説明

基板処理装置及びその処理室内の状態安定化方法

【課題】 非製品用基板を用いずに処理室内の状態安定化処理を実行可能とすることで,非製品用基板の搬送等にかかる時間を省き,製品用基板の処理のスループットを向上させる。
【解決手段】 処理室202内でウエハWのプロセス処理を開始するのに先立って,サセプタ205にウエハWを載置しない状態で,処理室内に所定のガスを供給しながら処理室内の排気を行って,サセプタ205に高周波電力を印加して,処理室内の状態を安定化させる処理を実行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,基板処理装置及びその処理室内の状態安定化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体デバイスの製造工程にあっては、基板例えば半導体ウエハ(以下,単に「ウエハ」とも称する。)に各種の処理,例えばプラズマエッチング,スパッタリング,CVD(Chemical Vapor Deposition)等のプロセス処理が複数回繰返し行なわれる。このようなプロセス処理のうち,同種又は異種の処理を施す処理室を複数結合し,各処理室にウエハを次々と連続して搬送することで,ウエハのプロセス処理を連続的に施すことができるようにして処理の効率化を図ることができる,いわゆるクラスタツール型(又はマルチチャンバ型)の基板処理装置が知られている。
【0003】
このような基板処理装置では,電源を投入して装置を稼働して各処理室内へのウエハの搬送を開始し,各処理室内でウエハのプロセス処理を連続して実行する。ところが,各処理室でウエハのプロセス処理を連続して実行すると,処理室内が副生成物等によって汚染されたり,内部部品が消耗したりする。このため,基板処理装置を一旦停止し,処理室内のクリーニングや消耗品の交換等のメンテナンスを行い,メンテナンス終了後に基板処理装置を再稼働するようにしていた。
【0004】
このような基板処理装置の各処理室においては,装置の稼働開始時やメンテナンス後の再稼働時などには,直ぐに処理室内で製品用のウエハの処理を実行してしまうと,未だ処理室内の状態が安定していないので,最初の複数枚のウエハについてはそのプロセス特性(ウエハ上に成膜される薄膜の膜厚,エッチングにより形成される素子の形状など)がばらつく虞がある。
【0005】
このようなプロセスの初期の特性を安定させるため,各処理室で製品用のウエハを処理する前に,例えば処理室の内部部品の温度を定常状態にしたり,処理室内の内壁表面の状態(例えば処理室の内壁に堆積する副生成物などの状態)を調整して製品用ウエハのプロセス処理になじませるシーズニングなどを行い,処理室内の状態を製品用ウエハの生産時に要求される最適な状態に安定化させる処理室内の状態安定化処理(コンディショニングという場合もある)が行われる。
【0006】
このような処理室内の状態安定化処理は,従来,製品用ウエハとは別に専用のダミーウエハ(非製品用基板)を用意しておき,製品用ウエハの処理を開始する前に,ダミーウエハを各処理室まで搬送して,製品用ウエハのプロセス処理を行う場合と同様の複数の設定条件(プラズマ生成用の高周波電力,処理室内圧力,ガス流量,温度など)を複数のステップごとに設定できるマルチステップによるダミー処理により行われていた(例えば特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開2006−121030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら,このような従来の処理室内の状態安定化処理は,製品用ウエハとは別に用意した専用のダミーウエハを製品用ウエハと同様に処理室内まで搬送してダミー処理を実行し,それが終了するとダミーウエハを処理室内から搬出してからでなければ,製品用ウエハのプロセス処理を実行できなかった。このため,ダミーウエハの搬送にかかる時間だけ,製品用ウエハのプロセス処理を開始するのが遅れるという問題があった。
【0009】
また,処理室内状態が最適な状態になるように安定化させるためには,複数枚のダミーウエハの連続処理が必要な場合もあり,必要なダミーウエハの枚数が多いほど各ダミーウエハの搬送にかかる時間も増えるので,処理室内の状態安定化処理が完了するまでに時間がかかり,スループットが低下してしまう。
【0010】
さらに,専用のダミーウエハは非常に高価であるため,処理室内の状態安定化処理に必要なダミーウエハの枚数が多いほど,基板処理装置の運転コストも多くかかるという問題もあった。
【0011】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,非製品用基板を用いずに処理室内の状態安定化処理を実行できるようにすることで,非製品用基板の搬送等にかかる時間を省くことができ,製品用基板の処理のスループットを向上させることができる基板処理装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,基板に所定のプロセス処理を施す処理室を含む処理ユニットと,この処理ユニットに接続され,この処理ユニットと前記基板を収納する基板収納容器との間で基板の受け渡しを行う搬送ユニットとを備えた基板処理装置であって,前記処理室内に配置され,前記基板を載置するサセプタと,前記サセプタに高周波電力を供給する高周波電源と,前記処理室内に所定のガスを供給するガス供給手段と,前記処理室内の排気を行う排気手段と,前記処理室内で前記基板のプロセス処理を開始するのに先立って,前記サセプタに前記基板を載置しない状態で,前記処理室内に前記ガス供給手段から所定のガスを供給しながら前記排気手段で排気を行って,前記高周波電源からの高周波電力を前記サセプタに印加して,前記処理室内の状態を安定化させる処理を実行させる制御部とを備えることを特徴とする基板処理装置が提供される。
【0013】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,基板に対して所定のプロセス処理を実行する処理室を備える基板処理装置の処理室内の状態安定化方法であって,前記基板処理装置は,前記処理室内に配置され,前記基板を載置するサセプタと,前記サセプタに高周波電力を供給する高周波電源と,前記処理室内に所定のガスを供給するガス供給手段と,前記処理室内の排気を行う排気手段とを備え,前記処理室内で前記基板のプロセス処理を開始するのに先立って,前記サセプタに前記基板を載置しない状態で,前記処理室内に前記ガス供給手段から所定のガスを供給する工程と,前記排気手段で前記処理室内の排気を行う工程と,前記高周波電源からの高周波電力を前記サセプタに印加する工程と,を有することを特徴とする基板処理装置の処理室内の状態安定化方法が提供される。
【0014】
このような本発明によれば,製品基板のプロセス処理に先立って行う処理室内の状態を安定化させる処理を,サセプタに前記基板を載置しない状態で実行できるので,従来必要であった高価な非製品用基板を不要にすることができる。これにより,基板処理装置の運転コストを削減することができるとともに,非製品用基板の搬送等にかかる時間を省くことができ,製品用基板の処理のスループットを向上させることができる。また,非製品用基板を用いなくても,処理室内にガス供給手段から所定のガスを供給しながら排気手段で排気を行って,高周波電源からの高周波電力をサセプタに印加させる処理を行うので,処理室内の状態を所望の状態に安定化させることができる。
【0015】
また,上記制御部は,前記基板が前記基板収納容器から前記処理室内へ搬送されるまでの間に,前記処理室内の状態安定化処理を実行させるようにしてもよい。これによれば,基板の搬送処理と並行して処理室内の状態安定化処理を行うことができるので,製品用基板の処理が終了する時間を短縮することができる。
【0016】
また,上記制御部は,前記基板を複数枚ごとに連続してプロセス処理する場合には,連続処理する基板群のプロセス処理開始前であって,前記基板群のうちの最初にプロセス処理を行う基板が前記基板収納容器から前記処理室内へ搬送されるまでの間に,前記処理室内の状態安定化処理を実行させるようにしてもよい。これによれば,一群の基板のプロセス処理にかかる時間を短縮することができるので,処理全体のスループットを向上させることができる。
【0017】
また,上記制御部は,前記基板が前記処理室内に搬入される前に,前記処理室内の状態安定化処理が終了するように,前記処理室内の状態安定化処理の実行を開始するタイミングを調整するようにしてもよい。これによれば,例えば基板が搬入されるまでに時間がかかる処理室であっても,室内状態安定化処理の終了直後の最適な状態でウエハのプロセス処理を実行させることができるので,プロセス特性のさらに向上させることができる。
【0018】
また,上記サセプタの基板載置面に形成された複数の噴出口から伝熱ガスを噴出させて,前記基板載置面とそこに載置された基板との間に供給する伝熱ガス供給手段を備え,前記制御部は,前記処理室内の状態安定化処理を行っている間は,前記サセプタの基板載置面に基板を載置しない状態でも,前記伝熱ガス供給手段により前記噴出口から伝熱ガスを噴出させておくことが好ましい。これによれば,処理室内の状態安定化処理を行っている間,サセプタ上にウエハがないために露出してしまう各噴出口からパーティクルなどの侵入を防ぐことができる。
【0019】
また,上記制御部は,前記処理室内の状態安定化処理のための複数の処理条件を予め設定記憶する記憶手段を備え,前記処理室内の状態安定化処理を行う際に前記処理条件を前記記憶手段から読出し,前記処理条件に基づいて前記処理室内の状態安定化処理を実行することが好ましい。この場合,上記処理室内の状態を安定化させる処理は,複数のステップより構成し,前記処理条件は前記複数ステップの処理ごとに設定可能とすることで,非製品用ウエハを用いずに行う処理室内の状態安定化処理であっても,製品用ウエハと同様に複数のステップで複数の処理条件を設定可能となり,処理室内の状態をより最適な状態にすることができる。
【0020】
また,上記処理条件には,少なくとも前記伝熱ガス供給手段から供給する伝熱ガスの設定圧力を含み,前記伝熱ガスの設定圧力は,前記基板のプロセス処理を行う際の処理条件よりも低く設定されていることが好ましい。これによれば,処理室内の状態安定化処理の間にサセプタ表面に露出している噴出口から伝熱ガスがそのまま処理室内に噴出されても,例えば処理室内で発生したプラズマなどに影響を与えることもない。
【0021】
また,上記処理条件には,少なくとも前記高周波電源から印加する高周波電力の設定電力を含み,前記設定電力は,前記基板のプロセス処理を行う際の処理条件よりも低く設定されていることが好ましい。非製品用基板なしの処理室内状態安定化処理では,サセプタが処理室内に露出しているので,製品用基板のプロセス処理の場合と同様の高周波電力を印加したのでは,例えばプラズマが発生したときにサセプタの表面に異常放電が発生する虞があるからこれを防止するためである。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば,非製品用基板を用いずに処理室内の状態安定化処理を実行できるので,非製品用基板の搬送等にかかる時間を省くことができ,製品用基板の処理のスループットを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
(基板処理装置の構成例)
先ず,本発明の実施形態にかかる基板処理装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態にかかる基板処理装置の概略構成を示す断面図である。この基板処理装置100は,基板例えば半導体ウエハ(以下,単に「ウエハ」ともいう。)Wに対して真空圧雰囲気中でウエハWに例えば成膜処理(例えばプラズマCVD処理)やエッチング処理(例えばプラズマエッチング処理)などの所定の処理を施す複数の処理室を備える処理ユニット110と,この処理ユニット110に対してウエハWを搬出入させる搬送ユニット120とを備える。ここでは,ウエハWに対してエッチング処理を施す6つのプラズマ処理装置200A〜200Fを備え,これらの処理室202A〜202Fを共通搬送室150の周りに接続した場合を例に挙げて説明する。
【0025】
搬送ユニット120は例えば図1に示すように構成される。搬送ユニット120は基板収納容器例えば後述するカセット容器132(132A〜132C)と処理ユニット110との間でウエハWを搬出入する搬送室130を有している。搬送室130は,断面略多角形の箱体状に形成されている。搬送室130における断面略多角形状の長辺を構成する一側面には,複数のカセット台131(131A〜131C)が並設されている。これらカセット台131A〜131Cはそれぞれ,基板収納容器の1例としてのカセット容器132A〜132Cを載置可能に構成されている。
【0026】
各カセット容器132(132A〜132C)には,例えばウエハWの端部を保持部で保持することにより,例えば最大25枚のウエハWを等ピッチで多段に載置して収容できるようになっており,内部は例えばNガス雰囲気で満たされた密閉構造となっている。そして,搬送室130はその内部へゲートバルブ133(133A〜133C)を介してウエハWを搬出入可能に構成されている。なお,カセット台131とカセット容器132の数は,図1に示す場合に限られるものではない。
【0027】
上記搬送室130の端部,すなわち断面略多角形状の短辺を構成する一側面には,内部に回転載置台138とウエハWの周縁部を光学的に検出する光学センサ139とを備えた位置決め装置としてのオリエンタ(プリアライメントステージ)136が設けられている。このオリエンタ136では,例えばウエハWのオリエンテーションフラットやノッチ等を検出して位置合せを行う。
【0028】
上記搬送室130内には,ウエハWをその長手方向(図1に示す矢印方向)に沿って搬送する搬送ユニット側搬送機構(搬送室内搬送機構)170が設けられている。搬送ユニット側搬送機構170が固定される基台172は,搬送室130内の中心部を長さ方向に沿って設けられた案内レール174上にスライド移動可能に支持されている。この基台172と案内レール174にはそれぞれ,リニアモータの可動子と固定子とが設けられている。案内レール174の端部には,このリニアモータを駆動するための図示しないリニアモータ駆動機構が設けられている。リニアモータ駆動機構には,制御部300が接続されている。これにより,制御部300からの制御信号に基づいてリニアモータ駆動機構が駆動し,搬送ユニット側搬送機構170が基台172とともに案内レール174に沿って矢印方向へ移動するようになっている。
【0029】
搬送ユニット側搬送機構170は,2つのピック173A,173Bを有するダブルアーム機構より構成されており,一度に2枚のウエハWを取り扱うことができるようになっている。これにより,例えばカセット容器132,オリエンタ136,各ロードロック室160M,160Nなどに対してウエハWを搬出入する際に,ウエハWを交換するように搬出入することができる。なお,搬送ユニット側搬送機構170のピックの数は上記のものに限られず,例えば1つのみのピックを有するシングルアーム機構であってもよい。
【0030】
次に,処理ユニット110の構成例について説明する。例えばクラスタツール型の基板処理装置の場合には,処理ユニット110は図1に示すように多角形(例えば六角形)に形成された共通搬送室150の周囲に,6つのプラズマ処理装置200A〜200Fの処理室202A〜202F及びロードロック室160M,160Nを気密に接続して構成される。
【0031】
各処理室202A〜202F内にはそれぞれ,サセプタ205A〜205Fがそれぞれ設けられている。このサセプタ205A〜205Fは下部電極として機能するとともに,ウエハWを載置する載置台としても機能する。本実施形態にかかるプラズマ処理装置200A〜200Fは,ウエハWに対するプラズマエッチング処理を行うのに先立って,それぞれの処理室202A〜202F内の状態を安定化させてウエハWの処理になじませる処理室内状態安定化処理を実行可能に構成されている。このようなプラズマ処理装置200A〜200Fの具体的構成例は後述する。
【0032】
上記共通搬送室150は,上述したような各処理室202A〜202Fの間,又は各処理室202A〜202Fと各第1,第2ロードロック室160M,160Nとの間でウエハWを搬出入する機能を有する。共通搬送室150は多角形(例えば六角形)に形成されており,その周りに上記各処理室202A〜202Fがそれぞれゲートバルブ144A〜144Fを介して接続されているとともに,第1,第2ロードロック室160M,160Nの先端がそれぞれゲートバルブ(真空圧側ゲートバルブ)154M,154Nを介して接続されている。第1,第2ロードロック室160M,160Nの基端は,それぞれゲートバルブ(大気圧側ゲートバルブ)162M,162Nを介して搬送室130における断面略多角形状の長辺を構成する他側面に接続されている。
【0033】
第1,第2ロードロック室160M,160Nは,ウエハWを一時的に保持して圧力調整後に,次段へパスさせる機能を有している。各第1,第2ロードロック室160M,160Nの内部にはそれぞれ,ウエハWを載置可能な受渡台164M,164Nが設けられている。
【0034】
このような処理ユニット110では,上述したように共通搬送室150と各処理室202A〜202Fとの間及び共通搬送室150と上記各ロードロック室160M,160Nとの間はそれぞれ気密に開閉可能に構成され,クラスタツール化されており,必要に応じて共通搬送室150内と連通可能になっている。また,上記第1及び第2の各ロードロック室160M,160Nと上記搬送室130との間も,それぞれ気密に開閉可能に構成されている。
【0035】
共通搬送室150内には,例えば屈伸・昇降・旋回可能に構成された多関節アームよりなる処理ユニット側搬送機構(共通搬送室内搬送機構)180が設けられている。この処理ユニット側搬送機構180は基台182に回転自在に支持されている。基台182は,共通搬送室150内の基端側から先端側にわたって配設された案内レール184上を例えば図示しないスライド駆動用モータによりスライド移動自在に構成されている。なお,基台182には例えばアーム旋回用のモータなどの配線を通すためのフレキシブルアーム186が接続されている。このように構成された処理ユニット側搬送機構180によれば,この処理ユニット側搬送機構180を案内レール184に沿ってスライド移動させることにより,各ロードロック室160M,160N及び各処理室202A〜202Fにアクセス可能となる。
【0036】
例えば処理ユニット側搬送機構180を各ロードロック室160M,160N及び対向配置された処理室202A,202Fにアクセスさせる際には,処理ユニット側搬送機構180を案内レール184に沿って共通搬送室150の基端側寄りに位置させる。また,処理ユニット側搬送機構180を4つの処理室202B〜202Eにアクセスさせる際には,処理ユニット側搬送機構180を案内レール184に沿って共通搬送室150の先端側寄りに位置させる。これにより,1つの処理ユニット側搬送機構180により,共通搬送室150に接続されるすべてのロードロック室160M,160Nや各処理室202A〜202Fにアクセス可能となる。処理ユニット側搬送機構180は,2つのピック183A,183Bを有しており,一度に2枚のウエハWを取り扱うことができるようになっている。
【0037】
なお,処理ユニット側搬送機構180の構成は上記のものに限られず,2つの搬送機構によって構成してもよい。例えば共通搬送室150の基端側寄りに屈伸・昇降・旋回可能に構成された多関節アームよりなる第1搬送機構を設けるとともに,共通搬送室150の先端側寄りに屈伸・昇降・旋回可能に構成された多関節アームよりなる第2搬送機構を設けるようにしてもよい。また,処理ユニット側搬送機構180のピックの数は,2つの場合に限られることはなく,例えば1つのみのピックを有するものであってもよい。
【0038】
上記基板処理装置100には,各プラズマ処理装置200A〜200F,搬送ユニット側搬送機構170,処理ユニット側搬送機構180,各ゲートバルブ133,144,154,162,オリエンタ136などの制御を含め,基板処理装置全体の動作を制御する制御部300が設けられている。
【0039】
(制御部の構成例)
ここで,制御部300の構成例を図面を参照しながら説明する。制御部300は,図2に示すように,CPU(中央処理装置)310,CPU310が各部を制御するデータなどを格納するROM(Read−Only Memory)320,CPU310が行う各種データ処理のために使用されるメモリエリアなどを設けたRAM(Random−Access Memory)330,操作画面や選択画面などを表示する液晶ディスプレイなどで構成される表示手段340,オペレータによる種々のデータの入出力などを行うことができる入出力手段350,例えばブザーのような警報器などで構成される報知手段360,基板処理装置100の各部を制御するための各種コントローラ370,基板処理装置100に適用される各種プログラムデータを格納するプログラムデータ記憶手段380,およびプログラムデータに基づくプログラム処理を実行するときに使用する各種設定情報を記憶する設定情報記憶手段390を備える。プログラムデータ記憶手段380と設定情報記憶手段390は,例えばフラッシュメモリ,ハードディスク,CD−ROMなどの記録媒体で構成され,必要に応じてCPU310によってデータが読み出される。
【0040】
プログラムデータ記憶手段380には,例えば搬送ユニット側搬送機構170と処理ユニット側搬送機構180の動作を制御する搬送プログラム382と,各処理室202A〜202Fなどの処理を行うための各種処理プログラム384が記憶されている。各種処理プログラム384としては,例えば各処理室202A〜202FにおけるウエハWに対するプロセス処理(ここではプラズマエッチング処理)を行うためのプロセス処理プログラム,後述する各処理室202A〜202F内の状態を安定化させる処理を行うための処理室内状態安定化処理プログラムが挙げられる。
【0041】
また,設定情報記憶手段390には,例えば処理ユニット側搬送機構180と搬送ユニット側搬送機構170がアクセスするポイントの位置座標などウエハWの搬送処理を行う際に必要な搬送設定情報392が記憶されている。また,各種の処理に必要な処理条件のデータ(レシピデータ)などの各種処理設定情報394が記憶されている。各種処理設定情報394としては,例えばプロセス処理における処理室内圧力,ガス流量,高周波電力,伝熱ガス圧力,温度,処理時間等の処理条件,処理室内状態安定化処理における処理室内圧力,ガス流量,高周波電力,伝熱ガス圧力,温度,処理時間等の処理条件などが記憶されている。
【0042】
これらのCPU310,ROM320,RAM330,表示手段340,入出力手段350,報知手段360,各種コントローラ370,プログラムデータ記憶手段380,および設定情報記憶手段390は,制御バス,システムバス,データバスなどのバスラインによって電気的に接続されている。
【0043】
(基板処理装置の動作)
次に,上記のように構成された基板処理装置100の動作について説明する。例えばカセット容器132Aに収容されたウエハWの処理を行う際には,搬送ユニット側搬送機構170によりカセット容器132AからウエハWを搬出する。オリエンタ136まで搬送されてオリエンタ136の回転載置台138に移載され,ここで位置決めされる。位置決めされたウエハWは,オリエンタ136から搬出されてロードロック室160M又は160N内へ搬入される。このとき,必要なすべての処理が完了した処理完了ウエハWがロードロック室160M又は160Nにあれば,処理完了ウエハWを搬出してから,未処理ウエハWを搬入する。
【0044】
ロードロック室160M又は160Nへ搬入されたウエハWは,処理ユニット側搬送機構180によりロードロック室160M又は160Nから搬出され,そのウエハWが例えばプラズマ処理装置200Aの処理室202Aへ搬入される。ウエハWは,処理室202A内の下部電極として機能するサセプタ205A上に載置され,後述するプラズマエッチング処理が施される。
【0045】
処理室202Aでの処理が完了した処理済ウエハWは,処理ユニット側搬送機構180により処理室202Aから搬出され,ロードロック室160M又は160Nに戻される。そして,ロードロック室160M又は160NのウエハWは搬送ユニット側搬送機構170により搬出され,元のカセット容器132Aに戻される。
【0046】
(プラズマ処理装置の構成例)
次に,このようなプラズマ処理装置200A〜200Fの具体的構成例について図面を参照しながら説明する。なお,本実施形態にかかる基板処理装置100では,プラズマ処理装置200A〜200Fは同様に構成される場合を例に挙げるため,以下,符号のA〜Fを省略したプラズマ処理装置200によって代表して説明する。図3はこのようなプラズマ処理装置200の概略構成を示す断面図である。プラズマ処理装置200は平行平板型のプラズマエッチング装置である。
【0047】
図3に示すように,プラズマ処理装置200の処理室202は,例えば表面が陽極酸化処理(アルマイト処理)されたアルミニウムから成る円筒形状に成形された処理容器により構成される。この処理室202は接地されている。処理室202内の底部にはセラミックなどの絶縁板203を介して,略円柱状のサセプタ支持台204が設けられており,このサセプタ支持台204上にサセプタ205が設けられている。このサセプタ205にはハイパスフィルタ(HPF)206が接続されている。サセプタ205は,下部電極として機能するとともに,ウエハWを載置する載置台としても機能する。
【0048】
サセプタ支持台204の内部には,温度調節媒体室207が設けられている。そして,導入管208を介して温度調節媒体室207に温度調節媒体(例えば冷媒)が導入,循環され,排出管209から排出される。このような温度調節媒体の循環により,サセプタ205を所望の温度に調整できる。
【0049】
サセプタ205は,その上側中央部が凸状の円板状に成形され,その上にウエハWと略同形の静電チャック211が設けられている。静電チャック211は,絶縁材の間に電極212が介在された構成となっている。この電極212には直流電源213がスイッチ213aを介して電気的に接続されている。このように構成される静電チャック211によれば,直流電源213からの直流電圧(例えば1.5kV)により,クーロン力でウエハWをサセプタ205上に吸着保持することができる。
【0050】
サセプタ205は,その基板載置面に形成された複数の噴出口214aから,基板載置面とそこに載置されたウエハWとの間に伝熱ガス(例えばHeガスなどのバックサイドガス)を供給する伝熱ガス供給手段を備える。伝熱ガス供給手段は,絶縁板203,支持台204,サセプタ205,静電チャック211に形成されたガス通路214を備える。このガス通路214は,その下流側が噴出口214aに連通しており,上流側には図示しない伝熱ガス源(例えばチラーユニット)が接続されている。伝熱ガス源からの伝熱ガスは,ガス通路214を通って噴出口214aからウエハWの裏側へ供給される。この伝熱ガスを介してサセプタ205とウエハWとの間の熱伝達がなされ,ウエハWが所定の温度に維持される。
【0051】
サセプタ205の上端周縁部には,静電チャック211上に載置されたウエハWを囲むように,環状のフォーカスリング215が配置されている。このフォーカスリング215は,セラミックスもしくは石英などの絶縁性材料,または導電性材料によって構成されている。フォーカスリング215が配置されることによって,エッチングの均一性が向上する。
【0052】
また,下部電極であるサセプタ205の上方には,このサセプタ205と平行に対向して上部電極として機能するシャワーヘッド221が設けられている。シャワーヘッド221は,処理室202内へ所定のガスを導入するガス供給手段としても機能する。シャワーヘッド221は,絶縁材222を介して,処理室202の内部に支持されている。シャワーヘッド221は,サセプタ205との対向面を構成し多数の吐出孔223を有する上部電極を構成する電極板224と,この電極板224を支持する電極支持体225とによって構成されている。電極板224は例えば石英から成り,電極支持体225は例えば表面がアルマイト処理されたアルミニウムなどの導電性材料から成る。なお,下部電極であるサセプタ205と上部電極であるシャワーヘッド221との間隔は,調節可能とされている。
【0053】
シャワーヘッド221における電極支持体225の中央には,ガス導入口226が設けられている。このガス導入口226には,ガス供給管227が接続されている。さらにこのガス供給管227には,バルブ228およびマスフローコントローラ229を介して,ガス供給源230が接続されている。
【0054】
このガス供給源230から,例えばエッチング処理のための処理ガスやエッチング処理に先立って行われる後述の処理室内状態安定化処理のための処理ガスが供給されるようになっている。なお,図3にはガス供給管227,バルブ228,マスフローコントローラ229,およびガス供給源230等から成るガス供給系を1つのみ示しているが,プラズマ処理装置200は,複数のガス供給系を備えている。例えば,CF,CHF,C,Ar,N,O等のガスが,それぞれ独立に流量制御され,処理室202内に供給される。例えばCF,CHF,C,Ar,Nなどはエッチング処理に用いられ,O,Arは処理室内状態安定化処理に用いられる。
【0055】
処理室202の底部には排気管231が接続されており,この排気管231には排気手段235が接続されている。排気手段235は,ターボ分子ポンプなどの真空ポンプを備えており,処理室202内を所定の減圧雰囲気に調整する。
【0056】
上部電極であるシャワーヘッド221には,第1の高周波電源240が接続されており,その給電線には第1の整合器241が介挿されている。また,シャワーヘッド221にはローパスフィルタ(LPF)242が接続されている。この第1の高周波電源240は,50〜150MHzの範囲の周波数を有する電力を出力することが可能である。このように高い周波数の第1の高周波電力を上部電極であるシャワーヘッド221に印加することにより,処理室202内に好ましい解離状態でかつ高密度のプラズマを形成することができ,低圧条件下のプラズマ処理が可能となる。第1の高周波電源240の第1の高周波電力の周波数は,50〜80MHzが好ましく,典型的には図示した60MHzまたはその近傍の周波数が使われる。
【0057】
下部電極であるサセプタ205には,第2の高周波電源250が接続されており,その給電線には第2の整合器251が介挿されている。この第2の高周波電源250は数百kHz〜十数MHzの範囲の周波数を有する電力を出力することが可能である。このような範囲の周波数の電力をサセプタ205に印加することにより,被処理体であるウエハWに対してダメージを与えることなく適切なイオン作用を与えることができる。第2の高周波電源250の出力電力の周波数は,典型的には図示した2MHzまたは13.56MHz等に調整される。本実施形態においては,2MHzとした。
【0058】
(プラズマ処理装置の処理)
このような構成のプラズマ処理装置200で実行される処理について説明する。本実施形態にかかるプラズマ処理装置200では,ウエハWのプラズマエッチング処理を実行する。制御部300により設定情報記憶手段390の各種処理設定情報394から予め設定されたエッチング処理の処理条件(レシピ)と,プログラムデータ記憶手段380の各種処理プログラム384からエッチング処理プログラムが読出され,そのエッチング処理の処理条件に基づいてエッチング処理プログラムが実行されて,ウエハWに対するエッチング処理が行われる。
【0059】
具体的には,図3に示すようにウエハWがゲートバルブ144を介して搬入され,サセプタ205上に載置されると,処理室202内は所定の真空圧力に保持され,サセプタ205の温度が温度調整媒体によって所定の温度に調整される。この状態で,所定の処理ガス(例えばCF,CHFなど)が導入され,上部電極であるシャワーヘッド221と下部電極であるサセプタ205にそれぞれ所定の高周波電力が印加されると,処理ガスのプラズマが発生し,ウエハWにエッチング処理などのプロセス処理が施される。
【0060】
このようなプロセス処理は,例えば次のような複数のステップにより実行される。すなわち,プラズマを立ち上げて安定させる初期ステップと,次に実行されるウエハWに対して所定時間のエッチングを行うエッチング処理ステップと,エッチング実行後の処理室202内の状態を整える終了ステップである。なお,終了ステップには,直前のエッチング処理工程におけるエッチング処理を終点で終了する終点工程も含まれる。
【0061】
これらのステップでは,例えば処理室内圧力,各電極(ここでは上部電極と下部電極)に印加する高周波電力,CF,CHFなどの各ガス流量,伝熱ガス(ここではHeガス)の圧力,サセプタ温度,処理時間などの処理条件が各ステップごとに設定されている。
【0062】
なお,プロセス処理のステップは,上記のものに限られるものではなく,また,上記の各ステップ(初期ステップ,エッチング処理ステップ,終了ステップ)をそれぞれさらに細かい複数のステップで構成することもできる。また,プロセス処理の処理条件(レシピ)も上記のものに限られるものではない。
【0063】
ところで,このようなプラズマ処理装置200では,装置の稼働開始時やメンテナンス後の再稼働時などには,直ぐに処理室202内で製品用のウエハWの処理を実行してしまうと,未だ処理室202内の状態(例えばプラズマの状態,処理室202内のサセプタ等のパーツの温度や処理室内圧力,処理室202の内表面の状態など)が最適な状態に安定していないので,最初に処理される複数枚のウエハについてはプロセス特性(ウエハ上に成膜される薄膜の膜厚,エッチングにより形成される素子の形状など)がばらつく虞がある。
【0064】
このようなプロセスの初期の特性を安定させるため,処理室202で製品用のウエハWを処理する前に,例えば処理室202のサセプタ205などの内部部品の温度を定常状態にしたり,処理室内の内壁表面の状態(例えば処理室の内壁に堆積する副生成物などの状態)を調整して製品用ウエハのプロセス処理になじませるシーズニングなどを行ったりして,処理室202内の状態を製品用ウエハの生産時に要求される最適な状態に安定化させる処理室内の状態安定化処理(コンディショニングという場合もある)を行う。
【0065】
本実施形態では,サセプタ205上にウエハWを載置しない状態でも製品用ウエハのプロセス処理を行う場合と同様にマルチステップによる処理室内状態安定化処理を行うことができるようにして,従来のような専用のダミーウエハを不要とした点に特徴がある。
【0066】
従来はダミーウエハを用いていたので,製品用ウエハのプロセス処理を行う場合と同様に,サセプタへ印加する高周波電力,処理室内圧力,ガス流量,温度など複数の設定条件を複数のステップごとに設定できるマルチステップによる処理室内状態安定化処理を行うことが可能であった。
【0067】
ところが,従来のプラズマ処理装置では,サセプタ上にウエハWを載置しない状態では,製品用ウエハと同様のマルチステップによる処理を行うこと自体想定されておらず,このようなマルチステップによる処理ができるようにはなっていなかった。これは,サセプタ上にウエハWを載置しない状態では,例えばサセプタの表面が処理室内に露出してしまうなど,ウエハWを載置している状態とは処理室内の状態が異なるので,従来のように製品用ウエハと同様のマルチステップによる処理を行うと,プラズマを発生させたときに異常放電が生じたり,サセプタの表面に露出した伝熱ガスの孔からパーティクル等が侵入したりといった問題が考えられるからである。
【0068】
従って,従来のプラズマ処理装置では,ウエハWなしで処理室内の状態安定化処理を行おうとしても,例えばサセプタの設定温度など設定可能な項目が極めて限定されており,しかも単一のステップだけの処理でしか設定できなかったので,ダミーウエハがない状態では,最適な処理室内状態安定化処理を行うことができなかった。
【0069】
そこで,本実施形態にかかるプラズマ処理装置200では,サセプタ205上に従来のような専用のダミーウエハがなくても,製品用ウエハのプロセス処理を行う場合と同様にマルチステップによる処理室内状態安定化処理を行うことができるようにして,従来のような専用のダミーウエハを不要としたものである。また,本実施形態にかかる処理室内状態安定化処理では,その処理条件の一部を,製品用ウエハのプロセス処理を行う場合の処理条件とは変えることにより,サセプタ205上にウエハWがない状態で実行する場合の問題が発生しないように,最適な処理室内状態安定化処理を実行することができる。
【0070】
(処理室内状態安定化処理の具体例)
このような本実施形態にかかる処理室内状態安定化処理の具体例について図面を参照しながら説明する。図4は,本実施形態にかかる処理室内状態安定化処理におけるプラズマ処理装置200の動作を説明するための図である。なお,図4は,説明を分かり易くするために,図3に示すプラズマ処理装置の構成の主要部を拡大したものであり,構成の一部を省略して記載している。ここでは,Oガス,Arガスの混合ガスを処理ガスとして用いて処理室内状態安定化処理を行う場合を例に挙げる。制御部300により設定情報記憶手段390の各種処理設定情報394から予め設定された処理室内状態安定化処理の処理条件(レシピ)と,プログラムデータ記憶手段380の各種処理プログラム384から処理室内状態安定化処理プログラムが読出され,その処理室内状態安定化処理の処理条件に基づいて処理室内状態安定化処理プログラムが実行されて,処理室内状態安定化処理が行われる。
【0071】
図4に示すようにサセプタ205にウエハWが載置されていない状態で,処理室202内は所定の真空圧力に保持され,サセプタ205の温度が温度調整媒体によって所定の温度に調整される。この状態で,所定の処理ガス(ここでは,Oガス,Arガスの混合ガス)が導入され,上部電極であるシャワーヘッド221と下部電極であるサセプタ205にそれぞれ所定の高周波電力が印加されると,処理ガスのプラズマが発生し,処理室202内の状態がこれから製品用ウエハのエッチング処理を行うのに最低な状態に安定化される。
【0072】
このような処理室内状態安定化処理は,例えば次のような複数のステップにより実行される。すなわち,プラズマを立ち上げて安定させる初期ステップと,次に実行されるサセプタ205の温度など各パーツを安定させる安定ステップと,最後に実行される処理室202内のパーティクル除去などの最終ステップである。
【0073】
これらのステップでは,例えば処理室内圧力,各電極(ここでは上部電極と下部電極)に印加する高周波電力,O,Arの各ガス流量,伝熱ガス(ここではHeガス)の圧力,サセプタ温度,処理時間などの処理条件が各ステップごとに設定されている。
【0074】
各ステップの処理条件のうち,各電極に印加する高周波電力については,製品用ウエハのプロセス処理(ここではエッチング処理)の場合よりも低く設定することが好ましい。これは,本実施形態にかかるウエハなしの処理室内状態安定化処理では,図4に示すようにサセプタ205が処理室202内に露出しているので,製品用ウエハのプロセス処理の場合と同様の高周波電力を印加したのでは,例えばプラズマが発生したときにサセプタ205の表面に異常放電が発生する虞があるからこれを防止するためである。
【0075】
また,本実施形態にかかる処理室内状態安定化処理では,サセプタ205にウエハWを載置しないので,サセプタ205の表面上に伝熱ガスを供給する必要はないとも考えられるが,図4に示すようにサセプタ205の表面には伝熱ガスの複数の噴出口214aが露出してしまうので,各噴出口214aからパーティクルなどの侵入を防ぐために,伝熱ガスについても供給する。
【0076】
但し,伝熱ガスの圧力は,製品用ウエハのエッチング処理の場合よりも低く設定することが好ましい。これは,ウエハWがないので,ウエハWを伝熱ガスで例えば冷却する必要がなく,また図4に示すように伝熱ガスは噴出口214aからそのまま処理室202内に噴出されるので,処理室202内で発生したプラズマなどに影響を与えないように,噴出口214aからパーティクルなどの侵入を防ぐことができる程度で十分だからである。
【0077】
なお,処理室内状態安定化処理のステップは,上記のものに限られるものではなく,また,上記の各ステップ(初期ステップ,安定ステップ,終了ステップ)をそれぞれさらに細かい複数のステップで構成することもできる。また,処理室内状態安定化処理の処理条件(レシピ)も上記のものに限られるものではない。
【0078】
このように,本実施形態では,サセプタ205にウエハWが載置されていない状態でも,製品用ウエハと同様のマルチステップによる処理室内状態安定化処理を可能とすることにより,ダミーウエハWを使用することなく,処理室202内の状態を製品用ウエハの処理に最適な状態に安定化させることができる。
【0079】
これにより,高価なダミーウエハを用いなくて済むため,運転コストを低下させることができる。さらに,ダミーウエハの搬送処理等を省略することができるので,処理室内状態安定化処理にかかる時間を短縮することができ,全体のスループットを向上させることができる。また,本実施形態にかかる処理室内状態安定化処理は,ダミーウエハWの搬送処理が必要ないので,各処理室202A〜202Fの状態安定化処理を実行するタイミングを,その処理室の運用に合わせて自由に調整することができる。例えばウエハWがカセット容器132から処理室202内へ搬送されるまでの間にウエハWの搬送と並行して行うことができるので,製品用ウエハの処理が終了する時間を短縮することができる。さらに,プラズマ処理装置200の装置を稼働した直後(装置の立上げ直後)に各処理室202A〜202Fの状態安定化処理を実行してもよく,また一群のウエハ(1ロット(例えば25枚)のウエハ)ごとに連続してプロセス処理を実行する場合には,各ロットごとの最初の製品用ウエハのプロセス処理前に各処理室202A〜202Fの状態安定化処理を実行するようにしてもよい。これによれば,一群のウエハWのプロセス処理にかかる時間を短縮することができるので,処理全体のスループットを向上させることができる。
【0080】
(処理室内状態安定化処理の実行タイミングの具体例)
ここで,このようなダミーウエハを用いずに行う処理室内状態安定化処理の実行タイミングの具体例を図面を参照しながら基板処理装置全体の動作とともに説明する。ここでは,一群の製品用ウエハを連続処理する場合に最初の製品用ウエハのプロセス処理前に処理室内状態安定化処理を実行する場合を例に挙げる。図5は本実施形態にかかる処理室内状態安定化処理を行う場合の基板処理装置全体のウエハの搬送シーケンスの具体例を示す図であって,基板処理装置100が立ち上げられて(電源投入時又はメンテナンス後の再稼働時を含む),一群の製品用ウエハを連続処理する場合である。
【0081】
なお,ここでは説明を簡単にするため,図1に示す処理室202A〜202Fのうちの1つの処理室(ここでは「PM1」とする。)のみを稼働し,カセット容器132A〜132Cのうちの1つのカセット容器(ここでは「FOUP」とする)に収容された一群の製品用ウエハA(例えば1ロット25枚の製品用ウエハA01〜A25)を1枚ずつ取出して処理室PM1に順次搬送し,連続して製品用ウエハAのエッチング処理を実行する場合を例に挙げる。また,カセット容器FOUP1から取出された製品用ウエハAは第1ロードロック室160Mを介して搬送室130から共通搬送室150へ搬入され,処理室PM1でのエッチング処理が終了した製品用ウエハAは第2ロードロック室160Nを介して共通搬送室150から搬送室130へ戻されることとする。この場合の第1,第2ロードロック室160M,160Nをそれぞれ,ここでは「LLM1」,「LLM2」とする。さらに,オリエンタ136,搬送ユニット側搬送機構170,処理ユニット側搬送機構180をそれぞれ,ここでは「ORT」,「LMA」,「TMA」とする。
【0082】
図5に示す斜線部分は,基板処理装置100の各部が処理を実行している時間(例えばウエハ搬送では製品用ウエハAを搬送処理している時間,プロセスでは製品用ウエハAに対してエッチング処理を行っている時間,真空引きではプロセス・モジュールの真空引き処理を行っている時間),すなわち各部のアクティブ時間を示す。図5において,説明を簡単にするために,各部のアクティブ時間は,升目を利用して表している。1つの升目の横幅は,一定時間(例えば8〜20秒)の基本単位時間Tを示しており,各部のアクティブ時間(斜線部分の長さ)は,上記基本単位時間Tの整数倍で表している。
【0083】
図5に示すように,基板処理装置100が立ち上げられると,その直後(t0)から処理室PM1の状態安定化処理が開始される。それと同時(t0)に最初の製品用ウエハA01の搬送が開始される。すなわち,搬送ユニット側搬送機構LMAによりカセット容器FOUPから製品用ウエハA01が取出され(t0〜t1),オリエンタORTに搬送され(t1〜t2),位置合わせが行われる(t2〜t4)。位置合わせが終了した製品用ウエハA01は,搬送ユニット側搬送機構LMAによりオリエンタORTから取出され(t4〜t5),第1ロードロック室LLM1へ搬入される(t5〜t6)。
【0084】
第1ロードロック室LLM1で大気圧状態から所定の減圧状態への圧力調整がされると(t6〜t8),処理ユニット側搬送機構TMAにより第1ロードロック室LLM1から製品用ウエハA01が取出され(t8〜t9),処理室PM1に搬入される(t9〜t10)。このとき,製品用ウエハA01が処理室PM1に搬入される前には,その処理室PM1の状態安定化処理が終了している(t0〜t9)。
【0085】
一方,製品用ウエハA01を第1ロードロック室LLM1に搬入した直後(t6)に,搬送ユニット側搬送機構LMAによりカセット容器FOUPから次の製品用ウエハA02が取出され(t6〜t7),オリエンタORTに搬送され(t7〜t8),位置合わせが行われる(t8〜t10)。こうして,搬送ユニット側搬送機構LMAは,オリエンタORTの製品用ウエハを第1ロードロック室LLM1に搬入すると,次の製品用ウエハをカセット容器FOUPに取りに行く。こうして,カセット容器FOUPの製品用ウエハは順次第1ロードロック室LLM1へ搬入される。
【0086】
そして,オリエンタORTで製品用ウエハA02の位置合わせが終了すると(t8〜t10),処理室PM1で製品用ウエハA01のプロセス処理が行われている間に,第1ロードロック室LLM1に搬入される(t13〜t14)。次いで第1ロードロック室LLM1で大気圧状態から所定の減圧状態への圧力調整がされると(t14〜t16),処理ユニット側搬送機構TMAにより第1ロードロック室LLM1から製品用ウエハA02が取出されて処理室PM1の手前まで搬送され(t16〜t17),処理室PM1で製品用ウエハA01のプロセス処理が終了するまで待機状態となる。その後,製品用ウエハA01のプロセス処理が終了すると(t19),処理済みの製品用ウエハA01との交換で製品用ウエハA02が処理室PM1に搬入され(t19〜t21),プロセス処理が開始される(t21)。
【0087】
処理済みの製品用ウエハA01は,処理ユニット側搬送機構TMAにより第2ロードロック室LLM2に搬入される(t23〜t24)。次いで第2ロードロック室LLM2で所定の減圧状態から大気圧状態への圧力調整がされると(t24〜t26),搬送ユニット側搬送機構LMAにより第2ロードロック室LLM2から取出され(t26〜t27),元のカセット容器FOUPに戻される。こうして,一群の製品用ウエハA01〜A25の処理が順次連続して行われる。
【0088】
このように,本実施形態では,ダミーウエハを使わずに状態安定化処理を行うことができるので,基板処理装置100の立上げ直後(t0)から処理室PM1の状態安定化処理を開始することができ,最初の製品用ウエハA01を処理室PM1まで搬送している間に(t0〜t10),状態安定化処理を終了(t9)させることができる。これにより,最初の製品用ウエハA01は処理室PM1に搬送されると直ぐにエッチングなどのプロセス処理を開始できるので,処理のスループットを向上させることができる。
【0089】
これと比較するために,ダミーウエハWdを用いて行う処理室内状態安定化処理を行う場合の基板処理装置全体のウエハの搬送シーケンスの比較例を図6に示す。ここでは,ダミーウエハWdが製品用ウエハA01〜A25と同じカセット容器FOUPに収納されているものとする。
【0090】
ダミーウエハWdを用いる場合には,図6に示すように,最初の製品用ウエハA01にエッチング処理を施す前に,カセット容器FOUPからダミーウエハWdを取出して(t0〜t1),処理室PM1まで搬入して(t1〜t10),処理室内状態安定化処理を行う(t10〜t19)。このため,図5に示す最初の製品用ウエハA01の搬送処理(t0〜t10),プロセス処理(t10〜t19)を行う時間に,ダミーウエハWdの搬送処理,処理室内状態安定化処理が行われることになるので,その分だけ1ロット分の製品用ウエハA01〜A25のプロセス処理を開始する時間が遅れてしまうことがわかる。しかも,ダミーウエハWdが処理室PM1内に搬送されてからでないと,処理室内状態安定化処理を開始できないので,その分だけ処理室内状態安定化処理が終了するまでに時間がかかる。従って,製品用ウエハの各ロットごとにダミーウエハWdを用いて処理室内状態安定化処理を行うと,各ロットごとにダミーウエハWdを搬送しなければならないので,その分各ロットごとに製品用ウエハのプロセス処理が完了するまでに時間がかかる。
【0091】
これに対して,ダミーウエハWdを用いない場合には,図5に示すように,ダミーウエハWdの搬送処理を省略することができるので,製品用ウエハA01の搬送処理の開始(t0)と同時に処理室内状態安定化処理を実行することもでき,最初の製品用ウエハA01を搬送している間に処理室内状態安定化処理を終了させることができるので,図6に示す場合に比して1ロット分の製品用ウエハA01〜A25のプロセス処理を開始できるタイミング(t10)も早い。従って,このようなダミーウエハWdを用いない処理室内状態安定化処理を,各ロットの製品用ウエハごとに行うことにより,図6に示す場合に比して各ロットごとに製品用ウエハのプロセス処理が完了するまでの時間を短縮することができる。これにより,製品用ウエハの処理のスループットを向上させることができる。
【0092】
なお,図5において処理室内状態安定化処理の処理時間(t0〜t9)は,例えば製品用ウエハA01のプロセス処理の処理時間(t10〜t19)と同じにした場合について説明したが,プロセス処理の処理時間と異なっていてもよい。すなわち,処理室内状態安定化処理の処理時間は,例えば処理室内の状況や製品用ウエハのプロセス処理の種類やレシピ等に応じて,製品ウエハの処理の処理時間よりも長くしてもよく,短くしてもよい。
【0093】
また,上述した実施形態では,処理室内状態安定化処理を開始するタイミングをプラズマ処理装置の立上げ直後とした場合について説明したが,必ずしもこれに限定されるものではなく,各処理室202にウエハが搬送されてプロセス処理が開始されるまでに,処理室内状態安定化処理が終了するようにその開始タイミングを調整するようにしてもよい。これによれば,例えばウエハが搬入されるまでに時間がかかる処理室であっても,室内状態安定化処理の終了直後の最適な状態でウエハのプロセス処理を実行させることができるので,プロセス特性をさらに向上させることができる。
【0094】
上記実施形態により詳述した本発明については,複数の機器から構成されるシステムに適用しても,1つの機器からなる装置に適用してもよい。上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを記憶した記憶媒体等の媒体をシステム或いは装置に供給し,そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体等の媒体に格納されたプログラムを読み出して実行することによっても,本発明が達成されることは言うまでもない。
【0095】
この場合,記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり,そのプログラムを記憶した記憶媒体等の媒体は本発明を構成することになる。プログラムを供給するための記憶媒体等の媒体としては,例えば,フロッピー(登録商標)ディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,CD−RW,DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−RW,DVD+RW,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROM,或いはネットワークを介したダウンロードなどを用いることができる。
【0096】
なお,コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより,上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく,そのプログラムの指示に基づき,コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い,その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も,本発明に含まれる。
【0097】
さらに,記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラムが,コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後,そのプログラムの指示に基づき,その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い,その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も,本発明に含まれる。
【0098】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0099】
例えば,本発明は,図1に示すクラスタツールタイプの基板処理装置に限られず,様々なタイプの基板処理装置に適用できる。また,基板処理装置に設けられる処理室についてもプラズマエッチング処理装置の処理室のみならず,成膜装置,熱処理装置など他の装置の処理室であってもよい。また,プラズマ処理装置は,必ずしも上部電極と下部電極に別々の高周波電力を印加するものでなくてもよく,例えば下部電極のみに高周波電力を印加するものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は,基板処理装置及びその処理室内の状態安定化方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の実施形態にかかる基板処理装置の構成例を示す断面図である。
【図2】本実施形態にかかる制御部の構成例を示すブロック図である。
【図3】本実施形態にかかる基板処理装置に設けられるプラズマ処理装置の構成例を示す断面図である。
【図4】本実施形態にかかる処理室内状態安定化処理を行う場合の動作を説明するための図である。
【図5】本実施形態にかかるダミーウエハを用いない処理室内状態安定化処理を行う場合の基板処理装置全体のウエハの搬送シーケンスの具体例を示す図である。
【図6】ダミーウエハを用いた処理室内状態安定化処理を行う場合の基板処理装置全体のウエハの搬送シーケンスの比較例を示す図である。
【符号の説明】
【0102】
100 基板処理装置
110 処理ユニット
120 搬送ユニット
130 搬送室
131(131A〜131C) カセット台
132(132A〜132C) カセット容器
133(133A〜133C) ゲートバルブ
136 オリエンタ
138 回転載置台
139 光学センサ
144(144A〜144F) ゲートバルブ
150 共通搬送室
154M,154N ゲートバルブ
162M,162N ゲートバルブ
160(160M,160N) ロードロック室
164(164M,164N) 受渡台
170 搬送ユニット側搬送機構
172 基台
173A,173B ピック
174 案内レール
180 処理ユニット側搬送機構
182 基台
183A,183B ピック
184 案内レール
186 フレキシブルアーム
200(200A〜200F) プラズマ処理装置
202(202A〜202F) 処理室
203 絶縁板
204 サセプタ支持台
205(205A〜205F) サセプタ(下部電極)
206 ハイパスフィルタ
207 温度調節媒体室
208 導入管
209 排出管
211 静電チャック
212 電極
213 直流電源
213a スイッチ
214 ガス通路
214a 噴出口
215 フォーカスリング
221 シャワーヘッド
222 絶縁材
223 吐出孔
224 電極板
225 電極支持体
226 ガス導入口
227 ガス供給管
228 バルブ
229 マスフローコントローラ
230 ガス供給源
231 排気管
235 排気手段
240 第1の高周波電源
241 第1の整合器
242 ローパスフィルタ
250 第2の高周波電源
251 第2の整合器
300 制御部
310 CPU
320 ROM
330 RAM
340 表示手段
350 入出力手段
360 報知手段
370 各種コントローラ
380 プログラムデータ記憶手段
382 搬送プログラム
384 各種処理プログラム
390 設定情報記憶手段
392 搬送設定情報
394 各種処理設定情報
W,A ウエハ
Wd ダミーウエハ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に所定のプロセス処理を施す処理室を含む処理ユニットと,この処理ユニットに接続され,この処理ユニットと前記基板を収納する基板収納容器との間で基板の受け渡しを行う搬送ユニットとを備えた基板処理装置であって,
前記処理室内に配置され,前記基板を載置するサセプタと,
前記サセプタに高周波電力を供給する高周波電源と,
前記処理室内に所定のガスを供給するガス供給手段と,
前記処理室内の排気を行う排気手段と,
前記処理室内で前記基板のプロセス処理を開始するのに先立って,前記サセプタに前記基板を載置しない状態で,前記処理室内に前記ガス供給手段から所定のガスを供給しながら前記排気手段で排気を行って,前記高周波電源からの高周波電力を前記サセプタに印加して,前記処理室内の状態を安定化させる処理を実行させる制御部と,
を備えることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記制御部は,前記基板が前記基板収納容器から前記処理室内へ搬送されるまでの間に,前記処理室内の状態安定化処理を実行させることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は,前記基板を複数枚ごとに連続してプロセス処理する場合には,連続処理する基板群のプロセス処理開始前であって,前記基板群のうちの最初にプロセス処理を行う基板が前記基板収納容器から前記処理室内へ搬送されるまでの間に,前記処理室内の状態安定化処理を実行させることを特徴とする請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は,前記基板が前記処理室内に搬入される前に,前記処理室内の状態安定化処理が終了するように,前記処理室内の状態安定化処理の実行を開始するタイミングを調整することを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記サセプタの基板載置面に形成された複数の噴出口から伝熱ガスを噴出させて,前記基板載置面とそこに載置された基板との間に伝熱ガスを供給する伝熱ガス供給手段を備え,
前記制御部は,前記処理室内の状態安定化処理を行っている間は,前記サセプタの基板載置面に基板を載置しない状態でも,前記伝熱ガス供給手段により前記噴出口から伝熱ガスを噴出させておくことを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記制御部は,前記処理室内の状態安定化処理のための複数の処理条件を予め設定記憶する記憶手段を備え,前記処理室内の状態安定化処理を行う際に前記処理条件を前記記憶手段から読出し,前記処理条件に基づいて前記処理室内の状態安定化処理を実行することを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記処理室内の状態を安定化させる処理は,複数のステップよりなり,
前記処理条件は,前記複数ステップの処理ごとに設定可能としたことを特徴とする請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記処理条件には,少なくとも前記伝熱ガス供給手段から供給する伝熱ガスの設定圧力を含み,
前記伝熱ガスの設定圧力は,前記基板のプロセス処理を行う際の処理条件よりも低く設定されていることを特徴とする請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記処理条件には,少なくとも前記高周波電源から印加する高周波電力の設定電力を含み,
前記設定電力は,前記基板のプロセス処理を行う際の処理条件よりも低く設定されていることを特徴とする請求項6に記載の基板処理装置。
【請求項10】
基板に対して所定のプロセス処理を実行する処理室を備える基板処理装置の処理室内の状態安定化方法であって,
前記基板処理装置は,前記処理室内に配置され,前記基板を載置するサセプタと,前記サセプタに高周波電力を供給する高周波電源と,前記処理室内に所定のガスを供給するガス供給手段と,前記処理室内の排気を行う排気手段とを備え,
前記処理室内で前記基板のプロセス処理を開始するのに先立って,前記サセプタに前記基板を載置しない状態で,前記処理室内に前記ガス供給手段から所定のガスを供給する工程と,
前記排気手段で前記処理室内の排気を行う工程と,
前記高周波電源からの高周波電力を前記サセプタに印加する工程と,
を有することを特徴とする基板処理装置の処理室内の状態安定化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−251967(P2008−251967A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−93582(P2007−93582)
【出願日】平成19年3月30日(2007.3.30)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】