説明

内燃機関の排気浄化装置

この内燃機関の排気浄化装置は、精度良く、強制再生時期を検知し、強制再生インターバルを広く保つことで燃費悪化を抑制できるようにしている。この排気浄化装置は、内燃機関2に設けられ排気ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタ22及びフィルタ上又はフィルタ上流の排気系に設けられNOを生成する機能部21を有する。排出量演算手段A1によりパティキュレート排出量Meを空気過剰率λに基づき演算する。燃焼量演算手段A2によりフィルタ上流の排気ガス温度又は前記フィルタのフィルタ温度に基づきパティキュレート燃焼量Mbを演算する。更に、堆積量演算手段A3によりパティキュレート排出量Me及びパティキュレート燃焼量Mbに基づきパティキュレート堆積量Maを演算している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
この発明は、内燃機関の排ガス中よりカーボン粒子等を捕集する内燃機関の排気浄化装置、特に、フィルタによって捕集されたカーボンを酸化触媒により生成された二酸化窒素(NO)を利用してフィルタ上で酸化除去する内燃機関の排気浄化装置に関する。
【背景技術】
内燃機関、特に、ディーゼルエンジンの排ガス中には、カーボン微粒子等を核とするパティキュレートが混入しており、このパティキュレートを大気中に放出することなく捕集するためにディーゼルエンジンの排ガス流路上にはパティキュレートフィルタが装着される。このパティキュレートフィルタはパティキュレート堆積量が増加すると、これを焼却して再生する必要がある。
そこで、排気流量とフィルタ圧力損失の関係からフィルタに堆積したパティキュレート(PM)の堆積量を検知し、堆積量が再生判定値を上回るとパティキュレートを強制焼却すべく加熱する強制再生手段を駆動している。例えば、強制再生手段としては、内燃機関の燃料供給系に主噴射に加えて、その後の膨張行程や排気行程で追加燃料噴射を行い排温を強制的に上昇させる手段や、電気ヒータ或いは軽油バーナーを駆動させて排温を強制的に上昇させる手段が用いられている。
このように、強制再生手段はフィルタを高温に維持する必要上、燃費悪化を招き易く、これを抑制する上で精度良く強制再生時期を検知し、強制再生インターバルを広く保つ必要がある。
ところで、パティキュレートは600℃程度の高温で酸素により酸化処理可能であるが、低温の250℃程度でも低温燃焼を可能とし、これにより焼却可能域を拡大し、再生促進を図れるようにした連続再生式フィルタ装置が知られている。
この連続再生式フィルタ装置は、パティキュレートフィルタに対して排気路上流側に酸化触媒を配備し、ここで下記(1)式の反応を促進させることで排気中の一酸化窒素(NO)を酸化して二酸化窒素(NO)を生成する。
2NO+O→2NO・・・・・(1)
この二酸化窒素(NO)は高活性であり、パティキュレートフィルタに達した際に同フィルタに捕集済みのパティキュレート(カーボン粒子)と下記(2),(3)式で示す反応を促進させることでパティキュレートフィルタを再生している。
NO+C→NO+CO・・・・・(2)
NO+CO→NO+CO・・・・・(3)
ところが低温燃焼を可能とした連続再生式フィルタ装置であっても、車両が街中を走行し低負荷運転域が長く続くような場合には排温が上昇せず、フィルタにパティキュレートが堆積しやすく、強制焼却して再生する必要がある。
そこで、連続再生式フィルタ装置であっても、排気流量とフィルタ圧力損失の関係からフィルタに堆積したパティキュレート(PM)の堆積量を検知し、堆積量が再生判定値を上回ると排温を強制的に上昇させてパティキュレートを焼却する強制再生手段が採用され、例えば、内燃機関の燃料供給系に主噴射に加えて、その後の膨張行程や排気行程で追加燃料噴射を行い排温を強制的に上昇させる手段が用いられている。
例えば、フィルタに堆積したパティキュレート堆積量を簡易的に排温頻度から推定する方法が本出願人により特願2001−144501号(特許文献1)によって提案され、特開2002−276422公報(特許文献2)には酸化触媒とパティキュレートフィルタ及びNOx触媒を排気路上流側よりこの順に配備し再生時にリッチ運転する連続再生型DPFが開示されている。
ところで、パティキュレートフィルタの上流に酸化触媒を配備した連続再生式フィルタ装置、或いは単にパティキュレートフィルタのみから成るパティキュレート浄化装置の何れであっても、堆積量が再生判定値を上回るとパティキュレート焼却処理に入る。ところが、この堆積量が的確に判定されていないと、即ち、堆積量を過大判定すると強制再生インターバルが狭まり燃費悪化を招き、堆積量を過小判定すると過度にパティキュレートが堆積し、これが燃焼して温度上昇が過大となりフィルタ破損にいたる可能性が有る。したがって、精度良く、強制再生時期を検知し、強制再生インターバルを広く保つ必要がある。
そこで、排気流量とフィルタ圧力損失の関係からフィルタに堆積したパティキュレートPMの堆積量を検知する方法が用いられてきたが、より精度の良いパティキュレート量推定処理が望まれている。特に、連続再生式フィルタ装置では連続再生において部分的な燃焼が生じてパティキュレートの堆積密度の不均一が発生しやすく、流量−圧力損失−パティキュレート堆積量の関係が大きく崩れ、より精度の良いパティキュレート量推定処理が望まれている。
なお、特許文献1で提案されている連続再生式フィルタ装置では、パティキュレート堆積量を推定するに当たり、連続再生時のパティキュレート燃焼量の推定は可能であるがパティキュレート排出量の推定が的確で無いことによりパティキュレート堆積量検知精度が比較的低く、改善が望まれている。特許文献2で提案されている連続再生式フィルタ装置はパティキュレート堆積量により再生時を判断することなく、再生時にリッチ運転するのみであり、燃費悪化を招き易い。
本発明は、上述の課題に基づき、精度が良く、強制再生時期を検知し、強制再生インターバルを広く保つことで燃費悪化を抑制できる内燃機関の排気浄化装置を提供することを目的とする。
【発明の開示】
本発明による内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関の排気系に設けられ排気ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタ、及び前記フィルタ上又は前記フィルタ上流の前記排気系に設けられNOを生成する機能部を有する排気後処理装置、前記内燃機関から排出されるパティキュレート排出量を空気過剰率に基づき演算する排出量演算手段、前記フィルタ上流の排気ガス温度又は前記フィルタのフィルタ温度に基づきパティキュレート燃焼量を演算する燃焼量演算手段、前記排出量演算手段により演算されたパティキュレート排出量及び前記燃焼量演算手段により演算されたパティキュレート燃焼量に基づき前記フィルタへのパティキュレート堆積量を演算する堆積量演算手段、を備えたことを特徴とする。
このように、パティキュレート燃焼量を排気ガス温度又はフィルタ温度で求め、パティキュレート排出量を空気過剰率に基づき求めることにより、パティキュレート堆積量検知精度を向上して強制再生のインターバルを適正にすることができる。
好ましくは、前記堆積量演算手段により推定されたパティキュレート堆積量が所定値を超えたとき、主燃料噴射の後の膨張行程又は排気行程に噴射された追加燃料により、排気ガス昇温を行うか、又は触媒やフィルタへHCを供給しフィルタ上で燃焼させる強制再生手段を備えるとしても良い。この場合、強制再生手段として追加燃料噴射による強制再生処理の他に、軽油バーナ、電気ヒータでの強制再生処理を同様に行うことができる。
更に、本発明の内燃機関の排気浄化装置は、内燃機関の排気系に設けられ排気ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタ、及び前記フィルタ上又は前記フィルタ上流の前記排気系に設けられNOを生成する機能部を有する排気後処理装置、前記内燃機関の運転時の空気過剰率が所定過剰率以下の空気過剰率頻度を演算する空気過剰率頻度演算手段、前記内燃機関から排出されるパティキュレート排出量を空気過剰率頻度に基づき求める排出量演算手段、前記フィルタ上流の排気ガス温度又は前記フィルタのフィルタ温度が所定温度以上の温度頻度を演算する温度頻度演算手段、前記フィルタに堆積したパティキュレートに対するパティキュレート燃焼量を温度頻度に基づき求める燃焼量演算手段、前記排出量演算手段により求められたパティキュレート排出量及び前記燃焼量演算手段により求められたパティキュレート燃焼量に基づき前記フィルタへのパティキュレート堆積量を演算する堆積量演算手段を備えたことを特徴とする。
この場合、PM燃焼量を排気ガス温度又はフィルタ温度の温度頻度に対応するパティキュレート燃焼速度を用いて求めると共に、PM排出量を空気過剰率の頻度に基づき求めることにより、パティキュレート堆積量検知精度を向上して強制再生のインターバルを適正にすることができる。
更に、本発明の内燃機関の排気浄化装置において、前記排出量演算手段は、前記空気過剰率頻度演算手段により演算された所定期間内の区間空気過剰率頻度に対応する前記所定期間内の区間パティキュレート排出量を求めると共に、前記燃焼量演算手段は、前記フィルタに堆積したパティキュレートに対するパティキュレート燃焼速度を温度頻度に基づき求める燃焼速度演算部を含み、前記燃焼速度演算部により求められた前記所定期間内の区間パティキュレート燃焼速度及び前記堆積量演算手段により前回演算されたパティキュレート堆積量に基づき前記フィルタに堆積されたパティキュレートの前記所定期間内の区間パティキュレート燃焼量を求め、更に、前記堆積量演算手段は、同堆積量演算手段により前回演算されたパティキュレート堆積量、前記排出量演算手段により求められた区間パティキュレート排出量、及び前記燃焼量演算手段により求められた区間パティキュレート燃焼量に基づき、今回のパティキュレート堆積量を求めることを特徴とする。
この場合、区間PM燃焼量を区間パティキュレート燃焼速度及び前回求められたパティキュレート堆積量で求め、区間PM排出量を区間空気過剰率の頻度に基づき求め、更に今回のパティキュレート堆積量を前回演算されたパティキュレート堆積量、区間PM排出量及び区間PM燃焼量に基づき求めることにより、現在のPM堆積量の検知精度をより向上して強制再生のインターバルを適正にすることができる。
好ましくは、前記排出量演算手段は、空気過剰率が所定値以下の頻度を重み付け係数を用いて加重平均して区間空気過剰率頻度を求めても良い。この場合、例えば、重み付け係数wf=0.5とし、これより重み付け係数wfが1に近づくほど前回値の影響小となる特性を得ることができ、この重み付け係数で算出された区間空気過剰率頻度を用いることで、パティキュレート排出量の検出精度が向上する。
更に、前記排出量演算手段は、空気過剰率が所定値以下の区間頻度βを、次式に基づき算出しても良い。
β=(xi+βi−1×(i−1))/i
所定空気過剰率以下の時:xi=1
所定空気過剰率を超える時:xi=0
但し、βはi番目の頻度、βi−1は、前回の頻度、xiは、i番目の判定値。
温度頻度も上記と同様の方法で求めても良い。この場合もパティキュレート排出量の検出精度が向上する。
好ましくは、前記所定期間が、単位時間、所定燃料量を消費した期間、所定走行距離の何れかであるとしても良い。この場合も同様の効果が得られる。
更に、本発明の内燃機関の排気浄化装置において、前記区間パティキュレート排出量演算処理では、吸入空気量及び燃料噴射量を取り込むステップと、吸入空気量及び燃料噴射量から所定区間Δt内の空気過剰率を演算するステップと、所定区間Δt内の空気過剰率に従って空気過剰率頻度γΔtを演算するステップと、区間パティキュレート排出量MaΔt{=f(γΔt)}を演算するステップと、をこの順に行なうことを特徴とする。
この場合、区間PM排出量演算処理を、適確に行なえ、現在のPM堆積量の検知精度をより向上して強制再生のインターバルを適正にすることができる。
更に、本発明の内燃機関の排気浄化装置において、前記区間PM燃焼量演算処理では、触媒温度gtを取り込むステップと、触媒温度gtから区間温度頻度βΔtを演算すると共に排気ガス成分がパティキュレートを焼却し易い条件を具備するか否かの指標NOx/Sootに応じた補正係数を用いて区間温度頻度βΔtを補正するステップと、区間温度頻度βΔtを用いて区間燃焼速度係数αΔt{=f(βΔt)}を演算するステップと、前回PM堆積量PMi−及び区間燃焼速度係数αΔtを用いてPM燃焼量MbΔt{=αΔt×PMi−1)}を演算するステップと、をこの順に行なうことを特徴とする。
この場合、区間PM燃焼量演算処理を、適確に行なえ、現在のPM堆積量の検知精度をより向上して強制再生のインターバルを適正にすることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施形態例としての内燃機関の排気浄化装置の概略構成図である。
第2図は第1図の排気浄化装置の機能ブロック図である。
第3図は第1図の排気浄化装置の強制再生制御処理で用いるマップ特性説明図であり、第3図(a)は空気過剰率からPM排出量Sootを推定するためのマップを、第3図(b)は温度頻度からPM燃焼速度を推定するためのマップを、第3図(c)は簡易強制再生制御処理で用いる温度頻度から簡易燃焼速度係数を推定するためのマップを示す。
第4図は第1図の排気浄化装置の強制再生制御処理での空気過剰率の頻度の経時変化を説明する線図であり、第4図(a)は頻度判定結果の経時変化を、第4図(b)は空気過剰率頻度の移動荷重平均値の波形を示す。
第5図は第1図の排気浄化装置で用いるマップ特性説明図であり、第5図(a)は燃料噴射量及びエンジン回転速度からNOx/Sootを推定するためのマップを、第5図(b)はNOx/Sootから補正係数Kを設定するためのマップを示す。
第6図は第1図の排気浄化装置の強制再生制御処理ルーチンのフローチャートである。
第7図は第6図の強制再生制御処理ルーチン中のステップs5で行われるポスト噴射の噴射説明図である。
第8図は本発明の第2実施形態として、第2図に対応する排気浄化装置の機能を説明するブロック図である。
第9図は第8図のブロック図に対応するPM堆積量演算に基づく強制再生制御処理ルーチンのフローチャートであり、第9図(a)は強制再生時期検出ルーチンを、第9図(b)は区間PM排出量演算ルーチンを、第9図(c)は区間PM燃焼量演算ルーチンを示す。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の第1実施形態を第1図乃至第7図を用いて説明する。
第1図は第1の実施形態として本発明を適用した内燃機関の排気浄化装置1を装着したディーゼルエンジン(以後単にエンジンと記す)2である。このエンジン2は燃焼室3より延出する排気路Rを備え、この排気路Rには排気マニホールド4、排気管5、その途中に配備される排気後処理装置6、その下流の図示しないマフラーを順次接続して形成される。エンジン2は直列4気筒エンジンであり、各気筒にはインジェクタ8が設けられている。各インジェクタ8にはこれに燃料を供給する燃料供給部9と、インジェクタ8により燃焼室3に燃料噴射を行う燃料噴射部11を備え、これらはエンジンECU12により駆動制御される。
燃料供給部9はエンジン駆動の高圧燃料ポンプ13の高圧燃料をエンジンECU12内の燃圧制御部121により制御される燃圧調整部14で定圧化した上でコモンレール15に導き、コモンレール15より分岐して延出する燃料管路16を介し各インジェクタ8に供給する。インジェクタ8の電磁バルブ17は噴射制御部122に接続され、同噴射制御部122は演算された燃料噴射量、噴射時期に応じた出力信号を電磁バルブ17に出力し、インジェクタ8を噴射制御する。
ここで噴射制御部122はエンジン回転数Neとアクセルペダル踏込量θaに応じた燃料噴射量及び燃料噴射時期を求める。その上で、演算された噴射時期及び燃料噴射量相当の出力信号をインジェクタドライバ10にセットし、燃料噴射部11の電磁バルブ17に出力し、インジェクタ8の燃料噴射を制御する。
排気管5の途中の排気後処理装置6は金属筒状のケーシング18を備え、その膨出部181の内側に排気路Rに沿って酸化触媒21及びディーゼルパティキュレートフィルタ(以後単にフィルタと記す)22を直列状に備える。なお、酸化触媒21及びフィルタ22はそれぞれ膨出部181との間に各々を支持する支持部材19、たとえば、石綿や嵩高形状の金属網状体を介装している。
酸化触媒21は触媒担持体に担持され、触媒担持体211内の各排ガス通路r1は両端部が開放され、排ガスを排気路R上流より下流側に容易に通過させることができる。触媒担持体211はセラミック製で断面がハニカム構造を成すモノリシス型であり、互いに並列配備された多数の排ガス通路r1を形成され、各通路の通路対向壁面に酸化触媒21が触媒層を成して担持される。
NOを生成する機能部を成す酸化触媒21は、エンジン2から排出される排気中の一酸化窒素(NO)を酸素Oで酸化して高活性の二酸化窒素(NO)に生成し、すなわち、上述の(1)式の生成反応を促進できる触媒性能を備えるものが選択され、ここではプラチナ系酸化触媒が採用された。
フィルタ22はセラミック製、例えば、Mg,Al,Siを主成分とするコージェライトから成り、多数の排ガス通路r2(r2−1、r2−2)を排気路Rの方向に向けて並列状に積層してなるハニカム構造体として形成される。ここで互いに隣合う各排ガス通路r2は交互に排気路R上流側と下流側のいずれか一方が端部23で閉鎖されるように形成される。これにより上流側に流入した排ガスは各排ガス通路r2−1の通路対向壁bを透過して排気路R下流側に出口を形成された各排ガス通路r2−2に達し、排出され、その際、排ガス中よりパティキュレート(PM)を濾過する。
エンジンECU12は、吸入空気量Qaを検出するエアフローセンサ7と、エンジン2のアクセルペダル開度θaを検出するアクセルペダル開度センサ24と、クランク角情報Δθを検出するクランク角センサ25と、排気温度gtを検出する排気温度センサ26と、水温wtを検出する水温センサ27と、大気圧paを出力する大気圧センサ28と、アイドル信号IDを出力するアイドルスイッチ29が接続される。ここでクランク角情報ΔθはエンジンECU12においてエンジン回転数Neの導出に用いられると共に後述の燃料噴射時期制御に使用される。
エンジンECU12はその入出力回路に多数のポートを有し、アクセルペダル開度センサ24、クランク角センサ25、排気温度センサ26、水温センサ27、大気圧センサ28等よりの検出信号を採り込む。エンジンECU12は燃圧制御部121、噴射制御部122や周知のエンジン制御処理機能を備え、特に、強制再生制御を成す排出量演算手段A1、燃焼量演算手段A2、堆積量演算手段A3の制御機能を備える(第2図参照)。
ここで、排出量演算手段A1はエンジン2から排出されるパティキュレートの排出量(以後PM排出量と記す)Meを空気過剰率λに基づき演算する。ここではPM排出量Me演算マップm1(第3図(a)参照)を用い、空気過剰率λよりPM排出量Meを積算する。
燃焼量演算手段A2はフィルタ22上流の排気ガス温度gt又はフィルタ22のフィルタ温度(排気ガス温度と同値と見做す)gtに基づきパティキュレート燃焼量(以後PM燃焼量と記す)Mbを演算する。
堆積量演算手段A3は排出量演算手段A1により演算されたパティキュレート排出量Ma及び燃焼量演算手段A2により演算されたパティキュレート燃焼量Mbに基づきフィルタ22へのパティキュレート堆積量(以後PM堆積量と記す)Maを演算する。
このような内燃機関の排気浄化装置1を装備したエンジン2の駆動時において、エンジンECU12は図示しないメインルーチンにおいて、上述の各種のセンサー出力が正常値であるか否かをチェックし、正常であればエンジンが駆動される。
エンジンの運転時において、酸化触媒21を担持する触媒担持体211では多数の排ガス通路r1に排ガスが分散して流入し、上述の(1)式に沿って排ガス中の一酸化窒素(NO)が酸化されて高活性の二酸化窒素(NO)が生成され、下流側のフィルタ22に流出される。フィルタ22では各排ガス通路r2−1に流入した排ガスが通路対向壁bを透過して各排ガス通路r2−2の下流側出口に達し、大気中に排出される。この際、通路対向壁bを流通する排ガスが含有するPMがフィルタ22に捕捉される。
このような状況下においてメインルーチンの途中で第6図に示すような強制再生制御処理に達する。
この強制再生制御処理では、ステップs1でPM排出量Meをステップs2でPM燃焼量Mbをステップs3でPM堆積量Maを演算し、ステップs4でPM堆積量Maが所定値(Maα)に達したのを判定した時点でステップs5に進み、フィルタ22を強制的に昇温させるための強制再生制御(例えば、ポスト噴射制御を所定時間行う)を実行する。
ステップs1のPM排出量Meの演算では、第2図に実線で示すような処理を実行する。排出量演算手段A1において、まず、最新の吸入空気量Qa、燃料噴射量Qfを取り込み、空気過剰率λ{=Qa/(Qf×14、7)}をλ演算部a1で算出する。更に、λ演算部a1では、第3図(a)のPM排出量マップm1で空気過剰率λ相当のPM排出量Meを演算する。PM排出量マップm1は前以て設定され、これは空気過剰率λが低下するとPM排出量Meが急増する曲線特性を有する。
ステップs2のPM燃焼量Mbの演算では、フィルタ温度gtを取り込み、次いで、第2図に示すような簡易燃焼速度係数演算部b0での処理を実行する。
燃焼量演算手段A2の簡易燃焼速度係数演算部b0ではフィルタ温度gtを取り込み、フィルタ温度gt相当の燃焼速度係数αを第3図(c)の燃焼速度係数マップm0で算出する。この燃焼速度係数マップm0はフィルタ温度gt増に応じて増加度合を増す曲線特性を有する。
次にPM燃焼量演算部b4では次式(b)によってPM燃焼量Mbが算出される。
Mb=α×PM×t・・・(b)
ここで、PMは測定時点で堆積しているPM量で、前回堆積量に相当し,α×PMが燃焼速度を示し、tが単位時間を示す。
ステップs3の堆積量演算手段A3では、第2図に示すような処理、即ち、式(c)に示すように、単位時間t毎のPM排出量MeよりPM燃焼量Mbを減算してPM堆積量Maを算出する。
Ma=Me−Mb・・・(c)
この今回のPM堆積量Maはそれ以前の所定期間mtに算出済みのPM堆積量前回値Maに積算され、積算堆積量Mapmtとして算出される。
更に、ステップs4に達すると、ここでは積算堆積量Mapmtが所定値Maαを上回るか判断し、上回るまではステップs1からs4を繰返す。所定値Maαはフィルタ22に堆積するパティキュレートが連続燃焼した場合に、その燃焼熱でフィルタ22自体が過熱により劣化することを避けるべく、その所定値Maαが適宜設定される。
更に、積算堆積量Mapmtが所定値(Maα)を上回るとしてステップs5に達すると、ここではフィルタ22を強制的に昇温させるための強制再生制御として、ポスト噴射制御を所定時間行う。即ち、ステップs5では、第7図に示すように、現在の運転情報に応じた主噴射J1用の燃料噴射量INJn(噴射期間Bm)、噴射時期t1を導出し、更に、後噴射J2用の後噴射量INJp(噴射期間Bs)を予め設定された一定量として設定し、主噴射後の適当な噴射時期t2に設定する。
これにより主噴射J1用の燃料噴射量INJn及び噴射時期t1相当の情報を含む出力Dinjと、これに加え、後噴射J2用の後噴射量INJp及び噴射時期t2相当の情報を含む出力D’injを燃料噴射用ドライバ10にセットし、メインルーチンにリターンする。これにより燃料噴射用ドライバ10は所定噴射時期θrをカウントし、主噴射J1及び後噴射J2を実行し、その後、排ガス温度が上昇し、酸化触媒a上のHCが燃焼し、更に、フィルタ22上のフィルタ温度gtが速やかに上回り、堆積量に相当する所定時間の間、パティキュレートが高温雰囲気下で十分に焼却される。この強制再生制御処理によりフィルタ22は確実に再生される。
このように、PM排出量Meを空気過剰率λに基づき求め、PM燃焼量Mbをフィルタ温度gtに基づき求めることにより、PM堆積量検知精度を向上でき、この結果、強制再生のインターバル、即ち、前回と今回の強制再生制御処理の時間幅を適正にすることができ、燃費を適性に保持できる。
ここではフィルタ22を強制的に昇温させるため、主噴射J1の後の膨張行程での後噴射J2で追加燃料を噴射するポスト噴射制御を行うので、特に強制再生用の外部熱源を特に用意することが無く、装置の簡素化を図れるが、場合により、強制再生手段として、排気路Rの排気後処理装置6に図示しない軽油バーナ、或いは図示しない電気ヒータを装着してステップs5での再生促進制御時にこれら強制再生手段を駆動し、フィルタ22を再生しても良く、これらの場合、燃料制御系の制御が簡素化される。
次に、本発明の第2の実施形態を第8図、第9図を用いて説明する。
この実施形態においても、第1図の排気浄化装置1のハード構成をそのまま用いて、第8図のブロック図、或いは、第9図に示すような強制再生制御処理ルーチンを行う。
第8図では、排出量演算手段A1’によってPM排出量の演算を実行し、燃焼量演算手段A2’によるPM燃焼量の演算を実行し、更に堆積量演算手段A3”によりPM堆積量の演算を実行する。
初めに、排出量演算手段A1’は、λ演算部a1’において、空気過剰率λ{=Qa/(Qf×14.7)}を算出する。更に、区間λ頻度演算部a2−1’では、第4図(a)に示すように単位時間毎にλが規定値(例えば、1.2)以下で判定結果の判定値x(=1)とし、λが規定値を超えると判定結果の判定値x(=0)とする頻度判定を行い、更にその判定結果に基づき、区間Δt間の空気過剰率頻度γ(λ頻度)を移動荷重平均式である式(g)を用いて演算する。
γi=(γi−1×(i−1)+γi)/i・・・・(g)
ここで、γiは、i回目の頻度、γi−1は、i回目の前の頻度を表すもので、i番目のλ頻度γiは、前回のλ頻度γi−1に(i−1)を掛け、i番目のλ頻度γiを加算して、その値をiで除算することにより求められる。
そして、第4図(b)に示すように区間Δt間の最後のλ頻度γi=γΔtとする。
この場合大きなメモリを必要とせず、また、頻度を時系列で見ることが可能となる。
更に、(h)式を用い、前回の頻度γi−1に重み係数wfを掛けた値と、今回の判定値xiに(1−wf)を掛けた値とを加算して今回の頻度γiを算出しても良い。
γ=γi−1×wf+xi×(1−wf)・・・・(h)
この場合、例えば、重み付け係数wf=0.5とし、これより重み付け係数wfが1に近づくほど前回の頻度γi−1の影響小となる特性を得ることができ、この重み付け係数wfで算出された空気過剰率頻度を用いることで、外乱によるデータのずれをなまし処理でき、パティキュレート排出量の検出精度が向上する。
更に、排出量演算部a2−2’において、式(i)を用いて区間Δt間の区間PM排出量MaΔtを演算する。
MaΔt=f(γΔt)…(i)
例えば、このPM排出量は、区間λ頻度γΔtに所定の係数Cを乗算して求めても良い。なお、この係数Cは、予め実験的に求められる。なお、式(i)を用いた排出量演算の代わりに、予め区間λ頻度γΔtに対するPM排出量をマップ化し、該マップよりPM排出量を求めても良い。
例えば、PM排出量マップは、第3図(a)中の空気過剰率に代えてλ頻度γに置き換えた場合に、第3図(a)とは逆の傾向を表す。即ち、λ頻度γが大きくなるとPM排出量Me(PM排出速度θ)が大となる。
次に、第8図の燃焼量演算手段A2’について説明する。
この燃焼量演算手段A2’は、温度頻度演算部b1で単位時間毎のフィルタ温度gtを取り込み、集計し、区間Δt間の温度頻度βΔtを求める。
なお、単位時間t毎にフィルタ温度gtを取り込み、集計し、温度頻度βを算出した場合、大きなメモリが必要となり、コスト的に問題が生じ易いことから、上述の区間Δtの温度頻度βを移動荷重平均式である(j)式で算出しても良い。即ち、i番目の温度頻度βiは、前回の温度頻度βi−1に(i−1)を掛け、i番目の温度頻度βを加算して、その値をiで除算してi番目の温度頻度βが求められる。
β=(β+βi−1×(i−1))/i・・・・(j)
この場合大きなメモリを必要とせず、また、温度頻度βを時系列で見ることが可能となる。
そして、温度頻度補正部b2でNOx/Sootに応じた補正係数を用いて区間温度頻度βΔtを補正する。
次に、頻度補正部b2で温度頻度βをNOx/Sootで補正する。即ち、パティキュレートを焼却可能な本来の下限温度は600℃程度であるが、本装置では酸化触媒21を用いることで、NOとの酸化反応により、燃焼可能な下限温度を250℃まで下げることが可能となっている。しかしながら、そのNOの生成は排ガス中のNOx量に左右され、NOx量が多い場合にはNOも多量に生成されるので250℃程度で安定した燃焼が得られるが、NOx量が少ない場合にはNOの生成量も低下してしまうことから、250℃程度の温度状況では安定したPM燃焼を得難くなる。つまり、PMの焼却は排ガス中のNOx量、より詳しくは排ガス成分がPMを焼却し易い条件を具備しているか否かを表す指標として用いられるNOx/Sootの影響を受ける。
このような理由より頻度補正部b2ではエンジン回転数Neと燃料噴射量Qf(トルク相当値)に応じて、第5図(a)に示すNOx/Sootマップm4を用い、NOx/Sootを設定し、第5図(b)に示す補正係数Kaマップm5を用い、NOx/Sootに応じた補正係数Kを算出する。ここで、例を挙げるとNOx/Sootが25以上の領域ではNOx/Sootの増加に応じて1から次第に増加設定される一方、NOx/Sootが25未満の領域ではNOx/Sootの減少に応じて1から減少されて、16未満の領域では一定値(<1)に設定される。更に、頻度補正部b2では補正係数Kを温度頻度βに乗算して補正する。
次に、燃焼速度演算部b3において、式(k)を用いて区間Δt間の区間PM燃焼速度係数αΔtを演算する。
αΔt=f(βΔt)・・・・(k)
なお、式(k)を用いたPM燃焼速度演算の代わりに、第3図(b)のように予め区間温度頻度βΔtに対するPM燃焼速度をマップ化し、該マップよりPM燃焼速度係数を求めても良い。
即ち、区間温度頻度βΔtが大きくなると区間PM燃焼速度係数αΔtが大となる。
更に、燃焼量演算部b4”において、式(l)を用いて区間Δt間の区間PM燃焼量MbΔtを演算する。
MbΔt=αΔt*PMi−1・・・・(l)
ここで、PMi−1は、後述する堆積量演算手段A3”で求められた前回のPM堆積量を表すものである。
なお、式(l)を用いたPM燃焼量演算の代わりに、予め区間燃焼速度βΔtに対するPM燃焼量をマップ化し、PM燃焼量を求めても良い。
なお、マップは区間燃焼速度係数αΔtが大きくなると区間PM燃焼量が大となる特性を有する。
最後に、第8図の堆積量演算手段A3”について説明する。
堆積量演算手段A3”では、今回(現在)のPM堆積量PMiを、式(m)を用いて演算する。
PMi=PMi−1+(MaΔt−MbΔt)×Δt・・・・(m)
なお、上述の実施態様では、燃焼量演算手段A2’の燃焼量演算部b4”により区間PM燃焼量を演算しているが、燃焼量演算手段A2’を燃焼速度演算部b3までで構成される燃焼速度演算手段A2”として置き換えて、堆積量演算手段A3”において、今回(現在)のPM堆積量PMiを、式(n)を用いて演算しても良い。
PMi=PMi−1+(MaΔt−αΔt×PMi−1)×Δt・・・・(n)
次に、第9図(a)〜第9図(c)に示す強制再生制御処理ルーチンに従って説明する。第9図(a)は、強制再生時期検出ルーチンを示すものである。
該強制再生時期検出では、ステップs10において区間PM排出量MaΔtの演算処理を行い、ステップs20において区間PM燃焼量MbΔtの演算処理を行う。
ここで、第9図(b)の区間PM排出量演算処理ルーチンを用いて区間PM排出量演算処理を説明する。
該区間PM排出量演算処理では、ステップs11で吸入空気量Qa及び燃料噴射量Qfを取り込み、ステップs12で吸入空気量Qa及び燃料噴射量Qfから区間Δt間の空気過剰率λを演算し、ステップs13で第8図のλ頻度演算部a2−1’に従って空気過剰率頻度(λ頻度γ)を演算し、ステップs14でPM排出量MaΔt{=f(γΔt)}を演算して、演算処理を終了する。
さらに、第9図(c)の区間PM燃焼量演算処理ルーチンを用いて区間PM燃焼量演算処理を説明する。
該区間PM燃焼量演算処理では、ステップs21で触媒温度gtを取り込み、ステップs22で触媒温度gtから区間温度頻度βΔtを演算すると共にNOx/Sootに応じた補正係数を用いて区間温度頻度βΔtを補正する。次に、ステップs23で区間温度頻度βΔtを用いて区間燃焼速度係数αΔt{=f(βΔt)}を演算し、ステップs24で前回PM堆積量PMi−1及び区間燃焼速度係数αΔtを用いてPM燃焼量MbΔt{=αΔt×PMi−1)}を演算して、演算処理を終了する。
そして、第9図(a)において、ステップs10の区間PM排出量MaΔtの演算処理、及びステップs20の区間PM燃焼量MbΔtの演算処理を終了すると、更に、ステップs30において現在のPM堆積量PMiを、前回演算された前回PM堆積量PMi−1、区間PM排出量MaΔt、及び区間PM燃焼量MbΔtを用いて演算する。
そして、ステップs40において、PM堆積量PMiが所定値以上になったと判断すると、ステップs50においてフィルタ22を強制的に昇温させるための強制再生制御を行う。なお、この強制再生制御は所定時間に亘って主噴射後の適当な噴射時期に所定量のポスト噴射を行うことにより達成される。
これにより排ガス温度が上昇し、フィルタ温度gtが速やかに上回り、パティキュレートが高温雰囲気下で十分に焼却され、この強制再生制御処理によりフィルタ22は確実に再生される。
このように、区間Δt毎に区間PM排出量Ma及び区間PM燃焼量Mbに基づきPM堆積量を求めることにより、パティキュレート堆積量検知精度を向上でき、パティキュレート堆積量PMiを精度良く検知でき、パティキュレート堆積量の精度が特に向上して強制再生のインターバルを適正にすることができ、強制再生インターバルを広く保つことで燃費悪化を抑制できる。
更に、上述の燃焼量演算手段A2’が、区間Δt(所定期間)内での排気ガス温度gtが特定温度(250℃)以上の温度頻度を区間排気温度頻度βとして求めたり、区間Δt間における温度頻度βの平均値として求めても良い。
この場合も第9図(a)〜第9図(c)の排気浄化装置1の強制再生制御処理の場合と同様の作用効果が得られ、特に、総パティキュレート堆積量を表す総堆積量頻度を求めるので、堆積量検知精度が向上して強制再生のインターバルを適正にすることができる。
上述の実施形態では、フィルタをハニカム構造体として形成されたものに基づいて、説明したが、これに限定されるものではなく、ワイヤメッシュや三次元構造体であっても良い。
【産業上の利用可能性】
以上のように、本発明による内燃機関の排気浄化装置は、パティキュレート堆積量検知精度を向上でき、パティキュレート堆積量を精度良く検知でき、ディーゼル車に搭載された場合に、強制再生インターバルを広く保つことで燃費悪化を抑制でき、その効果を十分に発揮できる。
【図1】

【図2】




【図6】

【図7】

【図8】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の排気系に設けられ排気ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタ、及び前記フィルタ上又は前記フィルタ上流の前記排気系に設けられNOを生成する機能部を有する排気後処理装置、前記内燃機関から排出されるパティキュレート排出量を空気過剰率に基づき演算する排出量演算手段、前記フィルタ上流の排気ガス温度又は前記フィルタのフィルタ温度に基づきパティキュレート燃焼量を演算する燃焼量演算手段、前記排出量演算手段により演算されたパティキュレート排出量及び前記燃焼量演算手段により演算されたパティキュレート燃焼量に基づき前記フィルタへのパティキュレート堆積量を演算する堆積量演算手段、を備えたことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項2】
内燃機関の排気系に設けられ排気ガス中のパティキュレートを捕集するフィルタ、及び前記フィルタ上又は前記フィルタ上流の前記排気系に設けられNOを生成する機能部を有する排気後処理装置、前記内燃機関の運転時の空気過剰率が所定過剰率以下の空気過剰率頻度を演算する空気過剰率頻度演算手段、前記内燃機関から排出されるパティキュレート排出量を空気過剰率頻度に基づき求める排出量演算手段、前記フィルタ上流の排気ガス温度又は前記フィルタのフィルタ温度が所定温度以上の温度頻度を演算する温度頻度演算手段、前記フィルタに堆積したパティキュレートに対するパティキュレート燃焼量を温度頻度に基づき求める燃焼量演算手段、前記排出量演算手段により求められたパティキュレート排出量及び前記燃焼量演算手段により求められたパティキュレート燃焼量に基づき前記フィルタへのパティキュレート堆積量を演算する堆積量演算手段を備えたことを特徴とする内燃機関の排気浄化装置。
【請求項3】
前記排出量演算手段は、前記空気過剰率頻度演算手段により演算された所定期間内の区間空気過剰率頻度に対応する前記所定期間内の区間パティキュレート排出量を求めると共に、前記燃焼量演算手段は、前記フィルタに堆積したパティキュレートに対するパティキュレート燃焼速度を温度頻度に基づき求める燃焼速度演算部を含み、前記燃焼速度演算部により求められた前記所定期間内の区間パティキュレート燃焼速度及び前記堆積量演算手段により前回演算されたパティキュレート堆積量に基づき前記フィルタに堆積されたパティキュレートの前記所定期間内の区間パティキュレート燃焼量を求め、更に、前記堆積量演算手段は、同堆積量演算手段により前回演算されたパティキュレート堆積量、前記排出量演算手段により求められた区間パティキュレート排出量、及び前記燃焼量演算手段により求められた区間パティキュレート燃焼量に基づき、今回のパティキュレート堆積量を求めることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項4】
前記パティキュレート排出量の演算処理では、吸入空気量及び燃料噴射量を取り込むステップと、吸入空気量及び燃料噴射量から所定区間△t内の空気過剰率λを演算するステップと、所定区間△t内の空気過剰率λに従って空気過剰率頻度γ△tを演算するステップと、パティキュレート排出量Ma△t{=f(γ△t)}を演算するステップと、をこの順に行なうことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。
【請求項5】
前記パティキュレート燃焼量の演算処理では、触媒温度gtを取り込むステップと、触媒温度gtから区間温度頻度β△tを演算すると共に排気ガス成分がパティキュレートを焼却し易い条件を具備するか否かの指標NOx/Sootに応じた補正係数Kを用いて区間温度頻度β△tを補正するステップと、区間温度頻度β△tを用いて区間燃焼速度係数α△t{=f(β△t)}を演算するステップと、前回パティキュレート堆積量PMi−1及び区間燃焼速度係数α△tを用いてパティキュレート燃焼量Mb△t{=α△t×PMi−1)}を演算するステップと、をこの順に行なうことを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の排気浄化装置。

【国際公開番号】WO2004/036002
【国際公開日】平成16年4月29日(2004.4.29)
【発行日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−544962(P2004−544962)
【国際出願番号】PCT/JP2003/013221
【国際出願日】平成15年10月16日(2003.10.16)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】