説明

パターン検査方法およびパターン検査装置

【課題】ホールの形成について高精度に検査するパターン検査装置およびパターン検査方法を提供することを目的とする。
【解決手段】パターン検査装置1は、被検査物を撮像して多値画像を取得する撮像部2と、当該被検査物の理想状態を表すマスター画像を記憶する記憶部35と、撮像部2によって取得した画像からホールの画像を消去したホール消去画像を取得するホール消去画像取得部32と、撮像部2によって取得した画像からホールの位置データを取得する位置取得部33と、位置データが取得されたホールを覆う領域のデータを禁止データとして生成する禁止データ生成部34と、禁止データが生成される領域以外の領域について、ホール消去画像とマスター画像とを比較してホールの形成を判定する判定部36を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板の被検査物におけるホールの形成を検査する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板製造において、電子回路の高密度化および低コスト化を図るため、ビルドアップ工法が実行されている。そして、このビルドアップ工法の一つとして、レーザービア法が提案されている。
【0003】
図14は、レーザービア法を説明するための図である。レーザービア法では、あらかじめエッチングなどによりプリント基板190の最外層の導体層191に穴をあけておき、この穴に対してレーザー140を照射して(図14(a)参照)、絶縁層192に穴をあける(図14(b)参照)。その後、銅などでメッキ層194を形成させることで、上下層の導線部を導通状態とする(図14(c)参照)。その結果、プリント基板にステップ状に掘られた穴(ビアホール、図14(c)矢印)が形成される。
【0004】
さらに、以上のようなレーザービア法等によって作成されたプリント基板190は、光学式のパターン検査装置により欠陥が検査される。光学式のパターン検査装置では、上部より光を照射して、その反射光をCCDにより撮像して検査が行われる。
【0005】
図15は、レーザービア法で形成されたビアホールについて説明するための図である。なお、(a)はプリント基板190のビアホールの断面図、(b)はビアホールを上方から撮像したときの多値画像、(c)は(b)に示すX−X’における輝度をグラフ化したものである。
【0006】
図15(b)に示すように、プリント基板190を光学式のパターン検査装置によって観察すると、凹みの影150等の他、(c)に示すようにビアホールのエッジ部分において輝度が低くなり、2重のドーナツ型の影151,152)が発生する。
【0007】
従来のパターン検査装置では、このエッジ部分の影を欠陥として検出してしまう虞れがあった。そのため、CCD等により取得した多値画像を複数の閾値で2値化して所定の画像処理を行うことで、ビアホールのエッジ部分の影151,152を消去し、凹み等の欠陥のみを抽出してパターン検査を実行していた。このようなパターン検査の技術は、例えば特許文献1に開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開平11−344317号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、レーザービア法等でプリント基板にビアホールを形成した場合に、特許文献1に開示された方法でパターン検査を行うと、ビアホール形成についての欠陥を検出できないという問題があった。
【0010】
図16は、従来のパターン検査におけるビアホールのエッジ部分の影の処理方法を説明するための概略図である。なお、図16において、(a)は正常なビアホールが形成されたときの多値画像であり、(b)は(a)を所定の閾値で2値化して得られる2値画像であり、(c)は(b)から所定の画像処理によってビアホールのエッジ部分の影を消去した2値画像である。また、(d)は、例えばレーザーによる打ち損じ等でビアホールの中央のエッジが形成されていない状態の多値画像であり、(e)は(d)について(b)と同様の処理を行った2値画像であり、(f)は(e)について(c)と同様の処理を行った後の2値画像である。
【0011】
図16に示すように、特許文献1に開示された技術によると、凹みの影150を残しつつエッジ部分の影を消去することができる(図16(c),(f)参照)。しかし、凹み等の欠陥については検出をすることができるが、エッジ部分の影は消去されてしまうため、ビアホールが形成されていないという欠陥(図16(d)参照)については検出することができなかった。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、ホールの形成について高精度に検査するパターン検査装置およびパターン検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、請求項1の発明は、被検査物におけるホール形成を検査するパターン検査方法であって、(a)被検査物を撮像して多値画像を取得する工程と、(b)前記被検査物の理想状態を表すマスター画像を取得して記憶手段に格納する工程と、(c)前記(a)工程にて取得した多値画像からホールの画像を消去したホール消去画像を取得する工程と、(d)前記(a)工程にて取得した前記多値画像から前記ホールの位置データを取得する工程と、(e)前記(d)工程にて位置データが取得された前記ホールを覆う領域のデータを禁止データとして生成する工程と、(f)前記禁止データが生成される領域以外の領域について、前記ホール消去画像と前記マスター画像とを比較してホールの形成を判定する工程とを有することを特徴とする。
【0014】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係るパターン検査方法であって、前記(d)工程は、(d-1)2値化された前記多値画像から前記ホールの所定の形状を検出する工程と、(d-2)前記(d-1)工程にて検出された前記ホールの形状の中心位置を前記ホールの位置データとして取得する工程とを有することを特徴とする。
【0015】
また、請求項3の発明は、請求項1または2の発明に係るパターン検査方法であって、前記(e)工程は、(e-1)前記ホールのサイズよりも大きい領域を覆うマスクデータを生成する工程と、(e-2)前記マスクデータと前記ホール消去画像とが重なる領域を、前記マスクデータから除去した重なり除去データを禁止データとして取得する工程とを有することを特徴とする。
【0016】
また、請求項4の発明は、請求項3の発明に係るパターン検査方法であって、前記(e-2)工程は、(e-2-1)前記マスクデータを拡散処理した拡散マスクデータを生成する工程と、(e-2-2)前記拡散マスクデータを収縮処理した収縮マスクデータを生成する工程とを有し、前記重なり除去データは、前記収縮マスクデータと前記ホール消去画像とが重なる領域を、前記収縮マスクデータから除去した領域であることを特徴とする。
【0017】
また、請求項5の発明は、請求項1ないし4のいずれかの発明に係るパターン検査方法であって、前記(f)工程にて比較される前記ホール消去画像と前記マスター画像とが所定の閾値で2値化された2値画像であることを特徴とする。
【0018】
また、請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの発明に係るパターン検査方法であって、前記被検査物は、プリント基板であって、前記ホールは、ビアホールであることを特徴とする。
【0019】
また、請求項7の発明は、請求項1ないし6のいずれかの発明に係るパターン検査方法であって、前記(b)工程にて前記記憶手段に格納される前記マスター画像は、CADデータから生成されることを特徴とする。
【0020】
また、請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかの発明に係るパターン検査方法であって、前記ホール消去画像は、少なくともホールの画像を消去できる閾値で2値化されることによって取得されることを特徴とする。
【0021】
また、請求項9の発明は、被検査物におけるホール形成を検査するパターン検査装置であって、被検査物を撮像して多値画像を取得する撮像手段と、前記被検査物の理想状態を表すマスター画像を記憶する記憶手段と、前記撮像手段によって取得した多値画像から前記ホールの画像を消去したホール消去画像を取得するホール消去手段と、前記多値画像から前記ホールの位置データを取得する位置データ取得手段と、前記位置データが取得された前記ホールを覆う領域のデータを禁止データとして生成する禁止データ生成手段と、前記禁止データが生成される領域以外の領域について、前記ホール消去画像と前記マスター画像とを比較してホールの形成を判定する判定手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
請求項1ないし9に記載の発明によれば、従来の検査装置では検出できなかった、ホール形成の有無や、ホールの位置ズレを検出することができる。したがって、パターン検査の精度を高めることができる。
【0023】
また、請求項2に記載の発明によれば、ホールの所定の形状を検出し、当該ホールの中心位置を取得することで、欠陥検査をしない領域についての禁止データを生成する位置を取得することができる。
【0024】
また、請求項3に記載の発明によれば、マスクデータとホール消去画像との重なりを除去することによって、配線などのビアホール以外の欠陥についても、パターン検査を行うことができるようになる。
【0025】
また、請求項4に記載の発明によれば、マスク領域を固定化せず、オペレータが所望する範囲に応じてその領域を拡張あるいは縮小させることができるため、状況に応じたパターン検査を実現できる。
【0026】
また、請求項7に記載の発明によれば、被検査物と、被検査物の理想状態であるCADデータとを比較することによって、パターン検査の精度を高めることができる。
【0027】
また、請求項8に記載の発明によれば、所定の閾値で2値化することによって、容易に多値画像からホールを除去することができる。したがって、処理構成を単純化でき、検査コストを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の好適な実施の形態について、添付の図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0029】
<1. 第1の実施の形態>
<1.1.パターン検査装置の構成および機能>
図1は、本発明に係るパターン検査装置1の概略構成を示す図である。
【0030】
なお、図1において、図示および説明の都合上、Z軸方向が鉛直方向を表し、XY平面が水平面を表すものとして定義するが、それらは位置関係を把握するために便宜上定義するものであって、以下に説明する各方向を限定するものではない。以下の各図についても同様である。
【0031】
パターン検査装置1は、被検査物であるプリント基板90等の板状体に形成されたパターンを検査する装置であって、特に、レーザービア法によるビアホールの形成有無や位置ズレについて検査する。図1に示すように、パターン検査装置1は、主として撮像部2と、欠陥検出部3とを備える。
【0032】
撮像部2は、主として移動テーブル20と、光源21と、駆動制御部22と、X方向駆動部23と、Y方向駆動部24と、CCDラインセンサ25とを備える。
【0033】
移動テーブル20は、プリント基板90を下方から所定の精度で水平に支持する。また、移動テーブル20は、モータを有するY方向駆動部24によってY方向に移動することができる。この移動テーブル20のY方向における駆動制御は、駆動制御部22によって行われる。
【0034】
CCDラインセンサ25は、モータを有するX方向駆動部23によってX方向に駆動される。CCDラインセンサ25は、X方向線上に画素を構成する受光素子を一列に複数個(例えば、2048個)配列したものを用いている。光源21から出射された照明光が、プリント基板90の上面に照射されると、CCDラインセンサ25は、プリント基板90の上面を撮像することによって、反射光に基づく画像データを取得する。そして、このCCDラインセンサ25のX方向における駆動制御は、駆動制御部22によって行われる。
【0035】
ここで、パターン検査装置1による、プリント基板90の撮像動作について説明する。まず、駆動制御部22は、Y方向駆動部24を駆動することによって移動テーブル20をY方向へ移動させる。これにより、パターン検査装置1は、CCDラインセンサ25をプリント基板90について所定のスキャン幅で帯状に走査させることで、プリント基板90を撮像するができる。
【0036】
次に、往路側の走査が終了すれば、駆動制御部22は、X方向駆動部23を駆動することによって、CCDラインセンサ25をX方向に上記のスキャン幅よりも若干小さな幅だけ移動させて、検査領域がオーバーラップするように移動させる。そして、駆動制御部22は、移動テーブル20を(−Y)方向へ移動させることによって、CCDラインセンサ25に帰路側の走査を行わせる。
【0037】
以上のパターン検査装置1の動作によって、プリント基板90の全面領域についてCCDラインセンサ25が走査し、プリント基板90の撮像が行われる。
【0038】
欠陥検出部3は、主として画像取得部30と、2値化部31と、ホール消去画像取得部32と、位置取得部33と、禁止データ生成部34と、記憶部35と、判定部36と、制御部37とを備え、撮像部2で取得した画像データを元に、プリント基板90に形成されたパターンの検査を実行する。
【0039】
図2は、パターン検査装置1によって取得した多値画像40の一例を示す図である。画像取得部30は、CCDラインセンサ25により読み取られたアナログ信号をA/D変換処理によりデジタル画像信号に変換し、多値画像40として取得する。
【0040】
2値化部31は、画像取得部30で取得した多値画像40に対して空間フィルタ処理を行い、さらに所定の閾値より濃度が濃い画素を「1」とし、残りの画素について「0」の信号に2値化する。
【0041】
図3は、2値化部31によって2値化した2値画像を示す図である。本実施の形態においては、2値化部31は、多値画像40を比較的高い閾値THHで2値化した高閾値2値画像41(図3(a))と、比較的低い閾値THLで2値化した低閾値2値画像42(図3(b))とを生成する。高閾値2値画像41では、ビアホールのエッジ部分の影が検出される程度の閾値で2値化されており(図15参照)、低閾値2値画像では、ビアホールのエッジ部分の影が消去される程度の閾値で2値化されている。
【0042】
2値化部31における上記閾値の決定は、二値化に用いる画像をいくつか評価して経験的に求めるのが一般的である。なお、固定閾値を利用した二値化に限定されるものではなく、ヒストグラム分散を用いてビアホール領域とその他の領域とを分離する閾値を自動的に求める方法などによって実現されても良い。
【0043】
そして、高閾値2値画像41のデータは、後述するホール消去画像取得部32および位置取得部33に出力され、低閾値2値画像42のデータは後述する禁止データ生成部34に出力される。
【0044】
図1に戻って、ホール消去画像取得部32は、穴認識部320と、ホール消去部321とを備え、以下に述べる方法で、高閾値2値画像41からホールの画像を消去した第1ホール消去画像43(図10参照)のデータを取得する。
【0045】
穴認識部320は、ホール消去部321に接続されており、2値化部31から出力されてきた高閾値2値画像の中から、ビアホール画像を認識する。そして穴認識部320は、認識したビアホールの位置情報およびサイズのデータを取得し、ホール消去部321に出力する。
【0046】
このような穴認識部320は、例えば特開2006−275612号公報に開示されているように、測長子を利用したホール認識機構によって実現可能である。ただし、ビアホールを認識する方法は、これに限られるものではなく、例えば後述するパターンマッチングによってホール認識機構が実現されていても良い。
【0047】
ホール消去部321は、穴認識部320で取得したビアホールに関するデータを元に、当該ビアホールのサイズよりも若干大きい領域を選択する。そして当該領域について所定の画像処理を行い、ホールの画像を高閾値2値画像から消去した第1ホール消去画像43を生成する。
【0048】
ホール消去部321は、例えば特開平11−344317号公報に開示されているようにビアホールのエッジ部分の影を消去するためのパターンデータを生成した後、当該パターンデータと元の高閾値2値画像データとで論理和をとる。これにより、ホール消去部321は、高閾値2値画像41からビアホールのエッジ部分の陰を選択的に消去することで、第1ホール消去画像43のデータを取得する。
【0049】
以上のホール消去画像取得部32で取得された第1ホール消去画像43のデータは、オブジェクトデータとして後述する記憶部35に格納される。
【0050】
図4は、位置取得部33を説明するための概略構成図である。位置取得部33は、画像反転部330と、パターンマッチング部331とを備え、高閾値2値画像41のデータからビアホールの中心位置データを取得する機能を有する。
【0051】
図5は、画像反転部330で行われる反転処理を実行した一例を示す図である。画像反転部330は、2値化部31において高い閾値THHで2値化して得た高閾値2値画像41のデータを、図示しないインバータによって反転処理し、反転画像44のデータを生成する。
【0052】
ここで、高閾値2値画像41のデータ(図3(a)参照)では、高い閾値THHで2値化されているために、ビアホールのエッジ部分はデータ値「0」となる。例えば図3(a)中、ビアホールのエッジ部分は、2重円として識別される。そして、画像反転部330によって2値画像データが反転処理されると、ビアホールのエッジ部分はデータ値「1」となる。例えば図5中、エッジ部分は「白色(あるいは無地)」の2重円として識別される。
【0053】
また、仮に、ビアホール内部が胴メッキされなかった場合には、図3(a)中、矢印で示すように、高閾値2値画像41においてはビアホールの中央部分が黒色として識別される。したがって、この高閾値2値画像41を反転処理すると、図5中、矢印で示すように中央部のホール部分が白色として識別される。
【0054】
パターンマッチング部331は、図4に示すように、レジスタM11〜M99のマトリクスと、マトリクスのそれぞれの横一列に対して、計9個のラインバッファLBが設けられている。パターンマッチング部331には、画像反転部330により生成された反転画像データが時系列的に入力される。
【0055】
パターンマッチング部331には、あらかじめ登録されたパターンと、入力されてくるデータとを比較して、パターンが一致した場合に、当該パターンの中央位置に相当する位置データを出力できるように回路が構成される。
【0056】
本実施の形態において、パターン検査装置1は、あらかじめ登録されたパターンとして、図4中、点線でつないで示したパターンP1ないしP4を有している。パターンマッチング部331は、パターンP1ないしP4のいずれかと、ビアホールの内周のエッジ部分(反転させているため、データ値が「1」)とが一致し、かつ、このときのマトリクスの中央部(レジスタM55)に相当するデータ値が「0」であった場合、当該入力された画像データにビアホールが含まれていると判断する。
【0057】
さらに、パターンマッチング部331は、ビアホールが含まれていると判断した場合、ビアホールの中央位置に相当するマトリクス中央部(レジスタM55)の位置データを、ビアホールの中心位置データとして禁止データ生成部34のマスクデータ生成部340へと出力する。
【0058】
一方、入力された反転画像データが、パターンP1ないしP4のいずれかに一致するが、マトリクス中央部(レジスタM55)に相当するデータ値が「1」である場合には(例えば、図3の矢印で示した、欠陥を有するビアホールの画像データであった場合)、パターンマッチング部331は、ビアホールを有していないと判断する。この場合には、パターンマッチング部331から禁止データ生成部34に向けて、ビアホールの中心位置データは出力されない。
【0059】
以上のように、パターンマッチング部331では、反転画像44のデータからホールの所定の形状(ビアホールの輪郭等)を検出し、正常なビアホールであると認識できた場合にはホールの中心位置を当該ホールの位置データとして取得することができる。
【0060】
なお、必ずしも準備されたパターンP1ないしP4すべてについてパターンマッチングを行う必要はなく、例えばパターンP1ないしP4の中からユーザが任意に1つ選択できるようにし、当該選択したパターンと反転画像データとの比較を行う回路構成としても良い。
【0061】
再び図1に戻って、禁止データ生成部34は、マスクデータ生成部340と、拡散処理部341と、収縮処理部342と重なり除去部343とを備えている。禁止データ生成部34は、後述するように、マスター画像61のデータと第2ホール消去画像のデータとを比較する上で、ビアホールが形成されている領域については比較を行わないとする禁止データを生成する。また、記憶部35には穴パターンテーブル350があらかじめ格納されており、マスクデータ生成部340は、当該穴パターンテーブル350を参照することができる。
【0062】
図6は、穴パターンテーブル350のデータ構造を示す図である。穴パターンテーブル350は、図6に示すように、理想状態のビアホールの中心位置座標およびその中心位置座標に形成されるべきビアホールの形状データが記述されている。
【0063】
マスクデータ生成部340は、位置取得部33が取得した中心位置データと一致、あるいはそのデータと最も近接する中心位置座標から、当該中心位置座標に形成されるべきビアホールの形状データを穴パターンテーブル350より取得する。
【0064】
図7は、マスクデータ生成部340によって生成されたマスクデータ50を示す図である。マスクデータ生成部340は、穴パターンテーブル350から取得したビアホールの形状のサイズよりも大きい領域を覆う(マスクする)領域について、位置取得部33にて取得した位置にマスクデータ50として生成する。
【0065】
拡散処理部341は、収縮処理部342に接続されており、マスクデータ生成部340から送られてきたマスクデータ50に対して拡散処理を行って拡散マスクデータ(図示せず)を生成し、収縮処理部342に出力する。
【0066】
なお、拡散処理とは、2値画像における注目画素(「0」の画素)の8近傍に1つでも「1」があれば、その画素を「1」画素とする処理を、所定の回数行う処理をいう。ただし、拡散収縮処理は、注目画素の8近傍を識別して処理するものに限られず、例えば4近傍を識別して処理するものであっても良い。
【0067】
収縮処理部342は、重なり除去部343に接続されており、拡散処理部341から送られてきた拡散マスクデータに対して収縮処理を行って収縮マスクデータ51(図8参照)を生成し、重なり除去部343に出力する。
【0068】
なお、収縮処理とは、2値画像における注目画素(「1」の画素)の8近傍に1つでも「0」があれば、その画素を「0」画素とする処理を、所定回数行う処理をいう。ただし、収縮処理は、注目画素の8近傍を識別して処理するものに限られず、例えば4近傍を識別して処理するものであっても良い。
【0069】
図8は、重なり除去データを得る流れを説明するための図である。重なり除去部343は、収縮処理部342および2値化部31からの入力を受ける(図1参照)。すなわち、収縮処理部342からは収縮マスクデータ51が送られる一方、2値化部31からは低い閾値THLで2値化された低閾値2値画像42のデータ(第2ホール消去画像のデータ)が入力される。
【0070】
重なり除去部343は、収縮マスクデータ51と低閾値2値画像のデータとで論理処理を行い、収縮マスクデータ51と第2ホール消去画像とが重なる領域を、当該収縮マスクデータ51から除去した重なり除去データ(禁止データ52)として取得する。
【0071】
図9は、マスター画像61のデータの生成について説明するための図である。
【0072】
記憶部35には、被検査物であるプリント基板90の理想状態を示す画像データとして、CADデータ60から生成されたマスター画像61のデータがあらかじめ格納されている。なおCADデータ60とは、プリント基板の設計データであり、配線などのレイアウトを決定するためのデータである。また、CADデータからの画像には、通常、ビアホールの画像は描画されていない(図9(a))。すなわちCADデータ60は、配線部分は描画されているが、ビアホールデータについては、その中心位置データおよび大きさのデータ等を別途有する。
【0073】
そこで、本実施の形態では、当該ビアホールのデータに基づいて、CADデータに理想状態のビアホール形状を描画したものをマスター画像61として使用している(図9(b))。
【0074】
なお、記憶部35は、上記のマスター画像データ以外に、検査部3の各部で生成された各種データを記憶することができるほか、各種プログラムデータを保存することも可能である。記憶部35の具体例では、例えばデータを一時的に記憶するRAM、読み取り専用のROM、磁気ディスク装置などを有する。ただし、記憶部35は、可搬性の光磁気ディスクやメモリーカードなどの記憶媒体、およびそれらの読み取り装置により代用されてもよい。
【0075】
判定部36は、記憶部35から取得するマスター画像データと、第1ホール消去画像43のデータと、禁止データ52とを比較することで、被検査物のプリント基板90にビアホールが形成されているか否かを判定する。
【0076】
図10は、判定部36によるビアホール形成の判定を説明するための図である。図10に示すように、ホール消去画像取得部32で取得された第1ホール消去画像43のデータと、記憶部35に格納されているマスター画像61のデータとを比較検査する。このとき、判定部36は、禁止データ52と重なる領域については比較検査を行わない。これは、ビアホールが形成されていない(と位置取得部33が判断した)領域については禁止データ52が生成されていないため、当該領域だけを検査することでビアホール形成の欠陥を検査することができる。
【0077】
例えば図10に示すように、9のビアホールのうち、8つのビアホールの領域には、ビアホールが形成されていると判定されているため、禁止データ52が生成されている。
【0078】
ここで判定部36は、マスター画像61のデータ(CADデータ60にホール画像を付けたデータ)と第1ホール除去画像43のデータを比較し、禁止データが生成されている領域以外を比較検査するため、マスター画像61中の9つのビアホールのうち右上に位置するビアホールがマスター画像61にのみ存在すると判定する。このようにして、判定部36は、ビアホール形成について欠陥を判断する。
【0079】
なお、この第1ホール除去画像43において、ビアホールの画像は消去されているが、凹みや錆等の影はそのまま残されている(図示せず)。したがって、マスター画像と比較される領域に凹みや錆等の影が残存している場合に、判定部36は、これらを欠陥として検出することができる。
【0080】
再び図1に戻って、制御部37は、検査部3の各構成の動作を制御する機能を有する。さらに、制御部37は、表示部370や操作部371を備える。パターン検査装置1のオペレータは、操作部371から所定の操作を行うことによって表示部370に表示される画像データなどを確認しつつ、プリント基板90のパターン検査を実行することができる。なお、操作部371は、ボタンおよびスイッチ類(キーボードやマウスなどを含む。)などが該当するが、タッチパネルディスプレイのように表示部370の機能を兼ね備えたものであってもよい。表示部370には、液晶ディスプレイなどが該当する。以上が、パターン検査装置1の構成および機能の説明である。
【0081】
<1.2.パターン検査装置の動作>
図11は、パターン検査装置1の動作を説明するための流れ図である。
【0082】
まず、オペレータが、CADデータ60からマスター画像61のデータを生成し、当該マスター画像を記憶部35に記憶させる(ステップS1)。この動作については、あらかじめ生成して例えばフラッシュメモリなどに保存したマスター画像61のデータを、記憶部35に移動させる動作であっても良い。また、パターン検査装置1において、オペレータがCADデータ60とビアホールの位置データ等からマスター画像61のデータを生成して記憶部35に格納させても良い。
【0083】
次に、図示しない搬送機構によってプリント基板90を移動テーブル20に載置した後、パターン検査装置1は、撮像部2にプリント基板90を撮像させ、画像取得部30に多値画像40を取得させる(ステップS2)。そして、パターン検査装置1は、ホール消去画像取得部32に第1ホール消去画像43のデータを取得させる(ステップS3)。
【0084】
図12は、パターン検査装置1による第1ホール消去画像43のデータの取得動作を説明するための流れ図である。
【0085】
まず始めに、パターン検査装置1は、2値化部31から出力される高閾値2値画像41に含まれるビアホールを穴認識部320に認識させる(ステップS31)。これにより、パターン検査装置1は、穴認識部320によって認識したビアホールの位置およびサイズのデータを取得する(ステップS32)。
【0086】
次に、パターン検査装置1は、ステップS32にて取得した高閾値2値化画像41に含まれるビアホールの位置およびサイズのデータを元に、以降のステップの画像処理を行う領域をビアホールの大きさよりも若干大きい範囲となるように決定する(ステップS33)。そして、パターン検査装置1は、ホール消去部321によって、高閾値2値画像41からビアホールの画像を特異的に消去した第1ホール消去画像43のデータを取得する(ステップS34)。なお、取得した第1ホール消去画像43のデータは、記憶部35に格納される。
【0087】
再び図11に戻って、次に、パターン検査装置1は、位置取得部33および禁止データ生成部34によって禁止データ52を生成させる(ステップS4)。
【0088】
図13は、パターン検査装置1による禁止データ52の取得動作を説明するための流れ図である。まず、パターン検査装置1は、画像反転部330によって、2値化部31から出力される高閾値2値画像41のデータの画素値を反転させた反転画像44のデータを生成させる(ステップS41)。
【0089】
次に、パターン検査装置1は、画像反転部330に反転画像44のデータをパターンマッチング部331に入力させ、パターンマッチングを行う(ステップS42)。そして、パターンマッチング部331は、反転画像44に含まれる所定の形状がビアホールであると判定したとき、当該ビアホールの中心位置データを取得する(ステップS43)。
【0090】
次に、パターン検査装置1は、パターンマッチング部331によって取得したビアホールの位置データをマスクデータ生成部340に出力させる。そして、位置データを受けとったマスクデータ生成部340は、記憶部35に格納されている穴パターンテーブル350を参照し、当該位置データに相当する理想状態のビアホールの形状データを取得する。さらに、理想状態のビアホールの形状データを取得したマスクデータ生成部340は、当該データを所定の割合で拡散処理した領域(マスク領域)をマスクデータ50として生成する(ステップS44)。
【0091】
次に、パターン検査装置1は、マスクデータ50の拡散・収縮処理が必要かどうかを判断する(ステップS45)。なお、この判断は、あらかじめオペレータが拡散・収縮処理が必要か否かをパターン検査装置1に対して設定することによって実行される。
【0092】
ステップS45において、拡散・収縮処理が必要である場合には(YESの場合)、パターン検査装置1は、拡散処理部341によってマスク領域を拡散した拡散マスクデータを生成する。さらに、パターン検査装置1は、収縮処理部342によって、当該拡散マスクデータを収縮処理した収縮マスクデータ51を生成する(ステップS46)。
【0093】
次に、パターン検査装置1は、重なり除去部343によって、ステップS46で取得した収縮マスクデータ51と、2値化部31が生成する第2ホール消去画像(低閾値2値画像42)データとを論理処理することにより、収縮マスクデータ51と第2ホール消去画像のデータとが互いに重なる領域を除去した重なり除去データを禁止データとして取得する(ステップS47)。
【0094】
なお、ステップS45において、拡散・収縮処理が不要である場合には(NOの場合)、パターン検査装置1は、重なり除去部343によって、ステップS44にて取得したマスクデータ50と第2ホール消去画像のデータとが重なる領域を、当該マスクデータ50から除去する除去処理(ステップS47)を実行して禁止データ52を取得する。
【0095】
再び図11に戻って、パターン検査装置1は、判定部36によって、ビアホール形成についての判定を行う(ステップS5)。具体的には、図10に示すように、判定部36が、禁止データ52が作成されている領域以外の領域について、記憶部35に格納されているマスター画像61のデータと、第1ホール消去画像43のデータとを比較検査することにより実行する。禁止データ52が作成されていない領域は、例えばプリント基板90の画像からビアホールが検出されなかった領域であるため、この領域において、マスター画像61と第1ホール消去画像43を比較することで、ビアホール形成についての欠陥検査を行うことができる。
【0096】
ステップS5において、マスター画像61のデータからのビアホールが検出された場合には(YESの場合)、パターン検査装置1は、異常が検出されたプリント基板90のID番号やビアホールの位置情報等を表示部370に表示することによって、オペレータに異常を通知する(ステップS6)。
【0097】
ステップS6の通知を行った後、パターン検査装置1は、さらに検査が終わっていない領域があるかどうかについて判断する(ステップS7)。なお、ステップS5においてマスター画像43からビアホールが検出されなかった場合(すなわち、欠陥なしの場合)には、ステップS7に進む。
【0098】
ステップS7において、未検査の領域が残存する場合には(YESの場合)、パターン検査装置1は、ステップS2に戻って、未検査の領域についてパターン検査を行う。一方、未検査の領域が残存しない場合には(NOの場合)には、パターン検査装置1は、全ての動作を終了する。
【0099】
以上が、パターン検査装置1によるパターン検査方法についての説明である。
【0100】
<1.3.効果>
パターン検査装置1では、多値画像40から高閾値2値画像41を生成して、当該高閾値2値画像41からビアホールの画像を特異的に消去した第1ホール消去画像43と、その画像に対応する理想状態のマスター画像61とを比較する。そのため、ビアホール形成に関する欠陥(ミッシングビア、未メッキ状態、位置ズレ等)を検出できると同時に、プリント基板90上の凹み、錆および配線位置の誤り等の欠陥を検査することも可能である。
【0101】
また、重なり除去部343を備えることによって、マスクデータ51と低閾値2値画像43(第2ホール消去画像)との重なりを除去することによって、配線などのビアホール以外の欠陥についても、パターン検査を精度よく行うことができるようになる。
【0102】
また、拡散処理部341および収縮処理部342を備えることによって、マスクデータ51のマスク領域を固定化せずに、オペレータが所望する範囲に応じてその領域を拡張あるいは縮小させることができるため、状況に応じたパターン検査を実現できる。
【0103】
また、プリント基板90の撮像画像と、その理想状態であるCADデータとを比較するため、パターン検査の精度を高めることができる。
【0104】
また、従来のパターン検査装置で使用する画像データをそのまま流用可能であるため、パターン検査装置の製造コストを抑えることも可能である。
【0105】
<2. 変形例>
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。
【0106】
例えば、上記実施の形態では、CADデータ60にビアホールの画像を描画することでマスター画像61のデータを生成しているが、良品のプリント基板を撮像した画像データをマスター画像としてパターン検査を行っても良い。この場合には、2値化した良品の撮像画像と第1消去画像とを比較すればよい。
【0107】
また、上記実施の形態では、禁止データ生成部34が禁止データ52(重なり除去データ)を生成し、当該禁止データ52を使って、判定部36が判定を行うと説明した。しかし、判定部36において、禁止データ52の代わりに、マスクデータ生成部340が生成したマスクデータ50、拡散処理部341が生成した拡散マスクデータ、あるいは収縮処理部342が生成した収縮マスクデータ51を代用しても良い。
【0108】
また、上記実施の形態では、第1ホール消去画像43の取得(図11、ステップS3)を行った後に、禁止データ52の生成(図11、ステップS4)を行うとしているが、これらの順序は入れ替えが可能である。
【0109】
また、上記実施の形態では、マスクデータ生成部340が穴パターンテーブル350を参照する際に、位置取得部33にて取得したビアホールの中心位置データと一致、もしくはこれに最も近接した理想的なビアホールの位置情報を検索し、その位置に形成されるべきビアホールの形状データを取得すると説明した。しかし、位置取得部33にて取得した中心位置データが、穴パターンテーブル350に記述されている中心位置座標と著しくかけ離れているような場合には、マスクデータ生成部340はビアホールの形状データを取得せずに表示部370にその情報を表示させる機能をパターン検査装置1に持たせても良い。
【0110】
また、上記実施の形態では、穴認識部320において、測長子を使ったビアホールの認識を行ってビアホールの位置データを取得すると説明した。しかし、穴認識部320の機構はこれに限られるものではなく、例えば、パターンマッチング部331で実行されるパターンマッチングにより取得されるビアホールの中心位置データをホール消去部321で利用し、第1ホール消去画像を取得する構成であっても良い。
【0111】
また、上記実施の形態では、ホール消去画像取得部32が高閾値2値画像41から第1ホール消去画像43を取得しているが、第1ホール消去画像43の取得機構はこれに限られるものではなく、例えば2値化部31が生成する低閾値2値画像42を第1ホール消去画像として使用しても良い。なお、この場合には、マスター画像61との比較に用いる第1ホール消去画像の配線パターンが細くなる、あるいは凹みなどの欠陥の影が消える等といったことが起こるため、パターン検査の精度は落ちてしまう。しかし、上記実施の形態におけるホール消去画像取得部32が不要となり、パターン検査装置1の回路構成を単純化させることが可能であるため、コストを抑えることができる。
【0112】
また、上記の実施の形態ではハードウェア的構成によって、パターン検査装置1が実現されているが、ソフトウェア的に各部が実現されても良い。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明に係るパターン検査装置の概略構成を示す図である。
【図2】パターン検査装置によって取得した多値画像の一例を示す図である。
【図3】2値化部によって2値化した2値画像の一例を示す図である。
【図4】位置取得部を説明するための概略構成図である。
【図5】画像反転部で行われる反転処理を実行した一例を示す図である。
【図6】穴パターンテーブルのデータ構造を示す図である。
【図7】マスクデータ生成部によって生成されたマスクデータを示す図である。
【図8】重なり除去データを得る流れを説明するための図である。
【図9】マスター画像の生成について説明するための図である。
【図10】判定部によるビアホール形成の判定を説明するための図である。
【図11】パターン検査装置1の動作を説明するための流れ図である。
【図12】パターン検査装置1による第1ホール消去画像のデータの取得動作を説明するための流れ図である。
【図13】パターン検査装置1による禁止データの取得動作を説明するための流れ図である。
【図14】レーザービア法を説明するための図である。
【図15】レーザービア法で形成されたビアホールについて説明するための図である。
【図16】従来のパターン検査におけるビアホールのエッジ部分の影の処理方法を説明するための概略図である。
【符号の説明】
【0114】
1 パターン検査装置
2 撮像部
3 欠陥検出部
30 画像取得部
31 2値化部
32 ホール消去画像取得部
320 穴認識部
321 ホール消去部
33 位置取得部
330 画像反転部
331 パターンマッチング部
34 禁止データ生成部
340 マスクデータ生成部
341 拡散処理部
342 収縮処理部
343 重なり除去部
35 記憶部
36 判定部
37 制御部
40 多値画像
41 高閾値2値画像
42 低閾値2値画像(第2ホール消去画像)
43 第1ホール消去画像
50 マスクデータ
51 収縮マスクデータ
52 禁止データ
60 CADデータ
61 マスター画像
90 プリント基板
P1,P2,P3,P4 パターン
THH 高閾値
THL 低閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物におけるホール形成を検査するパターン検査方法であって、
(a) 被検査物を撮像して多値画像を取得する工程と、
(b) 前記被検査物の理想状態を表すマスター画像を取得して記憶手段に格納する工程と、
(c) 前記(a)工程にて取得した多値画像からホールの画像を消去したホール消去画像を取得する工程と、
(d) 前記(a)工程にて取得した前記多値画像から前記ホールの位置データを取得する工程と、
(e) 前記(d)工程にて位置データが取得された前記ホールを覆う領域のデータを禁止データとして生成する工程と、
(f) 前記禁止データが生成される領域以外の領域について、前記ホール消去画像と前記マスター画像とを比較してホールの形成を判定する工程と、
を有することを特徴とするパターン検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載のパターン検査方法であって、
前記(d)工程は、
(d-1) 2値化された前記多値画像から前記ホールの所定の形状を検出する工程と、
(d-2) 前記(d-1)工程にて検出された前記ホールの形状の中心位置を前記ホールの位置データとして取得する工程と、
を有することを特徴とするパターン検査方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のパターン検査方法であって、
前記(e)工程は、
(e-1) 前記ホールのサイズよりも大きい領域を覆うマスクデータを生成する工程と、
(e-2) 前記マスクデータと前記ホール消去画像とが重なる領域を、前記マスクデータから除去した重なり除去データを禁止データとして取得する工程と、
を有することを特徴とするパターン検査方法。
【請求項4】
請求項3に記載のパターン検査方法であって、
前記(e-2)工程は、
(e-2-1) 前記マスクデータを拡散処理した拡散マスクデータを生成する工程と、
(e-2-2) 前記拡散マスクデータを収縮処理した収縮マスクデータを生成する工程と、
を有し、
前記重なり除去データは、
前記収縮マスクデータと前記ホール消去画像とが重なる領域を、前記収縮マスクデータから除去した領域であることを特徴とするパターン検査方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載のパターン検査方法であって、
前記(f)工程にて比較される前記ホール消去画像と前記マスター画像とが所定の閾値で2値化された2値画像であることを特徴とするパターン検査方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のパターン検査方法であって、
前記被検査物は、プリント基板であって、
前記ホールは、ビアホールであることを特徴とするパターン検査方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のパターン検査方法であって、
前記(b)工程にて前記記憶手段に格納される前記マスター画像は、
CADデータから生成されることを特徴とするパターン検査方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載のパターン検査方法であって、
前記ホール消去画像は、少なくともホールの画像を消去できる閾値で2値化されることによって取得されることを特徴とするパターン検査方法。
【請求項9】
被検査物におけるホール形成を検査するパターン検査装置であって、
被検査物を撮像して多値画像を取得する撮像手段と、
前記被検査物の理想状態を表すマスター画像を記憶する記憶手段と、
前記撮像手段によって取得した多値画像から前記ホールの画像を消去したホール消去画像を取得するホール消去手段と、
前記多値画像から前記ホールの位置データを取得する位置データ取得手段と、
前記位置データが取得された前記ホールを覆う領域のデータを禁止データとして生成する禁止データ生成手段と、
前記禁止データが生成される領域以外の領域について、前記ホール消去画像と前記マスター画像とを比較してホールの形成を判定する判定手段と、
を備えることを特徴とするパターン検査装置。

【図1】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図2】
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【図4】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2009−150656(P2009−150656A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−326289(P2007−326289)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】