説明

剥離システム、剥離方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体

【課題】重合基板から剥離された被処理基板を適切に保持し、当該被処理基板の搬送又は処理を適切に行う。
【解決手段】剥離システムは、重合ウェハから剥離された被処理ウェハWを搬送又は処理する際に、当該被処理ウェハWを非接触状態で保持する保持部60を有している。保持部60の保持面61には、気体を噴出する複数の噴出口62と気体を吸引する複数の吸引口63とが形成されている。複数の噴出口62と複数の吸引口63は、保持部60に保持される被処理ウェハWに対応する位置全体に亘って形成されている。剥離システムにおいて、保持部60は、被処理ウェハWを搬送する搬送装置、被処理ウェハWの表裏面を反転する反転装置、重合ウェハを被処理ウェハWと支持ウェハに剥離する剥離装置、被処理ウェハWを洗浄する洗浄装置、被処理ウェハWを検査する検査装置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重合基板を被処理基板と支持基板に剥離する剥離システム、当該剥離システムを用いた剥離方法、プログラム及びコンピュータ記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば半導体デバイスの製造プロセスにおいて、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」とする)の大口径化が進んでいる。また、実装などの特定の工程において、ウェハの薄型化が求められている。そして、例えば大口径で薄いウェハを、そのまま搬送したり、研磨処理すると、ウェハに反りや割れが生じる恐れがある。このため、ウェハを補強するために、例えば支持基板であるウェハやガラス基板にウェハを貼り付けることが行われている。そして、このようにウェハと支持基板が接合された状態でウェハの研磨処理等の所定の処理が行われた後、ウェハと支持基板が剥離される。
【0003】
かかるウェハと支持基板の剥離は、例えば剥離装置を用いて行われる。剥離装置は、例えばウェハを保持する第1ホルダーと、支持基板を保持する第2ホルダーと、ウェハと支持基板との間に液体を噴射するノズルとを有している。そして、この剥離装置では、ノズルから接合されたウェハと支持基板との間、すなわちウェハと支持基板との接合面に、当該ウェハと支持基板との間の接合強度より大きい噴射圧、好ましくは接合強度より2倍以上大きい噴射圧で液体を噴射することにより、ウェハと支持基板の剥離が行われている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−167724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ウェハと支持基板が剥離されると、剥離されたウェハは所定の処理装置に搬送され、また当該処理装置においてウェハに所定の処理が行われる。このウェハの搬送や処理においては、ウェハ上に形成された所定のパターンのデバイスの損傷を回避するため、非接触状態でウェハを保持するのが好ましい。
【0006】
そこで、剥離されたウェハを保持するため、例えばベルヌーイチャックが用いられる。ベルヌーイチャックは、当該チャックの表面から空気を噴出することによりウェハを浮遊させ、非接触の状態でウェハを吸引懸垂し保持することができる。
【0007】
しかしながら、ウェハ上にはデバイスが形成されており、しかもウェハは薄型化されているため、ウェハの外周部が反る場合がある。かかる場合、ベルヌーイチャックの吸引力が十分でないため、外周部が反ったウェハを水平に保持することができない場合がある。そうすると、ウェハの搬送やウェハへの所定の処理を適切に行うことができない。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、重合基板から剥離された被処理基板を適切に保持し、当該被処理基板の搬送又は処理を適切に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明は、被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板に剥離する剥離システムであって、重合基板から剥離された被処理基板を搬送又は処理する際に、当該被処理基板を非接触状態で保持する保持部を有し、前記保持部の表面には、気体を噴出する複数の噴出口と気体を吸引する複数の吸引口とが形成されていることを特徴としている。なお、非接触状態とは、被処理基板と保持部が非接触の状態をいう。
【0010】
本発明によれば、重合基板から剥離された被処理基板に対して、保持部の噴出口から気体を噴出すると共に、吸引口から気体を吸引することができる。そうすると、保持部と被処理基板との間において、噴出口から吸引口に向かう気流を形成することができる。しかも、保持部の表面には複数の噴出口と吸引口が形成されているので、噴出口から吸引口に向かう気流を複数形成することができる。この複数の気流によって、被処理基板に対する保持部の吸引力を大きくできる。すなわち、浮上状態の被処理基板を水平に保持するのに十分な剛性(浮上剛性)を大きくできる。このため、例えば薄型化された被処理基板の外周部が反った状態でも、保持部によって、被処理基板の反りを矯正して、被処理基板を適切に保持することができる。したがって、このように保持部に保持された被処理基板の搬送又は処理を適切に行うことができる。なお、保持部は、噴出口から吸引口に向かう気流によって、被処理基板を非接触状態で保持できるので、被処理基板上に形成されたデバイスが損傷を被るのも回避することができる。
【0011】
前記複数の噴出口と前記複数の吸引口は、それぞれ前記保持部の表面において、保持される被処理基板に対応する位置全体に亘って形成されていてもよい。
【0012】
前記保持部の外周には、前記保持部と当該保持部に保持された被処理基板との間の隙間を覆うフードが設けられていてもよい。
【0013】
前記保持部の外周には、前記保持部に保持された被処理基板のガイド部材が設けられていてもよい。
【0014】
前記剥離システムは、重合基板から剥離された被処理基板を搬送する搬送装置を有し、前記搬送装置は前記保持部を備えていてもよい。
【0015】
前記剥離システムは、重合基板から剥離された被処理基板の表裏面を反転させる反転装置を有し、前記反転装置は前記保持部を備えていていもよい。
【0016】
前記剥離システムは、重合基板を被処理基板と支持基板に剥離する剥離装置を有し、前記剥離装置は前記保持部を備えていてもよい。
【0017】
前記剥離システムは、重合基板から剥離された被処理基板を洗浄する洗浄装置を有し、前記洗浄装置は前記保持部を備えていてもよい。
【0018】
前記剥離システムは、重合基板から剥離された被処理基板を検査する検査装置を有し、前記検査装置は前記保持部を備えていてもよい。
【0019】
別な観点による本発明は、被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板に剥離する剥離方法であって、重合基板から剥離された被処理基板を搬送又は処理する際、当該被処理基板に対して、保持部の表面に形成された複数の噴出口から気体を噴出すると共に、当該保持部の表面に形成された複数の吸引口から気体を吸引して、前記保持部で被処理基板を非接触状態で保持することを特徴としている。
【0020】
前記複数の噴出口と前記複数の吸引口は、それぞれ前記保持部の表面において、保持される被処理基板に対応する位置全体に亘って形成されていてもよい。
【0021】
重合基板から剥離された被処理基板を搬送する搬送装置において、前記保持部で当該被処理基板を保持してもよい。
【0022】
重合基板から剥離された被処理基板の表裏面を反転させる反転装置において、前記保持部で当該被処理基板を保持してもよい。
【0023】
重合基板を被処理基板と支持基板に剥離する剥離装置において、前記保持部で当該被処理基板を保持してもよい。
【0024】
重合基板から剥離された被処理基板を洗浄する洗浄装置において、前記保持部で当該被処理基板を保持してもよい。
【0025】
前記重合基板から剥離された被処理基板を検査する検査装置において、前記保持部で当該被処理基板を保持してもよい。
【0026】
また別な観点による本発明によれば、前記剥離方法を剥離システムによって実行させるために、当該剥離システムを制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラムが提供される。
【0027】
さらに別な観点による本発明によれば、前記プログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が提供される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、重合基板から剥離された被処理基板を保持部で適切に保持し、当該被処理基板の搬送又は処理を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施の形態にかかる剥離システムの構成の概略を示す平面図である。
【図2】被処理ウェハと支持ウェハの側面図である。
【図3】保持部の構成の概略を示す平面図である。
【図4】保持部の構成の概略を示す縦断面図である。
【図5】剥離装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図6】第1の洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図7】第1の洗浄装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図8】第2の洗浄装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図9】第2の搬送装置の構成の概略を示す側面図である。
【図10】反転装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図11】検査装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図12】検査装置の構成の概略を示す横断面図である。
【図13】剥離処理の主な工程を示すフローチャートである。
【図14】剥離装置において上部チャックと下部チャックで重合ウェハを保持した様子を示す説明図である。
【図15】剥離装置の下部チャックを鉛直方向及び水平方向に移動させる様子を示す説明図である。
【図16】剥離装置において被処理ウェハと支持ウェハを剥離した様子を示す説明図である。
【図17】剥離装置の上部チャックから第2の搬送装置の保持部に被処理ウェハを受け渡す様子を示す説明図である。
【図18】第2の搬送装置の保持部から第1の洗浄装置のチャックに被処理ウェハを受け渡す様子を示す説明図である。
【図19】第3の搬送装置の保持部から反転装置の下部チャックに被処理ウェハを受け渡す様子を示す説明図である。
【図20】反転装置の下部チャックから上部チャックに被処理ウェハを受け渡す様子を示す説明図である。
【図21】反転装置の下部チャックから上部チャックに被処理ウェハが受け渡された状態を示す説明図である。
【図22】反転装置の上部チャックから第3の搬送装置の保持部に被処理ウェハが受け渡された状態を示す説明図である。
【図23】他の実施の形態にかかる保持部の構成の概略を示す側面図である。
【図24】他の実施の形態にかかる保持部の構成の概略を示す側面図である。
【図25】他の実施の形態にかかる保持部の構成の概略を示す平面図である。
【図26】他の実施の形態にかかる保持部の構成の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる剥離システム1の構成の概略を示す平面図である。
【0031】
剥離システム1では、図2に示すように被処理基板としての被処理ウェハWと支持基板としての支持ウェハSとが接着剤Gで接合された重合基板としての重合ウェハTを、被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する。以下、被処理ウェハWにおいて、接着剤Gを介して支持ウェハSと接合される面を「接合面W」といい、当該接合面Wと反対側の面を「非接合面W」という。同様に、支持ウェハSにおいて、接着剤Gを介して被処理ウェハWと接合される面を「接合面S」といい、当該接合面Sと反対側の面を「非接合面S」という。なお、被処理ウェハWは、製品となるウェハであって、例えば接合面W及び非接合面W上に複数のデバイスがそれぞれ形成されている。また被処理ウェハWは、例えば非接合面Wが研磨処理され、薄型化(例えば厚みが50μm〜100μm)されている。支持ウェハSは、被処理ウェハWの径と同じ径の円板形状を有し、当該被処理ウェハWを支持するウェハである。なお、本実施の形態では、支持基板としてウェハを用いた場合について説明するが、例えばガラス基板等の他の基板を用いてもよい。
【0032】
剥離システム1は、図1に示すように例えば外部との間で複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTをそれぞれ収容可能なカセットC、C、Cが搬入出される搬入出ステーション2と、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTに対して所定の処理を施す各種処理装置を備えた剥離処理ステーション3と、剥離処理ステーション3に隣接する後処理ステーション4との間で被処理ウェハWの受け渡しを行うインターフェイスステーション5とを一体に接続した構成を有している。
【0033】
搬入出ステーション2と剥離処理ステーション3は、X方向(図1中の上下方向)に並べて配置されている。これら搬入出ステーション2と剥離処理ステーション3との間には、ウェハ搬送領域6が形成されている。インターフェイスステーション5は、剥離処理ステーション3のY方向負方向側(図1中の左方向側)に配置されている。インターフェイスステーション5のX方向正方向側(図1中の上方向側)には、後処理ステーション4に受け渡す前の被処理ウェハWを検査する検査装置7が配置されている。また、インターフェイスステーション5を挟んで検査装置7の反対側、すなわちインターフェイスステーション5のX方向負方向側(図1中の下方向側)には、検査後の被処理ウェハWの接合面W及び非接合面Wの洗浄と、被処理ウェハWの表裏面の反転を行う検査後洗浄ステーション8が配置されている。
【0034】
搬入出ステーション2には、カセット載置台10が設けられている。カセット載置台10には、複数、例えば3つのカセット載置板11が設けられている。カセット載置板11は、Y方向(図1中の左右方向)に一列に並べて配置されている。これらのカセット載置板11には、剥離システム1の外部に対してカセットC、C、Cを搬入出する際に、カセットC、C、Cを載置することができる。このように搬入出ステーション2は、複数の被処理ウェハW、複数の支持ウェハS、複数の重合ウェハTを保有可能に構成されている。なお、カセット載置板11の個数は、本実施の形態に限定されず、任意に決定することができる。また、搬入出ステーション2に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと、欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
【0035】
ウェハ搬送領域6には、第1の搬送装置20が配置されている。第1の搬送装置20は、例えば鉛直方向、水平方向(Y方向、X方向)及び鉛直軸周りに移動自在な搬送アームを有している。第1の搬送装置20は、ウェハ搬送領域6内を移動し、搬入出ステーション2と剥離処理ステーション3との間で被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTを搬送できる。
【0036】
剥離処理ステーション3は、重合ウェハTを被処理ウェハWと支持ウェハSに剥離する剥離装置30を有している。剥離装置30のY方向負方向側(図1中の左方向側)には、剥離された被処理ウェハWを洗浄する第1の洗浄装置31が配置されている。剥離装置30と第1の洗浄装置31との間には、第2の搬送装置32が設けられている。また、剥離装置30のY方向正方向側(図1中の右方向側)には、剥離された支持ウェハSを洗浄する第2の洗浄装置33が配置されている。このように剥離処理ステーション3には、第1の洗浄装置31、第2の搬送装置32、剥離装置30、第2の洗浄装置33が、インターフェイスステーション5側からこの順で並べて配置されている。
【0037】
検査装置7では、剥離装置30により剥離された被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣の有無が検査される。また、検査後洗浄ステーション8では、検査装置7で接着剤Gの残渣が確認された被処理ウェハWの洗浄が行われる。この検査後洗浄ステーション8は、被処理ウェハWの接合面Wを洗浄する接合面洗浄装置40、被処理ウェハWの非接合面Wを洗浄する非接合面洗浄装置41、被処理ウェハWの表裏面を上下反転させる反転装置42を有している。これら接合面洗浄装置40、非接合面洗浄装置41、反転装置42は、後処理ステーション4側からY方向に並べて配置されている。
【0038】
インターフェイスステーション5には、Y方向に延伸する搬送路50上を移動自在な第3の搬送装置51が設けられている。第3の搬送装置51は、鉛直方向及び鉛直軸周り(θ方向)にも移動自在であり、剥離処理ステーション3、後処理ステーション4、検査装置7及び検査後洗浄ステーション8との間で被処理ウェハWを搬送できる。
【0039】
なお、後処理ステーション4では、剥離処理ステーション3で剥離された被処理ウェハWに所定の後処理を行う。所定の後処理として、例えば被処理ウェハWをマウントする処理や、被処理ウェハW上のデバイスの電気的特性の検査を行う処理、被処理ウェハWをチップ毎にダイシングする処理などが行われる。
【0040】
ここで、上述した剥離システム1において、重合ウェハTから剥離された被処理ウェハWを保持する保持部について説明する。この保持部は、後述するように被処理ウェハWを搬送したり、あるいは被処理ウェハWに所定の処理を行う際に、当該被処理ウェハWを非接触状態で保持するのに用いられる。
【0041】
図3及び図4に示すように保持部60は、平面視において円形状を有し、被処理ウェハWの径と同じ径、又はそれより長い径を有している。保持部60の表面、すなわち被処理ウェハWを保持する保持面61には、気体、例えば空気を噴出する複数の噴出口62と、気体を吸引する複数の吸引口63が形成されている。複数の噴出口62と複数の吸引口63は、保持部60に保持される被処理ウェハWに対応する位置全体、例えば本実施の形態では保持面61全面に亘って形成されている。また、複数の噴出口62と複数の吸引口63は、格子状に交互に配置されている。
【0042】
各噴出口62には、気体を供給する気体供給源64に連通する供給管65が接続されている。また、各吸引口63には、気体を吸引する、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置66に連通する吸引管67が接続されている。なお、図示の例においては、供給管65は保持部60を厚み方向に貫通しているが、保持部60の内部において複数の供給管65が一本の供給管に纏められ、纏められた供給管が気体供給源64に接続されていてもよい。同様に吸引管67も保持部60を厚み方向に貫通しているが、保持部60の内部において複数の吸引管67が一本の吸引管に纏められ、纏められた吸引管が負圧発生装置66に接続されていてもよい。
【0043】
そして保持部60では、被処理ウェハWに対して、噴出口62から気体を噴出すると共に、吸引口63から気体を吸引する。そうすると、図3及び図4の矢印に示すように、保持部60と被処理ウェハWとの間の隙間Dにおいて、噴出口62から吸引口63に向かう気流Fを形成することができる。しかも、これらの気流Fは、保持面61全面に亘って形成される。かかる複数の気流Fによって、保持部60は大きい吸引力を発生させて、被処理ウェハWを非接触状態で保持することができる。すなわち、浮上状態の被処理ウェハWを水平に保持するのに十分な剛性(浮上剛性)を大きくできる。また、噴出口62から気体を噴出する力と、吸引口63から気体を吸引する力とをバランスさせることで、被処理ウェハWと保持部60との間の距離を所定の距離に保つことができ、保持部60と被処理ウェハWとの非接触状態を確実に維持することができる。
【0044】
ところで、上述したように被処理ウェハWは薄型化しているため、当該被処理ウェハWの外周部が反る場合がある。かかる場合でも、保持部60の大きい吸引力によって、すなわち大きい浮上剛性によって、被処理ウェハWの反りを矯正して、当該被処理ウェハWを適切に保持することができる。
【0045】
また、保持部60は被処理ウェハWを非接触状態で保持できるので、当該被処理ウェハW上のデバイスが損傷を被るのを回避することができる。さらに、例えば保持部60にパーティクルが付着している場合でも、当該パーティクルが被処理ウェハWに付着することがない。
【0046】
なお、本実施の形態では複数の噴出口62と複数の吸引口63は格子状に交互に配置されているが、これらの配置や数は任意に設定することができる。但し、複数の噴出口62と複数の吸引口63は、噴出口62から吸引口63に向かう気流Fが保持面61全面に亘って形成されるように配置されるのが好ましい。また、噴出口62の数と吸引口63の数は等しいのが好ましい。
【0047】
なお、以下の説明において、保持部60は設けられる装置によって保持部60a〜60fと示されるが、これら保持部60a〜60fは、上述した保持部60と同じ構成を有している。
【0048】
次に、上述した剥離装置30の構成について説明する。剥離装置30は、図5に示すように、その内部に複数の機器を収容する処理容器100を有している。処理容器100の側面には、被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0049】
処理容器100の底面には、当該処理容器100の内部の雰囲気を排気する排気口101が形成されている。排気口101には、例えば真空ポンプなどの排気装置102に連通する排気管103が接続されている。
【0050】
処理容器100の内部には、被処理ウェハWを下面で保持する上部チャック110と、支持ウェハSを上面で載置して保持する下部チャック111とが設けられている。上部チャック110は、下部チャック111の上方に設けられ、下部チャック111と対向するように配置されている。すなわち、処理容器100の内部では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、重合ウェハTに剥離処理が行われる。
【0051】
上部チャック110は、平板状の本体部120を有している。本体部120の下面側には、上述した保持部60aが配置されている。保持部60aは、被処理ウェハWの非接合面Wに対して、噴出口62から気体を噴出すると共に、吸引口63から気体を吸引する。そして、保持部60aは、被処理ウェハWを非接触状態で保持する。
【0052】
また、本体部120の内部であって保持部60aの上方には、被処理ウェハWを加熱する加熱機構121が設けられている。加熱機構121には、例えばヒータが用いられる。
【0053】
上部チャック110の上面には、当該上部チャック110を支持する支持板130が設けられている。支持板130は、処理容器100の天井面に支持されている。なお、本実施の形態の支持板130を省略し、上部チャック110は処理容器100の天井面に当接して支持されてもよい。
【0054】
下部チャック111の内部には、支持ウェハSを吸着保持するための吸引管140が設けられている。吸引管140は、例えば真空ポンプなどの負圧発生装置(図示せず)に接続されている。
【0055】
また、下部チャック111の内部には、支持ウェハSを加熱する加熱機構141が設けられている。加熱機構141には、例えばヒータが用いられる。
【0056】
下部チャック111の下方には、下部チャック111及び支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向に移動させる移動機構150が設けられている。移動機構150は、下部チャック111を鉛直方向に移動させる鉛直移動部151と、下部チャック111を水平方向に移動させる水平移動部152とを有している。
【0057】
鉛直移動部151は、下部チャック111の下面を支持する支持板160と、支持板160を昇降させて上部チャック110と下部チャック111を鉛直方向に接近、離隔させる駆動部161と、支持板160を支持する支持部材162とを有している。駆動部161は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。また、支持部材162は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、支持板160と後述する支持体171との間に例えば3箇所に設けられている。
【0058】
水平移動部152は、X方向(図5中の左右方向)に沿って延伸するレール170と、レール170に取り付けられる支持体171と、支持体171をレール170に沿って移動させる駆動部172とを有している。駆動部172は、例えばボールネジ(図示せず)と当該ボールネジを回動させるモータ(図示せず)とを有している。
【0059】
なお、下部チャック111の下方には、重合ウェハT又は支持ウェハSを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられている。昇降ピンは下部チャック111に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、下部チャック111の上面から突出可能になっている。
【0060】
次に、上述した第1の洗浄装置31の構成について説明する。第1の洗浄装置31は、図6に示すように処理容器180を有している。処理容器180の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0061】
処理容器180内の中央部には、被処理ウェハWを保持して回転させるチャック190が設けられている。チャック190は、平板状の本体部191を有している。本体部191の上面側には、上述した保持部60bが配置されている。保持部60bは、被処理ウェハWの非接合面Wに対して、噴出口62から気体を噴出すると共に、吸引口63から気体を吸引する。そして、保持部60bは、被処理ウェハWを非接触状態で保持する。
【0062】
チャック190の下方には、例えばモータなどを備えたチャック駆動部192が設けられている。チャック190は、チャック駆動部192により所定の速度に回転できる。また、チャック駆動部192には、例えばシリンダなどの昇降駆動源が設けられており、チャック190は昇降自在になっている。
【0063】
チャック190の周囲には、被処理ウェハWから飛散又は落下する液体を受け止め、回収するカップ193が設けられている。カップ193の下面には、回収した液体を排出する排出管194と、カップ193内の雰囲気を真空引きして排気する排気管195が接続されている。
【0064】
図7に示すようにカップ193のX方向負方向(図7中の下方向)側には、Y方向(図7中の左右方向)に沿って延伸するレール200が形成されている。レール200は、例えばカップ193のY方向負方向(図7中の左方向)側の外方からY方向正方向(図7中の右方向)側の外方まで形成されている。レール200には、アーム201が取り付けられている。
【0065】
アーム201には、図6及び図7に示すように被処理ウェハWに洗浄液、例えば有機溶剤を供給する洗浄液ノズル203が支持されている。アーム201は、図7に示すノズル駆動部204により、レール200上を移動自在である。これにより、洗浄液ノズル203は、カップ193のY方向正方向側の外方に設置された待機部205からカップ193内の被処理ウェハWの中心部上方まで移動でき、さらに当該被処理ウェハW上を被処理ウェハWの径方向に移動できる。また、アーム201は、ノズル駆動部204によって昇降自在であり、洗浄液ノズル203の高さを調節できる。
【0066】
洗浄液ノズル203には、例えば2流体ノズルが用いられる。洗浄液ノズル203には、図6に示すように当該洗浄液ノズル203に洗浄液を供給する供給管210が接続されている。供給管210は、内部に洗浄液を貯留する洗浄液供給源211に連通している。供給管210には、洗浄液の流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群212が設けられている。また、洗浄液ノズル203には、当該洗浄液ノズル203に不活性ガス、例えば窒素ガスを供給する供給管213が接続されている。供給管213は、内部に不活性ガスを貯留するガス供給源214に連通している。供給管213には、不活性ガスの流れを制御するバルブや流量調節部等を含む供給機器群215が設けられている。そして、洗浄液と不活性ガスは洗浄液ノズル203内で混合され、当該洗浄液ノズル203から被処理ウェハWに供給される。なお、以下においては、洗浄液と不活性ガスを混合したものを単に「洗浄液」という場合がある。
【0067】
なお、チャック190の下方には、被処理ウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン(図示せず)が設けられていてもよい。かかる場合、昇降ピンはチャック190に形成された貫通孔(図示せず)を挿通し、チャック190の上面から突出可能になっている。そして、チャック190を昇降させる代わりに昇降ピンを昇降させて、チャック190との間で被処理ウェハWの受け渡しが行われる。なお、上述した検査後洗浄ステーション8の接合面洗浄装置40と非接合面洗浄装置41の構成は、この第1の洗浄装置31の構成と同様であるので説明を省略する。
【0068】
また、第2の洗浄装置33の構成は、上述した第1の洗浄装置31の構成とほぼ同様である。第2の洗浄装置33には、図8に示すように第1の洗浄装置31のチャック190に代えて、スピンチャック220が設けられる。スピンチャック220は、水平な上面を有し、当該上面には、例えば支持ウェハSを吸引する吸引口(図示せず)が設けられている。この吸引口からの吸引により、支持ウェハSをスピンチャック220上に吸着保持できる。第2の洗浄装置33のその他の構成は、上述した第1の洗浄装置31の構成と同様であるので説明を省略する。
【0069】
なお、第2の洗浄装置33において、スピンチャック220の下方には、支持ウェハSの裏面、すなわち非接合面Wに向けて洗浄液を噴射するバックリンスノズル(図示せず)が設けられていてもよい。このバックリンスノズルから噴射される洗浄液によって、支持ウェハSの非接合面Sと支持ウェハSの外周部が洗浄される。
【0070】
次に、上述した第2の搬送装置32の構成について説明する。第2の搬送装置32は、図9に示すように上述した保持部60cを有している。保持部60cは、被処理ウェハWの接合面Wに対して、噴出口62から気体を噴出すると共に、吸引口63から気体を吸引する。そして、保持部60cは、被処理ウェハWを非接触状態で保持する。
【0071】
保持部60cは、支持アーム230に支持されている。支持アーム230は、回動機構としての第1の駆動部231に支持されている。この第1の駆動部231により、支持アーム230は水平軸回りに回動自在であり、且つ水平方向に伸縮できる。第1の駆動部231の下方には、第2の駆動部232が設けられている。この第2の駆動部232により、第1の駆動部231は鉛直軸回りに回転自在であり、且つ鉛直方向に昇降できる。
【0072】
なお、第3の搬送装置51は、上述した第2の搬送装置32と同様の構成を有しているので説明を省略する。但し、第3の搬送装置51の第2の駆動部232は、図1に示した搬送路50に取り付けられ、第3の搬送装置51は搬送路50上を移動可能になっている。
【0073】
次に、上述した反転装置42の構成について説明する。反転装置42は、図10に示すように、その内部に複数の機器を収容する処理容器240を有している。処理容器240の側面には、第3の搬送装置51により被処理ウェハWの搬入出を行うための搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口(図示せず)には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0074】
処理容器240の底面には、当該処理容器240の内部の雰囲気を排気する排気口250が形成されている。排気口250には、例えば真空ポンプなどの排気装置251に連通する排気管252が接続されている。
【0075】
処理容器240の内部には、被処理ウェハWを下面で保持する上部チャック260と、被処理ウェハWを上面で載置して保持する下部チャック261とが設けられている。上部チャック260は、下部チャック261の上方に設けられ、下部チャック261と対向するように配置されている。
【0076】
上部チャック260は、平板状の本体部270を有している。本体部270の下面側には、上述した保持部60dが配置されている。保持部60dは、被処理ウェハWに対して、噴出口62から気体を噴出すると共に、吸引口63から気体を吸引する。そして、保持部60dは、被処理ウェハWを非接触状態で保持する。
【0077】
上部チャック260の上面には、当該上部チャック260を支持する支持板271が設けられている。支持板271は、処理容器240の天井面に支持されている。なお、本実施の形態の支持板271を省略し、上部チャック260は処理容器240の天井面に当接して支持されてもよい。
【0078】
下部チャック261は、平板状の本体部280を有している。本体部280の上面側には、上述した保持部60eが配置されている。保持部60eは、被処理ウェハWに対して、噴出口62から気体を噴出すると共に、吸引口63から気体を吸引する。そして、保持部60eは、被処理ウェハWを非接触状態で保持する。
【0079】
下部チャック261の下方には、当該下部チャック261を鉛直方向に移動させる移動機構281が設けられている。移動機構281は、下部チャック261の下面を支持する支持板282と、支持板282を昇降させて上部チャック260と下部チャック261を鉛直方向に接近、離間させる駆動部283を有している。駆動部283は、処理容器240の底面に設けられた支持体284により支持されている。また、支持体284の上面には支持板282を支持する支持部材285が設けられている。支持部材285は、鉛直方向に伸縮自在に構成され、駆動部283により支持板282を昇降させる際に、自由に伸縮することができる。
【0080】
次に、上述した検査装置7の構成について説明する。検査装置7は、図11及び図12に示すように処理容器290を有している。処理容器290の側面には、被処理ウェハWの搬入出口(図示せず)が形成され、当該搬入出口には開閉シャッタ(図示せず)が設けられている。
【0081】
処理容器290内には、被処理ウェハWを保持するチャック300が設けられている。チャック300は、平板状の本体部301を有している。本体部301の上面側には、上述した保持部60fが配置されている。保持部60fは、被処理ウェハWに対して、噴出口62から気体を噴出すると共に、吸引口63から気体を吸引する。そして、保持部60fは、被処理ウェハWを非接触状態で保持する。
【0082】
チャック300の下方には、チャック駆動部302が設けられている。このチャック駆動部302により、チャック300は回転自在になっている。また、チャック駆動部302は、処理容器290内の底面に設けられ、Y方向に沿って延伸するレール303上に取付けられている。このチャック駆動部302により、チャック300はレール303に沿って移動できる。すなわち、チャック300は、被処理ウェハWを処理容器290の外部との間で搬入出するための受渡位置P1と、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調整するアライメント位置P2との間を移動できる。
【0083】
アライメント位置P2には、チャック300に保持された被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出するセンサ304が設けられている。センサ304によってノッチ部の位置を検出しながら、チャック駆動部302によってチャック300を回転させて、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調節することができる。
【0084】
処理容器290のアライメント位置P2側の側面には、撮像装置310が設けられている。撮像装置310には、例えば広角型のCCDカメラが用いられる。処理容器290の上部中央付近には、ハーフミラー311が設けられている。ハーフミラー311は、撮像装置310と対向する位置に設けられ、鉛直方向から45度傾斜して設けられている。ハーフミラー311の上方には、照度を変更することができる照明装置312が設けられ、ハーフミラー311と照明装置312は、処理容器290の上面に固定されている。また、撮像装置310、ハーフミラー311及び照明装置312は、チャック300に保持された被処理ウェハWの上方にそれぞれ設けられている。そして、照明装置312からの照明は、ハーフミラー311を通過して下方に向けて照らされる。したがって、この照射領域にある物体の反射光は、ハーフミラー311で反射して、撮像装置310に取り込まれる。すなわち、撮像装置310は、照射領域にある物体を撮像することができる。そして、撮像した被処理ウェハWの画像は、後述する制御部350に出力され、制御部350において被処理ウェハW上の接着剤Gの残渣の有無が検査される。
【0085】
以上の剥離システム1には、図1に示すように制御部350が設けられている。制御部350は、例えばコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、剥離システム1における被処理ウェハW、支持ウェハS、重合ウェハTの処理を制御するプログラムが格納されている。また、プログラム格納部には、上述の各種処理装置や搬送装置などの駆動系の動作を制御して、剥離システム1における後述の剥離処理を実現させるためのプログラムも格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体Hに記録されていたものであって、その記憶媒体Hから制御部350にインストールされたものであってもよい。
【0086】
次に、以上のように構成された剥離システム1を用いて行われる被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理方法について説明する。図13は、かかる剥離処理の主な工程の例を示すフローチャートである。
【0087】
先ず、複数枚の重合ウェハTを収容したカセットC、空のカセットC、及び空のカセットCが、搬入出ステーション2の所定のカセット載置板11に載置される。第1の搬送装置20によりカセットC内の重合ウェハTが取り出され、剥離処理ステーション3の剥離装置30に搬送される。このとき、重合ウェハTは、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で搬送される。
【0088】
剥離装置30に搬入された重合ウェハTは、下部チャック111に吸着保持される。その後、移動機構150により下部チャック111を上昇させて、図14に示すように上部チャック110と下部チャック111で重合ウェハTを挟み込んで保持する。このとき、上部チャック110の保持部60aに被処理ウェハWの非接合面Wが非接触状態で保持され、下部チャック111に支持ウェハSの非接合面Sが吸着保持される。
【0089】
その後、加熱機構121、141によって重合ウェハTが所定の温度、例えば200℃に加熱される。そうすると、重合ウェハT中の接着剤Gが軟化する。
【0090】
続いて、加熱機構121、141によって重合ウェハTを加熱して接着剤Gの軟化状態を維持しながら、図15に示すように移動機構150によって下部チャック111と支持ウェハSを鉛直方向及び水平方向、すなわち斜め下方に移動させる。そして、図16に示すように上部チャック110に保持された被処理ウェハWと、下部チャック111に保持された支持ウェハSとが剥離される(図13の工程A1)。
【0091】
このとき、下部チャック111は、鉛直方向に100μm移動し、且つ水平方向に300mm移動する。ここで、本実施の形態では、重合ウェハT中の接着剤Gの厚みは例えば30μm〜40μmであって、被処理ウェハWの接合面Wに形成されたデバイス(バンプ)の高さは例えば20μmである。したがって、被処理ウェハW上のデバイスと支持ウェハSとの間の距離が微小となる。そこで、例えば下部チャック111を水平方向にのみ移動させた場合、デバイスと支持ウェハSが接触し、デバイスが損傷を被るおそれがある。この点、本実施の形態のように下部チャック111を水平方向に移動させると共に鉛直方向にも移動させることによって、デバイスと支持ウェハSとの接触を回避し、デバイスの損傷を抑制することができる。なお、この下部チャック111の鉛直方向の移動距離と水平方向の移動距離の比率は、被処理ウェハW上のデバイス(バンプ)の高さに基づいて設定される。
【0092】
その後、剥離装置30で剥離された被処理ウェハWは、第2の搬送装置32によって第1の洗浄装置31に搬送される。ここで、第2の搬送装置32による被処理ウェハWの搬送方法について説明する。
【0093】
図17に示すように第2の搬送装置32の支持アーム230を伸長させて、保持部60cを上部チャック110に保持された被処理ウェハWの下方に配置する。その後、保持部60を上昇させ、上部チャック110の保持部60aにおける噴出口62からの気体の噴出と吸引口63からの気体の吸引を停止する。そして、上部チャック110から保持部60cに被処理ウェハWが受け渡される。そして、保持部60cによって、被処理ウェハWの接合面Wが非接触状態で保持される。
【0094】
次に図18に示すように、第2の搬送装置32の支持アーム230を回動させて保持部60cを第1の洗浄装置31のチャック190の上方に移動させると共に、保持部60cを反転させて被処理ウェハWを下方に向ける。このとき、チャック190をカップ193よりも上方まで上昇させて待機させておく。その後、保持部60cからチャック190に被処理ウェハWが受け渡される。そして、チャック190の保持部60bによって、被処理ウェハWの非接合面Wが非接触状態で保持される。
【0095】
このようにチャック190に被処理ウェハWが保持されると、チャック190を所定の位置まで下降させる。続いて、アーム201によって待機部205の洗浄液ノズル203を被処理ウェハWの中心部の上方まで移動させる。その後、チャック190によって被処理ウェハWを回転させながら、洗浄液ノズル203から被処理ウェハWの接合面Wに洗浄液を供給する。供給された洗浄液は遠心力により被処理ウェハWの接合面Wの全面に拡散されて、当該被処理ウェハWの接合面Wが洗浄される(図13の工程A2)。
【0096】
ここで、上述したように搬入出ステーション2に搬入された複数の重合ウェハTには予め検査が行われており、正常な被処理ウェハWを含む重合ウェハTと欠陥のある被処理ウェハWを含む重合ウェハTとに判別されている。
【0097】
正常な重合ウェハTから剥離された正常な被処理ウェハWは、工程A2で接合面Wが洗浄された後、非接合面Wが下方を向いた状態で第3の搬送装置51によって検査装置7に搬送される。なお、この第3の搬送装置51による被処理ウェハWの搬送は、上述した第2の搬送装置32による被処理ウェハWの搬送とほぼ同様であるので説明を省略する。
【0098】
検査装置7に搬送された被処理ウェハWは、受渡位置P1においてチャック300上に保持される。このとき、チャック300の保持部60fに被処理ウェハWの非接合面Wが非接触状態で保持される。続いて、チャック駆動部302によってチャック300をアライメント位置P2まで移動させる。次に、センサ304によって被処理ウェハWのノッチ部の位置を検出しながら、チャック駆動部302によってチャック300を回転させる。そして、被処理ウェハWのノッチ部の位置を調整して、当該被処理ウェハWを所定の向きに配置する。
【0099】
その後、チャック駆動部302によってチャック300をアライメント位置P2から受渡位置P1に移動させる。そして、被処理ウェハWがハーフミラー311の下を通過する際に、照明装置312から被処理ウェハWに対して照明を照らす。この照明による被処理ウェハW上での反射光は撮像装置310に取り込まれ、撮像装置310において被処理ウェハWの接合面Wの画像が撮像される。撮像された被処理ウェハWの接合面Wの画像は制御部350に出力され、制御部350において、被処理ウェハWの接合面Wにおける接着剤Gの残渣の有無が検査される(図13の工程A3)。
【0100】
検査装置7において接着剤Gの残渣が確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置51により検査後洗浄ステーション8の接合面洗浄装置40に搬送され、接合面洗浄装置40で接合面Wが洗浄される(図13の工程A4)。なお、この搬送の際も、第3の搬送装置51の保持部60cは非接触状態で被処理ウェハW保持するため、接合面Wの接着剤Gの残渣が第3の搬送装置51に付着することがない。このため、第3の搬送装置51を介して後続の被処理ウェハWに接着剤Gの残渣が付着することがない。
【0101】
接合面Wが洗浄されると、被処理ウェハWは第3の搬送装置51によって反転装置42に搬送され、反転装置42により表裏面を反転、すなわち上下方向に反転される(図13の工程A5)。ここで、反転装置42による被処理ウェハWの反転方法について説明する。
【0102】
接合面洗浄装置40で接合面Wが洗浄され被処理ウェハWは、図19に示すように、第3の搬送装置51の保持部60cにより接合面Wを保持された状態で反転装置42に搬送される。そして、被処理ウェハWは、反転装置42の下部チャック261に接合面Wを上方に向けた状態で受け渡される。そして、下部チャック261の保持部60eによって、被処理ウェハWの非接合面Wが非接触状態で保持される。
【0103】
次いで、第3の搬送装置51の保持部60cを下部チャック261の上方から退避させ、その後、駆動部283により下部チャック261を上昇、換言すれば、図20に示すように上部チャック260に接近させる。そして、上部チャック260の保持部60dによって被処理ウェハWの接合面Wを非接触状態で保持すると共に、下部チャック261による被処理ウェハWの保持を停止して、被処理ウェハWを上部チャック260に受け渡す。これにより図21に示すように、被処理ウェハWが上部チャック260により、非接合面Wを下方に向けた状態で保持される。
【0104】
その後、下部チャック261を下降させて下部チャック261と上部チャック260を離隔し、次いで退避していた第3の搬送装置51の保持部60cを水平軸回りに回動させる。そして、保持部60cが上方を向いた状態で、当該保持部60cを上部チャック260の下方に配置する。次いで保持部60cを上昇させ、それと共に上部チャック260による被処理ウェハWの保持を停止する。これにより、接合面洗浄装置40に搬入される際に保持部60cにより接合面Wを保持されていた被処理ウェハWは、図22に示すように、保持部60cにより非接合面Wが保持された状態となる。すなわち、保持部60cにより保持される被処理ウェハの面の表裏が反転した状態となる。その後、被処理ウェハWの非接合面Wを保持した状態で、保持部60cを反転装置42から退避させる。
【0105】
なお、検査装置7において接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは接合面洗浄装置40に搬送されることなく反転装置42にて被処理ウェハWの反転が行われるが、反転の方法については、上述の方法と同様である。
【0106】
その後、被処理ウェハWを保持した状態で第3の搬送装置51の保持部60cを水平軸回りに回動させ、被処理ウェハWを上下方向に反転させる。そして、被処理ウェハWは、非接合面Wが上方を向いた状態で保持部60cにより再び検査装置7に搬送され、非接合面Wの検査が行われる(図13の工程A6)。そして、非接合面Wにおいて接着剤Gの残渣が確認された場合、被処理ウェハWは第3の搬送装置51によって非接合面洗浄装置41に搬送され、非接合面Wの洗浄が行われる(図13の工程A7)。次いで、洗浄された被処理ウェハWは、第3の搬送装置51によって後処理ステーション4に搬送される。なお、検査装置7で接着剤Gの残渣が確認されなかった場合には、被処理ウェハWは非接合面洗浄装置41に搬送されることなくそのまま後処理ステーション4に搬送される。
【0107】
その後、後処理ステーション4において被処理ウェハWに所定の後処理が行われる(図13の工程A8)。こうして、被処理ウェハWが製品化される。
【0108】
一方、欠陥のある重合ウェハTから剥離された欠陥のある被処理ウェハWは、工程A2で接合面Wが洗浄された後、第1の搬送装置20によって搬入出ステーション2に搬送される。その後、欠陥のある被処理ウェハWは、搬入出ステーション2から外部に搬出され回収される(図13の工程A9)。
【0109】
被処理ウェハWに上述した工程A1〜A9が行われている間、剥離装置30で剥離された支持ウェハSは、第1の搬送装置20によって第2の洗浄装置33に搬送される。そして、第2の洗浄装置33において、支持ウェハSの接合面Sが洗浄される(図13の工程A10)。なお、第2の洗浄装置33における支持ウェハSの洗浄は、上述した第1の洗浄装置31における被処理ウェハWの洗浄と同様であるので説明を省略する。
【0110】
その後、接合面Sが洗浄された支持ウェハSは、第1の搬送装置20によって搬入出ステーション2に搬送される。その後、支持ウェハSは、搬入出ステーション2から外部に搬出され回収される(図13の工程A11)。こうして、一連の被処理ウェハWと支持ウェハSの剥離処理が終了する。
【0111】
以上の実施の形態によれば、保持部60で被処理ウェハWを保持する際には、保持部60の噴出口62から気体を噴出すると共に、吸引口63から気体を吸引する。そうすると、保持部60と被処理ウェハWとの間の隙間Dにおいて、噴出口62から吸引口63に向かう気流Fを形成することができる。しかも、保持部60には複数の噴出口62と複数の吸引口63が保持面61全面に亘って形成されているので、この気流Fも保持面61全面に形成される。そして、この複数の気流Fによって、被処理ウェハWに対する保持部60の吸引力を大きくできる。すなわち、浮上状態の被処理ウェハWを水平に保持するのに十分な剛性(浮上剛性)を大きくできる。このため、例えば薄型化された被処理ウェハWの外周部が反った状態でも、保持部60によって、被処理ウェハWの反りを矯正して、被処理ウェハWを適切に保持することができる。
【0112】
また、保持部60は非接触状態で被処理ウェハWを保持することができるので、当該被処理ウェハW上にされたデバイスが損傷するのを回避することができる。さらに、例えば保持部60にパーティクルが付着している場合でも、当該パーティクルが被処理ウェハWに付着することがない。
【0113】
また、保持部60a〜60fは、剥離装置30、第1の洗浄装置31(接合面洗浄装置40、非接合面洗浄装置41)、第2の搬送装置32(第3の搬送装置51)、反転装置42、検査装置7にそれぞれ設けられている。したがって、各装置では、保持部60によって被処理ウェハWを非接触状態で適切に保持できるので、被処理ウェハWの搬送や各種処理を適切に行うことができる。
【0114】
特に例えば剥離装置30、第1の洗浄装置31(接合面洗浄装置40、非接合面洗浄装置41)、反転装置42、検査装置7では、薄型化された被処理ウェハWを適切に保持するため、従来、多孔質のポーラスチャックを用いる場合があった。かかるポーラスチャックを用いた場合、被処理ウェハWを接触して保持するため、被処理ウェハW上のデバイスが損傷するおそれがある。また、このようなデバイスの損傷を回避するため、ポーラスチャックには軟らかい材料を用いる場合もあったが、かかる場合、ポーラスチャックが削られてパーティクルが発生するおそれがある。また、ポーラスチャックから被処理ウェハWを受け渡す際に剥離帯電が生じ、デバイスが損傷するおそれがある。さらに、ポーラスチャックを用いた場合、被処理ウェハW上のデバイスの凹凸によって、ポーラスチャックと被処理ウェハWとの間に隙間が生じ、当該被処理ウェハWを所定の吸引力で適切に保持できない場合もある。
【0115】
この点、本実施の形態の保持部60は非接触状態で被処理ウェハWを保持することができるので、デバイスの損傷を回避し、パーティクルの付着を回避し、剥離帯電を回避し、所定の吸引力で被処理ウェハWを保持できる。すなわち、本実施の形態によれば、従来のポーラスチャックで被処理ウェハWを保持した場合の問題点を解決することができる。
【0116】
以上の実施の形態の保持部60の外周には、図23に示すように保持部60と被処理ウェハWとの間の隙間Dを覆うフード400が設けられていてもよい。フード400は、例えば保持部材60の全周に設けられている。かかる場合、隙間Dに外部の雰囲気が流出したり、あるいは隙間Dから外部に気体が流出するのを抑制することができる。すなわち、噴出口62からの気体の噴出量と吸引口63からの気体の吸引量の収支が一定になる。したがって、隙間Dにおいて噴出口62から吸引口63に向かう気流Fを適切に形成することができ、保持部60によって被処理ウェハWを適切に保持することができる。
【0117】
また、以上の実施の形態の保持部60の外周には、図24及び図25に示すように保持部60に保持された被処理ウェハWのガイド部材410が設けられていてもよい。このガイド部材410は、保持部60の外周に等間隔で複数箇所、例えば8箇所に配置されている。また、ガイド部材410は、保持部60の径方向に移動自在に構成されていてもよい。そして、保持部60と外部との間で被処理ウェハWを受け渡す際には、ガイド部材410は保持部60から離れた位置(図24中の実線)に配置されている。また、保持部60で被処理ウェハWを保持する際には、ガイド部材410は当該被処理ウェハWをガイドする位置(図24中の点線)に配置されている。かかる場合、例えば保持部60上で被処理ウェハWがスライドしても、ガイド部材410によって被処理ウェハWが飛び出したり、滑落するのを防止することができる。
【0118】
また、以上の実施の形態では、複数の噴出口62と複数の吸引口63は格子状に交互に配置されているが、上述したように複数の噴出口62と複数の吸引口63の配置は任意に設定することができる。例えば図26に示すように保持部60の保持面61において、複数の噴出口62と複数の吸引口63が放射状に配置されていてもよい。かかる場合でも、噴出口62から吸引口63に向かう気流Fが保持面61全面に亘って形成される。
【0119】
以上の実施の形態では、剥離装置30において下部チャック111を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、上部チャック110を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。あるいは、上部チャック110と下部チャック111の両方を鉛直方向及び水平方向に移動させてもよい。
【0120】
以上の剥離装置30において下部チャック111を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、下部チャック111を水平方向のみに移動させ、当該下部チャック111の移動速度を変化させてもよい。具体的には、下部チャック111を移動させ始める際の移動速度を低速にし、その後徐々に移動速度を加速してもよい。すなわち、下部チャック111を移動させ始める際には、被処理ウェハWと支持ウェハSとの接着面積が大きく、被処理ウェハW上のデバイスが接着剤Gの影響を受け易いため、下部チャック111の移動速度を低速にする。その後、被処理ウェハWと支持ウェハSとの接着面積が小さくなるにつれ、被処理ウェハW上のデバイスが接着剤Gの影響を受け難くなるため、下部チャック111の移動速度を徐々に加速する。かかる場合でも、デバイスと支持ウェハSとの接触を回避し、デバイスの損傷を抑制することができる。
【0121】
また、以上の実施の形態では、剥離装置30において下部チャック111を鉛直方向及び水平方向に移動させていたが、例えば被処理ウェハW上のデバイスと支持ウェハSとの間の距離が十分大きい場合には、下部チャック111を水平方向にのみ移動させてもよい。かかる場合、デバイスと支持ウェハSとの接触を回避できると共に、下部チャック111の移動の制御が容易になる。さらに、下部チャック111を鉛直方向にのみ移動させて被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離させてもよく、下部チャック111の外周部端部を鉛直方向にのみ移動させて被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離させてもよい。
【0122】
以上の実施の形態の剥離装置30において、上部チャック110と下部チャック111との間の処理空間を覆うカバー(図示せず)を設けてもよい。かかる場合、処理空間を不活性ガスの雰囲気にすることにより、被処理ウェハWが加熱処理されても、当該被処理ウェハW上のデバイスの酸化を抑制することができる。
【0123】
また、以上の実施の形態の剥離装置30において、下部チャック111に追従して水平方向に移動可能であって、複数の孔から不活性ガスを供給するポーラスプレート(図示せず)を設けてもよい。かかる場合、重合ウェハTを剥離するために下部チャック111を移動させる際、下部チャック111に追従してポーラスプレートを移動させながら、剥離により露出した被処理ウェハWの接合面Wに不活性ガスを供給する。そうすると、被処理ウェハWが加熱処理されても、被処理ウェハWの接合面Wの酸化を抑制することができる。
【0124】
なお、以上の実施の形態の剥離装置30では、被処理ウェハWを上側に配置し、且つ支持ウェハSを下側に配置した状態で、これら被処理ウェハWと支持ウェハSを剥離していたが、被処理ウェハWと支持ウェハSの上下配置を反対にしてもよい。
【0125】
以上の実施の形態では、第1の洗浄装置31と第2の洗浄装置33の洗浄液ノズル203には2流体ノズルが用いられていたが、洗浄液ノズル203の形態は本実施の形態に限定されず種々のノズルを用いることができる。例えば洗浄液ノズル203として、洗浄液を供給するノズルと不活性ガスを供給するノズルとを一体化したノズル体や、スプレーノズル、ジェットノズル、メガソニックノズルなどを用いてもよい。また、洗浄処理のスループットを向上させるため、例えば80℃に加熱された洗浄液を供給してもよい。
【0126】
また、第1の洗浄装置31と第2の洗浄装置33において、洗浄液ノズル203に加えて、IPA(イソプロピルアルコール)を供給するノズルを設けてもよい。かかる場合、洗浄液ノズル203からの洗浄液によって被処理ウェハW又は支持ウェハSを洗浄した後、被処理ウェハW又は支持ウェハS上の洗浄液をIPAに置換する。そうすると、被処理ウェハW又は支持ウェハSの接合面W、Sがより確実に洗浄される。
【0127】
なお、検査装置7の構成は上記実施の形態の構成に限定されない。検査装置7は、被処理ウェハWの画像を撮像して、当該被処理ウェハW上の接着剤Gの有無が検査できれば、種々の構成を取り得る。
【0128】
また、以上の実施の形態では、後処理ステーション4において被処理ウェハWに後処理を行い製品化する場合について説明したが、本発明は、例えば3次元集積技術で用いられる被処理ウェハを支持ウェハから剥離する場合にも適用することができる。なお、3次元集積技術とは、近年の半導体デバイスの高集積化の要求に応えた技術であって、高集積化した複数の半導体デバイスを水平面内で配置する代わりに、当該複数の半導体デバイスを3次元に積層する技術である。この3次元集積技術においても、積層される被処理ウェハの薄型化が求められており、当該被処理ウェハを支持ウェハに接合して所定の処理が行われる。
【0129】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0130】
1 剥離システム
7 検査装置
30 剥離装置
31 第1の洗浄装置
32 第2の搬送装置
40 接合面洗浄装置
41 非接合面洗浄装置
42 反転装置
51 第3の搬送装置
60(60a〜60f) 保持部
61 保持面
62 噴出口
63 吸引口
350 制御部
400 フード
410 ガイド部材
D 隙間
F 気流
G 接着剤
S 支持ウェハ
T 重合ウェハ
W 被処理ウェハ
接合面
非接合面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板に剥離する剥離システムであって、
重合基板から剥離された被処理基板を搬送又は処理する際に、当該被処理基板を非接触状態で保持する保持部を有し、
前記保持部の表面には、気体を噴出する複数の噴出口と気体を吸引する複数の吸引口とが形成されていることを特徴とする、剥離システム。
【請求項2】
前記複数の噴出口と前記複数の吸引口は、それぞれ前記保持部の表面において、保持される被処理基板に対応する位置全体に亘って形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の剥離システム。
【請求項3】
前記保持部の外周には、前記保持部と当該保持部に保持された被処理基板との間の隙間を覆うフードが設けられていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の剥離システム。
【請求項4】
前記保持部の外周には、前記保持部に保持された被処理基板のガイド部材が設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の剥離システム。
【請求項5】
重合基板から剥離された被処理基板を搬送する搬送装置を有し、
前記搬送装置は前記保持部を備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の剥離システム。
【請求項6】
重合基板から剥離された被処理基板の表裏面を反転させる反転装置を有し、
前記反転装置は前記保持部を備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の剥離システム。
【請求項7】
重合基板を被処理基板と支持基板に剥離する剥離装置を有し、
前記剥離装置は前記保持部を備えることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の剥離システム。
【請求項8】
重合基板から剥離された被処理基板を洗浄する洗浄装置を有し、
前記洗浄装置は前記保持部を備えることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の剥離システム。
【請求項9】
重合基板から剥離された被処理基板を検査する検査装置を有し、
前記検査装置は前記保持部を備えることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の剥離システム。
【請求項10】
被処理基板と支持基板が接着剤で接合された重合基板を、被処理基板と支持基板に剥離する剥離方法であって、
重合基板から剥離された被処理基板を搬送又は処理する際、当該被処理基板に対して、保持部の表面に形成された複数の噴出口から気体を噴出すると共に、当該保持部の表面に形成された複数の吸引口から気体を吸引して、前記保持部で被処理基板を非接触状態で保持することを特徴とする、剥離方法。
【請求項11】
前記複数の噴出口と前記複数の吸引口は、それぞれ前記保持部の表面において、保持される被処理基板に対応する位置全体に亘って形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の剥離方法。
【請求項12】
重合基板から剥離された被処理基板を搬送する搬送装置において、前記保持部で当該被処理基板を保持することを特徴とする、請求項10又は11に記載の剥離方法。
【請求項13】
重合基板から剥離された被処理基板の表裏面を反転させる反転装置において、前記保持部で当該被処理基板を保持することを特徴とする、請求項10〜12のいずれかに記載の剥離方法。
【請求項14】
重合基板を被処理基板と支持基板に剥離する剥離装置において、前記保持部で当該被処理基板を保持することを特徴とする、請求項10〜13のいずれかに記載の剥離方法。
【請求項15】
重合基板から剥離された被処理基板を洗浄する洗浄装置において、前記保持部で当該被処理基板を保持することを特徴とする、請求項10〜14のいずれかに記載の剥離方法。
【請求項16】
前記重合基板から剥離された被処理基板を検査する検査装置において、前記保持部で当該被処理基板を保持することを特徴とする、請求項10〜15のいずれかに記載の剥離方法。
【請求項17】
請求項10〜16のいずれかに記載の剥離方法を剥離システムによって実行させるために、当該剥離システムを制御する制御部のコンピュータ上で動作するプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のプログラムを格納した読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−4845(P2013−4845A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−136192(P2011−136192)
【出願日】平成23年6月20日(2011.6.20)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】