説明

レジストパターンの形成方法

【課題】ソルダーレジスト材の露光を短時間で行うことが可能であり、また、従来と同じソルダーレジスト材を用いてレーザーにより露光を行うことが可能なレジストパターンの形成方法の提供。
【解決手段】プリント配線板3にカバーフィルム6に表面が覆われた紫外線感光性のソルダーレジスト膜7を形成し、ソルダーレジスト膜7の上方に紫外線を遮断し可視光感光性のレジスト膜8を形成し、可視光レーザー10により露光し、レジスト膜8にレジストパターン11を露光し、水で現像してレジスト膜8の硬化膜でレジストパターン11によるマスクパターンを形成し、次いで、紫外線により、前記マスクパターンをマスクとして、ソルダーレジスト膜7にソルダーレジストパターン5を露光し、弱アルカリ現像液で現像し、プリント配線板3にソルダーレジスト膜7の硬化膜によるソルダーレジストパターン5を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レジストパターンの形成方法に関し、特にプリント配線基板にハンダ付けを行う際に予め設けられるソルダーレジストの形成の際に、露光時間を短縮し、生産性の向上が可能なレジストパターンの形成方法、及びソルダーレジストに用いる自由度を増すことが可能なレジストパターンの形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板の製造において、回路形成のためのエッチングレジスト材や回路保護のためのソルダーレジスト材には、感光性の材料が使用されている。
【0003】
従来、それらのレジスト材のパターン露光を行う際には、遮光性のネガパターンが形成されたガラスやフィルム等のマスク(以下、レチクルともいう)を介して紫外線を照射し、現像する工法が一般的であった。
【0004】
しかしながら、レチクルを用いたパターン露光の場合、パターンに合わせて多種類のレチクルを作製するのに費用と時間を要し、少量多種に対応することが困難であった。
【0005】
近年、レチクルを介さずにレーザーを用いてレジスト材を直接露光する方法が知られている(特許文献1参照)。この方法によれば、レーザーを用いてレジスト材を直接露光することにより、多種のレチクルを作成せずに多種のパターンを同一基板上に形成することが可能である。
【0006】
しかしながら、ソルダーレジスト材は一般的にネガ型であり、直接露光を行う場合には、パターン形成部分の大部分が露光部分となり、非露光部分は僅かであるため、レーザーによる直接露光ではかなりの時間を要する虞があった。
【0007】
また、レジスト材をレーザーにより直接露光する場合には、従来の数倍の感度を有するレジスト材を用いる事が必要であるので、用いるレジスト材が限られていた。例えば、レジスト膜がパターン形成された配線基板或いは半導体チップに他部材を実装する場合には、配線基板上の接合される部分の部材が、樹脂や金属との密着性を有することが必要であるが、この場合に、密着性とレーザー光に対する感度とを兼ね備えた性質を有するレジスト材はほとんどなく、レジスト材料選択の自由度が低いという虞があった。他の例としては、レジスト膜がめっき液に対するレジスト材からなる場合には、耐薬品性と高感度の感光性を兼ね備える必要が有り、耐薬品性は維持して感度のみを向上させることが困難であった。結果として、レジストの材料選択の自由度が低くなってしまう虞があった。
【0008】
【特許文献1】特許第2679454号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記の状況に鑑み、レジスト材の露光時間を短縮可能であり、またレーザーに対する感度の低いレジスト材を選択した場合であっても、レーザー露光を反映したレジスト形成が可能なレジストパターンの形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決する本発明の第1の態様は、半導体チップ或いは配線基板の配線パターン上に第1の感応波長域の波長の光に感応する第1の光硬化性レジスト膜を形成する工程と、前記第1の光硬化性レジスト膜の上側に、第1の感応波長域の波長の光を遮断し、且つ第2の感応波長域の波長の光に感応する第2の光硬化性レジスト膜を形成する工程と、第2の感応波長域の波長を含むレーザーを第2の光硬化性レジスト膜のマスクパターンとなる領域に走査して露光する工程と、第1の光硬化性レジスト膜を現像しない現像液で前記第2の光硬化性レジスト膜を現像してマスクパターンを形成する工程と、前記第1の感応波長域の波長の光で、前記マスクパターンをマスクとして、前記第1の光硬化性レジスト膜をパターン露光する工程と、前記第1の光硬化性レジスト膜を現像して、前記半導体チップ或いは配線パターンが形成された基板上にレジストパターンを形成する工程を有することを特徴とするレジストパターンの形成方法にある。
【0011】
かかる第1の態様では、第1の光硬化性レジスト膜を露光しない波長、即ち、第2の感応波長域の波長を含むレーザー照射により第2の光硬化性レジスト膜を露光し、第1の光硬化性レジスト膜を現像しない現像液で第2の光硬化性レジスト膜を現像することにより、第1の光硬化性レジスト膜を損なわずに、かつ、第1の光硬化性レジスト膜の非露光部分を露光してしまう事なく、第1の光硬化性レジストに対するマスクパターンを形成し、第1の光硬化性レジスト膜に対するパターン形成をより短時間で行うことが可能となる。
【0012】
また、レーザーを用いた露光は第2の光硬化性レジスト膜に対して行うため、レーザーに対する感度の低い第1のレジスト材料を第1のレジスト光硬化性レジスト膜材料として選択することができる。即ち、第1の光硬化性レジスト膜に用いる材料の自由度を低減させることなく、本来の用途に適する性質の第1の光硬化性レジスト膜を選択して、レーザー露光を反映したレジストパターンの形成を行うことが可能となる。
【0013】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載のレジストパターンの形成方法において、前記第1の光硬化性レジスト膜の上側に第2の光硬化性レジスト膜を形成する際に、前記第2の光硬化性レジスト膜を第1の感応波長域の波長の光を透過するカバーフィルムを介して形成し、第1の光硬化性レジスト膜を現像する工程では、最初に前記カバーフィルムを剥がすことによりマスクパターンを除去することを特徴とするレジストパターンの形成方法にある。
【0014】
かかる第2の態様では、カバーフィルムを除去することでマスクパターンを容易に除去することが可能となる。
【0015】
本発明の第3の態様は、第1の態様に記載のレジストパターンの形成方法において、前記第1の光硬化性レジスト膜の上側に第2の光硬化性レジスト膜を形成する際に、前記第2の光硬化性レジスト膜を第1の感応波長域の波長の光を透過するカバーフィルムを介して形成し、第1の光硬化性レジスト膜を現像する工程では、カバーフィルムを剥がすことによりマスクパターンを除去すると共に第1の光硬化性レジスト膜の非露光部分を除去することを特徴とするレジストパターンの形成方法にある。
【0016】
かかる第3の態様では、カバーフィルムを除去することでマスクパターン及び第1の光硬化性レジスト膜の非露光部分、即ち非硬化部分を容易に除去することが可能となる。
【0017】
本発明の第4の態様は、第2又は第3の態様に記載のレジストパターンの形成方法において、前記カバーフィルムと第1の光硬化性レジスト膜とを積層せしめた積層体を、前記配線パターン上に設けた後に、前記カバーフィルム上に第2の光硬化性レジスト膜を形成することを特徴とするレジストパターンの形成方法にある。
【0018】
かかる第4の態様では、シート状の第1の光硬化性レジスト膜を用いて、ラミネート法により容易に半導体チップ或いは配線基板に第1の光硬化性レジスト膜を設けることができ、また、既存のカバーフィルム付きの第1の光硬化性レジスト膜を用いることでカバーフィルムを別途設ける手間を省くことが可能となる。
【0019】
本発明の第5の態様は、第1〜4の何れかの態様に記載のレジストパターンの形成方法において、第2の感応波長域を含むレーザーをマスクパターンとなる領域に走査して前記第2の光硬化性レジスト膜の前記マスクパターンとなる領域を露光する際に、予め各配線パターンに対し位置ずれ補正を行ってから、第2の感応波長域の波長の光を含むレーザーを走査し、各配線パターン上にマスクパターンを形成することを特徴とするレジストパターンの形成方法にある。
【0020】
かかる第5の態様では、測定された配線基板の歪みをもとに補正されたレーザー走査を行ってマスクパターンの露光を行うことで、各々異なる歪みを有する多数の半導体チップ或いは配線パターンが形成された基板に対し、各々ズレの無い状態で高精度にマスクパターンを形成することが可能となる。
【0021】
本発明の第6の態様は、第1〜5の何れかの態様に記載のレジストパターンの形成方法において、第1の光硬化性レジスト膜として紫外線感光性を有する材料を用い、前記第1の光硬化性レジスト膜を紫外線により露光し、第2の光硬化性レジスト膜として可視光感光性を有する材料を用い、前記第2の光硬化性レジスト膜を可視光レーザーにより露光することを特徴とするレジストパターンの形成方法にある。
【0022】
かかる第6の態様では、レーザー照射に可視光を用いることで、紫外線に感応する第1の光硬化性レジスト膜を露光してしまう事なく、第2の光硬化性レジスト膜のみを露光することが可能となる。
【0023】
本発明の第7の態様は、第1〜6の何れかの態様に記載のレジストパターンの形成方法において、第2の光硬化性レジスト膜が、酸化チタン微粒子、炭酸カルシウム微粒子、及び酸化亜鉛微粒子の内の少なくとも1種を含有したものであることを特徴とするレジストパターンの形成方法にある。
【0024】
かかる第7の態様では、第2の光硬化性レジスト膜に対し、第1の感応波長域を遮断する機能、水溶性、及び可視光感光性を容易に付加することが可能となる。
【0025】
本発明の第8の態様は、第7の態様に記載のレジストパターンの形成方法において、
酸化チタン微粒子、炭酸カルシウム微粒子、及び酸化亜鉛微粒子の内の少なくとも1種が平均粒径0.01μm〜0.05μmを有することを特徴とするレジストパターンの形成方法にある。
【0026】
かかる第8の態様では、第2の光硬化性レジスト膜に対し、第1の感応波長域の波長の光を遮断する機能、並びに水溶性及び可視光感光性を容易に付加することが可能となる。
【0027】
本発明の第9の態様は、第1〜8の何れかの態様に記載のレジストパターンの形成方法において、第2の光硬化性レジスト膜に水現像が可能な材料を用い、第2の現像液として水を用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法にある。
【0028】
かかる第9の態様では、第1の光硬化性レジスト膜を損なわずに、水を用いて容易に第2の光硬化性レジスト膜を現像することが可能となる。
【0029】
本発明の第10の態様は、第1〜9の何れかの態様に記載のレジストパターンの形成方法において、第1の光硬化性レジスト膜がソルダーレジストであることを特徴とするレジストパターンの形成方法にある。
【0030】
かかる第10の態様では、本発明のレジストパターンの形成方法を用いてソルダーレジストに対し短時間で容易にパターン形成を行うことが可能となる。
【0031】
本発明の第11の態様は、第1〜9の何れかの態様に記載のレジストパターンの形成方法において、第1の光硬化性レジスト膜がめっきレジストであることを特徴とするレジストパターンの形成方法にある。
【0032】
かかる第11の態様では、本発明のレジストパターンの形成方法を用いてめっきレジストに対し短時間で容易にパターン形成を行うことが可能となる。
【0033】
本発明の第12の態様は、第1〜9の何れかの態様に記載のレジストパターンの形成方法において、第1の光硬化性レジスト膜がエッチングレジストであることを特徴とするレジストパターンの形成方法にある。
【0034】
かかる第12の態様では、本発明のレジストパターンの形成方法を用いてエッチングレジストに対し短時間で容易にパターン形成を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、ソルダーレジスト材の露光を短時間で行うことが可能であり、レジストパターンの位置ずれがなく、また、従来と同じソルダーレジスト材を用いてレーザーにより露光を行うことが可能なレジストパターンの形成方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。なお、各図において、同一の構成要素には、同一の参照符号が付してある。
図1に本発明のレジストパターンの形成方法を用いて製造されたソルダーレジストパターンの一例を示す。
【0037】
ガラスクロス強化エポキシ樹脂やポリイミド樹脂等からなるフレキシブル基板1上に銅等の導電材料からなる配線パターン2が設けられたプリント配線板3に対し、配線パターン2の他部材が実装される部分に開口4を有するソルダーレジストパターン5が形成される。開口4部分の露出された配線には他の部材の金属端子がハンダ接合される。
【0038】
本発明のレジストパターンの形成方法は、図2に示すソルダーレジストパターンの形成に適用でき、ソルダーレジスト材の露光を短時間で行うことが可能であり、また、従来と同じソルダーレジスト材を用いてレーザーにより露光を行うことが可能なものである。
【0039】
本実施形態においては、第1の光硬化性レジスト膜としてソルダーレジスト膜7、第2の光硬化性レジスト膜としてレジスト膜8を用い、プリント配線板3上にソルダーレジストパターン5の形成を行う。図2(a)〜(h)に基づき、本実施形態におけるレジストパターンの形成方法の流れを示す。
【0040】
先ず図2(a)のような樹脂等からなるフレキシブル基板1上に銅等の導電性材料からなる配線パターン2が設けられたプリント配線板3に、図2(b)のようにカバーフィルム6に表面が覆われたドライフィルム状のソルダーレジスト膜7(第1の光硬化性レジスト膜)をラミネート法により設ける。本実施形態において用いるカバーフィルム6は、PET等の樹脂を主成分とし、可視光及び紫外線透過性を有し、非感光性で、水に不溶であり、通気性(或いは酸素透過性)の著しく小さいものである。
【0041】
ソルダーレジスト膜7は、従来と同様に、他の部材との接合に適するものを利用することが可能であり、レーザー照射に適する材質である必要はない。本実施形態においてはソルダーレジスト膜7として、紫外線硬化性を有し、水に不溶で弱アルカリ性現像液により現像される材料(「材料I」とも言う。)を用いる。
【0042】
材料Iとしては、例えば、ポリマー類及び/又はオリゴマー類(以下、成分(I−A)とする)、モノマー類及び/又は有機溶剤(以下、成分(I−B)という)、並びに反応開始剤(以下、成分(I−C)とする)を少なくとも含むものが挙げられる。
【0043】
材料Iにおいて、成分(I−A)のポリマー類、オリゴマー類及び成分(I−B)のモノマー類のうち、少なくとも一つは、感光基を有する。これにより、材料Iは紫外線硬化性を有する。そのような感光基としては、例えば不飽和結合、オキシラン結合等を有する感光基が挙げられる。不飽和結合を有する感光基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基、(以下、これらをまとめて単に「(メタ)アクリロイル基」ということがある。)、ビニル基、アリル基、シンナモイル基等が挙げられる。又、オキシラン結合を有する感光基としては、エポキシ基等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上の感光基が含有されていてもよいし、一又は二以上の感光基を有する成分(I−A)及び成分(I−B)が二以上使用されていてもよい。。
【0044】
更に、材料Iにおいて、成分(I−A)のポリマー類、オリゴマー類及び成分(I−B)のモノマー類のうち少なくとも何れか一つは、酸性基を有する。これにより、材料Iはアルカリ現像性を有する。そのような酸性基としては、例えばカルボン酸基、スルホン酸基等が挙げられ、これらの一又は二以上の酸性基が含有されていてもよいし、一又は二以上の酸性基を有する成分(I−A)及び成分(I−B)が二以上使用されていてもよい。。
【0045】
材料Iにおいて、成分(I−A)としては、平均分子量2000〜30000(特に5000〜20000)のものが好ましい。
成分(I−A)としては、感光基と酸性基の両基を備えたもの、たとえば、エポキシ樹脂の不飽和カルボン酸付加物に酸無水物を反応させて得られるもの(以下「成分(I−A−i)」とも言う。)が挙げられる。
【0046】
成分(I−A−i)において、エポキシ樹脂としては、ノボラック型エポキシ化合物[フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等]、ビスフェノール型エポキシ化合物、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。
【0047】
成分(I−A−i)において、不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、又は飽和若しくは不飽和二塩基酸無水物(例えば、成分(I−A−i)における「二塩基酸無水物」等)と1分子中に1個の水酸基を有する(メタ)アクリレート類若しくは不飽和モノグリシジル化合物との半エステル類等が挙げられる。
【0048】
成分(I−A−i)において、酸無水物としては、二塩基酸無水物[無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸等]、芳香族多価カルボン酸無水物[無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等]、多価カルボン酸無水物誘導体[5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等]等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。。
【0049】
成分(I−A−i)としては、エポキシ樹脂の不飽和カルボン酸付加物(即ち、エポキシ樹脂と不飽和カルボン酸との反応物)の有する水酸基1個当り0.15モル以上の酸無水物を反応せしめたものが適している。更に、成分(I−A−i)の酸価は、45〜160mgKOH/g、特に50〜140mgKOH/gが好ましい。酸価が小さすぎる場合にはアルカリ溶解性が悪くなり、逆に大きすぎると、硬化膜の耐アルカリ性、電気特性等のレジストとしての特性を下げる要因となるので、いずれも好ましくない。
【0050】
材料Iにおいて、別の成分(I−A)の具体例としては、不飽和カルボン酸(例えば、成分(I−A−i)における「不飽和カルボン酸」等)と不飽和二塩基酸無水物(例えば、成分(I−A−i)における「二塩基酸無水物」等)との共重合体に含まれるカルボキシル基の一部に不飽和モノグリシジル化合物を付加させたポリマー等が挙げられる。
【0051】
材料Iの成分(I−B)において、モノマー類としては、具体的には、水溶性モノマー[2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、N−ビニルピロリドン、アクリロイルモルフォリン、メトキシテトラエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリレート、又は上記アクリレートに対応する各メタクリレート類等]、非水溶性モノマー[ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、グリセリンジグリシジルエーテルジアクリレート、グリセリントリグリシジルエーテルトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート又は上記アクリレートに対応する各メタクリレート類、多塩基酸とヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとのモノ−、ジ−、トリ−又はそれ以上のポリエステル等]等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。
【0052】
材料Iの成分(I−B)において、有機溶剤としては、具体的にはケトン類[メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等]、芳香族炭化水素類[トルエン、キシレン等]、セロソルブ類[セロソルブ、ブチルセロソルブ等]、カルビトール類[カルビトール、ブチルカルビトール等]、酢酸エステル類[酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等]が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。
【0053】
材料Iにおいて、成分(I−C)としては、例えば紫外線(具体的には波長200〜400nmの光)を照射することにより光重合を開始させるものが挙げられる。そのような成分(I−C)としては、具体的には、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア907」)、ベンゾインとそのアルキルエーテル類[ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等]、アセトフェノン類[アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等]、アントラキノン類[2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノン等]、チオキサントン類[2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等]、ケタール類[アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等]、ベンゾフェノン類、及びキサントン類等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。
【0054】
材料Iにおいて、その他、添加剤として、充填剤、増感剤、着色用顔料、密着性付与剤、重合禁止剤類、エポキシ化合物、エポキシ硬化剤、反応促進剤(安息香酸系及び第三級アミン系等)、溶剤(エーテル類、エステル類、ケトン類等)、消泡剤(シリコンオイル等)、レベリング剤、だれ止め剤等が、一又は二以上配合されてもよい。
【0055】
材料Iの添加剤において、充填剤としては、具体的には、硫酸バリウム、酸化珪素、タルク、クレー、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。増感剤としては、具体的にはペンチル−4−ジメチルアミノベンゾエート等のジメチルアミノ安息香酸エステル類、脂肪族アミン類等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。着色用顔料としては、具体的にはフタロシアニン・ブルー、フタロシアニン・グリーン、酸化チタン・カーボンブラック等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。密着性付与剤としては、不飽和リン酸化合物、ポリエステル型ジアクリレート類等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。
【0056】
重合禁止剤類としては、具体的には、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、ターシャリブチルカテコール、フェノチアジン等が挙げられ、これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。エポキシ化合物としては、具体的にはビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、N−グリシジル型エポキシ樹脂または脂環式エポキシ樹脂などの一分子中に2個以上のエポキシ基を含有するエポキシ化合物等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。エポキシ硬化剤としては、具体的にはアミン化合物類、イミダゾール化合物類、カルボン酸類、フェノール類、第四級アンモニウム塩類またはメチロール基含有化合物類等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。
【0057】
材料Iの組成において、成分(I−A)100重量部に対し、成分(I−B)は30〜300(特に50〜200)重量部、成分(I−C)は0.2〜30(特に2〜20)重量部であることが、それぞれ好ましい。
【0058】
次に、図2(c)に示すように、カバーフィルム6の上に水現像が可能な紫外線遮光性且つ可視光硬化性を有するレジスト膜8(第2の光硬化性レジスト膜)をラミネート法により設ける。
【0059】
このレジスト膜8に対して露光及び現像を行うことにより形成されるパターンが、下側のソルダーレジスト膜7のマスクとなる。したがって、レジスト膜8の露光の際に、レジスト膜8の下側に位置する紫外線硬化性のソルダーレジスト膜7を感光させないように、レジスト膜8が紫外線遮光性を有することが必要である。
【0060】
そのようなレジスト膜8に用いられる、水現像が可能な紫外線遮光性且つ可視光硬化性を有する材料(「材料II」とも言う。)としては、例えばポリマー類及び/又はオリゴマー類(以下、成分(II−A)という)、モノマー類(以下、成分(II−B)という)、反応開始剤(以下、成分(II−C)という)、並びに紫外線遮光性材料(以下、成分(II−D)という)を、少なくとも含むものが挙げられる。
【0061】
材料IIにおいて、成分(II−A)としては、水溶性樹脂が挙げられる。そのような成分(II−A)としては、繰り返し重合単位中に、親水基及び/又は親水性化学構造を持つ樹脂が挙げられる。親水基としては、例えばヒドロキシル基、メチロール基、酸性基(カルボキシル基、スルホン酸基等)及びその塩(カルボキシレート、スルホネート等)、塩基性基(アミノ基等)及びその塩(アンモニウム等)が挙げられる。これらのうち、一又は二以上の親水基が含有されていてもよい。。親水性化学構造としては、エーテル結合(オキシアルキレン等)、エステル結合、アミド結合、酸アミド結合、ヒダントイン骨格、ピロリドン骨格等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。
【0062】
具体的には成分(II−A)としては、例えば下記の合成樹脂、天然高分子類、及び半合成樹脂等が挙げられる。即ち、成分(II−A)における合成樹脂としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリメチルビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリエチレンオキシド、水溶性フェノール樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリアミド樹脂等が挙げられ、好ましくは、水溶性ポリエステル樹脂、水溶性ポリアミド樹脂等である。これらのうち、一又は二以上を含有していてもよい。
【0063】
成分(II−A)の合成樹脂の一例であるPVAとしては、例えば重合度100〜5000(特に500〜2500)のものが好ましい。重合度が低すぎると、成膜性が低下する場合がある。逆に重合度が高すぎると、現像性が十分得られない場合がある。更に、PVAとしては、鹸化度60モル%以上(特に70モル%以上)のものが好ましい。鹸化度が低すぎると、現像性が十分得られない場合がある。
【0064】
成分(II−A)の合成樹脂の一例であるポリメチルビニルエーテルとしては、例えば分子量20000〜5000000(特に100000〜1000000)のものが好ましい。分子量が小さすぎると、硬化フィルムの強度が十分得られない場合がある。逆に分子量が大きすぎると、現像性が十分得られない場合がある。
【0065】
成分(II−A)の合成樹脂の一例であるポリビニルピロリドンとしては、例えば分子量5000〜5000000(特に500000〜1500000)のものが好ましい。分子量が小さすぎると、硬化フィルムの強度が十分得られない場合がある。逆に分子量が大きすぎると、現像性が十分得られない場合がある。
【0066】
成分(II−A)の合成樹脂の一例であるポリビニルブチラールとしては、ブチル化度5〜40(特に10〜20)モル%であることが好ましい。ブチル化度が低すぎると現像耐性が低下する場合がある。逆に、高すぎると現像性が低下する場合がある。平均重合度としては、100〜3000(特に600〜2000)が好ましい。平均重合度が小さすぎると現像耐性が低下する場合がある。逆に、大きすぎると現像性が低下する場合がある。
【0067】
成分(II−A)の合成樹脂の一例であるポリエチレンオキシドとしては、例えば分子量20000〜5000000(特に100000〜1000000)のものが好ましい。分子量が小さすぎると、硬化フィルムの強度が十分得られない場合がある。逆に分子量が大きすぎると、現像性が十分得られない場合がある。
【0068】
成分(II−A)の合成樹脂の一例である水溶性フェノール樹脂としては、例えばレゾール型フェノール樹脂が挙げられる。合成樹脂において水溶性メラミン樹脂とは、例えば高メチロール化メラミン(ヘキサメチロールメラミン、ペンタメチロールメラミン等)が挙げられる。
【0069】
成分(II−A)の合成樹脂の一例である水溶性ポリエステル樹脂としては、例えば二塩基酸とグリコール類とから得られるものが挙げられる。二塩基酸としては例えばマレイン酸、フタル酸、イタコン酸等、グリコール類としてはグリコールそれ自体、ジエチレングリコール等が挙げられる。具体的には水溶性ポリエステル樹脂としては、例えばアロンメルトPES−1000、アロンメルトPES−2000(何れも東亜合成(株)社製)等の市販品を使用することができる。
【0070】
成分(II−A)の合成樹脂の一例である水溶性ポリアミド樹脂としては、例えばポリアミド樹脂をエチレンオキシド等にて変性したものが挙げられる。具体的には水溶性ポリアミド樹脂としては、例えばAQナイロンA−90、AQナイロンP−70(何れも東レ(株)社製)等の市販品を使用することができる。
【0071】
成分(II−A)において、天然樹脂としては、例えば澱粉、デキストリン、蛋白質(ゼラチン、にかわ、カゼイン等)が挙げられる。天然高分子類において、澱粉及びデキストリンとしては、分子量10000〜500000(特に20000〜200000)のものが好ましい。蛋白質としては、分子量5000〜50000(特に10000〜20000)のものが好ましい。分子量が小さすぎると、成膜性が低下する場合がある。逆に分子量が大きすぎると、現像性が低下する場合がある。
【0072】
成分(II−A)において、半合成樹脂としては、例えば変性セルロース(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等)が挙げられる。ヒドロキシエチルセルロースとしては、例えば重合度50〜1000(特に200〜700)のものが好ましい。重合度が小さすぎると、塗膜強度が不十分となり、逆に大きすぎると現像性が低下する場合がある。
【0073】
尚、成分(II−A)としては、感光基を有する水溶性樹脂(以下、単に「感光性水溶性樹脂」ということがある。)を使用してもよい。感光性水溶性樹脂を使用した場合、現像耐性が向上するという効果がある。
【0074】
上記感光基としては、前記材料Iにおいて例示したものが挙げられる。例えば、成分(II−A)の一例である感光性水溶性樹脂としては、下記の(メタ)アクリロイル基含有樹脂、エポキシ基含有樹脂、ビニル基含有樹脂等が挙げられる。感光性水溶性樹脂において(メタ)アクリロイル基含有樹脂としては、水溶性樹脂に不飽和脂肪酸を反応させたものが挙げられる。水溶性樹脂としては、例えばポリオール樹脂(PVA、ポリビニルブチラール樹脂等)、ポリエステル樹脂等が挙げられる。不飽和脂肪酸としては、例えばα,β−不飽和脂肪酸(アクリル酸、メタクリル酸等)、イタコン酸、ケイ皮酸等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。
【0075】
具体的には、感光性水溶性樹脂において、(メタ)アクリロイル基含有樹脂としては、PVAにα,β−不飽和脂肪酸を付加したものが挙げられる。α,β−不飽和脂肪酸は、PVA中のヒドロキシ基の例えば5〜40モル%(特に10〜30モル%)付加してよい。不飽和脂肪酸の付加量が少なすぎると、現像耐性を向上させる効果が低くなることがあり、逆に多すぎると現像性が低下することがある。重合度としては100〜5000(特に500〜2500)等であってよい。
【0076】
他の(メタ)アクリロイル基含有樹脂としては、ヒドロキシセルロースにα,β−不飽和脂肪酸を付加したものが挙げられる。α,β−不飽和脂肪酸は、ヒドロキシセルロース中のヒドロキシ基の例えば5〜25モル%(特に10〜20モル%)付加してよい。不飽和脂肪酸の酸化量が少なすぎると、現像耐性を向上させる効果が低くなることがあり、逆に多すぎると現像性が低下することがある。重合度としては20〜1000(特に50〜500)等であってよい。
【0077】
感光性水溶性樹脂の一例であるエポキシ基含有樹脂としては、水溶性樹脂にエポキシ化合物を反応させたものが挙げられる。水溶性樹脂としては、例えばPVA、ポリエステル樹脂等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。エポキシ化合物としては、例えばエピクロルヒドリン等が挙げられる。
【0078】
具体的には、PVAにエピクロルヒドリンを付加したものが挙げられる。エピクロルヒドリンは、PVAに水酸基の例えば5〜40(特に10〜30)モル%付加してよい。エピクロルヒドリンの付加量が少なすぎると、現像耐性を向上させる効果が低くなることがあり、逆に多すぎると現像性が低下することがある。重合度としては100〜5000(特に500〜2500)等であってよい。
【0079】
他のエポキシ基含有樹脂としては、1,3−ジグリシジルヒダントイン、1−グリシジルヒダントイン等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。
【0080】
感光性水溶性樹脂の一例であるビニル基含有樹脂としては、ヒドロキシエチルセルロースにビニルクロライドを付加したものが挙げられる。ビニルクロライドは、ヒドロキシセルロースの水酸基の例えば5〜30(特に10〜20)モル%付加してよい。ビニルクロライドの付加量が少なすぎると、現像耐性を向上する効果が低くなることがある。逆に多すぎると現像性が低下することがある。重合度としては50〜1000(特に200〜700)等であってよい。
【0081】
材料IIにおいて、成分(II−B)としては、感光基を有するものが挙げられる。感光基としては、前記材料Iにおいて例示したものが挙げられる。例えば成分(II−B)としては、単官能(メタ)アクリレート類(即ち、単官能アクリレート類及び/又は単官能メタクリレート類)及び多官能(メタ)アクリレート類が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。成分(II−B)において単官能(メタ)アクリレート類としては、例えば次式(化−1)にて表されるものが挙げられる。
【0082】
【化1】

〔式中、Rはアルキル基若しくは脂環族炭化水素基を表し、Rは水素若しくはメチル基を表す。〕
【0083】
において、アルキル基としてはC1〜C12のものが挙げられる。脂環族炭化水素基としてはモノ若しくはポリシクロアルキル基、又はモノ若しくはポリシクロアルケニル基等が挙げられる。尚、アルキル基若しくは脂環族炭化水素基は、置換基(ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基等)を有していてもよい。
【0084】
具体的には、成分(II−B)において単官能(メタ)アクリレート類としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。
【0085】
成分(II−B)において多官能(メタ)アクリレート類としては、ポリオールと(メタ)アクリル酸との部分エステル化物若しくはパーエステル化物等が挙げられる。ポリオールとしては、例えばグリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール等)、グリセリン類(グリセリンそれ自体等)、他のトリオール類(トリメチロールプロパン等)、テトラオール類(ペンタエリスリトール等)、ペンタオール類(ソルビトール、マンニトール等)、ヘキサオール類(ジペンタエリスリトール等)が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。
【0086】
具体的には成分(II−B)において多官能(メタ)アクリレート類としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。
【0087】
成分(II−B)の別の具体例としては、例えば脂環式タイプのものが挙げられる。脂環式タイプのものとしては、シクロヘキセンオキシド系のものが挙げられる。具体的には、下記式(化−2)〜(化−6)で表されるものが挙げられる。尚、式(化−6)で表されるものとしては、式中、Mが2〜50(特に2〜30)の整数であるものが好ましい。
【0088】
【化2】

【0089】
【化3】

【0090】
【化4】

【0091】
【化5】

【0092】
【化6】

【0093】
成分(II−B)の更に別の具体例としては、下記式(化−7)及び(化−8)で表されるものが挙げられる。
【0094】
【化7】

【0095】
【化8】

上記化学式で表されたもののうち、一又は二以上が含有されていてもよい。
【0096】
成分(II−B)の更に別の具体例としては、水溶性モノマー[成分(I−B)において例示したもの等]が挙げられる。
成分(II−B)としては、感光基の個数が2個以上(特に3〜6個)のものが、現像耐性の点から好ましい。更に、常温にて液体であるもの、特に成分(II−A)の溶剤となるものが、塗布性の面から好ましい。具体的には、そのような成分(II−B)としては、感光基を3〜6個有するもの、特にジペンタエリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が特に好ましい。
【0097】
材料IIにおいて、成分(II−C)としては、可視光(例えば波長400〜800nmの光)を照射することにより光ラジカル重合を開始させるものが挙げられる。そのような成分(II−C)としては、可視光領域に大きな吸収を有するもの、具体的には、2−[2−(5−メチルフラン−2−イル)エチニル]−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン(三和ケミカル社製、「TME−トリアジン」)等のトリクロロメチル−s−トリアジン類、ベンジル、α−ナフチル、アセナフタン、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−ジシクロベンジル等のベンジル化合物、カンファーキノン等のキノン化合物、2−クロルチオキサントン、2,4−ジエトキシチオキサントン、メチルチオキサントン等のチオキサントン化合物、トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン化合物等が挙げられる。好ましくは、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−s−トリアジンと3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン(増感色素)との組み合わせ等が挙げられる。
【0098】
材料IIにおいて、成分(II−D)は、可視光を透過し、紫外線を遮断するものが好ましい。具体的には、成分(II−D)としては、酸化チタン、炭酸カルシウム、酸化亜鉛等が挙げられ、これらのうちの一つ又は二種以上が含有されていてもよい。尚、酸化チタンとしては、ルチル型、アナターゼ型のいずれも用いることができる。炭酸カルシウムは酸化チタンに比べて紫外線遮蔽性で若干劣るが、可視光の透過性においては優れた特性を有している。好ましくは、酸化チタンと酸化亜鉛である。遮光性材料は、微粒子状形態(粒径0.0001μm〜0.5μm、特に0.01μm〜0.05μm)が好ましい。
【0099】
図3は、分散媒としてラッカー塗料を使用したときの酸化チタンの微粒子の透過スペクトルである。図中、aは0.2μm、bは0.03〜0.05μm、cは0.01〜0.03μmの平均粒径を有する微粒子について測定した結果である。このように、粒径が大きいほど可視光(波長約400nm以上の光)を遮蔽するが、粒径が小さいほど可視光が透過し、紫外線(波長約350nm未満の光)を遮蔽する傾向であることがわかる。このような実験の結果から、本願発明者等は、可視光の透過性と紫外線の遮蔽性とを満たすために、微粒子は平均粒子サイズが0.5μm以下、特に0.05μm以下とすればよいことを見出したものである。
【0100】
材料IIにおいては、材料Iにおいて例示した添加剤、即ち、充填剤、増感剤、着色用顔料、密着性付与剤、重合禁止剤類、エポキシ化合物、エポキシ硬化剤、反応促進剤(安息香酸系及び第三級アミン系等)、溶剤(エーテル類、エステル類、ケトン類等)、消泡剤(シリコンオイル等)、レベリング剤、だれ止め剤等を一又は二以上配合してもよい。
【0101】
尚、材料IIの添加剤における増感剤としては、成分(II−C)と併用することにより、光重合を成分(II−C)単独のときよりも活性化させるもの、具体的にはジメチルアミノエチルメタクリレート、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、n−ブチルアミン、トリエチルアミン等のアミン系化合物、トリエチル−n−ブチルフォスフィン等のフォスフィン類、チオキサンテン系、キサンテン系、ケトン系、チオピリリウム塩系、ベーススチリル系、メロシアニン系、3−置換クマリン系、3,4−置換クマリン系、シアニン系、アクリジン系、チアジン系、フェノチアジン系、アントラセン系、コロネン系、ベンズアントラセン系、ペリレン系、ケトクマリン系、フマリン系、ボレート系等が好ましい。これらのうち、一又は二以上を含有していてもよい。
【0102】
材料IIの組成において、成分(II−A)100重量部に対し、成分(II−B)は50〜300(特に80〜150)重量部、成分(II−C)は1〜20(特に6〜10)重量部、並びに成分(II−D)は40〜100(特に50〜80)重量部が、それぞれ好ましい。
【0103】
上記のようにして調製される材料IIは、通常、可視光の透過率は60%以上、且つ紫外線の透過率は40%未満である。
【0104】
次いで、上記材料IIから成るレジスト膜8から、レジストパターンを形成する。本発明のレジストパターンの形成方法は、レーザーにより露光を行ってマスクパターンを形成するため、個々のフレキシブル基板1の歪みに合わせてレーザー照射位置を調整して高精密な露光を行うことが可能である。
【0105】
従来は、遮光性のネガパターンが形成されたガラスやフィルムを介してパターン形成を行う場合においては、基板の歪みによる各配線パターン2の位置ずれに露光位置を対応させることが困難であった。また、基板の歪みによる配線パターン2のアスペクト比の変化及びx軸とy軸の成す角度の変化などに対応することはできなかった。
【0106】
以下に説明するように、本発明では、レーザー照射位置を調整して、レジストパターンを形成することにより、前記の従来のパターン形成における課題を解決して、高精密な露光を行うことが可能である。
【0107】
本実施形態においては、個々のフレキシブル基板1の実際の位置に合わせてレーザー照射位置を調整して露光を行うために、露光前に歪みの測定を行う。歪みの値は、複数個所に予め設けた基準点9の座標を測定し、基準位置との誤差から求めることができる。
求められた歪みの値をレーザー露光の制御装置に入力し、基準のレーザー照射制御データに反映させ、レーザー照射位置を調整して図2(d)のようにレーザー露光を行う。
【0108】
可視光硬化性のレジスト膜8の露光は、可視光レーザー10を用いて行う。この際、レジスト膜8の下方に位置するソルダーレジスト膜7は紫外線感光性材料であり、可視光には実質的に感光しない。本実施形態においては可視光として400〜800nmの可視光、例えばg線やアルゴンレーザー(488nm)及びFD−Nd/YAGレーザー(532nm)等のレーザーによる可視光が用いられる。
【0109】
露光されたレジスト膜8は水を用いて現像する。より詳細には10〜80℃、好ましくは10〜30℃の水を、10〜300秒、好ましくは10〜60秒スプレーすることで現像が可能である。レジスト膜8が水により現像された状態を図2(e)に示す。なお、ソルダーレジスト膜7はアルカリ現像性を有するものであるので、ここで使用する現像液である水は、ソルダーレジスト膜7には影響を与えない。
【0110】
水現像によりレジストパターン11を形成した後、図2(f)のようにプリント配線板3上の全面に紫外線12を照射する。この場合、紫外線遮光性を有するレジストパターン11がソルダーレジスト膜7に対するマスクパターンとなっているので、ソルダーレジスト膜7のレジストパターン11下の部分は、非露光部分(非硬化部分)13となり、その他の部分でソルダーレジスト膜7が硬化する。これにより、ソルダーレジストパターン5を形成することができる。
【0111】
紫外線照射のための光源や紫外線の照射量等の条件はソルダーレジスト膜7に適する条件を選択する。具体的には本実施形態においては紫外線として波長200〜400nmの光、例えば低・中・(超)高圧水銀灯、キセノンランプまたはメタルハライドランプ、レーザー等による紫外線が用いられる。
【0112】
紫外線12照射後、非感光性のカバーフィルム6を剥離することで図2(g)のようにレジストパターン11を除去し、その後アルカリ性現像液を用いてソルダーレジスト膜7を現像することで、非露光部分13を除去して、図2(h)のようにソルダーレジストパターン5を形成することが可能である。アルカリ性現像液としては、例えば0.5〜3%炭酸ナトリウム水溶液等が挙げられる。
【0113】
以上の流れでソルダーレジスト膜7に対してパターン形成を行うことにより、各露光パターンに一つの露光マスクプレート或いは露光マスクシートを製造する必要がない。その結果、露光精度の向上、及びソルダーレジストの露光時間の短縮が可能であり、且つレジストパターンの位置ずれを防止できる。またソルダーレジスト材は従来使用していた材料をそのまま用い、レーザーに対する感度の低いソルダーレジスト材であっても、レーザー露光を反映してレジストパターンの形成を行うことが可能となる。即ち、第1の光硬化性レジスト膜に用いる材料の自由度を低減させることなく、本来の用途に適する性質の第1の光硬化性レジスト膜を選択して、レーザー露光を反映したレジストパターンの形成を行うことが可能となる。
【0114】
なお、プリント配線板3、第1の光硬化性レジスト膜、第2の光硬化性レジスト膜、及びシート等の種類、材質、構造、並びに設置方法等は本実施形態に示した例に限定されない。
【0115】
例えば、本実施形態においてはプリント配線板3として、フレキシブル基板1上に銅等の導電材料からなる配線パターン2を設けたものを用いたが、リジッド基板のものでもよく、また、導電材料はアルミニウムや金等であってもよい。更に、片面若しくは両面プリント配線板、又は単層若しくは多層プリント配線板の何れであってもよい。
【0116】
また、本実施形態においては第1の光硬化性レジスト膜としてソルダーレジスト膜7を用い、半田等を用いたフリップチップ接合等に対応可能なソルダーレジスト膜のパターン形成プロセスを例に説明したが、本発明のレジストパターンの形成方法は、他のプロセスに対応するための他のレジストパターン(エッチングレジストパターン、めっきレジストパターン、ガラスマスク等)の形成に用いられても良い。しかしながら、本発明のレジストパターンの形成方法は、ソルダーレジストの露光のように、露光面積の割合が非露光面積の割合に対し著しく多い場合に好適である。
【0117】
本実施形態においては第1の光硬化性レジスト膜は、弱アルカリ現像液により現像されるドライフィルム状のソルダーレジスト膜を用いたが、酸現像タイプのレジスト膜でも良く、液状或いはゾル状のレジストを塗布、印刷、スプレーコーティング等により設けても良い。酸現像タイプの第1の光硬化性レジスト膜を用いる場合は第2の光硬化性レジスト膜の現像液によって現像されない材料を選択する。
【0118】
第1の光硬化性レジスト膜と同様に第2の光硬化性レジスト膜も液状或いはゾル状のものを用いて塗布、印刷、スプレーコーティング等により設けても良く、また、酸により現像される材料を用いても良い。第2の光硬化性レジスト膜に酸により現像される材料を用いる場合は、第1の光硬化性レジスト膜には酸により現像されず耐酸性を有するものを用いる。即ち、第1の光硬化性レジスト膜と第2の光硬化性レジスト膜とでは、それぞれ、異なる現像液によって現像される材料を用いることが重要である。
【0119】
第1のレジスト材料又は第2のレジスト材料として採用できる酸現像性材料について、以下詳細に説明する。
酸現像性材料としては、ポリマー類及び/又はオリゴマー類と、モノマー類及び/又は有機溶剤とから少なくとも成る樹脂組成物が、以下の成分(i)又は成分(ii)のみからなるもの、又は、成分(i)及び成分(ii)からなるものが挙げられる。
成分(i)とは、ポリマー類及び/又はオリゴマー類が塩基性構造を有するものであり、成分(ii)とは、ポリマー類、オリゴマー類、及びモノマー類の少なくとも何れかが塩基性基を有するものである。
【0120】
上記成分(i)の場合、ポリマー類、オリゴマー類としては、例えばメラミン系樹脂[メラミン樹脂、メラミン・アルキド樹脂、メラミンベンゾグアナミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、メラミン・フェノール樹脂、メラミン・ユリア樹脂等]、アニリン樹脂等が挙げられ、これらの一又は二以上が含有されていてもよい。
【0121】
上記成分(ii)の場合、塩基性基としては、例えば第1級、第2級及び第3級アミノ基、並びに第4級アンモニウム基等が挙げられ、これらのうち、一又は二以上の塩基性基が含有されていてもよい。。好ましくは、塩基性基としては、第2級及び第3級アミノ基がある。
【0122】
上記成分(ii)の場合、ポリマー類、オリゴマー類、モノマー類としては、例えば、酸性基を有する成分(I−A)において酸性基を上記塩基性基に替えたもの、酸性基を有する成分(I−B)のモノマー類において酸性基を上記塩基性基に替えたもの、成分(II−A)の内、塩基性基を有するもの、並びに酸性基を有さない成分(I−B)及び(II−B)のモノマー類において上記塩基性基を付加したもの等が挙げられる。これらのうち、一又は二以上が含有されていてもよい。
酸現像性材料には、前記材料I及びIIにおいて例示した添加剤を一以上配合していてもよい。
【0123】
酸現像性材料であって紫外線硬化性のものとしては、上記ポリマー類及び/又はオリゴマー類と、モノマー類及び/又は有機溶剤とから少なくとも成る樹脂組成物において、ポリマー類、オリゴマー類、及びモノマー類の少なくとも一つが感光基(例えば、前記材料Iにて述べたもの)を更に備えたものであり、且つ成分(I−C)を更に配合したものが挙げられる。
【0124】
また、酸現像性材料であって紫外線遮光性且つ可視光硬化性のものとしては、上記ポリマー類及び/又はオリゴマー類と、モノマー類及び/又は有機溶剤とから少なくとも成る樹脂組成物において、成分(II−C)及び(II−D)を更に配合したものが挙げられる。
酸現像液としては、例えば有機酸(リンゴ酸等)、無機酸(燐酸等)等が挙げられる。
【0125】
ところで、本発明では、第2の光硬化性レジスト膜が、第1の光硬化性レジスト膜が感光する波長の光を遮蔽する材料からなるものである。即ち、第2の光硬化性レジスト膜に第1の光硬化性レジスト膜の露光に用いる波長に感光する材料を用いることはできず、また第1の光硬化性レジスト膜の露光と同じ波長の光で第2の光硬化性レジスト膜を露光することはできない。よって、第1の光硬化性レジスト膜には、第1の光硬化性レジスト膜に必要な性質を有する材料を選択し、この材料に適する波長の光を用いて露光を行えばよい。また、第2の光硬化性レジスト膜には、第1の光硬化性レジスト膜の露光に用いる波長と異なる波長の光であって、かつ、第2の光硬化性レジスト膜が遮光しない波長の光を露光に用いることができる材料を選択し、露光すればよい。
【0126】
このことに鑑みれば、上記実施形態に限定されず、別の本実施形態として、以下のようなものがあげられる。例えば、第1の光硬化性レジスト膜(ソルダーレジスト膜7)に水現像が可能な紫外線遮光性且つ可視光硬化性を有する材料(材料II等)を用い、第2の光硬化性レジスト膜(レジスト膜8)に可視光遮光性且つ紫外線硬化性を有し、水に不溶で弱アルカリ性現像液により現像される材料を用いて、それぞれを形成し、第1の光硬化性レジスト膜の露光に可視光を用い、第2の光硬化性レジスト膜の露光に紫外線を用いてもよい。
【0127】
尚、可視光遮光性且つ紫外線硬化性を付与する方法としては、感光性材料に着色顔料(特にカーボンブラック等)を配合する方法等が挙げられる。
【0128】
本実施形態におけるカバーフィルムは、可視光及び紫外線透過性を有するものを用いたが、第1の光硬化性レジスト膜を硬化せしめる感応波長域の光(例えば紫外線)のみを透過するものでもよい。更に、本実施形態においてカバーフィルムは第1の光硬化性レジスト膜(ソルダーレジスト膜)上に予め設けられているものを用いたが、カバーフィルムに覆われていない第1の光硬化性レジスト膜を用い、カバーフィルムをラミネートしてもよく、あるいは第2の光硬化性レジスト膜が形成されたカバーフィルムをラミネートしてもよい。また、第1の光硬化性レジスト膜上に液状或いはゾル状のカバーフィルムの原料を塗布、印刷、スプレーコーティング等により設けるなどして、第1の光硬化性レジスト膜とカバーフィルムとを別に設けても良い。この場合、カバーフィルムは本実施形態に示した通り、剥がして除去しても良いが、薬品等を用いて除去することも可能である。カバーフィルムを除去する薬品は、レジスト膜、配線、基板等を侵さない材料からなるものを用いる。
【0129】
本実施形態においては、パターン露光された第1の光硬化性レジスト膜の非露光部分は現像により除去したが、図4のようにカバーフィルム6の剥離時にソルダーレジスト膜(第1の光硬化性レジスト膜)の非露光部分13の一部或いは全てをカバーフィルム6に粘着させてカバーフィルム6と共に取り除いても良い。
【0130】
また、カバーフィルムは用いなくても良い。カバーフィルムを用いない場合は、図5のようにレジストパターン11を第1の光硬化性レジスト膜の現像と同時に除去することができる。
カバーフィルムをレジスト膜とは別に設ける場合や、カバーフィルムを用いない場合には、雰囲気によるレジスト膜の品質劣化への対策が必要である。
【実施例】
【0131】
以下、本発明を、図6及び図7を用い、実施例により具体的に説明する。
・実施例1
先ず、均一分散した下記配合組成1)の樹脂組成物を、厚さ100μmのPEフィルム14上に、150メッシュポリエステルスクリーンを用い印刷し、80℃で15分乾燥した。こうして、PEフィルム14上に、第2の光硬化性レジスト膜8を形成した。その後、この第2の光硬化性レジスト膜8の上面に、厚さ25μmのPETカバーフィルム6を積層した。こうして、PEフィルム14、第2の光硬化性レジスト膜8、及びPETカバーフィルム6から成る3層体(図6(a)参照)を作製した。
【0132】
一方、配線パターン2形成済みのプリント配線板3上に、下記配合組成2)のアルカリ現像型のソルダーレジスト剤をスクリーン印刷して、プリント配線板3上に第1の光硬化性レジスト膜7を形成した(図6(b)参照)。
次に、上記プリント配線板3上の第1の光硬化性レジスト膜7上に、PETカバーフィルム6を介して前記3層体を積層した。そして、図6(c)に示すこの積層体の最上層にあるPEフィルム14を剥離し、第2の光硬化性レジスト膜8を露出させた(図6(d)及び図7(a)参照)。これに432nmのレーザー光10をレーザー照射位置15に照射し(図7(a)参照)所定のパターンを描画した(図6(e)参照)。描画時間は20秒であった。次いで、流水で20秒間現像し、第2の光硬化レジストパターン11を形成した(図7(b)参照)。
【0133】
その後、高圧水銀灯を用い、上方からプリント配線板に向け全面に紫外線12を照射し(図6(f)参照)、第1の光硬化レジスト膜のうち、レジストパターン11下の非露光部分13のみ残し、その他の部分を硬化せしめた(図6(g))。紫外線12の照射時間は30秒であった。次いで、第2の光硬化レジストパターン11をPETカバーフィルム6と共に剥離した(図6(h)参照)。そして、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を用い、第1の光硬化性レジスト膜のうち、非露光部分13を現像除去した。
このようにして、第2の光硬化レジストパターン11とは逆のパターンを持つ第1の光硬化レジストパターン5が被覆されたプリント配線板が得られた(図6(i)、図7(c)参照)。
【0134】
この実施例1においては、レーザー10による描画時間が20秒と短く、且つ高圧水銀灯による紫外線12照射は別の装置で行えるため、生産性に極めて優れていた。更に、レーザー10による描画であるため、測長による補正をかけることができた。その結果、基板上の正確な位置にレジストパターン5が形成(被覆)されており、位置精度が極めて優れていた。なお、本実施例では、各光硬化レジスト膜の材料として以下の1)、2)の配合組成のものを用いたが、上述した本発明の光硬化レジスト膜として用いることができる別の成分を含んでいても同様の結果が得られた。
【0135】
1)配合組成:
アクリル酸エステルオリゴマー(日本化薬製「ZAA−178」)100重量部,ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(モノマー)25重量部,トリメチロールプロパントリアクリレート(モノマー)10重量部,トリアジン系反応開始剤(三和ケミカル製「TME−トリアジン」)2.5重量部,ビスケトクマリン(増感色素、山本化成製「KCD」)0.15重量部,超微粒子酸化チタン(UV遮蔽剤、平均粒径0.03μm、石原産業製「TTO−55」)20重量部,ポリジメチルシロキサン(消泡剤、信越シリコーン製「KS−66」)0.5重量部。
【0136】
2)配合組成:
テトラヒドロフタル酸無水物変性トリフェニルメタン型エポキシアクリレートオリゴマー(日本化薬製「TCR−1041」)150重量部,ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(モノマー)25重量部,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア907」)20重量部,トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学製「TEPIC」)30重量部,メラミン(日産化学製メラミン)4重量部、硫酸バリウム(堺化学製「バリファイン100」)150重量部,ポリジメチルシロキサン(消泡剤、信越シリコーン製「KS−66」)0.5重量部、緑色顔料0.05重量部。
【0137】
・比較例1
以下、比較例1を図8に基づいて説明する。
配線パターン2形成済みのプリント配線板3上に、上記配合組成2)のアルカリ現像型のソルダーレジスト剤をスクリーン印刷し、第1の光硬化性レジスト膜7を形成した。
次いで、この第1の光硬化性レジスト膜7に対し、実施例1の第1の光硬化レジストパターン5と同じパターン領域に、365nmの紫外線レーザー16を、描画(照射)した。描画時間は2分30秒であった。
【0138】
その後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液にて第1の光硬化性レジスト膜のうち、前期レーザーが照射されなかったため硬化せず残った非露光部分13を現像除去して、第1の光硬化レジストパターン5が被覆されたプリント配線板が得られた[(図8(c)参照)]。
この比較例1では、紫外線レーザー16により描画したので位置精度は優れていたが、描画時間が2分30秒と長く、生産性に劣った。
【0139】
・比較例2
以下、比較例2を図9に基づいて説明する。
配線パターン2形成済みのプリント配線板3上に、前記配合組成2)のアルカリ現像型のソルダーレジスト剤をスクリーン印刷し、第1の光硬化性レジスト膜7を形成した。
次いで、この第1の光硬化性レジスト膜7上に、実施例1の第2の光硬化レジストパターン11と同じパターンを持つネガフィルム17を密着させた。そして、このネガフィルム17を介して、高圧水銀灯により、第1の光硬化性レジスト膜7全面に紫外線12を照射した。照射時間は30秒であった。
その後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液にて第1の光硬化性レジスト膜7の非露光部分13を現像除去して、第1の光硬化レジストパターン5が被覆されたプリント配線板が得られた(図9(c)参照)。
【0140】
この比較例2においては、高圧水銀灯による全面照射であるため生産性に優れているが、ネガフィルム17の温湿度による寸法変化等のため、基板上の配線パターン2に対する第1の光硬化レジストパターン5の位置が不正確となり、位置精度が悪くなった。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【図1】本発明のレジストパターンの形成方法を用いて製造されたソルダーレジストパターンの一例を示す断面概略図である。
【図2】本実施形態における本発明のレジストパターンの形成方法の流れを示す断面概略図である。
【図3】酸化チタン微粒子の透過スペクトルである。
【図4】図2においてソルダーレジスト膜の非露光部分を除去する工程の別の例を示す断面概略図である。
【図5】図2においてカバーフィルムを用いない場合のレジスト膜の硬化膜によるマスクパターンの除去方法を示す断面概略図である。
【図6】実施例1における本発明のレジストパターンの形成方法の流れを示す断面概略図である。
【図7】図(a)、(b)、及び(c)は、それぞれ図6(d)、(f)、及び(i)におけるプリント配線板の上面図を表す。即ち、各切断線A−A’、B−B’、及びC−C’において切断した断面図が、それぞれ図6(d)、(f)、及び(i)に該当する。
【図8】比較例1におけるレジストパターンの形成方法の流れを示す断面概略図である。
【図9】比較例2におけるレジストパターンの形成方法の流れを示す断面概略図である。
【符号の説明】
【0142】
1 フレキシブル基板
2 配線パターン
3 プリント配線板
4 開口
5 ソルダーレジストパターン
6 カバーフィルム
7 ソルダーレジスト膜
8 レジスト膜
9 基準点
10 可視光レーザー
11 レジストパターン
12 紫外線
13 非露光部分(非硬化部分)
14 PEフィルム
15 照射予定位置
16 紫外線レーザー
17 ネガフィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体チップ或いは配線基板の配線パターン上に第1の感応波長域の波長の光に感応する第1の光硬化性レジスト膜を形成する工程と、
前記第1の光硬化性レジスト膜の上側に、第1の感応波長域の波長の光を遮断し、且つ第2の感応波長域の波長の光に感応する第2の光硬化性レジスト膜を形成する工程と、
第2の感応波長域の波長の光を含むレーザーを第2の光硬化性レジスト膜のマスクパターンとなる領域に走査して露光する工程と、
第1の光硬化性レジスト膜を現像しない現像液で前記第2の光硬化性レジスト膜を現像してマスクパターンを形成する工程と、
前記第1の感応波長域の波長の光で、前記マスクパターンをマスクとして、前記第1の光硬化性レジスト膜をパターン露光する工程と、
前記第1の光硬化性レジスト膜を現像して、前記半導体チップ或いは配線パターンが形成された基板上にレジストパターンを形成する工程を有することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項2】
請求項1に記載のレジストパターンの形成方法において、
前記第1の光硬化性レジスト膜の上側に第2の光硬化性レジスト膜を形成する際に、前記第2の光硬化性レジスト膜を第1の感応波長域の波長の光を透過するカバーフィルムを介して形成し、
第1の光硬化性レジスト膜を現像する工程では、最初に前記カバーフィルムを剥がすことにより、マスクパターンを除去することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項3】
請求項1に記載のレジストパターンの形成方法において、
前記第1の光硬化性レジスト膜の上側に第2の光硬化性レジスト膜を形成する際に、前記第2の光硬化性レジスト膜を第1の感応波長域の波長の光を透過するカバーフィルムを介して形成し、
第1の光硬化性レジスト膜を現像する工程では、カバーフィルムを剥がすことによりマスクパターンを除去すると共に第1の光硬化性レジスト膜の非露光部分を除去することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のレジストパターンの形成方法において、
前記カバーフィルムと第1の光硬化性レジスト膜とを積層せしめた積層体を、前記配線パターン上に設けた後に、
前記カバーフィルム上に第2の光硬化性レジスト膜を形成することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一つに記載のレジストパターンの形成方法において、
第2の感応波長域を含むレーザーをマスクパターンとなる領域に走査して前記第2の光硬化性レジスト膜の前記マスクパターンとなる領域を露光する際に、
予め各配線パターンに対し位置ずれ補正を行ってから、第2の感応波長域の波長の光を含むレーザーを走査し、各配線パターン上にマスクパターンを形成することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一つに記載のレジストパターンの形成方法において、
第1の光硬化性レジスト膜として紫外線感光性を有する材料を用い、前記第1の光硬化性レジスト膜を紫外線により露光し、第2の光硬化性レジスト膜として可視光感光性を有する材料を用い、前記第2の光硬化性レジスト膜を可視光レーザーにより露光することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一つに記載のレジストパターンの形成方法において、
第2の光硬化性レジスト膜が、酸化チタン微粒子、炭酸カルシウム微粒子、及び酸化亜鉛微粒子の内の少なくとも1種を含有したものであることを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項8】
請求項7に記載のレジストパターンの形成方法において、
酸化チタン微粒子、炭酸カルシウム微粒子、及び酸化亜鉛微粒子の内の少なくとも1種が平均粒径0.01μm〜0.05μmを有することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項9】
請求項1〜8の何れか一つに記載のレジストパターンの形成方法において、
第2の光硬化性レジスト膜に水現像が可能な材料を用い、
第2の現像液として水を用いることを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項10】
請求項1〜9の何れか一つに記載のレジストパターンの形成方法において、
第1の光硬化性レジスト膜がソルダーレジストであることを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項11】
請求項1〜9の何れか一つに記載のレジストパターンの形成方法において、
第1の光硬化性レジスト膜がめっきレジストであることを特徴とするレジストパターンの形成方法。
【請求項12】
請求項1〜9の何れか一つに記載のレジストパターンの形成方法において、
第1の光硬化性レジスト膜がエッチングレジストであることを特徴とするレジストパターンの形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−116910(P2008−116910A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−201223(P2007−201223)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【出願人】(591028980)山栄化学株式会社 (45)
【Fターム(参考)】