可能とし、走行レスポンスを向上できる、という効果を有する。
【0077】
(8)ハイブリッド車両の制御装置は、所定の条件が成立したときエンジンEの作動を停止するアイドルストップ制御部10bを有し、エンジン切り離し禁止制御部10cは、第1クラッチCL1の解放を禁止するとき、アイドルストップ制御部10bに制御指令を出力してエンジンEの作動停止を禁止することとした。
【0078】
よって、車両発進時において、エンジンEが切り離されず、かつエンジンEが作動していることとなるため、エンジン作動開始のための制御およびそれに要する時間が不要となり、即座に、モータジェネレータMG以外にエンジンEの駆動力を利用できる。したがって、走行レスポンスが要求される手動変速モード(スポーツモード)の選択時に、両動力源を併用することで発進時のレスポンスを向上できる、という効果を有する。
【0079】
以上、本発明のハイブリッド車両の制御装置を実施例1に基づき説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0080】
実施例1では、第2クラッチとして自動変速機ATに内蔵されたクラッチを利用する例を示したが、モータジェネレータと変速機との間に第2クラッチを追加して介装したり、または、変速機と駆動輪との間に第2クラッチを追加して介装(例えば、特開2002−144921号公報参照)しても良い。さらには、第1クラッチ(エンジンクラッチ)のみを持つハイブリッド車両にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】実施例1の制御装置が適用されたハイブリッド車両を示す全体システム図である。
【図2】実施例1の制御装置における統合コントローラの制御ブロック図である。
【図3】実施例1のハイブリッド車両の制御装置におけるバッテリ使用領域制御の概念図である。
【符号の説明】
【0082】
E エンジン
FW フライホイール
CL1 第1クラッチ
MG モータジェネレータ
CL2 第2クラッチ
AT 自動変速機
PS プロペラシャフト
DF ディファレンシャル
DSL 左ドライブシャフト
DSR 右ドライブシャフト
RL 左後輪(駆動輪)
RR 右後輪(駆動輪)
FL 左前輪
FR 右前輪
1 エンジンコントローラ
2 モータコントローラ
3 インバータ
4 バッテリ
5 第1クラッチコントローラ
6 第1クラッチ油圧ユニット
7 ATコントローラ
8 第2クラッチ油圧ユニット
9 ブレーキコントローラ
10 統合コントローラ
10a 走行モード制御部
10b アイドルストップ制御部
10c エンジン切り離し禁止制御部
10d バッテリ使用領域制御部
11 CAN通信線
12 エンジン回転数センサ
13 レゾルバ
14 第1クラッチ油圧センサ
15 第1クラッチストロークセンサ
16 アクセル開度センサ
17 車速センサ
18 第2クラッチ油圧センサ
19 車輪速センサ
20 ブレーキストロークセンサ
21 モータ回転数センサ
22 第2クラッチ出力回転数センサ
23 第2クラッチトルクセンサ
24 ブレーキ油圧センサ
25 バッテリ電力センサ
26 変速モード切替スイッチ
27 手動変速モード時エンジン切り離し禁止スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
モータジェネレータと、
前記エンジンと前記モータジェネレータとの間に介装され前記エンジンと前記モータジェネレータとを断接する第1締結要素と、
前記第1締結要素の締結および解放を制御する第1締結要素制御手段と、
前記モータジェネレータと駆動輪との間に介装され前記モータジェネレータの出力回転を変速して前記駆動輪に伝達する自動変速機と、
走行状態に応じて自動的に変速段を切り替える自動変速モードと、運転者により選択された変速段に変速段を固定する手動変速モードと、を運転者の選択に応じて切り替える変速モード切替手段と、
を備えたハイブリッド車両の制御装置において、
変速モードが前記手動変速モードに切り替えられたとき、前記第1締結要素制御手段に指令を出力して前記第1締結要素の解放を禁止するエンジン切り離し禁止手段を設けたこと
を特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記第1締結要素を解放し前記モータジェネレータの駆動力のみで走行する第1走行モードと、前記第1締結要素を締結し前記エンジンと前記モータジェネレータの両方の駆動力で走行する第2走行モードと、を走行状態に応じて自動的に切り替える走行モード制御手段を有し、
前記エンジン切り離し禁止手段は、前記第1走行モードで走行中に変速モードが前記手動変速モードに切り替えられたとき、前記第1締結要素制御手段に指令を出力し、前記第1締結要素を締結させて前記エンジンを始動させるとともに、前記第1締結要素の解放を禁止すること
を特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記エンジン切り離し禁止手段は、前記手動変速モード時に運転者の要求に応じて前記指令を出力することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記エンジン切り離し禁止手段は、変速モードが前記手動変速モードに切り替えられたとき、自動的に前記指令を出力することを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
前記モータジェネレータとの間で電力の授受を行うバッテリと、
前記第1締結要素の解放が禁止されたとき、前記バッテリの容量の使用領域を拡大するバッテリ使用領域制御手段と、を設けたこと
を特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項6】
請求項5に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記バッテリ使用領域制御手段は、前記使用領域の下限を低下させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載のハイブリッド車両の制御装置において、前記バッテリ使用領域制御手段は、前記使用領域の上限を上昇させることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。
【請求項8】
請求項1ないし7いずれか1項に記載のハイブリッド車両の制御装置において、
所定の条件が成立したときエンジンの作動を停止するアイドルストップ制御手段を有し、
前記エンジン切り離し禁止手段は、前記第1締結要素の解放を禁止するとともに、前記アイドルストップ制御手段に指令を出力してエンジンの作動停止を禁止すること
を特徴とするハイブリッド車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−1258(P2008−1258A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173490(P2006−173490)
【出願日】平成18年6月23日(2006.6.23)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】