説明

基板処理装置及び基板搬送方法並びにその方法を実施するためのプログラムを記憶する記憶媒体

【課題】ピックによる基板保持時に基板の異常を判定することで,異常な基板の搬送処理を続行することによる不具合を未然に防止する。
【解決手段】基板が水平方向に移動しないように規制する規制体420と,押圧体440をスライド駆動させて,ウエハWの端部を規制体に押しつけることによって保持する押圧保持部430と,押圧体を駆動させるとともに,その押圧体の位置情報を出力可能な押圧体駆動部442とを有するピックを備え,このピックの基板保持時に押圧体をスライド駆動させてその押圧体が停止した位置を検出し,その検出位置が異常判定閾値以上にピックの先端側にある場合にはその基板は異常であると判定し,その基板の搬送処理を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ピックで半導体ウエハ,液晶基板,太陽電池用基板などの基板を保持して搬送する搬送アームを備えた基板処理装置及び基板搬送方法並びにその方法を実施するためのプログラムを記憶する記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを製造する際の装置として,半導体ウエハなどの基板に対して所定の処理を繰り返し施すために,多種多様なプロセスチャンバが組み合わされており,これらのチャンバ同士間及び基板を多数枚収容するカセットと上記チャンバとの間などに基板を自動的に受け渡しを行なうために基板搬送機構が設けられている。この基板搬送機構は,例えば屈伸及び旋回自在になされた搬送アームを有しており,この搬送アームの先端に設けたピックに基板を載せて搬送する搬送処理を行うようになっている。
【0003】
このような基板処理機構では,基板の搬送時間を短縮してスループットを向上させるために,基板の搬送速度をできる限り速くする制御を行うことが好ましい。ところが,基板の搬送速度を速くすると,ピックから基板が落下したり,基板ずれが発生したりする虞がある。このため,ピック上で基板の端部を挟み込んでしっかり保持してから搬送するものが開発されている(例えば下記特許文献1〜3参照)。
【0004】
例えば下記特許文献1は,基板の端部をその側方から2つのハンドで挟み込むように保持するものである。また下記特許文献2,3は当接部材(又は可動爪)をスライド駆動させて基板の端部を先端の規制片(又は突起部)に押しつけて保持するものである。これらによれば,基板をしっかり保持できるので,基板搬送機構の搬送速度を高速化することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−134526号公報
【特許文献2】特開2010−062445号公報
【特許文献3】特開2002−252268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで,近年では基板を高温で熱処理する場合も多くなってきている。この場合,高温の基板を常温雰囲気中に搬出すると,その基板に熱収縮による反りなどの異常が発生する場合がある。基板を高温で処理しなくても,何らかの原因で基板に欠けなどの異常が発生する場合もある。このような場合においても,そのような異常がない正常な基板と同様に搬送処理を続行すると,基板の位置ずれや割れの要因になる虞がある。
【0007】
例えばこのような異常な基板を次のプロセス処理を行うプロセスチャンバに搬入する際に,その搬出入口に引っかかったり,カセット容器に戻すときにその搬出入口に引っかかったりして,基板の位置ずれや割れが発生する虞がある。
【0008】
ところが,上述したような従来のピックではこの点に着目したものはなく,この問題を解決することはできない。例えば上記特許文献2では,ウエハを保持する可動爪の位置を検出するものの,これは専ら可動爪の位置に基づいて基板の中心を求めてピック上の基板の位置ずれを補正するものであって,ピック上の基板の異常の有無を判定するものではなく,その点についてはまったく考慮されていない。
【0009】
そこで,本発明は,このような問題に鑑みてなされたもので,その目的とするところは,ピックによる基板保持時に基板の異常を判定し,異常の場合には搬送を停止することで,異常な基板の搬送処理を続行することによる不具合を未然に防止することができる基板処理方法等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,ピックで基板を保持して搬送する搬送アームを備えた基板処理装置の基板搬送方法であって,前記ピックは,前記ピックの先端側に設けられ,前記ピック上の前記基板が水平方向に移動しないように規制する規制壁を有する少なくとも2つの規制体と,前記ピック上の前記基板に向けて押圧体を初期位置から終了位置まで所定距離だけスライド駆動させて,前記基板の端部を前記規制体の規制壁に押しつけることによって,前記基板を前記規制体と前記押圧体との間で保持する押圧保持部と,前記押圧体をスライド駆動させるとともに,その押圧体の位置情報を出力可能な押圧体駆動部とを備え,前記ピックの基板保持時に前記押圧体をスライド駆動させてその押圧体が停止した位置を前記押圧体駆動部の出力に基づいて検出する工程と,前記押圧体の検出位置が,正常な基板を保持したときの位置と前記終了位置との間に設定した異常判定閾値以上に前記ピックの先端側にある場合には,前記ピック上の基板は異常であると判定する工程と,前記ピック上の基板は異常であると判定した場合にはその基板の搬送処理を停止する工程と,を有することを特徴とする基板搬送方法が提供される。
【0011】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,ピックで基板を保持して搬送する搬送アームを備えた基板搬送装置の基板搬送方法を実施するためのプログラムを記憶するコンピュータ読取可能な記憶媒体であって,前記ピックは,前記ピックの先端側に設けられ,前記ピック上の前記基板が水平方向に移動しないように規制する規制壁を有する少なくとも2つの規制体と,前記ピック上の前記基板に向けて押圧体を初期位置から終了位置まで所定距離だけスライド駆動させて,前記基板の端部を前記規制体の規制壁に押しつけることによって,前記基板を前記規制体と前記押圧体との間で保持する押圧保持部と,前記押圧体をスライド駆動させるとともに,その押圧体の位置情報を出力可能な押圧体駆動部とを備え,前記基板搬送方法は,前記ピックの基板保持時に前記押圧体をスライド駆動させてその押圧体が停止した位置を前記押圧体駆動部の出力に基づいて検出する工程と,
前記押圧体の検出位置が,正常な基板を保持したときの位置と前記終了位置との間に設定した異常判定閾値以上に前記ピックの先端側にある場合には,前記ピック上の基板は異常であると判定する工程と,前記ピック上の基板は異常であると判定した場合にはその基板の搬送処理を停止する工程と,を有することを特徴とする記憶媒体が提供される。
【0012】
上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,ピックで基板を保持して搬送する搬送アームを備えた基板処理装置であって,前記ピックの先端側に設けられ,前記ピック上の前記基板が水平方向に移動しないように規制する規制壁を有する少なくとも2つの規制体と,前記ピック上の前記基板に向けて押圧体を初期位置から終了位置まで所定距離だけスライド駆動させて,前記基板の端部を前記規制体の規制壁に押しつけることによって,前記基板を前記規制体と前記押圧体との間で保持する押圧保持部と,前記押圧体をスライド駆動させるとともに,その押圧体の位置情報を出力可能な押圧体駆動部と,前記ピックの基板保持時に前記押圧体をスライド駆動させてその押圧体が停止した位置を前記押圧体駆動部の出力に基づいて検出し,その検出位置が,正常な基板を保持したときの位置と前記終了位置との間に設定した異常判定閾値以上に前記ピックの先端側にある場合には,前記ピック上の基板は異常であると判定し,前記ピック上の基板は異常であると判定した場合にはその基板の搬送処理を停止する制御部と,を備えたことを特徴とする基板処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば,基板を保持する押圧体をピック上の基板に向けて初期位置から終了位置まで所定距離だけスライド駆動させて,押圧体が停止した位置に基づいて基板の異常を判定することができる。これによれば,ピックによる基板保持時に基板の異常を判定した場合は基板の搬送処理を停止することで,異常な基板の搬送処理を続行することによる不具合を未然に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態にかかる基板処理装置の構成例を示す断面図である。
【図2】同実施形態におけるピックの構成例を示す上面図である。
【図3】図2に示すピックの動作を説明するための縦断面図であって,押圧体をスライド駆動させる前の状態を示すものである。
【図4】図2に示すピックの動作を説明するための縦断面図であって,押圧体をスライド駆動させてウエハを保持した状態を示すものである。
【図5】押圧体をスライド駆動させたときの押圧体の速度を説明するための図であって,正常なウエハを保持した場合である。
【図6】押圧体をスライド駆動させたときの押圧体の位置を説明するための図である。
【図7】押圧体をスライド駆動させたときの作用説明図であって,ピック上にウエハがない場合である。
【図8】押圧体をスライド駆動させたときの作用説明図であって,ピック上のウエハに熱収縮による反りの異常がある場合である。
【図9】押圧体をスライド駆動させたときの作用説明図であって,規制体の規制壁が削れている場合である。
【図10】本実施形態における判定処理の概略をフローチャートで示した図である。
【図11】押圧体をスライド駆動させたときの押圧体の速度を説明するための図であって,熱収縮による反りの異常があるウエハを保持した場合である。
【図12】押圧体をスライド駆動させたときの押圧体の速度を説明するための図であって,熱収縮による反り以外の異常があるウエハを保持した場合である。
【図13】本実施形態におけるウエハの反り判定処理の概略をフローチャートで示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0016】
(基板処理装置の構成例)
先ず,本発明の実施形態にかかる基板処理装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の実施形態にかかる基板処理装置の概略構成を示す断面図である。図1に示すように基板処理装置100は,複数(例えば4つ)のプロセスチャンバ140A〜140Dをトランスファチャンバ(共通搬送室)150の周りにゲートバルブ144A〜144Dを介して接続してなるプロセスモジュール(真空処理ユニット)110と,このプロセスモジュール110に対してウエハWを搬出入させるローダモジュール(搬送ユニット)120とを備える。
【0017】
トランスファチャンバ150はその内部を所定の真空圧力に減圧できるように構成されており,ローダモジュール120は大気圧雰囲気のローダチャンバ130により構成されている。ローダチャンバ130とトランスファチャンバ150の内部には基板を搬送するローダアーム機構200,トランスファアーム機構300が設けられている。
【0018】
ここでの各プロセスチャンバ140A〜140Dは,基板例えば半導体ウエハ(以下,単に「ウエハ」とも称する。)Wに対してエッチングや成膜などのプロセス処理を行うプラズマ処理装置として構成した場合の例を挙げる。
【0019】
具体的には各プロセスチャンバ140A〜140Dは,例えば減圧可能な処理容器142を備え,この処理容器142内に,ウエハWを載置する基板載置台を兼ねる下部電極(サセプタ)146と,これに対向するように処理ガスをウエハW上に供給するシャワーヘッドを兼ねる上部電極(図示しない)を設けて構成される。
【0020】
このようなプロセスチャンバ140A〜140DのいずれかによってウエハWの表面にプロセス処理を行う場合は,ローダアーム機構200,トランスファアーム機構300によって処理容器142内までウエハWを搬送し,下部電極146上に載置する。処理容器142内を減圧して図示しない上部電極から処理ガスを導入し,各電極間に所定の高周波電力を印加してウエハW上に処理ガスのプラズマを生成する。このプラズマによってウエハWの表面にエッチング,成膜などの所定のプロセス処理を施す。
【0021】
なお,プロセスチャンバ140A〜140Dの構成はこれに限られるものではなく,別の処理装置(例えば熱処理装置,成膜装置など)として構成してもよい。また図1に示す基板処理装置100は,4つのプロセスチャンバ140A〜140Dを設けた場合を例に挙げているが,これに限定されるものではなく,3つ以下のプロセスチャンバを備えたものであってもよい。
【0022】
トランスファチャンバ150の周囲には,さらに第1,第2ロードロックチャンバ160M,160Nの一端がそれぞれゲートバルブ(真空圧側ゲートバルブ)162を介して接続されており,第1,第2ロードロックチャンバ160M,160Nの他端は,それぞれゲートバルブ(大気圧側ゲートバルブ)164を介してローダチャンバ130に接続されている。
【0023】
第1,第2ロードロックチャンバ160M,160Nは,ウエハWを一時的に保持し,減圧雰囲気に調整した後にトランスファチャンバ150へパスし,大気圧雰囲気に調整した後にローダチャンバ130へパスする機能を有している。第1,第2ロードロックチャンバ160M,160Nの内部にはそれぞれ,ウエハWを載置可能な受渡台166が設けられている。
【0024】
トランスファアーム機構300は,これらロードロックチャンバ160M,160N及びプロセスチャンバ140A〜140Dに対してウエハWを搬出入できるようになっている。具体的にはトランスファアーム機構300は,基台310に旋回自在に支持された屈伸自在な2つのトランスファアーム320A,320Bと,これらの先端にそれぞれ設けられウエハWを保持するピック(エンドエフェクタ)400A,400Bとを備える。
【0025】
これによれば,各チャンバ140A〜140D,160N,160MにアクセスしてウエハWを交換することができる。例えばプロセスチャンバ140A〜140Dへの1回のアクセスで,何も保持していない空のピック400Aによってプロセス処理が終了した処理済ウエハWを搬出し,他方のピック400Bに保持された未処理ウエハWを搬入することができる。なお,トランスファアーム機構300は図1に示すような2つのアーム320A,320Bを備えるダブルアーム機構に限られるものではなく,1つのアームを備えるシングルアーム機構であってもよい。
【0026】
次に,ローダモジュール120の構成についてより詳細に説明する。ローダモジュール120を構成するローダチャンバ130の内部は大気圧雰囲気中にてNガス等の不活性ガスや清浄空気が循環されるようになっている。ローダチャンバ130には,複数のカセット台131A〜131Cが並設されている。これらカセット台131A〜131Cには,ウエハWを収納するカセット容器132A〜132Cがセットされる。ローダチャンバ130の側壁には,ウエハWの投入口としての3つのロードポート133A〜133Cが各カセット台131A〜131Cに対応するように設けられている。
【0027】
図1では,例えば各カセット台131A〜131Cに3台のカセット容器132A〜132Cをそれぞれ1つずつ載置することができる例を挙げているが,カセット台とカセット容器の数はこれに限られず,例えば1台又は2台であってもよく,また4台以上設けてもよい。
【0028】
各カセット容器132A〜132Cには,少なくとも1ロット分(例えば25枚)以上のウエハWを等ピッチで多段に載置して収容できるようになっており,内部は例えばNガス雰囲気で満たされた密閉構造となっている。
【0029】
ローダチャンバ130には,ウエハWの位置決め装置としてのオリエンタ(プリアライメントステージ)136が設けられている。オリエンタ136は,例えば内部に回転載置台138とウエハWの周縁部を光学的に検出する光学センサ139とを備え,ウエハWのノッチやオリエンテーションフラット等を検出して位置合せを行う。
【0030】
ローダアーム機構200は,上述した各カセット容器132A〜132C,オリエンタ136,第1,第2ロードロックチャンバ160M,160Nに対してウエハWを搬出入できるようになっている。具体的にはローダアーム機構200は,基台210に旋回自在に支持された屈伸自在な2つのローダアーム220A,220Bと,これらの先端にそれぞれ設けられウエハWを保持するピック(エンドエフェクタ)400A,400Bとを備える。基台210はローダチャンバ130内を長手方向に沿って設けられた案内レール212上を例えばリニアモータ駆動機構によりスライド移動可能に構成されている。
【0031】
これによれば,第1,第2ロードロックチャンバ160M,160N等にアクセスして,ウエハWを交換することができる。例えばロードロックチャンバ160Mへの1回のアクセスで,何も保持していない空のピック400Aでロードロックチャンバ160Mの内部にある処理済ウエハWを搬出し,他方のピック400Bで保持している未処理ウエハWを搬入することができる。なお,ローダアーム機構200は図1に示すような2つのアーム220A,220Bを備えるダブルアーム機構に限られるものではなく,1つのアームを備えるシングルアーム機構であってもよい。
【0032】
基板処理装置100には,制御部(全体制御装置)190が接続されており,この制御部190によって基板処理装置100の各部が制御されるようになっている。また,制御部190には,オペレータが基板処理装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや,基板処理装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなる操作部192が接続されている。
【0033】
さらに,制御部190には,基板処理装置100で実行される各種処理(ウエハWに対するプラズマ処理の他,ピック400上のウエハWの異常等を判定する後述の判定処理,ウエハWの熱収縮による反りの有無を検出する処理など)を制御部190の制御にて実現するためのプログラムやプログラムを実行するために必要な処理条件(レシピ)などが記憶された記憶部194が接続されている。
【0034】
記憶部194には,例えば複数の処理条件(レシピ)や後述する判定処理などで用いる各閾値データが記憶されている。このうち処理条件については,基板処理装置100の各部を制御する制御パラメータ,設定パラメータなどの複数のパラメータ値をまとめたものである。各処理条件は例えば処理ガスの流量比,処理室内圧力,高周波電力などのパラメータ値を有する。
【0035】
なお,これらのプログラムや処理条件はハードディスクや半導体メモリに記憶されていてもよく,またCD−ROM,DVD等の可搬性のコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に収容された状態で記憶部194の所定位置にセットするようになっていてもよい。
【0036】
制御部190は,操作部192からの指示等に基づいて所望のプログラム,処理条件を記憶部194から読み出して各部を制御することで,基板処理装置100での所望の処理を実行する。また,操作部192からの操作により処理条件を編集できるようになっている。
【0037】
ところで,近年ではウエハWを高温で熱処理する場合も多くなってきている。この場合,高温のウエハWを常温雰囲気中に搬出すると,そのウエハWに熱収縮による反りなどの異常が発生する場合がある。ウエハWを高温で処理しなくても,何らかの原因でウエハWに欠けなどの異常が発生する場合もある。このような場合においても,そのような異常がない正常なウエハWと同様に搬送処理を行うと,ウエハWの位置ずれや割れの要因になる虞がある。
【0038】
例えばこのような異常なウエハWをトランスファアーム機構300によって次のプロセス処理を行うプロセスチャンバ140A〜140Dの処理容器142内に搬入する際に,その処理容器142の搬出入口に引っかかったり,ローダアーム機構200でカセット容器132に戻すときにその搬出入口に引っかかったりして,ウエハWの位置ずれや割れが発生する虞がある。
【0039】
そこで,本実施形態におけるローダアーム機構200やトランスファアーム機構300のピック400A,400Bには,ウエハWを保持したときにウエハWの反りなどの異常の有無などを判定する機能を設けている。これによれば,ピック400A,400Bによるウエハ保持時にウエハWの異常を判定することができる。このため,処理容器142やカセット容器132にウエハWを搬入する前にウエハWの異常を検出できるので,ウエハWの位置ずれや割れなどを未然に防ぐことができる。
【0040】
(ピックの構成例)
以下,このようなウエハWの異常の有無などを判定する機能を備えたピックの構成例について図面を参照しながら説明する。本実施形態においては,ローダアーム機構200のピック400A,400B及びトランスファアーム機構300のピック400A,400Bはすべて同じ構成であるため,ここでは添え字A,Bを省略したピック400を代表して説明する。図2は,ピック400の具体的構成例を示す上面図である。図3,図4は,図2に示すピック400の動作を説明するための縦断面図である。
【0041】
図2に示すピック400はウエハWを端部で保持する所謂エッジグリップ機能を備えたものである。具体的にはピック400は,ウエハWを載置可能な2本のフォークを有する略U字状のピック本体410により構成される。なお,フォークの数は2本に限られず,例えば3本以上であってもよい。
【0042】
ピック本体410は,このピック本体410上のウエハWが水平方向に移動しないように規制する規制壁を有する少なくとも2つの規制体420と,ピック本体410上のウエハWに向けて押圧体440を初期位置(駆動開始位置)から終了位置(駆動終了位置)まで所定距離だけスライド駆動させて,ウエハWの端部を規制体420の規制壁に押しつけることによって,ウエハWを規制体420と押圧体440との間で保持する押圧保持部430とを備える。
【0043】
規制体420は,ピック本体410の先端側(図2ではフォークの先端部)に配置され,押圧保持部430はピック本体410の基端側に配置されている。図2では規制体420をピン状に形成した場合の例を挙げている。このような形状の規制体420ではウエハWの端部に当接する側面がウエハWの水平方向に規制する規制壁となる。
【0044】
規制体420は,ウエハWの保持を繰り返すと,規制体420の側面(規制壁)が削れて消耗するので,容易に交換できるように構成されている。例えばピック本体410に設けた穴に規制体420をはめ込んで固定する。また規制体420の下方にねじ部を形成し,ピック本体410に形成された穴に形成したねじ部に螺合させて固定するようにしてもよい。
【0045】
なお,規制体420は図2に示すものに限られるものではない。例えば規制体420を段部を有する板状に形成し,その段部の側面を規制壁としたものであってもよい。
【0046】
押圧保持部430は,ピック本体410の基端部の略中央にピック本体410の先端に向けて形成された直線状の溝部432と,ウエハWの端部に当接して押しつける押圧体440と,押圧体440を溝部432に沿ってスライド駆動させる押圧体駆動部442とを備える。
【0047】
本実施形態における押圧保持部430は,ウエハ保持時の押圧体440の位置を検出することで,ウエハWの端部位置の変化を検出できるように構成され,その検出結果に基づいてウエハWの異常等を判定できるようになっている。
【0048】
この場合,もし押圧体440の位置を検出する位置センサを別途設けるとすれば,ピック400の部品点数や配線も増えるので,搬送速度を上げるためには好ましくない。このため,本実施形態では,押圧保持部430の押圧体駆動部442を,押圧体440の位置と速度を検出できるアクチュエータで構成することによって,別途位置センサを設けなくてもよいようにしている。
【0049】
このような押圧体駆動部442として例えばリニアモータを用いることができる。これによれば,リニアモータからの出力を監視するだけで,押圧体440の位置のみならず,その速度まで検出できる。なお,押圧体駆動部442としてはこれに限られるものではなく,例えばステッピングモータ,DCモータなどのモータで構成してもよい。
【0050】
このようなピック400では,図3に示すように押圧体440が基端側の初期位置(待機位置)にあるときの,規制体420と押圧体440との間の領域がウエハWを保持可能な範囲(基板保持可能範囲)となる。この領域にウエハWが載置されると,押圧体駆動部442により押圧体440を先端側に駆動させて,ウエハWを規制体420に押しつけることで,図4に示すようにウエハWの端部は規制体420と押圧体440とによって保持される。
【0051】
このときの押圧体440の速度は,図5に示すようになる。すなわち,押圧体440は初期位置(時間t0)から駆動を開始すると,定速Vになるまで加速した後,定速Vを保持しながら先端側に向けて駆動する。そして,押圧体440がウエハWの端部に当接して押圧すると,押圧体440が停止するので速度はゼロになって,ウエハWが保持される(時間t1)。従って,この押圧体440が停止したとき,すなわちウエハ保持時(図5では時間t1以降)における押圧体440の位置を検出することで,ウエハ保持時のウエハ端部位置を検出できる。本実施形態ではこの検出結果を利用してウエハWの異常等を判定する。
【0052】
ここで,ウエハ保持時の押圧体440の位置(ウエハ端部位置)を利用した異常等の判定について図面を参照しながら説明する。図6はウエハWを保持するごとにウエハ保持時の押圧体440の位置を検出してプロットしたグラフを示す図である。
【0053】
図6に示すグラフにおいて,横軸はウエハWの保持回数をとり,縦軸は押圧体440をピック基端側の初期位置Dstartから終了位置Dendまで所定の移動距離だけスライドさせたときに,ウエハWの端部に当接したときの位置をとったものである。
【0054】
これによれば,ウエハWがない場合には,図7に示すように押圧体440は終了位置Dendまで当接するものがないため,押圧体440は図6に示すように終了位置Dendで停止する。これに対して,ウエハWがある場合にはそれが反りや欠けがある異常なウエハWか否かに拘わらず,押圧体440は終了位置Dendに至るまでにウエハWの端部に接触して停止する。
【0055】
このため,本実施形態ではウエハ保持時の押圧体440の位置が終了位置Dendであるか否かによって,ウエハWの有無を判定する。具体的にはウエハ保持時の押圧体440の位置が終了位置Dendである場合はピック400上にウエハWなしと判定し,終了位置Dendでない場合はピック400上にウエハWありと判定する。
【0056】
また,図6によれば,熱収縮によって反りや欠けがある異常なウエハWの場合には,図8に示すようにその分だけウエハWの端部位置がピック400の先端側にずれるので,押圧体440が停止する位置も図6に示す正常なウエハWに比してピック400の先端側にずれる。
【0057】
このため,本実施形態では正常なウエハWを保持したときの位置と終了位置Dendとの間に異常判定閾値Dabを設け,ウエハ保持時の押圧体440の位置がこの異常判定閾値Dab以上であるか否かによって,ウエハWの異常の有無を判定する。具体的には,ウエハ保持時の押圧体440の位置がこの異常判定閾値Dab以上の場合はピック400上のウエハWは異常と判定し,異常判定閾値Dab以上でない場合はピック400上のウエハWは正常と判定する。
【0058】
なお,ウエハWが正常な場合であっても,図6に示すようにウエハWを保持する回数が増えるに連れて,僅かずつではあるが,ウエハ保持時の押圧体440の位置が先端側にずれていく。これは,ウエハWの保持を繰り返すと,規制体420において図9に示すようにウエハWが押し当てられる規制壁(ここでは側面)が徐々に削れていき,ウエハWを保持したときにその削られた分だけウエハWの端部がピック400の先端側にずれるからである。このため,図6に示すように規制体420を新しいものに交換すれば,その直後の押圧体440の位置は規制体420が削れていないときの位置に戻る。
【0059】
このような規制体420の規制壁の削れ量が大きくなるほど,ピック本体410からウエハWが離れるときに規制体420に引っかかり易くなる。例えば図1に示すウエハWをプロセスチャンバ140A〜140Dに搬入する際,押圧体440をリリースして載置台である下部電極146に設けられたリフタピン(図示しない)に受け渡すときに,ウエハWはピック本体410から持ち上がるので,そのときに規制体420に引っかかってはね上がり,位置ずれや割れが発生する虞がある。このため,このような不具合が発生する前,すなわち規制体420の削れ量が許容量を超える前に規制体420を交換する必要がある。
【0060】
そこで,本実施形態では,規制体420の削れ量の許容量に基づいて,正常なウエハWを保持したときの位置と上記異常判定閾値Dabとの間に交換時期判定閾値Dexを設定し,ウエハ保持時の押圧体440の位置がこの交換時期判定閾値Dex以上になったところで規制体420の交換時期と判定する。
【0061】
本実施形態にかかるピック400では,このように押圧体440の位置に複数の閾値を設けることで,ウエハ保持時の押圧体440の位置がこれらの閾値以上か否かによって,ウエハWの有無,ウエハWの異常の有無,規制体420の交換時期到来の有無など様々な判定を行うことができる。
【0062】
(判定処理の具体例)
ここで,本実施形態におけるピック400を用いて上述したようなウエハWの異常の有無等を判定する処理の具体例について図面を参照しながら説明する。図10は,本実施形態における判定処理の具体例をフローチャートで示す図である。判定処理は,制御部190によって所定のプログラムに基づいて行われる。上記各閾値は,制御部190がアクセス可能な記憶部194に予め記憶されており,制御部190が判定処理を行う際に必要に応じて記憶部194から読み出して用いる。
【0063】
ピック400でウエハWを受け取ると,押圧体440を初期位置Dstartから先端側にスライドして停止した位置をウエハ保持時の位置として,図10に示す判定処理を実行する。なお,押圧体440が停止したか否かは,例えば押圧体440の速度が0になったか否かで判断する。このとき,押圧体440の位置と速度は,押圧体駆動部442の出力から取得する。
【0064】
図10に示す判定処理では,先ずステップS110にて押圧体440の位置が図6に示すスライド動作の終了位置Dendか否かを判断する。このステップS110にて押圧体440の位置が終了位置Dend以上であると判断した場合は,終了位置Dendまで押圧体440がウエハWの端部に当接しなかったことになる。
【0065】
従って,この場合はピック400上にあるはずのウエハWが存在していないので,ステップS120にてピック400上にウエハWなしと判定する。この場合はピック400による搬送処理を停止し,例えば操作部192によるディスプレイ表示やアラーム報知などを行うことによってピック400上にウエハWなしということを知らせる。
【0066】
ステップS110にて押圧体440の位置が終了位置Dendでないと判断した場合は,ステップS130にて押圧体440の位置が図6に示す異常判定閾値Dab以上であるか否かを判断する。ステップS130にて押圧体440の位置が異常判定閾値Dab以上であると判断した場合は,ウエハWの端部が正常の場合よりも先端側にあることになる。
【0067】
従って,この場合は,例えば熱収縮による反りや欠けなどの異常があるので,ステップS140にてウエハWは異常であると判定する。この場合もピック400による搬送処理を停止し,例えば操作部192によるディスプレイ表示やアラーム報知などを行うことによってピック400上のウエハWが異常であることを知らせる。
【0068】
ステップS130にて押圧体440の位置が異常判定閾値Dab以上でないと判断した場合は,ステップS150にて押圧体440の位置が図6に示す規制体420の交換時期判定閾値Dex以上であるか否かを判断する。このステップS150にて押圧体440の位置が交換時期判定閾値Dex以上であると判断した場合は,規制体420の交換が必要なほど削れ量が大きくなっている。
【0069】
従って,この場合は,ステップS160にて規制体420の交換時期と判断する。この場合もピック400による搬送処理を停止し,例えば操作部192によるディスプレイ表示やアラーム報知などを行うことによって規制体420の交換時期であることを知らせる。
【0070】
このステップS150にて押圧体440の位置が交換時期判定閾値Dex以上でないと判断した場合は,ウエハWは異常がなく,規制体420の交換も必要ない場合である。従って,この場合はピック400上ウエハWは正常であると判定する。この場合にはピック400を動作させて搬送処理を続行する。
【0071】
このように,本実施形態によれば,ウエハ保持時の押圧体440の位置に複数の閾値を設定してそれを超えたか否かを判断することで,ピック400上のウエハWの有無のみならず,ウエハWの異常の有無,規制体420の交換時期到来の有無まで判定できる。
【0072】
なお,ステップS140にてピック400上のウエハWが異常であると判定した場合は,さらに熱収縮による反りがあるか否かを判定する処理を行うようにしてもよい。ウエハWに反りがある場合は,そのウエハWを例えばプロセスチャンバ140A〜140Dの処理容器142内にそのまま搬入しようとすると,その処理容器142の搬入口にウエハWが引っかかったり,割れたり,位置ずれが発生したりする虞がある。
【0073】
一方,ウエハWの熱収縮による反りは,そのまま放置することによって自然に元に戻り,反りもなくなる。このため,ウエハWに反りがある場合は放置してからウエハWの搬送処理を再開するようにしてもよい。
【0074】
この場合,ウエハWに反りがあるか否かは,例えば押圧体駆動部442からの出力に基づいて検出される押圧体440の速度によって判断することができる。すなわち,ウエハWに反りがある場合は撓み易いので,押圧体440はそのウエハWの端部に接触しても直ぐには停止せず,ウエハWが少し撓んでから停止する。このため,押圧体440の速度は,図11に示すように押圧体440がウエハWの端部に当接してから速度が徐々に低下して時点t2にて低下する。
【0075】
これに対して,ウエハWに反りがない場合は撓み難いので,押圧体440はそのウエハWの端部に接触すればそれ以上動かなくなって停止する。このため,押圧体440の速度は,図12に示すように押圧体440がウエハWの端部に当接するとその時点t3で速度がゼロになる。
【0076】
このように,ウエハWに反りがある場合は図11に示すように押圧体440が停止する時点t2の直前に,速度がゼロになるまでに次第に減速するのに対して,ウエハWに反りがない場合は図12に示すように押圧体440が停止する時点t3の直前に速度が次第に減速しない。
【0077】
そこで,本実施形態におけるウエハWの反り判定処理としては,例えば図13に示すように,ステップS210にて押圧体440が停止する直前に速度が次第に減速するか否かを判断し,速度が次第に減速すると判断した場合にステップS220にてウエハWの反りありと判定し,速度が次第に減速しないと判断した場合にはステップS230にてウエハWの反りなしと判断する。
【0078】
そして,ステップS220にてウエハWの反りありと判定した場合には,ウエハWをピック400上で所定時間放置してから搬送処理を再開する。これにより,ウエハWの反りがなくなってから処理容器142などに搬入できるので,ウエハWの反りによる位置ずれや割れなどを防止できる。この場合,ウエハWを放置する時間は予め設定したものを用いる。
【0079】
また,放置を終了するタイミングは,これに限られるものではない。例えば熱収縮したウエハWが膨張して戻るときに押圧体440がピック400の基端側に戻されることを利用して放置を終了するタイミングを決定してもよい。例えば押圧体440が正常なウエハWを保持したときの位置まで戻ったか否かを判断することで,ウエハWの反りがなくなったか否かを判断することができる。
【0080】
そこで,ウエハWを放置している間に押圧体440の位置を監視して,正常なウエハWを保持したときの位置まで戻った時点で,放置終了と判断してそのウエハWの搬送処理を再開する。これによれば,ウエハWの反りがなくなって直ぐに搬送処理を再開できるので,スループットを向上させることができる。さらに,反りなどの異常があるウエハWを落下させてしまったときなどに,基板処理装置100の稼働を停止してそのウエハWを取り除いて,基板処理装置100を復旧させるまでのダウンタイムを低減することもできる。
【0081】
なお,本実施形態のように2つのピックを備える場合は,一方のピックでウエハWの反りを戻すために放置している間にも,他方のピックは別のウエハWの搬送処理を続行するようにしてもよい。
【0082】
また,ステップS230にてウエハWの反りなしと判断した場合は,ウエハWには熱収縮による反り以外の異常(例えばウエハWの欠けなど)があるので,ピック400による搬送処理を停止し,例えば操作部192によるディスプレイ表示やアラーム報知などを行うことによってピック400上のウエハWに反り以外の異常があることを知らせるようにしてもよい。
【0083】
このように,本実施形態では,ウエハWに異常ありと判定した場合に,その異常が熱収縮による反りであるか,それ以外の欠けなどの異常であるかなど,その異常の種類まで判定することができる。
【0084】
なお,本実施形態では,ローダアーム機構200とトランスファアーム機構300の両方のピックを図2に示すピック400の構成にした場合について説明したが,これに限られるものではなく,ローダアーム機構200のピック400A,400Bのみを図2に示すピック400の構成にしてもよく,トランスファアーム機構300のピック400A,400Bのみを図2に示すピック400の構成にしてもよい。
【0085】
また,上述した実施形態の機能を実現するソフトウエアのプログラムを記憶した記憶媒体等の媒体をシステムあるいは装置に供給し,そのシステムあるいは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU)が記憶媒体等の媒体に記憶されたプログラムを読み出して実行することによっても,本発明が達成され得る。
【0086】
この場合,記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり,そのプログラムを記憶した記憶媒体等の媒体は本発明を構成することになる。プログラムを供給するための記憶媒体等の媒体としては,例えば,フロッピー(登録商標)ディスク,ハードディスク,光ディスク,光磁気ディスク,CD−ROM,CD−R,CD−RW,DVD−ROM,DVD−RAM,DVD−RW,DVD+RW,磁気テープ,不揮発性のメモリカード,ROMなどが挙げられる。また,媒体に対してプログラムを,ネットワークを介してダウンロードして提供することも可能である。
【0087】
なお,コンピュータが読み出したプログラムを実行することにより,上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく,そのプログラムの指示に基づき,コンピュータ上で稼動しているOSなどが実際の処理の一部又は全部を行い,その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も,本発明に含まれる。
【0088】
さらに,記憶媒体等の媒体から読み出されたプログラムが,コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後,そのプログラムの指示に基づき,その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い,その処理によって上述した実施形態の機能が実現される場合も,本発明に含まれる。
【0089】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は,ピックで基板を保持して搬送する搬送アームを備えた基板処理装置及び基板搬送方法並びにその方法を実施するためのプログラムを記憶する記憶媒体に適用可能である。
【符号の説明】
【0091】
100 基板処理装置
110 プロセスモジュール
120 ローダモジュール
130 ローダチャンバ
131A〜131C カセット台
132A〜132C カセット容器
133A〜133C ロードポート
136 オリエンタ
138 回転載置台
139 光学センサ
140A〜140D プロセスチャンバ
142 処理容器
144A〜144D ゲートバルブ
146 下部電極
150 トランスファチャンバ
160M,160N, ロードロックチャンバ
162,164 ゲートバルブ
166 受渡台
190 制御部
192 操作部
194 記憶部
200 ローダアーム機構
210 基台
212 案内レール
220A,220B ローダアーム
300 トランスファアーム機構
310 基台
320A,320B トランスファアーム
400(400A,400B) ピック
410 ピック本体
420 規制体
430 押圧保持部
432 溝部
440 押圧体
442 押圧体駆動部
Dstart 初期位置(駆動開始位置)
Dend 終了位置(駆動終了位置)
Dab 異常判定閾値
Dex 交換時期判定閾値
W ウエハ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピックで基板を保持して搬送する搬送アームを備えた基板処理装置の基板搬送方法であって,
前記ピックは,前記ピックの先端側に設けられ,前記ピック上の前記基板が水平方向に移動しないように規制する規制壁を有する少なくとも2つの規制体と,前記ピック上の前記基板に向けて押圧体を初期位置から終了位置まで所定距離だけスライド駆動させて,前記基板の端部を前記規制体の規制壁に押しつけることによって,前記基板を前記規制体と前記押圧体との間で保持する押圧保持部と,前記押圧体をスライド駆動させるとともに,その押圧体の位置情報を出力可能な押圧体駆動部と,を備え,
前記ピックの基板保持時に前記押圧体をスライド駆動させてその押圧体が停止した位置を前記押圧体駆動部の出力に基づいて検出する工程と,
前記押圧体の検出位置が,正常な基板を保持したときの位置と前記終了位置との間に設定した異常判定閾値以上に前記ピックの先端側にある場合には,前記ピック上の基板は異常であると判定する工程と,
前記ピック上の基板は異常であると判定した場合にはその基板の搬送処理を停止する工程と,
を有することを特徴とする基板搬送方法。
【請求項2】
前記ピック上の基板は異常であると判定した場合は,さらにその異常が熱収縮による反りの有無を判定し,熱収縮による反りであると判定した場合は,前記ピック上にその基板を載せた状態で所定時間放置してから搬送処理を再開することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送方法。
【請求項3】
前記ピック上の基板は異常であると判定した場合は,さらにその異常が熱収縮による反りの有無を判定し,熱収縮による反りであると判定した場合は,前記ピック上にその基板を載せた状態で放置しながら前記押圧体の位置の変化を監視し,前記押圧体の位置が熱収縮による反りがなくなった位置まで戻ってから搬送処理を再開することを特徴とする請求項1に記載の基板搬送方法。
【請求項4】
前記基板の異常が熱収縮による反りの有無の判定は,前記押圧体駆動部からの出力に基づいて検出される前記押圧体の速度に基づいて行うことを特徴とする請求項2又は3に記載の基板搬送方法。
【請求項5】
前記押圧体が停止する直前に,その押圧体の速度が次第に減速しているか否かを判断し,前記押圧体の速度が次第に減速していると判断した場合は,前記基板の異常が熱収縮による反りであると判定することを特徴とする請求項4に記載の基板搬送方法。
【請求項6】
前記押圧体の検出位置が,前記規制体の削れ量の許容量に基づいて,前記正常な基板を保持したときの位置と前記異常判定閾値との間に設定した前記規制体の交換時期判定閾値以上である場合には,前記異常判定閾値以上でない場合であっても,前記規制体の交換時期と判定し,その基板の搬送処理を停止し,前記規制体の交換時期であることを報知する処理を行うことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の基板搬送方法。
【請求項7】
ピックで基板を保持して搬送する搬送アームを備えた基板搬送装置の基板搬送方法を実施するためのプログラムを記憶するコンピュータ読取可能な記憶媒体であって,
前記ピックは,前記ピックの先端側に設けられ,前記ピック上の前記基板が水平方向に移動しないように規制する規制壁を有する少なくとも2つの規制体と,前記ピック上の前記基板に向けて押圧体を初期位置から終了位置まで所定距離だけスライド駆動させて,前記基板の端部を前記規制体の規制壁に押しつけることによって,前記基板を前記規制体と前記押圧体との間で保持する押圧保持部と,前記押圧体をスライド駆動させるとともに,その押圧体の位置情報を出力可能な押圧体駆動部と,を備え,
前記基板搬送方法は,
前記ピックの基板保持時に前記押圧体をスライド駆動させてその押圧体が停止した位置を前記押圧体駆動部の出力に基づいて検出する工程と,
前記押圧体の検出位置が,正常な基板を保持したときの位置と前記終了位置との間に設定した異常判定閾値以上に前記ピックの先端側にある場合には,前記ピック上の基板は異常であると判定する工程と,
前記ピック上の基板は異常であると判定した場合にはその基板の搬送処理を停止する工程と,
を有することを特徴とする記憶媒体。
【請求項8】
ピックで基板を保持して搬送する搬送アームを備えた基板処理装置であって,
前記ピックの先端側に設けられ,前記ピック上の前記基板が水平方向に移動しないように規制する規制壁を有する少なくとも2つの規制体と,
前記ピック上の前記基板に向けて押圧体を初期位置から終了位置まで所定距離だけスライド駆動させて,前記基板の端部を前記規制体の規制壁に押しつけることによって,前記基板を前記規制体と前記押圧体との間で保持する押圧保持部と,
前記押圧体をスライド駆動させるとともに,その押圧体の位置情報を出力可能な押圧体駆動部と,
前記ピックの基板保持時に前記押圧体をスライド駆動させてその押圧体が停止した位置を前記押圧体駆動部の出力に基づいて検出し,その検出位置が,正常な基板を保持したときの位置と前記終了位置との間に設定した異常判定閾値以上に前記ピックの先端側にある場合には,前記ピック上の基板は異常であると判定し,前記ピック上の基板は異常であると判定した場合にはその基板の搬送処理を停止する制御部と,
を備えたことを特徴とする基板処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−74485(P2012−74485A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−217354(P2010−217354)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】