説明

フォトマスクの特性検出装置およびフォトマスクの特性検出方法

【課題】本発明は、フォトマスクの特性を検出することができるフォトマスクの特性検出装置およびフォトマスクの特性検出方法を提供する。
【解決手段】被検出体に形成されたパターンの光学像に基づいて検出データを作成する検出データ作成部と、前記パターンに関する参照データを作成する参照データ作成部と、特性の検出対象となるパターンに対応する参照パターンと、前記参照パターンの位置情報と、を前記参照データから抽出する抽出部と、前記参照パターンに基づいて特性を検出する領域を設定するとともに、前記位置情報に基づいて前記検出データから前記特性の検出対象となるパターンを抽出する第1の領域設定部と、前記特性を検出する領域における前記特性の検出対象となるパターンの特性を受光面上に結像された光学像を光電変換することで検出する検出部と、前記検出された特性を集計する集計部と、を備えたことを特徴とするフォトマスクの特性検出装置が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトマスクの特性検出装置およびフォトマスクの特性検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置、フラットパネルディスプレイ、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)、回路基板、光学部品、機械部品などの分野においては、表面にパターンを有する構造体が製造されている。そして、この様な構造体の製造においては、パターン形状の異常、パターン寸法の異常、異物の存在などの欠陥の検査が行われている。
構造体の表面に形成されたパターンの欠陥を検査する方法としては、ダイ・ツー・データべース(die−to−database)法と呼ばれる検査方法が知られている。この検査方法においては、CCDセンサ(Charge Coupled Device Image Sensor)などの受光面上にパターンの拡大光学像を結像させることで得られた検査データと、パターンの設計時に用いた設計データ(CADデータ)などから作成された参照データとを比較して、両者の不一致点を欠陥として検出するようにしている。
【0003】
ここで、検査対象領域を透過する透過光の輝度値の総和に基づいて、微細パターンであるコンタクトホールパターンのミスサイズ欠陥や位置ずれ欠陥などを検出するパターン検査装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
また、半導体装置の製造において用いられるフォトマスクの検査装置においては、欠陥の検査を行うとともに微細なライン・アンド・スペースパターンの線幅をも検出する場合がある。
また、露光装置で転写するウェーハ面へのフォトマスクの転写性を評価するため、露光装置の光学系を模した光学系を用いてフォトマスクのパターンの拡大光学像をCCDセンサなどで撮像し、転写後の透過率や線幅を検出する装置も知られている。
【0004】
しかしながら、転写性を評価できる装置では、これらのコンタクトホールパターンの透過率やライン・アンド・スペースパターンの線幅を検出する技術は検出対象領域が限られており、予め定められた間隔で検出を行うことができるもののフォトマスクの全域に渡る検出を高分解能で行うことができなかった。一方、フォトマスクの検査装置においては、線幅分布を求める機能を備えた装置があるが、転写性を考慮した線幅分布を求めることはできなかった。そのため、フォトマスクの特性や特性分布(例えば、透過率の分布や転写性を考慮した線幅の分布など)などをマスク全域に渡り高分解能で検出することができなかった。
ここで、近年の微細化されたパターンにおいては、コンタクトホールパターンの検出感度を向上させるとともに、フォトマスクの品質やフォトマスクに起因するプロセスマージンの低下要因などを的確に評価できるようにすることが求められるようになってきている。
ところが、従来の透過率や線幅を検出する技術では、フォトマスクの特性や特性分布を検出することができず、例えば、欠陥に至らないまでの異常がありプロセスマージンが低下したり、歩留まりが低下したりするなどした場合にその要因を特定できないおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−128248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、フォトマスクの特性を検出することができるフォトマスクの特性検出装置およびフォトマスクの特性検出方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、被検出体に形成されたパターンの光学像に基づいて検出データを作成する検出データ作成部と、前記パターンに関する参照データを作成する参照データ作成部と、特性の検出対象となるパターンに対応する参照パターンと、前記参照パターンの位置情報と、を前記参照データから抽出する抽出部と、前記参照パターンに基づいて特性を検出する領域を設定するとともに、前記位置情報に基づいて前記検出データから前記特性の検出対象となるパターンを抽出する第1の領域設定部と、前記特性を検出する領域における前記特性の検出対象となるパターンの特性を受光面上に結像された光学像を光電変換することで検出する検出部と、前記検出された特性を集計する集計部と、を備えたことを特徴とするフォトマスクの特性検出装置が提供される。
【0008】
また、本発明の他の一態様によれば、被検出体に形成されたパターンの光学像に基づいて検出データを作成する検出データ作成部と、前記パターンに関する参照データを作成する参照データ作成部と、特性の検出対象となるパターンに対応する参照パターンと、前記参照パターンの位置情報と、を参照データから抽出する抽出部と、逆変換処理を行うことで前記検出データからフォトマスクに形成されたパターンを求める逆変換部と、前記フォトマスクに形成されたパターンから転写パターンを求める転写パターン演算部と、前記参照パターンに基づいて特性を検出する領域を設定するとともに、前記位置情報に基づいて前記転写パターンから前記特性の検出対象となるパターンを抽出する第2の領域設定部と、前記特性を検出する領域における前記特性の検出対象となるパターンの特性を検出する検出部と、前記検出された特性を集計する集計部と、を備えたことを特徴とするフォトマスクの特性検出装置が提供される。
【0009】
また、本発明の他の一態様によれば、被検出体に形成されたパターンの光学像に基づいて検出データを作成し、前記パターンに関する参照データを作成し、特性の検出対象となるパターンに対応する参照パターンと、前記参照パターンの位置情報と、を参照データから抽出し、前記参照パターンに基づいて特性を検出する領域を設定するとともに、前記位置情報に基づいて前記検出データから前記特性の検出対象となるパターンを抽出し、前記特性を検出する領域における前記特性の検出対象となるパターンの特性を検出し、前記検出された特性を集計することを特徴とするフォトマスクの特性検出方法が提供される。
【0010】
また、本発明の他の一態様によれば、被検出体に形成されたパターンの光学像に基づいて検出データを作成し、前記パターンに関する参照データを作成し、特性の検出対象となるパターンに対応する参照パターンと、前記参照パターンの位置情報と、を参照データから抽出し、逆変換処理を行うことで前記検出データからフォトマスクに形成されたパターンを求め、前記フォトマスクに形成されたパターンから転写パターンを求め、前記参照パターンに基づいて特性を検出する領域を設定するとともに、前記位置情報に基づいて前記転写パターンから前記特性の検出対象となるパターンを抽出し、前記特性を検出する領域における前記特性の検出対象となるパターンの特性を検出し、前記検出された特性を集計することを特徴とするフォトマスクの特性検出方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フォトマスクの特性を検出することができるフォトマスクの特性検出装置およびフォトマスクの特性検出方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態に係るフォトマスクの特性検出装置を例示するためのブロック図である。
【図2】抽出部を例示するための模式図である。
【図3】可変テンプレートについて例示をするためのブロック図である。
【図4】特性の検出、集計を例示するためのブロック図である。
【図5】可変テンプレートを設ける場合を例示するためのブロック図である。
【図6】逆変換処理、転写パターンの演算に関して例示をするためのブロック図である。
【図7】変換部を例示するためのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本実施の形態に係るフォトマスクの特性検出装置を例示するためのブロック図である。
図1に示すように、特性検出装置1には、検出データ作成部2、参照データ作成部3、特性検出部4、抽出部5、表示部6が設けられている。
【0014】
検出データ作成部2には、光源21、照明光学系22、載置部23、結像光学系24、検出部25、変換部26が設けられている。
検出データ作成部2は、被検出体100に形成されたパターンの光学像に基づいて検出データを作成する。
光源21は、検出光21aを出射する。光源21としては、白色光、単色光、コヒーレント光などを出射する各種光源を用いることができる。この場合、微細なパターンの検出を行うためには、波長の短い検出光21aを出射可能なものとすることが好ましい。そのようなものとしては、例えば、波長が266nmの検出光21aを出射するYAGレーザ光源などを例示することができる。ただし、レーザ光源に限定されるわけではなく、パターンの大きさなどに応じて適宜変更することができる。
【0015】
照明光学系22は、光源21から出射した検出光21aを被検出体100の検出領域に導くとともに照射部分の大きさを制御する。
結像光学系24は、被検出体100からの検出光21aを検出部25の受光面に導くとともに受光面上に結像させる。
【0016】
照明光学系22、結像光学系24は、例えば、図1に例示をしたようなレンズなどの光学要素から構成されるものとすることができる。ただし、光学要素やその配置は例示をしたものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。また、例えば、ミラー、絞り、ビームスプリッタ、倍率チェンジャ、ズーム機構などの他の光学要素を適宜設けるようにすることもできる。
また、図1に例示をした結像光学系24は、被検出体100を透過した検出光21aを検出部25に導くものであるが、被検出体100により反射された検出光21aを検出部25に導くものとすることもできる。
【0017】
載置部23は、被検出体100を載置、保持するためのものである。また、載置部23には図示しない移動手段が設けられ、載置部23に載置された被検出体100の位置を移動させることで検出が行われる位置を変化させることができるようになっている。なお、図示しない移動手段を必ずしも載置部23に設ける必要はなく、検出が行われる位置が相対的に変化するようになっていればよい。例えば、図示しない移動手段により照明光学系22、結像光学系24、検出部25などの位置が変化するようになっていてもよい。
【0018】
検出部25は、受光面上に結像された光学像を光電変換する。検出部25としては、例えば、CCD(Charge Coupled Device)センサ、CCDラインセンサ、TDI(Time Delay and Integration)センサなどを例示することができる。ただし、これらに限定されるわけではなく、結像された光学像の光を光電変換できるものを適宜選択することができる。
変換部26は、検出部25から出力された電気信号をA/D変換する。また、A/D変換された電気信号を図形解釈することで検出データを作成する。
【0019】
参照データ作成部3には、データ格納部31、データ展開部32、データ作成部33が設けられている。
参照データ作成部3は、データ格納部31に格納された設計データなどに基づいて参照データを作成する。すなわち、参照データ作成部3は、被検出体に形成されたパターンに関する参照データを作成する。
データ格納部31は、パターンの形成に用いられる作画データや作画データに変換する前の設計データなどを格納する。
【0020】
データ展開部32は、データ格納部31から提供された設計データなどを2次元データに展開する。
データ作成部33は、2次元データに展開されたデータを図形解釈することで参照データを作成する。この際、検出データの分解能に合わせて参照データが作成される。すなわち、データ展開部32により展開されたデータを、検出部25で取得された光学像のデータ(検出データ)と同程度の分解能の参照データに変換する。
抽出部5は、特性(例えば、透過率など)の検出対象となるパターンと形状、大きさが同じパターンを参照データから抽出する。そして、抽出されたパターン(参照パターン)に関する信号(有効フラグ)を領域設定部43に向けて出力する。この際、抽出されたパターン(参照パターン)の位置情報(抽出されたパターン(参照パターン)がフォトマスクの何処にあるのかの位置情報)をも合わせて出力する。
すなわち、抽出部5は、特性の検出対象となるパターンに対応する参照パターンと、参照パターンの位置情報と、を参照データから抽出する。そして、抽出された参照パターンに関する信号(有効フラグ)、参照パターンの位置情報を領域設定部43に向けて出力する。なお、抽出部5に関する詳細は後述する。
【0021】
特性検出部4には、第1の特性検出部4aと第2の特性検出部4bとが設けられている。この場合、第1の特性検出部4aと第2の特性検出部4bとが設けられた特性検出部が複数設けられるようにすることもできる。
第1の特性検出部4aは、抽出部5で抽出された参照パターンに対応する検出データのパターンの特性(例えば、透過率など)を検出するとともに、検出された特性を集計などする。
【0022】
第1の特性検出部4aには、領域設定部43、検出部44a、集計部45aが設けられている。
領域設定部43は、抽出部5からの信号(有効フラグ)に基づいて、パターンの特性(例えば、透過率など)を検出する領域を設定する。また、抽出部5からの位置情報に基づいて、特性の検出対象となるパターンを検出データから抽出する。すなわち、領域設定部43は、参照パターンに基づいて特性を検出する領域を設定するとともに、前述した位置情報に基づいて検出データから特性の検出対象となるパターンを抽出する。
【0023】
検出部44aは、領域設定部43により設定された領域と特性の検出対象となるパターンとに基づいて、パターンの特性を検出する。すなわち、検出部44aは、特性を検出する領域における特性の検出対象となるパターンの特性を検出する。
集計部45aは、検出部44aにより検出された特性を集計する。この場合、検出された特性に基づいて、フォトマスク全域における特性を集計するようにすることができる。また、検出された特性と位置情報とに基づいて、特性分布(例えば、透過率分布など)に関する情報を作成するようにすることもできる。
第2の特性検出部4bは、逆変換処理を行うことで、検出データからフォトマスクに形成されたパターンを求める。次に、フォトマスクに形成されたパターンに基づいて、被検出体100(例えば、ウェーハ)面へ転写されるパターン(転写パターン)をシミュレーションにより求める。そして、参照パターンの特定の位置に対応する転写パターンの特性(例えば、透過率など)を検出するとともに、検出された特性を集計などする。なお、逆変換処理、転写パターンの演算に関する詳細は後述する。
【0024】
第2の特性検出部4bには、逆変換部41、転写パターン演算部42、領域設定部43、検出部44b、集計部45bが設けられている。
逆変換部41は、逆変換処理を行うことで検出データからフォトマスクに形成されたパターンを求める。この場合、逆変換処理は、結像光学系24の光学結像特性、つまり点像分布関数(PSF:Point Spread Function)と、検出部25の個々の画素の感度分布を示す像形成関数と、を用いて行われる。
【0025】
転写パターン演算部42は、逆変換部41により求められたフォトマスクに形成されたパターンから転写パターンを求める。
領域設定部43は、抽出部5からの信号(有効フラグ)に基づいて、パターンの特性(例えば、透過率など)を検出する領域を設定する。また、抽出部5からの位置情報に基づいて、特性の検出対象となるパターンを転写パターン演算部42により求められた転写パターンから抽出する。すなわち、領域設定部43は、参照パターンに基づいて特性を検出する領域を設定するとともに、前述した位置情報に基づいて転写パターンから特性の検出対象となるパターンを抽出する。
検出部44bは、領域設定部43により設定された領域と特性の検出対象となるパターンとに基づいて、パターンの特性を検出する。すなわち、検出部44bは、特性を検出する領域における特性の検出対象となるパターンの特性を検出する。
集計部45bは、検出部44bにより検出された特性を集計する。この場合、検出された特性に基づいて、フォトマスク全域における特性を集計するようにすることができる。また、検出された特性と位置情報とに基づいて、特性分布(例えば、透過率分布など)に関する情報を作成するようにすることもできる。
なお、特性を検出する領域の設定、特性の検出、特性の集計などに関する詳細は後述する。
【0026】
表示部6は、集計部45a、45bにより集計された特性のデータを視覚化する。例えば、特性分布図(例えば、透過率分布図など)を表示することができる。なお、前述したように、集計部45a、45bにおいて特性分布に関する情報を作成することもできるが、表示部6において作成するようにすることもできる。また、表示するパターンの種類(例えば、パターンの形状や大きさなど)を切換えたり、第1の特性検出部4aからの特性と第2の特性検出部4bからの特性とを切り換えたりすることもできる。また、表示範囲、分布強度などを任意に設定することもできる。
なお、表示部6は必ずしも必要ではなく適宜設けるようにすればよい。例えば、集計部45a、45bにより集計された特性などのデータを格納する図示しない格納部を表示部6の代わりに設けるようにすることもできる。
【0027】
次に、抽出部5についてさらに例示をする。
図2は、抽出部を例示するための模式図である。なお、図2(a)は抽出部を例示するためのブロック図、図2(b)〜(d)はテンプレートマッチングの様子を例示するための模式図、図2(e)はパターン寸法の検出位置を例示するための模式図、図2(f)はパターン寸法の検出を例示するための模式図、図2(g)はパターン面積によるマッチングの様子を例示するための模式図である。
図2(a)に示すように、抽出部5には、第1の照合部35、第2の照合部36、論理積演算部39が設けられている。
本実施の形態においては、第1の照合部35により選別されたパターンに対して第2の照合部36によるパターンマッチングをさらに行うようにしている。そのため、対象となるパターンの抽出精度を向上させることができる。
【0028】
第1の照合部35は、特性の検出対象となるパターンと形状、大きさが同じパターンを参照データから選別する。選別は、図2(b)〜(d)に示すようなテンプレートマッチングにより行うことができる。例えば、図2(b)に示すようなパターン101は、図2(c)に示すような閾値102、103を用いたテンプレートにより、図2(d)に示すようなテンプレートマッチングを行うことで選別することができる。ここで、閾値102は所定の透光量より小さい領域のマッチングに用いられ、閾値103は所定の透光量より大きい領域のマッチングに用いられる。そして、図2(c)に示すテンプレートは、閾値103によるマッチングが行われる領域の周辺に閾値102によるマッチングが行われる領域が設けられた固定テンプレートとなっている。
【0029】
第2の照合部36には、パターン寸法演算部37、パターン面積演算部38が設けられている。
パターン寸法演算部37は、パターン寸法を演算することでパターンマッチングを行う。例えば、図2(e)に示すような互いに直交する方向のパターン寸法を演算することでパターンマッチングを行う。この場合、図2(f)に示すように、透光量のプロファイル104と所定の閾値105とからパターン寸法を演算することができる。例えば、所定の閾値105におけるプロファイル104の寸法105をパターン寸法とすることができる。
【0030】
パターン面積演算部38は、パターン面積を演算することでパターンマッチングを行う。例えば、図2(g)に示すように、所定の領域106内における所定の閾値以上の部分の面積を演算することでパターンマッチングを行う。この場合、領域106は、図2(c)において例示をした閾値102によりマッチングが行われる領域と同等の範囲とされている。
論理積演算部39は、パターン寸法演算部37、パターン面積演算部38から出力されたマッチング結果を論理積演算する。この様にして、特性の検出対象となるパターンと形状、大きさが同じ参照パターンが参照データから抽出される。
【0031】
また、図2(c)に例示をしたテンプレートは固定テンプレートであるが、マッチング領域を任意に設定することができる可変テンプレートとすることもできる。抽出部5には、テンプレートを構成する画素における論理を任意に設定することができる可変テンプレートを設けるようにすることもできる。
図3は、可変テンプレートについて例示をするためのブロック図である。なお、図3は第1の照合部35に設けられた可変テンプレート50を例示するためのブロック図である。 図3に示すように、可変テンプレート50には、遅延部51、バッファ部52、二値化部53、マッチング部54、論理積演算部57が設けられている。
遅延部51は、参照データの電気信号の波形を変えずに伝達に一定の時間遅れを作る。 バッファ部52は、遅延部51を介して入力された参照データをN×N画素のデータとして蓄積する。
【0032】
二値化部53には、変換部53a、53bが設けられている。変換部53a、53bは、それぞれ異なる値の閾値を用いて二値化を行う。用いられる閾値としては、例えば、前述した閾値102、閾値103を例示することができる。
バッファ部52に蓄積されたN×N画素のデータは、二値化部53において異なる値の閾値を用いて二値化され、N×N画素の各画素に対応する画素マッチング部54〜54N−1にそれぞれ提供される。なお、閾値は任意に変更することができるようになっている。
【0033】
マッチング部54には、N×N画素の各画素に対応する画素マッチング部54〜54N−1が設けられている。また、各画素マッチング部54〜54N−1には、論理演算部55a、55b、論理積演算部56がそれぞれ設けられている。
論理演算部55a、55bにおける論理は任意に設定することができるようになっている。すなわち、論理演算部55a、55bにおける論理を任意に設定することで、テンプレートを構成する画素における論理を任意に設定することができる可変テンプレートが構成されるようになっている。
例えば、論理演算部55aにおいては、「当該画素の値>閾値103、当該画素の値≦閾値103、演算不要」のいずれかが選択、設定されるようになっている。また、論理演算部55bにおいては、「当該画素の値>閾値102、当該画素の値≦閾値102、演算不要」のいずれかが選択、設定されるようになっている。そして、二値化部53から提供されたデータが、設定された論理により判定されるようになっている。
【0034】
この場合、「演算不要」は、当該画素の値がどのようなものであるのかが明らかな場合に選択、設定するものとすることができる。例えば、ホールパターンのホール部分(透過部)に位置する画素のように「明」であることが明らかな場合には、図中の「1」を選択、設定することで常に「ON(明)」と判定するようにすることができる。
【0035】
論理積演算部56は、論理演算部55a、55bから出力された判定結果を論理積演算することで当該画素におけるマッチング結果を出力する。
論理積演算部57は、各画素マッチング部54〜54N−1における論理積演算部56のマッチング結果をさらに論理積演算し、マッチングがされた場合には「テンプレートマッチング結果」を出力する。「テンプレートマッチング結果」は、「有効フラグ」として領域設定部43に向けて出力される。
【0036】
この様に、設定したテンプレートの論理設定に添ってN×N画素全部のマッチング結果の論理積をとることが可能となるので、任意の論理設定によるテンプレートマッチングが可能となる。また、任意の論理設定によるテンプレートマッチングが可能となれば、特性を検出するパターンの形状などに整合するテンプレートを「検出レシピ」などから容易に設定することができるようになる。
【0037】
次に、特性(例えば、透過率など)の検出、集計についてさらに例示をする。
図4は、特性の検出、集計を例示するためのブロック図である。なお、図4は、一例として、透過率の検出、集計を行う場合を例示するものである。
図4に示すように、領域設定部43は抽出部5からの信号(有効フラグ)に基づいて、パターンの透過率を検出する領域を設定する。この際、抽出部5からの信号(有効フラグ)に基づいて、透過率を検出する対象となるパターンの形状、大きさに整合したテンプレートが選択される。また、抽出部5からの位置情報に基づいて、透過率の検出対象となるパターンを検出データから抽出する。
【0038】
検出部44aは、領域設定部43により設定された領域と透過率を検出する対象となるパターンとに基づいて、パターンの透過率を検出する。例えば、設定された領域内における所定の閾値以上の部分のデータの総和を求めることでパターンの透過率を検出する。
集計部45aは、検出部44aにより検出された透過率を集計する。この場合、フォトマスク全域における透過率を集計したり、検出された透過率と位置情報とに基づいて、透過率分布に関する情報を作成したりすることができる。
なお、図4においては第1の特性検出部4aの場合を例に挙げて説明したが、透過率の検出、集計に関しては第2の特性検出部4bの場合も同様とすることができる。
また、領域設定部43に固定テンプレートが設けられている場合を例示したが、可変テンプレートを設けるようにすることもできる。
【0039】
図5は、可変テンプレートを設ける場合を例示するためのブロック図である。
図5に示すように、第3の特性検出部4cにはバッファ部60、可変テンプレート61、演算部63、論理積部64、集計部65が設けられている。
バッファ部60は、入力された検出データをN×N画素のデータとして蓄積する。
可変テンプレート61には選択部62が設けられている。また、選択部62にはN×N画素の各画素に対応して画素選択部62a〜62aN−1が設けられている。また、画素選択部62a〜62aN−1において当該画素に関するデータを選択するか否かの設定(画素の選定)を行うことができるようになっている。すなわち、選択部62は、検出データを構成する画素を任意に選択することで特性を検出する領域を設定することができるようになっている。そして、設定された領域における検出データの総和が演算部63により演算されるようになっている。
【0040】
すなわち、検出データは、N×N画素のデータを蓄積するバッファ部60を介して、N×N画素の各画素に対応して設けられた画素選択部62a〜62aN−1に入力される。画素選択部62a〜62aN−1は、該当する画素を選択するか否かの設定により動作するようになっているので、任意に設定された画素における値の総和を演算部63により演算することができる。このようにすれば、検出データに対して設定する画素を任意に選択して総和を求めることができるようになる。
論理積部64は、演算部63により演算された検出データの総和値と、抽出部5からの有効フラグとの論理積を取る。この様にすれば、参照パターンに対応する特性の検出対象となるパターンにおける総和値(特性値)を演算することができる。
【0041】
この様に、設定した可変テンプレート61の論理設定に添ってN×N画素全部の総和値(特性値)を求めることが可能となるので、任意の論理設定による特性の検出が可能となる。また、任意の論理設定による特性の検出が可能となれば、特性を検出するパターンの形状などに整合するテンプレートを「検出レシピ」などから容易に設定することができるようになる。
【0042】
次に、逆変換処理、転写パターンの演算に関してさらに例示をする。
図6は、逆変換処理、転写パターンの演算に関して例示をするためのブロック図である。
図6に示すように、前述した逆変換部41には、逆フーリエ変換部41a、逆変換演算部41bが設けられている。
逆フーリエ変換部41aは、検出データを逆フーリエ変換してフーリエ面における検出データに変換する。
逆変換演算部41bは、結像光学系24の光学結像特性と、点像分布関数(PSF:Point Spread Function)を考慮した検出部25の像形成関数と、を用いて、フーリエ面に変換された検出データからフォトマスクに形成されたパターンを求める。
なお、光学系の点像分布(光学結像特性)や検出部25の像形成関数は、光学特性や検出部25の特性(いわゆるセンサ特性など)から理論的に導かれたものであってもよいし、実験などにより求めたものであってもよい。
【0043】
ここで、検出データからフォトマスクに形成されたパターンを求めることに関してさらに例示をする。
像形成の理論によると、検出部25からの出力は以下の(1)式で表すことができる。すなわち、検出部25からの出力は、光学系の点像分布(光学結像特性)と検出部25の個々の画素の感度分布である像形成関数とを用いてコンポリューション(畳込み)演算を行い、検出部25の離散的なサンプリングに対応する櫛型関数combを用いてサンプリングしたものとなる。
【0044】
【数1】


ここで、i(x)は検出部25からの出力(検出データ)、d(x)は検出部25の像形成関数(センサ画素の感度分布の関数)、psf(x)は光学系の点像分布(光学結像特性)、o(x)は検出部25で得られた光学像、comb(x)はピッチpの画素位置(配列)を示す関数、*はコンポリューション(畳込み)演算を表している。
【0045】
そして、(1)式をフーリエ変換することで(2)式が導かれる。
【数2】


ここで、I(u)は検出部25からの出力(検出データ)をフーリエ変換したもの、D(u)は検出部25の像形成関数(センサ画素の感度分布の関数)をフーリエ変換したもの、OTF(u)は光学系の点像分布(光学結像特性)をフーリエ変換したもの、O(u)は検出部25で得られた光学像をフーリエ変換したもの、comb(u)はピッチpの画素位置(配列)を示す関数をフーリエ変換したもの、*はコンポリューション(畳込み)演算を表している。
【0046】
次に、(2)式を逆フーリエ変換することで(3)式が導かれる。すなわち、検出部25の出力信号からフーリエ面におけるフォトマスクに形成されたパターンを求めることができる。
【0047】
【数3】


なお、この様なフーリエ変換においては、検出部25の画素ピッチpにより帯域が制限されてしまう。この様な場合には、検出部25からの出力(検出データ)をフーリエ変換する際にゼロパディングを行うことでフーリエ面における帯域を拡げるようにすることもできる。
【0048】
次に、図6に戻って、転写パターン演算部42について例示をする。
前述した転写パターン演算部42には、正フーリエ変換部42a、結像演算部42bが設けられている。
結像演算部42bは、逆変換演算部41bにより求められたパターン(フォトマスクに形成されたパターン)に基づいて転写パターンを求める。すなわち、露光装置の光源強度分布、光学系の瞳関数、収差特性などを考慮して、フーリエ面における転写パターンを転写シミュレーションにより求める。なお、転写シミュレーションは、既知のリソグラフィ用光学シミュレーションや演算装置などを用いて行うことができるので、その説明は省略する。
正フーリエ変換部42aは、フーリエ面における転写パターンをフーリエ変換することで被検出体100(例えば、ウェーハ)面へ転写されるパターン(実空間における転写パターン)を求める。
【0049】
次に、フォトマスクの特性検出装置1の作用とともにフォトマスクの特性検出方法について例示をする。
まず、図示しない搬送装置や作業者などにより被検出体100が載置部23に載置される。次に、光源21から検出光21aを出射させる。光源21から出射した検出光21aは、照明光学系22により被検出体100の検出領域に導かれるとともに照射部分の大きさが制御される。そして、載置部23に載置された被検出体100の検出が行われる位置を図示しない移動手段などにより相対的に変化させる。
【0050】
被検出体100からの検出光21aは、結像光学系24により検出部25の受光面上に導かれるとともに受光面上に結像される。受光面上に結像された光学像の光は検出部25により光電変換される。そして、検出部25により光電変換された電気信号は変換部26によりA/D変換されるとともに図形解釈がされ、検出データが作成される。
【0051】
一方、被検出体100の検出の進行に合わせて、参照データ作成部3に設けられたデータ格納部31からデータ展開部32に設計データなどが提供され、2次元データに展開される。2次元データに展開されたデータは、データ作成部33により図形解釈されて参照データが作成される。そして、特性の検出対象となるパターンと形状、大きさが同じパターン(参照パターン)が抽出部5により参照データから抽出される。そして、抽出されたパターンに関する信号(有効フラグ)が領域設定部43に向けて出力される。この際、抽出されたパターンの位置情報、すなわち抽出されたパターンがフォトマスクの何処にあるのかの位置情報も合わせて出力される。なお、参照パターンの抽出は、前述した固定テンプレートや可変テンプレートを用いて行うことができる。
【0052】
次に、特性検出部4により検出対象となるパターンの特性が検出されるとともに検出された特性が集計などされる。この際、抽出部5からの信号(有効フラグ)に基づいてパターンの特性を検出する領域が領域設定部43により設定される。また、抽出部5からの位置情報に基づいて、特性の検出対象となるパターンが検出データから抽出される。
【0053】
この場合、第1の特性検出部4aにより検出データに基づいて検出対象となるパターンの特性が検出されるとともに検出された特性が集計などされる。一方、第2の特性検出部4bにより検出データから転写パターンが求められ、転写パターンに基づいて検出対象となるパターンの特性が検出されるとともに検出された特性が集計などされる。そして、集計などされた特性のデータが表示部6により視覚化される。この際、フォトマスク全域に渡る特性分布を表示させることもできる。
【0054】
すなわち、本実施の形態に係るフォトマスクの特性検出方法においては、被検出体100に形成されたパターンの光学像に基づいて検出データを作成し、被検出体100に形成されたパターンに関する参照データを作成し、特性の検出対象となるパターンに対応する参照パターンと、参照パターンの位置情報と、を参照データから抽出し、参照パターンに基づいて特性を検出する領域を設定するとともに、位置情報に基づいて検出データから特性の検出対象となるパターンを抽出し、特性を検出する領域における特性の検出対象となるパターンの特性を検出し、検出された特性を集計する。
【0055】
また、被検出体100に形成されたパターンの光学像に基づいて検出データを作成し、被検出体100に形成されたパターンに関する参照データを作成し、特性の検出対象となるパターンに対応する参照パターンと、参照パターンの位置情報と、を参照データから抽出し、逆変換処理を行うことで検出データからフォトマスクに形成されたパターンを求め、フォトマスクに形成されたパターンから転写パターンを求め、参照パターンに基づいて特性を検出する領域を設定するとともに、位置情報に基づいて転写パターンから特性の検出対象となるパターンを抽出し、特性を検出する領域における特性の検出対象となるパターンの特性を検出し、検出された特性を集計する。
【0056】
また、検出された特性と、位置情報と、に基づいて特性分布に関する情報を作成することもできる。
また、参照パターンの抽出は、テンプレートを構成する画素における論理を任意に設定することができる可変テンプレートを用いて行われ、その論理は「検出レシピ」に基づいて設定されるようにすることもできる。
【0057】
以上に例示をしたものにおいては、フォトマスクの特性として透過率を挙げているがこれに限定されるわけではない。例えば、透過率(透光部分)と同様にして線幅(遮光部分)の検出などを行うこともできる。また、設計上の危険点、危険点近傍の特定領域における透過率なども検出することができる。また、これらの他の特性に関しても特性分布に関する情報を作成することができる。そのため、他の特性に関してもフォトマスク全域に渡る特性分布を知ることもできる。また、これらの特性を適宜組み合わせて検出したり、集計などしたりすることもできる。例えば、転写パターンから透過率とともに転写像の線幅を検出し、フォトマスク全域に渡る透過率分布と線幅分布とを集計などすることができる。また、フォトマスク検査などと組み合わせることもできる。例えば、フォトマスクの欠陥検査を行うとともに注目されるホールパターンなどの透過率分布をフォトマスク全域に渡り検出することができる。そのため、欠陥に至らないまでの異常をも知ることができるのでフォトマスクの品質やフォトマスクに起因するプロセスマージンの低下要因などを的確に評価することができるようになる。
【0058】
本実施の形態によれば、フォトマスク全域に渡る特性(例えば、透過率や線幅など)や特性分布(例えば、透過率分布や線幅分布など)を検出することができる。そのため、欠陥に至らないまでの僅かな異常がありプロセスマージンが低下したり、歩留まりが低下したりするなどした場合であってもその要因を的確に特定することができる。
また、透過率や線幅などの一様性や変動などのフォトマスクの品質に関する評価や、フォトマスクに起因するプロセスマージンの評価を行うことが可能となるので、リソグラフィ工程における歩留まりなどの向上を図ることができる。
【0059】
また、テンプレートの設定、抽出されるパターンのパラメータの設定(例えば、パターンの形状、大きさに関するパラメータ)、透過率や線幅を検出する領域の設定などを「検出レシピ」などにより任意に行うことができる。すなわち、パターンの抽出などに用いるテンプレートを「検出レシピ」などから任意に設定することができるようになる。
【0060】
次に、検出データからフォトマスクに形成されたパターンを求める際に適用することができる他の実施の形態について例示をする。
図7は、変換部を例示するためのブロック図である。
図7に示すように、変換部141には形状変化部142、畳込み演算部143、相関演算部144、最適化部145が設けられている。
形状変化部142は、パターンの形状や大きさを段階的に変化させる。
畳込み演算部143は、光学系の点像分布(光学結像特性)と検出部25の個々の画素の感度分布である像形成関数とを用いてコンポリューション(畳込み)演算を行う。
相関演算部144は、コンポリューション(畳込み)演算されたパターンデータと検出データとの相関演算を行う。
最適化部145は、相関演算の結果に基づいて最適化を行う。
【0061】
図6において例示をした逆変換部41では、検出データを逆フーリエ変換してフーリエ面に変換し、光学結像特性と像形成関数とを用いてフーリエ面に変換された検出データからフォトマスクに形成されたパターンを求めるようにしている。これに対し、本実施の形態においては、検出データと最も相関が得られるパターンを相関演算により求めて、これをフォトマスクに形成されたパターンとするようにする。
【0062】
例えば、形状変化部142に入力された設計データにおけるパターンの形状や大きさを所定の値だけ変化させる。変化させたパターンは、畳込み演算部143においてコンポリューション(畳込み)演算されることでフォトマスクに形成されたパターンが求められる。そして、求められたパターンと検出データとの相関演算が行われる。相関が低い場合には最適化部145において相関が高くなるように最適化が行われる。そして、形状変化部142において、この最適化のデータに基づいてパターンの線幅や大きさを変化させる。以降、この一連の演算を繰り返すことにより検出データと最も相関が得られるパターンをフォトマスクに形成されたパターンとして求める。
本実施の形態によれば、逆フーリエ変換が困難な場合であっても検出データからフォトマスクに形成されたパターンを求めることができる。そのため、逆フーリエ変換が困難な場合であっても転写パターンに関する特性を検出することができる。
また、コンタクトホールパターンの他、特定のライン・アンド・スペースパターンや、パターンに欠陥が生じやすいパターン設計上の危険点の場所、またはその近傍の特定領域の透過率分布なども、同様な方法で測定して表示することができる。
【0063】
次に、本実施の形態に係るフォトマスクの製造方法について例示をする。
本実施の形態に係るフォトマスクの製造方法においては、前述したフォトマスクの特性検出装置1、フォトマスクの特性検出方法を用いてフォトマスク全域に渡る特性分布(例えば、透過率分布や線幅分布など)を求め、その結果を考慮してパターンレイアウト(露光パターンデータ)を修正する。そして、この様にして修正されたパターンレイアウト(露光パターンデータ)に基づいてフォトマスクを作成する。この場合、フォトマスクはエッチング法を用いて作成するようにすることができる。
また、パターンレイアウト(露光パターンデータ)の修正を行わず、露光条件に関する制御情報を作成するようにすることもできる。例えば、特性分布に応じて露光条件を変化させることができるように、制御情報を作成するようにすることができる。
【0064】
本実施の形態に係るフォトマスクの製造方法によれば、フォトマスク全域に渡る特性分布が一様となるようなフォトマスクを得ることができる。また、欠陥に至らないまでの異常をも知ることができる。そのため、フォトマスクの品質を向上させることができる。また、パターンの抽出などに用いるテンプレートを「検出レシピ」などから任意に設定することができる。そのため、フォトマスクの生産性、品質、歩留まりなどの向上を図ることもできる。また、特性分布に応じて露光条件を変化させる制御情報を作成することで、フォトマスクの歩留まりを向上させるとともに製品の品質、歩留まりなどの向上を図ることもできる。
【0065】
次に、本実施の形態に係る電子デバイスの製造方法について例示をする。
なお、一例として、半導体装置の製造方法を例にとり説明する。
半導体装置の製造方法は、成膜・レジスト塗布・露光・現像・エッチング・レジスト除去などによりウェーハ上にパターンを形成する工程、検査工程、洗浄工程、熱処理工程、不純物導入工程、拡散工程、平坦化工程などの複数の工程を繰り返すことにより実施される。そして、このような半導体装置の製造方法において、前述したフォトマスクの製造方法を用いて特性が一様なフォトマスクが製造され、また、製造されたフォトマスクを用いて露光が行われる。また、フォトマスク全域に渡る特性分布を予め知ることができるので、特性分布に合わせて露光工程における露光条件を制御するようにすることもできる。この際、前述した「特性分布に応じて露光条件を変化させる制御情報」に基づいて制御を行うようにすることもできる。
なお、前述したフォトマスクの製造方法以外のものは、既知の各工程の技術を適用することができるので、それらの説明は省略する。
【0066】
また、一例として、本実施の形態に係る電子デバイスの製造方法として半導体装置の製造方法を例にとり説明したが、これに限定されるわけではない。例えば、フラットパネルディスプレイの製造におけるパターンの形成(例えば、液晶カラーフィルタやアレイ基板などにおけるパターンの形成)などのようにフォトリソグラフィ技術を用いる電子デバイスの製造に広く適用させることができる。
【0067】
本実施の形態に係る電子デバイスの製造方法によれば、特性が一様なフォトマスクを用いて回路パターンなどを形成することができる。また、フォトマスク全域に渡る特性を予め知ることができるので、特性に合わせて露光工程における露光条件を制御することもできる。そのため、回路パターンなどが変形することによる電気特性の劣化、回路パターンなどのブリッジや断線などを抑制することができるので、製品歩留まりや品質などの向上を図ることができる。
【0068】
以上、本実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、特性検出装置1が備える各要素の形状、寸法、配置、数などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0069】
1 特性検出装置、2 検出データ作成部、3 参照データ作成部、4 特性検出部、4a 第1の特性検出部、4b 第2の特性検出部、4c 第3の特性検出部、5 抽出部、6 表示部、21 光源、25 検出部、26 変換部、31 データ格納部、32 データ展開部、33 データ作成部、35 第1の照合部、36 第2の照合部、37 パターン寸法演算部、38 パターン面積演算部、39 論理積演算部、41 逆変換部、41a 逆フーリエ変換部、41b 逆変換演算部、42 転写パターン演算部、43 領域設定部、44a 検出部、44b 検出部、45a 集計部、45b 集計部、50 可変テンプレート、51 遅延部、52 バッファ部、53 二値化部、54 マッチング部、57 論理積演算部、60 バッファ部、61 可変テンプレート、63 演算部、64 論理積部、65 集計部、100 被検出体、141 変換部、142 形状変化部、143 畳込み演算部、144 相関演算部、145 最適化部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出体に形成されたパターンの光学像に基づいて検出データを作成する検出データ作成部と、
前記パターンに関する参照データを作成する参照データ作成部と、
特性の検出対象となるパターンに対応する参照パターンと、前記参照パターンの位置情報と、を前記参照データから抽出する抽出部と、
前記参照パターンに基づいて特性を検出する領域を設定するとともに、前記位置情報に基づいて前記検出データから前記特性の検出対象となるパターンを抽出する第1の領域設定部と、
前記特性を検出する領域における前記特性の検出対象となるパターンの特性を受光面上に結像された光学像を光電変換することで検出する検出部と、
前記検出された特性を集計する集計部と、
を備えたことを特徴とするフォトマスクの特性検出装置。
【請求項2】
被検出体に形成されたパターンの光学像に基づいて検出データを作成する検出データ作成部と、
前記パターンに関する参照データを作成する参照データ作成部と、
特性の検出対象となるパターンに対応する参照パターンと、前記参照パターンの位置情報と、を参照データから抽出する抽出部と、
逆変換処理を行うことで前記検出データからフォトマスクに形成されたパターンを求める逆変換部と、
前記フォトマスクに形成されたパターンから転写パターンを求める転写パターン演算部と、
前記参照パターンに基づいて特性を検出する領域を設定するとともに、前記位置情報に基づいて前記転写パターンから前記特性の検出対象となるパターンを抽出する第2の領域設定部と、
前記特性を検出する領域における前記特性の検出対象となるパターンの特性を検出する検出部と、
前記検出された特性を集計する集計部と、
を備えたことを特徴とするフォトマスクの特性検出装置。
【請求項3】
前記検出データ作成部は、
検出光を出射する光源と、
前記光源から出射した検出光を被検出体に導く照明光学系と、
前記被検出体からの検出光を検出部の受光面上に結像させる結像光学系と、
前記受光面上に結像された光学像の光を光電変換する検出部と、
を備え、
逆変換処理は、前記結像光学系の光学結像特性と、前記検出部の個々の画素の感度分布を示す像形成関数と、を用いて行われることを特徴とする請求項2記載のフォトマスクの特性検出装置。
【請求項4】
前記抽出部には、テンプレートを構成する画素における論理を任意に設定することができる可変テンプレートが設けられていること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のフォトマスクの特性検出装置。
【請求項5】
前記集計部は、前記検出された特性と、前記位置情報と、に基づいて特性分布に関する情報を作成すること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のフォトマスクの特性検出装置。
【請求項6】
前記特性は、透過率、線幅、危険点、危険点近傍の領域における透過率からなる群より選ばれた少なくとも1種であること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載のフォトマスクの特性検出装置。
【請求項7】
被検出体に形成されたパターンの光学像に基づいて検出データを作成し、
前記パターンに関する参照データを作成し、
特性の検出対象となるパターンに対応する参照パターンと、前記参照パターンの位置情報と、を参照データから抽出し、
前記参照パターンに基づいて特性を検出する領域を設定するとともに、前記位置情報に基づいて前記検出データから前記特性の検出対象となるパターンを抽出し、
前記特性を検出する領域における前記特性の検出対象となるパターンの特性を検出し、
前記検出された特性を集計することを特徴とするフォトマスクの特性検出方法。
【請求項8】
被検出体に形成されたパターンの光学像に基づいて検出データを作成し、
前記パターンに関する参照データを作成し、
特性の検出対象となるパターンに対応する参照パターンと、前記参照パターンの位置情報と、を参照データから抽出し、
逆変換処理を行うことで前記検出データからフォトマスクに形成されたパターンを求め、
前記フォトマスクに形成されたパターンから転写パターンを求め、
前記参照パターンに基づいて特性を検出する領域を設定するとともに、前記位置情報に基づいて前記転写パターンから前記特性の検出対象となるパターンを抽出し、
前記特性を検出する領域における前記特性の検出対象となるパターンの特性を検出し、
前記検出された特性を集計することを特徴とするフォトマスクの特性検出方法。
【請求項9】
前記検出された特性と、前記位置情報と、に基づいて特性分布に関する情報をさらに作成すること、を特徴とする請求項7または8に記載のフォトマスクの特性検出方法。
【請求項10】
前記参照パターンの抽出は、テンプレートを構成する画素における論理を任意に設定することができる可変テンプレートを用いて行われ、前記論理は検出レシピに基づいて設定されることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1つに記載のフォトマスクの特性検出方法。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−58931(P2011−58931A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−208310(P2009−208310)
【出願日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】