説明

プリエンファシス機能を含む出力回路と半導体装置

【課題】プリエンファシス機能を有する出力回路において、デエンファシス時における差動出力信号のコモンモード電圧のプリエンファシス時のコモンモード電圧からの変動を抑制する。
【解決手段】入力信号とその相補信号とを差動入力して差動出力し、差動出力信号のうち高電位側の出力信号にデエンファシスをかける際に、当該デエンファシス電流を供給するトランジスタ(N3、N4)に流れる電流を絞る回路(N5、N6、R3)を備え、デエンファシス時の前記出力信号のハイレベルの前記出力信号のプリエンファシス時のハイレベルからの変化量を縮減させ、デエンファシス時の前記差動出力信号のコモンモード電圧をプリエンファシス時のコモンモード電圧に近づける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出力回路に関し、特にプリエンファシス機能を含む出力回路と該出力回路を備えた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自集積回路の信号を他集積回路へ差動伝送路を介して送信する差動出力回路において、伝送路での損失等を考慮して出力信号にプリエンファシス(Pre−Emphasis)をかけて伝送するのが一般的である。プリエンファシス機能を有する出力回路では出力する現在のビットデータが直前に出力したビットデータから変化した時に、プリエンファシスをかけ、変化無しのときはプリエンファシスをかけない。
【0003】
プリエンファシス機能を有する差動出力回路において、直前のビットデータの値から遷移しプリエンファシスがかかったビットであるトランジション・ビット(Transition bit)と、直前のビットデータの値から変化せずプリエンファシスがかかっていないビットであるデエンファシス・ビット(De−Emphasis bit)間で、差動出力信号の中点電圧であるコモンモード電圧(VCM)に不一致が生じる場合がある。トランジション・ビットと、デエンファシス・ビット間でコモンモード電圧(VCM)の変動が大きいと、例えばPCI−Express/Serial−ATA/CEI等の標準インターフェース規格を逸脱する可能性がある。
【0004】
図10に、標準インターフェース規格のACコモンモード電圧(Vcmac;AC coupled common mode voltage(AC結合コモンモード電圧))の仕様の一例を示す。これらの標準インターフェース規格に対応した出力回路は、低消費電力化のために低電源電圧での動作が要求される。低電源電圧でPCI−Expressのように大きな差動出力振幅(800mV以上、1200mV以下)を実現しようとしたとき、トランジション・ビットとデエンファシス・ビット間でのコモンモード電圧(VCM)の不一致によるコモンモード電圧(VCM)の変動が大きくなる傾向にある。このため、コモンモード電圧(VCM)の変動の低減、抑制の必要性が増してくる。以下では、プリエンファシス機能を備えた出力回路(VCMの変動抑制機能無し)と、VCMの変動抑制機能を備えた出力回路の関連技術について順次説明を行う。
【0005】
図5は、プリエンファシス機能を備えた出力回路の構成を示す図である(特許文献1参照)。図5を参照すると、出力回路は、ドライバメインバッファ10と、プリエンファシスバッファ20を備えている。ドライバメインバッファ10は、ソースが低位側電源VSS(VSSは例えばグランド電位)に接続され、ゲートにバイアス電圧BIASを受けるNMOSトランジスタ(電流源トランジスタ)N11と、該電流源トランジスタN11のドレインに共通接続されたソースが接続され、差動入力端子をなす第1、第2の入力端子INT、INBにゲートがそれぞれ接続され、差動出力端子の第1の出力端子OUTB(逆相出力端子あるいは反転出力端子ともいう)、第2の出力端子OUTT(正相出力端子あるいは正転出力端子ともいう)にドレインがそれぞれ接続されたNMOSトランジスタN1、N2(差動対)と、OUTB、OUTT(すなわちNMOSトランジスタN1、N2のドレイン)と高位側電源VDD間にそれぞれ接続された抵抗素子R1、R2と、を備えている。差動対をなすNMOSトランジスタN1、N2はサイズ、特性は互いに等しい。
【0006】
プリエンファシスバッファ20は、ソースが低位側電源VSSに接続され、ゲートにバイアス電圧BIASを受けるNMOSトランジスタ(電流源トランジスタ)N12と、該電流源トランジスタN12のドレインに共通接続されたソースが接続され、制御信号(エンファシス信号)を差動で入力する第1、第2の制御信号端子EMT、EMBにゲートがそれぞれ接続され、第1、第2の出力端子OUTB、OUTTにドレインがそれぞれ接続されたNMOSトランジスタN3、N4と、を備えている。差動対をなすNMOSトランジスタN3、N4はサイズ、特性が互いに等しい。なお、OUTT、OUTB、EMT、EMB等において、端子名、信号名の末尾のTは正相(True)、Bは逆相(Bar)を表す。
【0007】
図6は、図5の回路の動作を説明するタイミングチャートである。図6のタイミングチャートは、図5の回路動作を説明するために、本願発明者により新たに作成されたものである。図6には、図5の端子INT、INB、端子EMT、EMB、端子OUTB、コモンモード電圧(VCM)、端子OUTT、NMOSトランジスタN12のドレイン・ノードVS2、NMOSトランジスタN11のドレイン・ノードVS1の電圧波形と、NMOSトランジスタN1、N2、N3、N4のON(ON)、OFF(OFF)の状態が示されている。図6において、INTの上の(1)〜(11)はタイミング期間を表している。図5の回路動作の詳細を図6のタイミングチャートを参照して説明する。なお、以下では、端子名と該端子の信号名を共通に用いる。
【0008】
<期間(1)>
(INT、INB)が直前の(Low、High)から(High、Low)に遷移した場合(トランジション・ビット)、(EMT、EMB)=(High、Low)とされる。NMOSトランジスタN1、N3がON(導通)し、NMOSトランジスタN2、N4がOFF(非導通)し、OUTT、OUTBは、それぞれ、プリエンファシスがかかったHigh電圧VOHPとLow電圧VOLPになる。OUTTのHigh電圧VOHPは例えば電源電圧VDDとされる。また、OUTBのLow電圧VOLPは、NMOSトランジスタN1、N3のドレイン電流をI1、I3とすると、
VOLP=VDD−R1×(I1+I3)
で与えられる。
ここで、NMOSトランジスタN2、N4がOFFであることから、NMOSトランジスタN1、N3のドレイン電流I1、I3は、それぞれ、電流源N11、N12の電流値となる。このように、OUTBのLow電圧VOLPが低くなり、NMOSトランジスタN1、N3がONであるため、電流源トランジスタN11のドレイン・ノードVS1(NMOSトランジスタN1、N2の共通接続されたソース・ノード)と、電流源トランジスタN12のドレイン・ノードVS2(NMOSトランジスタN3、N4の共通接続されたソース・ノード)の電圧は低くなる。図6では、このときの電流源トランジスタN12のドレイン電圧VS2はVaとされる。
【0009】
<期間(2)>
(INT、INB)=(High、Low)が(High、Low)のまま変化しないビット(デエンファシス・ビット)の場合、(EMT、EMB)=(Low、High)に設定される。期間(2)において、NMOSトランジスタN1はON、NMOSトランジスタN2がOFFのままであるが、EMT=Lowのため、NMOSトランジスタN3がOFFし、EMB=Highのため、NMOSトランジスタN4がONし、(OUTT、OUTB)は、デエンファシスがかかった波形となる。OUTBのデエンファシスのかかったLow電圧VOLDは、NMOSトランジスタN3がOFFのため、
VOLD=VDD−R1×I1
となる。すなわち、期間(2)のデエンファシスされたOUTBのLow電圧VOLDは、NMOSトランジスタN1とN3がともにONとされた期間(1)のプレエンファシスがかかったOUTBのLow電圧VOLP(=VDD−R1×(I1+I3))よりも、R1×I3分高くなる。
【0010】
また、デエンファシスのかかったOUTTのHigh電圧VOHDは、NMOSトランジスタN4がONのため、
VOHP=VDD−R2×I4
(I4はNMOSトランジスタN4のドレイン電流)
となる。すなわち、期間(2)のデエンファシスされたOUTTのHigh電圧VOHDは、NMOSトランジスタN2とN4がともにOFFとされた期間(1)のプリエンファシスがかかったHigh電圧VOHP(=VDD)よりも、電圧R2×I4分、低くなる。
【0011】
このように、プリエンファシスバッファ20において、期間(1)では、NMOSトランジスタN3がONし、NMOSトランジスタN4がOFFしているのに対し、期間(2)では、NMOSトランジスタN3がOFFし、NMOSトランジスタN4がONする。High電圧VOHDのOUTTにドレインが接続されたNMOSトランジスタN4がONするため、期間(2)では、電流源トランジスタN12のドレイン・ノードVS2の電圧は、期間(1)のVaからVbに上がる。
【0012】
図7は、図5の回路のプリエンファシスバッファ20の電流源トランジスタN12のドレイン・ソース間電圧Vds(x軸)とドレイン電流Id(y軸)の特性を示している。図7のVds−Id特性から、飽和領域で動作する電流源トランジスタN12のドレイン・ノードVS2の電圧(ドレイン・ソース間電圧)がVaからVbに上がることによって、NMOSトランジスタN12のドレイン電流値IdはIaからIbにdI分増加する。
【0013】
このように、期間(2)においては、電流源トランジスタN12のドレイン・ノードVS2の電圧の上昇により、電流源トランジスタN12のドレイン電流値が増大し、OUTT、トランジスタN4、トランジスタN12のパスを流れる電流値が増大し、抵抗素子R2の電圧降下が増大し、デエンファシスのかかったOUTTのHigh電圧VOHDが低下する。この結果、期間(2)におけるコモンモード電圧(VCM)は、期間(1)におけるコモンモード電圧(VCM)よりも低くなる。
【0014】
<期間(3)>
(INT、INB)=(Low、High)に遷移し(トランジション・ビット)、(EMT、EMB)=(Low、High)とされる。INTがHighからLowに遷移するため、NMOSトランジスタN1がOFFし、NMOSトランジスタN2がONする。またEMT=Lowのため、MOSトランジスタN3がOFFし、EMB=Highのため、NMOSトランジスタN4がONする。OUTT、OUTBはそれぞれプリエンファシスがかかったLow電圧VOLP、High電圧VOHPとなる。NMOSトランジスタN2、N4のドレイン電流をI2、I4とすると、OUTTのVOLPはVDD−R2×(I2+I4)、OUTBのVOHPはVDDとなる。OUTT(電圧はVOLP)にドレインが接続されたNMOSトランジスタN2、N4はON状態であるため、電流源トランジスタN11、N12のドレイン・ノードVS1、VS2の電圧は低くなる。期間(3)では、電流源トランジスタN12のドレイン・ノードVS2の電圧は、期間(2)のVbからVaに下がる。期間(3)におけるコモンモード電圧(VCM)は、期間(1)におけるコモンモード電圧(VCM)と実質的に等しい。
【0015】
<期間(4)>
期間(4)では、期間(3)と同様、(INT、INB)=(Low、High)に保持され(デエンファシス・ビット)、(EMT、EMB)=(High、Low)とされる。期間(4)では、NMOSトランジスタN1がOFF状態を保持し、NMOSトランジスタN2がON状態を保持し、EMT=Highのため、NMOSトランジスタN3がONし、EMB=Lowのため、NMOSトランジスタN4がOFFする。OUTT、OUTBは、それぞれ、デエンファシスがかかったLow電圧VOLDと、High電圧VOHDとなる。
【0016】
プリエンファシスバッファ20において、期間(3)では、NMOSトランジスタN4がON、NMOSトランジスタN3がOFFしているのに対し、期間(4)では、NMOSトランジスタN4がOFFし、NMOSトランジスタN3がONする。High電圧VOHDのOUTBにドレインが接続されたNMOSトランジスタN3がONするため、期間(4)では、電流源トランジスタN12のドレイン・ノードVS2の電圧が、期間(3)のVaからVbに上がる。期間(2)と同様の理由で、電流源トランジスタN12のドレイン電流がdI(図7参照)増加し、電流源トランジスタN12のドレイン電流値の増大により、OUTB、トランジスタN3、トランジスタN12のパスを流れる電流値が増大し、抵抗素子R2の電圧降下が増大し、デエンファシス・ビットのコモンモード電圧(VCM)は、期間(3)のコモンモード電圧(VCM)よりも低下する。なお、期間(4)では、(INT、INB)=(Low、High)が2サイクル続いている。
【0017】
<期間(5)〜(11)>においても、期間(1)から(4)の繰り返しとなる。なお、期間(11)では、(INT、INB)=(High、Low)が3サイクル連続していている。
【0018】
なお、プリエンファシスを制御する信号EMT、EMBを入力信号INT、INBから生成する論理回路はよく知られており、各種実装がある。例えば、EMTは、INTに入力する現在ビットとその直前のビット(フリップフロップに保持される)に関して、
(現在ビット、直前ビット)=(High、Low)のとき、EMT=High、
(現在ビット、直前ビット)=(High、High)のとき、EMT=Low、
(現在ビット、直前ビット)=(Low、High)のとき、EMT=Low、
(現在ビット、直前ビット)=(Low、Low)のとき、EMT=High、
となる(直前ビットの反転値)。EMBはETMの相補信号である。
【0019】
図5に示した出力回路は、VCM変動を抑制する機能を具備していないため、上記したように、トランジション・ビットとデエンファシス・ビット間でコモンモード電圧(VCM)に不一致が生じVCMの変動が大きくなる(劣化する)場合がある。すなわち、高電源電圧化、小出力振幅化等の仕様の変更を行わないと、標準インターフェース規格(例えばPCI−Express/Serial−ATA/CEI)を逸脱する可能性がある。図10に示したように、SATA(Serial−Advanced Technology Attachment)では、ACコモンモード電圧変動(Vcmac)仕様は50mVppに規定されている。
【0020】
標準インターフェース規格に対応した出力回路は、低消費電力化のために、低電源電圧で動作することが要求される。図5の回路において、低い電源電圧で、PCI−Expressのように大きな差動出力振幅(800mV以上、1200mV以下)を実現しようとしたとき、トランジション・ビットとデエンファシス・ビット間のコモンモード電圧(VCM)の変動が大きくなる。VCMの変動が大となると、差動出力端子OUTT、OUTBからの差動信号を受信する受信回路(差動受信回路)の入力における遅延が変動し、この遅延変動はジッタとなり、受信回路が受信可能な時間区間が減少し、ジッタ耐性が低くなる。
【0021】
図8は、帰還回路を用いVCMを安定化させる一般的な回路構成を示す図である。図8を参照すると、ドライバメインバッファ10’、プリエンファシスバッファ20’、VCM帰還部21を備えている。ドライバメインバッファ10’は、図5の構成において、NMOSトランジスタN1、N2のドレインに一端が接続された抵抗素子(負荷抵抗素子)R1、R2の他端を共通接続し、その共通接続点と高位側電源VDD間に、PMOSトランジスタP1を備えている。VCM帰還部21は、プリエンファシスバッファ20’において、OUTTとOUTBの中点電圧COM(OUTTとOUTB間の抵抗素子R3とR4の接続点電圧)を非反転入力に入力し、コモンモード基準電圧(VCMREF)を反転入力に入力し、出力をPMOSトランジスタP1のゲートに接続したオペアンプ(OPAMP)を備えている。オペアンプ(OPAMP)は中点電圧(コモンモード電圧)(COM)がVCMREFと一致するように、PMOSトランジスタP1のゲート電圧を制御し、PMOSトランジスタP1のドレイン電圧VD1(負荷抵抗素子R1、R2の接続点の電圧)を調整することで、コモンモード電圧(COM)に帰還がかかる。このVCMの安定化方法では、その追従スピードは、オペアンプ(OPAMP)とPMOSトランジスタP1を含む帰還回路の追従スピードに依存する。このため、図8の回路は、例えば数十MHz程度以下のVCM変動に対しては、有効であるが、PCI−Express/Serial−ATA/CEIなどの標準インターフェースにおける、トランジション・ビットとデエンファシス・ビット間のVCM変動のような、1GHzを超える高速なVCM変動には追従できず、対応不可能である。
【0022】
特許文献1では、そのFig.4に示すように、図5の回路のプリエンファシスバッファのNMOSトランジスタN3、N4のドレインに、ドレインがそれぞれ接続された二つのPMOSトランジスタを備え、これら二つのPMOSトランジスタの共通接続されたソースと電源VDD間に第3のPMOSトランジスタを備え、デエンファシス・ビットのコモンモード電圧VCMの変動を補償している。この場合、トランジスタが縦積み4段となり、低電源電圧には不向きである。またPMOSトランジスタが抵抗素子R1、R2と並列接続となるため、DCインピーダンスが低下する。
【0023】
図9に、特許文献2に開示されている出力回路(電流モード論理ドライバ)の構成を示す。なお、図9は、特許文献2の図5の構成に基づいて作成したものである。図9において、ドライバメインバッファ10、プリエンファシスバッファ20は、図5の構成と同一である。図9に示すように、高位側電源VDDとOUTT間にVCMプルアップ機構の電流源Ipu、OUTTと低位側電源VSS間にVCMプルダウン機構の電流源Ipdを備え、高位側電源VDDとOUTB間にVCMプルアップ機構の電流源Ipu、OUTBと低位側電源VSS間にVCMプルダウン機構のIpdを備えたレベルシフト機構を備えている。出力回路の差動出力端子OUTT、OUTB間に接続された抵抗素子R3は、負荷抵抗である。
【0024】
以下では、考察を簡単にするため、プリエンファシスバッファ20が動作していない状態(したがってNMOSトランジスタN3とNMOSトランジスタN4はともにOFF)であるものとする。NMOSトランジスタN1がON、NMOSトランジスタN2がOFFしているものとする。回路の電流経路はI1とI2の2系統あり、電流値は抵抗素子R1、R2、R3の比によって決定される。このとき、出力端子OUTTは、Highレベル(VOH)を出力しており、そのレベルは、
VOH=VDD−I2×R2
である。
【0025】
一方、出力端子OUTBはLowレベル(VOL)を出力しており、
VOL=VDD−I1×R1
である。
【0026】
コモンモード電圧(VCM)は、
VCM=(VOH+VOL)/2
=VDD−(I1×R1+I2×R2)/2
で表される。
【0027】
コモンモード電圧(VCM)を上昇させたいときには、差動出力端子(OUTT、OUTB)と電源VDD間に接続されたVCMプルアップ機構の二つの定電流源IpuをともにONさせ、差動出力端子(OUTT、OUTB)とGND(VSS)間に接続されたVCMプルダウン機構の二つの定電流源IpdをOFFさせる。
【0028】
このとき、出力Highレベルは、
VOH=VDD−(I2−Ipu)×R2、
出力Lowレベルは、
VOL=VDD−(I1−Ipu)×R1
である。
【0029】
コモンモード電圧(VCM)は、
VCM=(VOH+VOL)/2
=VDD−(I1×R1+I2×R2)/2+Ipu×(R1+R2)/2
であり、Ipu×(R1+R2)/2分、VCMの電位が上昇する。
【0030】
コモンモード電圧(VCM)を低下させたいときには、差動出力端子(OUTT、OUTB)と電源(VDD)間に接続されたVCMプルアップ機構の二つの定電流源IpuをOFFさせ、差動出力端子(OUTT、OUTB)とGND(VSS)間に接続されたVCMプルダウン機構の二つの定電流源IpdをONさせる。このとき、出力Highレベルは、
VOH=VDD−(I2+Ipd)×R2、
出力Lowレベルは、
VOL=VDD−(I1+Ipd)×R1
である。
【0031】
コモンモード電圧(VCM)は、
VCM=(VOH+VOL)/2
=VDD−(I1×R1+I1×R2)/2−Ipd×(R1+R2)/2
であり、Ipd×(R1+R2)/2分、VCMの電位は低下する。
【0032】
このように、出力端子(OUTT、OUTB)と電源(VDD)間に接続されたVCMプルアップ機構の定電流源Ipuと出力端子(OUTT、OUTB)とGND(VSS)間に接続されたVCMプルダウン機構の定電流源Ipdの電流値を制御することで、VCMを調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0033】
【特許文献1】米国特許出願公開第2008/0001630号明細書(US2008/0001630A1)
【特許文献2】特開2004−350272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0034】
以下に本発明による関連技術の分析を与える。
【0035】
図9に示した出力回路は、プリエンファシスがかかったトランジション・ビットの出力波形とデエンファシス・ビットの出力波形の両方のコモンモード電圧(VCM)を調整するものである。また図9に示した出力回路においては、差動出力OUTT/OUTBにそれぞれVCMプルアップ機構の二つの定電流源Ipuを構成するPMOSトランジスタと、VCMプルダウン機構の定電流源トランジスタが接続されている。低消費電力化を実現するために、低電圧化した場合(電源電圧VDDを低くした場合)、図9の構成のように、コモンモード電圧(VCM)を単純に引き上げるだけでは、限界が生じ、トランジション・ビットとデエンファシス・ビット間のコモンモード電圧(VCM)のずれは解消されない。このため、デエンファシス・ビット時にだけ、コモンモード電圧(VCM)を調整できる機能が必要となる(本発明者による分析結果)。
【0036】
定電流源トランジスタは、理想的には出力インピーダンスは無限大であるが、実際にはインピーダンスは低くなり、さらに電源電圧が低くなると、高いインピーダンスを保つのは困難である。図9の回路において、出力端子OUTT、OUTBに接続された定電流源の出力インピーダンスが低くなると、出力回路のインピーダンスが低くなり、標準インターフェース規格(PCI−Express/Serial−ATA/CEI)を逸脱する可能性がある。
【0037】
また、図9の回路においては、出力端子OUTT、OUTBにそれぞれ定電流源が接続されている。この結果、出力端子OUTT、OUTBに大きな拡散層容量が付くことによって高速動作への対応ができなくなる。
【0038】
今回、上記課題の1つ又は複数を解決する手法を発明したので以下に提示する。
【課題を解決するための手段】
【0039】
本発明によれば、入力信号の遷移時にプリエンファシスを施した出力信号を出力する出力回路であって、プリエンファシス状態から前記入力信号が変化しない場合のデエンファシス時に、前記出力信号にデエンファシスを施すトランジスタに流れる電流を絞り、前記出力信号のデエンファシス時の電圧のプリエンファシス時の電圧からの変化量を、縮減させる制御を行う回路を備えた出力回路(半導体装置)が提供される。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、回路構成の簡易化を図りながら、デエンファシス時における差動出力信号のコモンモード電圧のプリエンファシス時からの変動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一実施例の構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施例の動作を説明するタイミング図である。
【図3】本発明の一実施例の構成を示す図である。
【図4】本発明の一実施例におけるシミュレーション結果を示す図である。
【図5】第1の関連技術の構成を示す図である。
【図6】第1の関連技術の動作を説明するタイミング図である。
【図7】MOSトランジスタのドレイン・ソース電圧(Vds)とドレイン電流(Id)の特性を示す図である。
【図8】第2の関連技術の構成を示す図である。
【図9】第3の関連技術の構成を示す図である。
【図10】標準インターフェース規格のACコモンモード電圧の仕様の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本発明の実施形態について以下に説明する。本発明に係る半導体装置の一態様(モード)において、出力回路は、第1のトランジスタ対を構成する第1、第2のトランジスタ(N1、N2)と、第2のトランジスタ対を構成する第3、第5のトランジスタ(N3、N5)と、第3のトランジスタ対を構成する第4、第6のトランジスタ(N4、N6)と、前記第1乃至第3のトランジスタ対と第1の電源(VSS)間にそれぞれ接続され、第1乃至第3のトランジスタ対にそれぞれ定電流を供給する第1乃至第3の電流源(N11、N12、N13)を備えている。
【0043】
本発明において、第1、第2のトランジスタ(N1、N2)は、第1端子(ソース端子)が共通接続されて第1の電流源(トランジスタN11)に接続され、制御端子(ゲート端子)が、相補の入力信号を入力する第1、第2の入力端子(INT、INB)にそれぞれ接続され、第2端子(ドレイン端子)がそれぞれ第1、第2の出力端子(OUTB、OUTT)に接続されている。
【0044】
本発明において、第1の電流源(トランジスタN11)は、第1端子(ソース端子)が第1の電源(VSS)に接続され、第2端子(ドレイン端子)が、第1、第2のトランジスタ(N1、N2)の共通接続された第1端子(ソース端子)に接続され、制御端子(ゲート端子)にバイアス電圧(BIAS)を受ける。
【0045】
本発明において、第1、第2の出力端子(OUTB、OUTT)と第2の電源(VDD)の間には、第1、第2の抵抗素子(R1、R2)がそれぞれ接続されている。
【0046】
本発明において、第3、第5のトランジスタ(N3、N5)は、第1端子(ソース端子)が共通接続されて第2の電流源(トランジスタN12)に接続され、制御端子が、プリエンファシスを制御する制御信号を入力する第1の制御信号端子(EMT)と第2の入力端子(INB)にそれぞれ接続され、第2端子(ドレイン端子)が、第1の出力端子(OUTB)と第3の抵抗素子(R3)の一端とにそれぞれ接続されている。第3の抵抗素子(R3)の他端は第2の電源(VDD)に接続されている。
【0047】
本発明において、第2の電流源(トランジスタN12)は、第1端子(ソース端子)が第1の電源(VSS)に接続され、第2端子(ドレイン端子)が、第3、第5のトランジスタ(N3、N5)の共通接続された第1端子(ソース端子)に接続され、制御端子(ゲート端子)にバイアス電圧(BIAS)を受ける。
【0048】
本発明において、第4、第6のトランジスタ(N4、N6)は、第1端子(ソース端子)が共通接続されて第3の電流源(トランジスタN13)に接続され、制御端子(ゲート端子)が、プリエンファシスを制御する前記制御信号の相補信号を入力する第2の制御信号端子(EMB)と、第1の入力端子(INT)にそれぞれ接続され、第2端子(ドレイン端子)が、第2の出力端子(OUTT)と第3の抵抗素子(R3)の一端とにそれぞれ接続されている。
【0049】
本発明において、第3の電流源(トランジスタN13)は、第1端子(ソース端子)が第1の電源(VSS)に接続され、第2端子(ドレイン端子)が、第4、第6のトランジスタ(N4、N6)の共通接続された第1端子(ソース端子)に接続され、制御端子(ゲート端子)にバイアス電圧(BIAS)を受ける。第1乃至第3の電流源(トランジスタN11〜N13)のバイアス電圧は共通とされる。本発明における動作の態様を説明する。
【0050】
(1)INTの直前のLowからHighへの遷移時(プリエンファシス時)
第1、第2の入力端子(INT、INB)が直前の(Low、High)から(High、Low)に遷移し、第1、第2の制御信号端子(EMT、EMB)=(High、Low)とされる。INT=Highのため、第1、第6のトランジスタ(N1、N6)がともにON(導通)し、EMT=Highのため、第3のトランジスタ(N3)がON(導通)し、INB=Lowのため、第2のトランジスタ(N2)はOFF(非導通)し、EMB=Lowのため、第4のトランジスタ(N4)はOFF(非導通)し、第1の出力端子(OUTB)はプリエンファシスがかかったLow電圧(VOLP)、第2の出力端子(OUTT)はプリエンファシスがかかったHigh電圧(VOHP)となる。このとき、第2の出力端子(OUTT)のHigh電圧(VOHP)は第2の電源電圧(VDD)とされる。第1の出力端子(OUTB)のLow電圧(VOLP)は、導通状態の第1、第3のトランジスタ(N1、N3)にそれぞれ流れる電流の和による第1の抵抗(R1)の電圧降下相当分、第2の電源電圧(VDD)から下った電圧とされる。
【0051】
(2)INTがHighを保持(デエンファシス時)
第1、第2の入力端子(INT、INB)が(High、Low)のまま変化しない場合に、第1、第2の制御信号端子(EMT、EMB)は(Low、High)に設定される。INT=Highのため、第1、第6のトランジスタ(N1、N6)はON(導通状態)のままであり、INB=Lowのため、第5のトランジスタ(N5)はOFFのままとされる。EMT=Lowのため、第3のトランジスタ(N3)がOFFし(非導通)、EMB=Highのため、第4のトランジスタ(N4)がON(導通)する。第4のトランジスタ(N4)と共通に第3の電流源(N13)に接続された第6のトランジスタ(N6)がON状態であり、第6のトランジスタ(N6)と第4のトランジスタ(N4)に流れる電流の和は第3の電流源(N13)の電流値とされる。したがって、第4のトランジスタ(N4)に流れる電流は、第3の電流源(N13)の電流値から、第6のトランジスタ(N6)に流れる電流を差し引いた分の電流となる。第2の出力端子(OUTT)は、第4のトランジスタ(N4)に流れる電流による第2の抵抗(R2)の電圧降下分、第2の電源電圧(VDD)から下がった電圧となり、これが、デエンファシス時のHigh電圧(VOHD)となる。
【0052】
本発明によれば、デエンファシス時、第2の出力端子(OUTT)に接続された第4のトランジスタ(N4)に流れる電流値(デエンファシス用の回路電流)を、第3の電流源(N13)の電流値から所定量差し引いた電流値に絞ることで、デエンファシス時の第2の出力端子(OUTT)のHigh電圧(VOHD)のプリエンファシス時のHigh電圧(VOHP)からの落ち込みを緩和している。
【0053】
なお、デエンファシス時、第3のトランジスタ(N3)はOFFとなり、第1の抵抗(R1)には、第1のトランジスタ(N1)に流れる電流のみが流れることになる。このため、第1の出力端子(OUTB)のLow電圧(VOLD)は、プリエンファシス時のLow電圧(VOLP)に対して高くなる。この結果、デエンファシス時の差動出力信号のコモンモード電圧VCM(=(VODH+VODL)/2)は、プリエンファシス時のVCM(=(VOHP+VOLP)/2)とほぼ等しくなる。
【0054】
(3)INTの直前のHighからLowへの遷移時(プリエンファシス時)
第1、第2の入力端子(INT、INB)が(High、Low)から(Low、High)に遷移し、第1、第2の制御端子(EMT、EMB)が(Low、High)となる。このとき、第2、第4、第5のトランジスタ(N2、N4、N5)がON(導通)し、第1、第3、第6のトランジスタ(N1、N3、N6)がOFF(非導通)し、第1、第2の出力端子(OUTB、OUTT)はそれぞれHigh、Low側にプリエンファシスがかかった電圧(VOHP、VOLP)となる。第1の出力端子(OUTB)のHigh電圧は第2電源電圧(VDD)となり、第2の出力端子(OUTT)のLow電圧(VOLP)は、第2の電源電圧(VDD)から、第2、第4のトランジスタ(N2、N4)に流れる電流の和による第2抵抗(R2)の電圧降下分、差し引いた電圧となる。
【0055】
(4)INTがLowを保持(デエンファシス時)
第1、第2の入力端子(INT、INB)が(Low、High)のまま変化しない場合に、第1、第2の制御端子(EMT、EMB)は(High、Low)に設定される。INB=Highのため、第2、第5のトランジスタ(N2、N5)はON(導通状態)、INT=Lowのため、第1、6のトランジスタ(N1、N6)はOFFのままであるが、EMB=Lowより、第4のトランジスタ(N4)がOFFし(非導通)、EMT=Highより、第3のトランジスタ(N3)がON(導通)する。第5のトランジスタ(N5)と共通に第2の電流源(N12)に接続された第3のトランジスタ(N3)がON状態であり、第5のトランジスタ(N5)と第3のトランジスタ(N3)に流れる電流の和は第2の電流源(N12)の電流値とされる。したがって、第3のトランジスタ(N3)に流れる電流は、第2の電流源(N12)の電流値から、第5のトランジスタ(N5)に流れる電流を差し引いた分の電流となる。第1の出力端子(OUTB)は、第3のトランジスタ(N3)に流れる電流による第1の抵抗(R1)の電圧降下分、第2の電源電圧(VDD)から下がった電位となり、これが、デエンファシス時のHigh電圧(VOHD)となる。
【0056】
本発明によれば、デエンファシス時、第1の出力端子(OUTB)に接続された第3のトランジスタ(N3)に流れる電流値を、第2の電流源(N12)の電流値から所定値差し引いた電流に絞ることで、デエンファシス時の第1の出力端子(OUTB)のHigh電圧(VOHD)の落ち込みを緩和している。
【0057】
なお、デエンファシス時、第4のトランジスタ(N4)がOFFとなり、第2の抵抗(R2)には、第2のトランジスタ(N2)に流れる電流のみが流れることになるため、第2の出力端子(OUTT)のLow電圧(VOLD)は、プリエンファシス時のLow電圧(VOLP)に対して高くなる。
【0058】
この結果、デエンファシス時におけるVCM(=(VODH+VODL)/2)の、プリエンファシス時のVCM(=(VOHP+VOLP)/2)に近づける、あるいは等しくすることができる。このように、本発明によれば、簡易な構成により、デエンファシス時における差動出力信号のコモンモード電圧のプリエンファシス時からの変動を抑制し、低電圧化、高速動作への対応を可能としている。以下実施例に即して説明する。
【0059】
<実施例1>
図1は、本発明の一実施例の構成を示す図である。図1を参照すると、本実施例に係るプリエンファシス機能を備えた回路は、ドライバメインバッファ10と、プリエンファシスバッファ20と、デエンファシスレベル制御部30と、を備えている。図1の構成は、半導体装置の出力回路として機能する(図1において、半導体装置の他の内部回路等は発明の主題に関係しないため省略されている)。
【0060】
ドライバメインバッファ10は、ソースが電源VSSに接続されゲートにバイアス電圧BIASを受けるNMOSトランジスタN11と、ゲートが第1の入力端子INTと、第2入力端子INBにそれぞれ接続され、ソースが共通接続されNMOSトランジスタN11のドレインに接続され、ドレインが第1、第2の抵抗素子R1、R2を介して高位側電源VDDに接続され差動対をなすNMOSトランジスタN1、N2を備えている。第1の抵抗素子R1とNMOSトランジスタN1のドレインの接続点は第1の出力端子OUTBに接続され、第2の抵抗素子R2とNMOSトランジスタN2のドレインの接続点は第2の出力端子OUTTに接続されている。
【0061】
プリエンファシスバッファ20は、ソースが低位側電源VSSに接続され、ゲートにバイアス電圧BIASを受けるNMOSトランジスタN12と、ソースがNMOSトランジスタN12のドレインに接続され、ゲートが第1の制御信号端子EMTに接続され、ドレインが第1の出力端子OUTBに接続されたNMOSトランジスタN3と、ソースが低位側電源VSSに接続されゲートにバイアス電圧BIASを受けるNMOSトランジスタN13と、ソースがNMOSトランジスタN13のドレインに接続され、ゲートが第2の制御端子EMBに接続され、ドレインが第2の出力端子OUTTに接続されたNMOSトランジスタN4と、を備えている。
【0062】
デエンファシスレベル制御部30は、ソースがNMOSトランジスタN3のソースと共通接続されてNMOSトランジスタN12のドレインに接続され、ゲートが第2の入力端子INBに接続されたNMOSトランジスタN5と、ソースがNMOSトランジスタN4のソースと共通接続されてNMOSトランジスタN13のドレインに接続され、ゲートが第1の入力端子INTに接続され、ドレインが、NMOSトランジスタN5のドレインに接続されたNMOSトランジスタN6と、NMOSトランジスタN5、N6のドレインの接続点と高位側電源VDD間に接続された第3の抵抗素子R3を備えている。
【0063】
なお、図1において、参照符号10、20、30で囲んだ回路ブロックは、単に、説明の便宜上、回路を分割したものであり、回路ブロック名、分割の仕方等は、図1の例に制限されるものでないことは勿論である。
【0064】
図2は、本実施例のタイミング波形を示す図である。図2には、端子INT、INB、EMT、EMB、OUTB、VCM(コモンモード電圧)、端子OUTTの電圧波形と、NMOSトランジスタN1乃至N6のON(導通)、OFF(非導通)の状態が示されている。また、図2において、INTの上の(1)〜(11)はタイミング期間を表している。
【0065】
<期間(1)>
(INT、INB)が(Low、High)から(High、Low)に遷移し、図6と同様、(EMT、EMB)=(High、Low)とされる。このとき、ドライバメインバッファ10のNMOSトランジスタN1がONし、プリエンファシスバッファ20のNMOSトランジスタN3がONする。一方、ドライバメインバッファ10のNMOSトランジスタN2がOFFし、プリエンファシスバッファ20のNMOSトランジスタN4はOFFする。デエンファシスレベル制御部30のNMOSトランジスタN6はONし、高位側電源VDDから第3の抵抗素子R3を介しNMOSトランジスタN6、NMOSトランジスタN12を介してVSSに電流が流れる。また、このとき、デエンファシスレベル制御部30のNMOSトランジスタN5はOFFしている。したがって、NMOSトランジスタN5には高位側電源VDDから抵抗素子R3を介しての電流は流れない。すなわち、期間(1)のプリエンファシス時、デエンファシスレベル制御部30のNNMOSトランジスタN5、N6は、回路動作に、影響は与えない。OUTBはLow電圧VOLP、OUTTはHigh電圧VOHPとなる。NMOSトランジスタN1、N3のドレイン電流をI1、I3とすると、VOLP=VDD−R1×(I1+I3)となる。OUTTのHigh電圧VOHPは、NMOSトランジスタN2、N4がOFFであるため、電源電圧VDDとなる。
【0066】
<期間(2)>
(INT、INB)が(High、Low)とされ、図6と同様、(EMT、EMB)=(Low、High)とされる。ドライバメインバッファ10のNMOSトランジスタN1がON状態、NMOSトランジスタN2がOFF状態をそれぞれ保持し、プリエンファシスバッファ20のNMOSトランジスタN3がOFFし、NMOSトランジスタN4がONし、OUTT、OUTBは、それぞれ、デエンファシスされたHigh電圧VOHD、Low電圧VOLDとなる。
【0067】
期間(2)において、期間(1)と同様、デエンファシスレベル制御部30のNMOSトランジスタN6はONし、NMOSトランジスタN5はOFFしている。すなわち、デエンファシス時、NMOSトランジスタN3、N5のトランジスタ対はともにOFFし、NMOSトランジスタN4、N6のトランジスタ対はともにONする。高位側電源VDDから第3の抵抗素子R3を介しNMOSトランジスタN6、NMOSトランジスタN12を介して低位側電源VSSに電流が流れる。
【0068】
図5に示した関連技術の回路の場合、期間(2)では、OUTTにドレインが接続されたNMOSトランジスタN4がONし、電流源トランジスタN12のドレイン・ノードVS2の電圧がVaからVbに上がり(図6参照)、NMOSトランジスタN4のドレイン電流(デエンファシス回路電流)が増大し、この結果、抵抗素子R2の電圧降下が増大し、OUTTのHigh電圧(VOHD)の落ち込みが増大し、コモンモード電圧VCMがプリエンファシス時の値から低下していた。
【0069】
これに対し、本実施例によれば、デエンファシスレベル制御部30では、OUTTに接続されたNMOSトランジスタN4とソース結合されたNMOSトランジスタN6が抵抗素子R3を介して高位側電源VDDに接続されており、期間(2)のデエンファシス時、NMOSトランジスタN4、N6がともにONすることで、NMOSトランジスタN6により電源VSS側に電流を流し、抵抗素子R2に流れるデエンファシス電流(NMOSトランジスタN4のドレイン電流)の値を絞り、これにより、デエンファシス時のOUTTのHigh電圧(VOHD)の低下を抑制し、コモンモード電圧VCMの低下を抑制している。
【0070】
なお、抵抗素子R3の抵抗値を大とすると、期間(2)において、ON状態のNMOSトランジスタN6に流れる電流による抵抗素子R3の電圧降下が増大し、NMOSトランジスタN13(電流源)のドレイン・ノードVS3が低くなり、NMOSトランジスタN13に流れる電流が減少する。このため、NMOSトランジスタN4のドレイン電流が減少し、OUTTのデエンファシス時のHigh電圧(VOHD)のプリエンファシス時のVOHPからの変化量(落ち込み量)はさらに減少する。なお、期間(2)では、NMOSトランジスタN3はOFFし、OUTBはON状態のNMOSトランジスタN1に流れる電流(I1)によってLow電圧(VOLD)とされる。VOLD=VDD−R1×I1となる。期間(1)のOUTBのLow電圧VOLP(=VDD−R1×(I1+I3))よりも高くなる。
【0071】
<期間(3)>
(INT、INB)が(High、Low)から(Low、High)に遷移し、図6と同様、(EMT、EMB)=(Low、High)となると、ドライバメインバッファ10のNMOSトランジスタN2がONし、プリエンファシスバッファ20のNMOSトランジスタN4がONする。ドライバメインバッファ10のNMOSトランジスタN1がOFFし、プリエンファシスバッファ20のNMOSトランジスタN3がOFFする。OUTTは、ON状態のNMOSトランジスタN2、N4に流れる電流の和(電流源N11、N13の電流の和)による抵抗素子R2の電圧降下分、電源電圧VDDから降下したLow電圧VOLPとなる。NMOSトランジスタN2、N4に流れるドレイン電流をI2、I4とすると、VOLP=VDD−R2×(I2+I4)となる。OUTBは、トランジスタN1、N3がOFFのため、High電圧VOHP(=電源電圧VDD)とされる。
【0072】
このとき、デエンファシスレベル制御部30のNMOSトランジスタN5がONし、NMOSトランジスタN6がOFFする。NMOSトランジスタN5がONし、抵抗素子R3を介し高位側電源VDDから電流が流れる。NMOSトランジスタN4とソース結合してたNMOSトランジスタN6はOFFしているため、高位側電源VDDから電流は流れず、NMOSトランジスタN5、N6は、回路動作に影響しない。期間(3)のコモンモード電圧VCMは期間(1)の値と同一、したがって、期間(2)と同等である。
【0073】
<期間(4)>
(INT、INB)が(Low、High)のまま変化しない場合に、図6と同様、(EMT、EMB)は(High、Low)に設定される。NMOSトランジスタN2がONし、NMOSトランジスタN4がOFFし、NMOSトランジスタN1がOFFし、NMOSトランジスタN3がONする。OUTT、OUTBは、デエンファシスされた波形となる。期間(4)のデエンファシス時、NMOSトランジスタN3、N5のトランジスタ対はともにONし、NMOSトランジスタN4、N6のトランジスタ対はともにOFFしている。
【0074】
図5の回路の場合、期間(4)では、OUTBにドレインが接続されたNMOSトランジスタN3がONし、電流源トランジスタN12のドレイン・ノードVS2の電圧がVaからVbに上がり(図6参照)、NMOSトランジスタN3のドレイン電流(デエンファシス電流)が増大し、この結果、抵抗素子R1の電圧降下が増大し、OUTBのHigh電圧(VOHD)の落ち込みが増大し、このため、コモンモード電圧VCMがプリエンファシス時の値から低下していた。
【0075】
これに対し、本実施例によれば、デエンファシスレベル制御部30では、OUTBに接続されたNMOSトランジスタN3とソース結合されたNMOSトランジスタN5が高位側電源VDDに接続されており、NMOSトランジスタN3、N5がともにONすることで、NMOSトランジスタN5により電源側に電流を流し、NMOSトランジスタN3に流れる電流(ドレイン電流)を小さくし、デエンファシス時に抵抗素子R1に流れる電流値を小さくし、デエンファシス時のOUTBのHigh電圧(VOHD)の低下を抑制し、コモンモード電圧VCMの低下を抑制している。
【0076】
なお、抵抗素子R3の抵抗値を大きくすると、ON状態のNMOSトランジスタN5に流れる電流による抵抗素子R3の電圧降下が増大し、NMOSトランジスタN12のドレイン・ノードVS2がより低くなり、NMOSトランジスタN12の電流が減少する。このため、NMOSトランジスタN3のドレイン電流がさらに減少し、OUTBのHigh電圧(VOHD)のVOHPからの落ち込み量はさらに減少する。なお、期間(4)では、NMOSトランジスタN4はOFFし、OUTTは、ON状態のNMOSトランジスタN2に流れる電流(I2)によってLow電圧(VOLD)とされる。VOLD=VDD−R2×I2となる。期間(3)のOUTBのLow電圧VOLP(=VDD−R2×(I2+I4))よりも高くなる。なお、期間(4)では、(INT、INB)=(Low、High)が2サイクル続いている。
【0077】
図2の期間(5)〜(11)においても、期間(1)から(4)の繰り返しとなる。なお、期間(11)では、(INT、INB)=(High、Low)が3サイクル連続していている。
【0078】
<実施例2>
図3は、本発明の第2の実施例の構成を示す図である。図3(A)を参照すると、本実施例は、図1の抵抗素子R3を、可変抵抗部31で置き換えたものである。本実施例において、可変抵抗部31は、複数の抵抗素子R31、R32、・・・、R3n(nは任意の整数)と、抵抗素子R31、R32、・・・、R3nと高位側電源VDD間にそれぞれ接続された複数のPMOSトランジスタP11、P12・・・、P1nを備え、PMOSトランジスタのゲートに接続される制御信号SW1、SW2、・・・、SWnを制御することにより、抵抗値を任意の値に選択できる。図3(B)には、n=6とした場合の構成が示されている。抵抗素子R31〜R36と、PMOSトランジスタP11、P12・・・、P16を備えている。制御信号SW1〜SW6の1つ又は複数がLowのとき対応するPMOSトランジスタがONし、対応する抵抗が並列接続される。抵抗素子R31〜R36の抵抗値が互いに異なる場合、合成抵抗値は、1つONの場合(R31〜R36)から、6個のスイッチがONの場合の並列合成抵抗素子R3は1/R3=1/R31+1/R32+・・1/R36まで63個の値から選択できる。あるいは、抵抗素子R31〜R36の抵抗値が同一の場合、5種類の抵抗値が選択される。
【0079】
これによって、PCI−Express/Serial−ATA/CEIなどの標準インターフェース規格で規定されるそれぞれ異なる出力振幅やPre−emphasis ratioに応じた最適な抵抗値が選択可能となる。
【0080】
図4は、本実施例の動作を説明する波形図であり、OUTT/OUTBのデエンファシス時のHigh電位とコモンモード電圧VCMと抵抗素子R3の関係が模式的に示されている。抵抗素子R3の抵抗値を大とすると、デエンファシス時のHigh電圧(VOHD)は上昇し、コモンモード電圧VCMはプリエンファシス時と同一に近づくことがわかる。これは、前述したように、抵抗素子R3の抵抗値を大とした場合、例えばON状態のNMOSトランジスタN6に流れる電流による抵抗素子R3の電圧降下が増大し、トランジスタN13のドレイン電圧が下がり、NMOSトランジスタN4のドレイン電流が減少し(図7参照)、このため、OUTTのHigh電圧VOHDのVOHPからの落ち込み量が減少するためである。VOHDが上昇すると、VCM=(VOHD+VOLD)/2が上昇し、プリエンファシス時のVCMに近づく。
【0081】
本実施例の作用効果を以下に説明する。
【0082】
本実施例によれば、デエンファシス時のコモンモード電圧(VCM)の電圧レベルを、遷移ビット(Transition bit)時のVCMと同等となるように最適化することで、VCMの変動を低減し、標準インターフェース規格(PCI−Express/Serial−ATA/CEI)のVCM変動仕様等に対応可能としている。
【0083】
本実施例によれば、出力回路と同様のスピードで動作する差動対で構成しているため、値が変化する遷移ビット(Transition bit)と、前のサイクルと値が変化しないデエンファシス・ビット間での高速なVCM変動に対しても、改善効果を発揮する。
【0084】
さらに、本実施例によれば、図3に示した構成のように、可変抵抗部31を備え、抵抗素子の抵抗値を外部から調整可能としておくことで、設計と実機でVCM変動に差が生じた場合でも、再設計することなく改善が可能である。
【0085】
前述したように、高速標準インターフェース(PCI−Express/Serial−ATA/CEI)の遷移ビット(Transition bit)とデエンファシス・ビット間の高速なVCM変動に追従するためには、出力回路の出力データと同じスピードで、VCM変動を抑制できる必要がある。一般的なOPAMPを使用した追従スピードが遅い帰還回路(図8参照)によってVCMを安定化させる構成とは異なり、本実施例においては、出力データと同じスピードで動作するトランジスタ対(N5、N6)を、プリエンファシスバッファ部(N3、N4)に追加する構成としたため、高速なVCM変動に追従できる。
【0086】
また、本実施例によれば、デエンファシス・ビット時にのみ、電流を低減するように動作し、トランジション・ビット(Transition bit)と同等のVCMとなるように最適化することで、VCM変動値を低減することが可能である。
【0087】
さらに、本実施例によれば、入力信号として、例えばEMT、EMB等、回路に既設の信号(従来の信号)をそのまま使用することができるため、追加制御回路等は必要としない。なお、この効果は、例として低電源電圧で大振幅のデエンファシス波形を出力させた場合のように、遷移ビットとデエンファシス・ビット間のVCMが変動する構成の出力回路に有効である。
【0088】
なお、図1、図3の実施例では、NMOSトランジスタで構成した回路が示されているが、本発明においては、NMOSトランジスタに制限されるものでなく、例えばPMOSトランジスタで構成してもよいことは勿論である。この場合、電流源を構成するPMOSトランジスタのソースがVDDに接続され、抵抗素子R1、R2、R3はPMOSトランジスタのドレインとVSS間に接続されることになる。
【0089】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0090】
10、10’ ドライバメインバッファ
20、20’ プリエンファシスバッファ
21 VCM帰還部
30 デエンファシスレベル制御部
31 可変抵抗部
40 レベルシフト機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号の遷移時にプリエンファシスを施した出力信号を出力する出力回路であって、 プリエンファシス状態から前記入力信号が変化しない場合のデエンファシス時に、前記出力信号にデエンファシスを施すトランジスタに流れる電流を絞り、前記出力信号のデエンファシス時の電圧のプリエンファシス時の電圧からの変化量を縮減させる制御を行う回路を備えたことを特徴とする出力回路。
【請求項2】
前記入力信号と前記入力信号の相補信号とを差動入力して差動出力し、差動出力信号のうち、予め定められた電源電位側の前記出力信号に対してデエンファシスをかけるトランジスタに流れる電流を絞ることで、デエンファシス時の前記出力信号のプリエンファシス時からの変化量を縮減させ、デエンファシス時の前記差動出力信号のコモンモード電圧のプリエンファシス時のコモンモード電圧からの変動を縮減させる、ことを特徴とする請求項1記載の出力回路。
【請求項3】
デエンファシス時に前記出力信号に対してデエンファシスを施すトランジスタと共通の電流源に接続されたデエンファシスレベル制御用のトランジスタを備え、前記デエンファシス時、前記デエンファシスレベル制御用のトランジスタを導通状態とし、前記デエンファシスをかける前記トランジスタに流れる電流を絞る、ことを特徴とする請求項2記載の出力回路。
【請求項4】
前記デエンファシスレベル制御用のトランジスタは前記入力信号の値に基づき、導通状態又は非導通状態に制御される、ことを特徴とする請求項3記載の出力回路。
【請求項5】
前記デエンファシスレベル制御用のトランジスタと予め定められた電源間に抵抗素子が接続されている、ことを特徴とする請求項4記載の出力回路。
【請求項6】
前記抵抗素子の抵抗値が可変に設定自在とされている、ことを特徴とする請求項5記載の出力回路。
【請求項7】
第1のトランジスタ対を構成する第1、第2のトランジスタと、
第2のトランジスタ対を構成する第3、第5のトランジスタと、
第3のトランジスタ対を構成する第4、第6のトランジスタと、
前記第1乃至第3のトランジスタ対と第1の電源間にそれぞれ接続された第1乃至第3の電流源と、
を備え、
前記第1、第2のトランジスタは、第1端子が共通接続されて前記第1の電流源に接続され、制御端子が、相補の入力信号を入力する第1、第2の入力端子にそれぞれ接続され、第2端子が出力信号を差動出力する第1、第2の出力端子にそれぞれ接続され、
前記第1、第2の出力端子と第2の電源の間には、第1、第2の抵抗素子がそれぞれ接続され、
前記第3、第5のトランジスタは、第1端子が共通接続されて前記第2の電流源に接続され、制御端子が、プリエンファシスを制御する制御信号を入力する第1の制御信号端子と、前記第2の入力端子とにそれぞれ接続され、第2端子が前記第1の出力端子と、第3の抵抗の一端とにそれぞれ接続され、
前記第3の抵抗の他端は前記第2の電源に接続され、
前記第4、第6のトランジスタは、第1端子が共通接続されて前記第3の電流源に接続され、制御端子が、前記制御信号の相補信号を入力する第2の制御信号端子と、前記第1の入力端子とにそれぞれ接続され、第2端子が、前記第2の出力端子と、前記第3の抵抗の一端とにそれぞれ接続される、ことを特徴とする請求項1記載の出力回路。
【請求項8】
前記第3の抵抗が、抵抗値が可変な可変抵抗部からなる、ことを特徴とする請求項7記載の出力回路。
【請求項9】
前記可変抵抗部が、抵抗とスイッチの直列回路を複数個並列接続して構成され、スイッチ制御信号に基づき前記スイッチのオン・オフを制御することで抵抗値を可変させる、ことを特徴とする請求項8記載の出力回路。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項記載の出力回路を備えた半導体装置。
【請求項11】
第1のトランジスタ対を構成する第1、第2のトランジスタと、
第2のトランジスタ対を構成する第3、第5のトランジスタと、
第3のトランジスタ対を構成する第4、第6のトランジスタと、
前記第1乃至第3のトランジスタ対と第1の電源間にそれぞれ接続された第1乃至第3の電流源と、
を備え、
前記第1、第2のトランジスタは、第1端子が共通接続されて前記第1の電流源に接続され、制御端子が、相補の入力信号を入力する第1、第2の入力端子にそれぞれ接続され、第2端子が出力信号を差動出力する第1、第2の出力端子にそれぞれ接続され、
前記第1、第2の出力端子と第2の電源の間には第1、第2の抵抗素子がそれぞれ接続され、
前記第3、第5のトランジスタは、第1端子が共通接続されて前記第2の電流源に接続され、制御端子が、プリエンファシスを制御する制御信号を入力する第1の制御信号端子と、前記第2の入力端子とにそれぞれ接続され、第2端子が前記第1の出力端子と、第3の抵抗の一端とにそれぞれ接続され、
前記第3の抵抗の他端は前記第2の電源に接続され、
前記第4、第6のトランジスタは、第1端子が共通接続されて前記第3の電流源に接続され、制御端子が、前記制御信号の相補信号を入力する第2の制御信号端子と、前記第1の入力端子とにそれぞれ接続され、第2端子が、前記第2の出力端子と、前記第3の抵抗の一端とにそれぞれ接続される、ことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−142382(P2011−142382A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−555(P2010−555)
【出願日】平成22年1月5日(2010.1.5)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】