説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】ヒューズのカットばらつきを防ぐとともに腐食(酸化等も含む)を良好に防ぐ。
【解決手段】半導体装置100は、基板102と、基板102上に形成されたヒューズ配線116と、少なくともヒューズ配線116の側壁を保護するように形成された耐湿性絶縁膜120と、を含む。耐湿性絶縁膜120は、ヒューズ配線116の上面には形成されていないか、またはヒューズ配線116の上面における積層方向の膜厚d1がヒューズ配線116の側壁における積層方向に垂直な方向の膜厚d2よりも薄くなるように形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、とくに、ヒューズ配線を含む半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置にヒューズを搭載しておき、ヒューズを切断することにより半導体装置で使用する抵抗の値を調整したり、不良素子を切り離して正常素子に置き換える等の処理を行う技術が知られている。このような技術では、各半導体装置に予め多数のヒューズを準備しておき、設計や検索結果等に基づき、それらの中から切断が必要なヒューズを切断する。そのため、予め準備されたヒューズの中には、切断されて電気的導通が行われなくなるものと、最終製品においても、他の素子との間で電気的導通が行われるものとが存在する。最終製品においても、他の素子との間で電気的導通が行われるヒューズにおいては、外部の水分等による腐食(酸化等も含む)を防ぐ構成としておく必要がある。
【0003】
特許文献1(特開2003−209173号公報)には、半導体基板の上方に形成された第1層間絶縁層と、前記第1層間絶縁層の上方に形成された、レーザ光により溶断可能なヒューズを含む配線層と、前記ヒューズを構成する配線層の上方に形成された第1保護層と、前記第1保護層の上方に形成された第2層間絶縁層と、を備えた半導体装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−209173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ヒューズ配線の上面からレーザ光等を照射してヒューズをカットする場合、ヒューズ配線上に形成された絶縁膜の膜厚が厚かったり、膜厚が安定してないと、カットばらつきを引き起こす恐れがある。また、カットばらつきを防ぐためにカット時のレーザ光等のパワーを上げすぎると、ダメージが下層に突き抜け、デバイスの特性に影響を与える可能性がある。そのため、切断されるヒューズにおいては、上面の絶縁膜の膜厚を薄くすることが好ましい。一方、最終製品においても切断されず、他の素子との電気的導通が行われるヒューズにおいては、保護膜の膜厚が薄すぎると、ヒューズ配線が水分等で腐食されてデバイスの電気特性に影響を与える可能性がある。
【0006】
特許文献1に記載の技術では、ヒューズ配線の上面および側壁とで、保護膜の膜厚が等しく形成されていた。そのため、ヒューズ配線の腐食を防ぐために保護膜の膜厚を厚くすると、ヒューズ配線の上面における保護膜の残膜も厚くなってしまうので、カット不良が生じてしまっていた。一方、カット不良を防ぐために保護膜の膜厚を薄くすると、ヒューズ配線の腐食を充分に防げないという問題があった。従来、このような二つの要望を満たすことが困難だった。
【0007】
本発明者は、ヒューズ配線が水分等で腐食されるメカニズムを検討した。その結果、後述するように、ヒューズ配線の腐食は、ヒューズ配線の側壁で生じやすいことを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、
基板と、
前記基板上に形成されたヒューズ配線と、
少なくとも前記ヒューズ配線の側壁を保護するように形成された耐湿性絶縁膜と、
を含み、
前記耐湿性絶縁膜は、前記ヒューズ配線の上面には形成されていないか、または前記ヒューズ配線の上面における積層方向の膜厚が前記ヒューズ配線の側壁における前記積層方向に垂直な方向の膜厚よりも薄くなるように形成された半導体装置が提供される。
【0009】
本発明によれば、
基板上に形成されたヒューズ配線上の前記基板の全面に耐湿性絶縁膜を形成する工程と、
前記ヒューズ配線上の前記耐湿性絶縁膜をエッチバックして、前記耐湿性絶縁膜が、少なくとも前記ヒューズ配線の側壁を保護するとともに、前記ヒューズ配線の上面には形成されていないか、または前記ヒューズ配線の上面における積層方向の膜厚が前記ヒューズ配線の側壁における前記積層方向に垂直な方向の膜厚よりも薄くなるように形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法が提供される。
【0010】
この構成によれば、ヒューズ配線の上面においては、耐湿性絶縁膜の膜厚が薄く形成されている。そのため、上面からレーザ光等を照射して切断する対象のヒューズ配線におけるカットばらつきを防ぐことができる。一方、ヒューズ配線の側壁は、耐湿性絶縁膜で保護されている。そのため、最終製品においても切断されず、他の素子との電気的導通が行われるヒューズにおいては、ヒューズ配線の腐食を効果的に防ぐことができ、デバイスの電気特性を良好に保つことができる。
【0011】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ヒューズのカットばらつきを防ぐとともに腐食を良好に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態における半導体装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態における半導体装置の構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図4】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図5】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図10】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図11】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順を示す工程断面図である。
【図12】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の他の例を示す断面図である。
【図13】本発明の実施の形態における半導体装置の構成の他の例を示す断面図である。
【図14】耐湿性試験の結果を示す図である。
【図15】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順の他の例を示す工程断面図である。
【図16】本発明の実施の形態における半導体装置の製造手順の他の例を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0015】
図1は、本実施の形態における半導体装置の構成を示す断面図である。
半導体装置100は、基板102と、基板102上に形成された層間絶縁膜114と、層間絶縁膜114上に形成されたヒューズ配線116と、少なくともヒューズ配線116の側壁を保護するように形成された耐湿性絶縁膜120と、を含む。耐湿性絶縁膜120は、少なくともヒューズ配線116側壁全面を覆う構成とすることができる。
【0016】
ここで、耐湿性絶縁膜120は、ヒューズ配線116の上面には形成されていないか、またはヒューズ配線116の上面における積層方向(図中縦方向)の膜厚d1がヒューズ配線116の側壁における積層方向に垂直な方向(図中横方向)の膜厚d2よりも薄くなるように形成される。本実施の形態において、耐湿性絶縁膜120は、ヒューズ配線116の側壁において下方にいくほど積層方向と垂直な横方向の膜厚が厚くなるサイドウォール形状を有する。膜厚d2とは、ヒューズ配線116側壁の底部(積層方向における底部)の膜厚である。本実施の形態において膜厚d1は、膜厚d2の50%以下とすることができる。また、膜厚d2は、膜厚d1よりも15nm以上厚く形成することができる。膜厚d2は、たとえば30nm以上とすることができる。
【0017】
本実施の形態において、耐湿性絶縁膜120は、たとえば、SiN、SiON、SiCN、およびSiOから選択される一以上の膜を含む構成とすることができる。また、耐湿性絶縁膜120は、窒素を含む構成とすることができる。耐湿性絶縁膜120が窒素を含む構成とすることにより、膜密度を高めることができ、耐湿性を向上させることができる。このような観点からは、耐湿性絶縁膜120は、たとえば、SiN、SiON、およびSiCNから選択される一以上の膜を含む構成とすることができる。耐湿性絶縁膜120は、たとえば、SiNとSiONとの積層膜等、複数種の膜の積層膜とすることもできる。耐湿性絶縁膜120を積層膜とした場合、膜厚d1および膜厚d2は、積層膜の合計膜厚とすることができる。
【0018】
図2は、本実施の形態における半導体装置100の具体的な構成の一例を示す断面図である。
ここでは、複数のヒューズ配線116が形成された例を示す。また、複数のヒューズ配線116が形成されたヒューズ形成領域200の周囲には、シールリング形成領域202が設けられている。
【0019】
半導体装置100は、図1に示した構成に加えて、基板102上に形成された下層絶縁膜104と、下層絶縁膜104上に形成された層間絶縁膜106と、層間絶縁膜106上に形成されたキャップ絶縁膜112とをさらに含む。また、半導体装置100は、シールリング形成領域202において層間絶縁膜106に形成された配線110と、耐湿性絶縁膜120上にこの順で形成された絶縁膜130および絶縁膜134と、キャップ絶縁膜112、層間絶縁膜114、耐湿性絶縁膜120、絶縁膜130内に形成された配線132とをさらに含む。配線110および配線132により、シールリング108が構成される。
【0020】
次に、図2に示した半導体装置100の製造手順を説明する。図3から図10は、図2に示した半導体装置100の製造手順を示す工程断面図である。
基板102は、シリコン基板等の半導体基板とすることができる。図示していないが、基板102の表面には、トランジスタ等の素子が形成されている。また、下層絶縁膜104は、簡略化して示しているが、複数の絶縁膜の積層膜とすることもでき、また積層膜中に各種配線等が形成された多層配線構造とすることもできる。たとえば、シールリング形成領域202において、下層絶縁膜104の全層にわたって配線やスリットビア等が設けられた構成とすることもできる。この場合、シールリング108は、配線110および配線132に加えて、下層絶縁膜104の全層にわたって形成された配線やスリットビア等により構成される。これにより、ヒューズ形成領域200をシールリング108で電気的にも外部から遮断することができる。
【0021】
ここで、このような構成の下層絶縁膜104上に層間絶縁膜106を形成する。つづいて、リソグラフィ技術により層間絶縁膜106に配線溝を形成し、配線溝内部に配線材料を埋め込み、配線溝外部に露出した配線材料を化学機械研磨法(CMP:Chemical Mechanical Polishing)で除去して配線110を形成する。配線110は、たとえばバリアメタル膜と銅を主成分とする銅含有膜とにより構成とすることができる。
【0022】
次いで、層間絶縁膜106および配線110上に、キャップ絶縁膜112を形成する。キャップ絶縁膜112は、たとえばSiCN、SiC、SiN、SiONおよびこれらの積層膜、またはTi、Co、W、P、CoWP、CuSiN等のメタルキャップにより構成することができる。さらに、キャップ絶縁膜112上に層間絶縁膜114を形成する。層間絶縁膜114は、たとえばSiO、SiCN、SiON、SiNおよびこれらの積層膜により構成することができる。
【0023】
この後、層間絶縁膜114上の全面にヒューズ配線116を構成する導電膜を形成する。ヒューズ配線116は、たとえばTi、TiN、Ta、TaN、Al、Cu、W、WxNまたはこれらの積層膜等により構成することができる。これにより、図3(a)に示した構成となる。
【0024】
つづいて、ヒューズ配線116を構成する導電膜上にレジスト膜140を形成し、レジスト膜140をマスクとして、ドライエッチングにより導電膜をパターニングしてヒューズ配線116を形成する(図3(b)、図4(a))。
【0025】
しかし、このとき、エッチングガスに含まれる成分や被エッチング物がパターニングされたヒューズ配線116の側壁に付着して堆積することがある。このような堆積物が水分と反応すると、ヒューズ配線116が腐食してしまう。
【0026】
図11を参照して説明する。
レジスト膜140をマスクとしてヒューズ配線116を構成する導電膜をパターニングすると、その過程でヒューズ配線116の側壁が露出する(図11(a))。そのため、エッチングガスに含まれる成分や被エッチング物がパターニングされたヒューズ配線116の側壁に付着して、ヒューズ配線116の側壁に堆積物150が形成されてしまう(図11(b))。たとえば、ヒューズ配線116がTiNやTi、またはこれらの積層構造で構成されている場合、エッチングガスとして塩素を含むガスを用いることがある。この場合、堆積物150は、塩素を含むようになる。このような堆積物150は、洗浄液を用いた洗浄でも除去するのは困難である。そして、堆積物150が水分と反応することによりヒューズ配線116が腐食してしまうと考えられる。
【0027】
一方、ヒューズ配線116を構成する導電膜をパターニングする際、ヒューズ配線116の上面は、レジスト膜140で覆われて保護されている。そのため、ヒューズ配線116の上面には、堆積物150は形成されない。
【0028】
本発明者は、以上から、ヒューズ配線116の腐食は、ヒューズ配線116の側壁で生じやすいことを見出し、本発明に想到した。つまり、ヒューズ配線116の側壁を保護して側壁への水分の浸入を防ぐことにより、ヒューズ配線116の腐食を大幅に低減することができることを見出した。
【0029】
図4に戻り、次いで、アッシング等によりレジスト膜140を除去する(図4(b))。その後、層間絶縁膜114およびヒューズ配線116上の全面に耐湿性絶縁膜120を形成する(図5(a))。つづいて、シールリング形成領域202において耐湿性絶縁膜120上に選択的にレジスト膜142を形成し(図5(b))、耐湿性絶縁膜120をエッチバックする。これにより、図1を示して説明したように、ヒューズ配線116の上面の耐湿性絶縁膜120の膜厚を薄くするとともにヒューズ配線116の側壁における耐湿性絶縁膜120の膜厚を厚くすることができる(図6(a))。次いで、アッシング等によりレジスト膜142を除去する(図6(b))。
【0030】
この後、耐湿性絶縁膜120上の全面に絶縁膜130を形成する(図7)。絶縁膜130は、耐湿性絶縁膜120との間でエッチング選択比が取れる材料により構成することができる。つづいて、シールリング形成領域202において、絶縁膜130、耐湿性絶縁膜120、層間絶縁膜114、およびキャップ絶縁膜112に配線溝を形成する(図8)。次いで、配線溝内に導電材料を埋め込み、配線溝外部に露出した導電材料を所定形状にパターニングして配線110と電気的に接続される配線132を形成する(図9)。ここで、配線132は、たとえばAlにより構成することができる。さらにその後、基板102上の全面に絶縁膜134を形成する(図10)。その後、配線132の上面およびヒューズ形成領域200の絶縁膜134を選択的に除去する。また、このとき、ヒューズ形成領域200の絶縁膜130もエッチングで除去するようにする。これにより、図2に示した構成の半導体装置100が得られる。本実施の形態において、ヒューズ形成領域200においては、ヒューズ配線116の上面には、耐湿性絶縁膜120のみが形成されている。
【0031】
また、以上では、シールリング形成領域202において、耐湿性絶縁膜120を形成した後、絶縁膜130を形成する前に耐湿性絶縁膜120をエッチバックしてパターニングする構成を示したが、耐湿性絶縁膜120をエッチバックする前に耐湿性絶縁膜120上に絶縁膜130を形成する手順とすることもできる。この手順を図15および図16を参照して説明する。図5(a)に示した手順の後、耐湿性絶縁膜120上に絶縁膜130を形成する(図15(a))。つづいて、シールリング形成領域202において、絶縁膜130、耐湿性絶縁膜120、層間絶縁膜114、およびキャップ絶縁膜112に配線溝を形成する(図15(b))。次いで、配線溝内に導電材料を埋め込み、配線溝外部に露出した導電材料を所定形状にパターニングして配線110と電気的に接続される配線132を形成する(図16(a))。さらにその後、基板102上の全面に絶縁膜134を形成する(図16(b))。その後、配線132の上面およびヒューズ形成領域200の絶縁膜134を選択的に除去する。また、このとき、ヒューズ形成領域200において、絶縁膜130も除去し、さらに耐湿性絶縁膜120をエッチバックしてパターニングする。以上により、図2に示した構成の半導体装置100が得られる。
【0032】
なお、以上で説明した構成においては、たとえば耐湿性絶縁膜120としては、比較的比誘電率の低い、たとえば、SiO、SiCN、SiON等を用いることができる。図2に示した例では、シールリング形成領域202において、耐湿性絶縁膜120の膜厚が厚くなっている。そのため、耐湿性絶縁膜120の材料として比誘電率が低い材料を用いることにより、配線132と配線110との間の寄生容量を低減することができ、配線遅延を防ぐことができる。
【0033】
本実施の形態における半導体装置100の構成によれば、ヒューズ配線116の上面においては、耐湿性絶縁膜120の膜厚が薄く形成されている。そのため、上面からレーザ光等を照射して切断する対象のヒューズ配線116におけるカットばらつきを防ぐことができる。一方、ヒューズ配線116の側壁は、耐湿性絶縁膜120で保護されている。そのため、最終製品においても切断されず、他の素子との電気的導通が行われるヒューズにおいては、ヒューズ配線116の腐食を効果的に防ぐことができ、デバイスの電気特性を良好に保つことができる。
【0034】
図12は、図2に示した半導体装置100の構成の他の例を示す断面図である。
ここでは、シールリング形成領域202において、耐湿性絶縁膜120の膜厚がヒューズ形成領域200のヒューズ配線116が形成された箇所以外の領域における耐湿性絶縁膜120の膜厚と等しい点で、図2に示した例と異なる。
【0035】
図2から図10を参照して説明した例では、図5(b)に示すように耐湿性絶縁膜120をエッチバックする際に、シールリング形成領域202をレジスト膜142で保護するようにしたが、シールリング形成領域202においても、耐湿性絶縁膜120をエッチバックする構成とすることもできる。
【0036】
このような構成とした場合、シールリング形成領域202においても、耐湿性絶縁膜120の膜厚は薄くなっている。そのため、耐湿性絶縁膜120の材料として比較的比誘電率が高い材料を用いても、寄生容量の影響を低減することができる。
【0037】
図13は、図2に示した半導体装置100の構成の他の例を示す断面図である。
ここでは、ヒューズ配線116の上面には耐湿性絶縁膜120が形成されず、ヒューズ配線116の上面が露出した構成である点で、図2に示した例と異なる。
【0038】
図11を参照して説明したように、ヒューズ配線116の腐食は、ヒューズ配線116の側壁に形成された堆積物150と水分とが反応することにより生じる。そのため、ヒューズ配線116の上面に耐湿性絶縁膜120を形成していなくても、ヒューズ配線116の側壁が保護されていれば、ヒューズ配線116の腐食を防ぐことができる。
【0039】
(実施例)
図14は、図1を参照して説明した構成の半導体装置100の耐湿性試験の結果を示す図である。
耐湿性試験は、試料を125℃、湿度100%雰囲気下において、ヒューズ配線116の抵抗を測定することにより行った。ヒューズ配線116が水に腐食されると、抵抗が上昇する。ここで、ヒューズ配線116の上面の耐湿性絶縁膜120の膜厚d1が35nmのものを用いた。耐湿性絶縁膜120としては、SiNを用いた。この結果を図14(a)に示す。
【0040】
また、参照として、ヒューズ配線の上面の耐湿性絶縁膜の膜厚d1が300nmの構成(図14(b))、ヒューズ配線上に耐湿性絶縁膜を全く設けていない構成(図14(c))についても同様に耐湿性試験を行った。
【0041】
図14(a)に示すように、ヒューズ配線116の上面の耐湿性絶縁膜120の膜厚d1が35nmの場合、抵抗の変動はほぼ生じず、抵抗の最大変動率は、0.019%であった。耐湿性絶縁膜の膜厚を300nmとした場合の抵抗の最大変動率は、0.022%であり、ヒューズ配線116の上面の耐湿性絶縁膜120の膜厚d1が35nmの場合でも、膜厚が厚い場合と同様に耐湿性を向上させることができた。
【0042】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0043】
100 半導体装置
102 基板
104 下層絶縁膜
106 層間絶縁膜
108 シールリング
110 配線
112 キャップ絶縁膜
114 層間絶縁膜
116 ヒューズ配線
120 耐湿性絶縁膜
130 絶縁膜
132 配線
134 絶縁膜
140 レジスト膜
142 レジスト膜
150 堆積物
200 ヒューズ形成領域
202 シールリング形成領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に形成されたヒューズ配線と、
少なくとも前記ヒューズ配線の側壁を保護するように形成された耐湿性絶縁膜と、
を含み、
前記耐湿性絶縁膜は、前記ヒューズ配線の上面には形成されていないか、または前記ヒューズ配線の上面における積層方向の膜厚が前記ヒューズ配線の側壁における前記積層方向に垂直な方向の膜厚よりも薄くなるように形成された半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記耐湿性絶縁膜は、前記ヒューズ配線の側壁において下方にいくほど前記積層方向に垂直な方向の膜厚が厚くなるサイドウォール形状に形成された半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体装置において、
前記耐湿性絶縁膜の前記ヒューズ配線の上面における積層方向の膜厚が前記ヒューズ配線の側壁における前記積層方向に垂直な方向の膜厚の50%以下である半導体装置。
【請求項4】
請求項1から3いずれかに記載の半導体装置において、
前記耐湿性絶縁膜は、窒素を含む半導体装置。
【請求項5】
請求項1から4いずれかに記載の半導体装置において、
前記耐湿性絶縁膜は、SiN、SiON、およびSiCNから選択される一以上の膜を含む半導体装置。
【請求項6】
請求項1から5いずれかに記載の半導体装置において、
前記耐湿性絶縁膜は、複数の膜の積層膜により構成された半導体装置。
【請求項7】
請求項1から6いずれかに記載の半導体装置において、
前記ヒューズ配線の上面には前記耐湿性絶縁膜が形成されず、前記ヒューズ配線の上面が露出して形成された半導体装置。
【請求項8】
基板上に形成されたヒューズ配線上の前記基板の全面に耐湿性絶縁膜を形成する工程と、
前記ヒューズ配線上の前記耐湿性絶縁膜をエッチバックして、前記耐湿性絶縁膜が、少なくとも前記ヒューズ配線の側壁を保護するとともに、前記ヒューズ配線の上面には形成されていないか、または前記ヒューズ配線の上面における積層方向の膜厚が前記ヒューズ配線の側壁における前記積層方向に垂直な方向の膜厚よりも薄くなるように形成する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置の製造方法において、
前記耐湿性絶縁膜をエッチバックする工程において、前記耐湿性絶縁膜を、前記ヒューズ配線の側壁において下方にいくほど前記積層方向に垂直な方向の膜厚が厚くなるサイドウォール形状に形成する半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の半導体装置の製造方法において、
前記耐湿性絶縁膜をエッチバックする工程において、前記耐湿性絶縁膜を、前記ヒューズ配線の上面が露出するまでエッチバックする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−49252(P2011−49252A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194671(P2009−194671)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】