半導体装置
【課題】 レベルシフトトランジスタの発熱によって半導体装置が過熱されることを防止できる半導体装置を提供する。
【解決手段】 半導体装置は、低電位回路領域10と高電位回路領域30の双方から絶縁分離されている分離領域20を有している。分離領域20内に形成されている複数個の第1トランジスタTr1は、低電位回路領域10と高電位回路領域30のうちの一方の回路領域から他方の回路領域に伝達する信号であって、ハイとロウの間で変化する信号の立ち上がりタイミングでオンする。分離領域20内に形成されている複数個の第2トランジスタTr2は、上記信号の立ち下がりタイミングでオンする。第1トランジスタTr1と非導通領域と第2トランジスタTr2と非導通領域の順序が繰り返されるパターンで、分離領域20内に複数個の第1トランジスタTr1と複数個の第2トランジスタTr2が配置されている。
【解決手段】 半導体装置は、低電位回路領域10と高電位回路領域30の双方から絶縁分離されている分離領域20を有している。分離領域20内に形成されている複数個の第1トランジスタTr1は、低電位回路領域10と高電位回路領域30のうちの一方の回路領域から他方の回路領域に伝達する信号であって、ハイとロウの間で変化する信号の立ち上がりタイミングでオンする。分離領域20内に形成されている複数個の第2トランジスタTr2は、上記信号の立ち下がりタイミングでオンする。第1トランジスタTr1と非導通領域と第2トランジスタTr2と非導通領域の順序が繰り返されるパターンで、分離領域20内に複数個の第1トランジスタTr1と複数個の第2トランジスタTr2が配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低電位回路領域と高電位回路領域が混在している半導体装置の過熱を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
低電位回路領域と、低電位回路領域から絶縁分離されている高電位回路領域を備えている半導体装置が知られている。
低電位回路領域には、基準電位が低い回路ブロックが形成されている。例えば、低電位回路領域には、0Vを基準電位とし、オフ時とオン時で出力信号レベルが0Vと15Vの間で変化する回路が形成されている。高電位回路領域には、基準電位が高い回路ブロックが形成されている。例えば、高電位回路領域には、1000Vを基準電位とし、オフ時とオン時で出力信号レベルが1000Vと1015Vの間で変化する回路が形成されている。
低電位回路領域と高電位回路領域が混在している半導体装置では、一方の回路領域から他方の回路領域にハイとロウの間で変化する信号を伝達する場合に、トランジスタ(レベルシフトトランジスタ)が用いられることがある。
特許文献1の半導体装置は、低電位回路領域と、低電位回路領域から絶縁分離されている高電位回路領域と、低電位回路領域と高電位回路領域の双方から絶縁分離されている分離領域を備えており、この分離領域内に上記レベルシフトトランジスタを形成している。これにより、半導体装置の耐圧の向上を図っている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−123512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レベルシフトトランジスタには、高電位回路の高電圧がかかっている。例えば、上記に例示したように、出力信号レベルが1000Vと1015Vの間で変化する高電位回路を利用する場合、レベルシフトトランジスタには1000V以上の電圧がかかっている。したがって、レベルシフトトランジスタのオン時にレベルシフトトランジスタに10mAの電流が流れるとすれば、レベルシフトトランジスタで10Wもの電力を消費する。レベルシフトトランジスタの消費電力が大きければ、その発熱量も大きくなる。これにより、半導体装置が過熱し易くなる。レベルシフトトランジスタに流す電流を低減する技術が開発されているが、限界があり、レベルシフトトランジスタの消費電力を大幅に低減することは難しい。レベルシフトトランジスタの発熱量が大きな問題となっている。
特に、半導体装置がSOI(Silicon On Insulator)基板を利用している場合には、その問題が深刻となる。SOI基板に埋め込まれている埋め込み絶縁層(酸化膜等)の熱伝導率が、半導体層(Si等)と比較して小さいために、レベルシフトトランジスタの発熱を放熱することが難しい。
本発明は、上記の問題点を解決するために創案された。すなわち、レベルシフトトランジスタの発熱によって半導体装置が過熱されることを防止できる半導体装置を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(請求項1に記載の発明)
本発明の半導体装置は、低電位回路領域と、低電位回路領域から絶縁分離されている高電位回路領域と、低電位回路領域と高電位回路領域の双方から絶縁分離されている分離領域を備えている。その分離領域内に、複数個の第1トランジスタと複数個の第2トランジスタが形成されている。
各々の第1トランジスタは、低電位回路領域と高電位回路領域のうちの一方の回路領域から他方の回路領域に伝達する信号であって、ハイとロウの間で変化する信号の立ち上がりタイミングにオンする。各々の第2トランジスタは、前記信号の立ち下がりタイミングにオンする。複数個の第1トランジスタと複数個の第2トランジスタは、第1トランジスタと非導通領域と第2トランジスタと非導通領域の順序が繰り返されるパターンに従って分離領域内に配置されている。
信号は、低電位回路領域から高電位回路領域に伝達される場合もあれば、高電位回路領域から低電位回路領域に伝達される場合もある。信号が双方向に伝達される場合、いずれか一方の向きにのみ本発明を適用してもよい。もちろん、双方向に本発明を適用してもよい。
【0006】
本発明の半導体装置では、一方の回路領域から他方の回路領域に伝達する信号(以下では被伝達信号という)の立ち上がりのタイミングを示す信号(以下では立ち上がりエッジ信号という)が第1トランジスタから他方の回路領域に出力される。また、被伝達信号の立ち下がりのタイミングを示す信号(以下では立ち下がりエッジ信号という)が第2トランジスタから他方の回路領域に出力される。立ち上がりエッジ信号と立ち下がりエッジ信号を受領した他方の領域では、これらのタイミング信号から被伝達信号を容易に復元することができる。
第1トランジスタと第2トランジスタでレベルシフトトランジスタを構成すると、被伝達信号がハイの間はオンしてロウの間はオフするレベルシフトトランジスタを利用する場合に比して、レベルシフトトランジスタに電流が流れる時間を短くすることができ、消費電力と発熱量を抑えることができる。
本発明の半導体装置では、第1トランジスタと第2トランジスタが、被導通領域を挟んで交互に形成されている。立ち上がりエッジ信号を出力する第1トランジスタと、立ち下がりエッジ信号を出力する第2トランジスタは、同時にオンすることがない。同時にオンすることがない第1トランジスタと第2トランジスタが交互に配置されているために、第1トランジスタの発熱中は第2トランジスタに伝熱され、第2トランジスタの発熱中は第1トランジスタに伝熱される。第1トランジスタと第2トランジスタの温度の平均化が促進され、一方のトランジスタが過熱されることが抑制される。
さらに本発明の半導体装置では、第1トランジスタと第2トランジスタの各々が複数個に分割されている。しかも、分割された1個の第1トランジスタと、非導通領域と、分割された1個の第2トランジスタと、非導通領域の順序が繰り返される配置パターンが採用されている。このために、大発熱が局所的に集中して発生することがなく、小発熱が複数個所に分散して発生することになる。これによって、半導体装置が局所的に過熱されることが抑制される。
本発明の半導体装置を用いれば、低電位回路領域と高電位回路領域との間で信号を伝達する各々のレベルシフトトランジスタに発生する熱を低減することができ、半導体装置の過熱を抑制することができる。
【0007】
(請求項2に記載の発明)
本発明は、レベルシフトトランジスタが低電位回路領域から高電位回路領域に信号を伝達する場合に特に有用である。すなわち、一方の回路領域が低電位回路領域である場合に特に有効である。
低電位回路領域から高電位回路領域に信号を伝達するレベルシフトトランジスタには高電位が印加されるために発熱しやすい。本発明は、発熱しやすいレベルシフトトランジスタの問題に効果的に対応することができる。
【0008】
(請求項3に記載の発明)
第1トランジスタと第2トランジスタの間に配置される非導通領域は、トレンチを充填している絶縁層で形成してもよい。
【0009】
(請求項4に記載の発明)
トレンチを充填している絶縁層と、n型領域が高電位に接続されているダイオードで、第1トランジスタと第2トランジスタの間に配置される非導通領域を形成してもよい。すなわち、逆バイアス電圧が印加されるダイオードを利用して第1トランジスタと第2トランジスタ間の絶縁を確保してもよい。
例えば、第1トランジスタと第2トランジスタが必要とするソース領域またはエミッタ領域の作成を省略することによって、第1トランジスタと第2トランジスタの間にダイオードを形成することができる。第1トランジスタとダイオードと第2トランジスタとダイオードの順序が繰り返される配置パターンを比較的簡単に構成できる。
第1トランジスタと第2トランジスタの間に、逆バイアスが印加されているダイオードを配置すると、絶縁層の厚みを薄くできる。熱伝導率が低いことが多い絶縁層を薄くできるために、第1トランジスタと第2トランジスタの間の伝熱作用を高いレベルに維持することができる。
【0010】
(請求項5に記載の発明)
また、本発明の半導体装置は、以下のような構成であることが好ましい。
好ましい半導体装置は、高電位回路領域と分離領域を分離する第1分離部と、低電位回路領域と分離領域を分離する第2分離部を備えている。分離領域内には、第1分離部側に第1導電型の第1半導体領域が形成されており、第2分離部側に第2導電型の第2半導体領域が形成されており、第2半導体領域内の表面に臨む位置に第1導電型の第3半導体領域が形成されている。第1半導体領域と第3半導体領域を分離している第2半導体領域に対して絶縁膜を介してゲート電極が対向している。
この構造を備えていると、同一導電型の第1半導体領域と第3半導体領域と、それらを分離している反対導電型の第2半導体領域と、その第2半導体領域に絶縁膜を介して対向しているゲート電極によって、電界効果型の第1トランジスタと電界効果型の第2トランジスタが形成される。
例えば、第1半導体領域をドレイン領域とし、第2半導体領域をボディ領域とし、第3半導体領域をソース領域とする電界効果型の横型トランジスタを形成することができる。分離領域に、第1トランジスタと第2トランジスタが繰り返し出現するパターンを形成しやすい。
【0011】
(請求項6に記載の発明)
第1半導体領域と第2半導体領域と第3半導体領域とゲート電極の各々は、第1分離部と第2分離部に沿う方向に伸びており、第1半導体領域と第2半導体領域と第3半導体領域とゲート電極を横断して第1分離部から第2分離部に達する複数個の非導通領域が設けられていることが好ましい。この場合、隣接する非導通領域同士の間に間隔が形成されるように配置されており、非導通領域の一方側に第1トランジスタが位置し、非導通領域の他方側に第2トランジスタが位置する規則に従って、前記方向に沿って、第1トランジスタと第2トランジスタが交互に配置されていることが好ましい。
この構成によると、第1トランジスタ→非導通領域→第2トランジスタ→非導通領域→第1トランジスタの順序が繰り返されるパターンを形成しやすい。
【0012】
(請求項7に記載の発明)
第1半導体領域と第2半導体領域とゲート電極の各々は、隣接する非導通領域同士の間を、第1分離部と第2分離部に沿って長く伸びており、第3半導体領域は、隣接する非導通領域同士の間において、第1分離部と第2分離部に沿って複数個に分割されており、分割された第3半導体領域同士の間に間隔が確保されていることが好ましい。
第3半導体領域は、ゲート電極と絶縁膜を介して対向している第2半導体領域にチャネル領域が形成された際に、チャネル領域に第1導電型のキャリアを供給する領域となる。したがって、第3半導体領域が形成されている断面を持つ領域では、トランジスタを形成することができる。第3半導体領域が形成されていない断面を持つ領域では、チャネル領域にキャリアを供給する領域がないので、トランジスタが形成されない。トランジスタが形成されない領域により、トランジスタが形成される領域を複数個に分割し、トランジスタが形成される領域間に間隔を確保することができる。すなわち、個々の第1トランジスタや個々の第2トランジスタを複数の領域に分割することができる。
個々の第1トランジスタや個々の第2トランジスタが局所的に発熱する現象を抑制することができる。
【0013】
(請求項8に記載の発明)
第1半導体領域と第2半導体領域と第3半導体領域とゲート電極の各々は、第1分離部と第2分離部に沿う方向に伸びており、第1半導体領域と第2半導体領域と第3半導体領域とゲート電極を横断して第1分離部から第2分離部に達する複数個の絶縁膜が形成されていることが好ましい。この場合、隣接する絶縁膜は、絶縁膜同士の間に間隔を置いて配置されており、絶縁膜の一方側には第3半導体領域が形成されており、絶縁膜の他方側には第3半導体領域が形成されていないのが好ましい。第3半導体領域が形成されている側では第1トランジスタまたは第2トランジスタが形成されるのに対し、第3半導体領域が形成されていない側ではダイオードが形成される。
この構成によると、第1トランジスタと第2トランジスタの間に幅の広いトレンチを掘らないでも、第1トランジスタと第2トランジスタの間に充分な間隔を形成することができる。トランジスタの熱を周囲に伝熱しやすく、トランジスタの過熱を防ぎやすい。
【0014】
(請求項9に記載の発明)
半導体基板と、半導体基板上に形成されている埋め込み絶縁層と、埋め込み絶縁層の上に形成されている半導体層を備え、半導体層に、低電位回路領域と高電位回路領域と分離領域が形成されていてもよい。
埋め込み絶縁層を備える半導体装置は、一般的にSOI(Silicon On Insulator)と称呼されている。SOIはサージ電圧等に対する耐圧が高いことが知られている。しかしながら、埋め込み絶縁層(酸化膜等)は、半導体層(Si等)と比較して熱伝導性が悪い。したがって、発生した熱が発散され難く、熱がこもり、半導体装置が過熱され易い。
本発明をこのような半導体装置に適用すれば、低電位回路領域と高電位回路領域間で信号を伝達する際に発生する熱を発散し易くし、半導体装置の過熱を防止しやすくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、低電位回路領域と高電位回路領域との間で信号の伝達を媒介するトランジスタに発生する熱を低減することができ、しかも発熱範囲を分散することができる。半導体装置が局所的に過熱されることに対して効果的に対策することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。
(第1特徴)
半導体基板2と、半導体基板2の上に形成されている埋め込み絶縁層3と、埋め込み絶縁層3の上に形成されている第1導電型の中間半導体層40を備えている。
中間半導体層40内において埋め込み絶縁層3に接し、第1導電型の不純物を高濃度に含む半導体領域48が第1分離部26b寄りに形成されている。これにより、中間半導体層40と埋め込み絶縁層3の接合界面の臨界電界を高くし、埋め込み絶縁層3が負担できる電圧を向上させることができ、耐圧の高い半導体装置を構成することができる。
(第2特徴)
非導通領域は絶縁膜26cである。
(第3特徴)
半導体装置は、第1導電型の中間半導体層40内において表面に臨んで形成されている第2導電型のリサーフ層44を備えている。
(第4特徴)
リサーフ層44の表面側の一部を覆うフィールド酸化膜46を備えている。
【実施例】
【0017】
(第1実施例)
本発明を具現化した半導体装置の第1実施例を、図1〜図4を参照して説明する。本実施例の半導体装置は、図3に示すように、低電位回路領域10と、高電位回路領域30と、分離領域20を備えている。分離領域20は、第1分離部26bによって高電位回路領域30から絶縁分離されており、第2分離部26aによって低電位回路領域10から絶縁分離されている。分離領域20は、高電位回路領域30を低電位回路領域10から絶縁分離している。
後記するように、分離領域20内に、低電位回路領域10から高電位回路領域30に被伝達信号を伝達するためのレベルシフトトランジスタが形成されている。なお、被伝達信号は、ハイレベルとロウレベルの間で変化する。
図1は、レベルシフトトランジスタを用いて低電位回路領域10から高電位回路領域30に被伝達信号を伝達する部分の回路図である。図2は、図1に示した回路図の各部位における電圧変化を示すタイミングチャート図である。図3は、半導体装置の平面図である。図4は、レベルシフトトランジスタの構成を示す分離領域20の断面図と表面図である。
【0018】
低電位回路領域10では、基準電位が0Vであり、信号の電位が0Vから15Vの間で変化する。高電位回路領域30では、基準電位が1000Vであり、信号の電位が1000Vから1015Vの間で変化する。したがって、低電位回路領域10から高電位回路領域30に被伝達信号を伝達する場合、レベルシフトトランジスタが必要となる。
本実施例の半導体装置1は、被伝達信号の立ち上がりエッジのタイミングを低電位回路領域10から高電位回路領域30に伝達する第1レベルシフトトランジスタAと、被伝達信号の立ち下がりエッジのタイミングを低電位回路領域10から高電位回路領域30に伝達する第2レベルシフトトランジスタBを備えている。高電位回路領域30では、立ち上がりエッジのタイミングと立ち下りエッジのタイミングとから被伝達信号を復元することができる。
【0019】
図1に示すように、低電位回路領域10は、被伝達信号の立ち上がりタイミングを検出して所定時間だけハイに変化したのちにロウに戻るパルス状の信号(以下では、立ち上がりエッジ信号という)を出力する信号線P1を備えている。また、低電位回路領域10は、被伝達信号の立ち下がりタイミングを検出して所定時間だけハイに変化したのちにロウに戻るパルス状の信号(以下では立ち下がりエッジ信号という)を出力する信号線P2を備えている。
低電位回路領域10の信号線P1は、分離領域20に形成されている第1レベルシフトトランジスタAのゲートG1に接続されている。第1レベルシフトトランジスタAのソースS1は、高電位回路領域30のグランドに接続されている。第1レベルシフトトランジスタAのドレインD1は、抵抗R1とツェナーダイオードZD1の並列回路を介して、高電位回路領域30の電源Vcc(1015V)に接続されている。なお、ツェナーダイオードZD1は、アノードがドレインD1に接続され、カソードが電源Vccに接続されている。また、第1レベルシフトトランジスタAのドレインD1は、信号を反転するインバータIC1の入力側に接続されている。インバータIC1の出力側は、RSフリップフロップIC7のS端子に接続されている。
【0020】
低電位回路領域10の信号線P2は、分離領域20に形成されている第2レベルシフトトランジスタBのゲートG2に接続されている。第2レベルシフトトランジスタBのソースS2は、高電位回路領域30のグランドに接続されている。第2レベルシフトトランジスタBのドレインD2は、抵抗R2とツェナーダイオードZD2の並列回路を介して、高電位回路領域30の電源Vcc(1015V)に接続されている。なお、ツェナーダイオードZD2は、アノードがドレインD2に接続され、カソードが電源Vccに接続されている。また、第2レベルシフトトランジスタBのドレインD2は、信号を反転するインバータIC2の入力側に接続されている。インバータIC2の出力側は、RSフリップフロップIC7のR端子に接続されている。
【0021】
次に、第1レベルシフトトランジスタAと第2レベルシフトトランジスタBにより、低電位回路領域10から高電位回路領域30に被伝達信号を伝達する動作を簡単に説明する。
インバータIC1の入力側を(a)点とする。インバータIC1の出力側を(b)点とする。インバータIC2の入力側を(c)点とする。インバータIC2の出力側を(d)点とする。また、RSフリップフロップIC3の出力側を(e)点とする。
(a)〜(e)点の電位が変化する様子を、図1、図2を参照して説明する。
第1レベルシフトトランジスタAと第2レベルシフトトランジスタBを用い、図2の(1)に示す被伝達信号を、低電位回路領域10から高電位回路領域30に伝達する。
【0022】
図2に示すように、被伝達信号がロウレベルにあるT1期間では、立ち上がりエッジ信号は出力されていないので、第1レベルシフトトランジスタAはオフしている。第1レベルシフトトランジスタAのドレインD1と同電位の(a)点は、電源Vccにプルアップされている。したがって、図2の(3)に示すように、(a)点の電位は、ほぼ電源電圧の1015(V)に等しい。(b)点では、インバータIC1によって(a)点のロジックと反転するので、1000(V)を示す。RSフリップフロップIC3のS入力は、”ロウレベルとなっている。
【0023】
被伝達信号がハイに変化し、これにより信号線P1から出力される立ち上がりエッジ信号がハイに変化すると、この信号がゲートG1に入力されて第1レベルシフトトランジスタAがオンし、第1レベルシフトトランジスタAのソースS1とドレインD1間が導通する。したがって、(a)点の電位は、電源Vccの電圧の1015(V)からツェナーダイオードZD1の降伏電圧約15(V)を引いた値である約1000(V)となる。(b)点の電位は、インバータIC1によって(a)点のロジックと反転するので、1015(V)を示す。RSフリップフロップIC3のS入力は、ハイレベルとなる。
立ち上がりエッジ信号がオンしているT21期間は、この状態が維持される。
【0024】
立ち上がりエッジ信号がオフすると、(a)点の電位は、ほぼ電源電圧の1015(V)に戻り、(b)点の電位は、オフ状態の1000(V)に戻る。RSフリップフロップIC3のS入力は、ロウレベルに戻る。
被伝達信号がハイであるT2期間はこの状態が維持される。
【0025】
被伝達信号がロウに変化し、これにより信号線P2から出力される立ち下がりエッジ信号がハイに変化すると、この信号がゲートG2に入力されて第2レベルシフトトランジスタBがオンし、第2レベルシフトトランジスタBのソースS2とドレインD2間が導通する。したがって、(c)点の電位は、電源Vccの電圧の1015(V)からツェナーダイオードZD2の降伏電圧約15(V)を引いた値である約1000(V)となる。(d)点の電位は、インバータIC2によって(c)点のロジックと反転するので、1015(V)を示す。RSフリップフロップIC3のR入力は、“ハイレベルとなる。
立ち下がりエッジ信号がオンしているT31期間は、この状態が維持される。
【0026】
立ち下がりエッジ信号がオフすると、(c)点の電位は、ほぼ電源電圧の1015(V)に戻り、(d)点の電位は、オフ状態の1000(V)に戻る。RSフリップフロップIC3のR入力は、“ロウレベルに戻る。
被伝達信号がロウであるT3期間はこの状態が維持される。
【0027】
RSフリップフロップIC3のS入力に、(b)点の電位が入力される。また、RSフリップフロップIC3のR入力に、(d)点の電位が入力される。これにより、RSフリップフロップIC3のQ出力である(e)点の電位は、図2の(8)に示すように、図2の(b)の電位の変化に応じて(すなわち、立ち上がりエッジ信号の立ち上がりに応じて)1000Vのロウレベルから1015(V)のハイレベルにセットされる。そして、図2の(d)の電位の変化に応じて(すなわち、立ち下がりエッジ信号の立ち上がりに応じて)1015Vのハイレベルから1000(V)のロウレベルにリセットされる。
これにより、図2の(1)に示す低電位回路領域10の被伝達信号が、高電位回路領域30で復元される。低電位回路領域10では10Vと15Vの間で変化していた被伝達信号が、高電位回路領域30では1000Vと1015Vの間で変化する信号に変換される。
【0028】
半導体装置1では、上記した機能を有する第1レベルシフトトランジスタAと第2レベルシフトトランジスタBを、分離領域20内に、複数個に分割して形成する。第1レベルシフトトランジスタAを形成する複数個のトランジスタの各々を第1トランジスタTr1という。また、第2レベルシフトトランジスタBを形成する複数個のトランジスタの各々を第2トランジスタTr2という。
【0029】
図3は、半導体装置1をその上面から見た図である。
前述したように、高電位回路領域30は、低電位回路領域10内に島状に形成されている。高電位回路領域30の周りを分離領域20が一巡している。分離領域20は、略四角形の高電位回路領域30を包囲する帯状に形成されている。
分離領域20は、第1絶縁膜26bで、高電位回路領域30から電気的に絶縁分離されている。また、分離領域20は、第2絶縁膜26aで、低電位回路領域10から電気的に絶縁分離されている。分離領域20は、高電位回路領域30と低電位回路領域10の双方から絶縁分離されている。
分離領域20は、幅方向に伸びる絶縁膜26cで分割されている。絶縁膜26cは、第1絶縁膜26bから第2絶縁膜26aまで達している。絶縁膜26cは、隣接する絶縁膜26c同士の間に間隔が確保されるピッチで、分離領域20の長さに沿って、繰り返し形成されている。これにより、分離領域20は、電気的に分離された複数の半導体領域に分割されている。
分割された複数の半導体領域は、後述する半導体領域22(図3で、粗いピッチのハッチで示す領域)と、半導体領域24(図3で、白抜きで示す領域)と半導体領域27(図3で、細かいピッチのハッチで示す領域)を備えている。分割された半導体領域は、半導体領域22,24,27,24の順序が繰り返されているパターンを形成している。
【0030】
各半導体領域22に、第1レベルシフトトランジスタAを構成する第1トランジスタTr1が形成されている。また、各半導体領域27に、第2レベルシフトトランジスタBを構成する第2トランジスタTr2が形成されている。そして、各半導体領域24には、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2を、間隔を開けて分割するためのダイオードDが形成されている。
【0031】
図4を用い、第1トランジスタTr1を形成する半導体領域22の詳細な構成を説明する。
半導体領域22は、p型の不純物(典型的にはボロン)を高濃度に含む単結晶シリコンの半導体基板2と、その半導体基板2上に形成されている酸化シリコン(SiO2)の埋込み絶縁膜3と、その埋込み絶縁膜3上に形成されている半導体層4を備えている。半導体基板2、埋込み絶縁膜3及び半導体層4の積層構造は、一般的にSOI(Silicon On Insulator)基板と称される。
【0032】
高電位回路領域30の外周に沿って、n型ウェル半導体領域29が形成されている。n型ウェル半導体領域29に沿って、n型ウェル半導体領域29を一巡する絶縁膜26bが形成されている。絶縁膜26bは、半導体層の表面から埋め込み絶縁層3まで伸びている。分離領域20は、絶縁膜26b(第1分離部)によって、高電位回路領域30から絶縁分離されている。
分離領域20の内周側寄り(第1分離部寄り)には、n型(第1導電型)のドリフト領域39が形成されている。その表面の一部に、n+型のドレイン領域43(第1半導体領域)が形成されている。n+型のドレイン43は、絶縁膜26bが伸びている方向と平行に伸びている。
【0033】
低電位回路領域10の内周に沿って、p型ウェル半導体領域28が形成されている。p型ウェル半導体領域28に沿って、p型ウェル半導体領域28を一巡する絶縁膜26aが形成されている。絶縁膜26aは、半導体層の表面から埋め込み絶縁層3まで伸びている。分離領域20は、絶縁膜26a(第2分離部)によって、低電位回路領域10から絶縁分離されている。
分離領域20の外周側寄り(第2分離部寄り)には、p型(第2導電型)のボディ領域45が形成されている。その表面の一部に、p+型のボディコンタクト領域41が形成されている。p+型のボディコンタクト41は、絶縁膜26aが伸びている方向と平行に伸びている。
第1トランジスタTr1を形成する領域22では、p+型のボディコンタクト領域41に沿って、n+型のソース領域42が形成されている。図示はされていないが、第2トランジスタTr1を形成する領域27でも、p+型のボディコンタクト領域41に沿って、n+型のソース領域42が形成されている。これに対し、ダイオードを形成する領域24では、n+型のソース領域42が形成されていない。
【0034】
p型のボディ領域45と、n型のドリフト領域39の間には、n型の中間半導体領域40が形成されている。
n型の中間半導体層40の表面であって、p型のボディ領域45とn型のドリフト領域39から離間した範囲に、p型のリサーフ層44が形成されている。リサーフ層44の上部には、リサーフ層44に接するフィールド絶縁膜46が形成されている。リサーフ層44と、フィールド絶縁膜46は、絶縁膜26a,26bと平行に伸びている。
埋め込み絶縁層3と接している中間半導体層40の裏側部分には、n+型の半導体領域48が伸びている。n+型の半導体領域48は、n型のドリフト領域39に接している。n+型の半導体領域48は、p型ボディ領域45とは接しておらず、半導体装置1の表面にも臨んでいない。
【0035】
フィールド酸化膜46からn+型のソース領域42までの半導体層4の表面には、絶縁膜47aが形成されている。さらに、フィールド酸化膜46からn+型のドレイン領域43までの半導体層4の表面には、絶縁膜47bが形成されている。
絶縁膜47aと、フィールド酸化膜46の一部を覆う範囲に、ゲート電極52が形成されている。n+型のドレイン領域43と、絶縁膜47bと、フィールド酸化膜46の一部を覆う範囲に、ドレイン電極54が形成されている。図示はされていないが、p+型のボディコンタクト41と、n+型のソース領域42の表面には、ソース電極が形成されている。
【0036】
半導体領域22には、その断面に示されているように、n+型のドレイン領域43(第1導電型の第1半導体領域)と、p型ボディ領域45(第2導電型の第2半導体領域)と、n+型のソース領域42(第1導電型の第3半導体領域)と、ドレイン領域43とソース領域42を隔てている範囲のボディ領域45に絶縁層47aを隔てて対向するゲート電極52が形成されれており、これによって、横型のMOSFETである第1トランジスタTr1を構成している。
半導体領域22のn+型のソース領域42は、第1トランジスタTr1のソース領域に対応する。半導体領域22のp型ボディ領域45は、第1トランジスタTr1のボディ領域に対応する。半導体領域22のn+型のドレイン領域43は、第1トランジスタTr1のドレイン領域に対応する。半導体領域22のゲート電極52は、第1トランジスタTr1のゲート電極に対応する。半導体領域22のドレイン電極54は、第1トランジスタTr1のドレイン電極に対応する。なお、図示していないが、ソース領域42には、第1トランジスタTr1のソース電極を接続する。
【0037】
そして、ソース電極(図1に示すソースS1)に0Vを印加し、ドレイン電極(図1に示すドレインD1)に、高電位回路領域30の電源Vccを印加し、ゲート電極52に所定のゲート電圧(図1、図2に示す立ち上がりエッジ信号のオン電圧)を印加すると、ゲート電極52と絶縁膜47aを介して対向しているp型のボディ領域45の極性が反転し、チャネル領域が形成される。これにより、ソース領域42から中間半導体層40を介してn+型のドレイン領域43にキャリアが移動し、第1トランジスタTr1がオン状態となる。
【0038】
なお、埋め込み絶縁層3と接するように形成されたn型の半導体領域48により、中間半導体層40の裏側部分と埋め込み絶縁層3の接合界面の臨界電界を高くし、埋め込み絶縁層3が負担できる電圧を向上させることができる。そのことによって、耐圧の高い半導体装置1を構成することができる。なお、n型の半導体領域48については、本願出願人による出願である特願2005−367417号の明細書に、その構成及び効果を詳述してあるので参考にされたい。
【0039】
第2トランジスタTr2を形成している半導体領域27の構造は、上述した第1トランジスタTr1を形成している半導体領域22の構造と等しい。図4では省略しているが、半導体領域27は、半導体領域24の奥に配置されている(併せて図3参照)。
半導体領域27に形成されたn+型のソース領域42は、第2トランジスタTr2のソース領域に対応する。半導体領域27に形成されたp型ボディ領域45は、第2トランジスタTr2のボディ領域に対応する。半導体領域27に形成されたn+型のドレイン半導体領域43は、第2トランジスタTr2のドレイン領域に対応する。半導体領域27のゲート電極52は、第2トランジスタTr2のゲート電極に対応する。半導体領域22のドレイン電極54は、第2トランジスタTr2のドレイン電極に対応する。なお、図示していないが、ソース領域42には、第2トランジスタTr2のソース電極を接続する。
ソース電極(図1に示すソースS2)に0Vを印加し、ドレイン電極(図1に示すのドレインD2)に、高電位回路領域30の電源Vccを印加し、ゲート電極52に所定のゲート電圧(図1、図2に示す立ち下がりエッジ信号のオン電圧)を印加すると、ゲート電極52と絶縁膜47aを介して対向しているp型のボディ領域45の極性が反転し、チャネル領域が形成される。これにより、ソース領域42から中間半導体層40を介してn+型の半導体領域43(ドレイン領域)にキャリアが移動し、第2トランジスタTr2がオン状態となる。
【0040】
次に、ダイオードDを形成する半導体領域24の構成について説明する。
半導体領域22,27と同様、ドレイン領域43と、ドリフト領域39と、ボディ領域45と、ドレイン電極54と、電極52が、絶縁膜26a,26bに沿う方向に伸びている。
半導体領域22,27にはソース領域42が形成されているが、半導体領域24にはソース領域42が形成されていない。半導体領域24では、半導体領域22,27でソース領域42が形成されている領域に、p+型の半導体領域61が伸びている。半導体領域24のその他の構成は、半導体領域22,27と同様である。
半導体領域24に形成されたp+型の半導体領域61は、ダイオードDのアノード領域に対応する。半導体領域24に形成されたn+型の半導体領域43(半導体領域22,27では、ドレイン領域)は、ダイオードDのカソード領域に対応する。半導体領域24の電極52(半導体領域22,27では、ゲート電極)は、ダイオードDのアノード電極に対応する。半導体領域24の電極54(半導体領域22,27では、ドレイン電極)は、ダイオードDのカソード電極に対応する。
ダイオードDのアノード電極(ゲート電極52)は低電位回路に接続され、ダイオードDのカソード電極(ドレイン電極54)は高電位回路に接続されている。すなわち、ダイオードDには常の逆バイアス電圧が印加されており、アノード電極(ゲート電極52)とカソード電極(ドレイン電極54)は非導通状態に維持される。
半導体領域24に形成されたダイオードDは、非導通領域を提供し、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2を電気的に絶縁分離するとともに、半導体領域22に形成されている第1トランジスタTr1と半導体領域27に形成されている第2トランジスタTr2の間の間隔を開けている。
【0041】
本実施例の半導体装置1では、低電位回路領域10から高電位回路領域30に、複数の第1トランジスタTr1で構成された第1レベルシフトトランジスタAを介して、被伝達信号の立ち上がりのタイミングが伝達される。また、複数の第2トランジスタTr2で構成された第2レベルシフトトランジスタTr2を介して、被伝達信号の立ち下がりのタイミングが伝達される。これにより、高電位回路領域30で、被伝達信号を復元することができる。各第1トランジスタTr1は、立ち上がりエッジ信号がオンしている間だけオンする。各第2トランジスタTr2は、立ち下がりエッジ信号がオンしている間だけオンする。したがって、各トランジスタTr1,Tr2がオン状態となっている時間が少ない。すなわち、第1レベルシフトトランジスタAと第2レベルシフトトランジスタBの消費電力を低減することができる。
【0042】
さらに、本発明の半導体装置1では、第1レベルシフトトランジスタAを構成する第1トランジスタTr1を複数個に分割して分散して配置している。また、第2レベルシフトトランジスタBを構成する第2トランジスタTr2を複数個に分割して分散して配置している。したがって、第1レベルシフトトランジスタAがオン状態となることにより発熱する半導体領域を2以上の半導体領域で分担することができる。同様に、第2レベルシフトトランジスタBがオン状態となることにより発熱する半導体領域を2以上の半導体領域で分担することができる。
さらに、本発明の半導体装置1では、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2が、絶縁膜26c及びダイオードDを挟んで交互に形成されている。第1トランジスタTr1は、被伝達信号の立ち上がりを示す信号を出力するトランジスタであり、第2トランジスタTr2は、被伝達信号の立ち下りを示す信号を出力するトランジスタである。したがって、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2は、双方が同時にオンすることがない。同時にオンすることがないトランジスタが、ダイオードD形成領域の間隔をもって交互に形成されているので熱が発散し易い。
これにより、低電位回路領域10と高電位回路領域30との間で信号の伝達を媒介する第1レベルシフトトランジスタAと第2レベルシフトトランジスタBの過熱を抑制し、半導体装置1の過熱を抑制することができる。
【0043】
また、本実施例の半導体装置1は、低電位回路領域10と高電位回路領域30を分離する分離領域20を備えている。そして、その分離領域20に、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2とダイオードDを備えている。これにより、各トランジスタの出力配線(例えば、ドレイン電極配線)が、両回路領域間を直接的に跨ぐことがない。半導体装置1の耐圧を向上させることができる。
また、半導体装置1は分離領域20を備え、その幅方向に主電流が流れる横型のトランジスタ構造を第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2に採用しているので、第1トランジスタTr1とダイオードDと第2トランジスタTr2とダイオードDの繰り返しパターンを容易に形成することができる。
また、半導体装置1の高電位回路領域30は、低電位回路領域10内に分離領域20に囲まれて形成されている。これにより、半導体装置1の耐圧を向上させることができる。
【0044】
また、本実施例の半導体装置1では、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2を分割するために、ダイオードDを採用している。ダイオードDを構成している半導体領域24は、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2を構成している半導体領域22,27とその構造が類似している。半導体領域22,27には、ソース領域42が設けられているが、半導体領域24には、ソース領域が設けられていない点が相違する。非導通領域としてこのようなダイオードDを形成すれば、非導通領域を形成するために特別な工程を必要とすることがない。例えば、この領域に幅の広いトレンチを掘って絶縁物で埋める等の工程を必要としない。したがって、非導通領域を容易に形成することができる。
【0045】
また、本実施例の半導体装置1は、埋め込み絶縁層3を備えるSOI(Sillicon On Insulator)である。SOIはサージ電圧等に対する耐圧が高いが、発生した熱が発散され難く、熱がこもりやすく、半導体装置が過熱し易いことが知られている。半導体装置1によれば、低電位回路領域10と高電位回路領域30間で信号を伝達する際に発生する熱を発散し易くし、半導体装置1の過熱を防止することができる。
また、本実施例の半導体装置1は、埋め込み絶縁層3と接するように形成されたn型の半導体領域48を備えている。これにより、中間半導体層40の裏側部分と埋め込み絶縁層3の接合界面の臨界電界を高くし、埋め込み絶縁層3が負担できる電圧を向上させることができる。そして、耐圧の高い半導体装置1を構成することができる。
【0046】
本実施例では、第1トランジスタTr1を構成する半導体領域22と、絶縁膜26cと、ダイオードDを構成する半導体領域24と、絶縁膜26cと、第2トランジスタTr2を構成する半導体領域27と、絶縁膜26cと、ダイオードDを構成する半導体領域24と、絶縁膜26cの順序が繰り返されるバターンを、分離領域20の延伸方向に形成する場合について説明したが、ダイオードDを形成する半導体領域24は形成しなくてもよい。図5の上面図に示す半導体装置1aでは、半導体領域22と、絶縁膜26cと、半導体領域27と、絶縁膜26cの順序が繰り返されるバターンを、分離領域20の延伸方向に形成している。この場合、絶縁膜26cが、請求項で言う「非導通領域」に対応する。
【0047】
(第2実施例)
本発明を具現化した半導体装置の第2実施例を、図6を参照して説明する。
第2実施例の半導体装置1bは、第1実施例で説明した第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2が、それぞれが絶縁膜に囲まれて分割された分離領域20内で、さらに複数に分割されて形成されている。
図6は、半導体装置1bの上面図である。以降、半導体装置1(併せて図4参照)と相違する構成のみについて説明する。
半導体装置1bでは、第1トランジスタTr1が、半導体領域22の中で、さらに複数の領域に分割して形成されている。
半導体領域22では、上面から見ると、p+型の半導体領域41aの3箇所に凹部が設けられている。これらの凹部に、ソース領域42aが形成されている。
p+型の半導体領域41aに囲まれてソース領域42aが形成されている断面は、第1実施例の第1トランジスタTr1を構成する半導体領域22と同様の断面になるように構成されている。したがって、この断面を有する領域では、ソース電極がグランドに接続され、ドレイン電極に高電位回路領域30の電源Vccを印加し、ゲート電圧を印加すると、電極52と絶縁膜47cを介して対向しているp型のボディ領域45の極性が反転し、チャネル領域が形成される。これにより、ソース領域42から中間半導体層40を介してn+型の半導体領域43aにキャリアが移動し、この部分で形成されている第1トランジスタTr1がオン状態となる。
一方、p+型の半導体領域41aに囲まれているソース領域42aが形成されていない断面では、第1実施例のダイオードDを構成する半導体領域24と同様の断面となる。この部分は、電子を放出するソース領域が存在しないため、キャリアが移動することがなく、非導通領域とすることができる。
第2トランジスタTr2もトランジスタTr1と同様に、半導体領域27の中で、さらに複数の領域に分割して形成されている。
【0048】
本実施例の半導体装置1bによれば、絶縁膜26cで囲まれた半導体領域22,27の中に形成する第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2の各々を、複数の領域に分割して形成することができる。トランジスタが形成されない領域により、トランジスタが形成される領域を複数個に分割し、トランジスタが形成される領域間の間隔を確保することができる。したがって、個々の第1トランジスタや個々の第2トランジスタが発生する熱を周囲に効率的に伝熱することができる。
また、トランジスタを形成する領域とダイオードを形成する領域を、ソース領域42aを形成するか否かで決定することができる。その他は、双方同じ構成であるので、トランジスタを形成する領域に、選択的に簡単にダイオードDである被導通領域を形成することができる。
以上では、ソース領域42を複数個に分割することで、半導体領域22内の第1トランジスタTr1と半導体領域27内の第2トランジスタTr2を複数個に分割した例を示したが、ソース領域42に代えてドレイン領域43を複数個に分割してもよいし、ゲート電極52を複数個に分割してもよい。ソース領域42と、ドレイン領域43と、ゲート電極52のうちの少なくとも一つを、複数個に分割すれば、発熱箇所を分散し、1位置あたりの発熱量を減少することができる。
【0049】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0050】
本実施例では、半導体装置が、低電位回路領域10から高電位回路領域30に伝達する被伝達信号の立ち上がりのタイミングでオンする第1レベルシフトトランジスタAと、被伝達信号の立ち下がりのタイミングでオンする第2レベルシフトトランジスタBを備えている場合について説明した。図6に示すように、半導体装置が、高電位回路領域30から低電位回路領域10に伝達する被伝達信号の立ち上がりのタイミングをでオンする第3レベルシフトトランジスタEと、被伝達信号の立ち下がりのタイミングをでオンする第4レベルシフトトランジスタFを備えていてもよい。もちろん、双方向のレベルシフトトランジスタ(第1レベルシフトトランジスタA〜第4レベルシフトトランジスタF)を備えていてもよい。この場合には、高電位回路領域30bは、高電位回路領域30から低電位回路領域10に伝達する被伝達信号の立ち上がりエッジ信号を出力する信号線P3を備えている。また、高電位回路領域30bは、被伝達信号の立ち下がりエッジ信号を出力する信号線P4を備えている。
【0051】
図7に示すように、高電位回路領域30bの信号線P3は、分離領域20bに形成されている第3レベルシフトトランジスタEのゲートG3に接続されている。第3レベルシフトトランジスタEのドレインD3は、低電位回路領域10bの電源Vddに接続されている。第3レベルシフトトランジスタEのソースS3は、抵抗R3とツェナーダイオードZD4の並列回路を介し、接地されている。なお、ツェナーダイオードZD4は、カソードがソースS3に接続され、アノードが接地されている。また、第3レベルシフトトランジスタEのソースS3は信号を反転するインバータIC4aと、さらにその信号を反転するインバータIC4bの直列回路に接続されている。インバータIC4bの出力側は、RSフリップフロップIC8のS端子に接続されている。
【0052】
高電位回路領域30bの信号線P4は、分離領域20bに形成されている第4レベルシフトトランジスタFのゲートG4に接続されている。第4レベルシフトトランジスタFのドレインD4は、低電位回路領域10bの電源Vddに接続されている。第4レベルシフトトランジスタFのソースS4は、抵抗R4とツェナーダイオードZD5の並列回路を介し、接地されている。なお、ツェナーダイオードZD5は、カソードがソースS4に接続され、アノードが接地されている。また、第4レベルシフトトランジスタFのソースS4は信号を反転するインバータIC5aと、さらにその信号を反転するインバータIC5bの直列回路に接続されている。インバータIC5bの出力側は、RSフリップフロップIC8のR端子に接続されている。
この構成により、被伝達信号の立ち上がりのタイミングと立ち下がりのタイミングを高電位回路領域30bから低電位回路領域10bに伝達することができる。そして、低電位回路領域10bで、容易に被伝達信号を復元することができる。高電位回路領域30bでは1000Vと1015Vの間で変化していた被伝達信号が、低電位回路領域10bでは10Vと15Vの間で変化する信号に変換される。
上記第3レベルシフトトランジスタEを、低電位回路領域10bと高電位回路領域30bの双方から絶縁分離されている分離領域20bに、複数個に分割して形成する。第3レベルシフトトランジスタEを形成する複数個のトランジスタの各々を第3トランジスタTr3という。また、第4レベルシフトトランジスタFを形成する複数個のトランジスタの各々を第4トランジスタTr4という。図3に示す半導体装置1の場合と同様、分離領域20bは、第3トランジスタTr3を形成している半導体領域、ダイオードを形成ている半導体領域、第4トランジスタを形成している半導体領域、ダイオードを形成している半導体領域の順序が繰り返されるパターンを形成している。
【0053】
また、本実施例では、半導体装置が、p型のリサーフ層44を備えている場合について説明したが、本発明を適用した半導体装置は、リサーフ層44を備えていなくてもよい。ただし、本実施例のように、リサーフ層44を備えているとともに、ゲート電極52を、リサーフ層44の表面に形成されたフィールド酸化膜46の一部を覆う範囲に形成することにより、オフ時の電界集中を緩和することができる。
【0054】
また、本実施例では、半導体装置が、半導体層4の裏面側に埋め込み絶縁層3に接するn型の半導体領域48を備えている場合について説明したが、本発明を適用した半導体装置は、n型の半導体領域48を備えていなくてもよい。ただし、本実施例のように、n型の半導体領域48を備えることにより、埋め込み絶縁層3と半導体層4との接合界面の臨界電界を大きくすることができる。
また、本実施例では、半導体装置がSOI構造を有する場合について説明したが、本発明を適用した半導体装置はSOI構造を有していなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】半導体装置1において、第1レベルシフトトランジスタA及び第2レベルシフトトランジスタBを用い、低電位回路領域10から高電位回路領域30に被伝達信号を伝達する部分の回路図である。
【図2】図1に示した回路図の各部の状況を示すタイミングチャート図である。
【図3】半導体装置1の平面図である。
【図4】半導体装置1の、第1トランジスタTr1及びダイオードDの構成を示す断面図である。
【図5】半導体装置1aの、第1トランジスタTr1及びダイオードDの構成を示す断面図である。
【図6】半導体装置1bの、第1トランジスタTr1及びダイオードDの構成を示す断面図である。
【図7】第3レベルシフトトランジスタEと第4レベルシフトトランジスタFを用い、高電位回路領域30bから低電位回路領域10bに被伝達信号を伝達する部分の回路図である。
【符号の説明】
【0056】
1,1a,1b 半導体装置
2 半導体基板
3 埋め込み絶縁層
4 半導体層
10,10b 低電位回路領域
20,20b 分離領域
22,24,27 半導体領域
26a,26b,26c 絶縁層
28 p型のウェル半導体領域
29 n型のウェル半導体領域
30,30b 高電位回路領域
39 ドリフト領域
40 中間半導体層
41,41a p+型の半導体領域
42,42a n+型のソース領域
43,43a n+型の半導体領域
44 リサーフ層
45 ボディ領域
46 フィールド酸化膜
47a,47b,47c,47d 絶縁膜
48 n型の半導体領域
52 ゲート電極
54 ドレイン電極
A 第1レベルシフトトランジスタ
B 第2レベルシフトトランジスタ
E 第3レベルシフトトランジスタ
F 第4レベルシフトトランジスタ
Tr1 第1トランジスタ
Tr2 第2トランジスタ
Tr3 第3トランジスタ
Tr4 第4トランジスタ
P1,P2,P3,P4 信号線
【技術分野】
【0001】
本発明は、低電位回路領域と高電位回路領域が混在している半導体装置の過熱を抑制する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
低電位回路領域と、低電位回路領域から絶縁分離されている高電位回路領域を備えている半導体装置が知られている。
低電位回路領域には、基準電位が低い回路ブロックが形成されている。例えば、低電位回路領域には、0Vを基準電位とし、オフ時とオン時で出力信号レベルが0Vと15Vの間で変化する回路が形成されている。高電位回路領域には、基準電位が高い回路ブロックが形成されている。例えば、高電位回路領域には、1000Vを基準電位とし、オフ時とオン時で出力信号レベルが1000Vと1015Vの間で変化する回路が形成されている。
低電位回路領域と高電位回路領域が混在している半導体装置では、一方の回路領域から他方の回路領域にハイとロウの間で変化する信号を伝達する場合に、トランジスタ(レベルシフトトランジスタ)が用いられることがある。
特許文献1の半導体装置は、低電位回路領域と、低電位回路領域から絶縁分離されている高電位回路領域と、低電位回路領域と高電位回路領域の双方から絶縁分離されている分離領域を備えており、この分離領域内に上記レベルシフトトランジスタを形成している。これにより、半導体装置の耐圧の向上を図っている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−123512号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
レベルシフトトランジスタには、高電位回路の高電圧がかかっている。例えば、上記に例示したように、出力信号レベルが1000Vと1015Vの間で変化する高電位回路を利用する場合、レベルシフトトランジスタには1000V以上の電圧がかかっている。したがって、レベルシフトトランジスタのオン時にレベルシフトトランジスタに10mAの電流が流れるとすれば、レベルシフトトランジスタで10Wもの電力を消費する。レベルシフトトランジスタの消費電力が大きければ、その発熱量も大きくなる。これにより、半導体装置が過熱し易くなる。レベルシフトトランジスタに流す電流を低減する技術が開発されているが、限界があり、レベルシフトトランジスタの消費電力を大幅に低減することは難しい。レベルシフトトランジスタの発熱量が大きな問題となっている。
特に、半導体装置がSOI(Silicon On Insulator)基板を利用している場合には、その問題が深刻となる。SOI基板に埋め込まれている埋め込み絶縁層(酸化膜等)の熱伝導率が、半導体層(Si等)と比較して小さいために、レベルシフトトランジスタの発熱を放熱することが難しい。
本発明は、上記の問題点を解決するために創案された。すなわち、レベルシフトトランジスタの発熱によって半導体装置が過熱されることを防止できる半導体装置を実現する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(請求項1に記載の発明)
本発明の半導体装置は、低電位回路領域と、低電位回路領域から絶縁分離されている高電位回路領域と、低電位回路領域と高電位回路領域の双方から絶縁分離されている分離領域を備えている。その分離領域内に、複数個の第1トランジスタと複数個の第2トランジスタが形成されている。
各々の第1トランジスタは、低電位回路領域と高電位回路領域のうちの一方の回路領域から他方の回路領域に伝達する信号であって、ハイとロウの間で変化する信号の立ち上がりタイミングにオンする。各々の第2トランジスタは、前記信号の立ち下がりタイミングにオンする。複数個の第1トランジスタと複数個の第2トランジスタは、第1トランジスタと非導通領域と第2トランジスタと非導通領域の順序が繰り返されるパターンに従って分離領域内に配置されている。
信号は、低電位回路領域から高電位回路領域に伝達される場合もあれば、高電位回路領域から低電位回路領域に伝達される場合もある。信号が双方向に伝達される場合、いずれか一方の向きにのみ本発明を適用してもよい。もちろん、双方向に本発明を適用してもよい。
【0006】
本発明の半導体装置では、一方の回路領域から他方の回路領域に伝達する信号(以下では被伝達信号という)の立ち上がりのタイミングを示す信号(以下では立ち上がりエッジ信号という)が第1トランジスタから他方の回路領域に出力される。また、被伝達信号の立ち下がりのタイミングを示す信号(以下では立ち下がりエッジ信号という)が第2トランジスタから他方の回路領域に出力される。立ち上がりエッジ信号と立ち下がりエッジ信号を受領した他方の領域では、これらのタイミング信号から被伝達信号を容易に復元することができる。
第1トランジスタと第2トランジスタでレベルシフトトランジスタを構成すると、被伝達信号がハイの間はオンしてロウの間はオフするレベルシフトトランジスタを利用する場合に比して、レベルシフトトランジスタに電流が流れる時間を短くすることができ、消費電力と発熱量を抑えることができる。
本発明の半導体装置では、第1トランジスタと第2トランジスタが、被導通領域を挟んで交互に形成されている。立ち上がりエッジ信号を出力する第1トランジスタと、立ち下がりエッジ信号を出力する第2トランジスタは、同時にオンすることがない。同時にオンすることがない第1トランジスタと第2トランジスタが交互に配置されているために、第1トランジスタの発熱中は第2トランジスタに伝熱され、第2トランジスタの発熱中は第1トランジスタに伝熱される。第1トランジスタと第2トランジスタの温度の平均化が促進され、一方のトランジスタが過熱されることが抑制される。
さらに本発明の半導体装置では、第1トランジスタと第2トランジスタの各々が複数個に分割されている。しかも、分割された1個の第1トランジスタと、非導通領域と、分割された1個の第2トランジスタと、非導通領域の順序が繰り返される配置パターンが採用されている。このために、大発熱が局所的に集中して発生することがなく、小発熱が複数個所に分散して発生することになる。これによって、半導体装置が局所的に過熱されることが抑制される。
本発明の半導体装置を用いれば、低電位回路領域と高電位回路領域との間で信号を伝達する各々のレベルシフトトランジスタに発生する熱を低減することができ、半導体装置の過熱を抑制することができる。
【0007】
(請求項2に記載の発明)
本発明は、レベルシフトトランジスタが低電位回路領域から高電位回路領域に信号を伝達する場合に特に有用である。すなわち、一方の回路領域が低電位回路領域である場合に特に有効である。
低電位回路領域から高電位回路領域に信号を伝達するレベルシフトトランジスタには高電位が印加されるために発熱しやすい。本発明は、発熱しやすいレベルシフトトランジスタの問題に効果的に対応することができる。
【0008】
(請求項3に記載の発明)
第1トランジスタと第2トランジスタの間に配置される非導通領域は、トレンチを充填している絶縁層で形成してもよい。
【0009】
(請求項4に記載の発明)
トレンチを充填している絶縁層と、n型領域が高電位に接続されているダイオードで、第1トランジスタと第2トランジスタの間に配置される非導通領域を形成してもよい。すなわち、逆バイアス電圧が印加されるダイオードを利用して第1トランジスタと第2トランジスタ間の絶縁を確保してもよい。
例えば、第1トランジスタと第2トランジスタが必要とするソース領域またはエミッタ領域の作成を省略することによって、第1トランジスタと第2トランジスタの間にダイオードを形成することができる。第1トランジスタとダイオードと第2トランジスタとダイオードの順序が繰り返される配置パターンを比較的簡単に構成できる。
第1トランジスタと第2トランジスタの間に、逆バイアスが印加されているダイオードを配置すると、絶縁層の厚みを薄くできる。熱伝導率が低いことが多い絶縁層を薄くできるために、第1トランジスタと第2トランジスタの間の伝熱作用を高いレベルに維持することができる。
【0010】
(請求項5に記載の発明)
また、本発明の半導体装置は、以下のような構成であることが好ましい。
好ましい半導体装置は、高電位回路領域と分離領域を分離する第1分離部と、低電位回路領域と分離領域を分離する第2分離部を備えている。分離領域内には、第1分離部側に第1導電型の第1半導体領域が形成されており、第2分離部側に第2導電型の第2半導体領域が形成されており、第2半導体領域内の表面に臨む位置に第1導電型の第3半導体領域が形成されている。第1半導体領域と第3半導体領域を分離している第2半導体領域に対して絶縁膜を介してゲート電極が対向している。
この構造を備えていると、同一導電型の第1半導体領域と第3半導体領域と、それらを分離している反対導電型の第2半導体領域と、その第2半導体領域に絶縁膜を介して対向しているゲート電極によって、電界効果型の第1トランジスタと電界効果型の第2トランジスタが形成される。
例えば、第1半導体領域をドレイン領域とし、第2半導体領域をボディ領域とし、第3半導体領域をソース領域とする電界効果型の横型トランジスタを形成することができる。分離領域に、第1トランジスタと第2トランジスタが繰り返し出現するパターンを形成しやすい。
【0011】
(請求項6に記載の発明)
第1半導体領域と第2半導体領域と第3半導体領域とゲート電極の各々は、第1分離部と第2分離部に沿う方向に伸びており、第1半導体領域と第2半導体領域と第3半導体領域とゲート電極を横断して第1分離部から第2分離部に達する複数個の非導通領域が設けられていることが好ましい。この場合、隣接する非導通領域同士の間に間隔が形成されるように配置されており、非導通領域の一方側に第1トランジスタが位置し、非導通領域の他方側に第2トランジスタが位置する規則に従って、前記方向に沿って、第1トランジスタと第2トランジスタが交互に配置されていることが好ましい。
この構成によると、第1トランジスタ→非導通領域→第2トランジスタ→非導通領域→第1トランジスタの順序が繰り返されるパターンを形成しやすい。
【0012】
(請求項7に記載の発明)
第1半導体領域と第2半導体領域とゲート電極の各々は、隣接する非導通領域同士の間を、第1分離部と第2分離部に沿って長く伸びており、第3半導体領域は、隣接する非導通領域同士の間において、第1分離部と第2分離部に沿って複数個に分割されており、分割された第3半導体領域同士の間に間隔が確保されていることが好ましい。
第3半導体領域は、ゲート電極と絶縁膜を介して対向している第2半導体領域にチャネル領域が形成された際に、チャネル領域に第1導電型のキャリアを供給する領域となる。したがって、第3半導体領域が形成されている断面を持つ領域では、トランジスタを形成することができる。第3半導体領域が形成されていない断面を持つ領域では、チャネル領域にキャリアを供給する領域がないので、トランジスタが形成されない。トランジスタが形成されない領域により、トランジスタが形成される領域を複数個に分割し、トランジスタが形成される領域間に間隔を確保することができる。すなわち、個々の第1トランジスタや個々の第2トランジスタを複数の領域に分割することができる。
個々の第1トランジスタや個々の第2トランジスタが局所的に発熱する現象を抑制することができる。
【0013】
(請求項8に記載の発明)
第1半導体領域と第2半導体領域と第3半導体領域とゲート電極の各々は、第1分離部と第2分離部に沿う方向に伸びており、第1半導体領域と第2半導体領域と第3半導体領域とゲート電極を横断して第1分離部から第2分離部に達する複数個の絶縁膜が形成されていることが好ましい。この場合、隣接する絶縁膜は、絶縁膜同士の間に間隔を置いて配置されており、絶縁膜の一方側には第3半導体領域が形成されており、絶縁膜の他方側には第3半導体領域が形成されていないのが好ましい。第3半導体領域が形成されている側では第1トランジスタまたは第2トランジスタが形成されるのに対し、第3半導体領域が形成されていない側ではダイオードが形成される。
この構成によると、第1トランジスタと第2トランジスタの間に幅の広いトレンチを掘らないでも、第1トランジスタと第2トランジスタの間に充分な間隔を形成することができる。トランジスタの熱を周囲に伝熱しやすく、トランジスタの過熱を防ぎやすい。
【0014】
(請求項9に記載の発明)
半導体基板と、半導体基板上に形成されている埋め込み絶縁層と、埋め込み絶縁層の上に形成されている半導体層を備え、半導体層に、低電位回路領域と高電位回路領域と分離領域が形成されていてもよい。
埋め込み絶縁層を備える半導体装置は、一般的にSOI(Silicon On Insulator)と称呼されている。SOIはサージ電圧等に対する耐圧が高いことが知られている。しかしながら、埋め込み絶縁層(酸化膜等)は、半導体層(Si等)と比較して熱伝導性が悪い。したがって、発生した熱が発散され難く、熱がこもり、半導体装置が過熱され易い。
本発明をこのような半導体装置に適用すれば、低電位回路領域と高電位回路領域間で信号を伝達する際に発生する熱を発散し易くし、半導体装置の過熱を防止しやすくなる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、低電位回路領域と高電位回路領域との間で信号の伝達を媒介するトランジスタに発生する熱を低減することができ、しかも発熱範囲を分散することができる。半導体装置が局所的に過熱されることに対して効果的に対策することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に説明する実施例の主要な特徴を列記しておく。
(第1特徴)
半導体基板2と、半導体基板2の上に形成されている埋め込み絶縁層3と、埋め込み絶縁層3の上に形成されている第1導電型の中間半導体層40を備えている。
中間半導体層40内において埋め込み絶縁層3に接し、第1導電型の不純物を高濃度に含む半導体領域48が第1分離部26b寄りに形成されている。これにより、中間半導体層40と埋め込み絶縁層3の接合界面の臨界電界を高くし、埋め込み絶縁層3が負担できる電圧を向上させることができ、耐圧の高い半導体装置を構成することができる。
(第2特徴)
非導通領域は絶縁膜26cである。
(第3特徴)
半導体装置は、第1導電型の中間半導体層40内において表面に臨んで形成されている第2導電型のリサーフ層44を備えている。
(第4特徴)
リサーフ層44の表面側の一部を覆うフィールド酸化膜46を備えている。
【実施例】
【0017】
(第1実施例)
本発明を具現化した半導体装置の第1実施例を、図1〜図4を参照して説明する。本実施例の半導体装置は、図3に示すように、低電位回路領域10と、高電位回路領域30と、分離領域20を備えている。分離領域20は、第1分離部26bによって高電位回路領域30から絶縁分離されており、第2分離部26aによって低電位回路領域10から絶縁分離されている。分離領域20は、高電位回路領域30を低電位回路領域10から絶縁分離している。
後記するように、分離領域20内に、低電位回路領域10から高電位回路領域30に被伝達信号を伝達するためのレベルシフトトランジスタが形成されている。なお、被伝達信号は、ハイレベルとロウレベルの間で変化する。
図1は、レベルシフトトランジスタを用いて低電位回路領域10から高電位回路領域30に被伝達信号を伝達する部分の回路図である。図2は、図1に示した回路図の各部位における電圧変化を示すタイミングチャート図である。図3は、半導体装置の平面図である。図4は、レベルシフトトランジスタの構成を示す分離領域20の断面図と表面図である。
【0018】
低電位回路領域10では、基準電位が0Vであり、信号の電位が0Vから15Vの間で変化する。高電位回路領域30では、基準電位が1000Vであり、信号の電位が1000Vから1015Vの間で変化する。したがって、低電位回路領域10から高電位回路領域30に被伝達信号を伝達する場合、レベルシフトトランジスタが必要となる。
本実施例の半導体装置1は、被伝達信号の立ち上がりエッジのタイミングを低電位回路領域10から高電位回路領域30に伝達する第1レベルシフトトランジスタAと、被伝達信号の立ち下がりエッジのタイミングを低電位回路領域10から高電位回路領域30に伝達する第2レベルシフトトランジスタBを備えている。高電位回路領域30では、立ち上がりエッジのタイミングと立ち下りエッジのタイミングとから被伝達信号を復元することができる。
【0019】
図1に示すように、低電位回路領域10は、被伝達信号の立ち上がりタイミングを検出して所定時間だけハイに変化したのちにロウに戻るパルス状の信号(以下では、立ち上がりエッジ信号という)を出力する信号線P1を備えている。また、低電位回路領域10は、被伝達信号の立ち下がりタイミングを検出して所定時間だけハイに変化したのちにロウに戻るパルス状の信号(以下では立ち下がりエッジ信号という)を出力する信号線P2を備えている。
低電位回路領域10の信号線P1は、分離領域20に形成されている第1レベルシフトトランジスタAのゲートG1に接続されている。第1レベルシフトトランジスタAのソースS1は、高電位回路領域30のグランドに接続されている。第1レベルシフトトランジスタAのドレインD1は、抵抗R1とツェナーダイオードZD1の並列回路を介して、高電位回路領域30の電源Vcc(1015V)に接続されている。なお、ツェナーダイオードZD1は、アノードがドレインD1に接続され、カソードが電源Vccに接続されている。また、第1レベルシフトトランジスタAのドレインD1は、信号を反転するインバータIC1の入力側に接続されている。インバータIC1の出力側は、RSフリップフロップIC7のS端子に接続されている。
【0020】
低電位回路領域10の信号線P2は、分離領域20に形成されている第2レベルシフトトランジスタBのゲートG2に接続されている。第2レベルシフトトランジスタBのソースS2は、高電位回路領域30のグランドに接続されている。第2レベルシフトトランジスタBのドレインD2は、抵抗R2とツェナーダイオードZD2の並列回路を介して、高電位回路領域30の電源Vcc(1015V)に接続されている。なお、ツェナーダイオードZD2は、アノードがドレインD2に接続され、カソードが電源Vccに接続されている。また、第2レベルシフトトランジスタBのドレインD2は、信号を反転するインバータIC2の入力側に接続されている。インバータIC2の出力側は、RSフリップフロップIC7のR端子に接続されている。
【0021】
次に、第1レベルシフトトランジスタAと第2レベルシフトトランジスタBにより、低電位回路領域10から高電位回路領域30に被伝達信号を伝達する動作を簡単に説明する。
インバータIC1の入力側を(a)点とする。インバータIC1の出力側を(b)点とする。インバータIC2の入力側を(c)点とする。インバータIC2の出力側を(d)点とする。また、RSフリップフロップIC3の出力側を(e)点とする。
(a)〜(e)点の電位が変化する様子を、図1、図2を参照して説明する。
第1レベルシフトトランジスタAと第2レベルシフトトランジスタBを用い、図2の(1)に示す被伝達信号を、低電位回路領域10から高電位回路領域30に伝達する。
【0022】
図2に示すように、被伝達信号がロウレベルにあるT1期間では、立ち上がりエッジ信号は出力されていないので、第1レベルシフトトランジスタAはオフしている。第1レベルシフトトランジスタAのドレインD1と同電位の(a)点は、電源Vccにプルアップされている。したがって、図2の(3)に示すように、(a)点の電位は、ほぼ電源電圧の1015(V)に等しい。(b)点では、インバータIC1によって(a)点のロジックと反転するので、1000(V)を示す。RSフリップフロップIC3のS入力は、”ロウレベルとなっている。
【0023】
被伝達信号がハイに変化し、これにより信号線P1から出力される立ち上がりエッジ信号がハイに変化すると、この信号がゲートG1に入力されて第1レベルシフトトランジスタAがオンし、第1レベルシフトトランジスタAのソースS1とドレインD1間が導通する。したがって、(a)点の電位は、電源Vccの電圧の1015(V)からツェナーダイオードZD1の降伏電圧約15(V)を引いた値である約1000(V)となる。(b)点の電位は、インバータIC1によって(a)点のロジックと反転するので、1015(V)を示す。RSフリップフロップIC3のS入力は、ハイレベルとなる。
立ち上がりエッジ信号がオンしているT21期間は、この状態が維持される。
【0024】
立ち上がりエッジ信号がオフすると、(a)点の電位は、ほぼ電源電圧の1015(V)に戻り、(b)点の電位は、オフ状態の1000(V)に戻る。RSフリップフロップIC3のS入力は、ロウレベルに戻る。
被伝達信号がハイであるT2期間はこの状態が維持される。
【0025】
被伝達信号がロウに変化し、これにより信号線P2から出力される立ち下がりエッジ信号がハイに変化すると、この信号がゲートG2に入力されて第2レベルシフトトランジスタBがオンし、第2レベルシフトトランジスタBのソースS2とドレインD2間が導通する。したがって、(c)点の電位は、電源Vccの電圧の1015(V)からツェナーダイオードZD2の降伏電圧約15(V)を引いた値である約1000(V)となる。(d)点の電位は、インバータIC2によって(c)点のロジックと反転するので、1015(V)を示す。RSフリップフロップIC3のR入力は、“ハイレベルとなる。
立ち下がりエッジ信号がオンしているT31期間は、この状態が維持される。
【0026】
立ち下がりエッジ信号がオフすると、(c)点の電位は、ほぼ電源電圧の1015(V)に戻り、(d)点の電位は、オフ状態の1000(V)に戻る。RSフリップフロップIC3のR入力は、“ロウレベルに戻る。
被伝達信号がロウであるT3期間はこの状態が維持される。
【0027】
RSフリップフロップIC3のS入力に、(b)点の電位が入力される。また、RSフリップフロップIC3のR入力に、(d)点の電位が入力される。これにより、RSフリップフロップIC3のQ出力である(e)点の電位は、図2の(8)に示すように、図2の(b)の電位の変化に応じて(すなわち、立ち上がりエッジ信号の立ち上がりに応じて)1000Vのロウレベルから1015(V)のハイレベルにセットされる。そして、図2の(d)の電位の変化に応じて(すなわち、立ち下がりエッジ信号の立ち上がりに応じて)1015Vのハイレベルから1000(V)のロウレベルにリセットされる。
これにより、図2の(1)に示す低電位回路領域10の被伝達信号が、高電位回路領域30で復元される。低電位回路領域10では10Vと15Vの間で変化していた被伝達信号が、高電位回路領域30では1000Vと1015Vの間で変化する信号に変換される。
【0028】
半導体装置1では、上記した機能を有する第1レベルシフトトランジスタAと第2レベルシフトトランジスタBを、分離領域20内に、複数個に分割して形成する。第1レベルシフトトランジスタAを形成する複数個のトランジスタの各々を第1トランジスタTr1という。また、第2レベルシフトトランジスタBを形成する複数個のトランジスタの各々を第2トランジスタTr2という。
【0029】
図3は、半導体装置1をその上面から見た図である。
前述したように、高電位回路領域30は、低電位回路領域10内に島状に形成されている。高電位回路領域30の周りを分離領域20が一巡している。分離領域20は、略四角形の高電位回路領域30を包囲する帯状に形成されている。
分離領域20は、第1絶縁膜26bで、高電位回路領域30から電気的に絶縁分離されている。また、分離領域20は、第2絶縁膜26aで、低電位回路領域10から電気的に絶縁分離されている。分離領域20は、高電位回路領域30と低電位回路領域10の双方から絶縁分離されている。
分離領域20は、幅方向に伸びる絶縁膜26cで分割されている。絶縁膜26cは、第1絶縁膜26bから第2絶縁膜26aまで達している。絶縁膜26cは、隣接する絶縁膜26c同士の間に間隔が確保されるピッチで、分離領域20の長さに沿って、繰り返し形成されている。これにより、分離領域20は、電気的に分離された複数の半導体領域に分割されている。
分割された複数の半導体領域は、後述する半導体領域22(図3で、粗いピッチのハッチで示す領域)と、半導体領域24(図3で、白抜きで示す領域)と半導体領域27(図3で、細かいピッチのハッチで示す領域)を備えている。分割された半導体領域は、半導体領域22,24,27,24の順序が繰り返されているパターンを形成している。
【0030】
各半導体領域22に、第1レベルシフトトランジスタAを構成する第1トランジスタTr1が形成されている。また、各半導体領域27に、第2レベルシフトトランジスタBを構成する第2トランジスタTr2が形成されている。そして、各半導体領域24には、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2を、間隔を開けて分割するためのダイオードDが形成されている。
【0031】
図4を用い、第1トランジスタTr1を形成する半導体領域22の詳細な構成を説明する。
半導体領域22は、p型の不純物(典型的にはボロン)を高濃度に含む単結晶シリコンの半導体基板2と、その半導体基板2上に形成されている酸化シリコン(SiO2)の埋込み絶縁膜3と、その埋込み絶縁膜3上に形成されている半導体層4を備えている。半導体基板2、埋込み絶縁膜3及び半導体層4の積層構造は、一般的にSOI(Silicon On Insulator)基板と称される。
【0032】
高電位回路領域30の外周に沿って、n型ウェル半導体領域29が形成されている。n型ウェル半導体領域29に沿って、n型ウェル半導体領域29を一巡する絶縁膜26bが形成されている。絶縁膜26bは、半導体層の表面から埋め込み絶縁層3まで伸びている。分離領域20は、絶縁膜26b(第1分離部)によって、高電位回路領域30から絶縁分離されている。
分離領域20の内周側寄り(第1分離部寄り)には、n型(第1導電型)のドリフト領域39が形成されている。その表面の一部に、n+型のドレイン領域43(第1半導体領域)が形成されている。n+型のドレイン43は、絶縁膜26bが伸びている方向と平行に伸びている。
【0033】
低電位回路領域10の内周に沿って、p型ウェル半導体領域28が形成されている。p型ウェル半導体領域28に沿って、p型ウェル半導体領域28を一巡する絶縁膜26aが形成されている。絶縁膜26aは、半導体層の表面から埋め込み絶縁層3まで伸びている。分離領域20は、絶縁膜26a(第2分離部)によって、低電位回路領域10から絶縁分離されている。
分離領域20の外周側寄り(第2分離部寄り)には、p型(第2導電型)のボディ領域45が形成されている。その表面の一部に、p+型のボディコンタクト領域41が形成されている。p+型のボディコンタクト41は、絶縁膜26aが伸びている方向と平行に伸びている。
第1トランジスタTr1を形成する領域22では、p+型のボディコンタクト領域41に沿って、n+型のソース領域42が形成されている。図示はされていないが、第2トランジスタTr1を形成する領域27でも、p+型のボディコンタクト領域41に沿って、n+型のソース領域42が形成されている。これに対し、ダイオードを形成する領域24では、n+型のソース領域42が形成されていない。
【0034】
p型のボディ領域45と、n型のドリフト領域39の間には、n型の中間半導体領域40が形成されている。
n型の中間半導体層40の表面であって、p型のボディ領域45とn型のドリフト領域39から離間した範囲に、p型のリサーフ層44が形成されている。リサーフ層44の上部には、リサーフ層44に接するフィールド絶縁膜46が形成されている。リサーフ層44と、フィールド絶縁膜46は、絶縁膜26a,26bと平行に伸びている。
埋め込み絶縁層3と接している中間半導体層40の裏側部分には、n+型の半導体領域48が伸びている。n+型の半導体領域48は、n型のドリフト領域39に接している。n+型の半導体領域48は、p型ボディ領域45とは接しておらず、半導体装置1の表面にも臨んでいない。
【0035】
フィールド酸化膜46からn+型のソース領域42までの半導体層4の表面には、絶縁膜47aが形成されている。さらに、フィールド酸化膜46からn+型のドレイン領域43までの半導体層4の表面には、絶縁膜47bが形成されている。
絶縁膜47aと、フィールド酸化膜46の一部を覆う範囲に、ゲート電極52が形成されている。n+型のドレイン領域43と、絶縁膜47bと、フィールド酸化膜46の一部を覆う範囲に、ドレイン電極54が形成されている。図示はされていないが、p+型のボディコンタクト41と、n+型のソース領域42の表面には、ソース電極が形成されている。
【0036】
半導体領域22には、その断面に示されているように、n+型のドレイン領域43(第1導電型の第1半導体領域)と、p型ボディ領域45(第2導電型の第2半導体領域)と、n+型のソース領域42(第1導電型の第3半導体領域)と、ドレイン領域43とソース領域42を隔てている範囲のボディ領域45に絶縁層47aを隔てて対向するゲート電極52が形成されれており、これによって、横型のMOSFETである第1トランジスタTr1を構成している。
半導体領域22のn+型のソース領域42は、第1トランジスタTr1のソース領域に対応する。半導体領域22のp型ボディ領域45は、第1トランジスタTr1のボディ領域に対応する。半導体領域22のn+型のドレイン領域43は、第1トランジスタTr1のドレイン領域に対応する。半導体領域22のゲート電極52は、第1トランジスタTr1のゲート電極に対応する。半導体領域22のドレイン電極54は、第1トランジスタTr1のドレイン電極に対応する。なお、図示していないが、ソース領域42には、第1トランジスタTr1のソース電極を接続する。
【0037】
そして、ソース電極(図1に示すソースS1)に0Vを印加し、ドレイン電極(図1に示すドレインD1)に、高電位回路領域30の電源Vccを印加し、ゲート電極52に所定のゲート電圧(図1、図2に示す立ち上がりエッジ信号のオン電圧)を印加すると、ゲート電極52と絶縁膜47aを介して対向しているp型のボディ領域45の極性が反転し、チャネル領域が形成される。これにより、ソース領域42から中間半導体層40を介してn+型のドレイン領域43にキャリアが移動し、第1トランジスタTr1がオン状態となる。
【0038】
なお、埋め込み絶縁層3と接するように形成されたn型の半導体領域48により、中間半導体層40の裏側部分と埋め込み絶縁層3の接合界面の臨界電界を高くし、埋め込み絶縁層3が負担できる電圧を向上させることができる。そのことによって、耐圧の高い半導体装置1を構成することができる。なお、n型の半導体領域48については、本願出願人による出願である特願2005−367417号の明細書に、その構成及び効果を詳述してあるので参考にされたい。
【0039】
第2トランジスタTr2を形成している半導体領域27の構造は、上述した第1トランジスタTr1を形成している半導体領域22の構造と等しい。図4では省略しているが、半導体領域27は、半導体領域24の奥に配置されている(併せて図3参照)。
半導体領域27に形成されたn+型のソース領域42は、第2トランジスタTr2のソース領域に対応する。半導体領域27に形成されたp型ボディ領域45は、第2トランジスタTr2のボディ領域に対応する。半導体領域27に形成されたn+型のドレイン半導体領域43は、第2トランジスタTr2のドレイン領域に対応する。半導体領域27のゲート電極52は、第2トランジスタTr2のゲート電極に対応する。半導体領域22のドレイン電極54は、第2トランジスタTr2のドレイン電極に対応する。なお、図示していないが、ソース領域42には、第2トランジスタTr2のソース電極を接続する。
ソース電極(図1に示すソースS2)に0Vを印加し、ドレイン電極(図1に示すのドレインD2)に、高電位回路領域30の電源Vccを印加し、ゲート電極52に所定のゲート電圧(図1、図2に示す立ち下がりエッジ信号のオン電圧)を印加すると、ゲート電極52と絶縁膜47aを介して対向しているp型のボディ領域45の極性が反転し、チャネル領域が形成される。これにより、ソース領域42から中間半導体層40を介してn+型の半導体領域43(ドレイン領域)にキャリアが移動し、第2トランジスタTr2がオン状態となる。
【0040】
次に、ダイオードDを形成する半導体領域24の構成について説明する。
半導体領域22,27と同様、ドレイン領域43と、ドリフト領域39と、ボディ領域45と、ドレイン電極54と、電極52が、絶縁膜26a,26bに沿う方向に伸びている。
半導体領域22,27にはソース領域42が形成されているが、半導体領域24にはソース領域42が形成されていない。半導体領域24では、半導体領域22,27でソース領域42が形成されている領域に、p+型の半導体領域61が伸びている。半導体領域24のその他の構成は、半導体領域22,27と同様である。
半導体領域24に形成されたp+型の半導体領域61は、ダイオードDのアノード領域に対応する。半導体領域24に形成されたn+型の半導体領域43(半導体領域22,27では、ドレイン領域)は、ダイオードDのカソード領域に対応する。半導体領域24の電極52(半導体領域22,27では、ゲート電極)は、ダイオードDのアノード電極に対応する。半導体領域24の電極54(半導体領域22,27では、ドレイン電極)は、ダイオードDのカソード電極に対応する。
ダイオードDのアノード電極(ゲート電極52)は低電位回路に接続され、ダイオードDのカソード電極(ドレイン電極54)は高電位回路に接続されている。すなわち、ダイオードDには常の逆バイアス電圧が印加されており、アノード電極(ゲート電極52)とカソード電極(ドレイン電極54)は非導通状態に維持される。
半導体領域24に形成されたダイオードDは、非導通領域を提供し、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2を電気的に絶縁分離するとともに、半導体領域22に形成されている第1トランジスタTr1と半導体領域27に形成されている第2トランジスタTr2の間の間隔を開けている。
【0041】
本実施例の半導体装置1では、低電位回路領域10から高電位回路領域30に、複数の第1トランジスタTr1で構成された第1レベルシフトトランジスタAを介して、被伝達信号の立ち上がりのタイミングが伝達される。また、複数の第2トランジスタTr2で構成された第2レベルシフトトランジスタTr2を介して、被伝達信号の立ち下がりのタイミングが伝達される。これにより、高電位回路領域30で、被伝達信号を復元することができる。各第1トランジスタTr1は、立ち上がりエッジ信号がオンしている間だけオンする。各第2トランジスタTr2は、立ち下がりエッジ信号がオンしている間だけオンする。したがって、各トランジスタTr1,Tr2がオン状態となっている時間が少ない。すなわち、第1レベルシフトトランジスタAと第2レベルシフトトランジスタBの消費電力を低減することができる。
【0042】
さらに、本発明の半導体装置1では、第1レベルシフトトランジスタAを構成する第1トランジスタTr1を複数個に分割して分散して配置している。また、第2レベルシフトトランジスタBを構成する第2トランジスタTr2を複数個に分割して分散して配置している。したがって、第1レベルシフトトランジスタAがオン状態となることにより発熱する半導体領域を2以上の半導体領域で分担することができる。同様に、第2レベルシフトトランジスタBがオン状態となることにより発熱する半導体領域を2以上の半導体領域で分担することができる。
さらに、本発明の半導体装置1では、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2が、絶縁膜26c及びダイオードDを挟んで交互に形成されている。第1トランジスタTr1は、被伝達信号の立ち上がりを示す信号を出力するトランジスタであり、第2トランジスタTr2は、被伝達信号の立ち下りを示す信号を出力するトランジスタである。したがって、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2は、双方が同時にオンすることがない。同時にオンすることがないトランジスタが、ダイオードD形成領域の間隔をもって交互に形成されているので熱が発散し易い。
これにより、低電位回路領域10と高電位回路領域30との間で信号の伝達を媒介する第1レベルシフトトランジスタAと第2レベルシフトトランジスタBの過熱を抑制し、半導体装置1の過熱を抑制することができる。
【0043】
また、本実施例の半導体装置1は、低電位回路領域10と高電位回路領域30を分離する分離領域20を備えている。そして、その分離領域20に、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2とダイオードDを備えている。これにより、各トランジスタの出力配線(例えば、ドレイン電極配線)が、両回路領域間を直接的に跨ぐことがない。半導体装置1の耐圧を向上させることができる。
また、半導体装置1は分離領域20を備え、その幅方向に主電流が流れる横型のトランジスタ構造を第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2に採用しているので、第1トランジスタTr1とダイオードDと第2トランジスタTr2とダイオードDの繰り返しパターンを容易に形成することができる。
また、半導体装置1の高電位回路領域30は、低電位回路領域10内に分離領域20に囲まれて形成されている。これにより、半導体装置1の耐圧を向上させることができる。
【0044】
また、本実施例の半導体装置1では、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2を分割するために、ダイオードDを採用している。ダイオードDを構成している半導体領域24は、第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2を構成している半導体領域22,27とその構造が類似している。半導体領域22,27には、ソース領域42が設けられているが、半導体領域24には、ソース領域が設けられていない点が相違する。非導通領域としてこのようなダイオードDを形成すれば、非導通領域を形成するために特別な工程を必要とすることがない。例えば、この領域に幅の広いトレンチを掘って絶縁物で埋める等の工程を必要としない。したがって、非導通領域を容易に形成することができる。
【0045】
また、本実施例の半導体装置1は、埋め込み絶縁層3を備えるSOI(Sillicon On Insulator)である。SOIはサージ電圧等に対する耐圧が高いが、発生した熱が発散され難く、熱がこもりやすく、半導体装置が過熱し易いことが知られている。半導体装置1によれば、低電位回路領域10と高電位回路領域30間で信号を伝達する際に発生する熱を発散し易くし、半導体装置1の過熱を防止することができる。
また、本実施例の半導体装置1は、埋め込み絶縁層3と接するように形成されたn型の半導体領域48を備えている。これにより、中間半導体層40の裏側部分と埋め込み絶縁層3の接合界面の臨界電界を高くし、埋め込み絶縁層3が負担できる電圧を向上させることができる。そして、耐圧の高い半導体装置1を構成することができる。
【0046】
本実施例では、第1トランジスタTr1を構成する半導体領域22と、絶縁膜26cと、ダイオードDを構成する半導体領域24と、絶縁膜26cと、第2トランジスタTr2を構成する半導体領域27と、絶縁膜26cと、ダイオードDを構成する半導体領域24と、絶縁膜26cの順序が繰り返されるバターンを、分離領域20の延伸方向に形成する場合について説明したが、ダイオードDを形成する半導体領域24は形成しなくてもよい。図5の上面図に示す半導体装置1aでは、半導体領域22と、絶縁膜26cと、半導体領域27と、絶縁膜26cの順序が繰り返されるバターンを、分離領域20の延伸方向に形成している。この場合、絶縁膜26cが、請求項で言う「非導通領域」に対応する。
【0047】
(第2実施例)
本発明を具現化した半導体装置の第2実施例を、図6を参照して説明する。
第2実施例の半導体装置1bは、第1実施例で説明した第1トランジスタTr1及び第2トランジスタTr2が、それぞれが絶縁膜に囲まれて分割された分離領域20内で、さらに複数に分割されて形成されている。
図6は、半導体装置1bの上面図である。以降、半導体装置1(併せて図4参照)と相違する構成のみについて説明する。
半導体装置1bでは、第1トランジスタTr1が、半導体領域22の中で、さらに複数の領域に分割して形成されている。
半導体領域22では、上面から見ると、p+型の半導体領域41aの3箇所に凹部が設けられている。これらの凹部に、ソース領域42aが形成されている。
p+型の半導体領域41aに囲まれてソース領域42aが形成されている断面は、第1実施例の第1トランジスタTr1を構成する半導体領域22と同様の断面になるように構成されている。したがって、この断面を有する領域では、ソース電極がグランドに接続され、ドレイン電極に高電位回路領域30の電源Vccを印加し、ゲート電圧を印加すると、電極52と絶縁膜47cを介して対向しているp型のボディ領域45の極性が反転し、チャネル領域が形成される。これにより、ソース領域42から中間半導体層40を介してn+型の半導体領域43aにキャリアが移動し、この部分で形成されている第1トランジスタTr1がオン状態となる。
一方、p+型の半導体領域41aに囲まれているソース領域42aが形成されていない断面では、第1実施例のダイオードDを構成する半導体領域24と同様の断面となる。この部分は、電子を放出するソース領域が存在しないため、キャリアが移動することがなく、非導通領域とすることができる。
第2トランジスタTr2もトランジスタTr1と同様に、半導体領域27の中で、さらに複数の領域に分割して形成されている。
【0048】
本実施例の半導体装置1bによれば、絶縁膜26cで囲まれた半導体領域22,27の中に形成する第1トランジスタTr1と第2トランジスタTr2の各々を、複数の領域に分割して形成することができる。トランジスタが形成されない領域により、トランジスタが形成される領域を複数個に分割し、トランジスタが形成される領域間の間隔を確保することができる。したがって、個々の第1トランジスタや個々の第2トランジスタが発生する熱を周囲に効率的に伝熱することができる。
また、トランジスタを形成する領域とダイオードを形成する領域を、ソース領域42aを形成するか否かで決定することができる。その他は、双方同じ構成であるので、トランジスタを形成する領域に、選択的に簡単にダイオードDである被導通領域を形成することができる。
以上では、ソース領域42を複数個に分割することで、半導体領域22内の第1トランジスタTr1と半導体領域27内の第2トランジスタTr2を複数個に分割した例を示したが、ソース領域42に代えてドレイン領域43を複数個に分割してもよいし、ゲート電極52を複数個に分割してもよい。ソース領域42と、ドレイン領域43と、ゲート電極52のうちの少なくとも一つを、複数個に分割すれば、発熱箇所を分散し、1位置あたりの発熱量を減少することができる。
【0049】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0050】
本実施例では、半導体装置が、低電位回路領域10から高電位回路領域30に伝達する被伝達信号の立ち上がりのタイミングでオンする第1レベルシフトトランジスタAと、被伝達信号の立ち下がりのタイミングでオンする第2レベルシフトトランジスタBを備えている場合について説明した。図6に示すように、半導体装置が、高電位回路領域30から低電位回路領域10に伝達する被伝達信号の立ち上がりのタイミングをでオンする第3レベルシフトトランジスタEと、被伝達信号の立ち下がりのタイミングをでオンする第4レベルシフトトランジスタFを備えていてもよい。もちろん、双方向のレベルシフトトランジスタ(第1レベルシフトトランジスタA〜第4レベルシフトトランジスタF)を備えていてもよい。この場合には、高電位回路領域30bは、高電位回路領域30から低電位回路領域10に伝達する被伝達信号の立ち上がりエッジ信号を出力する信号線P3を備えている。また、高電位回路領域30bは、被伝達信号の立ち下がりエッジ信号を出力する信号線P4を備えている。
【0051】
図7に示すように、高電位回路領域30bの信号線P3は、分離領域20bに形成されている第3レベルシフトトランジスタEのゲートG3に接続されている。第3レベルシフトトランジスタEのドレインD3は、低電位回路領域10bの電源Vddに接続されている。第3レベルシフトトランジスタEのソースS3は、抵抗R3とツェナーダイオードZD4の並列回路を介し、接地されている。なお、ツェナーダイオードZD4は、カソードがソースS3に接続され、アノードが接地されている。また、第3レベルシフトトランジスタEのソースS3は信号を反転するインバータIC4aと、さらにその信号を反転するインバータIC4bの直列回路に接続されている。インバータIC4bの出力側は、RSフリップフロップIC8のS端子に接続されている。
【0052】
高電位回路領域30bの信号線P4は、分離領域20bに形成されている第4レベルシフトトランジスタFのゲートG4に接続されている。第4レベルシフトトランジスタFのドレインD4は、低電位回路領域10bの電源Vddに接続されている。第4レベルシフトトランジスタFのソースS4は、抵抗R4とツェナーダイオードZD5の並列回路を介し、接地されている。なお、ツェナーダイオードZD5は、カソードがソースS4に接続され、アノードが接地されている。また、第4レベルシフトトランジスタFのソースS4は信号を反転するインバータIC5aと、さらにその信号を反転するインバータIC5bの直列回路に接続されている。インバータIC5bの出力側は、RSフリップフロップIC8のR端子に接続されている。
この構成により、被伝達信号の立ち上がりのタイミングと立ち下がりのタイミングを高電位回路領域30bから低電位回路領域10bに伝達することができる。そして、低電位回路領域10bで、容易に被伝達信号を復元することができる。高電位回路領域30bでは1000Vと1015Vの間で変化していた被伝達信号が、低電位回路領域10bでは10Vと15Vの間で変化する信号に変換される。
上記第3レベルシフトトランジスタEを、低電位回路領域10bと高電位回路領域30bの双方から絶縁分離されている分離領域20bに、複数個に分割して形成する。第3レベルシフトトランジスタEを形成する複数個のトランジスタの各々を第3トランジスタTr3という。また、第4レベルシフトトランジスタFを形成する複数個のトランジスタの各々を第4トランジスタTr4という。図3に示す半導体装置1の場合と同様、分離領域20bは、第3トランジスタTr3を形成している半導体領域、ダイオードを形成ている半導体領域、第4トランジスタを形成している半導体領域、ダイオードを形成している半導体領域の順序が繰り返されるパターンを形成している。
【0053】
また、本実施例では、半導体装置が、p型のリサーフ層44を備えている場合について説明したが、本発明を適用した半導体装置は、リサーフ層44を備えていなくてもよい。ただし、本実施例のように、リサーフ層44を備えているとともに、ゲート電極52を、リサーフ層44の表面に形成されたフィールド酸化膜46の一部を覆う範囲に形成することにより、オフ時の電界集中を緩和することができる。
【0054】
また、本実施例では、半導体装置が、半導体層4の裏面側に埋め込み絶縁層3に接するn型の半導体領域48を備えている場合について説明したが、本発明を適用した半導体装置は、n型の半導体領域48を備えていなくてもよい。ただし、本実施例のように、n型の半導体領域48を備えることにより、埋め込み絶縁層3と半導体層4との接合界面の臨界電界を大きくすることができる。
また、本実施例では、半導体装置がSOI構造を有する場合について説明したが、本発明を適用した半導体装置はSOI構造を有していなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】半導体装置1において、第1レベルシフトトランジスタA及び第2レベルシフトトランジスタBを用い、低電位回路領域10から高電位回路領域30に被伝達信号を伝達する部分の回路図である。
【図2】図1に示した回路図の各部の状況を示すタイミングチャート図である。
【図3】半導体装置1の平面図である。
【図4】半導体装置1の、第1トランジスタTr1及びダイオードDの構成を示す断面図である。
【図5】半導体装置1aの、第1トランジスタTr1及びダイオードDの構成を示す断面図である。
【図6】半導体装置1bの、第1トランジスタTr1及びダイオードDの構成を示す断面図である。
【図7】第3レベルシフトトランジスタEと第4レベルシフトトランジスタFを用い、高電位回路領域30bから低電位回路領域10bに被伝達信号を伝達する部分の回路図である。
【符号の説明】
【0056】
1,1a,1b 半導体装置
2 半導体基板
3 埋め込み絶縁層
4 半導体層
10,10b 低電位回路領域
20,20b 分離領域
22,24,27 半導体領域
26a,26b,26c 絶縁層
28 p型のウェル半導体領域
29 n型のウェル半導体領域
30,30b 高電位回路領域
39 ドリフト領域
40 中間半導体層
41,41a p+型の半導体領域
42,42a n+型のソース領域
43,43a n+型の半導体領域
44 リサーフ層
45 ボディ領域
46 フィールド酸化膜
47a,47b,47c,47d 絶縁膜
48 n型の半導体領域
52 ゲート電極
54 ドレイン電極
A 第1レベルシフトトランジスタ
B 第2レベルシフトトランジスタ
E 第3レベルシフトトランジスタ
F 第4レベルシフトトランジスタ
Tr1 第1トランジスタ
Tr2 第2トランジスタ
Tr3 第3トランジスタ
Tr4 第4トランジスタ
P1,P2,P3,P4 信号線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
低電位回路領域と、
低電位回路領域から絶縁分離されている高電位回路領域と、
低電位回路領域と高電位回路領域の双方から絶縁分離されている分離領域を有し、
分離領域内に、複数個の第1トランジスタと複数個の第2トランジスタが形成されており、
各々の第1トランジスタは、低電位回路領域と高電位回路領域のうちの一方の回路領域から他方の回路領域に伝達する信号であって、ハイとロウの間で変化する信号の立ち上がりタイミングにオンし、
各々の第2トランジスタは、前記信号の立ち下がりタイミングにオンし、
第1トランジスタと非導通領域と第2トランジスタと非導通領域の順序が繰り返されるパターンで、前記分離領域内に複数個の第1トランジスタと複数個の第2トランジスタが配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記一方の回路領域が低電位回路領域であることを特徴とする請求項1の半導体装置。
【請求項3】
前記非導通領域は、トレンチを充填している絶縁層で形成されていることを特徴とする請求項1又は2の半導体装置。
【請求項4】
前記非導通領域は、トレンチを充填している絶縁層と、n型領域が高電位に接続されているダイオードで形成されていることを特徴とする請求項1又は2の半導体装置。
【請求項5】
前記高電位回路領域と前記分離領域を分離する第1分離部と、
前記低電位回路領域と前記分離領域を分離する第2分離部と、
前記分離領域内の前記第1分離部側に形成されている第1導電型の第1半導体領域と、
前記分離領域内の前記第2分離部側に形成されている第2導電型の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域内において表面に臨んで形成されている第1導電型の第3半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第3半導体領域を分離している前記第2半導体領域に絶縁膜を介して対向しているゲート電極を備えており、
同一導電型の第1半導体領域と第3半導体領域と、それらを分離している反対導電型の第2半導体領域と、その第2半導体領域に絶縁膜を介して対向しているゲート電極によって、電界効果型の前記第1トランジスタと電界効果型の前記第2トランジスタが形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの半導体装置。
【請求項6】
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域と前記第3半導体領域と前記ゲート電極の各々は、前記第1分離部と前記第2分離部に沿う方向に伸びており、
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域と前記第3半導体領域と前記ゲート電極を横断して前記第1分離部から前記第2分離部に達する複数個の前記非導通領域が、隣接する非導通領域同士の間に間隔を置いて配置されており、
前記非導通領域の一方側に前記第1トランジスタが位置し、前記非導通領域の他方側に前記第2トランジスタが位置する規則に従って、前記方向に沿って、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタが交互に配置されていることを特徴とする請求項5の半導体装置。
【請求項7】
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域と前記ゲート電極の各々は、隣接する前記非導通領域同士の間を、前記第1分離部と前記第2分離部に沿って伸びており、
前記第3半導体領域は、隣接する前記非導通領域同士の間において、前記第1分離部と前記第2分離部に沿って複数個に分割されており、分割された第3半導体領域同士の間に間隔が確保されていることを特徴とする請求項6の半導体装置。
【請求項8】
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域と前記第3半導体領域と前記ゲート電極の各々は、前記第1分離部と前記第2分離部に沿う方向に伸びており、
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域と前記第3半導体領域と前記ゲート電極を横断して前記第1分離部から前記第2分離部に達する複数個の絶縁膜が、隣接する絶縁膜同士の間に間隔を置いて配置されており、
前記絶縁膜の一方側には前記第3半導体領域が形成されており、前記絶縁膜の他方側には前記第3半導体領域が形成されていないことを特徴とする請求項5の半導体装置。
【請求項9】
半導体基板と、前記半導体基板の上に形成されている埋め込み絶縁層と、前記埋め込み絶縁層の上に形成されている半導体層を備えており、
その半導体層に、前記低電位回路領域と高電位回路領域と分離領域が形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかの半導体装置。
【請求項1】
低電位回路領域と、
低電位回路領域から絶縁分離されている高電位回路領域と、
低電位回路領域と高電位回路領域の双方から絶縁分離されている分離領域を有し、
分離領域内に、複数個の第1トランジスタと複数個の第2トランジスタが形成されており、
各々の第1トランジスタは、低電位回路領域と高電位回路領域のうちの一方の回路領域から他方の回路領域に伝達する信号であって、ハイとロウの間で変化する信号の立ち上がりタイミングにオンし、
各々の第2トランジスタは、前記信号の立ち下がりタイミングにオンし、
第1トランジスタと非導通領域と第2トランジスタと非導通領域の順序が繰り返されるパターンで、前記分離領域内に複数個の第1トランジスタと複数個の第2トランジスタが配置されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記一方の回路領域が低電位回路領域であることを特徴とする請求項1の半導体装置。
【請求項3】
前記非導通領域は、トレンチを充填している絶縁層で形成されていることを特徴とする請求項1又は2の半導体装置。
【請求項4】
前記非導通領域は、トレンチを充填している絶縁層と、n型領域が高電位に接続されているダイオードで形成されていることを特徴とする請求項1又は2の半導体装置。
【請求項5】
前記高電位回路領域と前記分離領域を分離する第1分離部と、
前記低電位回路領域と前記分離領域を分離する第2分離部と、
前記分離領域内の前記第1分離部側に形成されている第1導電型の第1半導体領域と、
前記分離領域内の前記第2分離部側に形成されている第2導電型の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域内において表面に臨んで形成されている第1導電型の第3半導体領域と、
前記第1半導体領域と前記第3半導体領域を分離している前記第2半導体領域に絶縁膜を介して対向しているゲート電極を備えており、
同一導電型の第1半導体領域と第3半導体領域と、それらを分離している反対導電型の第2半導体領域と、その第2半導体領域に絶縁膜を介して対向しているゲート電極によって、電界効果型の前記第1トランジスタと電界効果型の前記第2トランジスタが形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかの半導体装置。
【請求項6】
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域と前記第3半導体領域と前記ゲート電極の各々は、前記第1分離部と前記第2分離部に沿う方向に伸びており、
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域と前記第3半導体領域と前記ゲート電極を横断して前記第1分離部から前記第2分離部に達する複数個の前記非導通領域が、隣接する非導通領域同士の間に間隔を置いて配置されており、
前記非導通領域の一方側に前記第1トランジスタが位置し、前記非導通領域の他方側に前記第2トランジスタが位置する規則に従って、前記方向に沿って、前記第1トランジスタと前記第2トランジスタが交互に配置されていることを特徴とする請求項5の半導体装置。
【請求項7】
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域と前記ゲート電極の各々は、隣接する前記非導通領域同士の間を、前記第1分離部と前記第2分離部に沿って伸びており、
前記第3半導体領域は、隣接する前記非導通領域同士の間において、前記第1分離部と前記第2分離部に沿って複数個に分割されており、分割された第3半導体領域同士の間に間隔が確保されていることを特徴とする請求項6の半導体装置。
【請求項8】
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域と前記第3半導体領域と前記ゲート電極の各々は、前記第1分離部と前記第2分離部に沿う方向に伸びており、
前記第1半導体領域と前記第2半導体領域と前記第3半導体領域と前記ゲート電極を横断して前記第1分離部から前記第2分離部に達する複数個の絶縁膜が、隣接する絶縁膜同士の間に間隔を置いて配置されており、
前記絶縁膜の一方側には前記第3半導体領域が形成されており、前記絶縁膜の他方側には前記第3半導体領域が形成されていないことを特徴とする請求項5の半導体装置。
【請求項9】
半導体基板と、前記半導体基板の上に形成されている埋め込み絶縁層と、前記埋め込み絶縁層の上に形成されている半導体層を備えており、
その半導体層に、前記低電位回路領域と高電位回路領域と分離領域が形成されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかの半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2008−131004(P2008−131004A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−317573(P2006−317573)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]