説明

ラベル検査方法及び装置

【課題】容器に貼付されたラベルの良否がラベラ内で検査できるラベル検査装置を提供する。
【解決手段】自転しながら公転軌道3aを公転する容器2にラベル7を貼付するラベラ1と、ラベラ1の公転軌道3aを挟んで対向し、かつラベルの正面方向またはラベルの側面方向に設置された少なくとも一対の撮像手段12a〜12dと、撮像手段12a〜12dが撮像した容器2の画像をから容器2に貼付されたラベル7の特徴点を計測する画像計測演算手段22と、ラベル7の良否を判定する基準値が設定された良否判定基準値設定手段23と、画像計測演算手段22が計測した特徴点と基準値とを比較演算してラベル7の良否を判定する良否判定演算手段25とから構成したもので、ラベラ1内に撮像手段12a〜12dを設置するだけでよいため、既存のラベラにも容易かつ安価に実施することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飲料等の容器に貼付されたラベルの良否を検査するラベル検査方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来飲料等が収容された容器には、メーカー名や品質表示等が印刷されたラベルが貼付されている。
これらラベルは、ラベラと称するラベル貼付装置により自動的に容器の所定個所に貼付されるが、内容物の種類によっては容器に複数のラベルが貼付されているものもある。
容器に貼付されたラベルは、容器に充填された内容物の品質とは別物であるが、内容物の品質定義となる情報がラベルに明記されているため、容器に内容物と異なるラベルが貼付されて販売された場合、製造物責任等の問題が生じる。
またラベルの意匠は、商品価値を高めたり、企業イメージを高める効果がある反面、ラベルが正しく貼付されていない場合、商品や企画のイメージダウンになりかねない。
【0003】
このため従来から容器に貼付されたラベルの有無や所定の位置に正しく貼付されているかを検査するラベル検査方法や装置が、例えば特許文献1や2で出願されている。
特許文献1に記載のラベル検査方法及び装置は、複数のラベルが貼付された容器に対し、容器を挟んで対向する両側面からTVカメラでラベル付き容器を撮像し、得られたカメラ影像から複数のラベルの貼付位置や貼付間隔を、撮像座標と容器の実寸法との関係式を利用して求め、ラベル貼付位置及び貼付間隔の良、不良を検査するように構成されている。
一方、特許文献2に記載のラベルの貼付位置検査方法及び装置は、光源から出た光を第1偏光フィルタを通過させた後、ラベルを貼付したビンのラベル上縁付近を通過させ、さらに第1偏光フィルタとほぼ直角方向の振動の光を通過させる第2偏光フィルタを通過させることで、ラベルを通過した光以外の光をカットし、第2偏光フィルタを通過した光を画像処理することで、ラベルの貼付位置を検査するように構成されている。
【特許文献1】特開平7−243808号公報
【特許文献2】特開2002−296009号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし前記特許文献1や2に記載のラベル検査装置のように、ラベラによりラベルが貼付された後、直線的に搬送される容器に対しラベルを検査するようにしたものでは、容器が密着または近接した状態で搬送されてきたり、ラベルの方向にバラツキがあるとラベル検査が困難となる問題がある。
このため容器の間隔を開けたり、ラベルの向きを揃えるための手段を搬送手段に新たに設ける必要があるため、装置が大掛りとなったり、設備費が嵩む等の問題がある。
一方、ビール等の飲料が収容されたガラス瓶等の容器は円筒状に形成されていて、その容器の外周面に複数のラベルが貼付されていることが多い。
これらラベルは、容器を回転させながら、その外周面にラベルを貼付するロータリ型ラベラにより貼付されるが、ロータリ型ラベラは、自転機構により容器を回転させながら環状の公転軌道を公転させ、公転軌道の近傍に設置したラベル貼付手段により自転する容器の所定位置に、片面が粘着面となったラベルを貼付し、その後ブラシ等の撫で付け手段でラベルを撫で付けて、容器の外周面に複数のラベルを密着させるよう構成されている。
【0005】
また前記ロータリ型ラベラでは、公転軌道を移動する容器の間隔が一定である上、自転と公転が同期して容器が公転軌道を移動するため、ラベルを検査するのに適している。
しかし既存のラベラでは、公転軌道の周辺に、容器にラベルを貼付するラベル貼付手段や、容器に貼付されたラベルを撫で付けて容器に密着させる撫で付け手段等が設置されている。
特に容器に複数のラベルを貼付するラベラでは、ラベル貼付手段や撫で付け手段の数も多くなるため、ラベル検査装置を設置するためのスペースがほとんどないのが実情である。
このため従来では、ラベラの僅かなスペースに光電センサ等のラベル検出手段を設置して、容器に貼付されたラベル有無を検査し、ラベル有りの容器を良品として出荷しているが、この方法では、所定のラベルが所定の位置に正しく貼付されるか等のラベルの状態までは検査できない等の問題がある。
本発明はかかる問題を改善するためになされたもので、容器に貼付されたラベルの状態がラベラ内で検査できるラベル検査方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のラベル検査方法は、自転しながら公転軌道を公転する容器にラベルを貼付するラベラに、前記公転軌道を挟んで対向し、かつラベルの正面方向またはラベルの側面方向に少なくとも一対の撮像部を設置し、前記撮像部は、公転軌道を挟んで対向する第1、第2の撮像手段と、この第1、第2の撮像手段のそれぞれの入射光側に順に設けた、互いに偏向方向を異にする2つの偏向手段と、この2つの偏向手段の間に設けられた容器の照明手段と、を具えてなり、かつ前記撮像手段が撮像した前記容器の画像から前記容器に貼付された前記ラベルの特徴点を計測すると共に、得られた特徴点と予め設定された基準値とを比較演算して、前記容器に貼付された前記ラベルの良否を判定するようにしたものである。
【0007】
前記方法により、容器に貼付されたラベルの有無のみならず、ラベルの状態までが検査できるため、ラベル不良の商品が出荷される等の問題を未然に防止することができる。
またラベラ内でラベルの良否が検査できるため、容器の間隔を開けたり、ラベルの向きを揃えるための手段を新たに設ける必要がなく、これによって既存のラベラにも容易かつ安価に実施することができる。
【0008】
本発明のラベル検査方法は、ラベルの良否の判定基準項目を、ラベルの有無、裏貼り、上下逆貼り、異種ラベル、ラベル寸法及び位置、ラベルの間隔、ラベルの傾き、印字の有無及び印字欠けの少なくとも1の項目としたものである。
【0009】
前記方法により、容器に貼付されたラベルの良否があらゆる角度から検査できるため、検査品質を向上させることができる。
【0010】
本発明のラベル検査装置は、自転しながら公転軌道を公転する容器にラベルを貼付するラベラと、前記ラベラの前記公転軌道を挟んで対向し、かつラベルの正面方向またはラベルの側面方向に設置された少なくとも一対の撮像部と、前記撮像部が撮像した前記容器の画像をから前記容器に貼付された前記ラベルの特徴点を計測する画像計測演算手段と、前記ラベルの良否を判定する基準値が設定された良否判定基準値設定手段と、前記画像計測演算手段が計測した特徴点と前記基準値とを比較演算して前記ラベルの良否を判定する良否判定演算手段とを具備し、前記撮像部は、公転軌道を挟んで対向する第1、第2の撮像手段と、この第1、第2の撮像手段のそれぞれの入射光側に順に設けた、互いに偏向方向を異にする2つの偏向手段と、この2つの偏向手段の間に設けられた容器の照明手段と、を具えたものである。
【0011】
前記構成により、容器に貼付されたラベルの有無のみならず、ラベルの状態までがラベラ内で検査できるため、容器の間隔を開けたり、ラベルの向きを揃えるための手段を新たに設ける必要がなく、これによって既存のラベラにも容易に実施できる上、特別な改造も必要としないため、装置が大掛りとなったり、設備費が嵩む等の問題も解消することができる。
また既存のラベラに実施する場合、ラベラ内に複数の撮像手段を追加設置するだけでよいため、稼動中のラベラを長時間休止して調整したり、ラベラの制御系に改造を加える必要がないことから、既存のラベラへの導入が容易な上、生産性を低下させる心配もない。
【0012】
本発明のラベル検査装置は、ラベルの良否の判定基準項目を、ラベルの有無、裏貼り、上下逆貼り、異種ラベル、ラベル寸法及び位置、ラベルの間隔、ラベルの傾き、印字の有無及び印字欠けの少なくとも1の項目としたものである。
【0013】
前記構成により、容器に貼付されたラベルの良否があらゆる角度から検査できるため、検査品質を向上させることができる。
【0014】
本発明のラベル検査装置は、撮像手段と公転軌道の間に、容器を照明する照明手段と、偏光方向を交差させた少なくとも一対の偏光フィルタからなる偏光手段を設けたものである。
【0015】
前記構成により、対向配置された照明手段からの光が干渉したり、容器により乱反射して光が撮像手段へ入光するのを防止することができるため、容器に貼付されたラベルを安定した画像で鮮明に撮像することができる。
【0016】
本発明のラベル検査装置は、各撮像手段が撮像した容器の画像を合成する画像合成手段を設けたものである。
【0017】
前記構成により、複数の撮像手段で撮像した画像1枚に纏めた状態で特徴点を計測することができるため、各撮像手段が撮像した画像情報を効率よく利用できる上、検査結果画像の視認性も向上すると共に、合成した画像を画像メモリに保存することにより、画像データの管理を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のラベル検査方法及び装置によれば、容器に貼付されたラベルの有無のみならず、ラベルの状態までがラベラ内で検査できるため、容器の間隔を開けたり、ラベルの向きを揃えるための手段を新たに設ける必要がなく、これによって既存のラベラにも容易かつ安価に実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の実施の形態を、図面を参照して詳述する。
図1はラベル検査装置が設置されたラベラの平面図、図2はラベル検査装置の拡大図、図3は同ブロック図、図4及び図5は作用説明図である。
図1に示すラベラ1は、容器2に飲料等の内容物を充填する充填ライン(図示せず)の下流側に設置されており、一定方向に回転する可変速自在なロータリ3を有している。
ロータリ3の周辺部には、充填ラインより搬出された容器2をロータリ3に取り込む搬入手段4が設置されていて、搬入手段4により取り込まれた容器2は、ロータリ3の公転軌道3a上に配置された受け皿3b上に、回転を拘束された状態で載置されるようになっている。
受け皿3bは円板状に形成されていて、ロータリ3の公転軌道3a上に等間隔に配置されていて、図示しない自転手段により同期回転されながら一定方向へ自転されるようになっており、搬入手段4により取り込まれた容器2は、自転手段により受け皿3bとともに自転されながら、ロータリ3の回転に伴い公転軌道3a上を一定方向へ公転されるようになっている。
【0020】
ロータリ3の外周側には、ロータリ3の回転方向に間隔を存して第1ラベル貼付手段5と第2ラベル貼付手段6が設置されている。
第1ラベル貼付手段5及び第2ラベル貼付手段6は、容器2に複数のラベル7を貼付するもので、第1ラベル貼付手段5は、商品情報や商標等の企業情報等を表示したフロントラベル7aを容器2の正面に、そしてネックラベル7bを容器2の首部に貼付するようになっており、裏面が粘着面となったフロントラベル7aとネックラベル7bが予め多数枚セットされていて、自転しながら公転する容器2が、図1に示すラベル貼付位置Aに達したところで、容器2の外周面にフロントラベル7aとネックラベル7bを同時に貼付するようになっている。
【0021】
第1ラベル貼付手5の下流側には、公転軌道3aの両側に、第1撫で付け手段9が設置されている。
第1撫で付け手段9は、公転軌道に沿って湾曲する一対の撫で付けブラシ9a、9bより形成されている。
そして自転しながら公転軌道3a上を公転する容器2が各撫で付けブラシ9a、9b間へ搬入されると、容器2の自転に伴いフロントラベル7aとネックラベル7bが容器2の外周面に圧接されて、各ラベル7a,7bの粘着面が容器2に密着されるようになっている。
第2ラベル貼付手段6は、フロントラベル7aが貼付された面を容器2の正面とした場合に、その裏面にバックラベル7cを貼付するもので、バックラベル7cには品質表示や製造企業名等の情報が印刷されている。
バックラベル7cも裏面が粘着面となっていて、予め多数枚が第2ラベル貼着手段6にセットされており、自転されながら公転する容器2が図1に示すラベル貼付位置Bに達したところで、容器2の裏面にバックラベル7cを貼付するようになっており、このときロータ3と同期回転される自転手段がラベル貼付位置Bに達した容器2の裏面と第2ラベル貼付手段6と対向するよう容器2の貼付位置が方向制御されている。
【0022】
第2ラベル貼付手段6の下流側に設置された第1撫で付け手段10は、第2ラベル貼付手段6により容器2に貼付されたバックラベル7cを撫で付けて、バックラベル7cの粘着面を容器2の外周面に密着させるもので、公転軌道3aの外側に設けられた撫で付けブラシ10aと、公転軌道3aの内側に設けられた撫で付けブラシ10bとからなる。
公転軌道3aの外側に設けられた撫で付けブラシ10aは、第2ラベル貼付手段6に近い位置に、そして公転軌道3aの内側に設けられた撫で付けブラシ10bは、第2ラベル貼付手段6より離れた位置に設置されていて、自転しながら公転軌道3a上を移動してきた容器2の外周面を時間差をおいて撫で付けることにより、貼付済みのフロントラベル7aやネックラベル7bにダメージを与えることなく容器2にバックラベル7cの粘着面を密着させるようになっている。
【0023】
そして第2撫で付け手段10を形成する撫で付けブラシ10bの上流側と下流側に、本発明のラベル検査装置を構成するラベル検出手段12が設置されている。
ラベル検出手段12は、公転軌道3aを挟んで対向する二対、計4台のCCDカメラよりなる撮像手段12a、12b、12c、12dから構成されている。
ラベル検出手段12の各撮像手段12a〜12dをこの位置に配置した理由は、第2ラベル貼付手段6によりバックラベル7cが貼付された容器2は、第2撫で付け手段10の上流側の撫で付けブラシ10aにより撫で付けられた際、バックラベル7cが公転軌道の外側に向き、その後下流側の撫で付けブラシ10bで撫で付けられた際、バックラベル7cが公転軌道3aの内側に向き、さらにバックラベル7cの撫で付けが完了した時点で容器2の正面が公転軌道3aの外側に向くためである。
従って撫で付けブラシ10bの上流側と下流側にラベル検出手段12を設置することにより、上流側の撮像手段12a、12bでフロントラベル7aとバックラベル7c間及びフロントラベル7aとネックラベル7b間を撮像し、下流側の撮像手段12c、12dでフロントラベル7aとネックラベル7b及びバックラベル7cを正面から撮像することができるようになる。
【0024】
公転軌道3aを挟んで対向配置された撮像手段12a、12b及び12c、12dの前方、すなわち各撮像手段12a〜12dと公転軌道3aの間には、容器2の撮像面を照明するリング状の照明手段13と、照明手段13の前後に設置された偏光手段14が設置されている。
偏光手段14は、対向配置された撮像手段12a、12b及び12c、12dが互に干渉するのを防止すると同時に、照明手段13により照明した光が容器2により乱反射されて撮像手段12a〜12dに入射するのを抑制するもので、撮像手段12a〜12d側に例えば縦方向の波長を通過させる第1偏光フィルタ14aが、そして反対側には例えば横方向の波長を通過させる第2偏光フィルタ14bが、偏光方向を交差させて設けられており、ラベル検出手段12の各撮像手段12a〜12dで撮像された画像は、容器検知手段16が検出した信号とともに図3に示す画像処理装置17へ入力されるようになっている。
【0025】
容器検知手段16は、光学センサ等により形成されていて、図1に示すように第2ラベル貼付手段6の入力側近傍に設置されていて、容器検知手段15の直前を通過した容器2を非接触で検出し、検出信号(パルス信号)を画像処理装置17へ送るようになっている。
画像処理装置17は、ラベル検出手段12より送られてきた画像信号をデジタル画像データにA/D変換するA/D変換手段18と、A/D変換手段18によりA/D変換された画像データを、各撮像手段12a〜12d毎に記憶する画像メモリ19と、画像メモリ19に記憶された画像のうち、互に対向する撮像手段12a、12bと12c、12dとが撮像した画像データをそれぞれ合成して、1枚の画像とする画像合成手段20と、画像合成手段20により合成された1枚の画像を記憶する合成画像メモリ21と、合成画像メモリ21に記憶された合成画像データを読み出して、画像データから特徴点を計測する画像計測演算手段22と、ラベルの良否を判定に必要な基準値が閾値として予め設定された良否判定基準値設定手段23と、良否の判定に必要な基準値を良否判定基準値設定手段23より読み出して一時格納する基準値メモリ24と、画像計測演算手段22より出力される特徴計測データと、基準値メモリ24より読み出した良否判定用の基準値(閾値)とを比較演算して、良否を判定する良否判定演算手段25とから構成されている。
なお良否判定基準値設定手段23に予め設定されたラベルの良否の判定基準項目としては、ラベルの有無、裏貼り、上下逆貼り、異種ラベル、ラベル寸法及び位置、ラベルの間隔、ラベルの傾き、印字の有無及び印字欠け等であるが、これら項目の少なくとも1項目であってもよい。
【0026】
一方ロータリ3により公転軌道3a上をほぼ1周した容器2は、容器搬入手段4の近傍に設置された容器搬出手段27により公転軌道3a上より搬出されるようになっている。
容器搬出手段27には、振り分け手段28が併設されていて、画像処理装置17より出力される良否信号により良品2aは良品搬送ライン28に、そして不良品2bは不良品搬送ライン29へ振り分けられるようになっている。
このとき画像処理装置17より出力される信号を良品信号のみで運用すれば、良品のみが良品搬送ライン28に流れ、良品以外は不良品搬送ライン29へ流れるフェールセーフシステムとなる。
【0027】
次に前記構成されたラベル検査装置によるラベル検査方法を説明する。
内容物充填工程で内容物が充填された容器2は、連続的に容器搬入手段4へと達し、ロータリ3と同期回転する容器搬入手段4によりロータリ3の公転軌道3a上に等間隔に設けられた受け皿3b上に搬入され、受け皿3bと一体に回転するよう図示しない拘束手段により拘束される。
ロータリ3により公転軸道3aを移動される受け皿3bは、自転機構によりロータリ3の回転に同期回転されることにより、受け皿3b上に拘束載置された容器2もロータリ3と同期回転される。
【0028】
その後第1ラベル貼付手段5に達した容器2の外周面には、第1ラベル貼付手段5によりフロントラベル7aとネックラベル7bが貼付され、第1撫で付け手段9の各撫で付けブラシ9a、9b間を回転しながら移動する間に、フロントラベル7aとネックラベル7bの粘着面が容器2の外周面に密着される。
第1撫で付け手段9を通過した容器2が、第2ラベル貼付手段6の手前に設けられた容器検知手段16を通過すると、容器検知信号を画像処理装置17へ出力する。
画像処理装置17は、容器検知手段16より送られてきた容器検知信号と、ロータリ3の現在の回転速度から、検知した容器2がラベル検査手段のはじめの撮像手段12a、12b間の達する移動量を算出し、その移動量だけ遅延させたタイミング信号をラベル検出手段12へ出力する。
その後第2ラベル貼付手段6に達した容器2は、第2ラベル貼付手段6によりバックラベル7cが貼付され、第2撫で付け手段10の一方の撫で付けブラシ10aによりバックラベル7cの粘着面が容器2の外周面に密着される。
【0029】
撫で付けブラシ10aを通過した容器2が、ラベル検査手段12を形成する上流側の撮像手段12a、12b間の第1撮像位置Cに達すると、容器検知手段16が検知し、かつ画像処理装置17により遅延されたタイミング信号により撮像手段12a、12bが同時に動作され、撮像手段12a、12b間を通過する容器2を撮像する。
このとき容器2のフロントラベル7aが貼付された面を正面とした場合、図4の(a)に示すように容器2の左右側面が撮像手段12a、12bにより撮像される。
また容器2を撮像する際点灯される照明手段13の光は、まず第1偏光フィルタ14aを通過する際、縦方向に振動する光をカットするため、横方向に振動する光のみが容器2に達して容器2を照明する。
そして容器2より反射した光は、第2偏光フィルタ14bを通過して撮像手段12a、12bに達するが、第2偏光フィルタ14bを通過する際水平方向に振動する光がカットされ、垂直方向へ振動する光のみが撮像手段12a、12bに達する。
これによって容器2で乱反射した光や、対向する照明手段13からの拡散光が撮像手段12a、12bに達することがないので、ラベル7が貼付された容器2の左右側面の安定した画像が撮像手段12a、12bにより鮮明に撮像できるようになる。
【0030】
撮像手段12a、12bが撮像した画像は画像処理装置17へ送られて、画像処理装置17のA/D変換手段18でデジタル画像データに変換された後、それぞれの撮像手段12a、12b毎に画像メモリ19に格納される。
その後画像処理装置17の画像合成手段20は、画像メモリ19に格納された2枚の画像を図4の(b)に示すように1枚の画像に合成し、合成した1枚の画像データを合成画像メモリ21に格納する。
合成画像メモリ21に格納された合成画像データは、画像計測演算手段22に読み出されて、良否の判定に必要な特徴点の計測及び抽出が次のように行われる。
【0031】
すなわち図4の(b)において、予め設定した縦軸方向の基準点(例えば容器底面)からネックラベル7bまでの高さy1、y3、フロントラベル7aまでの高さy2、y4を計測する。
また横軸方向の基準点(例えば容器2の中心)からネックラベル7cの端部までの距離x1、x4、フロントラベル7aまでの端部までの距離x2、x5、バックラベル7cの端部までの距離x3をそれぞれ計測する。
そして以上の計測値からラベル7の位置を演算し、特徴点として抽出する。
すなわち特徴点y1〜y4によってフロントラベル7a及びネックラベル7bの有無、垂直方向の位置ずれを計測し、特徴点y1とy3、y2とy4の差分からフロントラベル7a及びネックラベル7bの傾きを演算して、特徴点として抽出する。
さらに特徴点x1〜x5からフロントラベル7aとバックラベル7cの端部間の間隔を演算し、特徴点x1とx2、x4とx5の間隔からフロントラベル7a、ネックラベル7bの水平方向のずれや、水平めくれ、水平2重貼り等を抽出する。
また特徴点x2とx3の間隔からフロントラベル7a、バックラベル7cの水平方向のずれや水平めくれ、水平2重貼り等を抽出する。
画像計測演算手段22により演算、抽出された特徴点のデータは良否判定演算手段25へ送られ、予め良否判定基準値設定手段23より読み出されて基準値メモリ24に格納された基準値(閾値)と比較演算され、ラベル検査手段12の撮像手段12a、12bが撮像した容器2の良否が判定される。
【0032】
一方、撮像手段12a、12bと撫で付けブラシ10bを通過した容器2は、ラベル検査手段12の次の撮像手段12c、12d間の第2撮像位置Dに達する。
このとき容器2は、第1撮像位置Cに対してほぼ90度自転されて第2撮像位置Dに達するので、撮像手段12c、12dによりフロントラベル7aの正面とバックラベル7cの正面が図5の(a)に示すように撮像される。
なお照明手段13及び偏光手段14の作用は前記と同様なので、説明を省略する。
撮像手段12c、12dにより撮像された画像は画像処理装置17へ送られて、撮像素子12a、12cで撮像したときと同様に画像処理された後、合成画像メモリ21に格納される。
図5の(b)が撮像手段12c、12dで撮像され、1枚の画像に合成された画像データで、この合成画像データは、画像計測演算手段22に読み出されて、前記と同様に特徴点の抽出が行われる。
特徴点としては、ネックラベル7bの上下方向の幅を△y1、フロントラベル7aの上下方向の幅を△y2、バックラベル7cの高さ方向の幅を△y3、基準点(容器の底面)からバックラベル7cの上縁までの高さをy5、バックラベル7cの水平方向の幅を△x1として計測し、それぞれの計測値を演算して特徴点を抽出する。
【0033】
そして特徴点△y1〜△y3から各ラベル7a〜7cの垂直めくれや2重貼を抽出でき、特徴点y5からバックラベル7cの垂直方向の位置ずれが抽出でき、フロントラベル7a及びバックラベル7cの上縁までの高さを複数個所計測することによりフロントラベル7a及びバックラベル7cの傾きを抽出することもできる。
また各ラベル7a〜7cを正面から撮像して画像データを得ているため、デザイン上のユニークなパターンを辞書として予め画像処理装置17のメモリに登録しておき、そのパターンの本来存在する位置近傍にてテンプレートマッチング処理を行うことにより、異種ラベルが容器2に貼付されていたり、ラベル7が上下逆に貼付されている等の不良を検査することができる。
また予め決められた個所のエリア輝度を計測することにより、ラベル7の有無やラベル7の表裏が逆等の検査ができると共に、ラベル7によっては、品質保持期限等が印字してあるものがあり、このようなラベル7の場合、無印字や印字欠け等の検査が可能であり、文字パターンマッチングや文字ブロックの寸法検査等を併用することにより、より精密なラベル検査も可能となる。
【0034】
画像処理装置17の不良判定部25では、画像計測演算手段22より出力された計測演算結果と基準値メモリ24より読み出した基準値(閾値)データを比較して、容器2に貼付されたラベル7の良否を判定し、その結果を振り分け手段28へと送るため、容器搬出手段27によりロータリ3の公転軌軸3aから搬出された容器2が良品の場合は、良品搬出ライン28へ搬出され、不良品の場合は不良品搬出ライン29へ搬出される。
以上のように容器2に複数のラベル7を貼付するラベラ1のラベル貼付工程中に、容器2に貼付されたラベル7の良否を検査することができるため、ラベル検査装置全体を設置するスペースがラベラ内にない場合でも、容器2に貼付されたラベル7の良否がラベル検査装置により検査できるようになり、これによって既存のラベラにも容易かつ安価に実施することができる。
【0035】
なお前記実施の形態では、容器2にフロントラベル7aとネックラベル7b、バックラベル7cの3枚のラベル7を貼付する例について説明したが、ラベル7の数はこれら数に限定されるものではない。
またラベル7の数が少ない場合や、ラベルの位置が限定されている場合は、ラベル検査手段12の一対の撮像手段12a、12bのみでもラベル7の良否検査は可能である。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態になるラベル検査装置を構成するラベル検出手段が設置されたラベラの平面図である。
【図2】本発明の実施の形態になるラベル検査装置を構成するラベル検出手段の拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態になるラベル検査装置のブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態になるラベル検査装置の作用説明図である。
【図5】本発明の実施の形態になるラベル検査装置の作用説明図である。
【符号の説明】
【0037】
1 ラベラ
2 容器
3 ロータリ
3a 公転軌道
3b 受け皿
12 ラベル検出手段
12a,12b 撮像手段
12c,12d 撮像手段
13 照明手段
14 偏光手段
14a 偏光フィルタ
14b 偏光フィルタ
17 画像処理装置
20 画像合成手段
22 画像計測演算手段
23 良否判定基準値設定手段
25 良否判定演算手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転しながら公転軌道を公転する容器にラベルを貼付するラベラに、前記公転軌道を挟んで対向し、かつラベルの正面方向またはラベルの側面方向に少なくとも一対の撮像部を設置し、前記撮像部は、公転軌道を挟んで対向する第1、第2の撮像手段と、この第1、第2の撮像手段のそれぞれの入射光側に順に設けた、互いに偏向方向を異にする2つの偏向手段と、この2つの偏向手段の間に設けられた容器の照明手段と、を具えてなり、かつ前記撮像手段が撮像した前記容器の画像から前記容器に貼付された前記ラベルの特徴点を計測すると共に、得られた特徴点と予め設定された基準値とを比較演算して、前記容器に貼付された前記ラベルの良否を判定することを特徴とするラベル検査方法。
【請求項2】
前記ラベルの良否の判定基準項目を、前記ラベルの有無、裏貼り、上下逆貼り、異種ラベル、ラベル寸法及び位置、ラベルの間隔、ラベルの傾き、印字の有無及び印字欠けの少なくとも1の項目としてなる請求項1に記載のラベル検査方法。
【請求項3】
自転しながら公転軌道を公転する容器にラベルを貼付するラベラと、前記ラベラの前記公転軌道を挟んで対向し、かつラベルの正面方向またはラベルの側面方向に設置された少なくとも一対の撮像部と、前記撮像部が撮像した前記容器の画像をから前記容器に貼付された前記ラベルの特徴点を計測する画像計測演算手段と、前記ラベルの良否を判定する基準値が設定された良否判定基準値設定手段と、前記画像計測演算手段が計測した特徴点と前記基準値とを比較演算して前記ラベルの良否を判定する良否判定演算手段とを具備し、前記撮像部は、公転軌道を挟んで対向する第1、第2の撮像手段と、この第1、第2の撮像手段のそれぞれの入射光側に順に設けた、互いに偏向方向を異にする2つの偏向手段と、この2つの偏向手段の間に設けられた容器の照明手段と、を具えてなることを特徴とするラベル検査装置。
【請求項4】
前記ラベルの良否の判定基準項目を、前記ラベルの有無、裏貼り、上下逆貼り、異種ラベル、ラベル寸法及び位置、ラベルの間隔、ラベルの傾き、印字の有無及び印字欠けの少なくとも1の項目としてなる請求項3に記載のラベル検査装置。
【請求項5】
前記撮像手段と前記公転軌道の間に、前記容器を照明する照明手段と、偏光方向を交差させた少なくとも一対の偏光フィルタからなる偏光手段を設けてなる請求項3または4に記載のラベル検査装置。
【請求項6】
前記各撮像手段が撮像した前記容器の画像を合成する画像合成手段を設けてなる請求項3ないし5の何れかに記載のラベル検査装置。
【請求項7】
更に、前記第1、第2の貼付け手段の下流には、貼付けたラベルを撫で付ける撫で付け手段を備えてなる請求項3〜6のいずれか1つに記載されたラベル検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−98306(P2012−98306A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−23575(P2012−23575)
【出願日】平成24年2月7日(2012.2.7)
【分割の表示】特願2006−316916(P2006−316916)の分割
【原出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000153443)株式会社日立情報制御ソリューションズ (359)
【出願人】(311007202)アサヒビール株式会社 (36)
【Fターム(参考)】