半導体デバイスのプロセス制御方法および製造方法
【課題】 半導体デバイスの製造工程におけるフォトリソグラフィでの露光量およびフォーカス等の露光条件の最適化を個別かつ簡便に実現することができる技術を提供する。
【解決手段】 半導体ウェハのパターンに光を照射し、その反射による散乱光を用いてパターンの形状情報を検出する光学系により、予め作成した複数の形状変形パターンを有するFEMサンプルウェハの波形を検出・保存する。パターンの変形に伴って生じるスペクトル波形上での1つ以上の特徴点を記録し、特徴点の変動モデルを求める。被測定パターンでは、上記と同様にしてスペクトル波形を検出し、波形上の特徴点の変位から、変動モデルを用いて、作成条件の変位(露光量ずれ、フォーカスずれ)を推定する。これにより、露光量とフォーカスを独立にフィードバックすることができ、高精度なプロセス制御が実現できる。
【解決手段】 半導体ウェハのパターンに光を照射し、その反射による散乱光を用いてパターンの形状情報を検出する光学系により、予め作成した複数の形状変形パターンを有するFEMサンプルウェハの波形を検出・保存する。パターンの変形に伴って生じるスペクトル波形上での1つ以上の特徴点を記録し、特徴点の変動モデルを求める。被測定パターンでは、上記と同様にしてスペクトル波形を検出し、波形上の特徴点の変位から、変動モデルを用いて、作成条件の変位(露光量ずれ、フォーカスずれ)を推定する。これにより、露光量とフォーカスを独立にフィードバックすることができ、高精度なプロセス制御が実現できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの製造技術に関し、特に、露光工程における露光量およびフォーカス制御、さらにエッチング工程における圧力および温度制御を高精度に行う方法に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体素子の製造は、シリコンウェハ上に導電膜または絶縁膜を成膜する成膜工程と、この膜上に感光剤であるレジストを塗布し、露光装置を用いてレチクル上の回路パターンをレジストに露光、現像した後、残存するレジストをマスクとして膜をエッチングすることによってウェハ上に回路パターンを形成するリソグラフィ工程を各層で繰り返すことによって行われている。
【0003】
ここで、本発明の背景技術として、本発明者が本発明の前提として検討した技術を図21〜図26を用いて説明する。それぞれ、図21は半導体の露光工程の説明、図22は分光波形方式のscatterometry計測装置の構成、図23はウェハ上のラインアンドスペースパターン、図24は分光波形方式のscatterometry計測装置の別の構成、図25は角度走査方式のscatterometry計測装置の構成、図26はscatterometry計測装置の形状計測方式の説明のための図である。
【0004】
まず、リソグラフィ工程にて、レジストに回路パターンを焼き付ける露光工程を図21により説明する。レチクル200上には作成する層での回路パターンが描画されており、これには、製品回路パターンが描画された領域201とその周辺のテスト回路パターンが描画された領域202が含まれている。いずれのパターンも露光光203により、露光レンズ204を介してウェハ1に塗布されたレジスト上に転写される。転写され感光した部分のレジストはその後の現像工程にて残存し、マスクとなる(ネガ型レジストの場合)。転写された回路パターンが設計寸法通りに仕上がっているかどうかを確認するため、通常SEM(Scanning Electron Microscope)による寸法検査が行われている。
【0005】
検査は、転写回路パターン200tのうち、転写製品パターン201tを直接計測する場合と、チップ領域の外側に存在する転写テストパターン202tを計測する場合がある。測定した寸法の大小により、一般的には露光装置の露光量で補正を行っている。この露光量補正の自動化に関しては、例えば非特許文献1に記載されている。一方で、寸法の変動の原因としては露光装置の露光量変動以外にフォーカスずれが挙げられる。露光量だけでなく、フォーカスの補正も行う方法が、例えば特許文献1に開示されている。これは、予めSEMの波形変化を露光量、フォーカスずれと関連付けることにより、SEMの波形から直接、露光量およびフォーカスの補正量を求める方法である。また、レジストによる回路パターンの検査には寸法だけでなく、パターンの高さ方向の形状、すなわち断面プロファイルが半導体素子の性能に影響することが判ってきたため、転写回路パターンの断面プロファイルを光学的に測定するscatterometryという方法が、例えば非特許文献2に開示されている。
【0006】
ここで、scatterometry計測装置の構成を図22により説明する。図22は分光型のscatterometry計測装置である。
【0007】
白色光源21からの光を集光レンズ22に導き、偏光素子28で偏光させた後、入射光23としてウェハステージ101上の計測対象のウェハ100にある角度を持って照射させる。ウェハ100からの反射光24は偏光素子28aを通り、集光レンズ25にてグレーティング26に集光される。グレーティング26により反射光24は分光し、分光器27にてスペクトル分解され、波形処理手段29によりスペクトル波形29aとして出力される。また、ウェハ100はウェハステージ101上に搭載され、任意の位置での波形検出が可能であり、偏光素子28および29は、パターンの方向により、偏光方向を変更可能となっているので、パターンに平行なTE偏光、直角なTM偏光のいずれも、或いは中間の角度(例えば、30,45°など)の偏光での波形検出を検出できるようにしている。
【0008】
ここで、ウェハ100に照射させる位置は、例えば、図23で示すラインアンドスペース領域である。これは、十分な光量が得られ、かつ均一なパターンでなくてはならないため、概ね50μm角以上のエリアで図23のライン206L及びスペース206Sで構成される形状が必要である。このようなパターンは一般には製品回路中には存在しないため、製品回路パターン外のテストパターン202tのエリアに生成する。
【0009】
この他にも、図24に示す光学系の構成も知られている。白色光源21からの入射光30は、ハーフミラー31で反射され、対物レンズ32で集光され偏光素子28を介して測定対象であるウェハ100上に照射される。ウェハ100上のパターンからの反射光33は再び偏光素子28を通過し、対物レンズ32、ハーフミラー31を通過し、グレーティング26により分光され、分光器27でスペクトルデータとなる。これにより、対象パターンのスペクトル波形が得られる。
【0010】
以上は、分光型の光学系構成を示したが、角度走査型の光学系の例も開示されている。それを図25を用いて説明する。レーザなどの単波長光源40からの光は照射端41にて指定の角度θで入射光42として測定対象のウェハ100上に照射される。ウェハ100上のパターンからの反射光43は、受光素子44にて検出される。照射端41は出射角度変更部46上に設置され、また受光素子44は受光角度変更部47上に設置されており、任意の角度での反射光検出が可能となっている。受光素子44からの光は検出部45に送られ、各角度に対する測定点の反射強度波形45aが測定される。
【0011】
次に、上記光学系によって検出された波形によって、被対象物の形状を求める手段を図26を用いて説明する。周期的なパターンから得られた光学波形は、測定パターンの形状によって変化する。そこで、前もって、様々な断面プロファイルに対する光学波形を波動光学シミュレーションによって求めておき、これらをライブラリとして蓄えておく。例えば、繰り返しパターン断面形状211のピッチP、ボトム線幅W、膜厚H、テーパ角φに応じて断面プロファイルをモデル化し、シミュレーションを行う。シミュレーション結果212をライブラリ213に蓄えておく。計測波形210とライブラリの比較を比較手段214にて行い、一致した波形を与える断面プロファイルを計測値とする。比較手段214には、ライブラリのみを用いる場合と、ライブラリを用いずにリアルタイムに光学シミュレーションを行う場合、両者を要求精度によって併用する場合がある。
【0012】
このようなscatterometryは、感光剤の反応により電子線照射中に線幅が変化する懸念のあるSEMと比べて、光による計測であるので有利である。また、大気中で計測可能であり、SEMのように真空引きに時間を取られることもないので、高速測定が可能である。
【0013】
scatterometryは、上述のように回路パターン断面プロファイルを測定する上でSEMと比べてメリットがあるが、大量の波形を予め算出する必要があるため、高速な光学シミュレーションが必要となる。このため、例えば、非特許文献3に開示されているRigorous Coupled Wave Analysisと呼ばれる計算手法が採用されている。これは、パターン断面を複数の矩形層で近似し、それぞれの矩形層を無限に続く同一ピッチおよびデューティの回折格子とみなし、境界を合わせることにより波動方程式の級数解の係数を決定する方法である。波動方程式の別の解法である有限要素法等と比較すると、極めて高速に波形算出が行える。
【0014】
このようなscatterometryを用いて計測したパターン断面形状とフォーカスずれとを関連付けて、フォーカス制御を行う手法が、例えば、非特許文献4に開示されている。
【特許文献1】特開2001−143982号公報
【非特許文献1】Implementation of a Closed−loop CD and Overlay Controller for sub 0.25μmPatterning,SPIE Vol.3332,1998,pp461−470
【非特許文献2】Specular Spectroscopic Scatterometry in DUVLithography,SPIE Vol.3677,1999,pp159−168
【非特許文献3】Diffraction Analysis of Dielectric Surface−relief Gratings,J.Opt.Soc.Am.,Vol.72,No.10,1982
【非特許文献4】第64回応用物理学会学術講演会予稿1p−R−2 P641(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、上記scatterometryは、適用しようとする露光工程のフォーカスマージンが少なく、デフォーカス検知精度が要求される場合には、フォーカス変化に対する断面形状変化の感度が重要となるが、上記シミュレーションによる手法では、実デバイスとの誤差による断面形状計算誤差の影響が無視できなかった。
【0016】
また、scatterometryで計測対象となるパターンは、照明領域である数十μmの範囲において同一ピッチおよび同一デューティのライン&スペースである必要があり、実際に最もフォーカスマージンが小さいエリアであるとは限らず、製品回路パターンでのフォーカス検知が出来ないなどの課題があった。
【0017】
そこで、本発明は、これらの課題を解決し、半導体デバイスの微細化に対して、フォーカスマージンが狭小な場合でも精度良く露光工程のデフォーカス検知を行い、半導体デバイスの製造工程におけるフォトリソグラフィでの露光量およびフォーカス等の露光条件の最適化を個別かつ簡便に実現することができる技術を提供することにある。さらに、圧力および温度等のエッチング条件の最適化を個別かつ簡便に実現することができる技術を提供することにある。
【0018】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0020】
本発明は、半導体デバイスのプロセス制御方法、およびこのプロセス制御方法を適用する半導体デバイスの製造方法に関し、以下のような特徴を有するものである。
【0021】
(1)半導体ウェハのパターンに光を照射し、その散乱光を用いてパターンの形状情報を検出する工程を有し、製造条件の変化と散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知し、製造プロセスを制御する。
【0022】
(2)製造条件は、露光工程のフォーカス・露光量条件である。
【0023】
(3)製造条件は、エッチング工程の圧力・温度条件である。
【0024】
(4)散乱光は、分光器によって得られたスペクトル波形である。
【0025】
(5)散乱光は、入射角に対する反射光変化によって得られた角度分布波形である。
【0026】
(6)散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、製造条件の変化に対し、変化の大きい散乱光波形上の点を検知する方法である。
【0027】
(7)散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、対象工程の前工程での膜厚変動による変化分を差し引く方法である。
【0028】
(8)散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、対象工程の前工程での膜厚変動による変化が生じない波長領域の波形変動を検出する方法である。
【0029】
(9)散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、波形変化量と製造条件変化量との統計処理により回帰式を求める方法である。
【0030】
(10)散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、当該工程でのパターン形状変化のみを求めるため、散乱光波形のTE偏光分とTM偏光分との比率波形の変化を用いる方法である。
【0031】
(11)散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、パターンの無い領域の散乱光波形を参照する方法である。
【0032】
(12)散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、予め下地膜厚データを保持して参照する方法である。
【0033】
(13)散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、予め、製造条件を指定量だけ変化させたサンプルを作成し、該サンプルを用いて散乱光波形を得る方法であり、サンプルは露光シミュレーションにより作成する。
【0034】
具体的な機能として、測定対象物である現像後の半導体ウェハ上の任意パターンのscatterometryによる光学波形取得手段と、予め露光条件を変化されて作成したウェハから光学波形を連続的に検出する手段と、露光条件変化により変化する光学波形上の特徴点を抽出する手段と、特徴点と露光条件変化とを統計的に演算する手段と、演算した結果をもって露光条件を推定する推定手段と、推定した結果をプロセス状態に反映され、プロセス安定化を図る手段を有するものである。
【0035】
上記scatterometryによる光学波形は、被測定パターンの0次反射光のスペクトル波形、あるいは、0次反射光の角度分布波形とする。上記光学波形上の特徴点を抽出する手段は、露光条件だけでなく、その前工程での下地膜厚変動による光学波形変動を考慮して行う。上記現像後の半導体ウェハ上の任意パターンは、実際に露光装置のフォーカスと露光量を変化させてサンプルウェハを作成することのほかに、露光・現像シミュレーションによって、そのパターン断面形状を予測する手段を持つこととする。
【発明の効果】
【0036】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0037】
(1)テストパターンの計測データから、製品回路パターンの露光量およびフォーカスの最適値からのずれを求めることが可能になるので、露光工程において、狭マージンの微細デバイスの露光量およびフォーカスを同時かつ独立に制御することができ、歩留まりを向上させることができる。
【0038】
(2)ラインアンドスペース以外の製品回路パターンも測定対象にすることができるので、最も狭マージンな領域を選択するものとすれば、他の領域の回路パターンを用いる場合と比べて歩留まりを向上させることができる。
【0039】
(3)光照射のscatterometryでは、SEM等の信号波形を用いる場合と比べて時間のかかる真空引きが不要であるため、信号波形取得のスループットを向上することができ、また、SEMの場合は電子線照射により計測するパターンの断面プロファイルを変化させる可能性があるが、光照射の場合は、このような計測によるダメージの恐れが殆どない。
【0040】
(4)エッチング工程においても、圧力および温度を同時かつ独立に制御することができ、歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0042】
図1は、本発明の一実施の形態であるプロセス制御方法を適用する半導体デバイスの製造方法における計測方式の一例を示すフローチャートである。本例では、特に露光工程を例にして説明を行う。
【0043】
本実施の形態の半導体デバイスの製造方法における計測方式については、前述した本発明の前提として検討した技術を適用し、例えば図22に示した分光波形方式のscatterometry計測装置、図24に示した分光波形方式のscatterometry計測装置を用いて、半導体ウェハのパターンに光を照射し、その反射による散乱光を用いてパターンの形状情報を検出する。その他に、前述した図25に示した角度走査方式のscatterometry計測装置等を用いて実施することも可能である。
【0044】
まず、ステップ1の作成条件にて、レジストパターンを生成しようとする工程での露光装置のフォーカスと露光量を一定量ずつ変化させた条件を決定する。これは、標準的なフォーカス・露光量と変動する可能性のある変動量分を考慮して決定する。
【0045】
次に、ステップ2において、FEM(focus exposure matrix)サンプルウェハにて、その条件でFEMサンプルウェハを作成する。図2に、このFEMサンプルウェハについての一例(フォーカス・露光量マトリクス)を詳細に説明する。FEMサンプルウェハ102は、横方向のショットにはフォーカスFを、また縦方向には露光量Eをそれぞれ一定量ずつ変化させて露光したウェハである。フォーカス値をF1からFnまで、露光量をE1からEmまで変化させる場合、ウェハ面内のショットをEi,Fj(i=1〜n,j=1〜m)として露光する。例えば、図2のショット103は、E1,F1の条件で露光されたショットである。
【0046】
このようなFEMサンプルウェハの各ショットについて、ステップ3の光学系による波形データ取得にて波形を検出する。この例を、図3を用いて説明する。図3は、図2にて作成したFEMサンプルウェハ102のショットのパターン断面形状をそれぞれ対応するショット毎に一例(断面プロファイルマトリクス)を示した図である。それぞれのフォーカス・露光量により断面形状が異なり、例えば、図2のショット103での断面形状は図3の103aとなる。この波形データ取得は、このようなFEMサンプルウェハの全ショットに関して行い、その結果(ステップ4)、図4に示す波形マップが得られる。図4は、図2の各ショットでの図3に対応する波形データの一例(光学波形マトリクス)であり、例えば、ショット103での波形データは103bとなる。
【0047】
次に、ステップ5において、FEMサンプルウェハを用いて得られた波形データから特徴点の動向記録を行う。これを、図5のフォーカス変化による断面形状変化と光学波形変化(波長−光量)の一例を表すグラフにて詳しく説明する。パターン断面51〜53はFEMサンプルウェハ上のフォーカスFの違いによりその形状が異なり、それぞれのショットでの光学波形データがそれぞれ51a,52a,53aとなる。フォーカスによって生じる断面形状変化は波長λ1以上の領域での波形変化を生じさせる。ここで、例えば、各波形の変化領域の頂点51p,52p,53pに着目すると、フォーカス変化によって矢印55の方向に移動していることが分かる。このようにして、全波形上の変曲点を特徴点としてその動向を調査する。
【0048】
そして、ステップ6において全波形上の特徴点を表し、ステップ7にてその変動モデルを構築する。これを図6の光学波形上の変化点の一例を表すグラフにて詳しく説明する。図6のグラフは、上記FEMサンプルウェハにて検出された波形60とその特徴点60a〜60fを示している。特徴点の数をN個としたとき、i番目の特徴点での変位量を波長−光量座標上で(Δλi,ΔIi)とすると、FEMサンプルウェハにて検出した全ての波形を用いて、フォーカスFの変位量ΔF、及び露光量Eの変位量ΔEは全ての特徴点の変位量に係数を乗じた和として表される。
【0049】
このΔF、ΔEを、
【0050】
【数1】
【0051】
式(1)に示す。但し、Nは特徴点の数、αi、βi、γi、δiは係数である。ここで、係数は統計処理計算によって算出される値であり、重み係数などと呼ばれる。変化の大きな特徴点での係数は大きくなり、ほとんど変化しない特徴点での係数は0に近くなる。
【0052】
この係数の組が、ステップ7において、構築される変動モデルのモデル式となる。このようにして構築したモデル式と、ステップ1における作成条件とを関連付け、ステップ8において、モデルのデータベースとする。このように、波形の変化と直接フォーカス、露光量変化をモデル式で記述することにより、誤差の少ない高感度な変位検知が可能となる。
【0053】
また、ステップ9において、製品製造工程に関し、必要な頻度で被測定ウェハを抜き出し、ステップ3にて波形データ取得を行う。得られた波形(ステップ10)から、上記と同様にして特徴点の検出(ステップ11)を行い、すでに構築したモデルをデータベースモデル(ステップ8)から参照し、フォーカスの変位量ΔF、及び露光量の変位量ΔEを算出する。この結果を、ステップ13において、プロセス制御に通知する。
【0054】
このプロセス制御方法の一例を図7にて説明する。図7は、本計測方式を半導体デバイスの露光工程に適用した例である。
【0055】
まず、レジスト塗布装置70にて製品ウェハ上にレジスト塗布を行い、露光装置71にて所望のパターンの露光を行う。この際、露光装置71では、設定された露光条件(フォーカスF、露光量E)にて露光されるので、その情報を上位システム75に伝達しておく。次に、露光された製品ウェハは、現像装置72にて現像され、レジストパターンが生成される。この時点で、本発明による計測装置73にて予め構築されたモデル74により、露光条件の変位量(フォーカスΔF、露光量ΔE)が計測され、上位システム75へ伝達される。露光条件の変位量が規定値以内であれば、製品ウェハは次工程へ進む。一方、計測された変位量は上位システム75により処理され、必要に応じて露光装置71にフィードバックされ、常に適正なパターン形状となるような露光条件に更新される。
【0056】
以上の計測パターンにはラインアンドスペースを想定したが、本発明では、従来のscatterometryにて行うようなパターン断面計測を行う必要がないため、測定対象がラインアンドスペースなどの周期的パターンに限られるものではなく、製品パターンなどの複雑かつ非周期パターンでも可能である。
【0057】
なお、上記プロセス制御方法の例では、露光工程を例に説明したが、図8に示すように、エッチング工程にも適用可能である。現像装置72にて生成されたレジストパターン付ウェハはエッチャー76でエッチングされ、計測装置73で計測される。このとき、上記例の露光工程と同様に、例えば、エッチング圧力P、温度Tの各変動分ΔP、ΔTによるパターン変化をモデル77に登録しておくことにより、上記例と同様にして、エッチャー76に変動分がフィードバックされ、常に適正なパターン形状となるようなエッチング条件に更新される。
【0058】
続いて、上記図1のステップ5における特徴点の動向記録の別の方法の一例について、図9〜図11、図12〜図14、図15,図16をそれぞれ用いて説明する。
【0059】
図9〜図11において、図9は、計測対象のパターンの断面を示したものであり、前工程によりシリコンウェハ80上に多層の下地膜81〜83が成形されており、その上にレジストパターン84が露光・現像されている。それぞれの膜の厚さをt1〜t3で示す。このときの上記検出光学系によるスペクトル波形が図11の波形90である。一方、図9と同様の工程で異なるロットのパターンの断面を図10に示す。同様の工程であるので、シリコンウェハ80上の下地膜81’〜83’の構造は同じであるが、プロセスのばらつきにより、その厚さt1’〜t3’は、わずかに図9の下地膜とは異なる。上記検出光学系による図10を計測したスペクトル波形が図11の波形90’であり、波形90と若干異なっている。このようにプロセス変動により下層膜厚の変化がある場合には、波形変化がレジストパターン84とレジストパターン84’の違いによるものかどうかが判別できないため、例えば、図5での波形変化と比較し、最上部のレジスト形状のみの変化が現れる波長領域、例えば波長300nm以下の短波長領域のみの波形変化を捉えるようにすることで、下地膜変動の影響を低減できる。
【0060】
図12〜図14において、前述のように、前工程による下地膜変動がある場合を考える。図12は、図9の計測対象パターンのあるショットと同一ショットでレジストが無い領域であり、図13は、図10の計測対象パターンのあるショットと同一ショットでレジストが無い領域である。それぞれの下地膜の各膜厚は同一ショット内であればほぼ同一と見なすことができる。図12、図13の領域での上記光学系によるスペクトル波形はそれぞれ、図14の波形91、波形91’となる。ここで、例えば、波形91に対する波形90の変化と、波形91’に対する波形90’の変化とを比較することにより、最上部のレジスト形状のみの変化が捉えられ、下地膜変動の影響を低減できる。
【0061】
図15,図16において、図15は、上記光学系にてTE偏光を用いて、検出した場合のスペクトル波形を示しており、波形92Eは図9の計測対象パターンでの波形、波形92E’は図10の計測対象パターンでの波形である。同様に図16は、上記光学系にてTM偏光を用いて、検出した場合のスペクトル波形を示しており、波形92Mは図9の計測対象パターンでの波形、波形92M’は図10の計測対象パターンでの波形である。ここで、下地膜81〜83及び、81’〜83’は偏光方向と無関係であるため、下地膜厚の変化によりTE偏光波形、TM偏光波形はともに同様の変化を生じる。一方、レジストパターン84,84’は偏光方向と平行或いは直角に生成されているため、その形状変化により、TE偏光波形、TM偏光波形は異なる変化を生じる。よって、TE偏光の波形92Eに対するTM偏光の波形92M(例えば92E/92Mなどの演算結果)とTE偏光の波形92E’に対するTM’偏光の波形92M’を比較することで、最上部のレジスト形状のみの変化が捉えられ、下地膜変動の影響を低減できる。
【0062】
続いて、本発明の一実施の形態である半導体デバイスの製造ラインでの適用例について、図17〜図19を用いて説明する。
【0063】
図17は、前述の図1のステップ5における特徴点の動向記録での設定画面の一例である。画面上のウェハ情報エリア110に計測対象ウェハの情報(例えば、ウェハNo.、作成種類、モデルNo.)を示し、グラフ表示エリア110に測定対象ウェハでのスペクトル波形を全て表示する。このように表示することで、変化の大きい波長領域、特徴点を顕在化することができる。これにより、ユーザは、例えば指定波長113をグラフ上から選び、その波長値112を特徴点に指定することが簡便にできる。
【0064】
図18は、計測した製品ウェハの露光状態(フォーカスずれ、露光量ずれ)をモニタリングする画面の一例を示したものである。フォーカスずれの時間変化を示すグラフ114及び露光量ずれの時間変化を示すグラフ115から構成され、現時点でのずれの状態116の数値が、エリア117に示される。グラフ114,115上に上限値・下限値を破線などで示すことにより、製品の露光状態が容易に判断可能となる。各グラフの表示は時間単位でなくとも、例えばウェハ単位、ロット単位、製品単位でも良く、その時の生産状態にて決定すれば良い。
【0065】
図19は、ウェハ単位での露光状態分布表示の一例を示したものである。被測定ウェハ118上の測定ポイント119(この例では、1〜5)でのフォーカスずれ、露光量ずれの数値をエリア120で示す。また、その数値の分布をウェハ面内の分布として等高線121で示すことで、ウェハの露光状態が容易に把握できる。
【0066】
続いて、本発明の一実施の形態である半導体デバイスの製造方法の一例について、図20のフローチャートを用いて説明する。
【0067】
半導体単結晶のインゴットのスライス、研磨等の工程にてウェハを準備するとともに(ステップ131)、予め、本発明を適用する層(プロセスマージンの小さい層、設計に対してプロセス余裕度が低い層、例えばゲート工程など)での信号波形の特徴点変動傾向と露光量・フォーカス値の値をモデルとして保持を行っておく(ステップ150)。
【0068】
このウェハに薄膜等を形成した後(ステップ132)、平坦化処理を行い(ステップ133)、その後、レジスト塗布(ステップ134)、露光装置による露光処理(ステップ135)、現像処理(ステップ136)を行う。
【0069】
ここで、本実施の形態では、ラインアンドスペース(L&S)パターンでの回析光の信号波形を検出し(ステップ137)、検出結果とステップ150で保持されているモデルとを照合して、信号波形の特徴点変動から、L&Sパターンの露光量およびフォーカスの最適値に対する偏差ΔEt、ΔFtを得る(ステップ138)。
【0070】
さらに、ステップ138で得られたL&SパターンのΔEt、ΔFtから実際に露光装置を補正する値ΔE、ΔFを決定して、ステップ135の露光工程にフィードバックして以降の露光工程に反映させる(ステップ139)。ここで、ステップ138で得られた偏差ΔEt、ΔFtからフィードバック量ΔE、ΔFを求める際には、統計的演算手段を用い、例えば過去1ヶ月以内の偏差データを参照し、偏差発生傾向を予測した上でフィードバック量を決定する。また、設計値内での偏差あるいはユーザによる指定により、フィードバックを行わない設定も可能である。
【0071】
その後、レジストをマスクとするエッチングによる製品パターンの形成およびレジスト除去を行い(ステップ140)、ウェハプロセスが完了したか否かを判定し(ステップ141)、完成していない場合にはステップ132からの処理を繰り返して行う。
【0072】
ウェハプロセスが完了した場合には、ウェハプローブ等のウェハレベルでの各半導体デバイスの機能試験による良品選別を行い(ステップ142)、その後、ウェハのダイシングにて半導体デバイスを個別に分離し(ステップ143)、良品の半導体デバイスのみに対して封止等のパッケージングを行い(ステップ144)、さらにバーンインテスト等の出荷前検査を行い(ステップ145)、製品として出荷する(ステップ146)。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態によれば、半導体ウェハのパターンに光を照射し、その反射による散乱光を用いてパターンの形状情報を検出する光学系により、予め作成した複数の形状変形パターンを有するFEMサンプルウェハの波形を検出・保存し、パターンの変形に伴って生じるスペクトル波形上での1つ以上の特徴点を記録し、特徴点の変動モデルを求め、そして、被測定パターンでは上記と同様にしてスペクトル波形を検出し、波形上の特徴点の変位から、変動モデルを用いて、作成条件の変位(露光量ずれ、フォーカスずれ)を推定することにより、露光量とフォーカスを独立にフィードバックすることができ、高精度なプロセス制御が実現できる。
【0074】
また、テストパターンの計測データから、製品回路パターンの露光量およびフォーカスの最適値からのずれを求めることが可能になるので、狭マージンの微細デバイスの露光量およびフォーカスを同時かつ独立に制御することができ、歩留まりが向上できる。
【0075】
また、ラインアンドスペース以外の製品回路パターンも測定対象とできるので、最も狭マージンな領域を選択することとすれば、他の領域の回路パターンを用いる場合と比べて歩留まりが向上できる。
【0076】
また、光照射のscatterometryでは、SEM等の信号波形を用いる場合と比べて時間のかかる真空引きが不要であるため、信号波形取得のスループットが向上する。また、SEMの場合は電子線照射により計測するパターンの断面プロファイルを変化させる可能性があるが、光照射の場合は、このような計測によるダメージの恐れが殆どない。
【0077】
この結果、半導体デバイスの微細化に対して、フォーカスマージンが狭小な場合でも精度良く露光工程のデフォーカス検知を行い、半導体デバイスの製造工程におけるフォトリソグラフィでの露光量およびフォーカス等の露光条件の最適化を個別かつ簡便に実現できる。
【0078】
また、露光装置で露光を行う際の気圧変化によりレンズ収差が変化し、フォーカス誤差を生じるため、装置内の気圧センサによりフォーカス補正を行う場合があるが、本発明によれば、生産製品での露光・フォーカス偏差を把握できるため、より頻度の高いプロセス制御が可能となる。
【0079】
さらに、エッチング工程においても、予め特徴点の変動モデルを求め、被測定パターンでスペクトル波形を検出し、波形上の特徴点の変位から、変動モデルを用いて、作成条件の変位(圧力ずれ、温度ずれ)を推定することにより、圧力と温度を独立にフィードバックすることができ、高精度なプロセス制御が実現できる。
【0080】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、半導体デバイスの製造技術に関し、特に、露光工程における露光量およびフォーカス制御、さらにエッチング工程における圧力および温度制御を高精度に行う技術に適用して有効である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施の形態であるプロセス制御方法を適用する半導体デバイスの製造方法における計測方式の一例を示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、FEMサンプルウェハの一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、FEMサンプルウェハのパターン断面形状の一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、FEMサンプルウェハの波形データの一例を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、フォーカス変化による断面形状変化と光学波形変化の一例を表すグラフである。
【図6】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、光学波形上の変化点の一例を表すグラフである。
【図7】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、半導体デバイスの露光工程に適用したプロセス制御方法の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、半導体デバイスのエッチング工程に適用したプロセス制御方法の一例を示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、前工程での下地膜があるレジストの断面の一例を示す図である。
【図10】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、図9と異なるロットでのレジストの断面の一例を示す図である。
【図11】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、下地膜があり、異なるロットでのレジスト部分の光学波形の一例を示す図である。
【図12】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、図9のウェハのレジストの無い領域の断面の一例を示す図である。
【図13】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、図10のウェハのレジストの無い領域の断面の一例を示す図である。
【図14】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、下地膜があり、異なるロットでのレジストが無い部分の光学波形の一例を示す図である。
【図15】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、図9と図10でのTEモードによる光学波形の一例を示す図である。
【図16】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、図9と図10でのTMモードによる光学波形の一例を示す図である。
【図17】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、光学波形の特徴点の動向記録の設定画面の一例を示す図である。
【図18】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、計測した製品ウェハの露光状態をモニタリングする画面の一例を示す図である。
【図19】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、ウェハ単位での露光状態分布表示の一例を示す図である。
【図20】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図21】本発明の前提として検討した技術において、半導体デバイスの露光工程の一例を示す図である。
【図22】本発明の前提として検討した技術において、分光波形方式のscatterometry計測装置の構成の一例を示す図である。
【図23】本発明の前提として検討した技術において、ウェハ上のラインアンドスペースパターンの一例を示す図である。
【図24】本発明の前提として検討した技術において、分光波形方式のscatterometry計測装置の別の構成の一例を示す図である。
【図25】本発明の前提として検討した技術において、角度走査方式のscatterometry計測装置の構成の一例を示す図である。
【図26】本発明の前提として検討した技術において、scatterometry計測装置の形状計測方式の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
51〜53…パターン断面、51a〜53a…光学波形データ、51p〜53p…頂点、60…波形、60a〜60f…特徴点、70…レジスト塗布装置、71…露光装置、72…現像装置、73…計測装置、74…モデル、75…上位システム、76…エッチャー、77…モデル、80…シリコンウェハ、81〜83,81’〜83’…下地膜、84…レジストパターン、84’…レジストパターン、90〜92,90’〜92’,92E,92E’,92M,92M’…波形、102…FEMサンプルウェハ、103…ショット、103a…断面形状、103b…波形データ、110…ウェハ情報エリア、111…グラフ表示エリア、112…波長値、113…指定波長、114,115…グラフ、116…状態、117…エリア、118…被測定ウェハ、119…測定ポイント、120…エリア、121…等高線。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体デバイスの製造技術に関し、特に、露光工程における露光量およびフォーカス制御、さらにエッチング工程における圧力および温度制御を高精度に行う方法に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体素子の製造は、シリコンウェハ上に導電膜または絶縁膜を成膜する成膜工程と、この膜上に感光剤であるレジストを塗布し、露光装置を用いてレチクル上の回路パターンをレジストに露光、現像した後、残存するレジストをマスクとして膜をエッチングすることによってウェハ上に回路パターンを形成するリソグラフィ工程を各層で繰り返すことによって行われている。
【0003】
ここで、本発明の背景技術として、本発明者が本発明の前提として検討した技術を図21〜図26を用いて説明する。それぞれ、図21は半導体の露光工程の説明、図22は分光波形方式のscatterometry計測装置の構成、図23はウェハ上のラインアンドスペースパターン、図24は分光波形方式のscatterometry計測装置の別の構成、図25は角度走査方式のscatterometry計測装置の構成、図26はscatterometry計測装置の形状計測方式の説明のための図である。
【0004】
まず、リソグラフィ工程にて、レジストに回路パターンを焼き付ける露光工程を図21により説明する。レチクル200上には作成する層での回路パターンが描画されており、これには、製品回路パターンが描画された領域201とその周辺のテスト回路パターンが描画された領域202が含まれている。いずれのパターンも露光光203により、露光レンズ204を介してウェハ1に塗布されたレジスト上に転写される。転写され感光した部分のレジストはその後の現像工程にて残存し、マスクとなる(ネガ型レジストの場合)。転写された回路パターンが設計寸法通りに仕上がっているかどうかを確認するため、通常SEM(Scanning Electron Microscope)による寸法検査が行われている。
【0005】
検査は、転写回路パターン200tのうち、転写製品パターン201tを直接計測する場合と、チップ領域の外側に存在する転写テストパターン202tを計測する場合がある。測定した寸法の大小により、一般的には露光装置の露光量で補正を行っている。この露光量補正の自動化に関しては、例えば非特許文献1に記載されている。一方で、寸法の変動の原因としては露光装置の露光量変動以外にフォーカスずれが挙げられる。露光量だけでなく、フォーカスの補正も行う方法が、例えば特許文献1に開示されている。これは、予めSEMの波形変化を露光量、フォーカスずれと関連付けることにより、SEMの波形から直接、露光量およびフォーカスの補正量を求める方法である。また、レジストによる回路パターンの検査には寸法だけでなく、パターンの高さ方向の形状、すなわち断面プロファイルが半導体素子の性能に影響することが判ってきたため、転写回路パターンの断面プロファイルを光学的に測定するscatterometryという方法が、例えば非特許文献2に開示されている。
【0006】
ここで、scatterometry計測装置の構成を図22により説明する。図22は分光型のscatterometry計測装置である。
【0007】
白色光源21からの光を集光レンズ22に導き、偏光素子28で偏光させた後、入射光23としてウェハステージ101上の計測対象のウェハ100にある角度を持って照射させる。ウェハ100からの反射光24は偏光素子28aを通り、集光レンズ25にてグレーティング26に集光される。グレーティング26により反射光24は分光し、分光器27にてスペクトル分解され、波形処理手段29によりスペクトル波形29aとして出力される。また、ウェハ100はウェハステージ101上に搭載され、任意の位置での波形検出が可能であり、偏光素子28および29は、パターンの方向により、偏光方向を変更可能となっているので、パターンに平行なTE偏光、直角なTM偏光のいずれも、或いは中間の角度(例えば、30,45°など)の偏光での波形検出を検出できるようにしている。
【0008】
ここで、ウェハ100に照射させる位置は、例えば、図23で示すラインアンドスペース領域である。これは、十分な光量が得られ、かつ均一なパターンでなくてはならないため、概ね50μm角以上のエリアで図23のライン206L及びスペース206Sで構成される形状が必要である。このようなパターンは一般には製品回路中には存在しないため、製品回路パターン外のテストパターン202tのエリアに生成する。
【0009】
この他にも、図24に示す光学系の構成も知られている。白色光源21からの入射光30は、ハーフミラー31で反射され、対物レンズ32で集光され偏光素子28を介して測定対象であるウェハ100上に照射される。ウェハ100上のパターンからの反射光33は再び偏光素子28を通過し、対物レンズ32、ハーフミラー31を通過し、グレーティング26により分光され、分光器27でスペクトルデータとなる。これにより、対象パターンのスペクトル波形が得られる。
【0010】
以上は、分光型の光学系構成を示したが、角度走査型の光学系の例も開示されている。それを図25を用いて説明する。レーザなどの単波長光源40からの光は照射端41にて指定の角度θで入射光42として測定対象のウェハ100上に照射される。ウェハ100上のパターンからの反射光43は、受光素子44にて検出される。照射端41は出射角度変更部46上に設置され、また受光素子44は受光角度変更部47上に設置されており、任意の角度での反射光検出が可能となっている。受光素子44からの光は検出部45に送られ、各角度に対する測定点の反射強度波形45aが測定される。
【0011】
次に、上記光学系によって検出された波形によって、被対象物の形状を求める手段を図26を用いて説明する。周期的なパターンから得られた光学波形は、測定パターンの形状によって変化する。そこで、前もって、様々な断面プロファイルに対する光学波形を波動光学シミュレーションによって求めておき、これらをライブラリとして蓄えておく。例えば、繰り返しパターン断面形状211のピッチP、ボトム線幅W、膜厚H、テーパ角φに応じて断面プロファイルをモデル化し、シミュレーションを行う。シミュレーション結果212をライブラリ213に蓄えておく。計測波形210とライブラリの比較を比較手段214にて行い、一致した波形を与える断面プロファイルを計測値とする。比較手段214には、ライブラリのみを用いる場合と、ライブラリを用いずにリアルタイムに光学シミュレーションを行う場合、両者を要求精度によって併用する場合がある。
【0012】
このようなscatterometryは、感光剤の反応により電子線照射中に線幅が変化する懸念のあるSEMと比べて、光による計測であるので有利である。また、大気中で計測可能であり、SEMのように真空引きに時間を取られることもないので、高速測定が可能である。
【0013】
scatterometryは、上述のように回路パターン断面プロファイルを測定する上でSEMと比べてメリットがあるが、大量の波形を予め算出する必要があるため、高速な光学シミュレーションが必要となる。このため、例えば、非特許文献3に開示されているRigorous Coupled Wave Analysisと呼ばれる計算手法が採用されている。これは、パターン断面を複数の矩形層で近似し、それぞれの矩形層を無限に続く同一ピッチおよびデューティの回折格子とみなし、境界を合わせることにより波動方程式の級数解の係数を決定する方法である。波動方程式の別の解法である有限要素法等と比較すると、極めて高速に波形算出が行える。
【0014】
このようなscatterometryを用いて計測したパターン断面形状とフォーカスずれとを関連付けて、フォーカス制御を行う手法が、例えば、非特許文献4に開示されている。
【特許文献1】特開2001−143982号公報
【非特許文献1】Implementation of a Closed−loop CD and Overlay Controller for sub 0.25μmPatterning,SPIE Vol.3332,1998,pp461−470
【非特許文献2】Specular Spectroscopic Scatterometry in DUVLithography,SPIE Vol.3677,1999,pp159−168
【非特許文献3】Diffraction Analysis of Dielectric Surface−relief Gratings,J.Opt.Soc.Am.,Vol.72,No.10,1982
【非特許文献4】第64回応用物理学会学術講演会予稿1p−R−2 P641(2003)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、上記scatterometryは、適用しようとする露光工程のフォーカスマージンが少なく、デフォーカス検知精度が要求される場合には、フォーカス変化に対する断面形状変化の感度が重要となるが、上記シミュレーションによる手法では、実デバイスとの誤差による断面形状計算誤差の影響が無視できなかった。
【0016】
また、scatterometryで計測対象となるパターンは、照明領域である数十μmの範囲において同一ピッチおよび同一デューティのライン&スペースである必要があり、実際に最もフォーカスマージンが小さいエリアであるとは限らず、製品回路パターンでのフォーカス検知が出来ないなどの課題があった。
【0017】
そこで、本発明は、これらの課題を解決し、半導体デバイスの微細化に対して、フォーカスマージンが狭小な場合でも精度良く露光工程のデフォーカス検知を行い、半導体デバイスの製造工程におけるフォトリソグラフィでの露光量およびフォーカス等の露光条件の最適化を個別かつ簡便に実現することができる技術を提供することにある。さらに、圧力および温度等のエッチング条件の最適化を個別かつ簡便に実現することができる技術を提供することにある。
【0018】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0020】
本発明は、半導体デバイスのプロセス制御方法、およびこのプロセス制御方法を適用する半導体デバイスの製造方法に関し、以下のような特徴を有するものである。
【0021】
(1)半導体ウェハのパターンに光を照射し、その散乱光を用いてパターンの形状情報を検出する工程を有し、製造条件の変化と散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知し、製造プロセスを制御する。
【0022】
(2)製造条件は、露光工程のフォーカス・露光量条件である。
【0023】
(3)製造条件は、エッチング工程の圧力・温度条件である。
【0024】
(4)散乱光は、分光器によって得られたスペクトル波形である。
【0025】
(5)散乱光は、入射角に対する反射光変化によって得られた角度分布波形である。
【0026】
(6)散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、製造条件の変化に対し、変化の大きい散乱光波形上の点を検知する方法である。
【0027】
(7)散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、対象工程の前工程での膜厚変動による変化分を差し引く方法である。
【0028】
(8)散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、対象工程の前工程での膜厚変動による変化が生じない波長領域の波形変動を検出する方法である。
【0029】
(9)散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、波形変化量と製造条件変化量との統計処理により回帰式を求める方法である。
【0030】
(10)散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、当該工程でのパターン形状変化のみを求めるため、散乱光波形のTE偏光分とTM偏光分との比率波形の変化を用いる方法である。
【0031】
(11)散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、パターンの無い領域の散乱光波形を参照する方法である。
【0032】
(12)散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、予め下地膜厚データを保持して参照する方法である。
【0033】
(13)散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、予め、製造条件を指定量だけ変化させたサンプルを作成し、該サンプルを用いて散乱光波形を得る方法であり、サンプルは露光シミュレーションにより作成する。
【0034】
具体的な機能として、測定対象物である現像後の半導体ウェハ上の任意パターンのscatterometryによる光学波形取得手段と、予め露光条件を変化されて作成したウェハから光学波形を連続的に検出する手段と、露光条件変化により変化する光学波形上の特徴点を抽出する手段と、特徴点と露光条件変化とを統計的に演算する手段と、演算した結果をもって露光条件を推定する推定手段と、推定した結果をプロセス状態に反映され、プロセス安定化を図る手段を有するものである。
【0035】
上記scatterometryによる光学波形は、被測定パターンの0次反射光のスペクトル波形、あるいは、0次反射光の角度分布波形とする。上記光学波形上の特徴点を抽出する手段は、露光条件だけでなく、その前工程での下地膜厚変動による光学波形変動を考慮して行う。上記現像後の半導体ウェハ上の任意パターンは、実際に露光装置のフォーカスと露光量を変化させてサンプルウェハを作成することのほかに、露光・現像シミュレーションによって、そのパターン断面形状を予測する手段を持つこととする。
【発明の効果】
【0036】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0037】
(1)テストパターンの計測データから、製品回路パターンの露光量およびフォーカスの最適値からのずれを求めることが可能になるので、露光工程において、狭マージンの微細デバイスの露光量およびフォーカスを同時かつ独立に制御することができ、歩留まりを向上させることができる。
【0038】
(2)ラインアンドスペース以外の製品回路パターンも測定対象にすることができるので、最も狭マージンな領域を選択するものとすれば、他の領域の回路パターンを用いる場合と比べて歩留まりを向上させることができる。
【0039】
(3)光照射のscatterometryでは、SEM等の信号波形を用いる場合と比べて時間のかかる真空引きが不要であるため、信号波形取得のスループットを向上することができ、また、SEMの場合は電子線照射により計測するパターンの断面プロファイルを変化させる可能性があるが、光照射の場合は、このような計測によるダメージの恐れが殆どない。
【0040】
(4)エッチング工程においても、圧力および温度を同時かつ独立に制御することができ、歩留まりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0042】
図1は、本発明の一実施の形態であるプロセス制御方法を適用する半導体デバイスの製造方法における計測方式の一例を示すフローチャートである。本例では、特に露光工程を例にして説明を行う。
【0043】
本実施の形態の半導体デバイスの製造方法における計測方式については、前述した本発明の前提として検討した技術を適用し、例えば図22に示した分光波形方式のscatterometry計測装置、図24に示した分光波形方式のscatterometry計測装置を用いて、半導体ウェハのパターンに光を照射し、その反射による散乱光を用いてパターンの形状情報を検出する。その他に、前述した図25に示した角度走査方式のscatterometry計測装置等を用いて実施することも可能である。
【0044】
まず、ステップ1の作成条件にて、レジストパターンを生成しようとする工程での露光装置のフォーカスと露光量を一定量ずつ変化させた条件を決定する。これは、標準的なフォーカス・露光量と変動する可能性のある変動量分を考慮して決定する。
【0045】
次に、ステップ2において、FEM(focus exposure matrix)サンプルウェハにて、その条件でFEMサンプルウェハを作成する。図2に、このFEMサンプルウェハについての一例(フォーカス・露光量マトリクス)を詳細に説明する。FEMサンプルウェハ102は、横方向のショットにはフォーカスFを、また縦方向には露光量Eをそれぞれ一定量ずつ変化させて露光したウェハである。フォーカス値をF1からFnまで、露光量をE1からEmまで変化させる場合、ウェハ面内のショットをEi,Fj(i=1〜n,j=1〜m)として露光する。例えば、図2のショット103は、E1,F1の条件で露光されたショットである。
【0046】
このようなFEMサンプルウェハの各ショットについて、ステップ3の光学系による波形データ取得にて波形を検出する。この例を、図3を用いて説明する。図3は、図2にて作成したFEMサンプルウェハ102のショットのパターン断面形状をそれぞれ対応するショット毎に一例(断面プロファイルマトリクス)を示した図である。それぞれのフォーカス・露光量により断面形状が異なり、例えば、図2のショット103での断面形状は図3の103aとなる。この波形データ取得は、このようなFEMサンプルウェハの全ショットに関して行い、その結果(ステップ4)、図4に示す波形マップが得られる。図4は、図2の各ショットでの図3に対応する波形データの一例(光学波形マトリクス)であり、例えば、ショット103での波形データは103bとなる。
【0047】
次に、ステップ5において、FEMサンプルウェハを用いて得られた波形データから特徴点の動向記録を行う。これを、図5のフォーカス変化による断面形状変化と光学波形変化(波長−光量)の一例を表すグラフにて詳しく説明する。パターン断面51〜53はFEMサンプルウェハ上のフォーカスFの違いによりその形状が異なり、それぞれのショットでの光学波形データがそれぞれ51a,52a,53aとなる。フォーカスによって生じる断面形状変化は波長λ1以上の領域での波形変化を生じさせる。ここで、例えば、各波形の変化領域の頂点51p,52p,53pに着目すると、フォーカス変化によって矢印55の方向に移動していることが分かる。このようにして、全波形上の変曲点を特徴点としてその動向を調査する。
【0048】
そして、ステップ6において全波形上の特徴点を表し、ステップ7にてその変動モデルを構築する。これを図6の光学波形上の変化点の一例を表すグラフにて詳しく説明する。図6のグラフは、上記FEMサンプルウェハにて検出された波形60とその特徴点60a〜60fを示している。特徴点の数をN個としたとき、i番目の特徴点での変位量を波長−光量座標上で(Δλi,ΔIi)とすると、FEMサンプルウェハにて検出した全ての波形を用いて、フォーカスFの変位量ΔF、及び露光量Eの変位量ΔEは全ての特徴点の変位量に係数を乗じた和として表される。
【0049】
このΔF、ΔEを、
【0050】
【数1】
【0051】
式(1)に示す。但し、Nは特徴点の数、αi、βi、γi、δiは係数である。ここで、係数は統計処理計算によって算出される値であり、重み係数などと呼ばれる。変化の大きな特徴点での係数は大きくなり、ほとんど変化しない特徴点での係数は0に近くなる。
【0052】
この係数の組が、ステップ7において、構築される変動モデルのモデル式となる。このようにして構築したモデル式と、ステップ1における作成条件とを関連付け、ステップ8において、モデルのデータベースとする。このように、波形の変化と直接フォーカス、露光量変化をモデル式で記述することにより、誤差の少ない高感度な変位検知が可能となる。
【0053】
また、ステップ9において、製品製造工程に関し、必要な頻度で被測定ウェハを抜き出し、ステップ3にて波形データ取得を行う。得られた波形(ステップ10)から、上記と同様にして特徴点の検出(ステップ11)を行い、すでに構築したモデルをデータベースモデル(ステップ8)から参照し、フォーカスの変位量ΔF、及び露光量の変位量ΔEを算出する。この結果を、ステップ13において、プロセス制御に通知する。
【0054】
このプロセス制御方法の一例を図7にて説明する。図7は、本計測方式を半導体デバイスの露光工程に適用した例である。
【0055】
まず、レジスト塗布装置70にて製品ウェハ上にレジスト塗布を行い、露光装置71にて所望のパターンの露光を行う。この際、露光装置71では、設定された露光条件(フォーカスF、露光量E)にて露光されるので、その情報を上位システム75に伝達しておく。次に、露光された製品ウェハは、現像装置72にて現像され、レジストパターンが生成される。この時点で、本発明による計測装置73にて予め構築されたモデル74により、露光条件の変位量(フォーカスΔF、露光量ΔE)が計測され、上位システム75へ伝達される。露光条件の変位量が規定値以内であれば、製品ウェハは次工程へ進む。一方、計測された変位量は上位システム75により処理され、必要に応じて露光装置71にフィードバックされ、常に適正なパターン形状となるような露光条件に更新される。
【0056】
以上の計測パターンにはラインアンドスペースを想定したが、本発明では、従来のscatterometryにて行うようなパターン断面計測を行う必要がないため、測定対象がラインアンドスペースなどの周期的パターンに限られるものではなく、製品パターンなどの複雑かつ非周期パターンでも可能である。
【0057】
なお、上記プロセス制御方法の例では、露光工程を例に説明したが、図8に示すように、エッチング工程にも適用可能である。現像装置72にて生成されたレジストパターン付ウェハはエッチャー76でエッチングされ、計測装置73で計測される。このとき、上記例の露光工程と同様に、例えば、エッチング圧力P、温度Tの各変動分ΔP、ΔTによるパターン変化をモデル77に登録しておくことにより、上記例と同様にして、エッチャー76に変動分がフィードバックされ、常に適正なパターン形状となるようなエッチング条件に更新される。
【0058】
続いて、上記図1のステップ5における特徴点の動向記録の別の方法の一例について、図9〜図11、図12〜図14、図15,図16をそれぞれ用いて説明する。
【0059】
図9〜図11において、図9は、計測対象のパターンの断面を示したものであり、前工程によりシリコンウェハ80上に多層の下地膜81〜83が成形されており、その上にレジストパターン84が露光・現像されている。それぞれの膜の厚さをt1〜t3で示す。このときの上記検出光学系によるスペクトル波形が図11の波形90である。一方、図9と同様の工程で異なるロットのパターンの断面を図10に示す。同様の工程であるので、シリコンウェハ80上の下地膜81’〜83’の構造は同じであるが、プロセスのばらつきにより、その厚さt1’〜t3’は、わずかに図9の下地膜とは異なる。上記検出光学系による図10を計測したスペクトル波形が図11の波形90’であり、波形90と若干異なっている。このようにプロセス変動により下層膜厚の変化がある場合には、波形変化がレジストパターン84とレジストパターン84’の違いによるものかどうかが判別できないため、例えば、図5での波形変化と比較し、最上部のレジスト形状のみの変化が現れる波長領域、例えば波長300nm以下の短波長領域のみの波形変化を捉えるようにすることで、下地膜変動の影響を低減できる。
【0060】
図12〜図14において、前述のように、前工程による下地膜変動がある場合を考える。図12は、図9の計測対象パターンのあるショットと同一ショットでレジストが無い領域であり、図13は、図10の計測対象パターンのあるショットと同一ショットでレジストが無い領域である。それぞれの下地膜の各膜厚は同一ショット内であればほぼ同一と見なすことができる。図12、図13の領域での上記光学系によるスペクトル波形はそれぞれ、図14の波形91、波形91’となる。ここで、例えば、波形91に対する波形90の変化と、波形91’に対する波形90’の変化とを比較することにより、最上部のレジスト形状のみの変化が捉えられ、下地膜変動の影響を低減できる。
【0061】
図15,図16において、図15は、上記光学系にてTE偏光を用いて、検出した場合のスペクトル波形を示しており、波形92Eは図9の計測対象パターンでの波形、波形92E’は図10の計測対象パターンでの波形である。同様に図16は、上記光学系にてTM偏光を用いて、検出した場合のスペクトル波形を示しており、波形92Mは図9の計測対象パターンでの波形、波形92M’は図10の計測対象パターンでの波形である。ここで、下地膜81〜83及び、81’〜83’は偏光方向と無関係であるため、下地膜厚の変化によりTE偏光波形、TM偏光波形はともに同様の変化を生じる。一方、レジストパターン84,84’は偏光方向と平行或いは直角に生成されているため、その形状変化により、TE偏光波形、TM偏光波形は異なる変化を生じる。よって、TE偏光の波形92Eに対するTM偏光の波形92M(例えば92E/92Mなどの演算結果)とTE偏光の波形92E’に対するTM’偏光の波形92M’を比較することで、最上部のレジスト形状のみの変化が捉えられ、下地膜変動の影響を低減できる。
【0062】
続いて、本発明の一実施の形態である半導体デバイスの製造ラインでの適用例について、図17〜図19を用いて説明する。
【0063】
図17は、前述の図1のステップ5における特徴点の動向記録での設定画面の一例である。画面上のウェハ情報エリア110に計測対象ウェハの情報(例えば、ウェハNo.、作成種類、モデルNo.)を示し、グラフ表示エリア110に測定対象ウェハでのスペクトル波形を全て表示する。このように表示することで、変化の大きい波長領域、特徴点を顕在化することができる。これにより、ユーザは、例えば指定波長113をグラフ上から選び、その波長値112を特徴点に指定することが簡便にできる。
【0064】
図18は、計測した製品ウェハの露光状態(フォーカスずれ、露光量ずれ)をモニタリングする画面の一例を示したものである。フォーカスずれの時間変化を示すグラフ114及び露光量ずれの時間変化を示すグラフ115から構成され、現時点でのずれの状態116の数値が、エリア117に示される。グラフ114,115上に上限値・下限値を破線などで示すことにより、製品の露光状態が容易に判断可能となる。各グラフの表示は時間単位でなくとも、例えばウェハ単位、ロット単位、製品単位でも良く、その時の生産状態にて決定すれば良い。
【0065】
図19は、ウェハ単位での露光状態分布表示の一例を示したものである。被測定ウェハ118上の測定ポイント119(この例では、1〜5)でのフォーカスずれ、露光量ずれの数値をエリア120で示す。また、その数値の分布をウェハ面内の分布として等高線121で示すことで、ウェハの露光状態が容易に把握できる。
【0066】
続いて、本発明の一実施の形態である半導体デバイスの製造方法の一例について、図20のフローチャートを用いて説明する。
【0067】
半導体単結晶のインゴットのスライス、研磨等の工程にてウェハを準備するとともに(ステップ131)、予め、本発明を適用する層(プロセスマージンの小さい層、設計に対してプロセス余裕度が低い層、例えばゲート工程など)での信号波形の特徴点変動傾向と露光量・フォーカス値の値をモデルとして保持を行っておく(ステップ150)。
【0068】
このウェハに薄膜等を形成した後(ステップ132)、平坦化処理を行い(ステップ133)、その後、レジスト塗布(ステップ134)、露光装置による露光処理(ステップ135)、現像処理(ステップ136)を行う。
【0069】
ここで、本実施の形態では、ラインアンドスペース(L&S)パターンでの回析光の信号波形を検出し(ステップ137)、検出結果とステップ150で保持されているモデルとを照合して、信号波形の特徴点変動から、L&Sパターンの露光量およびフォーカスの最適値に対する偏差ΔEt、ΔFtを得る(ステップ138)。
【0070】
さらに、ステップ138で得られたL&SパターンのΔEt、ΔFtから実際に露光装置を補正する値ΔE、ΔFを決定して、ステップ135の露光工程にフィードバックして以降の露光工程に反映させる(ステップ139)。ここで、ステップ138で得られた偏差ΔEt、ΔFtからフィードバック量ΔE、ΔFを求める際には、統計的演算手段を用い、例えば過去1ヶ月以内の偏差データを参照し、偏差発生傾向を予測した上でフィードバック量を決定する。また、設計値内での偏差あるいはユーザによる指定により、フィードバックを行わない設定も可能である。
【0071】
その後、レジストをマスクとするエッチングによる製品パターンの形成およびレジスト除去を行い(ステップ140)、ウェハプロセスが完了したか否かを判定し(ステップ141)、完成していない場合にはステップ132からの処理を繰り返して行う。
【0072】
ウェハプロセスが完了した場合には、ウェハプローブ等のウェハレベルでの各半導体デバイスの機能試験による良品選別を行い(ステップ142)、その後、ウェハのダイシングにて半導体デバイスを個別に分離し(ステップ143)、良品の半導体デバイスのみに対して封止等のパッケージングを行い(ステップ144)、さらにバーンインテスト等の出荷前検査を行い(ステップ145)、製品として出荷する(ステップ146)。
【0073】
以上説明したように、本実施の形態によれば、半導体ウェハのパターンに光を照射し、その反射による散乱光を用いてパターンの形状情報を検出する光学系により、予め作成した複数の形状変形パターンを有するFEMサンプルウェハの波形を検出・保存し、パターンの変形に伴って生じるスペクトル波形上での1つ以上の特徴点を記録し、特徴点の変動モデルを求め、そして、被測定パターンでは上記と同様にしてスペクトル波形を検出し、波形上の特徴点の変位から、変動モデルを用いて、作成条件の変位(露光量ずれ、フォーカスずれ)を推定することにより、露光量とフォーカスを独立にフィードバックすることができ、高精度なプロセス制御が実現できる。
【0074】
また、テストパターンの計測データから、製品回路パターンの露光量およびフォーカスの最適値からのずれを求めることが可能になるので、狭マージンの微細デバイスの露光量およびフォーカスを同時かつ独立に制御することができ、歩留まりが向上できる。
【0075】
また、ラインアンドスペース以外の製品回路パターンも測定対象とできるので、最も狭マージンな領域を選択することとすれば、他の領域の回路パターンを用いる場合と比べて歩留まりが向上できる。
【0076】
また、光照射のscatterometryでは、SEM等の信号波形を用いる場合と比べて時間のかかる真空引きが不要であるため、信号波形取得のスループットが向上する。また、SEMの場合は電子線照射により計測するパターンの断面プロファイルを変化させる可能性があるが、光照射の場合は、このような計測によるダメージの恐れが殆どない。
【0077】
この結果、半導体デバイスの微細化に対して、フォーカスマージンが狭小な場合でも精度良く露光工程のデフォーカス検知を行い、半導体デバイスの製造工程におけるフォトリソグラフィでの露光量およびフォーカス等の露光条件の最適化を個別かつ簡便に実現できる。
【0078】
また、露光装置で露光を行う際の気圧変化によりレンズ収差が変化し、フォーカス誤差を生じるため、装置内の気圧センサによりフォーカス補正を行う場合があるが、本発明によれば、生産製品での露光・フォーカス偏差を把握できるため、より頻度の高いプロセス制御が可能となる。
【0079】
さらに、エッチング工程においても、予め特徴点の変動モデルを求め、被測定パターンでスペクトル波形を検出し、波形上の特徴点の変位から、変動モデルを用いて、作成条件の変位(圧力ずれ、温度ずれ)を推定することにより、圧力と温度を独立にフィードバックすることができ、高精度なプロセス制御が実現できる。
【0080】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、半導体デバイスの製造技術に関し、特に、露光工程における露光量およびフォーカス制御、さらにエッチング工程における圧力および温度制御を高精度に行う技術に適用して有効である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施の形態であるプロセス制御方法を適用する半導体デバイスの製造方法における計測方式の一例を示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、FEMサンプルウェハの一例を示す図である。
【図3】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、FEMサンプルウェハのパターン断面形状の一例を示す図である。
【図4】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、FEMサンプルウェハの波形データの一例を示す図である。
【図5】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、フォーカス変化による断面形状変化と光学波形変化の一例を表すグラフである。
【図6】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、光学波形上の変化点の一例を表すグラフである。
【図7】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、半導体デバイスの露光工程に適用したプロセス制御方法の一例を示す図である。
【図8】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、半導体デバイスのエッチング工程に適用したプロセス制御方法の一例を示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、前工程での下地膜があるレジストの断面の一例を示す図である。
【図10】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、図9と異なるロットでのレジストの断面の一例を示す図である。
【図11】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、下地膜があり、異なるロットでのレジスト部分の光学波形の一例を示す図である。
【図12】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、図9のウェハのレジストの無い領域の断面の一例を示す図である。
【図13】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、図10のウェハのレジストの無い領域の断面の一例を示す図である。
【図14】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、下地膜があり、異なるロットでのレジストが無い部分の光学波形の一例を示す図である。
【図15】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、図9と図10でのTEモードによる光学波形の一例を示す図である。
【図16】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、図9と図10でのTMモードによる光学波形の一例を示す図である。
【図17】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、光学波形の特徴点の動向記録の設定画面の一例を示す図である。
【図18】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、計測した製品ウェハの露光状態をモニタリングする画面の一例を示す図である。
【図19】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法において、ウェハ単位での露光状態分布表示の一例を示す図である。
【図20】本発明の一実施の形態の半導体デバイスの製造方法の一例を示すフローチャートである。
【図21】本発明の前提として検討した技術において、半導体デバイスの露光工程の一例を示す図である。
【図22】本発明の前提として検討した技術において、分光波形方式のscatterometry計測装置の構成の一例を示す図である。
【図23】本発明の前提として検討した技術において、ウェハ上のラインアンドスペースパターンの一例を示す図である。
【図24】本発明の前提として検討した技術において、分光波形方式のscatterometry計測装置の別の構成の一例を示す図である。
【図25】本発明の前提として検討した技術において、角度走査方式のscatterometry計測装置の構成の一例を示す図である。
【図26】本発明の前提として検討した技術において、scatterometry計測装置の形状計測方式の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0083】
51〜53…パターン断面、51a〜53a…光学波形データ、51p〜53p…頂点、60…波形、60a〜60f…特徴点、70…レジスト塗布装置、71…露光装置、72…現像装置、73…計測装置、74…モデル、75…上位システム、76…エッチャー、77…モデル、80…シリコンウェハ、81〜83,81’〜83’…下地膜、84…レジストパターン、84’…レジストパターン、90〜92,90’〜92’,92E,92E’,92M,92M’…波形、102…FEMサンプルウェハ、103…ショット、103a…断面形状、103b…波形データ、110…ウェハ情報エリア、111…グラフ表示エリア、112…波長値、113…指定波長、114,115…グラフ、116…状態、117…エリア、118…被測定ウェハ、119…測定ポイント、120…エリア、121…等高線。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体ウェハのパターンに光を照射し、その散乱光を用いて前記パターンの形状情報を検出する工程を有し、
製造条件の変化と散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知し、製造プロセスを制御することを特徴とする半導体デバイスのプロセス制御方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体デバイスのプロセス制御方法において、
前記製造条件は、露光工程のフォーカス・露光量条件、あるいは、エッチング工程の圧力・温度条件であることを特徴とする半導体デバイスのプロセス制御方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体デバイスのプロセス制御方法において、
前記散乱光は、分光器によって得られたスペクトル波形、あるいは、入射角に対する反射光変化によって得られた角度分布波形であることを特徴とする半導体デバイスのプロセス制御方法。
【請求項4】
請求項1記載の半導体デバイスのプロセス制御方法において、
前記散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、製造条件の変化に対し、変化の大きい散乱光波形上の点を検知する方法であることを特徴とする半導体デバイスのプロセス制御方法。
【請求項5】
請求項1記載の半導体デバイスのプロセス制御方法において、
前記散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、対象工程の前工程での膜厚変動による変化分を差し引く方法、あるいは、対象工程の前工程での膜厚変動による変化が生じない波長領域の波形変動を検出する方法であることを特徴とする半導体デバイスのプロセス制御方法。
【請求項6】
請求項1記載の半導体デバイスのプロセス制御方法において、
前記散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、波形変化量と製造条件変化量との統計処理により回帰式を求める方法であることを特徴とする半導体デバイスのプロセス制御方法。
【請求項7】
請求項1記載の半導体デバイスのプロセス制御方法において、
前記散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、当該工程でのパターン形状変化のみを求めるため、散乱光波形のTE偏光分とTM偏光分との比率波形の変化を用いる方法、あるいは、パターンの無い領域の散乱光波形を参照する方法、あるいは、予め下地膜厚データを保持して参照する方法であることを特徴とする半導体デバイスのプロセス制御方法。
【請求項8】
請求項1記載の半導体デバイスのプロセス制御方法において、
前記散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、予め、製造条件を指定量だけ変化させたサンプルを作成し、該サンプルを用いて散乱光波形を得る方法であり、
前記サンプルは、露光シミュレーションにより作成することを特徴とする半導体デバイスのプロセス制御方法。
【請求項9】
半導体ウェハを準備する工程と、
前記半導体ウェハにリソグラフィによって半導体デバイスの回路パターンを形成する工程と、
前記半導体ウェハを個々の半導体デバイスに分離する工程と、
個々の前記半導体デバイスを封止する工程とを有し、
前記リソグラフィによる工程は、請求項1記載の半導体デバイスのプロセス制御方法を適用することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の半導体デバイスの製造方法において、
前記リソグラフィによる工程は、フォーカス・露光量条件を製造条件とする露光工程、あるいは、圧力・温度条件を製造条件とするエッチング工程を含むことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【請求項1】
半導体ウェハのパターンに光を照射し、その散乱光を用いて前記パターンの形状情報を検出する工程を有し、
製造条件の変化と散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知し、製造プロセスを制御することを特徴とする半導体デバイスのプロセス制御方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体デバイスのプロセス制御方法において、
前記製造条件は、露光工程のフォーカス・露光量条件、あるいは、エッチング工程の圧力・温度条件であることを特徴とする半導体デバイスのプロセス制御方法。
【請求項3】
請求項1記載の半導体デバイスのプロセス制御方法において、
前記散乱光は、分光器によって得られたスペクトル波形、あるいは、入射角に対する反射光変化によって得られた角度分布波形であることを特徴とする半導体デバイスのプロセス制御方法。
【請求項4】
請求項1記載の半導体デバイスのプロセス制御方法において、
前記散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、製造条件の変化に対し、変化の大きい散乱光波形上の点を検知する方法であることを特徴とする半導体デバイスのプロセス制御方法。
【請求項5】
請求項1記載の半導体デバイスのプロセス制御方法において、
前記散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、対象工程の前工程での膜厚変動による変化分を差し引く方法、あるいは、対象工程の前工程での膜厚変動による変化が生じない波長領域の波形変動を検出する方法であることを特徴とする半導体デバイスのプロセス制御方法。
【請求項6】
請求項1記載の半導体デバイスのプロセス制御方法において、
前記散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、波形変化量と製造条件変化量との統計処理により回帰式を求める方法であることを特徴とする半導体デバイスのプロセス制御方法。
【請求項7】
請求項1記載の半導体デバイスのプロセス制御方法において、
前記散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、当該工程でのパターン形状変化のみを求めるため、散乱光波形のTE偏光分とTM偏光分との比率波形の変化を用いる方法、あるいは、パターンの無い領域の散乱光波形を参照する方法、あるいは、予め下地膜厚データを保持して参照する方法であることを特徴とする半導体デバイスのプロセス制御方法。
【請求項8】
請求項1記載の半導体デバイスのプロセス制御方法において、
前記散乱光波形の変化から製造条件の変動を検知する方法は、予め、製造条件を指定量だけ変化させたサンプルを作成し、該サンプルを用いて散乱光波形を得る方法であり、
前記サンプルは、露光シミュレーションにより作成することを特徴とする半導体デバイスのプロセス制御方法。
【請求項9】
半導体ウェハを準備する工程と、
前記半導体ウェハにリソグラフィによって半導体デバイスの回路パターンを形成する工程と、
前記半導体ウェハを個々の半導体デバイスに分離する工程と、
個々の前記半導体デバイスを封止する工程とを有し、
前記リソグラフィによる工程は、請求項1記載の半導体デバイスのプロセス制御方法を適用することを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【請求項10】
請求項9記載の半導体デバイスの製造方法において、
前記リソグラフィによる工程は、フォーカス・露光量条件を製造条件とする露光工程、あるいは、圧力・温度条件を製造条件とするエッチング工程を含むことを特徴とする半導体デバイスの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2006−228843(P2006−228843A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−38504(P2005−38504)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】
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