説明

基板上の堆積層を硬化させるシステム及び方法

【課題】印刷したエレクトロニクスの簡略化した製造、処理量、装置のコスト及び寸法の軽減、必要な硬化エネルギの量の減少、硬化過程中に放出される揮発性有機化合物減少を実現する硬化方法及びシステムを提供する。
【解決手段】少なくとも1つの堆積層を有する基板を支持する平坦な支持面と、少なくとも1つの堆積層を硬化させる少なくとも1つの硬化装置と、全体的な硬化過程を制御する制御システムとを含む硬化システムが提供される。硬化装置は、少なくとも1つのレーザと、レンズモジュールと、選択随意的な変調器とを含む。硬化する間、レーザから放出された光ビームは、1)レーザ光の焦点合わせしたビームを堆積層の所望の照射領域まで導くようにX−Yビームの偏向モジュールの位置を制御すること、2)レーザの位置をX−Yテーブルを介して制御すること、又は3)基板の位置をX−Yテーブルを介して制御することにより堆積層に向けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、印刷したエレクトロニクスの印刷層を含んで、基板上に堆積させた層を硬化させるシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
導電性ポリマー及び半導性ポリマーは、近年、利用可能となっている。導電性ポリマー及び半導性ポリマーと共に従来の絶縁性ポリマーを使用することは、多数の基板上にてマイクロ電子構成要素又は完全に又は部分的に完全なデバイスを構築することを可能にする。製造することのできるマイクロ電子構成要素の幾つかの例は、キャパシタ、抵抗器、ダイオード及びトランジスタを含む一方、完全なデバイスの例は、RFIDタグ、センサ、フレキシブルディスプレイ等を含む。
【0003】
純粋に追加的な過程にて基板上にて層毎にポリマー又は同様のものを印刷する方法を含む、これらのポリマーにてエレクトロニクスを製造する幾つかの方法が現在、存在する。このような態様にて製造されたエレクトロニクスは、印刷したエレクトロニクスとして知られている。一例として、導電層を堆積させ、その後、絶縁層を堆積させ、次に、別の導電層を堆積させることによりキャパシタを製造することができる。より大きい静電容量を得るためには、この過程を繰り返すか、又は異なる材料又は材料の厚さを利用することができる。別の例として、導体層を堆積させ、ソース電極及びドレーン電極、半導体層、誘電層及びゲート電極を形成する別の導体層を形成することにより、トランジスタを形成することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
完全に機能的なデバイス(例えば、RFIDタグ)を形成する印刷したエレクトロニクスは、有機ポリマーのような低コストの導電性及び半導性材料が使用されるとき、極めて低コストにて製造することができ、類似の集積回路よりも多少、より経済的に製造することができると考えられる。かかる低コストの印刷したエレクトロニクスは、ケイ素系集積回路と直接、競合しないと予想される。しかし、印刷したエレクトロニクスは、ケイ素系集積回路と比較して、遥かに低コストにて製造し、例えば、低性能(例えば、低周波数、低パワー又はより短い寿命)を提供することができる。
【0005】
印刷したエレクトロニクスは、典型的に、湿式印刷過程にて堆積させた誘電体、導体及び半導体を含む1組みの材料を使用して形成される。これらは、通常、ポリマー、ポリマー前駆体、無機材料及び有機又は無機添加剤を保持する印刷可能な溶液、懸濁物又はエマルジョンである。採用可能である典型的な湿式印刷方法は、活版印刷、スクリーン印刷及びインクジェット印刷を含む。具体的には、これらの印刷可能な材料は、所望の順序にて基板上に堆積される。層が基板上に堆積されると、印刷したエレクトロニクスは、しばしば、大型の対流式炉を使用して硬化させる。
【0006】
しかし、これらの対流式炉は、大型であり、それらの加熱エレメントは、通常、製造過程中、連続的に作動させなければならないため、これらの対流式炉は、多量のエネルギを消費する。更に、これらは、例えば、1分間から5分間又はよりそれ以上の長い硬化時間を必要とする。対流式炉は、また、堆積層を選択的に硬化することを許容せず、それ以前に堆積させた材料を再加熱する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この概要は、以下の詳細な説明にて更に記載した簡略化した形態にて着想の特定のものを紹介するため掲げたものである。この概要は、請求項に記載した主題事項の重要な特徴を指摘することを意図するものではなく、また、請求項に記載した主題事項の範囲を判断するための助けとして使用することを意図するものでもない。
【0008】
本発明の特徴に従って、硬化システムが提供される。該システムは、堆積させた材料を有する基板を支持する平坦面を含む支持体と、光ビームを材料の堆積層の少なくとも一部分に放出することのできるレーザを備える硬化装置と、硬化装置と電気的に連通状態にて接続された制御システムとを備えている。
【0009】
本発明の別の特徴に従い、基板上に堆積させた複数の層を備える印刷したエレクトロニクスを製造する過程にて少なくとも1つの堆積層を硬化させる方法が提供される。該硬化方法は、レーザから光ビームを放出し、堆積層を放出した光ビームにて照射するステップと、光ビームを堆積層の選んだ部分まで動かすステップとを含む。
【0010】
本発明の別の特徴に従い、印刷したエレクトロニクスを製造する方法が提供される。該方法は、(a)平坦面を有する支持体を含む基板を支持するステップと、(b)印刷装置を介して、1つ又はより多くの材料を選んだパターンにて基板上に堆積させ、これにより複数の印刷層を形成するステップと、(c)印刷した層の各々の少なくとも一部分をレーザ硬化させるステップとを含む。
【0011】
本発明の実施の形態に従った硬化方法及びシステムは、印刷したエレクトロニクスの製造のため使用されたとき、印刷したエレクトロニクスの簡略化した製造、処理量の増大、装置のコスト及び寸法の軽減、必要な硬化エネルギの量の減少、また、可能であれば、硬化過程中に放出される揮発性の有機化合物の減少を含むが、これらにのみ限定されない、多数の利点及び有利な効果を提供することができる。この後者のファクタは、これらの蒸気を処理するのに必要な小型のフード、ファン及び関連した溶剤の取り扱い機器を許容し且つ、作業員に対する安全性の向上を許容する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の上記の特徴及び付随的な有利な効果の多くは、添付図面と共に、以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解されよう。
【0013】
次に、同様の番号は同様の要素に相応する添付図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について以下に説明する。以下の説明は、レーザを使用して基板上の堆積層を硬化させるシステム及び方法の例を提供するものである。本明細書にて説明した硬化システム及び方法の例は、構成要素、要素、完成した回路、部分的に完成した回路、デバイス及び同様のもののような、印刷したエレクトロニクスの製造に使用するのに適している。
【0014】
ここで、図1を参照すると、本発明の特徴に従って形成された、全体として参照番号20で示した、一例としての硬化システムを表わす概略図が示されている。全体的に説明して、システム20は、少なくとも1つの堆積層26を有する基板24を支持する平坦な支持面22と、少なくとも1つの堆積層26を硬化させる少なくとも1つの硬化装置28と、全体的な硬化過程を制御する制御システム32とを含む。
【0015】
ここで、図1を参照しつつ、システム20の構成要素について詳細に説明する。図1に示した実施の形態において、支持面22は、静止又は可動の床又はプラテン36の頂部により画成される。これらの実施の形態において、基板24は、手動にて又はインフィーダ、ピックアンドプレース材料取り扱い装置等のような自動型材料取り扱い装置(図示せず)によって、床又はプラテン34上に配置することができる。本発明のその他の実施の形態において、支持面22は、コンベアベルト、コンベア軌道、又は同様のもののような基板の前進装置(図示せず)の一部分とすることができる。基板24は、ウェブの形態とし、当該技術にて既知の基板の前進装置を介して硬化システム20に対して前進させることもできる。この実施の形態において、支持面22は、基板のウェブを支持する硬化装置の下方に配置された床又はプラテンにより画成することができる。
【0016】
硬化装置28は、基板上に堆積させた材料の1つ又はより多くの層を硬化させる装置である。堆積させた材料が印刷したエレクトロニクスを製造するため印刷される実施の形態において、硬化は、印刷した材料が望ましい電子的又は電気的性質を実現することを許容する。作動時、硬化装置28は、局所的加熱、溶剤の蒸発、化学的反応等によって材料層を硬化させる。堆積させた材料は、化学的反応を開始させ又は加速する触媒を含むことができることが理解されよう。
【0017】
図1に最も良く示したように、硬化装置28は、少なくとも1つのレーザ40と、レンズモジュール42と、選択随意的な変調器44とを含む。レーザ40は、堆積層26の少なくとも一部分を照射するレーザ光46の集中ビームを発生させることができる。任意のレーザ型式が本発明の実施の形態にて使用するのに適している。例えば、半導体レーザ、気体レーザ(ヘリウム−ネオン、アルゴン又は炭酸ガス)、エキシマレーザ等を使用することができる。選ばれるレーザの型式は、一部分、レーザが所望の硬化レベルを実現するのに十分なパワーを有するように、堆積させた材料の型式に依存することが理解されよう。特定の波長を有するレーザ又は可変の波長を有するレーザを採用し、硬化させる化学的反応を誘発させ又は堆積させた材料の硬化の触媒作用を行う添加剤を刺激することが望ましい。レーザ40は、制御システム32からの電気信号によって作動及び不作動を切り換えることができる。
【0018】
硬化システム28のレンズモジュール42は、レーザ40の下方に配設されている。レンズモジュール42は、レーザ40から放出された光46の焦点を調節することができ、これは、制御システム32からの電気信号により制御することができる。焦点の調節可能性は、例えば、基板24上の印刷したエレクトロニクス層のような、堆積た層26上にて望まれるレーザビームの照射領域を動的に維持する能力を提供する。また、十分なレーザパワーが利用可能である幾つかの実施の形態において、より大きい照射面積を形成し得るようレンズモジュール42を使用してレーザ光のビームを焦点外れ状態にすることも望ましい。このように、より大きい面積を一時に硬化させることができる。このことは、より短い硬化時間を実現することを可能にすることができる。照射領域を動的に制御することにより、所望の場合、小さい照射面積とするため、レンズモジュール42を再焦点決めすることにより、所望の場合に高分解能を実現することができる。
【0019】
硬化装置28は、選択随意的に、レンズモジュール42の下方に配置された変調器44を含むことができる。レンズモジュール42から出るレーザ光46のビームは、透過するレーザ光のビームの強さを変化させる形態とされた変調器44を通過する。かかる変調は、当該技術にて周知の幾つかの方法の1つにより行うことができる。変調器44が通過させる光の量は、制御システム32からの電気信号により制御することができる。
【0020】
図1に示した実施の形態において、硬化装置28は、従来のX−Yテーブル50上に取り付けられる。硬化装置28をX−Yテーブル50に取り付けることにより、レーザ40の動き、従って、レーザ光46のビームの配置は、所望の位置にて材料の層を硬化させ得るように平坦な支持面22に対して平行なXY面内にて都合よく制御できる。硬化装置28は、上述した実施の形態にてX−Yテーブル50上にて動き得るように取り付けられる一方、その他の形態も利用可能であることを理解すべきである。例えば、支持面22を画成する床又はプラテン36は、X−Yテーブル54上に取り付け且つ、図2の実施の形態にて最も良く示したように、硬化装置28に対して動かすことができる。これと代替的に、図3の実施の形態にて最も良く示したように、それに代えてX−Yビームの偏向モジュール56を利用してもよい。この実施の形態において、レーザ40、レンズモジュール42及び選択随意的な変調器44は、静止位置にて固定されている。レーザ光46のビームがレンズモジュール42又は選択随意的な変調器44から出るとき、X−Yビームの偏向モジュール56は、材料の堆積層を選んだ位置にて照射し得るようにX及びY方向の双方へのビーム角度を制御する。
【0021】
更に別の実施の形態において、適正な作動上の性能を提供するため、ハイブリッドシステムを利用することができる。この実施の形態において、ハイブリッドシステムは、レーザ光を一方向、例えば、X方向に偏向させるビーム偏向モジュールと、別の方向、例えば、Y方向に動くように基板を支持する動作テーブルとを含むことができる。かかるシステムは、X軸線にて高速度運動を有し、また、Y軸線に沿って高精度であるが、おそらく位置決めは遅いであろう。かかるハイブリッドシステムの第二の例において、X−Yビームの偏向モジュール56及びY−Y動作テーブル50及び(又は)54の双方を使用することができる。このシステムは、X及びY軸線の双方に沿ってレーザ光のビームを高速度にて且つ高精度にて配置することの双方を実現する。X−Y動作テーブル54は、支持面22及び基板24を静止レーザ40、レンズモジュール42等の下にて動かし、又はX−Y動作テーブル50は、レーザ40、レンズモジュール42等を支持面22上にて動かすことができる。
【0022】
上記に簡単に説明したように、システム20は、少なくとも硬化過程を制御する制御システム32を更に含む。制御システム32は、硬化過程を制御するよう適正にプログラム化されたコンピュータ又はその他のプロセッサを備えることができる。1つの実施の形態において、制御システム32は、保存したプログラム、データ等と、適正な制御信号を伝送して、レーザ40、レンズモジュール42、選択随意的な変調器44、ビームの偏向モジュール56、X−Yテーブル50、54、基板の前進装置、材料取り扱い装置等の作動を制御する色々な入力/出力回路とを有するコンピュータを含む。
【0023】
システム20を使用して堆積した材料層を硬化させるための1つの適正な方法について、以下、図1及び図2を参照して説明する。図2に最も良く示したように、堆積層26を有する基板24のような基板は、硬化装置28に対する適正な位置にて支持面22により支持されている。基板24は、手動にて支持面22上に配置するか又は任意の数の自動型材料取り扱いシステムの1つによって支持面へ搬送することができる。基板24が硬化装置28に対する適正な位置となったとき、硬化装置28は、適宜に作動させて堆積した材料層を硬化させる。1つの実施の形態において、制御システム32は、レーザ40を作動させ、レンズモジュール42を焦点合わせし、所望であれば、変調器44を介してレーザ光のビームの強さを変調し、また、レーザ光46の焦点合わせしたビームを堆積した材料層の選んだ部分に導くため適切な制御信号を送る。レーザ光46の焦点合わせしたビームは、次の方法の1つにより導くことができる。すなわち、1)レーザ光46の焦点合わせしたビームを堆積した材料層の所望の照射領域まで導くようにX−Yビームの偏向モジュール56の位置を制御するステップと、2)レーザ40の位置をX−Yテーブル50を介して制御するステップと、又は3)基板22の位置をX−Yテーブル54を介して制御するステップとである。次に、レーザ光46のビームを例えば、ラスター走査にて適宜に動かし、光子を堆積した材料層の特定の部分に印加する。この硬化過程は、堆積層の多くが所望通りに硬化される迄、継続する。
【0024】
幾つかの実施の形態において、印刷した材料層を均一に硬化させることが望ましい。均一な硬化を実現するため、レーザ光46のビームからの光子の照射量が制御される。これは、ビームが堆積した材料の所望の各部分上に配置されるとき、レーザ40を不作動にし及び作動させるか又は、レーザ光が硬化されている領域の経路に沿って動くとき、(例えば、変調器44を使用する等により)そのレーザ光の強さ及び(又は)動く速度を制御することにより実現することができる。本発明の別の実施の形態において、適正な硬化は、堆積させた材料層の各々の位置にてレーザの強さを不均一にすることにより実現可能である。例えば、レーザ光の短い高強度パルスを使用し、その後、より長い低強度のパルスを使用し、又はその逆とすることにより、改良された硬化を実現することができる。
【0025】
レーザ光のビームの光子の照射量を制御する能力を有する本発明の実施の形態は、例えば、堆積層の特定の領域がその他の領域よりも大きい照射量であることが望まれる場合、堆積層の改良された硬化を実現することもできる。例えば、高伝熱率の領域の上方におけるトレース及び領域の端縁は、これらの堆積層の部分をより完全に硬化させるため、より多量の光子照射量を必要とするであろう。また、堆積層上の各位置にて必要とされる最小照射量を提供し得るよう光子照射量を制御することは、堆積した材料の硬化が最も困難な領域を硬化させるのに十分に多量な均一の照射量の場合と比較して、各層に対する硬化時間をより短くする。光子照射量を制御する能力により実現することのできる追加的な有利な点は、かかるシステムは、一群の材料からの材料の各々に対する個々の硬化特徴及び必要条件に対応することができる点である。このことは、印刷したエレクトロニクスを製造するとき、特に望ましいことである。
【0026】
多くの場合、ある領域にて、必要以上に材料層を堆積させ、また、その選んだ部分のみを硬化させることが望ましいことがある。このことは、低コスト、低精度、より迅速な完了時間を可能にする。堆積した材料層の一部分のみを硬化することは、一時に、小さい領域のみをレーザ光の焦点合わせしたビームにて硬化させ、次に、堆積した材料の全ての所望の領域が硬化されるように、レーザの作動、不作動を切り換え又はビームの強さを可変にて制御すると共に、レーザ光のビームを基板24に対して動かすことにより行うことができる。
【0027】
単一のレーザ光源を示し且つ説明したが、本発明のその他の実施の形態は、多数のレーザを望ましいように使用することができる。これと代替的に、2つ又はより多くのレーザを使用することに代えて、単一のレーザのレーザ光ビームは、十分なレーザパワーが利用可能である場合、多数のビームに分割することができる。このことは、例えば、二元的回折パターンによって行うことができる。これらの手段により、ポリマーにおける2つ以上の箇所の硬化を同時に行うことができる。
【0028】
本発明の別の実施の形態において、システム20内に光センサ又は像センサ60を含めることができる。光センサ又は像センサ60は、堆積した材料層が硬化される時、その層を視認することができる。このセンサ(又はこれらのセンサ)の出力は、制御システム32によって監視し且つ硬化過程を制御するため使用される。適正なセンサは、CCD又はCMOSビデオセンサ又は可視光又は赤外線光センサとすることができよう。この手段により、改良された硬化性能、品質及び(又は)速度を実現することができる。像センサはまた、レーザビームの位置を正合させるのを助けるべく、印刷したエレクトロニクスにおける基準マークを視認するために使用することもできる。幾つかの実施の形態において、センサはまた、印刷したエレクトロニクスにおける識別及び(又は)シリアル番号を検出し且つ読み取ることができ、この情報により制御システム32は、その記憶装置内に保存されたデータから現在の特定のエレクトロニクス型式を選び且つ堆積した材料を硬化させるため、所望の硬化パターン及びアルゴリズムを選ぶことができる。
【0029】
硬化システム及び方法の実施の形態は、多数のより大型のシステム及び方法にて適宜に使用することができる。例えば、図4に最も良く示したように、硬化システム20は、印刷したエレクトロニクス製造システム120の一部としてもよい。印刷したエレクトロニクス製造システム120は、キャパシタ、トランジスタ等のような印刷したエレクトロニクスを形成するため、基板24にて選んだパターンにて1つ又はより多くの材料層を堆積させる少なくとも1つの印刷装置110と、1つ又はより多くの堆積した材料層を硬化させる硬化システム20とを含む。この実施の形態において、制御システム32はまた、印刷過程を制御することもでき又はシステム120は、別個の印刷制御システム(図示せず)を含むことができる。更に、システム120は、別個の印刷ステーション及び硬化ステーションを含み、コンベア組立体、ロボットアームを使用するピックアンドプレースシステムのような任意の既知の材料取り扱いシステムを介して基板が印刷ステーションと硬化ステーションとの間にて搬送され且つ適正に整合されるか、又は基板は、ウェブ形態とし且つ当該技術にて既知の任意の態様にて搬送することができる。従って、印刷したエレクトロニクスの層は、追加的な過程にて順次に堆積させ且つ硬化される。
【0030】
本発明の実施の形態について、添付図面に示した実施例を参照しつつ説明したが、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱せずに、置換を為し且つ等価物を採用することができることが理解される。このため、本発明の範囲は、特許請求の範囲及びその等価物から判断されることを意図するものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の特徴に従って形成された一例としての硬化システムの概略図である。
【図2】本発明の特徴に従って形成された別の実施の形態としての硬化システムの概略図である。
【図3】本発明の特徴に従って形成された別の実施の形態としての硬化システムの概略図である。
【図4】硬化システムの1つの実施の形態を採用する印刷したエレクトロニクス製造システムの一例としての実施の形態を示す概略ブロック図である。
【符号の説明】
【0032】
20 硬化システム
22 支持面
24 基板
26 堆積層
28 硬化装置
32 制御システム
34、36 床又はプラテン
40 レーザ
42 レンズモジュール
44 変調器
46 レーザ光
50、54 X−Yテーブル
56 偏向モジュール
60 光センサ又は像センサ
110 印刷装置
120 印刷したエレクトロニクス製造システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化システムにおいて、
堆積させた材料を有する基板を支持する平坦面を含む支持体と、
光ビームを材料の堆積層の少なくとも一部分に放出することのできるレーザを備える硬
化装置と、
硬化装置と電気的に連通状態にて接続された制御システムとを備える、硬化システム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムにおいて、支持体及び(又は)硬化装置はXY面内にて可動
である、システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムにおいて、制御システムと電気的連通状態にて接続されて、
光ビームを支持体に対して偏向させることができるX−Yビーム偏向器を更に含む、シス
テム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムにおいて、支持体と関係付けられて、支持体をXY面内にて
動かすことができる動作装置を更に備え、光ビームと支持体との間の相対的な動きは、X
−Yビーム偏向器と支持体の平坦面の動きとを組み合わせることにより実現される、シス
テム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムにおいて、硬化装置は、実質的に平行な光ビームを放出させ
且つ、ほぼ同一の光路を有する2つ又はより多くのレーザを含む、システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムにおいて、2つ又はより多くの光ビームがレーザから放出さ
れた光ビームから形成され、堆積層上にて2つ又はより多くの照射領域を生じさせる、シ
ステム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムにおいて、レーザにより放出された光ビームは、光ビームが
堆積した材料内にて化学的反応を誘発させるように選ばれた波長及び強さを有する、シス
テム。
【請求項8】
請求項1に記載のシステムにおいて、堆積層は2つ以上の化学的添加剤を含み、レーザ
により放出された光ビームは、光ビームが化学的添加剤に対して化学的反応を誘発するよ
う選ばれた波長及び強さを有する、システム。
【請求項9】
請求項1に記載のシステムにおいて、光ビームは、硬化速度及び(又は)品質を向上さ
せるよう制御可能な長さ及び(又は)強さの2つ又はより多くのパルスにて印加される、
システム。
【請求項10】
請求項1に記載のシステムにおいて、次のこと、すなわち、1)回路の型式を識別し、
2)層材料を識別し及び(又は)3)硬化性能及び(又は)品質を向上させるよう制御シ
ステムに対しフィードバックを提供することの1つ以上を実現し得るよう、硬化する間、
堆積層を視認する少なくとも1つの光センサを更に備える、システム。
【請求項11】
請求項1に記載のシステムにおいて、硬化装置は、レーザから放出された光ビームの焦
点を調節するレンズモジュールと、及び又はレーザから放出された光ビームの強さを変調
する変調器とを更に含む、システム。
【請求項12】
請求項1に記載のシステムにおいて、堆積した材料層は印刷したエレクトロニクスの印
刷層である、システム。
【請求項13】
基板に堆積した複数の層を備える印刷したエレクトロニクスを製造する過程中少なくと
も1つの堆積層を硬化させる方法において、
レーザから光ビームを放出し、堆積層を放出した光ビームにて照射するステップと、
光ビームを堆積層の選んだ部分まで動かすステップとを含む、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、光ビームを動かすステップは、次のステップ、すな
わち1)基板をレーザに対して動かすステップと、2)レーザを基板に対して動かすステ
ップと、3)光ビームを偏向させるステップとの1つを含む、方法。
【請求項15】
請求項13に記載の方法において、レーザから放出された光ビームを焦点合わせし且つ
(又は)焦点外れとして堆積層の選んだ部分を照射するステップを更に備える、方法。
【請求項16】
請求項13に記載の方法において、光ビームの強さを変調するステップを更に備える、
方法。
【請求項17】
請求項13に記載の方法において、堆積層の選んだ部分には、異なるレベルの硬化が行
われる、方法。
【請求項18】
印刷したエレクトロニクスを製造する方法において、
(a)平坦面を有する支持体にて基板を支持するステップと、
(b)印刷装置を介して、1つ又はより多くの材料を選んだパターンにて基板上に堆積
させ、これにより複数の印刷層を形成するステップと、
(c)印刷した層の各々の少なくとも一部分をレーザ硬化させるステップとを備える、
方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−182448(P2012−182448A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−28826(P2012−28826)
【出願日】平成24年2月13日(2012.2.13)
【分割の表示】特願2008−164040(P2008−164040)の分割
【原出願日】平成20年6月24日(2008.6.24)
【出願人】(512036111)タップ デベロップメント リミテッド ライアビリティ カンパニー (2)
【Fターム(参考)】