説明

光硬化性樹脂の塗布装置及び塗布方法

【課題】この発明は小型化や生産性の向上を図ることができるようにした光硬化性樹脂の塗布装置を提供することにある。
【解決手段】液晶パネルとこの液晶パネルの側辺部に接続された電子部品との接続部分に光硬化性樹脂を塗布する光硬化性樹脂の塗布装置であって、
液晶パネルが載置される基板ステージ21と、基板ステージと対向して配置され液晶パネルと電子部品との接続部分に光硬化性樹脂を塗布する塗布ノズル13を有するヘッドステージ11と、ヘッドステージを駆動して上記塗布ノズルを上記基板の側辺部に沿う方向に移動させるX駆動源7と、ヘッドステージに設けられ塗布ノズルによって液晶パネルとタブとの接続部分に塗布された光硬化性樹脂に照射光を照射して硬化させる光照射部14とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は基板とこの基板の側辺部に接続された電子部品との接続部分に補強用の光硬化性樹脂を塗布する光硬化性樹脂の塗布装置及び塗布方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の組立工程では、たとえば図9(a)に示すように、まずアウタリードボンダにより基板としての矩形状の液晶パネル200の4つの側辺部のうちの長さの異なる隣り合った2つの側辺部に、液晶駆動用ICが搭載されたタブ(TAB:Tape Automated Bonding)などの電子部品202を図9(c)に示すように異方性導電部材204によって実装してタブ付きの液晶パネル200を製造する。
【0003】
ついでタブ付きの液晶パネル200の電子部品202の部分に対して図9(b)に示すように実装される部品としての回路基板203を同じく異方性導電部材204によって電気的に接続して液晶パネル200を組み立てるということが行われている。
【0004】
異方性導電部材204を用いて液晶パネル200に電子部品202を接続すれば、ある程度の接続強度を得ることが可能である。しかしながら、液晶パネル200に電子部品202を接続した後、このタブつきの液晶パネル200を取り扱うことで、電子部品202が曲げられることがある。
【0005】
電子部品202が曲げられると、電子部品202と液晶パネル200との接続部分に曲げ応力が作用するから、その曲げ応力によって電子部品202が液晶パネル200から剥離したり、電子部品202と液晶パネル200との電極の電気的接続状態が損なわれるということがある。
【0006】
そこで、図9(d)に示すように液晶パネル200に電子部品202を接続したならば、この電子部品202液晶パネル200との接続部分に光硬化性樹脂205を塗布し、ついで光硬化性樹脂205を紫外線などの照射光で照射して硬化させる。それによって、液晶パネル200と電子部品202との接続強度を補強し、電子部品202が剥離するのを防止するということが行われている。
【0007】
液晶パネル200の側辺部には通常、複数の電子部品202が接続されている。そこで、従来は、塗布装置によって液晶パネル200と電子部品202との複数の接続部分の全てに光硬化性樹脂205を塗布する。ついで、その液晶パネル200を照射装置に搬送し、そこで液晶パネル200の上記光硬化性樹脂205の塗布部分の全体に照射光を照射し、接続部分に塗布された光硬化性樹脂205を硬化させるようにしている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来は光硬化性樹脂の塗布装置と、光硬化性樹脂を照射光で照射して硬化させる照射装置とが分かれていた。そのため、塗布装置と照射装置とを一列に配置しなければならないから、生産ラインが長くなるということがあった。
【0009】
しかも、照射装置は液晶パネルの光硬化性樹脂205の塗布部分の全体に照射光を照射する構成であったので、照射装置が液晶パネルを収容できる大きさとなるから、大型化するということがあり、とくに最近では液晶パネルが大型化しているため、照射装置が非常に大きくなってしまうということがある。さらに、塗布装置で光硬化性樹脂を塗布する作業と、照射装置で光硬化性樹脂に照射光を照射して硬化させる作業とが全く別々に行われているため、作業能率が悪いということもあった。
【0010】
この発明は、基板と電子部品との接続部分に光硬化性樹脂を塗布したならば、その塗布に続いて光硬化性樹脂を硬化させる照射光を照射できるようにすることで、生産ラインの短縮化や作業能率の向上を図ることができるようにした光硬化性樹脂の塗布装置及び塗布方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、基板とこの基板の側辺部に接続された電子部品との接続部分に光硬化性樹脂を塗布する光硬化性樹脂の塗布装置であって、
上記基板が載置される基板ステージと、
この基板ステージと対向して配置され上記基板と電子部品との接続部分に光硬化性樹脂を塗布する塗布ノズルを有するヘッドステージと、
上記基板ステージと上記ヘッドステージの少なくともどちらか一方を駆動して上記塗布ノズルを上記基板の側辺部に沿う方向に相対的に移動させる駆動手段と、
上記ヘッドステージに設けられ上記塗布ノズルによって上記基板と電子部品との接続部分に塗布された光硬化性樹脂に照射光を照射して硬化させる光照射部と
を具備したことを特徴とする光硬化性樹脂の塗布装置にある。
【0012】
2つのヘッドステージを有し、一方のヘッドステージは上記基板の側辺部の一端に位置する電子部品の接続部分から光硬化性樹脂を塗布し、他方のヘッドステージは上記基板の側辺部の中途部に位置する電子部品の接続部分から光硬化性樹脂を塗布することが好ましい。
【0013】
上記基板の少なくとも上記塗布ノズルによって光硬化性樹脂が塗布される側辺部は上記基板ステージから突出していて、この基板の上記基板ステージから突出した部分の下面は支持体によって支持されることが好ましい。
【0014】
上記支持体の上面に上記基板を吸着保持する吸着手段を備えていることが好ましい。
【0015】
上記塗布ノズルによって塗布された光硬化性樹脂を撮像する撮像手段と、この撮像手段からの撮像信号によって上記光硬化性樹脂の塗布状態を判定する判定手段とを備えていることが好ましい。
【0016】
上記光照射部からの照射光が上記塗布ノズルを照射するのを阻止する遮光手段が設けられているこが好ましい。
【0017】
上記ヘッドステージを上記基板ステージに載置された基板の一側部に沿って駆動する第1の塗布ユニットと、上記ヘッドステージを上記基板ステージに載置された基板の上記一側と直交する他側部に沿って駆動する第2の塗布ユニットとを備えていることが好ましい。
【0018】
上記基板は上記一側部が上記他側部よりも長い直方形状であって、上記一側部に対向する上記第1の塗布ユニットには上記基板の一側部の長手方向一端部と中途部から上記光硬化性樹脂を同時に塗布する塗布ノズルを有する一対のヘッドステージが設けられていることが好ましい。
【0019】
上記第1の塗布ユニットに設けられたヘッドステージと、上記第2の塗布ユニットに設けられたヘッドステージとは、上記基板の一側部と他側部に沿って同期して駆動されることが好ましい。
【0020】
この発明は、基板とこの基板の側辺部に接続された電子部品との接続部分に塗布ノズルから吐出される光硬化性樹脂を塗布する光硬化性樹脂の塗布方法であって、
上記基板と上記塗布ノズルを相対的に直線駆動して上記基板と上記電子部品との接続部分に光硬化性樹脂を塗布する工程と、
上記塗布ノズルによる光硬化性樹脂の塗布に続いて上記接続部分に塗布された光硬化性樹脂に照射光を照射して硬化させる工程と
を具備したことを特徴とする光硬化性樹脂の塗布方法にある。
【0021】
この発明は、基板とこの基板の長さの異なる2つの側辺部にそれぞれ接続された電子部品との接続部分に塗布ノズルから吐出される光硬化性樹脂を塗布する光硬化性樹脂の塗布方法であって、
上記基板と上記塗布ノズルの少なくともどちらか一方を駆動して上記塗布ノズルを上記基板の側辺部に沿う方向に相対的に移動させて上記基板と上記電子部品との接続部分に光硬化性樹脂を塗布する工程と、
上記塗布ノズルによる光硬化性樹脂の塗布に続いて上記接続部分に塗布された光硬化性樹脂に照射光を照射して硬化させる工程とを具備し、
上記基板の長さの短い側辺部に対しては1つの塗布ノズルによって光硬化性樹脂を塗布し、長さの長い側辺部に対しては複数の塗布ノズルによって光硬化性樹脂を塗布することを特徴とする光硬化性樹脂の塗布方法にある。
【0022】
上記基板の2つの側辺部に対して上記光硬化性樹脂を同時に塗布するこが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
この発明によれば、基板と電子部品の接続部分に、光硬化性樹脂の塗布に続いてその光硬化性樹脂を硬化させる照射光を照射する。そのため、光硬化性樹脂を硬化させるための専用の装置が不要となるから、生産ラインの短縮化や生産能率の向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図6はこの発明の第1の実施の形態で、図1は塗布装置の概略的構成を示す平面図である。この塗布装置はベース1を備えている。このベース1には図1に矢印で示すX方向に沿って第1の塗布ユニット2と第2の塗布ユニット3が配置されている。
【0025】
図2は第1の塗布ユニット2の正面図であって、図3は第2の塗布ユニット3の正面図である。各塗布ユニット2,3は上記ベース1上の所定の高さ位置に上記X方向に沿って配置された上部Xガイド体4を有する。この上部Xガイド体4の長手方向の一端と他端とには支持板5が設けられ、これらの支持板5には駆動ねじ6の端部がそれぞれ回転可能に支持されている。一方の支持板5にはX駆動源7が設けられ、このX駆動源7によって上記駆動ねじ6が回転駆動されるようになっている。
【0026】
第1の塗布ユニット2の上部Xガイド体4には1つのX可動体8aがX方向に沿って移動可能に設けられ、このX可動体8aに上記駆動ねじ6が螺合している。したがって、X駆動源7が作動すれば、上記X可動体8aは上記上部Xガイド体4に沿ってX方向に駆動される。
【0027】
第2の塗布ユニット3の上部Xガイド体4には2つのX可動体8b,8cがX方向に沿って移動可能に設けられている。これらX可動体8b,8cには上記駆動ねじ6が螺合している。したがって、X駆動源7が作動すれば、上記X可動体8b,8cは上記上部Xガイド体4に沿ってX方向に駆動される。
【0028】
各X可動体8a〜8cの前面にはそれぞれ板状のヘッドステージ11が上下方向、つまり図5に矢印で示すZ方向に移動可能に設けられている。各ヘッドステージ11は各X可動体8a〜8cの上面端面に設けられたZ駆動源12によって駆動されるようになっている。
【0029】
上記ヘッドステージ11の前面の幅方向一端部には塗布ノズル13が軸線を垂直にして設けられている。各塗布ノズル13は図示しない光硬化性樹脂の供給部に配管接続されていて、先端から上記光硬化性樹脂205を吐出し、後述するように液晶パネル200と電子部品202との接続部分に塗布することができるようになっている。
【0030】
なお、第2の塗布ユニット3の一対のX可動体8bと8cの間隔、つまり各X可動体8bと8cに設けられた一対の塗布ノズル13のX方向に沿う間隔は、図6(a)に示す液晶パネル200の長側辺部に接続された6つの電子部品202の一端から他端までの距離Lの約半分に設定されている。
【0031】
上記ヘッドステージ11の前面の幅方向他端部には、上記塗布ノズル13によって塗布された光硬化性樹脂205を硬化させるための紫外線などの照射光を出射する光照射部14が設けられている。
【0032】
上記光照射部14は遮光手段としての筒状の遮光体15によって覆われている。それによって、上記光照射部14から出射された照射光が周囲に散乱して上記塗布ノズル13を照射するのを防止するようになっている。つまり、光照射部14から出射された照射光は遮光体15の開口した下端面に対向する部位を照射し、他の部位を照射することがないようになっている。
【0033】
上記ヘッドステージ11の前面の幅方向他端にはアーム16が側方に向かって突設されている。このアーム16には撮像手段としての撮像カメラ17が撮像面を下に向けて設けられている。
【0034】
上記撮像カメラ17は上記塗布ノズル13によって液晶パネル200と電子部品202との接続部分に塗布されて上記光照射部14からの照射光によって硬化された光硬化性樹脂205を撮像する。撮像カメラ17からの撮像信号は図2と図3に示す制御装置18に入力される。
【0035】
上記制御装置18には図4に示すように画像処理部19aと、基準信号Sを設定する設定部19bと、画像処理部19aで処理されたデジタル信号を設定部19bに設定された基準信号Sと比較する比較部20aと、この比較部20aでの比較に基づいて撮像カメラ17によって撮像された光硬化性樹脂205の塗布形状が正常であるか否かを判定する判定手段である判定部20bが設けられている。
【0036】
それによって、液晶パネル200と電子部品202との接続部分に塗布された光硬化性樹脂205の形状が基準形状であるか否かが検出される。つまり、光硬化性樹脂205の塗布幅が所定の範囲内にあるかということや光硬化性樹脂205が途切れていないかなどのことが検出される。
【0037】
そして、光硬化性樹脂205の撮像形状が許容範囲内であれば、上記判定部20bによって上記光硬化性樹脂205の塗布状態が正常であると判定され、範囲外であれば異常であると判定される。異常時には制御装置18がそのことを警報ブザーやランプなどの警報手段20cを作動させ、それによって作業者に異常を知らせるようになっている。
【0038】
上記ベース1の、第1、第2の塗布ユニット2,3のヘッドステージ11と対向する部位には、それぞれ基板ステージ21が設けられている。この基板ステージ21はX方向及びY方向に駆動可能となっている。すなわち、上記ベース1には図2、図3及び図5に示すようにベーステーブル22が設けられている。このベーステーブル22の上面には図5に矢印で示すY方向に沿って長いXテーブル23がY方向と直交するX方向に沿って移動可能に設けられている。このXテーブル23は上記ベーステーブル22のX方向に沿う一端に設けられたX駆動源24によってX方向に沿って駆動されるようになっている。
【0039】
上記Xテーブル23にはYテーブル25がY方向に沿って移動可能に設けられ、上記Xテーブル23のY方向に沿う一端に設けられたY駆動源26によってY方向に沿って駆動されるようになっている。そして、このYテーブル25上に上記基板ステージ21がZ駆動源27によってZ方向に駆動可能に設けられている。この基板ステージ21には上記液晶パネル200が供給され、図示しない吸着手段によって吸着保持されるようになっている。それによって、液晶パネル200は基板ステージ21とともにX方向、Y方向及びZ方向に駆動されるようになっている。
【0040】
光硬化性樹脂205が塗布される液晶パネル200は、第1の塗布ユニット2の基板ステージ21に供給される。つまり、液晶パネル200は図6(a)、(b)に示すように隣り合う2つの側辺の長さが異なる長方形状をなしている。そして、液晶パネル200には、1つの短側辺部に3つの電子部品202が接続され、この短側辺部に隣り合う1つの長側辺部に6つの電子部品202が接続されている。つまり、液晶パネル200には、4つの側辺部のうちの2つの側辺部に電子部品202が予め接続されている。
【0041】
図5に示すように、液晶パネル200の周辺部は基板ステージ21の周縁から外方に突出しており、上記液晶パネル200の短側辺部或いは長側辺部を塗布位置に位置決めすると、その側辺部は支持体28の上方に対向位置する。この支持体28の上面には吸引路29の一端が開口している。この吸引路29の他端には吸引ポンプ31が吸引チューブ32によって接続されている。
【0042】
したがって、基板ステージ21がX、Y方向に位置決めされた後、下降方向に駆動すれば、液晶パネル200の側辺部を支持体28の上面に吸着保持することができる。液晶パネル200の側辺部を支持体28の上面に吸着保持すれば、その側辺部の反りを矯正することができるから、その側辺部の上面に塗布ノズル13によって光硬化性樹脂205を均一に塗布することができる。
【0043】
つぎに、上記構成の塗布装置を用いて液晶パネル200と、その液晶パネル200の短側辺部と長側辺部に接続された電子部品202との接続部分に光硬化性樹脂を塗布する手順について説明する。
【0044】
まず、図示しない供給ロボットなどによって液晶パネル200が第1の塗布ヘッド2の基板ステージ21に供給される。つまり、液晶パネル200は電子部品202が設けられた短側辺部をヘッドステージ11側に向けるとともにX方向に沿うよう上記基板ステージ21に供給される。
【0045】
ついで、上記基板ステージ21は、液晶パネル200の短側辺部の一端に位置する電子部品202の接続部分に塗布ノズル13の下端が対向位置するようX、Y方向に位置決めされる。このようにして、液晶パネル200をX、Y方向に位置決めすると、その短側辺部が支持体28の上方に位置するから、基板ステージ21を下降させれば、液晶パネル200の短側辺部が支持体28の上面に吸着保持される。
【0046】
液晶パネル200の短側辺部を支持体28の上面に保持したならば、ヘッドステージ11を下降させ、上記塗布ノズル13から光硬化性樹脂205を電子部品202の接続部分に吐出させるとともに、光照射部14から照射光を出射させながら塗布ノズル13が短側辺部の一端から他端に向かうよう、ヘッドステージ11をX方向に駆動する。
【0047】
それによって、塗布ノズル13から吐出される光硬化性樹脂205が液晶パネル200の電子部品202が接続された短側辺部に沿って塗布される。そして、光硬化性樹脂205が塗布された箇所は、その塗布に続いて光照射部14から出射される照射光によって照射されて硬化する。
【0048】
上記液晶パネル200の短側辺部に塗布されて硬化した光硬化性樹脂は、ヘッドステージ11がX方向に駆動されることで、このヘッドステージ11に設けられた撮像カメラ17によって撮像される。撮像カメラ17の撮像信号は制御装置18に入力されて画像処理され、基準信号と比較される。
【0049】
たとえば、硬化した光硬化性樹脂205が途切れていたり、塗布幅の変化が一定以上であると、上記制御装置18から警報が出力される。それによって、作業者は異常に気付くから、その液晶パネル200を下流に流さないようにするなどして対策を講じることができる。
【0050】
上記光照射部14は遮蔽体15によって覆われ、光照射部14から出射される照射光が周囲に散乱するのを防止している。そのため、塗布ノズル13が光照射部14から出射される照射光によって照射され、光硬化性樹脂205が塗布される前に硬化するなどのことを防止できる。つまり、塗布ノズル13が光照射部14との距離を小さくすることが可能となるから、ヘッドステージ11を小型化することが可能となる。
【0051】
このようにして、図6(a)に示すように第1の塗布ユニット2のヘッドステージ11が液晶パネル200の短側辺部の全長にわたって移動して光硬化性樹脂205がされたならば、ヘッドステージ11が上昇後、液晶パネル200は図示しない搬送ロボットによって第1の塗布ユニット2の基板ステージ21から取り出され、水平方向に90度回転されて第2の塗布ユニット3の基板ステージ21に供給される。
【0052】
つまり、短側辺部に光硬化性樹脂205が塗布された液晶パネル200は、電子部品202が接続された長側辺部をX方向に沿わせるとともにヘッドステージ11側に向けて第2の塗布ユニット3の基板ステージ21に供給載置される。
【0053】
液晶パネル200が供給された第2の塗布ユニット3の基板ステージ21はX方向とY方向に駆動され、第2の塗布ユニット3の一対の塗布ノズル13の一方が液晶パネル200の長側辺部の一端に対向し、他方が長側辺部の長手方向中央部に対向するよう位置決めされる。
【0054】
つまり、一方の塗布ノズル13は液晶パネル200の長側辺部の図6(a)にX1で示す一端部に位置決めされ、他方の塗布ノズル13はX2で示す長側辺部のほぼ中央部に位置決めされる。ついで、基板ステージ21は下降方向に駆動され、この基板ステージ21に保持された液晶パネル200の長側辺部が支持体28の上面に吸着保持される。また、液晶パネル200は一対の塗布ノズル13の先端部が電子部品202の接続部分の上方に位置するよう基板ステージ21によってY方向にも位置決めされる。
【0055】
このようにして、基板ステージ21をX、Y及びZ方向に位置決めしたならば、ヘッドステージ11を下降させ、第2の塗布ユニット3の一対の塗布ノズル13から光硬化性樹脂205を吐出するとともに光照射部14から照射光を出射し、一対のヘッドステージ11をX方向、つまり一対の塗布ノズル13が液晶パネル200の長側辺部の他端に向かう方向に駆動する。
【0056】
それによって、一方の塗布ノズル13は液晶パネル200の長側辺部のX1の位置から光硬化性樹脂205の塗布を開始し、他方の塗布ノズル13はX2の位置から塗布を開始する。そして、一対のヘッドステージ11をX方向に図6(a)にLで示す距離の半分の距離を移動させることで、図6(b)に示すように上記長側辺部の電子部品202が接続された部分の全長に光硬化性樹脂205を塗布することができる。
【0057】
つまり、液晶パネル200の長側辺部に、2つの塗布ノズル13によって光硬化性樹脂205を塗布するようにしたので、1つの塗布ノズル13で塗布する場合に比べて半分の時間で塗布することができるから、生産性の向上を図ることができる。
【0058】
第2の塗布ユニット3の各ヘッドステージ11には第1の塗布ユニット2のヘッドステージ11と同様、光照射部14が設けられ、一対の塗布ノズル13によって塗布された光硬化性樹脂205は塗布に続いて硬化させられる。上記光照射部14は遮光体15によって覆われているから、この光照射部14と塗布ノズル13との間隔を十分に小さくしてヘッドステージ11の小型化を図ることができる。
【0059】
さらに、ヘッドステージ11には撮像カメラ17が設けられているから、この撮像カメラ17からの撮像信号によって各塗布ノズル13による光硬化性樹脂205の塗布状態が判定され、異常があればそのことを作業者に知らせることができる。
【0060】
このように、この発明の塗布装置によれば、液晶パネル200の電子部品202が接続された長側辺部と短側辺部とに、それぞれ光硬化性樹脂205を塗布することができるばかりか、その塗布に続いて照射光を照射して硬化させることができる。
【0061】
つまり、光硬化性樹脂205の塗布と硬化との作業を塗布装置の各塗布ユニット2,3によって連続して行えるから、生産性の向上を図れるばかりか、装置全体のライン長を短くすることができるなどのことがある。
【0062】
図7と図8はこの発明の第2の実施の形態を示す。この第2の実施の形態は、第1の塗布ユニット2と第2の塗布ユニット3とが軸線を直交させて配置されている。すなわち、基板ステージ21に保持された長方形状の基板200の短側辺部に対向して第1の塗布ユニット2が配置され、長側辺部に対向して第2の塗布ユニット3が配置されている。なお、第1、第2の塗布ユニット2,3の構成は第1の実施の形態に示された塗布ユニットと同じであるので、同一部分には同一記号を付して説明を省略する。
【0063】
図7に示すように、第1の塗布ユニット2に設けられた塗布ノズル13は、上記長側辺部に隣り合う短側辺部の一端部Y1から光硬化性樹脂205の塗布を開始する。上記第2の塗布ユニット3に設けられた一対の塗布ノズル13は、上記基板200の長側辺部の長手方向一端部X1と中央部X2とから光硬化性樹脂205の塗布を同時に開始する。
【0064】
第1の塗布ユニット2と第2の塗布ユニット3による光硬化性樹脂205の塗布は同期して行われる。すなわち、第1の塗布ユニット2の一対の塗布ノズル13が図8に矢印Yで示す方向に駆動が開始されると同時に、第2の塗布ユニット3の塗布ノズル13が矢印Xで示す方向に駆動される。
それによって、基板200の隣り合う長側辺部と短側辺部とに光硬化性樹脂205を同時に塗布できるから、塗布に要するタクトタイムを短縮することができる。
【0065】
さらに、基板200の長側辺部の長手方向の中央部X2から塗布を開始する第2の塗布ユニット3の一方の塗布ノズル13が設けられたヘッドステージ11が矢印Xで示す方向の末端まで移動したとき、第1の塗布ヘッド2の塗布ノズル13が設けられたヘッドステージ11は基板200の短側辺部の一端部Y1から矢印Yで示す方向へ移動している。
【0066】
そのため、第2の塗布ヘッド3の一方の塗布ノズル13が第1の塗布ヘッド2の塗布ノズル13に干渉するのを防止することもできる。
【0067】
この発明は上記一実施の形態に限定されず、たとえば第2の塗布ユニットには2つの塗布ノズルを設けたが基板の大きさに応じて3つ或いはそれ以上の塗布ノズルを設けるようにしてもよい。
【0068】
液晶パネルのタブが接続された短側辺部或いは長側辺部を支持体によって吸着保持するようにしたが、吸着せず、単に支持するだけであっても液晶パネルの側辺部の反りをある程度は矯正することが可能である。
【0069】
第2の塗布ユニットに設けられた2つの塗布ノズルを駆動ねじによってX方向に駆動するようにしたが、リニアモータによってX方向に駆動可能な構造としてもよい。リニアモータによって駆動する構造にすれば、一対の塗布ノズルを別々に駆動することが可能となるから、一対の塗布ノズルの間隔を液晶パネルの大きさの変化に応じて容易に設定することができる。
【0070】
また、ヘッドステージに設けられた塗布ノズルを液晶パネルの側辺部に沿って駆動したが、基板ステージを駆動し、上記塗布ノズルに対して基板ステージに保持された液晶パネルの側辺部を移動させるようにしてもよく、要は液晶パネルと塗布ノズルとを相対的に移動させればよい。
【0071】
また、光硬化性樹脂の塗布と硬化とを同時に行うようにしたが、光硬化性樹脂の塗布後、硬化を別に行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】この発明の一実施の形態の塗布装置の概略的構成を示す平面図。
【図2】第1の塗布ユニットの正面図。
【図3】第2の塗布ユニットの正面図。
【図4】制御装置のブロック図。
【図5】第1、第2の塗布ユニットの側面図。
【図6】(a)は液晶パネルの短辺に光硬化性樹脂を塗布する説明図、(b)短辺に光硬化性樹脂を塗布してから長辺に光硬化性樹脂を塗布する説明図。
【図7】この発明の第2の実施の形態の塗布装置の概略的構成を示す平面図。
【図8】液晶パネル長辺と短辺とに光硬化性樹脂を同時に塗布する説明図。
【図9】(a)は2つの辺に電子部品が接続された液晶パネルの平面図、(b)は電子部品に回路基板を接続した液晶パネルの平面図、(c)は液晶パネルと回路基板との接続構造を示す側面図、(d)は電子部品の接続部分に光硬化性樹脂を塗布した状態を示す側面図。
【符号の説明】
【0073】
2…第1の塗布ユニット、3…第2の塗布ユニット、11…ヘッドステージ、13…塗布ノズル、14…光照射部、15…遮光体、17…撮像カメラ、18…制御装置、21…基盤ステージ、28…支持体、29…吸引路、31…吸引ポンプ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板とこの基板の側辺部に接続された電子部品との接続部分に光硬化性樹脂を塗布する光硬化性樹脂の塗布装置であって、
上記基板が載置される基板ステージと、
この基板ステージと対向して配置され上記基板と電子部品との接続部分に光硬化性樹脂を塗布する塗布ノズルを有するヘッドステージと、
上記基板ステージと上記ヘッドステージの少なくともどちらか一方を駆動して上記塗布ノズルを上記基板の側辺部に沿う方向に相対的に移動させる駆動手段と、
上記ヘッドステージに設けられ上記塗布ノズルによって上記基板と電子部品との接続部分に塗布された光硬化性樹脂に照射光を照射して硬化させる光照射部と
を具備したことを特徴とする光硬化性樹脂の塗布装置。
【請求項2】
2つのヘッドステージを有し、一方のヘッドステージは上記基板の側辺部の一端に位置する電子部品の接続部分から光硬化性樹脂を塗布し、他方のヘッドステージは上記基板の側辺部の中途部に位置する電子部品の接続部分から光硬化性樹脂を塗布することを特徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂の塗布装置。
【請求項3】
上記基板の少なくとも上記塗布ノズルによって光硬化性樹脂が塗布される側辺部は上記基板ステージから突出していて、この基板の上記基板ステージから突出した部分の下面は支持体によって支持されることを特徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂の塗布装置。
【請求項4】
上記支持体の上面に上記基板を吸着保持する吸着手段を備えていることを特徴とする請求項3記載の光硬化性樹脂の塗布装置。
【請求項5】
上記塗布ノズルによって塗布された光硬化性樹脂を撮像する撮像手段と、この撮像手段からの撮像信号によって上記光硬化性樹脂の塗布状態を判定する判定手段とを備えていることを特徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂の塗布装置。
【請求項6】
上記光照射部からの照射光が上記塗布ノズルを照射するのを阻止する遮光手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂の塗布装置。
【請求項7】
上記ヘッドステージを上記基板ステージに載置された基板の一側部に沿って駆動する第1の塗布ユニットと、上記ヘッドステージを上記基板ステージに載置された基板の上記一側と直交する他側部に沿って駆動する第2の塗布ユニットとを備えていることを特徴とする請求項1記載の光硬化性樹脂の塗布装置。
【請求項8】
上記基板は上記一側部が上記他側部よりも長い直方形状であって、上記一側部に対向する上記第1の塗布ユニットには上記基板の一側部の長手方向一端部と中途部から上記光硬化性樹脂を同時に塗布する塗布ノズルを有する一対のヘッドステージが設けられていることを特徴とする請求項7記載の光硬化性樹脂の塗布装置。
【請求項9】
上記第1の塗布ユニットに設けられたヘッドステージと、上記第2の塗布ユニットに設けられたヘッドステージとは、上記基板の一側部と他側部に沿って同期して駆動されることを特徴とする請求項7記載の光硬化性樹脂の塗布装置。
【請求項10】
基板とこの基板の側辺部に接続された電子部品との接続部分に塗布ノズルから吐出される光硬化性樹脂を塗布する光硬化性樹脂の塗布方法であって、
上記基板と上記塗布ノズルを相対的に直線駆動して上記基板と上記電子部品との接続部分に光硬化性樹脂を塗布する工程と、
上記塗布ノズルによる光硬化性樹脂の塗布に続いて上記接続部分に塗布された光硬化性樹脂に照射光を照射して硬化させる工程と
を具備したことを特徴とする光硬化性樹脂の塗布方法。
【請求項11】
基板とこの基板の長さの異なる2つの側辺部にそれぞれ接続された電子部品との接続部分に塗布ノズルから吐出される光硬化性樹脂を塗布する光硬化性樹脂の塗布方法であって、
上記基板と上記塗布ノズルの少なくともどちらか一方を駆動して上記塗布ノズルを上記基板の側辺部に沿う方向に相対的に移動させて上記基板と上記電子部品との接続部分に光硬化性樹脂を塗布する工程と、
上記塗布ノズルによる光硬化性樹脂の塗布に続いて上記接続部分に塗布された光硬化性樹脂に照射光を照射して硬化させる工程とを具備し、
上記基板の長さの短い側辺部に対しては1つの塗布ノズルによって光硬化性樹脂を塗布し、長さの長い側辺部に対しては複数の塗布ノズルによって光硬化性樹脂を塗布することを特徴とする光硬化性樹脂の塗布方法。
【請求項12】
上記基板の2つの側辺部に対して上記光硬化性樹脂を同時に塗布することを特徴とする請求項10又は請求項11記載の光硬化性樹脂の塗布方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−218470(P2006−218470A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−229560(P2005−229560)
【出願日】平成17年8月8日(2005.8.8)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】