不揮発性メモリにおける基準トランジスタ用可変ゲート・バイアス
不揮発性メモリ(30)はナノクリスタルメモリセル(50、51、53)を備える。メモリセルトランジスタ(50、51、53)のプログラム及び消去閾値電圧は、プログラム/消去動作の回数の関数として上昇する。読み出し動作の間、基準トランジスタ(46)がセル電流と比較するための基準電流を供給する。基準トランジスタ(46)がナノクリスタルを含まないことを除いて、基準トランジスタ(46)は、メモリセルトランジスタ(50、51、53)を製造する際に用いるのと同様のプロセスで製造される。同様のプロセスを用いて基準トランジスタ(46)及びメモリセルトランジスタ(50、51、53)双方を製造することにより、基準トランジスタ(46)の閾値電圧は、メモリセルトランジスタ(50、51、53)の閾値電圧のずれに追従する。基準トランジスタ(46)のゲートにバイアスをかけるために、読み出し制御回路(42)が設けられている。読み出し制御回路(42)は、基準トランジスタ(46)のドレイン電流を検知し、基準電流をセル電流に対して実質的に一定値に維持するように、ゲートバイアス電圧を調節する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路メモリに関し、更に特定すれば、不揮発性メモリにおいて基準トランジスタのために可変ゲート・バイアスを設定することに関する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュ・メモリのように、フローティング・ゲート・トランジスタを有する典型的な不揮発性メモリでは、ビットをプログラムする際、選択したフローティング・ゲート・メモリ・セルの閾値電圧を変更する。プログラムされていないセル、または消去されたセルは、プログラムされているセルとは異なる閾値電圧を有する。読み出し動作は、フローティング・ゲート・メモリ・セルのプログラム状態を判定するために行われ、選択されたメモリ・セルのソース端子を、例えば、接地のような所定の電圧に接続した状態で、このセルのゲートに所定の電圧を印加することによって行われる。その結果得られるドレイン電流を、センス・アンプにおける基準電流と比較して、プログラム状態を判定する。例えば、セル電流が基準電流よりも大きい場合、セルは消去状態にあると考えることができる。同様に、セル電流が基準電流未満である場合、セルはプログラム状態にあると考えることができる。基準電圧、または基準電流は、一般には、メモリ・セルの論理ハイ電圧と論理ロー電圧との間の約半分となるように定められている。
【0003】
従来、電圧検知を用いるメモリに対して基準電圧を発生するための技法が種々用いられている。基準電圧を発生するために用いられる技法の1つは、「ダミー・セル」の使用に依存する。ダミー・セルは、通常のセルの挙動をできるだけ近似させてモデル化するために、メモリ・アレイの通常のセルと同じプロセス技術を用いて製造される。しかしながら、ダミー・セルは、セルの論理ハイ電圧と論理ロー電圧との間にある基準電圧を発生することができるよう物理的に小さなものとされる。この技法に伴う問題は、セルの外形形状を縮小すると、ダミー・セルの通常セルに対する時間−電流比を一定に維持する際にプロセス上の問題が生ずることである。
【0004】
また、通常セルと同じサイズのダミー・セルを用いることもできる。しかしながら、通常のサイズのセルに供給するゲート電圧を低下させるには、分圧器が用いられる。
通常サイズのダミー・セルを直列または並列に組み合わせて接続するという別の技法がある。セルの1つに「0」状態を読み出すようにプログラムし、他のセルに「1」論理状態を読み出すようにプログラムすることによって、必要な基準電圧を生成する。しかしながら、この技法は、電圧に対する抵抗の非線形性のためにエラーを生ずる虞れがある。
【0005】
更に別の技法では、基準電圧を定めるためにカレント・ミラーの使用を伴う。しかしながら、カレント・ミラーでは、容認できる精度で所望の電流が得られない場合がある。
ナノクリスタル・メモリ(nanocrystal memory)は、酸化物のような絶縁体に埋め込まれたナノクリスタルを電荷蓄積媒体として用いる。プログラミングにホット・キャリア注入を用い、消去にチャネル消去を採用するナノクリスタル・メモリでは、ナノクリスタル同士の間の領域において、電子が上位酸化物と下位トンネル酸化物との間の界面内に捕獲され易いことがわかっている。これらの電子は、消去時間の延長および/または非常に高い消去電圧によっても、除去することができない。この電子捕獲の結果、消去閾値電圧およびプログラム閾値電圧は、双方とも、プログラム/消去動作が回を重ねるに連れて、上昇する傾向がある。このために、読み出し動作に基準電圧を選択するときに問題が生ずる。基準電圧が高過ぎる場合、ゲート酸化物が損傷を受ける可能性があり、読み出し速度が低下する。しかしながら、基準電圧を余りに低く選択すると、読み出しマージンが影響を受ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、ナノクリスタル・メモリ・セルにおいて、正確な基準電圧を発生可能とし、メモリの寿命を通じて速度および読み出しマージンを維持する回路が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の以上記述した、ならびにより具体的な目的および利点は、添付図面と関連付けた、以下の好適な実施形態の詳細な説明から、当業者には容易に明白となり得る。
概略的には、本発明は、不揮発性メモリ・セルが、ナノクラスタまたはナノクリスタルを有するトランジスタを備えている、不揮発性メモリを提供する。メモリ・セル・トランジスタのプログラムおよび消去閾値電圧は、電子捕獲によって、プログラム/消去動作の回数の関数として上昇する。選択されたメモリ・セルに記憶されているデータ値を判定するために、セルの電流が基準電流と比較される。基準電流を供給するために、基準トランジスタが用いられる。基準トランジスタはナノクラスタを用いないことを除いて、メモリ・セル・トランジスタを製造するために用いられるのと同様のプロセスによって製造される。同様のプロセスを用いて基準トランジスタおよびメモリ・セル・トランジスタ双方を製造することにより、基準トランジスタの閾値電圧は、メモリ・セル・トランジスタの閾値電圧の上昇に追従することになる。基準トランジスタのゲートにバイアスをかけるために、読み出し制御回路が設けられる。読み出し制御回路は、基準トランジスタのドレイン電流を検知し、ゲート・バイアス、即ち、基準トランジスタの電圧を調節することにより、基準電流をセル電流に対して実質的に一定値に維持する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、ナノクリスタル・メモリの消去閾値電圧12およびプログラム閾値電圧14が、プログラム/消去サイクルの回数と共にどのように上昇するかを示すグラフ10である。図1において、一定読み出し基準セル・ゲート電圧16は、メモリの予測された寿命を通じて少なくとも最小要求マージン18が得られるように選択される。しかしながら、一定読み出し基準セル・ゲート電圧16を比較的高くすると、ゲート酸化物に過剰に応力がかかることになり得る。加えて、基準セル・ゲート電圧16が高い程、メモリの動作速度が低下する可能性がある。更に、比較的高いゲート電圧を供給するには、チャージ・ポンプが必要となる場合もあり、実装するには集積回路のかなりの部分が必要となる可能性がある。
【0009】
図2は、プログラム/消去サイクル回数に対するナノクリスタル・メモリの消去閾値電圧22およびプログラム閾値電圧24を示すグラフ20である。読み出し基準セルの閾値電圧は、通常のメモリ・セルのプログラム/消去閾値電圧に追従する。プログラム/消去サイクル回数と共にプログラム/消去閾値電圧が変化するに連れて、可変読み出し基準セル・ゲート電圧26も変化し、このためプログラム閾値電圧と消去閾値電圧との間に最適電圧マージン28が維持される。
【0010】
図3は、本発明による不揮発性メモリ30を示す。メモリ30は、メモリ・アレイ32、列デコーダ34、行デコーダ36、制御ブロック38、および読み出し制御回路41を含む。読み出し制御回路41は、基準回路42、センス・アンプ40、およびデータ出力バッファ44を含み、図4に更に詳細に示されている。メモリ32は、ビット線およびワード線に接続されたプログラム可能な不揮発性メモリ・セルのアレイであり、図5に更に詳細に示されている。行デコーダ36および列デコーダ34は、複数のアドレス信号(図示せず)に応答して、アクセスする1つ以上のメモリ・セルを選択する。制御ブロック38は、メモリ30の種々の部分の動作を制御するために制御信号を供給する。例えば、制御ブロック38は、複数の制御信号をメモリ・アレイ32に供給し、メモリ・セルのプログラム、消去、および読み出しに必要な電圧の印加を制御する。また、制御ブロック38は、制御信号を行デコーダ36および列デコーダ34に供給し、アドレス信号のタイミングを制御する。加えて、制御ブロック38は、基準回路43の動作を制御するために、「RE」と表示したリード・イネーブル信号を供給する。
【0011】
基準回路42は、行デコーダ36に制御信号49を供給するとともに、センス・アンプ40の1つの入力に基準電流を供給する。センス・アンプ40の第2の入力は、列デコーダ34に接続されており、選択されたメモリ・セルからのメモリ・セル電流を受ける。論理状態、即ち、選択されたメモリ・セルに記憶されているデータ値を表す出力電圧が、センス・アンプ40によって出力データ・バッファ44に供給される。すると、データ・バッファ44は、出力電圧をバッファし、更に増幅して、「OUTPUT」と表示したデータ信号を供給する。また、メモリ・アレイ32にプログラムするデータを受け取るために、入力データ経路がメモリ30に含まれているが、図示されていない。入力データ経路の構成要素は、不揮発性メモリでは従来通りであり、その動作の機能の説明は、本発明の説明には特に不要である。
【0012】
図4は、図3のメモリの読み出し制御回路41を更に詳しく示す。読み出し制御回路41は、基準回路42、基準トランジスタ46、行選択トランジスタ52、メモリ・セル50、列選択トランジスタ54、センス・アンプ40、およびデータ出力バッファ44を含む。
【0013】
概略的に、メモリ・アレイ32は複数の不揮発性メモリ・セルを含み、これらは、セルの閾値電圧変更に応答して情報を格納する。具体的には、図示の実施形態では、メモリ・アレイ32は複数のナノクリスタル・メモリ・セルを含む。基準トランジスタ46が情報を記憶するナノクリスタルを含まないことを除いて、基準トランジスタ46はメモリ・アレイ32のメモリ・セルと同一に製造されている。基準トランジスタ46は、「VREF」と表示した基準電圧を受けるゲートと、「VSR」と表示したソース電圧を受けるソース端子と、センス・アンプ40の入力に接続されているドレインとを有する。メモリ・セル50は、行選択トランジスタ52のドレイン/ソース端子に接続されているゲートと、「VSC」と表示したソース電圧を受けるソース端子と、列選択トランジスタ54のドレイン/ソース端子に接続されているドレインとを有する。メモリ・アレイ32および基準トランジスタ46を製造する方法については、図6〜図11の論述において詳しく説明する。
【0014】
基準トランジスタ46の閾値電圧がメモリ・アレイ32の閾値電圧に追従するために、基準トランジスタ46は、メモリ・アレイ32が一巡される毎に一巡する。即ち、基準トランジスタ46は、メモリ・アレイ32がプログラムまたは消去される毎に、同じ時間長だけ、メモリ・アレイ32と同じプログラムまたは消去電圧を受ける。以下で説明するが、通常のメモリ・セルと同じプロセス工程を用いてトランジスタ46が製造されるので、上位酸化物と下位トンネル酸化物との間の界面に電荷が捕獲され、これは除去することができない。閾値電圧は、プログラム/消去サイクルの回数に応答して、メモリ・セルの閾値電圧が変化するに従って変化する。メモリ30内で実施される実際のプログラムおよび消去動作は従来通りであり、本発明の説明には重要でないため、詳しく説明しない。
【0015】
読み出し動作の間、所定のメモリ・セルが選択され、センス・アンプ40の一方の入力に電流が供給される。アドレスに応答して、「RS」と表示した行選択信号が接続トランジスタ52のゲートに供給され、「CS」と表示した列選択信号が接続トランジスタ54のゲートに供給される。「RE」と表示した制御信号に応答して、「VREF」と表示した基準電圧が基準トランジスタ46のゲートに供給され、選択されたメモリ・セル、例えば、メモリ・セル50のゲートにゲート電圧「VCELL」が供給される。ソース電圧VSCおよびVSRは共に接地電位にある。基準電流iREFがセンス・アンプ40の一方の入力に供給され、セル電流iCELLがセンス・アンプ40の他方の入力に供給される。センス・アンプ40は、電流検知型のセンス・アンプである。電流検知は、一般に、論理ハイおよび論理ローセル電圧間の電圧差が比較的小さいときに用いられる。セル電流iCELLが基準電流iREFよりも大きい場合、メモリ・セル50は低閾値電圧を有し、消去状態にある。一方、セル電流iCELLが基準電流iREFよりも低い場合、メモリ・セル50は高閾値電圧を有し、プログラム状態にある。他の不揮発性メモリでは、高閾値電圧が消去状態を示す場合もあり、低閾値電圧が消去状態を示す場合もある。センス・アンプは、メモリ・セル50について検知した状態に対応する出力電圧をデータ出力バッファ44に供給する。データ出力バッファ44は、バッファした出力電圧OUTPUTをメモリ30外部の回路(図示せず)に供給する。
【0016】
図1および図2に示すように、プログラムおよび消去動作の回数が増大するに連れて、メモリ・セルのプログラムおよび消去閾値電圧が増大する。基準トランジスタ46はメモリ・アレイ32と同じプログラムおよび消去動作を受けるため、その閾値電圧も上昇し、基準電流iREFを対応する量だけ減少させる。読み出し動作の間、基準電流iREFは電圧制御回路48にフィードバックされる。電圧制御48は、減少する基準電流の関数として、基準トランジスタ46のゲート電圧VREFおよびセル電圧VCELLを調節する。その結果、図2に示すように、セル電圧VCELLは、メモリがプログラムおよび消去されるに連れ、経時的に上昇する。
【0017】
本発明による可変基準ゲート電圧を用いることによって、ナノクリスタル・メモリ・セルには、セル閾値電圧の変化に追従する、正確な基準電流が供給される。これによって、メモリの寿命を通じて最適な読み出しマージンで動作し、アクセス速度を維持するナノクリスタル・メモリが得られる。
【0018】
図5は、図3のメモリのメモリ・アレイ32を更に詳しく示す。メモリ・アレイ32は、4つの代表的なナノクリスタル・メモリ・セル50、56、58、および60を含む。メモリ・アレイ32は、行および列に編成されている。例えば、メモリ・セル50および58は、メモリ・セルの1つの「列」を形成し、メモリ・セル50および56は、メモリ・セルの1つの「行」を形成する。1行におけるセルの全ては、互いに接続され、セル・ゲート電圧VCELLを受け、セルの列のドレイン端子は全て互いに接続されている。また、メモリ・アレイ32のフローティング・ゲート・トランジスタの全ても、そのソース端子が互いに接続され(共通ソース)ソース電圧VSCを受ける。前述の読み出し動作の間、1つのアドレスに応答して1つのメモリ・セルが選択され、セル電流iCELLがセンス・アンプ40に供給される。
【0019】
図6〜図11は、本発明にしたがって集積回路62内にナノクリスタル・メモリ・アレイ32および基準セル46を製造する方法を断面図で示す。
図6において、半導体基板64の所定の領域に、メモリ・アレイ・ウェル66および基準セル・ウェル68が打ち込まれる。メモリ・アレイ・ウェル66は、第1の所定のドーピング濃度を有するように形成され、基準セル・ウェル68は、第2の所定のドーピング濃度を有するように形成される。第1および第2ドーピング濃度は、同一でも、異なってもよい。第2の所定のドーピング濃度の選択は、基準セルに望ましい固有閾値電圧(natural threshold voltage )値によって決定される。典型的な回路では、メモリ・アレイ・ウェル66および基準セル・ウェル68は双方とも同時に形成され、基準セルおよびメモリ・アレイ・セル双方が同じ固有閾値電圧を有するようにしている。ドーピング濃度の典型的な値は、5〜10×1017cm−3であり、本明細書において記載する酸化物スタックでは、2ないし3ボルトの範囲の固有閾値電圧が得られる。
【0020】
基板の他の領域には他の回路70が形成され得る。他の回路70は、デコーダまたはセンス・アンプのようなメモリ30の周辺回路、あるいはマイクロプロセッサ・コアやメモリ30と連通してもしなくてもよいランダム・ロジックのようなその他の回路を含み得る。第1誘電体層72が基板上に形成される。図示の実施形態では、基板64の表面上に二酸化シリコンを約50オングストロームの厚さまで熱成長させることにより、第1誘電体層が形成される。第1誘電体層72の上に、記憶材料層76が形成される。図示の実施形態では、記憶材料層76は、ナノクリスタルまたはナノクラスタを含む。ナノクリスタルまたはナノクラスタは、アレイのメモリ・セル内に電荷を蓄積するための非常に小さいシリコン・ドットである。別の実施形態では、これらのドットは窒化物またはゲルマニウムで形成され得る。加えて、ドットは、銀、プラチナ、金、タングステンまたはタンタルのような金属で形成され得る。ドットは、互いに直接接触しないように、少なくとも一部の領域上では離間されている。記憶材料層76の上および周囲に第2誘電体層74が形成される。第2誘電体層74は、高温酸化物で形成され、約100オングストロームの厚さまで堆積される。第2誘電体層74の上に第1バリア層78が形成される。バリア層78は、約75オングストロームの厚さを有する堆積窒化物である。バリア層78は、以降の処理工程のためのハードマスクとして機能し、後に完全に除去される。パターン化フォト・レジスト79の層は第1バリア層78上に堆積され、図6に示すようにパターン化される。
【0021】
図7に示すように、第1バリア層78、誘電体層74および72、ならびに記憶材料層76は、メモリ・アレイ・ウェル66の上を除いて、全ての領域から除去される。次いで、フォト・レジスト79が除去される。
【0022】
図8は、基板64上および第1誘電体層78上に第3誘電体層80を形成する工程を示す。第4誘電体層82は第3誘電体層80の上に形成される。第4誘電体層82の上に第2バリア層84が形成される。第3誘電体層80の厚さおよび第4誘電体層82の厚さは、それぞれ、第1誘電体層72および第2誘電体層74と同じにされる。しかしながら、回路の用途によっては、第3誘電体層80の厚さおよび第4誘電体層82の厚さが、第1誘電体層72および第2誘電体層74の厚さとは異なることが要求される場合もある。基準セル・ウェル68におけるドーピング濃度、ならびに第3誘電体層80の厚さおよび第4誘電体層82の厚さの組み合わせを用いることによって、(図10における)基準トランジスタ46の固有閾値電圧は、メモリ・アレイ・トランジスタのそれと同一にする、または異なるようにすることができる。
【0023】
図9に示すように、第2バリア層84、第3誘電体層80、および第4誘電体層82は、基準トランジスタ・ウェル68の上を除いて、集積回路62のあらゆるところから除去される。メモリ・アレイ・ウェル66上の第1バリア層78および基準トランジスタ・ウェル上の第2バリア層84は残される。他の回路70の構成要素を形成するために必要な基板の他の熱酸化は、いずれも第1および第2バリア層を除去する前に実施される。
【0024】
図10は、第2バリア層84および第1バリア層78を除去する工程を示す。
図11は、第2誘電体層74および第4誘電体層82上に導電性ゲート材料86を堆積することを示すために提示する。ゲート材料86は、ポリシリコン、又は、アルミニウムや銅のような金属とすることができる。マスキング処理を用いて、ゲート材料86、誘電体層74、記憶材料層76および第1誘電体層72が選択的に除去されることによって、アレイのメモリ・セル50、51、および53のトランジスタのゲート・スタックが規定され、更には基準トランジスタ46のゲート・スタックが規定される。次いで、ソース/ドレイン領域88が基板64内に拡散される。尚、基準トランジスタ46のゲート・スタックの厚さは、メモリ・セルのゲート・スタックの厚さと異なっていてもよい。また、簡潔性および明確性のために、他の通常の処理工程は示されていない。例えば、通常は、サイドウォール・スペーサがゲート・スタックの側面に形成されるが、示されていない。
【0025】
例示の目的のためにここで選択した実施形態に対し、種々の変更や修正が当業者には容易に想起され得る。例えば、トランジスタの導電型、トランジスタの種類等の変更は容易に行い得る。このような修正や変更が本発明の範囲を逸脱しない範囲においてはこれらは本発明の範囲に含まれるものであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の公正な解釈によってのみ評価される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】プログラム/消去サイクルの回数の関数として、ナノクリスタル・メモリの一定読み出し基準電圧およびプログラム/消去閾値電圧を示すグラフ。
【図2】プログラム/消去サイクルの回数の関数として、ナノクリスタル・メモリの可変読み出し基準電圧およびプログラム/消去閾値電圧を示すグラフ。
【図3】本発明による不揮発性メモリを示す。
【図4】図3のメモリの読み出し制御回路を更に詳細に示す。
【図5】図3のメモリのメモリ・アレイを更に詳細に示す。
【図6】本発明によるナノクリスタル・メモリ・アレイおよび基準セルの製造方法を示す。
【図7】本発明によるナノクリスタル・メモリ・アレイおよび基準セルの製造方法を示す。
【図8】本発明によるナノクリスタル・メモリ・アレイおよび基準セルの製造方法を示す。
【図9】本発明によるナノクリスタル・メモリ・アレイおよび基準セルの製造方法を示す。
【図10】本発明によるナノクリスタル・メモリ・アレイおよび基準セルの製造方法を示す。
【図11】本発明によるナノクリスタル・メモリ・アレイおよび基準セルの製造方法を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路メモリに関し、更に特定すれば、不揮発性メモリにおいて基準トランジスタのために可変ゲート・バイアスを設定することに関する。
【背景技術】
【0002】
フラッシュ・メモリのように、フローティング・ゲート・トランジスタを有する典型的な不揮発性メモリでは、ビットをプログラムする際、選択したフローティング・ゲート・メモリ・セルの閾値電圧を変更する。プログラムされていないセル、または消去されたセルは、プログラムされているセルとは異なる閾値電圧を有する。読み出し動作は、フローティング・ゲート・メモリ・セルのプログラム状態を判定するために行われ、選択されたメモリ・セルのソース端子を、例えば、接地のような所定の電圧に接続した状態で、このセルのゲートに所定の電圧を印加することによって行われる。その結果得られるドレイン電流を、センス・アンプにおける基準電流と比較して、プログラム状態を判定する。例えば、セル電流が基準電流よりも大きい場合、セルは消去状態にあると考えることができる。同様に、セル電流が基準電流未満である場合、セルはプログラム状態にあると考えることができる。基準電圧、または基準電流は、一般には、メモリ・セルの論理ハイ電圧と論理ロー電圧との間の約半分となるように定められている。
【0003】
従来、電圧検知を用いるメモリに対して基準電圧を発生するための技法が種々用いられている。基準電圧を発生するために用いられる技法の1つは、「ダミー・セル」の使用に依存する。ダミー・セルは、通常のセルの挙動をできるだけ近似させてモデル化するために、メモリ・アレイの通常のセルと同じプロセス技術を用いて製造される。しかしながら、ダミー・セルは、セルの論理ハイ電圧と論理ロー電圧との間にある基準電圧を発生することができるよう物理的に小さなものとされる。この技法に伴う問題は、セルの外形形状を縮小すると、ダミー・セルの通常セルに対する時間−電流比を一定に維持する際にプロセス上の問題が生ずることである。
【0004】
また、通常セルと同じサイズのダミー・セルを用いることもできる。しかしながら、通常のサイズのセルに供給するゲート電圧を低下させるには、分圧器が用いられる。
通常サイズのダミー・セルを直列または並列に組み合わせて接続するという別の技法がある。セルの1つに「0」状態を読み出すようにプログラムし、他のセルに「1」論理状態を読み出すようにプログラムすることによって、必要な基準電圧を生成する。しかしながら、この技法は、電圧に対する抵抗の非線形性のためにエラーを生ずる虞れがある。
【0005】
更に別の技法では、基準電圧を定めるためにカレント・ミラーの使用を伴う。しかしながら、カレント・ミラーでは、容認できる精度で所望の電流が得られない場合がある。
ナノクリスタル・メモリ(nanocrystal memory)は、酸化物のような絶縁体に埋め込まれたナノクリスタルを電荷蓄積媒体として用いる。プログラミングにホット・キャリア注入を用い、消去にチャネル消去を採用するナノクリスタル・メモリでは、ナノクリスタル同士の間の領域において、電子が上位酸化物と下位トンネル酸化物との間の界面内に捕獲され易いことがわかっている。これらの電子は、消去時間の延長および/または非常に高い消去電圧によっても、除去することができない。この電子捕獲の結果、消去閾値電圧およびプログラム閾値電圧は、双方とも、プログラム/消去動作が回を重ねるに連れて、上昇する傾向がある。このために、読み出し動作に基準電圧を選択するときに問題が生ずる。基準電圧が高過ぎる場合、ゲート酸化物が損傷を受ける可能性があり、読み出し速度が低下する。しかしながら、基準電圧を余りに低く選択すると、読み出しマージンが影響を受ける。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、ナノクリスタル・メモリ・セルにおいて、正確な基準電圧を発生可能とし、メモリの寿命を通じて速度および読み出しマージンを維持する回路が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の以上記述した、ならびにより具体的な目的および利点は、添付図面と関連付けた、以下の好適な実施形態の詳細な説明から、当業者には容易に明白となり得る。
概略的には、本発明は、不揮発性メモリ・セルが、ナノクラスタまたはナノクリスタルを有するトランジスタを備えている、不揮発性メモリを提供する。メモリ・セル・トランジスタのプログラムおよび消去閾値電圧は、電子捕獲によって、プログラム/消去動作の回数の関数として上昇する。選択されたメモリ・セルに記憶されているデータ値を判定するために、セルの電流が基準電流と比較される。基準電流を供給するために、基準トランジスタが用いられる。基準トランジスタはナノクラスタを用いないことを除いて、メモリ・セル・トランジスタを製造するために用いられるのと同様のプロセスによって製造される。同様のプロセスを用いて基準トランジスタおよびメモリ・セル・トランジスタ双方を製造することにより、基準トランジスタの閾値電圧は、メモリ・セル・トランジスタの閾値電圧の上昇に追従することになる。基準トランジスタのゲートにバイアスをかけるために、読み出し制御回路が設けられる。読み出し制御回路は、基準トランジスタのドレイン電流を検知し、ゲート・バイアス、即ち、基準トランジスタの電圧を調節することにより、基準電流をセル電流に対して実質的に一定値に維持する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、ナノクリスタル・メモリの消去閾値電圧12およびプログラム閾値電圧14が、プログラム/消去サイクルの回数と共にどのように上昇するかを示すグラフ10である。図1において、一定読み出し基準セル・ゲート電圧16は、メモリの予測された寿命を通じて少なくとも最小要求マージン18が得られるように選択される。しかしながら、一定読み出し基準セル・ゲート電圧16を比較的高くすると、ゲート酸化物に過剰に応力がかかることになり得る。加えて、基準セル・ゲート電圧16が高い程、メモリの動作速度が低下する可能性がある。更に、比較的高いゲート電圧を供給するには、チャージ・ポンプが必要となる場合もあり、実装するには集積回路のかなりの部分が必要となる可能性がある。
【0009】
図2は、プログラム/消去サイクル回数に対するナノクリスタル・メモリの消去閾値電圧22およびプログラム閾値電圧24を示すグラフ20である。読み出し基準セルの閾値電圧は、通常のメモリ・セルのプログラム/消去閾値電圧に追従する。プログラム/消去サイクル回数と共にプログラム/消去閾値電圧が変化するに連れて、可変読み出し基準セル・ゲート電圧26も変化し、このためプログラム閾値電圧と消去閾値電圧との間に最適電圧マージン28が維持される。
【0010】
図3は、本発明による不揮発性メモリ30を示す。メモリ30は、メモリ・アレイ32、列デコーダ34、行デコーダ36、制御ブロック38、および読み出し制御回路41を含む。読み出し制御回路41は、基準回路42、センス・アンプ40、およびデータ出力バッファ44を含み、図4に更に詳細に示されている。メモリ32は、ビット線およびワード線に接続されたプログラム可能な不揮発性メモリ・セルのアレイであり、図5に更に詳細に示されている。行デコーダ36および列デコーダ34は、複数のアドレス信号(図示せず)に応答して、アクセスする1つ以上のメモリ・セルを選択する。制御ブロック38は、メモリ30の種々の部分の動作を制御するために制御信号を供給する。例えば、制御ブロック38は、複数の制御信号をメモリ・アレイ32に供給し、メモリ・セルのプログラム、消去、および読み出しに必要な電圧の印加を制御する。また、制御ブロック38は、制御信号を行デコーダ36および列デコーダ34に供給し、アドレス信号のタイミングを制御する。加えて、制御ブロック38は、基準回路43の動作を制御するために、「RE」と表示したリード・イネーブル信号を供給する。
【0011】
基準回路42は、行デコーダ36に制御信号49を供給するとともに、センス・アンプ40の1つの入力に基準電流を供給する。センス・アンプ40の第2の入力は、列デコーダ34に接続されており、選択されたメモリ・セルからのメモリ・セル電流を受ける。論理状態、即ち、選択されたメモリ・セルに記憶されているデータ値を表す出力電圧が、センス・アンプ40によって出力データ・バッファ44に供給される。すると、データ・バッファ44は、出力電圧をバッファし、更に増幅して、「OUTPUT」と表示したデータ信号を供給する。また、メモリ・アレイ32にプログラムするデータを受け取るために、入力データ経路がメモリ30に含まれているが、図示されていない。入力データ経路の構成要素は、不揮発性メモリでは従来通りであり、その動作の機能の説明は、本発明の説明には特に不要である。
【0012】
図4は、図3のメモリの読み出し制御回路41を更に詳しく示す。読み出し制御回路41は、基準回路42、基準トランジスタ46、行選択トランジスタ52、メモリ・セル50、列選択トランジスタ54、センス・アンプ40、およびデータ出力バッファ44を含む。
【0013】
概略的に、メモリ・アレイ32は複数の不揮発性メモリ・セルを含み、これらは、セルの閾値電圧変更に応答して情報を格納する。具体的には、図示の実施形態では、メモリ・アレイ32は複数のナノクリスタル・メモリ・セルを含む。基準トランジスタ46が情報を記憶するナノクリスタルを含まないことを除いて、基準トランジスタ46はメモリ・アレイ32のメモリ・セルと同一に製造されている。基準トランジスタ46は、「VREF」と表示した基準電圧を受けるゲートと、「VSR」と表示したソース電圧を受けるソース端子と、センス・アンプ40の入力に接続されているドレインとを有する。メモリ・セル50は、行選択トランジスタ52のドレイン/ソース端子に接続されているゲートと、「VSC」と表示したソース電圧を受けるソース端子と、列選択トランジスタ54のドレイン/ソース端子に接続されているドレインとを有する。メモリ・アレイ32および基準トランジスタ46を製造する方法については、図6〜図11の論述において詳しく説明する。
【0014】
基準トランジスタ46の閾値電圧がメモリ・アレイ32の閾値電圧に追従するために、基準トランジスタ46は、メモリ・アレイ32が一巡される毎に一巡する。即ち、基準トランジスタ46は、メモリ・アレイ32がプログラムまたは消去される毎に、同じ時間長だけ、メモリ・アレイ32と同じプログラムまたは消去電圧を受ける。以下で説明するが、通常のメモリ・セルと同じプロセス工程を用いてトランジスタ46が製造されるので、上位酸化物と下位トンネル酸化物との間の界面に電荷が捕獲され、これは除去することができない。閾値電圧は、プログラム/消去サイクルの回数に応答して、メモリ・セルの閾値電圧が変化するに従って変化する。メモリ30内で実施される実際のプログラムおよび消去動作は従来通りであり、本発明の説明には重要でないため、詳しく説明しない。
【0015】
読み出し動作の間、所定のメモリ・セルが選択され、センス・アンプ40の一方の入力に電流が供給される。アドレスに応答して、「RS」と表示した行選択信号が接続トランジスタ52のゲートに供給され、「CS」と表示した列選択信号が接続トランジスタ54のゲートに供給される。「RE」と表示した制御信号に応答して、「VREF」と表示した基準電圧が基準トランジスタ46のゲートに供給され、選択されたメモリ・セル、例えば、メモリ・セル50のゲートにゲート電圧「VCELL」が供給される。ソース電圧VSCおよびVSRは共に接地電位にある。基準電流iREFがセンス・アンプ40の一方の入力に供給され、セル電流iCELLがセンス・アンプ40の他方の入力に供給される。センス・アンプ40は、電流検知型のセンス・アンプである。電流検知は、一般に、論理ハイおよび論理ローセル電圧間の電圧差が比較的小さいときに用いられる。セル電流iCELLが基準電流iREFよりも大きい場合、メモリ・セル50は低閾値電圧を有し、消去状態にある。一方、セル電流iCELLが基準電流iREFよりも低い場合、メモリ・セル50は高閾値電圧を有し、プログラム状態にある。他の不揮発性メモリでは、高閾値電圧が消去状態を示す場合もあり、低閾値電圧が消去状態を示す場合もある。センス・アンプは、メモリ・セル50について検知した状態に対応する出力電圧をデータ出力バッファ44に供給する。データ出力バッファ44は、バッファした出力電圧OUTPUTをメモリ30外部の回路(図示せず)に供給する。
【0016】
図1および図2に示すように、プログラムおよび消去動作の回数が増大するに連れて、メモリ・セルのプログラムおよび消去閾値電圧が増大する。基準トランジスタ46はメモリ・アレイ32と同じプログラムおよび消去動作を受けるため、その閾値電圧も上昇し、基準電流iREFを対応する量だけ減少させる。読み出し動作の間、基準電流iREFは電圧制御回路48にフィードバックされる。電圧制御48は、減少する基準電流の関数として、基準トランジスタ46のゲート電圧VREFおよびセル電圧VCELLを調節する。その結果、図2に示すように、セル電圧VCELLは、メモリがプログラムおよび消去されるに連れ、経時的に上昇する。
【0017】
本発明による可変基準ゲート電圧を用いることによって、ナノクリスタル・メモリ・セルには、セル閾値電圧の変化に追従する、正確な基準電流が供給される。これによって、メモリの寿命を通じて最適な読み出しマージンで動作し、アクセス速度を維持するナノクリスタル・メモリが得られる。
【0018】
図5は、図3のメモリのメモリ・アレイ32を更に詳しく示す。メモリ・アレイ32は、4つの代表的なナノクリスタル・メモリ・セル50、56、58、および60を含む。メモリ・アレイ32は、行および列に編成されている。例えば、メモリ・セル50および58は、メモリ・セルの1つの「列」を形成し、メモリ・セル50および56は、メモリ・セルの1つの「行」を形成する。1行におけるセルの全ては、互いに接続され、セル・ゲート電圧VCELLを受け、セルの列のドレイン端子は全て互いに接続されている。また、メモリ・アレイ32のフローティング・ゲート・トランジスタの全ても、そのソース端子が互いに接続され(共通ソース)ソース電圧VSCを受ける。前述の読み出し動作の間、1つのアドレスに応答して1つのメモリ・セルが選択され、セル電流iCELLがセンス・アンプ40に供給される。
【0019】
図6〜図11は、本発明にしたがって集積回路62内にナノクリスタル・メモリ・アレイ32および基準セル46を製造する方法を断面図で示す。
図6において、半導体基板64の所定の領域に、メモリ・アレイ・ウェル66および基準セル・ウェル68が打ち込まれる。メモリ・アレイ・ウェル66は、第1の所定のドーピング濃度を有するように形成され、基準セル・ウェル68は、第2の所定のドーピング濃度を有するように形成される。第1および第2ドーピング濃度は、同一でも、異なってもよい。第2の所定のドーピング濃度の選択は、基準セルに望ましい固有閾値電圧(natural threshold voltage )値によって決定される。典型的な回路では、メモリ・アレイ・ウェル66および基準セル・ウェル68は双方とも同時に形成され、基準セルおよびメモリ・アレイ・セル双方が同じ固有閾値電圧を有するようにしている。ドーピング濃度の典型的な値は、5〜10×1017cm−3であり、本明細書において記載する酸化物スタックでは、2ないし3ボルトの範囲の固有閾値電圧が得られる。
【0020】
基板の他の領域には他の回路70が形成され得る。他の回路70は、デコーダまたはセンス・アンプのようなメモリ30の周辺回路、あるいはマイクロプロセッサ・コアやメモリ30と連通してもしなくてもよいランダム・ロジックのようなその他の回路を含み得る。第1誘電体層72が基板上に形成される。図示の実施形態では、基板64の表面上に二酸化シリコンを約50オングストロームの厚さまで熱成長させることにより、第1誘電体層が形成される。第1誘電体層72の上に、記憶材料層76が形成される。図示の実施形態では、記憶材料層76は、ナノクリスタルまたはナノクラスタを含む。ナノクリスタルまたはナノクラスタは、アレイのメモリ・セル内に電荷を蓄積するための非常に小さいシリコン・ドットである。別の実施形態では、これらのドットは窒化物またはゲルマニウムで形成され得る。加えて、ドットは、銀、プラチナ、金、タングステンまたはタンタルのような金属で形成され得る。ドットは、互いに直接接触しないように、少なくとも一部の領域上では離間されている。記憶材料層76の上および周囲に第2誘電体層74が形成される。第2誘電体層74は、高温酸化物で形成され、約100オングストロームの厚さまで堆積される。第2誘電体層74の上に第1バリア層78が形成される。バリア層78は、約75オングストロームの厚さを有する堆積窒化物である。バリア層78は、以降の処理工程のためのハードマスクとして機能し、後に完全に除去される。パターン化フォト・レジスト79の層は第1バリア層78上に堆積され、図6に示すようにパターン化される。
【0021】
図7に示すように、第1バリア層78、誘電体層74および72、ならびに記憶材料層76は、メモリ・アレイ・ウェル66の上を除いて、全ての領域から除去される。次いで、フォト・レジスト79が除去される。
【0022】
図8は、基板64上および第1誘電体層78上に第3誘電体層80を形成する工程を示す。第4誘電体層82は第3誘電体層80の上に形成される。第4誘電体層82の上に第2バリア層84が形成される。第3誘電体層80の厚さおよび第4誘電体層82の厚さは、それぞれ、第1誘電体層72および第2誘電体層74と同じにされる。しかしながら、回路の用途によっては、第3誘電体層80の厚さおよび第4誘電体層82の厚さが、第1誘電体層72および第2誘電体層74の厚さとは異なることが要求される場合もある。基準セル・ウェル68におけるドーピング濃度、ならびに第3誘電体層80の厚さおよび第4誘電体層82の厚さの組み合わせを用いることによって、(図10における)基準トランジスタ46の固有閾値電圧は、メモリ・アレイ・トランジスタのそれと同一にする、または異なるようにすることができる。
【0023】
図9に示すように、第2バリア層84、第3誘電体層80、および第4誘電体層82は、基準トランジスタ・ウェル68の上を除いて、集積回路62のあらゆるところから除去される。メモリ・アレイ・ウェル66上の第1バリア層78および基準トランジスタ・ウェル上の第2バリア層84は残される。他の回路70の構成要素を形成するために必要な基板の他の熱酸化は、いずれも第1および第2バリア層を除去する前に実施される。
【0024】
図10は、第2バリア層84および第1バリア層78を除去する工程を示す。
図11は、第2誘電体層74および第4誘電体層82上に導電性ゲート材料86を堆積することを示すために提示する。ゲート材料86は、ポリシリコン、又は、アルミニウムや銅のような金属とすることができる。マスキング処理を用いて、ゲート材料86、誘電体層74、記憶材料層76および第1誘電体層72が選択的に除去されることによって、アレイのメモリ・セル50、51、および53のトランジスタのゲート・スタックが規定され、更には基準トランジスタ46のゲート・スタックが規定される。次いで、ソース/ドレイン領域88が基板64内に拡散される。尚、基準トランジスタ46のゲート・スタックの厚さは、メモリ・セルのゲート・スタックの厚さと異なっていてもよい。また、簡潔性および明確性のために、他の通常の処理工程は示されていない。例えば、通常は、サイドウォール・スペーサがゲート・スタックの側面に形成されるが、示されていない。
【0025】
例示の目的のためにここで選択した実施形態に対し、種々の変更や修正が当業者には容易に想起され得る。例えば、トランジスタの導電型、トランジスタの種類等の変更は容易に行い得る。このような修正や変更が本発明の範囲を逸脱しない範囲においてはこれらは本発明の範囲に含まれるものであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の公正な解釈によってのみ評価される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】プログラム/消去サイクルの回数の関数として、ナノクリスタル・メモリの一定読み出し基準電圧およびプログラム/消去閾値電圧を示すグラフ。
【図2】プログラム/消去サイクルの回数の関数として、ナノクリスタル・メモリの可変読み出し基準電圧およびプログラム/消去閾値電圧を示すグラフ。
【図3】本発明による不揮発性メモリを示す。
【図4】図3のメモリの読み出し制御回路を更に詳細に示す。
【図5】図3のメモリのメモリ・アレイを更に詳細に示す。
【図6】本発明によるナノクリスタル・メモリ・アレイおよび基準セルの製造方法を示す。
【図7】本発明によるナノクリスタル・メモリ・アレイおよび基準セルの製造方法を示す。
【図8】本発明によるナノクリスタル・メモリ・アレイおよび基準セルの製造方法を示す。
【図9】本発明によるナノクリスタル・メモリ・アレイおよび基準セルの製造方法を示す。
【図10】本発明によるナノクリスタル・メモリ・アレイおよび基準セルの製造方法を示す。
【図11】本発明によるナノクリスタル・メモリ・アレイおよび基準セルの製造方法を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリであって、
行および列に形成されているメモリ・セルのアレイと、
前記メモリ・セルのアレイに接続されているセンス・アンプであって、前記メモリ・セルの1つからのデータ値に対応する電流を受ける第1の入力と、所定の基準電流を受ける第2の入力と、メモリから読み出されるときに出力データ値を与える出力とを有するセンス・アンプと、
前記センス・アンプの第2の入力に接続されている読み出し制御回路であって、基準電圧に応答して前記所定の基準電流を供給する基準トランジスタを有し、前記所定の基準電流を実質的に一定値に維持するように、前記基準電圧を変化させる、読み出し制御回路と、
を備えた、メモリ。
【請求項2】
請求項1記載のメモリにおいて、
前記メモリ・セルのアレイは、ナノクラスタを有するトランジスタからなり、前記基準トランジスタは、ナノクラスタを有していないトランジスタからなる、メモリ。
【請求項3】
請求項2記載のメモリにおいて、
前記ナノクラスタはさらに、シリコン・ナノクラスタを含む、メモリ。
【請求項4】
請求項3記載のメモリにおいて、
前記読み出し制御回路は、前記センス・アンプの第2の入力に接続された入力であって、多数のプログラムおよび消去サイクルによって生じる前記基準電流の変動に応答して、前記基準トランジスタにバイアスをかける入力を有する、メモリ。
【請求項5】
請求項1記載のメモリにおいて、
前記メモリ・セルのアレイが供給するデータ値に対応する電流は、前記メモリのプログラムおよび消去サイクルの回数の関数として変動し、前記基準トランジスタは、前記メモリ・セルのアレイと同じ回数だけプログラムおよび消去される、メモリ。
【請求項6】
請求項5記載のメモリにおいて、
前記読み出し制御回路はさらに、リード・イネーブル信号を受けたことに応答して、前記基準トランジスタおよび前記メモリ・セルのアレイのアドレス指定されたメモリ・セルに、実質的に同じゲート電圧をそれぞれ印加する値として、第1制御信号および第2制御信号を供給する、メモリ。
【請求項7】
メモリの動作寿命を延長する方法であって、
行および列に形成されているメモリ・セルのアレイを用意すること、
前記メモリ・セルのアレイにセンス・アンプを接続することであって、前記センス・アンプが、前記メモリ・セルの1つからのデータ値に対応する電流を受ける第1の入力と、所定の基準電流を受ける第2の入力と、メモリから読み出されるときに出力データ値を与える出力とを有する、前記メモリ・セルのアレイにセンス・アンプを接続すること、
前記センス・アンプの第2の入力に読み出し制御回路を接続することであって、前記読み出し制御回路が、基準電圧に応答して前記基準電流を供給する基準トランジスタを有し、前記所定の基準電流を実質的に一定値に維持するように、前記基準電圧を変化させる、前記センス・アンプの第2の入力に読み出し制御回路を接続すること、
を備えた、方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法はさらに、
ナノクラスタを有するトランジスタを用いて前記メモリ・セルのアレイを実装し、ナノクラスタを有さないトランジスタを用いて前記基準トランジスタを実装することを備える、方法。
【請求項9】
請求項7記載の方法はさらに、
前記メモリのプログラムおよび消去サイクルの回数の関数として、前記メモリ・セルのアレイによって供給されるデータ値に対応する電流を変化させること、
前記メモリ・セルのアレイと同じ回数だけ、前記基準トランジスタをプログラムし、前記基準トランジスタを消去することを備える、方法。
【請求項10】
請求項7記載の方法はさらに、
多数のプログラムおよび消去サイクルによって生ずる前記基準電流の変動に応答して、前記基準トランジスタにバイアスをかけることを備える、方法。
【請求項1】
メモリであって、
行および列に形成されているメモリ・セルのアレイと、
前記メモリ・セルのアレイに接続されているセンス・アンプであって、前記メモリ・セルの1つからのデータ値に対応する電流を受ける第1の入力と、所定の基準電流を受ける第2の入力と、メモリから読み出されるときに出力データ値を与える出力とを有するセンス・アンプと、
前記センス・アンプの第2の入力に接続されている読み出し制御回路であって、基準電圧に応答して前記所定の基準電流を供給する基準トランジスタを有し、前記所定の基準電流を実質的に一定値に維持するように、前記基準電圧を変化させる、読み出し制御回路と、
を備えた、メモリ。
【請求項2】
請求項1記載のメモリにおいて、
前記メモリ・セルのアレイは、ナノクラスタを有するトランジスタからなり、前記基準トランジスタは、ナノクラスタを有していないトランジスタからなる、メモリ。
【請求項3】
請求項2記載のメモリにおいて、
前記ナノクラスタはさらに、シリコン・ナノクラスタを含む、メモリ。
【請求項4】
請求項3記載のメモリにおいて、
前記読み出し制御回路は、前記センス・アンプの第2の入力に接続された入力であって、多数のプログラムおよび消去サイクルによって生じる前記基準電流の変動に応答して、前記基準トランジスタにバイアスをかける入力を有する、メモリ。
【請求項5】
請求項1記載のメモリにおいて、
前記メモリ・セルのアレイが供給するデータ値に対応する電流は、前記メモリのプログラムおよび消去サイクルの回数の関数として変動し、前記基準トランジスタは、前記メモリ・セルのアレイと同じ回数だけプログラムおよび消去される、メモリ。
【請求項6】
請求項5記載のメモリにおいて、
前記読み出し制御回路はさらに、リード・イネーブル信号を受けたことに応答して、前記基準トランジスタおよび前記メモリ・セルのアレイのアドレス指定されたメモリ・セルに、実質的に同じゲート電圧をそれぞれ印加する値として、第1制御信号および第2制御信号を供給する、メモリ。
【請求項7】
メモリの動作寿命を延長する方法であって、
行および列に形成されているメモリ・セルのアレイを用意すること、
前記メモリ・セルのアレイにセンス・アンプを接続することであって、前記センス・アンプが、前記メモリ・セルの1つからのデータ値に対応する電流を受ける第1の入力と、所定の基準電流を受ける第2の入力と、メモリから読み出されるときに出力データ値を与える出力とを有する、前記メモリ・セルのアレイにセンス・アンプを接続すること、
前記センス・アンプの第2の入力に読み出し制御回路を接続することであって、前記読み出し制御回路が、基準電圧に応答して前記基準電流を供給する基準トランジスタを有し、前記所定の基準電流を実質的に一定値に維持するように、前記基準電圧を変化させる、前記センス・アンプの第2の入力に読み出し制御回路を接続すること、
を備えた、方法。
【請求項8】
請求項7記載の方法はさらに、
ナノクラスタを有するトランジスタを用いて前記メモリ・セルのアレイを実装し、ナノクラスタを有さないトランジスタを用いて前記基準トランジスタを実装することを備える、方法。
【請求項9】
請求項7記載の方法はさらに、
前記メモリのプログラムおよび消去サイクルの回数の関数として、前記メモリ・セルのアレイによって供給されるデータ値に対応する電流を変化させること、
前記メモリ・セルのアレイと同じ回数だけ、前記基準トランジスタをプログラムし、前記基準トランジスタを消去することを備える、方法。
【請求項10】
請求項7記載の方法はさらに、
多数のプログラムおよび消去サイクルによって生ずる前記基準電流の変動に応答して、前記基準トランジスタにバイアスをかけることを備える、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−525778(P2007−525778A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517100(P2006−517100)
【出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/013374
【国際公開番号】WO2005/006337
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年4月30日(2004.4.30)
【国際出願番号】PCT/US2004/013374
【国際公開番号】WO2005/006337
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(504199127)フリースケール セミコンダクター インコーポレイテッド (806)
【Fターム(参考)】
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