説明

バリア層除去方法及び装置

本発明は、無応力電気化学銅研磨(SFP)の処理、SFP処理の間に形成された酸化タンタル又は酸化チタンの除去、及び、XeFガス相エッチングバリア層Ta/TaN又はTi/TiN処理、からなる半導体処理の方法及び装置に関する。第1に、板状の銅フィルムの少なくとも一部がSFPにて研磨される。第2に、SFP処理の間に形成されたバリア金属酸化物がエッチング液によりエッチングされる。最後に、バリア層Ta/TaN又はTi/TiNがXeFガス相エッチングにより除去される。そのため装置は3つのサブ系からなり、それらは無応力銅電解研磨系、バリア層酸化物フィルム除去系、及び、バリア層Ta/TaN又はTi/TiNガス相エッチング系である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体処理方法及び装置に関し、詳しくは無応力の銅研磨及び選択的バリア除去処理を有する処理に関する。より詳しくは、本発明は、集積デバイスの製造の間、銅及びTa/TaN又はTi/TiN層を無応力にて選択的に除去するのに有益に用いられると共に低k誘電材料と適合する処理に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、複数の異なる処理工程を経てトランジスタ及び相互接続部材を製造し、半導体ウエハの上に製造又は組み立てられる。半導体ウエハにトランジスタ端末を電気的に接続するために、導電性(例えば金属)トレンチ、ヴィア、及びその他のものが半導体装置の部品として誘電材料中に形成される。トレンチ及びヴィアは、トランジスタ、半導体装置の内部回路、及び半導体装置の外部の回路の間において、電気信号及び電力を結合する。
【0003】
相互接続部材の形成において、半導体トランジスタ及びトランジスタ端末を接続する所定の電気回路を形成するため、半導体ウエハは、例えば、マスキング、エッチング、及び堆積処理がなされる。特に、浅いトレンチ、トランジスタウェル、ゲート、ポリシリコンライン、及び相互接続ライン構造を形成するために、復層マスキング、イオン注入、アニーリング、プラズマエッチング、並びに、化学及び物理蒸着工程が実行されうる。
【0004】
半導体ウエハ上の誘電層の非凹部領域の上に堆積された金属フィルムを除去する従来の方法は、例えば、化学機械研磨(CMP)を有する。相互接続ラインを形成するために誘電層の非凹部領域のトレンチ及びヴィア内の金属層を研磨し平坦化するため、CMP法は半導体工業において広く用いられている。CMP処理において、ウエハ体は、プラテン又はウェブの上に位置するCMPパッドの上に設置される。ウエハ体は、一つ又は複数の層及び/又は機構(誘電層に形成された相互接続部材のような)を有する基板を備える。次にCMPパッドに対してウエハ体を押圧するように応力が適用される。ウエハ表面を研磨し平坦化するために応力を適用する間、CMPパッド及び基板体は互いに相対的に移動する。しばしば研磨スラリーと呼ばれる研磨溶液が、研磨を促進するためにCMPパッドの上に注がれる。スラリーは典型的には研磨剤を含有し、例えば誘電材料のような他の材料よりも迅速に例えば金属層のような望ましくない物質をウエハから選択的に除去するために化学反応性を有する。
【0005】
しかしながら、CMP法は、相対的に強い応力が伴うことにより、下部の半導体構造体に有害な効果を幾つか有する。例えば相互接続配列が0.13ミクロン下部に移動すると、例えば典型的なダマシンプロセスに用いられる銅及び低kフィルムのような導電性材料の機械的性質間に大きな差が生じる。例えば、低k誘電フィルムのヤング係数は、銅及び/又はバリア材料のそれよりも10桁大きい。従って、CMP処理における誘電フィルム及び銅/バリア層に適用される相対的に強い機械的応力は、低k誘電材料に恒常的ダメージを与える原因となる。
【0006】
誘電層の非凹部領域に堆積された金属フィルムを除去する他の別の方法は電解研磨である。電気化学銅研磨系は、高い均一性を有して銅を除去でき、Ta/TaNバリア層に対して高い選択性を有する。それは機械応力が適用されない処理である。しかしながら、バリアは酸化タンタル又は酸化チタンの形成のために電解研磨されない。
【0007】
Ta/TaNを除去する一例は、Ta/TaNをエッチングするHFウエットエッチングを使用することである。しかしながら、Ta/TaNが除去された後にHFによりほとんどの誘電層がダメージを受ける。
【0008】
Soodらの“NaOH及びKOH塩基溶液中のスパッタされた薄膜タンタルフィルムのウエットエッチング”2007, J Mater Sci: Mater Electron, 18, 535-539によれば、タンタル薄膜フィルムをエッチングするため、KOH/H又はNaOH/H塩基溶液を使用することが記載されている。KOH又はNaOHのような強塩基によりタンタルの溶解が促進される。しかしながら、NaOH及びKOHは共にトレンチ中の銅をエッチングしダメージを与える。
【0009】
IBM特許には、模範的で新規な好ましい処理技術が、CMP銅処理の後に、タンタル、窒化タンタル、チタン、及び窒化チタンのようなバリア材料を除去するXeFガス相エッチングを用いることが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】“NaOH及びKOH塩基溶液中のスパッタされた薄膜タンタルフィルムのウエットエッチング”2007, J Mater Sci: Mater Electron, 18, 535-539
【発明の概要】
【0011】
本発明は、基板、誘電層、前記誘電層上のTa/TaN又はTi/TiNバリア層、及び前記バリア層上の薄膜銅フィルムを有するタイプの半導体構造体を処理する方法及び装置に関する。好ましい実施形態として、本発明は、無応力電解銅研磨(SFP)処理、SFP処理の間に形成された酸化タンタル又は酸化チタンフィルムの除去、及び、XeFガスを用いてのバリア層のTa/TaN又はTi/TiNの除去、を有する処理である。
【0012】
第1に、板状の銅フィルムがSFP技術にて研磨される。本発明は、BEOLで基礎の“金属研磨処理”として銅化学機械研磨(CMP)の代わりにSFP銅研磨を用いる。これは化学−電気処理である:ウエハ基板の上の銅はアノードであり、電解液ノズルはカソードである。アノードとカソードとの間に正電圧が印加されると、銅は接触した電解質により研磨される。バリア層の上の銅フィルムが電解研磨されて露出すると、基板上に安定した酸化タンタル又は酸化チタンフィルム形成することにより、Ta又はTiバリア層は不動態化される。
【0013】
酸化タンタル又は酸化チタンは高い化学安定性を有する。銅研磨の間バリア層の保護として機能するが、次の工程にてバリア層を除去することが難しくなる。XeFガスは効率的にTa/TaN又はTi/TiNをエッチングできるが、酸化タンタル又は酸化チタンをエッチングすることは遅く、所定条件下では全くエッチングできない。バリアを効率的に除去し、酸化タンタル又は酸化チタンのマスク効果を取り除くために、XeFを使用してTa/TaN又はTi/TiNを除去する前に、本発明は、バリア層の上の酸化タンタル又は酸化チタンを取り除くエッチング液を使用する。バリア層表面の上の酸化タンタル又は酸化チタンフィルムをエッチングするエッチング液の種類としては、例えば、HF及び緩衝フッ酸(BHF)、KOH、NaOH、クエン酸、及びシュウ酸である。上述のエッチング液の具体例の他に、CF/Oプラズマ及びアルゴンスパッタ法も、バリア層表面の上の酸化タンタル又は酸化チタンフィルムを除去するために使用されうる。
【0014】
最終的に、バリア層のTa/TaN又はTi/TiNがXeFガス相エッチングにより除去される。本発明は、従来のTa/TaN又はTi/TiN化学機械研磨の代わりに、基本バリア除去工程としてXeFガス相エッチングを使用する。全体の工程は無応力であり、低k材料に対しても装置構造に対しても機械損傷を与えない。
【0015】
本発明の利点及び効果は下記の詳細な説明及び付随する図面により明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、電気化学銅無応力研磨(SFP)の前における内部接続構造の断面図である。
【図2】図2は、SFP工程が銅を除去した後における内部接続構造の断面図である。酸化タンタルフィルムがSFP工程の間バリア層の上に形成される。
【図3】図3は、酸化タンタルフィルムがエッチング液にて除去された後における断面図である。
【図4】図4は、XeFエッチングにより酸化タンタルが除去されたバリア層の断面図である。
【図5】図5は、本発明の典型的工程のフローチャートである。
【図6】図6は、本発明の典型的な装置のブロック図である。
【図7】図7は、SFP後の試料のSEM平面図である。試料は、酸化タンタル除去の前処理無しでXeFによってエッチングされている。
【図8】図8は、SFP後の試料のSEM平面図である。試料は、強いエッチング液を使用してエッチングされている。
【図9】図9は、SFP後の試料のSEM平面図である。試料は、酸化タンタル除去の前処理をしてXeFによってエッチングされている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、一般的に、半導体装置の処理方法及び装置に関する。より詳細には、本発明は、Ta/TaNのようなバリア層を除去又はエッチングする処理に関する。バリア層は低k誘電材料と適合する。これにより半導体装置の種々の利用において低k誘電材料の使用が促進される。
【0018】
図1〜図4には、銅を除去するための無応力電気化学手法の使用、銅除去処理の間に形成された酸化タンタルを除去するためのエッチング液の使用、及び、バリア層のTa/TaNを除去するための選択的XeFガス相エッチングの使用、を有する新規処理が記載されている。銅の電気化学研磨も酸化タンタル除去処理もXeFバリア層除去処理も機械応力を有しない。これらの処理により構造が機械的に劣化することを最小限にし、酸化タンタルに起因するマスク効果を最小限にし、構造の化学的変位を最小限にし、更に低k誘電材料の損失を最小限にする。
【0019】
図1は、銅ダマシン構造の典型的な断面である。半導体構造は誘電層、通常はウエハ基板又は半導体装置構造体101の上に形成された低k誘電層102を有する。実施形態では、低k誘電層は1.2よりも大きく4.2未満である誘電定数を有する。構造体は、更に低k誘電層102の上に、通常の従来ではTa/TaN及び他の材料である、バリア層103を有することも可能である。構造体は、誘電層102により離隔されたトレンチ及び/又はヴィアのパターンを有する。バリア層103の上の金属又は銅層104は、凹部領域を充填した構造体及び非凹部領域の上に形成される。バリア層103及び誘電層102の上に位置する銅又は金属層104の平面トポロジーは、特許出願PCT/US03/11417に開示されるようなダミー構造体によるフラットプレート法を使用することによりメッキされうるし、また、US仮出願60/738250に開示される接触パッドノズルにより電解研磨されうる。これらは共に本願に使用され、組み込まれる。
【0020】
無応力電解研磨(SFP)が金属層204に実行される(図5における工程502)。図2は電解研磨工程の後の構造を示す。典型的には非凹部領域の表面を背中にして金属又は銅層204は研磨されるので、凹部領域即ちトレンチ及び/又はヴィア内の金属層は隣接する凹部領域から単離される。これは化学−電気処理である。即ち、ウエハ基板の上の銅はアノードであり、電解液ノズルはカソードである。正電圧がアノードとカソードとの間に印可されると、銅は溶解し接触する電解液により研磨される。これは無応力であり、選択的な銅除去工程である。Ta/TaN層であるバリア層203は、基板の上に安定状態の酸化タンタルフィルム205を形成することにより不動態化される。バリアTa/TaN層203の表面上の酸化タンタルフィルム205により、次の工程においてバリア層203を除去することが難しくなる。
【0021】
タンタル表面の上の酸化タンタルフィルム205は二つの部分からなる。一つの部分は空気中に曝されることにより形成された自然酸化物である。例外的に安定性を有する酸化タンタルは、タンタルが空気に曝されるとタンタルの上に形成される。TaO、TaO、TaO、Ta及びTaを含む様々な酸化タンタルは価電子に依存して形成されるが、Taのみ水の存在下において熱力学的に安定である。
【0022】
他のより重要な部分は、SFP工程における陽極酸化に起因する。銅陽極溶解工程の間、電極におけるタンタルの電気化学反応は以下のように記述される。
2Ta+5HO=Ta+10H+10e
銅電解研磨工程の電極における水のため、銅研磨の後では、酸化タンタルはほとんど五酸化タンタルである。五酸化タンタルはかなり高い化学安定性を有する。それは銅研磨の間にバリア層の保護として機能するが、次の段階ではバリア層を除去することがより難しくなる。XeFガスは適切な速度でTa及びTaN203をエッチングするが、酸化タンタル205をエッチングすることは困難であり、所定条件では全くエッチングできない。酸化タンタル205はマスク層として機能し、Ta及びTaN203がXeFガスによってエッチングされることを防ぐ。非常に長い間XeFはTa及びTaN層の部分を除去するが、図7に示すようにピンホールの原因となる。図7は、銅204がSFPにて研磨された後に、酸化タンタルフィルム205除去工程無しで、バリア層Ta及びTaN203がXeFによってエッチングされることを示す。所定時間XeFによってエッチングされた後、ピンホール領域の周りを除いてバリア層203は除去されていないように見える。バリアを効率的且つ一様に除去するために、バリア層203の上の酸化タンタルフィルム205は最初に除去されるべきである。
【0023】
このように図5に示される第2工程は、バリア層の酸化タンタルフィルムを除去することである(工程504)。以下の例は、本発明における酸化タンタルフィルム除去工程の様々な具体例を説明するものであるが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
【0024】
バリア層の表面の酸化タンタルを除去する第1実施形態は、フッ酸(HF)又は緩衝フッ酸(BHF)溶液のFにて表面処理を行う。HF/BHF溶液は酸化タンタルと反応する。具体例として五酸化タンタルを使用する反応式は以下に示される。
Ta+14F+10H=2TaF2−+5H
HF/BHFの濃度は0.1w%〜30w%であり、0.5%〜4%が好ましい。処理温度は0℃〜50℃であり、室温が好ましい。処理時間はHF/BHFの濃度及び温度に依存する。ここで溶液は酸化タンタルフィルム205及びバリア層タンタル203の部分をエッチングし、銅層204に損傷を与える原因とならない。しかし処理が非常に強い、エッチング時間が非常に長い、又はエッチング濃度が非常に高い場合は、バリア層Ta/TaN203は除去される。図8は、エッチング液が非常に強い場合に、パッド側壁のバリアTa/TaN203が損傷することを示す。側壁のバリア層の少なくとも一部が損傷していることが明らかに見られる。そのため溶液により低k誘電層202が損傷を受ける。適切な処理は酸化タンタルフィルム205をエッチングすることである。図9に示されるように、酸化タンタルフィルム205がエッチングされた後、残存するバリア層Ta/TaN203は、XeFによって図7に示されるものと比較して効率的に除去される。
【0025】
含有溶液はHF/BHFに限定されない。Fを含有しpH値が7未満であり銅に対して損傷を与えない溶液が、酸化フィルムエッチング液として使用される。例えば硫酸又は塩酸を添加したNHF溶液も、酸化タンタル205をエッチングしうる。他の酸を添加することによりpHが減少して、酸化タンタルの除去がより効果的になる。酸化タンタルの除去速度はFの濃度及びpH値により制御されうる。
【0026】
酸化タンタルフィルムを除去する第2実施形態は、強塩基溶液を使用する手法である。酸化タンタル205は、本具体例ではタンタル酸(HTa)である鉱酸を形成することにより、強塩基溶液中に溶解する。Taの溶解は、高いpH及び温度上昇により加速される。KOHを例にとれば、溶液は、pHが10よりも大きい室温における水中の飽和KOHである。濃度は0.1%〜50%であり、好ましくは10%〜40%である。温度は0℃〜90℃であり、好ましくは40℃〜80℃である。塩基溶液は、酸化タンタルフィルム205エッチング速度につき、銅層204に対して良好な選択性を有する。
【0027】
酸化タンタルフィルム205の少なくとも一部を除去する第3実施形態は、約100℃〜約150℃の温度で、約1Torr〜約1.5Torrの圧力下にて、約300sccm〜約400sccmのCF及び約200sccm〜約600sccmの酸素を含有するエッチングガス混合物を使用する。反応性イオンエッチング(RIE)装置又は電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマリアクタにより、エッチングガス混合物はプラズマの形態で酸化タンタルフィルムと接触する。RIE装置及びECRプラズマリアクタは市販されているものを利用できる。平行平板型RIEが好ましく用いられる。酸化タンタルエッチングガス混合物にて酸化タンタルフィルム205をエッチングすることにより、等方性エッチングがなされる。これにより酸化タンタルフィルム205が均一的に除去される。
【0028】
酸化タンタル205及びTa203の少なくとも一部を除去する第4実施形態は、膜蒸着の反対のようなアルゴンガススパッタのようなガススパッタを使用する。スパッタは、Ar、He、Ne、Xe及びKrからなる群から選択される不活性ガスを用いて導入され、Arが好ましい。スパッタ装置は市販されているものを利用できる。
【0029】
酸化タンタル205を除去する第5実施形態は、クエン酸及び/又はシュウ酸溶液をエッチング液として使用する。クエン酸及び/又はシュウ酸は、酸化タンタル205の少なくとも一部を除去し、これによりバリア層203がより効率的に除去される。酸の濃度は0.1%〜10%であり、5%〜8%が好ましい。エッチング温度は0℃〜80℃であり、好ましくは20℃〜60℃である。
【0030】
上述の全ての実施形態は酸化タンタルフィルム205のエッチングに使用でき、HF/BHFが好ましく用いられる。前述したように、実施形態は、酸化タンタル205の少なくとも一部及びバリア層Ta203の部分を除去する、本発明における工程504の種々の具体例を説明するためのものである。この工程の後に、バリア層205の酸化タンタルは除去され、図3に示すように、Ta/TaN層303及び銅層304が曝される。
【0031】
表面の酸化タンタル205の除去の後、ウエハ上面の残余バリア層Ta/TaN303がXeFガス相エッチングにより除去される(図5における工程506)。
【0032】
XeFガスは、バリア層Ta/TaN層303と所定温度及び圧力にて自発的に反応する。XeFは、Ta/TaN層303についての等方性の選択的エッチング手法である。XeFガスは、銅404並びにSiO、SiLK及び低kSi-C-O-Hベース材料のような誘電材料402の両方に対して選択性が良く、ここでkは1.2〜4.2であり1.3〜2.4が好ましい。工程全体において、バリア層403又は誘電層402に直接的にかかる機械的応力は無く、それゆえ銅404又は低k誘電材料402に損傷を与えることは無い。基板の温度は0℃〜300℃であり、好ましくは25℃〜200℃である。工程の間におけるXeFガスの圧力は0.1Torr〜100Torrであり、好ましくは0.5Torr〜20Torrである。
【0033】
XeFとバリア層Ta/TaN303との化学反応生成物は、ガス相例えばXeや揮発性物質中では、例えばフッ化タンタルである。ウエハ表面では余剰物は無い。
【0034】
図4に示されるように、表面に曝されたバリア層がXeFガス相エッチング506によって完全に除去されると、半導体装置におけるトレンチ及び/又はヴィアが電気的に完全に絶縁されている。金属又は銅層404と、バリア層403とは、低k誘電層402によって完全に離隔される。
【0035】
図6は、無応力電解研磨(SFP)系602と、酸化タンタル除去系604と、XeFエッチング系606と、を有する本発明に係る装置の一具体例を示すブロック図を示す。ブロック602〜606の機能は、各々、図5におけるブロック502〜506に対応する。
【0036】
一具体例では、電解研磨系は、ウエハ上の異なる半径位置で、金属層へ電解液流を放出するノズルを有する。電解液流へ陰性の電解研磨電荷を与えるために、電力供給部がノズルに接続される。陽性の電解研磨電荷をウエハに与えるために、電力供給部はウエハにも接続される。このように電解研磨処理の間にノズルはカソードとして機能し、ウエハはアノードとして機能する。電解液流が金属層に注がれると、電解液と金属層との間の電位差が、ウエハから金属層の電解研磨をもたらす。電源供給部が直接的にウエハに接続されているが、電源供給部とウエハとの間に幾つかの中間的な接続部が設けられても良い。例えば、電源供給部がチャックに接続され、次にそれがウエハに接続されることも可能であり、更には金属層に接続されることも可能である。電解研磨の他の記述として、US特許出願No.09/497,894“半導体装置における金属相互接続の電解研磨の方法及び装置”2000年2月4日出願があり、これはその全体が参考文献として本明細書に組み込まれる。
【0037】
また一具体例では、酸化物バリアフィルム除去系は、半導体ウエハを固定する回転チャックと、軸回りに回転するチャックを駆動する回転手段と、ウエハの表面の上に液体エッチング液を注入するノズルと、チャンバー本体と、エッチング液導入系と、を有する。銅SFP処理の後、ウエハがチャックに保持される。チャックが回転を始めた後、エッチング液が導入されてウエハ表面に注入される。エッチング液はウエハ表面の上に均一に分散する。一定期間のエッチングの後、ウエハ基板の上の酸化物バリアフィルムが除去される。
【0038】
本発明のXeFエッチング系は、シリコンMEMSのための市販されているXeFエッチング系とほとんど同じであり、それは少なくとも一つのポンプと、一つのエッチングチャンバと、一つの拡張チャンバと、一つの固体XeFソースチャンバと、を有する。各々のチャンバの間には空気式スロットルバルブがあり、拡張チャンバ及び処理エッチングチャンバには圧力ゲージもある。この系は、パルスモード及び連続流モードの両方においても機能する。連続流モードにおいては、エッチングチャンバ内において圧力は一定に保たれ、それゆえエッチング速度が制御されうる。パルスモードにおいては、両方のチャンバは第一にNによってパージされ、次に共に排出される。そして固体XeFと拡張チャンバとの間のバルブを開き、拡張チャンバはXeFガスにて充満される。固体ソースと拡張チャンバとの間のバルブを閉じ、拡張チャンバとエッチングチャンバとの間のバルブを開く。適切な圧力に到達すると、バルブが閉じる。試料がXeFガスに3〜30秒間のように一定期間曝された後、次にXeFがエッチングチャンバから排出される。これは“サイクル”と呼ばれ、Ta/TaNバリア層の少なくとも一部を除去して完全に誘電材料になるまで2回又はそれ以上繰り返されうる。本発明のXeFエッチング系は無応力でもある。
【0039】
本発明は所定の実施形態、具体例、応用例にて説明されたが、本発明から離れることなく種々の改変及び変形が当業者に可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、誘電層、前記誘電層上のバリア層、及び前記バリア層上の金属層を有し、前記金属層が充填されているパターンを有する半導体構造体の処理方法であって、
無応力電解研磨(SFP)により前記バリア層の上の前記金属層を除去し、
無応力電解研磨の間に形成された前記バリア層の酸化タンタル又は酸化チタンフィルムを除去し、
XeFガスを用いて前記バリア層を除去し、構造体のパターンを完全に離隔することを特徴とする半導体構造体の処理方法。
【請求項2】
前記バリア層は、タンタル若しくはチタンの純組成、化合物、又は、窒素若しくはケイ素添加物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バリア層の酸化タンタル又は酸化チタンフィルムの少なくとも一部が、前記金属層の無応力電解研磨の間に形成されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記金属層が銅層であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記誘電層が、1.2よりも大きく4.2未満である誘電定数を有する誘電材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記バリア層の酸化タンタル又は酸化チタンが、HF/BHFを含む溶液であるエッチング試薬により除去されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記エッチング試薬の濃度が0.1%〜30%であり、
温度が0℃〜50℃であり、
前記エッチング試薬がHCl又はHSOが添加されたFをも含むことを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記バリア層の酸化タンタル又は酸化チタンフィルムが、KOH、NaOH、又はその両方を含む強塩基の溶液であるエッチング試薬により除去され、
前記溶液の濃度は0.1%〜50%であり、
温度は0℃〜90℃であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記バリア層の酸化タンタル又は酸化チタンフィルムが、CF/Oプラズマにより除去されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記バリア層の酸化タンタル又は酸化チタンフィルムが、Ar、He、Ne、Xe、及びKrからなる群から選択される不活性ガスを使用してなされるガススパッタリングにより除去されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記バリア層の酸化タンタル又は酸化チタンフィルムが、クエン酸、シュウ酸、又はこれらの混合物により除去され、
試薬の濃度は0.1%〜10%であり、
温度は0℃〜80℃であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記XeFガスの圧力が、0.1Torr〜100Torrであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記基板の温度が0℃〜300℃であることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
基板、誘電層、前記誘電層上のバリア層、及び前記バリア層上の金属層を有し、前記金属層が充填されているパターンを有する半導体構造体を製造する装置であって、前記装置は、
前記バリア層の上の前記金属層を除去する無応力電解研磨系と、
無応力電解研磨の間に形成された前記バリア層の酸化タンタル又は酸化チタンフィルムを除去する、酸化タンタル又は酸化チタンフィルム除去系と、
構造体のパターンを完全に離隔するために前記バリア層を除去するエッチング系と、を備えることを特徴とする。
【請求項15】
前記バリア層は、タンタル若しくはチタンの純組成、化合物、又は、窒素若しくはケイ素添加物からなる群から選択されることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記酸化タンタル又は酸化チタンフィルム除去系は、
酸化タンタル又は酸化チタンフィルムを除去するためにHF/BHFを含む溶液であるエッチング試薬を使用することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記エッチング試薬の濃度が0.1%〜30%であり、
温度が0℃〜50℃であり、
前記エッチング試薬がHCl又はHSOが添加されたFをも含むことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記酸化タンタル又は酸化チタンフィルム除去系は、酸化タンタル又は酸化チタンフィルムを除去するためにKOH、NaOH、又はその両方の混合溶液を含む溶液であるエッチング試薬を使用し、
前記溶液の濃度は0.1%〜50%であり、
温度は0℃〜90℃であることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記酸化タンタル又は酸化チタンフィルム除去系が、酸化タンタル又は酸化チタンフィルムを除去するためにCF/Oプラズマを使用することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項20】
前記酸化タンタル又は酸化チタンフィルム除去系が、酸化タンタル又は酸化チタンフィルムを除去するために、Ar、He、Ne、Xe、及びKrからなる群から選択される不活性ガスを使用してなされるイオンスパッタリングを使用することを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項21】
前記酸化タンタル又は酸化チタンフィルム除去系が、前記バリア層の酸化タンタル又は酸化チタンフィルムを除去するために、クエン酸、シュウ酸、又はこれらの混合物を使用し、
試薬の濃度は0.1%〜10%であり、
温度は0℃〜80℃であることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項22】
バリア層エッチング系が、バリア層のTa/TaN又はTi/TiNを除去するためにXeFガスを使用し、
前記XeFガスの圧力が0.1Torr〜100Torrであることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項23】
前記基板の温度が0℃〜300℃であることを特徴とする請求項22に記載の装置。

【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−500480(P2012−500480A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523289(P2011−523289)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【国際出願番号】PCT/CN2008/072059
【国際公開番号】WO2010/020092
【国際公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(510005650)エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド (6)
【Fターム(参考)】